(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048118
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】プリンタ噴射機構及びプリンタ噴射機構を用いるプリンタ
(51)【国際特許分類】
B29C 64/209 20170101AFI20230330BHJP
B29C 64/295 20170101ALI20230330BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20230330BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20230330BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230330BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C64/295
B29C64/393
B33Y50/02
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141803
(22)【出願日】2022-09-07
(31)【優先権主張番号】17/448,997
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド、ケイ.、ビーゲルセン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート、エー.、ストリート
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC02
4F213AJ11
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL15
4F213WL27
4F213WL32
4F213WL67
4F213WL74
4F213WL85
4F213WL87
4F213WL92
4F213WL95
(57)【要約】 (修正有)
【課題】広範囲の金属及び他の材料を含む印刷材料を選択的に噴射する能力や選択可能な液滴体積を噴射する能力などを備える、噴射機構および3Dプリンタを提供する。
【解決手段】3Dプリンタは、印刷材料を前進させるためのフィーダ機構102と、アレイ内に配置された複数のエジェクタ導管106が、フィーダ機構から印刷材料を受け入れるように配置された第1の端部106Aと、エジェクタノズルを備える第2の端部106Bとを備え、エジェクタノズル108が、第1の電極110と、第2の電極112とを備え、また導電性印刷材料がエジェクタノズル内に配置された場合に、導電性印刷材料を噴出するために十分な熱膨張を提供するように、第1の電極と第2の電極との間に電流を流すように構成されている電流パルス生成システム114と、プリント基板に対するアレイの相対位置を制御するための位置決めシステムと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ内に配置された複数のエジェクタ導管であって、各エジェクタ導管が、印刷材料を受け入れるように配置された第1の端部と、エジェクタノズルを備える第2の端部と、前記印刷材料が前記第1の端部から前記第2の端部まで前記エジェクタ導管を通過することを可能にするための前記エジェクタ導管の内面によって画定された通路と、を備え、前記エジェクタノズルが、第1の電極と、第2の電極と、を備え、前記第1の電極の少なくとも1つの表面が、前記通路内に露出しており、前記第2の電極の少なくとも1つの表面が、前記通路内に露出している、複数のエジェクタ導管と、
前記複数のエジェクタ導管の各々の前記エジェクタノズルと電気的に接触している電流パルス生成システムであって、導電性印刷材料が前記エジェクタノズル内に配置された場合に、前記導電性印刷材料を噴出するために十分な熱膨張を提供するように、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電流を流すように構成されている、電流パルス生成システムと、
前記3Dプリンタの動作中に、プリント基板が前記複数のエジェクタ導管の各々の前記エジェクタノズルから噴射可能な印刷材料を受容することを可能にする様式で、前記プリント基板に対する前記アレイの相対位置を制御するための位置決めシステムと、
を備える、3次元(「3D」)プリンタ。
【請求項2】
前記第1の電極及び前記第2の電極が、耐火金属を備える、請求項1に記載の3次元プリンタ。
【請求項3】
前記第1の電極及び前記第2の電極が、前記耐火金属上に配置された不動態化コーティングを更に備える、請求項2に記載の3次元プリンタ。
【請求項4】
前記第1の電極及び前記第2の電極が、第1の電極対を形成しており、前記エジェクタノズルが、第3の電極及び第4の電極を更に備え、前記第3の電極の少なくとも1つの表面が、前記通路内に露出しており、前記第4の電極の少なくとも1つの表面が、前記通路内に露出しており、前記第3の電極及び前記第4の電極が、第2の電極対を形成している、請求項1に記載の3次元プリンタ。
【請求項5】
前記電流パルス生成システムが、パルス制御システムを更に備え、前記パルス制御システムが、命令が記憶されている非一時的コンピュータ可読媒体を備え、前記命令が、コンピューティングデバイスによって実行されたときに、導電性印刷材料が前記エジェクタノズル内に配置されている間に前記第1の電極と前記第2の電極との間に流れると、前記印刷材料の少なくとも一部分を前記エジェクタノズルからプリント基板上に噴出するのに十分な運動量を提供するように、前記印刷材料を加熱し、膨張させる、電流パルスのパルス振幅及びパルス持続時間から選択された少なくとも1つのパルス特性を決定することを含む動作を、前記コンピューティングデバイスに実施させる、請求項1に記載の3次元プリンタ。
【請求項6】
前記複数のエジェクタ導管の前記第1の端部に前記印刷材料を前進させるためのフィーダ機構を更に備え、前記フィーダ機構が、複数のフィラメントの形態で前記印刷材料を前進させるためのシステムを備える、請求項1に記載の3次元プリンタ。
【請求項7】
前記複数のエジェクタ導管の前記第1の端部に前記印刷材料を前進させるためのフィーダ機構を更に備え、前記フィーダ機構が、前記印刷材料を液体形態で流すためのシステムを備える、請求項1に記載の3次元プリンタ。
【請求項8】
前記複数のエジェクタ導管の各々の少なくとも一部分が、電気絶縁材料を含む、請求項1に記載の3次元プリンタ。
【請求項9】
前記電気絶縁材料が、金属酸化物、セラミック、及びそれらの組み合わせから選択される、耐火材料である、請求項8に記載の3次元プリンタ。
【請求項10】
前記複数のエジェクタ導管が、エジェクタハウジング内に支持されている、請求項1に記載の3次元プリンタ。
【請求項11】
前記複数のエジェクタ導管が、前記エジェクタハウジングと一体である、請求項10に記載の3次元プリンタ。
【請求項12】
前記エジェクタハウジングが、金属、セラミック、金属酸化物、高温ポリマー、及びそれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのハウジング材料を含む、請求項10に記載の3次元プリンタ。
【請求項13】
前記3Dプリンタの動作中に、前記エジェクタ導管を囲む前記エジェクタハウジングの少なくとも一部分を加熱するための加熱機構を更に備え、前記加熱機構が、前記電流パルス生成システムから分離されている、請求項10に記載の3次元プリンタ。
【請求項14】
前記エジェクタノズルが、約10マイクロメートル~約1000マイクロメートルの範囲の内幅を有する、請求項1に記載の3次元プリンタ。
【請求項15】
前記エジェクタノズルが、約10マイクロメートル~約100マイクロメートルの範囲の内幅を有する、請求項1に記載の3次元プリンタ。
【請求項16】
前記アレイが、X軸上に配置されたM列のエジェクタ導管と、Y軸上に配置されたN行のエジェクタ導管と、を有し、Mが、2~約1000の範囲の整数であり、Nが、1~2の範囲の整数である、請求項1に記載の3次元プリンタ。
【請求項17】
Mが、約100~約1000の範囲の整数である、請求項16に記載の3次元プリンタ。
【請求項18】
Nが、2であり、前記エジェクタ導管の前記行が、直線的に配置されており、各行内の前記エジェクタ導管が、隣接する行のエジェクタ導管に対して互い違いに配置されている、請求項17に記載の3次元プリンタ。
【請求項19】
アレイ内に配置された複数のエジェクタ導管であって、各エジェクタ導管が、印刷材料を受け入れるように配置された第1の端部と、エジェクタノズルを備える第2の端部と、前記印刷材料が前記第1の端部から前記第2の端部まで前記エジェクタ導管を通過することを可能にするための前記エジェクタ導管の内面によって画定された通路と、を備え、前記エジェクタノズルが、第1の電極と、第2の電極と、を備え、前記第1の電極の少なくとも1つの表面が、前記通路内に露出しれており、前記第2の電極の少なくとも1つの表面が、前記通路内に露出している、複数のエジェクタ導管と、
前記複数のエジェクタ導管の各々の前記エジェクタノズルと電気的に接触している電流パルス生成システムであって、導電性印刷材料が前記エジェクタノズル内に配置された場合に、前記導電性印刷材料を噴出するために十分な熱膨張を提供するように、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電流を流すように構成されている、電流パルス生成システムと、
を備える、プリンタ噴射機構。
【請求項20】
前記第1の電極及び前記第2の電極が、耐火金属を含む、請求項19に記載のプリンタ噴射機構。
【請求項21】
前記電流パルス生成システムが、パルス制御システムを更に備え、前記パルス制御システムが、命令が記憶されている非一時的コンピュータ可読媒体を備え、前記命令が、コンピューティングデバイスによって実行されたときに、導電性印刷材料が前記エジェクタノズル内に配置されている間に前記第1の電極と前記第2の電極との間に流れると、前記印刷材料の少なくとも一部分を前記エジェクタノズルからプリント基板上に噴出するのに十分な運動量を提供するように、前記印刷材料を加熱し、膨張させる、電流パルスのパルス振幅及びパルス持続時間から選択された少なくとも1つのパルス特性を決定することを含む動作を、前記コンピューティングデバイスに実施させる、請求項19に記載のプリンタ噴射機構。
【請求項22】
アレイ内に配置された複数のエジェクタ導管であって、各エジェクタ導管が、印刷材料を受け入れるように配置された第1の端部と、エジェクタノズルを備える第2の端部と、前記印刷材料が前記第1の端部から前記第2の端部まで前記エジェクタ導管を通過することを可能にするための前記エジェクタ導管の内面によって画定された通路と、を備え、前記エジェクタノズルが、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に横方向に配置された電気絶縁材料と、を備え、前記第1の電極の少なくとも1つの表面が、前記通路内に露出しており、前記第2の電極の少なくとも1つの表面が、前記通路内に露出している、複数のエジェクタ導管、
を備える、3次元(「3D」)プリンタ噴射機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層造形のために使用されるプリンタ(本明細書では3次元(「3D」)プリンタと称される)において用いることができる、プリンタ噴射機構を対象とする。
