IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXIL鈴木シャッターの特許一覧

<>
  • 特開-防水板補強装置 図1
  • 特開-防水板補強装置 図2
  • 特開-防水板補強装置 図3
  • 特開-防水板補強装置 図4
  • 特開-防水板補強装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048204
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】防水板補強装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20230331BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E04H9/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157371
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000252034
【氏名又は名称】株式会社鈴木シャッター
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】大場 広敦
【テーマコード(参考)】
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E139AA10
2E139AC19
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】水圧による防水板の撓みを抑制し、防水板装置の止水性能を向上させる。
【解決手段】防水板装置1の防水板3A,3B,3Cを補強する防水板補強装置10であって、防水板装置1は、開口部4の左右の側壁5L,5R間に着脱可能に設置され、開口部4から屋内側への水の浸入を堰き止める防水板3A,3B,3Cを備え、防水板補強装置10は、左右の側壁5L,5R間に着脱可能に架設され、防水板3A,3B,3Cの屋内側の面を支持する補強部12A,12Bを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水板装置の防水板を補強する防水板補強装置であって、
前記防水板装置は、
開口部の左右の側壁間に着脱可能に設置され、前記開口部から屋内側への水の浸入を堰き止める防水板を備え、
前記防水板補強装置は、
左右の前記側壁間に着脱可能に架設され、前記防水板の屋内側の面を支持する補強部を備えることを特徴とする防水板補強装置。
【請求項2】
前記補強部は、三角形の骨組構造を基本単位とし、その集合体で構成されるトラス構造を備えることを特徴とする請求項1に記載の防水板補強装置。
【請求項3】
前記補強部は、
一対の長尺骨組部材と、
一対の前記長尺骨組部材間に架設されて複数の前記三角形を形成する複数の短尺骨組部材と、
前記長尺骨組部材と前記短尺骨組部材、又は前記短尺骨組部材同士をピン接合させる接合部材と、を備え、
いずれか一方の前記長尺骨組部材が前記防水板の屋内側の面に当接することを特徴とする請求項2に記載の防水板補強装置。
【請求項4】
前記補強部は、一部の前記接合部材を外すことで、いずれか一方の前記長尺骨組部材に沿って折り畳み可能であることを特徴とする請求項3に記載の防水板補強装置。
【請求項5】
前記補強部は、上下に並列する上側補強部及び下側補強部を備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の防水板補強装置。
【請求項6】
前記上側補強部及び前記下側補強部の前記長尺骨組部材が一体化されていることを特徴とする請求項5に記載の防水板補強装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水板装置の防水板を補強する防水板補強装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開口部の左右の側壁間に着脱可能に設置され、開口部から屋内側への水の浸入を堰き止める防水板装置が知られている。また、防水装置の防水性能を高めるために、防水板装置に付加的に装着可能な装置も知られている。