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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048147
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】統合型レーダ信号処理回路
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/02 20060101AFI20230330BHJP
   G01S 13/34 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
G01S7/02 218
G01S13/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022152167
(22)【出願日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】10 2021 124 870.1
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】599158797
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies AG
【住所又は居所原語表記】Am Campeon 1-15, 85579 Neubiberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス ビヒル
(72)【発明者】
【氏名】マイユール ジャナン
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB17
5J070AC01
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AD06
5J070AD08
5J070AD09
5J070AF03
5J070AH31
5J070AH35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】迅速に反応できるレーダシステム信号処理を提供する。
【解決手段】統合型レーダ信号処理回路は、第1および第2のインデックスを有するフィールドによって表されるレーダマップを生成する信号処理ユニットと、レーダマップにおいて、潜在的な目標を識別するピーク検出ユニットと、ハードウェアアクセラレータと、を有し、ピーク検出ユニットは、それぞれ、第1および第2のインデックスに沿ってレーダマップをスキャンして、第1および第2のインデックスの関数としてピークを識別する第1および第2の検出ビットマップをレーダデータメモリに記憶する第1および第2のピーク検出ユニットを有し、第1および第2の検出ビットマップは、個別のビットを使用してそれぞれのピークを識別し、レーダデータメモリに接続されているハードウェアアクセラレータは、第1および第2の検出ビットマップの個々のビットを処理するハードウェアアクセラレータである。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合型レーダ信号処理回路であって、前記統合型レーダ信号処理回路は、
第1のインデックスおよび第2のインデックスを有するフィールドによって表されるレーダマップを生成するように構成されている信号処理ユニットと、
前記レーダマップにおいて、潜在的な目標を識別するように構成されているピーク検出ユニットと、
ハードウェアアクセラレータと、
を有し、
前記ピーク検出ユニットは、
前記第1のインデックスに沿って前記レーダマップをスキャンして、前記第1のインデックスの関数としてピークを識別する第1の検出ビットマップをレーダデータメモリに記憶するように構成されている第1のピーク検出ユニットと、
前記第2のインデックスに沿って前記レーダマップをスキャンして、前記第2のインデックスの関数としてピークを識別する第2の検出ビットマップを前記レーダデータメモリに出力するように構成されている第2のピーク検出サブユニットと、
を有し、
前記第1の検出ビットマップおよび前記第2の検出ビットマップは、個別のビットを使用してそれぞれの前記ピークを識別し、
前記ハードウェアアクセラレータは、前記レーダデータメモリに接続されており、前記ハードウェアアクセラレータは、前記第1の検出ビットマップおよび前記第2の検出ビットマップの個々のビットを処理するように構成されているビット単位型ハードウェアアクセラレータである、
統合型レーダ信号処理回路。
【請求項2】
前記ハードウェアアクセラレータは、前記第1の検出ビットマップおよび/または前記第2の検出ビットマップを転置するように構成されている、
請求項1記載の統合型レーダ信号処理回路。
【請求項3】
前記ハードウェアアクセラレータは、前記第1の検出ビットマップおよび前記第2の検出ビットマップを組み合わされた検出ビットマップに組み合わせるように構成されている、
請求項1または2記載の統合型レーダ信号処理回路。
【請求項4】
前記第1の検出ビットマップと前記第2の検出ビットマップとの前記組み合わせは、前記第1の検出ビットマップのそれぞれのビットと、前記第2の検出ビットマップのそれぞれのビットと、の論理積を有し、これにより、前記組み合わされた検出ビットマップにより、前記第1の検出ビットマップによっても、また、前記第2の検出ビットマップによっても識別されるピークが識別される、
請求項3記載の統合型レーダ信号処理回路。
【請求項5】
前記ハードウェアアクセラレータは、前記組み合わせに対して前記第1の検出ビットマップを転置するように構成されており、これにより、前記組み合わせの際に、前記第1の検出ビットマップのそれぞれのビットと、前記第2の検出ビットマップの前記ビットと、が組み合わされ、前記第2の検出ビットマップの前記ビットは、前記第1の検出ビットマップの前記ビットの前記第1のインデックスの値を前記第2のインデックスの値として、かつ、前記第1の検出ビットマップの前記ビットの前記第2のインデックスの前記値を前記第1のインデックスの値として有する、
