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特開2023-47881蓄熱コンクリートブロックの製造方法、蓄熱コンクリートブロック
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  • 特開-蓄熱コンクリートブロックの製造方法、蓄熱コンクリートブロック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047881
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】蓄熱コンクリートブロックの製造方法、蓄熱コンクリートブロック
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/62 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
C04B41/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157047
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(71)【出願人】
【識別番号】000126447
【氏名又は名称】アスザック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 智
【テーマコード(参考)】
4G028
【Fターム(参考)】
4G028CA02
(57)【要約】
【課題】ポーラス状のコンクリートブロックの空隙部分への蓄熱材充填を容易にすると共に、ポーラス状のコンクリートブロックの空隙部分に充填した蓄熱材の漏出が防止可能な蓄熱コンクリートブロックの製造方法、および、製造が容易で蓄熱材の漏出が防止可能な蓄熱コンクリートブロックを提供すること。
【解決手段】ポーラス状のコンクリートブロック10の空隙部分12に、融点以上に加熱された蓄熱材20と、ゲル化剤30とを混合した混合液40を充填する工程と、コンクリートブロック10に充填された混合液40をゲル化する工程と、を含むことを特徴とする蓄熱コンクリートブロック60の製造方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポーラス状のコンクリートブロックの空隙部分に、融点以上に加熱された蓄熱材と、ゲル化剤とを混合した混合液を充填する工程と、
前記コンクリートブロックに充填された前記混合液をゲル化する工程と、
を含むことを特徴とする蓄熱コンクリートブロックの製造方法。
【請求項2】
前記コンクリートブロックの空隙部分に前記混合液を充填する前に、前記コンクリートブロックを室温以上かつ前記ゲル化剤の融点未満の範囲の温度に加熱することを特徴とする請求項1記載の蓄熱コンクリートブロックの製造方法。
【請求項3】
前記コンクリートブロックを加熱する際は、前記コンクリートブロックを前記混合液の温度以上に加熱することを特徴とする請求項2記載の蓄熱コンクリートブロックの製造方法。
【請求項4】
前記コンクリートブロックの空隙部分に前記混合液を充填する前に、前記コンクリートブロックの上面を露出させた状態で前記コンクリートブロックを収容保持する収容凹部が形成された充填用容器に、前記コンクリートブロックを収容することを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の蓄熱コンクリートブロックの製造方法。
【請求項5】
ポーラス状のコンクリートブロックの空隙部分にゲル化された蓄熱材が充填されていることを特徴とする蓄熱コンクリートブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄熱コンクリートブロックの製造方法、蓄熱コンクリートブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から歩道等において夏場の温度上昇や冬場の温度低下を抑制するためにオイル状の蓄熱材を収容した蓄熱コンクリートブロックが提案されている。具体的には、オイル状の蓄熱材をコンクリートブロックに収容させるために、オイル状の蓄熱材が充填されたマイクロカプセルをコンクリートブロックに収容させた構成(特許文献1:特開2002-114553号公報)が提案されている。また、蓄熱材の熱交換効率向上のため、オイル状の蓄熱材をコンクリートブロックに直接充填できるように、コンクリートブロックの側周面および底面をコーティング剤によって被覆した後にオイル状の蓄熱材を充填する構成(特許文献2:特開2013-204903)も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-114553号公報
