IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 小島プレス工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車載照明装置 図1
  • 特開-車載照明装置 図2
  • 特開-車載照明装置 図3
  • 特開-車載照明装置 図4
  • 特開-車載照明装置 図5
  • 特開-車載照明装置 図6
  • 特開-車載照明装置 図7
  • 特開-車載照明装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048185
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】車載照明装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/82 20170101AFI20230331BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230331BHJP
   B60Q 3/80 20170101ALI20230331BHJP
   B60Q 3/60 20170101ALI20230331BHJP
   B60Q 3/74 20170101ALI20230331BHJP
   B60Q 3/225 20170101ALI20230331BHJP
   H01H 36/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B60Q3/82
F21V23/00 115
B60Q3/80
B60Q3/60
B60Q3/74
B60Q3/225
H01H36/00 J
H01H36/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157349
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】永田 卓嗣
【テーマコード(参考)】
3K014
3K040
5G046
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K040AA02
3K040CA05
3K040DA02
3K040GB04
3K040GC01
5G046AA01
5G046AA02
5G046AB03
5G046AC23
5G046AD02
5G046AE05
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、人体のレンズへの接近または接触によって操作される車載照明装置について、レンズに設けられた電極等の人体検出部と基板とを確実に導通させることである。
【解決手段】車載照明装置1は、光源54から発せられた光を透過するレンズ14と、光源14を制御する制御回路が配置された基板52と、基板52とレンズ14との間に設けられた導電ゴム56とを備えている。導電ゴム56は、基板52からレンズ14に向かう延在方向に弾性的に伸縮自在であり、基板52およびレンズ14に押圧された状態で、基板52とレンズ14との間に設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から発せられた光を透過するレンズと、
前記光源を制御する制御回路が配置された基板と、
前記基板と前記レンズとの間に設けられた導電性弾性体と、を備え、
前記導電性弾性体は、前記基板から前記レンズに向かう延在方向に弾性的に伸縮自在であり、前記基板および前記レンズに押圧された状態で、前記基板と前記レンズとの間に設けられていることを特徴とする車載照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載照明装置において、
前記導電性弾性体は、
前記レンズ側の一端および前記基板側の一端のうち少なくとも一方に、接触対象物の接触面の傾斜に応じて先端部が弾性的に撓む構造を有することを特徴とする車載照明装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車載照明装置において、
前記導電性弾性体は、
