(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047771
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】カメラ装置およびカメラ装置の取付方法
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20230330BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20230330BHJP
H04N 23/51 20230101ALI20230330BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230330BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20230330BHJP
【FI】
G03B17/56 A
H04N5/222 100
H04N5/225 200
G03B15/00 S
G03B17/02
G03B17/56 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156874
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】320008672
【氏名又は名称】i-PRO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾又 章斗
(72)【発明者】
【氏名】田坂 浩一
(72)【発明者】
【氏名】片岡 哲志
【テーマコード(参考)】
2H100
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H100CC04
2H105AA02
2H105DD06
2H105DD07
5C122DA11
5C122EA42
5C122GD01
5C122GD12
5C122GE01
5C122GE02
5C122GE03
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】設置時に、装置本体を作業者の手で支持せずにケーブルの接続等を可能とし、作業性を向上させる。
【解決手段】カメラ装置は、フック部を有し、被固定面に固定される略円板状の基部と、カメラ部およびコネクタを搭載するとともに、フック部に係止するベースヒンジを進退自在に備え、ベースヒンジをフック部に係止して基部から吊り下げ可能となる装置本体と、装置本体と基部とに亘って設けられ、ベースヒンジを係止したフック部を支点に装置本体を基部に接近する方向に回転させて装置本体が基部と平行となった状態で装置本体と基部とを離反不能に係合する係合機構と、カメラ部およびコネクタを水密に覆って装置本体に取り付けられるドームカバー組立体と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フック部を有し、被固定面に固定される略円板状の基部と、
カメラ部およびコネクタを搭載するとともに、前記フック部に係止するベースヒンジを進退自在に備え、前記ベースヒンジを前記フック部に係止して前記基部から吊り下げ可能となる装置本体と、
前記装置本体と前記基部とに亘って設けられ、前記ベースヒンジを係止した前記フック部を支点に前記装置本体を前記基部に接近する方向に回転させて前記装置本体が前記基部と略平行となった状態で前記装置本体と前記基部とを離反不能に係合する係合機構と、
前記カメラ部および前記コネクタを水密に覆って前記装置本体に取り付けられるドームカバー組立体と、を備える、
カメラ装置。
【請求項2】
前記装置本体は、略円板状の本体ベースを有し、
前記本体ベースには、前記本体ベースよりも小径に形成されて前記カメラ部が搭載される略円板状のパンベースが同心円状に取り付けられ、
前記コネクタは、前記パンベースの半径方向外側で前記本体ベース上に配置される、
請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記装置本体の中心には、前記パンベースを貫通して突出し、その突出先端に本体側仮係止爪を有する支柱が立設され、
前記ドームカバー組立体は、略環状に形成されて前記装置本体に取り付けられ、透明なドームカバーの外周を内穴に水密に固定するフレームハウジングを有し、
前記ドームカバーの中心には、内周側に突出して前記支柱の前記本体側仮係止爪に仮係止可能なカバー側仮係止爪を有したドームサポートが設けられている、
請求項2に記載のカメラ装置。
【請求項4】
前記係合機構は、頭部を下向きにして前記基部から垂下する雄ねじ部材を有し、
前記装置本体には、前記装置本体が前記基部と平行となった状態で前記雄ねじ部材が進入する穴部が形成され、
前記穴部には、進入した前記頭部に弾接して前記雄ねじ部材の前記穴部からの離脱を規制する樹脂ばね部材が設けられている、
請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項5】
前記ベースヒンジは、その進出方向の先端側に、前記フック部に係止するL字曲げ部が形成されるとともに、前記L字曲げ部の基端側には、前記フック部が通過可能なフック挿入穴が形成される、
請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項6】
前記ベースヒンジには、前記進退方向に長い一対の平行な長穴が形成され、
前記ベースヒンジは、それぞれの前記長穴に挿通されて前記装置本体に固定される固定ねじに、前記長穴の長手方向で摺動自在に支持される、
請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項7】
前記ベースヒンジは、前記装置本体とに亘って設けられた引っ張りばねにより後退方向に付勢される、
請求項1~6のうちいずれか一項に記載のカメラ装置。
【請求項8】
フック部を有する略円板状の基部を被固定面に固定する基部取付工程と、
カメラ部およびコネクタを搭載した装置本体から前記フック部に係止するベースヒンジを引き出して前記フック部に係止し、前記基部から前記装置本体を吊り下げる本体吊り下げ工程と、
