(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048162
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】クーポン管理装置及びクーポンの管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20230331BHJP
【FI】
G06Q30/02 320
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157310
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】500165795
【氏名又は名称】ネットパイロティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117592
【弁理士】
【氏名又は名称】土生 哲也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴大
(72)【発明者】
【氏名】山田 光太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】 発行後に任意のタイミングで有効化できるクーポンを発行可能とする。
【解決手段】 顧客端末40で発行されるクーポンは、クーポンの使用を可能にするための有効化が未済の状態で発行され、発行されたクーポンに関する情報はクーポン管理サーバ10で管理される。発行されたクーポンの有効化は、管理者端末30からの有効化の承認により実行されるが、あらかじめ設定された有効化期限の到来までに有効化が未済の場合は、クーポン管理サーバ10によって有効化の処理が自動的に実行される。クーポンが有効化され使用可能になると、その旨が顧客端末50に通知されて、顧客が顧客端末50やレジ端末60で使用可能となったクーポンを提示して対象商品を購入すると、クーポン管理サーバ10でクーポンの有効性が確認されることを条件に、所定の特典が顧客に付与される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新たなクーポンが発行されると、クーポンの使用を可能にするための有効化が未済であることを含む前記クーポンに関する情報を、発行済みのクーポンに関する情報を格納するクーポン発行情報格部に登録するクーポン発行手段と、
クーポンの管理者がクーポンの有効化を承認した情報を受け付けると、前記クーポン発行情報格納部に格納された有効化が承認されたクーポンに関する情報を対象に、前記クーポンを有効化する処理を実行するクーポン有効化処理手段と、
クーポンの使用承認に関する要求を受信すると、前記クーポン発行情報格納部に格納された前記使用承認を要求されたクーポンに関する情報を参照して、クーポンの有効化が実行済みであることを含む使用承認に必要な所定の条件を満たすことが確認されると、前記クーポンの使用を承認する回答を返信するクーポン使用承認手段と、
を備えることを特徴とするクーポン管理装置。
【請求項2】
前記クーポン発行手段が登録する新たに発行されたクーポンに関する情報には、有効化の期限が設定されていて、
前記クーポン発行情報格納部に格納されたクーポンに関する情報から、有効化が未済と判断されるクーポンの有効化期限の到来が確認されると、前記クーポンに関する情報を対象に、前記クーポンを有効化する処理を実行する第2のクーポン有効化処理手段を備えること
を特徴とする請求項1記載のクーポン管理装置。
【請求項3】
前記クーポン発行情報格納部に格納されたクーポンに関する情報には、前記クーポンを有効化する処理が実行された時を起点にした所定の使用期間が設定され、
前記クーポン使用承認手段が確認する使用承認に必要な所定の条件には、クーポンの使用承認に関する要求を受信した時点が前記使用期間内であることが含まれること
を特徴とする請求項1又は2記載のクーポン管理装置。
【請求項4】
前記クーポン発行情報格納部に格納されたクーポンに関する情報には前記クーポンを所有する所有者に関する情報が含まれていて、
前記クーポン発行情報格納部に格納されたクーポンに関する情報を対象に前記クーポンを有効化する処理が実行されると、前記クーポンの所有者に前記クーポンが有効化されたことを通知するための所定の処理を実行するクーポン有効化通知手段を備えること
を特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のクーポン管理装置。
【請求項5】
クーポンの使用を可能にするための有効化が未済の状態で発行されるクーポンを管理するクーポン管理装置が、新たなクーポンが発行されると、有効化が未済であることを含む前記クーポンに関する情報を、発行済みのクーポンに関する情報を格納するクーポン発行情報格部に登録するクーポン発行ステップと、
前記クーポン管理装置が、クーポンの管理者がクーポンの有効化を承認した情報を受け付けると、前記クーポン発行情報格納部に格納された有効化が承認されたクーポンに関する情報を対象に、前記クーポンを有効化する処理を実行するクーポン有効化処理ステップと、
