IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-かしめ装置 図1
  • 特開-かしめ装置 図2
  • 特開-かしめ装置 図3
  • 特開-かしめ装置 図4
  • 特開-かしめ装置 図5
  • 特開-かしめ装置 図6
  • 特開-かしめ装置 図7
  • 特開-かしめ装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047929
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】かしめ装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 39/00 20060101AFI20230330BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20230330BHJP
   B21D 43/04 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
B21D39/00 B
B21D43/00 E
B21D43/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157125
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 崇宏
(57)【要約】
【課題】設置スペースを省スペース化でき、かつかしめ位置への鋲接点の供給速度を向上できるかしめ装置を提供する。
【解決手段】かしめ装置1は、供給機構5と、駆動カム7と、を備える。供給機構5は、複数の鋲接点2を第1方向P1に沿って並んだ状態で第1方向P1に搬送することで、複数の鋲接点2を1つずつ供給する。駆動カム7は、供給機構5から供給された1つの鋲接点2を保持した状態で第1方向P1に公差する第2方向P2に移動することで、1つの鋲接点2をかしめ位置T1まで移動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鋲接点を第1方向に沿って並んだ状態で前記第1方向に搬送することで、前記複数の鋲接点を1つずつ供給する供給機構と、
前記供給機構から供給された1つの鋲接点を保持した状態で前記第1方向に交差する第2方向に移動することで、前記1つの鋲接点をかしめ位置まで移動させる駆動カムと、を備える、
かしめ装置。
【請求項2】
前記駆動カムは、前記駆動カムの上面に設けられている凹部を有し、
前記1つの鋲接点は、前記供給機構から前記駆動カムに供給されて前記駆動カムの前記凹部に保持される、
請求項1に記載のかしめ装置。
【請求項3】
前記凹部は、前記供給機構から供給された前記1つの鋲接点を前記凹部に搬入可能な開口部を有し、
前記開口部は、前記凹部の内側面において前記駆動カムの側面まで貫通するように設けられている、
請求項2に記載のかしめ装置。
【請求項4】
前記駆動カムは、前記駆動カムの上面に、前記第2方向に延在する壁部を有し、
前記凹部は、前記壁部の上面に設けられており、
前記開口部は、前記壁部の側面に設けられている、
請求項3に記載のかしめ装置。
【請求項5】
前記駆動カムを前記第2方向に移動するように前記駆動カムを案内するガイド部を更に備え、
前記壁部の両側の側面に開口部が設けられており、
前記ガイド部は、前記凹部の両側の前記開口部のうち、前記1つの鋲接点を前記凹部に搬入するために用いられない開口部を塞ぐ閉塞部を有する、
請求項4に記載のかしめ装置。
【請求項6】
前記駆動カムの上方に配置され、前記駆動カムに対して相対的に上下動する可動ブロックと、
前記可動ブロックに固定されたカムドライバと、
前記可動ブロックに固定された押圧部と、を備え、
前記駆動カムは、傾斜面であるカム面を有し、
前記カムドライバは、下方に移動して前記カム面を上方から押すことで、前記駆動カムを前記第2方向に移動させ、
前記押圧部は、下方に移動して前記かしめ位置に移動させられた前記1つの鋲接点を上方から押圧し、前記1つの鋲接点を、上方から押圧することで金属板の孔にかしめ固定し、
前記可動ブロックが下方に移動することで、前記カムドライバ及び前記押圧部が一体的に下方に移動する、
請求項1~5のいずれか1項に記載のかしめ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、かしめ装置に関し、より詳細には、鋲接点をかしめるかしめ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のかしめ装置の一例として、特許文献1に記載の鋲接点吸着装置(かしめ装置)がある。特許文献1に記載の鋲接点吸着装置は、バーツフィーダー(供給機構)と吸着保持部とを備える。パーツフィーダーは、複数の鋲接点を整列させて1つずつ供給する。吸着保持部は、パーツフィーダーから供給された鋲接点を、エアの吸引力で吸着してかしめ位置まで移動させる。そして、吸着保持部は、かしめ位置において、鋲接点を加圧して接点板にかしめ固定する。
【0003】
従来のかしめ装置の他の例として、吸着保持部に更に回転テーブル装置を組み合わせて鋲接点をパーツフィーダーからかしめ位置に移動させるかしめ装置がある。このかしめ装置は、吸着保持部によってパーツフィーダーから供給された鋲接点を回転テーブル装置の上面の縁部に配置させ、回転テーブル装置を回転させて回転テーブル装置に配置した鋲接点をかしめ位置まで移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-314422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の鋲接点吸着装置では、吸着保持部を用いるが、吸着保持部の設置スペースが比較的大きいため、かしめ装置全体の設置スペースが大きくなる。また、吸着保持部による鋲接点の移動は、あまり速く行えないため、かしめ位置への鋲接点の供給速度を向上させることが難しい。