前記コネクタにケーブルを接続するケーブル接続工程と、
前記フック部を支点に前記装置本体を前記基部に接近する方向に回転させながら前記ベースヒンジを前記装置本体に後退させ、前記装置本体が前記基部と略平行となった状態で前記装置本体と前記基部とに亘って設けられた係合機構を介して前記装置本体と前記基部とを離反不能に仮固定する本体仮固定工程と、を含む、
カメラ装置の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラ装置およびカメラ装置の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スライド構造を用いて、カバーを本体ケースに取り付ける監視カメラが開示されている。この監視カメラは、カメラユニットを保持する本体ケースと、カメラユニットの周囲を覆うように本体ケースに取り付けられるカバーとを備え、本体ケースのケース開口縁部における後ろ側半円部分に配置されるケース外壁と、ケース開口縁部における前側半円部分で、かつ、ケース外壁よりも本体ケースの内側に配置されるケース目隠しリブと、カバーのカバー開口縁部における前側半円部分に配置されるカバー外壁と、カバー開口縁部における後ろ側半円部分で、かつ、カバー外壁よりもカバーの内側に配置されるカバー目隠しリブと、を設ける。カバー外壁はカバーの前方側から後方側へのスライドに伴ってケース目隠しリブに対して前方側から嵌合し、カバー目隠しリブはカバーの前方側から後方側へのスライドに伴ってケース外壁に対して前方側から嵌合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、監視カメラが天井面などの被固定面に取り付けられる場合、監視カメラを取り付ける作業者は、天井面に空けた穴から引き出したケーブル(例えば、LAN(Local Area Network)ケーブル、あるいは、給電用ケーブル)を、本体ケースの背面から本体ケース内に引き込んで本体に配置されたコネクタ等に接続することがある。つまり、ケーブルの引き込みのために本体の背面を天井面に直接に取り付けできない場合、その本体ケースを作業者は手で持たなければならない。このような取付方法の場合、作業者は、一方の手で本体ケースを持ち、他方の手で引き出したケーブルを本体ケースに通す必要がある。このため、上向き高所作業であっても、ケーブル接続作業等に両手が使えず、作業性が向上しないという課題があった。
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、設置時に、装置本体を作業者の手で支持せずにケーブルの接続等を可能とし、作業性を向上させることができるカメラ装置およびカメラ装置の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、フック部を有し、被固定面に固定される略円板状の基部と、カメラ部およびコネクタを搭載するとともに、前記フック部に係止するベースヒンジを進退自在に備え、前記ベースヒンジを前記フック部に係止して前記基部から吊り下げ可能となる装置本体と、前記装置本体と前記基部とに亘って設けられ、前記ベースヒンジを係止した前記フック部を支点に前記装置本体を前記基部に接近する方向に回転させて前記装置本体が前記基部と略平行となった状態で前記装置本体と前記基部とを離反不能に係合する係合機構と、前記カメラ部および前記コネクタを水密に覆って前記装置本体に取り付けられるドームカバー組立体と、を備える、カメラ装置を提供する。
【0007】
また、本開示は、フック部を有する略円板状の基部を被固定面に固定する基部取付工程と、カメラ部およびコネクタを搭載した装置本体から前記フック部に係止するベースヒンジを引き出して前記フック部に係止し、前記基部から前記装置本体を吊り下げる本体吊り下げ工程と、前記コネクタにケーブルを接続するケーブル接続工程と、前記フック部を支点に前記装置本体を前記基部に接近する方向に回転させながら前記ベースヒンジを前記装置本体に後退させ、前記装置本体が前記基部と略平行となった状態で前記装置本体と前記基部とに亘って設けられた係合機構を介して前記装置本体と前記基部とを離反不能に仮固定する本体仮固定工程と、を含む、カメラ装置の取付方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、設置時に、装置本体を作業者の手で支持せずにケーブルの接続等を可能とし、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るカメラ装置が天井面に取り付けられた状態の外観を表す斜視図
【
図2】
図1に示したカメラ装置を斜め下方より見た斜視図
【
図5】本体ベースの背面にベースヒンジが収納された装置本体の要部拡大斜視図
【
図6】ベースヒンジが引き出された本体ベースの背面を表す装置本体の要部拡大斜視図
【
図7】フック部とL字曲げ部との係止直前、あるいは係止解除直後における装置本体の要部拡大斜視図
【
図8】フック部にL字曲げ部が引っ掛けられた装置本体の要部拡大斜視図
【
図9】フック部を支点とした回転途中の装置本体を表す要部拡大側断面図
【
図10】天井面に固定される向きと上下を反転させた装置本体および基部の斜視図
【
図12】ベースヒンジを介して基部に吊り下げられた本体ベースのケーブル引き込み途中の斜視図
【
図13】ベースヒンジを介して基部に吊り下げられた本体ベースの背面図
【
図14】雄ねじ部材の頭部に係合した樹脂ばね部材により基部からの離脱が規制された装置本体の要部拡大断面図
【
図15】ドームカバー組立体、装置本体が基部に本固定されたカメラ装置の要部側断面図
【
図18】吊り下げられた装置本体が仮固定されるまでの状態遷移図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るカメラ装置およびカメラ装置の取付方法を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