例えば、特許文献1には、防水板を床面やガイドレールに押し付ける止水板密着装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-21357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の止水板密着装置では、ガイドレールの近傍で防水板の左右両端部を下方に押し付けるだけであり、水圧によって生じる防水板の撓みを抑制することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、防水板装置の防水板を補強する防水板補強装置であって、前記防水板装置は、開口部の左右の側壁間に着脱可能に設置され、前記開口部から屋内側への水の浸入を堰き止める防水板を備え、前記防水板補強装置は、左右の前記側壁間に着脱可能に架設され、前記防水板の屋内側の面を支持する補強部を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の防水板補強装置であって、前記補強部は、三角形の骨組構造を基本単位とし、その集合体で構成されるトラス構造を備えることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の防水板補強装置であって、前記補強部は、一対の長尺骨組部材と、一対の前記長尺骨組部材間に架設されて複数の前記三角形を形成する複数の短尺骨組部材と、前記長尺骨組部材と前記短尺骨組部材、又は前記短尺骨組部材同士をピン接合させる接合部材と、を備え、いずれか一方の前記長尺骨組部材が前記防水板の屋内側の面に当接することを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の防水板補強装置であって、前記補強部は、一部の前記接合部材を外すことで、いずれか一方の前記長尺骨組部材に沿って折り畳み可能であることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1~4のいずれか1項に記載の防水板補強装置であって、前記補強部は、上下に並列する上側補強部及び下側補強部を備えることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項5に記載の防水板補強装置であって、前記上側補強部及び前記下側補強部の前記長尺骨組部材が一体化されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、防水板補強装置は、防水板とは別部材として設けられるものであって、左右の側壁間に着脱可能に架設され、防水板の屋内側の面を支持する補強部を備えるので、水圧による防水板の撓みを抑制し、防水板装置の止水性能を向上させることができる。
また、請求項2の発明によれば、補強部は、三角形の骨組構造を基本単位とし、その集合体で構成されるトラス構造を備えるので、必要な強度を確保しつつ、軽量化が図れる。
また、請求項3の発明によれば、トラス構造を備える補強部によって防水板の屋内側の面を適切に支持することができる。
また、請求項4の発明によれば、補強部は、一部の接合部材を外すことで、いずれか一方の長尺骨組部材に沿って折り畳み可能なので、コンパクトな収納が可能になる。
また、請求項5の発明によれば、補強部は、上下に並列する上側補強部及び下側補強部を備えるので、防水板をより確実に補強できる。
また、請求項6の発明によれば、上側補強部及び下側補強部の長尺骨組部材が一体化されているので、部品点数を削減できるだけでなく、設置性や収納性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態に係る防水板補強装置及び防水板装置を屋内側から視た背面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る防水板補強装置及び防水板装置の平面図である。
図3】(a)は本発明の第1実施形態に係る防水板補強装置を屋外側から視た正面図、(b)はA-A断面図である。
図4】(a)~(d)は補強部の折り畳み手順を示す説明図である。
図5】(a)は本発明の第2実施形態に係る防水板補強装置を屋外側から視た正面図、(b)はB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[防水板装置]
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。まず、本発明の実施形態に係る防水板補強装置10によって補強される防水板装置1について説明する。図1及び図2において、1は防水板装置であって、該防水板装置1は、ガイドレール2L,2Rと、防水板3A,3B,3Cと、を備える。
【0009】
なお、以下の説明では、防水板3A,3B,3Cの幅方向(長手方向)を左右方向、防止板3A,3B,3Cの厚み方向を前後方向、防水板3A,3B,3Cの高さ方向を上下方向と称する場合がある。また、前後方向のうち、防水板3A,3B,3Cが水圧を受ける側を屋外側(前側)、水の浸入を阻止する側を屋内側(後側)と称する場合がある。