【0006】
また、回転テーブル装置を用いた従来のかしめ装置も、回転テーブル装置の設置スペースが比較的大きいため、かしめ装置全体の設置スペースが大きくなる。また、回転テーブル装置による鋲接点の移動も、あまり速く行えないため、かしめ位置への鋲接点の供給速度を向上させることが難しい。
【0007】
本開示の目的は、上記の事情を鑑みたものであり、設置スペースを省スペース化でき、かつかしめ位置への鋲接点の供給速度を向上できるかしめ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係るかしめ装置は、供給機構と、駆動カムと、を備える。前記供給機構は、複数の鋲接点を第1方向に沿って並んだ状態で前記第1方向に搬送することで、前記複数の鋲接点を1つずつ供給する。前記駆動カムは、前記供給機構から供給された1つの前記鋲接点を保持した状態で前記第1方向に交差する第2方向に移動することで、前記1つの鋲接点をかしめ位置まで移動させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、設置スペースを省スペース化でき、かつかしめ位置への鋲接点の供給速度を向上できる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、金属板にかしめ固定された鋲接点の一例を示す断面図である。
図2図2は、実施形態に係るかしめ装置の駆動カム移動前の状態を示す平面図である。
図3図3は、同上のかしめ装置の駆動カム移動後の状態を示す平面図である。
図4図4は、同上のかしめ装置の要部(第1供給機構、駆動カム及びガイド部)の駆動カム移動前の状態を示す斜視図である。
図5図5は、同上のかしめ装置の要部の駆動カム移動後の状態を示す斜視図である。
図6図6は、同上のかしめ装置の駆動機構の駆動カム移動前の状態を示す断面図である。
図7図7は、同上のかしめ装置の駆動機構の駆動カム移動後の状態を示す断面図である。
図8図8は、同上のかしめ装置の動作のタイミングチャートの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係るかしめ装置について説明する。下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の例に過ぎない。また、下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(1)実施形態
(1-1)かしめ装置の概要
図1を参照して本実施形態のかしめ装置1(図2参照)の概要を説明する。
【0013】
図1に示すように、かしめ装置1は、鋲接点2を、金属板3の孔3aに挿入してかしめることで金属板3にかしめ固定する装置である。このように金属板3にかしめ固定された鋲接点2は、例えば、金属板3が所定形状に切り抜かれることで、電気部品であるリレーの接点付き端子片として使用可能な接点部品に仕立てられる。
【0014】
鋲接点2は、頭部21と足部22とを有する。頭部21は、足部22の直径よりも大きい直径を有する円板状である。足部22は、頭部21の直径よりも小さい直径の円柱状であり、頭部21の裏面中央から突出している。鋲接点2は、頭部21の頭頂面21aがリレー装置の接点として機能する。鋲接点2は、足部22が金属板3の孔3aに挿入された状態でかしめ装置1によって上下から押圧(圧縮)される。この押圧によって足部22が押し潰されて拡径し、この拡径によって足部22が金属板3の孔3aに引っ掛かることで、鋲接点2が金属板3にかしめ固定される。
【0015】
鋲接点2は、例えば銅又は銀によって形成されている。
【0016】
本実施形態のかしめ装置1によるかしめ固定は、仮かしめを想定する。すなわち、かしめ装置1で仮かしめが行われ、その後、別の装置で本かしめが行われることを想定する。ただし、本実施形態のかしめ装置1によるかしめ固定で、仮かしめを省略して本かしめを行ってもよい。なお、仮かしめとは、鋲接点2を完全に押し潰さずに途中まで押し潰すことでかしめ固定することである。本かしめとは、鋲接点2を完全に押し潰すことでかしめ固定することである。
【0017】
(1-2)かしめ装置の全体構成
図2を参照してかしめ装置1の全体構成を説明する。
【0018】
図2に示すように、かしめ装置1は、第1供給機構5(供給機構)と、第2供給機構(図示省略)と、支持台6と、駆動カム7と、押圧部8(図6参照)とを備える。
【0019】
第1供給機構5(インラインフィーダーとも言う)は、複数の鋲接点2を第1方向P1に沿って並んだ状態で第1方向P1に搬送することで、複数の鋲接点2を1つずつ駆動カム7に供給する。図2の矢印F1は、複数の鋲接点2が第1方向P1に移動することを示している。
【0020】
より詳細には、第1供給機構5は、第1方向P1に延びた形に形成されている。第1供給機構5は、複数の鋲接点2を、足部22を上に向けかつ第1方向P1に沿って一列に整列させた状態で、第1方向P1に沿って第1供給機構5の第1端部5aから第2端部5bへと搬送する。第2端部5bは、第1端部5aの反対側の端である。本実施形態では、複数の鋲接点2は、隣り合うもの同士連結されて一列に繋がっている。そして、第1供給機構5は、第2端部5bへと搬送した複数の鋲接点2を1つずつ、足部22を上に向けた状態で、第1供給機構5の供給口5cから搬出して駆動カム7に供給する。なお、供給口5cは、第1供給機構5が搬送した鋲接点2を第1供給機構5から外部に搬出するための開口部であり、第1供給機構5の第2端部5bに設けられている。
【0021】