図1は、実施の形態1に係るカメラ装置11が天井面13に取り付けられた状態の外観を表す斜視図である。カメラ装置11は、屋内および屋外のうちいずれにおいても設置が可能となる、いわゆる監視カメラである。但し、カメラ装置11は、監視用途に設置されなくても構わない。屋外では、特に高い防塵防水性を確保することにより設置可能となる。カメラ装置11は、カメラ15(カメラ部の一例)を覆う保護カバーが、ドームカバー17となった、いわゆるドーム型である。ドームカバー17は、親水コーティングが施されることにより、降雨時における視認性と防汚性とを有している。なお、実施の形態1では、複数(例えば4つ)のカメラ15がドームカバー17により覆われるマルチセンサカメラが例示されているが、カメラ15の数は単一であってもよい。
【0012】
図2は、
図1に示したカメラ装置11を斜め下方より見た斜視図である。カメラ装置11の装置本体は、ドームカバー組立体19により覆われる。ドームカバー組立体19は、略環状に形成されて装置本体に取り付けられるフレームハウジング21を有する。本明細書において、略環状は環状を含む概念である。フレームハウジング21は、透明なドームカバー17の外周を内穴23に水密に固定する。
【0013】
ドームカバー17は、装置本体に搭載された4つのカメラユニット25を覆う。それぞれのカメラユニット25には、1つのカメラ15が設けられる。カメラユニット25は、自身が保持するカメラ15を所定の方向に回転させることにより、所望の撮像方向(言い換えると、視野方向)にカメラ15を向けられる。
【0014】
フレームハウジング21の表面には、複数(例えば6つ)のねじカバー27が円周方向に等間隔で取り付けられる。ねじカバー27は、固定ねじ用穴に取り付けられる。固定ねじ用穴には、フレームハウジング21を装置本体、基部に固定するためのカバー固定ねじが挿通される。なお、隣接するねじカバー同士の間には、IR(Infrared Ray)光用のLED(Light Emission Diode)を覆うLED用カバー29が配置される。また、ドームカバー17の中央部には、各カメラ15の視野範囲外に配置され、非透明材からなる円形のセンターカバー31が取り付けられる。
【0015】
図3は、カメラ装置11の分解斜視図である。
図4は、天井面13に固定された基部33の斜視図である。カメラ装置11は、基部33と、装置本体35と、ドームカバー組立体19と、により構成される。基部33は、アタッチメント金具37と、ケーブル穴カバー39とを有している。アタッチメント金具37は、板金材により略円環板状に形成される。本明細書において、略円環板状は円環板状を含む概念である。このアタッチメント金具37の外周には、装置本体35を係止する本体係止部41が設けられている。本体係止部41には、フック部43が形成される。フック部43は、例えば一対が円周方向に僅かな間隙を有し、平行に近接して形成されている。ケーブル穴カバー39は、この本体係止部41と直径方向反対側に着脱自在に取り付けられる。アタッチメント金具37は、例えば4つのアタッチメント固定ねじ45により天井面13に固定される(
図4参照)。
【0016】
アタッチメント金具37には、雌ねじを有した複数(例えば3つ)の本固定軸47が、円周方向に等間隔で固定されて垂下する。この本固定軸47には、フレームハウジング21の固定ねじ用穴から挿通されて、装置本体35を貫通したカバー固定ねじが螺合して固定される。つまり、装置本体35は、3つのカバー固定ねじにより、ドームカバー組立体19と基部33とに挟まれて共締めされる。
【0017】
また、アタッチメント金具37には、本体係止部41とケーブル穴カバー39との間に、アタッチメント金具37の中心を挟んで一対の雄ねじ部材49が固定されて垂下する。この雄ねじ部材49は、後述する係合機構の構成部材の一部として、装置本体35を基部33に対して仮固定可能とする。
【0018】
装置本体35は、基部33とほぼ同一半径となって略円板状に形成される樹脂製または金属製の本体ベース51を有する。本明細書において、略円板状は円板状を含む概念である。本体ベース51は、カメラユニット25、コネクタ、基板等の部品を搭載する。
【0019】
本体ベース51の背面(言い換えると、天井面13に対向する面)には、基部33の本体係止部41に係止して、装置本体35を基部33に吊り下げ可能とする矩形板状のベースヒンジ53が設けられる。ベースヒンジ53は、その進出方向の先端に、一対のL字曲げ部55を有する。
【0020】
図5は、本体ベース51の背面にベースヒンジ53が収納された装置本体35の要部拡大斜視図である。
図6は、ベースヒンジ53が引き出された本体ベース51の背面を表す装置本体35の要部拡大斜視図である。ベースヒンジ53は、例えば板金材により矩形板状に形成される。ベースヒンジ53は、本体ベース51の背面に対してスライド自在に取り付けられ、本体ベース51の外周から半径方向で進退自在となる(
図6参照)。ベースヒンジ53は、その進出方向の先端側に、フック部43に係止するL字曲げ部55がフック部43と対向するようにフック部43の引っ掛け部分と反対方向に曲げられて形成される。また、ベースヒンジ53は、L字曲げ部55の基端側に、フック部43が通過可能となるフック挿入穴57が形成されている。
【0021】
図7は、フック部43とL字曲げ部55との係止直前、あるいは係止解除直後における装置本体35の要部拡大斜視図である。天井面13に固定された基部33は、フック部43が外周からJ字状に垂下して配置される。フック部43のJ字状下端の引っ掛け部分は、基部33の半径方向外側に向けられる。ベースヒンジ53は、装置本体35から進出した状態で、L字曲げ部55の曲げ方向と反対側の面から、フック挿入穴57にフック部43が挿入される。
【0022】
図8は、フック部43にL字曲げ部55が引っ掛けられた装置本体35の要部拡大斜視図である。ベースヒンジ53は、フック挿入穴57を基部33のフック部43に近づけてフック挿入穴57にフック部43を挿入することにより、L字曲げ部55がフック部43に引っかかった状態となる。これにより、装置本体35は、ベースヒンジ53のL字曲げ部55をフック部43に係止して、基部33に吊り下げが可能となる。
【0023】
