(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048186
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】コンデンサ装置
(51)【国際特許分類】
H01G 2/06 20060101AFI20230331BHJP
H01G 4/32 20060101ALI20230331BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20230331BHJP
H01G 2/00 20060101ALI20230331BHJP
H01G 4/224 20060101ALI20230331BHJP
H01G 2/22 20060101ALI20230331BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
H01G2/06 C
H01G4/32 540
H01G2/10 M
H01G2/00 101
H01G4/32 301F
H01G2/22
H01G4/32 301Z
H01G4/32 305A
H01G4/32 531
H01G4/228 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157350
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000190091
【氏名又は名称】ルビコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100055
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 弘明
(72)【発明者】
【氏名】牧野 高久
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082BC14
5E082BC17
5E082BC39
5E082HH02
5E082HH07
5E082HH08
(57)【要約】
【課題】容易にESLを低減しつつ、コンデンサの本体構造や周辺構造の設計の自由度を確保できるとともに、信頼性を高めることのできる構造を実現する。
【解決手段】本発明に係るコンデンサ装置10は、コンデンサ本体11と、前記コンデンサ本体からそれぞれ導出された一対の電極端子12,13と、前記一対の電極端子に対して電気的絶縁性が保たれる態様で、前記一対の電極端子の間に設置され、前記一対の電極端子にそれぞれ対向するように配置される一対の対向部14a,14bを一体に有する導電体14と、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ本体と、
前記コンデンサ本体からそれぞれ導出された一対の電極端子と、
前記一対の電極端子に対して電気的絶縁性が保たれる態様で、前記一対の電極端子の間に設置され、前記一対の電極端子に対してそれぞれ対向するように配置される一対の対向部を一体に有する導電体と、
を具備する、
コンデンサ装置。
【請求項2】
前記一対の電極端子の少なくとも一部領域及び前記導電体は、それぞれ層状に構成され、
前記導電体の前記一対の対向部は、前記一対の電極端子の前記一部領域と平面的に重なる態様でそれぞれ対向するように配置される、請求項1に記載のコンデンサ装置。
【請求項3】
前記一対の対向部は、前記一対の電極端子の少なくとも一部領域の縁部に沿った縁部をそれぞれ備える、
請求項1に記載のコンデンサ装置。
【請求項4】
前記導電体は、配線基板に形成された導電層によって構成される、
請求項1-3のいずれか一項に記載のコンデンサ装置。
【請求項5】
前記配線基板は、電気的絶縁性の基材層と、前記基材層の一方の面上に形成され、前記一対の電極端子の少なくとも一部領域をそれぞれ構成する一対の端子層とを有する、
請求項4に記載のコンデンサ装置。
【請求項6】
前記導電層は、前記基材層の他方の面上に形成される、
請求項5に記載のコンデンサ装置。
【請求項7】
前記導電層は、前記基材層の前記一方の面上において前記一対の端子層との間に電気的絶縁性の被覆層を介して形成される、
請求項5に記載のコンデンサ装置。
【請求項8】
前記コンデンサ本体を収容する、少なくとも一部が電気的絶縁性を備える材質からなる収容体をさらに具備し、前記導電体の前記一対の対向部は、前記収容体の前記一部を介して前記一対の電極端子に対してそれぞれ対向するように配置される、
請求項1-3のいずれか一項に記載のコンデンサ装置。
【請求項9】
前記一対の電極端子は、前記コンデンサ本体からそれぞれ導出される本体側端子部と、前記本体側端子部にそれぞれ導電接続される別部材からなる延在側端子部とを有し、
前記導電体の前記一対の対向部は、前記延在側端子部に対してそれぞれ対向するように配置される、
請求項1-8のいずれか一項に記載のコンデンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンデンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高周波回路においては、高周波ノイズの対策や電源電圧の抑制のために使われるバイパスコンデンサ(デカップリングコンデンサ)として多数のコンデンサが使われている。この場合、高周波になるほど大きくなる電源インピーダンスを低減するためにコンデンサが使われるが、このような使用態様では、十分な効果を得るために、コンデンサの不要インダクタンス(等価直列インダクタンス:ESL)を小さくする必要がある。また、ESLが大きいと、電圧や電流波形にサージやリンギングが発生し、周辺機器の誤動作や半導体等の部品の破壊を招く可能性もある。
