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  • 特開-有機材料組成物及びその応用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048144
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】有機材料組成物及びその応用
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/00 20230101AFI20230330BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20230330BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20230330BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20230330BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20230330BHJP
   C07D 209/82 20060101ALI20230330BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
H05B33/14 B
C09K11/06 690
C07D403/04
C07D405/14
C07D403/14
C07D209/82
C07D495/04 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151882
(22)【出願日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】202111128530.0
(32)【優先日】2021-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519217559
【氏名又は名称】寧波盧米藍新材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】李 祥智
(72)【発明者】
【氏名】蔡 ▲イェ▼
(72)【発明者】
【氏名】魏 定緯
(72)【発明者】
【氏名】陳 志▲寛▼
【テーマコード(参考)】
3K107
4C063
4C071
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD68
3K107DD69
3K107FF14
4C063AA01
4C063AA03
4C063CC42
4C063CC43
4C063CC76
4C063DD08
4C063DD31
4C063DD42
4C063DD43
4C063EE10
4C071AA01
4C071AA08
4C071BB01
4C071CC01
4C071CC21
4C071DD02
4C071EE13
4C071FF03
4C071GG01
4C071JJ01
4C071LL05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】有機エレクトロルミネッセンスの技術分野に属し、有機材料組成物及びその応用を提供する。
【解決手段】有機材料組成物は、式1に示す構造の化合物の少なくとも1種と、式2に示す構造の化合物の少なくとも1種とを含み、有機機能層材料となる場合、デバイスは低駆動電圧、高電流効率及び長耐用年数を有する。


【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1に示す構造の化合物の少なくとも1種と、式2に示す構造の化合物の少なくとも1種とを含み、
ここで、Rは水素、重水素、ハロゲン基、シアノ基、置換もしくは無置換のC1~C30のアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、及び置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリール基から選ばれ、
が-LArであり、Rが-LArであり、Rが-LArであり、Rが-LArであり、
~Lは、それぞれ独立に、結合手、置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基、及び置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリーレン基から選ばれ、
Ar~Arは、それぞれ独立に、水素、重水素、ハロゲン基、シアノ基、及び置換もしくは無置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれ、
Ar10は、置換もしくは無置換のC6~C60のアリール基、及び置換もしくは無置換のC3~C60のヘテロアリールから選ばれ、
10は、結合手、置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基、及び置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリーレン基から選ばれ、
10~R17は、それぞれ独立に、水素、重水素、ハロゲン基、シアノ基、置換もしくは無置換のC1~C30のアルキル基、1つ又は複数のメチレン基がO原子及び/又はS原子が隣り合わないようにそれぞれ-O-及び/又は-S-で置換されたC1~C30のアルキル基、置換もしくは無置換のC2~C30のアルケニル基、1つ又は複数のメチレン基がO原子及び/又はS原子が隣り合わないようにそれぞれ-O-及び/又は-S-で置換されたC2~C3のアルケニル基、置換もしくは無置換のC7~C30のアラルキル基、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のC4~C30ヘテロアリールアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のシクロアルケニル基、置換もしくは無置換のC1~C30のアルコキシ基、及び置換もしくは無置換のC6~C30アリールオキシ基から選ばれ、
10~R17は、それぞれ独立に存在し、又は隣接する2~4個が結合して環Aを形成し、前記環Aが置換もしくは無置換のC6~C30の芳香環又は置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロ芳香環である有機材料組成物。
【請求項2】
式1において、Ar~Arの少なくとも1つは、式aに示す基から選ばれ、
はN及びCRX1から、XはN及びCRX2から、XはN及びCRX3から、XはN及びCRX4から、XはN及びCRX5から選ばれ、
X1~RX5は、それぞれ独立に、水素、重水素、シアノ基、置換もしくは無置換のC1~C30のアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、及び置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリール基から選ばれ、RX1~RX5は、それぞれ独立に存在し、又は隣接する両者が結合して環Aを形成し、前記環Aがベンゼン環であることを特徴とする請求項1に記載の有機材料組成物。
【請求項3】
