(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047883
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】ラジオコントロール操縦装置及び操作規制部材
(51)【国際特許分類】
A63H 30/04 20060101AFI20230330BHJP
G05G 5/04 20060101ALI20230330BHJP
A63H 30/02 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
A63H30/04 Z
G05G5/04 B
A63H30/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157051
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】北澤 秀郎
【テーマコード(参考)】
2C150
3J070
【Fターム(参考)】
2C150AA06
2C150CA08
2C150CA09
2C150CA10
2C150DA06
2C150DK02
2C150DK17
2C150ED05
2C150ED08
3J070AA02
3J070BA10
3J070BA66
3J070CB02
3J070CC71
3J070CD23
3J070DA61
(57)【要約】
【課題】トリガーの操作範囲を規制でき、規制したトリガーの操作範囲が使用中にずれにくいラジオコントロール送信機を提供する。
【解決手段】本体に設けられて操縦者が操作するトリガー6を備えたラジオコントロール操縦装置1は、操縦装置のストッパ15に着脱可能に固定されてスロットルレバー6bの操作範囲を規制する操作規制部材10と、ストッパ15と操作規制部材10をスロットルレバー6bの操作方向と交差する方向に挿通して操作規制部材を固定するねじ部材13を有している。トリガーの操作時に操作規制部材に加わる力はねじ部材により支えられる。ので、ストッパに対する操作規制部材の取り付けは強固で使用中にずれにくい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦者が保持する本体と、前記本体に設けられて操縦者が操作するトリガーを備えたラジオコントロール操縦装置において、
前記本体と前記トリガーの少なくとも一方に着脱可能に固定されて前記トリガーの操作範囲を規制する操作規制部材と、
前記本体と前記トリガーの少なくとも一方及び前記操作規制部材を前記トリガーの操作方向と交差する方向に挿通して前記操作規制部材を固定する固定部材と、
を有することを特徴とするラジオコントロール操縦装置。
【請求項2】
前記操作規制部材が取り付けられる前記本体の一部、又は前記トリガーに取り付けられた前記操作規制部材が当接する前記本体の一部が、前記本体と分離不能又は分離可能であることを特徴とする請求項1に記載のラジオコントロール操縦装置。
【請求項3】
前記操作規制部材が、前記トリガーの操作方向に関する厚さが異なる複数種類の前記操作規制部材の中から任意に選択されたことを特徴とする請求項1に記載のラジオコントロール操縦装置。
【請求項4】
前記操作規制部材が、前記トリガーの操作方向を長手方向とする長孔を有しており、
前記固定部材が、前記長孔を挿通して前記本体と前記トリガーの少なくとも一方に固定されるねじ部材であることを特徴とする請求項1に記載のラジオコントロール操縦装置。
【請求項5】
操縦者が保持する本体と、前記本体に設けられて操縦者が操作するトリガーを備えたラジオコントロール操縦装置において、前記トリガーの操作範囲を規制する操作規制部材であって、
前記本体と前記トリガーの少なくとも一方及び前記操作規制部材を前記トリガーの操作方向と交差する方向に挿通する固定部材によって前記本体と前記トリガーの少なくとも一方に着脱自在に取り付けられ、前記トリガーの操作範囲を規制する操作規制部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオコントロール送信機の本体とトリガーの少なくとも一方に操作規制部材を設けることにより、トリガーの操作範囲を規制できるようにしたラジオコントロール送信機に係り、特にトリガーの操作方向と交差する方向を長手方向とする固定部材によって操作規制部材を確実に固定することができるラジオコントロール送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ラジオコントロール送信機の発明が開示されている。このラジオコントロール送信機は、グリップ部2、ベース部3、ヘッド部4を備えている。ヘッド部4には、ホイール21とトリガー22が設けられている。