(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047874
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20230330BHJP
H01L 29/47 20060101ALI20230330BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20230330BHJP
H01L 29/423 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
H01L29/80 F
H01L29/80 H
H01L29/48 M
H01L29/48 D
H01L29/44 S
H01L29/58 Z
H01L29/80 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157037
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 幸則
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104BB05
4M104BB09
4M104CC01
4M104CC03
4M104DD08
4M104DD09
4M104DD28
4M104DD34
4M104DD66
4M104DD68
4M104DD79
4M104EE06
4M104EE12
4M104EE17
4M104FF06
4M104FF07
4M104FF17
4M104GG12
4M104HH16
4M104HH20
5F102GB01
5F102GC01
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5F102GK04
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5F102GS04
5F102GT01
5F102GV05
5F102GV06
5F102GV07
5F102GV08
5F102HC01
5F102HC11
5F102HC16
5F102HC19
5F102HC24
(57)【要約】
【課題】ゲート電極の電気抵抗を低減できる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられ、第1開口が形成された絶縁層と、前記絶縁層の上に設けられ、前記第1開口を通じて前記半導体層に接触するゲート電極と、前記半導体層にオーミック接触するソース電極及びドレイン電極と、を有し、前記ゲート電極は、前記絶縁層の上に設けられ、前記基板の上面に垂直な方向からの平面視で前記基板に向かって、前記第1開口の内壁にその内壁が連なるように形成された第2開口を備える結晶性制御膜と、前記結晶性制御膜の上に設けられ、前記第2開口及び前記第1開口の各々の連なる内壁を通じて前記半導体層にショットキー接触する第1金属膜と、前記第1金属膜の上に設けられ、前記第1金属膜よりも電気抵抗が低い第2金属膜と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に設けられた半導体層と、
前記半導体層の上に設けられ、第1開口が形成された絶縁層と、
前記絶縁層の上に設けられ、前記第1開口を通じて前記半導体層に接触するゲート電極と、
前記半導体層にオーミック接触するソース電極及びドレイン電極と、
を有し、
前記ゲート電極は、
前記絶縁層の上に設けられ、前記基板の上面に垂直な方向からの平面視で前記基板に向かって、前記第1開口の内壁にその内壁が連なるように形成された第2開口を備える結晶性制御膜と、
前記結晶性制御膜の上に設けられ、前記第2開口及び前記第1開口の各々の連なる内壁を通じて前記半導体層にショットキー接触する第1金属膜と、
前記第1金属膜の上に設けられ、前記第1金属膜よりも電気抵抗が低い第2金属膜と、
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記半導体層は窒化物半導体層を含み、
前記第1金属膜はNi膜であり、
前記結晶性制御膜の前記第1金属膜との界面における原子配列は、6回対称である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記結晶性制御膜は、ZnO膜、GaN膜、Ti膜、TiN膜、Al膜、AlSiCu膜又はAlN膜を含む請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ゲート電極は、前記基板の上面に垂直な方向からの平面視で、
前記第1開口に重なる第1領域と、
前記第1領域に前記ソース電極側で水平方向へと連なる第2領域と、
前記第1領域に前記ドレイン電極側で水平方向へと連なる第3領域と、
を有し、