【0003】
上記のように、コンデンサのコイル成分を低減し、ESLを小さくするには、コンデンサのサイズ、特に、陽極端子と陰極端子の間の端子間距離を短くする方法が知られているが、構造上の制約から、コンデンサ容量が小さくなる、大型化する、などの問題がある。このため、コンデンサの正負の電極端子片を絶縁部材を介して重ねることによって端子構造の寄生インダクタンスを低減し、これによりコンデンサのESLを低減することが知られている(以下の特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-324311号公報
【特許文献2】特許第6355099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような従来のコンデンサにおいては、ESLを低減するために、正負一対の電極端子が重なる構造を形成する必要があることから、大型化を招く場合があり、通常の装置や端子部の態様を大きく変更する必要があるなど、コンデンサの本体構造やその周囲構造に制約が課せられ、それらの設計の自由度が低下するという問題がある。
【0006】
また、一対の電極端子を近づける必要があることから、電気的短絡などの不具合により、コンデンサの信頼性が低下する虞があり、また、上記不具合を防止するために製造コストも増大するといった問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題を解決するものであり、その課題は、容易にESLを低減しつつ、コンデンサの本体構造やその周囲構造の設計の自由度を確保できるとともに、信頼性を高めることのできる構造を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のコンデンサ装置は、コンデンサ本体と、前記コンデンサ本体からそれぞれ導出された一対の電極端子と、前記一対の電極端子に対して電気的絶縁性が保たれる態様で、前記一対の電極端子の間に設置され、前記一対の電極端子に対してそれぞれ対向するように配置される一対の対向部を一体に有する導電体と、を具備する。
【0009】
本発明において、前記一対の電極端子の少なくとも一部領域及び前記導電体は、それぞれ層状に構成されることが好ましい。このとき、前記導電体の前記一対の対向部は、前記一対の電極端子の前記一部領域と平面的に重なる態様でそれぞれ対向するように配置されることが望ましい。ここで、層状に構成されるものとしては、基板上に形成された導体パターンや金属板などの板状体が含まれる。この場合において、前記導電体は、一方の前記電極端子の前記一部領域と平面的に重なる一方の前記対向部から、他方の前記電極端子の前記一部領域と平面的に重なる他方の前記対向部まで、延在することが望ましい。特に、前記導電体は、一対の前記対向部の間にわたり延長される帯状に構成されることがさらに望ましい。また、前記一対の電極端子と前記導電体の間には絶縁層が介在することが望ましい。
【0010】
本発明において、前記一対の対向部は、前記一対の電極端子の少なくとも一部領域の縁部に沿った縁部をそれぞれ備えることが好ましい。すなわち、前記導電体は、一方の前記電極端子の一部領域の縁部に沿って延在する縁部を備える一方の前記対向部と、他方の前記電極端子の一部領域の縁部に沿って延在する縁部を備える他方の前記対向部とを一体に有する。この場合においては、特に、前記導電体は、前記一対の電極端子の前記一部領域の間の範囲内に配置される形状、例えば、帯状に構成されることがさらに望ましい。また、前記一対の電極端子と前記導電体との間には絶縁層が介在することが望ましい。
【0011】
本発明において、前記一対の対向部は、前記一対の電極端子が他の導体に導電接続される導電接続箇所を避け、前記導電接続箇所以外の範囲に設定された一部領域に対向するように重ねて配置されることが好ましい。この場合において、上記導電接続箇所としては、リード端子の先端部や、配線基板の導電接続パッドなどが挙げられる。
【0012】
本発明において、前記導電体は、配線基板に形成された導電層(導体パターン)によって構成されることが好ましい。この場合において、前記配線基板は、電気的絶縁性の基材層と、前記基材層の一方の面上に形成され、前記一対の電極端子の少なくとも一部領域をそれぞれ構成する一対の端子層とを有することが望ましい。このとき、前記導電層は、前記基材層の他方の面上に形成されることが望ましい。或いはまた、前記導電層は、前記基材層の前記一方の面上において前記一対の端子層との間に電気的絶縁性の被覆層を介して形成されることが望ましい。
【0013】
本発明において、前記コンデンサ本体を収容する、少なくとも一部が電気的絶縁性を備える材質からなる収容体をさらに具備し、前記導電体の前記一対の対向部は、前記収容体の前記一部を介して前記一対の電極端子に対してそれぞれ対向するように配置されることが好ましい。このとき、前記収容体は、前記一対の電極端子の少なくとも一部と導電体のいずれか一方を収容することがさらに望ましい。前記収容体としては、例えば、合成樹脂などの電気的絶縁性の材料からなるケース体、このケース体とその内部に充填される樹脂封止材(モールド樹脂)からなる複合体、樹脂封止材のみからなる樹脂材などが挙げられる。