前記RX1~RX5は、それぞれ独立に、水素、重水素、ハロゲン基、置換もしくは無置換の、フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、フェニルナフチル基、ナフチルフェニル基、ピリジル基、ビピリジル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、カルバゾリルフェニル基、フェニルカルバゾリル基、ジメチルフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、スピロ-ビフルオレニル基、ジベンゾフリルフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、ジメチルフルオレニルフェニル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾナフトフリル基及びベンゾナフトチオフェニル基から選ばれることを特徴とする請求項2に記載の有機材料組成物。
【請求項4】
式1に示す構造の化合物は、
という化合物から選ばれ、
ここで、Dは重水素を表すことを特徴とする請求項1に記載の有機材料組成物。
【請求項5】
式2に示す構造の化合物は、
のうちいずれかの構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機材料組成物。
【請求項6】
式2に示す化合物において、R10~R17は、隣接する両者が
と縮合され、黒点にある結合は縮合結合であり、
Yは、O、S、CRY5Y6、及びNRから選ばれ、Rは-LY7Y7であり、
Y1、RY2、RY3、RY4は、それぞれ独立に、水素、重水素、ハロゲン基、シアノ基、置換もしくは無置換のC1~C30のアルキル基、1つ又は複数のメチレン基がO原子及び/又はS原子が隣り合わないようにそれぞれ-O-及び/又は-S-で置換されたC1~C30のアルキル基、置換もしくは無置換のC7~C30のアラルキル基、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のC4~C30ヘテロアリールアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のシクロアルケニル基、置換もしくは無置換のC1~C30のアルコキシ基、及び置換もしくは無置換のC6~C30アリールオキシ基から選ばれ、RY1、RY2、RY3、Rは、それぞれ独立に存在し、又は隣接する両者が結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成し、
Y5、RY6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のC1~C30のアルキル基、及び置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基から選ばれ、
Y7は、置換もしくは無置換のC1~C30のアルキル基、置換もしくは無置換のC7~C30のアラルキル基、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のC4~C30のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロ環アルキル基、及び置換もしくは無置換のC6~C30のアリールオキシ基から選ばれ、
Y7は、結合手、置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基、及び置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリーレン基から選ばれることを特徴とする請求項5に記載の有機材料組成物。
【請求項7】
式2に示す構造の化合物は、
のうちのいずれかの構造を有する化合物であり、
Yは、O、S、CRY5Y6、及びNRから選ばれ、Rは-LY7Y7であり、
Ar10及びRY7は、それぞれ独立に、置換もしく無置換の、フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、トリフェニレニレン基、ナフチル基、フェニルナフチル基、ナフチルフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンゾフェナントリル基、ピリジル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、フェニルカルバゾリル基、ピリジルカルバゾリル基、ナフチルカルバゾリル基、ビフェニルカルバゾリル基、ジベンゾフリルフェニル基、ジベンゾチオフェニルフェニル基、ジメチルフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、スピロ-ビフルオレニル基、ベンゾナフトフリル基、ベンゾナフトチオフェニル基、ベンゾカルバゾリル基及びジベンゾカルバゾリル基から選ばれ、
10~R17、RY1-RY4は、それぞれ独立に、水素、重水素、フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、ナフチル基、フェニルナフチル基、ナフチルフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンゾフェナントリル基、ピリジル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチオフェニル基、ジベンゾフリルフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、ジメチルフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、スピロ-ビフルオレニル基、ベンゾナフトフリル基、ベンゾナフトチオフェニル基から選ばれ、R10-R17、RY1-RY4は、それぞれ独立に存在し、又は隣接する両者が結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成し、
Y5及びRY6は、それぞれ独立に、メチル基、及びフェニル基から選ばれ、又はRY5、RY6は結合してフルオレン環基を形成し、
10及びLY7は、それぞれ独立に、結合手、フェニレン、ビフェニレン、及びナフチレンから選ばれることを特徴とする請求項6に記載の有機材料組成物。
【請求項8】
式2に示す構造の化合物は、
という化合物から選ばれ、
前記有機材料組成物における式1に示す構造の化合物と式2に示す構造の化合物との重量比は1:9~9:1であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の有機材料組成物。
【請求項9】
前記式1に示す構造の化合物と式2に示す構造の化合物との重量比が4:6~6:4であることを特徴とする請求項8に記載の有機材料組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の有機材料組成物を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス材料。
【請求項11】
光学デバイスの製造における請求項1に記載の有機材料組成物の応用。
【請求項12】
陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられ、請求項1に記載の有機材料組成物を含む有機層とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイスを備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機エレクトロルミネッセンスの技術分野に属し、有機材料組成物及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイの需要増加により、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)が注目されている。有機OLED素子の有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子ブロック層、発光層(ホスト材料とドーパント材料を含む)、電子緩衝層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などを含むことができる。有機層に用いられる材料は、その機能に応じて、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子ブロック材料、発光材料、電子緩衝材料、置換もしくは無置換のC6~C30の芳香環又は置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロ芳香環である材料、電子輸送材料、電子注入材料などに分類することができる。有機OLED素子では、電圧を印加することにより、陽極からの正孔と陰極からの電子が発光層に注入され、正孔と電子の再結合により高エネルギーの励起子が生成する。有機発光化合物は、エネルギーにより励起状態に移行し、励起状態からグラウンド・ステートに戻る際のエネルギーにより発光する。
【0003】
OLED発光性能の最も重要な要素は発光材料であり、発光材料は、高量子効率、高電子移動度及び高正孔移動度を有する必要があり、且つ発光材料は均一で、安定である必要がある。したがって、当分野では、発光材料の開発は極めて重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の欠陥に対し、本発明は有機材料組成物及びその応用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用する。
【0006】
一方面において、本発明は、式1に示す構造の化合物の少なくとも1種と、式2に示す構造の化合物の少なくとも1種とを含み、
ここで、Rは水素、重水素、ハロゲン基、シアノ基、置換もしくは無置換のC1~C30のアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、及び置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリール基から選ばれ、
が-LArであり、Rが-LArであり、Rが-LArであり、Rが-LArであり、
~Lは、それぞれ独立に、結合手、置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基(arylene group)、及び置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリーレン基(heteroarylene group)から選ばれ、
Ar~Arは、それぞれ独立に、水素、重水素、ハロゲン基、シアノ基、及び置換もしくは無置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれ、
Ar10は、置換もしくは無置換のC6~C60のアリール基、及び置換もしくは無置換のC3~C60のヘテロアリールから選ばれ、
10は、結合手、置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基、及び置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリーレン基から選ばれ、
10~R17は、それぞれ独立に、水素、重水素、ハロゲン基、シアノ基、置換もしくは無置換のC1~C30のアルキル基、1つ又は複数のメチレン基がO原子及び/又はS原子が隣り合わないようにそれぞれ-O-及び/又は-S-で置換されたC1~C30のアルキル基、置換もしくは無置換のC2~C30のアルケニル基、1つ又は複数のメチレン基がO原子及び/又はS原子が隣り合わないようにそれぞれ-O-及び/又は-S-で置換されたC2~C3のアルケニル基、置換もしくは無置換のC7~C30のアラルキル基(arylalkyl group)、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のC4~C30ヘテロアリールアルキル基(heteroarylalkyl group)、置換もしくは無置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のシクロアルケニル基、置換もしくは無置換のC1~C30のアルコキシ基、及び置換もしくは無置換のC6~C30アリールオキシ基から選ばれ、
10~R17は、それぞれ独立に存在し、又は隣接する2~4個が結合して環Aを形成し、前記環Aが置換もしくは無置換のC6~C30の芳香環又は置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロ芳香環である有機材料組成物を提供する。
【0007】
好ましくは、式1において、Ar~Arの少なくとも1つは、式aに示す基から選ばれ、
はN及びCRX1から、XはN及びCRX2から、XはN及びCRX3から、XはN及びCRX4から、XはN及びCRX5から選ばれ、
X1~RX5は、それぞれ独立に、水素、重水素、シアノ基、置換もしくは無置換のC1~C30のアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、及び置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリール基から選ばれ、RX1~RX5は、それぞれ独立に存在し、又は隣接する両者が結合して環Bを形成し、前記環Bがベンゼン環であり、
好ましくは、XはNであり、XはNであり、XはCRX3であり、XはCRX4であり、XはCRX5であり、
好ましくは、XはNであり、XはNであり、XはCRX2であり、XはCRX4であり、XはCRX5であり、
好ましくは、XはNであり、XはNであり、XはNであり、XはCRX4であり、XはCRX5であり、
好ましくは、前記式aに示す基は、
から選ばれ、RX5は上記限定と同様であり、ここで説明を省略し、
好ましくは、前記式aに示す基は
から選ばれ、RX2は上記限定と同様であり、ここで説明を省略する。
【0008】