【0010】
ガイドレール2L,2Rは、例えば、アルミなどの金属製押出形材で構成されており、開口部4の左右の側壁5L,5Rに沿って立設される。例えば、本実施形態のガイドレール2L,2Rは、図1及び図2に示すように、左右の側壁5L,5Rの内側面に付設されるが、側壁5L,5Rの前面に付設してもよいし、側壁5L,5Rに埋め込んでもよい。
【0011】
ガイドレール2L,2Rは、施工後、側壁5L,5Rと一体化された状態で放置される。なお、ガイドレール2L,2Rは、側壁5L,5Rに対して着脱自在とし、撤去時は倉庫内などに保管し、使用時にのみ側壁5L,5Rに沿って設置するようにしてもよい。
【0012】
本実施形態の防水板3A,3B,3Cは、例えば、所定の剛性を有する金属製パネル材で構成されており、上下方向に直列状に積層可能な3枚で構成され、互いに嵌合/分離が可能である。このような分割式の防水板3A,3B,3Cによれば、撤去時はコンパクトに倉庫内などに保管することができだけでなく、使用時及び撤去時における運搬作業も容易になる。なお、防水板の枚数は、3枚に限定されず、1枚又は2枚でもよいし、4枚以上であってもよい。
【0013】
防水板3A,3B,3Cの幅方向の両端部は、ガイドレール2L,2Rに形成される差込溝2aに差し込まれることにより、開口部4を塞ぐように立設保持される。具体的には、下段側の防水板3A,3B,3Cから順番に、防水板3A,3B,3Cの幅方向の両端部を上方からガイドレール2L,2Rの差込溝2aに差し込むと、防水板3A,3B,3Cは、ガイドレール2L,2Rに案内されて下方に移動するとともに、順次積層されて開口部4に防水壁Wを形成する。
【0014】
少なくとも最下段に位置する防水板3Aの下端面には、開口部4の床面4aに当接する止水材3aが設けられる。止水材3aは、ゴム質弾性部材で構成されており、開口部4の床面4aに弾性的に当接することで、防水板3Aの下端面と床面4aとの間における漏水を抑制するが、防水板3A,3B,3Cが水圧を受けて撓むと、最下段の防水板3Aが床面4aから浮き上がったり、防水板3A,3B,3C間に隙間が生じて漏水量が増加する可能性がある。本発明の実施形態に係る防水板補強装置10は、新設又は既設の防水板装置1に対して付加的に設置されることで、水圧による防水板3A,3B,3Cの撓みを抑制するものである。なお、本発明の実施形態に係る防水板補強装置10は、中柱(図示せず)を備える連装仕様の防水板装置にも適用可能である。
【0015】
[防水板補強装置]
図1図3に示すように、防水板補強装置10は、開口部4の左右の側壁5L,5Rに設けられる左右の取付部11A,11Bと、左右の取付部11A,11B間に着脱可能に架設される補強部12A,12Bとを備えており、補強部12A,12Bが防水壁Wの屋内側の面を支持する。本実施形態の防水板補強装置10は、取付部11A,11B及び補強部12A,12Bが上下に並列する二段構成であり、二段目及び三段目の防止板3B,3Cの屋内側の面を支持するが、一段構成であってもよいし、三段構成以上であってもよい。
また防水板補強装置10が取り付けられる防水板3としては、二段目、三段目でなく、例えば一段目、三段目等、必要において適宜の位置の防水板3に選択取り付けすることができる。この場合に、取付部11を各段の防水板3に対応して設けたものとしておくことで、防水板補強装置10の選択取り付けが自由にできることになる。
そのうえ防水板補強装置10は、該防水装置10が設けられる防水板3B,3Cとは別部材(別装置)として設けられるものであるため、既設の防水板においても追加部材として必要において設けることができ、既設の防水板に対する爾後的な補強も可能になるという利点がある。
【0016】
取付部11A,11Bは、例えば、L字形のプレート部材であり、一片がアンカーボルト13を介して側壁5L,5Rに固定され、他片に補強部12A,12Bを取り付けられる。
【0017】
補強部12A,12Bは、三角形の骨組構造を基本単位とし、その集合体で構成されるトラス構造を備える。具体的に説明すると、補強部12A,12Bは、一対の長尺骨組部材14,15と、一対の長尺骨組部材14,15間に架設されて複数の三角形を形成する複数の短尺骨組部材16と、長尺骨組部材14,15と短尺骨組部材16、又は短尺骨組部材16同士をピン接合させる接合部材17,18(例えば、ボルト・ナット)と、を備える。
【0018】
一対の長尺骨組部材14,15は、前後方向に間隔を介して互いに平行であり、以下、前側のものを前側長尺骨組部材14、後側のものを後側長尺骨組部材15と称する場合がある。また、接合部材17,18のうち、前側長尺骨組部材14と短尺骨組部材16とを接合するものを前側接合部材17、後側長尺骨組部材15と短尺骨組部材16とを接合するものを後側接合部材18と称する場合がある。
