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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048095
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】手乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/48 20060101AFI20230330BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
A47K10/48 A
A47K10/48 Z
A61L9/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081287
(22)【出願日】2022-05-18
(62)【分割の表示】P 2022070932の分割
【原出願日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2021156964
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】古澤 雄大
(72)【発明者】
【氏名】入江 恭亮
(72)【発明者】
【氏名】飯田 守
(72)【発明者】
【氏名】力丸 光生
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180AA16
4C180DD09
4C180HH05
4C180KK04
4C180KK05
4C180LL20
(57)【要約】
【課題】品質を向上可能な手乾燥装置を提供することを目的とする。
【解決手段】内面と、前記内面によって囲まれた乾燥空間に使用者が手を差し入れるための開口と、を有する筐体と、前記内面に設けられ、前記乾燥空間内に空気を吹き出す吹出し口と、前記内面に設けられ、前記乾燥空間内の空気を吸い込む吸込み口と、前記吸込み口と前記吹出し口とを接続する流路部と、前記流路部に設けられ、前記吸込み口に空気を吸い込ませ、前記吸込み口に吸い込まれた空気の少なくとも一部を、前記流路部を介して前記吹出し口から吹き出させる送風部であって、1つのモータで駆動される送風部と、を備えたことを特徴とする手乾燥装置が提供される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面と、前記内面によって囲まれた乾燥空間に使用者が手を差し入れるための開口と、を有する筐体と、
前記内面に設けられ、前記乾燥空間内に空気を吹き出す吹出し口と、
前記内面に設けられ、前記乾燥空間内の空気を吸い込む吸込み口と、
前記吸込み口に接続された流路部と、
前記流路部に設けられ、前記吸込み口に空気を吸い込ませる送風部と、
前記流路部内に位置し、前記吸込み口から吸い込まれた空気中の埃を捕集するための第1フィルター部と、
を備え、
前記内面に前記乾燥空間内の水を前記乾燥空間外に排出する排水口が設けられることを特徴とする手乾燥装置。
【請求項2】
前記排水口に接続された水路をさらに備え、
前記水路の少なくとも一部の流路断面積は、前記流路部のうちの前記送風部よりも上流の部分の少なくとも一部の流路断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項3】
前記水路の最大流路断面積は、前記流路部のうちの前記送風部よりも上流の前記部分の最小流路断面積よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の手乾燥装置。
【請求項4】
前記流路部において前記第1フィルター部よりも上流に設けられ、前記流路部内の水を受ける水受け部をさらに備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【請求項5】
前記内面は、互いに対向する一対の面を有し、
前記排水口は、前記一対の面の一方側に設けられ、
前記吸込み口は、前記一対の面の他方側に設けられることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【請求項6】
前記内面は、前記排水口に向かう下り傾斜を有し、
前記吸込み口は、前記排水口よりも上方に位置することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【請求項7】
前記流路部において前記第1フィルター部よりも上流に設けられる吸水手段をさらに備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【請求項8】
前記第1フィルター部は、HEPAフィルターを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【請求項9】
前記第1フィルター部は、カビ、菌またはウィルスを抑制する材料を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【請求項10】
前記流路部において前記第1フィルター部よりも上流に設けられ、カビ、菌またはウィルスを抑制する材料を含む部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【請求項11】
前記送風部を駆動させる制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記乾燥空間内における使用者の手の有無に関わらず、前記送風部を駆動させることが可能であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【請求項12】
前記制御部は、使用者の特殊操作に基づいて前記送風部を駆動させることを特徴とする請求項11に記載の手乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、使用者の手を乾燥させるための手乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸気口から気体を取り込み、取り込んだ気体を吹き出し口から使用者の手に向かって吹き出す手乾燥装置が知られている。手乾燥装置において、品質を向上させることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-56032号公報
【特許文献2】特開2002-360464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、品質を向上可能な手乾燥装置を提供することを目的とする。
【0005】
第1の発明は、内面と、前記内面によって囲まれた乾燥空間に使用者が手を差し入れるための開口と、を有する筐体と、前記内面に設けられ、前記乾燥空間内に空気を吹き出す吹出し口と、前記内面に設けられ、前記乾燥空間内の空気を吸い込む吸込み口と、前記吸込み口と前記吹出し口とを接続する流路部と、前記流路部に設けられ、前記吸込み口に空気を吸い込ませ、前記吸込み口に吸い込まれた空気の少なくとも一部を、前記流路部を介して前記吹出し口から吹き出させる送風部であって、1つのモータで駆動される送風部と、を備えたことを特徴とする手乾燥装置である。
【0006】
この手乾燥装置によれば、手の乾燥中に開口から乾燥空間内の空気が漏れることを抑制することができ、使い勝手を向上させることができる。また、1つのモータで吸込み口から空気を吸い込み、吹出し口から空気を吹き出すことができる。そのため、2つ以上のモータを設けなくてもよく、手乾燥装置をコンパクトにすることができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記吸込み口から吸い込んだ空気の一部を前記流路部から排出する排出口をさらに備えたことを特徴とする手乾燥装置である。
【0008】
この手乾燥装置によれば、排出口を設けることにより、開口から乾燥空間内の空気が漏れることをより抑制することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0009】
第3の発明は、第2の発明において、前記流路部において前記排出口よりも上流に位置するフィルター部をさらに備えたことを特徴とする手乾燥装置である。
【0010】
この手乾燥装置によれば、排出口よりも上流にフィルター部が位置することで、排出口から排出される空気をきれいにすることができる。
【0011】
第4の発明は、第2または第3の発明において、前記吹出し口から吹き出される空気の風量は、前記吸込み口から吸い込まれる空気の風量よりも小さく、かつ、前記排出口から排出される空気の風量よりも大きいことを特徴とする手乾燥装置である。
【0012】
この手乾燥装置によれば、吸込み口から吸い込まれる空気の風量が比較的大きいため、開口から乾燥空間内の空気が漏れることを抑制できる。また、吹出し口から吹き出される空気の風量が、排出口から排出される空気の風量よりも大きいことにより、乾燥性能を維持することができる。
【0013】
第5の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記内面は、第1壁部と、前記第1壁部よりも後方に位置し前記第1壁部と対向する第2壁部と、を有し、前記吹出し口は、前記第1壁部に設けられた第1吹出し口と、前記第2壁部に設けられた第2吹出し口と、を有し、前記第2吹出し口が空気を吹き出す方向は、前記第1吹出し口が空気を吹き出す方向よりも下向きであることを特徴とする手乾燥装置である。
【0014】
この手乾燥装置によれば、乾燥性能を向上させつつ、飛沫となった水滴が開口から飛散することをより抑制できる。
【0015】
第6の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記内面は、第1壁部と、前記第1壁部よりも後方に位置し前記第1壁部と対向する第2壁部と、を有し、前記吹出し口は、前記第1壁部に設けられた第1吹出し口と、前記第2壁部に設けられた第2吹出し口と、を有し、前記第1吹出し口が吹き出す空気の風量は、前記第2吹出し口が吹き出す空気の風量よりも大きいことを特徴とする手乾燥装置である。
【0016】
この手乾燥装置によれば、第1吹出し口の風量が比較的大きいことにより、消費電力を抑えつつ、乾燥性能を維持することができる。
【0017】
第7の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、水受け部と、前記内面の前記吸込み口とは異なる位置に設けられ、前記乾燥空間内の水を前記水受け部へ排出する排水口と、をさらに備えたことを特徴とする手乾燥装置である。
【0018】
この手乾燥装置によれば、乾燥空間内の水と空気とを分離することができる。これにより、流路部を通過する空気がよりきれいになり、使い勝手をより向上させることができる。
【0019】