好ましくは、式1において、前記RX1~RX5は、それぞれ独立に、水素、重水素、及び置換もしくは無置換の、フェニル基、ビフェニル基(biphenylyl group)、テルフェニリル基(terphenylyl group)、ナフチル基、フェナントリル基(phenanthryl gorup)、アントリル基(anthryl gorup)、フェニルナフチル基(phenylnaphthyl group)、ナフチルフェニル基(naphthylphenyl group)、ピリジル基(pyridyl group)、ビピリジル基(bipyridyl)、ジベンゾフリル基(dibenzofuryl group)、ジベンゾチオフェニル基(dibenzothiophenyl group)、カルバゾリル基(carbazolyl group)、カルバゾリルフェニル基(carbazolylphenyl group)、フェニルカルバゾリル基(phenylcarbazolyl group)、ジメチルフルオレニル基(dimethylfluorenyl group)、ジフェニルフルオレニル基(diphenylfluorenyl group)、スピロ-ビフルオレニル基(spiro-bifluorenyl group)、ジベンゾフリルフェニル基(dibenzofurylphenyl group)、ジベンゾチオフェニルフェニル基(dibenzothiophenylphenyl group)、ジメチルフルオレニルフェニル基(dimethylfluorenylphenyl group)、ベンゾカルバゾリル基(benzocarbazolyl group)、ベンゾナフトフリル基(benzonaphthofuryl group)、ベンゾナフトチオフェニル基(benzonaphthothiophenyl group)から選ばれる。
【0009】
好ましくは、式1において、前記R、R、R及びRのうち少なくとも1つは水素であり、
好ましくは、前記R、R、R及びRのうち少なくとも2つは水素であり、
好ましくは、前記R、R、R及びRのうち3つは水素であり、
好ましくは、前記Rは-LArであり、R、R及びRはいずれも水素であり、
好ましくは、前記Rは-LArであり、R、R及びRはいずれも水素であり、
好ましくは、前記Rは置換もしくは無置換の、フェニル基及びビフェニリル基から選ばれ、
好ましくは、L~Lは、それぞれ独立に、結合手、並びに置換もしくは無置換の、フェニレン基(phenylene group)、ナフチレン基(naphthylene group)、ビフェニレン基(biphenylene group)及びトリフェニレニレン基(terphenylene group)から選ばれる。
【0010】
好ましくは、式1に示す構造の化合物は、
という化合物から選ばれ、
ここで、Dは重水素を表す。
【0011】
好ましくは、式2において、前記環Aは置換もしくは無置換のベンゼン環であり、
好ましくは、式2に示す構造の化合物は、
のうちいずれかの構造を有する化合物である。
【0012】
好ましくは、前記環Aは、置換もしくは無置換のインデン環(indene ring)、インドール環(indole ring)、ベンゾフラン環(benzofuran ring)、ナフトフラン環(naphthofuran ring)、ベンゾチオフェン環(benzothiophene ring)、ナフトチオフェン環(naphthothiophene ring)、ベンゾインドール環(benzindole ring)、又はナフトインドール環(naphthindole ring)であり、
好ましくは、R10~R17は、隣接する両者が
と縮合され、黒点にある結合は縮合結合であり、
Yは、O、S、CRY5Y6、及びNRから選ばれ、Rは-LY7Y7であり、
Y1、RY2、RY3、及びRY4は、それぞれ独立に、水素、重水素、ハロゲン基、シアノ基、置換もしくは無置換のC1~C30のアルキル基、1つ又は複数のメチレン基がO原子及び/又はS原子が隣り合わないようにそれぞれ-O-及び/又は-S-で置換されたC1~C30のアルキル基、置換もしくは無置換のC7~C30のアラルキル基、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のC4~C30ヘテロアリールアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のシクロアルケニル基、置換もしくは無置換のC1~C30のアルコキシ基、及び置換もしくは無置換のC6~C30アリールオキシ基から選ばれ、
Y1、RY2、RY3、及びRY4は、それぞれ独立に存在し、又は隣接する両者が結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成し、
Y5及びRY6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のC1~C30のアルキル基、及び置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基から選ばれ、
Y7は、置換もしくは無置換のC1~C30のアルキル基、置換もしくは無置換のC7~C30のアラルキル基、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のC4~C30のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロ環アルキル基、及び置換もしくは無置換のC6~C30のアリールオキシ基から選ばれ、
Y7は、結合手、置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基、及び置換もしくは無置換のC3~C30のヘテロアリーレン基から選ばれ、
好ましくは、式2に示す構造の化合物は、
のうちのいずれかの構造を有する化合物である。
【0013】
好ましくは、Ar10及びRY7は、それぞれ独立に、置換もしく無置換の、フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、トリフェニレニレン基(triphenylenylene group)、ナフチル基、フェニルナフチル基、ナフチルフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンゾフェナントリル基(benzophenanthryl gorup)、ピリジル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、フェニルカルバゾリル基(phenylcarbazolyl group)、ピリジルカルバゾリル基(pyridylcarbazolyl group)、ナフチルカルバゾリル基(naphthylcarbazolyl group)、ビフェニルカルバゾリル基(biphenylylcarbazolyl group)、ジベンゾフリルフェニル基(dibenzofurylphenyl group)、ジベンゾチオフェニルフェニル基(dibenzothiophenylphenyl group)、ジメチルフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、スピロ-ビフルオレニル基、ベンゾナフトフリル基(benzonaphthofuryl group)、ベンゾナフトチオフェニル基(benzonaphthothiophenyl group)、ベンゾカルバゾリル基及びジベンゾカルバゾリル基(dibenzocarbazolyl group)から選ばれ、
好ましくは、R10~R17及びRY1-RY4は、それぞれ独立に、水素、重水素、フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、ナフチル基、フェニルナフチル基、ナフチルフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンゾフェナントリル基、ピリジル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチオフェニル基、ジベンゾフリルフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、ジメチルフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、スピロ-ビフルオレニル基、ベンゾナフトフリル基、ベンゾナフトチオフェニル基から選ばれ、R10~R17及びRY1~RY4は、それぞれ独立に存在し、又は隣接する両者が結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成し、
