(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047790
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】貨幣処理システム、貨幣処理装置、および動作状態制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20230330BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20230330BHJP
【FI】
G06F21/32
G07D11/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156906
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】谷村 康典
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA09
3E141DA02
(57)【要約】
【課題】認証部が設けられた処理装置の稼働時間帯でなくても認証を行うことを目的とする。
【解決手段】第1の処理装置2は、第1の生体情報38に基づいて操作者の認証を行って認証結果を出力する認証部12と、第2の処理装置3との通信を行う第1の通信部24と、第1の通信部24および認証部12を、動作状態と非動作状態とに切り替えることができる起動制御部35とを備え、第2の処理装置3は、第2の処理装置3を操作しようとする操作者の第2の生体情報38を取得する第2の情報取得部を備え、認証部12は、第2の生体情報38に基づいて操作者の認証を行って認証結果40を出力し、起動制御部35は、少なくとも第2の処理装置3を操作する操作者の認証を行う際には、第1の通信部24および認証部12を動作状態にする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証された操作者の操作に応じて処理を実行する第1の処理装置および第2の処理装置を含む貨幣処理システムであって、前記第1の処理装置または前記第2の処理装置の少なくとも一方は前記処理として貨幣の払出または収納を行う貨幣処理を実行可能であり、
前記第1の処理装置は、
前記第1の処理装置を操作しようとする操作者の第1の生体情報を取得する第1の情報取得部と、
前記第1の生体情報に基づいて操作者の認証を行って認証結果を出力する認証部と、
前記第2の処理装置との通信を行う第1の通信部と、
前記第1の処理装置が実行する所定の前記処理を実行する処理実行部と、
前記第1の通信部および前記認証部を、前記第1の処理装置の非稼働時に動作状態と非動作状態とに切り替えることができる起動制御部とを備え、
前記第2の処理装置は、
前記第2の処理装置を操作しようとする操作者の第2の生体情報を取得する第2の情報取得部と、
前記第1の処理装置との通信を行う第2の通信部とを備え、
前記第2の通信部は、前記第2の情報取得部が取得した前記第2の生体情報を前記第1の処理装置へ送信し、
前記認証部は、前記第1の通信部が受信した前記第2の生体情報に基づいて操作者の認証を行って認証結果を出力し、
前記第1の通信部は、前記認証部が出力した前記第2の生体情報に基づく認証結果を前記第2の処理装置へ送信し、
前記第1の処理装置と前記第2の処理装置とは稼働時間帯が異なり、
前記起動制御部は、少なくとも前記第2の処理装置を操作する操作者の認証を行う際には、前記第1の通信部および前記認証部を前記動作状態にする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記第1の処理装置の非稼働時間帯において、前記第2の処理装置は、操作者の認証を行う際には、前記第1の処理装置に対して認証要求を送信し、
前記起動制御部は、前記認証要求を受信すると前記第1の通信部および前記認証部を前記動作状態にする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記起動制御部は、前記第1の処理装置の非稼働時間帯であっても、前記第1の通信部および前記認証部の前記動作状態を維持する請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記起動制御部は、前記第1の処理装置の非稼働時間帯であっても、前記第2の処理装置の稼働時間帯には、前記第1の通信部および前記認証部の前記動作状態を維持する請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
他の処理装置と通信可能に接続され、操作を許可された操作者が貨幣処理として貨幣の払出および収納を行う貨幣処理装置であって、
操作者の第1の生体情報を取得する情報取得部と、
前記他の処理装置と通信を行う通信部と、
前記第1の生体情報に基づいて操作者の認証を行って認証結果を出力する認証部と、
前記貨幣処理を実行する処理実行部と、
前記通信部および前記認証部を、前記貨幣処理装置の非稼働時に動作状態と非動作状態とに切り替えることができる起動制御部とを備え、
前記他の処理装置とは稼働時間帯が異なり、
前記起動制御部は、前記他の処理装置を操作する操作者の認証を行う際には、前記通信部および前記認証部を前記動作状態にする貨幣処理装置。
【請求項6】
前記貨幣処理装置の非稼働時間帯において、前記他の処理装置は、操作者の認証を行う際には、前記貨幣処理装置に対して認証要求を送信し、
前記起動制御部は、前記認証要求を受信すると前記通信部および前記認証部を前記動作状態にする請求項5に記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
前記起動制御部は、前記貨幣処理装置の非稼働時間帯であっても、前記通信部および前記認証部の前記動作状態を維持する請求項5に記載の貨幣処理装置。
【請求項8】
前記起動制御部は、前記貨幣処理装置の非稼働時間帯であっても、前記他の処理装置の稼働時間帯には、前記通信部および前記認証部の前記動作状態を維持する請求項5に記載の貨幣処理装置。
【請求項9】
認証された操作者の操作に応じて処理を実行する第1の処理装置および第2の処理装置を含む貨幣処理システムにおける、前記第1の処理装置の動作状態を制御する動作状態制御方法であって、前記第1の処理装置または前記第2の処理装置の少なくとも一方は前記処理として貨幣の払出または収納を行う貨幣処理を実行可能であり、前記第1の処理装置と前記第2の処理装置とは稼働時間帯が異なり、認証は前記第1の処理装置にて行われ、
前記第2の処理装置に対する操作が行われたことに応じて、前記第1の処理装置が稼働中であるか否かを判定する工程と、