【背景技術】
【0002】
固体フィラメントの形態の材料を含む固体材料の溶融は、3D印刷技術において一般的に使用される。材料の相変化又は加熱が生じる場合、材料は、一般的に、膨張し、固体から液体への相変化の場合、流動性になることがよく理解されている。印刷材料は、しばしば溶融して、材料の流れ及び基材への堆積を可能にして、そこから3D物体を形成する。具体的な例として、溶融アルミニウムから3D物体を構築するための液体3次元プリンタは、当該技術分野において既知である。
【0003】
1つのそのような3Dプリンタは、米国特許第9,616,494号に開示されている。3Dプリンタは、電磁コイルによって印加されたDCパルスを使用して、応答して溶融アルミニウム液滴を吐出することによって機能する。液滴の標的となるプラテンは、液滴を接続かつ蓄積させて、3次元物体を生成することを可能にするように並進する。しかしながら、この3Dプリンタから噴出された溶融アルミニウムの液滴は、約0.5mm以上の直径を有する。これにより、高容量スループット金属部品の製造が可能になる。しかしながら、比較的大きな液滴サイズは、それによって印刷された3D物体の望ましくない程度の多孔率、並びに製造中の平坦でないビルド表面、溶接されていない液滴、及び形状のばらつきをもたらし得る。これらの全ては、不十分な引張強度などの物理的特性の劣化、並びに最終物体による不良な外観の問題、及び/又は非常に細かい詳細で物体を印刷することができないなどにつながる可能性がある。
【0004】
したがって、例えば、液体金属プリンタなどの3次元プリンタから作製された3次元物体の品質を改善するための方法及びシステムは、当該技術分野における一歩前進となるであろう。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一実施形態は、3次元(「3D」)プリンタを対象とする。3Dプリンタは、アレイ内に配置された複数のエジェクタ導管であって、各エジェクタ導管が、印刷材料を受け入れるように配置された第1の端部と、エジェクタノズルを備える第2の端部と、印刷材料が第1の端部から第2の端部までエジェクタ導管を通過することを可能にするためのエジェクタ導管の内面によって画定された通路と、を備え、エジェクタノズルが、第1の電極と、第2の電極と、を備え、第1の電極の少なくとも1つの表面が、通路内に露出しており、第2の電極の少なくとも1つの表面が、通路内に露出している、複数のエジェクタ導管と、複数のエジェクタ導管の各々のエジェクタノズルと電気的に接触している電流パルス生成システムであって、導電性印刷材料がエジェクタノズル内に配置された場合に、導電性印刷材料を噴出するために十分な熱膨張を提供するように、第1の電極と第2の電極との間に電流を流すように構成されている、電流パルス生成システムと、3Dプリンタの動作中に、プリント基板が複数のエジェクタ導管の各々のエジェクタノズルから噴射可能な印刷材料を受容することを可能にする様式で、プリント基板に対するアレイの相対位置を制御するための位置決めシステムと、を備える。
【0006】
本開示はまた、プリンタ噴射機構を対象とする。プリンタ噴射機構は、アレイ内に配置された複数のエジェクタ導管であって、各エジェクタ導管が、印刷材料を受け入れるように配置された第1の端部と、エジェクタノズルを備える第2の端部と、印刷材料が第1の端部から第2の端部までエジェクタ導管を通過することを可能にするためのエジェクタ導管の内面によって画定された通路と、を備え、エジェクタノズルが、第1の電極と、第2の電極と、を備え、第1の電極の少なくとも1つの表面が、通路内に露出しており、第2の電極の少なくとも1つの表面が、通路内に露出している、複数のエジェクタ導管と、複数のエジェクタ導管の各々のエジェクタノズルと電気的に接触している電流パルス生成システムであって、導電性印刷材料がエジェクタノズル内に配置された場合に、導電性印刷材料を噴出するために十分な熱膨張を提供するように、第1の電極と第2の電極との間に電流を流すように構成されている、電流パルス生成システムと、を備える。
【0007】
本開示の別の実施形態は、3次元(「3D」)プリンタ噴射機構を対象とする。3Dプリンタ噴射機構は、アレイ内に配置された複数のエジェクタ導管を備え、各エジェクタ導管は、印刷材料を受け入れるように配置された第1の端部と、エジェクタノズルを備える第2の端部と、印刷材料が第1の端部から第2の端部までエジェクタ導管を通過することを可能にするためのエジェクタ導管の内面によって画定された通路と、を備える。エジェクタノズルは、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に横方向に配置された電気絶縁材料と、を備え、第1の電極の少なくとも1つの表面は、通路内に露出しており、第2の電極の少なくとも1つの表面は、通路内に露出している。
【0008】
本開示の別の実施形態は、3次元物体を印刷する方法を対象とする。方法は、アレイ内に配置された複数のエジェクタ導管に、導電性である印刷材料を供給することであって、エジェクタ導管が、印刷材料を受け入れるように構成された第1の端部と、エジェクタノズルを備える第2の端部と、を備える、供給することと、印刷材料が1つ以上のエジェクタ導管のエジェクタノズル内に配置されるまで、アレイのエジェクタ導管のうちの1つ以上内に印刷材料を前進させることと、エジェクタノズルのうちの少なくとも1つ内に配置された印刷材料を通して電流を流すことによって、印刷材料の少なくとも一部分をエジェクタノズルのうちの少なくとも1つからプリント基板上に噴出するように、エジェクタノズルのうちの少なくとも1つにおいて印刷材料を加熱し、膨張させることと、印刷材料を前進させること及び印刷材料に電流を流すことの両方を繰り返して、プリント基板上に3次元物体を形成することと、を含む。
【0009】
本開示の更に別の実施形態は、プリンタ噴射機構から印刷材料を噴射するための方法を対象とする。方法は、アレイ内に配置された複数のエジェクタ導管に、導電性である印刷材料を供給することであって、エジェクタ導管が、印刷材料を受け入れるように構成された第1の端部と、エジェクタノズルを備える第2の端部と、を備える、供給することと、印刷材料が1つ以上のエジェクタ導管のエジェクタノズル内に配置されるまで、アレイのエジェクタ導管のうちの1つ以上内に印刷材料を前進させることと、エジェクタノズルのうちの少なくとも1つに配置された印刷材料を通して電流を流すことによって、印刷材料の少なくとも一部分をエジェクタノズルのうちの少なくとも1つから噴出するために、エジェクタノズルのうちの少なくとも1つにおける印刷材料を加熱し、膨張させることと、を含む。
【0010】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも、あくまで例示的かつ説明的なものであり、請求されるように、本教示を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本教示の実施形態を例解し、説明とともに本教示の原理を説明する役割を果たす。
【
図1】本開示の一実施形態による、プリンタ噴射機構の実施例を例解している。
【
図2】本開示の一実施例による、プリンタ噴射機構の上面図を例解している。
【
図3】電極対を備えるエジェクタノズルの底面図を例解している。本開示の一実施形態による、電流パルス生成システムは、電極対と電気的に接触して例解されている。
【
図4】エジェクタ導管の概略断面図の実施例を例解している。本開示の一実施形態による、エジェクタ導管のエジェクタノズル内に配置された電極にわたって電流パルスを生成するために用いられ得る、電流パルス生成システムがまた例解されている。
【
図5】エジェクタ導管の概略断面図の実施例を例解している。本開示の一実施形態による、エジェクタ導管のエジェクタノズル内に配置された電極にわたって電流パルスを生成するために用いられ得る、電流パルス生成システムがまた例解されている。
【
図6】本開示の一実施形態による、正方形断面の流路を有するエジェクタノズルの概略底面図を例解している。
【
図7】本開示の一実施形態による、正方形断面の流路を有するエジェクタノズルの概略底面図を例解している。
【
図8】本開示の一実施形態による、内径d
iを有するエジェクタノズルの概略的な断面図を例解している。
【
図9】本開示の一実施形態による、互い違いに配置されているエジェクタ導管の列を備える、プリンタ噴射機構の概略上面図を例解している。
【
図10】本開示の一実施形態による、エジェクタ導管の概略断面側面図を例解している。
【
図11】本開示の一実施形態による、エジェクタ導管のアレイの概略断面側面図を例解している。
【
図12A】本開示の一実施形態による、本明細書に説明されるプリンタ噴射機構において用いられ得る、印刷材料をその中に有するエジェクタ導管の概略断面側面図を例解している。
【
図12B】本開示の一実施形態による、印刷材料の一部分の気化及び気化部分の下の印刷材料の別の部分の噴出後の
図12Aのエジェクタ導管の概略断面側面図を例解している。
【
図13】本開示の一実施形態による、ベントを備えるエジェクタ導管の概略断面側面図を例解している。
【
図14A】本開示の一実施形態による、複数のベントを備えるエジェクタノズルの概略底面図を例解している。
【
図14B】本開示の一実施形態による、
図14Aのエジェクタノズルを含むエジェクタ導管106の一部分の線A-Aに沿った概略断面図を例解している。
【
図15】本開示の一実施形態による、3Dプリンタのブロック図である。
【
図16】本開示の一実施形態による、液滴を同時に噴出して、プリント基板上に3D物体を印刷する、複数のエジェクタ導管を備える、プリンタ噴射機構の概略側面図を例解している。
【
図17】本開示の一実施形態による、プリンタ噴射機構から印刷材料を噴射するための方法の流れ図である。
【
図18】本開示の一実施形態による、3Dプリンタの概略図である。
【0012】
これらの図のいくつかの詳細は簡略化されており、厳密な構造精度、詳細、及び縮尺は維持されるものではなく、実施形態の理解を容易にするように描かれていることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、本教示の実施形態を詳細に参照し、それらの実施例は、添付図面に例解される。図中、同様の参照番号は、全体を通して、同一の要素を指定するために使用される。以下の説明では、その一部をなし、本教示が実践され得る具体的な例示的な実施形態が例解として示される添付図面を参照する。したがって、以下の説明は、単なる例示に過ぎない。
【0014】
本開示は、ジェットアレイ内に配置された複数のエジェクタ導管と、プリンタ噴射機構を用いる3Dプリンタと、を備える、プリンタ噴射機構を対象とする。印刷材料を噴射するためのそのような噴射機構を用いる方法もまた、開示される。プリンタ噴射機構は、本明細書でより詳細に説明されるように、噴射のための力として印刷材料の熱膨張を誘発するために電流を用いるように設計されている。本明細書に開示される噴射機構、及び印刷方法は、以下の利点のうちの1つ以上を提供することができる:広範囲の金属及び他の材料を選択的に噴射する能力、選択可能な液滴体積を噴射する能力、微細及び/又は選択可能な特徴サイズの印刷を可能にする小さな液滴サイズを噴射する能力、並びに比較的高いスループットで印刷する能力。
【0015】
プリンタ噴射機構