前記クーポン管理装置が、クーポンの使用承認に関する要求を受信すると、前記クーポン発行情報格納部に格納された前記使用承認を要求されたクーポンに関する情報を参照して、クーポンの有効化が実行済みであることを含む使用承認に必要な所定の条件を満たすことが確認されると、前記クーポンの使用を承認する回答を返信するクーポン使用承認ステップと、
を有することを特徴とするクーポンの管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーポンの使用を可能にするための有効化が未済の状態で発行され、管理者の承認によって発行後に有効化されるクーポンを管理する、クーポン管理装置及びクーポンの管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品の販売やサービスの提供を行うリアルやオンラインの店舗では、商品の販売やサービスの利用を促進するために、代金決済時に提示すると値引きやポイント付与等の特典を受けることができる、クーポンの発行が広く行われている。
【0003】
クーポンの発行において生じる課題への対応として、例えば、店舗によって販売を促進したい商品等やクーポンによって提供可能な特典が相違するため、個々の店舗が自店舗にて使用可能なクーポンの内容を、自店舗の店舗端末から設定することができるクーポン管理システムに関する発明が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、外部の環境に応じて高い効果を期待できるクーポンの条件を設定できるように、その時点での天気や気温、近隣で開催されるイベント等の情報を外部サーバから取得して、その時々の状況に応じたクーポンを発行するクーポン発行システムに関する発明が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-71536号公報
【特許文献2】特開2019-219777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの発明のように、発行するクーポンの内容を柔軟に設定するための様々な技術が提案されているが、発行されたクーポンを使用することが可能な期間は、発行時点から所定の使用期限まで、あるいは使用可能となる所定の日から所定の使用期限までというように、発行時において固定されていることが通常である。
【0007】
その一方で、店舗側の事情として、クーポンの対象商品の売上げが伸びないときや在庫が増えてきたときに、テコ入れを図るためにクーポンを活用したい、その時点では忙しいので来店客を増やしたくないが、暇になってきたタイミングでクーポンによって顧客を呼び込みたいというように、クーポンの発行時点では確定していないタイミングでクーポンを有効化したいという状況も生じ得る。こうしたニーズに対応するために、クーポンの発行後に、任意のタイミングで有効化できる仕組みが求められるところである。
【0008】
本発明は、このような課題に対応するためになされたものであり、クーポンの使用を可能にするための有効化が未済の状態で発行され、管理者の承認によって発行後に有効化されるクーポンを管理する、クーポン管理装置及びクーポンの管理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決する本発明は、新たなクーポンが発行されると、クーポンの使用を可能にするための有効化が未済であることを含む前記クーポンに関する情報を、発行済みのクーポンに関する情報を格納するクーポン発行情報格部に登録するクーポン発行手段と、クーポンの管理者がクーポンの有効化を承認した情報を受け付けると、前記クーポン発行情報格納部に格納された有効化が承認されたクーポンに関する情報を対象に、前記クーポンを有効化する処理を実行するクーポン有効化処理手段と、クーポンの使用承認に関する要求を受信すると、前記クーポン発行情報格納部に格納された前記使用承認を要求されたクーポンに関する情報を参照して、クーポンの有効化が実行済みであることを含む使用承認に必要な所定の条件を満たすことが確認されると、前記クーポンの使用を承認する回答を返信するクーポン使用承認手段と、を備えることを特徴とするクーポン管理装置である。
【0010】
本発明では、発行時点におけるクーポンを有効化未済のステータスで、管理者が有効化を承認した後のクーポンを有効化実行済みのステータスで管理し、クーポンの使用承認の要求に対しては、少なくともクーポンの有効化が実行済みであることを条件に使用を承認する回答を行う構成とすることによって、発行後に任意のタイミングで有効化できるクーポンの発行を可能にしている。
【0011】
尚、本発明において発行されるクーポンについて、電子クーポン、紙等の物理媒体のクーポンなどの発行形態は、特に限定されるものではない。また、値引きやポイント付与、対象商品等の指定などのクーポンの内容も、特に限定されるものではない。