前記第1の処理装置が稼働中である場合に前記第1の処理装置が前記第2の処理装置の操作を行う操作者の認証を行う工程と、
前記第1の処理装置が稼働中でない場合に前記第2の処理装置から前記第1の処理装置に認証要求を送信する工程と、
前記認証要求を受信すると、前記第1の処理装置が認証可能な状態となって前記第2の処理装置の操作を行う操作者の認証を行う工程とを有する動作状態制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理システム、貨幣処理装置、および、これらが備える認証部の動作状態制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関や各種の流通店舗には、貨幣の払出や収納等を行う貨幣処理システムが設けられる。貨幣処理システムは、貨幣の払出や収納等を行う貨幣処理を実行する貨幣処理装置の他に、貨幣管理装置や物品管理装置等の各種の処理装置が設けられる場合がある。
【0003】
また、貨幣処理装置やその他の処理装置は、操作しようとする操作者の認証を行い、認証された操作者のみが操作できる構成のものがある。
【0004】
例えば、特許文献1に開示された物品管理装置は、利用者(操作者)の認証を行う認証部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、認証部は高い処理能力を要し、各種の処理装置のそれぞれに認証部を設けると、処理装置を過剰に高性能化する必要が生じる。
【0007】
また、貨幣処理装置および各種の処理装置の認証を一括で行う専用装置を別途設けることも考えられるが、システム全体の構成が複雑化する。
【0008】
さらに、認証を行う必要のある処理装置と異なる専用装置等の装置に認証部が設けられる場合、認証を行う必要のある処理装置と認証部を備える装置とは稼働時間帯が異なる場合があり、認証部が設けられた装置が稼働していない場合、操作者の認証を行うことができず、操作者は他の処理装置を利用することができない。
【0009】
本発明は、装置の高性能化を抑制しながら、認証部が設けられた装置の稼働時間帯でなくても、他の処理装置を操作する操作者の認証を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一実施に係る貨幣処理システムは、認証された操作者の操作に応じて処理を実行する第1の処理装置および第2の処理装置を含む貨幣処理システムであって、前記第1の処理装置または前記第2の処理装置の少なくとも一方は前記処理として貨幣の払出または収納を行う貨幣処理を実行可能であり、前記第1の処理装置は、前記第1の処理装置を操作しようとする操作者の第1の生体情報を取得する第1の情報取得部と、前記第1の生体情報に基づいて操作者の認証を行って認証結果を出力する認証部と、前記第2の処理装置との通信を行う第1の通信部と、前記第1の処理装置が実行する所定の前記処理を実行する処理実行部と、前記第1の通信部および前記認証部を、前記第1の処理装置の非稼働時に動作状態と非動作状態とに切り替えることができる起動制御部とを備え、前記第2の処理装置は、前記第2の処理装置を操作しようとする操作者の第2の生体情報を取得する第2の情報取得部と、前記第1の処理装置との通信を行う第2の通信部とを備え、前記第2の通信部は、前記第2の情報取得部が取得した前記第2の生体情報を前記第1の処理装置へ送信し、前記認証部は、前記第1の通信部が受信した前記第2の生体情報に基づいて操作者の認証を行って認証結果を出力し、前記第1の通信部は、前記認証部が出力した前記第2の生体情報に基づく認証結果を前記第2の処理装置へ送信し、前記第1の処理装置と前記第2の処理装置とは稼働時間帯が異なり、前記起動制御部は、少なくとも前記第2の処理装置を操作する操作者の認証を行う際には、前記第1の通信部および前記認証部を前記動作状態にする。
【0011】
また、本発明の一実施に係る貨幣処理装置は、他の処理装置と通信可能に接続され、操作を許可された操作者が貨幣処理として貨幣の払出および収納を行う貨幣処理装置であって、操作者の第1の生体情報を取得する情報取得部と、前記他の処理装置と通信を行う通信部と、前記第1の生体情報に基づいて操作者の認証を行って認証結果を出力する認証部と、前記貨幣処理を実行する処理実行部と、前記通信部および前記認証部を、前記貨幣処理装置の非稼働時に動作状態と非動作状態とに切り替えることができる起動制御部とを備え、前記他の処理装置とは稼働時間帯が異なり、前記起動制御部は、前記他の処理装置を操作する操作者の認証を行う際には、前記通信部および前記認証部を前記動作状態にする。
【0012】
また、本発明の一実施に係る動作状態制御方法は、認証された操作者の操作に応じて処理を実行する第1の処理装置および第2の処理装置を含む貨幣処理システムにおける、前記第1の処理装置の動作状態を制御する動作状態制御方法であって、前記第1の処理装置または前記第2の処理装置の少なくとも一方は前記処理として貨幣の払出または収納を行う貨幣処理を実行可能であり、前記第1の処理装置と前記第2の処理装置とは稼働時間帯が異なり、認証は前記第1の処理装置にて行われ、前記第2の処理装置に対する操作が行われたことに応じて、前記第1の処理装置が稼働中であるか否かを判定する工程と、前記第1の処理装置が稼働中である場合に前記第1の処理装置が前記第2の処理装置の操作を行う操作者の認証を行う工程と、前記第1の処理装置が稼働中でない場合に前記第2の処理装置から前記第1の処理装置に認証要求を送信する工程と、前記認証要求を受信すると、前記第1の処理装置が認証可能な状態となって前記第2の処理装置の操作を行う操作者の認証を行う工程とを有する。
【0013】
第1の処理装置(貨幣処理装置)は、自身を操作する操作者の認証を行うと共に、第2の処理装置(他の処理装置)から生体情報を受信して、第2の処理装置を操作する操作者の認証を行う。第1の処理装置と第2の処理装置とは稼働時間帯が異なるため、第2の処理装置が稼働し、第1の処理装置が稼働していない場合、第2の処理装置を操作する操作者の認証を行うことができない。
【0014】
上記のような構成により、第1の処理装置で一括して認証処理を行うことにより装置の高性能化を抑制しながら、第1の処理装置が稼働していない場合には、第1の処理装置の通信部と認証部とを稼働状態にすることができるため、第1の処理装置の稼働時間帯でなくても、第2の処理装置を操作する操作者の認証を適切に行うことができる。
【0015】
さらに、前記第1の処理装置の非稼働時間帯において、前記第2の処理装置は、操作者の認証を行う際には、前記第1の処理装置に対して認証要求を送信し、前記起動制御部は、前記認証要求を受信すると前記第1の通信部および前記認証部を前記動作状態にしても良い。
【0016】