トリガー22は、アクセル側の操作を行うスロットルレバー22aと、ブレーキレバー22b1(22b2)から構成されている。スロットルレバー22aは、ヘッド部4の当接面4aに当接する位置まで回動操作可能であり、ブレーキレバー22b1(22b2)は、ヘッド部4の当接面4bに当接する位置まで回動操作可能である。ブレーキレバー22b1(22b2)が当接するヘッド部4の当接面4bには、ブレーキレバー22b1(22b2)の当接位置を調整し、トリガー22の操作量を規制又は調整するための調整部材34が設けられている。調整部材34はヘッド部4の当接面4bから出し入れされるビスであり、このビスの出し入れによりブレーキレバー22b1(22b2)の当接位置を調整することで、トリガー22の操作量を規制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ラジオコントロール操縦装置の市場においては、トリガー、特にアクセル側のトリガー(スロットルレバー)の操作範囲を、ユーザー側の意向に応じて任意に規制乃至調整できるようにして欲しいとの要望が多くのユーザーから上がっている。このような要望に応え、揺動可能なトリガーの操作範囲を最大限度から機械的に縮小し、縮小した新たな操作範囲に合わせて速度等の被操作量を100%に設定するキャリブレーションを行うことにより、小さな操作量で被操作対象の速度を瞬時に高速にすることができるようになり、操縦レスポンスが向上する効果が得られる。
【0005】
特許文献1に記載されたトリガー22の操作量を規制する調整部材34は、ブレーキレバー22b1(22b2)の当接位置を調整するものであるが、これをアクセル側のトリガー(スロットルレバー)の操作量を規制するために用いることも考えられる。しかしながら、通常アクセル側の操作はトリガーを指で引く動作により行うため、トリガーを指で押す動作で行うブレーキ側の操作に較べてトリガーに加わる力が強く、ビスで構成された調整部材34の軸方向の位置がずれてビスによる固定力が低下してしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、以上説明した従来の技術の課題を解決するためになされたものであって、操作規制部材でトリガーの操作範囲を規制することができ、規制したトリガーの操作範囲が使用中にずれにくいラジオコントロール送信機と、当該操作規制部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載されたラジオコントロール操縦装置は、
操縦者が保持する本体と、前記本体に設けられて操縦者が操作するトリガーを備えたラジオコントロール操縦装置において、
前記本体と前記トリガーの少なくとも一方に着脱可能に固定されて前記トリガーの操作範囲を規制する操作規制部材と、
前記本体と前記トリガーの少なくとも一方及び前記操作規制部材を前記トリガーの操作方向と交差する方向に挿通して前記操作規制部材を固定する固定部材と、
を有することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載されたラジオコントロール操縦装置は、請求項1に記載のラジオコントロール操縦装置において、
前記操作規制部材が取り付けられる前記本体の一部、又は前記トリガーに取り付けられた前記操作規制部材が当接する前記本体の一部が、前記本体と分離不能又は分離可能であることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載されたラジオコントロール操縦装置は、請求項1に記載のラジオコントロール操縦装置において、
前記操作規制部材が、前記トリガーの操作方向に関する厚さが異なる複数種類の前記操作規制部材の中から任意に選択されたことを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載されたラジオコントロール操縦装置は、請求項1に記載のラジオコントロール操縦装置において、
前記操作規制部材が、前記トリガーの操作方向を長手方向とする長孔を有しており、
前記固定部材が、前記長孔を挿通して前記本体と前記トリガーの少なくとも一方に固定されるねじ部材であることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載された操作規制部材は、
操縦者が保持する本体と、前記本体に設けられて操縦者が操作するトリガーを備えたラジオコントロール操縦装置において、前記トリガーの操作範囲を規制する操作規制部材であって、