好ましくは、RY5及びRY6は、それぞれ独立に、メチル基、及びフェニル基から選ばれ、又はRY5、RY6は結合してフルオレン環基を形成し、
好ましくは、L10及びLY7は、それぞれ独立に、結合手、フェニレン、ビフェニレン、及びナフチレンから選ばれ、
好ましくは、
は、置換もしくは無置換の、
から選ばれ、
ここで、波線は、基の結合部位を表す。
【0014】
本発明において、上記のように、基には置換基がある場合、前記置換基は、それぞれ独立に、重水素、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、無置換又はR’置換のC1~C4の直鎖又は分岐のアルキル基、無置換又はR’置換のC6~C20のアリール基、無置換又はR’置換のC3~C20のヘテロアリール基、及び無置換又はR’置換のC6~C20のアリールアミン基から選ばれ、R’は重水素、ハロゲン基、シアノ基又はニトロ基から選ばれる。
【0015】
好ましくは、前記アリール基は、フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンゾフェナントリル基、ナフチルフェニル基、ジメチルフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基又はスピロ-ビフルオレニル基から選ばれ、
好ましくは、前記ヘテロアリール基は、ピリジル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、フェニルカルバゾリル基、ピリジルカルバゾリル基、ナフチルカルバゾリル基、ビフェニルカルバゾリル基、ジベンゾフリルフェニル基、ジベンゾチオフェニルフェニル基、ベンゾナフトフリル基、ベンゾナフトチオフェニル基、ベンゾカルバゾリル基及びジベンゾカルバゾリル基から選ばれ、
好ましくは、前記アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、tert-ブチル基、シクロヘキサン基、及びアダマンチル基(adamantyl)から選ばれる。
【0016】
好ましくは、式2に示す構造の化合物は、
という化合物から選ばれる。
【0017】
好ましくは、前記有機材料組成物における式1に示す構造の化合物と式2に示す構造の化合物との重量比は1:9~9:1であり、例えば、1:9、2:8、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3、8:2、9:1などであり、2:8~8:2が好ましく、3:7~7:3がより好ましく、4:6~6:4がさらに好ましい。
【0018】
本発明に用いられるように、用語「有機エレクトロルミネッセンス材料」とは、有機エレクトロルミネッセンス素子に使用可能であるとともに少なくとも1種の化合物を含むことができる材料をいう。有機エレクトロルミネッセンス材料は、必要に応じて、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する任意の層に含まれることができる。有機エレクトロルミネッセンス材料としては、例えば、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子ブロック材料、発光補助材料、発光層材料(ホスト材料とドーパント材料を含む)、電子緩衝材料、正孔ブロック材料、電子輸送材料、電子注入材料などであってもよい。
【0019】
本発明に用いられるように、用語「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含むことができる。
【0020】
本発明に用いられるように、用語「C1~C30のアルキル基」とは、1~30の炭素原子を有する直鎖又は分岐の飽和炭化水素から誘導される1価の置換基を指し、その実例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基又はヘキシル基を含むが、これらに限定されない。
【0021】
本発明に用いられるように、用語「C3~C30のシクロアルキル」とは、1~30の環主鎖炭素原子を有する単環式炭化水素又は多環式炭化水素から誘導されるものを指し、前記シクロアルカンは、シクロプロピル基、シクロブチル基、アダマンチル基などを含むことができる。
【0022】
本発明におけるアリール基、アリーレン基には、単環、多環又は縮合環のアリール基が含まれ、前記環の間は短い非芳香族単位で中断されることができ、そしてスピロ構造を含むことができる。本発明におけるアリール基、アリーレン基は、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオレニル基、又はスピロジフルオレニル基などを含むが、それらに限定されない。
【0023】
本発明におけるヘテロアリール基、ヘテロアリーレン基は、単環、多環又は縮合環のヘテロアリール基を含み、前記環の間は短い非芳香族単位で中断されることができ、前記ヘテロ原子は窒素、酸素、又は硫黄を含む。本発明におけるヘテロアリール基、ヘテロアリーレン基は、フリル基(furyl group)、チオフェニル基(thiophenyl group)、ピロリル基(pyrrolyl group)、イミダゾリル基(imidazolyl group)、ピラゾリル基(pyrazolyl group)、チアゾリル基(thiazolyl group)、チアジアゾリル基(thiadiazolyl group)、イソチアゾリル基(isothiazolyl group)、イソオキサゾリル基(isoxazolyl group)、オキサゾリル基(oxazolyl group)、オキサジゾリル基(oxadizolyl group)、トリアジニル基(triazinyl group)、テトラジニル基(tetrazinyl group)、トリアゾリル基(triazolyl group)、テトラゾリル基(tetrazolyl group)、フラザニル基(furazanyl group)、ピリジル基(pyridyl group)、ピラジニル基(pyrazinyl group)、ピリミジニル基(pyrimidinyl group)、ピリダジニル基(pyridazinyl group)、ベンゾフリル基(benzofuryl group)、ベンゾチオフェニル基(benzothiophenyl group)、イソベンゾフリル基(isobenzofuryl group)、ジベンゾフリル基(dibenzofuryl group)、ジベンゾチオフェニル基(dibenzothiophenyl group)、ベンゾイミダゾリル基(benzimidazolyl group)、ベンゾチアゾリル基(benzothiazolyl group)、ベンゾイソチアゾリル基(benzisothiazolyl group)、ベンゾイソオキサゾリル基(benzisoxazolyl group)、ベンゾオキサゾリル基(benzoxazolyl group)、イソインドリル基(isoindolyl group)、インドリル基(indolyl group)、インダゾリル基(indazolyl group)、ベンゾチアジアゾリル基(benzothiadiazolyl group)、キノリル基(quinolyl group)、イソキノリル基(isoquinolyl group)、シンノリニル基(cinnolinyl group)、キナゾリニル基(quinazolinyl group)、キノキサリニル基(quinoxalinyl group)、カルバゾリル基(carbazolyl group)、フェノキサジニル基(phenoxazinyl group)、フェノチアジニル基(phenothiazinyl group)、フェナントリジニル基(phenanthridinyl group)、1,3-ベンゾジオキソリル基(1,3-benzodioxolyl group)、ジヒドロアクリジニル基(dihydroacridinyl group)、又はその誘導体などを含むが、それらに限定されない。