図1は、本開示の一実施形態による、プリンタ噴射機構100の実施例を例解している。プリンタ噴射機構100は、印刷される印刷材料104を前進させるためのフィーダ機構102を任意選択的に備える。例示的な印刷材料104は、選択された合金の事前形成されたワイヤ、又は以下でより詳細に考察されるような他の材料である。複数のエジェクタ導管106が、アレイ107内に配置されている。各エジェクタ導管106は、フィーダ機構102から印刷材料104を受け入れるように配置された第1の端部106Aを備える。第2の端部106Bは、エジェクタノズル108を備える。
図2は、プリンタ噴射機構100の上面図を例解している。エジェクタ導管106の各々の内面によって画定された通路106Cは、印刷材料104が第1の端部106Aから第2の端部106Bまでエジェクタ導管106を通過することを可能にする。
【0016】
エジェクタノズル108は、印刷材料104を加熱するために電流を供給するために使用される、第1の電極110及び第2の電極112を含む、電極の少なくとも1つの対を備える。第1の電極110の少なくとも1つの表面は、通路106C内に露出しており、第2の電極112の少なくとも1つの表面は、通路106C内に露出している。
図3に示される電流パルス生成システム114は、複数のエジェクタ導管106の各々のエジェクタノズル108の少なくとも1つの電極対と電気的に接触している。電流パルス生成システム114は、導電性印刷材料104がエジェクタノズル108内に配置されたときに、主に第1の電極110と第2の電極112との間に電流のパルスを流すことができる。
【0017】
エジェクタノズル108内で印刷材料104を加熱するのに十分な電力が電極110、112に提供されて、印刷材料のうちの少なくとも一部分をエジェクタノズル108から噴出又は噴射するのに十分な運動量を提供するように、印刷材料104を十分に急速に膨張させる。本明細書で噴射とも称される印刷材料の所望の噴出をもたらす印刷材料の急速な膨張は、以下でより詳細に説明するように、印刷材料の相変化を引き起こす加熱を含む場合、又は含まない場合がある。
【0018】
電極110及び112は、印刷材料104との電気的接触を提供するように構成され得る。一例として、印刷材料が固体フィラメントである場合、電極110、112の一方又は両方は、任意の所望のばね機構113(
図7)、又は通路106Cの長手方向軸lの方向に電極の一方若しくは両方を位置的に付勢する電極設計を使用して、軽くばねをかけることができる。このようにして、印刷材料104がエジェクタの動作中にノズル108内に送給されるときに、電極は、印刷材料104に対して押し付けられる。フィラメントに対してかかる付勢接触力を提供することができる好適なばね機構及び/又は電極設計は、当業者によって決定され得る。
【0019】
電極110、112は、印刷中のエジェクタノズル温度に耐えながら、印刷材料104に電気的接触を提供するのに好適な任意の材料を含むことができる。好適な材料の例には、本明細書に説明されるような耐火金属を含む印刷材料よりも高い溶融温度を有する金属、アルミニウム、アルミニウム合金(例えば、1000シリーズ、2000シリーズ、3000シリーズ、4000シリーズ、5000シリーズ、6061及び6063などの6000シリーズ、並びに7000シリーズのアルミニウム合金)、マグネシウム、マグネシウム合金、鉄、鉄合金(例えば、鋼)、銅、銅合金(例えば、亜鉛)、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀、及び銀合金、が含まれる。上記金属の好適な合金は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄、銅、ニッケル、チタン、タングステン、又は他の元素耐火金属のいずれか、パラジウム、銀、本明細書に列挙される他の耐火金属合金のうちのいずれかなどのうちの2つ以上の混合物などの、元素耐火金属を含む上記元素金属のうちの任意の2つ以上の混合物などの任意の所望の金属の混合物を含み得る。電極110及び112は、耐食性であり得る。例えば、本明細書に説明される電極110及び112のいずれかは、任意選択的に、溶融印刷材料による腐食に抵抗する、パラジウムなどの貴金属を含む不動態化コーティング144(例えば、
図7)でコーティングされている。一例では、本明細書の電極のいずれかは、タングステン、別の耐火金属、銅、又は電極に好適なものとして本明細書で教示される他の金属のいずれかを含み得、パラジウムなどの貴金属を含む不動態化層でコーティングされている。電極上の耐食性コーティングとして貴金属を用いることは、一般に周知である。
【0020】
本明細書で電流パルス生成回路とも称される電流パルス生成システム114は、比較的短期間(例えば、単一電流パルス)で印刷材料104を加熱及び膨張するのに十分な振幅を有する電流のパルスを生成する能力を有する。短い高電流パルスは、熱駆動された膨張から生じる加熱された印刷材料の十分な運動量を生成し、例えば、3Dプリンタの動作中にエジェクタノズル108からの印刷材料104の脱離及び噴出を引き起こす。これは、噴出力を生成するための電流パルスと併せて電磁コイル又は他のタイプの磁石などの磁場源を用いることなく行うことができる。したがって、本出願では、電磁力ではなく、主に噴出を駆動する印刷材料の膨張である。
【0021】
熱膨張及び印刷材料の噴出のための所望の加熱速度を達成するのに十分なアンペア数のパルスを提供することができる任意のタイプの電流パルス生成回路を用いることができる。好適な電流パルス生成回路は、当該技術分野において周知であり、任意の所望の電流パルス生成システムを使用することができる。電流パルス生成システムは、例えば、
図3、
図4、及び
図5に示されるように、エジェクタノズルの第1の電極110及び第2の電極112などの、本明細書に説明されるエジェクタデバイス内の電極対(例えば、全ての電極対)のうちの任意の1つ以上と電気的に接続されている。一実施形態では、電流パルス生成システム114は、エジェクタノズル108と電気的に接続された電流源(例えば、第1の電極110に接続された電流源、及びエジェクタノズルの第2の電極112と電気的に接続された電流シンク)を備える。別の実施形態では、電流パルス生成システム114は、(例えば、ノズルの第1の電極110と第2の電極112との間に所望の電圧を印加するように)エジェクタノズル108と電気的に接続された電圧源を備える。好適な電流源及び電圧源の例は、当該技術分野において周知である。
【0022】
図3を参照すると、電流パルス生成システム114の回路は、パルス生成器、波形生成器、又は所望の電流パルスを生成することができる他のデバイスなどの、パルス制御デバイス114cによって動作する電源114a及びスイッチ114bを備えることができる。
図3には別々に示されているが、スイッチ114bは、任意選択的に、パルス制御デバイス114cの一部であり得る。パルス制御デバイス114cは、電流パルス生成システムのコンピュータ制御を提供するようにプログラム可能であり得る。電源114aは、所望の電流を供給することができるDC電源又はスイッチング電源などの任意の電源であり得る。スイッチ114bは、パルス制御デバイス114cと組み合わせて所望の電流パルスを提供することができる任意のスイッチであり得る。例としては、FET又はMEMSスイッチを含む、高電流可能スイッチが含まれる。当業者によって理解されるように、他の回路構成要素は、例えば、増幅器、抵抗器などのような電流パルス生成システム114の一部として任意選択的に含まれ得る。本明細書に説明されるように、電流パルス生成システム114は、電極110及び112を使用して、エジェクタノズル108内の印刷材料に電気的に接続され得る。
【0023】
図4は、低デューティサイクルで少量の時間にわたって比較的高い電流パルスを提供するために用いられ得る可能性がある、電流パルス生成回路の例を例解している。
図4の電流パルス生成システム114は、スイッチング電源などのDC電源である電源114a、及びスイッチ114bとして機能する複数のFETS(例えば、GaAs FETS又は他のFETS)を用いて、1つ以上のコンデンサを充電する。
図4の電流パルス生成システム114は、本明細書に説明されるように、電極110及び112を使用して、エジェクタノズル108内の印刷材料に電気的に接続されている。荷電コンデンサは、印刷材料を横切って所望の電流パルス118を提供するように放電され得る。一般的な回路設計は、DC電圧源、電流フィードバック抵抗器を備えた高電力演算増幅器、及び/又はGaAs nMOSトランジスタなどの高速低直列インピーダンススイッチを用いることができる。そのような回路は、一般に周知である。急速双極スイッチングは、例えば、高電流Hブリッジを使用して同様に適用され得る。好適な電流パルスを提供することができる任意の他の好適な電流パルス生成回路を用いることができる。
【0024】
印刷材料の抵抗率は、加熱され及び/又は相変化するときに変化するが、電流パルスの所望の振幅及び/又は持続時間を決定するときに考慮され得る。所望される場合、電流パルス生成システム114によって供給される電流の量は、印刷材料104の加熱及び/又は相変化によって起こり得る抵抗率の変化にもかかわらず、所望の熱エネルギーを印刷材料に提供するために、電流パルス118の持続時間にわたって意図的に変化することができる。
【0025】
一実施形態では、電流パルス生成システム114は、プログラム可能なパルス制御デバイスを含む。パルス制御システム160(
図4)は、パルスコントローラ162及び計算システム164を含む、プログラム可能なパルス制御デバイスの例である。パルスコントローラ162は、例えば、電流パルス生成システム114の回路構成要素(例えば、電流スイッチ、電源及び/又は他の構成要素)とインターフェースして、電流パルスが第1の電極110と第2の電極112との間に流れるときに印刷材料を加熱するための所望のパルス特性を有する電流パルスを生成する、CPU170及びメモリ172を備える、マイクロコントローラであり得る。パルスコントローラ162は、非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、計算システム164のメモリ166)に埋め込まれたコンピュータ実行可能命令を実行することができる、計算システム164によって駆動され得る。計算システム164は、(例えば、CPU170及びメモリ172などのパルスコントローラ162に統合されたCPU及びメモリを用いることができる)パルスコントローラ162自体の一部として統合され得、又は例えば、パルスコントローラ162とインターフェース接続するメモリ166及びCPU168を含む、別個のコンピュータシステム(
