(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047840
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】仮想空間提供装置及び仮想空間提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20230330BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156982
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】521365875
【氏名又は名称】Audio Metaverse株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230122390
【弁護士】
【氏名又は名称】石原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148127
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 耕太
(72)【発明者】
【氏名】井口 尊仁
(72)【発明者】
【氏名】岸本 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】ベントン ニルソン
(72)【発明者】
【氏名】千葉 大志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB26
(57)【要約】
【課題】コンテンツが提供される仮想空間に新たな付加価値を付与する。
【解決手段】仮想空間提供装置1は、仮想空間として設定された仮想区域に関する権利である仮想区域権の権利者を登録する権利者登録部10と、視聴者による仮想区域へのアクセスを管理するアクセス管理部11と、仮想区域権の権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る仮想区域にアクセスした視聴者にコンテンツを提供するコンテンツ提供部12と、を備えている。仮想区域は、現実空間における現実区域と対応関係を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間として設定された仮想区域に関する権利である仮想区域権の権利者を登録する権利者登録部と、
視聴者による前記仮想区域へのアクセスを管理するアクセス管理部と、
前記仮想区域権の前記権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る前記仮想区域にアクセスした前記視聴者にコンテンツを提供するコンテンツ提供部と、を備え、
前記仮想区域は、現実空間における現実区域と対応関係を有する、仮想空間提供装置。
【請求項2】
前記現実空間における前記視聴者の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記アクセス管理部は、前記位置情報取得部により取得された前記位置情報に基づいて前記現実空間において前記視聴者が対象領域内に位置すると判定される場合に、当該視聴者による前記仮想区域へのアクセスを許可する、請求項1に記載の仮想空間提供装置。
【請求項3】
前記権利者登録部は、前記仮想区域権の前記権利者を変更する譲渡処理を実行可能である、請求項1又は2に記載の仮想空間提供装置。
【請求項4】
前記仮想区域権に係る前記仮想区域を管理する管理代行者を登録する管理代行者登録部を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の仮想空間提供装置。
【請求項5】
前記仮想区域は、複数の小仮想区域を含み、
前記アクセス管理部は、前記視聴者による前記仮想区域へのアクセスに際して複数の前記小仮想区域のいずれかを当該視聴者に関連付け、
前記コンテンツ提供部は、当該仮想区域権に係る前記仮想区域にアクセスした前記視聴者に、当該視聴者に関連付けられている前記小仮想区域に応じた音声を含む前記コンテンツを提供する、請求項1~4のいずれか一項に記載の仮想空間提供装置。
【請求項6】
前記仮想区域は、複数の小仮想区域を含み、
前記アクセス管理部は、前記視聴者による前記仮想区域へのアクセスに際して複数の前記小仮想区域のいずれかを当該視聴者に関連付け、
前記コンテンツ提供部は、当該仮想区域権に係る前記仮想区域にアクセスした前記視聴者に関連付けられている前記小仮想区域が予め設定された会話区域である場合に、当該視聴者に、当該小仮想区域に関連付けられている他の前記視聴者の声を認識可能な態様で含む前記コンテンツを提供する、請求項1~4のいずれか一項に記載の仮想空間提供装置。
【請求項7】
前記コンテンツ提供部は、当該仮想区域権に係る前記仮想区域にアクセスした前記視聴者に関連付けられている前記小仮想区域が予め設定された非会話区域である場合に、当該視聴者に、当該小仮想区域に関連付けられている他の前記視聴者の声を認識可能な態様では含まない前記コンテンツを提供する、請求項6に記載の仮想空間提供装置。
【請求項8】
前記コンテンツ提供部は、当該仮想区域権に係る前記仮想区域にアクセスした前記視聴者に関連付けられている前記小仮想区域が前記非会話区域である場合に、当該視聴者に、雑音による前記コンテンツを提供する、請求項7に記載の仮想空間提供装置。
【請求項9】
前記コンテンツ提供部は、前記仮想区域権に係る前記仮想区域にアクセスした前記視聴者に、右耳用の音声及び左耳用の音声を別個に含む前記コンテンツを提供する、請求項1~8のいずれか一項に記載の仮想空間提供装置。
【請求項10】
前記仮想区域権に係る前記仮想区域にアクセスした前記視聴者に購入可能物の購入を薦める購入誘導部を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の仮想空間提供装置。
【請求項11】
前記購入可能物は、当該視聴者に過去に提供された前記コンテンツを含む、請求項10に記載の仮想空間提供装置。
【請求項12】
前記仮想区域権の前記権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る前記仮想区域にアクセスした前記視聴者に前記コンテンツを提供するイベントを企画するイベント企画部を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の仮想空間提供装置。
【請求項13】
前記イベント企画部により過去に企画された前記イベントに参加した前記視聴者の参加人数及び参加時間の少なくともいずれかに関するイベント参加情報を外部端末に送信するイベント参加情報送信部を備える、請求項12に記載の仮想空間提供装置。
【請求項14】
前記視聴者による前記仮想区域へのフォローを管理するフォロー管理部と、
前記仮想区域をフォローする前記視聴者のフォロー人数に関するフォロー人数情報を外部端末に送信するフォロー人数情報送信部と、を備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の仮想空間提供装置。
【請求項15】
前記現実空間における前記現実区域に関する権利である現実区域権の保有者を登録する保有者登録部を備え、
前記権利者登録部は、少なくとも前記保有者登録部により登録された前記現実区域権の前記保有者であることを条件として、当該現実区域権に係る前記現実区域と対応関係を有する前記仮想区域の前記仮想区域権の前記権利者として登録可能である、請求項1~14のいずれか一項に記載の仮想空間提供装置。
【請求項16】
ブロックチェーンを用いて前記仮想区域権に関する情報を処理するブロックチェーン処理部を備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の仮想空間提供装置。
【請求項17】
コンピュータを、
仮想空間として設定された仮想区域に関する権利である仮想区域権の権利者を登録する権利者登録部と、
視聴者による前記仮想区域へのアクセスを管理するアクセス管理部と、
前記仮想区域権の前記権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る前記仮想区域にアクセスした前記視聴者にコンテンツを提供するコンテンツ提供部と、として機能させ、