【0014】
本発明において、前記一対の電極端子は、前記コンデンサ本体からそれぞれ導出される本体側端子部と、前記本体側端子部にそれぞれ導電接続される別部材からなる延在側端子部とを有することが好ましい。このとき、前記導電体の前記一対の対向部は、前記延在側端子部に対してそれぞれ対向するように配置されることが望ましい。前記本体側端子部は、前記コンデンサ本体の軸線方向の両端部から導出される場合がある。この場合には、前記本体側端子部が前記軸線方向と交差する第1の方向に延在し、前記延在側端子部が前記軸線方向と交差する第2の方向に延在し、前記対向部は、前記延在側端子部に対して対向するように配置されることが望ましい。このとき、前記導電体は、前記軸線方向に沿って延在する形状、或いは、前記軸線方向に沿って延長された形状を備えることが望ましい。また、第1の方向と第2の方向は、相互に異なる方向、特に、相互に直交する方向、であることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、コンデンサ本体からそれぞれ導出された前記一対の電極端子に対して電気的絶縁性が保たれる態様で、一対の電極端子の間に設置され、前記一対の電極端子に対してそれぞれ対向するように配置される一対の対向部を一体に有する導電体を具備することにより、一対の電極端子の間の相互インダクタンスを導電体の介在によって低減することができるから、コンデンサ装置のESLを抑制できる。また、一対の電極端子を絶縁体を介して相互に近づける(重ねる)必要がなくなることから、コンデンサ装置の大幅な構造変更や大型化を回避することができるなど、コンデンサの本体構造及びその周囲構造の設計を妨げにくく、構造上の自由度を確保できる。さらに、導電体は、一対の電極端子の双方に対して電気的絶縁性が保たれる態様とされるため、仮にいずれか一方の電極端子との間で電気的短絡事故が生じても、コンデンサ装置自体の電気的短絡(ショート)は生じないため、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るコンデンサ装置の第1実施形態の主要構造を模式的に示す斜視図(a)、並びに、延在側端子部及び導電体の平面的位置関係を模式的に示す平面図(b)である。
【
図2】第1実施形態の断面図の一例を模式的に示す第1の方向に沿った縦断面図(a)及び第1の方向と直交する第2の方向に沿った縦断面図(b)である。
【
図3】第2実施形態の断面図の一例を模式的に示す第1の方向に沿った縦断面図(a)及び第1の方向と直交する第2の方向に沿った縦断面図(b)である。
【
図4】第3実施形態の主要構造を模式的に示す斜視図(a)、並びに、延在側端子部及び導電体の平面的位置関係を模式的に示す平面図(b)である。
【
図5】第4実施形態の構造を模式的に示す分解斜視図である。
【
図6】第4実施形態の構造を模式的に示す斜視図(a)、倒伏姿勢の構造を模式的に示す斜視図(b)、及び、導電体の取付構造の他の例を模式的に示す斜視図(c)である。
【
図7】第5実施形態の構造を模式的に示す分解斜視図である。
【
図8】第5実施形態の構造を模式的に示す斜視図である。
【
図9】第6実施形態の構造を模式的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付図面を参照して本発明のコンデンサ装置の実施形態について詳細に説明する。
【0018】
(第1実施形態)
最初に、
図1乃至
図3を参照して、本発明に係るコンデンサ装置の第1実施形態について説明する。
図1(a)は、コンデンサ装置10の主要構造の外観の例を模式的に示す斜視図である。このコンデンサ装置10は、コンデンサ機能を有するコンデンサ本体11と、このコンデンサ本体11からそれぞれ導出される一対の電極端子12,13とを有する。
【0019】
コンデンサ本体11は、図示を省略するが、少なくとも、一対の内部電極(陽極及び陰極)と、これらの内部電極の間に配置された誘電体(絶縁皮膜)と、を備える。コンデンサ本体11は、コンデンサ機能を備えたものであれば、その構造は特に限定されないが、例えば、典型的には、フィルムコンデンサが挙げられる。ただし、固体電解コンデンサなどの電解コンデンサや、積層セラミックコンデンサなどであっても構わない。
【0020】
一対の電極端子12,13は、導電材からなり、一対の本体側端子部12a、13a、及び、これらの本体側端子部12a,13aに導電接続された一対の延在側端子部12b,13bを有する。本体側端子部12a、13aは、コンデンサ本体11の軸線方向の両端部から導出される軸状に構成され、図示例では、コンデンサ本体11の両端部の表面に沿って軸線方向と交差する方向に、すなわち、図示下方に延在する。延在側端子部12b,13bは、本体側端子部12a、13aの先端に導電接続され、軸線方向と交差する方向に、すなわち、図示前後方向に延在する。
【0021】
一対の延在側端子部12b,13bの上方、すなわち、コンデンサ本体11が配置される側には、一方の延在側端子部12bから他方の延在側端子部13bへまたがって延在するように、導電体14が配置される。
