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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048090
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】ヒータ制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/00 20060101AFI20230330BHJP
   B60N 2/56 20060101ALI20230330BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
H05B3/00 310D
B60N2/56
A47C7/74 B
H05B3/00 310A
H05B3/00 330Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069319
(22)【出願日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2021156945
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】礒野 啓史
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3K058
【Fターム(参考)】
3B084JF02
3B084JF04
3B087DE10
3K058AA95
3K058CA12
3K058CB09
(57)【要約】
【課題】コストの低減を図りつつ、軽量化を図りやすくすること。
【解決手段】ヒータ制御システム100は、抵抗ヒータ1と、抵抗ヒータ1と電気的に接続される昇圧コンバータ2と、を備える。昇圧コンバータ2は、昇圧コンバータ2に電気的に接続される電源3の電源電圧V1よりも高い昇圧電圧V2を抵抗ヒータ1に出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗ヒータと、
前記抵抗ヒータと電気的に接続される昇圧コンバータと、を備え、
前記昇圧コンバータは、前記昇圧コンバータに電気的に接続される電源の電源電圧よりも高い昇圧電圧を前記抵抗ヒータに出力する、
ヒータ制御システム。
【請求項2】
前記昇圧電圧は、前記電源電圧の2倍以上である、
請求項1に記載のヒータ制御システム。
【請求項3】
前記抵抗ヒータの温度を検知する温度検知部を更に備え、
前記昇圧コンバータは、前記温度検知部で検知される温度に基づいて、前記昇圧電圧を制御する、
請求項1又は2に記載のヒータ制御システム。
【請求項4】
前記昇圧コンバータは、
前記温度検知部で検知される温度が第1閾値温度を上回ると、前記抵抗ヒータへの前記昇圧電圧の出力動作を停止し、
前記温度検知部で検知される温度が前記第1閾値温度よりも低い第2閾値温度を下回ると、前記抵抗ヒータへの前記昇圧電圧の出力動作を開始する、
請求項3に記載のヒータ制御システム。
【請求項5】
前記昇圧コンバータは、
前記電源の正極に電気的に接続されるインダクタンス素子と、
前記インダクタンス素子と前記電源の負極との間に電気的に接続される第1スイッチング素子と、
前記インダクタンス素子と前記抵抗ヒータとの間に電気的に接続される第2スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子のオン/オフを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の両方をオフに維持するように制御することで、前記抵抗ヒータへの前記昇圧電圧の出力動作を停止する、
請求項4に記載のヒータ制御システム。
【請求項6】
前記温度検知部は、前記電源電圧に基づいて動作し、
前記温度検知部と前記昇圧コンバータとを繋ぐ第1配線と、前記昇圧コンバータと前記抵抗ヒータとを繋ぐ第2配線とは、互いに異なる系統である、
請求項4に記載のヒータ制御システム。
【請求項7】
前記抵抗ヒータは、複数本のより線で構成されるヒータ線を縫製することにより構成されている、
請求項1又は2に記載のヒータ制御システム。
【請求項8】
前記抵抗ヒータは、前記電源電圧に対する前記昇圧電圧の比である昇圧比が大きくなる程、抵抗値が大きくなるように構成されている、
請求項1又は2に記載のヒータ制御システム。
【請求項9】
前記抵抗ヒータは、発熱電力仕様に関わらず単一種類であり、
前記昇圧電圧は、前記抵抗ヒータの前記発熱電力仕様に基づいて調整されている、
請求項1又は2に記載のヒータ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば車両等に装備されている座席等を温めるヒータを備えたヒータ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両用電源装置を開示している。この車両用電源装置は、PWM(Pulse Width Modulation)手段と、検出手段と、を備える。PWM手段は、車載電源からシートヒータ等の電気負荷へ供給する電力をPWM制御する。検出手段は、車載電源の電圧値を所定周期で時系列的にサンプリングして検出する。この車両用電源装置では、検出手段が検出した電圧値に基づいてPWM制御のデューティ比を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010―95100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、コストの低減を図りつつ、軽量化を図りやすいヒータ制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るヒータ制御システムは、抵抗ヒータと、前記抵抗ヒータと電気的に接続される昇圧コンバータと、を備える。前記昇圧コンバータは、前記昇圧コンバータに電気的に接続される電源の電源電圧よりも高い昇圧電圧を前記抵抗ヒータに出力する。
