(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048282
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】予混合装置、これを備えた燃焼装置および温水装置
(51)【国際特許分類】
F23D 14/62 20060101AFI20230331BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20230331BHJP
F23N 1/02 20060101ALI20230331BHJP
F23C 9/08 20060101ALI20230331BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20230331BHJP
【FI】
F23D14/62
F23K5/00 303
F23N1/02 K
F23C9/08 402
F24H1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157494
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】唐木 竜也
【テーマコード(参考)】
3K003
3K017
3K065
3K068
3L034
【Fターム(参考)】
3K003AC01
3K003AC02
3K003CB05
3K017CA06
3K017CB09
3K017CC01
3K065TA01
3K065TC02
3K065TD05
3K065TL05
3K065TM02
3K068AA01
3K068AB04
3K068BB05
3K068BB12
3K068CA05
3L034BA25
(57)【要約】
【課題】低NOx化および点火性能の向上の両立を適切に図ることが可能な予混合装置を提供する。
【解決手段】空気が流通する気体流通路30と、燃料ガス供給口44に供給された燃料ガスを第1および第2のガス流出口31,32に導くことが可能なガス供給経路R1と、を備えている、予混合装置Aであって、排ガス供給口45に供給された排ガスを第2のガス流出口32に導くことが可能な追加のガス供給経路R2と、ガス供給経路R1および追加のガス供給経路R2の一方を、第2のガス流出口32に選択的に連通させることが可能なガス供給経路切り替え手段V1,V2と、をさらに備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を所定方向に流通させるための気体流通路、およびこの気体流通路に連通する第1および第2のガス流出口を有する装置本体部と、
一端に燃料ガス供給口を有し、かつこの燃料ガス供給口に供給された燃料ガスを前記第1および第2のガス流出口に導いて前記気体流通路に流出可能とするガス供給経路と、
を備えている、予混合装置であって、
一端に排ガス供給口を有し、かつこの排ガス供給口に供給された排ガスを前記第2のガス流出口に導いて前記気体流通路に流出可能とする追加のガス供給経路と、
前記ガス供給経路および前記追加のガス供給経路の一方を、前記第2のガス流出口に選択的に連通させることが可能なガス供給経路切り替え手段と、
をさらに備えていることを特徴とする、予混合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の予混合装置であって、
前記第1のガス流出口は、前記第2のガス流出口よりも前記気体流通路における空気流れ方向下流側に位置している、予混合装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の予混合装置であって、
前記装置本体部は、前記気体流通路を形成する気体流通路形成部、およびこの気体流通路形成部を囲むハウジング部を含み、かつ前記ガス供給経路および前記追加のガス供給経路は、前記ハウジング部および前記気体流通路形成部により形成されており、
前記ガス供給経路切り替え手段は、前記装置本体部に組み付けられている、予混合装置。
【請求項4】
請求項3に記載の予混合装置であって、
前記装置本体部は、前記燃料ガス供給口および前記第1のガス流出口と連通する第1のチャンバ、前記第2のガス流出口と連通する第2のチャンバ、前記排ガス供給口と連通する第3のチャンバ、ならびに前記第1ないし第3のチャンバのそれぞれに第1ないし第3の連通孔を介して連通する第4のチャンバを区画形成しており、
