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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048177
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】散水システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/42 20110101AFI20230331BHJP
   C02F 1/48 20230101ALI20230331BHJP
   C02F 5/00 20230101ALI20230331BHJP
【FI】
F24F1/42
C02F1/48 B
C02F5/00 610B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157341
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】井上 繁人
(72)【発明者】
【氏名】久保田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
【テーマコード(参考)】
3L054
4D061
【Fターム(参考)】
3L054BA05
4D061DA03
4D061DB05
4D061DB08
4D061EA02
4D061EB02
(57)【要約】
【課題】コストの低減を図ることが可能な散水システムを提供する。
【解決手段】水中に存在する粒子の表面電位を中性又はマイナスに変える水処理装置110と、前記水処理装置110によって処理された水を空調装置の室外機6に散水する散水装置120と、を具備した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に存在する粒子の表面電位を中性又はマイナスに変える水処理装置と、
前記水処理装置によって処理された水を空調装置の室外機に散水する散水装置と、
を具備する散水システム。
【請求項2】
前記水処理装置は、
集合住宅の複数の住戸へと水を案内する配管のうち、複数の前記住戸のそれぞれへと分岐する分岐点よりも上流側に配置され、
前記散水装置は、
前記住戸に設置された前記室外機に設けられる、
請求項1に記載の散水システム。
【請求項3】
前記散水装置は、
前記室外機に対して、霧状の水を散水する第一散水部と、
前記室外機に対して、前記第一散水部により散水される水の粒径よりも大きい粒径の水を散水する第二散水部と、
を具備する、
請求項1又は請求項2に記載の散水システム。
【請求項4】
前記第一散水部及び前記第二散水部の動作を制御する制御部をさらに具備し、
前記制御部は、
前記第一散水部による散水を行った後に、前記第二散水部による散水を行う第一制御を実行可能である、
請求項3に記載の散水システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第一散水部による散水を行うことなく、前記第二散水部による散水のみを行う第二制御を実行可能である、
請求項4に記載の散水システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記空調装置が冷房運転する場合に前記第一制御を実行可能であり、
前記空調装置が暖房運転する場合に前記第二制御を実行可能である、
請求項5に記載の散水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置の室外機に散水する散水システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調装置の室外機に散水する散水システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の冷却装置(散水システム)は、逆浸透膜処理装置(RO処理装置)において不純物の取り除かれた処理水(RO処理水)を、散水ノズルから室外機に向けて散水することができる。このように純度の高い処理水を室外機に散水することで、室外機にスケールが付着するのを防止しながら、室外機を冷却することができる。
【0004】
