(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048121
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】エジェクタデバイスを使用して印刷材料を噴射する方法及びエジェクタデバイスを作製する方法
(51)【国際特許分類】
B22F 12/50 20210101AFI20230330BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230330BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20230330BHJP
B22F 10/25 20210101ALI20230330BHJP
B22F 12/53 20210101ALI20230330BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230330BHJP
【FI】
B22F12/50
B33Y10/00
B81C1/00
B22F10/25
B22F12/53
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144568
(22)【出願日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】17/449,046
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド、ケイ.、ビーゲルセン
(72)【発明者】
【氏名】チン、ピン、ルー
【テーマコード(参考)】
3C081
4K018
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081AA17
3C081BA04
3C081BA21
3C081BA22
3C081BA23
3C081BA26
3C081BA54
3C081BA72
3C081CA02
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3C081CA15
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3C081CA23
3C081CA29
3C081CA31
3C081DA02
3C081DA03
3C081DA04
3C081DA06
3C081DA07
3C081DA10
3C081DA12
3C081DA22
3C081DA27
3C081DA30
3C081EA35
4K018AA02
4K018AA03
4K018AA06
4K018AA07
4K018AA14
4K018AA24
4K018AA40
4K018BA01
4K018BA02
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA08
4K018BA13
4K018BA20
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】 (修正有)
【課題】三次元プリンタから作製された三次元物体の品質を改善するための方法を提供する。
【解決手段】エジェクタデバイス101を作製する方法であって、基材102上に1つ以上のエジェクタ導管106を形成することであって、エジェクタ導管106が、印刷材料を受け入れるように構成された第1の端部106Aと、エジェクタノズル108を含む第2の端部106Bであって、エジェクタノズル108が、第1の電極110及び第2の電極112を含む第1の電極対を含み、第1の電極110の少なくとも1つの表面が、エジェクタノズル108内に露出され、第2の電極112の少なくとも1つの表面が、エジェクタノズル108内に露出されている、第2の端部106Bと、印刷材料が第1の端部106Aから第2の端部106Bに流れることを可能にするための少なくとも1つの通路と、を含む、成形することと、を含む、方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エジェクタデバイスを作製する方法であって、
基材を提供することと、
前記基材上に1つ以上のエジェクタ導管を形成することであって、前記1つ以上のエジェクタ導管が、
印刷材料を受け入れるように構成された第1の端部と、
エジェクタノズルを含む第2の端部であって、前記エジェクタノズルが、第1の電極及び第2の電極を含む第1の電極対を含み、前記第1の電極の少なくとも1つの表面が、前記エジェクタノズル内に露出され、前記第2の電極の少なくとも1つの表面が、前記エジェクタノズル内に露出されている、第2の端部と、
前記印刷材料が前記第1の端部から前記第2の端部に流れることを可能にするための少なくとも1つの通路と、を含む、成形することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の電極対が、前記基材上に導電層を堆積させることと、前記導電層をパターニングして前記第1の電極及び前記第2の電極を形成することとを含むプロセスによって形成され、前記導電層が第1の金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の電極対上にパッシベーション層を堆積させることを更に含み、前記パッシベーション層が、前記第1の金属とは異なる第2の金属を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の電極対が、
前記基材内に複数のトレンチをエッチングすることと、
前記トレンチを導電性材料で充填して前記第1の電極及び前記第2の電極を形成することであって、前記導電性材料が金属を含む、形成することと、を含むプロセスによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの通路が、
前記第1の電極対上に側壁層を堆積させることと、
前記側壁層をパターニングして、絶縁層内に複数のチャネルを形成することであって、前記チャネルが、前記第1の電極に近接する第1の側壁及び前記第2の電極に近接する第2の側壁を含み、前記第1の側壁と前記第2の側壁との間の距離が、前記通路の幅を決定する、パターニングすることと、を含むプロセスによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の電極及び前記第2の電極が各々、幅及び高さを有し、前記幅が前記高さよりも大きく、前記第1の側壁が前記第1の電極上に形成されており、前記第2の側壁が前記第2の電極上に形成されている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の側壁が前記第1の電極上にあり、前記第2の側壁が前記第2の電極上にあり、前記第1の電極及び前記第2の電極が、前記チャネルの側壁部分を形成するように前記基材の上方に隆起している、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の電極及び前記第2の電極が各々、幅及び高さを有し、前記幅が前記高さよりも小さい、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記基材が埋め込み絶縁層を含み、前記方法が、
前記基材内に複数のトレンチをエッチングすることと、
前記トレンチを導電性材料で充填して前記第1の電極及び前記第2の電極を形成することであって、前記導電性材料が金属を含む、形成することと、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記基材の部分を除去して前記少なくとも1つの通路を形成するようにエッチングすることと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記基材の前記除去された部分の下方にある前記埋め込み絶縁層の部分を除去することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のエジェクタ導管が、アレイに配置された複数のエジェクタ導管である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記エジェクタデバイスが第1のエジェクタデバイスであり、前記少なくとも1つの通路が1つ以上の開放通路であり、前記方法が、
第2のエジェクタデバイスを形成することを更に含み、前記方法が、
第2の基材を提供することと、
前記第2基材上に1つ以上の第2のエジェクタ導管を形成することであって、前記1つ以上の第2のエジェクタ導管の各々が開放通路を含む、形成することと、
前記第2のエジェクタデバイスを前記第1のエジェクタデバイスに取り付けることであって、それにより、前記第1のエジェクタデバイスの前記1つ以上の開放通路を囲んで1つ以上の第1の囲まれた通路を形成し、前記1つ以上の第2のエジェクタ導管の前記開放通路を囲んで1つ以上の第2の囲まれた通路を形成し、前記1つ以上の第1の囲まれた通路が、前記1つ以上の第2の囲まれた通路に近接している、取り付けることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の第1の囲まれた通路と前記1つ以上の第2の囲まれた通路との間にインターポーザ層を含むことを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記取り付けることが、前記取り付けることが実行された後に前記第1のエジェクタデバイスが前記第2のエジェクタデバイスから容易に取り外されることを可能にする取り外し可能な締結具を用いることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記エジェクタデバイスが微小電気機械システム(「MEMS」)である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
三次元物体を印刷する方法であって、
基材上に複数のエジェクタ導管を含むエジェクタデバイスに導電性の印刷材料を供給することであって、前記エジェクタ導管が、前記印刷材料を受け入れるように構成された第1の端部と、エジェクタノズルを含む第2の端部とを含む、供給することと、
前記印刷材料が前記1つ以上のエジェクタ導管の前記エジェクタノズル内に配置されるまで、前記エジェクタ導管のうちの1つ以上で前記印刷材料を前進させることと、
前記1つ以上のエジェクタ導管の前記エジェクタノズル内に配置された前記印刷材料内にフラックス領域を提供することと、
前記1つ以上のエジェクタ導管の前記エジェクタノズル内の前記フラックス領域を通して電流を流し、それにより、前記印刷材料の少なくとも一部を印刷基材上に排出することと、
前記印刷材料を前記前進させること及び前記フラックス領域を通して前記電流を流すことの両方を繰り返して、前記印刷基材上に三次元物体を形成することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記電流を流すことが、前記印刷材料を通して電流パルスを流すことを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記エジェクタノズルの上流に再装填フラックス領域を提供することを更に含み、前記印刷材料を前記前進させることは、前記再装填フラックス領域内の前記印刷材料を通して電流パルスを流し、それにより、前記印刷材料の再装填部分を、前記再装填フラックス領域の上流に位置付けられた前記印刷材料の残りの部分から分離し、前記印刷材料の前記再装填部分を前記エジェクタノズル内に更に流すことを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記フラックス領域が、前記印刷材料を通る前記電流の流れの方向に対して実質的に垂直な磁場によって提供される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記印刷材料が溶融金属を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記印刷材料の少なくとも一部を前記排出することが、前記エジェクタノズルに近接してシースガスを流すことを含み、前記シースガスは、不活性ガス及び還元ガスの一方又は両方を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記エジェクタデバイスが微小電気機械システム(「MEMS」)である、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
プリンタ噴射機構から印刷材料を噴射するための方法であって、
基材上にエジェクタ導管を含むエジェクタデバイスに導電性の印刷材料を供給することであって、前記エジェクタ導管が、前記印刷材料を受け入れるように構成された第1の端部と、エジェクタノズルを含む第2の端部とを含む、供給することと、
前記印刷材料が前記エジェクタ導管の前記エジェクタノズル内に配置されるまで、前記エジェクタ導管内で前記印刷材料を前進させることと、
前記エジェクタノズル内に配置された前記印刷材料内にフラックス領域を提供することと、
前記フラックス領域を通して電流を流して、前記印刷材料の少なくとも一部を前記エジェクタノズルから排出することと、を含む、方法。
【請求項24】
前記フラックス領域が、前記印刷材料を通る前記電流の流れの方向に対して実質的に垂直な磁場によって提供される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記エジェクタデバイスが微小電気機械システム(「MEMS」)である、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3D印刷の方法を含む、エジェクタデバイスを使用して印刷材料を噴射する方法を対象とする。本開示はまた、エジェクタデバイスを作製する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
本明細書において金属などの導電性印刷材料の三次元(「3D」)印刷とも呼ばれる、付加製造は、既知の製造技術である。具体的な例として、溶融アルミニウム及び他の金属から3D物体を構築するための三次元プリンタは、当該技術分野において既知である。
【0003】
このような3Dプリンタの1つが、米国特許第9,616,494号に開示されている。3Dプリンタは、電磁コイルによって印加されたDCパルスを使用して、それに応答して溶融アルミニウム液滴を吐出することによって機能する。液滴の標的となるプラテンは、液滴を接続かつ蓄積させて、三次元物体を生成することを可能とするように並進する。しかしながら、この3Dプリンタから排出された溶融アルミニウムの液滴は、約0.5mm以上の直径を有する。これにより、高容量スループットの金属部品製造が可能になる。しかしながら、比較的大きな液滴サイズは、それによって印刷された3D物体の望ましくない程度の多孔度、並びに製造中の平坦でないビルド表面、溶接されていない液滴、及び形状のばらつきをもたらし得る。これらの全ては、不十分な引張強度などの物理的特性の劣化、並びに最終的な物体の外観不良の問題、及び/又は非常に細かい詳細部を有する物体を印刷不能であることにつながる可能性がある。
【0004】
したがって、例えば、液体金属プリンタなどの三次元プリンタから作製された三次元物体の品質を改善するための方法及びシステムは、当該技術分野における一歩前進となるであろう。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一実施形態は、エジェクタデバイスを作製する方法を対象とする。この方法は、基材を提供することと、基材上に1つ以上のエジェクタ導管を形成することとを含む。1つ以上のエジェクタ導管は、印刷材料を受け入れるように構成された第1の端部と、エジェクタノズルを含む第2の端部であって、エジェクタノズルが、第1の電極及び第2の電極を含む第1の電極対を含み、第1の電極の少なくとも1つの表面が、エジェクタノズル内に露出され、第2の電極の少なくとも1つの表面が、エジェクタノズル内に露出されている、第2の端部と、印刷材料が第1の端部から第2の端部に流れることを可能にするための少なくとも1つの通路と、を含む。
【0006】
本開示の別の実施形態は、三次元物体の印刷方法を対象とする。この方法は、基材上に複数のエジェクタ導管を含むエジェクタデバイスに導電性の印刷材料を供給することであって、エジェクタ導管が、印刷材料を受け入れるように構成された第1の端部と、エジェクタノズルを含む第2の端部とを含む、供給することと、印刷材料が1つ以上のエジェクタ導管のエジェクタノズル内に配置されるまで、エジェクタ導管のうちの1つ以上で印刷材料を前進させることと、1つ以上のエジェクタ導管のエジェクタノズル内に配置された印刷材料内にフラックス領域を提供することと、1つ以上のエジェクタ導管のエジェクタノズル内のフラックス領域を通して電流を流し、それにより、印刷材料の少なくとも一部を印刷基材上に排出することと、印刷材料を前進させること及びフラックス領域を通して電流を流すことの両方を繰り返して、印刷基材上に三次元物体を形成することと、を含む。
【0007】
本開示の更に別の実施形態は、プリンタ噴射機構から印刷材料を噴射するための方法を対象とする。この方法は、基材上にエジェクタ導管を含むエジェクタデバイスに導電性の印刷材料を供給することであって、エジェクタ導管が、印刷材料を受け入れるように構成された第1の端部と、エジェクタノズルを含む第2の端部とを含む、供給することと、印刷材料がエジェクタ導管のエジェクタノズル内に配置されるまで、エジェクタ導管内で印刷材料を前進させることと、エジェクタノズル内に配置された印刷材料内にフラックス領域を提供することと、フラックス領域を通して電流を流して、印刷材料の少なくとも一部をエジェクタノズルから排出することと、を含む。
【0008】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも、あくまで例示的かつ説明的なものであり、請求されるように、本教示を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本教示の実施形態を示し、説明と共に本教示の原理を説明する役割を果たす。
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態による、プリンタ噴射機構の概略斜視図を示す。
【0011】
【
図2】本開示の一実施例による、プリンタ噴射機構のためのエジェクタ導管のアレイの概略上面図を示す。
【0012】
【
図3】本開示の一実施形態による、エジェクタ導管のアレイの概略側面図を示す。
【0013】
【
図4A】レールに複数の電極対を含むエジェクタ導管の概略上面図を示す。本開示の一実施形態による、電流パルス生成システムが、エジェクタノズルの一部として第1の電極対と電気的に接続されて示されている。
【0014】
【
図4B】本開示の一実施形態による、
図4Aのエジェクタ導管に対する磁場源130の関係を示すエジェクタ導管の概略側面図を示す。
【0015】
【
図5】本開示の一実施形態による、磁場源が磁石及びフラックスガイドを含むフラックス回路であるプリンタ噴射機構の概略側面図を示す。
【0016】
【
図6】本開示の一実施形態による、プリンタ噴射機構の概略側面図を示す。
【0017】
【
図7】本開示の一実施形態による、磁場源が磁石及びフラックスガイドを含むフラックス回路であるプリンタ噴射機構の概略斜視図を示す。
【0018】
【
図8】本開示の一実施形態による、
図7のプリンタ噴射機構に用いられるエジェクタ導管アレイの概略側面図を示す。
【0019】
【
図9】本開示の一実施形態による、エジェクタノズルアレイの概略側面図を示す。
【0020】
【
図10】本開示の一実施形態による、エジェクタノズルアレイの概略側面図を示す。
【0021】
【
