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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047711
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】整髪剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20230330BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20230330BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q5/06
A61K8/39
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156795
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(72)【発明者】
【氏名】小林 佳那子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB352
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC642
4C083AC662
4C083AD042
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD332
4C083AD432
4C083CC32
4C083DD27
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】塗布時にはワックス剤形などの油性または乳化系の整髪剤のように、毛髪に毛束感を持たせて髪型を立体的にアレンジすることができるとともに、整髪後は水性系の整髪剤のように髪型の毛髪表面を固めて固定することができ、しかもべたつき感をも抑制することができる整髪剤組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の整髪剤組成物は、(A)重量平均分子量100万以下のポリビニルピロリドン、(B)ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー、および(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーの群から選ばれる1種以上の高分子、および(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有することを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重量平均分子量100万以下のポリビニルピロリドン、(B)ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー、および(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーの群から選ばれる1種以上の高分子、および(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有することを特徴とする整髪剤組成物。
【請求項2】
(D)エイコサン二酸および/またはテトラデカン二酸と、平均重合度10のポリグリセリンとから構成されるオリゴマーエステルを含有することを特徴とする請求項1に記載の整髪剤組成物。
【請求項3】
(E)多価アルコールを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の整髪剤組成物。
【請求項4】
(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40を超えるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の整髪剤組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の整髪剤組成物が、水性系である整髪剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪型を整える整髪剤に用いられる整髪剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
髪型を整えるために用いられる整髪剤組成物が発揮し得る整髪特性には、様々な整髪特性がある。例えば、整髪特性としては、髪型を長時間保持する特性、毛髪同士をまとめる特性(例えば、毛髪をタイトにまとめる特性、毛髪をまとめて毛束を作る特性等)、毛髪の流れを作り髪型を作る特性等が挙げられる。
【0003】
また、整髪剤組成物は、使用性や整髪特性を発揮させるために、液状、泡状、ジェル状、ワックス状、スティック状などの種々の剤形が用いられ、異なる組成設計が成されている。液状、泡状、ジェル状などの水性系の整髪剤組成物は、通常、水溶性の被膜形成高分子(スタリング剤用高分子)が用いられており、毛髪表面に皮膜形成高分子に由来した皮膜が形成されて毛髪が固定される(例えば、特許文献1、2など)。このため、毛髪を固める特性や髪型を長時間保持する特性が高くなるが、その一方で毛髪の流れや髪型を作る特性は低下するため、髪型をアレンジすることが困難となる
【0004】
一方、ワックス状、スティック状などの油性または乳化系の整髪剤組成物は、油分やロウ類などの油性成分が多量に用いられており、油性成分の粘着性を利用して毛髪を絡ませて整髪することができる(例えば、特許文献3、4など)。そのため、毛束を摘まんで髪型を立体的にアレンジすることができるが、その反面、毛髪表面を固めて毛髪を固定する特性には優れていないうえ、整髪した髪に油性成分特有のべたつき感が生じるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3-48611号公報
【特許文献2】特開2012-246223号公報
【特許文献3】特開2010-70522号公報
【特許文献4】特開2014-1146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、塗布時にはワックス剤形などの油性または乳化系の整髪剤のように、毛髪に毛束感を持たせて髪型を立体的にアレンジすることができるとともに、整髪後は水性系の整髪剤のように髪型の毛髪表面を固めて固定することができ、しかもべたつき感をも抑制することができる整髪剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、複数の特定の被膜形成高分子を併用し、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と組合わせた整髪剤組成物が、塗布時には、毛髪に毛束感を持たせて髪型を立体的にアレンジすることができるとともに、整髪後は髪型の毛髪表面を固めて固定することができ、しかもべたつき感をも抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の整髪剤組成物は、(A)重量平均分子量100万以下のポリビニルピロリドン、(B)ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー、および(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーの群から選ばれる1種以上の高分子、および(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有することを特徴とする。