前記第1、第2および第4のチャンバは、前記ガス供給経路を構成し、かつ前記第2ないし第4のチャンバは、前記追加のガス供給経路を構成しており、
前記ガス供給経路切り替え手段は、前記第1および第3の連通孔をそれぞれ個別に開閉可能なバルブを含んでいる、予混合装置。
【請求項5】
ファンと、
このファンの吸気側に設けられ、かつ空気と燃料ガスとを混合させてから前記ファンに送り込む予混合装置と、
前記ファンから前記空気と前記燃料ガスとの混合気の供給を受けて前記燃料ガスを燃焼させるバーナと、
を備えている、燃焼装置であって、
前記予混合装置として、請求項1ないし4のいずれかに記載の予混合装置が用いられ、かつ前記バーナにより発生された燃焼ガスの排ガスの一部が、前記予混合装置の前記排ガス供給口に供給されるように構成されていることを特徴とする、燃焼装置。
【請求項6】
請求項5に記載の燃焼装置であって、
前記バーナの駆動燃焼を終えた後には、前記燃焼装置内に残留する排ガスを外部に排出するための排ガスパージ動作が実行されるように構成されており、
前記予混合装置は、前記排ガスパージ動作中においては、前記追加のガス供給経路が前記第2のガス流出口に連通する状態とされる一方、前記排ガスパージ動作の終了後には、前記ガス供給経路が前記第2のガス流出口に連通する状態に設定されるように構成されて
いる、燃焼装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の燃焼装置と、
この燃焼装置の前記燃焼ガスから顕熱および潜熱をそれぞれ回収して湯水を加熱することが可能な1次熱交換器および2次熱交換器と、
を備えている、温水装置であって、
前記予混合装置の前記排ガス供給口に供給される排ガスとして、前記2次熱交換器を通過した後の排ガスが利用されるように構成されていることを特徴とする、温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予混合装置、これを備えた燃焼装置および温水装置に関する。
ここで、「予混合」とは、予混合燃焼(Premixing combustion)を行なうことを目的として、空気と燃料ガスとを予め混合させ、可燃混合ガスを生成する処理である。
【背景技術】
【0002】
予混合装置の具体例として、特許文献1,2に記載のものがある。
これらの文献に記載された予混合装置は、一端側が外部に開口し、かつ他端側がファンの吸気側に接続されたベンチュリ状の気体流通路を内部に形成している気体流通路形成部を備えている。また、前記気体流通路の内周面部には、気体流通路に面するガス流出口が設けられている。
このような予混合装置においては、気体流通路に空気が流れ、ガス流出口の近傍に負圧が発生することにより、ガス流出口から気体流通路に燃料ガスが流出し、空気と混合される。気体流通路は、ベンチュリ状であるため、空気の流速を速くし、前記負圧を効果的に発生させることが可能である。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、予混合装置を用いた燃焼装置においては、環境保護の観点から、他の種類の燃焼装置と同様に、低NOx化を図ることが要請される。ここで、低NOx化を図るための手段として、排ガス再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)の手法を用いることが考えられる(たとえば、特許文献3,4を参照)。この排ガス再循環の手法においては、排ガス(燃焼排ガス)の一部を、燃料ガスと空気との混合気中にさらに混合させる。排ガス中には一酸化炭素などの不活性なガスが含まれているため、前記混合気の酸素濃度が低くなり、燃焼温度は下がる。NOxは、燃焼温度が高いほど発生し易く、前記した排ガス再循環の手法によれば、燃焼温度を低下させて、低NOx化を図ることが可能である。
【0005】
一方、予混合装置を用いた燃焼装置においては、点火性能をよくすることも要請される。
ところが、混合気の空気比は、気体流通路やガス流出口などの設計仕様により定まり、燃焼装置の点火時に、混合気を点火エネルギの小さい空気比に調整することは困難なものとなっている。とくに、低NOx化を図るべく前記した排ガス再循環(EGR)の手法を用いた場合には、点火性能はより悪化すると考えられる。
点火性能をよくするための手段として、点火装置の放電エネルギを大きくすることが考えられるが、これでは点火装置の大型化・高コスト化を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-132257号公報