また、前記貨幣処理装置の非稼働時間帯において、前記他の処理装置は、操作者の認証を行う際には、前記貨幣処理装置に対して認証要求を送信し、前記起動制御部は、前記認証要求を受信すると前記通信部および前記認証部を前記動作状態にしても良い。
【0017】
第1の処理装置(貨幣処理装置)の通信部と認証部とが、第2の処理装置(他の処理装置)から送信される認証要求に基づいて稼働状態とされることにより、必要のない時間帯に通信部と認証部とが稼働状態とされることが抑制されながら、第2の処理装置を操作する操作者の認証を適切に行うことができる。
【0018】
さらに、前記起動制御部は、前記第1の処理装置の非稼働時間帯であっても、前記第1の通信部および前記認証部の前記動作状態を維持しても良い。
【0019】
また、前記起動制御部は、前記貨幣処理装置の非稼働時間帯であっても、前記通信部および前記認証部の前記動作状態を維持しても良い。
【0020】
このような構成により、第2の処理装置(他の処理装置)の認証を行う際には、第1の処理装置(貨幣処理装置)の通信部と認証部とが稼働状態であるため、認証要求等を要することなく、簡易な構成で、第2の処理装置を操作する操作者の認証を適切に行うことができる。
【0021】
さらに、前記起動制御部は、前記第1の処理装置の非稼働時間帯であっても、前記第2の処理装置の稼働時間帯には、前記第1の通信部および前記認証部の前記動作状態を維持しても良い。
【0022】
また、前記起動制御部は、前記貨幣処理装置の非稼働時間帯であっても、前記他の処理装置の稼働時間帯には、前記通信部および前記認証部の前記動作状態を維持しても良い。
【0023】
第1の処理装置(貨幣処理装置)の通信部および認証部は、第2の処理装置(他の処理装置)の稼働時間帯には動作状態を維持されるため、第1の処理装置の通信部および認証部が動作状態なる時間帯を抑制しながら、簡易な構成で、第2の処理装置を操作する操作者の認証を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】貨幣処理システムの概略構成を例示する図である。
【
図2】貨幣処理装置の機能ブロックを例示する図である。
【
図4】物品管理装置の機能ブロックを例示する図である。
【
図7】認証部起動処理の処理工程を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔貨幣処理システム〕
まず、
図1を用いて貨幣処理システム1について説明する。
【0026】
貨幣処理システム1は、少なくとも貨幣の払出や収納を行う貨幣処理(出納処理)を行い、金融機関や流通店舗に配置される。貨幣処理システム1は複数の処理装置から構成され、処理装置は、貨幣処理を行う貨幣処理装置2(出納機 「第1の処理装置」に相当)と、1または複数の他の処理装置3(「第2の処理装置」に相当)とが含まれる。他の処理装置3は、物品管理装置5、貨幣管理装置6、鍵管理装置7等の処理装置うちの任意の処理装置が含まれる。各処理装置は、LAN等の有線または無線の通信回線9を介して、通信可能に接続される。
【0027】
〔貨幣処理装置〕
次に、
図1を参照しながら、
図2,
図3を用いて、貨幣処理システム1に含まれる貨幣処理装置2の構成を説明する。
【0028】
貨幣処理装置2は、制御部10と、撮像装置20(「第1の情報取得部」に相当)と、操作部22と、カードリーダ23と、通信部24(「第1の通信部」に相当)と、記憶部25と、起動制御部35と、紙幣処理部28と、硬貨処理部29と、損券・新券処理部31と、損貨処理部32と、印字部33とを備える。貨幣処理は処理実行部により実行される。処理実行部は、少なくとも紙幣処理部28、硬貨処理部29、損券・新券処理部31、および損貨処理部32のいずれかを含み、これらを制御する制御部10の機能ブロックの少なくとも一部を含んでも良い。貨幣処理装置2は操作者の操作に応じて貨幣処理を実行し、権限が与えられた操作者のみが認証されて貨幣処理装置2の操作を行うことができる。
【0029】
撮像装置20は、貨幣処理装置2の操作を行おうとする操作者を認証するために、操作者の顔を撮影する。操作者の顔が撮影された撮影画像38は、操作者の生体情報(「第1の生体情報」に相当)として、操作者の認証に用いられる。撮影画像38は記憶部25に記憶される。
【0030】
操作部22は、操作者が貨幣処理装置2に対する操作を行うインターフェースである。例えば、操作部22は操作具と表示部であるタッチパネル22Aとを備え、操作者は、タッチパネル22Aに表示された内容を確認しながら、タッチパネル22Aに表示されるソフトウェアスイッチまたは操作具を操作して貨幣処理装置2の操作を行う。
【0031】
カードリーダ23は、操作者のIDカード等から操作者に固有の識別情報39を読み取り、記憶部25に記憶する。記憶部25は、撮影画像38や操作者の識別情報39の他にも、後述する各種の情報を記憶する。
【0032】
通信部24は、通信回線9を介して、他の処理装置3との間でデータの送受信を行う。なお、通信回線9は、金融機関や流通店舗の内部の各種機器や、さらには金融機関や流通店舗の外部とも通信可能に接続されていても良いが、貨幣処理装置2と他の処理装置3とのみが接続されることが、セキュリティ上適切である。
【0033】
紙幣処理部28は、バラ紙幣を入出金すると共に、紙幣を束ねて、束紙幣を出金する。硬貨処理部29は、バラ硬貨を入出金すると共に、硬貨を包装して、包装硬貨を出金する。
【0034】
損券・新券処理部31は、破損した紙幣である損券を受け入れて、損券の画像を撮影し、画像解析結果に基づいて金種を判定する。また、画像解析による金種の判定ができなかった場合、または金種の判定が間違っていた場合、損券・新券処理部31は操作者による入力を受け付け、操作者が金種を入力することもできる。損券・新券処理部31は、保管した損券の金種と数(金額)を記憶部25に記憶する。また、損券・新券処理部31は予め装填された新券を出金する。損貨処理部32は、破損した硬貨である損貨や記念貨を受け入れて、損貨や記念貨の画像を撮影し、画像解析結果に基づいて金種を判定する。また、画像解析による金種の判定ができなかった場合、または金種の判定が間違っていた場合、損貨処理部32は操作者による入力を受け付け、操作者が金種を入力することもできる。損貨処理部32は、保管した損貨の金種と数(金額)を記憶部25に記憶する。
【0035】
印字部33は、必要に応じて処理が行われた内容等を伝票に印字し、伝票を出力する。
【0036】
なお、貨幣処理装置2は、以上のような貨幣処理、または、さらに貨幣処理以外の処理を行う構成であっても良い。この場合、紙幣処理部28、硬貨処理部29、損券・新券処理部31、損貨処理部32、印字部33に加えて、必要な機能ブロックが追加される。また、貨幣処理装置2は、以上のような貨幣処理のうちのいずれかの機能を備えない構成であっても良い。この場合、貨幣処理装置2は、紙幣処理部28、硬貨処理部29、損券・新券処理部31、損貨処理部32、印字部33のうちのいずれかを備えない。
