(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047978
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】制御装置及び給排水システム
(51)【国際特許分類】
E03D 5/10 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
E03D5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157197
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木原 由起子
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039DA04
2D039FB00
2D039FC00
2D039FC09
2D039FC10
(57)【要約】
【課題】 複数の衛生設備機器で使用される水量の総量を考慮して、特定の衛生設備機器で使用される水量を制御する技術を提供する。
【解決手段】 制御装置は、複数の衛生設備機器で実際に使用される実際水量に関連する第1指標と、前記複数の衛生設備機器において使用すべき目標である目標水量に関連する第2指標と、を用いて、前記実際水量が前記目標水量を越えないように、前記複数の衛生設備機器に含まれる1個以上の特定の衛生設備機器に供給される水量を制御する制御部を備えていてもよい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の衛生設備機器で実際に使用される実際水量に関連する第1指標と、前記複数の衛生設備機器において使用すべき目標である目標水量に関連する第2指標と、を用いて、前記実際水量が前記目標水量を越えないように、前記複数の衛生設備機器に含まれる1個以上の特定の衛生設備機器に供給される水量を制御する制御部を備える制御装置。
【請求項2】
前記第1指標は、前記複数の衛生設備機器のそれぞれにおいて実際に使用される水量を含み、
前記第2指標は、前記複数の衛生設備機器のそれぞれにおいて使用すべき目標である水量を含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記目標水量と前記実際水量との差分を用いて、前記特定の衛生設備機器に供給される水量を制御する、請求項1から2のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記目標水量と前記実際水量との差分が大きいほど、前記特定の衛生設備機器に供給される水量が多くなるように、前記特定の衛生設備機器に供給される水量を制御する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1指標は、前記複数の衛生設備機器から排出される排水が流れる排水管内の排水の流れに関連する指標を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記排水管は、
前記複数の衛生設備機器のそれぞれから延びる第1排水管と、
複数の前記第1排水管が合流する第2排水管と、を備え、
前記第1指標は、前記第2排水管を流れる前記排水の水量を含む、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数の衛生設備機器の使用頻度に関連する第3指標をさらに用いて、前記特定の衛生設備機器に供給される水量を制御する、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数の衛生設備機器のそれぞれについて、当該衛生設備機器が使用されている使用時刻、当該衛生設備機器の周囲の温度、前記複数の衛生設備機器の稼働状況、及び、前記複数の衛生設備機器の施工状態の少なくともひとつに関連する第4指標をさらに用いて、前記特定の衛生設備機器に供給される水量を制御する、請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記複数の衛生設備機器から排出される排水が流れる排水管の詰まりが発生している場合に、前記排水管に、前記排水管とは異なる通水管に流れる水を供給する、請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記複数の衛生設備機器は、水洗式便器を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
複数の衛生設備機器は、1個の管理領域内に配置されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
複数の衛生設備機器と、