【特許文献2】特開2021-25722号公報
【特許文献3】特開平11-132404号公報
【特許文献4】特許第2782407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、低NOx化および点火性能の向上の両立を適切に図ることが可能な予混合装置、これを備えた燃焼装置および温水装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面により提供される予混合装置は、空気を所定方向に流通させるための気体流通路、およびこの気体流通路に連通する第1および第2のガス流出口を有する装置本体部と、一端に燃料ガス供給口を有し、かつこの燃料ガス供給口に供給された燃料ガスを前記第1および第2のガス流出口に導いて前記気体流通路に流出可能とするガス供給経路と、を備えている、予混合装置であって、一端に排ガス供給口を有し、かつこの排ガス供給口に供給された排ガスを前記第2のガス流出口に導いて前記気体流通路に流出可能とする追加のガス供給経路と、前記ガス供給経路および前記追加のガス供給経路の一方を、前記第2のガス流出口に選択的に連通させることが可能なガス供給経路切り替え手段と、をさらに備えていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、本発明に係る予混合装置を、バーナを備えた燃焼装置の構成要素として用いる場合において、燃焼装置の通常の燃焼時には、予混合装置の第2のガス流出口に、前記追加のガス供給経路が連通した状態としておく。この状態では、排ガス供給口に供給された排ガスが、第2のガス流出口に導かれて気体流通路に流出する。勿論、第1のガス流出口からは、気体流通路に燃料ガスが流出する。したがって、排ガス再循環(EGR)の手法により、燃焼温度を低下させ、低NOx化を適切に図ることが可能である。
一方、前記燃焼装置において、燃料点火を行なうときには、予混合装置の第2のガス流出口に、前記ガス供給経路が連通した状態に切り替えることができる。この状態においては、前記第2のガス流出口には、燃料ガスが導かれ、第1および第2のガス流出口の双方から気体流通路に燃料ガスが流出する。したがって、予混合装置により生成される混合気を、点火エネルギの小さい空気比とし、点火性能を良くすることが可能である。
このように、本発明によれば、低NOx化および点火性能の向上の両立を適切に図ることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記第1のガス流出口は、前記第2のガス流出口よりも前記気体流通路における空気流れ方向下流側に位置している。
【0012】
このような構成によれば、第1のガス流出口から気体流通路への燃料ガスの流出量を安定させ、混合気を適切な空気比に維持させる上で好ましいものとなる。
すなわち、予混合装置は、気体流通路の空気流れ方向の下流側に、ファンの吸気側が接続された態様で使用されるのが通例である。このような使用態様においては、第1のガス流出口は、第2のガス流出口よりもファンに近いため、第2のガス流出口と比較すると、吸引負圧を安定させることができる(第2のガス流出口から排ガスが不安定な流量で気体流通路に流出しても、その影響を余り受けないようにすることができる)。その結果、混合気を燃焼させる際の発熱量変動を抑制することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記装置本体部は、前記気体流通路を形成する気体流通路形成部、およびこの気体流通路形成部を囲むハウジング部を含み、かつ前記ガス供給経路および前記追加のガス供給経路は、前記ハウジング部および前記気体流通路形成部により形成されており、前記ガス供給経路切り替え手段は、前記装置本体部に組み付けられている。
【0014】