第2供給機構は、金属板3を1ピッチ分ずつかしめ位置T1に移動させる。ここで、金属板3は、帯状に形成されている。金属板3は、複数の孔3aを有する。複数の孔3aは、金属板3の厚さ方向に貫通している。複数の孔3aは、金属板3において金属板3の長手方向に沿って等間隔に設けられている。上記「1ピッチ」とは、金属板3における隣り合う2つの孔3aの中心の間隔である。図2の矢印F2は、金属板3が第1方向P1に1ピッチずつ移動することを示している。
【0022】
より詳細には、第2供給機構は、金属板3を第1方向P1に沿って1ピッチ分移動させることで、金属板3の複数の孔3aを1つずつ順番にかしめ位置T1の上方に配置させる。これにより、第2供給機構は、金属板3のかしめ対象の孔3aをかしめ位置T1の上方に配置させる。そして、第2供給機構は、後述のように駆動カム7によってかしめ位置T1に鋲接点2が配置されると、金属板3を下方に一定距離移動させる。これにより、金属板3のかしめ対象の孔3a(すなわち、かしめ位置T1の上方に配置された孔3a)に、かしめ位置T1に配置された鋲接点2の足部22が挿入される。そして、この挿入状態で、後述のように押圧部8が鋲接点2を上方から押圧することで鋲接点2を金属板3にかしめ固定した後に、金属板3を上方に一定距離移動させて元の高さ位置に戻す。
【0023】
支持台6は、駆動カム7を第2方向P2に移動可能に支持する。第2方向P2は、鉛直方向からの平面視で、第1方向P1に交差(例えば直交)する方向である。支持台6は、金属で形成されている。より詳細には、支持台6は、例えば金型によって構成されている。
【0024】
支持台6は、ガイド部9(図4参照)と、駆動機構10(図6参照)とを備える。ガイド部9は、駆動カム7の第2方向P2及びその反対方向P4の移動をガイドする部材である。ガイド部9の詳細は、後述する。駆動機構10は、駆動カム7及び押圧部8を駆動させる。より詳細には、駆動機構10は、駆動カム7を第2方向P2及びその反対方向P4に移動させる。また、駆動機構10は、押圧部8を上下方向に移動させる。駆動機構10の詳細は、後述する。
【0025】
駆動カム7は、第1供給機構5から供給された1つの鋲接点2(すなわち複数の鋲接点2のうちの先頭の鋲接点2i)を保持した状態で第2方向P2に移動することで、供給された1つの鋲接点2をかしめ位置T1に移動させる。
【0026】
より詳細には、駆動カム7は、例えば金属製のブロックで形成されている。駆動カム7の上面7uには、第1供給機構5から供給された1つの鋲接点2を保持する保持部71が設けられている。駆動カム7は、第1供給機構5の第1方向P1の端部に隣接して配置されている。換言すれば、駆動カム7における第1方向P1とは反対方向P3の端部の端面(側面7m)は、第1供給機構5の第2端部5bに隣接している。第1供給機構5から駆動カム7に供給された1つの鋲接点2は、駆動カム7の保持部71によって保持される。駆動カム7は、第1供給機構5から供給された1つの鋲接点2を保持部71で保持した状態で、第2方向P2に沿って第1の位置B1から第2の位置B2まで移動する。この移動により、駆動カム7は、第1供給機構5から供給された鋲接点2をかしめ位置T1に移動させる。
【0027】
ここで、第1の位置B1とは、駆動カム7の保持部71が第1供給機構5の供給口5cの正面に位置するときの駆動カム7の位置(例えば駆動カム7の端面7wの位置)である(図2参照)。端面7wは、駆動カム7の第2方向P2とは反対方向P4の端部の端面である。第2の位置B2とは、駆動カム7の保持部71がかしめ位置T1に位置するときの駆動カム7の位置(例えば駆動カム7の端面7wの位置)である(図3参照)。
【0028】
押圧部8(カシメパンチとも言う)は、かしめ位置T1において鋲接点2を上方から押圧することで、鋲接点2を金属板3のかしめ対象の孔3aにかしめ固定する(図6参照)。より詳細には、押圧部8は、かしめ位置T1に配置された鋲接点2であって、鋲接点2の足部22が金属板3のかしめ対象の孔3aに挿入された状態の鋲接点2を、上方から押圧する。この押圧によって、かしめ位置T1に配置された鋲接点2が、押圧部8と駆動カム7との間で押し潰されて金属板3のかしめ対象の孔3aにかしめ固定される。なお、かしめ固定とは、かしめられて固定されることである。
【0029】
(1-3)かしめ装置の全体動作
図2及び図3を参照して、かしめ装置1の全体動作を説明する。
【0030】
図2に示すように、かしめ装置1では、駆動カム7は、初期的に第1の位置B1に位置する。この状態で、複数の鋲接点2が、足部22を上に向けかつ一列に整列した状態で第1供給機構5の第1端部5aから第2端部5bへと搬送される。そして、複数の鋲接点2は、第1供給機構5の第2端部5bの供給口5cから1つずつ駆動カム7に供給される。そして、第1供給機構5から駆動カム7に供給された1つの鋲接点2は、駆動カム7の保持部71に配置されて保持部71によって保持される。また、金属板3が、第2供給機構よって第1方向P1に1ピッチ分移動される。これにより、金属板3の複数の孔3aのうちの1つの孔(かしめ対象の孔)3aがかしめ位置T1の上方に配置される。
【0031】
そして、図3に示すように、駆動カム7が第2方向P2に沿って第1の位置B1から第2の位置B2へと移動することで、保持部71に保持された鋲接点2がかしめ位置T1に配置される。図3の矢印F3は、駆動カム7が第1の位置B1から第2の位置B2へ移動したことを示している。かしめ位置T1に配置された鋲接点2は、金属板3のかしめ対象の孔3aの真下に配置される。そして、保持部71に保持された鋲接点2がかしめ位置T1に配置されると、第2供給機構によって金属板3が下方に一定距離下げられる。これにより、かしめ位置T1に配置された鋲接点2の足部22がかしめ対象の孔3aに挿入される。そして、この挿入状態で、押圧部8(図3では押圧部8は不図示)がかしめ位置T1に配置された鋲接点2を上方から押圧する。これにより、かしめ位置T1に配置された鋲接点2が金属板3のかしめ対象の孔3aにかしめ固定される。
【0032】