第8の発明は、内面と、前記内面によって囲まれた乾燥空間に使用者が手を差し入れるための開口と、を有する筐体と、前記内面に設けられ、前記乾燥空間内に空気を吹き出す吹出し口と、前記内面に設けられ、前記乾燥空間内の空気を吸い込む吸込み口と、前記吸込み口に接続された流路部と、前記流路部に設けられ、前記吸込み口に空気を吸い込ませる送風部と、前記流路部内に位置し、前記吸込み口から吸い込まれた空気中の埃を捕集するための第1フィルター部と、を備え、前記内面に前記乾燥空間内の水を前記乾燥空間外に排出する排水口が設けられることを特徴とする手乾燥装置である。
【0020】
この手乾燥装置によれば、吸込み口とは別に排水口が設けられるため、乾燥空間内の水は、空気とは別の経路で乾燥空間外に排出される。そのため、空気が通過する流路部内への水の侵入を抑制することができ、流路部内に位置する第1フィルター部に水分が付着することが抑制できる。これにより、流路部を通過する空気のきれいさが維持しやすく、使い勝手を向上させることができる。
【0021】
第9の発明は、第8の発明において、前記排水口に接続された水路をさらに備え、前記水路の少なくとも一部の流路断面積は、前記流路部のうちの前記送風部よりも上流の部分の少なくとも一部の流路断面積よりも小さいことを特徴とする手乾燥装置である。
【0022】
この手乾燥装置によれば、水路の少なくとも一部が流路部の少なくとも一部よりも狭いことにより、手乾燥装置を小さくすることができる。また、流路部の少なくとも一部が水路の少なくとも一部よりも広いことにより、流路部における圧力損失を抑制することができる。すなわち、手乾燥装置のサイズをコンパクトにしつつ、吸引性能を向上させることができる。
【0023】
第10の発明は、第9の発明において、前記水路の最大流路断面積は、前記流路部のうちの前記送風部よりも上流の前記部分の最小流路断面積よりも小さいことを特徴とする手乾燥装置である。
【0024】
この手乾燥装置によれば、水路が流路部の上流の部分よりも狭いことにより、手乾燥装置を小さくすることができる。また、流路部の上流の部分が水路よりも広いことにより、流路部における圧力損失を抑制することができる。すなわち、手乾燥装置のサイズをコンパクトにしつつ、吸引性能をより向上させることができる。
【0025】
第11の発明は、第8~第10のいずれか1つの発明において、前記流路部において前記第1フィルター部よりも上流に設けられ、前記流路部内の水を受ける水受け部をさらに備えたことを特徴とする手乾燥装置である。
【0026】
この手乾燥装置によれば、流路部内に侵入した水を水受け部に溜めることができ、第1フィルター部に水が付着することをより抑制することができる。
【0027】
第12の発明は、第8~第10のいずれか1つの発明において、前記内面は、互いに対向する一対の面を有し、前記排水口は、前記一対の面の一方側に設けられ、前記吸込み口は、前記一対の面の他方側に設けられることを特徴とする手乾燥装置である。
【0028】
この手乾燥装置によれば、排水口と吸込み口との間の距離を長くすることができる。これにより、例えば乾燥空間内の水が排水口に向かう際に、吸込み口から流路部に侵入することをより抑制することができる。
【0029】
第13の発明は、第8~第10のいずれか1つの発明において、前記内面は、前記排水口に向かう下り傾斜を有し、前記吸込み口は、前記排水口よりも上方に位置することを特徴とする手乾燥装置である。
【0030】
この手乾燥装置によれば、乾燥空間内の水は、内面の下り傾斜に沿って、吸込み口よりも下方の排水口に向かって流れる。これにより、乾燥空間内の水が吸込み口から流路部に侵入することをより抑制することができる。
【0031】
第14の発明は、第8~第10のいずれか1つの発明において、前記流路部において前記第1フィルター部よりも上流に設けられる吸水手段をさらに備えることを特徴とする手乾燥装置である。
【0032】
この手乾燥装置によれば、第1フィルター部の上流において、吸水手段が流路部内の水分を吸収できるため、第1フィルター部への水分の付着をより抑制することができ、流路部を通過する空気のきれいさを維持することができる。
【0033】
第15の発明は、第8~第10のいずれか1つの発明において、前記第1フィルター部は、HEPAフィルターを含むことを特徴とする手乾燥装置である。
【0034】
この手乾燥装置によれば、第1フィルター部において、カビ、菌またはウィルスが増殖することを抑制できるため、流路部を通過する空気をよりきれいに維持することができる。
【0035】
第16の発明は、第8~第10のいずれか1つの発明において、前記第1フィルター部は、カビ、菌またはウィルスを抑制する材料を含むことを特徴とする手乾燥装置である。
【0036】
この手乾燥装置によれば、第1フィルター部において、カビ、菌またはウィルスが増殖することを抑制できるため、流路部を通過する空気をよりきれいに維持することができる。
【0037】
第17の発明は、第8~第10のいずれか1つの発明において、前記流路部において前記第1フィルター部よりも上流に設けられ、カビ、菌またはウィルスを抑制する材料を含む部材をさらに備えたことを特徴とする手乾燥装置である。
【0038】
この手乾燥装置によれば、第1フィルター部において、カビ、菌またはウィルスが増殖することを抑制できるため、流路部を通過する空気をよりきれいに維持することができる。
【0039】
第18の発明は、第8~第10のいずれか1つの発明において、前記送風部を駆動させる制御部をさらに備え、前記制御部は、前記乾燥空間内における使用者の手の有無に関わらず、前記送風部を駆動させることが可能であることを特徴とする手乾燥装置である。
【0040】
この手乾燥装置によれば、乾燥空間内における使用者の手の有無に関わらず、送風部を駆動させることで、第1フィルター部に送風し、第1フィルター部を乾燥させることができる。これにより、第1フィルター部に水分が付着することによるカビ等の繁殖を抑制でき、流路部を通過する空気のきれいさをより維持することができる。
【0041】
第19の発明は、第18の発明において、前記制御部は、使用者の特殊操作に基づいて前記送風部を駆動させることを特徴とする手乾燥装置である。
【0042】
この手乾燥装置によれば、使用者は特殊操作を行うことで、例えば任意のタイミングで第1フィルター部を乾燥させることができる。また、特殊操作のため、第1フィルター部の乾燥が必要ない場合には、送風部が動作することを抑制することができる。特殊操作のため、例えば、いたずらによって操作部が動作することを防止できる。
【発明の効果】
【0043】
本発明の態様によれば、品質を向上可能な手乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の実施の形態に係る手乾燥装置を示す模式的斜視図である。
図2図1の手乾燥装置を示す模式的斜視図である。
図3図1の手乾燥装置の一部を示す模式的断面斜視図である。
図4図1の手乾燥装置の空気流を示す模式的断面図である。
図5図1の手乾燥装置の空気流を示す模式的ブロック図である。
図6】本発明の実施の形態に係る別の手乾燥装置を例示する模式的斜視図である。
図7図6(a)の手乾燥装置を示す模式的断面図である。
図8図6(a)の手乾燥装置を示す模式的断面図である。
図9図6(a)の手乾燥装置の空気流を示す模式図である。
図10図6(a)の手乾燥装置の一部を示す模式的斜視図である。
図11図10の手乾燥装置の一部を示す模式的断面図である。
図12図6(a)の手乾燥装置の一部を示す模式的斜視図である。
図13図6(a)の手乾燥装置を示す模式的分解図である。
図14図6(a)の手乾燥装置の変形例を示す模式的断面図である。
図15】実施形態に係る手乾燥装置の動作を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0046】
図1は、本発明の実施の形態に係る手乾燥装置を示す模式的斜視図である。また、図2は、図1の手乾燥装置を示す模式的斜視図である。また、図3は、図1の手乾燥装置の一部を示す模式的断面斜視図である。
図1及び図2に示すように、手乾燥装置100は、複数の第1吹出し口2aが形成された第1壁部2と、第1壁部に対向し、複数の第2吹出し口4a(図示せず)が形成された第2壁部4(図示せず)と、を有する壁部6と、第1壁部2と第2壁部4とに接続され、乾燥空間Dの底を形成する底部8と、を備える。第2壁部4は、濡れた手を入れるための開口を上方に有する乾燥空間Dを、第1壁部2との間に形成する。
【0047】
手乾燥装置100は、底部8に形成された吸込み口10から乾燥空間Dの空気を吸込み、第1吹出し口2aから乾燥空間Dへ該空気を吐出するための送風部12と、送風部12が設置され、吸い込み口10から吸いこまれた空気が流れる流路部14と、流路部14に設けられたフィルター部16と、を備える。
【0048】
流路部14は、吸込み口10に接続され、吸込み口10から吸いこまれた空気が流入する吸い込み流路18と、吸い込み流路18と第1吹出し口2aとに接続され、吸い込み流路18から流入された空気を第1吹出し口2aへ送る循環流路20と、吸い込み流路18と乾燥空間D外に形成された排出口22とに接続され、吸い込み流路18から流入された空気の一部を排出口22へ送ることで、乾燥空間D内に負圧を発生させる排出流路24と、を有する。吸い込み流路18は、循環流路20よりも長く、排出流路24よりも長い。また、循環流路20は、排出流路24よりも長い。排出口22は、手乾燥装置100の下面に形成されている。
【0049】
送風部12は、吸い込み流路18に設けられた送風ファンである第1送風部26と、排出流路よりも上流側にある循環流路20に設けられた送風ファンである第2送風部28と、を有する。このように、吸い込み流路18に第1送風部26を設け、排出流路24よりも上流側にある循環流路20に第2送風部28を設けることで、一部の空気を排出流路24に流すことによって乾燥空間D内の必要最低限の負圧を確保しつつ、吸込み口10から吸いこまれた空気の大部分を循環流路20に流しやすくすることができる。
【0050】
吸い込み流路18は、使用者の手に付着していた水滴を集めるための水受け部30を有する。水受け部30は、手乾燥装置本体から着脱自在な水受けトレイ32に形成されている。フィルター部16は、第1フィルター部34と、第2フィルター部36と、第3フィルター部38と、を有する。第1フィルター部34は、排出流路24よりも上流側にある吸い込み流路18における水受け部30よりも下流側に設けられている。第1フィルター部34が、吸い込み流路18に設けられることで、吸い込み口10からの空気が、循環流路20および排出流路24に流れるより前に、塵などを効率的に捕集することができる。その上で、水受け部30よりも下流側に第1フィルター部34が設置されることで、第1フィルター部34が水滴などにより目詰まりしてしまうことを抑制できる。第2フィルター部36は、菌などを捕集できるHEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)であり、排出流路24に形成されている。第3フィルター部38は、菌などを捕集できるHEPAフィルターであり、循環流路20に形成されている。
【0051】
循環流路20は、排出流路24よりも、流路断面積が大きくなるように構成されている。すなわち、循環流路20を流れる流体の圧力損失の大きさは、排出流路24を流れる流体の圧力損失の大きさよりも、小さくなるように構成されている。このことにより、一部の空気を排出流路24に流すことによって乾燥空間D内の必要最低限の負圧を確保しつつ、吸込み口10から吸いこまれた空気の大部分を循環流路20に流しやすくすることができる。