請求項3または4記載の統合型レーダ信号処理回路。
【請求項6】
前記ハードウェアアクセラレータは、前記組み合わされた検出ビットマップによって識別されるピークの前記第1のインデックスの値および前記第2のインデックスの値を算出するように構成されている、
請求項3から5までのいずれか1項記載の統合型レーダ信号処理回路。
【請求項7】
前記ハードウェアアクセラレータは、前記組み合わされた検出ビットマップによって識別される前記ピークの前記第1のインデックスの値と、前記第2のインデックスの所属の値と、のリストを生成して出力するように構成されている、
請求項6記載の統合型レーダ信号処理回路。
【請求項8】
前記ハードウェアアクセラレータは、
前記組み合わされた検出ビットマップを記憶するメモリ素子と、
ビットをカウントするためのハードウェアカウンタと、
ハードウェアカウンタによって識別される前記ビットを受信し、前記ビットによってピークが識別される場合に、対応する結果を出力するための比較論理部と、
を有する、
請求項3から7までのいずれか1項記載の統合型レーダ信号処理回路。
【請求項9】
前記比較論理部は、前記ハードウェアカウンタの上位ビットによって与えられる第1の値と、前記ハードウェアカウンタの下位ビットによって与えられる第2の値と、をピークのインデックス対として出力するように構成されている前記ハードウェアアクセラレータのリスト生成回路に、前記結果を出力するように構成されている、
請求項8記載の統合型レーダ信号処理回路。
【請求項10】
前記レーダデータメモリは、前記統合型レーダ信号処理回路の内部メモリである、
請求項1から9までのいずれか1項記載の統合型レーダ信号処理回路。
【請求項11】
前記ハードウェアアクセラレータは、内部ビットマップメモリを有し、前記内部ビットマップメモリは、前記第1の検出ビットマップ、前記第2の検出ビットマップおよび/または前記第1の検出ビットマップと前記第2の検出ビットマップとの組み合わせを記憶するように構成されており、かつ、記憶された検出ビットマップをビットストリームとして、前記ハードウェアアクセラレータの処理論理回路に出力するように構成されており、前記処理論理回路は、前記ビットストリームの前記ビットを個別に処理するように構成されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載の統合型レーダ信号処理回路。
【請求項12】
前記処理論理回路は、前記ビットストリームのそれぞれのビットと固定値とを比較するか、または、別のビットマップのビットストリームのそれぞれのビットと組み合わせるように構成されている、
請求項11記載の統合型レーダ信号処理回路。
【請求項13】
前記ハードウェアアクセラレータは、前記第1の検出ビットマップ、前記第2の検出ビットマップおよび/または前記第1の検出ビットマップと前記第2の検出ビットマップとの前記組み合わせを前記内部ビットマップメモリに完全に読み込み、次いでビット毎に処理するように構成されている、
請求項11または12記載の統合型レーダ信号処理回路。
【請求項14】
前記ハードウェアアクセラレータは、読み出しインタフェースを有し、前記読み出しインタフェースは、前記第1の検出ビットマップ、前記第2の検出ビットマップおよび/または前記第1の検出ビットマップと前記第2の検出ビットマップとの前記組み合わせを前記レーダデータメモリから前記内部ビットマップメモリに読み込むように構成されており、前記読み出しインタフェースは、前記第1の検出ビットマップ、前記第2の検出ビットマップおよび/または前記第1の検出ビットマップと前記第2の検出ビットマップとの前記組み合わせの行または列を並列に読み込むように構成されている、
請求項11から13までのいずれか1項記載の統合型レーダ信号処理回路。
【請求項15】
前記第1のインデックスは、距離インデックスでありかつ前記第2のインデックスは、ドップラーインデックスである、
前記第1のインデックスは、距離インデックスでありかつ前記第2のインデックスは、ドップラーインデックスである、または、
前記第1のインデックスは、速度インデックスでありかつ前記第2のインデックスは、方向インデックスである、
請求項1から14までのいずれか1項記載の統合型レーダ信号処理回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は一般に、統合型レーダ信号処理回路に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ検出の結果は、ビットマップ(英語:Bitmap)の形態で表すことができる。このようなビットマップのそれぞれのエントリは、2つのインデックスの値により(例えば、距離インデックスの値およびドップラーインデックス(または速度インデックス)の値により)参照され、また2つのインデックスに対応する方向、距離により、もしくは2つのインデックスに対応する速度の値を用いて目標が検出されたか否かを示す。例えば、第1のインデックスは距離インデックスであり、第2のインデックスは速度インデックスであり、またビットマップの値は、距離インデックスおよび速度インデックスについての値のそれぞれの組み合わせについて、距離インデックス値に対応する距離において、速度インデックスに対応する速度で目標が検出されたか否かを示す。考えられる別の組み合わせは、距離および方向ならびに速度および方向である。後続処理(例えば、方向特定、検出される目標を対象体にまとめることなど)のために一般に必要であるのは、このようなビットマップをビット毎に処理することである。