前記仮想区域は、現実空間における現実区域と対応関係を有する、仮想空間提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、仮想空間提供装置及び仮想空間提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想空間において視聴者にコンテンツを提供する技術が知られている。例えば特許文献1には、仮想空間において視聴者に音声を含むコンテンツを提供する技術が開示されている。特許文献1に開示される技術は、音像の方向を視聴者が知覚可能な空間オーディオに関するものであり、音像の方向が不明である場合に当該音像を視聴者の視野外に位置させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンテンツが提供される仮想空間に特徴を持たせるとともに、当該仮想空間に関する権利を保有する主体を明確にすることによって、新たな付加価値が創造され得ると考えられる。そこで、本開示に係る仮想空間提供装置及び仮想空間提供プログラムは、コンテンツが提供される仮想空間に新たな付加価値を付与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1は、仮想空間として設定された仮想区域Vに関する権利である仮想区域権の権利者を登録する権利者登録部10と、視聴者による仮想区域Vへのアクセスを管理するアクセス管理部11と、仮想区域権の権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツを提供するコンテンツ提供部12と、を備え、仮想区域Vは、現実空間における現実区域と対応関係を有する。
【0006】
本開示の一態様に係る仮想空間提供プログラムPは、コンピュータCを、仮想空間として設定された仮想区域Vに関する権利である仮想区域権の権利者を登録する権利者登録部10と、視聴者による仮想区域Vへのアクセスを管理するアクセス管理部11と、仮想区域権の権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツを提供するコンテンツ提供部12と、として機能させ、仮想区域Vは、現実空間における現実区域と対応関係を有する。
【0007】
これらの仮想空間提供装置1及び仮想空間提供プログラムPの少なくともいずれかによれば、仮想空間として仮想区域Vが設定されるとともに、仮想区域Vごとに仮想区域権の権利者が登録される。そして、仮想区域権の権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツが提供される。また、各仮想区域Vは、現実空間における現実区域と対応関係を有している。つまり、各仮想区域Vは、完全に現実世界から切り離されたものではなく現実空間と関連したものであって、それらの仮想区域権の権利者の意向により当該仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツを提供可能なものである。したがって、これによれば、コンテンツが提供される仮想空間に新たな付加価値を付与することが可能となる。
【0008】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1は、現実空間における視聴者の位置情報を取得する位置情報取得部13を備え、アクセス管理部11は、位置情報取得部13により取得された位置情報に基づいて現実空間において視聴者が対象領域内に位置すると判定される場合に、当該視聴者による仮想区域Vへのアクセスを許可してもよい。各仮想区域Vは、完全に現実世界から切り離されたものではなく現実空間と関連したものである。したがって、これによれば、視聴者は、自分が現実にいる場所に対応した仮想区域Vにアクセス可能となり、その結果、恰も仮想空間と現実空間とが融合されたかのような体験をすることができる。よって、コンテンツが提供される仮想空間に新たな付加価値を付与することが可能となる。
【0009】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1では、権利者登録部10は、仮想区域権の権利者を変更する譲渡処理を実行可能であってもよい。これによれば、仮想区域権に資産的価値を付与することが可能となる。
【0010】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1は、仮想区域権に係る仮想区域Vを管理する管理代行者を登録する管理代行者登録部14を備えてもよい。これによれば、仮想区域権を管理者から管理代行者にライセンスすることが可能となる。
【0011】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1では、仮想区域Vは、複数の小仮想区域VPを含み、アクセス管理部11は、視聴者による仮想区域Vへのアクセスに際して複数の小仮想区域VPのいずれかを当該視聴者に関連付け、コンテンツ提供部12は、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に、当該視聴者に関連付けられている小仮想区域VPに応じた音声を含むコンテンツを提供してもよい。これによれば、小仮想区域VPごとに音声の内容又は音量等を設定可能となるため、視聴者に一層多様な体験をさせることが可能となる。
【0012】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1では、仮想区域Vは、複数の小仮想区域VPを含み、アクセス管理部11は、視聴者による仮想区域Vへのアクセスに際して複数の小仮想区域VPのいずれかを当該視聴者に関連付け、コンテンツ提供部12は、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に関連付けられている小仮想区域VPが予め設定された会話区域である場合に、当該視聴者に、当該小仮想区域VPに関連付けられている他の視聴者の声を認識可能な態様で含むコンテンツを提供してもよい。これによれば、会話区域として設定された小仮想区域VPにおいて、複数の視聴者どうしで会話をすることが可能となる。
【0013】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1では、コンテンツ提供部12は、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に関連付けられている小仮想区域VPが予め設定された非会話区域である場合に、当該視聴者に、当該小仮想区域VPに関連付けられている他の視聴者の声を認識可能な態様では含まないコンテンツを提供してもよい。これによれば、非会話区域として設定された小仮想区域VPにおいて、複数の視聴者どうしで会話をできなくすることが可能となる。したがって、小仮想区域VPを会話区域に設定するか非会話区域に設定するかにより、当該小仮想区域VPにおける複数の視聴者どうしでの会話の可否を指定可能となる。
【0014】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1では、コンテンツ提供部12は、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に関連付けられている小仮想区域VPが非会話区域である場合に、当該視聴者に、雑音によるコンテンツを提供してもよい。これによれば、非会話区域においては複数の視聴者どうしで会話をできなくするという作用及び効果を具体的に実現可能となる。
【0015】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1では、コンテンツ提供部12は、仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に、右耳用の音声及び左耳用の音声を別個に含むコンテンツを提供してもよい。これによれば、例えば任意の位置に音像を定位するといったことができるため、コンテンツが提供される仮想空間に新たな付加価値を付与することが可能となる。