図4に示すような)であり得る。計算システム164の非一時的コンピュータ可読媒体に埋め込まれたコンピュータ実行可能命令は、とりわけ、計算システム164のCPU168に命令して、印刷材料を加熱するためのパルス長、振幅、及び/又はパルス形状などの少なくとも1つの所望のパルス特性を決定して、本明細書に説明されるような印刷材料104の熱膨張及び噴出を引き起こすことができる。計算システム164は、印刷材料104の所望の噴出特性を提供するパルス特性を計算するために数学的アルゴリズムを使用することなどによって、任意の好適な方法で少なくとも1つの所望のパルス特性を決定することができ、例えば、印刷材料のタイプ、エジェクタのパルス履歴、及び/又はプリンタ噴射機構からのフィードバックを考慮に入れることができる。そのようなフィードバックは、例えば、リアルタイムノズル温度、印刷材料温度、及び/又は他のデータを含み得る。コンピュータシステム164及びパルスコントローラ162の一方又は両方の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ166又は172)に埋め込まれた追加のコンピュータ実行可能命令は、電流パルス生成システムの電圧源又は電流源に第1の電極110と第2の電極112との間に電流を流させるための命令又は電気信号を送信するために、パルス制御システム160のCPU(例えば、CPU168及び/又はCPU170)によって実行される。結果として生じる電流は、少なくとも1つのパルス特性を有する電流パルス118を含む。第1の電極110及び第2の電極112にわたる電流パルスを制御することにより、印刷材料104の噴出は、液滴体積、噴出された印刷材料の速度、及び噴出速度(例えば、1秒当たりの噴出数)などを含めて、制御され得る。
【0026】
上述のように、所望のパルス特性を決定するときに、計算システム164は、任意選択的に、例えば、デューティサイクルの変化によって引き起こされるノズル108における温度変化による、印刷材料104の導電率、熱膨張、又は他の温度依存性の特性の影響などを補償することができる。例えば、場合によっては、デューティサイクルは、高い場合があり、1つのパルスは、別のパルスにすばやく続く場合がある。これは、エジェクタノズル108、エジェクタ導管106がエジェクタノズル及び/又はその中に含まれる印刷材料104に近接して、より低いデューティサイクル状況と比較して温度を局所的に上昇させる可能性がある。そのような温度変化は、印刷材料の膨張及び噴出に影響を及ぼし得る。パルス特性を決定する際のこれらの効果を考慮することにより、電流パルス生成システムの計算システム164は、プリンタ噴射機構100の噴出特性を制御及び/又は改善することができる。
【0027】
図5は、
図5の電流パルス生成回路が、二対以上の電極110a、112a、110b、112b、及び110c、112cを備えるエジェクタノズル108とともに用いられ得ることを除いて、
図4の電流パルス生成回路と同様の電流パルス生成回路を例解している。3対の電極が示されているが、1~10個の電極対、又は2~5個の電極対などの任意の数の電極対を用いることができる。そのような設計は、
図4の単一電極対設計と比較して、印刷材料を通る改善された制御及び/又はより高い電流密度を可能にし得る可能性がある。例えば、ノズル当たりの複数の電極は、可変体積液滴噴出を可能にし得、各噴出の液滴体積は、電流パルスを所望の数の電極対に送ることによって変化させることができる。したがって、より小さい液滴は、単一の電極対110a、112aを通る電流をパルスすることによって噴出され得、一方で、より大きい液滴は、2つの電極対110a、112a及び110b、112b、又は3つ以上の電極対を通る電流をパルスすることによって噴出され得る。
図4に例解されるようなパルス制御システム160を用いて、
図5の電流パルス生成回路を制御することもできる。本開示のデバイスのうちのいずれも、本明細書に説明されるように、エジェクタノズル108内の複数の電極対を用いることができる。
【0028】
エジェクタノズル108は、エジェクタ導管106の端部分であり、プリンタ噴射機構100の動作中に印刷材料を噴出するように配置されている。エジェクタノズル108の通路106Cは、エジェクタ導管106の通路106Cの形又は異なる形状を有することができる。
図3は、電極110、電極112、及び電極110と電極112との間に横方向に配置された電気絶縁体部分111によって境界付けられた円形断面を有する、通路106Cを有するエジェクタノズル108を示している。電気絶縁体は、例えば、シリカ、又はエジェクタ導管106に好適なものとして本明細書に説明される他の絶縁材料のうちのいずれかなどの絶縁材料を含む。正方形断面を有するエジェクタノズル108の実施例が、
図6及び
図7に示されている。正方形断面は、
図3の円形断面よりも、印刷材料104を通るより均一な電流分布流を提供し得る可能性がある。例えば、他の多角形、楕円形などの任意の他の所望の断面形状が、通路106Cに用いられ得る。
【0029】
図8を参照すると、エジェクタノズル108は、通路106Cの断面が円形である場合の直径である、内幅d
iを有する。通路106Cの断面が円形ではない場合、d
iは、対向する絶縁体部分111間の最短直線の長さであり、ここで、直線は、通路106Cの
図1、
図6、及び
図7に示される長手方向軸「l」(ここで、長手方向軸は、
図6及び
図7のページに向かっている)を通過する。d
iを決定するために使用されるエジェクタノズル108の断面は、断面が通路106Cと交差する点において、長手方向軸「l」に対する全ての方向に垂直である平面にある。(例えば、d
iの場合の値がエジェクタノズル108の長さに沿って変化する場合などの)d
iに1つを越える可能な値が存在する場合、d
iは、エジェクタノズル108についての可能なd
i値の最小値である。d
iの場合の例示的な値は、例えば、約10マイクロメートル~約1000マイクロメートル、約20マイクロメートル~約500マイクロメートル、約50マイクロメートル~約200マイクロメートル、又は約100マイクロメートルを含む。一実施形態では、d
iは、約10マイクロメートル~約50マイクロメートル、又は約10マイクロメートル~約25マイクロメートルなどの、約10マイクロメートル~約100マイクロメートルのサイズの範囲である。第1の電極110及び第2の電極112の長さL
w(
図3)(又は
図5など、複数の電極対が用いられる場合の複数の電極対の組み合わせられた長さ)は、例えば、内幅d
i(例えば、直径)の約1~約10倍の範囲であり得る。エジェクタノズル108の設計及び材料は、エジェクタ導管106の残りの部分と同じ又は異なり得る。ノズルの長さを含むエジェクタ導管106の全長は、例えば、電極110及び112の長さL
wの約2~約100倍、又は約4~20倍である長さなどの任意の好適な長さであり得る。
【0030】
一実施形態では、
図1及び
図2に例解されるように、エジェクタ導管106の通路106Cは、第1の端部106Aに第1の幅を有し、第1の幅は、通路106Cがエジェクタノズル108内の印刷材料の周りに密接に適合することを可能にしながら、印刷材料が第1の端部106A内に容易にねじ込まれることを可能にするために、エジェクタノズル108の内幅d
iよりも広い。一実施形態では、通路106Cは、第1の幅から内幅まで徐々に先細になっていて、固体フィラメントの形態の印刷材料104が通路106Cに引っ掛かること、及び/又は望ましくなく遮断することを回避することができる。
【0031】
フィーダ機構102は、任意の好適な機械システム、圧力駆動システム、又は印刷材料104をエジェクタ導管106に送給することができる他のシステムであり得る。フィーダ機構は、印刷材料104を移動させるための移動体102a(
図18)として機能することができる1つ以上のポンプ、アクチュエータ、又はそれらの組み合わせを備えることができる。好適なアクチュエータの例としては、電気モータ、圧電モータ、インチウォームアクチュエータ、油圧アクチュエータ、及び空気圧アクチュエータが含まれる。使用されるフィーダ機構102のタイプは、用いられる印刷材料104のタイプに依存するであろう。一実施例では、印刷材料104は、複数のフィラメントを含み、フィーダ機構102は、複数のフィラメントを前進させるための機構である。本開示の目的のための「フィラメント」という用語は、固体のワイヤ状フィラメント、又は液体で満たされた毛細管若しくは他の液体で満たされた導管などの液体フィラメントの両方を含むように定義される。固体フィラメントのフィーダ機構の例としては、当該技術分野において周知であるスプールフィーダ及びインチウォームアクチュエータが含まれる。当業者によって理解されるように、固体フィラメントの形態、乾燥粉末、又は他の固体形態のエジェクタ導管106に固体印刷材料104をラチェット又は他の方法で前進させるための他のフィーダデバイスがまた、フィーダ機構102として用いられ得る。
【0032】
実施形態では、フィーダ機構102は、液体フィラメントなどの液体印刷材料をエジェクタ導管106内に供給し、液体印刷材料をエジェクタノズル108に前進させるための任意の好適な機構であり得る。液体印刷材料のための好適なフィーダ機構の例としては、リザーバ又は印刷材料(例えば、溶融金属)の他の供給源からの液体を前進させ、それによって、噴出後にエジェクタノズル108を安定的に補充するのに十分な毛細管力及び/又は過剰圧力を用いる機構が含まれる(例えば、フィーダ機構は、噴出後にエジェクタノズルを自動的に補充するように設計され得る)。フィーダ機構102は、例えば、ポンプ、フィーダ導管、及び/若しくは(例えば、リザーバ内の印刷材料のある充填レベルを維持することによって)印刷材料で充填されて静水圧ヘッドを提供することができる印刷材料リザーバ構成、又は圧力を加えるための任意の他のデバイスを備えることができる。そのようなフィーダ機構は、当該技術分野において周知である。当業者は、適切なフィーダ機構を容易に決定することができるであろう。
【0033】
一実施形態では、フィーダ機構102は、異なる送給速度で、各エジェクタ導管106に印刷材料を供給することができる。一例として、複数のフィラメントを前進させるためのフィーダ機構102は、別々に制御可能な送給速度で複数のフィラメントの各々を漸増的に前進させるための別個の機構を備える。したがって、一実施形態では、各エジェクタにおける噴出速度が印刷のために、所望に応じて、増加又は減少するにつれて、送給速度は、次の噴出前にエジェクタノズルへの印刷材料104の補充を満たすことができる。
【0034】
複数のエジェクタ導管106の各々の少なくとも一部分は、電極110、112の動作中の電気的短絡を回避するために好適な電気絶縁を提供する電気絶縁材料を含む。電気絶縁材料は、所望の構造的完全性を維持しながら、プロセス温度に耐えるように選択され得る。一実施形態では、電極110及び112を除くエジェクタ導管106全体は、例えば、
図1に示されるように、電気絶縁材料であり得る。一実施形態では、導管106は、絶縁材料で覆われた導電性材料を含むことができる。導管106に用いられる電気絶縁材料は、例えば、金属酸化物(例えば、ドープ又はドープされていないシリカなどのガラス)、セラミック、及びそれらの組み合わせから選択される耐火材料などの耐火材料であり得る。本開示の目的のために、「耐火材料」という用語は、1気圧で1000℃以上の融点を有する任意の材料として広く定義される。例えば、耐火材料は、約1200℃~約4000℃、又は約1400℃~約3500℃、又は約1700℃~約3500℃、又は約2000℃~約3500℃などの、1000℃~約4000℃の範囲の融点を有することができる。エジェクタ導管材料は、これらの範囲外の融点を有することができる。例えば、印刷材料104がポリマーである場合、エジェクタ導管は、800℃、700℃、500℃以下などの、1000℃未満の融点を有する材料で作製され得る可能性がある。
【0035】
一実施形態では、エジェクタ導管106は、複数のエジェクタ導管106の各々の少なくとも一部分が金属などの熱伝導性材料を含む場合など、電気絶縁材料及び他の材料の組み合わせを含む。熱伝導性材料は、必要に応じて印刷材料104の温度を上昇及び維持するために、加熱機構126(
図2及び
