(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048053
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】ストラップ取付具及びストラップ取付具の取り付け方法
(51)【国際特許分類】
A45C 13/30 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
A45C13/30 M
A45C13/30 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157309
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】519126332
【氏名又は名称】株式会社はちみつクリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】100139996
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】田中 義之
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045CE07
3B045GB04
(57)【要約】
【課題】 取り付けが容易で、取り付けた物品の脱落や紛失を防止することのできるストラップ取付具及びストラップ取付具の取り付け方法を提供すること。
【解決手段】 弾性を有する高分子材料にて形成され複数の挿通孔部120,140が設けられた本体部100と、本体部100の挿通孔部120,140の内側120a,140aを摺動自在に移動可能とし且つ挿通孔部120,140の外部へ露呈可能とする鐶部200と、鐶部200に設けられその一部位は挿通孔部120,140内に存し、他の部位は挿通孔部120,140外に存する提げ紐300とから構成されることを特徴とするストラップ取付具。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する高分子材料にて形成され複数の挿通孔部が設けられた本体部と、
この本体部の挿通孔部の内側を摺動自在に移動可能とし且つ当該挿通孔部の外部へ露呈可能とする鐶部と、
この鐶部に設けられ、その一部位は上記挿通孔部内に存し、他の部位は当該挿通孔部外に存する提げ紐とを具備するストラップ取付具であって、
上記鐶部は物品に設けられた孔部内を挿脱自在に挿通し上記挿通孔部の内側を摺動自在に挿通して当該挿通孔部の外部へ露呈するよう構成したことを特徴とするストラップ取付具。
【請求項2】
上記鐶部の横幅(W)は、上記挿通孔部の横幅(E)よりも大となるようにしたことを特徴とする請求項1記載のストラップ取付具。
【請求項3】
弾性を有する高分子材料にて形成され複数の挿通孔部が設けられた本体部と、その横幅はこの本体部の挿通孔部の横幅より大きくなるよう形成され当該挿通孔部内を摺動自在に移動可能とし且つ当該挿通孔部の外部へ露呈可能とする鐶部と、この鐶部に設けられその一部位は上記挿通孔部内に存し他の部位は当該挿通孔部外に存する提げ紐とを具備するストラップ取付具に於いて、
上記鐶部は物品に穿設された孔部内を挿脱自在に挿通され、且つ、上記挿通孔部内を摺動自在に挿通されて当該挿通孔部の外部へ露呈するようにして上記物品に取り付けられるようにしたことを特徴とするストラップ取付具の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォンや小型のタブレット型情報端末機器のような携帯型情報端末機器、これらのカバーまたは小物アクセサリー等にストラップを取り付ける際に用いられるストラップ取付具及びストラップ取付具の取り付け方法に関し、特に、携帯型情報端末機器、これらのカバーまたは小物アクセサリー等を安定して持ち運ぶことができ、シンプルで取り扱い性の改善を図ったストラップ取付具及びストラップ取付具の取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンや小型のタブレット型情報端末機器のような携帯型情報端末機器を携帯する際やこれらを取り扱う際、利用者自らが種々のストラップや手帳タイプの専用カバー等をこれらに装着することにより機器の保護、利便性及び携帯性・運搬性の向上、或いは見栄えの良さを図ってきている。
【0003】
このようなストラップとしては、例えば提げ紐型ストラップ、ショルダーストラップ、ネックストラップ或いはハンドストラップ等様々な種類のストラップが存在する。
【0004】