【0016】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1は、仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に購入可能物の購入を薦める購入誘導部15を備えてもよい。これによれば、購入可能物が視聴者により購入されやすくなる。
【0017】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1では、購入可能物は、当該視聴者に過去に提供されたコンテンツを含んでもよい。これによれば、視聴者が過去に視聴したコンテンツが購入可能物とされるため、購入可能物が視聴者により一層購入されやすくなる。
【0018】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1は、仮想区域権の権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツを提供するイベントを企画するイベント企画部16を備えてもよい。これによれば、例えば多数の視聴者によりアクセスされて各視聴者に特別なコンテンツを提供するイベントを開催することが可能となる。
【0019】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1は、イベント企画部16により過去に企画されたイベントに参加した視聴者の参加人数及び参加時間の少なくともいずれかに関するイベント参加情報を外部端末に送信するイベント参加情報送信部17を備えてもよい。これによれば、過去に企画されたイベントの人気の程度を視聴者に知得させることができるため、例えば類似のイベントに参加するか否かの判断材料を視聴者に提供可能となる。
【0020】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1は、視聴者による仮想区域Vへのフォローを管理するフォロー管理部18と、仮想区域Vをフォローする視聴者のフォロー人数に関するフォロー人数情報を外部端末に送信するフォロー人数情報送信部19と、を備えてもよい。これによれば、各仮想区域Vの人気の程度を視聴者に知得させることができるため、当該仮想区域Vにアクセスするか否かの判断材料を視聴者に提供可能となる。
【0021】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1は、現実空間における現実区域に関する権利である現実区域権の保有者を登録する保有者登録部20を備え、権利者登録部10は、少なくとも保有者登録部20により登録された現実区域権の保有者であることを条件として、当該現実区域権に係る現実区域と対応関係を有する仮想区域Vの仮想区域権の権利者として登録可能であってもよい。これによれば、現実区域において現実区域権を保有する保有者の意向に反して、当該保有者以外の者が当該現実区域と対応関係を有する仮想区域Vの仮想区域権の権利者として登録されてしまう事態を、好適に回避することが可能となる。
【0022】
本開示の一態様に係る仮想空間提供装置1は、ブロックチェーンを用いて仮想区域権に関する情報を処理するブロックチェーン処理部21を備えてもよい。これによれば、仮想区域権に関する情報の改竄を抑制し、当該情報を関係者間で好適に共有することが可能となる。
【0023】
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本開示の一例として示したものであって、本開示を実施形態の態様に限定するものではない。
【発明の効果】
【0024】
このように、本開示に係る仮想空間提供装置及び仮想空間提供プログラムは、コンテンツが提供される仮想空間に新たな付加価値を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る仮想空間提供装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、仮想区域が表示される態様の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、仮想空間提供処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、仮想空間提供プログラムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して例示的な実施形態について説明する。なお、各図における同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
[仮想空間提供装置]
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る仮想空間提供装置1の機能的な構成を示すブロック図である。
図2は、仮想区域Vが表示される態様の一例を示す図である。
図1及び
図2に示されるように、仮想空間提供装置1は、仮想空間において視聴者にコンテンツを提供する装置である。仮想空間提供装置1は、例えば視聴者の保有する視聴者端末4を介して、視聴者にコンテンツを提供する。「視聴者」とは、仮想空間提供装置1により提供されるコンテンツを、当該視聴者の視聴者端末4を用いて視聴する者である。
【0028】
「仮想空間」とは、コンピュータ上(あるいは、ネットワーク上)に構築された仮想的な空間であり、ユーザにより各種の情報を授受可能なものである。仮想空間は、例えば三次元又は二次元の空間を構成している。仮想空間においては、空間内における視聴者の仮想的な位置が設定される。そして、視聴者は、当該視聴者の視聴者端末4等を用いて、空間内に定位される音像(音源)の位置に応じた聞こえ方となるように音声を再生可能である。つまり、仮想空間は、いわゆるオーディオメタバースを構成している。ここでは、さらに、仮想空間においては、当該仮想空間の空間内における視聴者の仮想的な位置が反映された画像が生成され、当該画像が視聴者の視聴者端末4等により表示される。仮想空間においては、各視聴者を表すアイコン(例えば、写真、絵等)又はアバター等が表示される。
【0029】
仮想空間提供装置1は、仮想区域Vを仮想空間として設定する。「仮想区域」とは、所定の広さを有する仮想空間である。
図2においては、仮想区域Vは、所定の広さを有する屋外スペースを再現した仮想空間として設定されている。このように、仮想空間提供装置1は、仮想空間により構成された所定の広さの仮想区域Vを生成する。なお、仮想区域Vが複数存在する場合には、各仮想区域Vは、例えば名称、番号、URL、画像等により特定可能となるように互いに区別されてもよい。そして、仮想空間提供装置1は、生成した仮想区域Vにおいて(すなわち、仮想区域Vを舞台又は背景として)、視聴者の視聴者端末4に音声又は画像等を含むコンテンツを提供する。
【0030】
仮想区域Vは、複数の小仮想区域VPを含んでいる。例えば、仮想区域Vは、その一部が一つの小仮想区域VPに設定されている。仮想区域Vにおいて、複数の小仮想区域VPどうしは互いに異なる領域に設定されていてもよく、互いに重複する領域に設定されていてもよい。
図2においては、仮想区域Vは、互いに異なる領域に設定された3つの小仮想区域VP(第1小仮想区域VP1、第2小仮想区域VP2、及び第3小仮想区域VP3)を含んでいる。各小仮想区域VPは、例えば「前・後・右・左」、「上・下」、「前列・中央列・後列」等と区別されてもよく、複数のテーブル又は椅子等の画像により区別されてもよい。
【0031】
仮想区域Vは、現実区域と対応関係を有している。「現実区域」とは、現実空間における領域(区域)であり、例えば土地、建物、部屋、土地の上空等の一定範囲の領域であってもよい。「現実空間」とは、現実世界における空間であり、地球上及び宇宙の少なくともいずれかの空間を含んでもよい。なお、「宇宙」とは、高度100km以上の領域であってもよい。仮想区域Vが現実区域と対応関係を有するとは、すなわち、仮想区域Vが現実空間における何処かの現実区域に対応して設定されていることを意味している。例えば、仮想区域Vは、現実世界における地名、海又は山の名称、建物又は施設の名称、住所、緯度及び経度、標高(高度)、水深等の情報により特定される現実区域に対応して設定されていてもよい。
図2においては、仮想区域Vは、現実世界において実在する特定の屋外スペースと対応関係を有している。仮想区域Vは、対応関係を有する現実区域と比較して外観又は名称等が一致していてもよく、一部が異なっていてもよい。換言すると、仮想区域Vは、対応関係を有する現実区域を正確に再現していてもよく、少なくとも一部の情報が改変されていてもよい。