【特許文献2】特開2013-204903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている蓄熱コンクリートブロックは、蓄熱材がマイクロカプセルに充填されているため、蓄熱材と外気との直接接触が遮断され、熱交換効率が悪いという課題を有していた。また、特許文献2に開示されている蓄熱コンクリートブロックは、コーティングが剥がれると蓄熱材が漏出するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明においては、ポーラス状のコンクリートブロックの空隙部分への蓄熱材充填を容易にすると共に、ポーラス状のコンクリートブロックの空隙部分に充填した蓄熱材の漏出が防止可能な蓄熱コンクリートブロックの製造方法、および、製造が容易で蓄熱材の漏出が防止可能な蓄熱コンクリートブロックの提供を目的としている。
【0006】
すなわち本発明は、ポーラス状のコンクリートブロックの空隙部分に、融点以上に加熱された蓄熱材と、ゲル化剤とを混合した混合液を充填する工程と、前記コンクリートブロックに充填された前記混合液をゲル化する工程と、を含むことを特徴とする蓄熱コンクリートブロックの製造方法である。
【0007】
これにより、ポーラス状のコンクリートブロックの空隙部分への蓄熱材の充填を容易に行うことができ、ポーラス状のコンクリートブロックの空隙部分に充填した蓄熱材をゲル化することでコンクリートブロックからの蓄熱材の漏出を防止することが可能になる。
【0008】
また、前記コンクリートブロックの空隙部分に前記混合液を充填する前に、前記コンクリートブロックを室温以上かつ前記ゲル化剤の融点未満の範囲の温度に加熱することが好ましい。
【0009】
さらに、前記コンクリートブロックを加熱する際は、前記コンクリートブロックを前記混合液の温度以上に加熱することが好ましい。
【0010】
これらにより、ポーラス状のコンクリートブロックの空隙部分に蓄熱材を充填する際の作業効率が向上する。
【0011】
また、前記コンクリートブロックの空隙部分に前記混合液を充填する前に、前記コンクリートブロックの上面を露出させた状態で前記コンクリートブロックを収容保持する収容凹部が形成された充填用容器に、前記コンクリートブロックを収容することが好ましい。
【0012】
これにより、ポーラス状のコンクリートブロックの空隙部分への蓄熱材の充填作業を容易に行うことができ、蓄熱材の充填作業時における蓄熱材のロスを削減することができる。
【0013】
また、ポーラス状のコンクリートブロックの空隙部分にゲル化された蓄熱材が充填されていることを特徴とする蓄熱コンクリートブロックの発明もある。
【0014】
これにより、製造が容易であって、蓄熱材の漏出が防止可能な蓄熱コンクリートブロックを提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明における蓄熱コンクリートブロックの製造方法、蓄熱コンクリートブロックの構成によれば、ポーラス状のコンクリートブロックの空隙部分への蓄熱材の充填が容易になると共に、蓄熱材の漏出を防止した蓄熱コンクリートブロックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態における蓄熱コンクリートブロックの製造方法の主要工程を示すフロー図である。
図2】各工程時における状態を示す説明図である。
図3】本実施形態における蓄熱コンクリートブロックの破砕片を示す写真である。
図4】蓄熱材が未充填のポーラス状のコンクリートブロックの蓄熱性能と、濃度の異なるゲル化剤を使用して作成した蓄熱コンクリートブロックのそれぞれにおける蓄熱性能と、の比較図である。
図5】ゲル化された蓄熱材の融点未満における状態と蓄熱材の融点以上における状態の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、骨材とコンクリート材料とを用いて所定形状に形成したポーラス状のコンクリートブロック10の空隙部分12に蓄熱材20およびゲル化剤30からなる混合液40が充填された蓄熱コンクリートブロック60の製造方法について図面を参照しながら説明を行う。