このような処理について効率的なアプローチは、レーダ処理の迅速な結果を算出するために、例えば、事故を回避することを目的として、自動運転車両においてレーダシステムを使用する際に迅速に反応できるようにするために望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの実施形態によると、統合型レーダ信号処理回路が提供され、この統合型レーダ信号処理回路は、第1のインデックスおよび第2のインデックスを有するフィールドによって表されるレーダマップを生成するように構成されている信号処理ユニットと、レーダマップにおいて、潜在的な目標を識別するように構成されているピーク検出ユニットと、を有し、ピーク検出ユニットは、第1のインデックスに沿ってレーダマップをスキャンして、第1のインデックスの関数としてピークを識別する第1の検出ビットマップをレーダデータメモリに記憶するように構成されている第1のピーク検出ユニットと、第2のピーク検出サブユニットと、を有し、第2のピーク検出ユニットは、第2のインデックスに沿ってレーダマップをスキャンして、第2のインデックスの関数としてピークを識別する第2の検出ビットマップをレーダデータメモリに出力するように構成されており、第1の検出ビットマップおよび第2の検出ビットマップは、個別のビットを使用してそれぞれのピーク識別し、統合型レーダ信号処理回路はさらに、レーダデータメモリに接続されているハードウェアアクセラレータを有し、ハードウェアアクセラレータは、第1の検出ビットマップおよび第2の検出ビットマップの個々のビットを処理するように構成されているビット単位型ハードウェアアクセラレータである。
【0004】
図面には、実際の大きさの関係は再現されておらず、種々異なる実施例の基本概念を示すためにこれを利用する。以下では、以下の図面に関連し、種々異なる実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】レーダ装置を示す図である。
図2】FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダシステムを示す図である。
図3】データキューブの処理を示す図である。
図4】3つの送信チャネルによるレーダ検出の例を示す図である。
図5】1つの実施形態にしたがってビットマップを処理するためのハードウェアアクセラレータを示す図である。
図6】1つの実施形態による統合型レーダ信号処理回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳しい説明は、詳細および実施例が示されている添付の図面に関係している。これらの実施例は、当業者が本発明を実施できるように詳しく説明されている。別の実施形態も考えることができ、また実施例は、構造的、論理的および電気的な観点において、本発明の対象から逸脱することなく変更可能である。種々異なる実施例は、必ずしも互いに排除し合うことはなく、種々異なる実施形態は、互いに組み合わせることができ、これによって新たな実施形態が得られる。本明細書の枠内において、用語の「接合される」、「接続される」および「結合される」は、直接的な接合も間接的な接合も、直接的または間接的な接続、ならびに直接的または間接的な結合を表すために使用される。
【0007】
図1にはレーダ装置100が示されている。
【0008】
レーダ装置100は、アンテナ装置102およびレーダデバイス103を含むレーダシステム101を有する。レーダデバイス103には、1つまたは複数の(レーダ)送信器104と、デュプレクサ105(すなわち、送信信号および受信信号を分離するための回路)と、(レーダ)受信器106と、制御装置107と、が含まれている。レーダ装置は、この図ではキーとして示されているが、送信アンテナアレイの形態の複数の送信アンテナと、受信アンテナアレイの形態の複数の受信アンテナと、を含んでいてよく、例えば、車両に配置されていてよい。
【0009】
対象体108を識別するために、制御装置107は、1つまたは複数の送信器104と、デュプレクサ105と、受信器106と、を次のように制御する。すなわち、
1.1つまたは複数の送信器104により、アンテナ装置102を介して送信信号109が受信される。
2.送信信号109は、目標によって反射される。
3.レーダシステム101により、送信信号のエコー110が受信信号として受信される。
【0010】
受信された信号から、レーダデバイス103(例えば、統合型レーダ信号処理回路111)により、対象体108の位置および速度についての情報が計算される。
【0011】
注意すべきであるのは、図1のレーダ装置100において、レーダシステム101は、図示されている車両のような大きな対象体108を検出する(大きな)静止型の装置として示されているが、レーダシステム101は、モバイル型であってもよく、より小型であってよく、より小さな対象体の検出に使用されてよいことである。例えば、レーダ装置は、特に自動運転用に、付近の対象体を検出するために車両に取付可能である。
【0012】
送信信号109には、複数のパルスが含まれていてよい。パルス伝送には、レーダシステム101がエコー110を待機する時間と組み合わせて、高出力で短いバーストを伝送することが含まれている。これは一般に、車両シナリオにおける状況のような極めて動的な状況には最適ではない。
【0013】
したがって代わりに、送信信号として連続波形を使用することができる。連続波形により、速度特定だけ可能になるが、(距離計算を可能にし得るタイムスタンプが欠如していることに起因して)距離情報は供給されないため、1つのアプローチは、周波数変調連続波レーダ(FWCM)である。
【0014】
図2には、FMCWレーダシステム200が示されている。
【0015】
FMCWレーダシステムでは、送信信号の周波数は、一定の周波数で送信されるのではなく、のこぎり波形(または択一的には三角波形)201に対応して周期的に上昇されてリセットされる。のこぎり波形201により、発振器202の周波数が変調されて、結果的に得られる送信信号が、送信アンテナ203に供給される。
【0016】
受信アンテナ204により、(ノイズなどに加えて)送信信号のエコーが受信信号として受信される。ミキサ205により、送信信号と受信信号とが混合される。混合の結果は、ローパスフィルタ206によってフィルタリングされ、スペクトルアナライザ207によって処理される。
【0017】