【0037】
制御部10はCPU等のプロセッサを備え、貨幣処理装置2の動作を制御する。具体的には、制御部10は貨幣処理を制御すると共に、貨幣処理に付随する各種の機能を実行する。例えば、制御部10は、入出金制御部11と、認証部12と、許可部13と、ログ収集制御部14とを備える。
【0038】
入出金制御部11は、操作者が操作部22に対して行う操作に応じて、紙幣処理部28、硬貨処理部29、損券・新券処理部31、損貨処理部32、印字部33の動作を制御して貨幣処理の実行を制御する。
【0039】
認証部12は顔認証エンジンであり、カードリーダ23で取得される操作者の識別情報39と、撮像装置20で撮影された撮影画像38と、記憶部25に記憶される認証テーブル41とに基づいて、貨幣処理装置2を操作しようとする操作者の認証を行い、認証結果40を出力して記憶部25に記憶する。
【0040】
認証テーブル41は、
図3に示すように、操作者毎に、識別情報39と、撮影画像38に対応する顔の認証用特徴情報と、許可された(権限が与えられた)処理の内容とが紐づけられたテーブルである。認証用特徴情報は、例えば、目の形状や鼻の形状、口の形状、耳の形状、顔の輪郭等が抽出された画像、または、目の間隔、目と耳の位置関係、口と鼻の位置関係を示す情報等、あるいはこれらのうちの任意の組み合わせである。また、認証用特徴情報は、操作者の顔が撮影された1または複数の撮影画像であっても良い。
【0041】
なお、認証テーブル41は、カードリーダ23で取得される操作者の識別情報39に代わり、操作者を識別できる固有の情報と認証用特徴情報と処理の内容とが紐づけられたテーブルであっても良い。この場合、カードリーダ23に代えてテンキー等が設けられ、操作者によってテンキーから識別情報39または暗証番号等の情報が入力されても良い。また、処理の内容として、処理装置がより詳細な処理毎に操作者の権限を付与する場合、そのような処理が規定されても良い。例えば、貨幣処理装置2が貨幣処理のより詳細な処理毎に権限を付与する場合、認証テーブル41は、処理の内容として、紙幣処理や硬貨処理等の貨幣処理における詳細な処理を規定しても良い。
【0042】
認証部12は、識別情報39に対応する操作者と、撮影画像38から特定される操作者とが一致するか否かを確認する。具体的には、認証部12は、まず、認証テーブル41から識別情報39に対応する操作者を特定する。そして、認証テーブル41から特定された操作者の認証用特徴情報を抽出し、抽出した認証用特徴情報と撮影画像38とを顔認証して、識別情報39に対応する操作者と撮影画像38に対応する操作者とが一致するか否かを確認する。認証部12は、一致する場合には特定された操作者の識別情報39を認証結果40として出力し、一致しない場合には認証結果40として認証エラーを出力する。
【0043】
なお、認証結果40として識別情報39に限定されず、認証された操作者を特定できる任意の情報が出力されても良い。
【0044】
認証用特徴情報は、貨幣処理装置2で登録する構成としても良い。貨幣処理装置2は、金融機関や流通店舗における設置率が高く、通常大型のタッチパネル22Aを備えており、登録に便利である。登録の際には、撮像装置20は登録しようとする操作者の顔を撮影し、認証部12は撮影画像38から認証用特徴情報を抽出して、撮影された操作者の識別情報39および許可された処理と共に認証テーブル41に登録する。
【0045】
許可部13は、認証結果40として出力された識別情報39に対応する処理の内容を認証テーブル41から特定し、特定した処理を実行することを、認証された操作者に許可する。つまり、認証された操作者は、許可部13により許可された処理のみを実行することができる。この際、操作者により許可されていない処理を実行する操作が行われると、許可部13は操作を受け付けないように制御すると共に、操作部22のタッチパネル22Aにエラー表示等、その操作を行うことができない旨を表示させても良い。
【0046】
ログ収集制御部14は、実行された処理の内容をログデータ43として記憶部25に記憶する。ログデータ43は、処理された内容と処理を行った操作者の情報とが紐づけて保存される。ログデータ43は、さらに処理が行われた日時が紐づけられても良い。操作者の情報は、撮影画像38または識別情報39とすることができ、操作者を識別できるその他の情報であっても良い。ログデータ43には、認証エラーや権限外の操作が行われた旨の情報が含まれても良い。ログデータ43の保存は、操作(処理)完了時に行われても良いが、所定の処理が行われた際に行われても良い。例えば、紙幣処理部28に設けられる扉が開閉された際にログデータ43が保存される。
【0047】
このようなログデータ43を検索可能な状態で保存することにより、後日にログデータ43を解析して、セキュリティ管理を行うことができる。また、処理された内容の統計をとることにより、保守や機能の改善に流用することもできる。
【0048】
貨幣処理装置2は、基本的に、非稼働時には全ての機能ブロックが非動作状態となっており、稼働時には、全ての機能ブロックが起動されて動作状態となる。起動制御部35は、通信部24および認証部12を、動作状態と非動作状態とに切り替えることができる構成である。そのため、貨幣処理装置2が非稼働状態であっても、起動制御部35は、認証部12以外の制御部10や処理実行部を起動させることなく、通信部24および認証部12を起動させて動作状態にすることができる。
【0049】
後述のように、貨幣処理装置2の認証部12は、貨幣処理装置2を操作しようとする操作者の認証を行うだけでなく、他の処理装置3を操作しようとする操作者の認証を行う。また、貨幣処理装置2の稼働時間帯は、他の処理装置3の稼働時間帯と異なる場合がある。例えば、他の処理装置3が稼働時間帯であっても、貨幣処理装置2が稼働時間帯でない場合があり、この場合、他の処理装置3を操作しようとする操作者の認証を行うことができず、他の処理装置3を利用することができなくなる。
【0050】
本実施形態によると、貨幣処理装置2は起動制御部35を備えるため、他の処理装置3の認証を行う際には、貨幣処理装置2の非稼働時間帯であっても、貨幣処理装置2は通信部24および認証部12を動作状態にすることができる。
【0051】