前記結晶性制御膜は、少なくとも、前記第2領域の一部と、前記第3領域の一部とに設けられている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2領域における前記第2金属膜の電子線回折パターンの半値幅及び前記第3領域における前記第2金属膜の電子線回折パターンの半値幅は、前記第1領域における前記第2金属膜の電子線回折パターンの半値幅の45倍以下である請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2領域における前記第2金属膜の平均結晶粒径及び前記第3領域における前記第2金属膜の平均結晶粒径は、前記第1領域における前記第2金属膜の平均結晶粒径の60%以上である請求項4又は請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記結晶性制御膜の厚さは、10nm以上30nm以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ゲート電極の前記絶縁層の上面よりも上側の部分は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極が並ぶ方向に垂直、かつ前記基板の上面に平行な方向からの断面視で、前記絶縁層に近づくほど幅が広くなるテーパ形状を有する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記絶縁層は、非晶質層である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
基板と、
前記基板の上に設けられた半導体層と、
前記半導体層の上に設けられ、第1開口が形成された絶縁層と、
前記絶縁層の上に設けられ、前記第1開口を通じて前記半導体層に接触するゲート電極と、
前記半導体層にオーミック接触するソース電極及びドレイン電極と、
を有し、
前記ゲート電極は、
前記絶縁層の上に設けられ、前記第1開口の内壁にその内壁が連なるように形成された第2開口を備えるZnO膜と、
前記ZnO膜の上に設けられ、前記第2開口及び前記第1開口の各々が互いに連なる内壁を通じて前記半導体層にショットキー接触するNi膜と、
前記Ni膜の上に設けられ、前記Ni膜よりも電気抵抗が低いAu膜と、
を有する半導体装置。
【請求項11】
基板の上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層にオーミック接触するソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
前記半導体層の上に絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の上に結晶性制御膜を形成する工程と、
前記結晶性制御膜に第2開口を形成する工程と、
前記絶縁層に前記第2開口の内壁がその内壁に連なるように第1開口を形成する工程と、
前記第2開口及び前記第1開口の開口幅より大きな開口幅を備える第3開口を備えたレジストマスクを形成する工程と、
前記第3開口を通じて、前記第2開口及び前記第1開口の各々が互いに内壁を通じて前記半導体層にショットキー接触する第1金属膜を前記結晶性制御膜の上に形成する工程と、
前記第3開口を通じて、前記第1金属膜よりも電気抵抗が低い第2金属膜を前記第1金属膜の上に形成する工程と、
前記レジストマスクを除去する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記結晶性制御膜を形成する工程において、前記基板の温度は150℃以上500℃以下である請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1金属膜及び前記第2金属膜は、蒸着法により形成される請求項11又は請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1金属膜を形成する工程及び前記第2金属膜を形成する工程における前記基板の温度は80℃以下である請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体層にゲート電極がショットキー接触した半導体装置がある。この半導体装置では、ゲート電極の近傍での電界集中を緩和するために、半導体層の上に絶縁層が形成され、ゲート電極の一部が絶縁層の上に設けられている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-207086号公報
【特許文献2】特開2019-216188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載の半導体装置によれば、所期の目的が達成されるものの、より高い特性を得るためにゲート電極の低抵抗化が望まれる。
【0005】