特許文献1に記載のような散水システムは、マンション等の集合住宅に適用することも想定される。しかし上述の散水システムは、逆浸透膜処理装置(RO処理装置)のイニシャルコストや、RO膜の定期的な交換などのランニングコストが比較的高いため、マンション等の一般の住宅には適用し難い。特にマンション等の集合住宅に上記散水システムを適用する場合には、逆浸透膜処理装置(RO処理装置)の費用を各住戸における処理水の使用量に応じて徴収するために、各住戸の処理水の使用量を検出する水道メータを設ける必要があり、さらなるコストの増大が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許5551927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、コストの低減を図ることが可能な散水システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、水中に存在する粒子の表面電位を中性又はマイナスに変える水処理装置と、前記水処理装置によって処理された水を空調装置の室外機に散水する散水装置と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記水処理装置は、集合住宅の複数の住戸へと水を案内する配管のうち、複数の前記住戸のそれぞれへと分岐する分岐点よりも上流側に配置され、前記散水装置は、前記住戸に設置された前記室外機に設けられるものである。
【0010】
請求項3においては、前記散水装置は、前記室外機に対して、霧状の水を散水する第一散水部と、前記室外機に対して、前記第一散水部により散水される水の粒径よりも大きい粒径の水を散水する第二散水部と、を具備するものである。
【0011】
請求項4においては、前記第一散水部及び前記第二散水部の動作を制御する制御部をさらに具備し、前記制御部は、前記第一散水部による散水を行った後に、前記第二散水部による散水を行う第一制御を実行可能であるものである。
【0012】
請求項5においては、前記制御部は、前記第一散水部による散水を行うことなく、前記第二散水部による散水のみを行う第二制御を実行可能であるものである。
【0013】
請求項6においては、前記制御部は、前記空調装置が冷房運転する場合に前記第一制御を実行可能であり、前記空調装置が暖房運転する場合に前記第二制御を実行可能であるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係る散水システム及びそれが適用された集合住宅の全体的な構成を示した模式図。
図2】(a)室外機に設けられた散水装置を示した正面模式図。(b)同じく、側面模式図。
図3】散水システムの制御態様の一例を示したフローチャート。
図4図3の続きを示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の一実施形態に係る散水システム100について説明する。
【0017】
本実施形態では、散水システム100をマンション等の集合住宅Hに用いた例を示している。したがって、以下ではまず、集合住宅Hの水道設備の概要について説明する。
【0018】
図1に示すように、水道局Wから集合住宅Hへと供給される上水は、水道メータ1によって流量が計測され、受水槽2に貯留される。受水槽2に貯留された上水は、分岐点Pにおいて分岐された配管を介して集合住宅Hの各住戸(住戸H1、H2、H3・・)へと供給される。なお本実施形態では、分岐点Pの上流側に後述する水処理装置110が設置される。図1では住戸H1の水道設備のみ図示し、他の住戸については図示を省略している。以下では住戸H1に着目して水道設備の説明を行う。
【0019】
住戸H1に供給された上水は、各戸水道メータ3によって流量が計測される。各戸水道メータ3で流量が計測された上水は、2つの配管に分岐される。各戸水道メータ3から一方の配管へと供給された上水は、給湯器4に供給され、適宜加熱された後で給湯管L1を介して給湯設備5に供給される。各戸水道メータ3からもう一方の配管(給水管L2)へと供給された上水は、給湯器4を介することなく給湯設備5に供給される。
【0020】
給湯設備5には、例えば、風呂、洗面台、洗濯機、トイレ、シンク等が含まれる。給湯設備5では、給湯器4により加熱された比較的高温の上水と、給湯器4で加熱されていない比較的低温の上水とを混合させ、所望の温度となった上水を利用することができる。給湯設備5で利用された上水は、配管(排水管L3)を介して下水道へと排出される。
【0021】
また、給水管L2は分岐され、住戸H1に設置された空調装置(エアコン)の室外機6へと散水される。室外機6に上水を散水することによって、室外機6の温度調節(冷却等)を行うことができる。室外機6の温度調節を行うことで、空調装置の省エネ化を図ることができる。なお本実施形態では、後述する散水装置120によって室外機6への散水が行われる。
【0022】
次に、散水システム100の構成について説明する。散水システム100は、集合住宅Hの各住戸の室外機6に対して散水を行うことで、空調装置の省エネ化を図るものである。散水システム100は、主として水処理装置110及び散水装置120を具備する。
【0023】