前記レンズ側および前記基板側のうち少なくとも一方の先端部が、接触対象物の接触面に密着する密着片を有することを特徴とする車載照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載照明装置において、
前記導電性弾性体は、
前記延在方向に沿って見たときに、前記延在方向に交わる方向に繰り返し波打つ繰り返し波形を描く部分を有し、
前記密着片と、前記繰り返し波形を描く部分の末端部とが、弾性的に撓む領域によって結合されていることを特徴とする車載照明装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載照明装置において、
前記導電性弾性体は、
前記延在方向に沿って見たときに、前記延在方向に交わる方向に繰り返し波打つ繰り返し波形を描く部分を有することを特徴とする車載照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載照明装置に関し、特に、光源の制御回路を備える照明装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車室では、天井に照明装置が取り付けられている。照明装置には、特許文献1に示されているように、筐体に収容された光源と、筐体の開口部に設けられたレンズを備えたものがある。レンズは光源が発した光を透過する。レンズには、光源が発した光を拡散し、車室内の広い領域に光を照射するものがある。
【0003】
特許文献1に記載の照明装置(車室内用照明装置)では、照明レンズの光源側面に薄膜状に電極部が形成されている。照明レンズの車室内側表面に人体が接触することによる電極部と人体との間の静電容量の変化に基づいて、光源の電源の入り切りが行われる。光源の電源の入り切りは、基板に配置された電気制御回路によって行われる。電極部と基板との間は、導電ゴム等の弾性材料で形成された導通バーによって導通し、導通バーを介して電気制御回路と電極部とが電気的に接続されている。
【0004】
なお、特許文献2および3には、本願発明に関連する技術として、人体の接近または接触による電極の静電容量の変化に応じて制御されるスイッチが記載されている。特許文献2には、指が触れる操作パネル部に設けられたスイッチ電極が、弾力性のある導電性の部材によって制御基板に電気的に接続された静電容量型タッチスイッチ装置が記載されている。特許文献3には、タッチ面が形成された電極保護部材と、タッチ面が形成された側とは反対側で、かつタッチ面に対向する電極と、基板とを備える電子機器スイッチが記載されている。この電子機器スイッチでは、全表面に回路体が形成された弾性体が電極と基板との間に設けられることで、電極と基板とが電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-230450号公報
【特許文献2】特開2008-192336号公報
【特許文献3】特開2018-41690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているような従来の車載照明装置では、電極および基板に導電性部材(導通バー)を確実に接触させることが困難な場合があった。この場合、例えば、導電性部材を支持する金属製の台座が基板に半田付けされた構造や、導電性部材と基板との間にスプリングが挟まれた構造が採用され、構造が複雑となってしまうことがあった。
【0007】
本発明の目的は、人体のレンズへの接近または接触によって操作される車載照明装置について、レンズに設けられた電極等の人体検出部と基板とを確実に導通させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光源から発せられた光を透過するレンズと、前記光源を制御する制御回路が配置された基板と、前記基板と前記レンズとの間に設けられた導電性弾性体と、を備え、前記導電性弾性体は、前記基板から前記レンズに向かう延在方向に弾性的に伸縮自在であり、前記基板および前記レンズに押圧された状態で、前記基板と前記レンズとの間に設けられていることを特徴とする。
【0009】
望ましくは、前記導電性弾性体は、前記レンズ側の一端および前記基板側の一端のうち少なくとも一方に、接触対象物の接触面の傾斜に応じて先端部が弾性的に撓む構造を有する。
【0010】
望ましくは、前記導電性弾性体は、前記レンズ側および前記基板側のうち少なくとも一方の先端部が、接触対象物の接触面に密着する密着片を有する。