【0009】
本発明の整髪剤組成物は、(D)エイコサン二酸および/またはテトラデカン二酸と、平均重合度10のポリグリセリンとから構成されるオリゴマーエステルを含有することが好ましい。
【0010】
本発明の整髪剤組成物は、さらに、(E)多価アルコールを含有することが好ましい。
【0011】
(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、エチレンオキサイドの平均付加モル数40以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40を超えるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを含むことが好ましい。
【0012】
また、本発明の整髪剤組成物は、水性系である整髪剤組成物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の整髪剤組成物は、上記構成を有することで、塗布時には、毛髪に毛束感を持たせて髪型を立体的にアレンジすることができるとともに、整髪後は髪型の毛髪表面を固めて固定することができ、しかもべたつき感をも抑制する特性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の整髪剤組成物は、以下の成分(A)~(C)を必須に含有する組成物である。
(A)重量平均分子量100万以下のポリビニルピロリドン、
(B)ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー、および(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーの群から選ばれる1種以上の高分子、
(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
【0015】
(成分(A))
成分(A)は、重量平均分子量100万以下のポリビニルピロリドンである。成分(A)の分子量は、毛髪に立体的なアレンジ力を発揮させる観点から、好ましくは重量平均分子量5,000以上であり、より好ましくは重量平均分子量60万以下、さらに好ましくは重量平均分子量10万以下である。重量平均分子量100万以下のポリビニルピロリドンとしては、フィケンチャー法によるK値が10~100のものを用いることができる。具体的に用いることが出来る市販品としては、例えば、商品名:PVP K-12、PVP K-15、PVP K-30、PVP K-60(いずれもアイエスピー・ジャパン社製)、ポリビニルピロリドK-30(日本触媒社製)、ビッツコールK-17L、ビッツコールK-60L、ビッツコールK-80(いずれも第一工業製薬社製)などを挙げることができる。
【0016】
成分(A)の含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、べたつき感を抑制する観点から、整髪剤組成物中、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上である。また、毛髪への立体的なアレンジ力を十分に発揮させる観点から、整髪剤組成物中、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。これらから、好ましい含有量は、整髪剤組成物中、0.1~5質量%であり、より好ましくは0.5~3質量%である。
【0017】
(成分(B))
成分(B)は、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー、および(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーの群から選ばれる1種以上の高分子である。
【0018】
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体は、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体であり、水溶性の非イオン性高分子である。好適に用いることが出来る市販品としては、例えば、商品名:ルビスコールVA64P、ルビスコールVA371(いずれもBASFジャパン社製)、PVA-6450(大阪有機化学工業社製)などを挙げることができる。
【0019】
(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの単純エステルからなるモノマー2種以上とメタクリル酸エチルベタインの共重合体である。好適に用いることが出来る市販品としては、例えば、商品名:RAMレジン-1000、RAMレジン-3000、ユカフォーマー301(いずれも大阪有機化学工業社製)などを挙げることができる。
【0020】
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーは、アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルとの共重合体である。好適に用いることが出来る市販品としては、例えば、プラスサイズL-2200(互応化学工業社製)などを挙げることができる。
【0021】
(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーは、ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシエチルおよびアクリル酸メトキシエチルの共重合体である。好適に用いることが出来る市販品としては、例えば、プラスサイズL-2700、プラスサイズL-2714(互応化学工業社製)などを挙げることができる。
【0022】
成分(B)の含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、十分な毛束感を持たせる観点から、整髪剤組成物中、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上である。また、毛束感を持たせた毛髪表面を固めて固定する観点から、整髪剤組成物中、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。これらから、好ましい含有量は、整髪剤組成物中、0.1~5質量%であり、より好ましくは0.5~3質量%である。なお、成分(B)は、これらの1種を単独で用いても良いし、2種以上を組合せ用いても良い。
【0023】
(成分(C))
成分(C)は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である。
【0024】
