(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004785
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】真蛸用捕獲具
(51)【国際特許分類】
A01K 69/06 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
A01K69/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021128602
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】521343655
【氏名又は名称】有限会社小見山水産
(72)【発明者】
【氏名】小見山 秀基
【テーマコード(参考)】
2B106
【Fターム(参考)】
2B106AA01
2B106AA09
2B106BA00
2B106NB01
2B106QA04
2B106QC04
(57)【要約】
【課題】真蛸漁に用いる捕獲具の内側の室内面にフジツボ等が付着するのを防止するとともに、底引き網漁の影響を受け難い捕獲具を開発する。
【解決手段】透過光の遮蔽性の高い廃タイヤ等のゴム製品を利用して蛸壺を作成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真蛸を捕獲するための漁具であり、
可視光や紫外線の透過し難い隠蔽性の高いゴム製で、蛸の入り口と部屋の高さ方向が扁平で、入口以外の本体にロープを結ぶための係合具が取り付けられていることを特徴とする真蛸用捕獲具。
【請求項2】
前記真蛸用捕獲具に使用するゴム製素材が、廃タイヤをリユースして作られていることを特徴とする請求項1及び2記載の真蛸用捕獲具。
【請求項3】
前記真蛸用捕獲具に使用するゴム製素材が、シート状にプレス成型されたゴムシートを筒状にし、一方の端をリベットやハトメで折込み、係合具を取り付けるとともに、錘も兼ねた金属製の筒で筒状に保形することを特徴とする真蛸用捕獲具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底で真蛸が身を隠すために入る、壺状や岩穴状に似せた筒状のもので、蛸縄と言われるロープに取り付けて行う漁に用いる真蛸用の捕獲具に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の技術としては、古くは比重の高い素焼きの蛸壺が使用されていて、近年では樹脂製やゴム製のものも使用されているが、それらは比重が軽いために、蛸壺の底や側部の部分に比重の高いモルタルや金属製の錘を取り付けて蛸壺として使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従前の蛸壺や蛸用捕獲具では、水深20m以下の比較的浅場に設置した場合、透過光の影響でフジツボの付着が激しく、真蛸が住処とすることを避けるため捕獲漁が激減してしまう。
【0005】
また、陶器や素焼き製それに樹脂製の物は、潮流により海底の岩などに当たって割れたりして回収が困難となることがあった。
【0006】
更に、実全昭63-127357公報に記載された様な天然ゴム製の蛸壺や捕獲具であっても、該蛸壺を海底に設置した場合、壺の高さが有るために底引き網漁などが上を通過する時にそれらも一緒に曳かれる可能性が高く、その為、取り付けたロープが切れて蛸壺を無くしてしまったり、海底の土砂の中に埋没して真蛸が入らなくなることも多く発生していた。
【0007】
そこで、本発明は、浅場の海底に長期間設置してもフジツボや海藻等の付着が少なく、通常の漁の作業でも破損し難く、他のたて網漁や底引き網漁の影響を受け難い真蛸用の捕獲具の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の第1の構成は、可視光や紫外線の透過し難い隠蔽性の高いゴム製で、蛸の入り口と部屋の高さ方向が扁平で、入口以外の本体にロープを結ぶための係合具を備えている。
【0009】
このことにより本発明の真蛸用捕獲具は、浅場であっても真蛸が入る部屋の中に可視光線や紫外線の侵入が軽減されるため、フジツボや海藻が生え難くなると共に、全体の高さが低く抑えられるために底引き網等の影響を受け難くすることが出来る。
【0010】
次に本発明の第2の特徴としては、真蛸用捕獲具に使用するゴム製素材が、廃タイヤを適当なサイズにシャーリング等を用いてカットして、リベットや保形材を用いることでリユースすることも出来る。