水処理装置110は、水中に存在する不純物(粒子)の表面電位を中性又はマイナスに変えることが可能な装置である。水処理装置110は、受水槽2から各住戸へと上水を供給する配管の中途部(より詳細には、分岐点Pよりも上流側)に設けられる。水処理装置110は、配管の外側に巻きつけたコイルに微小の変調された電流を流すことで電子を発生させ、水中の粒子(例えば、カルシウム、マグネシウム、シリカ等のミネラル成分の結晶の粒子)の表面電位を、プラスから中性又はマイナスへと変えることができる。これによって当該粒子は、マイナスに帯電した界面(例えば、配管の内壁面や、室外機6の表面等)と反発し合うことになり、粒子が配管や室外機6に付着するのを抑制することができる。
【0024】
なお、以下では水処理装置110によって水中の粒子の表面電位を中性又はマイナスへと変える処理を「水処理」と称する場合がある。また水処理装置110による水処理が行われた水のことを「処理水」と称する場合がある。
【0025】
水処理装置110は、分岐点Pよりも上流側に配置されているため、水処理装置110によって一括して水処理された処理水を、各住戸へと供給することができる。すなわち、複数の住戸で水処理装置110を共有することで、水処理装置110のイニシャルコストやランニングコストの負担を分担して軽減することができる。
【0026】
図1及び図2に示す散水装置120は、給水管L2を介して供給される処理水を、室外機6に散水するものである。図2に示すように、散水装置120は、主として第一散水部121、第二散水部122及び制御部123を具備する。
【0027】
第一散水部121は、処理水を微粒化して噴出するものである。第一散水部121は、主として第一電磁弁121a及び第一ノズル121bを具備する。
【0028】
第一電磁弁121aは、処理水の流通の可否を切り替える開閉弁である。第一電磁弁121aは、後述する制御部123からの電気信号により動作することができる。
【0029】
第一ノズル121bは、処理水を微粒化して噴出する噴出口である。第一ノズル121bとしては、各種のノズル(一流体ノズル、二流体ノズル等)を用いることができる。第一ノズル121bは、第一電磁弁121aに接続される。第一ノズル121bは、第一電磁弁121aを介して供給される処理水を所定の大きさの粒子に調節(微粒化)して、霧状に噴出することができる。
【0030】
第二散水部122は、処理水を微粒化して噴出するものである。第二散水部122は、主として第二電磁弁122a及び第二ノズル122bを具備する。
【0031】
第二散水部122の第二電磁弁122a及び第二ノズル122bの構成は、第一散水部121の第一電磁弁121a及び第一ノズル121bと概ね同様であるため、詳細な説明は省略する。なお本実施形態では、第二ノズル122bにより微粒化される処理水の大きさ(粒径)は、第一ノズル121bにより微粒化される処理水の大きさ(粒径)よりも大きい(粗い)ものとする。
【0032】
第一散水部121及び第二散水部122は、室外機6の上部に設けられる。第一散水部121及び第二散水部122は、ノズル(第一ノズル121b及び第二ノズル122b)を室外機6に向けて配置される。当該ノズルは、室外機6の広範囲に処理水を散水できるような位置に調節される。
【0033】
制御部123は、第一散水部121及び第二散水部122の動作を制御するものである。制御部123は、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置等により構成される。制御部123の記憶装置には、第一散水部121及び第二散水部122の動作を制御するために必要な情報や各種プログラムが記憶されている。
【0034】
制御部123は、第一電磁弁121a及び第二電磁弁122aと電気的に接続される。制御部123は、第一電磁弁121a及び第二電磁弁122aの動作(開閉)を制御することにより、第一散水部121及び第二散水部122からの処理水の散水をそれぞれ任意に行うことができる。
【0035】
また制御部123は、設置された住戸の空調装置(室外機6)と電気的に接続され、空調装置(室外機6)の動作状態(運転しているか、停止しているか)を検知することができる。また制御部123は、空調装置が冷房運転しているか、暖房運転しているか、を判別することができる。
【0036】
次に、上述の如く構成された散水システム100の制御態様(第一制御及び第二制御)について説明する。制御部123は、図3及び図4に示す制御フローを繰り返すことで、適宜室外機6へ処理水を散水することができる。以下、順に説明する。
【0037】
図3に示すステップS101において、制御部123は、空調装置が冷房運転しているか否かを判定する。制御部123は、空調装置が冷房運転している場合、ステップS102に移行する。一方、制御部123は、空調装置が冷房運転していない場合、図4のステップS201に移行する。
【0038】