【0011】
望ましくは、前記導電性弾性体は、前記延在方向に沿って見たときに、前記延在方向に交わる方向に繰り返し波打つ繰り返し波形を描く部分を有し、前記密着片と、前記繰り返し波形を描く部分の末端部とが、弾性的に撓む領域によって結合されている。
【0012】
望ましくは、前記導電性弾性体は、前記延在方向に沿って見たときに、前記延在方向に交わる方向に繰り返し波打つ繰り返し波形を描く部分を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レンズの人体検出部と基板とを確実に導通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る車載照明装置を車室側から見た図である。
図2】車載照明装置のAA線断面図である。
図3】導電ゴムの斜視図である。
図4】導電ゴムの平面図および右側面図である。
図5】圧縮前の導電ゴムと、圧縮後の導電ゴムを示す図である。
図6】導電ゴムのレンズ側に形成された追従密着構造を示す図である。
図7】第1の変形例に係る導電ゴムを示す図である。
図8】第2の変形例に係る導電ゴムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
各図を参照して本発明の実施形態について説明する。複数の図面に示された同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0016】
図1には、本発明の実施形態に係る車載照明装置1を車室側から見た図が示されている。車載照明装置1は自動車の天井のうち、フロントガラスから後方斜め上に向かう領域に固定される。図1の上方向は自動車における後方斜め上方向に対応し、左右方向は乗員から見た左右方向に対応する。ただし、図1の説明では、上下左右の用語は図面の上下左右を示すものとする。
【0017】
車載照明装置1は、小物入れと一体化された構造を有し、オーバーヘッドコンソールに組み込まれてもよい。車室側の面(車室側面)は略長方形であり、車室側面にはレンズ14および小物入れの蓋部10がある。蓋部10は車室側面の上側に位置している。蓋部10は、車載照明装置1の筐体に嵌め込まれた小物入れ容器12のうち、車室側に現れる平坦な部分である。蓋部10には、車載照明装置1を操作するためのスイッチが設けられてもよい。
【0018】
蓋部10の左右の縦辺は直線を描いている。蓋部10の上側の縁は、左側の縦辺の上端から右に曲がる曲線を描いた後、上側に緩やかに膨らんだ曲線を描き、下方に曲がる曲線を描いて右側の縦辺の上端に至る。蓋部10の下側の縁は、中央部が下方に突出した形状を有している。すなわち、蓋部10の下側の縁は、左側の縦辺の下端から右方向に延びた後、下方に曲がって下方に延び、右方向に曲がって右方向に延びた後、上方向に曲がって上方向に延び、再び、右方向に曲がって右側の縦辺の下端に至っている。
【0019】
小物入れ容器12は、蓋部10の下方を左右に延びる直線を中心軸として揺動自在となっている。蓋部10の上側を車室側に引き出すことで、小物入れ容器12の開口が車室側に現れ、ユーザはサングラス等の小物を収容することができる。蓋部10の上側を押し戻すことで、小物入れ容器12は車載照明装置1の筐体に収容され、その開口が閉じられる。
【0020】
レンズ14は、蓋部10の下側に位置している。レンズ14は板状に形成されており、車載照明装置1の車室側面の左端から右端に及んでいる。レンズ14の左右の縦辺は直線を描いている。レンズ14の下側の縁は、上側に緩やかに膨らんだ曲線を描きながら左側の縦辺の下端から右側の縦辺の下端に至っている。レンズ14の上側の縁は、蓋部10の下側の縁の凸形状に対応する凹形状を有し、中央部が下方に凹んでいる。すなわち、レンズ14の上側の縁は、左側の縦辺の上端から右方向に延びた後、下方に曲がって下方に延び、右方向に曲がって右方向に延びた後、上方向に曲がって上方向に延び、再び、右方向に曲がって右側の縦辺の上端に至っている。
【0021】