【0052】
流路部14は、外部から空気を取り込む取り込み口44および循環流路20に接続される取り込み流路46を有する。取り込み口44から取り込まれた空気は、循環流路20内へ流れ、第1吹出し口2aおよび第2吹出し口4aから乾燥空間D内へ吹き出される。このことにより、一部の空気が排出流路24に流れることによって乾燥空間D内の必要最低限の負圧を確保しつつも、第1吹出し口2aおよび第2吹出し口4aから吹き出される空気の量を確保することができ、使用者の手をしっかりと乾燥させることができる。取り込み口44は、手乾燥装置の下面に形成されており、排出口22と横並びに配置されている。
【0053】
手乾燥装置100は、第1壁部2に設けられたセンサである検出部40を備える。また、手乾燥装置100は、検出部40からの信号に応じて、第1送風部26および第2送風部28を駆動させる制御を行う制御部42(図3図4参照)を備える。
【0054】
図4は、図1の手乾燥装置の空気流を示す模式的断面図である。また、図5は、図1の手乾燥装置の空気流を示す模式的ブロック図である。なお、図4および図5に図示されている矢印が、空気の流れを表す。
【0055】
使用者が、濡れた手を開口から乾燥空間Dに挿入すると、第1壁部2に設けられた検出部40に手が検知される。検出部40に手が検知されると、検出部40から制御部42へ信号が送信される。制御部42は、信号を受信すると、第1送風部26を駆動させる制御を実行する。その後、第1送風部26の駆動開始から所定時間経過後、第2送風部28を駆動させる制御を実行する。すなわち、検出部40に手が検知されると、第1送風部26を駆動させた後、遅れて、第2送風部28を駆動させる。このことにより、乾燥空間D内を第1送風部26の駆動によって負圧にした後、第2送風部28の駆動により、手の乾燥動作が始まることになるため、乾燥空間D内の空気が開口から漏れてしまうことをしっかりと抑制しつつも、第2送風部28の駆動により第1吹出し口2aおよび第2吹出し口4aから吹き出させることができる。
【0056】
なお、濡れた手を開口から乾燥空間D外へ引き抜くと、検出部40が手を検知しなくなる。この際、制御部42は、第2送風部28の駆動を停止させる制御を実行する。その後、第2送風部28の駆動停止から所定時間経過後、第1送風部26の駆動を停止させる制御を実行する。すなわち、検出部40に手が検知されなくなると、第2送風部28を駆動停止させた後、遅れて、第1送風部26を駆動停止させる。このことにより、乾燥空間D内を第1送風部26の駆動によって負圧にした状態で、第2送風部28の駆動が第1送風部26の駆動より先に停止することにより、乾燥空間D内の空気が開口から漏れてしまうことをしっかりと抑制できる。
【0057】
第2送風部28が駆動している間は、第1送風部26の駆動するように構成されている。すなわち、制御部42は、第2送風部28が駆動している間は、第1送風部26の駆動しているように、制御を実行している。このことにより、第2送風部28が駆動している間は、乾燥空間D内を第1送風部26の駆動によって負圧となるため、乾燥空間D内の空気が開口から漏れてしまうことをしっかりと抑制できる。
【0058】
第1送風部26が駆動すると、乾燥空間D内の空気が、手乾燥装置本体の内部、すなわち吸い込み流路18へ吸い込まれる。その結果、乾燥空間D内が負圧状態となり、乾燥空間D内の空気が開口から漏れてしまうことを抑制できる。吸い込み流路18へ吸い込まれた空気は、水受け部30に衝突する。
【0059】
吸い込み流路18へ吸い込まれた空気は、水受け部30に衝突する。このことにより、使用者の手に付着していた水分が含まれた空気において、該水分を集め、溜めることができる。溜まった水は、使用者が水受けトレイ32を手乾燥装置本体から引き抜き、排出させることができる。
【0060】
水受け部30に衝突した空気は、第1フィルター部34を通過した後、第1送風部26に送られる。第1フィルター部34によって、該空気中に含まれた塵などを取り除くことができる。第1送風部26を通過した空気は、第2フィルター部36を通過した後、循環流路20もしくは排出流路24に分岐する。この際、循環流路20は、排出流路24よりも、流路断面積が大きくなるように構成されているため、一部の空気を排出流路24に流すことによって乾燥空間D内の必要最低限の負圧を確保しつつ、吸込み口10から吸いこまれた空気の大部分が循環流路20に流れる。
【0061】
排出流路24に流れた空気は、排出口22から排出される。なお、排出口22から排出される空気は、HEPAフィルターである第2フィルター部36によって、綺麗な空気に変換されているものである。
【0062】
循環流路20に流れた空気は、取り込み流路46から流れてきた空気と合流する。取り込み流路46から流れてきた空気と合流した空気は、第3フィルター部38を通過した後、第2送風部28に送られる。第2送風部28を通過した空気は、第1吹出し口2aおよび第2吹出し口4aから乾燥空間D内へ吹き出される。第1吹出し口2aおよび第2吹出し口4aから乾燥空間D内へ吹き出された空気は、第1送風部26の駆動によって、再び手乾燥装置本体の内部、すなわち吸い込み流路18へ吸い込まれることになる。
【0063】
図6(a)及び図6(b)は、本発明の実施の形態に係る別の手乾燥装置を例示する模式的斜視図である。
図6(a)は、本実施形態に係る手乾燥装置200を前方から見た斜視図であり、図6(b)は、手乾燥装置200を後方から見た斜視図である。なお、本実施形態の説明において、手乾燥装置200の手前側を「前方」とし、奥側を「後方」とする。手乾燥装置200を使用する使用者は、例えば、後方を向いて手乾燥装置200の前方に立った状態で、乾燥空間SPに濡れた手を挿入する。「上方」、「下方」、「右側方」、「左側方」は、それぞれ、前方を向いて立った使用者から見た方向である。
【0064】
図6(a)及び図6(b)に表したように、手乾燥装置200は、筐体50(ケース)を有する。筐体50は、内側を向く内面50iと、内面50iによって囲まれた乾燥空間SPに使用者が手を差し入れる開口50Aと、を有する。開口50Aは、上方を向いている。
【0065】
例えば、筐体50は、上方に開口50Aが設けられた、上下方向に長い略直方体状である。筐体50の外面50jは、正面91、背面92、右側面93、左側面94、及び底面95によって形成されている。
【0066】
手乾燥装置200は、内面50iに設けられた吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)を有する。吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)は、乾燥空間SP内に空気を吹き出す。使用者は、吹出し口から吹き出された空気(風)に手をかざすことで、濡れた手を乾かすことができる。
【0067】
図7及び図8は、図6(a)の手乾燥装置を示す模式的断面図である。
図7は、図6(a)に示したA-A線の断面を表し、図8は、図6(a)に示したB-B線の断面を表す。
【0068】
図8に表したように、筐体50の内面50iは、第1面51(例えば第1壁部)と、第2面52(例えば第2壁部)と、底面55(例えば底部)と、を有する。第1面51は、後方を向いた面であり、第2面52は、前方を向いた面である。第2面52は、第1面51よりも後方に位置し、第1面51と対向する。底面55は、第1面51と第2面52とを接続し、乾燥空間SPの底を形成する。
【0069】
第1吹出し口61は、第1面51に設けられている。例えば、第1吹出し口61は、第1面51に設けられた開口であり、第1面51の上部に位置する。この例では、複数の第1吹出し口61が左右方向に並んでいる(図6(b)参照)。また、第2吹出し口62は、第2面52に設けられた開口であり、第2面52の上部に位置する。この例では、複数の第2吹出し口62が左右方向に並んでいる(図6(a)参照)。なお、第1吹出し口61、第2吹出し口62は、開口に限らず、例えば、第1面51、第2面52等に取り付けられたノズルなどの吹出し口でもよい。
【0070】
図8の断面において、第1面51及び第2面52は、湾曲した面である。具体的には、第1面51は、後方に向かって突出した湾曲部を有する。第2面52は、前方に向かって突出した湾曲部を有する。そのため、乾燥空間SPの幅(前後方向の長さ)は、上下方向に沿って変化している。乾燥空間SPは、上端部において最も幅が広く、上端部の下方に幅が狭い部分を有する。第1吹出し口61及び第2吹出し口62は、乾燥空間SPの上端部よりも下方に設けられている。第1吹出し口61は、後下方を向いており、後下方に向けて空気を吹き出す。第2吹出し口62は、前下方を向いており、前下方に向けて空気を吹き出す。
【0071】
図7に表したように、筐体50の内面50iは、第3面53と、第3面53と対向する第4面54と、をさらに有する。第3面53は、左側を向いた面であり、第4面54は、右側を向いた面である。第3面53及び第4面54は、それぞれ、第1面51と第2面52とを接続する面である。
【0072】
なお、実施形態において、筐体50(内面50i及び外面50j)の形状は、上記に限らない。例えば、使用者が乾燥空間に手を挿入するための開口は、上方、前方、右側方及び左側方の少なくともいずれかを向いたものでもよい。筐体には、上面が設けられてもよい。また、吹出し口の位置、形状、数などは、上記に限らない。例えば、吹出し口は、第1面51、第2面52、第3面53及び第4面54の少なくともいずれかに設けられたものでもよい。あるいは、筐体50の内面50iが上面を有する場合、その上面に吹出し口を設けてもよい。例えば、手乾燥装置は、前方から乾燥空間に差し込まれた使用者の手の上方から、下方に向かう空気を吹き付けるものでもよい。
【0073】
図7に表したように、手乾燥装置200は、乾燥空間SP内の空気を吸い込む吸込み口63を有する。吸込み口63は、筐体50の内面50iに設けられる。例えば、吸込み口63は、内面50iの下部に設けられ、第1吹出し口61及び第2吹出し口62よりも下方に位置する。この例では、吸込み口63は、底面55に設けられ、上方を向いた開口である。
【0074】
さらに、図7及び図8に表したように、手乾燥装置200は、吸込み口63と吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)とを接続する流路部70を有する。流路部70は、吸込み口63に接続され、吸込み口63を介して乾燥空間SPに接続される。流路部70は、筐体50の内部に設けられる。図7及び図8に表したように、流路部70の少なくとも一部は、筐体50を形成する部材によって形成されたものでもよい。つまり、流路部70の少なくとも一部は、筐体50と一体的に設けられたものでもよい。これに限らず、流路部70は、筐体50とは別体でもよい。流路部70は、吸込み口63から吸い込んだ空気の少なくとも一部を吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)へ導く流路である。