具体的には、他の処理装置3が貨幣処理装置2に認証のための通信を行うと、起動制御部35は、少なくとも通信部24および認証部12を動作状態にする。例えば、起動制御部35は、他の処理装置3が撮影画像38および識別情報39を送信したことを受けて通信部24および認証部12を動作状態にしても良いし、あるいは、他の処理装置3が認証要求を送信したことを受けて通信部24および認証部12を動作状態にしても良い。他の処理装置3が認証要求を送信したことを受けて通信部24および認証部12を動作状態にする場合、他の処理装置3は、認証要求と共に撮影画像38および識別情報39を送信しても良いし、認証要求を送信した後、例えば起動制御部35から起動完了信号を受け取った後に、撮影画像38および識別情報39を送信しても良い。
【0052】
このような構成により、操作者が他の処理装置3を操作しようとすると、他の処理装置3が、撮影画像38および識別情報39と認証要求との少なくともいずれかを送信することにより、起動制御部35は通信部24および認証部12を動作状態にすることができる。そして、通信部24は他の処理装置3から撮影画像38および識別情報39を受信し、認証部12は撮影画像38および識別情報39に基づいて認証を行い、通信部24を介して認証結果40を他の処理装置3に送信することができる。
【0053】
その結果、貨幣処理装置2が稼働時間帯でない場合であっても、認証部12は他の処理装置3を操作しようとする操作者の認証を行うことができる。
【0054】
〔その他の処理装置〕
次に、
図1を参照しながら、
図4,
図5を用いて、貨幣処理装置2および他の処理装置3の構成を説明する。なお、他の処理装置3の一例として、
図4を用いて物品管理装置5の構成を説明する。
【0055】
その他の処理装置3の一例である物品管理装置5は、制御部50と、撮像装置60(「第2の情報取得部」に相当)と、操作部62と、カードリーダ63と、通信部64(「第2の通信部」に相当)と、記憶部65と、収納部71とを備える。物品管理装置5は操作者の操作に応じて物品管理処理を実行し、権限が与えられた操作者のみが物品管理装置5の操作を行うことができる。
【0056】
撮像装置60は、物品管理装置5の操作を行おうとする操作者を認証するために、操作者の顔を撮影する。操作者の顔が撮影された撮影画像38は、操作者の生体情報(「第2の生体情報」に相当)として、操作者の認証に用いられる。撮影画像38は記憶部65に記憶される。
【0057】
操作部62は、操作者が物品管理装置5に対して操作を行うインターフェースである。例えば、操作部62は操作具とタッチパネル62Aとを備え、操作者は、タッチパネル62Aに表示された内容を確認しながら、タッチパネル62Aに表示されるソフトウェアスイッチまたは操作具を操作して物品管理装置5の操作を行う。
【0058】
カードリーダ63は、操作者のIDカード等から操作者に固有の識別情報39を読み取り、記憶部65に記憶する。記憶部65は、撮影画像38や操作者の識別情報39の他にも、後述する各種の情報を記憶する。識別情報39は、カードリーダ63から取得する構成に限らず、任意の手段で取得されても良い。例えば、カードリーダ63に代えてテンキー等が設けられ、操作者によってテンキーから識別情報39または暗証番号等の情報が入力されても良い。
【0059】
通信部64は、通信回線9を介して、貨幣処理装置2や他の処理装置3との間でデータの送受信を行う。
【0060】
収納部71は複数の収納庫72を備え、それぞれの収納庫72は重要書類や未発行の通帳等(収納物)を収納して管理する(物品管理処理)。物品管理装置5の操作を行う権限が与えられた操作者は、収納部71に収納された収納物の出し入れを行うことができる。
【0061】
さらに、収納部71は、収納庫72毎に収納物の出し入れを行う操作者を限定する。そのため、それぞれの収納庫72は電子キー73を備える。電子キー73は、認証された操作者に対して収納物の出し入れを行うことが許可された収納庫72のみを解錠し、他の収納庫72の施錠を維持する。これにより、作業者は権限を与えられた収納庫72に収納された収納物のみの出し入れを行うことができる。
【0062】
また、それぞれの収納庫72は物品センサ74を備えても良い。物品センサ74は、収納庫72に収納物が収納されているか否かを検出する。収納部71は、各収納庫72に物品センサ74を備えることにより、収納庫72に収納された収納物の管理を行うことができる。
【0063】
制御部50はCPU等のプロセッサを備え、物品管理装置5の動作を制御する。具体的には、制御部50は物品管理処理を制御すると共に、物品管理処理に付随する各種の機能を実行する。例えば、制御部50は、施解錠制御部51と、認証通信制御部52と、許可部53と、ログ収集制御部54とを備える。
【0064】
施解錠制御部51は、操作者が操作部62に対して行う操作に応じて、収納部71の動作を制御する。例えば、権限のある操作者が物品管理装置5を操作しようとすると、施解錠制御部51は、収納庫72の開閉を許容する。さらに、施解錠制御部51は、認証された操作者が収納物の出し入れを行うことが許可された収納庫72の電子キー73を解錠する。
【0065】
認証通信制御部52は、通信部64を介して、記憶部65に記憶される撮影画像38および識別情報39を貨幣処理装置2に送信し、貨幣処理装置2から認証結果40を受信して記憶部65に保存する。認証通信制御部52は、撮影画像38および識別情報39に加えて、認証要求を貨幣処理装置2に送信しても良い。
【0066】
つまり、物品管理装置5等の他の処理装置3は認証部12を備えず、撮影画像38および識別情報39等の認証に必要な情報を取得し、認証は貨幣処理装置2の認証部12において行われる。そして、物品管理装置5等の他の処理装置3は、貨幣処理装置2の認証部12が出力した認証結果40を受信し、操作者が他の処理装置3を操作することの可否を制御する。
【0067】
物品管理装置5は収納物の管理を行うものであるため、制御部50は高い性能を必要としない。これに対して、認証部12は高い処理能力を必要とするため、物品管理装置5に認証部12を搭載しようとすると制御部50の高性能化を図る必要が生じる。本実施形態によると、物品管理装置5等の他の処理装置3は認証部12を備えず、他の処理装置3を操作しようとする操作者の認証を貨幣処理装置2の認証部12で一括して行うことができるため、他の処理装置3は、性能を過剰に高めることが抑制されながら、適切な認証を行うことができる。
【0068】
許可部53は、認証結果40として出力された識別情報39に対応する処理の内容を利用者登録テーブル45から特定し、特定した処理を実行することを、認証された操作者に許可する。つまり、認証された操作者は、許可部53により許可された処理のみを実行することができる。
【0069】
利用者登録テーブル45は、
