(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004788
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】ヒノキ木紛を利用した混抄紙や不織布の工法と用途
(51)【国際特許分類】
D21H 17/02 20060101AFI20230110BHJP
D04H 1/413 20120101ALI20230110BHJP
【FI】
D21H17/02
D04H1/413
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021128606
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】592067982
【氏名又は名称】岡嶋 俊二
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 俊二
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 圭子
【テーマコード(参考)】
4L047
4L055
【Fターム(参考)】
4L047BA21
4L055AG43
4L055AH50
4L055AJ01
4L055BD16
4L055BE14
4L055FA30
4L055GA39
(57)【要約】
【課題】 混抄紙や模様紙や特殊紙や抄き合わせ紙や不織布には色々な有機物が利用されてきているが、手漉き・機械抄きを問わず抄紙法で生産される抄紙や不織布等の製造工程でヒノキ材の木粉を紙料液(原料)に混ぜて抄く混抄紙や不織布、又は抄き立ての抄紙又は不織布にヒノキ木紛を付着させての利用方法は無く、ヒノキ材の持つ色々な主要成分による作用や効果効能が混抄紙や抄き合わせ紙や不織布の製品として有効利用されていなかった。
【解決手段】 手漉き・機械抄きを問わず抄紙法で生産される抄紙や不織布等の製造工程でヒノキ木紛を紙料液(原料)に混ぜて抄く混抄紙や不織布、又は抄き立ての抄紙や不織布にヒノキ木紛を付着させその上に剥離防止用にねり液(トロロ)等をかけて出来る抄き合わせ紙や不織布、更に他の工法で出来た色々な特長の有る混抄紙等と張り合わせ積層状構造にして張り合わせた混抄紙や張り合わせ紙や不織布を各種用途形体に合わせ加工した品と共にヒノキ材の主要成分による作用や効果効能と風味を利用する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒノキ木紛に含まれる主要成分による作用や効果効能を有効利用する目的でヒノキ木紛を紙料液(原料)に混ぜて抄紙法にて作る混抄紙や不織布。
【請求項2】
ヒノキ木紛に含まれる主要成分による作用や効果効能を有効利用する目的で抄紙法にて作る抄き立ての湿紙状態の時に抄紙や不織布にヒノキ木紛を付着させその上にねり液(トロロ)をかけて出来た抄き合わせ紙や不織布。
【請求項3】
請求項1・2で出来た混抄紙や抄き合わせ紙や不織布に他の工法で出来た色々な特長の有る混抄紙等を張り合わせ積層状構造にして混抄紙の特長とヒノキ木紛に含まれる主要成分による作用や効果効能の利点とを合わせ利用する混抄紙や不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙法で生産される混抄紙や不織布等の製造工程でヒノキ材の木粉を紙料液(原料)に混ぜて抄く混抄紙や不織布、又は抄き立ての湿紙状態の時にヒノキ木紛を付着させた抄き合わせ紙や不織布で、ヒノキ材の木紛に含む色々な主要成分による作用や効果効能と風味を色々な形態の混抄紙や抄き合わせ紙や不織布の製品を介して有効利用する混抄紙や抄き合わせ紙や不織布の作り方とその用途である。
【背景技術】
【0002】
従来パプル原料の一部としてヒノキ材の繊維は使用され更にパルプ蒸解工程で発生するノット粕を粉砕して模様とした(例えば、特許文献1)、又混抄紙等にはパルプ繊維以外の異質な素材として植物の樹皮や種皮などが主として利用されている(例えば、特許文献2)がいずれも模様としての特徴を利用した物である。
【0003】
木材を粉砕した粉を利用したり(例えば、特許文献3)その粉砕した粉を漂白着色し利用したファイン紙(混抄紙)が有る(例えば、特許文献4)がいずれも模様としての特徴を利用した物である。
【0004】
有機物を粉にして利用する方法として、植物の樹皮や種皮等の有機物を粉砕して混入させる(例えば、特許文献5)又は有機物を炭化して粉砕した混抄紙等が有る(例えば、特許文献6)がいずれも模様としての特徴又は炭化した成分を利用した物である。
【0005】
金属や石などを粉砕し無機粉体を混入し模様と成分を利用した混抄紙又は特殊紙が有る(例えば、特許文献7)。
【0006】
有機物の成分を利用する方法として有機物から精油した成分を紙に浸透させ利用する抗菌シートや特殊紙等が有る(例えば、特許文献8)。
【0007】