送信信号は、正弦曲線をのこぎり波形201によって変調することによって得られるチャープ列の形状を有する。個別のチャープ208は、最小周波数から最大周波数までのこぎり波形201の「歯」の分だけ周波数変調されている、発振器信号の正弦曲線に対応する。
【0018】
(例えば、レーダ信号処理回路111によって実装される)スペクトルアナライザ207により、(h第1のFFT段による)距離情報と、(第2のFFT段による)速度情報と、を受信信号から抽出するために、(少なくとも)2つのFFT段(Fast Fourier Transform)とが実装される。第2のFFT段は、角度情報も抽出することができるか、または角度情報を抽出する第3のFFT段を設けることもできる。距離・ドップラーマップが生成されるこの実施例では、第2のFFT段によって速度情報が抽出される。注意すべきであるのは、スペクトルアナライザ207は、デジタルスキャン値で動作するため、A/D変換部(Analog-Digital変換部)が、受信アンテナ204からスペクトルアナライザ207に至る経路に含まれることである。例えば、フィルタ206は、アナログフィルタであり、アナログ・デジタル変換器(ADC)が、フィルタ206とスペクトルアナライザ207との間の配置されている。
【0019】
さらに、レーダシステム101を基準にした対象体108の方向を特定できるようにするために、アンテナ装置102は、複数の受信アンテナ、すなわち受信アンテナのアレイを含んでいてよい。この場合、対象体108の方向は、対象体からのエコー110がこれらの受信アンテナによって受信される位相差から特定することができる。これに対応して、レーダ受信器は、それぞれの受信アンテナについてミキサ205、アナログフィルタ206およびADCを含んでいてよい。
【0020】
すべての受信アンテナについてのデジタル化された受信信号は一般に、いわゆるデータキューブ(英語:data cube)に集められる。
【0021】
図3には、データキューブ300の処理が示されている。
【0022】
データキューブ300には、受信アンテナアレイ303を形成するM個のアンテナの受信信号のデジタルスキャン値が含まれている。デジタルスキャン値は、アナログ/デジタル変換部によって生成される。
【0023】
例えば、それぞれのチャープ(例えばK=64個のチャープ)について、受信信号をスキャンして、これがL個のスキャン値を有するようにする(例えばL=512)。
【0024】
それぞれのチャープについて集められたL個のスキャン値は、第1のFFT段によって処理される。
【0025】
第1のFFT段の処理は、それぞれのチャープおよびそれぞれのアンテナについて実行され、これにより、データキューブ300の処理の結果は、第1のFFT段によって再度3次元になり、データキューブ300の大きさを有することができるが、もはやL個のスキャン時点について値ではなく、L個の距離ビン(Bin)についての値を含む。注意すべきであるのは、第1のFFT段の実際の受信信号では通例、距離ビン0~L/2だけが有効であることである。というのは、第1のFFTのスペクトルは、L/2が反映され、後半部は廃棄され得るからである。
【0026】
第1のFFT段によるデータキューブ300の処理の結果は次いで、第2のFFT段により、チャープに沿って(それぞれのアンテナについてかつそれぞれの距離ビンについて)処理される。
【0027】
第1段のFFTの方向は、高速時間と称されるのに対し、第2段のFFTの方向は、低速時間と称される(チャープの方向)。
【0028】
第2段のFFTの結果により、それぞれのアンテナについて、距離・ドップラーマップが生じ、距離・ドップラーマップは、これが、(例えば、信号雑音比を改善しかつ高い識別確率を有するようにするために、NCI(非コヒーレント積分)またはCI(コヒーレント積分)を使用して)アンテナにわたって集められる場合、距離・ドップラーマップ301を生じさせる。距離・ドップラーマップ301は、距離ビンとドップラービンから成るそれぞれの組み合わせについて、FFT出力値を含み、すなわち、距離インデックスおよびドップラーインデックスを有するフィールドである。
【0029】
距離ビンとドップラービンとから成る特定の組み合わせについて(すなわち、特定の距離ビン/ドップラービンについて)、距離・ドップラーマップ301は、FFTピーク302(すなわち、FFT出力値のピーク(すなわち、絶対値についてのピーク値))を有する。
【0030】
FFTピーク302を識別するために、一般に2つの次元(距離およびドップラー)において、距離・ドップラーマップ301にピーク検出が適用される。すなわち、(距離/ドップラービンについて行および列FFT出力値を有する)距離・ドップラーマップ301において、列方向(ここでは距離)における最大値および行方向(ここでは速度)における最大値が(FFT出力値の絶対値が観察されて)サーチされる。
【0031】
それぞれの次元について、結果は、それぞれの検出ビットマップ(英語:Bitmap)304,305、すなわちビットのフィールドであり、このフィールドは、(距離インデックスの値およびドップラーインデックスの値によって識別される)それぞれの距離/ドップラービンについて、それぞれの次元の方向における検出の際に最大値が見つかった場合に1を含み、その他の場合に0を含む。したがって1は、潜在的な目標を示す。
【0032】
次いで、2つの検出ビットマップ304,305は、(「最終の」または「組み合わされた」)検出ビットマップ306に論理的に結合される(例えば、論理積がとられる、すなわちAND結合され、ここでは別の論理結合(OR,XORその他)も可能である)。
【0033】
注意すべきであるのは、2つの次元における検出(2D検出)を実行できる前に、データ(すなわち距離・ドップラーマップ)が完全に設けられていることが必要になることである。さらに2D検出(2Dフィルタリングとも称される)は、面積コストおよびエネルギ消費について費用がかかってしまう。そうだとしても、2つの次元の方向に検出を実行することが一般に望ましい。
【0034】