図5に示すように、各操作者の識別情報39と、各操作者に許可された処理の内容とが紐づけられたテーブルである。なお、利用者登録テーブル45は、カードリーダ63で取得される操作者の識別情報39に代わり、操作者を識別できる固有の情報と処理の内容とが紐づけられたテーブルであっても良い。また、利用者登録テーブル45は、許可される処理の内容として物品管理装置5に対する処理が含まれる操作者のみに係る情報が規定されていれば良いが、
図3に示す認証テーブル41と同様に、物品管理装置5以外の他の処理装置3に対する処理が許可された操作者の情報が含まれても良い。この場合、利用者登録テーブル45は、認証用特徴情報が含まれる必要はないが、利用者登録テーブル45を認証テーブル41で流用する意味で、認証用特徴情報が含まれても良い。
【0070】
許可部53は、許可されていない操作が行われると、操作を受け付けないように制御すると共に、操作部62のタッチパネル62Aにエラー表示等、その操作を行うことができない旨を表示させても良い。
【0071】
ログ収集制御部54は、処理された内容をログデータ46として記憶部65に記憶する。ログデータ46は、処理された内容と処理を行った操作者の情報とが紐づけて保存される。ログデータ46は、さらに処理が行われた日時が紐づけられても良い。操作者の情報は、撮影画像38または識別情報39とすることができ、操作者を識別できるその他の情報であっても良い。ログデータ46には、貨幣処理装置2の認証部12から取得した認証エラーに対応する認証結果40や権限外の操作が行われた旨の情報が含まれても良い。ログデータ43の保存は、操作(処理)完了時に行われても良いが、所定の処理が行われた際に行われても良い。例えば、収納庫72に設けられる扉が開閉された際にログデータ46が保存される。
【0072】
このようなログデータ46を検索可能な状態で保存することにより、後日にログデータ46を解析して、セキュリティ管理を行うことができる。また、処理された内容の統計をとることにより、保守や機能の改善に流用することもできる。
【0073】
なお、貨幣処理システム1を構成する他の処理装置3は、物品管理装置5、貨幣管理装置6、および鍵管理装置7のうちの少なくとも1つが含まれれば良い。
【0074】
貨幣管理装置6は、束紙幣や包装硬貨を保管して管理する貨幣管理処理を実行する。貨幣管理装置6は、引出し可能な収納庫72にセンサを備え、保管される束紙幣や包装硬貨の残高を検出する。貨幣管理装置6は、束紙幣や包装硬貨が出し入れされた際には、出し入れしたい金種と数量の入力を受け付け、処理後に、入力値と残高の差分を照合する。貨幣管理装置6は、貨幣管理処理を実行する操作者を限定し、物品管理装置5と同様に認証処理を行う。
【0075】
鍵管理装置7は複数の保持部を備え、鍵が連結されるキーホルダを保持部に保持して管理する。鍵管理装置7は、どの鍵が保持されているか、持ち出されているかを管理する。鍵管理装置7は、保持部毎に電磁ロックが設けられると共に、保持部を覆う扉もロックされる。鍵管理装置7は、保持部の電磁ロックおよび扉のロックを解除する権限を特定の操作者に付与し、操作者が保持部の電磁ロックおよび扉のロックを解除する際には、物品管理装置5と同様に認証処理を行う。
【0076】
〔認証処理〕
次に、
図1,
図2,
図4を参照しながら、
図6を用いて認証処理を含む処理装置(貨幣処理装置2および他の処理装置3)の動作フローについて説明する。
【0077】
操作者が貨幣処理装置2を操作しようとすると(
図6のステップ#1)、まず、カードリーダ23は、操作者のIDカードを読み込んで操作者の識別情報39を取得する(
図6のステップ#2)。さらに、貨幣処理装置2の撮像装置20は操作者の顔を撮影して生体情報(撮影画像38)を取得し、貨幣処理装置2の認証部12は生体情報に対応する操作者を特定する(
図6のステップ#3)。
【0078】
次に、貨幣処理装置2の認証部12は、識別情報39に対応する操作者と、生体情報から特定される操作者とが一致するか否かを確認する(
図6のステップ#4)。
【0079】
操作者が一致する場合(
図6のステップ#4 Yes)、貨幣処理装置2の認証部12は、認証テーブル41を参照して、操作者に付与された処理の内容を特定する(
図6のステップ#5)。認証テーブル41にこの操作者に許可された貨幣処理装置2に対する処理の内容が規定されていない場合(
図6のステップ#5 No)、および操作者が一致しない場合(
図6のステップ#4 No)、認証部12は認証エラーを出力し、報知する(
図6のステップ#6)。
【0080】
処理の内容が特定された場合(
図6のステップ#5 Yes)、貨幣処理装置2の許可部13は、特定された処理の内容の範囲で、操作者の操作に応じて貨幣処理の実行を許可し、処理が実行される(
図6のステップ#7)。なお、操作者が許可されていない処理を実行する操作を行った場合には、許可部13は認証エラーを出力しても良い。
【0081】
また、処理が実行された場合、処理された内容と処理を行った操作者の情報とが紐づけられたログデータ43が記憶部25保存されても良い。
【0082】
次に、操作者が他の処理装置3を操作しようとすると(
図6のステップ#8)、まず、他の処理装置3のカードリーダ63は、操作者のIDカードを読み込んで操作者の識別情報39を取得する(
図6のステップ#9)。さらに、他の処理装置3の撮像装置60は操作者の顔を撮影して生体情報(撮影画像38)を取得する(
図6のステップ#10)。
【0083】
そして、他の処理装置3の認証通信制御部52は、通信部64を介して、識別情報39および生体情報を貨幣処理装置2に送信する(
図6のステップ#11)。
【0084】
貨幣処理装置2の通信部24が識別情報39および生体情報を受信すると、貨幣処理装置2の認証部12は、まず、認証テーブル41から識別情報39に対応する操作者を特定する(
図6のステップ#12)。
【0085】
次に、貨幣処理装置2の認証部12は、認証テーブル41から識別情報39に対応する操作者の認証用特徴情報を特定し、認証用特徴情報と生体情報(顔の撮影画像38)とを顔認証して、生体情報に対応する操作者と識別情報39に対応する操作者とが同一人物であるか(一致するか)否かを確認する(
図6のステップ#13)。
【0086】
操作者が一致する場合(
図6のステップ#13 Yes)、貨幣処理装置2の認証部12は、認証テーブル41を参照して、操作者に付与された処理の内容を特定する(
図6のステップ#14)。認証テーブル41にこの操作者が規定されていない場合(
図6のステップ#14 No)、および操作者が一致しない場合(
図6のステップ#13 No)、認証部12は認証エラーを他の処理装置3に送信する(
図6のステップ#15)。他の処理装置3の通信部64が認証エラーを受信すると、他の処理装置3は認証エラーを報知する(
図6のステップ#16)。この報知は、他の処理装置3の操作部62のタッチパネル62Aに表示することにより行うことができる。