請求項1から11のいずれか一項に記載の制御装置と、を備える、給排水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、複数の衛生設備機器のための制御装置及び給排水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、水洗大便器に供給される洗浄水の水量を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、1個の衛生設備機器で使用される水量を制御する。本明細書では、複数の衛生設備機器で使用される水量の総量を考慮して、特定の衛生設備機器で使用される水量を制御する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示の技術は、制御装置に関する。制御装置は、複数の衛生設備機器で実際に使用される実際水量に関連する第1指標と、前記複数の衛生設備機器において使用すべき目標である目標水量に関連する第2指標と、を用いて、前記実際水量が前記目標水量を越えないように、前記複数の衛生設備機器に含まれる1個以上の特定の衛生設備機器に供給される水量を制御する制御部を備えていてもよい。
【0006】
複数の衛生設備機器と、上記の制御装置と、を備える給排水システムも新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】管理領域内の水洗式便器の配管構造の概要図を示す。
【
図2】給排水システムのシステム構成を表すブロック図を示す。
【
図3】第1実施形態の給水管理処理のフローチャートを示す。
【
図4】第1実施形態の1回水量決定処理のフローチャートを示す。
【
図5】第5実施形態の1回水量決定処理のフローチャートを示す。
【
図6】第9実施形態の管理領域内の水洗式便器の配管構造の概要図を示す。
【
図7】第10実施形態の管理領域内の水洗式便器の配管構造の概要図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
(給排水システムの構成)
図1に示すように、管理領域1には、複数の水洗式便器100を備える給排水システム2が設置されている。
図1では、3個の水洗式便器100a、100b、100cが配置されている。管理領域1に配置される複数の水洗式便器100の個数には制限は無い。管理領域1は、1個の建物、1個の遊園地、動物園、1個の街区、及び、1個の町の少なくとも1個の領域のように、特に制限は無い。1個の街区及び町には、1個以上の建物及び1個以上の野外施設の少なくともいずれかが含まれている。管理領域1では、管理領域1内の複数の水洗式便器100の排水が管理領域1内の1本の排水管6に合流して、管理領域1の外側に設置されている下水管8に連通している。管理領域1は、例えば1か月の特定期間において使用する目標の水量が予め設定されている領域である。管理領域1は、使用する水量が一括管理されている領域である。「水量」の単位はリットルである。変形例では、「水量」の単位は、例えばガロンのように、リットル以外の単位であってもよい。
【0009】
複数の水洗式便器100のそれぞれには、管理領域1の外側に設置されている上水管3に連通する給水管4から水が供給される。複数の水洗式便器100のそれぞれは、給水管4から分岐する分岐管4a、4b、4cに接続されている。複数の水洗式便器100のそれぞれは、分岐管6a、6b、6cに接続されている。複数の水洗式便器100のそれぞれで使用された水は、分岐管6a、6b、6cのそれぞれを介して排水管6に流れる。排水管6には、さらに、複数の水洗式便器100のそれぞれによって受け止められた排泄物が、分岐管6a、6b、6cのそれぞれを介して流れ込む。排水管6の水及び排泄物は、排水管6を流れて下水管8に到達する。
【0010】
排水管6には、循環経路9が接続されている。循環経路9は、三方弁9aと、循環管9bと、ポンプ9cと、を備える。三方弁9aは、分岐管6a、6b、6cの合流位置よりも下流の排水管6に配置される。循環管9bの一端は、三方弁9aを介して排水管6に連通している。循環管9bの他端は、排水管6の上端に接続されている。三方弁9aは、循環管9bが排水管6と連通している状態と、循環管9bが排水管6から遮断されている状態と、に切り替える。ポンプ9cは、排水管6内の水を、循環管9bを利用して排水管6の下流側から上流側に向けて送り出す。
【0011】
排水管6の三方弁9aよりも下流側には、流量センサ50が配置されている。流量センサ50は、複数の水洗式便器100に接続される分岐管6a、6b、6cが合流した後の排水管6に設置される。流量センサ50は、複数の水洗式便器100で使用され排水管6に排水された水の総量を検知する。流量センサ50は、超音波式及び電磁式の一方のセンサ装置であってもよい。
【0012】
図2に示すように、給排水システム2は、複数の水洗式便器100の他に、制御装置10を備える。制御装置10は、複数の水洗式便器100を制御する。制御装置10は、制御部12と、格納部14と、通信モジュール16と、を備える。制御部12と格納部14と通信モジュール16とは、図示省略したバスバーによって通信可能に接続されている。制御部12は、CPUを有する。制御部12は、コンピュータプログラムに従った処理をCPUが実行することによって、複数の水洗式便器100を制御する。
【0013】
格納部14は、例えばハードディスク、ROM及びRAMの少なくとも1種類のメモリを有する。格納部14は、制御部12のためのコンピュータプログラム及び制御部12の処理に必要なデータを格納する。
【0014】
通信モジュール16は、制御部12と他の装置とを通信可能に接続するためのインターフェイスを備える。例えば、通信モジュール16は、LAN(Local Area Networkの略)と通信するためのインターフェイス及び無線通信を実行するためのインターフェイスの少なくとも一方を備えていてもよい。制御部12は、通信モジュール16を介して、複数の便器側制御部110と、流量センサ50と、PC150と、のそれぞれと通信可能に接続されている。