さらに後処理(英語:Post-Processing)に一般に必要であるのは、距離・ドップラーマップから別のデータ(例えば、ピークに隣接するFFT点、例えばより低いピーク)を抽出することである。
【0035】
ビットマップ304,305の後続処理には、または最終的なビットマップ306の後続処理にも、高い計算コストを要する種々異なる演算が必要である。特に、(レーダデバイス103に含まれる)CPUまたはDSPを用いた実行にはコストがかかり、したがってレーダ処理の遅延を大きく増大させ得るビット毎の演算が必要である。
【0036】
例えば、ビットマップ304,305は一般に、異なる方角を有する。したがって、これらを最終的なビットマップ306に論理結合できるようにするために、ビットマップ304,305のうちの1つを転置しなければならない。
【0037】
コストのかかるビット毎の処理の別の例は、最終的なビットマップ306のインデックスの抽出であり、すなわち、最終的なビットマップ306によって(それぞれの1によって)示されるそれぞれのピークについて、距離ビンのインデックス値(すなわち距離インデックス値)と、ドップラー(または速度)ビンのインデックス値(すなわちドップラーインデックス値)と、の特定である。これは、特に、ピークを対象体にまとめること(英語:Clustering)、対象体の速度および距離の計算のようなレーダ後処理演算に必要である。
【0038】
これに対応して、物理的なメモリおけるピークに属するFFT出力値のアドレス(絶対的なシステムアドレス)の抽出にもコストがかかる。FFT出力値は、例えば、検出される対象体の方向特定に必要である。
【0039】
別のビット毎の処理は、DDM(Doppler Division Multiplexing)MIMO(Multiple Input Multiple Output)レーダシステムにおいて必要である。このようなシステムでは、最終的なビットマップ306におけるそれぞれのピークは、複数回、固定のドップラーシフトで1つの送信チャネル当たりに1回、発生する。したがって、最終的なビットマップ306は、(それぞれのドップラーシフトにしたがい)それぞれの送信チャネルについて回転されなければならず、結果は、ビット毎に論理結合されなければならない(論理積がとられなければならない)。
【0040】
図4には、3つの送信チャネルによる例が示されている。
【0041】
送信チャネルは、送信チャネルについての相前後するチャープが、(例えば、BPSK(Binary Phase Shift Keying),QPSK(Quadrature PSK)またはmPSK変調にしたがい)異なる位相シフトを有することによって実現される。
【0042】
図4の例では、第1の送信チャネル(TX1)の相前後するチャープ401(ここでは周波数変調信号の歯によって示されている)は、互いに位相シフトを有さず、第2の送信チャネル(TX2)の相前後するチャープ402は、互いに90°の位相シフトを有し、第3の送信チャネル(TX3)の相前後するチャープ403は、互いに180°の位相シフトを有する。
【0043】
最終的なビットマップ404には、この場合、3つのすべての送信チャネルについての情報が含まれる。
【0044】
これらの情報を組み合わせるために、最終的なビットマップ404と、それ自体の回転されたバージョン405,406と、が論理結合される。
【0045】
図4の実施例では、回転されたバージョン405,406が、行の回転によって生成される(すなわち、それぞれの行は、図4の図において同じドップラービンに属する)。
【0046】
上述のビット毎の演算(ビットマップの転置、ビットマップの結合、特に、送信変調、インデックス値抽出およびアドレス抽出のために回転されるビットマップの結合)は、CPU(またはDSP)によって実行可能である。このCPU(またはDSP)により、例えば、上で説明したようなビットマップを生成する信号処理ユニット(英語のSignal Processing Unitを表すSPU)によって格納されているメモリからビットマップが取り出される。CPU(またはDSP)は、このために、対応するソフトウェアを実行する。
【0047】
しかしながら上述のビット毎の演算の実行は、上で説明したように極めてコストがかかる。
【0048】
例えば、ビットマップが、(ドップラービンについて)256個の行および(距離ビンについて)128個の列を有し、CPUが8ビットワードを処理する場合、それぞれ8ビットが、1つのワード(例えば、128個の列が、8ビットワードの16個の列に)にまとめられる。この場合にインデックスの抽出には、(1つのループは、距離インデックスについて、別の1つのループは、8ビットワード内のビット位置について、さらに別の1つのループは、ドップラーインデックスについて)3つのForループが必要であり、ビット位置に応じて、8ビットワードを、対応してシフトし、かつ/またはマスクしなければならない。
【0049】
転置のためにCPUは、(例えば、シフトおよびマスキングのための論理的なANDによって)それぞれのビットをそれぞれの8ビット値から取り出し、(例えば、シフトおよび新たな8ビットワードとの結合のための論理和によって)新たな8ビット値に書き込まなければならない。
【0050】
2つのビットマップを組み合わせるために、CPUは、すべての(例えば256×16個の)8ビット値位置にわたって繰り返して、それぞれの位置において2つの8ビット値を読み出し、これらをビット毎に論理結合し、結果的に得られる8ビット値をメモリに書き戻す必要がある。
【0051】
種々異なる実施形態によると、(検出)ビットマップのビット毎の処理のために、すなわち演算のために、例えば、上で説明した演算のためにハードウェアアクセラレータが提供される。このハードウェアアクセラレータは、ビットマップのビットを個々に処理するように構成されており、すなわち、このハードウェアアクセラレータは、それぞれのビットマップにおいて隣接するビットにもアクセスしないかもしくはアクセスする必要なしに(処理のために)個々のビットにアクセスすることができる。例えば、ハードウェアアクセラレータは、ビットマップのビットが処理のために(例えばメモリから)転送されるビットストリームから、ビットを個々に処理することができる。これにより、ハードウェアアクセラレータは、種々異なる実施形態によると、ビットマップへのビット毎の演算、すなわち上で説明したような演算を効率的に実行することができる。