レンズ14は、板状の不透明部16と、不透明部16の車室側面を覆う板状の透明部18とを備えている。不透明部16は、光を透過しない不透明なプラスチック樹脂で形成されてよい。透明部18は、光を透過するプラスチック樹脂で形成されてよい。透明部18は彩色が施されたプラスチック樹脂であってもよい。不透明部16は、不透明部16に設けられた開口によって形成された光通過領域16a~16dを備えている。図1に示される例では、不透明部16における左側の領域、すなわち、下方に凹んだ領域の左側に略矩形の2つの光通過領域16aおよび16bが上下に配列されている。また、不透明部16における右側の領域、すなわち、下方に凹んだ領域の右側に略矩形の2つの光通過領域16cおよび16dが上下に配列されている。
【0022】
図2には、図1のAA線で車載照明装置1を切断した場合に現れる断面(AA線断面)が示されている。図2の描画面に向かう方向(z軸正方向)は、自動車における後方斜め上方向に対応する。図2の上方向(x軸正方向)は、天井から車室に向かう方向に対応し、右方向(y軸正方向)は自動車の右方向に対応する。
【0023】
車載照明装置1は、筐体26、レンズ14、基板52、光源54および導電ゴム56を備えている。筐体26は、天井側から車室側に向かって延びる支持部28a~28cを有している。支持部28a~28cは、筐体26内に壁状に形成されてもよいし、柱状に形成されてもよい。支持部28aは、天井側の端部からx軸方向に沿って車室側に向かって延び、x軸正方向よりも左側に反れて車室側に向かって延びている。支持部28bは、天井側の端部からx軸方向に沿って車室側に向かって延び、x軸正方向よりも右側に反れて車室側に向かって延びている。支持部28cは、天井側の端部からx軸方向に沿って車室側に向かって延びている。
【0024】
レンズ14は、支持部28aおよび支持部28bのそれぞれの車室側の端部に接触している。レンズ14を構成する不透明部16のうち、光通過領域16bよりも右側の領域は、支持部28aに嵌まり込む形状を有しており、支持部28aの車室側の端部に接触している。
【0025】
レンズ14を構成する不透明部16のうち、光通過領域16bよりも右側の領域は、光通過領域16bとの境界の縁から右方向に延びて天井側に曲がり、x軸負方向に対して右側に反れた方向に延びた後さらに天井側に曲がり、x軸方向に沿って天井側に延びている。不透明部16のうちx軸方向に沿って天井側に延びた区間からは、右方向に突出部50が延びている。突出部50は、小物入れを構成する部材を支持してもよい。
【0026】
レンズ14を構成する透明部18は、不透明部16の車室側面(おもて面)を覆うと共に、不透明部16に形成された光通過領域16bに入り込んで光通過領域16bを塞いでいる。透明部18はさらに、光通過領域16bに入り込んだレンズ本体領域20から不透明部16の左側の領域の裏側に及び、不透明部16の左側の領域の裏面に接触している。
【0027】
また、透明部18は、レンズ本体領域20から不透明部16の右側の領域の裏側に及び、不透明部16の右側の領域の裏面に接触している。すなわち、レンズ本体領域20から不透明部16の左右の裏側に及んだ裏側領域22が、左右の不透明部16の裏面に接触している。
【0028】
ここでは、レンズ14の透明部18についてAA線断面が示され、左側の裏側領域22が不透明部16の左側の領域の裏面に接触し、右側の裏側領域22が不透明部16の右側の領域の裏面に接触している構造が示された。透明部18の裏側領域22は、レンズ本体領域20の外周全体に亘って外側に広がり、不透明部16の裏面に接触してよい。
【0029】
透明部18は、さらに、レンズ本体領域20から不透明部16の車室側に及び、不透明部16の車室側面に接触した表側領域24を左右に有している。左側の表側領域24と左側の裏側領域22との間に不透明部16の左側の領域が挟まれ、右側の表側領域24と右側の裏側領域22との間に不透明部16の右側の領域が挟まれている。レンズ本体領域20よりも左側の表側領域24は、不透明部16の車室側面に沿って左側に延び、不透明部16の左側の縁において天井側(車室とは反対側)に曲がっている。レンズ本体領域20よりも右側の表側領域24は、不透明部16の車室側面に沿って右側に延び、天井側に曲がり、先端の縁が突出部50に接触している。
【0030】
レンズ本体領域20および左右の裏側領域22の裏面には、人体検出部としての透明電極58が設けられている。透明電極58は、スパッタリング等の工法によってレンズ本体領域20および左右の裏側領域22の裏面に付着した透明の薄膜導体であってよい。透明部18における右側の裏側領域22は、透明電極58を介して支持部28bの車室側の端部に接触している。