【0015】
複数の便器側制御部110のそれぞれは、複数の水洗式便器100のそれぞれに配置されている。
図2では、3個の水洗式便器100a、100b、100cのそれぞれに配置される3個の便器側制御部110a、110b、110cが表されている。複数の便器側制御部110の個数は、複数の水洗式便器100の個数と同一である。制御部12は、便器側制御部110aに対して、水洗式便器100aの1回の洗浄で供給する水量を表す1回水量指示情報を供給する。便器側制御部110aは、水洗式便器100aの利用者による操作を受け付けると、上水管3から供給される洗浄水を、水洗式便器100aに供給する。便器側制御部110aは、取得済みの1回水量指示情報によって表される1回水量SVの洗浄水を、水洗式便器100aに供給する。便器側制御部110aは、新たに1回水量指示情報が取得されると、1回水量指示情報を更新する。これにより、水洗式便器100aに供給される洗浄水の水量が変更される。変形例では、便器側制御部110aは、人感センサのようなセンサ装置の検知、及び、タイマによる定期的なタイミングで水洗式便器100aに洗浄水を供給してもよい。
【0016】
便器側制御部110aは、水洗式便器100aに洗浄水を供給する毎に、水洗式便器100aを表す識別情報と、洗浄水を供給することを示す洗浄情報と、の組み合わせを、制御装置10に送信する。便器側制御部110b、110cのそれぞれは、水洗式便器100b、100cのそれぞれに対して、便器側制御部110aと同様の制御を実行する。
【0017】
流量センサ50は、制御部12に、排水管6を流れる水の流量を示す流量情報を繰り返し送信する。PC150は、給排水システム2の管理者のコンピュータである。変形例では、PC150に替えて、管理者の携帯端末であってもよい。
【0018】
(給水管理処理)
制御部12は、給水管理処理によって、複数の水洗式便器100に供給される洗浄水の水量を管理する。給水管理処理は、制御装置10が起動されると開始される。
図3に示すように、S12では、制御部12は、複数の水洗式便器100のそれぞれが1回の洗浄において供給する1回水量SVを設定する。具体的には、制御部12は、複数の便器側制御部110のそれぞれに対して、1回水量指示情報を送信する。便器側制御部110aは、1回水量指示情報が受信されると、1回水量指示情報で表される1回水量SVを、水洗式便器100aの洗浄水量として設定する。便器側制御部110b、110cも同様に、1回水量指示情報が受信されると、1回水量指示情報で表される1回水量SVを、水洗式便器100b、100cの洗浄水量として設定する。
【0019】
S12では、制御部12は、さらに、複数の水洗式便器100のそれぞれについて、当該水洗式便器100の識別情報と、1回水量SVを表すSV情報と、を対応付けて、格納部14に格納させる。制御部12は、識別情報とSV情報とに、洗浄回数を表す回数情報をさらに対応付けて、格納部14に格納させる。S12では、回数情報として、0回を表す情報が格納される。S12では、さらに、制御部12は、1回水量SVが設定されてからの期間を計時するための計測を開始する。変形例では、制御部12は、SV情報を、水洗式便器100の識別情報と対応付けずに格納部14に格納してもよい。
【0020】
管理領域1には、特定期間において、複数の水洗式便器100で使用される洗浄水の水量の総量を制限する制限水量が設定されている。管理領域1には、さらに、複数の水洗式便器100の1回の洗浄で使用される洗浄水の水量の総量の目標値が設定されている。即ち、目標値は、複数の水洗式便器100のそれぞれで1回の洗浄が行われた際に、複数の水洗式便器100において使用される洗浄水の総量を表す。目標値は、複数の水洗式便器100の洗浄回数に基づいて、制限水量を超えないように設定されていてもよい。格納部14には、予め制限水量を表す制限水量情報が格納されている。管理者は、PC150を操作することによって、格納部14に格納されている制限水量情報を変更することによって、制限水量を変更することができる。制御部12が起動された直後のS12では、制御部12は、(目標値/複数の水洗式便器100の個数)を計算することによって1回水量SVを算出する。
【0021】
S14では、制御部12は、使用水量取得処理を実行する。具体的には、制御部12は、水洗式便器100aにおいて洗浄水が供給される毎に、便器側制御部110aから送信される水洗式便器100aを表す識別情報と、洗浄水を供給することを示す洗浄情報と、の組み合わせを受信する。制御部12は、識別情報と洗浄情報との組み合わせを受信すると、受信された識別情報と一致する識別情報に対応付けて格納部14に格納されている回数情報で表される回数に「1」を加算する。制御部12は、複数の水洗式便器100のそれぞれについて、同様の処理を実行する。
【0022】
S16では、制御部12は、排水量取得処理を実行する。具体的には、制御部12は、流量センサ50から繰り返し取得される流量を積算する。制御部12は、S14及びS16の処理を、第1期間が経過する(S18でYES)まで継続的に実行する。第1期間は、管理者によって予め設定されている。第1期間は、特定期間よりも短く、例えば1週間である。管理者がPC150を操作することによって、第1期間が変更可能であってもよい。