成分(C)の含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、毛束感を持たせ、毛髪に立体的なアレンジ力を発揮させる観点から、整髪剤組成物中、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上である。またベタつき感を抑制する観点から、整髪剤組成物中、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。これらから、好ましい含有量は、整髪剤組成物中、1~25質量%であり、より好ましくは3~20質量%である。
【0025】
また、本発明の整髪剤組成物は、毛髪に毛束感を持たせ、立体的なアレンジ力を十分に発揮させる観点から、(C1)エチレンオキサイドの平均付加モル数が40以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、(C2)エチレンオキサイドの平均付加モル数が40を超えるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを併用して用いるのが好ましい。
【0026】
なお、成分(C1)および成分(C2)を併用して用いる場合、その質量割合〔(C1)/(C2)〕は、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましい。また、質量割合〔(C1)/(C2)〕は、2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。これらから、好ましい質量割合〔(C1)/(C2)〕は、0.05~2であり、より好ましくは0.1~1.5である。
【0027】
また、本発明の整髪剤組成物は、本発明の効果を十分に発揮させるには、各成分(A)~(C)の質量割合〔(C)/(A)+(B)〕が、0.5以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましい。また、質量割合〔(C1)/(C2)〕は、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。これらから、好ましい質量割合〔(C)/(A)+(B)〕は、0.5~20であり、より好ましくは1~15である。
【0028】
(成分(D))
本発明の整髪剤組成物は、毛髪に立体的なアレンジ力を発揮させ、毛髪に艶をも付与する観点から、エイコサン二酸および/またはテトラデカン二酸と、平均重合度10のポリグリセリンとから構成されるオリゴマーエステル(成分(D))を含有することができる。具体的な成分(D)としては、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10が挙げられる。このようなオリゴマーエステルの市販品としては、商品名:Neosolue-Aqua、Neosolue-Aqua S(いずれも日本精化社製)などを挙げることができる。
【0029】
成分(D)の含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、毛髪に立体的なアレンジ力を発揮させ、毛髪に艶を付与する観点から、整髪剤組成物中、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上である。また、ベタつき感を抑制する観点から、整髪剤組成物中、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。これらから、好ましい含有量は、整髪剤組成物中、0.5~5質量%であり、より好ましくは1~3質量%である。
【0030】
(成分(E))
本発明の整髪剤組成物には、毛髪に立体的なアレンジ力を発揮させ、毛髪に艶をも付与する観点から、多価アルコール(成分(E))を含有することができる。具体的な成分(E)としては、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、ポリエチレングリコール等を例示することができる。
【0031】
成分(E)の含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、毛髪に立体的なアレンジ力を十分に発揮させる観点から、整髪剤組成物中、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である。また、十分な毛束感を保持する観点から、整髪剤組成物中、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。これらから、好ましい含有量は、整髪剤組成物中、3~25質量%であり、より好ましくは5~20質量%である。
【0032】
(他の成分)
本発明の整髪剤組成物は、必要に応じて、通常の整髪剤組成物に用いられる各種成分を含有することができる。例えば、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等の成分(C)以外の界面活性剤;ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、キサンタンガム、カラギーナン、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性増粘剤;エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコールおよびオレイルアルコール等の高級アルコール;ソルビトール、マルチトールおよびトレハロース等の糖アルコール;シリコーン油;金属イオン封鎖剤;酸化防止剤;植物抽出エキス;染料;顔料;pH調整剤;香料;防腐剤;溶剤;水等を適宜含有しても良い。
【0033】
本発明の整髪剤組成物に含有する水は、精製水である。その含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、延展性の観点から、整髪剤組成物中、25質量%~75質量%が好ましく、30質量%~60質量%がより好ましい。
【0034】
本発明の整髪剤組成物は、液状、泡状、ジェル状、ワックス状、スティック状などの種々の剤形に用いることが出来るが、整髪後は被膜形成高分子により髪型を固定することができる観点から、水性系の整髪剤組成物、特にジェル状、グリース状の性状が好ましい。即ち、本発明の整髪剤組成物は、ジェル状整髪剤組成物、グリース状整髪剤組成物(ヘアグリース、ウォーターグリース、水溶性ポマード等と称される)などの水性系の整髪剤組成物とすることが好ましい。
【0035】
本発明の整髪剤組成物の製造方法としては、特に限定されず、公知の整髪剤組成物の製造方法を用いることができる。本発明の整髪剤組成物の製造方法としては、例えば、各成分をディスパーミキサー、パドルミキサー等で攪拌し均一化する方法などが挙げられる。
【実施例0036】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、含有量は特記しない限り「質量%」を表す。
【0037】
実施例および比較例で用いたポリビニルピロリドンの詳細は、以下のとおりである。
ポリビニルピロリドン(K-15):商品名PVP K-15(アイエスピー・ジャパン社製)
ポリビニルピロリドン(K-30):商品名PVP K-30(アイエスピー・ジャパン社製)