【発明の効果】
【0006】
本開示のヒータ制御システムでは、コストの低減を図りつつ、軽量化を図りやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施の形態におけるヒータ制御システムを搭載した座席の斜視図である。
図2図2は、実施の形態におけるヒータ制御システムの概要を示す図である。
図3図3は、実施の形態におけるヒータ制御システムの昇圧コンバータの一例を示す回路図である。
図4図4は、実施の形態におけるヒータ制御システムの動作例を示すフローチャートである。
図5図5は、比較例のヒータ制御システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の一態様に係るヒータ制御システムは、抵抗ヒータと、前記抵抗ヒータと電気的に接続される昇圧コンバータと、を備える。前記昇圧コンバータは、前記昇圧コンバータに電気的に接続される電源の電源電圧よりも高い昇圧電圧を前記抵抗ヒータに出力する。
【0009】
これによれば、抵抗ヒータへ比較的小さな電流を流すだけでも、抵抗ヒータの定格電力に相当する電力を供給することが可能であるから、抵抗ヒータの抵抗値を大きくしてもよい余裕が生じる。したがって、抵抗ヒータの抵抗値を小さくする場合と比較して、抵抗ヒータがより線の場合、より線本数を少なくすることができるので、抵抗ヒータの重量を小さくすることができ、かつ、抵抗ヒータを製造するために掛かるコストも低減することが可能である。つまり、コストの低減を図りつつ、軽量化を図りやすい、という利点がある。
【0010】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記昇圧電圧は、前記電源電圧の2倍以上である。
【0011】
これによれば、抵抗ヒータの抵抗値を比較的大きくすることができるので、仮に昇圧コンバータが正常に動作せずに(例えば昇圧コンバータが短絡故障し)、電源電圧が抵抗ヒータに印加される状態になったとしても、抵抗ヒータに流れる電流が大きく抑制される。したがって、ブレーカ等の安全装置を設けずともヒータが温まりすぎる可能性を低減することができ、更なるコストの低減及び軽量化を図りやすい、という利点がある。
【0012】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムは、前記抵抗ヒータの温度を検知する温度検知部を更に備える。前記昇圧コンバータは、前記温度検知部で検知される温度に基づいて、前記昇圧電圧を制御する。
【0013】
これによれば、抵抗ヒータの設置箇所の温度を精度よく制御しやすい、という利点がある。
【0014】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記昇圧コンバータは、前記温度検知部で検知される温度が第1閾値温度を上回ると、前記抵抗ヒータへの前記昇圧電圧の出力動作を停止する。前記昇圧コンバータは、前記温度検知部で検知される温度が前記第1閾値温度よりも低い第2閾値温度を下回ると、前記抵抗ヒータへの前記昇圧電圧の出力動作を開始する。
【0015】
これによれば、例えば昇圧電圧を一定電圧として昇圧コンバータの駆動及び停止を交互に繰り返すだけで抵抗ヒータの設置箇所の温度を制御することができるので、昇圧電圧を可変制御する場合と比較して、別途の電圧検出回路が不要で、簡易な構成及び制御で済む、という利点がある。
【0016】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記昇圧コンバータは、インダクタンス素子と、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、制御部と、を備える。前記インダクタンス素子は、前記電源の正極に電気的に接続される。前記第1スイッチング素子は、前記インダクタンス素子と前記電源の負極との間に電気的に接続される。前記第2スイッチング素子は、前記インダクタンス素子と前記抵抗ヒータとの間に電気的に接続される。前記制御部は、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子のオン/オフを制御する。前記制御部は、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の両方をオフに維持するように制御することで、前記抵抗ヒータへの前記昇圧電圧の出力動作を停止する。
【0017】
これによれば、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の両方をオフにすることで昇圧コンバータを通過する電路を遮断することができるので、抵抗ヒータに電流が流れ続けることがなく、消費電力を低減することができる、という利点がある。
【0018】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記温度検知部は、前記電源電圧に基づいて動作する。前記温度検知部と前記昇圧コンバータとを繋ぐ第1配線と、前記昇圧コンバータと前記抵抗ヒータとを繋ぐ第2配線とは、互いに異なる系統である。
【0019】
これによれば、第1配線及び第2配線のうちの一方の配線で漏電が発生した場合でも、他方の配線へと漏電する可能性を低減しやすい、という利点がある。
【0020】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記抵抗ヒータは、複数本のより線で構成されるヒータ線を縫製することにより構成されている。