【0023】
第1期間が経過すると(S18でYES)、S20では、制御部12は、1回水量SVを決定するための1回水量決定処理を実行する。これにより、新たに設定すべき1回水量SVが決定される。S22では、制御部12は、前回のS22の処理から第2期間が経過しているか否かを判断する。第2期間は、第1期間よりも長い。第2期間は、特定期間と同一であってもよい。制御部12は、給水管理処理が開始されてから初めてのS22の処理を実行する場合、給水管理処理が開始されてから第2期間が経過しているか否かを判断する。第2期間が経過していると判断される場合(S22でYES)、S24において、制御部12は、第2期間において、S14で積算された使用水量を表す積算水量情報を、PC150に送信して、S12に戻る。第2期間が経過していないと判断される場合(S22でNO)、S24をスキップして、S12に戻る。
【0024】
これにより、S12では、制御部12は、S20で決定された1回水量SVを、複数の水洗式便器100のそれぞれに設定する。
【0025】
(1回水量決定処理)
図4を参照して、制御部12が実行するS20の1回水量決定処理について説明する。S32では、制御部12は、排水管6に詰まりが発生しているか否かを判断する。具体的には、制御部12は、第1期間において実際に使用された水量、即ち、第1期間におけるS12で取得済みの使用水量の積算値(以下「実際水量」と呼ぶ)と、S14で取得済みの排水量の積算値と、の水量差が所定値を超えている場合、排水管6に詰まりが発生していると判断する。実際水量は、複数の水洗式便器100のそれぞれについて算出される1回水量SVに洗浄回数を乗算した値を積算することによって算出される。所定値は、例えば、実際水量の0.1倍であってもよい。複数の水洗式便器100で使用された洗浄水は、排水管6に流入する。このため、流量センサ50で検出される排水の流量の積算値は、使用水量の積算値にほぼ等しくなるはずである。しかしながら、排水管6に詰まりが発生している場合、排水管6の途中で水が遮られて、使用水量の少なくとも一部が、流量センサ50まで到達しない。S32では、第1期間における実際水量と排水量の積算値とを比較することによって、詰まりの有無を判断することができる。
【0026】
詰まりが発生していると判断される場合(S32でYES)、即ち、実際水量と、S14で取得済みの排水量の積算値と、の水量差が所定値を超えている場合、S34において、制御部12は、実際水量が、目標水量未満か否かを判断する。目標水量は、{制限水量×(第1期間/特定期間)}で算出される。実際水量が目標水量以上と判断される場合(S34でNO)、S36において、制御部12は、三方弁9aを、排水管6と循環管9bとが遮断されている状態から、排水管6と循環管9bとが連通している状態に切り替える。次いで、制御部12は、ポンプ9cを予め決められた期間(例えば1分間)だけ作動させる。これにより、循環管9bに、排水が流れる。循環管9bを流れる排水は、排水管6の上流端に流入される。これにより、排水を循環管9bを介して循環させることによって、排水管6の詰まりを解消させる。
【0027】
実際水量が目標水量未満と判断される場合(S34でYES)、S36をスキップして、S38に進む。S38では、制御部12は、新しい1回水量SVを算出する。具体的には、新しい1回水量SV={現在の1回水量SV+(目標水量-実際水量)/水洗式便器の個数}を算出する。実際水量が目標水量未満と判断される場合(S34でYES)では、新しい1回水量SVは、現在の1回水量SVよりも多くなる。この結果、洗浄の際に、水洗式便器100に供給される洗浄水の水量が増加される。排水管6の詰まりが解消され得る。実際水量が目標水量未満と判断される場合(S34でYES)には、S36においてポンプ9cを作動させなくても、排水管6の詰まりを解消し得る。目標水量と実際水量との差が大きいほど、新しい1回水量SVが多くなる。目標水量と実際水量との差が大きいほど、洗浄水の水量を増加させて、詰まりを抑制することができる。
【0028】
実際水量が目標水量以上と判断される場合(S34でNO)では、新しい1回水量SVは、現在の1回水量SVよりも少なくなる。これにより、複数の水洗式便器100で使用される洗浄水の水量を低減させることができる。実際水量が目標水量以上と判断される場合(S34でNO)では、S36でポンプ9cを作動させることによって、洗浄水の水量を低減させた場合でも、排水管6の詰まりを解消することができる。複数の水洗式便器100が管理領域1に配置されていることから、管理領域1における洗浄水の水量を低減させることができるとともに、排水管6の詰まりを防止することができる。
【0029】
詰まりが発生していないと判断される場合(S32でNO)、新しい1回水量SVを決定せずに、1回水量決定処理を終了する。この結果、S12では、1回水量SVは、更新されない。
【0030】
複数の水洗式便器100では、使用頻度によって使用される洗浄水の水量が異なる。仮に、複数の水洗式便器100のそれぞれで、個別に洗浄水の水量を調整しようとすると、使用頻度が高い水洗式便器では、1回水量SVを低減しなければならない。1回水量決定処理では、複数の水洗式便器100で使用すべき目標水量と、複数の水洗式便器100で実際に使用される実際水量と、を用いて、1回水量SVが決定される。目標水量と実際水量との差分を、複数の水洗式便器100に分配することができる。1回水量SVを個別の水洗式便器100の使用状況に応じて調整せずに済む。