ステップS102において、制御部123は、第一散水部121による散水を開始する。具体的には、制御部123は、第一電磁弁121aを制御して、第一ノズル121bから処理水を散水する。これによって、第一ノズル121bによって微粒化された霧状の処理水が室外機6に散水される。
【0039】
このように第一ノズル121bにより微粒化された処理水を室外機6に散水することで、処理水の気化熱によって室外機6を冷却することができ、冷房運転を行う空調装置の作動効率を向上させ、ひいては省エネ化を図ることができる。また、水処理装置110によって水処理された処理水中の不純物(粒子)は室外機6に付着し難いため、室外機6にスケールが発生するのを抑制することができる。
【0040】
制御部123は、ステップS102の処理を行った後、ステップS103に移行する。
【0041】
ステップS103において、制御部123は、空調装置が停止したか否かを判定する。制御部123は、空調装置が停止した場合、ステップS104に移行する。一方、制御部123は、空調装置が停止していない場合、ステップS103の処理を再度行う。
【0042】
ステップS104において、制御部123は、第一散水部121による散水を停止する。具体的には、制御部123は、第一電磁弁121aを制御して、第一ノズル121bからの処理水の散水を停止する。
【0043】
また、制御部123は、第二散水部122による散水を開始する。具体的には、制御部123は、第二電磁弁122aを制御して、第二ノズル122bから処理水を散水する。第二ノズル122bから散水される処理水の粒径は、第一ノズル121bから散水される処理水の粒径よりも大きい。このため、第二ノズル122bから散水された処理水は、室外機6に付着すると大きな水滴になって流れ落ち易く、第二ノズル122bからの散水を続けることで、室外機6の表面を洗い流すことができる。
【0044】
このように、第二散水部122によって粒径の大きい処理水を散水することで、室外機6に付着した水滴を洗い流すことができる。これによって、処理水に含まれた粒子がスケールとして室外機6に発生するのを抑制することができる。
【0045】
制御部123は、ステップS104の処理を行った後、ステップS105に移行する。
【0046】
ステップS105において、制御部123は、第二散水部122による散水を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。当該所定時間としては、任意の時間を設定することができる。制御部123は、所定時間が経過したと判定した場合、ステップS106に移行する。一方、制御部123は、所定時間が経過していないと判定した場合、ステップS105の処理を再度行う。
【0047】
ステップS106において、制御部123は、第二散水部122による散水を停止する。具体的には、制御部123は、第二電磁弁122aを制御して、第二ノズル122bからの処理水の散水を停止する。
【0048】
図4に示すステップS201において、制御部123は、空調装置が暖房運転しているか否かを判定する。制御部123は、空調装置が暖房運転している場合、ステップS202に移行する。一方、制御部123は、空調装置が暖房運転していない場合、本制御フローを終了する。
【0049】
ステップS202において、制御部123は、第二散水部122による散水を開始する。具体的には、制御部123は、第二電磁弁122aを制御して、第二ノズル122bから処理水を散水する。これによって、比較的大きな粒径を有する霧状の処理水が室外機6に散水される。
【0050】
このように第二ノズル122bからの処理水を室外機6に散水することで、処理水の熱を室外機6に与えることができる。具体的には、空調装置が暖房運転している場合には、外気が低く、室外機6も冷えているものと考えられる。そこで、第二散水部122から室外機6に処理水を散布することで、処理水の熱を室外機6に与える(室外機6を温める)ことができ、暖房運転を行う空調装置の作動効率を向上させ、ひいては省エネ化を図ることができる。また、水処理装置110によって水処理された処理水中の不純物(粒子)は室外機6に付着し難いため、室外機6にスケールが発生するのを抑制することができる。
【0051】
さらに、空調装置が暖房運転を行っている場合には、第二散水部122によって粒径の大きい処理水を散水することで、室外機6に散水された処理水が流れ落ち易くなる。すなわち、散水された処理水が室外機6に付着し難くなる。これによって、処理水の気化熱によって室外機6が意図せず冷却されるのを抑制することができる。
【0052】
制御部123は、ステップS202の処理を行った後、ステップS203に移行する。
【0053】
ステップS203において、制御部123は、空調装置が停止したか否かを判定する。制御部123は、空調装置が停止した場合、ステップS204に移行する。一方、制御部123は、空調装置が停止していない場合、ステップS203の処理を再度行う。