図11】本開示の一実施形態による、閉鎖チャネル構成を含むエジェクタ導管のアレイを示す。
【0022】
【
図12】本開示の一実施形態による、印刷材料を混合するためのエジェクタ導管の概略上面図を示す。
【0023】
【
図13A】本開示の一実施形態による、印刷材料を混合するためのエジェクタ導管に対する電極構成の概略上面図を示す。
【0024】
【
図13B】本開示の一実施形態による、印刷材料を混合するためのエジェクタ導管に対する電極構成の概略上面図を示す。
【0025】
【
図13C】本開示の一実施形態による、
図13Bのエジェクタ導管の概略側面図を示す。
【0026】
【
図14】本開示の一実施形態による、印刷材料を混合するためのエジェクタ導管の概略上面図を示す。
【0027】
【
図15】本開示の一実施形態による、印刷材料を混合するためのエジェクタ導管の概略上面図を示す。
【0028】
【
図16A】エジェクタ導管の概略図の一例を示す。本開示の一実施形態による、エジェクタ導管のエジェクタノズル内に位置付けられた電極にわたって電流パルスを生成するために用いることができる電流パルス生成システムも示されている。
【0029】
【
図16B】エジェクタノズルの概略図の一例を示す。本開示の一実施形態による、エジェクタノズル内に位置付けられた電極にわたって電流パルスを生成するために用いることができる電流パルス生成システムも示されている。
【0030】
【
図17】本開示の一実施形態による、ベントを含む閉鎖チャネル構成を有するエジェクタノズルの概略断面側面図を示す。
【0031】
【
図18A】本開示の一実施形態による、複数のベントを含むエジェクタノズルの概略断面図を示す。
【0032】
【
図18B】本開示の一実施形態による、
図18Aのエジェクタノズルの概略断面図を示す。
【0033】
【
図19】本開示の一実施形態による、3Dプリンタのブロック図である。
【0034】
【
図20】本開示の一実施形態による、小滴を同時に排出して3D物体を印刷基材上に印刷する複数のエジェクタ導管を含むプリンタ噴射機構の概略側面図を示す。
【0035】
【
図21】本開示の一実施形態による、プリンタ噴射機構から印刷材料を噴射するための方法のフローチャートである。
【0036】
【
図22】本開示の一実施形態による、3Dプリンタの概略斜視図である。
【0037】
【
図23A】本開示の一実施形態による、エジェクタ導管の部分的に作製されたアレイの断面側面図を示す。
【0038】
【
図23B】本開示の一実施形態による、エジェクタ導管の部分的に作製されたアレイの断面側面図を示す。
【0039】
【
図23C】本開示の一実施形態による、エジェクタ導管のアレイの断面側面図を示す。
【0040】
【
図24A】本開示の一実施形態による、エジェクタ導管の部分的に作製されたアレイの断面側面図を示す。
【0041】
【
図24B】本開示の一実施形態による、エジェクタ導管の部分的に作製されたアレイの断面側面図を示す。
【0042】
【
図24C】本開示の一実施形態による、エジェクタ導管のアレイの断面側面図を示す。
【0043】
【
図25A】本開示の一実施形態による、エジェクタ導管の部分的に作製されたアレイの断面側面図を示す。
【0044】
【
図25B】本開示の一実施形態による、エジェクタ導管の部分的に作製されたアレイの断面側面図を示す。
【0045】
【
図25C】本開示の一実施形態による、エジェクタ導管の部分的に作製されたアレイの断面側面図を示す。
【0046】
【
図25D】本開示の一実施形態による、エジェクタ導管の部分的に作製されたアレイの断面側面図を示す。
【0047】
【
図25E】本開示の一実施形態による、エジェクタ導管のアレイの断面側面図を示す。
【0048】
【
図26】本開示の一実施形態による、
図9の側壁143bの拡大図を示す。
【0049】
これらの図のいくつかの詳細は簡略化されており、厳密な構造精度、詳細、及び縮尺は維持されるものではなく、実施形態の理解を容易にするように描かれていることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0050】
ここで、本教示の実施形態を詳細に参照し、それらの実施例は、添付図面に示される。図中、同様の参照番号は、全体を通して、同一の要素を指定するために使用される。以下の説明では、その一部をなし、本教示を実践することができる特定の例示的な実施形態を実例として示す添付の図面を参照する。したがって、以下の説明は、単なる例示に過ぎない。
【0051】
本開示は、エジェクタデバイスを含むプリンタ噴射機構、並びにプリンタ噴射機構を用いる3Dプリンタを対象とする。一実施形態では、本明細書に記載のエジェクタデバイスのいずれかが、微小電気機械システム(「MEMS」)であり得る。本明細書で使用されるとき、「微小電気機械システム」又は「MEMS」という用語は、1)デバイスを通して流体(例えば、液体)を移動させるために、少なくとも1つの可動部を有するか、又は非可動部を用いるかのいずれかであり、かつ2)MEMS製造技術を使用して製造することができる、デバイスとして定義される。MEMS製造技術は、膜堆積、パターニング(例えば、フォトリソグラフィ)及びエッチング技術など、半導体及びプリント回路基板製造技術を含む。
【0052】
印刷材料を噴射するための噴射機構を用いる方法も開示される。プリンタ噴射機構は、本明細書でより詳細に説明されるように、印刷材料を噴射するための力を提供するために電流及び磁場を用いるように設計されている。
【0053】
本明細書に開示される噴射機構及び印刷方法は、以下の利点のうちの1つ以上を提供し得る:広範囲の金属及び他の導電性材料を選択的に噴射する能力、選択可能な小滴体積を噴射する能力、微細かつ/又は選択可能なフィーチャーサイズの印刷を可能にする小さな小滴サイズを噴射する能力、噴射プロセス中に別個の印刷材料を混合する能力、並びに比較的高いスループットで印刷する能力。
【0054】
図1は、本開示の一実施形態による、プリンタ噴射機構100の一例を示す。プリンタ噴射機構100は、基材102と、基材102上のエジェクタ導管106とを含むエジェクタデバイス101を含む。本明細書で使用されるとき、「~上の(on)」という用語は、直接的及び間接的な物理的接触の両方を含むように広く定義され、したがって、例えば、介在層がエジェクタ導管と基材との間に形成され得る状況を含む。本明細書で使用されるとき、「~上の(on)」という用語の全ての例は、明細書で直接的な物理的接触が不可能であることを明確にしていない限り、任意選択的に「~の直接上の(directly on)」に置き換えることができる。
【0055】
任意の好適な基材102が、本開示のエジェクタデバイスの一部として用いられ得る。例示的な基材は、絶縁材料及び半導体材料から選択される少なくとも1種の材料を含む。絶縁材料の例としては、ポリマー(例えば、エポキシ又はポリイミド)、セラミック(例えば、アルミナ)及びガラス、並びにガラスポリマー複合材料及びガラスセラミックなど、それらの組み合わせが挙げられる。市販のガラスポリマー複合材料の例としては、G-10、G-11、FR-4、FR-5及びFR-6などのガラス-エポキシ積層体が挙げられ、これらの全ては、ニューヨーク州コーニングに本社があるCorningから入手可能である。市販のガラスセラミックの例はMACOR(商標)であり、これもまたCorningから入手可能である。半導体材料の例としては、IV族半導体(例えば、シリコン、ゲルマニウム、SiC又はSiGe)、III-V族材料(例えば、GaAs、GaN、GaInAs)、又は任意の他の好適な半導体材料が挙げられる。基材は、単層又は複数の層であり得る。一実施形態では、通路106Cが形成される基材102の表面は平滑である(例えば、FR4などの繊維を含む材料ではなく、繊維を含まないポリイミド又は他の繊維を含まないポリマーなどの繊維を含まない材料を含む基材)。一実施形態では、基材102は電気絶縁表面を有する(例えば、電気絶縁表面層を含む多層基材、又は基材102全体が、電気絶縁材料である)。
【0056】
単一のエジェクタ導管106のみを含むエジェクタデバイス101が
図1に示されているが、
図1の単一のエジェクタ導管から横方向に配置された点線によって示されるように、及び
図2の上面図に示されるように、複数のエジェクタ導管106が基材102上のアレイ107に配置されて、エジェクタデバイス101を形成することができる。
図1を参照すると、各エジェクタ導管106は、フィーダ機構113から印刷材料104を受け入れるように位置付けられた第1の端部106Aを含む。第2の端部106Bは、エジェクタノズル108を含む。
図2は、アレイ107に配置された3つのエジェクタ導管106の上面図を示す。エジェクタ導管106の各々の内側表面によって画定される通路106Cは、印刷材料104が第1の端部106Aから第2の端部106Bまでエジェクタ導管106を通過することを可能にする。
図1はまた、印刷される印刷材料104(
図3)を前進させるためのフィーダ機構113の一部を示す。例示的な印刷材料104は、以下でより詳細に論じられるように溶融金属又は他の材料を含む。
【0057】
エジェクタノズル108は、印刷材料104に電流を供給するために使用される、第1の電極110及び第2の電極112を含む少なくとも1対の電極を含む。本明細書でより詳細に論じられるように、追加の電極を任意選択的に用いることができる。第1の電極110の少なくとも1つの表面が通路106C内に露出され、第2の電極112の少なくとも1つの表面が通路106C内に露出される。
【0058】
図4Aに示される電流パルス生成システム114が、複数のエジェクタ導管106の各々のエジェクタノズル108の少なくとも1つの電極対と電気的に接続されている。電流パルス生成システム114は、導電性印刷材料104がエジェクタノズル108内に位置付けられたときに、印刷材料104を通って主に第1の電極110と第2の電極112との間に流れる電流のパルスを引き起こすことができ、それによって、本明細書でより詳細に論じられるように、排出を駆動するための、ローレンツ力などの電磁力を印刷材料104上に生成する。振幅、パルス長、及び/又はパルス形状などの電流パルス特性を変化させることにより、電流パルス生成システムは、例えば、可変液滴体積及び印刷材料の可変排出速度を可能にすることができ、所望の液滴体積及び排出速度の両方を印刷中の各液滴に対して選択することができる。
【0059】
図1及び
図5に示すように、磁場源130は、複数のエジェクタ導管106の第2の端部、すなわち、エジェクタノズル108に近接している。磁場源130をエジェクタノズルに近接して位置付けることは、磁場源130の端部間のエジェクタノズル108内にフラックス領域133(
図1及び
図5にフラックス線によって示される)を提供することができ、それによって、フラックス領域を更に上流に位置付けることよりも有利な特定の利点を可能にすることができる。例えば、利点は、電磁力が、減少した質量(例えば、電極110、112とエジェクタノズル108の出口との間の電流パルス伝送領域内の印刷材料104の質量のみ)に作用し、それによって所与の電流に対する印刷材料104のより高いピーク排出速度を可能にすることである。一方、電磁力生成磁場源130及び電極110、112がエジェクタ導管106内の更に上流に配置された場合、同じ電流パルスは、印刷材料104のより長いカラムをより低いピーク速度に加速するであろう。本開示の目的のために、「フラックス領域」又は「磁束領域」という用語は、磁場源130の近接に起因して、磁場源130が存在しない場合よりも大きい磁束密度を有する、エジェクタ導管106の通路内の任意の領域であり、磁束密度は、室温(22℃)の空気中(例えば、空の通路内)で測定される。
【0060】
磁場源130は、エジェクタノズル108の動作中に導電性印刷材料104を通る電流の流れに実質的に垂直な磁場を提供するように構成されており、それによって、エジェクタノズル108内の導電性印刷材料104上にローレンツ力などの電磁力を発生させる。印刷材料104を通る電流の流路は、エジェクタ導管に沿った電極(例えば、本明細書に記載の電極110、112又は他の電極対のうちのいずれか)の配置によって決定される。磁場源130は、永久磁石又は電磁石など、所望の磁場を提供することができる任意の好適なタイプの磁石132を含むことができる。
【0061】
図6は、磁場源130が1つ以上の磁石132であり得る例を示しており、これらの磁石は、エジェクタ導管106の対向する側面にそれぞれ近接して位置付けられているN極132a及びS極132bを含む永久磁石又は他のタイプの磁石(例えば、電磁石)であり得る。
図6に示すN極132a及びS極132bは、同じ磁石又は2つの異なる磁石からのものであり得る。
【0062】
別の実施形態では、
図5に示されるように、磁場源130は、磁束密度Bを提供するための磁石132、及びフラックスガイド134を含むフラックス回路である。一例では、フラックスガイド134aの第1の部分は、磁石132のN極132aに取り付けられている(
図5)。フラックスガイド134bの第2の部分は、磁石132のS極132bに取り付けられている。N極132a及びS極132bは、例えば、同じ磁石の2つの端部、又は2つの異なる磁石の2つの端部であり得る。フラックスガイド134a及び134bの部分の対向する端部は、エジェクタノズル108に近接して位置付けられており、エジェクタノズル108を所望の磁場に浸漬するように磁束を伝導又は誘導する。磁石132は、永久磁石又は電磁石などの任意の磁場生成デバイスであり得る。
【0063】
本開示の目的のために、「フラックスガイド」という用語は、磁束の経路を制限し、磁束を標的体積に誘導することができる任意の部材又は他のデバイスを意味すると考えることができる。一実施形態では、フラックスガイド134は、磁束を誘導するための任意の好適な材料を含む部材である。一例として、フラックスガイドは、磁場生成デバイスから所望の標的体積まで磁束を運ぶように成形され、かつエジェクタノズル108の近傍で動作温度にて高い透過性及び高い磁気飽和の一方又は両方を有する材料を含む、部材である。一例では、材料は、本明細書に記載の動作温度のいずれかなどの所望の動作温度で、所望の磁気飽和(例えば、約0.5~約2テスラなど、約0.1~約2テスラ)を有することができる。そのような材料の例としては、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、鉄及び鉄合金が挙げられ、合金は、ニッケル、コバルト、及び/又は鉄の組み合わせ、並びにシリコン(例えば、シリコン鉄及びシリコン鋼)などの他の材料を含み得る。任意の他のタイプの磁束ガイドも用いることができる。
【0064】
電流の流れがフラックス領域133の磁場の平均化された方向(磁束密度Bとして示されている平均化された方向)に対して実質的に垂直な(例えば、垂直な又は垂直の10%以内の)平均化された方向にある、電流i(
図5においてドットで表されており、ページの奥又は手前に向かう方向に流れる)が、エジェクタノズル108内の電極110、112間にある導電性印刷材料104を通してパルスされると、電流が流れる導電性印刷材料104上にローレンツ力が発生する。例示目的のために、
図5にドットとして示される電流iの平均化された方向は、ページの奥に向かう。当業者であれば、エジェクタ導管内の液体に対して実現される力は、i及びBが交差する液体の体積にわたるi(xyz)×B(xyz)の積分として計算することができ、x、y、及びzは、その体積を記述するデカルト座標を表すことを理解するであろう。本明細書で使用される「平均化された方向」という用語は、i及びBがエジェクタ導管内で交差する領域内の液体印刷材料の体積全体にわたる、電流の近似された平均方向及び磁束の近似された平均方向を示すことを意味する。当業者は、磁束密度及び電流の平均化された方向を決定する方法を理解するであろう。
【0065】
一般的に言えば、ローレンツ力は、電流i及び磁束密度Bの外積に比例する。したがって、電流が印刷材料104を通してパルスされるエジェクタノズル108の領域において磁場の磁束密度が高くなると、一定の電流パルス振幅が与えられる印刷材料104上でローレンツ力が高くなる。したがって、より高い磁束密度を提供することは、依然として印刷材料104のための所望の排出力を提供しながら、より小さい電流パルス振幅を可能にすることができる。本明細書において、ローレンツ力は、排出を駆動するために使用することができる電磁力の一例として記載されており、排出を駆動するための任意の他の好適な電磁力を用いることができることを理解されたい。
【0066】
エジェクタノズル108の電流パルス領域で実現される磁束密度は、磁場源130の磁場強度、磁場源130の電流パルス領域への近接度、いずれかのフラックスガイドの形状、及び磁場が延びている媒体の性質(例えば、導電性印刷材料104のタイプ)に依存する。一実施形態では、磁場源130は、所望の磁束密度を提供するために、エジェクタノズル108の電流パルス領域に比較的近接して位置付けられる。これは、磁場源130の磁石132又はフラックスガイド134のいずれかをノズル108に十分に近接して位置付けて、例えば、0.5~2テスラなどの約0.1~2テスラの所望の磁束密度を提供することによって達成することができる。エジェクタノズル108の通路106Cの磁場源130と長手方向軸lとの間の例示的な距離X
mn(
図4B)は、約0.5mm~約5mm、又は約1mm~約2mmなど、約0.1mm~約10mmの範囲を含み、X
mnは、1)エジェクタノズル108の通路106Cの長手方向軸lと、2)磁束ガイドがない場合は磁石132などの磁場源130、又は磁場源130がフラックス回路である場合はフラックスガイド134のいずれかとの間の最近接距離である。
【0067】
エジェクタノズル108は、排出される導電性印刷材料の溶融温度以上で動作し得る。これらの温度は、多くの場合、400℃を超える。そのような高温は、多くの磁性材料に対する磁気強度の低下及び/又は磁気の完全な消失をもたらし得る。磁石132及びフラックスガイド134を含むフラックス回路を磁場源130として用いることの利点は、磁石132をエジェクタノズルから距離を置いて維持することができることであり、それによって、磁石は、エジェクタノズル108に近接する温度と比較して低下した動作温度に保つことがより容易になる。
【0068】
必要に応じて、磁場強度の低下を回避するために磁石132(及び任意選択的にフラックスガイド134)を所望の動作温度内に維持することを目的として、単独で又はフラックスガイド134と共に、のいずれかで用いられる磁石132を冷却するために、磁場源130を冷却するための冷却システム142(
図5)も用いることができる。磁性材料を冷却するために、例えば、ファン、送風機、圧縮機、ポンプ、ラジエータ、若しくは他の熱交換器、又はそれらの任意の組み合わせを含む機械的システム142dによって冷却ガス及び/又は冷却液が循環させられる強制流体冷却システムなどの任意の好適な冷却システム142を用いることができる。そのようなシステムの例としては、冷蔵システム、強制空気システム、及び水を流して磁石を冷却するためのシステムを挙げることができる(例えば、ラジエータ、及び磁性材料から、ラジエータによって冷却された水又は他の流体への熱伝導経路)。一例では、冷却システム142は、磁石/フラックスガイドの温度を決定するために磁石及び/又はフラックスガイドに近接して位置付けられた1つ以上の温度センサ142b(例えば、熱電対)を含むフィードバックループ142aと、冷却システムの機械的システム142d(例えば、ファン、送風機、圧縮機、ポンプ、ラジエータ、若しくは他の熱交換器又はそれらの組み合わせ)の冷却出力を増加又は減少させて所望の温度を維持するためのコントローラ142c(例えば、手動コントローラ、又はコンピュータプロセッサを有する自動コントローラ)と、を含むことができる。磁石132及び/又はフラックスガイド134を冷却するために、任意の他の好適な冷却システム142を用いることができる。冷却システム142に加えて、又は冷却システム142の代わりに、磁石及び/又はフラックスガイドは、任意の好適な絶縁体によってエジェクタ導管からの熱から熱的に隔離することができる。