前記本体と前記トリガーの少なくとも一方及び前記操作規制部材を前記トリガーの操作方向と交差する方向に挿通する固定部材によって前記本体と前記トリガーの少なくとも一方に着脱自在に取り付けられ、前記トリガーの操作範囲を規制することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載されたラジオコントロール操縦装置と、請求項5に記載された操作規制部材によれば、本体とトリガーの少なくとも一方及び操作規制部材に対し、トリガーの操作方向と交差する方向に沿って固定部材を挿通させることにより、本体とトリガーの少なくとも一方に操作規制部材を着脱自在に固定することができる。この構造によれば、トリガーを操作した際に、操作規制部材に加わる力は、トリガーの操作方向と交差する方向を長手方向とする固定部材により支えられるので、本体とトリガーの少なくとも一方に対する操作規制部材の取り付けは、当該取り付け部分に加わる外力に対して強固である。従って、例えトリガーを指で強く引くアクセル側の操作であっても、操作規制部材に加わる力によって操作規制部材の位置が変化し、操作規制部材によって規制したトリガーの操作範囲が使用中に変化してしまう恐れは少ない。このため、被操縦体の動作量を左右するトリガーの揺動範囲を任意に設定することにより被操縦体の操縦レスポンスを任意に調整でき、しかも所望の操縦レスポンスを長い操作時間中にわたり維持することができる。
【0013】
請求項2に記載されたラジオコントロール操縦装置によれば、操作規制部材を取り付ける本体の一部、又は操作規制部材が当接する本体の一部を、本体から分離できない構成とすれば、部品数が減少する効果が得られ、また本体と分離できる構成とすれば、当該一部の形状を必要に応じて容易に変更できる効果が得られる等、当該一部を構成するについて種々の目的に対応できる自由度を持たせることが可能となる。
【0014】
請求項3に記載されたラジオコントロール操縦装置によれば、規制しようとするトリガーの操作範囲の調整量(長さ)に合わせて、トリガーの操作方向に関する厚さが異なる複数種類の操作規制部材の中から必要なものを選択することにより、被操縦体の操縦レスポンスの調整量を任意に変更・設定することができる。
【0015】
請求項4に記載されたラジオコントロール操縦装置によれば、
固定部材であるねじ部材を、操作規制部材の長孔を挿通して本体とトリガーの少なくとも一方に固定すれば、本体とトリガーの少なくとも一方に対して操作規制部材を容易にかつ強固に固定することができる。その際、本体とトリガーの少なくとも一方と、操作規制部材との間に適当な厚さのスペーサを適当な枚数だけ挟み込めば、トリガーの操作範囲の微調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態のラジオコントロール操縦装置のホイール側を示す正面図である。
【
図2】第1実施形態のラジオコントロール操縦装置の本体の一部であるトリガーユニットと、トリガーユニットに取り付けられる操作規制部材等の斜視図である。
【
図3】第1実施形態のラジオコントロール操縦装置の本体の一部であるトリガーユニットに操作規制部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態のラジオコントロール操縦装置の本体の一部であるトリガーユニットに操作規制部材を取り付けた状態を示す背面図である。
【
図6】第2実施形態のラジオコントロール操縦装置の本体の一部であるトリガーユニットの斜視図である。
【
図7】第3実施形態のラジオコントロール操縦装置の本体の一部であるトリガーユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1実施形態を
図1~
図5を参照して説明する。
図1に示す実施形態のラジオコントロール操縦装置1(単に操縦装置1とも呼ぶ。)は、例えば各種模型体(自動車、オートバイ、航空機、船舶など)や、クレーンなどの産業機械を被操縦体とし、予め決められた周波数帯を使用し、回動式操作ユニットであるホイール及びトリガーの操作に応じた操縦信号(無線電波)を被操縦体に送信することにより、被操縦体を遠隔操作するための装置である。なお、実施形態では
図1に示すようにホイールとトリガーを備えた所謂ホイールタイプの操縦装置1を示しているが、これはホイールタイプに限定する意図ではない。詳細は以下に説明するが、本発明は、トリガーの操作範囲を調整するために操縦装置1に着脱可能に取り付けられる操作規制部材に関するものであるため、少なくともトリガーを備えた操縦装置であれば本発明の適用対象となる。
【0018】
まず、操縦装置1の全体構成を、
図1を参照して説明する。
図1に示すように、操縦装置1は、グリップ部2と、ベース部3と、ヘッド部4の各部によって大略構成された本体としての筐体を備えており、筐体の各部は熱可塑性樹脂(例えば汎用プラスチック)で形成されている。グリップ部2、ベース部3、ヘッド部4からなる本体としての筐体は、
図1において操縦装置1の幅方向(紙面に垂直な方向)の中央を通過する鉛直面(紙面に平行な面)において、幅方向の左右に2分割されており、筐体を幅方向に挿通する複数本の連結ボルトにより結合され、一体となっている。