【0031】
支持部28a~28cのそれぞれの天井側の端部には基板52が接触している。透明部18の裏面に設けられた透明電極58と基板52との間には、導電性の弾性体(導電性弾性体)によって形成された導電ゴム56が設けられ、透明電極58と基板52との間が導通している。後述するように、導電ゴム56は、全体的にはx軸方向に延在し、x軸方向に弾性的に伸縮自在である。導電ゴム56は、レンズ14および基板52によって、縮む方向に押圧された状態で、透明電極58と基板52との間に挟まれている。
【0032】
基板52の車室側の面における支持部28aと支持部28bとの間には、光源54が配置されている。光源54は、電球、発光ダイオード等によって構成されてよい。また、基板52には制御回路(図示せず)が設けられている。制御回路は、基板52上のパターン導体および導電ゴム56を介して透明電極58に電気的に接続されている。制御回路は、基板52上のパターン導体および導電ゴム56を介して透明電極58の静電容量の変化を検出し、検出結果に応じて光源54を点灯または消灯する。ユーザの指等、人体がレンズ14の車室側面に接近または接触すると、透明電極58の静電容量が変化する。制御回路は、静電容量の変化に応じて、消灯していた光源54を点灯する。あるいは、制御回路は、静電容量の変化に応じて、点灯していた光源54を消灯する。
【0033】
光源54が点灯している場合、光源54から発せられた光はレンズ本体領域20を透過し、車室が照射される。レンズ本体領域20は、ダイヤカット等、レンズ本体領域20に入射し透過する光を拡散する構造を有してもよい。この場合、レンズ本体領域20を透過する光が拡散され、車室内の広い領域が明るく照らされる。
【0034】
導電ゴム56の構造について具体的に説明する。図3には、導電ゴム56の斜視図が示されている。図4(a)には、レンズ14側から基板52側に向かって導電ゴム56を眺めたときの平面図が示されている。図4(b)には右側面図が示されている。なお、以下の説明では、レンズ14側および基板52側を、それぞれ、レンズ側および基板側という。
【0035】
図3および図4に示されているように、導電ゴム56は、全体としては基板52からレンズ14に向かって延在している。導電ゴム56は、レンズ側密着片60、矩形波形状部62および基板側密着片64を有している。導電ゴム56は、さらに、レンズ側密着片60と矩形波形状部62との間を結合する撓み領域66aと、基板側密着片64と矩形波形状部62とを結合する撓み領域66bとを有している。
【0036】
レンズ側密着片60および基板側密着片64は矩形状に形成されている。レンズ側密着片60および基板側密着片64は、その他の多角形、円形等で形成されてもよい。レンズ側密着片60のレンズ側の面は、レンズ14の透明部18の裏面に設けられた透明電極58に接触する。基板側密着片64の基板側の面は、基板52に設けられたパターン導体に接触する。
【0037】
矩形波形状部62は、x軸方向に延びる葛籠折れの帯形状を有している。図3に示されているように、矩形波形状部62は、延在方向に隣接するU字形導電ゴム62u(コの字形導電ゴム)が左右逆向きの姿勢で配置され、隣接するU字形導電ゴムが、左右方向に延びる区間を共有するように、複数のU字形導電ゴム62uが延在方向に連ねられた矩形波形状(x軸方向に延びる葛籠折れ帯形状)を有している。
【0038】
最もレンズ14寄り(以下、最もレンズ寄りという)のU字形導電ゴム62uのレンズ側の面と、レンズ側密着片60の基板側の面との間は、撓み領域66aによって結合されている。最も基板52寄り(以下、最も基板寄りという)のU字形導電ゴム62uの基板側の面と、レンズ側密着片60のレンズ側の面との間は、撓み領域66bによって結合されている。
【0039】
このような構造によれば、導電ゴム56は、基板52からレンズ14に向かう延在方向(x軸方向)に弾性的に伸縮自在である。図5(a)には、延在方向に圧縮される前の導電ゴム56が示されている。図5(b)には、延在方向に圧縮されたときの導電ゴム56が示されている。図5(b)に示されているように、左右方向に延びる領域はレンズ側または基板側(図5の上側または下側)に撓む。左側において延在方向(図5の上下方向)に延びる領域は左側に膨らむように撓み、右側において延在方向に延びる領域は右側に膨らむように撓む。これによって、導電ゴム56は延在方向に縮む。これと共に、透明電極58に押し付けられる弾性力が矩形波形状部62からレンズ側密着片60に与えられ、基板52のパターン導体に押し付けられる弾性力が矩形波形状部62から基板側密着片64に与えられる。