【0012】
また、本発明は、前記クーポン発行手段が登録する新たに発行されたクーポンに関する情報には、有効化の期限が設定されていて、前記クーポン発行情報格納部に格納されたクーポンに関する情報から、有効化が未済と判断されるクーポンの有効化期限の到来が確認されると、前記クーポンに関する情報を対象に、前記クーポンを有効化する処理を実行する第2のクーポン有効化処理手段を備えることを特徴とすることもできる。
【0013】
このように構成すると、クーポンの管理者が有効化のタイミングを逸したり、有効化に必要な処理を失念したりしてしまった場合にも、所定の期限内に必ずクーポンを有効化する処理が実行されるので、顧客に不利益を与えてしまうリスクを回避することが可能になる。
【0014】
また、本発明は、前記クーポン発行情報格納部に格納されたクーポンに関する情報には、前記クーポンを有効化する処理が実行された時を起点にした所定の使用期間が設定され、前記クーポン使用承認手段が確認する使用承認に必要な所定の条件には、クーポンの使用承認に関する要求を受信した時点が前記使用期間内であることが含まれることを特徴とすることもできる。
【0015】
このように構成すると、有効化のタイミングに関わらず、クーポンの使用が可能な一定の期間が必ず確保されるので、有効化のタイミングが遅くなることによってクーポンの使用可能期間が大幅に短縮されてしまうといった、顧客に想定外の不利益が生じるリスクを回避することが可能になる。
【0016】
また、本発明は、前記クーポン発行情報格納部に格納されたクーポンに関する情報には前記クーポンを所有する所有者に関する情報が含まれていて、前記クーポン発行情報格納部に格納されたクーポンに関する情報を対象に前記クーポンを有効化する処理が実行されると、前記クーポンの所有者に前記クーポンが有効化されたことを通知するための所定の処理を実行するクーポン有効化通知手段を備えることを特徴とすることもできる。
【0017】
このように構成すると、顧客が気づかないうちにクーポンが有効化されて、クーポンの使用が可能な期間が経過してしまうといった不利益が生じるリスクを低減することが可能になる。
【0018】
本発明は、本発明に係るクーポン管理装置によって実行される、クーポンの管理方法として特定することもできる。
【0019】
本発明に係るクーポンの管理方法は、クーポンの使用を可能にするための有効化が未済の状態で発行されるクーポンを管理するクーポン管理装置が、新たなクーポンが発行されると、有効化が未済であることを含む前記クーポンに関する情報を、発行済みのクーポンに関する情報を格納するクーポン発行情報格部に登録するクーポン発行ステップと、前記クーポン管理装置が、クーポンの管理者がクーポンの有効化を承認した情報を受け付けると、前記クーポン発行情報格納部に格納された有効化が承認されたクーポンに関する情報を対象に、前記クーポンを有効化する処理を実行するクーポン有効化処理ステップと、前記クーポン管理装置が、クーポンの使用承認に関する要求を受信すると、前記クーポン発行情報格納部に格納された前記使用承認を要求されたクーポンに関する情報を参照して、クーポンの有効化が実行済みであることを含む使用承認に必要な所定の条件を満たすことが確認されると、前記クーポンの使用を承認する回答を返信するクーポン使用承認ステップと、を有することを特徴とするクーポンの管理方法である。
【0020】
また、本発明に係るクーポンの管理方法は、先に説明した各々の構成を備える本発明に係るクーポン管理装置によって実行される、クーポンの管理方法として特定することもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、クーポンの使用を可能にするための有効化が未済の状態で発行されたクーポンを、発行後の管理者が判断する任意のタイミングで有効化することが可能になる。そのため、クーポンを発行する店舗等は、各々の店舗等の事情に応じた集客や販売を促進したいタイミングで、クーポンの使用を可能にすることができるので、クーポンの柔軟かつ効果的な活用が可能になる。
【0022】
また、有効化のタイミングが未確定のクーポンを受け取った顧客は、いつクーポンを使用できるようになるかが楽しみとなって、クーポンに従来にはない娯楽性を持たせる効果を期待することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係るクーポン管理装置の実施形態の概要を示す図である。
【
図2】本発明に係るクーポン管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明において、有効化未済の状態でクーポンが発行された後に、顧客端末に配信される画面の一例を示す図である。
【
図4】本発明に係るクーポン管理装置のクーポン発行情報格納部に格納される情報の第1の例を示す図である。
【
図5】本発明に係るクーポン管理装置のクーポン発行情報格納部に格納される情報の第2の例を示す図である。
【