図1(b)は、一対の延在側端子部12b,13bと、これに重なる導電体14との平面的位置関係を模式的に示す平面図である。ここで、延在側端子部12b,13bに設けられた孔部12c,13cは、上記本体側端子部12a,13aを挿入し、延在側端子部12b,13bと導通させるためのものである。ここで、本体側端子部12a,13aは孔部12c,13cを貫通した先で半田等の導電性接着剤により固定される。導電体14は、金属やカーボン素材などの導電材からなり、延在側端子部12b,13bと電気的絶縁性を保つように配置されている。
【0022】
また、図示例では、導電体14と延在側端子部12b,13bは、それぞれが層状に構成されている。導電体14は、一方の延在側端子部12bと平面的に重なる対向部14aと、他方の延在側端子部13bと平面的に重なる対向部14bとを備え、これらの一対の対向部14aと14bを両端部として、コンデンサ本体11の軸線方向に沿って延長された形状(図示例では層状であり、全体として帯状)とされている。なお、
図1においては、絶縁層や絶縁材の図示を省略して示しているので、
図1(a)では、導電体14と延在側端子部12b,13bとの間に空隙があるように示される。
【0023】
図2(a)及び(b)は、本実施形態のより具体的な構成例を示す断面図である。この構成例では、コンデンサ本体11及び一対の本体側電極端子部12a,13aは、一対の本体側電極端子部12a,13aが一対の延在側端子部12b,13bにそれぞれ導電接続される態様で、配線基板15上に実装されている。この配線基板15は、絶縁樹脂などからなる電気的絶縁性の基材層15aと、基材層15a上に塗布されるオーバーコート印刷層などからなる電気的絶縁性の被覆層15bとを有する。そして、上記基材層15aの一方の表面上に端子層である上記延在側端子部12b,13bが銅箔などの導体パターンとして形成され、上記基材層15aの他方の表面上に上記導電体14が接着、貼着などによって付着されている。
【0024】
なお、延在側端子部12b,13bと導電体14は、いずれもが、或いは、少なくとも一方が、配線基板15とともに形成された上記導体パターンとして設けられていてもよく、或いは、配線基板15とは別のものとして配線基板15に固定されていてもよい。また、図示例では、上記一対の延在側端子部12b,13bの一部領域が、上記被覆層15bに設けられた開口部15c、15dによって、配線基板15の導電接続部(接続パッド部)12d,13dとなるように形成される。これらの導電接続部12d,13dは、図示しない他の導体と導電接続するための導電接続箇所である。なお、
図2に示す導電接続部12d,13dは図示下方に開口している。また、
図1には、導電接続部12d,13dの平面範囲を一点鎖線で示す。
【0025】
本実施形態では、コンデンサ装置10において、一対の電極端子12,13の延在側端子部12b,13bに対して基材層15aを介在させることで電気的絶縁性が保たれる態様で対向する一対の対向部14a,14bを一体に有する導電体14が設けられる。これにより、電極端子12と13によって生ずる寄生インダクタンスが導電体14の存在により生ずる磁束の打ち消し合いによって低減され、ESL(等価直列インダクタンス)が抑制される。このとき、従来のように、一対の電極端子12と13自体を絶縁材を介在させて互いに近づける(重ねる)ような特殊な構造を設けなくてもよいので、コンデンサ装置10の大型化や複雑化を回避できる。また、導電体14は一対の電極端子12と13のいずれに対しても電気的絶縁性が保たれるように配置されるので、導電体14がいずれか一方の電極端子12又は13と導通したとしても、コンデンサ装置10の電気的短絡事故を回避できるため、信頼性を向上させることができる。また、このような電気的信頼性を特別な構造によって確保する必要もないため、製造コストの増大も抑制できる。
【0026】
本実施形態では、コンデンサ本体11及び一対の電極端子12,13をそのままとしつつ、導電体14を新たに設けるだけでESLを低減できる。すなわち、上記既存のコンデンサの本体構造に対しては何らの改造も必要なく、新たな導電体14を付加するだけでよいため、導電体14の後付けのみによって容易に構成できるなど、各種構造に対する対応性が高く、設計上の高い自由度を保持することができる。
【0027】
本実施形態では、配線基板15の基材層15aを、一対の電極端子12,13と導電体14との間の電気的絶縁性を確保するための絶縁層として用いているため、新たに絶縁層を形成する必要がないという利点もある。ただし、一対の電極端子12,13と導電体14との間の電気的絶縁性を確保するために、新たに付加した絶縁膜を形成しても構わない。この場合、耐圧が十分に確保できる高品位の絶縁皮膜を形成することによって、電気的信頼性をさらに向上させることができるとともに、電極端子12,13と対向部14a,14bとの間の間隔を短く構成できるため、ESLの低減作用をさらに向上させることも可能になる。
【0028】
ESLの低減作用は、一対の電極端子12,13と導電体14との間の対向面積を増加させることによっても増大させることができる。例えば、導電体14の平面形状を、