【0075】
この例では、図7に表したように、流路部70は、第1流路71(例えば吸い込み流路)と、第2流路72(例えば循環流路)と、を有する。また、流路部70は、図9に関して後述するように、第3流路73(例えば排出流路)を有していてもよい。
【0076】
第1流路71は、吸込み口63から下方に延び、手乾燥装置200の下部まで続く。第1流路71は、図7に表した矢印A1のように、吸込み口63から吸い込んだ空気を、筐体50の底部を形成する下ケース部材56上へ導く。
【0077】
第2流路72は、流路部70において、第1流路71の下流に設けられている。第2流路72は、手乾燥装置200の下部から上方に延びる。第2流路72は、図7に表した矢印A2のように、第1流路71によって供給された空気の少なくとも一部を、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)へ導く。
【0078】
より具体的には、図8に表したように、第2流路72は、流路72aと流路72bとを有する。言い換えれば、第2流路72は、流路72aと流路72bとに分岐する。流路72aは、矢印A3のように、第1吹出し口61まで続いており、第1吹出し口61へ空気を導く。流路72bは、矢印A4のように、第2吹出し口62まで続いており、第2吹出し口62へ空気を導く。
【0079】
また、図7に表したように、手乾燥装置200は、フィルター67と、送風部65と、を有する。送風部65は、流路部70に設けられる。具体的には、送風部65は、第2流路72に設けられている。送風部65は、例えば、1つのモータで駆動可能な1つの送風ファンである。送風部65は、乾燥空間SP内の空気を、吸込み口63に吸い込ませる。送風部65の動作によって、乾燥空間SP内の空気が、吸込み口63を介して流路部70に流入する。送風部65が駆動することで、流路部70内において、流路部70の上流から下流へ向かう風が発生する。すなわち、送風部65は、吸込み口63に空気を吸い込ませ、吸込み口63に吸い込まれた空気の少なくとも一部を、流路部70を介して吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から乾燥空間SPへ吹き出させる。なお、実施形態においては、送風部は、2つ以上のモータを有していてもよい。手乾燥装置には、1つ以上のモータを有するファンが2つ以上設けられてもよい。
【0080】
フィルター67は、第1フィルター部67aと、第2フィルター部67bと、を有する。例えば、第1フィルター部67aは、流路部70内に位置し、吸込み口63から吸い込まれた空気中の埃(粒子)を捕集するためのフィルターである。吸込み口63から吸い込まれ流路部70内を流れる空気が第1フィルター部67aを通過することで、当該空気に含まれた埃は、第1フィルター部67aに捕集される。この例では、第1フィルター部67aは、第2流路72に設けられている。第1フィルター部67aは、下ケース部材56の上方、かつ、送風部65の下方に位置する。言い換えれば、第1フィルター部67aは、流路部70において、下ケース部材56の下流、かつ、送風部65の上流に位置する。第1フィルター部67aは、第2流路72内の粒子(菌や塵)を捕集する。第1フィルター部67aは、第2フィルター部67bが捕集する粒子よりも、小さい粒子を捕集可能である。第1フィルター部67aには、例えば、HEPAフィルターを用いることができる。HEPAフィルターは、定格流量(定格風量)で0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集効率を有する。HEPAフィルターの初期圧力損失は、例えば245Pa以下である。
【0081】
第2フィルター部67bは、第1流路71に設けられている。第2フィルター部67bは、第1流路71内の粒子を捕集する。第2フィルター部67bには、樹脂又は金属等を含むメッシュ状のフィルターを用いることができる。なお、この例では、フィルター67として、第1フィルター部67a及び第2フィルター部67bの2つのフィルターが設けられているが、実施形態において、フィルターは1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0082】
また、図8に表したように、手乾燥装置200には、加熱部68が設けられてもよい。加熱部68は、流路部70内の空気を暖める。加熱部68は、吹出し口に向かう気体を加熱可能な任意のヒータなどでよい。加熱部68で、空気を加熱することにより、吹出し口から温風を吹き出すことができる。これにより、例えば、使用者の手を乾燥させる際に、使用者が冷たさを感じることを緩和することができ、使い勝手を向上させることができる。なお、この例では、加熱部が設けられているが、実施形態において、加熱部は設けられていなくてもよい。流路部70において、加熱部68は、流路部70が流路72aと流路72bとに分岐する分岐点よりも上流に設けられる。この例では、流路部70において、加熱部68は、送風部65の下流、かつ、後述する第3流路73の上流に位置する。
【0083】
使用者が開口50Aから乾燥空間SP内に手を差し入れると、第2面52に設けられた検出部48(図7参照)によって、使用者の手が検出される。検出部48は、制御部69(図7参照)に検出結果を出力する。検出部は、例えば、透過型の光センサ(フォトインタラプタ)である。検出部は、これに限ることなく、使用者の手を検出可能な任意のセンサでよい。検出部は、例えば、反射型の光センサ、測距センサ、焦電センサ、静電容量センサ、超音波センサ、及びマイクロ波センサなどでもよい。
【0084】
制御部69は、検出部48、送風部65、及び加熱部68と電気的に接続されている。制御部69は、検出部48の検出結果に応じて、送風部65及び加熱部68の動作を制御する。例えば、制御部69は、検出部48において使用者の手が検出されたら、送風部65及び加熱部25に対して、作動を開始させるための信号を出力する。また、制御部69は、例えば、検出部48において使用者の手が検出されなくなったら、送風部65及び加熱部68に対して、作動を停止させるための信号を出力する。なお、制御部は、プロセッサ等を含む制御回路である。制御部は、例えばマイコンを含む。
【0085】
図9は、図6(a)の手乾燥装置の空気流を示す模式図である。
図9中の矢印は、空気の流れ、すなわち風の向きを表している。また、図9に表したように、手乾燥装置200は、排出口64をさらに有する。排出口64は、吸込み口63から吸い込んだ空気の一部を、流路部70から排出する。また、流路部70は、排出口64と接続された第3流路73(例えば排出流路)を有する。
【0086】
この例では、第3流路73は、第2流路72から分岐している。すなわち、第2流路72に流入した空気の一部は、第3流路73を通って排出口64から流路部70の外へ排出される。第2流路72に流入した空気の別の一部は、第2流路72の流路72a、72bを通って吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から吐出される。
【0087】
例えば、流路部70において、第2流路72と第3流路73との分岐点は、送風部65の下流であり、流路72aと流路72bとの分岐点の上流である。流路部70において、第2流路72と第3流路73との分岐点は、加熱部68の下流でもよいし、上流でもよい。ただし、これに限らず、第3流路73は、吸込み口と吹出し口との間の流路部上の任意の位置から分岐してもよい。例えば、第3流路73は、第1流路71から分岐してもよい。
【0088】
排出口64は、例えば、筐体50の外面50jに設けられる。つまり、排出口64は、筐体50の外面50jに露出する。この場合、排出口64は、流路部70内の空気を筐体50の外、すなわち手乾燥装置200の機外に直接排出する。排出口64は、例えば、筐体50の背面92(図6(b)参照)に設けられる。これに限らず、排出口64は、筐体50の正面91、右側面93、左側面94、及び底面95の少なくともいずれかに設けられてもよい。
【0089】
排出口64は、筐体50の内側に位置していてもよい。言い換えれば、排出口64は、外面50jに露出しなくてもよい。この場合、排出口64は、流路部70内の空気を筐体50の内、すなわち手乾燥装置200の機内に排出する。
【0090】
なお、実施形態において、第3流路73及び排出口64は、必ずしも設けられなくてよい。例えば、第3流路73を省略し、排出口64は、第1流路71または第2流路72など、流路部70の任意の位置に設けられた開口などでもよい。例えば、図8に表したように、排出口64は、流路72bに設けられた開口でもよい。図8の例では、排出口64は、筐体50の背面92側に空気を排出するように背面92側に位置しており、手乾燥装置200の斜め後下方に向けて空気を吹き出す。また、流路部70には、必要に応じて、外部から空気を取り込むための取り込み口や取り込み流路を設けてもよい。
【0091】
図9に表したように、乾燥空間SP内の使用者の手が検出され、送風部65が駆動すると、循環風w1が生じる。循環風w1は、吸込み口63から下方に向けて吸い込まれる空気の流れである。循環風w1は、第1流路71を通って、第2流路72に流入し上昇する。循環風w1は、第1フィルター部67a、送風部65を通る。送風部65を通過した循環風w1は、乾燥風w2と、排気風w3と、を生じさせる。乾燥風w2は、循環風w1によって送られる空気の一部であり、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から吐出される空気の流れである。乾燥風w2は、第1吹出し口61から乾燥空間SPに吐出される風w2aと、第2吹出し口62から乾燥空間SPに吐出される風w2bと、を含む。排気風w3は、循環風w1によって送られる空気の別の一部であり、排出口64から排出される空気の流れである。また、送風部65が駆動すると、吸引風w4が生じる。吸引風w4は、手乾燥装置200の機外から、開口50Aを介して乾燥空間SP内に流入する空気の流れである。
【0092】
例えば、循環風w1の風量(単位時間あたりに移動する空気の量)は、乾燥風w2の風量と、排気風w3の風量と、の合計に対応する。また、例えば、吸引風w4の風量は、排気風w3の風量に対応する。手乾燥装置200は、乾燥空間SP内の空気の少なくとも一部を、乾燥空間SPと流路部70とにおいて循環させる循環式の手乾燥装置である。
【0093】
例えば、手乾燥装置200は、送風部65の駆動中において、開口50Aから乾燥空間SP内の空気が外部に漏れることを抑制するように、吸込み口63から空気を吸い込み、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から空気を吹き出すように構成されている。
【0094】