図6】本発明に係るクーポン管理装置による、有効化期限が到来したクーポンの自動有効化の処理フローを示すフローチャートである。
【
図7】本発明によって発行されるクーポンの有効化期限と有効化のタイミング、使用期間の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下の説明は、本発明の実施形態の一例を示したものであって、本発明はここに例示した実施形態に限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明に係るクーポン管理装置の実施形態の概要を示している。
図1において、クーポン管理サーバ10が本発明に係るクーポン管理装置に対応する。
【0026】
クーポン管理サーバ10は、小売業者サーバ20、管理者端末30、顧客端末40とインターネット等のネットワークを介して接続することができる。小売業者サーバ20は、顧客端末50、レジ端末60とインターネット等のネットワークを介して接続することができるが、クーポン管理サーバ10と小売業者サーバ20の機能を一体で形成して、顧客端末50、レジ端末60がクーポン管理サーバ10に直接接続される構成としてもよい。
【0027】
リアルやオンラインの店舗で商品を購入する顧客が、自らのスマートフォンや店舗に設置されたKIOSK端末等の顧客端末40を操作してクーポン管理サーバ10にアクセスすると、顧客が所定の商品を購入する際(代金の支払いを伴うものであればサービスの利用が対象であってもよい)に使用して、値引きやポイント付与等の特典を受けることが可能なクーポンが発行される。
【0028】
発行されるクーポンは、スマートフォンのアプリ等に電子的に表示される電子クーポンでも、KIOSK端末から出力される紙等の物理媒体のクーポンであってもよい。発行されるクーポンにはクーポンを識別するクーポンコードが割り当てられ、そのクーポンコードを読み取れるように、例えば、電子クーポンであれば、英数字等から構成される目視で読み取り可能なクーポンコードが電子クーポンの画面に表示され、物理媒体のクーポンであれば、スキャナで読み取り可能なバーコート化、あるいは二次元コード化されたクーポンコードが券面に印字されることとすればよい。
【0029】
ここで本発明において用いられるクーポンは、クーポンの使用を可能にするための有効化が未済の状態で発行されることを特徴としており、有効化の処理が実行されるまでは、リアルやオンラインの店舗で提示しても使用することができず、値引きやポイント付与等の特典を受けることができない。クーポンを有効化する処理は、クーポンを発行した店舗等の管理者が、管理者端末30から有効化を承認する所定の操作を行うことによって実行される。
【0030】
クーポン管理サーバ10で、管理者がクーポンの有効化を承認した情報を受け付けると、承認されたクーポンを有効化する処理が実行される。クーポンが有効化されたことは、スマートフォンやパーソナルコンピュータ等の顧客が所持する顧客端末50に通知されて、顧客はクーポンが使用可能となったと知ることができる。
【0031】
また、本発明において用いられるクーポンには、遅くともその時点までには有効化が実行される有効化の期限が設定されていて、有効化の期限が到来しても有効化の処理が実行されていないクーポンについては、有効化の期限が到来するタイミングで、クーポン管理サーバ10で自動的に有効化の処理が実行される。これによって、管理者が有効化を承認するタイミングを逸したり、有効化に必要な処理を失念したりしてしまった場合にも、有効化の期限までには必ずクーポンが有効化されるので、クーポンがいつまでも使用可能にならず顧客に不利益を与えてしまう事態を回避することができる。このように自動的に有効化が実行されるケースにおいても、クーポンが有効化されたことを顧客端末50に通知することが好ましい。
【0032】
クーポンが有効化された後に、顧客がオンラインの店舗を利用して顧客端末50でクーポンの対象商品の購入代金を決済する際、あるいは顧客がリアルの店舗を利用してレジ端末60でクーポンの対象商品の購入代金を決済する際にクーポンを提示すると、小売業者サーバ20はクーポン管理サーバ10に提示されたクーポンの使用承認を要求する。クーポンの有効化が実行済みであることを含むクーポンの使用承認に必要な所定の条件を満たしていることが確認されると、購入代金に対して値引きやポイント付与等の特典が適用されることになる。
【0033】
図2は、本発明に係るクーポン管理装置の構成の一例を、機能ブロックで示したブロック図である。
図2においても、クーポン管理サーバ10が本発明に係るクーポン管理装置に対応する。クーポン管理サーバ10は、小売業者サーバ20、管理者端末30、顧客端末40とインターネット等のネットワークを介して接続することができる。小売業者サーバ20は、顧客端末50、レジ端末60とインターネット等のネットワークを介して接続することができる。
【0034】