図9)から印刷材料104に熱エネルギーを伝達するために用いられ得る。加熱機構126は、以下でより詳細に説明される。
図10は、エジェクタ導管106が、電気的に絶縁された内側導管部分115と、内側導管部分の電気絶縁材料とは異なる熱伝導性材料を含む外側導管部分116とを備える、1つのそのような実施形態の例を例解している。
図11は、アレイ内に配置されたエジェクタ導管106が各々、電気的に絶縁される内側導管部分115を備える、更に別の例示的な構成を含む。第1の外側導管部分116は、内側導管部分115の上部領域を囲むように配置されている。第1の外側導管部分116は、熱伝導性材料を含む。第2の外側導管部分117は、内側導管部分115の下部領域を囲むように配置されている。第2の外側導管部分117は、内側導管部分115の電気絶縁材料と同じ又は異なり得る、第2の電気的絶縁材料を含む。第2の外側導管部分117は、
図11の第1の外側導管部分116とほぼ同じ厚さに見えるが、第1の外側導管部分116が導電性である場合など、電極110及び112と導管106内で用いられる任意の導電性材料との間に十分な電気絶縁が提供される限り、第2の外側導管部分117は、第1の外側導管部分116よりも薄くなり得る。更に別の実施形態では、内側導管部分115は、電極110及び112のための電気絶縁を提供するのに十分に厚く(例えば、内側導管部分115が電極110及び112の幅よりも厚いなど)、その場合、第1の外側導管部分116は、エジェクタ導管106の全長に延在することができる。エジェクタ導管106のための様々な他の設計を実装することができる。内側導管部分115(
図10及び
図11)及び第2の外側導管部分117の電気絶縁材料は、例えば、エジェクタ導管106として使用するための本明細書に説明される電気絶縁材料のいずれかを含むことができる。
図10及び
図11の外側導管部分116は、印刷材料104に熱を伝達するための効果的な熱伝導率を提供し、かつ構造的完全性を維持しながらプロセス温度に耐えることができる、任意の熱伝導性材料を含むことができる。熱伝導性材料の例としては、銅、銅合金、白金及び白金合金などの印刷用途のための好適な高熱コンダクタンス及び融点を有するグラファイト、耐火金属、又は他の金属、並びにそれらの組み合わせが含まれる。本明細書で使用される場合、「耐火金属」という用語は、例えば、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステン、レニウム、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ハフニウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、及び本明細書に列挙される耐火金属のうちのいずれかの2つ以上の合金、又は鉄、ニッケル、銅、銀などの他の金属を有する耐火金属のうちの1つ以上の合金などのこれらの金属のうちのいずれかの合金を含む、元素耐火金属及びそれらの合金を含むように定義される。好適な耐火金属合金は、当該技術分野において既知である。
【0036】
図12Aは、本開示の一実施形態による、本明細書に説明されるプリンタ噴射機構100のうちのいずれかで用いられ得る、エジェクタ導管106の構成を例解している。
図12Aのエジェクタ導管106は、エジェクタノズル108の上部に近接して配置された第1の電極110及び第2の電極112を備える。電流パルス生成システムは、印刷材料104がエジェクタノズル内に配置されたときに、主に第1の電極110と第2の電極112との間に電流のパルスを流すことができ、それによって、第1の電極110と第2の電極112との間で印刷材料104aをオーム加熱及び膨張させることができる。これは、エジェクタノズル108からの印刷材料104の所望の膨張及び噴射を提供する。一例では、電極110と電極112との間の印刷材料104aは、気化して所望の膨張を提供し、それによって、
図12Bに例解されるように、エジェクタノズル108から電極110、112の下で液体形態のままである印刷材料104bの噴出を駆動する。電極110及び112の長さL
wは、噴出のための十分なオーム加熱又は印刷材料104を可能にする、任意の所望の長さであり得る。L
wの好適な値の例は、約5マイクロメートル~約1000マイクロメートル、約5マイクロメートル~約500マイクロメートルなど、約10マイクロメートル~約100マイクロメートルなど、又は約15マイクロメートル~約50マイクロメートルである。
【0037】
本明細書に説明される実施形態では、電極110、112は、エジェクタノズル108内に完全に配置され得(例えば、
図12A)、かつ/又はエジェクタノズル108の先端(例えば、最も端の位置)に配置され得る(例えば、
図1)。エジェクタノズル108は、エジェクタ導管106の最も端の部分であり、本明細書に説明されるように、例えば、エジェクタノズル108の内幅d
i(例えば、直径)の約1~約10倍の範囲である、長さL
n(
図12A)を有する。他の実施例では、エジェクタノズル108の長さL
nは、例えば、d
iの約1~約5倍、d
iの約1~約3倍、d
iの約1~約2倍、又はd
iとおよそ同じ範囲である。一実施形態では、電極の長さL
wは、エジェクタノズルの長さL
nに等しい。
【0038】
図2を参照すると、複数のエジェクタ導管106は、エジェクタハウジング120内に支持されている。エジェクタ導管106は、ハウジング材料とは別個の構造であり得、エジェクタハウジング120に任意の好適な様式で装着され得る。代替的な実施形態では、複数のエジェクタ導管は、エジェクタハウジング120と一体であり得る。例えば、導管は、穿孔されるか、又は別様にハウジング材料に直接的に形成される毛細管又はより大きな導管として形成され得る。導管は、任意選択的に、エジェクタハウジング120とは異なるが、それと一体である材料を含むエジェクタ導管106の内面を提供するようにコーティングされ得る。そのような導管をハウジング材料に直接的に形成するための技術、並びに導管をコーティングするための技術は、一般に周知である。実施形態では、エジェクタ導管106は、エジェクタハウジング120と異なる材料又は同じ材料を含むことができる。
【0039】
エジェクタハウジング120は、噴射プロセス温度に耐えることができ、かつエジェクタ導管106に所望の支持を提供することができる、任意の好適な材料を含む。好適なハウジング材料の例としては、アルミニウム、銅、真鍮、及び鋼、耐火金属、セラミック、他の耐火材料などの金属、プロセス温度に耐えることができるポリマー(例えば、150℃~650℃以上、200℃~300℃などの融点を有するポリマー)、並びに金属被覆セラミック及びセラミック被覆金属などのそれらの組み合わせが含まれる。複合ハウジング材料の例は、ムライトなどのセラミックでクラッドされた銅であり、ここで、銅及びムライトは、同様の熱膨張係数を有する。用いられる具体的な材料は、噴射される印刷材料に依存するであろう。
【0040】
一実施形態では、エジェクタハウジング120は、3次元プリンタの動作中にエジェクタ導管106を囲むエジェクタハウジング120の少なくとも一部分を加熱するための加熱機構126を備える。加熱機構126は、印刷材料104を印刷材料の膨張及び噴出のための所望の温度に又はそのすぐ下にもたらすように、十分な熱エネルギーを提供することができる。例えば、印刷材料の噴出運動量を提供するための膨張が相変化を伴わない場合、加熱機構126は、印刷材料104を溶融温度又は溶融温度のすぐ上までもたらすのに十分な熱エネルギーを提供することができる。代替的に、相変化膨張の場合、噴出のための印刷材料の運動量を提供するために、加熱機構126は、所望に応じて、印刷材料104の溶融温度又は気化温度のすぐ下の温度に印刷材料104をもたらすように、十分な熱エネルギーを提供することができる。印刷材料の相変化が発生する実施形態では、噴出部位の近くの印刷材料温度を制御することによって、エジェクタノズル108から離れる熱損失(例えば、溶融ゾーン又は気化ゾーン)は、相変化が等温プロセスであるため、低減され得る。印刷材料104が相変化前に固体である実施形態では、次の噴出イベント前の噴出されていない材料の再固化を確実にするために、溶融温度より低い温度が望ましい場合がある。
【0041】
加熱機構126は、例えば、任意の好適なタイプの抵抗加熱器、誘導加熱器、放射加熱器、又はこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。例えば、加熱機構126は、
図1及び
図9に例解されるように、導管106及び/又はエジェクタハウジング120に埋め込まれるか、又はそれに近接して配置される加熱要素を備える。加熱要素は、例として、抵抗加熱コイル又は誘導コイルの形態であり得る。一例として、好適な抵抗加熱機構は、エジェクタハウジング120又は通路106Cを囲むエジェクタ導管106に埋め込まれたオーム蛇行トレースを備える。本明細書で使用される場合、「オーミック蛇行トレース」という用語は、長手方向軸に沿って非線形経路を有する導電性加熱要素(例えば、ジグザグ、巻線、又は別様に湾曲した経路を有する抵抗加熱に好適なワイヤ)を指す。加熱機構126は、電流パルス生成システム114及び/又は電極110、112とは別個である。
【0042】
一実施形態では、エジェクタ導管106のアレイは、X軸上に配置されたM列のエジェクタ導管と、Y軸上に配置されたN行のエジェクタ導管と、を含み、ここで、Mは、2~1000の範囲の整数であり、Nは、1~2の範囲の整数である。例えば、
図2のアレイに対して、Mは3であり、Nは1であり、一方で、
図9のアレイに対して、Mは3であり、Nは2である。他の例では、Mは、5~約1000、約50~約1000、約100~約500、又は約500~約1000の範囲の整数である。
【0043】
一実施形態では、エジェクタ導管106の行は、直線的に配置されており、各行のエジェクタ導管106は、例えば、
図9に示されるように、近接したパッキングを容易にするために、隣接する行のエジェクタ導管に対して互い違いに配置されている。代替的な実施形態(図示せず)では、エジェクタ導管106の列は、直線的に配置されており、各列のエジェクタ導管106は、隣接する列のエジェクタ導管に対して互い違いに配置されている。複数のアレイは、必要に応じて、システム内の行又は列の数を拡張するために積み重ねられ得る。
【0044】
印刷材料の噴出中の液滴形成は、エジェクタノズル108内又はその外部の任意の好適な機構によって生じ得る。一実施形態では、液滴を形成するための印刷材料の脱離は、ノズル108内などのエジェクタ導管106の内部に印刷材料をネッキングオフすることによって起こり得る。そのような実施形態では、エジェクタ導管106は、任意選択的に、
図13に例解されるような1つ以上のベント130を含むことができる。ベント130は、エジェクタノズル108内の位置又はその近くなど、エジェクタノズル108内又はそのすぐ上に配置することができ、ここで、エジェクタ導管106内の残りの印刷材料104から噴出される印刷材料104のネッキングオフが、液滴形成中に発生する。ベント130は、空気又は他の周囲ガス(矢印132によって例解されるように)がエジェクタ導管106内に、及び/又は印刷材料104が噴出されるとエジェクタノズル108内に流れることを可能にする。これにより、印刷材料104が噴出され、エジェクタ導管106内の残りの印刷材料104からより容易に分離され、及び/又はエジェクタノズル108からより容易に噴出されることが可能になり得る。1つ以上のベント130は、印刷材料104が噴出されるにつれて周囲ガスがエジェクタノズルに流れることを可能にする、任意の様式で構成され得る。