【0018】
ポーラス状のコンクリートブロック10(以下、単にコンクリートブロック10という)について説明する。本実施形態におけるコンクリートブロック10は、骨材がコンクリート材料(いずれも図示はせず)によって所定形状に固められたポーラス体(多孔質体)である。ここでコンクリート材料とは、骨材どうしを結合させて硬化する結合材料を指し、セメントだけではなくアスファルトや石膏、およびプラスチック等も含む概念である。なお、本実施形態におけるコンクリートブロック10は、普通ポルトランドセメント、骨材および水を所定割合で混合したセメント骨材混合体を作成し、型枠にセメント骨材混合体を投入して振動を与えつつ型締めすることでポーラス状の短円柱状に形成されたものをコンクリートブロック10としている。このようなコンクリートブロック10は、いわゆる即時脱型型枠によって短時間で安価に生産することができる。
【0019】
本実施形態におけるコンクリートブロック10の空隙率は、JISA1128に定められたフレッシュコンクリートの空気量測定のための空気量試験装置で計測することができる。本明細書中におけるコンクリートブロック10については、空隙率の範囲は特に限定されるものではない。また、コンクリートブロック10を作成する場所も特に限定されるものではない。
【0020】
以上のようにして図2(A)に示すようなコンクリートブロック10が作成(S-1)された後、作業者は、図2(B)に示すように、融点以上に加熱した蓄熱材20と、蓄熱材20をゲル化するゲル化剤30とを流動状態に混合した混合液40を作成(S-2)する。本実施形態における蓄熱材20には、潜熱型の有機系相転移材料としてラウリル酸メチルが用いられている。また、本実施形態におけるゲル化剤30には、油ゲル化剤としてN-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジプチルアミド(以下、EGBAと称する)が用いられている。なお、ラウリル酸メチルの融点は摂氏4~5度であり、EGBAの融点は摂氏183~196度である。
【0021】
作業者は、図2(C)に示すように、混合液40の温度をEGBAの融点よりも低い摂氏140~150度程度に加熱(S-3)してもよい。このように混合液40を加熱することにより混合液40の流動性を高めることができ、コンクリートブロック10の空隙部分12への混合液40の充填効率を高めることができる。また、作業者は、混合液40の加熱処理と同時または混合液40の加熱処理に前後して、コンクリートブロック10の温度を室温よりも高く、かつ、加熱された混合液40の温度以上に加熱(S-4)することもできる。ここでは、コンクリートブロック10の温度を摂氏160度に加熱した。また、コンクリートブロック10は所定温度(ここでは摂氏160度)に設定された図示しない恒温庫に複数個収容しておくこともできる。
【0022】
次に作業者は、図2(D)に示すように加熱したコンクリートブロック10をシリコーンゴム製の充填用容器50に収容(S-5)することもできる。本実施形態における充填用容器50は、半球形状をなし、上側平坦面にコンクリートブロック10を収容する収容凹部52が形成されている。収容凹部52に収容されたコンクリートブロック10は、図2(E)に示すように、上面のみが外部空間に露出した状態になる。充填用容器50は、収容凹部52に収容したコンクリートブロック10を安定的に保持することができればよく、充填用容器50の具体的形状は特に限定されるものではない。ここでは充填用容器50の温度を室温にしている。
【0023】
次に作業者は、S-4で加熱した混合液40を、図2(E)に示すように充填用容器50に収容したコンクリートブロック10の上面に供給し、重力の作用でコンクリートブロック10の空隙部分12への混合液40の充填(S-6)を行う。コンクリートブロック10の空隙部への混合液40の供給を続けることにより空隙部分12が混合液40によって置換されると、コンクリートブロック10の上面から混合液40が滲み出てくるので、そのタイミングで混合液40の供給を停止(S-7)すればよい。このように充填用容器50に上面のみを露出させた状態でコンクリートブロック10を収容する形態を採用することで、コンクリートブロック10への混合液40の供給停止タイミングが明確になり、混合液40の余剰供給による無駄をなくすことができる点で好都合である。また、コンクリートブロック10の空隙部分12に蓄熱材20を充填するために何らかのパッケージを形成する必要がなく、蓄熱材20の充填作業を簡略化することができる。