【0019】
ヘッド部4は、グリップ部2の上端側に設けられており、回動式の操作部であるホイール5と、回動式の操作部であるトリガー6を備えている。
【0020】
ホイール5は、被操縦体の進行方向を制御するためのステアリングとして機能する操作部である。
【0021】
トリガー6は、被操縦体の動力源、例えば模型自動車のエンジンを制御し、被操縦体の移動速度を調整するための操作部である。
【0022】
なお、一般的なラジオコントロール操縦装置1の操縦態勢では、
図1において操縦者は操縦装置1の左側に右を向いて位置し、利き手と反対の手でグリップ部2を把持し、グリップ部2を把持した手の一部の指でトリガー6を操作するとともに、利き手の指でホイール5を回動操作する。
図1に示した操縦装置1は右利き用であり、操縦者が
図1の左側に立って操縦装置1を左手で把持すれば、図において手前側にあるホイール5を利き手の右手で操作し、被操縦体である模型自動車の進行方向を精妙に制御することができる。
【0023】
次に、
図2~
図5を参照してラジオコントロール操縦装置1におけるトリガー6の操作規制部材等について説明する。
図2はトリガーユニット7の斜視図である。トリガーユニット7は、揺動自在のトリガー6と、トリガー6の揺動中心に連結されてトリガー6の操作に対応した信号を出力する電子部品等を、フレームに組み込んで一体化したヘッド部4の一部を構成する部品であり、
図1に示したようにトリガー6が筐体外でグリップ部2とヘッド部4に隣接する配置となるよう筐体内に収納されている。なお、
図2は、スロットルレバー6bの操作範囲を規制する操作規制部材10が、本体であるトリガーユニット7に取り付けられる構造を明示するために、
図1に示す正面とは反対側である背面側の斜め下方から見上げる視線で示した図となっている。
【0024】
図2に示すように、トリガー6は全体としてY字形状であり、揺動中心に連結された直線状の基部レバー6aと、基部レバー6aから分岐して設けられ、被操縦体を加速するためのスロットルレバー6bと、基部レバー6aから分岐して設けられ、被操縦体を減速するためのブレーキレバー6cから構成されている。スロットルレバー6bとブレーキレバー6cは、互いに相手側から離れる方向に膨出した湾曲形状となっており、従って直線状の基部レバー6aとの境界には、鈍角の凹状を呈する角部8がそれぞれ形成されている。
【0025】
図2~
図5に示すように、本実施形態では、操作規制部材10はトリガーユニット7のフレームに取り付けられ、操作規制部材10に向けて操作されるスロットルレバー6bに当接することにより、スロットルレバー6bの操作範囲を規制する。
【0026】
図2及び
図3に示すように、操作規制部材10は、略矩形の受部11と、受部11の対向する2辺に受部11と垂直に設けられた一対のフランジ部12,12を有している。受部11は略矩形であるが、平板ではなく、フランジ部12の側に向けて凸状となっている。フランジ部12には、固定部材であるねじ部材13が挿通する貫通した円形の固定孔14が設けられている。
【0027】
図3から分かるように、操作規制部材10の受部11の厚さの方向は、トリガーユニット7に取り付けた際にスロットルレバー6bの操作方向と一致する。従って、スロットルレバー6bの操作範囲をどの程度に規制したいかに応じて、換言すればスロットルレバー6bの操作範囲をどの程度短くしたいかに応じて、受部11の厚さが異なる複数種類の操作規制部材10を用意しておき、その中から、受部11の厚さが適当なものをユーザーが任意に選択できるようにすることが好ましい。
図2に示す例では2種類の操作規制部材10が図示されているが、調整前の操作範囲を100%とした場合、操作範囲を減じる調整量が例えば10%きざみとなるように、調整量が10、20、30、40%の4種類の操作規制部材10を用意しておけば、広くユーザーの要望に応えることができる。
【0028】
図2及び
図3に示すように、トリガーユニット7のフレームにはストッパ15が取り付けられている。ストッパ15は、スロットルレバー6bの操作範囲の最大限度を設定する固定規制部である。ストッパ15は、ブロック状の部材であり、操作規制部を取り付ける側の面が凹面16となっており、操作規制部材10の受部11の凸面(上面)と密着するようになっている。ストッパ15の側面には貫通したねじ孔17が設けられており、操作規制部材10をストッパ15に被せた後、操作規制部材10のフランジ部12の2つの固定孔14,14から2本のねじ部材13,13をそれぞれねじ孔17に両側からねじ込むことにより(
図5も参照されたい。)、操作規制部材10をストッパ15に固定することができる。また、操作規制部材10をストッパ15に固定すると、スロットルレバー6bを限界まで操作した際、スロットルレバー6bの凸状に湾曲した面が操作規制部の受部11の凹面18(下面)に当接して密着する。