図6は、例えば、エジェクタ導管と磁石及び/又はフラックスガイドとの間に位置付けられた熱絶縁材料又は真空チャンバの一方又は両方を含むことができる好適な絶縁体139の一例を示す。例えば、絶縁体139は、絶縁体139に示される空間によって表される薄い真空ギャップを任意選択的に含むことができ、真空ギャップは、外側チャンバ壁又は層と磁場源130との間に配置され、外側チャンバ壁又は層は、絶縁体139の外側ラインによって表される。
【0069】
磁石132及びフラックスガイド134を含むフラックス回路の一例を
図7に示す。フラックスガイド134は、アレイ107(
図8)のエジェクタノズル108が印刷材料104の排出を可能にするように位置付けられているギャップ136を除いた全ての場所で閉じたフラックスループとして構成されている。エジェクタノズル108は、ギャップ136内に収まるように、エジェクタハウジング120の幅寸法W
Hよりも短い幅寸法W
Eを有するアレイ107の拡張部分107a内に位置付けられ、それによって、フラックスガイド134とエジェクタノズル108内のパルス領域との間の距離を減少させる。これは、パルス領域における磁束密度の増加を可能にすることができ、本明細書で論じられるように、印刷材料に所望の排出力を提供しながら、電流が低減されることを可能にするという利点を有する。例として、W
Eは、約0.2mm~約10mm、又は約0.5mm~約2mmの範囲であり得、W
Hは、約0.5mm~約100mm、又は約1mm~約10mmの範囲であり得る。別の例として、W
Eは、W
Hのサイズの約70%~約1%、又は約50%~約10%の範囲であり得る。貫通導管138は、フィーダ機構の一部としてアレイ107への印刷材料104の流れを提供することができる。
【0070】
一実施形態では、磁場源130は、アレイ107に統合されていない。例えば、磁場源130は、エジェクタ導管自体のアレイ内に組み込まれることなく、アレイに近接して位置付けることができる。一実施形態では、磁場源130は、例えば、
図1及び
図7に示されるように、エジェクタノズル108の対向する側面上に位置付けられ、ノズルのアレイの長さと平行である。この配置は、少なくとも磁場源130が任意の所与の行のエジェクタ導管106の間に位置付けられていないため、アレイの所与の行のエジェクタノズルがより密に詰め込まれることを可能にする。
【0071】
図4Aを参照すると、エジェクタノズル108は、
図4Aに示されるように、対向する電極110と112との間の最短直線の長さである内側幅d
iを有する。d
iに対して2つ以上の可能な値が存在する場合(例えば、d
iの値がエジェクタノズル108の長さに沿って変化する場合など)、d
iは、エジェクタノズル108に対して可能なd
i値のうちの最も小さい値である。d
iの例示的な値としては、例えば、約10マイクロメートル~約1000マイクロメートル、約20マイクロメートル~約500マイクロメートル、約50マイクロメートル~約200マイクロメートル、又は約100マイクロメートルが挙げられる。一実施形態では、d
iは、約10マイクロメートル~100マイクロメートル未満、約10マイクロメートル~約90、80、70、若しくは50マイクロメートル、又は約10マイクロメートル~約25マイクロメートルのサイズの範囲である。第1の電極110及び第2の電極112の長さL
E(
図4B)(又は
図16Bの場合など、複数の電極対が用いられる場合は、複数の電極対の組み合わせ長さ)は、例えば、内側幅d
i(例えば、直径)の約1~約10倍など、任意の好適な長さであり得る。長さL
Eの好適な値の例は、約10マイクロメートル~約500マイクロメートルなど、約10マイクロメートル~約1000マイクロメートルなど、約10マイクロメートル~約5000マイクロメートル、又は約15マイクロメートル~約100マイクロメートル(例えば、90、80、70マイクロメートル以下)である。一実施形態では、電極110、112は、エジェクタノズル108内に完全に位置付けられ、かつ/又はエジェクタノズル108の先端部(例えば、最端位置)に位置付けられる。
【0072】
エジェクタノズル108は、エジェクタ導管106の最端部分であり、例えば、エジェクタノズル108の内側幅di(例えば、直径)の約1~約10倍の範囲である長さL
n(
図8)を有する。他の例では、ノズルの長さL
nは、例えば、diの約1~約5倍、diの約1~約3倍、diの約1~約2倍の範囲であるか、又はdiにほぼ等しい。一実施形態では、電極の長さL
Eは、エジェクタノズルの長さL
nにほぼ等しい。
【0073】
再び
図1及び
図5を参照すると、印刷材料104の少なくとも一部をエジェクタノズル108から排出又は噴射するための所望の運動量を提供するために、電極110、112に十分な電流が提供される。電流パルスの振幅及び長さは、当業者によって決定することができる。
【0074】
一実施形態では、複数のエジェクタ導管106のうちの1つ以上は各々、例えば
図1に示されるように、第3の電極144及び第4の電極145を含む。第3の電極144の少なくとも1つの表面が通路106C内に露出され、第4の電極145の少なくとも1つの表面が通路106C内に露出される。本明細書において、第3の電極144及び第4の電極145は、まとめて第2の電極対と呼ばれることもある。
【0075】
所与の経路に複数の電極対を有することは、様々な利点を可能にする。1つの利点は、複数のリード線を通して電流を並列に供給する能力である。リード線直列抵抗が有意な電圧降下を示す(ひいては、高電圧電流源を要求する)、又は利用可能なリード線断面のせいで望ましくない電力散逸をもたらす場合、複数のリード線を通して複数の電極対に電流を供給することは有益であり得る。電力散逸は電流の二乗(I2)に比例し、したがって、N個の電極対を有することは、同じ全電流に対して単一の電極対を使用することと比較して、各対における散逸をN2で潜在的に低減する。より興味深いことに、電極あたりの電流が制限される場合、排出される印刷材料の各液滴に対して異なる数の電極対を選択する能力を提供すると、より高い力が選択的に加えられることを可能にすることができる。
【0076】
一実施形態では、複数のエジェクタ導管106のうちの1つ以上は各々、例えば
図2の最右のエジェクタ導管106に示されるように、第5の電極146及び第6の電極147を含む。第5の電極146の少なくとも1つの表面が通路106C内に露出され、第6の電極147の少なくとも1つの表面が通路106C内に露出される。本明細書において、第5の電極146及び第6の電極147は、まとめて第3の電極対と呼ばれる。
【0077】
電極対は、通路106Cの側壁を提供し、かつ/又は本明細書に記載されるように、通路106Cの長さに沿って湿潤可能である表面を提供することによる印刷材料のウィッキングなどによって、エジェクタ導管106を通して溶融印刷材料を誘導するために使用され得る、レールの部分を形成するように構成され得る。レールは、通路106Cの全長、又は実質的に全長にわたって延びることができる。一実施形態では、
図1及び
図2を参照すると、第1のレール148及び第2のレール149は、通路106Cの少なくとも一部が第1のレール148と第2のレール149との間に位置付けられるように、通路106Cに近接して配置される。第1のレール148は、第1の電極110と、任意選択的に第3の電極144及び第5の電極146(
図2に示される)の一方又は両方と、を含む。第2のレール149は、第2の電極112と、任意選択的に第4の電極145及び第6の電極147の一方又は両方と、を含む。
【0078】
レール148及び149の部分は、絶縁材料を含む。例えば、レール148及び149の絶縁性部分148a、149aは、電極間に位置付けられ得、電極をレール内の他の電極から電気的に絶縁するための絶縁材料を含むことができる。加えて、レール148及び149の部分148b、149bは、絶縁材料又は浮遊金属層(例えば、電極を形成しない電気的に隔離された金属層)のいずれかを含むことができる。
【0079】
レール148、149の材料は、印刷材料104の良好な毛細管流を提供するように選択することができる。例えば、金属電極及び浮遊金属層は、非金属レール材料である場合よりも溶融金属印刷材料で容易に湿潤される。言い換えれば、印刷動作中に、印刷材料104は、非金属部分との印刷材料の接触角よりも一般に小さいレール148、149の金属部分との接触角を有する。したがって、レール148、149の材料として金属電極及び浮遊金属層を用いることは、印刷材料が、毛細管力により通路106Cに沿ってウィッキングされ、ひいては通路106Cを通ってより容易に流れることを可能にする。
【0080】
非金属(例えば、絶縁体又は半導体)材料が用いられる場合、非金属材料は、任意選択的に、通路を通る印刷材料の流れに所望の効果を及ぼすように選択することができる。ほとんど全ての電気絶縁材料は、100度を超える溶融金属接触角を有するが、値は、とりわけ、印刷材料、温度、雰囲気、及び表面粗さに依存する。例えば、アルミナ上のアルミニウム濡れ角は、750℃での約140度から1000℃での約90度まで変化する。シリコン又はゲルマニウムなどの半導体材料は、一般に、固体金属の接触角と絶縁体の接触角との間にある、溶融金属印刷材料との接触角を有する。より低い接触角は、通路106Cを通る流れをより容易にすることが可能であるが、より高い接触角は流れを妨げる。90oを超える接触角は、通路106Cを通る印刷材料の流れを妨げるが、90o未満の接触角は、印刷材料の流れを増加させる。
【0081】
したがって、金属材料及び非金属材料の両方は、通路106C内の金属流を制御するために必要な圧力を調整するのを助けるために、動作条件時の印刷材料とのそれらの接触角に基づいて選択することができる。比較的低い接触角(例えば、90
o以下)を有する金属及び他の材料をレール内で用いることは、レール148、149の大部分(例えば、部分148b、149b)に対して90
oを超える接触角を有する絶縁材料などの材料を使用する実施形態と比較して、通路106Cを通る印刷材料104の所望の流量を提供するために、ポンプ又は静水圧によって加えられる圧力などの外力を使用する必要性を低減又は排除することができる。絶縁性部分148a、149aに対してなど、絶縁材料は、毛細管効果に起因する、流れチャネルを通る望ましくない又は制御されていない流れを低減又は防止するためなど、任意の所望の理由で印刷材料104の流れを妨げるように選択することができる。電極110及び112以外の本開示のデバイスで用いられる任意選択の電極対のうちのいずれか(例えば、任意選択の電極144、145及び146、147、並びに
図12に関して記載される第2、第3、第4及び第5の電極)は、必要に応じて、浮遊金属層又は非金属材料(例えば、本明細書に記載の半導体材料又は絶縁材料のうちのいずれかなど、絶縁材料又は半導体材料)で置き換えることができる。
【0082】
一実施形態では、
図3に示すように、印刷材料104は、レール148、149間に実質的に、又はその間にのみ含まれる。レール148及び149の側壁を湿潤させる印刷材料104の能力により、印刷材料104は、ギャップ612によって示されるように、レール148と149との間、かつ通路106Cの底部の上方に任意選択的に懸架され得、ギャップ612は、例えば、空気、水素及び窒素を含むフォーミングガスなどの還元ガス、又は窒素若しくはアルゴンなどの不活性ガスなど、ガスで充填することができる。そのような実施形態では、通路106Cの底部は、通路の底部との印刷材料の接触を低減し、それによって、レール148、149間の印刷材料の懸架を向上させるために、湿潤不可能である材料又は溶融金属印刷材料との低い湿潤性を有する材料など、非金属材料(例えば、半導体材料又は絶縁材料)を含む。例えば、レール148、149間の材料は、100
o~180
oなど、90
oを超える印刷材料との接触角を有する非金属(例えば、絶縁材料又は半導体材料)であるように選択することができる。実現される具体的な接触角は、とりわけ、本明細書に記載されるように、印刷される印刷材料のタイプに依存する。
図3に示される実施形態は、印刷材料流が電極間の空間に限定されない場合よりも、十分に画定された印刷材料体積、又は電極間のより制御された体積、及び/又はより小さい小滴体積を可能にすることができる。更に、印刷材料104の接触は、大部分がレール148、149とであるか、又はそれらとのみであり、レール148、149は、実施形態において、大部分が、溶融金属印刷材料によって湿潤可能である金属表面を含むことができるため、この設計は、印刷材料が通路106Cを通って流れるときに、印刷材料流が電極間の空間に限定されない場合よりも少ない抗力を印刷材料104上にもたらすことができる。
【0083】
図9は、側壁層143が、第1のレール148及び第2のレール149に近接して配置されている絶縁材料を含む実施形態を示す。絶縁材料は、本明細書に記載の任意の電気絶縁材料を含むことができる。側壁層143は、第1の側壁143a及び第2の側壁143bを形成するようにパターニングされる。第1の側壁143aと第2の側壁143bとの間の距離は、印刷材料が流れる通路106Cの幅を画定する。一実施形態では、側壁層143は、境界を形成し、それによって通路106C内の印刷材料104(例えば、溶融金属)を保持するために使用される。溶融金属印刷材料のための良好な境界形成機能を提供することができる側壁層143(
図9)の材料は、耐火性及び電気絶縁性であるように選択される。
【0084】
側壁層143には、任意の好適な絶縁材料を用いることができる。例示的な絶縁材料としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び酸化シリコン(例えば、二酸化シリコン)などの金属酸化物、酸窒化シリコン又は酸窒化アルミニウムなどの金属酸窒化物、窒化アルミニウム、窒化シリコン、又は窒化ホウ素などの金属窒化物、炭化シリコンなどの金属炭化物、及びエポキシ又はポリイミドなどのポリマー、並びにこれらの材料のいずれかの組み合わせが挙げられる。「金属酸化物」、「金属窒化物」、「金属酸窒化物」、及び「金属炭化物」という用語は、化合物の金属部分として、シリコン、及びゲルマニウムなどの他の半導体材料を含み得ることに留意されたい。しかしながら、シリコン及びゲルマニウムなどの半導体は、ここにあるように、特に明示的に記載されていない限り、本開示の目的のために非金属であると一般に考えられる。
【0085】
絶縁性側壁材料は、任意選択的に、毛細管効果、印刷材料流の閉じ込め効果、又はこれら2つの間のバランスを提供するように選択することができる。改善された毛細管効果を有する絶縁材料は、比較的低い接触角(例えば、約145o~約80oなど、90oにより近い又はそれより小さい接触角)により、通路106C内の印刷材料の流れに対するインピーダンスの低減を可能にする。一方、改善された閉じ込め効果を有する絶縁体は、絶縁性側壁間の印刷材料の境界形成のための改善された閉じ込めを可能にし、これは、開放チャネル構成の側壁境界からの印刷材料のオーバーフローを低減又は防止するのに有益であり得る。改善された閉じ込め効果は、比較的より大きな接触角(例えば、約145o~約180oなど、180oにより近い接触角)によるものであるが、90oを超える接触角で、ある程度の閉じ込め効果が提供される。絶縁材料の接触角は、とりわけ、具体的な印刷材料に依存する。
【0086】
任意の絶縁材料について、絶縁材料上の溶融金属印刷材料の接触角はまた、エレクトロウェッティングによって低減することができる。エレクトロウェッティングの概念は、一般に周知である。エレクトロウェッティングは、絶縁層の下の電極に電圧が印加されると起こり、絶縁材料の隣の溶融金属印刷材料内に電荷蓄積を誘発する。例えば、
図4A及び
図4Bを参照すると、電極対146、147がレールの部分(例えば、
図1の部分148b、149b)として絶縁材料で置き換えられる実施形態では、電圧源(図示せず)に接続された任意選択の電極190(破線によって示される)が、部分148b、149bである絶縁材料と接触することができる。電荷は拡散することが望ましく、濡れ性面積を増加させることによって拡散し、それによって、絶縁層(例えば、部分148b、149b)と溶融金属印刷材料との間の接触角がより低くなる。溶融金属と絶縁層との間のより低い接触角は、通路の毛細管充填を補助する。本明細書に記載されるように、制御された圧力ヘッドもまた、低接触角材料(例えば、本明細書に記載されるように、エレクトロウェッティングと共に用いられる金属電極、浮遊金属層、及び/又は絶縁材料)と組み合わせて、又は通路内のより高い接触角の材料の使用を可能にするようにのいずれかで、溶融金属での通路の充填を誘発するために任意選択的に用いることができる。
【0087】
一実施形態では、
図9に示すように、レール148、149は、電極110、112及び任意選択の電極144~147(
図2)を含み、それらの厚さよりも大きい幅を有する。比較的幅広で薄い電極は、比較的低い直列抵抗を依然として保持しながら、湿潤可能な電極材料による印刷材料のウィッキングのための表面積の増加を可能にする。側壁層143は、例えば、
図9及び
図10に示されるように、レール148、149の上面が露出されるように位置付けられた側壁を有するように形成される。これは、印刷材料104が、側壁143aと143bとの間に位置付けられたレール148、149の部分の上、並びにレール148、149間を流れることを可能にすることができる。
【0088】
本明細書に記載の様々な実施形態における電極、レールの他の部分及び/又は側壁の形状は、印刷材料の流れが通路の所望の境界内に維持されるかどうかを制御するために使用することができる。例えば、鋭い縁部は、本明細書に記載の通路のうちのいずれかの電極又は側壁の上面への印刷材料のオーバーフローを潜在的に妨げることができるが、丸い縁部は、印刷材料が縁部の上を流れることをより容易に可能にする。一例として、
図9及び
図10に示されるデバイスの側壁143a、143bの鋭い縁部、並びに
図2及び
図3のデバイス内の電極及びレール148、149の他の部分の鋭い縁は、望ましくないオーバーフローを停止するのに役立ち得る。
図26の断面図を参照すると、好適に鋭い縁部は、縁部上の流れの所望のインピーダンスを提供するのに十分に小さい平均曲率半径R
Eを縁部に沿った各点において有することができる。平均曲率半径は、完全に円形ではない任意の所与の断面における縁部の曲線を考慮する。当業者であれば、平均曲率半径を決定することができるであろう。R
Eの所望の値は、とりわけ、印刷材料のタイプ、側壁材料の材料のタイプに依存する。R
Eの好適な値の例としては、約1マイクロメートル~約50マイクロメートル、又は約5マイクロメートル~約50マイクロメートルなど、約50マイクロメートルより小さい値が挙げられる。オーバーフローが所望される場合、好適に大きな曲率半径を有する丸い縁部を用いることができる。
【0089】
他の実施形態では、電極の最上面全体は、通路から外への印刷材料の流れを妨げるために、電極の湿潤性と比較して、非濡れ性又はより低い濡れ性の材料でコーティングすることができる。例えば、本明細書に記載の絶縁材料のいずれか、又は絶縁材料の組み合わせ、を含む側壁層143は、
図9及び
図25Eに示されるように、電極対のうちのいずれかの上面の全部又は部分を覆うことができる。あるいは、電極対の上面の全部は、例えば、
図3及び
図10に示されるように、露出金属面として残ることができる。
【0090】