(1-4)第1供給機構、駆動カム及びガイド部の詳細
図4を参照して第1供給機構5、駆動カム7及びガイド部9の詳細を説明する。
【0033】
図4に示すように、第1供給機構5は、平面視長方形(より詳細には平面視で第1方向P1に長い長方形)の板状であり、例えば金属で形成されている。第1供給機構5の上面には、ガイド溝51が設けられている。ガイド溝51は、複数の鋲接点2を、足部22を上に向けかつ第1方向P1に沿って一列に整列させた状態で、第1供給機構5の第1端部5aから第2端部5bへと案内するための溝である。ガイド溝51は、第1供給機構5の長手方向(第1方向P1)に沿って第1供給機構5の第1端部5aから第2端部5bまで設けられている。ガイド溝51の長手方向の両端はそれぞれ、第1供給機構5の長手方向の両端部5a,5bで開放している。ガイド溝51の第1方向P1の開放端は、供給口5cを構成する。
【0034】
複数の鋲接点2は、ガイド溝51の第1端部5aからガイド溝51に搬入される。そして、複数の鋲接点2は、複数の鋲接点2のうちの最後尾の鋲接点2fが所定の押出装置によって第1方向P1に押される。これにより、複数の鋲接点2は、ガイド溝51に沿って第1供給機構5の第1端部5aから第2端部5bへと移動し、第1供給機構5の第2端部5bに設けられた供給口5cから駆動カム7に供給される。
【0035】
駆動カム7は、金属製であり、例えば略直方体形のブロック状に形成されている。
【0036】
駆動カム7の上面7uには、凹部72が設けられている。凹部72は、保持部71として機能する。凹部72の両側の内側面(すなわち第1方向P1の内側面及び第1方向P1とは反対方向P3の内側面)にはそれぞれ、駆動カム7の同側の側面まで貫通する開口部73が設けられている。すなわち、凹部72における第1方向P1の端部及び反対方向P3の端部はそれぞれ、駆動カム7の同側の側面で開放している。開口部73は、第1供給機構5から供給された鋲接点2を凹部72内に搬入可能な開口部である。
【0037】
より詳細には、駆動カム7の上面7uには、壁部74が設けられている。壁部74は、駆動カム7の上面7uにおいて、短手方向(第1方向P1)の中央から上方に突出し、かつ長手方向(第2方向P2)に沿って延在している。壁部74の第1方向P1の幅は、鋲接点2の幅(より詳細には鋲接点2の頭部21の直径)と同程度の幅である。駆動カム7の上面7uにおける壁部74の両側の領域7s,7tは、平坦面である。本実施形態では、壁部74の上面は、駆動カム7の上面7uの一部を構成し、壁部74の第1方向P1及びその反対方向P3の各々の端部の端面(側面)はそれぞれ、駆動カム7の同側の側面の一部を構成するものとする。
【0038】
凹部72は、壁部74の上面に形成されている。凹部72の深さは、鋲接点2の頭部21の厚さと同程度の深さである。凹部72の第1方向P1及び反対方向P3の各々の開口部73はそれぞれ、壁部74の同側の側面まで貫通している。すなわち、凹部72の第1方向P1及び反対方向P3の各々の端は、壁部74の同側の側面で開放している。換言すれば、凹部72の両側の開口部73は、壁部74の両側の側面に設けられている。
【0039】
凹部72の底面、駆動カム7の領域7s,7t、及びガイド溝51の底面は、互いに同じ高さ(すなわち段差無く平坦)である。これにより、第1供給機構5から駆動カム7に供給される鋲接点2は、第1供給機構5から凹部72の内部までスムーズに移動可能である。
【0040】
駆動カム7は、カム面76を有する。カム面76は、駆動カム7における第2方向P2とは反対方向P4の端部の端面7wの上方に設けられている。端面7wは、例えば鉛直な面である。カム面76は、端面7wに対して(すなわち鉛直に対して)第2方向P2に傾斜した傾斜面である。カム面76は、駆動カム7を第1方向P1に移動させるためのカムドライバ16(図6参照)によって下方に押される傾斜面である。
【0041】
駆動カム7は、壁部74の両側に第1凹角部及び第2凹角部を有する。第1凹角部は、壁部74における第1方向P1とは反対方向P3の端部の端面(側面74s)と、駆動カム7の領域7sとで構成される凹角部である。第2凹角部は、壁部74における第1方向P1の端部の端面(側面74t)と、駆動カム7の領域7tとで構成される凹角部である。
【0042】
ガイド部9は、駆動カム7の第2方向P2及び反対方向P4の移動をガイド(案内)する。ガイド部9は、支持台6に備えられている。ガイド部9は、ガイド壁91と、ガイドリブ92(閉塞部)と、ガイド棒93とを有する。
【0043】
ガイド壁91は、駆動カム7の第1方向P1の側の側面7nに隣接しかつ第1方向P1に延在して配置されている。駆動カム7は、ガイド壁91に沿って移動することで、第1方向P1に沿って第1の位置B1から第2の位置B2への移動が可能である。
【0044】
ガイドリブ92は、ガイド壁91から駆動カム7側に突出しかつガイド壁91の延在方向(第1方向P1)に沿って形成されている。ガイドリブ92は、駆動カム7の上記第2凹角部に嵌り合っている。すなわち、ガイドリブ92の突出方向(反対方向P3)の端面は、駆動カム7の壁部74の側面74tに隣接し、ガイドリブ92の下面は、駆動カム7の領域7t上に配置して領域7tと隣接する。ガイドリブ92は、駆動カム7が第1の位置B1及び第2の位置B2の何れの位置に位置するときも、駆動カム7の凹部72の第1方向P1側の開口部73を閉塞する。これにより、凹部72内に配置された鋲接点2が第1方向P1側の開口部73から外に抜け落ちることを防止できる。
【0045】