上述のストラップは、その長さを調節可能ではあるものの、一般的に長い紐やベルトを有するものである。そのため、例えばストラップと携帯型情報端末機器とをカバンやポケットに収容する際、ストラップの紐やベルトが嵩張り収容スペースを取る、またはストラップの一部がカバンやポケットからはみ出てしまう等の問題が生じ得る。
【0005】
このような問題を解消・軽減するため、両端部に夫々携帯型情報端末機器及びストラップが取り付けられるストラップ取付具が提案されている。ストラップ取付具を介して携帯型情報端末機器にストラップを取り付ける場合、携帯型情報端末機器をカバンやポケットに収容する際には、ストラップ取付具からストラップを外すことができるため、容易に携帯型情報端末機器をカバンやポケットに収容することができる。
【0006】
下記特許文献1には、連結金具(B)の一端(先端)に、連結金具(B)から突出して中央で折り返されて、携帯物品に挿通して取り付け可能な取付紐(A)と、他端(後端)にストラップに連結可能な中継部材(C)を有する携帯物品用ストラップの取付具が開示されている。このものにあっては、連結金具(B)内部にその中心軸に沿って弾性体(D)が嵌挿される中空部が設けられており、この中空部内に中心軸に沿って取付紐(A)が挿通される挿通孔を有する弾性体(D)と固定リング(E)が装着されている。そして弾性体(D)の一部は取付紐(A)の折り曲げを緩衝するように連結金具(B)から先端方向に突出しており、固定リング(E)は弾性体(D)の後端側に当接されていて、取付紐(A)が弾性体(D)と固定リング(E)を挿通して固定リング(E)の後端側で結び目または固定部材により係止されている。
【0007】
この携帯物品用ストラップの取付具は、輪状の取付紐(A)が連結金具(B)から突出している弾性体(D)部分で支持されているため、その使用時に取付紐(A)の連結金具(B)近傍での折り曲げが緩衝される。そのため、この取付紐(A)の擦り切れとそれによる切断を大幅に改良して、より長期に渡る使用が可能となる。
【0008】
また、下記特許文献2には、ランドセルに取り付けられるランドセルフックであって、第1の所持品を保持するナスカンと、ナスカンの固定リングを通す帯状の第1のループ部と、ランドセルのベルトを通す帯状の第2のループ部と、第2の所持品を保持する帯状の第3のループ部とを備えるランドセルフックが開示されている。
【0009】
このランドセルフックは、第2のループ部と第3のループ部を開閉可能としたことにより、ランドセルに容易に取り付けることができ、また複数の所持品を保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4403185号公報
【特許文献2】実用新案登録第3218173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
さて、特許文献1に開示された携帯物品用ストラップの取付具は、輪状の取付紐(A)が連結金具(B)から突出している弾性体(D)部分で支持されているため、取付紐(A)の擦り切れとそれによる切断を改良し得るものである。しかし、これは取付紐(A)の経年による切断を完全に防ぐものではなく、取付紐(A)が切断した場合はストラップや、場合によっては携帯物品そのものを紛失してしまう虞は残ったままである。
【0012】
特許文献2に開示されたランドセルフックは、ナスカンの固定リングにより第1の所持品を保持し、また帯状の第2のループ部と帯状の第3のループ部とを開閉可能として、帯状の第2のループ部にランドセルのベルトを通し、帯状の第3のループ部で第2の所持品を保持することができる。しかし、例えば帯状の第2のループ部や帯状の第3のループ部が何かの拍子で開いた状態になった場合、ランドセルからランドセルフック自体が脱落する、または第2の所持品が落下してしまう虞がある。特に帯状の第3のループ部が知らぬ間に開いた状態となった場合、第2の所持品を紛失してしまう虞は残る。
【0013】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、上述した不具合を解消し、誰でも容易に取り付けが可能で、また取り付けた物品の脱落や紛失を防止することのできるストラップ取付具及びストラップ取付具の取り付け方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、シンプルな構造で生産性及び経済性に優れるストラップ取付具及びストラップ取付具の取り付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために以下の構成を有する。
【0015】
(1) 弾性を有する高分子材料にて形成され複数の挿通孔部が設けられた本体部と、この本体部の挿通孔部の内側を摺動自在に移動可能とし且つ当該挿通孔部の外部へ露呈可能とする鐶部と、この鐶部に設けられその一部位は上記挿通孔部内に存し他の部位は当該挿通孔部外に存する提げ紐とを具備するストラップ取付具であって、