本開示は、ゲート電極の電気抵抗を低減できる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられ、第1開口が形成された絶縁層と、前記絶縁層の上に設けられ、前記第1開口を通じて前記半導体層に接触するゲート電極と、前記半導体層にオーミック接触するソース電極及びドレイン電極と、を有し、前記ゲート電極は、前記絶縁層の上に設けられ、前記基板の上面に垂直な方向からの平面視で前記基板に向かって、前記第1開口の内壁にその内壁が連なるように形成された第2開口を備える結晶性制御膜と、前記結晶性制御膜の上に設けられ、前記第2開口及び前記第1開口の各々の連なる内壁を通じて前記半導体層にショットキー接触する第1金属膜と、前記第1金属膜の上に設けられ、前記第1金属膜よりも電気抵抗が低い第2金属膜と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ゲート電極の電気抵抗を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図2】
図2は、ゲート電極を拡大して示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その8)である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その9)である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その10)である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その11)である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その12)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられ、第1開口が形成された絶縁層と、前記絶縁層の上に設けられ、前記第1開口を通じて前記半導体層に接触するゲート電極と、前記半導体層にオーミック接触するソース電極及びドレイン電極と、を有し、前記ゲート電極は、前記絶縁層の上に設けられ、前記基板の上面に垂直な方向からの平面視で前記基板に向かって、前記第1開口の内壁にその内壁が連なるように形成された第2開口を備える結晶性制御膜と、前記結晶性制御膜の上に設けられ、前記第2開口及び前記第1開口の各々の連なる内壁を通じて前記半導体層にショットキー接触する第1金属膜と、前記第1金属膜の上に設けられ、前記第1金属膜よりも電気抵抗が低い第2金属膜と、を有する。
【0011】
結晶性制御膜の上に第1金属膜が形成される。このため、第1金属膜が絶縁層に接するように絶縁層の上に形成される場合と比較して、第1金属膜の結晶性が向上する。第2金属膜の結晶性は第1金属膜の結晶性の影響を受けるため、第2金属膜の結晶性も向上する。従って、ゲート電極の電気抵抗を低減できる。ゲート電極の低減により、ゲート電極に入力される信号の損失を低減し、高周波利得の劣化を低減できる。このため、半導体装置の特性及び信頼性を向上できる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記半導体層は窒化物半導体層を含み、前記第1金属膜はNi膜であり、前記結晶性制御膜の前記第1金属膜との界面における原子配列は、6回対称であってもよい。この場合、Ni膜の結晶性を向上させやすい。
【0013】
〔3〕 〔1〕又は〔2〕において、前記結晶性制御膜は、ZnO膜、GaN膜、Ti膜、TiN膜、Al膜、AlSiCu膜又はAlN膜を含んでもよい。この場合、Ni膜の結晶性を向上させやすい。
【0014】
〔4〕 〔1〕~〔3〕において、前記ゲート電極は、前記基板の上面に垂直な方向からの平面視で、前記第1開口に重なる第1領域と、前記第1領域に前記ソース電極側で水平方向へと連なる第2領域と、前記第1領域に前記ドレイン電極側で水平方向へと連なる第3領域と、を有し、前記結晶性制御膜は、少なくとも、前記第2領域の一部と、前記第3領域の一部とに設けられていてもよい。この場合、ゲート電極の近傍における電界集中を緩和しやすい。また、第2領域及び第3領域における第1金属膜及び第2金属膜の結晶性の低下を抑制できる。
【0015】
〔5〕 〔4〕において、前記第2領域における前記第2金属膜の電子線回折パターンの半値幅及び前記第3領域における前記第2金属膜の電子線回折パターンの半値幅は、前記第1領域における前記第2金属膜の電子線回折パターンの半値幅の45倍以下であってもよい。この場合、ゲート電極の電気抵抗を特に低減しやすい。
【0016】
〔6〕 〔4〕又は〔5〕において、前記第2領域における前記第2金属膜の平均結晶粒径及び前記第3領域における前記第2金属膜の平均結晶粒径は、前記第1領域における前記第2金属膜の平均結晶粒径の60%以上であってもよい。この場合、ゲート電極の電気抵抗を特に低減しやすい。
【0017】
〔7〕 〔1〕~〔6〕において、前記結晶性制御膜の厚さは、10nm以上30nm以下であってもよい。この場合、結晶性制御膜の形成時のエッチングにおいてサイドエッチングを抑制しながら、第1金属膜の結晶性が向上しやすい。
【0018】