【0021】
これによれば、ヒータ線を構成するより線の本数が少なくなった場合でも、ヒータ線の耐久性を十分に確保しやすいので、抵抗ヒータ1の抵抗値を大きくしやすい、という利点がある。
【0022】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記抵抗ヒータは、前記電源電圧に対する前記昇圧電圧の比である昇圧比が大きくなる程、抵抗値が大きくなるように構成されている。
【0023】
これによれば、抵抗ヒータを所定の電力で発熱させる際の電流値を小さくできる。そのため、抵抗ヒータの抵抗値を大きくできるので、ヒータ線を構成するより線の本数を少なくでき、その分、抵抗ヒータの使用材料が減り、低コスト化、かつ低重量化が図れる、という利点がある。
【0024】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記抵抗ヒータは、発熱電力仕様に関わらず単一種類であり、前記昇圧電圧は、前記抵抗ヒータの前記発熱電力仕様に基づいて調整されている。
【0025】
これによれば、同じ抵抗ヒータに対し容易に各種発熱電力仕様に対応できるので、仕様に応じた抵抗ヒータの設計が不要になる、という利点がある。
【0026】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0027】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の設置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0028】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0029】
(実施の形態)
<構成>
図1は、実施の形態におけるヒータ制御システムを搭載した座席の斜視図である。図2は、実施の形態におけるヒータ制御システム100の概要を示す図である。ヒータ制御システムは、図1に示す移動体の座席1000に装備され、ユーザが座席1000に着座した際に、座席1000の座面1001と背もたれ1002に設置された抵抗ヒータ1(抵抗ヒータ1は、座面1001に配置されたクッションヒータ11と、背もたれ1002に配置されたバックヒータ12と、からなる。)の発熱により、ユーザの身体の少なくとも一部を温めるためのシステムである。移動体は、例えば自動車であるが、飛行機又は船舶等の他の移動体であってもよい。図2に示すように、ヒータ制御システム100は、2つの抵抗ヒータ1と、昇圧コンバータ2と、温度検知部4と、を備えている。なお、実施の形態では、ヒータ制御システム100は、温度検知部4を構成要素として備えているが、温度検知部4を構成要素として備えていなくてもよい。
【0030】
2つの抵抗ヒータ1は、いずれも線状に構成されたヒータであって、基材と、ヒータ線10と、縫製糸と、を有する。基材は、弾性、柔軟性及び延性を有する材質によってシート状に形成された布状のウレタン等の発泡性樹脂からなる。なお、基材は、不織布であってもよい。ヒータ線10は、コネクタ5及びリード線6(ハーネス)を介して昇圧コンバータ2と電気的に接続され、昇圧コンバータ2から電流が流されることによって、発熱することが可能な導電線である。
【0031】
ヒータ線10は、ヒータ線10に電力を供給するためのリード線6から基材の各部分を通ってそのリード線6に戻るように基材の一面に縫い付けられている。ヒータ線10は、銅等の金属線であって、複数本のより線で構成されており、例えばポリエステル繊維の糸を縫製糸として用いて、基材の一面に縫い付けられている。縫製糸は、ヒータ線10を基材に固定するために、ヒータ線10の延在方向に沿ってヒータ線10を基材に縫い付ける糸である。つまり、実施の形態では、抵抗ヒータ1は、複数本のより線で構成されるヒータ線10を縫製することにより構成されている。なお、ヒータ線10は、縫製糸以外の手段として、接着等の手段で基材に固定されていてもよい。
【0032】
2つの抵抗ヒータ1のうちの一方の抵抗ヒータ1は、座席に着座するユーザの臀部及び大腿部を支える座席の座部であるシートクッションに設置されるクッションヒータ11である。具体的には、クッションヒータ11は、シートクッションにおいて、クッション材に相当するパッドと、当該パッドを覆うカバーとの間に設置されている。クッションヒータ11は、昇圧コンバータ2によって電力が供給されることで発熱し、シートクッションを介してユーザを温める。
【0033】
2つの抵抗ヒータ1のうちの他方の抵抗ヒータ1は、座席に着座するユーザの背部を支える背もたれ部であるシートバックに設置されるバックヒータ12である。具体的には、バックヒータ12は、シートバックにおいて、クッション材に相当するパッドと、当該パッドを覆うカバーとの間に設置されている。バックヒータ12は、昇圧コンバータ2によって電力が供給されることで発熱し、シートバックを介してユーザを温める。
【0034】
昇圧コンバータ2は、コネクタ5及びリード線6を介して2つの抵抗ヒータ1の各々と電気的に接続されている。実施の形態では、2つの抵抗ヒータ1は、昇圧コンバータ2に対して並列に接続されている。具体的には、2つの抵抗ヒータ1の各々の一端がリード線6に電気的に接続され、他端がグランド72に電気的に接続されている。グランド72は、例えばシャーシグランドであるが、電源3側のグランド71と共通のグランドであってもよい。
【0035】
昇圧コンバータ2は、DC/DCコンバータであって、入力端に電源3が電気的に接続され、出力端にコネクタ5及びリード線6を介して各抵抗ヒータ1に電気的に接続されている。昇圧コンバータ2は、電源3から入力される直流電圧を昇圧し、昇圧した電圧をコネクタ5及びリード線6を介して各抵抗ヒータ1に出力する。つまり、昇圧コンバータ2は、昇圧コンバータ2に電気的に接続される電源3の電源電圧V1よりも高い昇圧電圧V2を各抵抗ヒータ1に出力する。