【0011】
さらに、第3の発明として、シート状にプレス成型されたゴムシートを筒状にし、一方の端をリベットやハトメで折込み、係合具を取り付けるとともに、錘も兼ねた金属製の筒で筒状に保形することで真蛸用捕獲具として使用することが可能となる。
【0012】
このシート状にプレス成型されたゴムシートから作る場合でも、真蛸が入る入口を、筒状の片方の口に持って来るか、長手方向の所に持って来るかの選択が可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の真蛸用捕獲具は、可視光線や紫外線が捕獲具内部に入りにくいため、フジツボや海藻で捕獲具内部が汚れたりすることが軽減されるため真蛸の入りが良く、また、捕獲具本体の高さが低く抑えられるために底引き網漁等の漁具による損傷や消失も併せて軽減されるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1から
図3を参照して,本発明の実施の一形態を説明する。
【0015】
図1のこの実施形態は、廃タイヤをシャーリングで4等分にカットして、両端部の路面接地部分の2か所にV字カットを入れ、両端部にリベット5やハトメ6を使って側壁3を作ることにより真蛸捕獲具1が作成出来る。
【0016】
この真蛸用捕獲具1の入口2は扁平な形状で、捕獲室4は3kg位までの真蛸が入るだけの3.7L以上の容積が確保されたものである。
【0017】
この真蛸用捕獲具1の片方の端部にはハトメ6が、そのハトメには係合具7が取り付けられ蛸縄と呼ばれるロープに一定間隔で取り付されるようになっている。
【0018】
図2の真蛸用捕獲具1は、両端がリベット5で固定され、係合具7の取り付けは、
図3の様に、 入口の反対側の海底への接地面に近い部分にネジで取り付けられるようになっている。
【0019】
図4の(C)は、天然ゴムをプレス成型でシート状にしたゴムシート10を、ロール状に巻き、保形用金具8を該ゴムシート10の金具取り付け用溝12に嵌め、端部の重なり代9をゴム系の粘着剤で粘着し、入口と反対側の部分の穴にハトメを取り付けたものである。
【0020】
図5は、ゴムシート10から作成された真蛸用捕獲具1を示したものである。
【0021】
図6は、本発明の真蛸用捕獲具1の出入口2の上の部分に遮光フラップ11を取り付けた態様を示すものである。
【0022】
真蛸は、細くて小さな隙間からでも出入りが出来るため、なるべく遮光をしてフジツボ等の付着とその成長を阻害することで、長期間海底に設置することが可能となるため、産卵の時期を跨いで設置することで産卵床としての役割も果たすことも可能となる。
【0023】
図7は、天然ゴム等を用いて上蓋と受け皿をプレス成型して得られたものを接着し、さらに錘も兼ねたドーナツ型係合具を取り付けたものである。
【0024】
図8は、
図7のE-F断面を表示したもので、錘を兼ねたステンレス製のドーナツ型係合具が受け皿の底の部分にネジ止めされている。
【0025】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)潮流が略一定方向に流れる場所に該真蛸用捕獲具を設置する場合、出入口部分が光の入り難い北側方向に向くように、潮の流れで方向性が発現される舵状の突起が付いている態様を例示する。
(2)真蛸用捕獲具を作成するゴムシートに顔料が練りこまれていること。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】タイヤを2か所カットし、そのカットした内側部分をリベットやハトメで閉じた態様を示す斜視図である。
【
図2】タイヤを2か所カットし、そのカットした内側部分をリベットで閉じた態様を示す斜視図である
【
図4】シート状にプレス成型されたゴムシート(C)をロール状(D)にし、保形用の扁平な金具で固定した態様を示す斜視図である。
【
図5】シート状にプレス成型されたゴムシートをロール状にし、さらに保形用の金具で固定した態様を示す斜視図である。
【
図6】出入口用フラップを取り付けた態様を示す断面図である。
【
図7】ゴムのプレス成型から作成された本発明の真蛸用捕獲具を表した斜視図である。
【
図8】E-Fの断面図で、上蓋、受け皿それにドーナツ型の係合具を表したものである。
【符号の説明】
【0027】
1 真蛸用捕獲具
2 出入口
3 側壁
4 捕獲室
5 リベット
6 ハトメ
7 係合具
8 保形用金具
9 重なり代
10 ゴムシート
11 遮光フラップ
12 金具取り付け用溝
13 上蓋
14 受け皿
15 ドーナツ型係合具