【0024】
コンクリートブロック10への混合液40の供給を停止した後、コンクリートブロック10および混合液40を冷却する(S-8)。混合液40が冷却するとゲル化剤30によって蓄熱材20がゲル化される。コンクリートブロック10および混合液40が冷却した後、作業者は図2(F)に示すように、充填用容器50からコンクリートブロック10の空隙部分12にゲル化された蓄熱材20が充填された蓄熱コンクリートブロック60を取り出し(S-9)する。このようにして図2(G)に示すような蓄熱コンクリートブロック60を得ることができる。
【0025】
次に、作業者は、混合液40(蓄熱材20およびゲル化剤30)を充填する必要がある次のコンクリートブロック10の有無を確認(J-1)する。混合液40を充填すべきコンクリートブロック10がある場合(Yes)には、(S-4)に戻り、以下、(S-9)まで同様の手順を実行すれば良い。なお、加熱したコンクリートブロック10が恒温庫に残っている場合には(S-5)に戻り、以下、(S-9)まで同様の手順を実行することもできる。また、混合液40を充填すべきコンクリートブロック10がない場合(No)には、作業者はコンクリートブロック10の空隙部分12への混合液40の充填処理を停止(END)することができる。
【0026】
図3は、本実施形態において生成した蓄熱コンクリートブロック60の破砕片を示す写真である。図3に示すように、コンクリートブロック10におけるほとんどの空隙部分12にはゲル化剤30によりゲル化された蓄熱材20(混合液40)が充填されていることが確認できる。
【0027】
また、図4は、コンクリートブロック10の蓄熱性能をあらわすグラフ(破線)と、本実施形態で作成した蓄熱コンクリートブロック60の蓄熱性能をあらわすグラフ(実線)とを併記したものである。本実施形態においては、次の手順でそれぞれのグラフが作成されている。まず、摂氏10度の恒温庫にテストピースを所要時間収容してテストピースの温度を恒温庫内の温度にする。次に、恒温庫からテストピースを取り出し、摂氏マイナス10度の冷凍庫にテストピースを収容する。次に、冷凍庫の外側から冷凍庫内のテストピースの表面温度の変化状態を冷凍庫内に収容してからの経過時間と共に計測し、テストピースの表面温度が冷凍庫内の温度になるまで継続する。
【0028】
なお、テストピースの表面温度計測は、冷凍庫外の所定位置に設置したサーモグラフィカメラを用いて行った。いずれのテストピースにおいてもサーモグラフィカメラとの距離は同一である。また、テストピースとしては、コンクリートブロック10と、コンクリートブロック10の空隙部分12に対するゲル化剤30によりゲル化された蓄熱材20の充填率を異ならせた複数の蓄熱コンクリートブロック60、およびコンクリートブロック10の質量に対するゲル化された蓄熱材20の充填量の割合を異ならせた複数の蓄熱コンクリートブロック60を用いた。なお、図4の実線グラフは、個別の実線グラフに対応するテストピースの具体的構成を特定していないが、図4中の矢印方向に進むにつれて空隙部分12に対するゲル化された蓄熱材20の充填率が高くなっている。また、図4中の矢印方向に進むにつれてコンクリートブロック10の質量に対するゲル化された蓄熱材20の充填量が高くなっている。
【0029】
図4からは、混合液40(蓄熱材20およびゲル化剤30)を充填する前のコンクリートブロック10における蓄熱性能をあらわす破線のグラフは、ゲル化された蓄熱材20が充填された蓄熱コンクリートブロック60のいずれの蓄熱性能をあらわす実線のグラフに対しても、冷凍庫内の温度に到達するまでの時間が大幅に短くなっている(すぐに冷える)。また、いずれの温度域においても単位時間当たりの温度変化量に大きな差はないといえる。これに対してゲル化された蓄熱材20が充填されている蓄熱コンクリートブロック60における蓄熱性能をあらわす実線のグラフは、ゲル化された蓄熱材20の相変化(液相から固相への相転移)が生じる摂氏2度以下における単位時間あたりにおける温度変化が摂氏2度よりも高温域における単位時間あたりにおける温度変化量よりも緩やかになっている。