【0052】
ハードウェアアクセラレータは、ビットマップを生成するSPUの密に結合されていてよいが、独立したユニット("standalone")として動作されることも可能であり、例えば、それ自体でメモリからデータを読み出して結果をそこに記憶することができる。例えば、ハードウェアアクセラレータは、処理パイプラインにおいてSPUとCPUとの間に配置される。ハードウェアアクセラレータおよびSPUは、例えば、統合型レーダ信号処理回路111によって実装される。ハードウェアアクセラレータは、その処理の結果を(レーダデータ)メモリ(例えばレーダデバイス103)に記憶することができ、これにより、CPU(レーダデバイス103)は、後続処理(後処理)のために、対応する結果にアクセス可能である。例えば、CPUは、ピークのインデックスを用いて、ピークのFFT出力値および(別の次元の)隣接値にアクセス可能である。
【0053】
メモリにおける結果へのDMA(Direct Memory Access)アクセスを設けることも可能である。
【0054】
図5には、1つの実施形態によるハードウェアアクセラレータ500が示されている。
【0055】
ハードウェアアクセラレータ500は、このハードウェアアクセラレータ500が、処理対象のビットマップをレーダデータメモリ503から読み出す入力インタフェース(読み出しインタフェース)501と、ハードウェアアクセラレータ500が、レーダデータメモリ503または別のメモリに処理結果を書き込む出力インタフェース(書き込みインタフェース)502と、を有する。
【0056】
入力インタフェース501は、例えば、大きなビット幅を有し、これにより、ハードウェアアクセラレータ500は、内部ビットマップメモリ504に高速にビットマップを読み込むことができる。例えば、入力インタフェース501は、256ビット幅であり、これにより、128ビット×256ビットのビットマップを列毎に読み込むことが可能である。ビットマップメモリ504は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)またはレジスタによって実装される。ハードウェアアクセラレータ500にはさらに、1つまたは複数の設定レジスタ505が含まれ、この設定レジスタ505により、ハードウェアアクセラレータ500によって実行される処理を(例えばCPUによって)制御もしくは設定することができる。
【0057】
以下では、ピークのインデックスの抽出について、すなわち、リスト507の生成について、ハードウェアアクセラレータ500の構造および動作の仕方を説明する。このリストは、ビットマップメモリ504に記憶されるビットマップ506におけるそれぞれの1について、1の距離インデックス値およびドップラーインデックス値(またひいてはビットマップ506における1の位置)を示す。
【0058】
1つの実施形態によると、この演算のためにハードウェアアクセラレータ500には、ハードウェアカウンタ512と、比較論理回路(すなわち、ハードウェア比較論理部)510と、リスト生成論理回路511と、が含まれている。
【0059】
ビットマップは、ビットストリームにおいて比較論理回路510に供給される。これは、この実施例では列毎に(すなわちドップラービンの方向に)行われ、ハードウェアアクセラレータのクロックのそれぞれのクロックサイクルにおいて1つのビットが比較論理回路510に供給される。
【0060】
ハードウェアカウンタ512は、0から、ドップラービンの個数(#ドップラー)掛ける距離ビンの個数(#距離)まで、カウントする。これらは、設定レジスタ505を介して設定可能であり、ハードウェアカウンタ512は、1からインクリメントしてカウントし、そのカウンタ値は、それぞれのクロックサイクルにおいてインクリメントされる。ハードウェアカウンタ512は、ビットマップ506全体がロードされた場合にカウントを開始する。#ドップラー×#距離の後、ハードウェアカウンタ512は再び0にジャンプする。
【0061】
それぞれのクロックサイクルにおいて比較論理回路510により、それに今、供給されたビット値と1とが比較される。ビット値が1に等しい場合、比較論理回路510は、リスト生成回路511に「真」イベントを出力する。リスト生成回路511は、「真」イベントに応じて、ハードウェアカウンタ512の最新のカウント状態を読み出し、(距離インデックスとしての)上位ビット508と、(ドップラーインデックスとしての)下位ビット509と、をインデックス対としてリスト507に書き込む。
【0062】
すなわち、リスト生成回路により、下位カウンタ値ビット(例えば、#ドップラー=128の場合、下位7ビット(ビット0~6))からドップラーインデックスが算出され、上位カウンタ値ビット(例えば、#距離=256の場合、上位8ビット(ビット7~14))から距離インデックスが算出される。
【0063】
リスト生成回路511によって生成されたリストの一部の長さが、出力インタフェース502の幅と等しい場合、リスト生成回路511は、出力インタフェースを介して、リストの一部の出力をトリガする(すなわち、例えば256ビット部分でリストを出力する)。
【0064】
これにより、ハードウェアアクセラレータ500は、第2のForループを用いてリスト507を算出し(それぞれは、ハードウェアカウンタ512の上位ビットもしくは下位ビットによって実現される)、内部メモリ504において直接に動作する。ビットマップ506のビット幅は、距離方向およびドップラー方向に読み出される。
【0065】
これにより、ハードウェアアクセラレータ500は、一度に(すなわち、1つのソフトウェア命令によって、すなわちCPUによる1つの駆動制御によってトリガされて)リスト生成全体を受け取る。したがってCPUから見ると、ただ1つの命令だけが必要である。