図10は、側壁層143が第1の電極110及び第2の電極112に近接して配置されている実施形態を示す。側壁層143は、第1の側壁143a及び第2の側壁143bを形成するようにパターニングされる。第1の側壁143aと第2の側壁143bとの間の距離は、通路106Cの幅を画定する。電極110、112は、印刷材料が電極の上を流れるが、実質的に電極間を流れないように、基材102内のトレンチに埋め込まれている。側壁層143は、本明細書に記載の絶縁材料のいずれか、又は絶縁材料の組み合わせを含む、任意の好適な絶縁材料を含むことができる。絶縁材料は、本明細書で論じられるように、閉じ込め効果及び/又は毛細管効果を提供するように、印刷材料との所望の接触角を有するように任意選択的に選択することができる。
【0091】
一実施形態では、電極110、112及び任意選択の電極144~147は、
図10に示されるのと同様に、それらの厚さ以下の幅を有する。任意選択の電極144~147は、
図2の上面図に示されるように同様の構成を有することができるが、
図10の電極110、112に示されるように、基材内のトレンチに埋め込むことができる。増加した厚さは、依然として所望の低い抵抗を提供しながら、基材の物的財産を節約するより狭い電極を可能にし、それによって、エジェクタ導管のより高い線形密度を可能にしながら、直列抵抗を低減することができる。あるいは、電極110、112及び任意選択の電極144~147は、それらの厚さより大きい幅を有する。
【0092】
図10の実施形態では、電極110、112及び電極144~147は、埋め込まれたレール148及び149を任意選択的に形成することができる。
図10のレール148及び149は、通路106Cの側壁を提供しないが、通路の長さに沿って湿潤可能である表面を提供することによる印刷材料のウィッキングなどによって、エジェクタ導管106を通して溶融印刷材料を誘導することができる。レールは、通路の全長、又は実質的に全長に延びており、電極110、112、及びi)任意選択の電極144~147のうちの1つ以上の対、又はii)任意選択の電極の代わりの浮遊金属層若しくは他の非金属材料のいずれかを含むことができる。本明細書に記載されるように電極又は浮遊金属層として使用するために記載された金属のいずれかを用いることができる。側壁層143として使用するための本明細書に記載の絶縁材料のいずれかを含む、本明細書に記載の非金属材料(例えば、半導体材料又は絶縁材料)のいずれかもまた、レールの部分に用いることができる。
【0093】
電極110、112、及び144~147は、同じ基材層上に形成されているものとして示されている。しかしながら、当業者は、電極110、112及び144~147の一部又は全てが、多層スタックの異なる非導電性層(例えば、半導体又は絶縁)副層上に形成され、印刷中に印刷材料104との電気的接触を提供するように、絶縁層に形成されたビアを介して通路106Cの表面にルーティングされ得ることを容易に理解するであろう。
【0094】
電極110、112、144、145、146、147、並びにレールの部分(例えば、レール部分148b、149bの浮遊金属層)に使用される電気的に隔離された金属は、印刷中のエジェクタノズル温度に耐えながら、印刷材料104に電気的接触を提供するのに適した任意の導電性材料を含むことができる。好適な導電性材料の例としては、耐火性金属、アルミニウム、アルミニウム合金(例えば、1000シリーズ、2000シリーズ、3000シリーズ、4000シリーズ、5000シリーズ、6061及び6063などの6000シリーズ、並びに7000シリーズのアルミニウム合金)、マグネシウム、マグネシウム合金、鉄、鉄合金(例えば、鋼)、銅、銅合金(例えば、亜鉛)、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀、及び銀合金を含む、印刷材料104よりも高い溶融温度を有する金属が挙げられる。上記の金属の好適な合金は、元素耐火性金属を含む、上記の元素金属のうちのいずれかの2種以上の混合物など、例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄、銅、ニッケル、チタン、タングステン、又はパラジウム、銀などの他の元素耐火性金属のうちのいずれかの2種以上の混合物など、任意の所望の金属の混合物を含むことができる。本明細書で使用されるとき、「耐火性金属(refractory metal)」又は「耐火性金属(refractory metals)」という用語は、例えば、本明細書に列挙される耐火性金属のうちのいずれかの2種以上の合金、又は鉄、ニッケル、銅、銀などの他の金属との1種以上の耐火性金属の合金など、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステン、レニウム、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ハフニウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、及びこれらの金属のいずれかの合金を含む、元素耐火性金属及びその合金の両方を含むように定義される。好適な耐火性金属合金は、当該技術分野において既知である。
【0095】
電極及び任意の電気的に隔離された導電性レール部分148b、149bは、耐食性であり得る。例えば、電極及び/又は部分148b、149bは、溶融印刷材料による腐食に抵抗する、パラジウムなどの貴金属を含むパッシベーション層で任意選択的にコーティングされる。一例では、本明細書で教示される電極及び/又は他の部分148b、149bのいずれかは、タングステン(例えば、元素タングステン又はタングステン合金)、他の耐火性金属、銅、又は本明細書で電極に適したものとして教示される他の金属を含むことができ、パラジウムなどの貴金属を含むパッシベーション層でコーティングされている。パッシベーション層405の例を
図23Aに示す。電極上の耐食性コーティングとして貴金属を用いることは、一般に、よく知られている。
【0096】
一実施形態では、3D印刷中に2種以上の異なる印刷材料を混合するためのエジェクタデバイスが企図される。
図12は、印刷材料104を混合及び排出するように構成されたエジェクタデバイス300の例を示す。他のエジェクタデバイスに対して本明細書に説明されるように、複数のエジェクタデバイス300を基材102上のアレイに配置することができる。エジェクタデバイス300は、半導体又は電気絶縁表面102aと、複数の通路306C、306E、及び306Fを含むエジェクタ導管306とを含む基材102を含む。第1の通路306Cは、エジェクタ導管の第1の端部306Aを導管合流部306Dに流体接続する。第1の端部306Aは、第1の印刷材料104A(例えば、
図14)を受け入れるように構成されている。第2の通路306Eは、エジェクタ導管306の第2の端部306Bを導管合流部306Dに流体接続する。第2の端部306Bは、第2の印刷材料104Bを受け入れるように構成されている。第3の通路306Fは、導管合流部306Dを、エジェクタノズル108を含む第3の端部306gに流体接続する。エジェクタノズル108は、第1の電極110及び第2の電極112を含む。第1の電極110の少なくとも1つの表面及び第2の電極112の少なくとも1つの表面が第3の通路306F内に露出される。
【0097】
図12を参照すると、エジェクタ導管306は、第3の電極308及び第4の電極310を含む。第3の電極308の少なくとも1つの表面及び第4の電極310の少なくとも1つの表面が第1の通路306C内に露出される。第3の電極308及び第4の電極310は合わせて、第1の通路306Cから第3の通路306Fへの第1の印刷材料104Aの流れを制御するように構成された第2の電極対である。エジェクタ導管306は、第5の電極312及び第6の電極314を更に含む。第5の電極312の少なくとも1つの表面及び第6の電極314の少なくとも1つの表面が第2の通路306E内に露出される。第5の電極312及び第6の電極314は合わせて、第2の通路306Eから第3の通路306Fへの第2の印刷材料104Bの流れを制御するように構成された第3の電極対である。磁束領域は、第1の通路306C内の露出した第3の電極308と露出した第4の電極310との間の第1の再装填領域170Aまで、及び第2の通路306E内の露出した第5の電極312と露出した第6の電極314との間の第2の再装填領域170Bまで延びている。この構成では、本明細書に記載されるように、電極対間の印刷材料を通して電流パルスを流すことによって、ローレンツ力などの電磁力を発生させることができる。
【0098】
一実施形態では、エジェクタ導管306は、第2の電極対308、310と第1の通路306Cの第1の端部306Aとの間に位置付けられた電極316、310を含む第4の電極対を含むことができる。第4の電極対は、第2の電極対308、310の上流の第1の印刷材料104Aの一部の流れを制御するように構成されている。エジェクタ導管306はまた、第3の電極対312、314と第2の通路306Eの第2の端部306Bとの間に位置付けられた電極320、314を含む第5の電極対を含むことができる。第5の電極対は、第3の電極対312、314の上流の第2の印刷材料104Bの一部の流れを制御するように構成されている。磁束領域は、第4の電極対間の領域及び第5の電極対間の領域まで延び、それによって、印刷材料流を制御するためのローレンツ力の生成を可能にする。
【0099】
一実施形態では、第2の電極対及び第4の電極対は共通電極310を共有し、第3の電極対及び第5の電極対は共通電極314を共有する。一実施形態では、共有された電極は、埋め込み電極(図示せず)を使用して接地に保持される。あるいは、当業者であれば、第4の電極対が第2の電極対との共通電極を用いず、かつ第5の電極対が第3の電極対との共通電極を用いない電極構成を容易に決定することができるであろう。
【0100】
電極対は、通路106Cの側壁を形成し、かつ/又は通路の長さに沿って湿潤可能である表面を提供することによる印刷材料のウィッキングなどによって、エジェクタ導管106を通して溶融印刷材料を誘導するために使用され得る、レールを形成するように構成され得る。レールは、通路の全長、又は実質的に全長にわたって延びている。一実施形態では、第1及び第3の通路306C、306Fのための第1のレール148A及び第2のレール149Aは、第1の電極対(110、112)と、任意選択的に第2の電極対(308、310)及び第4の電極対(316、310)の一方又は両方とを含み、第2及び第3の通路306E、306Fのための第1のレール148B及び第2のレール149Bは、第1の電極対(110、112)と、任意選択的に第3の電極対(312、314)及び第5の電極対(320、314)の一方又は両方とを含む。レール148及び149の部分は、絶縁材料を含むことができる。例えば、絶縁性レール部分148A-a及び148B-aは、
図12に示されるように、電極間に位置付けることができ、電極をレール内の他の電極から電気的に絶縁するための絶縁材料を含むことができる。加えて、レール148A、149A、148B、及び149Bを構成する電極308、310、312、314、316、及び360の任意の部分又は全ては、
図1及び
図2のレールに関して本明細書で論じられるのと同様に、絶縁材料又は浮遊金属層(例えば、電極を形成しない電気的に隔離された金属層)を含むことができる。レールの浮遊金属層、電極、及び絶縁部分のための任意の金属及び非金属材料を含む、レールの部分として使用するための本明細書で論じられる絶縁材料及び導電性材料のいずれかはまた、
図12のデバイスのレールに用いることができる。
【0101】
図13A及び
図13Bは、本開示の一実施形態による、異なる印刷材料を混合するための別のエジェクタデバイス300の上面図を示す。エジェクタデバイス300は、本明細書に記載の基材102のいずれかなど、基材102を含む。
図13Aに示されるように、電極構成は、
図12について上述したのと同様に、第1の電極対110、112と、任意選択的に第2、第3、第4、及び第5の電極対とを含む。
図13Cの端面図に示されるように、電極は、それらの高さよりも大きい幅を有するように形成することができるが、任意の所望の幅対高さ比を用いることができる。
図13B及び
図13Cに示されるように、本明細書に記載の絶縁材料のいずれかなど、絶縁材料を含む側壁層143は、
図9のデバイスの電極及び側壁構成と同様に、通路306C、306E、及び306Fの境界を形成するために電極上に配置されている。
図12及び
図13の場合など、印刷材料を混合するための複数の通路を含むエジェクタデバイス300はまた、
図3及び
図10に概して示される構成など、本明細書で論じられる他の電極及び側壁構成のいずれかを使用して作製することができる。
【0102】
図12及び
図13のエジェクタデバイスは、合金組成制御のための手段を例示する。
図14を参照すると、異なる印刷材料(例えば、印刷材料104A、104B)の2つ以上の供給源が、合流チャネル(例えば、第1の通路306C及び第2の通路306E)と位置合わせされ、合流チャネルに印刷材料を供給する。動作中、エジェクタデバイス300は、全ての印刷材料成分が溶融する温度に保持される。例えば、Al及びMgは、両方とも約670℃を超えていると液体であり、Alの様々な合金も同様である。好適な動作温度で溶融される印刷材料の任意の他の組み合わせを用いることができる。2つの通路306C、306Eのみが図示されているが、エジェクタ導管は、3つ、4つ、又はそれより多くの通路を含むことができる。2つ以上の通路の各々からの印刷材料は、第3の通路306Fに合流し、互いに混合されて、混合された印刷材料104Cを形成する。
【0103】
第3の通路306Fは、
図13B及び
図14に示されるように、直線の混合領域330を含むことができ、これらの図は、電極110、112の近接する表面(例えば、対向する隣接した側壁)並びに/又はエジェクタノズル108内の側壁層143の側壁143a及び143bが概ね直線の通路306Fを提供することを示す。あるいは、第3の通路306Fは、非直線の混合領域330を含むことができ、電極110、112の近接する表面(例えば、対向する隣接した側壁)並びに/又はエジェクタノズル108内の側壁層143の側壁143a及び143bが、概ね非直線の、すなわち、湾曲した、通路306Fを提供する。例えば、通路306Fの混合領域330は、
図15に示されるように、蛇行構成を含むことができる。混合領域330は、エジェクタノズル108の上流に、又はその一部として位置付けられる。混合領域330への印刷材料104A、104Bの流れを制御することによって(例えば、任意選択の第2及び第3の電極対並びに/又は任意選択の第4及び第5の電極対への電流パルスのパルス長及び/又は振幅制御を使用することによって)、結果として生じる混合された印刷材料104C中の印刷材料104A及び104Bの比は、以下でより詳細に論じられるように、排出される各液滴に対して必要に応じて変更することができる。
【0104】
本明細書に上述したようなエジェクタ導管106、306は、通路の長さに沿って雰囲気に開放された少なくとも1つの側面を有する開放チャネルとして機能することができる。代替の実施形態では、本明細書に記載のエジェクタ導管のいずれかは、通路(例えば、
図2の通路106C又は
図12の通路306C、306E、及び306F)の長さに沿って全ての側面で囲まれているが、印刷材料104を受け取ること及び排出することを可能にするように第1の端部106A及び第2の端部106Bで開放されたままである閉鎖チャネルを含むことができる。1つのそのような閉鎖チャネルアレイが
図11に示されており、この図は、各アレイ107の通路106Cが他のアレイ107に面していて、それにより、閉鎖チャネルを形成するように取り付けられている、
図3に示されるような2つの開放チャネルアレイを示している。任意選択のインターポーザ層250が、2つのアレイ107の間に挟まれている。インターポーザ層250は、酸化シリコン(例えば、二酸化シリコン)又はセラミックなど、デバイスの動作温度に耐えることができる任意の好適な絶縁材料を含むことができる。
図11のデバイスについて説明したのと同様の方法で、本明細書に記載の開放チャネルエジェクタデバイスのいずれかを用いて、閉鎖チャネルを含むエジェクタデバイスを形成することができる。
【0105】
更に別の実施形態では、閉鎖チャネルデバイスは、例えば、セラミック、ガラス、又は他の絶縁材料を含むプレートで本明細書の開放チャネルアレイ構造のいずれかにふたをすることによって形成することができる。例えば、単一のアレイ107は、第2のアレイ107を取り付けずに、
図11に示されるようにインターポーザ層250でふたをすることができる。
【0106】
更に、閉鎖チャネルデバイスはアレイとして説明されているが、単一のエジェクタ導管を含む閉鎖チャネルデバイスもまた、基材上に単一の開放チャネルエジェクタ導管を形成し、次いで、上述したのと同様に、プレートでふたをすることによって作製することができる。同様に、各々が基材上に単一の開放チャネルエジェクタ導管を含む、2つの別個のエジェクタデバイスは、各エジェクタ導管の通路106Cが互いに面して、それによって2つの閉鎖チャネルを形成するように取り付けることができる。
図11のデバイスについて上述したのと同様に、任意選択のインターポーザ層250を2つのエジェクタチャネルの間に挟むことができる。
【0107】
本明細書で電流パルス生成回路とも呼ばれる電流パルス生成システム114は、比較的短期間(例えば、単一の電流パルス)で印刷材料104の所望の電磁力(例えば、ローレンツ力)誘導運動量を提供するのに十分な振幅の電流パルスを生成する能力を有する。電流パルスは、生成された電磁力から生じる、印刷材料の十分な運動量を生成して、例えば、3Dプリンタの動作中にエジェクタノズル108からの印刷材料104の分離及び排出を引き起こす。印刷材料を排出するのに十分なアンペア数の所望のパルスを提供することができる任意のタイプの電流パルス生成回路を用いることができる。好適な電流パルス生成回路は当該技術分野において周知であり、任意の所望の電流パルス生成システムを用いることができる。電流パルス生成システムは、例えば、
図4A、
図16A、及び
図16Bに示されるように、エジェクタノズルの第1の電極110及び第2の電極112など、本明細書に記載のエジェクタデバイス内の電極対のうちのいずれかの1つ以上(例えば、全ての電極対)と電気的に接続されている。一実施形態では、電流パルス生成システム114は、エジェクタノズル108と電気的に接続された電流源を含む(例えば、第1の電極110に接続された電流源及びエジェクタノズルの第2の電極112と電気的に接続された電流シンク)。別の実施形態では、電流パルス生成システム114は、(例えば、ノズルの第1の電極110と第2の電極112との間に所望の電圧を印加するように)エジェクタノズル108と電気的に接続された電圧源を含む。好適な電流源及び電圧源の例は、当該技術分野において周知である。
【0108】
図4Aを参照すると、電流パルス生成システム114の回路は、パルス発生器、波形発生器、又は所望の電流パルスを生成することができる他のデバイスなど、パルス制御デバイス114cによって動作させられる電源114a及びスイッチ114bを含むことができる。それらは別々に示されているが、スイッチ114bは、任意選択的に、パルス制御デバイス114cの一部であり得る。パルス制御デバイス114cは、電流パルス生成システムのコンピュータ制御を提供するようにプログラム可能であり得る。電源114aは、所望の電流を供給することができる、DC電源又はスイッチング電源などの任意の電源であり得る。スイッチ114bは、パルス制御デバイス114cと組み合わせて所望の電流パルスを提供することができる任意のスイッチであり得る。例としては、FET又はMEMSスイッチを含む、大電流対応スイッチが挙げられる。当業者によって理解されるように、増幅器、抵抗器などの他の回路構成要素を任意選択的に含めることができる。本明細書に記載されるように、電流パルス生成システム114は、電極110及び112を使用してエジェクタノズル108内の印刷材料に電気的に接続することができる。