上記鐶部は物品に設けられた孔部内を挿脱自在に挿通し上記挿通孔部の内側を摺動自在に挿通して当該挿通孔部の外部へ露呈するよう構成したことを特徴とする。
【0016】
(2) 上記(1)の構成にあって、上記鐶部の横幅(W)は、上記挿通孔部の横幅(E)よりも大となるように構成したことを特徴とする。
【0017】
(3) 弾性を有する高分子材料にて形成され複数の挿通孔部が設けられた本体部と、その横幅はこの本体部の挿通孔部の横幅より大きくなるよう形成され当該挿通孔部内を摺動自在に移動可能とし且つ当該挿通孔部の外部へ露呈可能とする鐶部と、この鐶部に設けられその一部位は上記挿通孔部内に存し他の部位は当該挿通孔部外に存する提げ紐とを具備するストラップ取付具に於いて、
上記鐶部は物品に穿設された孔部内を挿脱自在に挿通し、且つ、上記挿通孔部内を摺動自在に挿通して当該挿通孔部の外部へ露呈するようにして上記物品を取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、容易且つ確実に物品の取り付けが可能で、取り付けた物品の脱落や紛失の防止を図れ、以って安全且つ安心して物品を携帯・運搬できるものである。
【0019】
また、上記構成によれば、極めてシンプルでコンパクトな構造なので、生産性、経済性及び保管の面に於いても優位となるストラップ取付具を提供できる。
【0020】
さらに、上記構成によれば、物品への取り付け後の使用上の制約もなく、見栄えもよく自由度が向上する実用的な効果を奏するストラップ取付具を提供できる。しかも、本体部は弾性を有するので、硬質のものに比べて人体への感触もよく不用意に人体や衣服を傷つける虞もなくなるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明のストラップ取付具は、誰でも容易に取り付けが可能で、取り付けた物品の脱落や紛失を防止することができ、携帯性や運搬性に優れるという実用的効果を奏するものである。
また、本発明のストラップ取付具は、極めてシンプルでコンパクトな構造であるので、生産性及び経済性に優れることは勿論、保管性にも優れるという効果を奏するものである。
さらに、本発明のストラップ取付具は、硬質のものに比べて人体への感触もよく不用意に人体や衣服を傷つける虞も解消されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係わるストラップ取付具を物品に取り付けた状態を模式的に示す全体図である。
【
図2】同実施形態に係わり、本体部と鐶部を示す平面図である。
【
図3】同実施形態に係わり、本体部と鐶部を示す側面図である。
【
図4】同実施形態に係わり、本体部を挿通孔部の開口部側からみた正面図である。
【
図5】同実施形態に係わり、ストラップ取付具を物品に取り付ける様子を模式的に示す側面図であり、(a)はストラップ取付具を物品に取り付ける前の状態を示す図であり、(b)は物品の孔部に鐶部及び提げ紐を挿通した状態を示す図であり、(c)はストラップ取付具を物品に取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下本発明の一実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0024】
本実施形態に係わるストラップ取付具10は、スマートフォンや小型のタブレット型情報端末機器のような携帯型情報端末機器やこれに使用されるケース或いは小物アクセサリー等に取り付けられるものである。
【0025】
即ち、ストラップ取付具10は、弾性を有する高分子材料にて形成され複数の挿通孔部120,140が設けられた本体部100と、本体部100の挿通孔部120,140の内側120a,140aを摺動自在に移動可能とし且つ挿通孔部120,140の外部へ露呈可能とする鐶部200と、鐶部200に設けられその一部位は挿通孔部120,140内に存し、他の部位は挿通孔部120,140外に存する提げ紐300とから構成されるものである。
【0026】
而して鐶部200は、物品(例えばスマートフォンや小型のタブレット型情報端末機器のような携帯型情報端末機器やこれに使用されるケース)20に設けられた孔部20a内を挿脱自在に挿通し挿通孔部120または140の内側を摺動自在に挿通して挿通孔部120または140の外部へ露呈するよう構成したものである。
【0027】
また、鐶部200の横幅(W)は、挿通孔部120,140の横幅(E)よりも大となるよう構成してある。
【0028】