【0019】
図1図3に示すように、左右の取付部11A,11B間に補強部12A,12Bが架設された状態では、前側長尺骨組部材14がクッション材19を介して防水壁Wの屋外側の面に当接する。また、本実施形態では、上下二段の補強部12A,12Bを備えにあたり、上下二段の補強部12A,12Bの前側長尺骨組部材14を一体化している。
【0020】
[補強部の折り畳み手順]
つぎに、補強部12A,12Bの折り畳み手順について、図4の(a)~(d)を参照して説明する。
【0021】
図4の(a)に示すように、補強部12A,12Bは、左右両端の後側接合部材18を外すことで、取付部11A,11Bから取り外すことができる。
【0022】
つぎに、図4の(b)に示すように、すべての後側接合部材18を外すと、すべての短尺骨組部材16の後端側がフリーになり、前側長尺骨組部材14に対して揺動自在な状態となる。
【0023】
つぎに、図4の(c)に示すように、前後の長尺骨組部材14,15及び一部の短尺骨組部材16が平行リンク機構となるように、一部の短尺骨組部材16の後端部を複数の後側接合部材18を介して後側長尺骨組部材15に接合させる。
【0024】
このように接合すると、図4の(d)に示すように、前後の長尺骨組部材14,15を近接させ、且つ前後の長尺骨組部材14,15に沿うように複数の短尺骨組部材16を折り畳むことが可能になる。
【0025】
[実施形態の効果]
叙述の如く構成された本実施形態によれば、防水板装置1の防水板3A,3B,3Cを補強する防水板補強装置10であって、防水板装置1は、開口部4の左右の側壁5L,5R間に着脱可能に設置され、開口部4から屋内側への水の浸入を堰き止める防水板3A,3B,3Cを備え、防水板補強装置10は、左右の側壁5L,5R間に着脱可能に架設され、防水板3A,3B,3Cの屋内側の面を支持する補強部12A,12Bを備えるので、水圧による防水板3A,3B,3Cの撓みを抑制し、防水板装置1の止水性能を向上させることができる。
【0026】
また、補強部12A,12Bは、三角形の骨組構造を基本単位とし、その集合体で構成されるトラス構造を備えるので、必要な強度を確保しつつ、軽量化が図れる。
【0027】
また、補強部12A,12Bは、一対の長尺骨組部材14,15と、一対の長尺骨組部材14,15間に架設されて複数の三角形を形成する複数の短尺骨組部材16と、長尺骨組部材14,15と短尺骨組部材16、又は短尺骨組部材16同士をピン接合させる接合部材17,18と、を備え、いずれか一方の長尺骨組部材14が防水板3A,3B,3Cの屋内側の面に当接するので、トラス構造を備える補強部12A,12Bによって防水板3A,3B,3Cの屋内側の面を適切に支持することができる。
【0028】
また、補強部12A,12Bは、一部の接合部材18を外すことで、長尺骨組部材14,15に沿って折り畳み可能なので、コンパクトな収納が可能になる。
【0029】
また、補強部12A,12Bは、上下に並列する上側の補強部12A及び下側の補強部12Bを備えるので、防水板3A,3B,3Cをより確実に補強できる。
【0030】
また、上側の補強部12A及び下側の補強部12Bの前側長尺骨組部材14が一体化されているので、部品点数を削減できるだけでなく、設置性や収納性が高められる。
【0031】
[第2実施形態]
つぎに、本発明の第2実施形態の防水板補強装置10Bについて、図5を参照して説明する。ただし、第1実施形態と共通の構成は、第1実施形態と同じ符号を用いることで、第1実施形態の説明を援用する場合がある。
【0032】
図5に示すように、第2実施形態の防水板補強装置10Bは、上側の補強部12Aの前側長尺骨組部材14と、下側の補強部12Bの前側長尺骨組部材14とが一体化されず、分離した状態である点が前記実施形態と相違している。このような第2実施形態であっても、水圧による防水板3A,3B,3Cの撓みを抑制し、防水板装置1の止水性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 防水板装置
2L,2R ガイドレール
2a 差込溝
3A,3B,3C 防止板
3a 止水材
4 開口部
4a 床面
5L,5R 側壁
10 防水板補強装置
11A,11B 取付部
12A,12B 補強部
13 アンカーボルト
14 前側長尺骨組部材
15 後側長尺骨組部材
16 短尺骨組部材
17 前側接合部材
18 後側接合部材
19 クッション材
図1
図2
図3
図4
図5