【0040】
また、レンズ側密着片60、撓み領域66aおよび最もレンズ寄りのU字形導電ゴム62uは、接触対象物に対する追従密着構造を形成している。すなわち、レンズ14の裏面および透明電極58が、変形前のレンズ側密着片60のレンズ側の面に平行でない場合、レンズ側密着片60、撓み領域66aおよび最もレンズ寄りのU字形導電ゴム62uは、透明電極58の裏面が広がる方向に追従して変形する。また、レンズ14の裏面および透明電極58が平面でない場合、レンズ側密着片60は、透明電極58の形状に追従して変形する
【0041】
図6には、導電ゴム56のレンズ側に形成された追従密着構造をz軸負方向側から眺めた図が示されている。この図に示されている例では、透明電極58は、左から右に向かうにつれて車室側に張り出するように、右方向に対して傾斜している。また、透明電極58は車室側に凹んでいる。撓み領域66aは左側に撓み、レンズ側密着片60は透明電極58に沿って変形して、透明電極58に密着している。ここでは、透明電極58は、左から右に向かうにつれて車室側に張り出すように、左右方向から反れている場合の例が示されたが、透明電極が、yz平面に対してあらゆる方向で傾斜している場合について、撓み領域66aおよびレンズ側密着片60の弾力性によって、レンズ側密着片60は透明電極58に密着する。また、透明電極58が天井側に膨らんでいる場合や、凹凸形状を有している場合にも、レンズ側密着片60は透明電極58に密着する。
【0042】
また、ここでは、導電ゴム56のレンズ側に形成された追従密着構造が示されたが、基板側に形成された追従密着構造も、レンズ側と同様の構造を有し、基板52がyz平面に対して傾斜している場合であっても基板側密着片64が基板52のパターン導体に密着する。
【0043】
図7には、第1の変形例に係る導電ゴム56Aが示されている。導電ゴム56Aは、x軸方向に延びる葛籠折れ帯形状の部分として、三角波形状部68を有している。三角波形状部68は、基板側密着片64からレンズ14に向かって、x軸正方向に対して右側に反れた直線と、x軸正方向に対して左側に反れた直線とを交互に描き、レンズ側密着片60に至る。
【0044】
三角波形状部68の最もレンズ寄りの直線部分とレンズ側密着片60は、図3図6に示された導電ゴム56と同様、追従密着構造を形成する。すなわち、三角波形状部68の最もレンズ寄りの直線部分は左右に撓むことができ、レンズ側密着片60は、透明電極58に沿って変形して透明電極58に密着する。三角波形状部68の最も基板寄りの直線部分と基板側密着片64は、図3図6に示された導電ゴムと同様、追従密着構造を形成する。すなわち、三角波形状部68の最もレンズ寄りの直線部分は左右に撓むことができ、基板側密着片64は基板52に沿って変形して、基板52上のパターン導体に密着する。
【0045】
図8には、第2の変形例に係る導電ゴム56Bが示されている。図3および図4に示された導電ゴム56では、最もレンズ寄りのU字形導電ゴム62uのレンズ側の面と、レンズ側密着片60の基板側の面との間が、撓み領域66aによって結合されている。また、最も基板寄りのU字形導電ゴム62uの基板側の面と、基板側密着片64のレンズ側の面との間が、撓み領域66bによって結合されている。
【0046】
これに対し、導電ゴム56Bでは、最もレンズ寄りのU字形導電ゴム62uのレンズ側の面が透明電極58に接触し、最も基板寄りのU字形導電ゴム62uの基板側の面が基板52のパターン導体に接触する。
【0047】
最もレンズ寄りのU字形導電ゴム62uおよび最も基板寄りのU字形導電ゴム62uは、追従密着構造を形成している。すなわち、最もレンズ寄りのU字形導電ゴム62uのx軸方向に延びた部分は左右に撓むことができ、レンズ側で左右に延びた部分はレンズ側密着片60を形成し、透明電極58に沿って変形して透明電極58に密着する。最も基板寄りのU字形導電ゴム62uのx軸方向に延びた部分は左右に撓むことができ、基板側で左右に延びた部分は基板側密着片64を形成し、基板52に沿って変形してパターン導体に密着する。
【0048】