これにより、例えば、乾燥空間SP内から使用者(例えば使用者の顔など)へ向かう風の発生を抑制できるため、使用者は快適に手を乾燥させることができ、使い勝手がよい。また、例えば、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から使用者の手に衝突した空気によって、使用者の手に付着していた水滴が飛沫となって、開口50Aから飛散することを抑制できる。使用者の手に菌やウィルスなどが付着していたとしても、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から使用者の手に衝突した空気によって、この菌やウィルスが飛沫とともに手乾燥装置200外に排出される可能性を低減させることができ、衛生性がよい。
【0095】
例えば、送風部65の駆動中において、乾燥空間SP内は、手乾燥装置200の外部に比べて気圧の低い負圧状態となる。これにより、開口50Aから乾燥空間SP内の空気が外部に漏れることを抑制できる。実施形態においては、乾燥空間SPに吸込み口63が設けられている。吸込み口63から乾燥空間SP内の空気を吸い込むことで、乾燥空間SP内を負圧状態とすることができる。このように、実施形態に係る手乾燥装置は、1つのモータで駆動可能な送風部によって、吸込み口から乾燥空間内の空気を吸い込むことで、必要最低限の負圧を確保するように構成されてもよい。
【0096】
前述したように、排出口64によって、流路部70内の空気の一部が排出される。その場合、例えば、循環風w1の風量は、乾燥風w2の風量よりも大きい。例えば、乾燥風w2の風量は、循環風w1の風量から排気風w3の風量を引いた量に対応する。吸込み口63から吸い込んだ空気の一部を流路部70から排出することで、乾燥空間SP内を負圧状態としやすくなり、必要最低限の負圧を確保しやすい。したがって、排出口64を設けることにより、開口50Aから乾燥空間SP内の空気が漏れることをより抑制することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0097】
例えば、乾燥空間SP内が負圧状態であることは、仮に開口50A(乾燥空間SPから筐体50の外部に直接通じる開口)を塞いだ状態において、送風部65を駆動させると、乾燥空間SP内が負圧になることに対応する。この際、第1吹出し口61、第2吹出し口62及び吸込み口63等(乾燥空間SPから筐体50の内部に通じる開口)は、開放した状態とする。
【0098】
また、例えば、送風部65の駆動中において、吸引風w4が生じる。これにより、開口50Aから乾燥空間SP内の空気が外部に漏れることを抑制できる。実施形態においては、吸込み口63から乾燥空間SP内の空気を吸い込む。これにより、乾燥空間SP内に流入する吸引風w4を生じさせることができる。この例では、循環風w1の向きは、下向きであり、開口50Aとは逆の方向である。また、乾燥風w2の向きは、斜め下向きであり、開口50Aとは逆の方向である。これにより、乾燥空間SP内に下向きの空気の流れを生じさせやすい。その結果、開口50Aを介して外部の空気を乾燥空間SP内へ引き込み、吸引風w4を生じさせやすい。例えば、乾燥風w2の風量を大きくする、または、乾燥風w2の風速を高くする。これにより、下向きの空気の流れが生じ、吸引風w4が生じやすい。乾燥風w2の風速は、循環風w1の風速よりも高くてもよい。
【0099】
また、本実施形態においては、送風部65は、1つのモータで吸込み口63から空気を吸い込み、吹出し口(第1吹出し口61及び第2吹出し口62)から空気を吹き出すことができる。そのため、2つ以上のモータを設けなくてもよく、手乾燥装置200をコンパクトにすることができる。
【0100】
また、循環式の手乾燥装置においては、風の温度が上昇しやすい場合がある。例えば、循環する空気は、加熱部68によって繰り返し加熱される。これに対して、排出口64から一部の空気を排出することで、風の温度の上昇を抑制することができる。これにより、例えば、熱による制御部等の基板へのダメージを抑え、動作がより安定する。前述したように、この例では、排出口64は、流路部70内の空気を機外に直接排出する。これにより、風の温度の上昇をより抑制することができる。また、排出口64は、流路部70内の空気を機外に直接排出することで、吸引風w4を生じさせやすくでき、その吸引風w4によって風の温度の上昇を抑制することができる。
【0101】
また、図9に表したように、第1フィルター部67aは、流路部70において、排出口64よりも上流に位置する。排出口64よりも上流に第1フィルター部67aが位置することで、排出口64から排出される空気をきれいにすることができ、使い勝手を向上させることができる。
【0102】
なお、この例では、第1フィルター部67aは、流路部70において、送風部65の上流に設けられている。第1フィルター部67aは、流路部70において、送風部65の下流に設けられてもよいし、第3流路73に設けられてもよい。第1フィルター部67aが、流路部70において、第2流路72と第3流路73との分岐点よりも上流に設けられた場合には、排出口64から排出される空気だけでなく、第1吹出し口61、第2吹出し口62から吹き出される空気もきれいにすることができ、使い勝手をより向上させることができる。
【0103】
また、例えば、吹出し口から吹き出される空気の風量(乾燥風w2の風量)は、吸込み口63から吸い込まれる空気の風量(循環風w1の風量)よりも小さく、かつ、排出口64から排出される空気の風量(排気風w3の風量)よりも大きい。この場合には、吸込み口63から吸い込まれる空気の風量が比較的大きいため、開口50Aから乾燥空間SP内の空気が漏れることを抑制できる。また、吹出し口から吹き出される空気の風量が、排出口64から排出される空気の風量よりも大きいことにより、乾燥性能を維持することができる。例えば、使用者の手により多くの空気を吐出できるため、手を早く乾燥させやすい。なお、吹出し口から吹き出される空気の風量は、第1吹出し口61から吹き出される空気の風量と、第2吹出し口62から吹き出される空気の風量と、の合計である。
【0104】
各風量は、例えば、各流路を流れる流体の圧力損失によって適宜調節可能である。圧力損失は、例えば、流路の断面積によって適宜調節可能である。例えば、第1流路71を流れる流体の圧力損失は、第2流路72を流れる流体の圧力損失よりも小さく、第3流路73を流れる流体の圧力損失よりも小さい。例えば、第1流路71の最小断面積は、第2流路72の最小断面積よりも大きく、第3流路73の最小断面積よりも大きい。また、例えば、第2流路72を流れる流体の圧力損失は、第3流路73を流れる流体の圧力損失よりも小さい。例えば、第2流路72の最小断面積は、第3流路73の最小断面積よりも大きい。
【0105】
例えば、手乾燥装置200の前方に立った使用者が、開口50Aから手を挿入した場合、第1吹出し口61は、使用者の手の平に空気を吐出し、第2吹出し口62は、使用者の手の甲に空気を吐出する。これにより、使用者の手の両面を同時に乾燥させることができ、乾燥性能が向上する。高速な乾燥のためには、空気を高速に吹き出すことが望ましい。
【0106】
例えば、第2吹出し口62が空気を吹き出す方向D2は、第1吹出し口61が空気を吹き出す方向D1よりも下向きである。言い換えれば、方向D2と鉛直下方との成す角度θ2は、方向D1と鉛直下方との成す角度θ1よりも小さい。この場合、第2吹出し口62が比較的下方に向けて空気を吹き出すため、使用者の手の甲に、上方から空気を吹き付けやすい。これにより、水を下方に移動(落下)させやすく、飛沫となった水滴が開口から飛散することをより抑制できる。
【0107】
方向D1は、第1吹出し口61の開口の向きや形状により適宜調節できる。第1吹出し口61から吹き出される空気が上下方向に広がりを有する場合、方向D1は、例えば、第1吹出し口61が空気を吹き出す範囲の中心線で表してもよい。同様に、方向D2は、第2吹出し口62の開口の向きや形状により適宜調節できる。第2吹出し口62から吹き出される空気が上下方向に広がりを有する場合、方向D2は、例えば、第2吹出し口62が空気を吹き出す範囲の中心線で表してもよい。
【0108】
また、例えば、第1吹出し口61が吹き出す空気の風量は、第2吹出し口62が吹き出す空気の風量よりも大きい。この場合、第1吹出し口61の風量が比較的大きいことにより、消費電力を抑えつつ、乾燥性能を維持することができる。例えば、より多くの水滴が付着している可能性の高い使用者の手の平側に、より多くの空気を吹き付けることで、手を早く乾燥させやすい。
【0109】
なお、第1吹出し口61が複数設けられる場合、第1吹出し口61が吹き出す空気の風量とは、全ての第1吹出し口61から吹き出される空気の風量の合計である。同様に、第2吹出し口62が複数設けられる場合、第2吹出し口62が吹き出す空気の風量とは、全ての第2吹出し口62から吹き出される空気の風量の合計である。
【0110】
例えば、流路72aを流れる流体の圧力損失は、流路72bを流れる流体の圧力損失よりも小さい。例えば、流路72aの最小断面積は、流路72bの最小断面積よりも大きい。
【0111】
また、例えば、第1吹出し口61が吹き出す空気の風速は、第2吹出し口62が吹き出す空気の風速よりも高くてもよい。第1吹出し口61が吹き出す空気の風速は、流路72aを流れる流体の圧力損失や、第1吹出し口61の形状(例えば開口径の大きさ)により適宜調節できる。また、第2吹出し口62が吹き出す空気の風速は、流路72bを流れる流体の圧力損失や、第2吹出し口62の形状(例えば開口径の大きさ)により適宜調節できる。
【0112】
図7に表したように、手乾燥装置200は、排水口80と、水路81と、水受け部82と、を有する。水受け部82は、乾燥空間SP内の水を集める水受けトレイである。乾燥空間SP内の水は、例えば使用者の手に付着していた水滴などである。排水口80は、乾燥空間SP内の水を水受け部82へ排出する。水路81は、排水口80に接続される。つまり、水路81は、排水口80を介して乾燥空間SPに接続される。乾燥空間SP内の水は、排水口80を介して水路81に流入し、水路81によって乾燥空間SP外へ導かれる。より具体的には、水路81は、排水口80と水受け部82とを接続する。水路81は、乾燥空間SP内の水を、排水口80から水受け部82へ導く。
【0113】
排水口80は、筐体50の内面50iに設けられる。排水口80の位置は、吸込み口63の位置とは異なる。つまり、排水口80は、吸込み口63から離れている。
【0114】
例えば、埃を捕集するための第1フィルター部67aに過剰に水分が付着すると、第1フィルター部67aの機能が低下する恐れがある。例えば、第1フィルター部67aに水分が付着すると、第1フィルター部67aにおいてカビや菌などが繁殖して第1フィルター部67aの集塵性能が低下し、流路部70を通過する空気のきれいさを維持することができない場合も考えられる。
【0115】
これに対して、上述したように、筐体50の内面50iに、乾燥空間SP内の水を乾燥空間SP外(例えば水受け82)へ排出する排出口80が設けられている。吸込み口63とは異なる位置に排水口80が設けられるため、乾燥空間SP内の水は、空気とは別の経路で乾燥空間SP外に排出される。そのため、空気が通過する流路部70内への水の侵入を抑制することができ、流路部70内に位置する第1フィルター部67aに水分が付着することが抑制できる。これにより、流路部70を通過する空気のきれいさが維持しやすく、使い勝手を向上させることができる。
【0116】