このような構成によれば、予混合装置全体の構成の簡易化、小型化を図る上で有利である。本発明においては、前記構成とは異なり、たとえばガス供給経路や追加のガス供給経路を、配管部材を用いて構成したり、あるいはガス供給経路切り替え手段を装置本体部とは異なる部材に組み付けてから装置本体部と配管接続するといったことも可能であるが、これでは装置全体の構成の煩雑化や大型化を招く。これに対し、前記構成によれば、そのような不具合を回避することが可能である。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記装置本体部は、前記燃料ガス供給口および前記第1のガス流出口と連通する第1のチャンバ、前記第2のガス流出口と連通する第2のチャンバ、前記排ガス供給口と連通する第3のチャンバ、ならびに前記第1ないし第3のチャンバのそれぞれに第1ないし第3の連通孔を介して連通する第4のチャンバを区画形成しており、前記第1、第2および第4のチャンバは、前記ガス供給経路を構成し、かつ前記第2ないし第4のチャンバは、前記追加のガス供給経路を構成しており、前記ガス供給経路切り替え手段は、前記第1および第3の連通孔をそれぞれ個別に開閉可能なバルブを含んでいる。
【0016】
このような構成によれば、バルブにより、第1の連通孔を開状態、第3の連通孔を閉状態とすることにより、第1および第2のガス流出口の双方から燃料ガスを流出させることができる。また、第1の連通孔を閉状態、第3の連通孔を開状態とすることにより、第1および第2のガス流出口から燃料ガスおよび排ガスをそれぞれ流出させることができる。
このように、装置本体部に設けられた所定の第1ないし第4のチャンバ、およびバルブを用いた構成によって、本発明が意図する機能をもつガス供給経路、追加のガス供給経路、およびガス供給経路切り替え手段を、適切に構築することができる。
【0017】
本発明の第2の側面により提供される燃焼装置は、ファンと、このファンの吸気側に設けられ、かつ空気と燃料ガスとを混合させてから前記ファンに送り込む予混合装置と、前記ファンから前記空気と前記燃料ガスとの混合気の供給を受けて前記燃料ガスを燃焼させるバーナと、を備えている、燃焼装置であって、前記予混合装置として、本発明の第1の側面により提供される予混合装置が用いられ、かつ前記バーナにより発生された燃焼ガスの排ガスの一部が、前記予混合装置の前記排ガス供給口に供給されるように構成されていることを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される予混合装置について述べたのと同様な効果が得られる。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記バーナの駆動燃焼を終えた後には、前記燃焼装置内に残留する排ガスを外部に排出するための排ガスパージ動作が実行されるように構成されており、前記予混合装置は、前記排ガスパージ動作中においては、前記追加のガス供給経路が前記第2のガス流出口に連通する状態とされる一方、前記排ガスパージ動作の終了後には、前記ガス供給経路が前記第2のガス流出口に連通する状態に設定されるように構成されている。
【0020】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、燃焼装置の排ガスパージ動作中には、予混合装置の第2のガス流出口は、追加のガス供給経路と連通した状態とされるため、予混合装置の内部に残留する排ガスをも、燃焼装置の外部にパージすることが可能となる。また、燃焼装置の排ガスパージ動作の終了後には、予混合装置の第2のガス流出口は、ガス供給経路と連通した状態に切り替えられるため、燃焼装置内にたとえば水蒸気が存在する場合に、この水蒸気が予混合装置の排ガス供給口から予混合装置内に進入することも適切に阻止される。予混合装置内に仮に水蒸気や排ガスが進入すると、燃焼装置の排気側が強風を受けるなどして燃焼装置に逆圧
が発生した場合に、前記水蒸気や排ガスが燃料ガス供給口側に逆流する虞があるが、前記構成によればそのような虞はない。
【0021】
本発明の第3の側面により提供される温水装置は、本発明の第2の側面により提供される燃焼装置と、この燃焼装置の前記燃焼ガスから顕熱および潜熱をそれぞれ回収して湯水を加熱することが可能な1次熱交換器および2次熱交換器と、を備えている、温水装置であって、前記予混合装置の前記排ガス供給口に供給される排ガスとして、前記2次熱交換器を通過した後の排ガスが利用されるように構成されていることを特徴としている。
【0022】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、温水装置の2次熱交換器を通過した後の排ガスは、温水装置において発生する排ガスの中では、温度が低く、かつ水蒸気の含有量が少ないものとなっている。このため、前記排ガスを予混合装置に戻して利用する場合に、前記排ガスが触れる箇所が異常な高温になることや、前記箇所に多くの結露を生じるなどの不具合を生じないようにすることが可能である。