乾燥させた植物等を漉き上げた紙に貼る模様紙が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭51-055407号
【特許文献2】特開昭62-125099号
【特許文献3】特開昭64-61597号
【特許文献4】特開平1-61597号
【特許文献5】特開平6-235198号
【特許文献6】特開平11-229292号
【特許文献7】特開2013-11015号
【特許文献8】特開2010-183992号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来混抄紙として混ぜる材料に木材の粉は使用されているが、針葉樹系の木材は油脂分が多く出来上がり後紙の色が油脂分の影響で変色する事からあまり適した材料とはされて来なかったことから使用される事は無く、針葉樹系の木材の成分による様々な作用・効果・効能も直接は利用されて来なかった。
【0010】
混抄紙や模様紙や特殊紙や不織布には色々な有機物が利用されてきているが、手漉き・機械抄きを問わず抄紙法で生産される抄紙や不織布等の製造工程でヒノキ材の木粉を紙料液(原料)に混ぜて抄く混抄紙や不織布、又は抄き立ての湿紙状態の抄紙や不織布にヒノキ木紛を付着させるなどしての、ヒノキ木粉を用いての利用方法は無く、更にヒノキ材に含む色々な主要成分による作用や効果効能が混抄紙や抄き合わせ紙や不織布の製品として有効利用されていなかった。
【0011】
ヒノキ材にはヒノキチオールと云う成分が有ると一般的に思われているが、実際にはヒノキチオールは国産ヒノキ材には殆ど含まれて無く、ヒノキチオールは台湾ヒノキ材又は国産ヒバ材に含まれていてそれらからヒノキ(ヒノキチオール)精油として採取されている、更に近年では精油に代わって人工的に作った合成ヒノキチオールが有り安価で出来る為より有効成分が使用しやすくなり、紙材料や不織布などに合成ヒノキチオールを染み込ませた消臭シートや抗菌シートなどに利用されているが、国産ヒノキ材からはヒノキチオールよりも高能成分とされているヒノキオールが含まれているが、ヒノキチオールよりも精油として採取が難しく人工的にも生産が行われて無いので殆んどヒノキオール成分は利用されていない課題が有る。
【0012】
国産ヒノキ材の代表主要成分と云われるα―カジノール、ヒノキオール、α―ピネン等には優れた効果効能が有ると認知されていても、特にヒノキオールの精油として採取が難しく量も採取しにくい欠点から、なかなかヒノキ材から精油を作る事自体が実用化されていなかった、現にヒノキチオールとヒノキオールの有効成分を利用した知的所有権の出願件数を比べると利用の差が歴然と出来るほどヒノキオールの有効成分は利用されて無い課題が有る。
【0013】
その代表主要成分の作用や効果効能は、αカジノール成分には菌の繁殖を抑える抗菌効果、防虫効果、消臭効果があり。またヒノキオール成分にはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)という、多くの抗生物質に耐性を持つ病原菌に対し殺菌作用がある。またαピネン成分にはリラックス効果、入浴剤に使用すると細胞障害性T細胞(CTL=ウイルス感染細胞や癌細胞など異物となる細胞を認識して破壊する細胞)の活性が上昇して、免疫機能に良い作用をおよぼす、更に消臭効果や有害物質除去効果、又ほかにも人体に対して血行促進作用や鎮静作用や鬱滞除去作用や消化促進作用や強壮作用や鎮痛作用や免疫強化作用や細胞収縮作用や森林浴作用やコーチゾン様作用や抗炎症作用や皮膚強壮作用や老化防止作用や創傷治癒作用などの作用の他にも水質浄化作用が有るなどそれぞれ研究されていて、又効能としては頭痛・生理痛・筋肉痛の緩和や月経不順・PMSの緩和などと研究されている、前記載の作用や効果効能が本考案のヒノキの木紛を利用した混抄紙や不織布製品を介して有効利用されていない課題が有る。
【0014】
国産ヒノキ材からヒノキオール精油を作ると採取量は少なくコストが掛かり高価と成る課題が有る。
【0015】
国産ヒノキ材は、昔から色々と建築資材、家具、日用品その他製品として利用はされてはいるが、端材、間伐材、山林放棄材までは有効利用できて無い事は資源問題でも有り、ヒノキ材の持つ色々な作用や効果効能を限りなく有効利用できて無い事も含め課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
手漉き・機械抄きを問わず抄紙法で生産される抄紙や不織布等の製造工程でヒノキのパウダー状木紛を紙料液(原料)に混ぜて抄く混抄紙や不織布、又は抄き立ての湿紙状態の抄紙や不織布にヒノキのパウダー状木紛を付着させその上から剥離防止の為ねり液(トロロ)等をかけて出来る抄き合わせ紙や不織布、又は前記の方法で抄いた混抄紙や抄き合わせ紙や不織布と他の工法で出来た色々な特長の有る混抄紙等を積層状構造に貼り合わせた混抄紙を各種用途形体に合わせ加工した製品と共にヒノキ材の持つ色々な主要成分による作用や効果効能と風味を利用する。