図9は、フック部43を支点とした回転途中の装置本体35を表す要部拡大側断面図である。ベースヒンジ53は、フック部43のJ字状の内周面に沿ってL字曲げ部55が摺接することにより、係止状態を維持したまま、フック部43を支点として基部33に接近する方向への回転が可能となる。この際、ベースヒンジ53は、本体ベース51に徐々に後退しながら本体ベース51に引き込まれる(言い換えると、収納される)。
【0024】
再び
図5を参照する。ベースヒンジ53には、その進退方向に長い一対の平行な長穴59が形成される。それぞれの長穴59には、装置本体35に固定される固定ねじ61が挿通される。固定ねじ61は、長穴59の短径よりも大径のワッシャを装着することによりベースヒンジ53の離脱を規制する。これにより、ベースヒンジ53は、長穴59の長手方向で摺動自在に支持される。
【0025】
一対のL字曲げ部55は、一対の平行なアーム部63の先端に設けられる。一対の平行なアーム部63の間は、進出規制溝65となる。進出規制溝65は、ベースヒンジ53が進退方向に所定長ほど進出すると、本体ベース51に起立するストッパ67に溝底が当接し、それ以上のベースヒンジ53の進退方向の進出を規制する。また、ベースヒンジ53には、長穴59と同方向に長い補助ガイド溝69が形成されてもよい。補助ガイド溝69は、本体ベース51から起立するガイドピン71に係合することにより、ベースヒンジ53のより高精度な直線移動を可能にしている。
【0026】
図9に示すように、ベースヒンジ53には、装置本体35に亘って引っ張りばね73が張架されている。引っ張りばね73には、例えばコイルばねが好適に用いられる。引っ張りばね73は、その一端がベースヒンジ53の係止片75に支持され、その他端が本体ベース51の係止ポスト77に支持される。引っ張りばね73は、ベースヒンジ53を本体ベース51の内側に後退する方向に付勢する。
【0027】
図10は、天井面13に固定される向きと上下を反転させた装置本体35および基部33の斜視図である。装置本体35は、本体ベース51に、本体ベース51よりも小径に形成されたパンベース79が同心円状に取り付けられる。パンベース79は、本体ベース51に対して相対回転が規制されて取り付けられる。パンベース79は、中央部に嵌合するパンベースストッパー81により本体ベース51に固定される。
【0028】
パンベース79の表面には、4つのカメラユニット25が円周方向に配置される。それぞれのカメラユニット25は、パンベース79の円周方向に沿ってスライド自在となったパンシャシーベース83を介して取り付けられる。これにより、それぞれのカメラユニット25は、パンベース79の中央部に垂直なパン回転中心85を中心にパンシャシーベース83ごとパンベース79の円周方向に沿ってパン回転される。
【0029】
図11は、カメラユニット25の分解斜視図である。カメラユニット25は、パンシャシーベース83にパンシャシー87が取り付けられる。パンシャシー87は、パンシャシーベース83に対してパン回転中心85と同方向のツイスト回転中心89を中心にツイスト回転自在に支持される。パンシャシー87には、チルトヒンジ91が取り付けられる。チルトヒンジ91は、パンシャシー87に対してツイスト回転中心89と直交方向のチルト回転中心93を中心にチルト回転自在に支持される。チルトヒンジ91は、一対のチルト軸95が、パンシャシー87の一対のチルト軸穴97に回転自在に支持される。チルトヒンジ91には、カメラ15が取り付けられる。カメラ15は、下カバー99と、上カバー101と、レンズ103の周囲を覆う略半球面状の遮光ゴム105と、により略球状となる。カメラ15は、チルトヒンジ91に対してレンズ中心107を中心にヨー回転自在に支持される。
【0030】
再び
図10を参照する。装置本体35には、コネクタ109や給電部(不図示)が取り付けられる。コネクタ109は、パンベース79の半径方向外側で本体ベース51に取り付けられる。装置本体35には、ケーブル111(例えばLANケーブル)や電源線113が引き込まれる。これらケーブル111や電源線113は、例えば、天井面13の表面に配索されて、ケーブル穴カバー39を貫通して本体ベース51の背面に入った後、本体ベース51の背面から本体ベース51を貫通して本体ベース51の表面に引き出される。また、ケーブル111や電源線113は、例えば、天井懐内から天井面13を貫通して導出される場合には、本体ベース51の背面に直接引き出された後、本体ベース51の背面から本体ベース51を貫通して本体ベース51の表面に引き出される。
【0031】
図12は、ベースヒンジ53を介して基部33に吊り下げられた本体ベース51のケーブル引き込み途中の斜視図である。本体ベース51の背面には、ケーブル111や電源線113を通すための複数(例えば2つ)の引き込み穴115が穿設される。この引き込み穴115には、グロメット117が嵌着される。グロメット117は、ケーブル111や電源線113と、引き込み穴115との間を水密にシールする。本体ベース51の表面に引き出されたケーブル111のプラグ119(
図10参照)や電源線113は、コネクタ109や給電部に接続される。
【0032】
図13は、ベースヒンジ53を介して基部33に吊り下げられた本体ベース51の背面図である。カメラ装置11は、装置本体35と基部33とに亘って係合機構121が設けられる。係合機構121は、頭部123(
図14参照)を下向きにして基部33から垂下する雄ねじ部材49と、樹脂ばね部材125と、を有する。係合機構121は、ベースヒンジ53を係止したフック部43を支点に装置本体35を基部33に接近する方向に回転させて装置本体35が基部33と平行となった状態で、装置本体35と基部33とを離反不能に係合する。装置本体35には、基部33と平行となった状態で雄ねじ部材49が進入する穴部127が形成される。
【0033】
図14は、雄ねじ部材49の頭部123に係合した樹脂ばね部材125により基部33からの離脱が規制された装置本体35の要部拡大断面図である。穴部127には、進入した頭部123に弾接して雄ねじ部材49の穴部127からの離脱を規制する樹脂ばね部材125が設けられている。樹脂ばね部材125は、穴部127に頭部123が進入すると、係合爪129の傾斜部131が頭部123により押圧されて
図14の左方にスライドされる。この際、ばね部133には弾性復元力が蓄積される。樹脂ばね部材125は、頭部123が傾斜部131を通過すると、ばね部133の弾性復元力により係合爪129が