【0023】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る予混合装置を備えた温水装置の一例を示す概略説明図である。
【
図2】
図1の予混合装置の概略構成を模式的に示す説明図である。
【
図4】(a)は、
図3のIVa-IVa断面図であり、(b)は、(a)に示す構成におけるバルブ切り替え時の作用説明図である。
【
図6】(a)は、本発明の他の例を示す断面図であり、(b)は、(a)に示す構成におけるバルブ切り替え時の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0026】
図1は、予混合装置A、この予混合装置Aにファン1およびバーナ2を組み合わせて構成された燃焼装置B(予混合燃焼装置)、およびこの燃焼装置Bに1次熱交換器11aならびに2次熱交換器11bを組み合わせて構成された温水装置WHを示している。
【0027】
予混合装置Aの詳細については、後述するが、この予混合装置Aを利用して空気と燃料ガスとの混合ガス(可燃混合ガス)が生成され、かつこの混合ガスが、ファン1を経由してバーナ2に供給される。バーナ2は、複数の通気孔20を有する多孔状プレート21を具備する構成であって、ケース10内に収容されている。バーナ2には、不図示の点火用プラグや炎検知センサなどが付属して設けられている。前記混合ガスは、複数の通気孔20を通過し、多孔状プレート21の下方において燃焼する。バーナ2により発生される燃焼ガスは、顕熱回収用の1次熱交換器11a、および潜熱回収用の2次熱交換器11bに順次作用し、これら1次熱交換器11aおよび2次熱交換器11bの内部を通過する湯水は加熱される。このことにより温水が生成され、この温水は所望の給湯先に供給される。1次熱交換器11aおよび2次熱交換器11bを通過した燃焼ガスの排ガスは、排気ダクト12を通過して外部に排出される。
温水装置WHは、マイクロコンピュータなどを用いて構成された制御部13を備えているが、この制御部13は、後述するように、予混合装置AのバルブV1,V2の制御も実行する。
【0028】
予混合装置Aは、装置本体部A0と、この装置本体部A0に組み付けられた一対のバルブV1,V2とを備えている。
【0029】
図3~
図5によく表れているように、装置本体部A0は、ベンチュリ状の気体流通路30を内部に形成する筒状の気体流通路形成部3と、その周囲を囲み、かつフランジ部43、燃料ガス供給口44、および排ガス供給口45を有するハウジング部4と、を備えている。
【0030】
図1に示すように、燃料ガス供給口44には、ガス管などの燃料ガス供給部から均圧弁(ゼロガバナ)V3を経由して燃料ガスが供給される。排ガス供給口45には、温水装置WHの2次熱交換器11bを通過した後の排ガスが、配管部19を介して供給される。なお、
図4における網点部分は、排ガス供給箇所を示している。
【0031】
気体流通路形成部3(気体流通路30の内周壁)のうち、内径が部分的に小径とされた箇所には、気体流通路30に面して開口する第1および第2のガス流出口31,32が設けられている。
装置本体部A0は、フランジ部43を利用してファン1の吸気側に直接接続され、または配管接続されている。ファン1が駆動されると、気体流通路30には、その一端側開口部30aから外部の空気が流入し、他端側開口部30bに向けて流れる。この空気の流れに起因して発生する負圧作用により、後述するように、気体流通路30には、第1のガス流出口31から燃料ガスが流出する。第2のガス流出口32からは、燃料ガスまたは排ガスが流出する。この作用により、空気と燃料ガスとの混合気、あるいはこれに排ガスが加わった混合気が生成され、ファン1に吸気される。
【0032】
第1のガス流出口31は、第2のガス流出口32よりも気体流通路30における空気流れ方向下流側に位置している。この構成は、第1のガス流出口31から気体流通路30への燃料ガスの流出量を安定させる上で好ましい。なぜなら、第1のガス流出口31は、第2のガス流出口32よりもファン1に近いため、第2のガス流出口32と比較すると、吸引負圧を安定させることができ、第2のガス流出口32から排ガスが不安定な流量で気体流通路30に流出しても、その影響を余り受けないようにすることができるからである。
【0033】