図14A及び
図14Bは、ベント130がエジェクタノズル108の内面上の溝の形態をとる別の実施例を例解している。任意の他の好適なベント構成を用いることができる。一実施形態では、
図13、
図14A、及び
図14Bのようなベント130は、液体印刷材料104の表面張力が、大量の印刷材料がベント130内にエジェクタ導管から流出することを可能にしないように十分に小さいが、周囲ガスが溝を通ってエジェクタノズル108内に流れることを可能にするのに十分な大きさである寸法を有する。例えば、
図13のベント130の幅及び/若しくは長さ、若しくは円形状のベント(図示せず)の場合の直径、又は
図14の溝幅は、液体印刷材料の貫通が低減又は排除されるように、エジェクタノズルの内径よりも10倍以上小さくなり得る。ベントは、当該技術分野において周知のエッチング技術又はレーザアブレーションなどによって、任意の好適な手段によって形成することができる。
【0045】
本開示は、いかなる具体的な液滴形成及び/又は脱離モードにも限定されることを意図するものではない。例えば、液滴は、エジェクタ導管106内部の脱離ゾーンでネックオフ及び脱離し得るが、また、液滴は、エジェクタ導管106の外側にネックオフ及び脱離し、その後、脱離していない印刷材料104がエジェクタ導管106内へ後退することが可能である。したがって、液滴の噴射のモードは、エジェクタノズル108から自由空間への溶融印刷材料104の膨張「押出」、続いて加熱パルスが終了して、印刷材料104が冷却/収縮する際に、押出印刷材料104の減速/後退を含み得る。液滴を噴射及び/又は脱離する他のモードもまた、実現され得る。
【0046】
一実施形態では、印刷材料を噴出することは、エジェクタノズルに近接してシースガスを流すことを含み、シースガスは、不活性ガス及び還元ガスの一方又は両方を含む。シースガスを用いる実施例は、
図16の矢印210によって例解されている。シースガス流は、例えば、本明細書に説明されるプリンタ噴射機構のうちのいずれかのアレイ107及び/又はエジェクタハウジング120内など、プリンタ噴射機構100内又はその近くに配置されたシースガスベント212を通してシースガスを流すことによってなど、任意の好適な様式で達成され得る。一実施形態では、シースガスは、堆積前に印刷材料を冷却することを回避するために、所望の温度に維持される。例えば、シースガス温度は、印刷材料の融点以上であり得る。このようにして、所望される場合、基材上への堆積が生じるまで、印刷材料を溶融状態に維持することができる。一実施形態では、シースガスは、それらが噴出されるときに液滴とほぼ同じ速度で、及びほぼ同じ方向に移動することができる。
【0047】
本明細書に説明されるプリンタ噴射機構100は、印刷材料の噴射に好適な任意のタイプのプリンタで用いられ得る。一実施形態では、プリンタは、3D物体を印刷するために使用可能な3次元(「3D」)プリンタである。例示的な3Dプリンタ150のブロック図は、
図15に示されている。3Dプリンタ150は、本明細書に説明されるように、エジェクタ導管106のアレイ107を含むプリンタ噴射機構100のうちのいずれかを備えることができる。更に、3Dプリンタは、プリント基板154に対するアレイ107の相対位置を制御するための位置決めシステム152を備えることができる。「プリント基板154に対するアレイ107の相対位置を制御する」という語句は、アレイ107及びプリント基板154の一方又は両方が、アレイとプリント基板との相対位置を変更するために移動し得ることを意味する。プリント基板154とアレイ107との相対位置は、プリント基板154が複数のエジェクタ導管から噴射可能な印刷材料104を受容し、それによって、3D物体を形成するように位置決めされるように、印刷中に修正される。位置決めシステム152は、プリント基板154を位置決めするためのプリント基板取り扱い機構156と、アレイ107及び任意選択的に、電流パルス生成システム114の一部、又はそれへの電気的接続などのプリンタ噴射機構100の他の部分を位置決めするためのアレイ位置決め機構158と、のうちの一方又は両方を備えることができる。プリント基板154は、3次元物体を印刷することが望ましい任意の基板を含むことができる。プリント基板154の例は、3Dプリンタ150の一部である構築プレート、又は印刷後に3D物体が取り外され得る他の一時的な基板である。別の例では、プリント基板154は、例えば、プリント基板154が回路の一部分が印刷されているプリント回路基板である場合など、印刷後に3次元物体に恒久的に取り付けられることが意図され得る。
【0048】
プリント基板取り扱い機構156は、3Dプリンタ150の動作中に、アレイ107内に配置された複数のエジェクタ導管から噴射可能な印刷材料を受容するように、プリント基板154を位置決めするのに好適な任意の機構であり得る。一実施形態では、プリント基板取り扱い機構156は、噴射された印刷材料が目標とする所望の位置へx軸、y軸及び/又はz軸に沿った方向でプリント基板154を移動させることによって、機構プレート又は他の基板などのプリント基板154を位置決めする能力を有する。アレイ位置決め機構158は、噴射された印刷材料104が目標とする所望の位置へx軸、y軸、及び/又はz軸のうちの1つ以上に沿った方向でアレイ107を移動させるのに好適な任意の機構であり得る。プリント基板取り扱い機構156及びアレイ位置決め機構158のいずれか又は両方を含む、位置決めシステム152は、例えば、トラック182を備えるシステムを使用して、プリント基板154及びアレイ107を互いに対して位置決めするための移動体として機能することができる、1つ以上のアクチュエータ180(
図18)を備えることができる。好適なアクチュエータの例としては、電気モータ、圧電モータ、油圧アクチュエータ、及び空気圧アクチュエータが含まれる。
図18は、プリント基板154を支持するための作動(例えば、モータ付き)X-Yステージ184と、垂直方向の位置決めを可能にするために、プリンタ噴射機構100の全て又は一部分100aが1つ以上のアクチュエータ180を使用して移動され得る、垂直トラックシステム186と、を備える、そのような位置決めシステム152の例を例解している。プリンタ噴射機構100の部分100aは、アレイ及び本電流パルス生成システムの全部又は一部内に配置された複数のエジェクタ導管を含む垂直な位置決めのために垂直トラックシステム186に取り付けられた本明細書に説明されるプリンタ噴射機構100の構成要素のうちのいずれかを備えることができる。フィーダ機構102は、(
図18に例解されるように)垂直トラックシステム186に直接的に取り付けられないように配置され得、又は他の実施形態では、垂直トラックシステム186に直接的に取り付けられ得る。
【0049】
言及されるように、位置決めシステム152は、プリント基板取り扱い機構156及びアレイ位置決め機構158の一方又は両方を備えることができる。一例として、プリント基板取り扱い機構156を使用して、プリント基板154をx軸及びy軸の両方に沿って移動させることができ、アレイ位置決め機構158を使用して、アレイ107及び任意選択的にプリンタ噴射機構100の全体又はその任意の部分をz軸に沿って移動させ、それによって、プリント基板154及びアレイ107を3Dプリンタの動作中に3次元で互いに対して位置決めすることを可能にすることができる。一例として、この考察の目的のために、x軸及びz軸は、
図16の印刷動作に対して例解される通りであり、y軸(図示せず)は、紙の中の方向にあり、x軸及びy軸は、プリント基板154の上面に対して平行であり、z軸は、プリント基板154の上面に対して垂直である。一実施形態では、プリント基板154は、構築プレートであり、任意選択的に、構築プレートを所望の堆積温度に加熱することができる加熱機構155を用いる。加熱機構を有する構築プレートを含む好適な構築プレートは、当該技術分野において周知である。
【0050】
印刷材料を噴射する方法
本開示の実施形態は、プリンタ噴射機構から印刷材料を噴射するための方法を対象とする。
図17の200に説明されるように、方法は、アレイ内に配置された複数のエジェクタ導管106(
図1及び
図2)に対して導電性である、印刷材料104を供給することを含む。エジェクタ導管106は、印刷材料を受け入れるように構成された第1の端部106Aと、エジェクタノズル108を備える第2の端部106Bと、を備える。エジェクタノズル108は、例えば、約10マイクロメートル~約1000マイクロメートルの範囲の内幅(例えば、直径)、又は本明細書に開示される他のエジェクタノズルの幅のいずれかを有することができる。本明細書に説明される方法では、エジェクタノズル108は、以下でより詳細に考察されるように、印刷材料の熱膨張及び噴出を誘発するために電流を供給するための電極110、112を備える。
【0051】
図17の202に示されるように、印刷材料104は、印刷材料104が1つ以上のエジェクタ導管106のエジェクタノズル108内に配置されるまで、アレイのエジェクタ導管106のうちの1つ以上内に前進される。一例として、印刷材料104は、エジェクタノズル108を実質的に又は完全に充填するように前進させることができる。一実施形態では、印刷材料104は、複数のフィラメントを含む。複数のフィラメントの個々のフィラメントを、1つ以上のエジェクタ導管106の各々に前進させて、所望の送給速度で印刷材料を供給することができる。所望の送給速度は、印刷材料が関連するエジェクタノズル108から噴出されている速度に応じて、各フィラメントについて異なり得、次いで、各ノズルからの単位時間当たりの噴出の数及び噴出当たりの液滴サイズに依存する。
【0052】
図17の204に示されるように、エジェクタノズル108のうちの少なくとも1つに配置された印刷材料104は、エジェクタノズル108の少なくとも1つに配置された導電性印刷材料104を通って電流を流すことによって加熱され、それによって、エジェクタノズル108のうちの少なくとも1つから印刷材料の少なくとも一部分を、例えば、プリント基板上に噴出するのに十分な運動量を提供するように、印刷材料を選択された時間で加熱及び膨張させる。電流を流すことは、例えば、本明細書の電流パルス生成システムのうちのいずれかなどの電流パルス生成システム114を用いて、第1の電極110と第2の電極112との間に電流パルスを送ることを含み得る。
【0053】
一実施形態では、電流パルスは、印刷材料104に、所望の膨張を達成するために第1の相から第2の相へ相転移させる。相変化膨張の一例では、固相中のフィラメントは、印刷材料104としてエジェクタノズル108に供給される。エジェクタノズル108内に配置された印刷材料104の加熱は、単一の電流パルスを使用して個々のフィラメントを溶融して、噴出のための印刷材料の所望の運動量を提供する。印刷材料104が固体であり、次いで液体に相変化する実施形態では、エジェクタ導管106に残っている印刷材料の温度が各噴出後に直接的に溶融温度よりも低くなるように制御することは、次の噴出事象前の噴出されていない液体材料の再固化を確実にするために望ましい場合がある。
【0054】
相変化膨張の別の例では、印刷材料104は、液相としてエジェクタノズル108に供給される。エジェクタノズル108内に配置された印刷材料104の加熱は、単一の電流パルスを使用して液体印刷材料104の少なくとも一部分を気化させて、噴出のための印刷材料の所望の運動量を提供する。