【0054】
ステップS204において、制御部123は、第二散水部122による散水を停止する。具体的には、制御部123は、第二電磁弁122aを制御して、第二ノズル122bからの処理水の散水を停止する。
【0055】
このように、本実施形態の散水システム100では、室外機6へ処理水を散水することで、空調装置の作動効率を向上させ、ひいては省エネ化を図ることができる。具体的には、空調装置が冷房運転を行っている場合には第一散水部121からの散水によって室外機6を冷却することができ、空調装置の効率の向上を図ることができる(図3参照)。また空調装置が暖房運転を行っている場合には第二散水部122からの散水によって室外機6を温めることができ、空調装置の効率の向上を図ることができる(図4参照)。
【0056】
以上の如く、本実施形態に係る散水システム100は、
水中に存在する粒子の表面電位を中性又はマイナスに変える水処理装置110と、
前記水処理装置110によって処理された水を空調装置の室外機6に散水する散水装置120と、
を具備するものである。
このように構成することにより、散水システム100のコストの低減を図ることができる。すなわち、他の散水システム(例えば、RO処理装置を用いた散水システム)と比較して、イニシャルコストやランニングコストの削減を図ることができる。
【0057】
また、前記水処理装置110は、
集合住宅Hの複数の住戸へと水を案内する配管のうち、複数の前記住戸のそれぞれへと分岐する分岐点Pよりも上流側に配置され、
前記散水装置120は、
前記住戸に設置された前記室外機6に設けられるものである。
このように構成することにより、複数の住戸で水処理装置110を共有することができ、水処理装置110のイニシャルコストやランニングコストの負担を分担して軽減することができる。特に本実施形態では、各住戸の処理水の使用量に応じて水処理装置110のランニングコスト等の負担を分担するものではないため、各住戸に処理水の使用量を計測する水道メータを設置する必要がなく、コストの低減を図ることができる。
【0058】
また、前記散水装置120は、
前記室外機6に対して、霧状の水を散水する第一散水部121と、
前記室外機6に対して、前記第一散水部121により散水される水の粒径よりも大きい粒径の水を散水する第二散水部122と、
を具備するものである。
このように構成することにより、異なる粒径の水を使い分けることができ、利便性を向上させることができる。
【0059】
また、前記第一散水部121及び前記第二散水部122の動作を制御する制御部123をさらに具備し、
前記制御部123は、
前記第一散水部121による散水を行った後に、前記第二散水部122による散水を行う第一制御(図3参照)を実行可能なものである。
このように構成することにより、第一散水部121からの散水によって室外機6に付着した処理水を、第二散水部122による散水によって洗い流すことができ、室外機6に付着する水滴を減少させ、スケールの発生を抑制することができる。
【0060】
また、前記制御部123は、
前記第一散水部121による散水を行うことなく、前記第二散水部122による散水のみを行う第二制御(図4参照)を実行可能なものである。
このように構成することにより、散水された処理水を室外機6に付着し難くすることができる。これによって、室外機6に付着した処理水の気化熱によって意図せず室外機6が冷却されるのを抑制することができる。
【0061】
また、前記制御部123は、
前記空調装置が冷房運転する場合に前記第一制御(図3参照)を実行可能であり、
前記空調装置が暖房運転する場合に前記第二制御(図4参照)を実行可能なものである。
このように構成することにより、空調装置の省エネ化を効果的に図ることができる。すなわち、空調装置が冷房運転する場合には粒径の小さい水を散水することで、室外機6の冷却を図ることができる。また空調装置が暖房運転する場合には粒径の大きい水を散水することで、室外機6が気化熱によって意図せず冷却されるのを抑制しつつ、室外機6を温めることができる。
【0062】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0063】
例えば、本実施形態に係る散水システム100はマンション等の集合住宅Hに用いるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、商業施設、公共施設等の種々の施設に用いることも可能である。また、集合住宅Hだけでなく、一戸建ての住宅等にも用いることが可能である。
【0064】
また、本実施形態では、水処理装置110を受水槽2と分岐点Pとの間に設置した例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、任意の位置に配置することが可能である。但し、水処理装置110を集合住宅Hの各住戸で共有する場合には、各住戸への分岐点Pより上流側に設ける必要がある。