排水口80は、内面50iの互いに対向する一対の面の一方側(例えば第4面54)に設けられ、吸込み口63は、当該一対の面の他方側(例えば第3面53)に設けられる。排水口80は、例えば、内面50iの互いに対向する一対の面の一方に接する、または、当該一対の面の一方に設けられる。吸込み口63は、例えば、内面50iの互いに対向する一対の面の他方に隣接する、または、当該一対の面の他方に設けられる。この場合、排水口80と吸込み口63との間の距離を長くすることができる。これにより、例えば乾燥空間SP内の水が、排水口80に向かう際に吸込み口63から流路部70に侵入することをより抑制することができる。
【0117】
この例では、排水口80は、底面55に設けられた開口である。より具体的には、排水口80は、底面55の一端部(左側端部)に位置し、吸込み口63は、底面55の他端部(右側端部)に位置する。言い換えれば、排水口80は、第4面54と隣接して設けられ、吸込み口63は、第3面53と隣接して設けられている。このように、吸込み口63とは異なる排水口80を設けることにより、乾燥空間内の水と空気とを分離することができる。これにより、流路部を通過する空気がよりきれいになり、使い勝手をより向上させることができる。
【0118】
水路81及び水受け部82は、流路部70から離れている。つまり、水路81及び水受け部82は、流路部70とは独立して設けられる。この例では、水路81は、第4面54に隣接し、排水口80から下方へ延びている。水受け部82は、水路81の下方に位置する。一方、流路部70の第1流路71は、第3面53に隣接し、吸込み口63から下方へ延びている。
【0119】
例えば、水受け部の水が空気と接触すると、その水に含まれる物質や臭いによって、空気が汚れる恐れがある。これに対して、実施形態においては、水受け部82の水と、流路部70を通過する空気と、を分離することで、流路部70を通過する空気が汚れることを抑制できる。すなわち、第1吹出し口61及び第2吹出し口62から吹き出されて循環する空気、排出口64から排出される空気、および、第1フィルター部67aを通過する空気を、よりきれいな状態とすることができる。これにより、例えば、第1吹出し口61、第2吹出し口62及び排出口64から吹き出される空気の不快な臭いを抑制し、衛生性を向上させることができる。また、例えば、第1フィルター部67aと汚れた空気との接触を抑制することで、フィルターの性能劣化を抑制することができる。
【0120】
図7に表したように、例えば、水路81の少なくとも一部の流路断面積は、流路部70のうちの送風部67aよりも上流の部分(以下、上流部分70aと称する)の少なくとも一部の流路断面積よりも小さい。上流部分70aは、流路部70内を流れる空気の経路に沿って、吸込み口63から送風部65までの部分である。この例では、上流部分70aは、第2流路72の一部、及び第1流路71を含む。このように、水路81の少なくとも一部が流路部70の少なくとも一部よりも狭いことにより、手乾燥装置200を小さくすることができる。また、流路部70の少なくとも一部が水路81の少なくとも一部よりも広いことにより、流路部70における圧力損失を抑制することができる。すなわち、手乾燥装置200のサイズをコンパクトにしつつ、吸引性能を向上させることができる。
【0121】
なお、管路(水路81または流路部70)の或る部分の流路断面積とは、当該部分の断面において、管路の内周面で囲まれた領域の面積である。当該断面は、当該部分を流体(水または空気)が流れる方向に対して垂直な平面における断面である。
【0122】
例えば、水路81の流路断面積は、水路81の全体を通して、上流部分70aの全部分における流路断面積よりも小さい。言い換えれば、水路81の最大流路断面積は、上流部分70aの最小流路断面積よりも小さい。このように、水路81が上流部分70aよりも狭いことにより、手乾燥装置200を小さくすることができる。また、上流部分70aが水路81よりも広いことにより、流路部70における圧力損失を抑制することができる。すなわち、手乾燥装置200のサイズをコンパクトにしつつ、吸引性能をより向上させることができる。
【0123】
なお、水路81の最大流路断面積とは、水路81の全体における流路断面積の最大値であり、すなわち、水路81のうち流路断面積が最も大きい部分における流路断面積である。上流部分70aの最小流路断面積とは、上流部分70aの全体における流路断面積の最小値であり、すなわち、上流部分70aのうち流路断面積が最も小さい部分における流路断面積である。
【0124】
例えば、吸込み口63の開口面積は、排水口80の開口面積よりも大きい。これにより、手乾燥装置200のサイズをコンパクトにしつつ、吸引性能をより向上させることができる。
【0125】
また、例えば、内面50iは、排水口80に向かう下り傾斜を有する。吸込み口63は、排水口80よりも上方に位置する。これにより、乾燥空間SP内の水は、内面50iの下り傾斜に沿って、吸込み口63よりも下方の排水口80に向かって流れる。これにより、乾燥空間SP内の水が吸込み口から流路部に侵入することをより抑制することができる。具体的には、図7に表したように、底面55は、吸込み口63から排水口80へ向かう下り傾斜を有する。つまり、排水口80の位置は、吸込み口63の位置よりも低い。これにより、底面55上の水は、排水口80へ向かうため、吸込み口63から流路部70に水が侵入することを抑制できる。
【0126】
また、底面55には、リブ57が設けられる。リブ57は、吸込み口63の端部から上方に突出している。リブ57によって、底面55上の水が、吸込み口63から流路部70に侵入することを抑制できる。
【0127】
また、図7に破線で表したように、吸込み口63の上方にリブ59を設けてもよい。リブ59は、第3面53から斜め下方に突出した庇である。リブ59は、上下方向において、吸込み口63の少なくとも一部と重なる。リブ59によって、乾燥空間SP内の水が、吸込み口63から流路部70に侵入することを抑制できる。
【0128】
なお、実施形態に係る手乾燥装置は、必ずしも循環式でなくてもよい。つまり、流路部70は、必ずしも、吸込み口63から吸い込んだ空気を吹出し口へ導くものでなくてもよい。流路部70は、必要に応じて、吸込み口63と吹出し口とを接続する。
【0129】
図10は、図6(a)の手乾燥装置の一部を示す模式的斜視図である。
図11(a)及び図11(b)は、図10の手乾燥装置の一部を示す模式的断面図である。
図10は、手乾燥装置200の下ケース部材56の周辺を表す。図11(a)は、図10に示したC-C線の断面を表す。図11(b)は、図10に示したD-D線の断面を表す。
【0130】
下ケース部材56は、流路部70の一部を形成する部材である。下ケース部材56は、流路部70の底部となる皿状である。流路部70内の空気は、下ケース部材56上を通過する。
【0131】
図10に表したように、手乾燥装置200は、水路83と、水受け部84と、水位センサ88と、を有する。手乾燥装置200は、排水口85(図11(a)参照)と、仕切り86(図11(b)参照)と、をさらに有する。
【0132】
水受け部84は、流路部70内に侵入した水を集める水受けトレイである。水受け部84は、下ケース部材56の下方に配置されている。言い換えれば、水受け部84は、流路部70の下方に位置する。
【0133】
排水口85は、流路部70に設けられ、流路部70内に侵入した水を水受け部84へ排出する。図11(a)に表したように、排水口85は、下ケース部材56の側面に設けられた開口である。
【0134】
水路83は、流路部70に設けられ、流路部70内に侵入した水を排水口85へ導く。図10及び図11(a)に表したように、水路83は、下ケース部材56の上面に設けられた凹部である。水路83は、下ケース部材56の中央部から排水口85へ延びている。水路83は、下ケース部材56の中央部から排水口85へ向かう下り傾斜を有する。また、下ケース部材56の上面には、下ケース部材56の中央部へ向かう下り傾斜が設けられている。これにより、流路部70内に侵入し、下ケース部材56上に付着した水滴等は、水路83を通り、排水口85から水受け部84へ排出される。
【0135】
このように、水受け部84は、流路部70において第1フィルター部67aよりも上流に設けられ、流路部70内の水を受ける。これにより、流路部内に侵入した水を水受け部に溜めることができ、第1フィルター部に水が付着することをより抑制することができる。なお、流路部70において第1フィルター部67aよりも上流の水受け部84とは、流路部70内に設けられた水受け部84だけでなく、流路部70のうち第1フィルター部67aよりも上流の部分から分岐した位置に設けられた水受け部84でもよい。
【0136】
図11(b)に表したように、仕切り86は、流路部70と水受け部84との間に設けられる。例えば、仕切り86は、下ケース部材56の一部であり、流路部70と水受け部84とを上下方向に仕切る。仕切り86は、水受け部84の上方の少なくとも一部を覆う。例えば、仕切り86は、水受け部84の水を受ける範囲の全体を覆っている。
【0137】
このような構成により、流路部70に水が侵入したとしても、流路部70に侵入した水と流路部70内の空気とを分離することができる。これにより、流路部70を通過する空気がよりきれいになり、使い勝手をより向上させることができる。すなわち、水受け部84と、流路部70を通過する空気と、を分離することで、流路部70を通過する空気が汚れることを抑制できる。第1吹出し口61及び第2吹出し口62から吹き出されて循環する空気、排出口64から排出される空気、および、第1フィルター部67aを通過する空気を、よりきれいな状態とすることができる。
【0138】
水位センサ88は、下ケース部材56に取り付けられる。水位センサ88は、下ケース部材56上の水位を検出する。これにより、万一、多量の水が流路部70内に侵入した場合でも、下ケース部材56上に溜まった水を検出できる。水位センサには、静電容量式、圧力式またはフロート式など、下ケース部材56上の水位を検出可能な任意のセンサを用いることができる。
【0139】
図12は、図6(a)の手乾燥装置の一部を示す模式的斜視図である。
図12に表したように、手乾燥装置200は、水抜きキャップ87をさらに有していてもよい。水抜きキャップ87は、排水口85に取り付けられる。水抜きキャップ87を取り外すことで、水路83に流れる水を、排水口85から流路部70の外部へ排出することができる。
【0140】
図13は、図6(a)の手乾燥装置を示す模式的分解図である。
水受け部82は、筐体50の外面50jに露出する。例えば、水受け部82は、手乾燥装置200の正面の一部を形成する。図13に表したように、水受け部82は、筐体50に対して着脱可能である。手乾燥装置200の使用者または管理者は、筐体50から水受け部82を引き出し、水受け部82に集められた水を取り除いたり、水受け部82周辺を掃除したりすることができる。
【0141】