【0031】
変形例では、第1実施形態では、複数の水洗式便器100のそれぞれに識別情報を付与しなくてもよい。制御装置10は、複数の水洗式便器100の識別情報を用いずに、処理を実行してもよい。
【0032】
複数の水洗式便器100が「複数の衛生設備機器」の一例であり、実際水量が「第1指標」の一例であり、目標水量が「第2指標」の一例である。分岐管6a、6b、6cのそれぞれが「第1排水管」の一例であり、排水管6が「第2排水管」の一例である。循環管9bが「通水管」の一例である。
【0033】
(第2実施形態)
第1実施形態と異なる点を説明する。本実施形態では、S38の新しい1回水量SV算出処理が、第1実施形態と異なる。S38では、制御部12は、複数の水洗式便器100のそれぞれについて、水洗式便器の使用頻度に応じた1回水量SVを算出する。制御部12は、使用頻度が高い便器ほど洗浄水量が多くなるように設定する。具体的には、制御部12は、S14においてカウントされている回数情報を用いて、複数の水洗式便器100のそれぞれについて、新しい1回水量SV={現在の1回水量SV+(目標水量-実際水量)×(対象の水洗式便器の洗浄回数/複数の水洗式便器の総洗浄回数)}を算出する。洗浄回数が「0」の水洗式便器に対しては、洗浄回数が「1」以上の水洗式便器よりも少ない1回水量SVが設定される。
【0034】
使用頻度が高い水洗式便器ほど1回水量SVが多くなるように設定される。使用頻度が高い水洗式便器では、詰まりの原因となる排泄物及びトイレットペーパー(以下単に「排泄物」と呼ぶ)が多く排水管6に流される。この結果、使用頻度が高い水洗式便器よりも下流に位置する排水管6には、排泄物が詰まりやすい。使用頻度が高い水洗式便器の1回水量SVを増加することによって、詰まりの原因となる排泄物を、下水管8まで送出しやすくすることができる。
【0035】
使用頻度が「第3指標」及び「第4指標」の一例である。
【0036】
(第3実施形態)
第1実施形態と異なる点を説明する。本実施形態では、S12において、制御部12は、1回水量SVを補正する。制御部12は、カレンダー機能を有している。S12において、制御部12は、カレンダー機能を参照して、1回水量SVに時期係数を乗算することによって、補正後の1回水量SVを算出する。時期係数は、1.0以下の値である。時期係数は、時期によって変動する。具体的には、比較的に気温が高い時期(例えば日本において6月~8月)では、時期係数が0.8である。比較的に気温が低い時期(例えば日本において12月~2月)では、時期係数が1.0である。それ以外の時期では、時期係数が0.9である。変形例では、時期係数は、気温に応じて変動してもよい。例えば、気温が高いほど大きく、気温が低くなるのに従って小さくなってもよい。
【0037】
変形例では、第2実施形態のS12の処理を、第3実施形態のS12の処理に替えてもよい。時期係数は、1.0以上であってもよい。
【0038】
気温が高いほど排水管6内の排水の粘度が低下する。排水の粘度が低くなるほど、排水管6内を流すために必要な水量は少なくて済む。本実施形態では、比較的に気温が高い時期に1回水量SVを低下することによって、比較的に排水の粘度が低い時期に使用する洗浄水を低減することができる。
【0039】
時期が「第4指標」の一例である。
【0040】
(第4実施形態)
第1実施形態と異なる点を説明する。本実施形態では、S12において、制御部12は、1回水量SVを補正する。制御部12は、カレンダー機能及び時計機能を有している。カレンダー機能には、予め、管理領域1の利用者が管理領域1を利用しない日及び利用しない時間帯が登録されている。S12において、制御部12は、カレンダー機能及び時計機能を参照して、1回水量SVに日時係数を乗算することによって、補正後の1回水量SVを算出する。日時係数は、1.0以下の値である。日時係数は、時刻、曜日、休日及び平日によって変動する。具体的には、平日の昼間(例えば月曜日~金曜日の8:00~18:00)では、日時係数が1.0である。平日の朝及び夜(例えば月曜日~金曜日の8:00~18:00以外の時間帯)では、日時係数が0.8である。休日(例えば土曜日、日曜日、及び祝日)では、日時係数が0.6である。変形例では、日時係数が、曜日及び時刻当たりの使用頻度に基づいて、使用頻度が高いほど大きく、使用頻度が低いほど小さくなってもよい。
【0041】
第2実施形態のS12の処理及び第2実施形態のS12の処理の少なくとも一方を、第4実施形態のS12の処理に替えてもよい。日時係数は、1.0以上であってもよい。S12では、日時係数に加えて、時期係数を用いて、1回水量SVを補正してもよい。例えば、制御部12は、1回水量SVに、日時係数と時期係数とのそれぞれを乗算することによって、1回水量SVを補正してもよい。
【0042】
使用頻度が低ければ、排水管6内の詰まりが発生しにくい。使用頻度が低い状況では、洗浄水の水量を低減しても詰まりが発生する可能性は低い。本実施形態では、比較的に詰まりが発生する可能性が低い状況において、使用する洗浄水を低減することができる。
【0043】
日時が「第4指標」の一例である。
【0044】
(第5実施形態)
第1実施形態と異なる点を説明する。