【0036】
電源3は、例えば車載バッテリであって、昇圧コンバータ2等の移動体に搭載された電気機器に電力を供給する。実施の形態では、電源電圧V1は、例えば十数Vである。また、昇圧電圧V2は、例えば数十Vである。つまり、実施の形態では、昇圧電圧V2は、電源電圧V1の2倍以上である。なお、昇圧電圧V2の上限は、例えば昇圧コンバータ2の出力可能な電力に基づいて決定される。実施の形態では、昇圧電圧V2の上限は、一例として48Vである。
【0037】
図3は、実施の形態におけるヒータ制御システム100の昇圧コンバータ2の一例を示す回路図である。図3に示すように、昇圧コンバータ2は、インダクタンス素子L1と、第1スイッチング素子SW1と、第2スイッチング素子SW2と、容量素子C1と、制御部21と、を備えている。
【0038】
インダクタンス素子L1は、一端が電源3の正極31に電気的に接続され、他端が第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2に電気的に接続されている。
【0039】
第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2は、例えばFET(Field Effect Transistor)等の半導体スイッチング素子であって、それぞれ制御部21に制御されることによりオン/オフを切り替える。
【0040】
第1スイッチング素子SW1は、一端がインダクタンス素子L1に電気的に接続され、他端が電源3の負極32及びコネクタ5の低圧側端子52に電気的に接続されている。つまり、第1スイッチング素子SW1は、インダクタンス素子L1と電源3の負極32との間に電気的に接続されている。電源3の負極32は、グランド71に電気的に接続されている。
【0041】
第2スイッチング素子SW2は、一端がインダクタンス素子L1に電気的に接続され、他端が容量素子C1及びコネクタ5の高圧側端子51に電気的に接続されている。つまり、第2スイッチング素子SW2は、インダクタンス素子L1と抵抗ヒータ1との間に電気的に接続されている。
【0042】
容量素子C1は、コネクタ5の高圧側端子51と低圧側端子52との間に電気的に接続されている。容量素子C1の両端間電圧は、昇圧電圧V2として、コネクタ5及びリード線6を介して各抵抗ヒータ1に出力される。
【0043】
制御部21は、例えば2つの抵抗ヒータ1を制御するためのECU(Electronic Control Unit)である。制御部21は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2にそれぞれ駆動信号を与えることにより、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2のオン/オフを制御する。
【0044】
実施の形態では、制御部21は、昇圧コンバータ2の昇圧動作と、昇圧コンバータ2の停止動作と、の2つの動作を実行可能である。昇圧動作においては、制御部21は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2を交互にオン/オフするようにPWM制御する。つまり、制御部21は、第1スイッチング素子SW1がオンである場合に第2スイッチング素子SW2がオフに、第1スイッチング素子SW1がオフである場合に第2スイッチング素子SW2がオンとなるように、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2をPWM制御する。これにより、昇圧コンバータ2は、昇圧動作を実行している間においては、電源電圧V1を昇圧した昇圧電圧V2を各抵抗ヒータ1に出力する。昇圧動作における昇圧比は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2のPWM制御におけるデューティ比に基づいて決定される。
【0045】
停止動作においては、制御部21は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2の両方をオフに維持するように制御することで、各抵抗ヒータ1への昇圧電圧V2の出力動作を停止する。制御部21が昇圧コンバータ2の昇圧動作、及び昇圧コンバータ2の停止動作のいずれの動作を実行するかは、後述する温度検知部4で検知された温度に基づいて決定される。つまり、実施の形態では、昇圧コンバータ2は、温度検知部4で検知される温度に基づいて、昇圧電圧V2を制御する。
【0046】
ここでいう「昇圧電圧V2を制御する」には、昇圧電圧V2が零となるように制御する、つまり昇圧コンバータ2が停止するように制御することも含まれる。また、昇圧コンバータ2の昇圧動作時における昇圧電圧V2は、一定電圧である。
【0047】
温度検知部4は、抵抗ヒータ1に設置され、設置箇所の温度、つまりは抵抗ヒータ1の温度を検知する。実施の形態では、温度検知部4は、2つの抵抗ヒータ1のうちのクッションヒータ11に設置されている。なお、温度検知部4は、クッションヒータ11ではなく、バックヒータ12に設置されてもよい。
【0048】
実施の形態では、温度検知部4は、サーミスタであって、一端が昇圧コンバータ2の制御部21に電気的に接続され、他端がグランド71に電気的に接続されている。制御部21は、電源3からの電力供給を受けて動作しているため、温度検知部4も、制御部21と同様に電源3からの電力供給を受けて動作する。言い換えれば、温度検知部4は、電源電圧V1に基づいて動作する。
【0049】