図14の右方にスライドして頭部123の首側に係合する。これにより、係合機構121は、装置本体35が基部33と平行となった状態で装置本体35を基部33に保持(仮固定)する。
【0034】
基部33に対する装置本体35の仮固定解除時、係合機構121は、押圧操作部135が
図14の左方に押圧される。この押圧操作により、係合爪129と頭部123との係合が解除される。これにより、装置本体35は、再びフック部43にベースヒンジ53が引っ掛けられた吊り下げ状態となる。
【0035】
図15は、ドームカバー組立体19、装置本体35が基部33に本固定されたカメラ装置11の要部側断面図である。カメラ装置11は、ドームカバー組立体19が、カメラ15およびコネクタ109を水密に覆って装置本体35に取り付けられる。ドームカバー組立体19は、最終的には、装置本体35と基部33とに本固定されるが、その前段階として、装置本体35に仮固定される。すなわち、装置本体35の中心には、パンベース79を貫通して突出し、突出先端に本体側仮係止爪137を有する支柱139が立設される。
【0036】
一方、ドームカバー17の中心には、内周側に突出して支柱139の本体側仮係止爪137に仮係止可能なカバー側仮係止爪143を有したドームサポート145が設けられている。ドームサポート145は、ドームカバー17の中央に設けられている円形のセンターカバー31に、サポート固定ねじ147により固定される。
【0037】
図16は、ドームカバー組立体19を内側から見た斜視図である。ドームカバー組立体19は、装置本体35に対して、下方より碗状の内周側を上向きにして組み合わされる(言い換えると、被せられる)。この際、ドームカバー組立体19から起立するドームサポート145と、装置本体35から垂下する支柱139とは、同軸で挿入される。ドームサポート145が支柱139に対して挿入されたドームカバー組立体19は、カバー側仮係止爪143が本体側仮係止爪137に仮係止することにより下方へ離脱不能となる(言い換えると、落下しなくなる)。
【0038】
ドームカバー組立体19は、本固定に際しては、若干量上方に持ち上げることにより、装置本体35に接する。この状態で、ドームカバー組立体19は、環状のフレームハウジング21が、装置本体35、基部33に螺着されて、本固定が可能となる。ドームカバー組立体19は、フレームハウジング21の6つの固定ねじ用穴に挿通されたカバー固定ねじ149のうち、3つが装置本体35に螺合し、他の3つが装置本体35の本体ベース51に穿設された貫通穴151(
図13参照)を貫通して基部33の本固定軸47に螺着する。フレームハウジング21の環状内面には、円環板状のドームパッキン153がドームホルダプレート155により固定される。ドームパッキン153には、本体ベース51との隙間を水密にシールする環状のリップ部157が形成されている。これにより、ドームカバー組立体19と、装置本体35と、基部33とは、水密に組み立てられ、天井面13に一体となって固定される。
【0039】
次に、カメラ装置の取付方法の手順を説明する。
【0040】
実施の形態1に係るカメラ装置の取付方法は、基部取付工程と、本体吊り下げ工程と、ケーブル接続工程と、本体仮固定工程と、ドームカバー組立体仮固定工程と、ドームカバー組立体本固定工程と、を含む。
【0041】
基部取付工程では、フック部43を有する円板状の基部33が、アタッチメント固定ねじ45により天井面13に固定される(
図4参照)。
【0042】
図17は、基部33に吊り下げられた装置本体35の側面図である。本体吊り下げ工程では、カメラ15およびコネクタ109を搭載した装置本体35から、フック部43に係止するベースヒンジ53が引き出される(
図6参照)。引き出されたベースヒンジ53のフック挿入穴57にフック部43を通すことにより、フック部43にベースヒンジ53が係止され、基部33に装置本体35が吊り下げられる(
図8、
図17参照)。
【0043】
ケーブル接続工程では、吊り下げられた装置本体35における本体ベース51の背面から引き込み穴115を通してケーブル111等が表面側へ引き込まれる(
図12参照)。装置本体35の表面に引き出されたケーブル111は、プラグ119がコネクタ109に結合されて装置本体35に電気的に接続される(
図10参照)。
【0044】
図18は、吊り下げられた装置本体35が仮固定されるまでの状態遷移図である。本体仮固定工程では、フック部43を支点に装置本体35が基部33に接近する方向に回転される。この際、ベースヒンジ53は、回転と共に装置本体35に徐々に後退する。すなわち、引っ張りばね73の付勢力により引き込まれる(
図18の中央図参照)。装置本体35が基部33と平行となった状態(
図18の右図の状態)で、装置本体35と基部33とに亘って設けられた係合機構121の頭部123と樹脂ばね部材125とにより、装置本体35と基部33とが離反不能に仮固定される(
図14参照)。
【0045】
ドームカバー組立体仮固定工程では、ドームカバー組立体19のドームサポート145が、装置本体35の支柱139に対して挿入される。ドームカバー組立体19は、カバー側仮係止爪143が本体側仮係止爪137に仮係止することによりぶら下がった状態となって離脱不能となる。すなわち、
図15に示した本体側仮係止爪137とカバー側仮係止爪143とが係止し、ドームカバー組立体19が装置本体35から若干下がった(離間した)位置で支持される。
【0046】
ドームカバー組立体本固定工程では、仮固定状態でぶら下がっているドームカバー組立体19が若干量上方に持ち上げられ、装置本体35に接触した状態にされる。この状態で、ドームカバー組立体19は、フレームハウジング21の固定ねじ用穴に挿通されたカバー固定ねじ149が装置本体35と、基部33に螺着される。これにより、カメラ装置11は、ドームカバー組立体19と、装置本体35と、基部33とが、天井面13に一体となって固定が完了する。
【0047】
次に、実施の形態1に係るカメラ装置11の作用を説明する。
【0048】