クーポン管理サーバ10は、インターネット等のネットワークに接続されたサーバコンピュータで、CPU、メインメモリ、HDDやSSD等の補助記憶装置が備えられている。クーポン管理サーバ10では、補助記憶装置に格納されたプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって所定の機能が実現される。
【0035】
クーポン管理サーバ10を構成するコンピュータの物理的な構成は特に限定されるものではなく、本発明におけるクーポンの管理以外の機能が、同一のコンピュータに備えられるものであってもよく、例えば、決済承認や販売管理等の機能を備えた小売業者サーバ20と一体で形成され、顧客端末50やレジ端末60とネットワークを介して直接接続される構成としてもよい。また、本発明に必要な各々の機能は、物理的に一台のコンピュータによって実現されるものであってもよいし、複数のコンピュータが連携して実現されるものであってもよい。
【0036】
クーポン管理サーバ10のクーポン発行部14、有効化受付部15、自動有効化処理部16、有効化通知部17、クーポン使用承認部18は、いずれも機能的に特定されるものであって、HDDやSSD等の補助記憶装置に格納された各部の機能に対応するプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、各部に対応する機能が実現される。
【0037】
クーポン管理サーバ10の顧客情報格納部11、クーポン情報格納部12、クーポン発行情報格納部13には、HDDやSSD等の補助記憶装置の所定の記憶領域が割り当てられる。これらの記憶領域は物理的に一台のコンピュータに設けられることを必須の要件とするものではなく、データベースサーバを構成するコンピュータ等の複数のコンピュータに設けられるものであってもよい。
【0038】
小売業者サーバ20も、インターネット等のネットワークに接続されたサーバコンピュータで、小売業者サーバ20のCPU、メインメモリ、HDDやSSD等の補助記憶装置によって所定の機能が実現される。本発明においては、顧客端末50やレジ端末60からのクーポンの使用承認の要求とそれに対するクーポン管理サーバ10からの回答を中継する機能を備える必要があるが、その他の機能や構成は特に限定されるものではない。
【0039】
管理者端末30は、クーポンの有効化を承諾するために必要な操作を行うことが可能な、クーポン管理サーバ10とインターネット等のネットワークを介して情報を送受信することが可能なネットワーク端末であるが、その構成は特に限定されるものではなく、パーソナルコンピュータ等のネットワーク端末を用いることとすればよい。
【0040】
顧客端末40は、クーポン管理サーバ10とインターネット等のネットワークを介して情報を送受信して、クーポンを出力することが可能なネットワーク端末であるが、その構成は特に限定されるものではない。例えば、リアルの店舗であれば、店舗に設置されたKIOSK端末を顧客端末40に用いて、紙等の物理媒体のクーポンを出力することとすればよいし、オンラインの店舗であれば、顧客が所持するスマートフォンやタブレット端末等を顧客端末40に用いて、電子媒体のクーポンを顧客端末40の画面に表示させることとすればよい。
【0041】
顧客端末50とレジ端末60は、顧客がクーポンを使用して商品等を購入する際に用いられるが、オンラインの店舗を利用する場合には、顧客が所持するスマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等のネットワーク端末が顧客端末50として用いられ、顧客端末50は顧客端末40と同一の端末であってもよい。リアルの店舗を利用する場合には、顧客が代金を決済する店舗内に設置された、POSレジ等のレジ端末60が用いられる。
【0042】
以上の構成を前提にして、クーポンの発行後、クーポンが有効化され、使用されるまでの流れについて、
図3-7を用いて、詳しく説明する。
【0043】
オンラインのショッピングサイト、あるいはリアルの店舗を訪れた顧客が、顧客端末40からクーポン管理サーバ10にアクセスすると、クーポン管理サーバ10ではクーポン発行部14が起動されて、所定の手順に沿ってクーポンが発行される。
【0044】
このときに、顧客端末40がスマートフォンであればアプリでログインする操作、KIOSK端末であればポイントサービスの会員カードを読み取らせる操作等によって、顧客を識別するために必要な顧客ID等の識別情報がクーポン管理サーバ10に送信される。この情報を受信したクーポン発行部14では、顧客情報格納部11に格納された認証情報を用いて顧客を認証する処理が行われる。ここで発行されるクーポンを選択する方法は特に限定されるものではないが、例えば、認証された顧客の属性や嗜好等に基づいて選択された商品等を対象にしたクーポンに関する情報をクーポン情報格納部12から呼び出して、当該クーポンを出力するためのデータを顧客端末40に送信することとすればよい。
【0045】