なお、上記では、レンズ側および基板側の両方に追従密着構造が形成された導電ゴム56,56Aおよび56Bが示された。追従密着構造は、レンズ側または基板側のいずれか一方に形成されてもよい。
【0049】
このように、導電性弾性体としての導電ゴム56、56Aまたは56B(以下、単に導電ゴムという)は、レンズ側の一端および基板側の一端のうち少なくとも一方に追従密着構造を有する。追従密着構造では、接触対象物の接触面の傾斜、すなわち、透明電極58の表面または基板52の傾斜に応じて先端部が弾性的に撓む。
【0050】
導電ゴムは、レンズ側および基板側の少なくともの一方の先端部が、接触対象物の接触面に密着する密着片を有する。すなわち、レンズ側に追従密着構造が形成される場合には、レンズ側の先端部にレンズ側密着片60が形成され、基板側に追従密着構造が形成される場合には、基板側の先端部にレンズ側密着片60が形成される。
【0051】
また、導電ゴムは、延在方向に沿って見たときに、延在方向に交わる方向に繰り返し波打つ繰り返し波形を描く部分として、矩形波形状部62または三角波形状部68を有している。レンズ側密着片60と、繰り返し波形を描く部分のレンズ側の末端部とが、撓み領域66aによって結合されてよい。また、基板側密着片64と、繰り返し波形を描く部分の基板側の末端部とが、撓み領域66bによって結合されてよい。ここで、末端部とは、末端とその近傍をいう。例えば、矩形波形状部62では、最もレンズ寄りまたは最も基板寄りにおいて左右に伸びる領域である。三角波形状部68では、最もレンズ寄りまたは最も基板寄りにおいて直線状に伸びる領域である。繰り返し波形を描く部分は、矩形波および三角波の他、その他の周期的な波形を描く部分であってもよい。
【0052】
このような構造によれば、密着片(レンズ側密着片60または基板側密着片64)は、透明電極58または基板52の接触面に密着する。また、繰り返し波形を描く部分は、延在方向に弾性的に伸縮自在であり、圧縮されたときには、密着片を接触対象物の接触面に押圧する。したがって、導電ゴムを縮む方向に押圧した状態で、レンズ14と基板52との間に挟むことで、導電ゴムと透明電極58とが確実に接触し、導電ゴムと基板52上のパターン導体とが確実に接触する。また、導電ゴムを支持する金属製の台座や、導電ゴムと基板52との間に挟まれるスプリング等が必ずしも用いられなくてもよく、構造が単純化される。
【0053】
上記では、レンズ14の透明部18の裏面に、人体検出部としての透明電極58が設けられた実施形態が示された。レンズ14の構造によっては、透明電極58が用いられなくてもよい。この場合、導電ゴムのレンズ側密着片60がレンズ14の透明部18の裏面に直接密着する。人体がレンズ14の車室側面に接近または接触すると、レンズ側密着片60における電荷が誘電分極によって変化する。これによって、車載照明装置1に対しては、透明電極58が設けられた場合と同様の操作が行われる。
【0054】
ここでは、図1に示された不透明部16の光通過領域16bの周辺の構造について説明したが、光通過領域16aの周辺は、光通過領域16bと同様の構造を有している。また、光通過領域16cおよび16dの周辺は、それぞれ、光通過領域16aおよび16bに対し略左右対称の構造を有している。
【0055】
上記では、自動車の天井のうち、フロントガラスから後方斜め上に向かう領域に車載照明装置1が固定される実施形態が示された。車載照明装置1は、天井の中央部等、その他の領域に固定されてもよい。また、本発明は、オーバーヘッドコンソールに組み込まれる照明装置の他、スイッチパネル用の照明装置に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 車載照明装置、10 蓋部、12 小物入れ容器、14 レンズ、16 不透明部、16a,16b,16c,16d 光通過領域、18 透明部、20 レンズ本体領域、22 裏側領域、24 表側領域、26 筐体、28a,28b,28c 支持部、50 突出部、52 基板、54 光源、56,56A,56B 導電ゴム、58 透明電極、60 レンズ側密着片、62 矩形波形状部、62u U字形導電ゴム、64 基板側密着片、66a,66b 撓み領域、68 三角波形状部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8