【0087】
なお、認証通信制御部52は、識別情報39および生体情報に加えて、認証依頼コマンドを送信し、貨幣処理装置2の認証部12は、認証依頼コマンド、識別情報39および生体情報を受信することにより認証を行っても良い。さらに、認証通信制御部52は、処理を行おうとする他の処理装置3の識別IDを送信する構成としても良く、貨幣処理装置2の認証部12は、識別IDから、自身が認証を行うべき他の処理装置3であるか否かを確認し、自身が認証を行うべき他の処理装置3からの情報に対してのみ認証処理を行う構成であっても良い。
【0088】
処理の内容が特定された場合(
図6のステップ#14 Yes)、貨幣処理装置2の通信部24は、特定された処理の内容を認証結果40として他の処理装置3に送信する(
図6のステップ#17)。この際、認証結果40と共に、撮影画像38および識別情報39を取得した他の処理装置3を識別する処理装置IDが他の処理装置3に送信されても良い。これにより、他の処理装置3は、自身に対する認証結果40であるか否かを確認することができる。この場合、処理装置IDは、撮影画像38および識別情報39と共に他の処理装置3から送信される。
【0089】
他の処理装置3の通信部64が処理の内容を受信すると、他の処理装置3の許可部53は、特定された処理の内容の範囲で、操作者の操作に応じて処理の実行を許可し、処理が実行される(
図6のステップ#18)。なお、許可されていない操作を行った場合には、許可部53は認証エラーを出力しても良い。なお、以上の処理において、認証エラーが出力されると、操作者の操作が拒否される。
【0090】
また、処理が実行された場合、処理された内容と処理を行った操作者の情報とが紐づけられたログデータ46が記憶部65に保存されても良い。
【0091】
〔認証部起動処理〕
次に、
図1,
図2,
図4を参照しながら、
図7を用いて通信部24および認証部12を動作状態にする認証部起動処理の処理フローについて説明する。
【0092】
操作者が他の処理装置3を操作しようとすると、他の処理装置3のカードリーダ63は、操作者のIDカードを読み込んで操作者の識別情報39を取得し、他の処理装置3の撮像装置60は操作者の顔を撮影して生体情報(撮影画像38)を取得する(
図7のステップ#1)。
【0093】
次に、他の処理装置3の認証通信制御部52は、貨幣処理装置2の稼働時間帯であるか否かを確認する(
図7のステップ#2)。例えば、認証通信制御部52は時計を備え、記憶部65に貨幣処理装置2の稼働時間帯が記されたテーブルが記憶され、認証通信制御部52は、テーブルと現在時刻とに基づいて、貨幣処理装置2が稼働時間帯であるか否かを確認することができる。あるいは、貨幣処理装置2は稼働中に起動信号を送信しており、認証通信制御部52は通信部64が起動信号を受信しているか否かで貨幣処理装置2が稼働時間帯であるか否かを確認しても良い。
【0094】
貨幣処理装置2の稼働時間帯である場合(
図7のステップ#2 Yes)、認証通信制御部52は通信部64を介して撮影画像38および識別情報39を貨幣処理装置2に送信する(
図7のステップ#3)。貨幣処理装置2の認証部12は、通信部24を介して撮影画像38および識別情報39を受信し、上述のように撮影画像38および識別情報39に基づいて、他の処理装置3を操作しようとする操作者の認証を行う。そして、認証部12は、通信部24を介して認証結果40を他の処理装置3に送信する。
【0095】
貨幣処理装置2から認証結果40を受信すると、他の処理装置3は、認証結果40に基づいて、操作者に他の処理装置3を操作することを許容し、他の処理装置3は操作に応じた処理を実行する(
図7のステップ#4)。
【0096】
貨幣処理装置2の稼働時間帯でない場合(
図7のステップ#2 No)、他の処理装置3の認証通信制御部52は、貨幣処理装置2に認証要求を送信する(
図7のステップ#5)。
【0097】
認証要求が送信されたことを受けて、貨幣処理装置2の起動制御部35は、通信部24および認証部12を起動して動作状態にし(
図7のステップ#6)、通信部24および認証部12が動作状態になると、起動制御部35は、通信部24を介して起動信号を他の処理装置3に送信する(
図7のステップ#7)。
【0098】
起動信号を受信すると(
図7のステップ#8)、他の処理装置3の認証通信制御部52は、通信部64を介して撮影画像38および識別情報39を貨幣処理装置2に送信する(
図7のステップ#9)。
【0099】
通信部24を介して撮影画像38および識別情報39を受信すると(
図7のステップ#10)、貨幣処理装置2の認証部12は、上述のように撮影画像38および識別情報39に基づいて、他の処理装置3を操作しようとする操作者の認証を行う(
図7のステップ#11)。そして、認証部12は、通信部24を介して認証結果40を他の処理装置3に送信する(
図7のステップ#12)。この際、上述のように、認証部12は他の処理装置3を識別する処理装置IDを認証結果40と共に送信しても良い。
【0100】
貨幣処理装置2から認証結果40を受信すると(
図7のステップ#13)、他の処理装置3は、認証結果40に基づいて、処理の実行可否を判断する。処理の実行が可能であると判断されると、他の処理装置3は、操作者に他の処理装置3を操作することを許容し、操作に応じた処理を実行する。処理の実行が不可能であると判断されると、他の処理装置3は、当該処理を実行させることなく、実行できない旨を報知する。
【0101】
なお、上記処理フローにおいて、認証要求が送信されず、撮影画像38および識別情報39が送信されても良い。この場合、起動制御部35は、撮影画像38および識別情報39が送信されたことを受けて、通信部24および認証部12を起動し、撮影画像38および識別情報39に基づいて認証を行う。
【0102】
〔別実施形態〕
(1)貨幣処理装置2が認証を行い、他の処理装置3が処理の実行を許可する構成に限らず、貨幣処理装置2が認証および処理の実行を許可する構成であっても良い。この場合、他の処理装置3は許可部53を備えず、貨幣処理装置2の許可部13は、他の処理装置3から識別情報39および撮影画像38を受信すると、認証および許可された処理の内容の特定を行い、認証結果40と共に、または認証結果40に代わり、許可された処理の内容を他の処理装置3に送信する。そして、他の処理装置3の制御部50は、操作者が許可された処理の内容に対応する操作を行った場合のみ、その操作に対応する処理を実行することを許可する。
【0103】
これにより、他の処理装置3の構成をより簡素化し、貨幣処理システム1の構成を簡素化しながら、適切に認証し、権限のある操作者の操作による処理を許容することができる。
【0104】