〔8〕 〔1〕~〔7〕において、前記ゲート電極の前記絶縁層の上面よりも上側の部分は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極が並ぶ方向に垂直、かつ前記基板の上面に平行な方向からの断面視で、前記絶縁層に近づくほど幅が広くなるテーパ形状を有してもよい。レジストマスクを用いた堆積法によりゲート電極を形成した場合、ゲート電極はこのような形状になりやすい。
【0019】
〔9〕 〔1〕~〔8〕において、前記絶縁層は、非晶質層であってもよい。この場合、ゲート電極と半導体層との間のリークを抑制しやすい。
【0020】
〔10〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられ、第1開口が形成された絶縁層と、前記絶縁層の上に設けられ、前記第1開口を通じて前記半導体層に接触するゲート電極と、前記半導体層にオーミック接触するソース電極及びドレイン電極と、を有し、前記ゲート電極は、前記絶縁層の上に設けられ、前記第1開口の内壁にその内壁が連なるように形成された第2開口を備えるZnO膜と、前記ZnO膜の上に設けられ、前記第2開口及び前記第1開口の各々が互いに連なる内壁を通じて前記半導体層にショットキー接触するNi膜と、前記Ni膜の上に設けられ、前記Ni膜よりも電気抵抗が低いAu膜と、を有する。
【0021】
ZnO膜の上にNi膜が形成されるため、Ni膜が絶縁層に接するように絶縁層の上に形成される場合と比較して、Ni膜の結晶性が向上する。Au膜の結晶性はNi膜の結晶性の影響を受けるため、Au膜の結晶性も向上する。従って、ゲート電極の電気抵抗を低減できる。ゲート電極の低減により、ゲート電極に入力される信号の損失を低減し、高周波利得の劣化を低減できる。このため、半導体装置の特性及び信頼性を向上できる。
【0022】
〔11〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置の製造方法は、基板の上に半導体層を形成する工程と、前記半導体層にオーミック接触するソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、前記半導体層の上に絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層の上に結晶性制御膜を形成する工程と、前記結晶性制御膜に第2開口を形成する工程と、前記絶縁層に前記第2開口の内壁がその内壁に連なるように第1開口を形成する工程と、前記第2開口及び前記第1開口の開口幅より大きな開口幅を備える第3開口を備えたレジストマスクを形成する工程と、前記第3開口を通じて、前記第2開口及び前記第1開口の各々が互いに内壁を通じて前記半導体層にショットキー接触する第1金属膜を前記結晶性制御膜の上に形成する工程と、前記第3開口を通じて、前記第1金属膜よりも電気抵抗が低い第2金属膜を前記第1金属膜の上に形成する工程と、前記レジストマスクを除去する工程と、を有する。
【0023】
結晶性制御膜の上に第1金属膜が形成されるため、第1金属膜が絶縁層に接するように絶縁層の上に形成される場合と比較して、第1金属膜の結晶性が向上する。第2金属膜の結晶性は第1金属膜の結晶性の影響を受けるため、第2金属膜の結晶性も向上する。従って、ゲート電極の電気抵抗を低減できる。ゲート電極の低減により、ゲート電極に入力される信号の損失を低減し、高周波利得の劣化を低減できる。このため、半導体装置の特性及び信頼性を向上できる。
【0024】
〔12〕 〔11〕において、前記結晶性制御膜を形成する工程において、前記基板の温度は150℃以上500℃以下であってもよい。
【0025】
〔13〕 〔11〕又は〔12〕において、前記第1金属膜及び前記第2金属膜は、蒸着法により形成されてもよい。
【0026】
〔14〕 〔11〕~〔13〕において、前記第1金属膜を形成する工程及び前記第2金属膜を形成する工程における前記基板の温度は80℃以下であってもよい。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0028】
本開示の実施形態は、窒化物半導体を用いた高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)を含む半導体装置に関する。
図1は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0029】
実施形態に係る半導体装置1は、基板10と、複数の窒化物半導体層を含み基板10上に設けられた半導体積層部20とを備える。基板10は、例えば(0001)面を有するSiC基板であり、半導体積層部20の積層方向は例えば[0001]方向である。半導体積層部20は、基板10側から順に形成される核生成層12、チャネル層14、バリア層16及びキャップ層18を含む。核生成層12は、チャネル層14に対するシード層として機能する。例えば、核生成層12はAlN層であり、核生成層12の厚さは5nm以上20nm以下である。チャネル層14は、核生成層12上にエピタキシャル成長されており、電子走行層として機能する。例えば、チャネル層14はアンドープGaN層であり、チャネル層14の厚さは500nmである。半導体積層部20は、半導体層の一例である。