ここで、温度検知部4と昇圧コンバータ2とを繋ぐ第1配線81は、電源電圧V1が供給される配線であって、比較的低い電圧が供給される配線である。一方、昇圧コンバータ2と各抵抗ヒータ1とを繋ぐ第2配線82は、昇圧電圧V2が供給される配線であって、比較的高い電圧が供給される配線である。このように、実施の形態では、第1配線81と第2配線82とは、互いに異なる系統となっている。このため、第1配線81及び第2配線82のうちの一方の配線で漏電が発生した場合でも、他方の配線へと漏電する可能性を低減することが可能である。
【0050】
次に、ヒータ線10の抵抗値の設定例について説明する。
【0051】
電源電圧V1に対する昇圧電圧V2の比である昇圧比Kは、以下の(1)式で示される。
【0052】
K=V2/V1 (1)
【0053】
また、ヒータ線10が発熱する際の電力Wは、ヒータ線10におけるクッションヒータ11の抵抗値とバックヒータ12の抵抗値とを合成した抵抗値Rを用いて、以下の(2)式で示される。
【0054】
W=V2/R (2)
【0055】
(1)、(2)式より、ヒータ線10の抵抗値Rは以下の(3)式で表される。
【0056】
R=K・V1/W (3)
【0057】
ここで、必要な発熱量が決まっている時、電力Wは一定であり、電源電圧V1は電源3(バッテリ)の電圧であるので一定とすると、(3)式より、ヒータ線10の抵抗値RはKと比例する。今、昇圧比Kを2倍に増加したとすると、抵抗値Rは2=4倍となる。
【0058】
このように、昇圧コンバータ2の昇圧比Kに基づいて、(3)式より抵抗値Rを求めることができる。この時、昇圧比Kは昇圧を前提とするため1より大きい。したがって、(3)式で求めた抵抗値Rは、昇圧比Kが1の時よりも大きくなる。これらのことから、抵抗ヒータ1は、電源電圧V1に対する昇圧電圧V2の比である昇圧比Kが大きくなる程、抵抗値Rが大きくなるように構成されている。
【0059】
<動作>
以下、実施の形態におけるヒータ制御システム100の動作について図4を参照して説明する。図4は、実施の形態におけるヒータ制御システム100の動作例を示すフローチャートである。ヒータ制御システム100の動作は、例えばユーザがヒータ制御システム100の電源をオンすると開始される。
【0060】
制御部21は、ヒータ制御システム100の動作中においては、ステップS1~S4を繰り返す。すなわち、昇圧コンバータ2が停止動作を行っている場合、つまり昇圧コンバータ2がオフの場合、各抵抗ヒータ1がオフ状態であるため、温度検知部4(ここでは、サーミスタ)で検知される温度が時間経過に伴って下降する。そして、制御部21は、温度検知部4で検知される温度が下限温度(第2閾値温度)を下回るまでの間は(ステップS1:No)、昇圧コンバータ2の停止動作を維持する。一方、制御部21は、温度検知部4で検知される温度が下限温度を下回ると(ステップS1:Yes)、昇圧コンバータ2の昇圧動作を開始する、つまり昇圧コンバータ2をオンする(ステップS2)。これにより、各抵抗ヒータ1がオン状態となり、温度検知部4で検知される温度が時間経過に伴って上昇する。
【0061】
そして、制御部21は、温度検知部4で検知される温度が上限温度(第1閾値温度)を上回るまでの間は(ステップS3:No)、昇圧コンバータ2の昇圧動作を維持する。一方、制御部21は、温度検知部4で検知される温度が上限温度を上回ると(ステップS3:Yes)、昇圧コンバータ2の停止動作を開始する、つまり昇圧コンバータ2をオフする(ステップS4)。
【0062】
上述のように、制御部21は、温度検知部4で検知される温度が上限温度と下限温度との間に収まるように、昇圧コンバータ2の昇圧動作及び停止動作を繰り返すことで、各抵抗ヒータ1のオン/オフを繰り返す。これにより、温度検知部4で検知される温度が概ね一定温度に維持される。なお、各抵抗ヒータ1がオフ状態の場合の下限温度と、各抵抗ヒータ1がオン状態の場合の上限温度との互いに異なる2つの閾値温度を設けることにより、各抵抗ヒータ1のオン/オフについてチャタリングが発生するのを防止している。下限温度と上限温度との温度差は、例えば摂氏1度である。
【0063】
<比較>
以下、実施の形態におけるヒータ制御システム100の利点について、図5に示す比較例のヒータ制御システム200との比較を交えて説明する。図5は、比較例のヒータ制御システム200の概要を示す図である。比較例のヒータ制御システム200は、昇圧コンバータ2を備えておらず、制御部201と、FET202と、ブレーカ203と、を備えている点で、実施の形態におけるヒータ制御システム100と相違する。
【0064】
制御部201は、制御部21と同様に、例えば2つの抵抗ヒータ1を制御するためのECUである。FET202は、電界効果トランジスタであって、電源3の正極31とコネクタ5との間に電気的に接続されている。制御部201は、FET202に駆動信号を与えることにより、FET202のオン/オフを制御する。比較例のヒータ制御システム200では、FET202がオン状態の場合、電源3からコネクタ5及びリード線6を介して各抵抗ヒータ1へ電力が供給されることで、各抵抗ヒータ1がオンする。また、FET202がオフ状態の場合、電源3とコネクタ5との間の電路が遮断されることで、各抵抗ヒータ1へ電力が供給されなくなり、各抵抗ヒータ1がオフする。
【0065】
つまり、比較例のヒータ制御システム200では、昇圧コンバータ2が昇圧動作及び停止動作を繰り返す代わりに、FET202がオン/オフを繰り返すことにより、実施の形態と同様に、温度検知部4で検知される温度が概ね一定温度に維持される。
【0066】
ブレーカ203は、リード線6と各抵抗ヒータ1との間に電気的に接続されており、所定の大きさ以上の電流が流れ続けると電路を遮断するように構成されている。これにより、各抵抗ヒータ1に過大な電流が流れ続けるのを防止している。