【0065】
また、本実施形態で例示した散水装置120の配置は一例であり、散水装置120は室外機6へと散水可能な任意の位置に配置することが可能である。
【0066】
また、本実施形態の散水装置120は、第一散水部121及び第二散水部122を用いて、2種類の粒径による散水が可能であるものとしたが、粒径の種類はこれに限るものではない。例えば、散水装置120は1種類の粒径のみによる散水を行う構成や、3種類以上の粒径による散水を行う構成とすることも可能である。
【0067】
また、本実施形態の第二散水部122は第一散水部121と同様に微粒化された霧状の処理水を散水するものとしたが、第二散水部122から散水される処理水の態様はこれに限るものではなく、室外機6を洗い流す観点から、例えば液状の処理水を室外機6にかけ流すことも可能である。
【0068】
また、本実施形態では散水装置120が2つの散水部(第一散水部121及び第二散水部122)を具備する例を示したが、散水部の個数はこれに限るものではない。例えば、散水装置120は1つの散水部のみ、又は、3つ以上の散水部で散水を行うものであってもよい。
【0069】
また、本実施形態では第一散水部121及び第二散水部122の動作を自動的に制御する制御部123を設けた例を示したが、例えば第一散水部121及び第二散水部122を手動操作によって動作させる構成とすることも可能である。
【0070】
また、本実施形態で例示した制御フロー(図3及び図4参照)は一例であり、制御の処理内容は適宜変更することが可能である。
【0071】
例えば、本実施形態では、空調装置の運転状態(冷房運転又は暖房運転)に基づいて第一散水部121及び第二散水部122の動作を制御する例を示したが、例えば室外機6の動作に基づいて第一散水部121等を制御することも可能である。一例として、室外機6が運転を開始した場合に第一散水部121による散水を開始し、室外機6が停止した場合に第一散水部121による散水を停止することも可能である。
【0072】
また、本実施形態では、空調装置の運転状態(冷房運転又は暖房運転)によって図3の制御(第一制御)と図4の制御(第二制御)を使い分ける例を示したが、空調装置の運転状態にかかわらず同じ制御(例えば、第一制御)を実行することも可能である。
【0073】
また、第一散水部121及び第二散水部122による散水の開始及び停止のタイミングは、本実施形態で例示したものに限らず、任意に変更することができる。なお、第一散水部121及び第二散水部122による散水の開始及び停止のタイミングは、空調装置の省エネ化や、室外機6へのスケール付着を防止する観点から、適宜設定されることが望ましい。
【0074】
また、本実施形態では空調装置の動作に基づいて第一散水部121及び第二散水部122による散水の動作を制御する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の情報に基づいて第一散水部121及び第二散水部122を制御することが可能である。
【0075】
例えば図3の制御フローにおいて、室外機6の温度をセンサ等によって検出し、室外機6が所定の温度以上となった場合に第一散水部121による散水を開始(ステップS102)することも可能である。また第一散水部121に供給される処理水と室外機6の温度を比較し、処理水の温度の方が低い場合にのみ、第一散水部121による散水を開始(ステップS102)することも可能である。また、第二散水部122による散水量(散水された水の量)が所定量に達した場合に第二散水部122による散水を停止(ステップS106)することも可能である。
【0076】
また例えば図4の制御フローにおいて、室外機6の温度をセンサ等によって検出し、室外機6が所定の温度未満となった場合に第二散水部122による散水を開始(ステップS202)することも可能である。また第二散水部122に供給される処理水と室外機6の温度を比較し、処理水の温度の方が高い場合にのみ、第二散水部122による散水を開始(ステップS202)することも可能である。
【0077】
また、第二制御(図4参照)を行う場合には、集合住宅Hに設けられたエネファームの余剰排熱や太陽熱により温められた処理水を第二散水部122から散水する構成とすることも可能である。これによって、室外機6をより効果的に温めることができる。また温められた処理水ではなく、エネファーム等で製造されたお湯を直接第二散水部122から散水する構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0078】
100 散水システム
110 水処理装置
120 散水装置
121 第一散水部
122 第二散水部
123 制御部
図1
図2
図3
図4