【0032】
「コンテンツ」とは、視聴者端末4により仮想区域Vにアクセスした視聴者に提供される情報である。例えば、コンテンツは、聴覚的に視聴者に知覚される音声であってもよく、視覚的に視聴者に知覚される動画、静止画(写真、イラスト、模様等)、文字、又は光等であってもよく、触覚的に視聴者に知覚される振動(すなわち、視聴者端末4の振動)等であってもよい。特に、音声としては、楽曲等の音楽、効果音、プレゼンテーションの音声要素、話し声、又は雑音等が例示される。典型的な一例として、コンテンツは、現実世界におけるライブ画像及び音声であってもよい。なお、コンテンツは、視覚的にのみ視聴者に知覚されるものであってもよく、聴覚的にのみ視聴者に知覚されるものであってもよく、触覚的にのみ視聴者に知覚されるものであってもよく、あるいは、これらの複数の組合せとして視聴者に知覚されるものであってもよい。
【0033】
仮想空間提供装置1の物理的な構成について説明する。仮想空間提供装置1は、物理的な構成として、制御演算装置、記憶装置、及び入出力装置を備えるコンピュータC(サーバ)として構成されている。仮想空間提供装置1は、権利者端末2、管理代行者端末3、及び視聴者端末4等の各種端末と有線又は無線により通信可能である。制御演算装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)等として構成されており、演算処理を実行するとともに記憶装置及び入出力装置の制御を行う。記憶装置は、例えば主記憶装置及び補助記憶装置を有している。主記憶装置は、例えばRAM(Random Access Memory)により構成されている。また、補助記憶装置は、例えばROM(Read Only Memory)により構成されている。入出力装置は、例えば外部からデータを入力されて記憶装置に送信する入力装置、及び、例えば制御演算装置により演算されて記憶装置に記憶された演算結果を外部に出力する出力装置を有している。
【0034】
仮想空間提供装置1は、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMに読み込み、RAMに読み込まれたプログラムをCPUにより実行することにより、所定の処理を実行する。ここでは、仮想空間提供装置1は、ROMに記憶されている仮想空間提供プログラムPをRAMに読み込み、RAMに読み込まれた仮想空間提供プログラムPをCPUにより実行することにより、後述する仮想空間提供処理を実行する。なお、仮想空間提供装置1は、物理的に、上述した構成とは異なる構成を備えていてもよい。
【0035】
権利者端末2は、後述する権利者により使用される端末である。権利者端末2は、少なくとも仮想空間提供装置1と通信可能に構成されている。権利者端末2は、例えば、仮想区域Vの設定又は管理に関する情報、仮想区域Vにおいて提供されるコンテンツに関する情報等を、仮想空間提供装置1に送信する。権利者端末2は、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、デスクトップパソコン等であってもよく、ここでは権利者端末2としてスマートフォンが例示されている。
【0036】
管理代行者端末3は、後述する管理代行者端末3により使用される端末である。管理代行者端末3は、少なくとも仮想空間提供装置1と通信可能に構成されている。管理代行者端末3は、例えば、仮想区域Vの設定又は管理に関する情報、仮想区域Vにおいて提供されるコンテンツに関する情報等を、仮想空間提供装置1に送信する。管理代行者端末3は、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、デスクトップパソコン等であってもよく、ここでは管理代行者端末3としてスマートフォンが例示されている。
【0037】
視聴者端末4は、視聴者により使用される端末である。視聴者端末4は、少なくとも仮想空間提供装置1と通信可能に構成されている。視聴者端末4は、例えば、仮想区域Vにおいて提供されるコンテンツに関する情報等を、仮想空間提供装置1から受信する。視聴者端末4は、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、デスクトップパソコン等であってもよく、ここでは視聴者端末4としてスマートフォンが例示されている。
【0038】
なお、視聴者端末4は、AR(Augmented Reality:拡張現実)又はVR(Virtual Reality:仮想現実)のための画像を視聴者に対して表示可能な機器(例えば、ARゴーグル又はVRゴーグル)であってもよい。「AR」とは、現実空間を表す画像(仮想区域Vの画像)に仮想的なオブジェクト(コンテンツの画像)を重畳させた重畳画像を視聴者に視認させることにより、現実を拡張した世界を視聴者に体験させる手段である。また、「VR」とは、仮想空間を表す画像(仮想区域Vの画像)に仮想的なオブジェクト(コンテンツの画像)を重畳させた重畳画像を視聴者に視認させることにより、当該仮想空間が恰も現実空間であるかのように認識される世界を視聴者に体験させる手段である。
【0039】
権利者端末2、管理代行者端末3、及び視聴者端末4の各端末は、物理的な構成として、制御演算装置、記憶装置、及び入出力装置を備えるコンピュータとして構成されている。制御演算装置は、例えばCPU等として構成されており、演算処理を実行するとともに記憶装置及び入出力装置の制御を行う。記憶装置は、例えば主記憶装置及び補助記憶装置を有している。主記憶装置は、例えばRAMにより構成されている。また、補助記憶装置は、例えばROMにより構成されている。入出力装置は、例えば外部からデータを入力されて記憶装置に送信する入力装置、及び、例えば制御演算装置により演算されて記憶装置に記憶された演算結果を外部に出力する出力装置を有している。これらの各端末は、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMに読み込み、RAMに読み込まれたプログラムをCPUにより実行することにより、所定の処理を実行する。なお、これらの各端末は、物理的に、上述した構成とは異なる構成を備えていてもよい。
【0040】
次に、仮想空間提供装置1の機能的な構成について説明する。仮想空間提供装置1は、機能的な構成として、権利者登録部10、アクセス管理部11、コンテンツ提供部12、位置情報取得部13、管理代行者登録部14、購入誘導部15、イベント企画部16、イベント参加情報送信部17、フォロー管理部18、フォロー人数情報送信部19、保有者登録部20、及びブロックチェーン処理部21を備えている。
【0041】
権利者登録部10は、仮想区域権の権利者を登録する。「仮想区域権」とは、仮想空間として設定された仮想区域Vに関する権利である。仮想区域権は、対象となる仮想区域Vの所有権又は管理権(当該仮想区域Vを管理する権利)を含んでいてもよい。ここで、「管理」とは、当該仮想区域Vにおけるイベントの開催、コンテンツの提供、当該仮想区域Vへのアクセスの許可又は禁止、当該仮想区域Vにアクセス可能な時刻等の設定、当該仮想区域Vに関する情報の処理(例えば、記録、閲覧、取得)等を含んでいてもよい。権利者登録部10は、例えば仮想区域権を購入等した者を権利者として登録してもよい。また、権利者登録部10は、仮想区域権の権利者の情報として氏名、住所、連絡先、アカウント情報等を登録してもよい。
【0042】
権利者登録部10は、権利者を登録した仮想区域権に関して、譲渡処理を実行可能である。「譲渡処理」とは、仮想区域権の権利者を変更する処理であり、権利者を変更する際の付随的な処理を伴ってもよい。付随的な処理としては、例えば、仮想区域権の譲渡人から譲受人への金銭の授受に関する処理であってもよい。この場合、授受される金銭の額は、例えば譲渡人たる権利者が決定してもよく、予め設定された条件に従って自動的に決定されてもよい。あるいは、授受される金銭の額は、譲受人となり得る者による入札形式又はオークション形式により決定されてもよい。なお、仮想区域権は、無償で譲渡されてもよい。
【0043】