ポリビニルピロリドン(K-60):商品名ピッツコール K-60L(第一工業製薬社製)
ポリビニルピロリドン(K-90):商品名PVP K-90(アイエスピー・ジャパン社製)
【0038】
(実施例1~12および比較例1~7)
下記の表1に示す配合成分を配合し、整髪剤組成物を調製した。得られた整髪剤組成物の性状は表中に示す。なお、表中の含有量(整髪剤組成物100質量%中の含有量)は、純分の含有量(単位:質量%)で示した。
【0039】
(評価)
実施例および比較例で得られた各整髪剤組成物について、下記の評価を行った。(1)~(2)の評価結果は表1中に示した。評価は3名の専門評価員が行った。
【0040】
(1)整髪時に毛束感とアレンジ力を持たせる特性、整髪後に髪型を固定する特性
実施例および比較例で得られた各整髪剤組成物約1.0gを掌にとり、掌上でのばした後、ウィッグ(ビューラック社製、商品名「スタッフス カットウィッグ」)に揉み込むように塗布した。(塗布はウィッグの左右いずれかの半分に対して行った。)
塗布した際の毛束感および塗布後の髪型の固定特性については、下記評価基準にて判定した。
【0041】
<整髪時の毛束感とアレンジ力の判定基準>
○(良好):毛束を自由に造ることができ、毛束を立体的に曲げ動かして髪型を自由にアレンジすることができる。
×(不良):毛束を自由に造ることができないか、あるいは毛束を立体的にアレンジすることができない。
【0042】
<髪型の固定性の判定基準>
○(良好):毛束を手で触った際に、毛髪表面に硬さがあり、ウィッグを振盪させても髪型が崩れない。
×(不良):毛束を手で触った際に、毛髪表面に硬さがなく、ウィッグを振盪させると髪型が崩れる。
【0043】
(2)べたつき感(べたつきのなさ)
上記評価直後、ウィッグの毛髪を整髪剤組成物の付着していない手で触り、触った後の手のべたつきにより、下記の基準で評価した。
<評価基準>
○(良好):手にはべたつきがほとんど残らず、不快感を感じなかった。
×(不良):手に明らかなべたつきが残り、不快感を感じた。
【0044】
【表1】
【0045】
本発明の整髪剤組成物の処方例を以下に示す。
【0046】
(処方例1:ジェル状整髪剤組成物)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.О.):3.0質量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.О.):10.0質量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(100E.О.):3.0質量%
ポリエチレングリコール1000:3.0質量%
ポリエチレングリコール1500:1.0質量%
ポリエチレングリコール20000:2.5質量%
(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)デカグリセリル液:1.0質量%
カルボキシビニルポリマー:0.6質量%
(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー:0.5質量%
トリエタノールアミン:1.0質量%
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体:1.5質量%
(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー:0.5質量%
ポリビニルピロリドン(K-30):1.0質量%
ジグリセリン:10.0質量%
パンテノール:1.0質量%
香料:0.1質量%
無水エタノール:6.0質量%
フェノキシエタノール :0.8質量%
無水亜硫酸ナトリウム:0.05質量%
ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム液:1.0質量%
ラベンダー油:0.1質量%
アストロカリウムムルムル種子脂:0.1質量%
エデト酸二ナトリウム:0.03質量%
精製水:残部
合計:100.0質量%
【0047】
(処方例2:ジェル状整髪剤組成物)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.О.):3.0質量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.О.):8.0質量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(100E.О.):4.0質量%
ポリエチレングリコール1000:3.0質量%
ポリエチレングリコール4000:3.0質量%
ポリエチレングリコール6000:3.0質量%
カルボキシビニルポリマー:0.4質量%
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー:0.7質量%
トリエタノールアミン:1.0質量%
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体:2.0質量%
ポリビニルピロリドン(K-30):1.5質量%
ジグリセリン:8.0質量%
ジプロピレングリコール:5.0質量%
香料:0.1質量%
無水エタノール:10.0質量%
フェノキシエタノール :0.5質量%
無水亜硫酸ナトリウム:0.05質量%
加水分解コラーゲン:0.5質量%
精製水:残部
合計:100.0質量%
【0048】
(処方例3:ジェル状整髪剤組成物)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.О.):4.0質量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.О.):2.0質量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.О.):6.0質量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.О.):4.0質量%
ポリエチレングリコール1000:3.0質量%
ポリエチレングリコール4000:5.0質量%
ポリエチレングリコール6000:1.0質量%
カルボキシビニルポリマー:0.5質量%
(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー:0.7質量%
トリエタノールアミン:1.2質量%
(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマー:0.5質量%
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー:1.0質量
ポリビニルピロリドン(K-30):1.0質量%
ジグリセリン:5.0質量%
1,3‐ブチレングリコール:3.0質量%
グリセリン:2.0質量%
プロピレングリコール:2.0質量%
香料:0.3質量%
無水エタノール:5.0質量%
メチルパラベン :0.5質量%
無水亜硫酸ナトリウム:0.05質量%
エデト酸二ナトリウム:0.02質量%
ヒアルロン酸ナトリウム:0.01質量%
(スチレン/ビニルピロリドン)コポリマー:0.4質量%
精製水:残部
合計:100.0質量%