ガイド棒93は、駆動カム7の上記第1凹角部に沿って配置するように支持台6に固定されている。すなわち、ガイド棒93の第1方向P1の端部の端面(側面)は、駆動カム7の壁部74の側面74sに隣接し、ガイド棒93の下面は、駆動カム7の領域7sと隣接する。ガイド棒93は、駆動カム7が第1の位置B1に位置するときは、駆動カム7の凹部72における第1方向P1とは反対方向P3の側の開口部73を閉塞せず、駆動カム7が第2の位置B2に位置するときは、駆動カム7の反対方向P3側の開口部73を閉塞する。これにより、駆動カム7が第1の位置B1に位置するときは、第1供給機構5から駆動カム7の凹部72への鋲接点2の搬入をガイド棒93が妨げることを防止できる。他方、駆動カム7が第2の位置B2に位置するときは、ガイド棒93によって、凹部72内に配置された鋲接点2が反対方向P3側の開口部73から外に抜け落ちることを防止できる。
【0046】
ガイド棒93における第2方向P2とは反対方向P4の端部の端面93aは、第2方向P2において、第1供給機構5のガイド溝52の第2方向P2側の内側面51eと同じ位置に配置されている。また、ガイド棒93の端面93aは、駆動カム7が第1の位置B1に位置するときの凹部72の第2方向P2側の内側面72aと同じ位置に配置されている。これにより、これら3つの面(端面93a、内側面51e及び内側面72a)の間の段差が無くなり、第1供給機構5から凹部72への鋲接点2の移動がスムーズに行われる。
【0047】
また、駆動カム7が第1の位置B1から第2の位置B2に移動するとき、ガイド棒93の端面93aによって、複数の鋲接点2の先頭から2番目の鋲接点2(2s)が第2方向P2に移動することが防止される。これにより、駆動カム7が第1の位置B1から第2の位置B2に移動するとき、先頭の鋲接点2(2i)と2番目の鋲接点2(2s)との間に剪断力が作用して先頭の鋲接点2(2i)を2番目の鋲接点2(2s)から確実に切り離すことができる。
【0048】
次に図4及び図5を参照してかしめ装置1の動作を説明する。
【0049】
図4に示すように、かしめ装置1では、駆動カム7が第1の位置B1に位置するときに、第1供給機構5から駆動カム7の凹部72に鋲接点2が供給される。このとき、ガイドリブ92によって、凹部72内に配置された鋲接点2(先頭の鋲接点2i)が凹部72の第1方向P1側の開口部73から抜け落ちることが防止される。そして、この状態で、駆動カム7のカム面76がカムドライバ16(図6参照)によって下方に押されると、駆動カム7が、ガイド壁91に沿って(すなわち第2方向P2に沿って)第1の位置B1から第2の位置B2まで移動する(図5参照)。この移動により、凹部72内の鋲接点2(先頭の鋲接点2i)と2番目の鋲接点2(2s)との間に第2方向P2に沿った剪断力が作用して先頭の鋲接点2iが2番目の鋲接点2sから切り離される。なお、図5の矢印F4は、カムドライバ16によって駆動カム7のカム面76が下方に押されることを示し、矢印F3は、矢印F4で示す押しによって駆動カム7が第1の位置B1から第2の位置B2に移動することを示している。
【0050】
そして、図5に示すように、駆動カム7が第2の位置B2まで移動すると、駆動カム7の凹部72内の鋲接点2がかしめ位置T1に配置される。この状態では、凹部72の第1方向P1側の開口部73は、ガイドリブ92によって閉塞される。また、凹部72の第1方向P1とは反対方向P3側の開口部73は、ガイド棒93によって閉塞される。これにより、凹部72内の鋲接点2は、凹部72、ガイドリブ92及びガイド棒93によって、かしめ位置T1に位置決めされて配置される。また、第1供給機構5から供給される複数の鋲接点2のうちの2番目の鋲接点2sが駆動カム7の壁部74に突き当たる。これにより、複数の鋲接点2の第1方向P1への移動が一時停止する。
【0051】
(1-5)駆動機構の詳細
図6及び図7を参照して駆動機構10の詳細を説明する。
【0052】
駆動機構10は、駆動カム7を第2方向P2及びその反対方向P4に移動させたり、押圧部8を上下に移動させたりする機構である。駆動機構10は、支持台6(図2参照)に備えられている。駆動機構10は、固定ブロック11と、シャフト12、戻りばね13と、受板14と、可動ブロック15と、カムドライバ16とを備える。
【0053】
固定ブロック11は、駆動カム7を第2方向P2及びその反対方向P4に移動可能に支持する部材である。固定ブロック11は、床に固定されている。固定ブロック11は、ガイド部9(図6では図視省略)を備えており、ガイド部9によって駆動カム7が第2方向P2及びその反対方向P4に沿って移動するようにガイドする。
【0054】
固定ブロック11の上面には、駆動カム7を第2方向P2及びその反対方向P4に沿って移動可能に収容する収容凹部111が設けられている。
【0055】
固定ブロック11の壁部11aには、ばね孔11bとシャフト孔11cとが設けられている。壁部11aは、収容凹部111の第2方向P2側の内側面111pを構成する壁部である。ばね孔11bは、戻りばね13が挿入される孔であり、底を有する円筒状の孔である。ばね孔11bは、収容凹部111の内側面111pから第2方向P2に沿って設けられている。シャフト孔11cは、シャフト12が第2方向P2及びその反対方向P4に移動可能にシャフト12を支持する孔である。シャフト孔11cの直径は、ばね孔11bの直径よりも小さい。シャフト孔11cは、ばね孔11bの底面から第2方向P2に沿って固定ブロック11の外部まで貫通している。
【0056】
シャフト12は、戻りばね13を支持する棒である。シャフト12は、ばね孔11b及びシャフト孔11cを挿通して配置されている。シャフト12の一端は、収容凹部111内に収容された駆動カム7の第2方向P2の端部の端面(側面7g)に連結されている。
【0057】
戻りばね13は、駆動カム7を第2方向P2とは反対方向P4に付勢するばねである。戻りばね13は、シャフト12の外周に装着されかつ弾性圧縮された状態でばね孔11bに挿入されている。
【0058】
受板14は、駆動カム7によって第2方向P2とは反対方向P4に押されたカムドライバ16を受け止める板である。受板14は、収容凹部111の反対方向P4の端部の面(内側面111q)に設けられている。