図1(b)の二点鎖線で示すように、電極端子12,13に対し対向部14a,14bの重なる面積を増加させることによって、ESLをさらに低下させることができる。この場合、一対の対向部14aと14bの間の中間部分では両対向部の間の導通性が確保されればよいので、導電体14の占有面積を低減させるために、当該中間部分を図示例のように狭い幅に構成してもよい。また、図示しないが、導電体14が電極端子12,13と重なる対向部14a,14bの範囲も、図示例のように延在側端子部12b,13bの幅全体にわたる場合に限らず、適宜の範囲に設定しても構わない。
【0029】
図1に示す一対の電極端子12と13の間隔Lは、導電体14の一対の対向部14aと14bがそれぞれ対向するように配置される延在側端子部12bと13bの各部位の間の距離である。このとき、導電体14は、延在側端子部12bと13bの間の間隔Lを、一対の対向部14a,14bと延在側端子部12b,13bの間の二箇所の間隔の合計の値に変えた場合と実質的に同様の値にまで、一対の電極端子12と13(延在側端子部12bと13b)の間の寄生インダクタンスを低減させる。ここで、一対の対向部14a,14bと延在側端子部12b,13bの各間隔は、特に限定されないが、例えば、(1/50)L-(1/5)Lの範囲内であることが好ましく、(1/25)L-(1/10)Lの範囲内であることが望ましい。これは、当該間隔は、ESLを低減するためには小さいほどよいが、小さすぎると電気的信頼性が低下したり、製造コストが増大したりするからである。なお、以上の点は、後述する各実施形態においても、各図に示す間隔Lに対し、同様である。なお、導電層14は接地されていてもよい。
【0030】
(第2実施形態)
次に、
図3を参照して、第2実施形態のコンデンサ装置10′について説明する。この第2実施形態では、導電体14′を設ける位置(配置)以外は第1実施形態と同様であるため、同様の部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
【0031】
本実施形態では、導電体14′は、配線基板15の下方、すなわち、配線基板15のコンデンサ本体11の実装側とは反対側に配置される。図示例では、導電体14′は、配線基板15の基材層15a上を被覆する被覆層15b上に配置されている。ただし、導電体14′が、電極端子12,13、具体的には、延在側端子部12bと13bの双方に対向する一対の対向部14a′,14b′を備える点、これらの対向部14a′,14b′が延在側端子部12b,13bと平面的に重なる点は、第1実施形態と同様である。
【0032】
この実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果を奏するが、さらに、配線基板15の被覆層15bが、電極端子12,13と導電体14′との間の絶縁層を構成するので、被覆層15bの厚みによって電極端子12,13と導電体14′の間隔を設定することが容易化される。
【0033】
(第3実施形態)
次に、
図4を参照して第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、導電体14″の形状や配置以外は第1実施形態や第2実施形態と同様に構成できるため、同一部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。
【0034】
本実施形態では、導電体14″における電極端子12,13、具体的には延在側端子部12b,13bと対向する対向部14e,14fが、延在側端子部12b,13bと平面的に重なっていない。その代わりに、上記対向部14e,14fは、延在側端子部12b,13bの側縁(縁部)12e、13eに沿って伸びる端縁(縁部)を有する。すなわち、本実施形態では、導電体14″の対向部14e、14fは、電極端子12,13の縁部に沿って延在する縁部を有する。
【0035】
この実施形態では、第1及び第2実施形態のように、電極端子12,13に対して導電体14とが平面的に重なるといった構造を有しないため、電極端子12,13と導電体14″の間の対向面積は低下する。しかし、導電体14″の対向部14e,14fは、延在側端子部12b,13bの側縁12e,13eに沿って延在するため、実質的な対向面積を或る程度確保できることから、ESLの低減効果を得ることができる。また、先の実施形態と同様に、基材層15aや被覆層15bを絶縁層として導電体14″の電気的絶縁性が保たれるが、対向範囲は限定されているため絶縁破壊などによる短絡不良の虞を低減することができるといった利点を有する。
【0036】
ESLの低減作用は、一対の電極端子12,13と導電体14″との間の対向面積を増加させることによっても増大させることができる。例えば、導電体14″の平面形状を、
図4(b)の二点鎖線で示すように、電極端子12と13の側縁12e,13eに沿った対向部14eと14fの長さが増加された形状とすることによって、ESLをさらに低下させることができる。この場合、一対の対向部14eと14fの間の中間部分では両側への導通性が確保されればよいので、導電体14″の占有面積を低減させるために、当該中間部分を図示例のように狭い幅に構成してもよい。また、導電体14″と延在側端子部12b,13bを同じ層(高さ)位置にある導体パターンとして形成してもよい。ただし、この場合には、同じ層内において、対向部14e,14fと延在側端子部12b,13bとの間において、平面内に隙間を形成したり、絶縁部を形成したりする必要がある。