本発明では、このようにして発行される新たなクーポンについて、発行時点ではクーポンの使用を可能にするための有効化が未済であることを特徴としており、有効化の処理が実行されるまでは、リアルやオンラインの店舗で提示しても使用することができず、値引きやポイント付与等の特典を受けることができない。顧客に対して新たなクーポンが発行されると、クーポン発行部14は、クーポンの使用を可能にするための有効化が未済であることを含む当該クーポンに関する情報を、発行済みのクーポンに関する情報を格納するクーポン発行情報格部13に登録する。
【0046】
図3は、有効化が未済の状態でクーポンが発行された後に、顧客端末40に配信される画面の一例を示したものである。顧客には、発行されたクーポンが、その時点では未確定の日に使用可能となることが伝えられるので、顧客にはいつ使えるようになるかを楽しみに待つことができるという、従来のクーポンにはない娯楽的な効果を生じさせることが期待できる。こうした情報の配信は、顧客がKIOSK端末からクーポンの発行を受けた場合にも、物理媒体のクーポンに同様の情報を印字することとしてもよいし、別途顧客が所持するスマートフォンに対して、電子メールやアプリのプッシュ機能等を用いて配信することとしてもよい。
【0047】
有効化が未済の状態で発行されたクーポンを有効化する処理は、クーポンを発行した店舗等の管理者が、管理者端末30から有効化を承認する所定の操作を行い、管理者が有効化を承認した情報を有効化受付部15で受け付けることによって実行される。具体的には、クーポン発行情報格部13に格納された有効化が承認されたクーポンに関する情報に、有効化を示すフラグを立てる等の処理が実行される。
【0048】
図4は、
図2のクーポン発行情報格納部13に格納される発行済みのクーポンに関する情報の一例を示しているが、発行済みのクーポン毎に設けられたレコードには、各々のクーポンの対象商品を示す商品コードや特典内容、クーポンを受け取った顧客を識別する顧客IDやクーポンの使用が可能な店舗の店舗ID(使用可能な店舗を制限しない場合は店舗IDの指定は不要である。)等の情報の他に、有効化の状態を示す「有効化」のフィールドが設けられている。ここに記録されている有効化が未済であることを示す「0」を、有効化が実行済みであることを示す「1」に更新することで有効化の処理が実行されて、有効化されたクーポンコードにより識別されるクーポンが使用可能な状態となる。
【0049】
図5は、
図2のクーポン発行情報格納部13に格納される発行済みのクーポンに関する情報について、他の例を示したものであるが、ここに示している例のように、有効化が未済のクーポンには仮コードを割り当てて各々の情報を管理し、有効化の処理が実行されると新たなレコードを設けて有効化されたクーポンに関する情報を管理する構成とすることもできる。有効化の前後におけるクーポンに関する情報の管理については、他にも様々なデータ構造を採用し得るが、一のクーポンについて発行から有効化、使用までの一連の流れを把握可能なものとする必要があるので、本発明では、データ構造の如何に関わらず、発行済みの一のクーポンに関する一連の情報を、一のクーポンに関する情報として扱うものとする。
【0050】
以上のようにして、発行時には有効化が未済であったクーポンを有効化する処理が実行されると、有効化通知部17が起動され、クーポンを受け取った顧客が所持する顧客端末50に対して、クーポンが使用可能となったことが通知される。顧客端末50への通知の方法は特に限定されるものではないが、例えば、顧客情報格納部11に格納された顧客IDに対応する顧客情報に含まれるメールアドレスや携帯電話番号に、電子メールやショートメールを発信することとしてもよいし、顧客がスマートフォンフォンのアプリ等からログインしてマイページ等にアクセスした際に、「新着」の警告やポップアップ等の手段によって当該通知が表示されることとしてもよい。
【0051】
顧客が有効化されたクーポンを使用して商品等を購入する際には、オンラインショップを利用する場合であれば、顧客端末50でクーポンの対象商品の購入代金を決済する際にクーポンコードを入力すると、当該クーポンコードが小売業者サーバ20に送信される。リアルの店舗を利用する場合であれば、レジ端末60でクーポンの対象商品の購入代金を決済する際に物理媒体のクーポンを提示すると、クーポンの券面に表示された二次元コード等からクーポンコードが読み取られて、小売業者サーバ20に送信される。
【0052】
小売業者サーバ20では、顧客端末50やレジ端末60から受信したクーポンコードを含むクーポンの使用承認に関する要求をクーポン管理サーバ10に送信する。この要求を受信したクーポン管理サーバ10では、クーポン使用承認部18が起動されて、使用承認を要求されたクーポンコードに対応するクーポン発行情報格納部13に格納されたクーポン情報を参照して、クーポンの有効化が実行済みであることを含む使用承認に必要な所定の条件(クーポンの対象商品と購入する商品の商品コードの一致や、使用期限が到来していないこと等)を満たすことが確認されると、当該クーポンの使用を承認する回答を小売業者サーバ20に返信する。一方、クーポンの有効化が未済である場合には、使用を拒否する回答が小売業者サーバ20に返信される。