【0109】
図16Aは、低デューティサイクルで短い期間にわたって比較的高い電流パルスを提供するために潜在的に用いることができる電流パルス生成回路の例を示す。
図16Aの電流パルス発生システム114は、スイッチング電源などのDC電源である電源114a及びスイッチとして機能する複数のFET(例えば、GaAs FET又は他のFET)114bを用いて、1つ以上のコンデンサを充電する。本明細書に記載されるように、
図16Aの電流パルス生成システム114は、電極110及び112を使用してエジェクタノズル108内の印刷材料に電気的に接続される。充電されたコンデンサは、印刷材料を横切って所望の電流パルス118を提供するように放電することができる。一般的な回路設計は、DC電圧源、電流帰還抵抗器を備えた高パワー演算増幅器、及び/又はGaAs nMOSトランジスタなどの高速の低直列インピーダンススイッチを用いることができる。そのような回路は、一般に周知である。高速バイポーラスイッチングは、例えば、高電流Hブリッジを使用して同様に適用することができる。好適な電流パルスを提供することができる任意の他の好適な電流パルス生成回路を用いることができる。
【0110】
一実施形態では、電流パルス生成システム114は、プログラム可能なパルス制御デバイスを含む。パルス制御システム160(
図16A)は、パルスコントローラ162及び計算システム164を含むプログラム可能なパルス制御デバイスの例である。パルスコントローラ162は、例えば、電流パルスが第1の電極110と第2の電極112との間を流れるときに、所望のパルス特性を有する電流パルスを生成するために電流パルス生成システム114の回路構成要素(例えば、電流スイッチ、電源及び/又は他の構成要素)とインターフェース接続する、CPU167及びメモリ172を含むマイクロコントローラであり得る。パルスコントローラ162は計算システム164によって駆動することができ、計算システム164は、非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、計算システム164のメモリ166)に埋め込まれたコンピュータ実行可能命令を実行することができる。計算システム164は、パルスコントローラ162自体の一部として統合されてもよく(例えば、CPU167及びメモリ172など、パルスコントローラ162に統合されたCPU及びメモリを用いることができる)、又はパルスコントローラ162とインターフェース接続する、例えば、メモリ166及びCPU168を含む、別個のコンピュータシステム(
図16Aに示されるように)であってもよい。計算システム164の非一時的コンピュータ可読媒体に埋め込まれたコンピュータ実行可能命令は、とりわけ、計算システム164のCPU168に、本明細書に記載されるように印刷材料104を排出するためのパルス長、振幅、及び/又はパルス形状などの少なくとも1つの所望のパルス特性を決定するように命令することができる。計算システム164は、数学的アルゴリズムを使用して印刷材料104の所望の排出特性を提供するパルス特性を計算することなどによって、任意の好適な方法で少なくとも1つの所望のパルス特性を決定することができ、例えば、印刷材料のタイプ、エジェクタのパルス履歴、及び/又はプリンタ噴射機構からのフィードバックなどを考慮し得る。そのようなフィードバックは、例えば、リアルタイムの磁束変動、ノズル温度、印刷材料温度、及び/又は他のデータを含むことができる。計算システム164及びパルスコントローラ162の一方又は両方の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ166又は172)に埋め込まれた追加のコンピュータ実行可能命令が、パルス制御システム160のCPU(例えば、CPU168及び/又はCPU167)によって実行されて、電流パルス生成システムの電圧源又は電流源に第1の電極110と第2の電極112との間の電流を流させるための命令又は電気信号を送信する。結果として生じる電流は、少なくとも1つのパルス特性を有する電流パルス118を含む。第1の電極110及び第2の電極112を横切る電流パルスを制御することにより、小滴体積、排出された印刷材料の速度、及び排出速度(例えば、1秒あたりの排出数)といったものを含む、印刷材料104の排出を制御することができる。任意選択的に、本開示のエジェクタデバイス内の第2、第3、第4、及び第5の電極対のうちの1つ以上を横切る電流パルスを制御することを、本明細書でより詳細に説明されるように、エジェクタ導管内の印刷材料の流れを制御するために使用することができる。
【0111】
上述のように、所望のパルス特性を決定するとき、計算システム164は、例えば、デューティサイクルの変化によって引き起こされるノズル108での温度変化による、印刷材料104又はシステムの導電率、熱膨張、磁束、又は他の温度依存特性への影響(例えば、磁石又はフラックスガイドへの温度の影響)といったものを任意選択的に補償することができる。例えば、場合によっては、デューティサイクルが高く、パルスが互いのすぐ後に次々と続くことがある。これは、潜在的に、エジェクタノズル108、エジェクタノズルに近接するエジェクタ導管106、及び/又はその中に入っている印刷材料104を、より低いデューティサイクルの状況と比較して、温度を局所的に上昇させる可能性がある。そのような温度変化は、印刷材料の排出に影響を及ぼし得る。パルス特性を決定する際にこれらの効果を考慮することにより、電流パルス生成システムの計算システム164は、プリンタ噴射機構100の排出特性を制御及び/又は改善することができる。
【0112】
図16Bは、
図16Bの電流パルス生成回路が、2つ以上の電極対110aと112a、110bと112b、及び110cと112cを含むエジェクタノズル108と共に用いることができることを除いて、
図16Aの電流パルス生成回路と同様の電流パルス生成回路を示す。3対の電極が示されているが、1~10個の電極対、又は2~5個の電極対など、任意の数の電極対を用いることができる。そのような設計は、
図16Aの単一電極対設計と比較して、印刷材料にわたる改善された制御及び/又はより高い電流密度を潜在的に可能にし得る。例えば、ノズルあたり複数の電極は、可変体積の小滴排出を可能にすることができ、各排出の小滴体積は、電流パルスを所望の数の電極対に送ることによって変化させることができる。したがって、より小さい小滴は、単一の電極対110a、112aを通る電流をパルスすることによって排出することができ、一方、より大きい液滴は、2つの電極対110a、112a及び110b、112b、又は3つ以上の電極対を通る電流をパルスすることによって排出することができる。
図16Bの電流パルス生成回路を制御するために、
図16Aに示されるものなど、パルス制御システム160もまた、用いることができる。本開示のデバイスのいずれかは、本明細書に記載されるように、エジェクタノズル108内に複数の電極対を用いることができる。
【0113】
フィーダ機構113は、任意の好適な機械的システム、圧力駆動システム、又は印刷材料104をエジェクタ導管106に供給することができる他のシステムであり得る。フィーダ機構は、印刷材料104を移動させるためのムーバ113a(
図22)として機能することができる1つ以上のポンプ、アクチュエータ、又はそれらの組み合わせを含むことができる。好適なアクチュエータの例としては、電気モータ、圧電モータ、インチワームアクチュエータ、油圧アクチュエータ、及び空気圧アクチュエータが挙げられ、これらは一般に周知である。
【0114】
電磁力駆動(例えば、ローレンツ力駆動)もまた、複数のエジェクタ導管106の上流の印刷材料104の流れを制御するための、及び/又はリザーバ140からエジェクタ導管106内への印刷材料104の流れを制御するための好適なアクチュエータとして用いることができる。そのような電磁力駆動は、電極対(例えば、
図2の144と145、146と147)を使用して通路106c内の印刷材料104の流れを制御するために電磁力を使用することについて本明細書に記載されているのと同様に、液体金属を通る電流を制御するために使用される1つ以上の電極対にわたって磁場を用い、それによって、印刷材料に電磁力を加えることができる。例えば、
図1のレール148、149の部分148b、149bは、任意選択的に、リザーバ140からの印刷材料104の流れを制御するためのそのような電極対として機能するように構成することができる。
【0115】
使用されるフィーダ機構113のタイプは、用いられる印刷材料104のタイプに依存する。一例では、印刷材料104は複数のフィラメントを含み、フィーダ機構113は複数のフィラメントを前進させるための機構である。本開示の目的のための「フィラメント(filament)」又は「フィラメント(filaments)」という用語は、固体フィラメント(例えば、
図22の104などのワイヤ)、又は液体充填毛細管若しくは他の液体充填導管などの液体フィラメントの両方を含むように定義される。固体フィラメントのフィーダ機構の例としては、スプールフィーダ及びインチワームアクチュエータが挙げられ、これらは当該技術分野において周知である。当業者によって理解されるように、固体フィラメント、乾燥粉末、又は他の固体形態の形態で固体印刷材料104をエジェクタ導管106につめ車で移動させる又は他の方法で前進させるための他のフィーダデバイスもまた、フィーダ機構113又はフィーダ機構の一部として用いることができる。
【0116】
実施形態では、フィーダ機構113は、液体印刷材料をエジェクタ導管106内に供給し、任意選択的に液体印刷材料をエジェクタノズル108に前進させるための任意の好適な機構であり得る。液体印刷材料のための好適なフィーダ機構の例としては、印刷材料(例えば、溶融金属)のリザーバ又は他の供給源から液体を前進させ、それによって、排出後にエジェクタノズル108を安定的に再充填するのに十分な毛細管力及び/又は過剰圧力を用いる機構が挙げられる(例えば、フィーダ機構は、排出後にエジェクタノズルを自動的に再充填するように設計することができる)。フィーダ機構は、例えば、静水圧ヘッドを(例えば、リザーバ内の印刷材料の特定の充填レベルを維持することによって)提供するために印刷材料で充填することができるポンプ、又はフィーダ導管及び/若しくはリザーバ構成、又は過剰圧力を加えるための他のデバイス若しくはそのようなデバイスの組み合わせを含むことができる。そのようなフィーダ機構は、当該技術分野において周知である。当業者であれば、適切なフィーダ機構を容易に決定することができるであろう。
【0117】
金属でコーティングされたレール148、149が、本明細書に記載されるように用いられると、それによって提供される毛細管力は、潜在的に、追加のフィーダ機構からの過剰圧力の補助なしで、通路を通る印刷材料の所望の流れをエジェクタノズルに供給することができる。更に、エジェクタ導管の通路内の印刷材料の流れを駆動するか、又は妨げるために、本明細書に記載されるように、追加の電極対によって提供される電磁力を、静水圧又は毛細管力の代わりに用いることができる。
【0118】
一実施形態では、フィーダ機構113は、印刷材料を異なる供給速度で各エジェクタ導管106に供給することができる。一例として、複数のフィラメントを前進させるためのフィーダ機構113は、複数のフィラメントの各々を別々に制御可能な供給速度で漸増的に前進させるための別個の機構を含む。したがって、一実施形態では、各エジェクタでの排出速度が印刷のために必要に応じて増加又は減少させられるのに応じて、供給速度は、次の排出前にエジェクタノズルへの印刷材料104の補充を満たすことができる。
【0119】
図7及び
図8を参照すると、本明細書に記載のエジェクタデバイスのうちのいずれかのアレイ107が、エジェクタハウジング120内に支持され得る。一実施形態では、エジェクタデバイスは、ハウジング材料とは別個の構造であり得、エジェクタハウジング120に任意の好適な様式で取り付けることができる。エジェクタハウジング120は、噴射プロセス温度に耐えることができ、かつエジェクタ導管106のための所望の支持を提供することができる任意の好適な材料を含む。好適なハウジング材料の例としては、アルミニウム、銅、真鍮及び鋼などの金属、耐火性金属、セラミック、他の耐火性材料、プロセス温度に耐えることができるポリマー(例えば、200℃~300℃など、150℃~650℃以上の融点を有するポリマー)、並びに金属コーティングセラミック及びセラミックコーティング金属など、それらの組み合わせが挙げられる。複合ハウジング材料の一例は、ムライトなどのセラミックでクラッドされた銅であり、銅及びムライトは同様の熱膨張係数を有する。用いられる具体的な材料は、噴射される印刷材料に依存し得る。本開示の目的のために、「耐火性材料(refractory material)」及び「耐火性材料(refractory materials)」という用語は、1気圧において1000℃以上の融点を有する任意の材料として広く定義される。例えば、耐火性材料は、約1200℃~約4000℃、又は約1400℃~約3500℃、又は約1700℃~約3500℃、又は約2000℃~約3500℃など、1000℃~約4000℃の範囲の融点を有することができる。
【0120】
一実施形態では、プリンタ噴射機構100は、例えば
図1、
図5、
図8、
図10、及び
図11に示されるように、三次元プリンタの動作中にエジェクタ導管106の少なくとも一部及び任意選択的にエジェクタ導管106を取り囲むエジェクタハウジング120を加熱するためのヒータ機構126を含む。この実施形態では、ヒータ機構126は、リザーバ140及びエジェクタ導管106の通路106Cの温度を印刷材料104の溶融温度以上に維持することができる。リザーバ140は、複数のエジェクタ導管106と流体接続している。一例では、ヒータ機構126は、印刷材料104を印刷材料104の溶融温度以上の温度にし、また印刷材料104がリザーバ140に保持され、リザーバ140からエジェクタ導管106を通ってノズル108まで流される間、印刷材料104を溶融温度以上に維持するために、十分な熱エネルギーを提供することができる。
【0121】
ヒータ機構126は、例えば、任意の好適なタイプの抵抗ヒータ、誘導ヒータ、放射ヒータ、又はこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。例えば、ヒータ機構126は、リザーバ140又は導管106に近接して位置付けられた加熱要素を含む。加熱要素は、例として、抵抗加熱コイル又は誘導コイルの形態であり得る。一例として、好適な抵抗ヒータ機構は、基材、ハウジング、又は通路106C及び/若しくは印刷材料リザーバ140を取り囲む層(例えば、側壁層143又は任意の他の絶縁層)に埋め込まれたオーミック蛇行トレースを含む。本明細書で使用されるとき、「オーミック蛇行トレース」という用語は、長手方向軸に沿った非直線経路を有する抵抗加熱要素(例えば、ジグザグ経路、巻線経路、又は別様に湾曲した経路を有する抵抗加熱に適したワイヤ)を指す。ヒータ機構126は、電流パルス生成システム114並びに/又は電極110、112及び電極144~147とは別個である。
【0122】
一実施形態では、エジェクタ導管106のアレイは、X軸上に配置されたM列のエジェクタ導管、及びY軸上に配置されたN行のエジェクタ導管を含み、Mは、例えば、約2~約1000の範囲の整数であり、Nは1~2の範囲の整数である。例えば、
図2のアレイではMは3であり、Nは1であるが、
図11のアレイではMは8であり、Nは2である。他の例では、Mは、約5~1000、50~1000、100~900、250~750、又は500~1000の範囲の整数である。
【0123】
一実施形態では、エジェクタ導管106の行は直線的に配置され、それぞれの行のエジェクタ導管106は、例えば、
図11に示されるように、より近接した実装を容易にするために隣接する行のエジェクタ導管に対して食い違い状にされる。必要に応じて、システム内の行又は列の数を拡張するために、複数のアレイが積み重ねられるか、又は別様に組み合わされ得る。
【0124】
本開示のエジェクタデバイスを作製するために用いることができるエジェクタデバイス設計及びMEMS製造技術は、ほとんどの非MEM製造技術と比較して、ノズル密度の増加を可能にする。例えば、
図2に示されるものなど、エジェクタ導管の単行アレイの場合のノズル密度は、例えば、約10ノズル/インチ~約1500ノズル/インチ、又は約50ノズル/インチ~約1000ノズル/インチ、又は約100ノズル/インチ~約500ノズル/インチなど、約5ノズル/インチを超え得る。インチあたりのノズルの数は、
図11に示されるものなど、エジェクタ導管の2行アレイでは有効に2倍になり得る。実際のノズル密度は、とりわけ、所望のノズルサイズ及びアレイ内のエジェクタ導管の複雑さを含む、複数の要因に依存する。必要に応じてより低いノズル密度を用いることができるが、この技術によって提供される比較的大きなノズル密度は、より小さいノズル密度を有するアレイが用いられた場合よりも短い3D印刷時間及び/又はより小さい液滴サイズを可能にし得る。
【0125】
印刷材料の排出中の小滴形成は、エジェクタノズル108の内部又は外側の任意の好適な機構によって起こり得る。一実施形態では、小滴を形成するための印刷材料の分離は、ノズル108内など、エジェクタ導管106の内側にある印刷材料のネッキングオフによって起こり得る。
図11に示されるものなど、閉鎖エジェクタ導管が用いられる実施形態では、エジェクタ導管106は、
図17に示されるものなど、1つ以上のベント135を任意選択的に含むことができる。ベント135は、エジェクタ導管106内の残りの印刷材料104からの排出される印刷材料104のネッキングオフが小滴形成中に起こることになるエジェクタノズル108内の位置に又はその近くになど、エジェクタノズル108内に又はその真上に位置付けることができる。ベント135は、印刷材料104がエジェクタノズル108から排出されるときに、空気又は他の周囲ガスが(矢印137によって示されるように)エジェクタ導管106内に及び/又はエジェクタノズル108内に流入することを可能にする。これは、排出される印刷材料104が、エジェクタ導管106内の残りの印刷材料104からより容易に分離され、及び/又はエジェクタノズル108からより容易に排出されることを可能にすることができる。1つ以上のベント135は、印刷材料104が排出されるときに周囲ガスがエジェクタノズル内に流入することを可能にする任意の様式で構成することができる。
図18A及び
図18Bは、ベント135がエジェクタノズル108の内側表面上の溝の形態をとる別の例を示す。任意の他の好適なベント構成が用いられ得る。一実施形態では、
図17、
図18A及び
図18Bにあるものなど、ベント135は、相当量の印刷材料がエジェクタ導管からベント135内に流出することが液体印刷材料104の表面張力によって不可能となるように十分に小さいが、周囲ガスが溝を通ってエジェクタノズル108内に流れることを可能にするのに十分に大きい寸法を有する。例えば、
図17のベント130の幅及び/若しくは長さ、又は円形のベント(図示せず)の場合の直径、又は
図18の溝幅は、液体印刷材料の浸透が低減又は排除されるようにエジェクタノズルの内径よりも10倍以上小さくすることができる。ベントは、当該技術分野において周知のエッチング技術又はレーザアブレーションによってなど、任意の好適な手段によって形成することができる。
【0126】