【0037】
(第4実施形態)
次に、
図5及び
図6を参照して第4実施形態について説明する。
【0038】
本実施形態のコンデンサ装置20は、
図5及び
図6に示すように、コンデンサ本体21と、このコンデンサ本体21から導出される電極端子22,23と、コンデンサ本体21、及び、電極端子22,23の一部を収容し、電気的絶縁性を備える材質からなる収容体26とを有する。収容体26の底部26a上には、接着などによって固定された導電体24が配置される。収容体26は、合成樹脂などの電気的絶縁性の材料からなるケース体で、コンデンサ本体21、及び、電極端子22,23の一部を収容したものであってもよく、また、このケース体に収容したコンデンサ本体21、及び、電極端子22,23の一部をモールド樹脂によって封止したものであってもよく、さらには、モールド樹脂のみで構成されたものであってもよい。
【0039】
導電体24は、一方の電極端子22と対向する対向部24eと、他方の電極端子23と対向する対向部24fとを一体に有する。対向部24e,24fは、電極端子22,23の内縁(縁部)に沿って延在する端縁(縁部)を備える。ここで、対向部24e,24fの端縁と、電極端子22,23の内縁との間には空隙があり、この空隙によって電気的絶縁性が保たれている。ここで、電極端子22,23はコンデンサ本体21の両端部から軸線方向と交差する方向に導出され、導電体24は軸線方向に沿って延在する姿勢で、その軸線方向両端の対向部24e,24fが電極端子22,23の導出部分と対向している。
【0040】
上記空隙が狭くなるほど、本実施形態のESLの低減作用は大きくなるが、その代わりに、電気的短絡が生ずる危険性が増大する。そこで、
図6(c)に示すように、合成樹脂などの電気的絶縁性を備える材料からなる絶縁保持体27を用意し、この絶縁保持体27を介して収容体26に導電体24を接着などにより取り付ける。ここで、絶縁保持体27には、対向部24e,24fの端縁と、電極端子22,23の内縁との間に配置されることとなる位置に、厚み方向に突出する枠状の縁部27e,27fを備えている。これらの縁部27e、27fは、絶縁保持体27を介して導電体24を収容体26の底部26a上に固定したとき、対向部24e,24fの端縁と、電極端子22,23の内縁との間に挿入されるように配置され、導電体24と電極端子22,23との間の電気的絶縁性が保たれるようにする。なお、図示例では、絶縁保持体27を一体物として構成し、取り扱い性や製造作業の容易化を図っているが、縁部27e,27fを別々の部材に設けてもよい。また、縁部27e,27fのみを絶縁保持体として設けてもよい。この場合、収容体26の底部26aの表面形状を縁部27e,27fを一体に有する態様に構成しても構わない。
【0041】
本実施形態では、コンデンサ本体21の底面に近接配置される電極端子22,23に対して、電気的絶縁性の収容体26の底部26aに沿って配置された導電体24の対向部24e、24fが内側に隣接するように対向している。このため、コンデンサ装置20のサイズをほとんど変更することなしに、ESLを低減することができる。また、コンデンサ本体21を収容する電気的絶縁性を備える収容体26に固定された導電体24が電極端子22,23と対向するため、新たな絶縁構造を設けることなしに、ESLを低減することができる。
【0042】
(第5実施形態)
次に、
図7及び
図8を参照して第5実施形態について説明する。
【0043】
本実施形態のコンデンサ装置30は、
図7及び
図8に示すように、コンデンサ本体31と、このコンデンサ本体31から導出される電極端子32,33と、コンデンサ本体31、及び、電極端子32,33の一部を収容するモールド樹脂であり、電気的絶縁性を備える材質からなる収容体36とを有する。収容体36の側面36a上には、接着などによって固定された導電体34が配置される。なお、収容体36は第4実施形態の収容体26と同様に構成できる。
【0044】
導電体34は、一方の電極端子32と収容体36を介して対向する対向部34aと、他方の電極端子33と対向する対向部34bとを一体に有する。また、電極端子32,33は、コンデンサ本体31の軸線方向の両端部から軸線方向と交差する第1の方向(図示前方)に導出され、その後、コンデンサ本体31の側面上に沿って軸線方向、及び、軸線方向と交差する第2の方向(図示下方)に延在する本体側端子部32a、33aと、その後、軸線方向と交差する方向(図示下方及び図示前方)であって、コンデンサ本体31から離れる向きに延在する延在側端子部32b、33bとを有する。導電体34の上記対向部34a,34bは、収容体36の側面36a上において、電極端子32,33のコンデンサ本体31の側面上に配置される上記本体側端子部32a、33aと対向する。図示例の場合、本体側端子部32a、33aと導電体34はいずれも層状(板状)に構成されており、相互に平面的に重なるように対向している。
【0045】
本実施形態では、コンデンサ本体31の側面上に配置される電極端子32,33の本体側端子部32a、33aに対して、電気的絶縁性の収容体36を介して、層状の導電体34の対向部34a、34bが重なるように対向している。このため、コンデンサ装置30のサイズをほとんど変更することなしに、ESLを低減することができる。また、収容体36の一部(側面36aの近傍)を絶縁層として用いることにより、新たな絶縁構造を設けることなしに、ESLを低減することができる。さらに、収容体36はケース体やモールド樹脂によって構成されるため、それらの厚みを適宜に設計することにより、導電体34と電極端子32,33との間隔を容易に設定できるという利点もある。