【0067】
ここで、比較例のヒータ制御システム200では、昇圧コンバータ2を備えていないことから、FET202のオン状態においては、電源3の電源電圧V1がコネクタ5及びリード線6を介して各抵抗ヒータ1へ印加されることになる。このため、各抵抗ヒータ1に定格電力(例えば、数十W)に相当する電力を供給するためには、各抵抗ヒータ1へ比較的大きな電流i2を流さなければならない。そして、各抵抗ヒータ1へ比較的大きな電流i2を流すためには、各抵抗ヒータ1の抵抗値を比較的小さくしなければならない。なお、ここでいう電流i2は、各抵抗ヒータ1へ流れる電流の合計である。したがって、クッションヒータ11に流れる電流、及びバックヒータ12に流れる電流は、いずれも電流i2よりも小さくなる。
【0068】
各抵抗ヒータ1の抵抗値を小さくする手段としては、各抵抗ヒータ1のヒータ線10を構成するより線の本数を多くすることが考えられるが、より線の本数を多くすればする程、ヒータ線10の重量が大きくなり、結果として各抵抗ヒータ1の重量が大きくなってしまう、という課題がある。また、ヒータ線10を構成するより線の本数が多くなることから、結果として各抵抗ヒータ1を製造するために掛かるコストも増大してしまう、という課題がある。
【0069】
そこで、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、昇圧コンバータ2を備えることにより、上記の課題の解決を図っている。すなわち、ヒータ制御システム100では、昇圧コンバータ2を備えることにより、電源3の電源電圧V1を昇圧した昇圧電圧V2が、コネクタ5及びリード線6を介して各抵抗ヒータ1へ印加される。このため、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、比較例のヒータ制御システム200と比較して、各抵抗ヒータ1へ小さな電流i1(<i2)を流すだけでも、各抵抗ヒータ1に定格電力に相当する電力を供給することが可能である。そして、各抵抗ヒータ1へ比較的小さな電流i1を流せば済むことから、比較例のヒータ制御システム200と比較して、各抵抗ヒータ1の抵抗値を大きくしてもよい余裕が生じる。なお、ここでいう電流i1は、各抵抗ヒータ1へ流れる電流の合計である。したがって、クッションヒータ11に流れる電流、及びバックヒータ12に流れる電流は、いずれも電流i1よりも小さくなる。
【0070】
このため、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、各抵抗ヒータ1の抵抗値が大きくなっても問題ないため、比較例のヒータ制御システム200と比較して、ヒータ線10を構成するより線の本数を少なくすることができる。その結果、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、比較例のヒータ制御システム200と比較して、ヒータ線10の重量を小さくすることができ、結果として各抵抗ヒータ1の重量を小さくすることができる。また、ヒータ線10を構成するより線の本数が少なくなることから、結果として各抵抗ヒータ1を製造するために掛かるコストも低減することが可能である。このように、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、コストの低減を図りつつ、軽量化を図りやすい、という利点がある。
【0071】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、昇圧コンバータ2の昇圧比によっては、以下の利点を更に享受し得る。すなわち、昇圧コンバータ2の出力する昇圧電圧V2が、電源電圧V1の1.5倍以上、好ましくは2倍以上である場合、ブレーカ203を設けずとも座席が温まりすぎる可能性を低減することができ、更なるコストの低減及び軽量化を図りやすいという利点がある。
【0072】
というのも、比較例のヒータ制御システム200では、各抵抗ヒータ1の抵抗値を比較的小さくせざるを得ないことから、例えばFET202が故障する等して電源電圧V1が各抵抗ヒータ1に印加され続けると、各抵抗ヒータ1が温まり過ぎる可能性がある。このため、比較例のヒータ制御システム200では、ブレーカ203を設けることで座席が温まりすぎる可能性を低減していた。
【0073】
一方、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、各抵抗ヒータ1の抵抗値を比較的大きくすることができるので、仮に昇圧コンバータ2が正常に動作せずに電源電圧V1が各抵抗ヒータ1に印加され続けたとしても、各抵抗ヒータ1に流れる電流は、昇圧電圧V2が印加されていた場合よりも更に小さくなる。そして、上述の記載から、電源電圧V1が昇圧電圧V2の半分以下となれば、各抵抗ヒータ1に流れる電流が大きく抑制されるため、各抵抗ヒータ1が温まり過ぎることがなくなる。したがって、ブレーカ203を設ける必要がなくなる。
【0074】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、各抵抗ヒータ1が複数本のより線で構成されるヒータ線10を縫製することにより構成されているため、以下の利点を更に享受し得る。すなわち、例えばヒータ線10が単線であって、かつ、縫製することにより構成されていない場合、ヒータ線10の抵抗値を大きくするためにはヒータ線10を細くしなければならない。この場合、細くしたヒータ線10を縫製せずに例えばプレスに基材に圧着して各抵抗ヒータ1を構成すると、座席にユーザが着座することで掛かる応力によりヒータ線10が折れ曲がる等して、ヒータ線10の耐久性を十分に確保することが難しい。