【0024】
好ましくは、前記アリール基は、フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、9,9’-ジメチルフルオレニル基、9,9’-ジフェニルフルオレニル基又はスピロ-ビフルオレニル基から選ばれる。
【0025】
好ましくは、前記ヘテロアリール基は、ジベンゾフリル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、トリアジニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ナフチミダゾリル基(naphthimidazolyl group)、ナフトキサゾリル基(naphthoxazolyl group)、ナフトチアゾリル基(naphthothiazolyl group)、フェナントリミダゾリル基(phenanthrimidazolyl group)、フェナントロキサゾリル基(phenanthroxazolyl group)、フェナントロチアゾリル基(phenanthrothiazolyl group)、キノキサリニル、キナゾリニル、インドロカルバゾリル基(indolocarbazolyl group)、インドロフルオレニル基(indolofluorenyl group)、ベンゾチエノピラジニル基(benzothienopyrazinyl group)、ベンゾチエノピリミジニル基(benzothienopyrimidinyl group)、ベンゾフロピラジニル基(benzofuropyrazinyl group)、ベンゾフロピリミジニル基(benzofuropyrimidinyl group)、インドロピラジニル基(indolopyrazinyl group)、インドロピリミジニル基(indolopyrimidinyl group)、インデノピラジニル基(indenopyrazinyl group)、インデノピリミジニル基(indenopyrimidinyl group)、スピロ[フルオレン-9,1’-インデン]-ピラジニル基(spiro[fluorene-9,1’-indene]-pyrazinyl group)、スピロ[フルオレン-9,1’-インデン]-ピリミジニル基(spiro[fluorene-9,1’-indene]-pyrimidinyl group)、ベンゾフロカルバゾリル基(benzofurocarbazolyl)及びベンゾチエノカルバゾリル基(benzothienocarbazolyl)から選ばれる。
【0026】
本発明に用いられるように、用語「C6~C30アリールオキシ基」とは、ZO-で示される1価の置換基を指し、Zは6~30の炭素原子を有するアリール基を表す。このようなアリールオキシ基の実例としては、フェノキシ基、ナフトキシ基(naphthoxy)、又はジフェノキシ基(diphenoxy)などを含むが、これらに限られない。
【0027】
本発明に用いられるように、用語「C1~C30のアルコキシ基」とは、Z’O-で示される1価の置換基を指し、Z’は1~30の炭素原子を有するアルキル基を表す。
【0028】
本発明に用いられるように、用語「置換の」とは、化合物における水素原子が別の置換基で置換されていることを意味する。この位置は、その水素が置換基により置換され得る位置であれば、特に限定されない。2つ以上の置換基が存在する場合、2つ以上の置換基は同一でも異なってもよい。
【0029】
本発明に用いられるように、特に説明しない限り、水素原子はプロチウム、重水素又はトリチウムを含む。
【0030】
本発明において、「隣接する2つの基が結合して環を形成する」とは、同一環又は隣接する環における隣接する位置にある2つの置換基が化学結合を介して互いに結合して環を形成できることを意味し、本発明は、具体的な環の結合形成態様について限定しておらず(例えば、単結合で結合、ベンゼン環で結合、ナフタレン環で結合、
で縮合、
で縮合、
で縮合、
で縮合、
で縮合され、ここで、
は縮合位置を表す)、下記には、同じ内容が言及びされる場合、同じ意味を有する。
【0031】
本発明において、炭素原子の数の範囲は基の定義に限定されており、その炭素原子の数は、限定された範囲内の任意の整数であり、例えば、C6~C60のアリール基の場合、アリール基を表す炭素原子の数は、6~60に含まれる範囲内の任意の整数であってもよく、例えば6、8、10、15、20、30、35、40、45、50、55、又は60などである。
【0032】
本発明において、各位置で置換された有機化合物は、次の合成経路により調製され、
5’’は塩素であり、R5’
であり、Xはハロゲンであり、好ましくは塩素又は臭素であり、
6’’は塩素であり、R6’
であり、Xはハロゲンであり、好ましくは塩素又は臭素であり、
7’’は塩素であり、R7’
であり、Xはハロゲンであり、好ましくは塩素又は臭素であり、
8’’は塩素であり、R8’
であり、Xはハロゲンであり、好ましくは塩素又は臭素である。
【0033】
もう一方面において、本発明は、上記有機材料組成物を含む有機エレクトロルミネッセンス材料を提供する。
【0034】
またもう一方面において、本発明は光学デバイス製造における上記のような有機材料組成物又は有機エレクトロルミネッセンス材料の応用を提供する。
【0035】
好ましくは、前記光学デバイスは有機エレクトロルミネッセンスデバイス、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機集積回路、有機太陽電池、有機フィールドクェンチングデバイス、発光電気化学電池、有機レーザーダイオード又は有機感光体のいずれかを含む。
【0036】
またもう一方面において、本発明は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられ、上記のような有機材料組成物又は有機エレクトロルミネッセンス材料を含む有機層とを有する有機エレクトロルミネッセンスデバイスを提供する。
【0037】
好ましくは、前記有機層は、陽極側から陰極側に向かって順次積層して設けられた正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層を含み、
好ましくは、前記発光層の材料は、ホスト材料とゲスト材料とを含み、前記ホスト材料は、上記のような有機材料組成物又は有機エレクトロルミネッセンス材料を含む。
【0038】
好ましくは、前記ゲスト材料は燐光ドーパントを含み、前記燐光ドーパントは遷移金属を有する錯体を含む。
【0039】
またもう一方面において、本発明は、上記のような前記有機エレクトロルミネッセンスデバイスを備える有機エレクトロルミネッセンス装置を提供する。