権利者登録部10は、少なくとも後述する保有者登録部20により登録された現実区域権の保有者であることを条件として、当該現実区域権に係る現実区域と対応関係を有する仮想区域Vの仮想区域権の権利者として登録可能であってもよい。つまり、権利者登録部10は、現実区域において現実区域権を保有する保有者以外の者を、当該現実区域と対応関係を有する仮想区域Vの仮想区域権の権利者として登録しなくてもよい。換言すると、ある仮想区域に関して権利者登録部10により登録される権利者は、対応する現実区域に関して後述する保有者登録部20により登録される保有者と一致させられてもよい。
【0044】
アクセス管理部11は、視聴者による仮想区域Vへのアクセスを管理する。アクセス管理部11は、例えば視聴者の視聴者端末4との間で通信を行い、仮想区域Vにアクセスした視聴者端末4との間で仮想区域Vに関する情報を送受信する。アクセス管理部11は、リンクを介した仮想区域Vへの視聴者端末4のアクセスを管理してもよく、アプリ又はウェブサイトを介した仮想区域Vへの視聴者端末4のアクセスを管理してもよい。
【0045】
アクセス管理部11は、視聴者による仮想区域Vへのアクセスに際して複数の小仮想区域VPのいずれかを当該視聴者に関連付ける。つまり、アクセス管理部11は、仮想区域Vに視聴者がアクセスした場合に、当該視聴者が仮想区域Vにおけるいずれの小仮想区域VPに仮想的に位置しているかを決定する。アクセス管理部11は、いずれかの小仮想区域VPに関連付けられた視聴者を、別の小仮想区域VPに関連付け直す処理を行ってもよい。つまり、視聴者は、仮想区域V内において複数の小仮想区域VP間を移動することができてもよい。この場合、アクセス管理部11は、視聴者により選択された小仮想区域VPに当該視聴者を関連付け直してもよい。具体的には、アクセス管理部11は、視聴者端末4のディスプレイ上において視聴者が自身のアイコン等を動かすことに連動して、アイコン等が動かされた先の小仮想区域VPに当該視聴者を関連付け直してもよい。
【0046】
アクセス管理部11は、後述する位置情報取得部13により取得された現実空間における視聴者の位置情報に基づいて、現実空間において視聴者が対象領域内に位置すると判定された場合に、当該視聴者による仮想区域Vへのアクセスを許可してもよい。「対象領域」とは、仮想区域Vごとに設定された現実空間における領域である。対象領域は、住所、又は、緯度及び経度等によって規定されてもよく、視聴者が二次元コード等の所定の情報を読み取ることができる領域として規定されてもよく、視聴者によって所持されている二次元コード等の所定の情報をカメラ又はセンサ等により検知可能な領域として規定されてもよい。なお、アクセス管理部11は、視聴者が対象領域内に位置したとき(つまり、対象領域内に入ったとき)に、視聴者端末4に対してプッシュ通知又はメール等によるアナウンスを行ってもよい。また、アクセス管理部11は、視聴者が対象領域内に位置すると判定されない場合であっても、他の所定条件が満たされるときには、当該視聴者による仮想区域Vへのアクセスを許可してもよい。ここで、「他の所定条件が満たされる」とは、予め設定された複数の条件のうちのいずれかが満たされることであってもよい。これらの複数の条件は、対象領域に関係のある条件であってもよく、対象領域に関係のない条件であってもよい。
【0047】
コンテンツ提供部12は、仮想区域権の権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツを提供する。換言すると、コンテンツ提供部12は、仮想区域権に基づいて、仮想区域Vにアクセスした視聴者に対してコンテンツを提供する。コンテンツ提供部12は、仮想区域権の権利者により許可されたタイミングで、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツを提供してもよい。あるいは、コンテンツ提供部12は、仮想区域権の権利者により許可されたタイミングよりも後のタイミングで、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツを提供してもよい。視聴者にコンテンツを提供するとは、当該視聴者の視聴者端末4にコンテンツに関する情報を送信することを意味してもよい。なお、コンテンツ提供部12は、常時(すなわち、日時等の制限なく)、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツを提供してもよい。つまり、コンテンツ提供部12は、仮想区域権の権利者により禁止されない限り、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツを提供してもよい。
【0048】
コンテンツ提供部12は、仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に、当該視聴者に関連付けられている小仮想区域VPに応じた音声を含むコンテンツを提供してもよい。小仮想区域VPに応じた音声とは、例えば内容自体が異なる音声を意味してもよく、内容自体は同様であって音量又は音質等が異なる音声を意味してもよい。コンテンツ提供部12は、小仮想区域VPごとに異なる音声を含むコンテンツを提供してもよく、一部の小仮想区域VPどうしでは同一の音声を含むコンテンツを提供してもよい。
【0049】
コンテンツ提供部12は、仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に関連付けられている小仮想区域VPが予め設定された会話区域である場合に、当該視聴者に、当該小仮想区域VPに関連付けられている他の視聴者の声を認識可能な態様で含むコンテンツを提供してもよい。「会話区域」とは、小仮想区域VPのうち、視聴者どうしでの会話が可能な区域として設定された区域である。「他の視聴者の声を認識可能な態様」とは、例えば、他の視聴者の声が十分に大きい音量で出力される態様であってもよく、他の視聴者の声が十分に明瞭に出力される態様であってもよい。例えば、コンテンツ提供部12は、
図2において第1小仮想区域VP1及び第2小仮想区域VP2を会話区域としてもよい。
【0050】
コンテンツ提供部12は、仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に関連付けられている小仮想区域VPが予め設定された非会話区域である場合に、当該視聴者に、当該小仮想区域VPに関連付けられている他の視聴者の声を認識可能な態様では含まないコンテンツを提供してもよい。「非会話区域」とは、小仮想区域VPのうち、視聴者どうしでの会話が不可能な区域として設定された区域である。これにより、例えば、仮想区域Vの前列側に位置する非会話区域たる小仮想区域VPでは大きな音量でライブ演奏等のコンテンツを聞くことが可能であり、仮想区域Vの後列側に位置する会話区域たる小仮想区域VPでは小さな音量でライブ演奏等のコンテンツを聞きつつ他の視聴者と会話をすることが可能となる。例えば、コンテンツ提供部12は、
図2において第3小仮想区域VP3を非会話区域としてもよい。
【0051】
コンテンツ提供部12は、仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に関連付けられている小仮想区域VPが非会話区域である場合に、当該視聴者に、雑音によるコンテンツを提供してもよい。つまり、コンテンツ提供部12は、非会話区域においては、他の視聴者の声を雑音に変換したコンテンツを提供したり、他の視聴者の声がかき消されるように機械的に発生させた雑音を重ねたコンテンツを提供したり、他の視聴者の声を選択的に消去しつつ雑音を発生させたコンテンツを提供してもよい。「雑音」とは、他の視聴者の声の内容又は音楽等を認識することができないような音を意味している。例えば、雑音とは、物音であってもよく、ホワイトノイズとしての音であってもよい。これにより、雑音を好む視聴者の嗜好に合ったコンテンツを提供することが可能となる。
【0052】
コンテンツ提供部12は、仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に、右耳用の音声及び左耳用の音声を別個に含むコンテンツを提供してもよい。より詳細には、コンテンツ提供部12は、バイノーラル方式による音声を含むコンテンツを提供してもよい。例えば、右耳用の音声及び左耳用の音声の大きさを互いに異ならせることにより、これらの音声が左右のイヤホンから再生された場合に視聴者に臨場感のある体験をさせることが可能となる。