【0059】
収容凹部111に駆動カム7が収容された状態では、駆動カム7は、戻りばね13によって第2方向P2とは反対方向P4に付勢されて、第1の位置B1に配置される。この配置では、駆動カム7の反対方向P4の端面7wは、受板14に接触している(図6参照)。
【0060】
可動ブロック15は、固定ブロック11の上方(すなわち駆動カム7の上方)に配置されており、固定ブロック11に対して(すなわち駆動カム7に対して)相対的に上下動する。可動ブロック15の下面15aには、押圧部8とカムドライバ16とが固定されている。押圧部8及びカムドライバ16は、可動ブロック15に固定されることで、互いに一体的に移動する。
【0061】
押圧部8は、かしめ位置T1に配置された鋲接点2を上方から押圧してかしめる部材である。押圧部8は、例えば棒状である。押圧部8は、可動ブロック15の下面15aから下方に突出している。押圧部8は、かしめ位置T1の上方に配置している。
【0062】
カムドライバ16は、駆動カム7のカム面76を上方から下方に押すことで、駆動カム7を第2方向P2に沿って第1の位置B1から第2の位置B2へと移動させる部材である。カムドライバ16は、例えば矩形の柱状である。カムドライバ16は、可動ブロック15の下面15aから下方に突出している。カムドライバ16は、駆動カム7のカム面76の上方に配置している。カムドライバ16の下端面は、カム面16aを構成する。カム面16aは、駆動カム7のカム面76の傾斜と平行な傾斜を有する傾斜面である。
【0063】
次に図6及び図7を参照してかしめ装置1の動作を説明する。
【0064】
かしめ装置1では、可動ブロック15が第1動作位置(最高位置)z1から第4動作位置(最低位置)z4まで下がることで、駆動カム7によって第2の位置B2に配置された鋲接点2が、第2供給機構によって供給された金属板3にかしめ固定される。なお、可動ブロック15の動作位置は、可動ブロック15の下面15aにおける上下方向の位置を基準とする。
【0065】
図6に示すように、可動ブロック15は、最初、第1動作位置z1に配置されている。この配置状態では、カムドライバ16は駆動カム7の上方に配置され、押圧部8はかしめ位置T1の上方に配置されている。また、上記の配置状態では、駆動カム7は、第1の位置B1に配置されている。そして、駆動カム7の凹部72には、鋲接点2が配置されている。また、上記の配置状態では、第2供給機構が金属板3を1ピッチ分移動させることで、金属板3のかしめ対象の孔3aがかしめ位置T1の一定距離上方に配置されている。なお、図6では、金属板3は、紙面直交方向において手前から奥に向けて供給される。
【0066】
そして、図7に示すように、可動ブロック15が、第1動作位置z1から第2動作位置z2を通過して第3動作位置z3まで降下する。このとき、可動ブロック15が第1駆動位置z1から第2動作位置z2まで下がると、カムドライバ16のカム面16aの上端16mが駆動カム7のカム面76の下端76mと接触するまで、カムドライバ16のカム面16aが駆動カム7のカム面76を上方から下方へと押圧する。この押圧によって、駆動カム7が第2方向P2に沿って第1の位置B1から第2の位置B2まで移動する。駆動カム7が第2の位置B2に配置された状態では、駆動カム7が金属板3の下側に潜り込んで、駆動カム7の凹部72内の鋲接点2がかしめ位置T1に配置される。
【0067】
そして、可動ブロック15が第2動作位置z2から第3動作位置z3まで移動すると、カムドライバ16が駆動カム7の端面7wに沿って一定距離降下する。これにより、可動ブロック15が第2の位置B2に配置することを安定させることができる。そして、可動ブロック15は、第3動作位置z3で一時停止する。図7の矢印F5は、可動ブロック15が第1動作位置z1から第3動作位置z3まで降下したことを示し、矢印F3は、矢印F5で示す降下によって駆動カム7が第1の位置B1から第2の位置B2に移動したことを示している。
【0068】
そして、可動ブロック15が第3動作位置z3で一時停止している間に、図7の矢印Y1に示すように、第2供給機構が金属板3を一定距離降下させることで、かしめ位置T1に配置された鋲接点2の足部22を金属板3のかしめ対象の孔3aに挿通させる。
【0069】
そして、可動ブロック15が第3動作位置z3から第4動作位置z4まで降下する。この降下により、押圧部8の下端が、かしめ位置T1に配置されかつ金属板3のかしめ対象の孔3aに挿通された鋲接点2を上方から押圧する。これにより、当該鋲接点2が金属板3のかしめ対象の孔3aにかしめ固定される。
【0070】
そして、以上の動作を逆に辿ることで、可動ブロック15を第4動作位置z4から第1動作位置z1へと戻し、かつ金属板3を元の高さ位置に戻す。そして、以上の動作を繰り返すことで、第1供給機構5から駆動カム7に1つずつ供給される鋲接点2を、金属板3の複数の孔3aに順番にかしめ固定する。
【0071】
(1-6)かしめ装置の動作のタイミングチャート
図8を参照してかしめ装置1の動作を説明する。
【0072】
図8は、可動ブロック15を所定のカムシャフト(図示省略)の回転によって上下動作させる場合において、上記カムシャフトの1回転で可動ブロック15の1周期の動作を実現する場合のタイミングチャートである。なお、上記カムシャフトは、一定速度で常時回転している。
【0073】
なお、図8において、角度θ0~θ9は、上記カムシャフトの回転角を示す。上記カムシャフトは角度θ0の位置から右回りに回転し、この回転に伴って可動ブロック15などの動作が進行する。また、例えば、角度θ1の横の括弧書きのz1は、上記カムシャフトの回転角が角度θ1のときに可動ブロック15が第1動作位置z1に配置することを意味する。また、角度θ3から角度θ4への括弧書きの矢印Y1は、上記カムシャフトの回転角が角度θ3~θ4の区間で、図7の矢印Y1で示す動作が行われることを示す。