【0055】
相変化を経ない場合でも、一部の印刷材料は、それらの温度が噴出を駆動するために増加するにつれて、液相において十分に膨張することができる。一実施形態では、印刷材料104は、液体としてエジェクタノズルに供給され、エジェクタノズル108から液体を噴出するように加熱の全期間中に液体形態に維持されながら熱膨張される。一実施形態では、液体印刷材料104は、単一の電流パルスを使用して十分に急速に膨張されて、相変化を経ずに噴出のための印刷材料の所望の運動量を提供する。
【0056】
エジェクタノズル108から噴出される印刷材料の噴出力又は運動量は、熱膨張の量及び印刷材料の膨張速度の両方に依存し、次に、印刷材料に加えられる熱エネルギーの量及び熱エネルギーを印刷材料に加えるのにかかる時間の両方に依存する。したがって、所望の運動量を印刷材料に付与するために、印刷材料の液滴をエジェクタ導管106から噴出し、基板上に堆積させることができ、十分に高い電流の比較的短いパルスを用いて、所望の膨張量を達成することができる。電流のパルス長は、所望の膨張速度を提供し、印刷材料104を噴出させる、任意の持続時間であり得る。好適なパルス長の例は、約0.1マイクロ秒~約100ミリ秒、約1マイクロ秒~約1000マイクロ秒、又は約2マイクロ秒~約100マイクロ秒の範囲である。この急速な加熱は、印刷材料をエジェクタノズル108内で軸方向に膨張させて、それにより、印刷材料104に十分な運動量を提供して、印刷材料のうちの少なくとも一部分をエジェクタノズル108から噴出する。噴出された印刷材料の所望の運動量を達成するための電流の量及び電流パルスの長さは、印刷材料のタイプ及び噴出される印刷材料の量などに依存し、当業者によって容易に決定され得る。噴出のための運動量を提供にすることに加えて、より短い電流パルス長はまた、より速い噴出速度(例えば、同じエジェクタノズルからの1秒当たりの印刷材料の噴出数の増加)を可能にすることができる可能性がある。
【0057】
単一の電流パルスを使用して印刷材料104の膨張を達成することを上記で教示したが、同じ又は複数の対の電極からのいずれかで膨張を達成するために、2つ以上の電流パルスを使用することも有用であり得る。例えば、2、3、又はそれ以上の急速なパルスを用いて、単一のより長いパルスとは対照的に、印刷材料の所望の膨張を達成することができる。一般に、印刷材料の所望の噴出を提供することができる任意の所望のパルス波形を、任意選択的に選択することができる。
【0058】
液滴サイズは、オンデマンドで個別に選択することができる。一実施形態では、液滴サイズは、各パルスの電流パルスエネルギーを変化させる(例えば、電流パルスのパルス長及び/又は振幅を変化させる)ことによって変化し得る。別の実施形態では、複数のアドレス可能な電極(
図5に示されるものと同様であるが、各電極が独立して駆動される)を用いて、液滴体積を変化させることができる。したがって、動作中、電流生成システムは、第1の数の電極対(例えば、
図5の電極対110a、112a、110b、112b、及び110c、112cのうちの1つ以上)の間に電気パルスを送るために使用されて、第1の噴出を実現し、続いて第2の数の電極対の間に電気パルスを送って、第2の噴出を実現することができ、第1の数の電極対は、第2の数の電極対とは異なる。このプロセスでは、第1の噴出中に噴出された印刷材料の液滴サイズは、第2の噴出中に噴出された印刷材料の液滴サイズとは異なる。
【0059】
噴出当たりの液滴サイズは、印刷される物体の詳細の所望のサイズ、印刷材料の特定の特性(例えば、熱伝達及び膨張特性)、印刷材料に提供される電流パルスの特性、ノズルサイズなどを含む、様々な要因に基づいて選択され得る。液滴は、概して、噴出ノズル108の内径と同じくらい小さい直径サイズを有し得るが、より長い長さのフィラメントが単一の噴出中に加熱される場合、著しく大きい直径を有する可能性がある。各噴出について加熱される印刷材料の量を決定するときに、電力と液滴サイズとの間のトレードオフを考慮することができる。特に、より長い長さのフィラメントを比例的に高い電力で加熱することができ、より長い長さの印刷材料を噴出することを可能にする。一実施形態では、パルス当たりの加熱された印刷材料の長さは、印刷材料が噴射される毎に、印刷ノズル108の内幅(例えば、直径)の約1倍~約10倍である(この内幅は、固体フィラメントが印刷ノズルに直接送給される場合に、フィラメント幅、dpとほぼ同じであり得る)。したがって、一例として、フィラメントは、電流のパルス当たりの印刷ノズルの約1つの直径の長さからパルス当たりの約10直径の長さまで前進させることができ、電流のパルスは、フィラメントが前進するにつれて、フィラメントの各長さをオーム加熱して膨張させる。
【0060】
印刷材料104の噴出後、追加の印刷材料104をエジェクタノズル又はノズル108内に前進させ、次いで、追加の印刷材料を噴出するために、印刷材料の加熱及び関連する膨張が繰り返され得る。印刷材料を前進させ、印刷材料を加熱するこのプロセスは、印刷が完了するまで、アレイ内のエジェクタノズル108の各々について所望される任意の回数を繰り返すことができ、それによって、3D物体を形成する。印刷中、印刷材料104の加熱及び噴出は、特定の印刷プロセスが実行されることを遂行するために、所望に応じて、2つ以上のエジェクタノズル108から同時に、及び/又はアレイ内のエジェクタノズル108の全てから同時に、アレイ内の単一のエジェクタノズル108から生じ得る。
【0061】
相変化中及び/又は(例えば、相変化なしの)単一相での加熱中に十分に膨張して、噴出のための十分な運動量を引き起こす任意の導電性印刷材料を用いることができる。一例では、印刷材料は、少なくとも1つの金属を含む。少なくとも1つの金属は、例えば、スズ、スズ合金、鉛、鉛合金(例えば、スズ及び鉛の一方又は両方を含むはんだ)、アルミニウム、アルミニウム合金(例えば、1000シリーズ、2000シリーズ、3000シリーズ、4000シリーズ、5000シリーズ、6061及び6063などの6000シリーズ、並びに7000シリーズのアルミ合金)、マグネシウム、マグネシウム合金、鉄、鉄合金(例えば、鋼)、銅、銅合金(例えば、亜鉛)、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、タングステン、タングステン合金、銀及び銀合金から選択され得る。上記の金属の好適な合金は、任意の所望の金属の混合物、例えば、上記元素金属印刷材料(例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄、銅、ニッケル、チタン、タングステン、銀などの2つ以上の混合物)のうちのいずれかの2つ以上の混合物を含むことができる。一実施形態では、印刷材料104は、90重量%超、例えば、約95重量%~100重量%、又は98重量%~100重量%、又は99重量%~100重量%、又は99.5重量%~100重量%、又は9.8重量%~100重量%、又は99.9重量%~100重量%の金属含有量を有する。
【0062】
一実施形態では、印刷材料104は、(例えば、室温(20℃)で導電性である)20℃で約1x10-6オーム*m又は約×1x10-7オーム*m~約×1x10-8オーム*mなどの、20℃で1x10-5オーム*m未満の抵抗率を有する。一実施形態では、印刷材料104は、約1x10-6オーム*m~約1x10-8オーム*mなどの1x10-5オーム*m未満の抵抗率を有し、一方で、固体形態、液体形態、又は固体及び液体の両方の形態であり、一方で、融解温度の300℃以内の温度である。
【0063】
本明細書に説明される印刷材料のいずれも、複数の固体又は液体フィラメントの形態であり得る。固体フィラメントは、円形、楕円形、長方形又は他の多角形などの任意の所望の断面形状を有することができる。固体フィラメントの断面形状は、エジェクタノズル108の断面形状の断面形状と同じであり得る(例えば、ノズルを通るフィラメントの送給を可能にするように寸法が小さい)。
図8の印刷材料104について示されるような円形断面を有する固体フィラメントの場合、フィラメントは、円形断面の直径である幅d
pを有する。円形断面を有しない固体フィラメントの場合、幅d
pは、固体フィラメントがエジェクタノズル108に送給される場合、エジェクタノズル108の内幅diに対応する(例えば、同一線上にある)寸法である。d
pについて2つ以上の可能な値が存在する場合、フィラメントについてのd
pは、可能なd
p値の最大値である。
【0064】
固体フィラメントの場合、個々のフィラメントの幅、dpは、エジェクタノズル108の内幅、diよりわずかに小さいか、又は実質的に同じであるように任意選択的に選択され得、フィラメントは、固体フィラメントの周りに近接した適合を提供するように配置され、それによって、フィラメントが依然としてエジェクタノズル108内に配置されることを可能にする。適合は、エジェクタノズル内のフィラメントの部分が膨張するときに、フィラメント材料の少なくとも一部分をエジェクタノズル108から噴出するのに十分な速度で、印刷材料が軸方向に膨張させるように十分に近い。一例として、固体フィラメント幅、dpは、約0.1%~約1%小さい、又は約0.5%小さいなど、エジェクタノズル内幅、diよりも0~約2%小さい。dp及びdiの相対的なサイズは、相変化中の印刷材料の膨張特性、噴出時の印刷材料の所望の運動量、エジェクタノズル内の印刷材料の加熱速度、及び他のものなどの様々な要因に依存し得る。追加の例として、フィラメント幅(例えば、直径)は、ノズル内幅(例えば、直径)よりも約0.1マイクロメートル~約10マイクロメートル、又は約1マイクロメートル~約5マイクロメートル、又は約0.1マイクロメートル~約2マイクロメートル、又は約0.1マイクロメートル~約1マイクロメートル小さいなど、ノズル内幅よりも約0.01マイクロメートル~20マイクロメートル小さい。
【0065】
印刷材料は、約1マイクロメートル~約1000マイクロメートル、約10マイクロメートル~約500マイクロメートル、約50マイクロメートル~約200マイクロメートル、又は約100マイクロメートルの範囲の幅(例えば、直径)などの任意の好適な幅を有することができる。オーム加熱の利点は、電流が流れるフィラメントの部分全体で熱が生成されるため、フィラメントの周辺から中心までの熱エネルギーの伝播時間が要因ではないことである。フィラメントの厚さに関係なくショートバーストでフィラメントの全厚を加熱及び膨張させる能力は、とりわけ、噴出運動量及び/又は噴出量(例えば、液滴サイズ)の制御の増加を可能にすることができる。つまり、比較的小さい幅(例えば、直径)を有するフィラメントは、より大きな幅を有するフィラメントと比較して、個別に噴射可能な印刷材料の量を少なくする(例えば、より小さい液滴サイズが噴出ノズル108から噴出される)ことができ得る。したがって、これらの理由で、比較的小さな幅を有するフィラメントが好ましい場合がある。所望の小さなフィラメント幅のサイズは、印刷材料の熱拡散率特性、並びに他の要因に依存するであろう。例として、固体又は液体フィラメントについての印刷材料の幅(例えば、直径)は、約10マイクロメートル~約50マイクロメートル、又は約10マイクロメートル~約25マイクロメートルなど、約1マイクロメートル~約100マイクロメートルの範囲である。エジェクタノズルの内幅は、フィラメントがエジェクタノズル内に配置されることを依然として可能にしながら、個々のフィラメントの周りに密接な適合を提供するように、上で説明されるようにサイズ設定され得る。