【0053】
位置情報取得部13は、現実空間における視聴者の位置情報を取得する。位置情報取得部13は、現実空間における視聴者の位置情報を、例えば視聴者端末4に搭載されたGNSS(Global Navigation Satellite System)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)を用いて取得してもよい。GNSSは、例えばGPS(Global Positioning System)であってもよい。また、位置情報取得部13は、所定位置に表示された二次元コード等を視聴者が視聴者端末4により読み取ることで、視聴者の位置情報を取得してもよい。あるいは、位置情報取得部13は、視聴者によって所持されている二次元コード等の所定の情報を所定位置に設置されたカメラ又はセンサ等により検知することで、視聴者の位置情報を取得してもよい。
【0054】
管理代行者登録部14は、管理代行者を登録する。「管理代行者」とは、仮想区域権に係る仮想区域Vを管理する者である。これにより、例えば権利者は、管理代行者を登録することによって仮想区域Vの仮想区域権を他者(管理代行者)にライセンスすることが可能となる。このようなライセンスは、有償であってもよく、無償であってもよい。
【0055】
購入誘導部15は、仮想区域権に係る仮想区域にアクセスした視聴者に購入可能物の購入を薦める。「購入可能物」とは、視聴者が購入可能な商品又はサービスであり、商品には例えばデータのダウンロードも含まれる。購入誘導部15は、例えば視聴者の視聴者端末4に購入可能物の広告を表示させることにより、当該視聴者に当該購入可能物の購入を薦めてもよい。この場合、購入誘導部15は、視聴者により当該広告が選択(例えば、タッチパネルディスプレイにおいてはタッチ操作等)がされた場合に、当該購入可能物の購入ページに視聴者端末4を遷移させてもよい。
【0056】
購入可能物は、当該視聴者に過去に提供されたコンテンツを含んでもよい。具体的には、購入可能物は、過去のイベント等におけるライブ演奏の音声又は動画であって、当該視聴者が視聴者端末4を用いて過去に視聴したコンテンツを含んでもよい。あるいは、購入可能物は、記録媒体に記憶された音楽等であって、当該視聴者が視聴者端末4を用いて過去に視聴したコンテンツを含んでもよい。また、購入可能物は、当該視聴者が、自身のアカウントにより視聴者端末4以外の端末を用いて視聴したコンテンツを含んでもよい。
【0057】
イベント企画部16は、仮想区域権の権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにおいてイベントを企画する。換言すると、イベント企画部16は、仮想区域権に基づいて、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにおいてイベントを企画する。「イベント」とは、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツを提供する催しである。例えば、イベントは、複数の視聴者(例えば、通常よりも多数の視聴者)の参加を受け付けて、これら複数の視聴者に同時に所定のコンテンツを視聴させる催しであってもよい。イベントは、コンサート、トークイベント、座談会、セミナー、又は交流会等であってもよい。「イベントを企画する」とは、イベントの開催条件を決定することを意味する。具体的に、イベントの開催条件とは、イベントの開催日時、内容、目的、参加対象者、又は参加条件等であってもよい。
【0058】
イベント参加情報送信部17は、イベント企画部16により過去に企画されたイベントに関するイベント参加情報を外部端末に送信する。「イベント参加情報」は、対象とされるイベントに参加した視聴者の参加人数及び参加時間の少なくともいずれかに関する情報を含む。イベント参加情報においては、参加人数及び参加時間は、イベントごとに集計されてもよく、過去の複数のイベント(例えば全てのイベント)の合計として集計されてもよい。また、参加時間は、視聴者ごとに集計されてもよく、複数の視聴者(例えば全ての視聴者)の合計として集計されてもよい。なお、イベント参加情報送信部17がイベント参加情報を送信する外部端末とは、視聴者端末4であってもよく、あるいは権利者端末2又は管理代行者端末3等であってもよい。
【0059】
フォロー管理部18は、視聴者による仮想区域Vへのフォローを管理する。「フォロー」とは、各視聴者が特定の仮想区域Vをリスト(気に入っている仮想区域Vのリスト)に登録することを意味する。具体的には、フォロー管理部18は、各視聴者が特定の仮想区域Vをフォローする旨の情報を視聴者端末4から受信すると、当該視聴者が当該仮想区域Vをフォローしている旨を記録する。各視聴者は、フォローした仮想区域Vを視聴者端末4に一覧表示させたり、フォローした仮想区域Vに関する情報を自動的に受け取ったりすることができてもよい。
【0060】
フォロー人数情報送信部19は、各仮想区域Vについてのフォロー人数情報を外部端末に送信する。「フォロー人数情報」とは、各仮想区域Vをフォローする視聴者の人数(フォロー人数)に関する情報である。各仮想区域Vをフォローする視聴者とは、フォロー管理部18により当該仮想区域Vをフォローしている旨を記録された視聴者であってもよい。フォロー人数は、当該仮想区域Vの注目度の指標となり得る。なお、フォロー人数情報送信部19がフォロー人数情報を送信する外部端末とは、視聴者端末4であってもよく、あるいは権利者端末2又は管理代行者端末3等であってもよい。
【0061】
保有者登録部20は、現実区域権の保有者を登録する。「現実区域権」とは、現実空間における現実区域に関する権利である。例えば、現実区域権とは、現実世界における当該区域の土地の占有、使用、収益等に関する権利であってもよい。ここでは、保有者登録部20は、
図2に示される屋外スペース(現実区域)の土地の所有者を、当該現実区域に係る現実区域権の保有者として登録する。保有者登録部20は、その者が現実区域権の真正な保有者であることを確認した場合に、その者を現実区域権の保有者として登録してもよい。この場合、保有者登録部20は、その者が現実区域権の真正な保有者であることを、登記簿謄本又は賃貸借契約書等の公式な書類により確認してもよい。このように、保有者登録部20は、保有者登録部20により現実区域権の保有者として登録されたことを条件として、権利者登録部10により当該現実区域権に対応する仮想区域権の権利者として当該保有者を登録可能であってもよい。
【0062】
ブロックチェーン処理部21は、ブロックチェーンを用いて仮想区域権に関する情報を処理する。具体的には、ブロックチェーン処理部21は、ブロックチェーンを用いて、仮想区域権の設定、権利者の登録、譲渡処理の実行、管理代行者の登録、イベントの企画、及びこれらに伴う暗号資産の譲渡等の履歴を記録する。なお、ブロックチェーン処理部21は、仮想空間提供装置1により実行される処理の全てをブロックチェーン上で処理してもよく、その一部のみをブロックチェーン上で処理してもよい。
【0063】
ブロックチェーン処理部21は、仮想区域権に関する情報を処理する場合(例えば、仮想区域権を譲渡する場合)に、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)を用いてもよい。NFTとは、ブロックチェーン上で発行された代替不能なデータであり、偽造不能な鑑定書又は所有証明書付きのデジタルデータである。
【0064】
[仮想空間提供処理]
図3は、仮想空間提供処理を示すフローチャートである。
図3に示される仮想空間提供処理は、例えば、仮想空間提供装置1のコンピュータCにより仮想空間提供プログラムPが実行されることにより実現される。
【0065】
ステップS10において、仮想空間提供装置1の保有者登録部20は、現実区域権の保有者と登録する。保有者登録部20は、その者が現実区域権の真正な保有者であることを確認した場合に、その者を現実区域権の保有者として登録してもよい。その後、仮想空間提供処理はステップS12に移行する。
【0066】