本開示は、任意の特定の小滴形成及び/又は分離モードに限定されることを意図するものではない。例えば、小滴は、エジェクタ導管106内の分離ゾーンでネッキングオフ及び分離することができるが、小滴がエジェクタ導管106の外側でネッキングオフ及び分離し、続いて、分離していない印刷材料104がエジェクタ導管106内に後退できることも可能である。したがって、小滴の噴射のモードは、エジェクタノズル108から自由空間内への溶融印刷材料104の電磁力駆動「押し出し」、その後の電流パルスが終了し、印刷材料104が収縮したときの押し出された印刷材料104の脱加速/後退を含むことができる。小滴を噴射及び/又は分離する他のモードも実現することができる。
【0127】
本明細書に記載のプリンタ噴射機構100は、印刷材料の噴射に適した任意のタイプのプリンタで用いることができる。プリンタ噴射機構100は、プリンタで使用するために別個に製造及び販売するか、又は代替的にプリンタの一部として、若しくはより大きなプリンタ構成要素の一部として一緒に製造することができる。一実施形態では、プリンタは、3D物体を印刷するために使用可能な三次元(「3D」)プリンタである。例示的な3Dプリンタ150のブロック図が
図19に示されている。3Dプリンタ150は、本明細書に記載のプリンタ噴射機構100のいずれかを含むことができる。一実施形態では、プリンタ噴射機構100は、エジェクタ導管のアレイ、又は本明細書に記載の他のエジェクタデバイスのいずれかを含むエジェクタデバイス101、並びに電流パルス生成システム114及び磁場源130を含むことができる。加えて、3Dプリンタは、印刷基材154に対するエジェクタデバイス101の相対位置を制御するための位置決めシステム152を含むことができる。「印刷基材に対するエジェクタデバイスの相対位置を制御する」という語句は、エジェクタデバイス及び印刷基材154の一方又は両方のいずれかが、印刷基材とのエジェクタデバイスの相対位置を変更するために移動させることができることを意味する。本明細書では、エジェクタデバイスが印刷基材に対して移動させられるものとして説明されているが、i)電流パルス生成システム及びii)磁場源の全部又は部分もまた、位置決めシステム152を使用して印刷基材に対して移動させることができることも理解されたい。印刷基材154とのエジェクタデバイスの相対位置は印刷中に修正され、その結果、印刷基材154が複数のエジェクタ導管から噴射可能な印刷材料104を受け取り、それによって3D物体を形成するように位置付けられる。位置決めシステム152は、印刷基材154を位置決めするための印刷基材ハンドリング機構156並びにエジェクタデバイス及び任意選択的に、電流パルス生成システム114の部分、又はそれへの電気接続部など、プリンタ噴射機構100の他の部品を位置決めするためのアレイ位置決め機構158の一方又は両方を含むことができる。印刷基材154は、三次元物体を印刷することが望ましい任意の基材を含むことができる。印刷基材154の例は、3Dプリンタ150の一部であるビルドプレート、又は印刷後に3D物体が取り外され得る他の一時的な基材である。別の例では、印刷基材154は、例えば、印刷基材154が、回路の部分が印刷されているプリント回路基板である場合など、印刷後に三次元物体に恒久的に取り付けられることが意図され得る。
【0128】
印刷基材ハンドリング機構156は、3Dプリンタ150の動作中にエジェクタデバイスから噴射可能な印刷材料を受け取るように印刷基材154を位置付けるのに適した任意の機構であり得る。一実施形態では、印刷基材ハンドリング機構156は、ビルドプレート又は他の基材などの印刷基材154をx軸、y軸、及び/又はz軸に沿った方向に、噴射された印刷材料の標的となる所望の位置まで移動させることによって、印刷基材154を位置決めする能力を有する。アレイ位置決め機構158は、エジェクタデバイスをx軸、y軸、及び/又はz軸のうちの1つ以上に沿った方向に、噴射された印刷材料104の標的となる所望の位置まで移動させるのに適した任意の機構であり得る。印刷基材ハンドリング機構156及びアレイ位置決め機構158のいずれか又は両方を含む、位置決めシステム152は、例えば、トラック182を含むシステムを使用して、印刷基材154及びエジェクタデバイスを互いに対して位置決めするためのムーバとして機能することができる1つ以上のアクチュエータ180(
図22)を含むことができる。好適なアクチュエータの例としては、電気モータ、圧電モータ、油圧アクチュエータ、及び空気圧アクチュエータが挙げられる。
図22は、そのような位置決めシステム152の例を示しており、印刷基材154を支持するためのアクチェータ付き(例えば、モータ付き)X-Yステージ184と、垂直位置決めを可能にするために1つ以上のアクチュエータ180を使用してプリンタ噴射機構100の全部又は部分100aを移動させることができる垂直トラックシステム186とを含む。プリンタ噴射機構100の部分100aは、エジェクタデバイス、電流パルス生成システムの全部又は一部、及び磁場源の全部又は一部を含む、垂直位置決めのための垂直トラックシステム186に取り付けられた本明細書に記載のプリンタ噴射機構100の構成要素のいずれかを含むことができる。フィーダ機構113は、垂直トラックシステム186に直接取り付けられないように(
図22に示されるように)位置付けることができ、又は他の実施形態では、垂直トラックシステム186に直接取り付けることができる。別の実施形態では、位置決めシステム152は、印刷基材154を三次元で支持及び位置決めするためのアクチュエータ付き(例えば、モータ付き)X-Y-Zステージを含み、プリンタ噴射機構100の部分100a(例えば、印刷ヘッド)の位置は固定されている。一般に、印刷ヘッドをそれに取り付けられたフィーダ及び支持要素と共に固定し、印刷基材154のみを3Dで移動させることがより容易である。しかしながら、相対運動のための任意の手段を使用することができる。
【0129】
上述のように、位置決めシステム152は、印刷基材ハンドリング機構156及びアレイ位置決め機構158の一方又は両方を含むことができる。一例として、印刷基材ハンドリング機構156は、印刷基材154をx軸及びy軸の両方に沿って移動させるために使用することができ、アレイ位置決め機構158は、エジェクタデバイス及び任意選択的にプリンタ噴射機構100全体又はその任意の部分をz軸に沿って移動させ、それによって、印刷基材154及びエジェクタデバイスを3Dプリンタの動作中に互いに対して三次元で位置決めすることを可能にするために使用することができる。一例として、この考察の目的のために、x軸及びz軸は、
図20の印刷動作に対して示されるとおりであり、y軸(図示せず)は、紙面の奥に向かう方向であり、x軸及びy軸は、印刷基材154の上面に平行であり、z軸は、印刷基材154の上面に垂直である。
【0130】
一実施形態では、印刷基材154は、ビルドプレートであり、任意選択的に、抵抗加熱要素、誘導加熱コイル、放射加熱ランプ若しくはレーザ、又はこれらの2つ以上の組み合わせなど、ビルドプレート内に又はそれに近接して位置付けられた、又は放射加熱ランプ若しくはレーザの場合は、放射エネルギーとのビルドプレートの衝突を可能にするように位置付けられた、ヒータ機構155を用いる。ヒータ機構155は、ビルドプレート及び/又はその上に印刷されている3D物体を所望の堆積温度に加熱するのに十分な熱エネルギーを提供することができる。ヒータ機構を有するビルドプレートを含む、好適なビルドプレートは、当該技術分野において周知である。
【0131】
本開示の一実施形態は、プリンタ噴射機構から印刷材料を噴射するための方法を対象とする。
図21の220に記載されるように、本方法は、基材102上に複数のエジェクタ導管106を含むエジェクタデバイスに、導電性である印刷材料104を供給することを含む(
図1及び
図2)。エジェクタ導管106は、印刷材料を受け入れるように構成された第1の端部106Aと、エジェクタノズル108を含む第2の端部106Bとを含む。一実施形態では、エジェクタノズル108は、例えば、約10マイクロメートル~約1000マイクロメートルの範囲の内側幅(例えば、直径)、又は本明細書に開示される他のエジェクタノズル幅のいずれかを有することができる。本明細書に記載の方法では、エジェクタノズル108は、本明細書でより詳細に論じられるように、印刷材料を通る電気パルスの形態の電流を供給するための電極110、112を含む。
【0132】
図21の222に示されるように、印刷材料104は、印刷材料104がエジェクタノズル108内に配置されるまで、アレイ107のエジェクタ導管106のうちの1つ以上(例えば、全て)で前進させられる。一例として、印刷材料104は、エジェクタノズル108を少なくとも部分的に充填する(例えば、完全に充填又は実質的に充填する)ために前進させることができる。
【0133】
一実施形態では、印刷材料104は、固体又は液体として供給され、次いで、液相としてエジェクタノズル108に前進させられる。例えば、印刷材料104は、固相又は液相の1つ以上のフィラメントの形態で、リザーバ140に又は複数のエジェクタ導管106に供給することができる。印刷材料104が固体として供給される場合、印刷材料は、エジェクタ導管を通ってエジェクタノズルにまで流される前に、例えば、本明細書に記載されるようなヒータ機構126を使用して、溶融まで加熱される。一例では、溶融は、印刷材料がリザーバ140に入る前に又はちょうど入るときに、リザーバ140内で起こることができる。溶融が起こると、液状の、すなわち、溶融した印刷材料104は、溶融温度以上に維持され、印刷材料をエジェクタノズル108まで流すことによって前進させられる。
【0134】
印刷材料の所望の供給速度は、各エジェクタノズル108に対して異なり得る。この供給速度は、印刷材料がエジェクタノズル108から排出されている速度に依存することができ、そしてこの排出速度は、各ノズルからの単位時間あたり排出数及び排出あたりの小滴サイズに依存する。
【0135】
印刷材料104は、任意の導電性材料であり得る。一例では、印刷材料は、少なくとも1種の金属を含む。この少なくとも1種の金属は、例えば、スズ、スズ合金、鉛、鉛合金(例えば、スズ及び鉛の一方又は両方を含むはんだ)、アルミニウム、アルミニウム合金(例えば、1000シリーズ、2000シリーズ、3000シリーズ、4000シリーズ、5000シリーズ、6061及び6063などの6000シリーズ、並びに7000シリーズのアルミニウム合金)、マグネシウム、マグネシウム合金、鉄、鉄合金(例えば、鋼)、銅、銅合金(例えば、亜鉛)、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀、及び銀合金から選択することができる。上記の金属の好適な合金は、上記の元素金属印刷材料のうちのいずれかの2種以上の混合物(例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄、銅、ニッケル、チタン、及び銀などのうちの2種以上の混合物)など、任意の所望の金属の混合物を含むことができる。一実施形態では、印刷材料104は、約95重量%~100重量%、又は98重量%~100重量%、又は99重量%~100重量%、又は99.5重量%~100重量%、又は99.8重量%~100重量%、又は99.9重量%~100重量%など、90重量%超の金属含有量を有する。
【0136】
一例では、印刷材料104は、20℃で約1×10-6オーム*m又は約1×10-7オーム*m~約x1×10-8オーム*mなど、20℃で1×10-5オーム*m未満の抵抗率を有する(例えば、室温(20℃)で導電性である)。一例では、印刷材料104は、固体形態、液体形態にある間、又は固体及び液体の両方の形態にある間、並びに溶融温度から300℃以内の温度である間、約1×10-6オーム*m~約x1×10-8オーム*mなど、1×10-5オーム*m未満の抵抗率を有する。印刷材料は、任意の所望の溶融温度を有することができる。例では、印刷材料は、約50℃~約3000℃、約100℃~約2000℃、約150℃~約1600℃、約500℃~約1200℃、約600℃~約1000℃の範囲の溶融温度を有する。
【0137】
図21の224に示されるように、磁場がエジェクタノズル108内に提供され、それによって、1つ以上のエジェクタ導管のエジェクタノズル内に配置された印刷材料104内にフラックス領域133(例えば、
図4B)を形成する。これは、例えば、本明細書に記載されるように、磁場源130によって供給される磁場にエジェクタノズル108の少なくとも一部を浸漬することによって達成することができる。一実施形態では、エジェクタノズル108は、プリンタ噴射機構100の動作全体を通して磁場に連続的に浸漬されたままである。別の実施形態では、磁場は、スイッチ(図示せず)を使用してフラックスガイド134を磁石132に接続及び接続解除することによって、又はフラックスガイド134と組み合わせて電磁石を磁石132として用い、電磁石をオン及びオフに切り替えることによってなど、必要に応じて、定期的にオン及びオフにする。この場合、磁場は、電流が電極110、112間でパルスされて電磁力を提供するとオンになるように制御される。
【0138】
図21の226に示されるように、方法は、1つ以上のエジェクタ導管のエジェクタノズル108内のフラックス領域133を通る電流を流し、それによって、エジェクタノズル108から、例えば、印刷基材102上に、印刷材料104の少なくとも一部を排出することを含む。電流を流すことは、例えば、本明細書の電流パルス生成システムのいずれかなど、電流パルス生成システム114を用いて、第1の電極110と第2の電極112との間に電流パルスを送信することを含むことができる。
【0139】
電流iが、エジェクタノズル108内の電極110、112間の導電性印刷材料4を通って磁場Bの方向に実質的に垂直な方向にパルスされると、電流が流れる導電性印刷材料104上にローレンツ力が生成される。一般的に言えば、ローレンツ力、ひいてはエジェクタノズル108から排出される印刷材料の排出力、すなわち運動量は、フラックス領域内の電流i及び磁束密度Bの外積に比例する。
【0140】
排出された印刷材料の所望の運動量を達成するために使用される電流パルスの電流量(例えば、パルス振幅)及び長さは、印刷材料のタイプ、フラックス領域内の磁束密度、及び排出されている印刷材料の量といったものに依存し、当業者によって容易に決定されることができる。排出のための運動量を提供することに加えて、より短い電流パルス長はまた、潜在的に、より速い排出速度(例えば、同じエジェクタノズルからの1秒あたりの印刷材料の排出数の増加)を可能にすることができる。
【0141】
エジェクタ導管106内で小滴を残りの印刷材料104から分離するために電極110及び112が用いられる実施形態では、電極110と112との間の電流の方向は、排出電流が導電性印刷材料104を通してパルスされて液体印刷材料104の一部をエジェクタノズル108から強制的に排出した直後に反転させることができる。電流の方向を反転させることは、ノズル108内に残っている印刷材料104の一部に対するローレンツ力を反転させ、それによって、液体印刷材料のカラムの一部を印刷ノズル108内に引き戻す。これは、液滴が印刷材料の残りのカラムからより容易に分離されるように、液滴が形成される液体印刷材料のネッキングオフポイントでの力を増加させるのに役立ち得る。代替の実施形態では、導電性印刷材料104を通る電流パルスを流して液体をエジェクタノズル108から押し出した直後に、電流の流れは停止される。この実施形態では、電流の初期パルスは、電極110と112との間の電流の流れの方向を反転させることなく印刷材料104の所望の液滴形成及び排出を提供するのに十分である。
【0142】
電流の単一のパルスを使用して印刷材料104の排出を達成しているが、同じ又は複数の電極対のいずれかから、電流の2つ以上のパルスを使用して排出を達成することも、有用であり得る。例えば、単一のより長いパルスとは対照的に、2つ、3つ、又はそれより多い数の高速パルスを用いて、印刷材料の所望の排出を達成することができる。一般に、流体の流れ及び排出を最適化するために、任意の所望のパルス波形を任意選択的に選択することができる。
【0143】
液滴サイズは、オンデマンドで個別に選択することができる。一実施形態では、液滴サイズは、各パルスの電流パルスエネルギーを変化させる(例えば、電流パルスのパルス長及び/又は振幅を変化させる)ことによって変化させることができる。別の実施形態では、液滴体積を変化させるために、複数のアドレス指定可能な電極対(
図16Bに示されるものと同様であり、各電極が独立して駆動される)を用いることができる。したがって、動作中、電流生成システムは、エジェクタノズル108内の第1の数の電極対(例えば、
図16Bの電極対110aと112a、110bと112b、及び110cと112cのうちの1つ以上)の間に電気パルスを送信して第1の小滴体積を排出し、続いて第2の数の電極対の間に電気パルスを送信して、第1の小滴体積とは異なる第2の小滴体積を排出するために使用することができ、第1の数の電極対は、第2の数の電極対とは異なる。したがって、このプロセスでは、第1の排出で排出された印刷材料の液滴サイズは、第2の排出で排出された印刷材料の液滴サイズとは異なるであろう。
【0144】
排出あたりの小滴サイズは、印刷される物体における詳細部の所望のサイズ、印刷材料の特定の特性(例えば、熱伝達特性及び熱膨張特性)、印刷材料に提供される電流パルスの特性、及びノズルサイズなどを含む、様々な要因に基づいて選択することができる。小滴は、一般に、エジェクタノズル108の内径と同程度に小さな直径サイズを有し得るが、より長い長さの印刷材料(例えば、液体フィラメント)が単一の排出中に排出される場合、著しくより大きな直径を潜在的に有し得る。一実施形態では、単一の排出(例えば、単一のパルスを使用する)で排出される印刷材料の長さは、印刷材料が噴射されるたびに印刷ノズル108の内側幅(例えば、直径)の約1倍~約10倍である。
【0145】
一実施形態では、エジェクタ導管106は、エジェクタノズルの上流に位置付けられた第2の電極対(例えば、
図4Aの電極144、145)を更に含む。フラックス領域133は、印刷材料の流れを制御するための第2の電極対の電極間にローレンツ力などの電磁力が生成されることが可能になるように、第2の電極対に近接する通路の再装填領域170内に配置された印刷材料104まで延びている。一実施形態では、通路106C内の印刷材料104を前進させることは、第2の電極対を通る電流を流し、それによって、再装填領域170内に配置された印刷材料104の再装填部分を第2の電極対の上流に位置付けられた印刷材料104の残りの部分から分離し、印刷材料の再装填部分をエジェクタノズル内に更に流すことを含む。このようにして、排出のための所望の量の印刷材料をエジェクタノズル108に送ることができる。
【0146】
一実施形態では、エジェクタ導管106は、第2の電極対(電極144、145)の上流に位置付けられた第3の電極対(
図2及び
図4Aの電極146、147)を更に含む。フラックス領域133は、印刷材料の流れを制御するための第2の電極対の電極間に電磁力(例えば、ローレンツ力)が生成されることが可能になるように、第3の電極対に近接して配置された印刷材料104まで延びている。一実施形態では、第2の電極対が、上述のように、エジェクタノズル108を再装填するために用いられる場合、印刷材料104を前進させることは、第3の電極対(146、147)を通る電流を流して、それによって、第2の電極対(144、145)の上流に位置付けられた印刷材料を再装填領域170内に流すことを含むことができる。これは、第2の電極対(144、145)が印刷材料の再装填部分を再装填領域170から押し出してノズル108を再充填するのと同時に、又はその後に起こり得る。
【0147】
一実施形態では、印刷材料を前進させることは、第3の電極対(146、147)を通る電流を流して、それによって、第2の電極対(144、145)の上流に位置付けられた印刷材料104の部分に、i)流れを停止することか、又はii)再装填領域170(