水受け部82の下方には、手乾燥装置200の正面の一部を形成するカバー91aが着脱可能に設けられる。カバー91aを筐体50から取り外すと、カバー91b及び水受け部84が露出する。水受け部84は、下ケース部材56に対して着脱可能である。手乾燥装置200の使用者または管理者は、下ケース部材56から水受け部84を引き出し、水受け部84に集められた水を取り除いたり、水受け部84周辺を掃除したりすることができる。また、カバー91bは着脱可能である。カバー91bを取り外すことで、手乾燥装置200の使用者または管理者は、第1フィルター部67aを取り外し、交換することができる。このように、第1フィルター部67aや水受け部82、84が、着脱可能であることにより、管理がしやすい。なお、水受け部82、水受け部84、カバー91a及びカバー91bの着脱には、例えば、爪や凹凸などの係合部を適宜設ければよい。これに限らず、着脱は、水受け部82、水受け部84、カバー91a及びカバー91bを着脱可能とする任意の構成でよい。
【0142】
図14は、図6(a)の手乾燥装置の変形例を示す模式的断面図である。
図14に示す例では、手乾燥装置200は、吸水手段96、及び抑制部材97、をさらに有する。
【0143】
吸水手段96は、流路部70において、第1フィルター部67aよりも上流に設けられる。これにより、吸水手段96が第1フィルター部67aの上流において流路部70内の水分を吸収できるため、第1フィルター部67aへの水分の付着をより抑制することができ、流路部70を通過する空気のきれいさを維持することができる。
【0144】
吸水手段96には、多孔質体または吸水フィルターなど、水分を吸収して保持可能な吸水部材を用いることができる。多孔質体は、例えばスポンジである。吸水フィルターは、例えば繊維の積層体であり、網状である。吸水部材は、例えば吸水部材を通過する空気中の水分を吸収する。吸水部材の材料には、例えばプラスチックなどの樹脂を含む合成繊維を用いることができる。より具体的には、吸水部材の材料には、例えばポリエステル系樹脂、またはオレフィン系樹脂などを用いることができる。ただし、吸水手段96は、上記に限らず、流路部内の水分を吸収可能な任意の手段でよい。例えば、吸水手段96は、空気中の湿気を吸収する乾燥剤でもよい。例えば、吸水手段96は、珪藻土を含んでもよい。
【0145】
吸水部材は、例えば流路部70内の所定の支持部(不図示)に載置される。吸水部材は、任意の方式で、流路部70に対して直接的または間接的に取り付けられるものでもよい。例えば、吸水部材は、挟持等によって固定されたり、接着剤または粘着剤などよって貼り付けられたりしてもよい。ただし、吸水部材の設置方法は、上記に限らず、吸水部材を流路部70内の所定の位置に設置可能な任意の方法でよい。
【0146】
吸水手段96の設置位置は、流路部70内における、吸込み口63から第1フィルター部67aまでの空気の経路上の任意の位置でよい。
【0147】
抑制部材97は、流路部70において第1フィルター部67aよりも上流に設けられ、カビ、菌またはウィルスを抑制する材料を含む。例えば、抑制部材97の材料は、防カビ性、抗菌性、または抗ウィルス性を有する。これにより、第1フィルター部67aにおいて、カビ、菌またはウィルスが増殖することを抑制できるため、流路部70を通過する空気をよりきれいに維持することができる。
【0148】
なお、カビ、菌またはウィルスを抑制する材料とは、例えば、流路部70の材料におけるよりも、カビ、菌、またはウィルスが増殖しにくい材料である。すなわち、例えば、カビ、菌、またはウィルスは、抑制部材97の材料において、流路部70の材料におけるよりも増殖しにくい。
【0149】
抑制部材97は、例えば、カビ、菌、またはウィルスを抑制する材料を含むフィルターである。抑制部材97は、例えば、多孔質体または繊維の積層体である。抑制部材97は、網状のシートでもよい。この場合、吸込み口63から流路部70に流入した空気は、抑制部材97を通過した後に、第1フィルター部67aを通過する。抑制部材97は、カビ、菌、またはウィルスを捕集可能でもよい。
【0150】
抑制部材97の少なくとも一部には、防カビ成分(例えば防カビ剤)及び抗菌成分(例えば抗菌剤)の少なくともいずれかを含有する材料を用いることができる。抑制部材97の少なくとも一部は、防カビ成分及び抗菌成分の少なくともいずれかを含有したコーティング剤が塗布されたものでもよい。
【0151】
抑制部材97は、例えば流路部70内の所定の支持部(不図示)に載置される。抑制部材97は、任意の方式で流路部70に対して直接的または間接的に取り付けられるものでもよい。例えば、抑制部材97は、挟持等によって固定されたり、接着剤または粘着剤などよって貼り付けられたりしてもよい。ただし、抑制部材97の設置方法は、上記に限らず、抑制部材97を流路部70内の所定の位置に設置可能な任意の方法でよい。
【0152】
抑制部材97の設置位置は、流路部70内における、吸込み口63から第1フィルター部67aまでの空気の経路上の任意の位置でよい。例えば、抑制部材97は、第1フィルター部67a、または第1フィルター部67aのケースに対して取り付けられてもよい。
【0153】
また、例えば、第1フィルター部67aが、カビ、菌またはウィルスを抑制する材料を含んでもよい。例えば、第1フィルター部67aの材質は、防カビ性、抗菌性、または抗ウィルス性を有する。これにより、第1フィルター部67aにおいて、カビ、菌またはウィルスが増殖することを抑制できるため、流路部70を通過する空気をよりきれいに維持することができる。
【0154】
例えば、カビ、菌、またはウィルスは、第1フィルター部67aの材料において、流路部70の材料におけるよりも増殖しにくい。
【0155】
第1フィルター部67aの少なくとも一部には、防カビ成分及び抗菌成分の少なくともいずれかを含有する材料を用いることができる。第1フィルター部67aの少なくとも一部は、防カビ成分及び抗菌成分の少なくともいずれかを含有したコーティング剤が塗布されたものでもよい。なお、カビ、菌、またはウィルスとは、必ずしも全ての種類のカビ、菌、またはウィルスでなくてよい。
【0156】
図15は、実施形態に係る手乾燥装置の動作を例示するフローチャートである。
送風部65を駆動させる制御部69は、第1動作モードD1と、第2動作モードD2と、を実行可能である。
第1動作モードD1は、乾燥空間SP内の使用者の手に送風するための動作モード、すなわち手乾燥運転である。具体的には、第1動作モードD1において、制御部69は、検出部48によって使用者の手が検知(検出)されると、送風部69を駆動させて使用者の手に送風し、検出部48によって使用者の手が検知されなくなると、送風部69を停止させて使用者の手への送風を停止する。
【0157】
第2動作モードD2は、乾燥空間SP内における使用者の手の有無に関わらず、送風部69を駆動させる動作モードである。具体的には、第2動作モードD2において、制御部69は、検出部48によって使用者の手が検知されていない状態、すなわち、乾燥空間SP内に使用者の手が存在しない状態において、送風部69を駆動させることが可能である。
【0158】
乾燥空間SP内における使用者の手の有無に関わらず、送風部69を駆動させることで、第1フィルター部67aに送風し、第1フィルター部67aを乾燥させることができる。これにより、第1フィルター部67aに水分が付着することによるカビ等の繁殖を抑制でき、流路部70を通過する空気のきれいさをより維持することができる。
【0159】
より具体的には、図15に表したように、手乾燥装置200の電源がオンとなると(ステップS101)、制御部69は、検出部48から検出結果を受信する(ステップS102)。制御部69は、検出部48の検出結果に基づき、乾燥空間SP内に使用者の手が存在する場合(ステップS103:YES)は、送風部65を駆動させ送風する(ステップS104、第1動作モードD1)。制御部69は、検出部48から検出結果を受信し(ステップS105)、乾燥空間SP内に使用者の手が存在する場合(ステップS106:YES)は、送風部65が駆動した状態を継続する(ステップS104)。制御部69は、乾燥空間SP内に使用者の手が存在しなくなると(ステップS106:NO)、送風部65の駆動を停止し、送風を終了する(ステップS107)。
【0160】
一方、ステップS103において、検出部48の検出結果に基づき、乾燥空間SP内に使用者の手が存在しない場合(ステップS103:NO)、制御部69は、送風部65を駆動させるか否かを判定するためのパラメータを取得する(ステップS108)。このパラメータは、例えば、現在の時刻、時間間隔、または湿度である。時間間隔は、例えば、最後に送風部65の駆動を停止してから現在までの経過時間、すなわち、送風部65の停止が継続している時間である。湿度は、例えば流路部70内(例えば上流部分70aまたは第1フィルター部67aが設けられた領域)の湿度である。湿度は、図示しない任意のセンサによって測定され、制御部69は、当該センサから測定結果を受信する。
【0161】
制御部69は、上述のパラメータが送風部65を駆動させる条件を満たす場合(ステップS109:YES)、送風部65を駆動させ送風する(ステップS110、第2動作モードD2)。
【0162】
上述のパラメータが時刻の場合、送風部65を駆動させる条件は、時刻が所定の時刻であることである。この場合、制御部69は、所定の時刻になると送風部65を駆動させる。
上述のパラメータが時間間隔の場合、送風部65を駆動させる条件は、時間間隔が所定の閾値以上であることである。この場合、制御部69は、送風部65の停止が所定時間以上継続すると送風部65を駆動させる。
上述のパラメータが湿度の場合、送風部65を駆動させる条件は、湿度が所定の閾値以上であることである。この場合、制御部69は、湿度が所定値以上になると送風部65を駆動させる。
【0163】
ステップS109において、上述のパラメータが送風部65を駆動させる条件を満たさなかった場合(ステップS109:NO)、制御部69は、ステップS111へ進む。制御部69は、ステップS111において、特殊操作を受け付けたか否かを判定する。
【0164】
制御部69は、送風部65が停止した状態において、特殊操作を受け付けた場合(ステップS111:YES)、送風部65を駆動させ送風する(ステップS112、第2動作モードD2)。なお、制御部69は、送風部65が既に駆動している状態において、特殊操作を受け付けた場合(ステップS111:YES)は、ステップS112において送風部65の駆動を継続させてよい。
【0165】
制御部69は、ステップS112の後に、特殊操作を受け付けた場合、送風部65の駆動を停止させる(ステップS114)。なお、ステップS111及びステップS112における特殊操作とは、例えば、手乾燥装置200を操作する操作部(例えば不図示の操作スイッチ、押しボタンなど)に対して行われる所定の操作である。この所定の操作は、例えば、複数の操作部を同時に操作すること(同時押し)、操作部を所定時間以上操作すること(長押し)、複数の操作部を所定の順番で操作すること、及び操作部を連続で所定の回数操作すること、の少なくともいずれかを含む。操作部としては、電源スイッチ、加熱部68のオン/オフを切り替えるスイッチ、または吹き出す空気の風量を変更するスイッチなど、任意の操作を行うスイッチでよい。例えば、操作部は、制御部69と電気的に接続されている。使用者が操作部に対して操作を行うと、操作が行われたことを示す信号が、制御部69に送信される。制御部69は、この信号を受信して、特殊操作を受け付けたか否かを判定できる。ステップS111における特殊操作と、ステップS113における特殊操作とは、互いに同じ操作であってもよいし、異なる操作であってもよい。