ステップS12において、仮想空間提供装置1の権利者登録部10は、仮想区域権の権利者を登録する。すなわち、権利者登録部10は、保有者登録部20により登録された現実区域権の保有者を、当該現実区域権に係る現実区域と対応関係を有する仮想区域Vの仮想区域権の権利者として登録する。その後、仮想空間提供処理はステップS14に移行する。
【0067】
ステップS14において、仮想空間提供装置1のイベント企画部16は、仮想区域権の権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにおいてイベントを企画する。例えば、イベント企画部16は、イベントの開催日時、内容、目的、参加対象者、又は参加条件等を決定する。その後、仮想空間提供処理はステップS16に移行する。
【0068】
ステップS16において、仮想空間提供装置1の位置情報取得部13は、現実空間における視聴者の位置情報を取得する。例えば、位置情報取得部13は、視聴者の位置情報を、視聴者端末4のGNSS、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)を用いて取得してもよい。また、位置情報取得部13は、所定位置に表示された二次元コード等を視聴者が視聴者端末4により読み取ることで、視聴者の位置情報を取得してもよい。あるいは、位置情報取得部13は、視聴者によって所持されている二次元コード等の所定の情報を所定位置に設置されたカメラ又はセンサ等により検知することで、視聴者の位置情報を取得してもよい。その後、仮想空間提供処理はステップS18に移行する。
【0069】
ステップS18において、仮想空間提供装置1のアクセス管理部11は、位置情報取得部13により取得された現実空間における視聴者の位置情報に基づいて、現実空間において視聴者が対象領域内に位置するか否かを判定する。現実空間において視聴者が対象領域内に位置すると判定された場合(ステップS18:YES)、仮想空間提供処理はステップS20に移行する。一方、現実空間において視聴者が対象領域内に位置すると判定されない場合(ステップS18:NO)、今回の仮想空間提供処理は終了する。なお、視聴者が対象領域内に位置すると判定されない場合には、仮想空間提供処理は、視聴者が対象領域内に位置すると判定されるまで待機状態とされてもよい。
【0070】
ステップS20において、仮想空間提供装置1のアクセス管理部11は、視聴者による仮想区域Vへのアクセスを受け付ける。このとき、アクセス管理部11は、複数の小仮想区域VPのいずれかを視聴者に関連付ける。その後、仮想空間提供処理はステップS22に移行する。
【0071】
ステップS22において、仮想空間提供装置1のコンテンツ提供部12は、視聴者が関連付けられている小仮想区域VPが、会話区域であるか否かを判定する。換言すると、コンテンツ提供部12は、視聴者が会話区域に関連付けられているか否かを判定する。視聴者が会話区域に関連付けられていると判定された場合(ステップS22:YES)、仮想空間提供処理はステップS24に移行する。一方、視聴者が会話区域に関連付けられていると判定されない場合(ステップS22:NO)、仮想空間提供処理はステップS26に移行する。なお、視聴者が会話区域に関連付けられていると判定されない場合とは、ここでは視聴者が非会話区域に関連付けられている場合を意味している。
【0072】
ステップS24において、仮想空間提供装置1のコンテンツ提供部12は、当該視聴者に、当該視聴者と同一の小仮想区域VPに関連付けられている他の視聴者の声を認識可能な態様で含むコンテンツを提供する。換言すると、コンテンツ提供部12は、当該視聴者に、会話に適した態様でコンテンツを提供する。その後、仮想空間提供処理はステップS28に移行する。
【0073】
ステップS26において、仮想空間提供装置1のコンテンツ提供部12は、当該視聴者に、当該視聴者と同一の小仮想区域VPに関連付けられている他の視聴者の声を認識可能な態様では含まないコンテンツを提供する。換言すると、コンテンツ提供部12は、当該視聴者に、会話に適さない態様でコンテンツを提供する。その後、仮想空間提供処理はステップS28に移行する。
【0074】
ステップS28において、仮想空間提供装置1の購入誘導部15は、例えば視聴者の視聴者端末4に購入可能物の広告を表示させることにより、当該視聴者に当該購入可能物の購入を薦める。購入可能物は、例えば今回の仮想空間提供処理において当該視聴者に提供されたコンテンツを含んでもよい。以上により、仮想空間提供処理は終了する。
【0075】
[仮想空間提供プログラム]
コンピュータCを仮想空間提供装置1として機能させるための仮想空間提供プログラムPについて説明する。
図4は、仮想空間提供プログラムPを示すブロック図である。仮想空間提供プログラムPは、メインモジュールMM、権利者登録モジュールM10、アクセス管理モジュールM11、コンテンツ提供モジュールM12、位置情報取得モジュールM13、管理代行者登録モジュールM14、購入誘導モジュールM15、イベント企画モジュールM16、イベント参加情報送信モジュールM17、フォロー管理モジュールM18、フォロー人数情報送信モジュールM19、保有者登録モジュールM20、及びブロックチェーン処理モジュールM21を備えている。
【0076】
メインモジュールMMは、コンピュータCを統括的に制御する部分である。権利者登録モジュールM10、アクセス管理モジュールM11、コンテンツ提供モジュールM12、位置情報取得モジュールM13、管理代行者登録モジュールM14、購入誘導モジュールM15、イベント企画モジュールM16、イベント参加情報送信モジュールM17、フォロー管理モジュールM18、フォロー人数情報送信モジュールM19、保有者登録モジュールM20、及びブロックチェーン処理モジュールM21のそれぞれを実行させることにより実現される機能は、権利者登録部10、アクセス管理部11、コンテンツ提供部12、位置情報取得部13、管理代行者登録部14、購入誘導部15、イベント企画部16、イベント参加情報送信部17、フォロー管理部18、フォロー人数情報送信部19、保有者登録部20、及びブロックチェーン処理部21のそれぞれの機能と同様である。なお、仮想空間提供プログラムPは、上述した各モジュールのうち、メインモジュールMM、権利者登録モジュールM10、アクセス管理モジュールM11、及びコンテンツ提供モジュールM12以外の一部のモジュールを備えていなくてもよい。
【0077】
[作用及び効果]
以上説明したように、仮想空間提供装置1は、仮想空間として設定された仮想区域Vに関する権利である仮想区域権の権利者を登録する権利者登録部10と、視聴者による仮想区域Vへのアクセスを管理するアクセス管理部11と、仮想区域権の権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツを提供するコンテンツ提供部12と、を備え、仮想区域Vは、現実空間における現実区域と対応関係を有する。
【0078】
仮想空間提供プログラムPは、コンピュータCを、仮想空間として設定された仮想区域Vに関する権利である仮想区域権の権利者を登録する権利者登録部10と、視聴者による仮想区域Vへのアクセスを管理するアクセス管理部11と、仮想区域権の権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツを提供するコンテンツ提供部12と、として機能させ、仮想区域Vは、現実空間における現実区域と対応関係を有する。
【0079】
これらの仮想空間提供装置1及び仮想空間提供プログラムPの少なくともいずれかによれば、仮想空間として仮想区域Vが設定されるとともに、仮想区域Vごとに仮想区域権の権利者が登録される。そして、仮想区域権の権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツが提供される。また、各仮想区域Vは、現実空間における現実区域と対応関係を有している。つまり、各仮想区域Vは、完全に現実世界から切り離されたものではなく現実空間と関連したものであって、それらの仮想区域権の権利者の意向により当該仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツを提供可能なものである。したがって、これによれば、コンテンツが提供される仮想空間に新たな付加価値を付与することが可能となる。
【0080】