【0075】
これに対して、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、各抵抗ヒータ1が複数本のより線で構成されるヒータ線10を縫製することにより構成されているため、ヒータ線10の抵抗値を大きくするためにより線の本数を少なくした場合でも、座席にユーザが着座することで掛かる応力に対して十分な耐久性を確保しやすい。このため、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、ヒータ線10の耐久性を十分に確保しつつ、抵抗ヒータ1の抵抗値を大きくしやすい、という利点がある。
【0076】
なお、昇圧コンバータ2は昇圧電圧V2を調整することができるという特性を有しているので、この特性を活かし、ヒータ制御システム100においては、抵抗ヒータ1の要求される発熱電力仕様に関わらず、抵抗ヒータ1を単一種類のみ準備してもよい。そして、ヒータ制御システム100は、昇圧電圧V2の調整により要求される発熱電力仕様に対応する構成としてもよい。この具体例について、以下、説明する。
【0077】
まず、(1)、(2)式より、ヒータ線10が発熱する際の電力Wは、以下の(4)式により表される。
【0078】
W=K・V1/R (4)
【0079】
ここで、抵抗ヒータ1が単一種類であるので、抵抗値Rは一定となる。また、上記のように、電源電圧V1は一定であるので、(4)式のV1/Rは一定となり、電力WはKと比例する。例えば、抵抗ヒータ1の要求される発熱電力仕様により、発熱量(=電力W)を10%増やす必要がある場合、昇圧比Kを約1.05倍(=√(1+0.1))すればよい。したがって、(1)式より、電源電圧V1は一定のため、昇圧電圧V2を現状の約1.05倍に調整すればよいことがわかる。
【0080】
<作用効果>
以上のように、実施の形態におけるヒータ制御システム100は、抵抗ヒータ1と、抵抗ヒータ1と電気的に接続される昇圧コンバータ2と、を備える。昇圧コンバータ2は、昇圧コンバータ2に電気的に接続される電源3の電源電圧V1よりも高い昇圧電圧V2を抵抗ヒータ1に出力する。
【0081】
これによれば、抵抗ヒータ1へ比較的小さな電流を流すだけでも、抵抗ヒータ1の定格電力に相当する電力を供給することが可能であるから、抵抗ヒータ1の抵抗値を大きくしてもよい余裕が生じる。したがって、抵抗ヒータ1の抵抗値を小さくする場合と比較して、抵抗ヒータがより線の場合、より線本数を少なくすることができるので、抵抗ヒータ1の重量を小さくすることができ、かつ、抵抗ヒータ1を製造するために掛かるコストも低減することが可能である。つまり、コストの低減を図りつつ、軽量化を図りやすい、という利点がある。
【0082】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、昇圧電圧V2は、電源電圧V1の2倍以上である。
【0083】
これによれば、抵抗ヒータ1の抵抗値を比較的大きくすることができるので、仮に昇圧コンバータ2が正常に動作せずに(例えば昇圧コンバータが短絡故障し)、電源電圧V1が抵抗ヒータ1に印加される状態になったとしても、抵抗ヒータ1に流れる電流が大きく抑制される。したがって、ブレーカ203等の安全装置を設けずともヒータが温まりすぎる可能性を低減することができ、更なるコストの低減及び軽量化を図りやすい、という利点がある。
【0084】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100は、抵抗ヒータ1の温度を検知する温度検知部4を更に備える。昇圧コンバータ2は、温度検知部4で検知される温度に基づいて、昇圧電圧V2を制御する。
【0085】
これによれば、抵抗ヒータ1の設置箇所の温度を精度よく制御しやすい、という利点がある。
【0086】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、昇圧コンバータ2は、温度検知部4で検知される温度が第1閾値温度を上回ると、抵抗ヒータ1への昇圧電圧V2の出力動作を停止する。昇圧コンバータ2は、温度検知部4で検知される温度が第1閾値温度よりも低い第2閾値温度を下回ると、抵抗ヒータ1への昇圧電圧V2の出力動作を開始する。
【0087】
これによれば、例えば昇圧電圧V2を一定電圧として昇圧コンバータ2の駆動及び停止を交互に繰り返すだけで抵抗ヒータ1の設置箇所の温度を制御することができるので、昇圧電圧V2を可変制御する場合と比較して、別途の電圧検出回路が不要で、簡易な構成及び制御で済む、という利点がある。
【0088】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、昇圧コンバータ2は、インダクタンス素子L1と、第1スイッチング素子SW1と、第2スイッチング素子SW2と、制御部21と、を備える。インダクタンス素子L1は、電源3の正極31に電気的に接続される。第1スイッチング素子SW1は、インダクタンス素子L1と電源3の負極32との間に電気的に接続される。第2スイッチング素子SW2は、インダクタンス素子L1と抵抗ヒータ1との間に電気的に接続される。制御部21は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2のオン/オフを制御する。制御部21は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2の両方をオフに維持するように制御することで、抵抗ヒータ1への昇圧電圧V2の出力動作を停止する。
【0089】
これによれば、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2の両方をオフにすることで昇圧コンバータ2を通過する電路を遮断することができるので、抵抗ヒータ1に電流が流れ続けることがなく、消費電力を低減することができる、という利点がある。