図5に示すように、本実施形態の1回水量決定処理では、S34において、実際水量が目標水量以上と判断される場合(S34でNO)、S135において、制御部12は、現時点から複数の水洗式便器100のいずれかに洗浄水が供給されるまでの期間が長いか否かを判断する。具体的には、制御部12は、カレンダー機能を有する。カレンダー機能には、予め、管理領域1の利用者が管理領域1を使用しない日が登録されている。制御部12は、カレンダー機能を用いて、現時点が休日中である場合に、洗浄水が供給される期間が長いと判断する(S135でYES)。制御部12は、カレンダー機能を用いて、現時点が休日以外である場合に、洗浄水が供給される期間が長くないと判断する(S135でNO)。
【0045】
S135でYESの場合、S36に進む。S36では、ポンプ9cが作動されて、排水が循環される。この結果、次に洗浄水が供給されるまでの期間が長いと予測される状況において、排水管6の詰まりを解消することができる。S135でNOの場合、S38に進む。次に洗浄水が供給されるまでの期間が比較的に短いと予測される状況においては、複数の水洗式便器100のいずれかに供給される洗浄水を用いて、排水管6の詰まりを解消し得る。
【0046】
(第6実施形態)
第1実施形態と異なる点を説明する。本実施形態では、格納部14には、予め目標排水量を表す目標排水量情報が格納されている。目標排水量は、目標水量の洗浄水が複数の水洗式便器100に供給される状況において、排水管6に詰まりが生じていない場合に排水管6を流れる水量を表す。目標排水量は、目標水量から決定される。例えば、目標排水量は、目標水量×係数(例えば0.9)で算出される。S32において、制御部12は、S14で取得済みの排水量の積算値が目標排水量よりも少ない場合に、排水管6に詰まりが有ると判断する(S32でYES)。制御部12は、S14で取得済みの排水量の積算値が、目標排水量以上である場合に、排水管6に詰まりが無いと判断する(S32でNO)。
【0047】
S38では、制御部12は、複数の水洗式便器100のそれぞれについて、排水管6の水量に応じて1回水量SVを設定する。制御部12は、S14で取得済みの排水量の積算値が大きいほど洗浄水量が多くなるように設定する。具体的には、制御部12は、複数の水洗式便器100のそれぞれについて、新しい1回水量SV={現在の1回水量SV+(目標排水量-排水量の積算値)/便器の台数}を算出する。本実施形態では、複数の水洗式便器100において、1回水量SVは共通する。
【0048】
本実施形態では、排水管6の排水量に基づいて、1回水量SVが決定される。このため、給水管理処理において、S12において使用水量を取得せずに済む。制御装置10の処理負荷を軽減することができる。
【0049】
排水量の積算値が「第1指標」の一例であり、目標排水量が「第2指標」の一例である。
【0050】
(第7実施形態)
第1実施形態と異なる点を説明する。本実施形態では、S38の新しい1回水量SV算出処理が、第1実施形態と異なる。S38では、制御部12は、複数の水洗式便器100のそれぞれについて、水洗式便器から下水管8までの排水管6の長さに応じて1回水量SVを設定する。制御部12は、水洗式便器から下水管8までの排水管6の長さが長いほど洗浄水量が多くなるように設定する。具体的には、制御部12は、S14においてカウントされている回数情報を用いて、複数の水洗式便器100のそれぞれについて、新しい1回水量SV=(現在の1回水量SV+(目標水量-実際水量)×配管長係数)を算出する。水洗式便器から下水管8までの排水管6の長さが最も長い水洗式便器の配管長係数を「1.0」と設定する。最も長い水洗式便器から下水管8までの排水管6の長さに対する各水洗式便器から下水管8までの排水管6の長さの割合を、各水洗式便器の配管長係数と設定する。
【0051】
水洗式便器から下水管8までの排水管6の長さが長いほど1回水量SVが多くなるように設定される。水洗式便器から下水管8までの排水管6の長さが長いほど、排泄物が下水管8に到達するまでに詰まってしまう可能性が高くなる。水洗式便器から下水管8までの排水管6の長さが長い水洗式便器の1回水量SVを増加することによって、詰まりの原因となる排泄物を、下水管8まで送出しやすくすることができる。
【0052】
水洗式便器から下水管8までの排水管6の長さが「第4指標」の一例である。
【0053】
(第8実施形態)
第1実施形態と異なる点を説明する。本実施形態では、給水管理処理において、制御部12は、S14の処理を実行しない。本実施形態では、1回水量決定処理において、制御部12は、S32の処理を実行しない。本実施形態では、1回水量SVを決定するために、排水管6の水量及び詰まりを用いない。本実施形態では、流量センサ50を配置せずに済む。
【0054】
(第9実施形態)
第1実施形態と異なる点を説明する。
図6に示すように、本実施形態では、循環経路9の循環管9bに、三方弁209aを介して排水管206が連通されている。三方弁209aは、循環管9bの中間位置に配置される。三方弁209aは、排水管206が循環管9bと連通する状態と、排水管206が排水管6と連通する状態と、に切り替える。通常、三方弁209aは、排水管206が排水管6と連通する状態で維持されている。
【0055】
排水管206は、管理領域1外に配置される1個以上の衛生設備機器200のそれぞれと下水管8とを連通する。排水管206には、1個以上の衛生設備機器200のそれぞれから排出される排水が流れる。