仮想空間提供装置1は、現実空間における視聴者の位置情報を取得する位置情報取得部13を備え、アクセス管理部11は、位置情報取得部13により取得された位置情報に基づいて現実空間において視聴者が対象領域内に位置すると判定される場合に、当該視聴者による仮想区域Vへのアクセスを許可する。各仮想区域Vは、完全に現実世界から切り離されたものではなく現実空間と関連したものである。したがって、これによれば、視聴者は、自分が現実にいる場所に対応した仮想区域Vにアクセス可能となり、その結果、恰も仮想空間と現実空間とが融合されたかのような体験をすることができる。よって、コンテンツが提供される仮想空間に新たな付加価値を付与することが可能となる。
【0081】
仮想空間提供装置1では、権利者登録部10は、仮想区域権の権利者を変更する譲渡処理を実行可能である。これによれば、仮想区域権に資産的価値を付与することが可能となる。
【0082】
仮想空間提供装置1は、仮想区域権に係る仮想区域Vを管理する管理代行者を登録する管理代行者登録部14を備えている。これによれば、仮想区域権を管理者から管理代行者にライセンスすることが可能となる。
【0083】
仮想空間提供装置1では、仮想区域Vは、複数の小仮想区域VPを含み、アクセス管理部11は、視聴者による仮想区域Vへのアクセスに際して複数の小仮想区域VPのいずれかを当該視聴者に関連付け、コンテンツ提供部12は、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に、当該視聴者に関連付けられている小仮想区域VPに応じた音声を含むコンテンツを提供する。これによれば、小仮想区域VPごとに音声の内容又は音量等を設定可能となるため、視聴者に一層多様な体験をさせることが可能となる。
【0084】
仮想空間提供装置1では、仮想区域Vは、複数の小仮想区域VPを含み、アクセス管理部11は、視聴者による仮想区域Vへのアクセスに際して複数の小仮想区域VPのいずれかを当該視聴者に関連付け、コンテンツ提供部12は、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に関連付けられている小仮想区域VPが予め設定された会話区域である場合に、当該視聴者に、当該小仮想区域VPに関連付けられている他の視聴者の声を認識可能な態様で含むコンテンツを提供する。これによれば、会話区域として設定された小仮想区域VPにおいて、複数の視聴者どうしで会話をすることが可能となる。
【0085】
仮想空間提供装置1では、コンテンツ提供部12は、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に関連付けられている小仮想区域VPが予め設定された非会話区域である場合に、当該視聴者に、当該小仮想区域VPに関連付けられている他の視聴者の声を認識可能な態様では含まないコンテンツを提供する。これによれば、非会話区域として設定された小仮想区域VPにおいて、複数の視聴者どうしで会話をできなくすることが可能となる。したがって、小仮想区域VPを会話区域に設定するか非会話区域に設定するかにより、当該小仮想区域VPにおける複数の視聴者どうしでの会話の可否を指定可能となる。
【0086】
仮想空間提供装置1では、コンテンツ提供部12は、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に関連付けられている小仮想区域VPが非会話区域である場合に、当該視聴者に、雑音によるコンテンツを提供する。これによれば、非会話区域においては複数の視聴者どうしで会話をできなくするという作用及び効果を具体的に実現可能となる。
【0087】
仮想空間提供装置1では、コンテンツ提供部12は、仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に、右耳用の音声及び左耳用の音声を別個に含むコンテンツを提供する。これによれば、例えば任意の位置に音像を定位するといったことができるため、コンテンツが提供される仮想空間に新たな付加価値を付与することが可能となる。
【0088】
仮想空間提供装置1は、仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者に購入可能物の購入を薦める購入誘導部15を備えている。これによれば、購入可能物が視聴者により購入されやすくなる。
【0089】
仮想空間提供装置1では、購入可能物は、当該視聴者に過去に提供されたコンテンツを含んでいる。これによれば、視聴者が過去に視聴したコンテンツが購入可能物とされるため、購入可能物が視聴者により一層購入されやすくなる。
【0090】
仮想空間提供装置1は、仮想区域権の権利者により許可されている場合に、当該仮想区域権に係る仮想区域Vにアクセスした視聴者にコンテンツを提供するイベントを企画するイベント企画部16を備えている。これによれば、例えば多数の視聴者によりアクセスされて各視聴者に特別なコンテンツを提供するイベントを開催することが可能となる。
【0091】
仮想空間提供装置1は、イベント企画部16により過去に企画されたイベントに参加した視聴者の参加人数及び参加時間の少なくともいずれかに関するイベント参加情報を外部端末に送信するイベント参加情報送信部17を備えている。これによれば、過去に企画されたイベントの人気の程度を視聴者に知得させることができるため、例えば類似のイベントに参加するか否かの判断材料を視聴者に提供可能となる。
【0092】
仮想空間提供装置1は、視聴者による仮想区域Vへのフォローを管理するフォロー管理部18と、仮想区域Vをフォローする視聴者のフォロー人数に関するフォロー人数情報を外部端末に送信するフォロー人数情報送信部19と、を備えている。これによれば、各仮想区域Vの人気の程度を視聴者に知得させることができるため、当該仮想区域Vにアクセスするか否かの判断材料を視聴者に提供可能となる。
【0093】
仮想空間提供装置1は、現実空間における現実区域に関する権利である現実区域権の保有者を登録する保有者登録部20を備え、権利者登録部10は、少なくとも保有者登録部20により登録された現実区域権の保有者であることを条件として、当該現実区域権に係る現実区域と対応関係を有する仮想区域Vの仮想区域権の権利者として登録可能である。これによれば、現実区域において現実区域権を保有する保有者の意向に反して、当該保有者以外の者が当該現実区域と対応関係を有する仮想区域Vの仮想区域権の権利者として登録されてしまう事態を、好適に回避することが可能となる。
【0094】
仮想空間提供装置1は、ブロックチェーンを用いて仮想区域権に関する情報を処理するブロックチェーン処理部21を備えている。これによれば、仮想区域権に関する情報の改竄を抑制し、当該情報を関係者間で好適に共有することが可能となる。
【0095】
[変形形態]
上述した実施形態は、当業者の知識に基づいて変更又は改良が施された様々な形態により実施可能である。
【0096】
例えば、アクセス管理部11は、現実世界を通じてアクセスした視聴者と、ネットワークのみを通じてアクセスした視聴者と、を互いに区別してアクセスを管理してもよい。これにより、例えば、イベント等への参加人数をアクセス方法に応じて区別してカウントしたり、視聴者を表すアイコン等の外観(色又は形状等)を互いに異ならせたりすることが可能となる。
【0097】
また、仮想空間提供装置1における一のアカウントにおいて、権利者であり且つ視聴者であるユーザが存在してもよい。同様に、仮想空間提供装置1における一のアカウントにおいて、管理代行者であり且つ視聴者であるユーザが存在してもよい。
【0098】
また、仮想区域権の権利者は、仮想空間提供装置1の保有者(すなわち、仮想空間提供装置1を保有する者)又は管理者(すなわち、仮想空間提供装置1の管理を行う者)であってもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 仮想空間提供装置
2 権利者端末
3 管理代行者端末
4 視聴者端末
10 権利者登録部
11 アクセス管理部
12 コンテンツ提供部
13 位置情報取得部
14 管理代行者登録部
15 購入誘導部
16 イベント企画部
17 イベント参加情報送信部
18 フォロー管理部
19 フォロー人数情報送信部
20 保有者登録部
21 ブロックチェーン処理部
C コンピュータ
V 仮想区域
VP 小仮想区域