(2)上記各実施形態において、認証部12は貨幣処理装置2のみに設けられる構成に限らず、他の処理装置3のうちのいずれかに設けられる構成であっても良い。また、認証部12は、貨幣処理システム1を構成する処理装置の1つのみに設けられる構成に限らず、貨幣処理装置2および他の処理装置3のうちの1つまたは複数に設けられても良い。つまり、認証部12は、貨幣処理装置2および他の処理装置3のそれぞれに設けられず、貨幣処理装置2および他の処理装置3のうちの一部のものに設けられれば良い。
【0105】
各処理装置の機能に応じて一部の処理装置にのみ認証部12が設けられ、認証部12を備えない処理装置は、認証部12を備える処理装置から認証結果40を取得する構成とすることにより、各処理装置は過剰な機能が付与されることが抑制されながら、適切に認証を行うことが可能となる。
【0106】
(3)上記各実施形態において、生体情報は、操作者の顔の撮影画像38に限らず、操作者の骨格、操作者の身体の全体または体の一部、網膜、または指紋等を撮影した静止画画像、あるいは、操作者の歩容等の動画像であっても良い。さらに、生体情報は撮像装置20に限らず、生体情報に応じた適切な情報取得手段により取得されても良い。
【0107】
このように、生体情報として種々の情報を用いることにより、状況に応じて、より適切な認証を行うことができる。
【0108】
(4)上記各実施形態において、撮像装置20および撮像装置60は、設置された貨幣処理装置2または他の処理装置3の周辺を監視する監視カメラであっても良い。撮像装置20および撮像装置60は、処理が実行されない待機状態において、処理装置の前方または周辺を常時撮影する。あるいは撮像装置20および撮像装置60は人感センサと連動し、処理が実行されない待機状態において、処理装置の周辺に人が近付いた場合のみ、処理装置の前方または周辺を撮影しても良い。撮像装置20および撮像装置60は、カードリーダ23またはカードリーダ63で識別情報39を読み込んだ際等の、操作者が処理装置を操作しようとした際に、操作者の顔を撮影する。撮像装置20および撮像装置60は、顔の撮影を行う際には、広角に処理装置の周辺を撮影する状態から、画角を操作者の顔の周辺に変更しても良い。また、撮像装置20および撮像装置60は、操作者が処理を実行中に、操作者が行う操作を撮影しても良い。さらに、撮像装置20および撮像装置60は、貨幣処理装置2または他の処理装置3に直接設置される構成に限らず、貨幣処理装置2または他の処理装置3の近傍に別途配置されても良い。
【0109】
このように、撮像装置20および撮像装置60として監視カメラを流用することにより、別途撮像装置20および撮像装置60を設ける必要がなくなり、簡易な構成で、適切に認証を行うことができる。撮像装置20および撮像装置60を任意の状態で設けることにより、状況に応じて最適な撮影を行うことができる。
【0110】
(5)上記各実施形態において、認証の際に、識別情報39と撮影画像38とから、識別情報39に対応する操作者と、撮影画像38から特定される操作者の一致が確認される構成に限らず、識別情報39の取得を行わず、撮影画像38から認証テーブル41に登録された操作者を特定する構成であっても良い。
【0111】
このような構成により、より容易に認証を行うことができる。
【0112】
(6)上記各実施形態において、また、他の処理装置3は、金融機関における、窓口受付機や電子記帳台等の顧客が利用する装置が含まれても良い。また、他の処理装置3は、流通店舗における、POSレジスタ、電子マネーチャージ機、精算機等であっても良い。
【0113】
(7)上記各実施形態において、各処理装置に対する、操作者に与えられる操作の権限は、処理装置が行う処理の全てが一括して各操作者に与えられても良いが、処理装置が複数の機能(処理)を実行できる場合、それぞれの機能毎に操作ができる権限が各操作者に与えられても良い。例えば、物品管理装置5の場合、収納庫72毎に収納物の出し入れができる操作者を設定しても良い。
【0114】
これにより、操作者に与えられる権限を、よりきめ細かな処理に対して与えることができる。
【0115】
(8)上記各実施形態において、利用者登録テーブル45は、操作者とその操作者が処理を許可された処理内容とが紐づけられたテーブルでも良いが、操作者は複数のグループに振り分けられ、グループとグループを構成する操作者が処理を許可された処理内容とが紐づけられたテーブルでも良い。
【0116】
(9)上記各実施形態において、貨幣処理装置2および他の処理装置3は上記のような機能ブロックから構成されるものに限定されず、任意の機能ブロックから構成されても良い。例えば、貨幣処理装置2および他の処理装置3の各機能ブロックはさらに細分化されても良く、逆に、各機能ブロックの一部または全部がまとめられても良い。また、貨幣処理装置2および他の処理装置3の機能は、上記機能ブロックに限らず、任意の機能ブロックが実行する方法により実現されても良い。また、貨幣処理装置2および他の処理装置3の機能の一部または全部は、ソフトウエアで構成されても良い。ソフトウエアに係るプログラムは、記憶部25、記憶部65等の任意の記憶装置に記憶され、制御部10または制御部50が備えるCPU等のプロセッサ、あるいは別に設けられたプロセッサにより実行される。
【0117】
(10)上記各実施形態において、起動制御部35が設けられる構成に限らず、通信部24および認証部12が動作状態となる時間帯が制御される構成であっても良い。
【0118】
例えば、貨幣処理装置2の非稼働時間帯であっても、通信部24および認証部12の動作状態が維持される構成であっても良い。あるいは、貨幣処理装置2の非稼働時間帯であっても、他の処理装置3の稼働時間帯である間は、通信部24および認証部12の動作状態が維持される構成であっても良い。
【0119】
これにより、起動制御部35を設けることなく、貨幣処理装置2を高性能化することを抑制しながら、貨幣処理装置2の非稼働時間帯であっても、他の処理装置3を操作しようとする操作者の認証を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、貨幣処理を行う貨幣処理装置、貨幣処理装置を備える貨幣処理システム、および貨幣処理システムが備える他の処理装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0121】
1 貨幣処理システム
2 貨幣処理装置(第1の処理装置)
3 他の処理装置(第2の処理装置)
10 制御部
12 認証部
20 撮像装置(第1の情報取得部)
24 通信部(第1の通信部)
25 記憶部
35 起動制御部
38 撮影画像(生体情報)
40 認証結果
50 制御部
60 撮像装置(第2の情報取得部)
64 通信部(第2の通信部)
65 記憶部