【0066】
実施形態では、印刷材料104は、液体又は固体のいずれかとしてエジェクタ導管に供給され、液滴の形態の液体としてエジェクタノズル108から噴出される。液滴は、任意選択的に、比較的小さい液滴サイズを有し得、これは、細かい詳細の印刷を可能にすることができる。例として、液滴直径は、約0.001mm~約0.2mm、約0.005mm~約0.1mm、約0.01mm~約0.05mmの範囲であり得る。より大きな直径の液滴もまた、所望される場合、形成され得る可能性がある。
【0067】
一実施形態では、印刷材料104は、液体である第1の相としてエジェクタノズル108に供給され、次いで、印刷材料の一部分が、蒸気である第2の相に加熱される。
図12A及び
図12Bを参照すると、そのようなプロセスにおいて、エジェクタノズル108の前の通路106Cの少なくとも一部分は、溶融印刷材料(例えば、本明細書に説明される印刷材料のうちのいずれか)で充填される。本明細書に説明されるように、通路106Cの全て又は一部分は、任意選択的に先細にすることができる。電極110、112間で伝送される電流パルスを使用すると、電極110、112間の溶融印刷材料104の第1の部分104aは、エジェクタノズル108内の急速な加熱によって気化され、一方で、第1の部分104aとエジェクタノズル108の先端との間にある第2の部分104bは、液体のままである。印刷材料104の気化部分104aは、印刷材料の液体の第2の部分104bをエジェクタノズル108から噴出するのに十分な原動力を提供するように軸方向に膨張させる。一実施形態では、印刷材料104は、フィーダ機構102を使用して、エジェクタ導管106の第1の端部106Aに固体として最初に供給され、加熱機構126からの熱を使用することによるなど、エジェクタノズル108に導入される前に溶融され、次いでエジェクタノズル108内での急速な加熱によって気化されて、噴射するための所望の原動力を提供し得る。代替的に、印刷材料104は、フィーダ機構102を使用して、エジェクタ導管106の第1の端部106Aに液体として供給され、加熱機構126からの熱を使用して液体として維持され、次いで電極110、112間の電流パルスによって引き起こされる急速な加熱によって気化されて、噴射するための所望の原動力を提供し得る。
【0068】
本開示の方法は、所望に応じて、任意の数のエジェクタ導管106から同時に又は別々に印刷材料104を堆積させるために用いられ得る。また、アレイ内の多数である可能性のあるエジェクタ導管106及び各エジェクタ導管106からの高い可能性のある噴出速度のために、比較的高い全体的な堆積速度を依然として提供しながら、任意の1つのエジェクタノズル108からの少量の材料の堆積を可能にすることができる。
【0069】
本明細書に説明される噴射印刷材料のためのプリンタ噴射機構は、様々な印刷方法で用いることができる。例えば、本明細書に説明されるプリンタ噴射機構のいずれかは、印刷材料104(
図1)がエジェクタノズル108から噴出され、構築プレートなどのプリント基板154(
図15及び
図16)上に堆積される3次元印刷の方法で用いることができる。プリント基板154及びエジェクタノズル108のアレイ107の一方又は両方は、本明細書に説明されるような任意の様式で、印刷中に3次元で(例えば、x軸、y軸、及びz軸に沿った方向に)互いに対して相対的に移動し、それによって3D物体を形成することができる。当該技術分野において周知であるように、3D印刷は、3D物体の所望の厚さが実現されるまで、各液滴又は層を互いに積み重ねることができる、複数の液滴又は材料層を印刷することを含む。
図16は、プリント基板154上に3D物体202を印刷するために液滴200を同時に噴出する複数のエジェクタ導管106を備える、プリンタ噴射機構100の実施例を例解している。液滴200の多くの層204は、3D物体202が完了するまで、次に1つの層又は液滴を堆積させることができる。当業者によって容易に理解されるように、液滴及び/又は層は、任意の所望の順序で積み重ねることができ、例えば、第1の下層204が、後続の層を始める前に完了している、又は完了していない場合があり、材料堆積の順序に対して認識可能な層パターンが存在する、又は存在しない場合がある。むしろ、層の液滴、層、及び/又は部分は、3D物体を完成させるために任意の所望の順序で積み重ねられ得る。
【0070】
以下の実施例は、単に例解的なものであり、特許請求の範囲に記載されるような本発明の範囲を意図したものではなく、限定するものでもない。
【0071】
理論実施例
実施例1:固体から液体への相変化膨張:0.0001メートルの直径を有するアルミニウム、銅、及び鉄ワイヤの各々の1つを溶融温度のすぐ下に保持し、各々をワイヤの外径よりも大きい内径を有する別個の耐火チューブ(例えば、融合シリカチューブ)に送給する。電流パルスは、各ワイヤの0.0001メートルの端部分を通って流れ、ワイヤ部分をマイクロ秒で溶融する。溶融中、溶融ワイヤ材料の膨張は、主にシリカチューブの長手方向軸の方向に沿って生じる。溶融材料の自由メニスカスは、チューブ内で軸方向に加速し、溶融領域は、メニスカスの速度の約半分で加速する。以下の表1に示されるように、チューブ内の溶融材料の加速度は、溶融材料の液滴をワイヤから脱離させ、それをチューブから噴出するのにかかるエネルギーを十分に上回るエネルギーに対応し、したがって、チューブから溶融材料の液滴を噴射する。噴射用ワイヤの十分な部分を溶融するために用いられるエネルギーは、本明細書に説明される電流パルス生成システムのうちのいずれかなど、所望のパルス電力でパルスすることができる電流パルス生成システムによって供給される。
【0072】
以下の表1の計算は、ワイヤとチューブとの間に体積がないことを前提としている。計算された原動力=溶融物の平均加速度に溶融物の質量を掛ける。表中の「パルスエネルギー」は、ワイヤ長を溶融するためのエネルギーを指し、単一の電流パルスによって供給され得る可能性がある。
【0073】
【0074】
実施例2:液体から液体への膨張:0.0001メートルの直径を有するアルミニウム、銅、鉄、及びインジウムワイヤの各々の1つを、ワイヤの外径よりも大きい内径を有する別個の耐火チューブ(例えば、融合シリカ)に送給する。耐火チューブは、その端部に配置された2つの電極を含む。電極は、電流パルス生成システムに接続され、チューブの端部に近接するワイヤ材料に電流が流れるように、チューブ内に配置される。溶融アルミニウム、水銀(Hg)、ガリウム-インジウム、又はガリウム-インジウム-錫共晶混合物などの液体金属を、電極を備えた同様のシリカチューブに送給する。ワイヤ材料の場合、各ワイヤの少なくとも一部分を溶融し、シリカチューブの端部に近接する液体として維持するため、液体のメニスカスがグラファイトチューブの端部に配置される。電流パルス生成システムを使用して、単一の電流パルスが、各シリカチューブの0.0001メートルの端部分を通って流れ、その中の液体材料を加熱して、約5マイクロ秒で温度を約300ケルビン上昇させる。加熱中、液体材料の膨張は、主にシリカチューブの長手方向軸の方向に沿って生じる。溶融材料の自由メニスカスは、チューブ内で軸方向に加速し、溶融領域は、メニスカスの速度の約半分で加速する。以下の表2に示されるように、チューブ内の溶融材料の加速度は、溶融材料の液滴を液体から脱離させ、それをチューブから噴出するのにかかるエネルギーを上回るエネルギーに対応し、したがって、チューブから溶融材料の液滴を噴射する。
【0075】
以下の表2の計算の場合、原動力=液体の平均加速度に液体の質量を掛ける。表2の「パルスエネルギー」は、300ケルビンだけ液体の温度を上昇させるためのエネルギーを指し、単一の電流パルスによって供給され得る可能性がある。
【0076】
【0077】
実施例3:液体から蒸気への相変化膨張:0.0001メートルの直径を有するアルミニウム、銅、及び鉄のワイヤの各々1つを、ワイヤの外径よりも大きい内径を有する別個の耐火チューブ(例えば、シリカチューブ)に送給する。各ワイヤの少なくとも一部分を溶融し、シリカチューブの端部に近接する液体として維持するため、液体のメニスカスがシリカチューブの端部に配置される。シリカチューブは、チューブの100マイクロメートルのシリカ端部分のすぐ上に配置された電極を含む。電極は、本明細書に説明される電流パルス生成システムのうちのいずれかなどの電流パルス生成システムに取り付けられる。電極は、チューブの長さに沿って約25マイクロメートルの寸法を有する。電流パルスは、シリカチューブ内の電極間の液体材料を通って伝送され、約5マイクロ秒で液体を気化させる。電極とシリカの先端との間の溶融材料の端部分は、液体のままである。加熱中、気化材料の膨張は、主にシリカチューブの長手方向軸に沿って発生し、液体又は溶融材料の端部分を押して、チューブから噴出されるように軸方向に加速させ、結果として、溶融材料の液滴がチューブから噴射される。
【0078】
以下の表3について、「パルスエネルギー」は、上で説明されるように液体の一部分を気化させるために使用されるエネルギーを指し、単一の電流パルスによって供給され得る可能性がある。
【0079】
【0080】
本開示の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例に記載する数値は、可能な限り正確に報告する。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの試験測定において見られる標準偏差から必然的に生じるある誤差を本質的に含む。更に、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に含まれる任意及び全てのサブ範囲を包含すると理解されるべきである。
【0081】
本教示は1つ以上の実装形態に関して例解されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例解された実施例に対して変更及び/又は修正を行うことができる。加えて、本教示の特定の特徴がいくつかの実装形態のうちの1つにのみ関して開示されていることがあり得るが、そのような特徴は、任意の所与の機能又は特定の機能のために所望されかつ有利であり得るものとして、他の実装形態の1つ以上の他の特徴と組み合わされ得る。更に、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語、又はそれらの変形が発明を実施するための形態及び特許請求の範囲のいずれかで使用される限りにおいて、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語と同様の方法で包括的であることが意図されている。更に、本明細書における考察及び特許請求の範囲内の「約」という用語は、変更が、例解された実装形態へのプロセス又は構造の非適合性をもたらさない限り、列挙された値が幾分変更され得ることを示す。最後に、「例示的な」は、説明が理想的であることを示唆するのではなく、例として使用されていることを示す。
【0082】
上記で開示されたものの変形、並びに他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることは、理解されるであろう。様々な現在予期されていない、又は先行例のない代替物、修正、変形、若しくは改善が、以後に当業者によってなされ得、それらも以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。