【0030】
また、コンクリートブロック10の空隙部分12に対するゲル化された蓄熱材20の充填率および充填量を異ならせた複数種類の蓄熱コンクリートブロック60を比較すると、充填率および充填量が高くなるほど摂氏2度以下における温度変化が緩やかになっている。このように、コンクリートブロック10の空隙部分12にゲル化された蓄熱材20が充填された蓄熱コンクリートブロック60の蓄熱性能は、コンクリートブロック10単独での蓄熱性能よりも高く、空隙部分12へのゲル化された蓄熱材20の充填量が増加するほど蓄熱コンクリートブロック60の蓄熱性能が向上していることが理解できる。
【0031】
先にも説明したとおり、本実施形態における蓄熱コンクリートブロック60は、コンクリートブロック10の空隙部分12にゲル化された蓄熱材20が充填された構成になっている。このようなゲル化された蓄熱材20は、図5に示すように、固体状態の蓄熱材20を蓄熱材20の融点以上に加熱しても液状にならないため、空隙部分12からの蓄熱材20の漏出を防止することができる。したがって蓄熱コンクリートブロック60は、蓄熱材20が繰り返し相転移を行っても蓄熱材20の流出がなく、当初の蓄熱性能または当初の蓄熱性能に近い蓄熱性能を維持することができる点においても好都合である。
【0032】
また、本実施形態における蓄熱コンクリートブロック60は、コンクリートブロック10の内部で網目状に連絡して(つながって)いた空隙部分12に対してゲル化された蓄熱材20が充填されている。これにより、蓄熱コンクリートブロック60に充填されているゲル化された蓄熱材20は、熱的に一体化された状態を維持しつつ、その一部が蓄熱コンクリートブロック60の外表面に露出した状態になっている。このため、蓄熱コンクリートブロック60の内部に充填されているゲル化された蓄熱材20と外気とのチャンネルが確実に維持された状態になっている。これにより本実施形態における蓄熱コンクリートブロック60は、蓄熱材20の熱交換効率を高い次元で維持することができる点においても好都合である。
【0033】
以上に本実施形態における蓄熱コンクリートブロック60の製造方法およびこれにより製造された蓄熱コンクリートブロック60について詳細に説明したが、このような蓄熱コンクリートブロック60は、歩道用舗装材料として好適である。夏場においては路面温度上昇による歩行者への照り返しの軽減が期待でき、冬場においてはスリップによる歩行者の転倒を防止することができる。特に点字ブロックにおいては、冬場であっても蓄熱コンクリートブロック60の上面(点字部分)に雪が積もり難くすることができ、点字部分が突出した状態を確保することができる点において好都合である。また、蓄熱コンクリートブロック60への熱エネルギを蓄積させるためのエネルギ源は、日中の太陽光エネルギに限定されるものではなく、熱媒体を用いて運搬した工場廃熱等により熱エネルギの蓄積を行うこともできる。
【0034】
また、本実施形態においては、短円柱状に形成されたポーラス状のコンクリートブロック10の空隙部分12に混合液40(蓄熱材20とゲル化剤30)を充填する形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。コンクリートブロック10は、短円柱状に限定されるものではなく、タイル形状等に代表される公知の形状に成形することもでき、具体的な形状は特に限定されるものではない。
【0035】
また、本実施形態において例示した蓄熱材20およびゲル化剤30はいずれも例示に過ぎないため、本発明における蓄熱材20は、ラウリル酸メチルに限定されるものではなく、他の公知の物質を採用することもできる。蓄熱材20としてはいわゆる潜熱型の物質を用いることが好ましい。また、本発明におけるゲル化剤30はEGBAに限定されるものではなく、他の公知の物質を用いることもできる。
【0036】
さらには、以上に説明した本実施形態の構成に対し、明細書中に記載されている選択可能な構成(工程)部分については、その構成(工程)を省略した形態を採用することもできる。また、明細書中に記載した変形例や、他の公知の構成を適宜組み合わせた形態を採用することもできる。
【符号の説明】
【0037】
10:コンクリートブロック,12:空隙部分
20:蓄熱材
30:ゲル化剤
40:混合液
50:充填用容器,52:収容凹部
60:蓄熱コンクリートブロック
図1
図2
図3
図4
図5