【0030】
バリア層16は、チャネル層14上にエピタキシャル成長されており、電子供給層として機能する。例えば、バリア層16はAlGaN層、InAlN層又はInAlGaN層であり、バリア層16の厚さは5nm以上30nm以下である。バリア層16のバンドギャップは、チャネル層14のバンドギャップよりも大きい。バリア層16がAlGaN層である場合、バリア層16のAl組成は、例えば0.15以上0.35以下である。バリア層16の導電型がn型であってもよく、バリア層16がアンドープであってもよい。バリア層16とチャネル層14とは互いに接してもよく、バリア層16とチャネル層14との間にスペーサ層(図示せず)が介在してもよい。バリア層16及びチャネル層14には、これらの間の格子定数の相違に起因する歪みが生じている。この歪みにより、バリア層16とチャネル層14との界面近傍であってチャネル層14側の領域にピエゾ電荷に由来する二次元電子ガス(2DEG)が生じ、チャネル領域が形成される。
【0031】
キャップ層18は、バリア層16上にエピタキシャル成長されている。例えば、キャップ層18はGaN層であり、キャップ層18の厚さは5nmである。例えば、キャップ層18の導電型はn型である。
【0032】
半導体装置は、ソース電極22及びドレイン電極24を更に備える。ソース電極22及びドレイン電極24は、基板10の上面に沿って並んでいる。ソース電極22及びドレイン電極24は、キャップ層18の上に設けられており、半導体積層部20にオーミック接触を形成している。ソース電極22及びドレイン電極24は、半導体積層部20側から順に設けられたタンタル(Ta)層、アルミニウム(Al)層及びTa層を熱処理(アロイ)することにより形成される。Ta層に代えてTi層が設けられてもよい。
【0033】
半導体装置1は、SiNパッシベーション膜26を更に備える。例えば、SiNパッシベーション膜26の厚さは20nm以上100nm以下である。SiNパッシベーション膜26は非晶質の膜である。SiNパッシベーション膜26は、ソース電極22、ドレイン電極24及びキャップ層18の上に設けられており、ソース電極22、ドレイン電極24及びキャップ層18を覆う。SiNパッシベーション膜26に開口26Gが形成されており、開口26Gを通じて、SiNパッシベーション膜26からキャップ層18が露出する。SiNパッシベーション膜26は絶縁層の一例である。開口26Gは第1開口の一例である。
【0034】
半導体装置1は、ゲート電極28を更に備える。ゲート電極28は、ソース電極22とドレイン電極24との間でSiNパッシベーション膜26の上に設けられている。ここで、ゲート電極28について詳細に説明する。
図2は、ゲート電極28を拡大して示す断面図である。
【0035】
ゲート電極28は開口26Gを覆っており、開口26Gを通じて半導体積層部20に接触している。ゲート電極28は、酸化亜鉛(ZnO)膜52と、ニッケル(Ni)膜54と、金(Au)膜56とを有する。
【0036】
ZnO膜52はSiNパッシベーション膜26の上に設けられ、ZnO膜52には開口52Gが形成されている。開口52Gの内壁部分と開口26Gの内壁部分とは、基板の上面に垂直な方向からの平面視で、開口52Gから開口26Gに向かって滑らかに連続して形成されている。つまり、開口52Gは、その内壁が開口26Gの内壁に対し連なるように形成されている。例えば、ZnO膜52の厚さは10nm以上30nm以下である。ZnO膜52は結晶性制御膜の一例である。
【0037】
Ni膜54はZnO膜52の上に設けられ、開口52G及び開口26Gを通じて半導体積層部20にショットキー接触する。Ni膜54はZnO膜52に接する。Ni膜54は開口52G及び開口26Gを覆っている。Ni膜54は開口26G内の半導体積層部20の上面から、開口26G及び開口52Gの互いに連なる各々の内壁面を経て、ZnO膜52の上に乗り上げている。例えば、Ni膜54の厚さは1nm以上200nm以下である。Ni膜54は第1金属膜の一例である。
【0038】
Au膜56は開口26G及び開口52Gの内側からSiNパッシベーション膜26の上方にわたってNi膜54の上に設けられている。Au膜56はNi膜54に接する。例えば、Au膜の厚さは300nm以上800nm以下である。Au膜56の電気抵抗はNi膜54の電気抵抗よりも低い。Au膜56は第2金属膜の一例である。
【0039】