図6には、3個の衛生設備機器200a、200b、200cが記載されている。しかしながら、1個以上の衛生設備機器200は、1個及び2個のいずれか一方の衛生設備機器200であってもよいし、4個以上の衛生設備機器200であってもよい。複数の衛生設備機器200のそれぞれは、水洗式便器であってもよい。複数の衛生設備機器200のそれぞれは、洗面台、シンク、浴室、食器洗浄機、洗濯機のように給水管204を介して上水管3から供給される水を使用する機器であってもよい。複数の衛生設備機器200は、同一の種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
【0056】
1回水量決定処理のS36では、制御部12は、三方弁209aを、排水管206が排水管6と連通する状態から排水管206と循環管9bとが連通する状態に切り替えた後で、ポンプ9cを作動させる。ポンプ9cは、排水管206内の水を、循環管9bを介して排水管6の上流端に向けて送り出す。これにより、排水管6内の詰まりを解消することができる。
【0057】
(第10実施形態)
第9実施形態と異なる点を説明する。本実施形態では、
図7に示すように、1個以上の衛生設備機器200は、管理領域1内に配置される。制御装置10は、1個以上の衛生設備機器200の給水を管理する。具体的には、管理領域1に設定されている目標水量を、複数の水洗式便器100と、1個以上の衛生設備機器200と、のそれぞれに振り分ける。制御部12は、複数の水洗式便器100に対して第1目標水量を設定し、制御部12は、1個以上の衛生設備機器200に対して第2目標水量を設定する。第1目標水量と第2目標水量との合計は、目標水量である。第1目標水量と第2目標水量とは、複数の水洗式便器100と、1個以上の衛生設備機器200と、の個数に応じて振り分けられる。例えば、複数の水洗式便器100が3個の水洗式便器であり、1個以上の衛生設備機器200が2個の衛生設備機器である場合、第1目標水量=目標水量×3/5であり、第2目標水量=目標水量×2/5である。変形例では、複数の水洗式便器100及び1個以上の衛生設備機器200のそれぞれの1回の使用水量を考慮して、第1目標水量と第2目標水量とを振り分けてもよい。
【0058】
流量センサ50は、排水管206が排水管6に合流する位置よりも上流側の排水管6に配置されている。排水管206には、排水管6に合流する位置よりも上流側に流量センサ250が配置されている。制御部12は、第1目標水量及び第2目標水量を用いて、複数の水洗式便器100と、1個以上の衛生設備機器200と、のそれぞれについて、給水管理処理及び1回水量決定処理を実行する。1個以上の衛生設備機器200には、ユーザによって給水量を調整可能か機器が含まれていてもよい。例えば、洗面機器のように、ユーザによって給水の開始及び停止を調整可能な機器が含まれていてもよい。この場合、1回水量SVは、1回の給水開始から停止までに給水される最大の給水量である。1回の給水開始からの水量が1回水量SVを越える場合、給水を停止してもよい。S14では、制御部12は、ユーザに使用された衛生設備機器から使用されたことを示す情報を、衛生設備機器の識別情報と共に受信すると、識別情報と対応付けて格納されている給水回数を表す回数情報を加算する。制御部12は、1回水量SVに給水回数を乗算することによって実際水量を算出する。
【0059】
変形例では、排水管206が排水管6に合流する位置よりも上流側の排水管6と、排水管206の上流端とを連通する循環経路を備えていてもよい。循環経路は、第9実施形態の循環経路9と同様の構成を有していてもよい。変形例では、制御部12は、1個の目標水量を用いて、複数の水洗式便器100と、1個以上の衛生設備機器200と、を含む複数の衛生設備機器に対して、給水管理処理及び1回水量決定処理を実行してもよい。
【0060】
具体的な実施形態を詳細に説明した。これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上述の実施形態の変形例を以下に列挙する。
【0061】
(1)上述した第1実施形態の給水管理処理は、上述した第3及び第4実施形態の2個の実施形態の給水管理処理を組み合わせた処理に置換してもよい。具体的には、S12において、制御部12は、使用頻度及び時期に応じて、1回水量SVを補正してもよい。例えば、制御部12は、1回水量決定処理で算出された1回水量SVに、時期係数及び日時係数のそれぞれを乗算してもよい。
【0062】
(2)上述した第1実施形態の1回水量決定処理は、上述した第2、第5及び第7実施形態のうちの少なくとも2個の実施形態の1回水量決定処理を組み合わせた処理に置換してもよい。例えば、第1実施形態の1回水量決定処理は、上述した第2、第5及び第7実施形態の3個の実施形態の1回水量決定処理を組み合わせた処理に置換してもよい。1回水量決定処理では、制御部12は、
図5に示される第5実施形態の1回水量決定処理のS38において、新しい1回水量SV={現在の1回水量SV+(目標水量-実際水量)×(対象の水洗式便器の洗浄回数/複数の水洗式便器の総洗浄回数)×配管長係数}を算出してもよい。上述した第2及び第5実施形態の1回水量決定処理を組み合わせる場合、制御部12は、