【0029】
図4は、トリガーユニット7を、
図1に示す操縦装置1の正面とは反対側である背面から示した図である。
図4に示した切断線X-Xは、操作規制部材10をストッパ15に固定しているねじ部材13の中心を通り、操作規制部材10の受部11の中央を受部11に垂直に通過している。この切断線X-Xにおける断面図が
図5である。
図5において、スロットルレバー6bの操作方向は図中上下方向となるが、これに対し、操作規制部材10をストッパ15に固定しているねじ部材13は、前記操作方向と直交する水平方向を長手方向としている。「従来の技術」で説明したように、仮に、ねじ部材13がスロットルレバー6bの操作方向と略平行な配置で操作規制部材10を固定している場合には、スロットルレバー6bを限界まで操作し、操作規制部材10に強い力で当接させた場合、ねじ部材13の軸方向の位置がずれてねじによる固定力が低下してしまう恐れがある。しかし、実施形態の実際の構成では、ねじ部材13がスロットルレバー6bの操作方向と略直交する配置で操作規制部材10を固定しているため、スロットルレバー6bを操作規制部材10に強い力で当接させたとしても、ねじ部材13の位置がずれて固定力が低下することはない。すなわち、ストッパ15に対する操作規制部材10の取り付けは、操作規制部材10に加わる外力に対して強固であり、スロットルレバー6bを指で強く引く操作であっても、操作規制部材10に加わる力によって操作規制部材10の位置が変化し、操作規制部材10によって規制したスロットルレバー6bの操作範囲が使用中に変化してしまう恐れは少ない。このため、被操縦体の動作量を左右するトリガーの揺動範囲を任意に設定することにより被操縦体の操縦レスポンスを任意に調整でき、しかも所望の操縦レスポンスを長い操作時間中にわたり維持することができる。
【0030】
また、
図3及び
図4から分かるように、操作規制部材10の受部11の凹面18(下面)と、これと接触するスロットルレバー6bの凸面は、同程度の曲率の湾曲面となっている。このため、スロットルレバー6bを操作規制部材10に強い力で当接させた場合でも、両面は密着し、その力は操作規制部の受部11に均等に加わるため、この点においても、ねじ部材13の位置がずれて固定力が低下する恐れは少ない。
【0031】
次に、操作規制部材10を構成する材料について説明する。
操作規制部材10を構成する材料は、弾性材料でも剛性材料でもよい。例えば、弾性材料であるゴムで構成した場合、スロットルレバー6bが最初に接触した箇所をスロットルレバー6bの調整された操作範囲の終点としておき、これよりもさらにスロットルレバー6bを引き込んで操作規制部材10が潰れた場合に、スロットルレバー6bとは異なる他の操作機能が出現するような構成とすることができる。例えば、何らかの機能を割り当てられたスイッチが閉じるといった構成である。この場合、操作ユーザーは、ゴムを潰す感触により、例えば何らかのスイッチを押してスロットルレバー6b以外の操作機能を発揮させた操作感覚を得ることができる。
【0032】
操作規制部材10を剛性材料であるアルミニウムで構成した場合、アルミニウムはゴムのようには変形しないため、スロットルレバー6bの操作範囲において、スロットルレバー6bを最も引き込んだ終点が一義的に決まる。このような操作感の方が好ましいとするユーザーにはアルミニウム製の操作規制部材10が向いている。また、アルミニウム製であると、切削加工で製造できるため、金型を設計製作する必要がなく、製造のイニシャルコストが低いという利点もある。
【0033】
なお、以上説明した第1実施形態では、操作規制部材10が取り付けられるストッパ15は、トリガーユニット7に取り付けられてヘッド部4に組み込まれているため、例えばスロットルレバー6bの基本となる操作範囲を変更したい場合には、本体の筐体を分解してトリガーユニット7を取り出せば、交換することは可能である。また、このようにストッパ15を交換可能な構造としておけば、同一シリーズの操縦装置1に操作範囲が異なる複数の機種が含まれる場合、機種ごとに異なるストッパ15を取り付けることで対応できる。しかし、そのような必要がないのであれば、ストッパ15を、トリガーユニット7に一体化された分離不可能な構成としておけば部品点数が削減でき、製造コストが低減される。
【0034】
本発明の第2実施形態を、
図6を参照して説明する。
図6は、第2実施形態のラジオコントロール操縦装置のトリガーユニット7と、トリガーユニット7に取り付けられる操作規制部材10a等を、
図2と同一の視線で示している。なお、第1実施形態と同一の部分については、第1実施形態に関する記載を援用して説明の繰り返しを避けるものとする。
【0035】