図4A)から離れる方向に流れることのいずれかを引き起こすことを含むことができる。これは、第2の電極対(144、145)が電磁力(例えば、ローレンツ力)を生成して、再装填領域内の印刷材料をエジェクタノズル108内に押し込むのと同時に起こり得る。第3の電極対(146、147)が再装填領域170の上流の印刷材料の流れを停止又は反転させるのと同時に第2の電極対を使用して材料をノズル108内に押し込むことにより、印刷材料の再装填部分を印刷材料の残りの上流部分から分離することができる。更に、第2及び第3の電極対に対する電流パルス振幅及び/又は電流パルス長を制御することによって、印刷材料の測定された体積を再装填部分として分離し、エジェクタノズル108内の第1の電極対(110、112)に運ぶことができる。そこでは、オンデマンドで、印刷材料を所望の速度に加速し、排出することができる。
【0148】
印刷材料104の排出後、追加の印刷材料104を前進させてエジェクタノズル又はノズル108を再充填することができ、次いで、追加の印刷材料を排出するために電流パルスが繰り返される。i)印刷材料を前進させてノズル108を再充填し(例えば、追加の電極対を使用してローレンツ力を生成することによって、及び/又は静水圧若しくは他の方法を用いて印刷材料を流すことによって)、ii)エジェクタノズル108内の電極110、112に電流パルスを提供して印刷材料を排出する、このプロセスは、印刷が完了するまでアレイ内のエジェクタノズル108の各々に対して必要に応じて任意の回数繰り返すことができ、それによって、2D又は3D物体を形成する。印刷中、印刷材料104の排出は、特定の印刷プロセスが実施されることを達成するために、必要に応じて、一度にアレイ内の単一のエジェクタノズル108のみから、2つ以上のエジェクタノズル108から同時に、及び/又はアレイ内のエジェクタノズル108の全てから同時に起こることができる。
【0149】
一実施形態では、印刷材料の少なくとも一部を排出することは、エジェクタノズルに近接してシースガスを流すことを含み、シースガスは、不活性ガス及び還元ガスの一方又は両方を含む。シースガスを用いる例が、
図1及び
図20の矢印210によって示されている。シースガス流は、例えば、アレイ107及び/又はエジェクタハウジング120内など、プリンタ噴射機構100内に又はそれに近接して位置付けられたシースガスベント212を通してシースガスを流すことによってなど、任意の好適な様式で達成することができる。一実施形態では、シースガスは、堆積前に印刷材料を冷却することを避けるために、所望の温度に維持される。例えば、シースガス温度は、印刷材料の融点以上であり得る。このようにして、印刷材料は、必要に応じて、基材上への堆積が起こるまで溶融状態に維持することができる。一実施形態では、シースガスは、小滴が排出されるときに小滴とほぼ同じ速度で、かつ小滴とほぼ同じ方向に移動することができる。
【0150】
磁場は、本明細書に記載の磁場源のいずれかを含む、任意の好適な供給源によって提供することができる。一実施形態では、磁場源は永久磁石を含む。この方法は、磁場強度の大きな減少を回避するために、永久磁石を冷却して磁石の温度をキュリー温度未満にするか、又は提案された動作温度の範囲内にすることを含むことができる。例えば、磁石は、約0℃~約160℃の範囲の温度など、200℃未満の温度に維持されるように冷却することができる。磁石の冷却は、本明細書に記載されるように、フラックスガイド134の有無に関係なく用いられる磁石132に対して起こり得る。磁石に近接して冷却流体を循環させることによって(例えば、磁石を取り囲む空間を冷却するように位置付けられた導管(図示せず)を通して冷却流体を流すことによって、又は磁石の表面を横切って冷却流体を流すことによって、又は磁石若しくはフラックスガイドの内部を通して冷却剤を流すこと)など、任意の好適な冷却技術を用いることができる。冷却流体は、ポンプ、ファン、送風機及び/又は圧縮機などの任意の好適な機械的システムを使用して循環させて、磁石を冷却することができる。一実施形態では、磁石を冷却する代わりに、又はそれに加えて、フラックスガイドを所望の動作温度範囲に冷却することができる。磁石を冷却するために本明細書に列挙された技術及び/又は冷却システムのいずれも、フラックスガイドを冷却するために用いることができる。
【0151】
次に、別個の印刷材料を混合し、混合された印刷材料を排出して、例えば、金属合金を形成するための方法について説明する。この方法は、例えば、
図12~
図15に示されように、かつ本明細書に記載されるように、エジェクタ導管306を含むエジェクタデバイス300を用いる。本明細書の他のエジェクタデバイスに対して説明したように、アレイの場合、複数のエジェクタ導管を使用することができる。一実施形態では、方法は、導電性である第1の印刷材料104A(
図14)を、エジェクタ導管306の第1の端部306Aを導管合流部306Dに流体接続する第1の通路306C(
図12)に供給することを含む。第1の端部は、一例として、リザーバ140(
図1)からなど、フィーダ機構から第1の印刷材料を受け入れるように構成されている。方法は、導電性である第2の印刷材料104B(
図14)を、エジェクタ導管306の第2の端部306Bを導管合流部306Dに流体接続する第2の通路306Eに供給することを更に含む。第2の端部306Bは、第2の印刷材料104Bを受け入れるように構成されている。
【0152】
第1の印刷材料104A及び第2の印刷材料104Bは、流れが合流し、混合が起こる、導管合流部306Dに流れ、それぞれの電流パルスを使用して、各材料の所望の量を共通の受容導管合流部306D内に押し込む。第1の印刷材料104Aの第1の量及び第2の印刷材料104Bの第2の量が混合されて、第3の混合された印刷材料104Cを提供する。次いで、電磁力(例えば、ローレンツ力)が生成されて、混合された印刷材料104Cの小滴をエジェクタノズル108から、例えば、印刷基材上に排出する。印刷材料を流し、混合し、電磁力を発生させるプロセスが繰り返されて、印刷材料の追加の小滴を排出し、印刷基材上に三次元物体を形成する。
【0153】
他のエジェクタノズルに対して本明細書に記載されるように、エジェクタノズル108は、第1の電極対を形成する第1の電極110及び第2の電極112を含む。電磁力を発生させることは、フラックス領域133を提供することと(例えば、
図14の点線で示されるように)、フラックス領域133内で第1の電極110と第2の電極112との間に電流パルスを流すことと、を含む。
【0154】
一実施形態では、エジェクタ導管106は、第1の通路306Cに位置付けられた第2の電極対(例えば、電極308及び310)及び第2の通路306Eに位置付けられた第3の電極対(例えば、電極312及び314)を更に含む。フラックス領域133は、第2の電極対に近接して第1の通路306Cの第1の再装填領域170A(
図12)に配置された印刷材料104まで、及び第3の電極対に近接して第2の通路306Eの第2の再装填領域170Bまで延びることができる。導管合流部306Dに流れる第1の印刷材料104Aの第1の量は、第1の電流パルスを有する電流を、第2の電極対を通して流すことによって制御することができる。同様に、導管合流部306Dに流れる第2の印刷材料104Bの第2の量は、第2の電流パルスを有する電流を、第3の電極対を通して流すことによって制御することができる。
【0155】
一実施形態では、第1の印刷材料104Aの第1の量を制御することは、第1の通路306C内に配置された第1の印刷材料104Aの第1の量を、第2の電極対(308、310)の上流に位置付けられた印刷材料の残りの部分から分離することを更に含む。同様に、第2の印刷材料104Bの第2の量を制御することは、第2の通路306E内に配置された第2の印刷材料104Bの第2の量を、第3の電極対(312、314)の上流に位置付けられた第2の印刷材料104Bの残りの部分から分離することを含む。印刷材料104A、104Bの第1の量及び第2の量の分離は、印刷材料を混合する前に起こることができる。
【0156】
一実施形態では、エジェクタ導管106は、第2の電極対(例えば、電極308、310)の上流に位置付けられた第4の電極対(例えば、電極310、316)を更に含む。第5の電極対(例えば、電極314、320)が、第3の電極対(例えば、電極312、314)の上流に位置付けられている。フラックス領域133は、例えば、
図14に示されるように、第4及び第5の電極対に近接して配置された印刷材料104まで延びている。
【0157】
第4の電極対(310、316)及び第5の電極対(314、320)は、通路306C及び306E内の印刷材料の部分の流れをそれぞれ制御するために用いることができる。例えば、フィーダ機構113(例えば、リザーバ140)から第2の電極対(308、310)及び/若しくは第3の電極対(312 314)までの印刷材料の流れを独立して制御するために、並びに/又は
図4Aの第2の電極対(144、145)及び第3の電極対(146、147)に対して本明細書に説明したのと同様に、第2の電極対(308、310)及び第3の電極対(312、314)と組み合わせて用いられるときに、印刷材料104A、104Bの量を独立して制御し、及び/若しくは再装填部分を分離するために。例えば、方法は、i)印刷材料を再装填領域170Aに流すこと、ii)印刷材料を流すことを停止すること、又はiii)再装填部分の上流に残っている第1の印刷材料104Aからの再装填部分の分離中に印刷材料を再装填領域170Aから離れる方向に流すことのいずれかのために、第3の電流パルスを有する電流を、第4の電極対(310、316)を通して流して、それによって、第2の電極対(308、310)の上流に位置付けられた第1の印刷材料の部分の流れを制御することと、i)印刷材料を再装填領域170Bに流すこと、ii)印刷材料を流すことを停止すること、又はiii)再装填部分の上流に残っている第2の印刷材料104Bからの再装填部分の分離中に印刷材料を再装填領域170Bから離れる方向に流すことのいずれかのために、第4の電流パルスを有する電流を、第5の電極対(314、320)を通して流して、それによって、第3の電極対(312、314)の上流に位置付けられた第2の印刷材料の流れを制御することと、を含むことができる。
【0158】
第2の電極対(例えば、308、310)に流れる第1の電流パルスは、第1のパルス振幅及び第1のパルス長を有することができる。第3の電極対(例えば、312、314)に流れる第2の電流パルスは、第2のパルス振幅及び第2のパルス長を有することができる。第4の電極対(例えば、310、316)に流れる第3の電流パルスは、第3のパルス振幅及び第3のパルス長を有することができる。第5の電極対(例えば、314、320)に流れる第4の電流パルスは、第4のパルス振幅及び第4のパルス長を有することができる。第1、第2、第3、及び第4のパルス振幅の各々、並びに第1、第2、第3、及び第4のパルス長の各々は、他の電極対に送信されるパルス振幅及びパルス長さと同じであるか、又は異なるように、独立して選択することができる(例えば、第1の電流パルスの振幅及び/又は長さは、第2、第3、及び/又は第4の電流パルスの振幅及び/又は長さと同じであっても異なっていてもよい)。第2、第3、第4、及び第5の電極対に対して電流パルスの振幅及びパルス長を選択することによって、再装填領域170A及び170B内の再装填部分として分離される各印刷材料104A及び104Bの量を独立して制御することができる。このようにして、異なる量の各印刷材料104A及び104Bを混合し、排出して、任意の所望の比の印刷材料を含む合金を得ることができる。更に、傾斜金属濃度及び/又は様々な異なる合金濃度を有する合金構造を印刷することができる。必要に応じて、第1の印刷材料104A又は第2の印刷材料104Bのみを含む小滴を排出することも可能であろう。したがって、排出された材料の第1の小滴は、印刷材料104A、印刷材料104B、又は印刷材料104A及び104Bの混合物であり得、同じエジェクタ導管306から排出された第2の小滴は、印刷材料104A、印刷材料104B、又は印刷材料104A及び104Bの混合物であり得、第1の小滴中の印刷材料104A及び104Bの濃度は、第2の小滴内のものと異なる。
【0159】
印刷材料104A及び104Bは各々、両方の印刷材料が所望の動作温度で溶融する限り、本明細書で教示される印刷材料のうちのいずれかから独立して選択することができる。一実施形態では、第1の印刷材料は第1の金属であり、第2の印刷材料は第2の金属であり、第1の金属及び第2の金属は異なる。例として、第1の金属及び第2の金属の両方は、スズ、スズ合金、鉛、鉛合金(例えば、スズ及び鉛の一方又は両方を含むはんだ)、アルミニウム、アルミニウム合金(例えば、1000シリーズ、2000シリーズ、3000シリーズ、4000シリーズ、5000シリーズ、6061及び6063などの6000シリーズ、並びに7000シリーズのアルミニウム合金)、マグネシウム、マグネシウム合金、鉄、鉄合金(例えば、鋼)、銅、銅合金(例えば、亜鉛)、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀、及び銀合金から独立して選択することができる。結果として生じる、印刷される混合された印刷材料104C(
図14)(本明細書では第3の印刷材料と呼ばれることもある)は、第1の金属及び第2の金属の合金である。
【0160】
本開示の方法のいずれかにおいて、プリンタ噴射機構は、印刷材料104のほぼ溶融温度であるか、又はそれより高い、エジェクタノズル温度で動作することができる。例えば、ノズル温度は、約50℃~約3000℃の範囲であり得、多くの金属の場合、約500℃~約2000℃、約600℃~約1500℃、又は約600℃~約1000℃など、約500℃超となる。耐火性材料を含む印刷材料104の場合、ノズル温度は、例えば、約1200℃~約3000℃、又は約1400℃~約2500℃、又は約1700℃~約2500℃、又は約2000℃~約2500℃など、約1000℃~約3000℃の範囲であり得る。
【0161】
本開示の方法のいずれかにおいて、印刷材料104は、小滴の形態の液体としてエジェクタノズル108から排出される。小滴は、任意選択的に、比較的小さい液滴サイズを有することができ、これは、細かい詳細部の印刷を可能にすることができる。例として、小滴径は、約0.001mm~約0.2mm、約0.005mm~約0.1mm、約0.01mm~約0.05mmの範囲であり得る。約0.5mm、約1mm、又は約2mm以上の小滴など、より大きな直径を有する小滴もまた、必要に応じて潜在的に形成され得る。一実施形態では、小滴径は、90マイクロメートル、80マイクロメートル、又は70マイクロメートル以下など、100マイクロメートル(0.1mm)以下である。
【0162】
本開示の方法は、所望に応じて、任意の数のエジェクタ導管106から印刷材料104を同時に又は別々に堆積させるために用いることができる。この方法はまた、アレイ内の潜在的に多数のエジェクタ導管106及び各エジェクタ導管106からの潜在的に高い排出速度により、依然として比較的高い全体的な堆積速度を提供しながら、任意の1つのエジェクタノズル108からの少量の材料の堆積を可能にすることができる。
【0163】
本明細書に記載の印刷材料を噴射するためのプリンタ噴射機構は、様々な印刷方法で用いることができる。例えば、印刷材料104(
図1)がエジェクタノズル108から排出され、ビルドプレートなどの印刷基材154(
図19及び
図20)上に堆積される三次元印刷の方法において、本明細書に記載のプリンタ噴射機構のうちのいずれかを用いることができる。印刷基材154及びエジェクタノズル108のアレイ107の一方又は両方は、印刷中に三次元で(例えば、x軸、y軸、及びz軸に沿った方向に)互いに対して任意の好適な様式で移動し、それによって3D物体を形成することができる。当該技術分野において周知であるように、3D印刷は、材料の複数の小滴又は層を印刷することを含み、各小滴又は層は、3D物体の所望の厚さが実現されるまで、互いに積み重ねることができる。
図20は、印刷基材154上に3D物体202を印刷するために小滴200を同時に排出する複数のエジェクタ導管106を含むプリンタ噴射機構100の例を示す。3D物体202が完成するまで、小滴200の多数の層204が、1つの層又は液滴の単位で次々と堆積され得る。当業者によって容易に理解されるように、小滴及び/又は層は、例えば、第1の下地層204が、後続の層を始める前に完成してもしなくてもよく、かつ材料堆積の順序に対する認識可能な層パターンがあってもなくてもよいように、任意の所望の順序で積み重ねることができる。むしろ、小滴、層、及び/又は層の部分は、3D物体を完成させるために任意の所望の順序で積み重ねることができる。
【0164】
本開示の実施形態は、本明細書に記載されるように、エジェクタ導管のアレイなど、1つ以上のエジェクタ導管を含むエジェクタデバイスを作製する方法を対象とする。方法は、本明細書に記載の基材のうちのいずれかなど、基材を提供することを含む。本明細書に記載されるようなエジェクタ導管のいずれかが、基材上に形成される。これは、基材上に1つ以上の(例えば、複数の)電極対を形成することを含むことができ、電極対の各々は、第1の電極及び第2の電極を含む。1つ以上(例えば、複数の)開放通路が、印刷材料を流すために形成される。開放通路の各々は、印刷材料を受け取るための第1の端部及び印刷材料を排出するための第2の端部を有する。本明細書に記載されるように、少なくとも1つの電極対の第1の電極及び第2の電極が、開放通路の第2の端部内に露出して、エジェクタノズルを形成する。
【0165】
図23A~
図23Cは、本開示の一実施形態による、エジェクタデバイスを形成する方法を示す。一実施形態では、エジェクタデバイスはMEMSである。
図23Aを参照すると、基材402が提供されている。基材は、本明細書に記載の基材材料のうちのいずれかを含むことができる。一実施形態では、基材は絶縁材料を含む。複数の電極対404が、例えば、基材上に導電層をブランケット堆積させ、導電層をパターニングして、複数の電極対404の各々に対する第1の電極404A及び第2の電極404Bのパターニングされた導電層403を形成することによって形成される。任意の好適なフォトリソグラフィ技術を用いて導電層をパターニングすることができる。あるいは、電極対404は、基材上の所望の電極パターンに選択的に堆積させることができる。パターニングされた導電層は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、又は電極として使用するために本明細書で教示される他の金属のいずれかなど、第1の金属を含む。
【0166】
任意選択的に、第1の電極404A及び第2の電極404Bは、パッシベーション層405を更に含むことができる。パッシベーション層405は、第1の金属とは異なり、かつ噴射される印刷材料(例えば、溶融金属)との化学反応に耐性がある、第2の耐食性金属を含むことができる。パッシベーション層405は、電気めっき又は他の堆積技術などの任意の好適な方法によって形成することができる。例えば、鉄を電極対に電気めっきして、パッシベーション層を提供することができる。そのようなパッシベーション層は、本明細書に記載の電極(例えば、電極110、112、144、145、146、147、504A、504B、604A、604B、及び他の電極)のいずれかに任意選択的に適用することができる。
【0167】
一実施形態では、第1の電極404A及び第2の電極404Bはそれぞれ、幅W1及び高さH1を有し、幅は高さよりも大きい。あるいは、高さは幅よりも大きくてもよい。W1及びH1は、パッシベーション層405が形成された場合はそれを含む、電極の全ての導電層を含む。
【0168】
図23Bを参照すると、第1の側壁406Aが第1の電極404A上に形成され、第2の側壁406Bが第2の電極404B上に形成されて、複数の通路106Cを形成する。第1の電極404A及び第2の電極404Bは、通路106Cの側壁部分も形成するように、基材402の上方に隆起している。