図5に示される第5実施形態の1回水量決定処理のS38において、新しい1回水量SV={現在の1回水量SV+(目標水量-実際水量)×(対象の水洗式便器の洗浄回数/複数の水洗式便器の総洗浄回数)}を算出してもよい。上述した第5及び第7実施形態の1回水量決定処理を組み合わせる場合、制御部12は、
図5に示される第5実施形態の1回水量決定処理のS38において、新しい1回水量SV={現在の1回水量SV+(目標水量-実際水量)×配管長係数}を算出してもよい。上述した第2及び第7実施形態の1回水量決定処理を組み合わせる場合、制御部12は、
図3に示される第1実施形態の1回水量決定処理のS38において、新しい1回水量SV={現在の1回水量SV+(目標水量-実際水量)×(対象の水洗式便器の洗浄回数/複数の水洗式便器の総洗浄回数)×配管長係数}を算出してもよい。
【0063】
(3)制御部12は、上記した変形例(1)の給水管理処理と、変形例(2)の1回水量決定処理と、のそれぞれを実行してもよい。
【0064】
(4)上述した第6実施形態の給水管理処理を、上述した第3実施形態、第4実施形態及び上記した変形例(1)の給水管理処理に置換してもよい。
【0065】
(5)上述した第6実施形態の1回水量決定処理を、第2実施形態、第5実施形態、第7実施形態、及び、変形例(2)の1回水量決定処理と組み合わせてもよい。
【0066】
(6)上記した各実施形態及び変形例では、流量センサ50に替えて、流速センサ及び排水管6内の画像を用いた画像解析装置の少なくとも一方を備えていてもよい。上記した各実施形態では、流量センサ50に加えて、流速センサ及び排水管6内の画像を用いた画像解析装置の少なくとも一方を備えていてもよい。S32では、制御部12は、流速センサ及び排水管6内の画像を用いた画像解析装置の少なくとも一方を用いて、排水管6に詰まりが発生しているか否かを判断してもよい。
【0067】
(7)上記した各実施形態及び変形例では、S32において、排水管6に詰まりが発生しているか否かを判断する処理に替えて、制御部12は、排水管6に詰まりが発生することが予測されるか否かを判断してもよい。制御部12は、排水管6に詰まりが発生していない状況であっても、詰まりが発生しそうな状況で排水管6に詰まりが発生することを予測してもよい。例えば、制御部12は、第1期間における実際水量と、S14で取得済みの排水量の積算値と、の水量差が予め決められた値を超えている場合、排水管6に詰まりが発生することが予測される(S32でYES)と判断してもよい。予め決められた値は、実施形態のS32で用いられる所定値よりも小さくてもよい。
【0068】
(8)流量センサ50の位置は、排水管6及び分岐管6a、6b、6cの少なくとも1箇所に配置されていてもよい。
【0069】
(9)上記した各実施形態では、制御部12は、1回水量SVに洗浄回数及び給水回数の少なくとも一方を乗算することによって、実際水量を算出する。これに替えて、分岐管4a、4b、4cのそれぞれに流れる水の流量を検出する検出装置が配置されていてもよい。制御部12は、検出装置から取得される流量を、分岐管4a、4b、4cのそれぞれについて積算することによって、実際水量を算出してもよい。
【0070】
(10)上記した各実施形態及び変形例では、1回水量決定処理において、詰まりが発生していないと判断される場合(S32でNO)、新しい1回水量SVを決定せずに、1回水量決定処理を終了する。変形例では、1回水量決定処理において、詰まりが発生していないと判断される場合(S32でNO)、制御部12は、新しい1回水量SVとして、現在の1回水量SVよりも少ない水量を決定してもよい。これにより、詰まりが発生していない場合に、1回水量SVを低減することによって、使用される水量を抑制することができる。
【0071】
(11)上記した各実施形態及び変形例において、管理領域1が位置する地域に応じて1回水量SVを補正してもよい。例えば、給水管理処理のS12において、制御部12は、1回水量SVに地域係数を乗算することによって、補正後の1回水量SVを算出してもよい。地域係数は、国及び地方公共団体の少なくとも一方であってもよい。地域に応じて、衛生設備機器の使用態様及び1回水量の設定に関する規定の少なくとも一方が異なる場合に、地域に応じた1回水量を決定することができる。
【0072】
(12)複数の水洗式便器100は、小便器を含んでいてもよい。小便器の1回水量は、小便器以外の水洗式便器の1回水量SVよりも少なく設定されていてもよい。例えば、S12において、制御部12は、小便器の1回水量を、1回水量SVに所定の係数(例えば0.6)を乗算することによって、算出してもよい。
【0073】
以上、本開示の具体例を詳細に説明した。これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書及び図面の少なくとも一方に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。本明細書及び図面の少なくとも一方に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0074】
1:管理領域、2:給排水システム、3:上水管、4:給水管、4a、4b、4c:分岐管、6:排水管、6a、6b、6c:分岐管、8:下水管、9:循環経路、9a:三方弁、9b:循環管、9c:ポンプ、10:制御装置、12:制御部、14:格納部、16:通信モジュール、50:流量センサ、100:複数の水洗式便器、100a、100b、100c:水洗式便器