カメラ装置11は、フック部43を有し、被固定面(例えば天井面13)に固定される略円板状の基部33と、カメラ部(例えばカメラ15)およびコネクタ109を搭載するとともに、フック部43に係止するベースヒンジ53を進退自在に備え、ベースヒンジ53をフック部43に係止して基部33から吊り下げ可能となる装置本体35と、を有する。カメラ装置11は、装置本体35と基部33とに亘って設けられ、ベースヒンジ53を係止したフック部43を支点に装置本体35を基部33に接近する方向に回転させて装置本体35が基部33と略平行となった状態で装置本体35と基部33とを離反不能に係合する係合機構121と、カメラ15およびコネクタ109を水密に覆って装置本体35に取り付けられるドームカバー組立体19と、を有する。
【0049】
カメラ装置11には、設置時、単独で天井面13に固定される円板状の基部33が備えられる。基部33にはフック部43が形成され、フック部43は、基部33が天井面13と平行に固定された状態で、引っ掛けが可能となる。
【0050】
カメラ15やコネクタ109を搭載した装置本体35は、板状のベースヒンジ53を進退自在に備える。装置本体35は、平面視で基部33とほぼ同じ半径の円形となる。ベースヒンジ53は、装置本体35の半径方向でスライドして装置本体35の内外に進退される。
【0051】
このベースヒンジ53は、基部33のフック部43に引っ掛け(係止)可能となる。ベースヒンジ53をフック部43に係止した装置本体35は、基部33に吊り下げた状態で支持が可能となる。吊り下げられた装置本体35は、カメラ15およびコネクタ109等を搭載する表面と、ケーブル111の引き込み穴115等を有する背面とが同時に露出される。
【0052】
これにより、作業者は、装置本体35を手で持つことなく、両手を使って装置本体35の背面から表面へケーブル111を容易に通すことができ、ケーブル111の接続作業を容易にかつ安全に行うことができる。
【0053】
なお、このケーブル111の引き込み作業は、より詳細には、水密構造となるように行われる。すなわち、ケーブル111は、ゴム製のグロメット117に水密に貫通して通される。ケーブル111の貫通したグロメット117は、装置本体35に設けられる引き込み穴115に、外周が水密に嵌め込まれる。これにより、装置本体35は、ケーブル111と引き込み穴115との間が、グロメット117により水密にシールされる。カメラ装置11は、このようなケーブル111の水密構造を備えていても、装置本体35がぶら下げられた状態で支持されるので、両手を使って装置本体35の表裏からグロメット117の取り付けが行え、装置本体35が支持されず手で持つ場合に比べ、良好な作業性の下で設置作業を安全に行うことができる。
【0054】
ケーブル111が引き込まれた装置本体35は、ベースヒンジ53を係止したフック部43を支点に、基部33に接近する方向に回転される。装置本体35は、回転されて基部33と平行になると、装置本体35と基部33とに亘って設けられた係合機構121により、基部33から離反不能となって基部33に係合する。これにより、装置本体35は、基部33に対して仮固定された状態となる。
【0055】
仮固定された装置本体35は、ケーブル111とコネクタ109との接続や、カメラ15の画角調整が、両手を使って容易に可能となる。
【0056】
ケーブル111の接続、画角の調整等が完了した装置本体35には、ドームカバー組立体19が装着される。ドームカバー組立体19は、複数本のねじにより装置本体35に固定される。複数本のねじのうち、一部のねじは、基部33にも直接螺着される。これにより、ドームカバー組立体19と装置本体35とは、基部33に対して本固定される。
【0057】
また、カメラ装置11において、装置本体35は、略円板状の本体ベース51を有し、本体ベース51には、本体ベース51よりも小径に形成されてカメラ部(例えばカメラ15)が搭載される略円板状のパンベース79が同心円状に取り付けられ、コネクタ109は、パンベース79の半径方向外側で本体ベース51上に配置される。
【0058】
このカメラ装置11では、装置本体35が、円板状の本体ベース51を有する。装置本体35には、この本体ベース51に、カメラ15、コネクタ109、基板等の部品が搭載される。このうち、少なくともカメラ15は、本体ベース51よりも小径に形成されて、本体ベース51に同心円状に取り付けられるパンベース79の上に設置される。
【0059】
カメラ15は、パンベース79に設置されて、パン、ツイスト、チルト、ヨーの各回転が可能となる。
【0060】
一方、コネクタ109は、このパンベース79から外れた外側で、本体ベース51に取り付けられる。すなわち、パンベース79の上に取り付けられるよりも、パンベース79の厚み分低くなって本体ベース51に取り付けられる。
【0061】
これにより、カメラ装置11は、特に高さ寸法を大きく確保して組付けなければならいコネクタ109を低い位置に配置することにより、装置本体35の高さを小さく抑制し、低背化を実現している。
【0062】
また、カメラ装置11において、装置本体35の中心には、パンベース79を貫通して突出し、その突出先端に本体側仮係止爪137を有する支柱139が立設され、ドームカバー組立体19は、略環状に形成されて装置本体35に取り付けられ、透明なドームカバー17の外周を内穴23に水密に固定するフレームハウジング21を有し、ドームカバー17の中心には、内周側に突出して支柱139の本体側仮係止爪137に仮係止可能なカバー側仮係止爪143を有したドームサポート145が設けられている。
【0063】
このカメラ装置11では、装置本体35の中心に、支柱139が立設される。支柱139は、本体ベース51に同心円状に取り付けられたパンベース79の中心を貫通して突出する。この支柱139は、突出先端に本体側仮係止爪137を有する。
【0064】
一方、装置本体35に取り付けられるドームカバー組立体19は、環状に形成されて装置本体35に取り付けられるフレームハウジング21を有する。環状のフレームハウジング21は、内穴23に、透明なドームカバー17の外周を水密に固定する。つまり、ドームカバー組立体19は、ドームカバー17とフレームハウジング21とが一体となって、フレームハウジング21を介して装置本体35にビス等により水密に本固定される。