【0169】
一実施形態では、複数の開放通路106Cの側壁406A及び406Bを形成することは、複数の電極対上に側壁層406を堆積させることを含む。側壁層406は、ブランケット堆積され、次いでフォトリソグラフィ技術によってパターニングされて、側壁層406内に複数のチャネルを形成することができ、チャネルは、第1の電極404Aに近接する第1の側壁406A及び第2の電極404Bに近接する第2の側壁406Bを含む。第1の側壁406Aと第2の側壁406Bとの間の距離は、開放通路の幅を決定する。周知の技術を使用して、ヒータ機構126を側壁層406及び/又は基材402に任意選択的に埋め込むことができる。本明細書に開示されるヒータ機構126のいずれかを用いることができる。例えば、側壁層406は、2つのより薄い積み重ねられた絶縁層として堆積させることができ、積み重ねられた絶縁層の間に導電性加熱要素を形成して、それによって、導電性加熱要素を側壁層406に埋め込むことができる。周知の堆積技術、フォトリソグラフィ技術、及びエッチング技術など、任意の好適な技術を用いて導電性加熱要素を形成することができる。
【0170】
一実施形態では、
図23A~
図23Cのエジェクタ導管は、プリント回路基板(「PCB」)製造技術を使用して作製することができる。PCB技術は、そのようなアレイを製造するための拡張可能で比較的安価なアプローチである。例えば、基材402は、ポリイミド、又は他の繊維を含まないPCB基材など、可撓性の絶縁基材を含むことができる。電極404A、404Bのためのパターニングされた導電層403は、銅又はアルミニウムなど、PCB基材に適した比較的低い温度で堆積させることができる金属を含む。パッシベーション層405は、例えば、噴射される印刷材料と動作温度で化学的に相互作用しないか、又は噴射される印刷材料との動作温度での化学相互作用に耐性がある鉄又は他の金属のフラッシュで銅又はアルミニウムを電気めっきすることによって、任意選択的に適用される。側壁406A、406Bを作製するための側壁層406は、例えば、堆積され、フォトリソグラフィパターニングされたはんだマスクであり得る。可撓性基材402は、例えば、製造プロセス中の任意の時点で、繊維強化材料(例えば、FR4)を含む基材などのキャリア基材408に積層することができる。
【0171】
一実施形態では、
図23A~
図23Cの比較的広くて薄い電極404A、404Bは、側壁層406の絶縁性側壁406A、406Bによって閉じ込められた溶融金属を担持する。側壁層406は、側壁層143に対して上述した絶縁材料のいずれかなど、本明細書に記載の絶縁材料のいずれか又は絶縁材料の組み合わせを含む、任意の好適な絶縁材料を含むことができる。絶縁材料は、本明細書で論じられるように、閉じ込め効果及び/又は毛細管効果を提供するように、印刷材料との所望の接触角を有するように任意選択的に選択することができる。必要に応じて、電極404A及び404Bの一部又は全部は、当該技術分野において一般に周知であるように、多層PCBスタック(図示せず)内の副層を介してルーティングすることができる。
【0172】
本開示のエジェクタデバイスを作製する方法の別の例を
図24A~
図24Cに示す。一実施形態では、エジェクタデバイスはMEMSである。この方法は、基材502内の複数のトレンチ500をエッチングすることを含む。基材502は、半導体(例えば、シリコンなど、化合物半導体又はIV族半導体)、ガラス及びセラミックなどの絶縁材料、又はそれらの組み合わせから選択される材料など、本明細書に記載の任意の好適な基材材料を含むことができる。印刷材料104が300℃未満などの低い融点を有する場合、ポリマー基材(例えば、FR4又はポリイミド)などのより低い温度の基材を使用することも可能である。一実施形態では、基材は、
図25Aに示されるように、シリコンオンインシュレータ(「SOI」)基材の埋め込み絶縁層608などの埋め込み絶縁層を含む。
【0173】
トレンチ500は、任意の好適な方法によって形成することができる。例示的な方法は、フォトリソグラフィを用いて基材をパターニングし、その後、例えば、乾式反応性イオンエッチング(「DRIE」)又は湿式エッチング技術を使用して、基材をエッチングすることを含む。SOIサブ状態が用いられる場合、埋め込み絶縁層は、任意選択的にエッチング停止として機能することができ、トレンチの底部を形成するか、又は除去されるかのいずれかを行うことができる。
【0174】
トレンチ500は、複数の電極対504の各々に対して電極504A及び504Bを形成するために導電性材料で充填される。導電性材料は、電極として使用する本明細書に記載の金属のうちのいずれかなど、金属を含む。一実施形態では、電極504A及び504Bはそれぞれ、幅W2及び高さH2を有し、幅は高さよりも小さい。より狭く、より厚い電極は、エジェクタのより高い線形密度を可能にすることができる。金属は、任意の好適な技術を使用してトレンチ内に堆積させることができる。例として、電気めっきを含むダマシンプロセスを使用してトレンチを銅で充填すること、又は化学気相堆積(「CVD」)によって金属層を堆積させ、続いて化学機械的平坦化(「CMP」)を行うことが挙げられる。
【0175】
図24Cを参照すると、第1の側壁506Aが第1の電極504Aに近接して形成され、第2の側壁506Bが第2の電極504Bに近接して形成されて、複数の通路を形成する。一実施形態では、複数の開放通路の第1の側壁506A及び第2の側壁506Bを形成することは、複数の電極対504上に側壁層506を堆積させることを含む。側壁層は、ブランケット堆積され、次いでフォトリソグラフィ技術によってパターニングされて、側壁層506内に複数のチャネルを形成することができ、チャネルは、第1の電極504Aに近接する第1の側壁506A及び第2の電極504Bに近接する第2の側壁506Bを含む。チャネルの第1の側壁506Aと第2の側壁506Bとの間の距離は、開放通路106Cの幅を決定する。本明細書で教示されるヒータ機構のいずれかなど、ヒータ機構は、
図23Cのエジェクタデバイスに対して本明細書に記載されるものと同様に、側壁506A、506Bを含む絶縁性側壁層又は基材502に埋め込むことができる。
【0176】
側壁層の絶縁材料は、耐火性及び電気絶縁性であるように選択される。側壁層506は、側壁層143に対して上述した材料のいずれかなど、本明細書に記載の絶縁材料のいずれか又は絶縁材料の組み合わせを含む、任意の好適な絶縁材料を含むことができる。絶縁材料は、本明細書で論じられるように、閉じ込め効果及び/又は毛細管効果を提供するように、印刷材料との所望の接触角を有するように任意選択的に選択することができる。
【0177】
図25A~
図25Eは、本開示のエジェクタデバイスを形成するための更に別の方法を示す。一実施形態では、エジェクタデバイスはMEMSである。
図25A~
図25Cに示されるように、トレンチ600は、基材602内に形成される。トレンチは金属で充填されて、第1の電極604A及び第2の電極604Bを含む複数の電極対を形成する。基材602、トレンチ600を形成するための方法及び電極対604を形成する方法は、レールの上に乗っている金属ではなく、金属レール内で印刷材料を保持するように電極が構成されていることを除いて、
図24A及び
図24Bに関して上述したのと同じであり得る。これは、例えば、約1/1~約30/1、約2/1~約25/1、又は約10/1~約20/1の範囲のアスペクト比など、比較的高いアスペクト比を有するようにトレンチ600を形成することによって達成することができる。高アスペクト比のトレンチ600は、その後に形成された電極対604が、依然として低電極直列抵抗を可能にしながら、比較的高い側壁604Cを形成することを可能にすることができる。
【0178】
一例では、トレンチ600は、トレンチの所望の深さに対応する上部Si層603の厚さを有するシリコンオンインシュレータ基材を使用して形成される。例示的な厚さは、約10マイクロメートル~約1000マイクロメートル、約25マイクロメートル~約500マイクロメートル、又は約50マイクロメートルの範囲である。トレンチは、例えば、フォトリソグラフィ技術を使用してパターニングされ、次いでDRIEを使用してエッチングされて、所望の比較的高いアスペクト比の側壁を有することができる。エッチングは、埋め込み酸化物層608で停止することができる。次いで、電極604A、604Bを、例えば、金属の電気めっき、その後の化学機械的平坦化(CMP)によってトレンチ内に形成することができる。そのようなパターニング、エッチング、電気めっき、及びCMP方法はまた、任意選択的に、多層電極構成(図示せず)のためのビアを形成するためにデュアルダマシンプロセスで用いることができる。多層メタライズ構造は一般に周知であり、本開示の電極を形成するために、当業者によって容易に用いることができる。
【0179】
電極604A及び604Bの形成に続いて、電極対間の基材602のシリコン部分は、
図25Dに示されるように、任意の好適なプロセスによって除去されて、開放通路106Cを形成する。除去プロセスは、基材602の除去されるシリコン領域のみを露出させるためにフォトリソグラフィ技術を使用して基材をパターニングすることを含むことができ、その後に、シリコン領域を除去するためのDRIE又は湿式エッチングプロセスなどのエッチングプロセスが続く。埋め込み絶縁体層608は、任意選択的に、このエッチングプロセス中にエッチング停止として機能することができる。任意選択的に、電極間のシリコン部分を除去する前に、側壁層143が堆積される。側壁層143は、本明細書に記載の絶縁材料のいずれか、又は絶縁材料の組み合わせなど、任意の好適な絶縁材料を含むことができる。側壁層143は、シリコン領域を除去するために用いられるものと同じ又は異なるプロセスを使用してパターニングすることができる。
【0180】
任意選択的に、埋め込み絶縁体層608の部分もまた、除去されて、
図25Eに示されるように、通路106Cの一部としてギャップ612を形成することができる。この埋め込まれた酸化物は、任意選択的に、電極604A及び604Bの下にわずかにエッチングされ得、それによって、
図25Eに示されるように、電極が下地酸化物層からわずかに突き出ている。埋め込み絶縁体層608の部分は、当該技術分野において周知であるように、例えば、選択的酸化物エッチング(例えば、緩衝酸化物エッチング)など、任意の好適なエッチングプロセスを使用して除去することができる。任意選択的に、埋め込み絶縁体層608をトレンチ600の底部から除去することは、液体金属が電極604Aと604Bとの間に、並びにレール148及び149の他の部分の間に懸架されることをより良好に可能にすることができる。
【0181】
本明細書に開示されるエジェクタ導管は、開放チャネル構造として製造及び使用することができる。例えば、本明細書に記載されるように、
図23A~
図23C、
図24A~
図24C、及び
図25A~
図25Eのプロセスによって作製されたエジェクタ導管106は、通路の長さに沿って雰囲気に開放された少なくとも1つの側面を有する開放チャネルデバイスを作製するために用いることができる。あるいは、エジェクタ導管は、以下でより詳細に論じられるように、2つの開放チャネル構造を互いに対面に取り付けることによって(例えば、
図11に示されるように)閉鎖チャネルを含むことができる。取り付けることは、例えば、任意のタイプの締結具を使用して互いに接着する、締める、又は留めることなど、任意の好適な技術によって達成することができる。更に別の実施形態では、閉鎖チャネルデバイスは、単一の開放チャネルアレイ構造に、例えば、セラミック、ガラス、又は他の絶縁材料を含むプレートでふたをすることによって形成することができる。例えば、底部アレイ107は、上部アレイ107を使用せずに、
図11に示されるようにインターポーザ層250でふたをすることができる。「閉鎖チャネル」という用語は、通路106Cの長さに沿って全ての側面で囲まれているが、例えば、第1の端部106A及び第2の端部106Bにおいて、印刷材料104を受け取ること及び排出することを可能にするように開放されたままである、通路106Cを指す。
図11は、そのような閉鎖チャネル構成の例を示す。
【0182】
一実施形態では、エジェクタ導管の閉鎖チャネルアレイを形成するための方法は、第1の複数の開放通路106Cを含むエジェクタ導管の第1のアレイ107を形成することと、第2の複数の開放通路106Cを含むエジェクタ導管の第2のアレイ107を形成することとを含む。第1のアレイ及び第2のアレイは、そのようなアレイを作製するための本明細書に記載の方法のうちのいずれかによって形成することができる。開放エジェクタ導管を有するそのようなアレイ107の例が、
図3、
図9、及び
図10、並びに
図12及び
図13のエジェクタ導管に示されている。この方法は、エジェクタ導管の第1のアレイ107をエジェクタ導管の第2のアレイ107に取り付けることを更に含み、それによって、第1の複数の開放通路を囲んで、囲まれた第1の通路106C-1(
図11)を形成し、第2の複数の開放通路を囲んで、囲まれた第2の通路106C-2を形成する。
図11にも示されるように、エジェクタ導管の第1及び第2のアレイは、互いに対面するように配向され、その結果、第1の囲まれた通路106C-1は、第2の囲まれた通路106C-2に近接する。この方法は、任意選択的に、エジェクタ導管の第1のアレイ107とエジェクタ導管の第2のアレイ107との間にインターポーザ層250を含めることを含む。
【0183】
一実施形態では、アレイの取り付けは、取り付けプロセスが実行された後に、エジェクタ導管の第1のアレイをエジェクタ導管の第2のアレイから容易に取り外すことを可能にする取り外し可能な締結具252を用いることを含むことができる。取り外し可能な締結具の例としては、ねじ又はクランプが挙げられ、これらは、インターポーザ層250の有無にかかわらず、第1のアレイ及び第2のアレイが互いに締結されるときに、必要に応じて位置合わせされることを可能にする位置合わせピン又は他のリソグラフィ相補的パターニングされた特徴部と共に任意選択的に用いられ得る。この構成は、改善される可能性がある流れに対して導管内の印刷材料を加圧する能力を含む、3D毛細管挙動の利点を達成する。同時に、この構成は、閉鎖アレイ構成が第1の開放アレイ及び第2の開放アレイに分解されると、容易な洗浄性など、開放チャネルアーキテクチャの利点を可能にする。あるいは、開放チャネルアーキテクチャの利点が所望されない場合、そのような3D構成は、第1のアレイを第2のアレイに恒久的に接合することなどによって、モノリシック構造として製造することができる。
【0184】
開放チャネルエジェクタ導管又は閉鎖チャネルエジェクタ導管のいずれかを作製する方法のいずれかなど、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載のエジェクタ導管のいずれかを作製するために用いることができる。例えば、これらの方法は、単一の電極対を有する本明細書に記載のエジェクタ導管106のいずれか、並びに2種以上の印刷材料を混合するために使用されるエジェクタ導管を含む、2~5個の電極対を有するエジェクタ導管を作製するために使用することができる。
【0185】
本開示のエジェクタデバイスは、一般に、エジェクタ導管のアレイを含むものとして説明されてきたが、本明細書に記載のエジェクタデバイスのいずれも、単一のエジェクタ導管又は複数のエジェクタ導管を含むことができることが企図される。更に、本明細書に記載のエジェクタデバイスを作製する方法のいずれも、単一のエジェクタ導管又は複数のエジェクタ導管のいずれかを基材上に含むエジェクタデバイスを作製するために適用することができる。同様に、単一のエジェクタ導管のみを含むエジェクタデバイスは、本明細書に記載のプリンタ若しくはプリンタ噴射機構のいずれにおいても用いることができ、及び/又は本明細書に記載の印刷材料を印刷する方法若しくはそれを排出する方法のいずれにおいても用いることができる。
【0186】
以下の実施例は、単に例示的なものであり、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものでも、限定することを意味するものでもない。
理論実施例
【0187】
実施例1:ローレンツ力を使用した溶融金属排出:溶融金属(例えば、溶融アルミニウム)が、耐火管(例えば、融合シリカ)内に供給される。耐火管は、その端部に位置付けられた2つのタングステン電極を含む。電極は、管の端部に近接する溶融金属を通して電流を流すように、電流源に接続され、管内に位置付けられている。動作温度範囲内に冷却された永久磁石が、耐火管の端部に近接して位置付けられて、管の端部近くに磁束領域を提供する。このフラックス領域における磁石によって提供される磁場の強度は、約0.8テスラである。溶融金属の少なくとも一部は、シリカ管の端部に近接して位置付けられている(例えば、溶融金属のメニスカスがシリカ管の端部に位置付けられるように)。電流源を使用して、単一の電流パルスを、磁束領域内にあるシリカ管の0.0001メートルの端部部分を通って流し、それによって、溶融金属にローレンツ力を印加する。溶融金属の自由メニスカスは、管内で軸方向に加速する。表1に示すように、管内での溶融金属の加速度は、液体から溶融金属の小滴を分離させ、その小滴を管から排出するのに要するエネルギーを上回るエネルギーに相当し、したがって、溶融金属の小滴が管から噴射される。
【0188】
【0189】
本開示の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは近似値であるが、特定の実施例に記載する数値は、可能な限り正確に報告する。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの試験測定において見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。更に、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に含まれる任意及び全てのサブ範囲を包含すると理解されるべきである。
【0190】
本教示は1つ以上の実装形態に関して示されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例示された実施例に対して変更及び/又は修正を行うことができる。加えて、本教示の特定の特徴がいくつかの実装形態のうちの1つにのみ関して開示されていることがあり得るが、そのような特徴は、任意の所与の機能又は特定の機能のために所望されかつ有利であり得るものとして、他の実装形態の1つ以上の他の特徴と組み合わされ得る。更に、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語、又はそれらの変形が発明を実施するための形態及び特許請求の範囲のいずれかで使用される限りにおいて、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語と同様の方法で包括的であることが意図されている。更に、本明細書における考察及び特許請求の範囲内の「約」という用語は、変更が示された実装形態へのプロセス又は構造の非適合性をもたらさない限り、列挙された値が幾分変更され得ることを示す。最後に、「例示的な」は、説明が理想的であることを示唆するのではなく、例として使用されていることを示す。
【0191】
上記で開示されたものの変形、並びに他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることは、理解されるであろう。様々な現在予期されていない、又は先行例のない代替物、修正、変形、若しくは改善が、以後に当業者によってなされ得、それらも以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。