【0166】
操作部(スイッチ)の操作に限らず、特殊操作には、IoT(Internet of Things)制御を用いてもよい。例えば、特殊操作は、スマートフォンなどの別の端末から、インターネット等のネットワークを介して、制御部69に送風部65の駆動または停止を指示する指令信号を送ることでもよい。
【0167】
使用者は特殊操作を行うことで、例えば任意のタイミングで第1フィルター部67aを乾燥させることができる。また、特殊操作のため、第1フィルター部67aの乾燥が必要ない場合には、送風部65が動作することを抑制することができる。特殊操作のため、例えば、いたずらによって操作部65が動作することを防止できる。
【0168】
制御部69は、ステップS113において、特殊操作ではなく、タイマーに基づいてステップS114に進むこと(すなわち、送風部65の駆動を停止させること)を判定してもよい。例えば、制御部69は、送風部65の駆動が所定時間以上継続した場合に、ステップS113からステップS114に進んでもよい。
【0169】
制御部69は、送風部65が停止した状態において、特殊操作を受け付けない場合(ステップS111:NO)、送風部65の駆動停止を継続する(ステップS114)。
【0170】
制御部69は、送風部65が既に駆動している状態において、特殊操作を受け付けない場合(ステップS111:NO)、所定の停止条件を満たしていれば、送風部65の駆動を停止する(ステップS114)。停止条件は、例えば、湿度が所定値よりも小さくなったことである。この所定値は、ステップS109における送風部65をオンにする閾値よりも小さくてもよい。または、停止条件は、送風部65の駆動が所定時間以上継続したことでもよい。
【0171】
なお、第2動作モードD2は、検出部48によって乾燥空間SP内の使用者の手が検知されている状態、すなわち、乾燥空間SP内に使用者の手が存在している状態においても、送風部69を駆動させることが可能でもよい。
【0172】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
(構成1)
内面と、前記内面によって囲まれた乾燥空間に使用者が手を差し入れるための開口と、を有する筐体と、
前記内面に設けられ、前記乾燥空間内に空気を吹き出す吹出し口と、
前記内面に設けられ、前記乾燥空間内の空気を吸い込む吸込み口と、
前記吸込み口と前記吹出し口とを接続する流路部と、
前記流路部に設けられ、前記吸込み口に空気を吸い込ませ、前記吸込み口に吸い込まれた空気の少なくとも一部を、前記流路部を介して前記吹出し口から吹き出させる送風部であって、1つのモータで駆動される送風部と、
を備えたことを特徴とする手乾燥装置。
【0173】
(構成2)
前記吸込み口から吸い込んだ空気の一部を前記流路部から排出する排出口をさらに備えたことを特徴とする構成1に記載の手乾燥装置。
【0174】
(構成3)
前記流路部において前記排出口よりも上流に位置するフィルター部をさらに備えたことを特徴とする構成2に記載の手乾燥装置。
【0175】
(構成4)
前記吹出し口から吹き出される空気の風量は、前記吸込み口から吸い込まれる空気の風量よりも小さく、かつ、前記排出口から排出される空気の風量よりも大きいことを特徴とする構成2または3に記載の手乾燥装置。
【0176】
(構成5)
前記内面は、第1壁部と、前記第1壁部よりも後方に位置し前記第1壁部と対向する第2壁部と、を有し、
前記吹出し口は、前記第1壁部に設けられた第1吹出し口と、前記第2壁部に設けられた第2吹出し口と、を有し、
前記第2吹出し口が空気を吹き出す方向は、前記第1吹出し口が空気を吹き出す方向よりも下向きであることを特徴とする構成1~4のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【0177】
(構成6)
前記内面は、第1壁部と、前記第1壁部よりも後方に位置し前記第1壁部と対向する第2壁部と、を有し、
前記吹出し口は、前記第1壁部に設けられた第1吹出し口と、前記第2壁部に設けられた第2吹出し口と、を有し、
前記第1吹出し口が吹き出す空気の風量は、前記第2吹出し口が吹き出す空気の風量よりも大きいことを特徴とする構成1~4のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【0178】
(構成7)
水受け部と、
前記内面の前記吸込み口とは異なる位置に設けられ、前記乾燥空間内の水を前記水受け部へ排出する排水口と、
をさらに備えたことを特徴とする構成1~6のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【0179】
(構成8)
内面と、前記内面によって囲まれた乾燥空間に使用者が手を差し入れるための開口と、を有する筐体と、
前記内面に設けられ、前記乾燥空間内に空気を吹き出す吹出し口と、
前記内面に設けられ、前記乾燥空間内の空気を吸い込む吸込み口と、
前記吸込み口に接続された流路部と、
前記流路部に設けられ、前記吸込み口に空気を吸い込ませる送風部と、
前記流路部内に位置し、前記吸込み口から吸い込まれた空気中の埃を捕集するための第1フィルター部と、
を備え、
前記内面に前記乾燥空間内の水を前記乾燥空間外に排出する排水口が設けられることを特徴とする手乾燥装置。
【0180】
(構成9)
前記排水口に接続された水路をさらに備え、
前記水路の少なくとも一部の流路断面積は、前記流路部のうちの前記送風部よりも上流の部分の少なくとも一部の流路断面積よりも小さいことを特徴とする構成8に記載の手乾燥装置。
【0181】
(構成10)
前記水路の最大流路断面積は、前記流路部のうちの前記送風部よりも上流の前記部分の最小流路断面積よりも小さいことを特徴とする構成9に記載の手乾燥装置。
【0182】
(構成11)
前記流路部において前記第1フィルター部よりも上流に設けられ、前記流路部内の水を受ける水受け部をさらに備えたことを特徴とする構成8~10のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【0183】
(構成12)
前記内面は、互いに対向する一対の面を有し、
前記排水口は、前記一対の面の一方側に設けられ、
前記吸込み口は、前記一対の面の他方側に設けられることを特徴とする構成8~11のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【0184】
(構成13)
前記内面は、前記排水口に向かう下り傾斜を有し、
前記吸込み口は、前記排水口よりも上方に位置することを特徴とする構成8~12のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【0185】
(構成14)
前記流路部において前記第1フィルター部よりも上流に設けられる吸水手段をさらに備えることを特徴とする構成8~13のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【0186】
(構成15)
前記第1フィルター部は、HEPAフィルターを含むことを特徴とする構成8~14のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【0187】
(構成16)
前記第1フィルター部は、カビ、菌またはウィルスを抑制する材料を含むことを特徴とする構成8~15のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【0188】
(構成17)
前記流路部において前記第1フィルター部よりも上流に設けられ、カビ、菌またはウィルスを抑制する材料を含む部材をさらに備えたことを特徴とする構成8~16のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【0189】
(構成18)
前記送風部を駆動させる制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記乾燥空間内における使用者の手の有無に関わらず、前記送風部を駆動させることが可能であることを特徴とする構成8~17のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【0190】
(構成19)
前記制御部は、使用者の特殊操作に基づいて前記送風部を駆動させることを特徴とする構成18に記載の手乾燥装置。
【0191】
以上説明したように、実施形態によれば、品質を向上可能な手乾燥装置を提供できる。
【0192】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
【0193】
本発明の実施の形態においては、吸込み口10が底部8に設けられていたが、例えば、第1壁部2や第2壁部4に設けられていても良い。
【0194】
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、手乾燥装置100、200が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0195】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0196】
2 第1壁部、 2a 第1吹出し口、 4 第2壁部、 4a 第2吹出し口、 6 壁部、 8 底部、 10 吸込み口、 12 送風部、 14 流路部、 16 フィルター部、 18 吸い込み流路、 20 循環流路、 22 排出口、 24 排出流路、 26 第1送風部、 28 第2送風部、 30 水受け部、 32 水受けトレイ、 34 第1フィルター部、 36 第2フィルター部、 38 第3フィルター部、 40 検出部、 42 制御部、 44 取り込み口、 46 取り込み流路、 48 検出部、 50 筐体、 50A 開口、 50i 内面、 50j 外面、 51~54 第1~第4面、 55 底面、 56 下ケース部材、 57、59 リブ、 61 第1吹出し口、 62 第2吹出し口、 63 吸込み口、 64 排出口、 65 送風部、 67 フィルター、 67a 第1フィルター部、 67b 第2フィルター部、 68 加熱部、 69 制御部、 70 流路部、 70a 上流部分、 71 第1流路、 72 第2流路、 72a、72b 流路、 73 第3流路、 80 排水口、 81 水路、 82 水受け部、 83 水路、 84 水受け部、 85 排水口、 86 仕切り、 87 水抜きキャップ、 88 水位センサ、 91 正面、 91a、91b カバー、 92 背面、 93 右側面、 94 左側面、 95 底面、 96 吸水手段、 97 抑制部材、 100、200 手乾燥装置、 D1 第1動作モード、 D2 第2動作モード、 S101~S114 ステップ
図1
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