【0040】
従来技術に比べると、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0041】
本発明の有機材料組成物は、式1に示す構造の化合物の少なくとも1種と、式2に示す構造の化合物の少なくとも1種との配合により、ホスト材料の電子輸送特性を向上させ、さらに電子と正孔の結合率を向上させ、有機エレクトロルミネッセンスダイオードの発光効率を向上させ、耐用年数を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の応用例に係る有機エレクトロルミネッセンスデバイスの構造概略図であり、1は陽極、2は正孔注入層、3は正孔輸送層、4は発光層、5は電子輸送層、6は電子注入層、7は陰極である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下は、具体的な実施形態を参照しながら、本発明の態様をさらに説明する。当業者であれば、前記実施例は本発明の理解に役立つだけであり、本発明を具体的に限定するものと見なすべきではない。
【0044】
式1の化合物の調製実施例
【0045】
1Bの合成について、25mLの三口フラスコに、1A(10mmol)、ニトロベンゼン(10mmol)、水酸化カリウム(22mmol)、チオシアン酸第一銅(1mmol)及び無水テトラヒドロフラン(10mL)を入れ、窒素置換を3回行い、窒素雰囲気で90℃に加熱し、48時間後に反応が終了し、水を加えてクエンチし、反応系を酢酸エチルで抽出し、回転蒸発で有機溶媒を除去して粗生成物を得た。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィで分離し(酢酸エチル:ヘキサン(体積比1:50))、1B(1.34g、収率49%)を得た。
【0046】
1B’の合成について、50mLの三口フラスコに、2-ブロモ-4-クロロベンズアルデヒド(10mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(12mmol)、酢酸カリウム(100mmol)、[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(0.2mmol)、及び1,4-ジオキサン(25mL)を入れ、窒素置換を行い、窒素雰囲気で100℃に加熱し、反応が終了した後、反応混合物に水を加えてクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、粗生成物を得た。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離し(ジクロロメタン:ヘキサン(体積比1:50))、1B’(1.7g、収率64%)を得た。
【0047】
1Cの合成について、50mLの三口フラスコに、1B(10mmol)、1B’(10mmol)、炭酸水素ナトリウム(20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.2mmol)、テトラヒドロフラン(20mL)及び水(10mL)を入れ、窒素置換を行い、窒素雰囲気で60℃に加熱して一晩反応させた。反応が終了した後、反応混合物に水を加えてクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、回転蒸発して有機溶媒を除去し、粗生成物を得た。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離し(酢酸エチル:ヘキサン(体積比1:50))、1C(3.06g、収率92%)を得た。
【0048】
1Dの合成について、5mLの三口フラスコに、1C(10mmol)、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド((methoxymethyl)triphenylphosphonium chloride)(20mmol)及びテトラヒドロフラン(10mL)を入れ、温度を0℃に下げ、またカリウムt-ブトキシド(2mmol)を5mLのテトラヒドロフランに溶解した。三口フラスコで窒素置換を行い、窒素雰囲気で、0℃の条件でカリウムt-ブトキシド溶液を滴下し、滴下が完了した後に混合物を得て、この混合物を半時間撹拌して反応させた。反応が終了した後、反応混合物に水を加えてクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、回転蒸発して有機溶媒を除去し、粗生成物を得た。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離し(酢酸エチル:ヘキサン(体積比1:50))、1D(1.8g、収率50%)を得た。
【0049】
1Eの合成について、25mLの三口フラスコに、1D(1mmol)及びヘキサフルオロイソプロパノール(5mL)を入れ、0℃に降温し、窒素置換を行い、窒素雰囲気でトリフルオロメタンスルホン酸(1mL)を滴下し、混合物を得て、この混合物を半時間撹拌し続けて反応させ、粗生成物を得た。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離し(酢酸エチル:ヘキサン(体積比1:50))、1E(0.24g、収率73%)を得た。
【0050】
1Fの合成について、50mLの三口丸底フラスコに、1E(10mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(12mmol)、酢酸ナトリウム(20mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.5mmol)及び2-ジシクロヘキシルホスフィン-2’,6’-ジメトキシビフェニル(1.5mmol)を入れ、さらに1,4-ジオキサン(20mL)を加え、窒素置換を3回行った。窒素雰囲気の条件で、100℃に加熱して反応させ、反応が終了した後、反応混合物に水を加えてクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、回転蒸発して有機溶媒を除去し、粗生成物を得た。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離し(酢酸エチル:ヘキサン(体積比1:50))、1F(3.24g、収率77%)を得た。
【0051】
化合物1の合成について、100mLの三口丸底フラスコを取り、撹拌子を入れ、上部に還流管を接続し、乾燥させた後に窒素ガスを充填し、それぞれ1F(10mmol)、1G(10mmol、CAS1689576-03-1)、炭酸水素ナトリウム(23mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.5mmol)、ジクロロビス[ジ‐TERT‐ブチル(4‐ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]パラジウム(0.5mmol)、トルエン(25mL)、エタノール(7mL)及び水(7mL)を加え、窒素置換を3回行った。窒素雰囲気の条件で、80℃まで昇温して8時間反応させ、反応が終了した後、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、得た抽出液に硫酸マグネシウムを順次加えて乾燥させ、濾過して回転乾燥し、粗生成物を得た。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し(酢酸エチル:ヘキサン(体積比1:10))、化合物1(4.13g、収率69%)を得た。