【0090】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、温度検知部4は、電源電圧V1に基づいて動作する。温度検知部4と昇圧コンバータ2とを繋ぐ第1配線81と、昇圧コンバータ2と抵抗ヒータ1とを繋ぐ第2配線と82は、互いに異なる系統である。
【0091】
これによれば、第1配線81及び第2配線82のうちの一方の配線で漏電が発生した場合でも、他方の配線へと漏電する可能性を低減しやすい、という利点がある。
【0092】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、抵抗ヒータ1は、複数本のより線で構成されるヒータ線10を縫製することにより構成されている。
【0093】
これによれば、ヒータ線10を構成するより線の本数が少なくなった場合でも、ヒータ線10の耐久性を十分に確保しやすいので、抵抗ヒータ1の抵抗値を大きくしやすい、という利点がある。
【0094】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、抵抗ヒータ1は、電源電圧V1に対する昇圧電圧V2の比である昇圧比Kが大きくなる程、抵抗値Rが大きくなるように構成されている。
【0095】
これによれば、抵抗ヒータ1を所定の電力Wで発熱させる際の電流値を小さくできる。そのため、抵抗ヒータ1の抵抗値Rを大きくできるので、ヒータ線10を構成するより線の本数を少なくでき、その分、抵抗ヒータ1の使用材料が減り、低コスト化、かつ低重量化が図れる、という利点がある。
【0096】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、抵抗ヒータ1は、発熱電力仕様に関わらず単一種類であり、昇圧電圧V2は、抵抗ヒータ1の発熱電力仕様に基づいて調整されている。
【0097】
これによれば、同じ抵抗ヒータ1に対し容易に各種発熱電力仕様に対応できるので、仕様に応じた抵抗ヒータ1の設計が不要になる、という利点がある。
【0098】
(変形例)
以下、実施の形態におけるヒータ制御システム100の変形例について列挙する。
【0099】
実施の形態では、昇圧コンバータ2の昇圧動作時における昇圧電圧V2は一定であるが、これに限られない。例えば、昇圧コンバータ2の昇圧動作時における昇圧電圧V2は、抵抗ヒータ1の定格電力に応じて可変であってもよい。
【0100】
実施の形態では、2つの抵抗ヒータ1(クッションヒータ11及びバックヒータ12)は、いずれも座席に設けられたシートヒータであるが、これに限られない。例えば、抵抗ヒータ1は、座席のアームレストに設置されてもよいし、ステアリングに設置されてもよい。
【0101】
実施の形態では、抵抗ヒータ1は2つ設置されているが、これに限られない。例えば、抵抗ヒータ1は、3つ以上設置されていてもよいし、1つのみ設置されていてもよい。
【0102】
実施の形態では、抵抗ヒータ1は線状に構成されたヒータであるが、これに限られない。例えば、抵抗ヒータ1は、面状に構成されたヒータであってもよい。
【0103】
実施の形態において、昇圧コンバータ2は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2という2つのスイッチング素子を備えた構成に限らず、例えば1つのスイッチング素子(第1スイッチング素子SW1)のみを備え、第2スイッチング素子SW2の代わりにダイオードを備えた構成であってもよい。この場合、電源3の正極31と昇圧コンバータ2との間にFET202等のスイッチング素子を設け、当該スイッチング素子をオフすることで昇圧コンバータ2の停止動作を実現すればよい。
【0104】
実施の形態では、制御部21は、図4に示すような一連のフローをソフトウェアで実行することにより、各抵抗ヒータ1を制御しているが、これに限られない。例えば、制御部21は、図4に示すような一連のフローをハードウェアで実現してもよい。
【0105】
実施の形態では、抵抗ヒータ1は、昇圧比Kが大きくなる程、抵抗値Rが大きくなるように構成されているが、抵抗値Rを大きくするために抵抗ヒータ1の使用材料を減らす構成に限定されるわけではない。例えば、抵抗ヒータ1の長さを長くして抵抗値Rを大きくしつつ、発熱範囲を広げるようにしてもよい。この場合、例えば所定の電力Wが一定で昇圧比Kが2であれば、抵抗値Rを4倍にできるので、従来の昇圧が無い構成(昇圧比が1)においては座席の座面と背面のみであった発熱範囲を、従来と同じ電力で座席のサイド部にまでも拡張することができる。
【0106】
なお、上記の実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本開示は、例えば車両等に装備されている座席等を温めるヒータの制御に利用可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 抵抗ヒータ
10 ヒータ線
100 ヒータ制御システム
1000 座席
1001 座面
1002 背もたれ
11 クッションヒータ
12 バックヒータ
2 昇圧コンバータ
200 比較例のヒータ制御システム
201 制御部
202 FET
203 ブレーカ
21 制御部
3 電源
31 正極
32 負極
4 温度検知部
5 コネクタ
51 高圧側端子
52 低圧側端子
6 リード線
71,72 グランド
81 第1配線
82 第2配線
C1 容量素子
L1 インダクタンス素子
SW1 第1スイッチング素子
SW2 第2スイッチング素子
V1 電源電圧
V2 昇圧電圧
i1,i2 電流
図1
図2
図3
図4
図5