ゲート電極28は、基板の上面に垂直な方向からの平面視で、開口26Gに重なる第1領域62と、第1領域62に対しソース電極22側で水平方向に連なる第2領域64と、第1領域62に対しドレイン電極24側で水平方向に連なる第3領域66とを有する。第2領域64及び第3領域66はSiNパッシベーション膜26上に乗り上げている。SiNパッシベーション膜26上におけるゲート電極28の一対の側面28A,28BはSiNパッシベーション膜26の上面に対して傾斜しており、半導体積層部20から離れるほど互いに近づく。従って、ゲート電極28のSiNパッシベーション膜26の上面よりも上側の部分は略台形状となっている。すなわち、ゲート電極28のSiNパッシベーション膜26の上面よりも上側の部分は、ソース電極22及びドレイン電極24が並ぶ方向に垂直、かつ10基板の上面に平行な方向からの断面視で、SiNパッシベーション膜26に近づくほど幅が広くなるテーパ形状を有する。ゲート電極28の一対の側面28A,28Bは主にAu膜56によって構成されている。側面26Aはソース電極22側の側面であり、側面26Bはドレイン電極24側の側面である。
【0040】
半導体装置1は、絶縁層30を更に備える。絶縁層30はゲート電極28を覆う。絶縁層30は、Siを含む絶縁性材料からなり、例えば、SiN層、SiO2層又はSiON層である。例えば、絶縁層30の厚さは20nm以上400nm以下である。SiNパッシベーション膜26及び絶縁層30に開口32及び開口34が形成されている。開口32からソース電極22が露出し、開口34からドレイン電極24が露出する。ソース電極22に接続される配線(図示せず)が開口32に設けられ、ドレイン電極24に接続される配線(図示せず)が開口34に設けられる。
【0041】
ここで、実施形態に係る半導体装置1の製造方法について説明する。
図3~
図14は、実施形態に係る半導体装置1の製造方法を示す断面図である。
【0042】
まず、
図3に示すように、有機金属気相成長(metal organic chemical vapor deposition:MOCVD)法により、複数の窒化物半導体層を含む半導体積層部20を基板10の上に形成する。具体的には、まず、核生成層12を基板10の上に成長させる。核生成層12がAlN層である場合、例えば、原料ガスはTMA(トリメチルアルミニウム)及びNH
3(アンモニア)であり、核生成層12を形成する際の基板10の温度は1100℃とする。次に、核生成層12の上にチャネル層14を成長させる。チャネル層14がGaN層である場合、例えば、原料ガスはTMG(トリメチルガリウム)及びNH
3であり、チャネル層14を形成する際の基板10の温度は1050℃とする。次に、チャネル層14の上にバリア層16を成長させる。バリア層16がAlGaN層である場合、例えば、原料ガスはTMA、TMG及びNH
3であり、バリア層16を形成する際の基板10の温度は1050℃とする。次に、バリア層16の上にキャップ層18を成長させる。キャップ層18がGaN層である場合、例えば、原料ガスはTMG及びNH
3であり、キャップ層18を形成する際の基板10の温度は1050℃とする。
【0043】
次に、
図4に示すように、リソグラフィー及びリフトオフ技術を用いて、キャップ層18の上にソース電極22及びドレイン電極24を蒸着法により形成する。その後、500℃以上600℃以下の温度での熱処理による合金化を行う。
【0044】
次に、
図5に示すように、ソース電極22、ドレイン電極24及び半導体積層部20を覆うSiNパッシベーション膜26を形成する。SiNパッシベーション膜26は、例えばプラズマCVD法又はスパッタ法により形成できる。例えば、プラズマCVD法によりSiNパッシベーション膜26を形成する場合、基板10の温度は250℃以上350℃以下とする。
【0045】
次に、
図6に示すように、SiNパッシベーション膜26の上にZnO膜52を形成する。ZnO膜52は、例えばスパッタ法、プラズマCVD法又は原子層堆積(atomic layer deposition:ALD)法により形成できる。ZnO膜52を形成する際の基板10の温度(成長温度)は、例えば150℃以上500℃以下とする。成長温度を150℃以上500℃以下とすることで、ZnO膜52のc軸配向性を向上しやすい。成長温度は、好ましくは200℃以上450℃以下であり、より好ましくは250℃以上400℃以下である。
【0046】
次に、
図7に示すように、開口26Gを形成する予定の領域に開口72Aを備えたレジストマスク72をZnO膜52の上に形成する。レジストマスク72は、例えばレジストの塗布、露光及び現像により形成できる。
【0047】
次に、
図8に示すように、ZnO膜52の開口72Aから露出する部分をエッチングすることにより、ZnO膜52に開口52Gを形成する。ZnO膜52のエッチングは、好ましくは塩素系ガスを用いた異方性ドライエッチングである。サイドエッチングが生じるおそれがあるが、HCl、HNO
3、CH
3COOH等を用いたウェットエッチングが行われてもよい。
【0048】
なお、レジストマスク72の形成に用いられる現像液、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethylammonium hydroxide:TMAH)によりZnO膜52がエッチングされてもよい。