【0074】
上記カムシャフトの回転角が角度θ0のときは、可動ブロック15は、第1動作位置z1に配置されている。そして、上記カムシャフトの回転角が角度θ0~θ1の区間では、可動ブロック15は停止しており、第2供給機構が金属板3を1ピッチ分移動させてかしめ対象の孔3aをかしめ位置T1の一定距離上方に配置させる。
【0075】
そして、上記カムシャフトの回転角が角度θ1~θ2の区間では、可動ブロック15が第1動作位置z1から第2動作位置z2まで降下する。この降下により、駆動カム7が第1の位置B1から第2の位置B2まで移動することで、駆動カム7の凹部72に配置された鋲接点2がかしめ位置T1に配置される。そして、上記カムシャフトの回転角が角度θ2~θ3の区間では、可動ブロック15が第2動作位置z2から第3動作位置z3まで降下する。この降下により、カムドライバ16が駆動カム7の端面7wに沿って一定距離降下する。そして、上記カムシャフトの回転角が角度θ3のときに、可動ブロック15は、第3動作位置z3に配置されて一時停止する。
【0076】
そして、上記カムシャフトの回転角が角度θ3~θ4の区間では、第2供給機構が金属板3を一定距離降下させることで、金属板3のかしめ対象の孔3aに、かしめ位置T1に配置された鋲接点の足部22を挿通させる。そして、上記カムシャフトの回転角が角度θ4~θ5の区間では、可動ブロック15が第3動作位置z3から第4動作位置z4まで降下する。これにより、押圧部8がかしめ位置T1に配置された鋲接点2を押圧することで、当該鋲接点2を、金属板3のかしめ対象の孔3aにかしめ固定する。
【0077】
そして、上記カムシャフトの回転角が角度θ5から角度θ6~θ9を経て角度θ0に戻る。角度θ6~θ9はそれぞれ、角度θ4~θ1と鏡像対称な角度である。すなわち、上記カムシャフトの回転角が角度θ5~θ9の区間では、上記カムシャフトの回転角が角度θ1~θ5の区間であるときの動作を逆に辿る動作が行われる。これにより、可動ブロック15が第1動作位置z1に戻り、金属板3が元の高さ位置に戻る。そして、上記カムシャフトの回転角が区間θ9~θ0の区間では、かしめ装置1は特に動作せずに待機する。
【0078】
なお、本実施形態では、上記カムシャフトの回転角が角度θ0から回転し始めることに伴ってかしめ装置1が動作開始し、上記カムシャフトの回転角が角度θ0~θ1の区間で第2供給機構が金属板3を1ピッチ分移動させる。ただし、上記カムシャフトの回転角が角度θ9から回転し始めるようにして、上記カムシャフトの回転角が角度θ9~θ1の区間で第2供給機構が金属板3を1ピッチ分移動させてもよい。これにより、上記カムシャフトの回転角が角度θ9~θ0の区間で、かしめ装置1が待機するという動作を省略できる。
【0079】
(1-7)かしめ装置に対する比較評価
本実施形態のかしめ装置1と比較例のかしめ装置とで、設置スペース及び鋲接点供給速度を比較する。
【0080】
比較例のかしめ装置は、供給機構(供給機構5に相当)、吸着保持部、回転テーブル装置と、押圧部と、を備える。バーツフィーダーは、かしめ装置1の供給機構5と同様に、鋲接点を1つずつ供給する。吸着保持部は、供給機構から供給された鋲接点を吸着して持ち上げて回転テーブル装置の上面の縁部に配置させる。回転テーブル装置は、回転することで回転テーブル装置に配置された鋲接点をかしめ位置まで移動させる。押圧部は、かしめ装置1の押圧部8と同様に、かしめ位置に配置された鋲接点を上方から押圧することで、回転テーブル装置と押圧部との間で当該鋲接点を押し潰す。これにより、当該鋲接点を、かしめ位置に配置された金属板の孔にかしめ固定する。
【0081】
鋲接点供給速度とは、本実施形態のかしめ装置1では、第1供給機構5からかしめ位置T1までの鋲接点2の移動時間であり、比較例のかしめ装置では、供給機構からかしめ位置までの鋲接点の移動時間である。
【0082】
まず、鋲接点供給速度を比較する。比較例のかしめ装置では、供給機構から供給された鋲接点を、吸着保持部及び回転テーブル装置を用いてかしめ位置まで移動させる。この場合、鋲接点の移動時間は、吸着保持部で1秒掛かり、回転テーブル装置で1秒掛かるため、合計で2秒掛かる。本実施形態のかしめ装置1では、第1供給機構5から供給された鋲接点2を駆動カム7によってかしめ位置T1まで移動させる。この場合、鋲接点2の移動時間は、駆動カム7で0.4秒掛かるだけである。よって、本実施形態のかしめ装置1は、比較例のかしめ装置と比べて、鋲供給速度が速い。
【0083】
次に、設置スペースを比較する。比較例のかしめ装置は、鋲接点をかしめ位置に供給するために、供給機構、吸着保持部及び回転テーブル装置を備える。これに対し、本実施形態のかしめ装置1は、鋲接点2をかしめ位置T1に供給するために、第1供給機構5及び駆動カム7を備える。このため、本実施形態のかしめ装置1では、比較例のかしめ装置と比べて、鋲接点2をかしめ位置T1に供給するための装置の数を低減できるため、かしめ装置1の設置スペースを省スペース化できる。
【0084】
本実施形態の駆動カム7は、第1方向P1(第1供給機構5による鋲接点2の搬送方向)に直交する第2方向P2に移動する装置であるため、簡易な構成で構成可能であり、簡易な構造である分、設置スペースの省スペース化が容易である。これに対し、比較例の吸着保持部は、鋲接点のエア吸着、持ち上げ、平行移動、下ろすという動作を行わせるため、構造が複雑になり、複雑な構造である分、設置スペースが比較的大きくなる。また、比較例の回転テーブル装置も、回転テーブルの直径を或る程度の大きさで確保する必要があるため、設置スペースが比較的大きくなる。よって、比較例のかしめ装置では、吸着保持部及び回転テーブル装置の各々が、本実施形態の駆動カム7よりも設置スペースが大きくなり易い。このため、比較例のかしめ装置は、本実施形態のかしめ装置1と比べて、設置スペースが大きくなる。
【0085】
(1-8)主要な効果