図6に示すように、第2実施形態では、操作規制部材10aのフランジ部12に設けられた固定孔が、トリガーの操作方向を長手方向とする長孔19となっている。従って、図示しないねじ部材13を、長孔19を挿通してストッパ15に固定すれば、ストッパ15に対して操作規制部材10aを容易にかつ強固に固定することができる。その際、ストッパ15と操作規制部材10aの間に図示のような適当な厚さのスペーサ20を適当な枚数だけ挟み込めば、スロットルレバー6bの操作範囲の微調整を行うことができる。なお、スペーサ20としては、紙や樹脂板を利用することができる。
【0036】
なお、固定孔が長孔19である操作規制部材10aの場合には、前述したようにアルミニウム製とすれば十分な強度が得られるため、固定孔である長孔19が丸孔に較べて大きくなっても破損しにくい効果が得られる。
【0037】
本発明の第3実施形態を、
図7を参照して説明する。
図7は、第3実施形態のラジオコントロール操縦装置のトリガーユニット7と、トリガーのスロットルレバー6bに取り付けられた操作規制部材10を、
図2と同一の視線で示している。なお、第1実施形態と同一の部分については、第1実施形態に関する記載を援用して説明の繰り返しを避けるものとする。
【0038】
図7に示すように、第3実施形態では、第1実施形態と同一の操作規制部材10が、スロットルレバー6bのストッパ15と対向する側の面に取り付けられている。スロットルレバー6bには、第1実施形態のストッパ15のねじ孔17と略同一の構造であるねじ孔が設けられており、スロットルレバー6bに操作規制部材10を被せた後、操作規制部材10のフランジ部12の2つの固定孔14,14から2本のねじ部材13,13をそれぞれねじ孔17に両側からねじ込むことにより、操作規制部材10をスロットルレバー6bに固定することができる。本実施形態によっても、第1実施形態と略同一の効果を得ることができる。
【0039】
以上説明した第1実施形態(
図3)と第2実施形態(
図6)では、調整された操作範囲の限界までスロットルレバー6bを操作すると、スロットルレバー6bの上部(基部レバー6aに隣接する部分)が、ストッパ15に取り付けられた操作規制部材10に当接し、また第3実施形態(
図7)では、スロットルレバー6bの上部(基部レバー6aに隣接する部分)取り付けられた操作規制部材10が、ストッパ15に当接する。何れの場合も、スロットルレバー6bを操作範囲の限界まで引くと、その力は、スロットルレバー6bと操作規制部材10によって安定的に支持され、略Y字形状のトリガーには特に力学的な問題が生じることはない。しかし、仮に、
図3又は
図6において、基部レバー6aと操作規制部材10が当接する構造になっており、又は
図7において、基部レバー6aに取り付けられた操作規制部材10が本体側と当接する構造になっていた場合、そのような当接状態からスロットルレバー6bをさらに引いた場合、その力は、基部レバー6aと操作規制部材10によって支持されるため、略Y字形状のトリガーは、基部レバー6aとスロットルレバー6bの角部8で曲がってしまう可能性がある。しかしながら、本発明の実施形態によれば、使用中のトリガーが破損する恐れは小さい。
【0040】
以上説明した実施形態では、ストッパ15又はスロットルレバー6bに操作規制部材10を取り付けていたが、ストッパ15とスロットルレバー6bの両方に操作規制部材10を取り付けてもよい。その場合、2個の操作規制部材10の調整量を種々に組み合わせることで、操作規制部材10が1個の場合と較べてスロットルレバー6bの操作範囲の調整量を様々に設定することができる。例えば、調整量が10、20、30、40%の4種類の操作規制部材10が用意されている場合、調整量が10%と40%の操作規制部材10を使用すれば操作範囲の調整量を50%とすることができる。また、調整量が20%と40%の操作規制部材10を使用すれば操作範囲の調整量を60%とすることができる。
【0041】
また、以上説明した実施形態では、スロットルレバー6bの操作範囲の規制について説明したが、ブレーキレバー6cにも本発明を同様に適用してブレーキレバー6cの操作範囲を規制することも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…ラジオコントロール操縦装置(操縦装置)
2…本体としての筐体を構成するグリップ部
3…本体としての筐体を構成するベース部
4…本体としてのの筐体を構成するヘッド部
6…操作部としてのトリガー
6a…トリガーの基部レバー
6b…トリガーのスロットルレバー
6c…トリガーのブレーキレバー
10,10a…操作規制部材
13…固定部材としてのねじ部材
14…操作規制部材10の固定孔
15…本体と分離可能な本体の一部であるストッパ
19…固定孔14としての長孔
20…スペーサ