【0065】
ここで、ドームカバー組立体19は、装置本体35に本固定される前に、装置本体35に仮固定されて支持されるようになされている。すなわち、ドームカバー組立体19は、ドームカバー17の中心に、ドームサポート145が内周側に突出して設けられている。ドームカバー17は、碗状に形成されるので、その内周側の中心に、ドームサポート145が軸状に延出する。このドームサポート145は、カメラ15の画角範囲外となるので透明材料である必要はない。ドームサポート145は、支柱139の本体側仮係止爪137に仮係止可能なカバー側仮係止爪143を有している。
【0066】
ドームカバー組立体19は、天井面13に、基部33を介して仮固定された装置本体35に対して、下方より碗状の内周側を上向きにして、装置本体35に組み合わされる。この際、ドームカバー組立体19から起立するドームサポート145と、装置本体35から垂下する支柱139とは、同軸に挿入される。ドームサポート145が支柱139に対して挿入されたドームカバー組立体19は、手を離すと、自重により若干量軸方向に下降した後、カバー側仮係止爪143が本体側仮係止爪137に仮係止することにより離脱不能となる。つまり、ドームカバー組立体19は、中心のドームサポート145を介して装置本体35との間に、若干量の隙間を隔てて、ぶら下がった状態で仮固定される。仮固定の解除は、例えばドームカバー組立体19を強く引くことで行えるようにできる。
【0067】
ドームカバー組立体19は、本固定に際しては、若干量上方に持ち上げることにより、装置本体35に接触させる。この状態で、ドームカバー組立体19は、環状のフレームハウジング21が、装置本体35、基部33に螺着されて、本固定が可能となる。
【0068】
カメラ装置11は、ドームカバー17に、親水コーティングがなされている。表面が親水コーティングされたドームカバー17は、降雨時における高い視認性と防汚性を有する。ドームカバー組立体19は、仮固定により装置本体35に支持できるので、本固定時に、フレームハウジング21のみを押さえながらの容易な螺着作業が可能となる。これにより、カメラ装置11は、ドームカバー17に手指の汚れを付着させずに、良好な作業性で組付けが行えるとともに、画像視認性の低下を抑制することができる。
【0069】
また、カメラ装置11において、係合機構121は、頭部123を下向きにして基部33から垂下する雄ねじ部材49を有し、装置本体35には、装置本体35が基部33と平行となった状態で雄ねじ部材49が進入する穴部127が形成され、穴部127には、進入した頭部123に弾接して雄ねじ部材49の穴部127からの離脱を規制する樹脂ばね部材125が設けられている。
【0070】
このカメラ装置11では、係合機構121が、基部33に設けられる雄ねじ部材49と、装置本体35の穴部127に設けられる樹脂ばね部材125と、から構成される。雄ねじ部材49は、天井面13に固定された基部33から垂下し、その垂下端に頭部123を有する。
【0071】
装置本体35には、雄ねじ部材49に対応する位置に、穴部127が設けられている。装置本体35は、ベースヒンジ53を係止したフック部43を支点に、基部33に接近する方向に回転させ、基部33と平行になると、雄ねじ部材49の頭部123が穴部127に挿入される。
【0072】
穴部127には樹脂ばね部材125が設けられており、樹脂ばね部材125は挿入された雄ねじ部材49の頭部123に押圧されることにより弾性変形して穴部127から一旦、退避した位置へと移動される。頭部123が樹脂ばね部材125を通過すると、頭部123による押圧が解除された樹脂ばね部材125は、弾性復元力により再び内穴23に突出し、雄ねじ部材49の頭部123よりも上側の首部に係合する。つまり、樹脂ばね部材125は、装置本体35が基部33から離反する方向に回転しようとすると、樹脂ばね部材125が雄ねじ部材49の首部を頭部123に向かって移動し、頭部123に当接することにより、穴部127からの頭部123の離脱を規制する。
【0073】
これにより、装置本体35は、基部33から離反不能となって仮固定された状態となる。仮固定された装置本体35には、ドームカバー組立体19が更に仮固定される。カメラ装置11は、このドームカバー組立体19が、装置本体35を挟持した状態で基部33に螺着されて、装置本体35およびドームカバー組立体19が一体となって基部33に対して本固定される。
【0074】
また、カメラ装置11において、ベースヒンジ53は、その進出方向の先端側に、フック部43に係止するL字曲げ部55が形成されるとともに、L字曲げ部55の基端側には、フック部43が通過可能なフック挿入穴57が形成される。
【0075】
このカメラ装置11では、基部33に形成されるフック部43が、天井面13に固定された円形の基部33の外周からJ字状に垂下して配置される。J字状下端の引っ掛け部分は、基部33の半径方向外側に向けられる。
【0076】
一方、ベースヒンジ53は、装置本体35に設けられる円板状の本体ベース51から半径方向外側に平行に進出する。装置本体35は、基部33への引っ掛け時、背面側を基部側に向けて天井面13にほぼ垂直となる向きでフック部43に近づけられる。
【0077】
ベースヒンジ53は、進出方向の先端側に、フック部43と反対方向に曲げられたL字曲げ部55が形成される。また、ベースヒンジ53には、L字曲げ部55の基端側に、フック部43が通過可能なフック挿入穴57が形成される。
【0078】
従って、ベースヒンジ53は、フック挿入穴57を基部33のフック部43に近づけた後、このフック挿入穴57にフック部43を挿入することにより、L字曲げ部55がフック部43に引っかかった状態となる。これにより、ベースヒンジ53は、フック部43のJ字状の内周面に沿ってL字曲げ部55が移動(摺接)することにより、係止状態を維持したまま、フック部43を支点として基部33に接近する方向への回転が可能となる。
【0079】
また、カメラ装置11において、ベースヒンジ53には、進退方向に長い一対の平行な長穴59が形成され、ベースヒンジ53は、それぞれの長穴59に挿通されて装置本体35に固定される固定ねじ61に、長穴59の長手方向で摺動自在に支持される。
【0080】