さて、本体部100は、ゴム弾性を有するシリコン樹脂にて形成され、その平面及び底面は直径(D)が18.0mmの円形状を呈し、側面は長径(D)が18.0mmで短径(T)が12.0mmの楕円形状を呈する。また、本体部100の側面には、一端部100aから他端部100bにかけて貫通する二つの挿通孔部120,140が平行して設けられている。
本実施形態では、ゴム弾性を有するシリコン樹脂にて本体部100を形成してあるが、これに限らず、弾性を有する高分子材料にて本体部100が
を形成できるのであれば、他の素材を用いてもよいことは勿論である。
【0029】
一方の挿通孔部120は、その開口部があたかもカプセル形状若しくは角丸長方形状を呈し、その長手方向の長さ(E)は10.0mmで、短手方向の長さ(U)は2.0mmである。
【0030】
他方の挿通孔部140は、挿通孔部120と同様にその開口部はあたかもカプセル形状若しくは角丸長方形状を呈し、その長手方向の長さ(E)は10.0mmで、短手方向の長さ(V)は1.5mmである。
【0031】
鐶部200は、金属製または本体部100より硬度が大きい硬質性の樹脂で形成されるD鐶である。鐶部200の直線形状を呈する部位220の長さ(W)は13.0mmであり、当該部位220から反対側の部位(端部)までの長さ(H)は11.0mmである。また、鐶部200の厚み(I)は1.2mmである。本実施形態では、D鐶を用いているが、丸鐶、角鐶、C鐶、D鐶またはナス鐶他の鐶体を用いてもよいことは勿論である。
【0032】
なお、上述したD、T、E、U、V、W、H及びIの数値は上記に限定される訳ではない。少なくとも「E<W」の関係を満たせば適宜変更してもよいことは勿論である。
【0033】
提げ紐300は、その一部位は挿通孔部120,140内に移動自在となるよう存しており、他の部位は挿通孔部120,140外に存するよう鐶部200に設けられている。そして、提げ紐300は、全体として環状を呈するものである。ここで、提げ紐300は、例えば天然皮革、人工皮革若しくは合成皮革等の皮革または天然繊維若しくは化学繊維等の繊維素材等からなる。強度を考慮すると、皮革が好ましい。また、提げ紐の幅(Y)は、鐶部200の部位220の長さ(W)より小である。
【0034】
上記構成につき、その作用を以下に説明する。
【0035】
ストラップ取付具10を物品20に取り付けるには、先ず、鐶部200を物品20に穿設された孔部20aに向けて、即ち矢印A方向に移動させ(
図5(a)参照)、孔部20a内を挿脱自在に挿通させる。この後、鐶部200を矢印B方向へ移動させる。すると、提げ紐300も孔部20aを挿脱自在に挿通して、矢印B方向にともなってくる。
【0036】
次に、鐶部200を挿通孔部120の開口部に向けて、即ち矢印C方向へ移動させる(
図5(b)参照)。これにともなって、提げ紐300も矢印C方向に移動することになる。
【0037】
そして、鐶部200を挿通孔部120の一方の開口部から他方の開口部に向けて、即ち矢印D方向に挿通孔部120の内側を挿通させて、挿通孔部120の外部へ露呈させる(
図5(c)参照)。これにともなって、提げ紐300も移動するので、提げ紐の300一部位は挿通孔部120内に存することになる。
【0038】
ここで、「E<W」の関係にあるので、挿通孔部120の一方の開口部に対して、鐶部200を押し込むようにして挿入すると、挿通孔部120内では鐶部200が挿通孔部120の内面を外方へ圧するよう摺動することになる。而して、挿通孔部120の他方の開口部から露呈状態になるよう鐶部200を摺動させる。これにより、ストラップ取付具10の物品20への取り付けが完了する。
【0039】
上記実施形態によれば、誰でも容易且つ確実に物品20の取り付けが可能で、取り付けた物品20の脱落や紛失の防止を図れ、安全且つ安心して携帯・運搬できるものである。
【0040】
また、上記実施形態によれば、極めてシンプルでコンパクトな構造で実現可能なので、生産性、経済性及び保管の面に於いても優位となるものである。
【0041】
さらに、上記実施形態によれば、物品20への取り付け後の使用上の制約もなく、自由度が向上するという実用的な効果を奏するものである。
【0042】
さらに、上記実施形態によれば、本体部100は弾性を有し角のない形状を呈するので、感触もよく且つ見栄えもよいストラップ取付具10を提供できるものである。しかも、硬質のものに比べて人体への感触もよく不用意に人体や衣服を傷つける虞も解消されるものである。
【0043】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
10 …ストラップ取付具
20 …物品
20a …孔部
100 …本体部
120,140 …挿通孔部
200 …鐶体
300 …提げ紐