【0066】
類似の仕方で、ビット毎の別の演算をハードウェアアクセラレータによって実現することができ、このために別のハードウェアアクセラレータを設けることができるか、または複数のビット毎の複数の演算をサポートするハードウェアアクセラレータを設けることができる。
【0067】
ビット毎の結合のために、2つのビットマップについての内部ビットマップメモリ504が設けられ、同じ距離インデックス値および同じドップラーインデックス値に属する2つのビットマップの2つのビット間のAND結合が、比較器(1とのAND結合)にとって代わる。リスト507の代わりに、結果として生じるビットマップが生成され、このビットマップには、AND結合の結果が(それぞれここでも、それぞれの距離インデックス値およびそれぞれのドップラーインデックス値によって与えられる位置において)含まれる。ここでは、2つのビットマップが組み合わされる前に転置されることによるか、または一方のビットマップが列毎にかつ一方のビットマップが行毎にメモリ504から読み出される(この場合に一方のビットマップは、例えば128×256ビットフィールドとしてメモリ504内にある)ことによって組み合わせる際に、一方のビットマップを転置することも可能である。
【0068】
転置のために比較器は省略され、リスト507の代わりに、結果として生じるビットマップが生成され、このビットマップは、ビットマップ506のそれぞれのビットを含むが、転置に対応して位置が交換されている(すなわち、結果として生じるビットマップにおけるビットのドップラーインデックス値は、入力されたビットマップにおけるビットの距離インデックス値であり、またその逆も同様である)。
【0069】
以上をまとめると種々異なる実施形態によれば、図6に示されているような統合型レーダ信号処理回路が提供される。
【0070】
図6には、1つの実施形態による統合型レーダ信号処理回路600が示されている。
【0071】
統合型レーダ信号処理回路600は、第1のインデックスおよび第2のインデックスを有するフィールド(すなわちアレイ)によって表されるレーダマップを生成するために構成されている信号処理ユニット601を有する。
【0072】
統合型レーダ信号処理回路600はさらに、レーダマップにおける潜在的な目標を識別するように構成されているピーク検出ユニット602を有する。
【0073】
ピーク検出ユニット602は、第1のインデックスに沿ってレーダマップをスキャンして、第1のインデックスの関数としてピークを識別する第1の検出ビットマップをレーダデータメモリに記憶するように構成されている第1のピーク検出サブユニット603を有する。
【0074】
ピーク検出ユニット602はさらに、第2のインデックスに沿ってレーダマップをスキャンして、第2のインデックスの関数としてピークを識別する第2の検出ビットマップをレーダデータメモリに出力するように構成されている第2のピーク検出サブユニット604を有する。
【0075】
第1の検出ビットマップおよび第2の検出ビットマップは、個別のビットを使用してそれぞれのピークを識別する。
【0076】
さらに統合型レーダ信号処理回路600は、レーダデータメモリ503に接続されているハードウェアアクセラレータ605を有し、ハードウェアアクセラレータ605は、第1の検出ビットマップおよび第2の検出ビットマップの個々のビットを処理するように構成されているビット単位型ハードウェアアクセラレータである。
【0077】
図6のアプローチにより、CPUまたはDSPによる(例えば、上で説明したような)ソフトウェアベースのビット毎の演算に比べて、メモリアクセスの回数が低減されることによってエネルギ消費が低減され、専用のハードウェアによるアクセラレーションによって遅延が低減され、CPUまたはDSPに対する負荷が減少し、これにより、CPUまたはDSPは別のタスクを担わせることができる。
【0078】
これにより、特に、確実かつ高速にレーダ処理の結果を供給しなければならないシナリオにおいて、例えば、対象体を迅速に検出できることが安全性にとって極めて重要である自動運転車両において、レーダを使用することができる。
【0079】
以下では、種々異なる実施例を示す。
【0080】
実施例1は、図6に関連して説明した統合型レーダ信号処理回路である。
【0081】
実施例2は、ハードウェアアクセラレータが、第1の検出ビットマップおよび/または第2の検出ビットマップを転置するように構成されている、実施例1記載の統合型レーダ信号処理回路である。
【0082】
実施例3は、第1の検出ビットマップおよび第2の検出ビットマップを、組み合わされた検出ビットマップに組み合わせるようにハードウェアアクセラレータが構成されている、実施例1または2記載の統合型レーダ信号処理回路である。
【0083】
実施例4は、第1の検出ビットマップと第2の検出ビットマップとの組み合わせが、第1の検出ビットマップのそれぞれのビットと、第2の検出ビットマップのそれぞれのビットと、の論理積を有し、これにより、組み合わされた検出ビットマップにより、第1の検出ビットマップによっても、また第2の検出ビットマップによっても識別されるピークが識別される、実施例3記載の統合型レーダ信号処理回路である。
【0084】
実施例5は、ハードウェアアクセラレータが、組み合わせに対して第1の検出ビットマップを転置するように構成されており、これにより、組み合わせの際に、第1の検出ビットマップのそれぞれのビットと、第2の検出ビットマップのビットと、が組み合わされ、第2の検出ビットマップのビットは、第1の検出ビットマップのビットの第1のインデックスの値を第2のインデックスの値として、かつ第1の検出ビットマップのビットの第2のインデックスの値を第1のインデックスの値として有する、実施例3または4記載の統合型レーダ信号処理回路である。
【0085】