以上で説明した本実施形態のかしめ装置1は、第1供給機構5(供給機構)と、駆動カム7とを備える。第1供給機構5は、複数の鋲接点2を第1方向P1に沿って並んだ状態で第1方向P1に搬送することで、複数の鋲接点2を1つずつ供給する。駆動カム7は、第1供給機構5から供給された1つの鋲接点2を保持した状態で第1方向P1に直交する第2方向P2に移動することで、上記1つの鋲接点2をかしめ位置T1まで移動させる。
【0086】
このため、従来のかしめ装置と比べて、ピック・プレイス装置及び回転テーブル装置を用いずに、駆動カム7によって、第1供給機構5から供給された鋲接点2をかしめ位置T1に移動させる。このため、かしめ装置1の設置スペースを省スペース化でき、かつかしめ位置T1への鋲接点供給速度を向上できてかしめ製品の生産性を向上できる。
【0087】
(2)態様
上記の実施形態から本開示は下記の態様を取り得る。
【0088】
第1の態様のかしめ装置(1)は、供給機構(5)と、駆動カム(7)と、を備える。供給機構(5)は、複数の鋲接点(2)を第1方向(P1)に沿って並んだ状態で第1方向(P1)に搬送することで、複数の鋲接点(2)を1つずつ供給する。駆動カム(7)は、供給機構(5)から供給された1つの鋲接点(2)を保持した状態で第1方向(P1)に交差する第2方向(P2)に移動することで、1つの鋲接点(2)をかしめ位置(T1)まで移動させる。
【0089】
この構成によれば、従来のかしめ装置(1)を比べて、ピック・プレイス装置(吸着保持部)及び回転テーブル装置を用いずに、駆動カム(7)によって、供給機構(5)から供給された鋲接点(2)をかしめ位置(T1)に移動させる。このため、かしめ装置(1)の設置スペースを省スペース化でき、かつかしめ位置(T1)への鋲接点(2)の供給速度を向上できてかしめ製品の生産性を向上できる。
【0090】
第2の態様のかしめ装置(1)は、第1の態様において、駆動カム(7)は、駆動カム(7)の上面に設けられている凹部(72)を有する。上記1つの鋲接点(2)は、供給機構(5)から駆動カム(7)に供給されて駆動カム(7)の凹部(72)に保持される。
【0091】
この構成によれば、簡単な構造で鋲接点(2)を駆動カム(7)に保持させることができる。
【0092】
第3の態様のかしめ装置(1)では、第2の態様において、凹部(72)は、供給機構(5)から供給された上記1つの鋲接点(2)を凹部(72)に搬入可能な開口部(73)を有する。開口部(73)は、凹部(72)の内側面において駆動カム(7)の側面まで貫通するように設けられている。
【0093】
この構成によれば、鋲接点(2)を開口部(73)から凹部(72)に円滑に搬入できる。
【0094】
第4の態様のかしめ装置(1)では、第3の態様において、駆動カム(7)は、駆動カム(7)の上面に、第2方向(P2)に延在する壁部(74)を有する。凹部(72)は、壁部(74)の上面に設けられている。開口部(73)は、壁部(74)の側面に設けられている。
【0095】
この構成によれば、壁部(74)の幅(第1方向(P1)の幅)を適宜幅に設定することで、凹部(72)の同方向の幅を適宜幅に設定できる。例えば、凹部(72)の同方向の幅を鋲接点(2)の幅と同じ幅に設定できる。これにより、凹部(72)内に配置された鋲接点(2)における第1方向(P1)及びその反対方向(P3)の各々の位置決めを、駆動カム(7)の移動を案内するガイド部(9)を用いて容易に行える。
【0096】
第5の態様のかしめ装置(1)は、第4の態様において、駆動カム(7)を第2方向(P2)に移動するように駆動カム(7)を案内するガイド部(9)を更に備える。壁部(74)の両側の側面に開口部(73)が設けられている。ガイド部(9)は、凹部(72)の両側の開口部(73)のうち、上記1つの鋲接点(2)を凹部(72)に搬入するために用いられない開口部(73)を塞ぐ閉塞部(92)を有する。
【0097】
この構成によれば、凹部(72)の両側の開口部(73)のうち、一方の開口部(73)から搬入された鋲接点(2)が他方の開口部(73)から外部に抜け落ちることを防止できる。
【0098】
第6の態様のかしめ装置(1)は、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、可動ブロック(15)と、カムドライバ(16)と、押圧部(8)と、を備える。可動ブロック(15)は、駆動カム(7)の上方に配置され、駆動カム(7)に対して相対的に上下動する。カムドライバ(16)は、可動ブロック(15)に固定されている。押圧部(8)は、可動ブロック(15)に固定されている。駆動カム(7)は、傾斜面であるカム面(76)を有する。カムドライバ(16)は、下方に移動してカム面(76)を上方から押すことで、駆動カム(7)を第2方向(P2)に移動させる。押圧部(8)は、下方に移動してかしめ位置(T1)に移動させられた上記1つの鋲接点(2)を上方から押圧し、上記1つの鋲接点(2)を、上方から押圧することで金属板(3)の孔(3a)にかしめ固定する。可動ブロック(15)が下方に移動することで、カムドライバ(16)及び押圧部(8)が一体的に下方に移動する。
【0099】
この構成によれば、可動ブロック(15)によってカムドライバ(16)と押圧部(8)とを一体的に移動させることができる。これにより、かしめ装置(1)の機構を簡素化できて、かしめ装置(1)の設置スペースをより省スペース化できる。
【符号の説明】
【0100】
1 かしめ装置
2 鋲接点
5 第1供給機構(供給機構)
7 駆動カム
8 押圧部
9 ガイド部
15 可動ブロック
16 カムドライバ
72 凹部
73 開口部
74 壁部
76 カム面
92 ガイドリブ(閉塞部)
P1 第1方向
P2 第2方向
P4 反対方向
T1 かしめ位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8