【0053】
以上のように、本発明において用いられるクーポンが使用可能となるためには、有効化の処理が実行されることが必要となるが、発行された各々のクーポンには、遅くともその時点までには有効化が実行される有効化の期限が設定されていて、クーポン発行情報格納部13に格納される発行済みの各々のクーポンに関する情報にも、有効化の期限に関する情報が記録されている(
図4では「有効化期限」、
図5では「発効期限」のフィールドが該当する)。
【0054】
図6のフローチャートは、本発明において、有効化期限が到来したクーポンを対象に、自動有効化の処理を実行するフローを示している。クーポン管理サーバ10では、例えば営業日毎といった所定のタイミングで自動有効化処理部16が起動されて、
図6のフローチャートに示した処理が実行される。
【0055】
自動有効化処理部16が起動されると、クーポン発行情報格納部13に格納された発行済みで使用未済の(使用済みフラグが立てられていない)一のクーポンに関する情報が選択されて(S1)、有効化が未済か否か確認される(S2)。有効化フラグが立てられている等、有効化が実行済みであると確認された場合は(S2がNo)、次のクーポンに関する情報が選択される(S2)。一方、有効化が未済であると確認された場合は(S2がYes)、有効化の期限が到来しているか否か確認される(S3)。
【0056】
有効化の期限が到来していないと確認された場合は(S3がNo)、次のクーポンに関する情報が選択される(S2)。一方、有効化の期限が到来していると確認された場合は(S3がYes)、有効化の処理が実行される(S4)。有効化の処理の具体的な方法は、先に説明した管理者の承認によって有効化される場合と同様であり、特に限定されるものではない。さらに、有効化通知部17が起動されて、顧客が所持するクーポンが有効化されたことが顧客端末50に通知されるが(S5)、その具体的な方法についても、先に説明した管理者の承認によって有効化される場合と同様である。
【0057】
以上の自動有効化の処理が、発行済みかつ使用未済の全てのクーポンに関する情報を対象に実行されるが、これによって本発明では、管理者が有効化を承認するタイミングを逸したり、有効化に必要な処理を失念したりしてしまった場合にも、有効化の期限までには必ずクーポンが有効化され、クーポンがいつまでも使用可能にならず顧客に不利益を与えてしまう事態を回避することが可能な構成が実現されている。
【0058】
ところで、店舗等で発行されるクーポンには使用期限が設けられることが通常であるが、本発明におけるクーポンの使用期限は、各々のクーポンが有効化されたタイミングを起点に設定されることが好ましい。
【0059】
図7は、本発明によって発行されるクーポンの有効化期限と有効化のタイミング、使用期間の関係を例示したものであるが、有効化の期限が発行から1ヶ月以内に設定されたクーポンについて、使用可能な期間が2ヶ月間と定められていれば、管理者の承認によってクーポンが有効化された場合には、そのタイミングを起点に2ヶ月間がクーポンの使用期間に設定され、使用期間の最終日となる使用期限がクーポン発行情報格納部13に格納された当該クーポンに関する情報に書き込まれる。有効化期限内に管理者による承認が行われず、クーポンが自動的に有効化された場合には、発行から1ヶ月後の有効化の期限を起点に2ヶ月間がクーポンの使用期間に設定され、使用期間の最終日となる使用期限がクーポン発行情報格納部13に格納された当該クーポンに関する情報に書き込まれる。
【0060】
このように、本発明では、有効化の処理が実行されたタイミングに関わらず、有効化のタイミングを起点に使用期間を設定することによって、クーポンの使用が可能な一定の期間が必ず確保されることになるので、有効化のタイミングが遅くなることによってクーポンの使用可能期間が大幅に短縮されてしまうといった、顧客に想定外の不利益が生じるリスクを回避することが可能な構成が実現されている。
【符号の説明】
【0061】
10 クーポン管理サーバ
11 顧客情報格納部
12 クーポン情報格納部
13 クーポン発行情報格納部
14 クーポン発行部
15 有効化受付部
16 自動有効化処理部
17 有効化通知部
18 クーポン使用承認部
20 小売業者サーバ
30 管理者端末
40 顧客端末
50 顧客端末
60 レジ端末
【手続補正書】
【提出日】2023-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新たなクーポンが発行されると、前記クーポンの使用を可能にするための有効化が未済であることと、前記クーポンに設定された有効化の期限とを含む前記クーポンに関する情報を、発行済みのクーポンに関する情報を格納するクーポン発行情報格部に登録するクーポン発行手段と、
クーポンの管理者がクーポンの有効化を承認した情報を受け付けると、前記クーポン発行情報格納部に格納された有効化が承認されたクーポンに関する情報を対象に、前記クーポンを有効化する処理を実行する第1のクーポン有効化処理手段と、