【0046】
(第6実施形態)
最後に、
図9を参照して第6実施形態について説明する。
【0047】
本実施形態のコンデンサ装置40では、コンデンサ本体41と、この両端部にそれぞれ形成された電極端子42,43の本体側端子部42a,43aとを備えるコンデンサ主要部が配線基板45上に実装された構造を有する。配線基板45には、電気的絶縁性を備える基材層45aと、この基材層45aの一方の表面上に形成された銅箔などの導体パターンからなる端子層である延在側端子部42b、43bとを有する。ここで、本体側端子部42a、43aと延在側端子部42b,43bは、半田などの導電接着剤42c、43cによって導電接続される。また、本実施形態のコンデンサ装置40では、本体側端子部42a、43a、延在側端子部42b,43b、及び、導電接着剤42c、43cによって、電極端子42,43が構成される。
【0048】
配線基板45には、上記基材層45aの他方の表面上に導体パターンからなる導電体44が形成される。また、導電体44は、おなじく基材層45aの他方の表面上に形成され、電気的絶縁性を備えるオーバーコート印刷層などからなる被覆層45cによって被覆される。本実施形態では、コンデンサ本体41と本体側端子部42a,43aが電子部品として予め構成され、この電子部品が配線基板45上に実装されることによってコンデンサ装置40が完成される。この場合、電子部品やその実装方法、実装先の導電接続パッドとしての延在側端子部42b,43bの構造を、従来と何ら変えずに、配線基板45における電子部品の実装位置に対応する特定の位置に導電体44を形成するだけで、ESLの低減作用を実現することができる。
【0049】
(作用効果)
以上説明した各実施形態では、コンデンサ本体11にそれぞれ導電接続された一対の電極端子12,13の間に設置され、一対の電極端子のいずれに対しても電気的絶縁性が保たれる態様で、一対の電極端子に対してそれぞれ対向するように配置される一対の対向部14a,14bを一体に有する導電体14を具備することにより、コンデンサ本体11から導出される一対の電極端子12,13に対してそれぞれ導電体14の対向部14a,14bが対向するように配置されるので、一対の電極端子の間の相互インダクタンスを導電体の介在によって低減することができるから、コンデンサ装置のESLを抑制できる。また、一対の電極端子を絶縁体を介して相互に近づける(重ねる)必要がなくなることから、コンデンサ装置の大幅な構造変更や大型化を回避することができるなど、コンデンサの本体構造及びその周囲構造の設計を妨げにくく、構造上の自由度を確保できる。さらに、導電体を設けるといった簡単な変更だけで、或いは、追加的な対策だけで、ESLを低減することができるという利点もある。その上、導電体は、一対の電極端子の双方に対して電気的絶縁性が保たれる態様とされるため、仮にいずれか一方の電極端子との間で電気的短絡事故が生じても、コンデンサ装置自体の電気的短絡(ショート)は生じないため、信頼性を向上させることができる。また、このような信頼性の向上のために絶縁耐圧を高めるなどの対策を採る必要がないことから、製造コストの増大を回避することも可能である。
【0050】
また、第1、第2及び第6実施形態では、一対の電極端子12,13,42,43の一部領域である延在側端子部12b,13b,42b,43bと、導電体14,14′,44が共に層状に構成されるとともに、導電体の一対の対向部14a,14b,14a′,14b′,44a,44bは、延在側端子部12b,13b,42b,43bとそれぞれ平面的に重なる態様で対向するように配置されることから、電極端子と導電体との間に十分な対向面積を確保できるとともに、厚みを抑制することができるため、コンデンサの本体構造やその周辺構造を大型化せずにコンパクトに構成できる。なお、第5実施形態において、本体側端子部32a,33aと導電体34とが共に層状に構成されるとともに、導電体34の一対の対向部34a,34bは本体側端子部32a,33aとそれぞれ平面的に重なる態様で対向するように配置されることによっても、上記と同様の作用効果を奏する。
【0051】
さらに、第3及び第4実施形態において、導電体14″,24の一対の対向部14e、14f,24e,24fは、一対の電極端子12,13,22,23の少なくとも一部領域の側縁12e,13eや内縁に沿った縁部(端縁)をそれぞれ備えることにより、相互に隣接するだけの簡易な構造により、相互の対向面積を確保し、ESLを低減することができる。したがって、種々の構造に容易に対応することができるので、設計上の自由度が確保できるとともに、既存の構造に対して容易に対応することが可能になる。
【0052】
また、第1-第3、第5実施形態では、一対の対向部14a,14b,14a′,14b′,34a,34bは、一対の電極端子12,13,32,33において、他の導体に導電接続される導電接続箇所12d,13d,32b,33bを避け、導電接続箇所以外の範囲に設定された一部領域に対向するように重ねて配置されることにより、他の導体との干渉を回避できるとともに、他の導体との導電接続の態様を変更することなしに、ESLを低減できる。このため、既存の構造に対して導電体14,14′,14″,34を容易に追加設置できる。