【0052】
元素分析について、C4126の理論値が、C,81.71、H,4.35、N,13.94であり、実測値が、C,81.78、H,4.33、N,13.89であり、HRMS (ESI) m/z [M+H]について、理論値が602.22であり、実測値が603.40である。
【0053】
1B’’の合成について、2-ブロモ-4-クロロベンズアルデヒドの代わりに2-ブロモ-5-クロロベンズアルデヒドを用いた以外、1B’と同様に合成し、1B’’(1.60g、収率60%)を得た。
【0054】
8Cの合成について、5-クロロ-2アルドフェニルボロン酸ピナコールエステルの代わりに4-クロロ-2アルドフェニルボロン酸ピナコールエステルを用いた以外、1Cと同様に合成し、8C(2.13g、収率64%)を得た。
【0055】
8Dの合成について、1Cの代わりに8Cを用いた以外、1Dと同様に合成し、8D(3.21g、収率89%)を得た。
【0056】
8Eの合成について、1Dの代わりに8Dを用いる以外、1Eと同様に合成し、8E(0.16g、収率48%)を得た。
【0057】
8Fの合成について、1Eの代わりに8Eを用いた以外、1Fと同様に合成し、8F(4.00g、収率95%)を得た。
【0058】
8の合成について、1Fの代わりに8F、1Gの代わりに8Gを用いた以外、化合物1と同様に合成し、化合物8(4.70g、収率78%)を得た。
【0059】
元素分析について、C4126の理論値が、C,81.71、H,4.35、N,13.94であり、実測値が、C,81.73、H,4.37、N,13.90であり、HRMS (ESI) m/z (M)について、理論値が602.22であり、実測値が603.29である 。
【0060】
表1における原料1及び原料2を原料とし、上記方法を参照して調製して、表1に示すように、対応する生成物を得て、生成物の構造特徴データを表2に示す。
【0061】
【0062】
【0063】
式2の化合物の調製実施例
【0064】
化合物1’の合成について、25mLの三口フラスコに、窒素ガスを導入し、1’-A(1mmol)、化合物1’-B(1mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(2mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.02mmol)、50%のトリイソブチルホスフィン溶液(0.1mmol)及び8mLのトルエンを加えた後、還流撹拌した。反応が終了した後、反応混合物を室温まで冷却し、有機層を酢酸エチル及びHOで抽出した。抽出した有機層をMgSOにより乾燥させ、且つ濾過した。濾液を減圧濃縮し、粗生成物を得た。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離し(酢酸エチル:ヘキサン(体積比1:50))、化合物1’(0.40g、収率62%)を得た。
【0065】
元素分析について、C4831の理論値が、C,88.72、H,4.81、N,6.47であり、実測値が、C,88.76、H,4.79、N,6.45であり、HRMS (ESI) m/z [M+H]について、理論値が649.25であり、実測値が650.33である。
【0066】
表3における原料1及び原料2を原料とし、上記方法を参照して調製して、表3に示すように、対応する生成物を得て、生成物の構造特徴データを表4に示す。
【0067】
【0068】
【0069】
応用実施例
図1に示すように、下地(インジウム錫酸化物(ITO、陽極1とする)被覆ガラス基板)/正孔注入層2(HIL)/正孔輸送層3(HTL)/発光層4(EML)/電子輸送層5(ETL)/電子注入層6(EIL)、最後には陰極7を備える層構造を有する有機エレクトロルミネッセンスデバイスを提供する。
【0070】
OLEDの製造に必要な材料は以下のとおりであり、REF-1は比較化合物1である。
【0071】
上記有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造は以下のステップを含む。
【0072】
(1) 基板のクリーニング
透明ITO層(陽極1)が塗布されたガラス基板を水性洗浄剤(前記水性洗浄剤の成分及び濃度について、エチレングリコール系溶媒≦10wt%、トリエタノールアミン≦1wt%)で超音波処理し、脱イオン水で洗浄し、アセトン:エタノール混合溶媒(体積比1:1)において超音波で脱脂し、清浄な環境で完全に水分を除去するまでベークし、続いて紫外光とオゾンで洗浄する。
【0073】
(2) 有機発光機能層の蒸着
上記陽極1付きのガラス基板を真空室内に入れ、1×10-6~2×10-4Paに真空引きし、上記陽極1に、NDP-9とHTとの質量比3:97でNDP-9とHTとの混合物を真空蒸着し、正孔注入層2とし、蒸着厚さが10nmであり、
正孔注入層2に正孔輸送層3を蒸着し、蒸着厚さが80nmであり、
正孔輸送層3に発光層4を蒸着し、具体的な製造方法について、共蒸着の方式で発光ホスト材料(使用材料は表5に示す)とゲスト材料を真空蒸着し、蒸着の総厚さが30nmであることであり、
発光層4に一層の電子輸送層5を蒸着し、具体的な製造方法について、共蒸着の方式でBPhen及びLiQを真空蒸着し、蒸着の総厚さが30nmであることであり、
電子輸送層5に一層の電子注入層6を真空蒸着し、蒸着の総厚さが1nmであり、
電子注入層6にAlを蒸着し、陰極7として、蒸着の総厚さが80nmである。
【0074】
デバイス実施例1~11及びデバイス比較例1~3における各層及びその材料並びに厚さなどのパラメータを表5に示す。
【0075】
【0076】
デバイス性能試験について
機器において、デバイス実施例1~11及びデバイス比較例1~3の電流、電圧、輝度、発光スペクトルなどの特性について、PR 650スペクトル走査輝度計とKeithley K 2400ソースメータシステムを用いて同期試験を行った。
光電特性試験条件について、電流密度は10mA/cmとし、室温とした。
【0077】
耐用年数試験について、電流密度は50mA/cmとし、室温とし、デバイスの輝度が元の輝度の98%に低下した時、時間(時間単位)を記録した。
【0078】
デバイス性能試験の結果は表6に示す。
【0079】
【0080】
表6から分かるように、単一のホスト化合物の電子と正孔輸送能力が異なり、有機材料組成物を採用することで、電子の輸送特性を向上させ、さらに電子と正孔の結合率を向上させ、有機エレクトロルミネセンスダイオードの発光効率を向上させ、耐用年数を長くすることができる。前記有機材料組成物を有機機能層材料とした場合、デバイスが低駆動電圧(3.90V以下)、高電流効率(18Cd/A以上)及び高耐用年数(45h以上)を有することができる。
【0081】
本発明は、上記実施例により、本発明の有機材料組成物及びその応用を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、即ち、本発明が上記実施例に依存して実施されることを意味することではないと、出願人は主張する。当業者であれば、本発明に対するいかなる改善、本発明製品の各原料に対する等価置換及び補助成分の添加、具体的な方式の選択などは、いずれも本発明の保護範囲と開示範囲内にあることを理解されよう。

図1