前記クーポン発行情報格納部に格納されたクーポンに関する情報から、有効化が未済と判断されるクーポンの有効化の期限の到来が確認されると、前記クーポンに関する情報を対象に、前記クーポンを有効化する処理を実行する第2のクーポン有効化処理手段と、
クーポンの使用承認に関する要求を受信すると、前記クーポン発行情報格納部に格納された前記使用承認を要求されたクーポンに関する情報を参照して、クーポンの有効化が実行済みであることを含む使用承認に必要な所定の条件を満たすことが確認されると、前記クーポンの使用を承認する回答を返信するクーポン使用承認手段と、
を備えることを特徴とするクーポン管理装置。
【請求項2】
新たなクーポンが発行されると、前記クーポンの使用を可能にするための有効化が未済であることと、前記クーポンに設定された前記クーポンを有効化する処理が実行された時を起点にした所定の使用期間とを含む前記クーポンに関する情報を、発行済みのクーポンに関する情報を格納するクーポン発行情報格部に登録するクーポン発行手段と、
クーポンの管理者がクーポンの有効化を承認した情報を受け付けると、前記クーポン発行情報格納部に格納された有効化が承認されたクーポンに関する情報を対象に、前記クーポンを有効化する処理を実行するクーポン有効化処理手段と、
クーポンの使用承認に関する要求を受信すると、前記クーポン発行情報格納部に格納された前記使用承認を要求されたクーポンに関する情報を参照して、クーポンの有効化が実行済みであることと、クーポンの使用承認に関する要求を受信した時点が前記クーポンに設定された使用期間内であることとを含む、使用承認に必要な所定の条件を満たすことが確認されると、前記クーポンの使用を承認する回答を返信するクーポン使用承認手段と、
を備えることを特徴とするクーポン管理装置。
【請求項3】
前記クーポン発行情報格納部に格納されたクーポンに関する情報には、前記クーポンに設定された前記クーポンを有効化する処理が実行された時を起点にした所定の使用期間が含まれ、
前記クーポン使用承認手段が確認する使用承認に必要な所定の条件には、クーポンの使用承認に関する要求を受信した時点が前記クーポンに設定された使用期間内であることが含まれること
を特徴とする請求項1記載のクーポン管理装置。
【請求項4】
クーポンの使用を可能にするための有効化が未済の状態で発行されるクーポンを管理するクーポン管理装置が、新たなクーポンが発行されると、前記クーポンの有効化が未済であることと、前記クーポンに設定された有効化の期限とを含む前記クーポンに関する情報を、発行済みのクーポンに関する情報を格納するクーポン発行情報格部に登録するクーポン発行ステップと、
前記クーポン管理装置が、クーポンの管理者がクーポンの有効化を承認した情報を受け付けると、前記クーポン発行情報格納部に格納された有効化が承認されたクーポンに関する情報を対象に、前記クーポンを有効化する処理を実行する第1のクーポン有効化処理ステップと、
前記クーポン管理装置が、前記クーポン発行情報格納部に格納されたクーポンに関する情報から、有効化が未済と判断されるクーポンの有効化の期限の到来が確認されると、前記クーポンに関する情報を対象に、前記クーポンを有効化する処理を実行する実行する第2のクーポン有効化処理ステップと、
前記クーポン管理装置が、クーポンの使用承認に関する要求を受信すると、前記クーポン発行情報格納部に格納された前記使用承認を要求されたクーポンに関する情報を参照して、クーポンの有効化が実行済みであることを含む使用承認に必要な所定の条件を満たすことが確認されると、前記クーポンの使用を承認する回答を返信するクーポン使用承認ステップと、
を有することを特徴とするクーポンの管理方法。
【請求項5】
クーポンの使用を可能にするための有効化が未済の状態で発行されるクーポンを管理するクーポン管理装置が、新たなクーポンが発行されると、前記クーポンの有効化が未済であることと、前記クーポンに設定された前記クーポンを有効化する処理が実行された時を起点にした所定の使用期間とを含む前記クーポンに関する情報を、発行済みのクーポンに関する情報を格納するクーポン発行情報格部に登録するクーポン発行ステップと、
前記クーポン管理装置が、クーポンの管理者がクーポンの有効化を承認した情報を受け付けると、前記クーポン発行情報格納部に格納された有効化が承認されたクーポンに関する情報を対象に、前記クーポンを有効化する処理を実行するクーポン有効化処理ステップと、
前記クーポン管理装置が、クーポンの使用承認に関する要求を受信すると、前記クーポン発行情報格納部に格納された前記使用承認を要求されたクーポンに関する情報を参照して、クーポンの有効化が実行済みであることと、クーポンの使用承認に関する要求を受信した時点が前記クーポンに設定された使用期間内であることとを含む、使用承認に必要な所定の条件を満たすことが確認されると、前記クーポンの使用を承認する回答を返信するクーポン使用承認ステップと、
を有することを特徴とするクーポンの管理方法。