実施例6は、ハードウェアアクセラレータが、組み合わされた検出ビットマップによって識別されるピークの第1のインデックスの値および第2のインデックスの値を算出するように構成されている、実施例3から5までのいずれか1つの実施例記載の統合型レーダ信号処理回路である。
【0086】
実施例7は、ハードウェアアクセラレータが、組み合わされた検出ビットマップによって識別されるピークの第1のインデックスの値と、第2のインデックスの所属の値と、のリストを生成して出力するように構成されている、実施例6記載の統合型レーダ信号処理回路である。
【0087】
実施例8は、ハードウェアアクセラレータが、
組み合わされたビットマップを記憶するメモリ素子と、
ビットをカウントするためのハードウェアカウンタと、
ハードウェアカウンタによって識別されるビットを受信し、ビットによってピークが識別される場合に、対応する結果を出力するための比較論理部と、を有する、実施例3から7までのいずれか1つの実施例記載の統合型レーダ信号処理回路である。
【0088】
実施例9は、ハードウェアカウンタの上位ビットによって与えられる第1の値と、ハードウェアカウンタの下位ビットによって与えられる第2の値と、をピークのインデックス対として出力するように構成されている、ハードウェアアクセラレータのリスト生成回路に、結果を出力するように比較論理部が構成されている、実施例8記載の統合型レーダ信号処理回路である。
【0089】
実施例10は、レーダデータメモリが、統合型レーダ信号処理回路の内部メモリである、実施例1から9までのいずれか1つの実施例記載の統合型レーダ信号処理回路である。
【0090】
実施例11は、ハードウェアアクセラレータが、内部ビットマップメモリを有し、内部ビットマップメモリが、第1の検出ビットマップ、第2の検出ビットマップおよび/または第1の検出ビットマップと第2の検出ビットマップとの組み合わせを記憶するように構成されており、かつ記憶されたビットマップをビットストリームとして、ハードウェアアクセラレータの処理論理回路に出力するように構成されており、処理論理回路が、ビットストリームのビットを個別に処理するように構成されている、実施例1から10までのいずれか1つの実施例記載の統合型レーダ信号処理回路である。
【0091】
実施例12は、処理論理回路が、ビットストリームのそれぞれのビットと固定値とを比較するか、または別のビットマップのビットストリームのそれぞれのビットと組み合わせるように構成されている、実施例11記載の統合型レーダ信号処理回路である。
【0092】
実施例13は、ハードウェアアクセラレータが、第1の検出ビットマップ、第2の検出ビットマップおよび/または第1の検出ビットマップと第2の検出ビットマップとの組み合わせを内部ビットマップメモリに完全に読み込み、次いでビット毎に処理するように構成されている、実施例11または12記載の統合型レーダ信号処理回路である。
【0093】
実施例14は、ハードウェアアクセラレータが、読み出しインタフェースを有し、読み出しインタフェースは、第1の検出ビットマップ、第2の検出ビットマップおよび/または第1の検出ビットマップと第2の検出ビットマップとの組み合わせをレーダデータメモリから内部ビットマップメモリに読み込むように構成されており、読み出しインタフェースは、第1の検出ビットマップ、第2の検出ビットマップおよび/または第1の検出ビットマップと第2の検出ビットマップとの組み合わせの行または列を並列に読み込むように構成されている、実施例11から13までのいずれか1つの実施例記載の統合型レーダ信号処理回路である。
【0094】
実施例15は、第1のインデックスが距離インデックスでありかつ第2のインデックスがドップラーインデックスであり、第1のインデックスが距離インデックスでありかつ第2のインデックスが方向インデックスであるか、または第1のインデックスが速度インデックスでありかつ第2のインデックスが方向インデックスである、実施例1から14までのいずれか1つの実施例記載の統合型レーダ信号処理回路である。
【0095】
本発明を殊に、特定の実施形態に関連付けて示しかつ説明したが、この技術分野を熟知している当業者は、後続の特許請求の範囲によって定められるような本発明の本質および範囲から逸脱することなく、これについての実施形態および詳細に関して、数多くの変更を行い得ることが理解されよう。したがって本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定され、特許請求の範囲の語義または同等の範囲に含まれるすべての変更が含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0096】
100 レーダ装置
101 レーダシステム
102 アンテナ装置
103 レーダデバイス
104 送信器
105 デュプレクサ
106 受信器
107 制御装置
108 対象体
109 送信信号
110 エコー
111 レーダ信号処理回路
200 FMCWレーダ装置
201 のこぎり歯波形
202 発振器
203 送信アンテナ
204 受信アンテナ
205 ミキサ
206 ローパスフィルタ
207 スペクトルアナライザ
208 チャープ
300 データキューブ
301 距離/ドップラーマップ
302 FFTピーク
303 受信アンテナ
304~306 ビットマップ
401~403 チャープ
404 ビットマップ
405,406 回転されたビットマップ
500 ハードウェアアクセラレータ
501 入力インタフェース
502 出力インタフェース
503 レーダデータメモリ
504 ビットマップメモリ
505 設定レジスタ
506 ビットマップ
507 リスト
508 ハードウェアカウンタの上位ビット
509 ハードウェアカウンタの下位ビット
510 比較論理回路
511 リスト生成論理回路
512 ハードウェアカウンタ
600 統合型レーダ信号処理回路
601 信号処理ユニット
602 ピーク検出ユニット
603,604 ピーク検出サブユニット
605 ハードウェアアクセラレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】