【0049】
次に、
図9に示すように、SiNパッシベーション膜26の開口72A及び開口52Gから露出する部分をエッチングすることにより、SiNパッシベーション膜26に開口26Gを形成する。開口26Gは、その内壁が開口52Gの内壁に連なるように形成される。SiNパッシベーション膜26のエッチングは、好ましくはフッ素系ガスを用いた異方性ドライエッチングである。
【0050】
次に、
図10に示すように、レジストマスク72を除去する。次に、ZnO膜52の上に、開口74Aを備えたレジストマスク74と、開口76Aを備えたレジストマスク76とを形成する。
図10に示された断面形状において、開口76Aの水平方向の開口幅は、開口52G及び開口26Gの水平方向の開口幅より大きい。また、開口74Aの水平方向の開口幅は、開口76Aの水平方向の開口幅よりも大きい。レジストマスク74及びレジストマスク76の形成では、レジストマスク74用のレジストを塗布し、その後にレジストマスク76用のレジストを塗布する。次いで、レジストマスク76用のレジストに開口76Aを、その開口幅が開口52G及び開口26Gの開口幅より大きくなるように形成する。そして、レジストマスク74用のレジストに開口74Aを、その開口幅が開口76Aの開口幅より大きくなるように形成する。レジストマスク74及びレジストマスク76がレジストマスク78に含まれ、開口74A及び開口76Aが開口78Aに含まれる。開口78Aは第3開口の一例である。
【0051】
次に、
図11に示すように、蒸着法により、開口76A及び開口74Aを通じてNi膜54及びAu膜56をこの順で形成する。レジストマスク76及びレジストマスク74の劣化を避けるため、Ni膜54及びAu膜56を形成する際の基板10の温度は、好ましくは80℃以下とし、更に好ましくは70℃以下とする。Ni膜54はZnO膜52の上に形成され、開口52G及び開口26Gを通じて半導体積層部20にショットキー接触する。Au膜56は開口26G及び開口52Gの内側からSiNパッシベーション膜26の上方にわたってNi膜54の上に形成される。Ni膜54の形成の際にレジストマスク76の上にNi膜54Aが形成され、Au膜56の形成の際にNi膜54Aの上にAu膜56Aが形成される。
【0052】
次に、
図12に示すように、レジストマスク76及びレジストマスク74を除去する。レジストマスク76及びレジストマスク74の除去に伴って、Ni膜54A及びAu膜56Aも除去される。つまり、リフトオフが行われる。
【0053】
次に、
図13に示すように、ZnO膜52のAu膜56及びNi膜54から露出した部分を除去する。ZnO膜52の除去は、例えばウェットエッチングにより行われる。ZnO膜52の除去には、例えば塩酸又は硫酸の希釈溶液を使用できる。この結果、ZnO膜52と、Ni膜54と、Au膜56とを備えたゲート電極28が形成される。レジストマスク74及びレジストマスク76を用いてNi膜54及びAu膜56が形成されているため、ゲート電極28のSiNパッシベーション膜26の上面よりも上側の部分は略台形状となる。すなわち、ゲート電極28のSiNパッシベーション膜26の上面よりも上側の部分は、ソース電極22及びドレイン電極24が並ぶ方向に垂直、かつ10基板の上面に平行な方向からの断面視で、SiNパッシベーション膜26に近づくほど幅が広くなるテーパ形状を有する。
【0054】
次に、
図14に示すように、ゲート電極28及びSiNパッシベーション膜26を覆う絶縁層30を形成する。絶縁層30は、例えばプラズマCVD法又はスパッタ法により形成できる。絶縁層30を形成する際の基板10の温度は、例えば250℃以上350℃以下とする。次に、絶縁層30及びSiNパッシベーション膜26に開口32及び開口34を形成する。開口32からソース電極22が露出し、開口34からドレイン電極24が露出する。
【0055】
このようにして、実施形態に係る半導体装置1を製造できる。
【0056】
本実施形態では、結晶性制御膜であるZnO膜52の上に、半導体積層部20にショットキー接触するNi膜54が形成される。このため、Ni膜54がSiNパッシベーション膜26に接するようにSiNパッシベーション膜26の上に形成される場合と比較して、Ni膜54の結晶性が向上する。また、Au膜56の結晶性はNi膜54の結晶性の影響を受ける。このため、本実施形態によれば、Ni膜54がSiNパッシベーション膜26に接するようにSiNパッシベーション膜26の上に形成される場合と比較して、Au膜56の結晶性も向上する。従って、本実施形態によれば、ゲート電極28の電気抵抗を低減できる。ゲート電極28の低減により、ゲート電極28に入力される信号の損失を低減し、高周波利得の劣化を低減できる。このため、半導体装置1の特性及び信頼性を向上できる。
【0057】
本実施形態では、半導体積層部20が窒化物半導体層を含み、Ni膜54が窒化物半導体層にショットキー接触する。また、Ni膜54のZnO膜52との界面における原子配列は6回対称であり、ZnO膜52のNi膜54との界面における原子配列は6回対称である。従って、Ni膜54の結晶性を向上させやすい。