このカメラ装置11では、ベースヒンジ53が、進退方向に長い一対の平行な長穴59を有する。ベースヒンジ53は、それぞれの長穴59に挿通されて装置本体35に固定される固定ねじ61により、長穴59の長手方向で摺動自在に支持される。
【0081】
ベースヒンジ53は、進退方向の移動が、一対の長穴59に挿通した固定ねじ61に案内されて支持されるので、ほぼ直線移動が可能となり、基部33に吊り下げた装置本体35が任意方向に振れにくくなる。これにより、装置本体35に対するケーブル111の接続作業性を良好に行うことができる。
【0082】
また、カメラ装置11において、ベースヒンジ53は、装置本体35に亘って設けられた引っ張りばね73により後退方向に付勢される。
【0083】
このカメラ装置11では、ベースヒンジ53が、装置本体35とベースヒンジ53とに亘って設けられた引っ張りばね73により、後退方向に付勢される。ベースヒンジ53は、吊り下げ状態の時以外は、引っ張りばね73により付勢されて本体ベース51の外周よりも内側に収容される。引っ張りばね73は、ベースヒンジ53がフック部43に引っ掛けられると、装置本体35の荷重が加わる。引っ張りばね73は、装置本体35の荷重により引っ張られることで、軸方向に伸びて、ベースヒンジ53の引き出しを許容する。引っ張りばね73は、装置本体35の荷重が作用している間は、復元力が蓄積される。
【0084】
引っ張りばね73は、装置本体35がフック部43を支点に、基部33に接近する方向に回転されると、フック部43に支持される荷重が増加するに伴って、装置本体35から加わる荷重が徐々に減少する。そのため、引っ張りばね73は、蓄積された弾性復元力により、ベースヒンジ53を本体ベース51に後退させる。これにより、ベースヒンジ53は、装置本体35が基部33と平行となった状態では、ほぼ本体ベース51に収容が完了した状態となる。
【0085】
これにより、カメラ装置11は、吊り下げ状態とした装置本体35を、基部33に仮固定する際、ベースヒンジ53を自動で収納することができ、装置本体35をほぼ回転動作のみで仮固定状態まで移行させる円滑な作業が可能になる。
【0086】
また、カメラ装置の取付方法は、フック部43を有する円板状の基部33を天井面13に固定する基部取付工程と、カメラ15およびコネクタ109を搭載した装置本体35からフック部43に係止するベースヒンジ53を引き出してフック部43に係止することにより基部33に装置本体35を吊り下げる本体吊り下げ工程と、コネクタ109にケーブル111を接続するケーブル接続工程と、フック部43を支点に装置本体35を基部33に接近する方向に回転させながらベースヒンジ53を装置本体35に後退させ、装置本体35が基部33と平行となった状態で装置本体35と基部33とに亘って設けられた係合機構121により装置本体35と基部33とを離反不能に仮固定する本体仮固定工程と、を含む。
【0087】
実施の形態1に係るカメラ装置の取付方法では、基部取付工程において、フック部43を有した円板状の基部33が天井面13に固定される。
【0088】
天井面13に固定された基部33のフック部43には、本体吊り下げ工程において、カメラ15およびコネクタ109を搭載した装置本体35が吊り下げられる。装置本体35は、ベースヒンジ53が引き出されて、その先端がフック部43に係止することにより基部33に吊り下げられる。
【0089】
吊り下げられた装置本体35は、ケーブル接続工程において、ケーブル111が引き込まれる。この際、吊り下げられた装置本体35は、カメラ15およびコネクタ109等を搭載する表面と、ケーブル111の引き込み穴115等を有する背面とが同時に露出される。このため、作業者は、装置本体35を手で持つことなく、両手を使って装置本体35の背面から表面へケーブル111を容易に通すことができ、ケーブル111の接続作業を容易にかつ安全に行うことができる。
【0090】
ケーブル111の引き込み、接続が完了した装置本体35は、本体仮固定工程において、フック部43を支点に装置本体35を基部33に接近する方向に回転される。回転された装置本体35は、ベースヒンジ53が装置本体35に後退しながら、最終的に基部33と平行となる。基部33と平行に配置された装置本体35は、装置本体35と基部33とに亘って設けられた係合機構121により基部33から離反不能となって仮固定される。
【0091】
このカメラ装置の取付方法では、天井面13に固定された基部33に対して、装置本体35を吊り下げ、装置本体35の表面と背面とを同時に露出させた状態に保持できる。これにより、装置本体35の背面に開口する引き込み穴115に対する引き込み作業や、引き出したケーブル111を装置本体35の表面に設けられるコネクタ109へ結合する作業を、両手で容易に行うことができる。
【0092】
さらに、カメラ装置の取付方法は、本体仮固定工程において、装置本体35がほぼ運用時の位置に配置されて仮固定されるので、両手を使ってカメラ15の画角調整(パン、ツイスト、チルト、ヨーの各回転)を容易に行うことができる。
【0093】
従って、実施の形態1に係るカメラ装置11およびカメラ装置の取付方法によれば、設置時に、装置本体35を手で支持せずにケーブル111の接続等を可能とすることで、作業性を向上させることができる。
【0094】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本開示は、設置時に、装置本体を作業者の手で支持せずにケーブルの接続等を可能とし、作業性を向上させることができるカメラ装置およびカメラ装置の取付方法として有用である。
【符号の説明】
【0096】
11 カメラ装置
13 天井面
15 カメラ
17 ドームカバー
19 ドームカバー組立体
21 フレームハウジング
23 内穴
33 基部
35 装置本体
43 フック部
49 雄ねじ部材
51 本体ベース
53 ベースヒンジ
55 L字曲げ部
57 フック挿入穴
59 長穴
61 固定ねじ
73 引っ張りばね
79 パンベース
109 コネクタ
111 ケーブル
121 係合機構
123 頭部
125 樹脂ばね部材
127 穴部
137 本体側仮係止爪
139 支柱
143 カバー側仮係止爪
145 ドームサポート