【発明の効果】
【0017】
従来の抄紙法で生産される抄紙や不織布の製造工程で既存の紙料液(原料)にヒノキのパウダー状木紛を混入させる工程を追加する、又は抄き立ての湿紙の状態時にヒノキのパウダー状木紛を付着させその上から剥離防止用にねり液(トロロ)等をかける工程を追加するだけで対応出来製造しやすい。
【0018】
台湾ヒノキ材や国産ヒバ材から取れるヒノキチオール精油がヒノキ精油として有名で各業務分野で有効利用されているが、精油の採取率は1/10000と希少で高価でも有る、それよりは安価な合成ヒノキチオール精油が有るが、そより更に安価に利用できるパウダー状のヒノキ木紛なら、パウダー状木紛を作ろうとし無くてもヒノキ材から建築資材、家具、日用品その他製品を作る工程で使用可能なパウダー状木紛が鋸屑等に混じり自然に出来、更に使用不向きな木粉や鋸屑や端材も簡単に使用可能なパウダー状の粉にする事が出来る、従って安価で精油と同じ主要成分が利用できる様になる。
【0019】
一本の丸太から建築資材、家具、日用品その他製品を作り残った端材や鋸屑までも有効利用出来、更に間伐材、山林放棄材なども利用でき結果廃棄する所が無くなる。又廃棄する事が無くなる事で木材の価値も上がる、すると林業の活性化にも繋がる。
【0020】
精油は揮発や酸化被膜で覆われて成分効果が比較的長持ちしにくいが、木紛では酸化被膜される事は有るが揮発する事が無いので木紛が有る限り成分効果は得られる。
【0021】
精油又は木製品でしか利用されて来なかった国産ヒノキ材成分の作用や効果効能も、粉体でも精油や木製品と同じ作用や効果効能が利用可能になる事で、各用途に合わせた形態の混抄紙や不織布に変化させ各分野で広く利用できる。
【0022】
国産ヒノキ材の粉体を利用すると、段落「0013」に記載の作用・効果・効能が期待できるので、建築用品や照明用品や日用用品や文具用品や衛生用品や鑑賞用品等の用途が必要な個所に適した形態にして混抄紙や不織布を介して各分野で広く利用できる。
【0023】
野菜等食品の梱包紙や段ボール箱などにヒノキチオール精油と同じ様に利用すると、鮮度の劣化を防虫作用、抗菌作用、殺菌作用等により遅くさせる、結果長く品質を保つことが出来輸送や保存に適した梱包紙や段ボール箱として利用できる。
【0024】
ヒノキ粉体を利用したり他の製紙技法を用いて混抄紙や不織布に模様を描いた模様紙も出来る。
【発明を実施するための形態】
【0025】
手漉き・機械抄きを問わず抄紙法の製紙工程で紙料液(原料)にヒノキのパウダー状木紛を混入して混抄紙や不織布を作る。
【0026】
手漉き・機械抄きを問わず抄紙法の製紙工程で抄き立ての湿紙状態の時、抄紙や不織布にヒノキのパウダー状木紛を付着させその上に剥離防止用にねり液(トロロ)等をかけて作る。
【0027】
上記形態で出来た混抄紙や抄き合わせ紙や不織布に、他の工法で出来た色々な特長の有る混抄紙等と張り合わせ積層状構造にしてその混抄紙の特長とヒノキ木紛に含まれる主要成分による作用や効果効能の利点とを合わせ利用する混抄紙や抄き合わせ紙や不織布を作る。
【産業上の利用可能性】
【0028】
ヒノキチオール精油成分を利用していた紙製品や不織布に精油成分の代わりとして利用できる。
【0029】
精油と違い安価で利用でき、精油と同じ必要とされる成分以上の物までも利用出来る。
【0030】
国産ヒノキ材の木紛を利用した壁紙・障子紙・襖紙・暖簾・ランプシェイド・オブジェ・装飾品などでは、森林浴効果、鎮静作用、防虫作用、消臭作用、殺菌作用、抗菌作用他段落「0013」記載の作用や効果効能がヒノキの木紛として期待でき更に和紙と結合させる事でシックハウス症候対策にもなる紙となる。
【0031】
国産ヒノキ材の木紛を利用した野菜等食品梱包紙などでは、防虫作用、消臭作用、殺菌作用、抗菌作用等が期待できる保存用に適した梱包資材となる。
【0032】
国産ヒノキ材の木紛を利用した文具紙などでは、消臭作用、鎮静作用、森林浴効果他段落「0013」記載の作用や効果効能が期待できるので、リラックスでき集中力が上がる文具紙となる。
【0033】
従来の消臭シート、抗菌・殺菌シート、防虫シート、森林浴効果シート等として精油を使うより安価に出来るのでより各所で利用することが出来る。
【0034】
混抄紙や不織布でも防虫作用、消臭作用、殺菌作用、抗菌作用、水質浄化作用、鎮静作用、森林浴効果、美肌効果他段落「0013」記載の作用や効果効能が期待できるので、マスクや衛生用品や脂取り紙やフィルター等に広く使用できる。
【0035】
国産ヒノキ材の粉体を利用すると、防虫作用、消臭作用、殺菌作用、抗菌作用、鎮静作用、森林浴効果、美肌効果、水質浄化作用や段落「0013」記載の作用や効果効能が期待できるので、前記記載の用途が必要な混抄紙や不織布として各分野で広く利用できる。
【0036】
廃棄する所が無くなる木材としてヒノキ材が注目されるとヒノキ材の価値も上がり斜陽産業とされている林業に新たな活力となり林業から繋がる全体の産業を好転させる可能性もある。