【0058】
結晶性制御膜としてのZnO膜に不純物がドーピングされていてもよく、ドーピングされていなくてもよい。不純物がドーピングされている場合、その濃度は、例えば1原子%以上10原子%以下である。ZnO膜にドーピングされる不純物としては、例えばB、Al、Ga及びInが挙げられる。結晶性制御膜はZnO膜に限定されず、結晶性制御膜がGaN膜、Ti膜、TiN膜、Al膜、AlSiCu膜又はAlN膜を含んでいてもよい。これらの膜の第1金属膜との界面における原子配列も6回対称である。GaN膜に不純物がドーピングされていてもよく、ドーピングされていなくてもよい。GaN膜にドーピングされる不純物としては、例えばSi及びGeが挙げられる。
【0059】
ゲート電極28に第1領域62、第2領域64及び第3領域66が含まれるため、ゲート電極28の近傍における電界集中を緩和できる。また、第2領域64及び第3領域66にZnO膜52が設けられるため、第2領域64及び第3領域66におけるNi膜54及びAu膜56の結晶性の低下を抑制できる。
【0060】
SiNパッシベーション膜26が非晶質の膜であるため、ゲート電極28と半導体積層部20との間のリークを抑制しやすい。
【0061】
なお、Ni膜54とAu膜56との間に、Pd膜、Pt膜又はRu膜等のバリアメタル膜が設けられてもよい。バリアメタル膜の厚さは、例えば5nm以上100nm以下である。また、Au膜56の上に、Ta膜、TaN膜、Hf膜、HfN膜、Zr膜、ZrN膜、W膜又はWN膜等が設けられてもよい。
【0062】
本開示において、第2領域における第2金属膜の電子線回折パターンの半値幅及び第3領域における第2金属膜の電子線回折パターンの半値幅は、第1領域における第2金属膜の電子線回折パターンの半値幅の、好ましくは45倍以下であり、より好ましくは30倍以下であり、更に好ましくは20倍以下である。第2領域における第2金属膜の電子線回折パターンの半値幅及び第3領域における第2金属膜の電子線回折パターンの半値幅が小さいほど、ゲート電極の電気抵抗を低減しやすい。
【0063】
第2金属膜の電子線回折パターンの半値幅は、次のようにして測定できる。収束イオンビーム(focused ion beam:FIB)を用いてゲート電極28の断面を薄片加工し、断面を露出させる。薄片の厚みは50nm~200nm程度が望ましい。透過型電子顕微鏡(transmission electron microscope:TEM)を用いてゲート電極28の断面に垂直に電子線を入射させる。第2金属膜が結晶性を有するため、試料(薄片)を透過した電子線は結晶の周期性に対応して特定の方向に強め合い、検出器上にスポット状に結像し、電子線回折パターンが得られる。電子線回折パターンのうち、111回折点または-1-1-1回折点の強度プロファイルを抽出し、その半値幅を測定する。
【0064】
第1領域では、第1金属膜が窒化物半導体膜に接し、第2領域及び第3領域では、第1金属膜と窒化物半導体膜との間にSiNパッシベーション膜26が存在する。第1領域中の第2金属膜、第2領域中の第2金属膜及び第3領域中の第2金属膜のそれぞれについて、電子線回折パターンを取得し、半値幅を測定することで、下地が異なる領域の(111)配向性を定量化し、比較できる。
【0065】
本開示において、第2領域における第2金属膜の平均結晶粒径及び第3領域における第2金属膜の平均結晶粒径は、第1領域における第2金属膜の平均結晶粒径の、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。第2領域における第2金属膜の平均結晶粒径及び第3領域における第2金属膜の平均結晶粒径が大きいほど、第1金属膜と第2金属膜との間での相互拡散を抑制し、ゲート電極の電気抵抗を低減しやすい。
【0066】
第2金属膜の平均結晶粒径は、例えば、原子間力顕微鏡を用いて測定できる。
【0067】
本開示において、結晶性制御膜の厚さは、好ましくは10nm以上30nm以下であり、より好ましくは15nm以上25nm以下である。結晶性制御膜が過剰に薄い場合、第1金属膜の結晶性が向上しにくくなるおそれがある。また、結晶性制御膜が過剰に厚い場合、結晶性制御膜のエッチング時にサイドエッチングが生じるおそれがある。
【0068】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1:半導体装置
10:基板
12:核生成層
14:チャネル層
16:バリア層
18:キャップ層
20:半導体積層部
22:ソース電極
24:ドレイン電極
26:SiNパッシベーション膜
26G:開口
28:ゲート電極
28A、28B:側面
30:絶縁層
32、34:開口
52:ZnO膜
52G:開口
54、54A:Ni膜
56、56A:Au膜
62:第1領域
64:第2領域
66:第3領域
72、74、76、78:レジストマスク
72A、74A、76A、78A:開口