【0053】
さらに、第1-第3、第6実施形態では、導電体14,14′、14″,44は、配線基板15,45に形成された導電層(導体パターン)によって構成されることにより、コンデンサの本体構造や周囲の端子構造や配線構造などを配線基板15,45上に実装するだけで対応できる。すなわち、予め配線基板15,45に上記導電層を形成しておくだけで対応することができるので、容易にESLを低減することができる。
【0054】
また、第1-第3、第6実施形態では、配線基板15,45は、電気的絶縁性の基材層15a,45aと、基材層15a,45aの一方の面上に形成され、一対の電極端子12,13,42,43の少なくとも一部領域をそれぞれ構成する一対の端子層である延在側端子部12b,13b,42b,43bとを有することにより、配線基板15,45において寄生インダクタンスの低減を図ることができるので、コンデンサの本体構造や本体側端子部に影響を与えずに対応することが可能になる。
【0055】
さらに、第1、第6実施形態において、導電体14,44は、基材層15a,45aの他方の面上に形成されることにより、配線基板15,45の構造を利用して電極端子12,13と導電体14,44との間の電気的絶縁性を保つことができる。また、これとは異なるが、第2実施形態において、導電体14′は、基材層15aの一方の面上において一対の端子層12b,13bとの間に電気的絶縁性の被覆層15bを介して形成されるようにしてもよい。この場合には、被覆層15bの材質や厚みなどによってESLの低減作用や信頼性を任意に設定することができる。
【0056】
また、第4,第5実施形態において、コンデンサ本体21,31を収容する、少なくとも一部が電気的絶縁性を備える材質からなる収容体26,36をさらに具備し、導電体24,34は、収容体26,36の前記一部を介して一対の電極端子22,23,32,33に対向配置されることにより、収容体26,36の一部を絶縁層として用いることができるので、導電体24,34を配置するだけで、新たな絶縁層を設けることなしに対応することができる。
【0057】
各実施形態において、一対の電極端子12,13,42,43は、コンデンサ本体11,41からそれぞれ導出される本体側端子部12a,13a,42a,43aと、本体側端子部にそれぞれ導電接続される別部材からなる延在側端子部12b,13b,42b,43bとを有し、導電体14,14′,14″,44は、上記延在側端子部に対して対向するように配置されることにより、コンデンサの本体構造とは無関係に、その周囲構造だけで寄生インダクタンスの低減を図ることができるため、既存の構造に影響を受けにくく、種々の状況に容易に対応することが可能になる。
【0058】
なお、本発明のコンデンサ装置は、上述の図示例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記各実施形態におけるそれぞれの構造部分の特徴は、他の実施形態においても、特に支障がない限り、既にある構造と置換することができ、或いは、新たに追加することができ、さらには、任意の組み合わせで適宜に採用することができる。また、上記各実施形態では、コンデンサ本体の両端部から一対の電極端子がそれぞれ導出されるように構成されるため、コンデンサ本体の構造を簡易化でき、また、内部の相互インダクタンスも低減できるが、これらとは異なり、一方の端部に一対の電極端子が並んで導出されるように構成されたコンデンサ本体を有するコンデンサ装置であっても構わない。
【0059】
また、上記第4及び第5実施形態では、収容体26,36の外部に導電体24,34を配置しているが、収容体26,36の内部に導電体24,34を配置してもよい。このとき、一対の電極端子22,23,32,33における導電体24,34と対向する一部領域は、収容体26,36の内部に配置されていても、外部に配置されていてもよい。
【0060】
さらに、上記各実施形態では、いずれも単一のコンデンサ本体を備えているが、複数のコンデンサ本体を並列に接続する連接体構造とし、複数のコンデンサ本体の間を導電接続する一対の導電接続材に対して導電体を対向配置させても構わない。
【0061】
また、コンデンサ本体から導出される電極端子としては、コンデンサ本体から直接導出される本体側端子部だけではなく、この本体側端子部に対して導電接続された延在側端子部、すなわち、本体側端子部に導電接続された配線基板上の配線部分や接続パッド部、本体側端子部に導電接続されたリード線なども含まれる。したがって、これらの延在側端子部は、外観として端子状に見えるものに限られない。
【符号の説明】
【0062】
10、10′,10″,20,30,40…コンデンサ装置、11,21,31,41…コンデンサ本体、12,13、22,23,32,33,42,43…電極端子、12a,13a,22a,23a,32a,33a,42a,43a…本体側端子部、12b,13b,22b,23b,32b,33b,42b,43b…延在側端子部、12c,13c…孔部、12d、13d…接続パッド部、14,24,34,44…導電体、14a,14b…対向部、15,45…配線基板、15a,45a…基材層、15b,45b…被覆層、15c,15d…開口部