ハウジング部4は、気体流通路形成部3の周囲に位置する部位である。このハウジング部4は、具体的には、前記した燃料ガス供給口44および排ガス供給口45を有する主ハウジング部40に加え、この主ハウジング部40の周壁部に取付けられたプレート状の区画壁部41、およびこの区画壁部41に取付けられた補助ハウジング部42が組み合わされた構成とされている。
【0034】
装置本体部A0は、前記した気体流通路形成部3およびハウジング部4により、
図4に示す第1ないし第4のチャンバC1~C4を形成している。
ここで、第1ないし第3のチャンバC1~C3は、主ハウジング部40と気体流通路形成部3との相互間の空隙部が、気体流通路形成部3に設けられた一対の環状の区画壁部38によって区画形成された部位であり、気体流通路30の空気の流れ方向の下流側から上流側に向けてそれらの順番で並んでいる。第1のチャンバC1は、燃料ガス供給口44および第1のガス流出口31と連通している。第2のチャンバC2は、第2のガス流出口32と連通している。第3のチャンバC3は、排ガス供給口45と連通している。
第4のチャンバC4は、補助ハウジング部42および区画壁部41によって囲まれた部位である。区画壁部41には、第4のチャンバC4を第1ないし第3のチャンバC1~C3のそれぞれと連通させるための第1ないし第3の連通孔61~63が設けられている。
【0035】
一対のバルブV1,V2は、本発明でいう「ガス供給経路切り替え手段」の具体例に相当しており、補助ハウジング部42に取付けられている。これらのバルブV1,V2は、たとえば電磁バルブであり、第1および第3の連通孔61,63にそれぞれ対向配置された弁体5を、電磁力を利用して往復動自在としている。
【0036】
図4(a)は、バルブV1,V2によって、第1の連通孔61が開状態、第3の連通孔63が閉状態とされた場合を示している。この場合においては、燃料ガス供給口44に供給された燃料ガスを、第1および第2のガス流出口31,32の双方から気体流通路30に流出させることが可能である。第1、第2および第4のチャンバC1,C2,C4は、燃料ガス供給口44に供給された燃料ガスを、第1および第2のガス流出口31,32に導いて気体流通路30に流出可能とするガス供給経路R1を構成している。
図4(a)の状態は、ガス供給経路R1が第2のガス流出口32に連通した状態である。
【0037】
一方、
図4(b)は、バルブV1,V2の動作状態が
図4(a)とは異なる状態に切り替えられ、第1の連通孔61が閉状態、第3の連通孔63が開状態とされた場合を示している。この場合においては、気体流通路30に対し、第1のガス流出口31から燃料ガスを流出させるとともに、第2のガス流出口32からは排ガスを流出させることが可能である。この場合、第2ないし第4のチャンバC2~C4は、排ガス供給口45に供給された排ガスを、第2のガス流出口32に導いて気体流通路30に流出可能とする追加のガス供給経路R2を構成している。
図4(b)の状態は、追加のガス供給経路R2が、第2のガス流出口32に連通した状態である。
【0038】
予混合装置Aは、簡略化して模式的に示すと、
図2に示すような基本構成となっている。すなわち、バルブV1,V2の切り替えにより、ガス供給経路R1が第2のガス流出口32に連通し、第1および第2のガス流出口31,32の双方から燃料ガスを流出可能な状態(
図4(a)の状態)と、追加のガス供給経路R2が第2のガス流出口32に連通し、第1および第2のガス流出口31,32からは燃料ガスおよび排ガスがそれぞれ流出可能な状態(
図4(b)の状態)とのいずれか一方を選択的に設定可能となっている。
【0039】
制御部13は、温水装置WHの各部の動作制御や各種のデータ処理を実行可能であり、バーナ2の点火動作時には、
図4(a)の状態を設定し、かつ点火動作を完了した後の通常の燃焼時には、
図4(b)の状態を設定するように、バルブV1,V2を制御する。また、制御部13は、後述する排ガスのパージ動作も制御する。
【0040】
次に、前記した予混合装置A、燃焼装置B、および温水装置WHの作用について説明する。
【0041】
先ず、燃焼装置Bのバーナ2において、燃料点火を行なうときには、予混合装置Aは、制御部13の制御により
図4(a)に示した状態に設定される。このことにより、気体流通路30を流れる空気には、第1および第2のガス流出口31,32の双方から流出する燃料ガスを混合させることができる。したがって、それらの混合気を、空気比が燃料リッチであって、点火エネルギの小さいものとすることができ、点火性能を良くすることが可能である。
【0042】
次いで、燃料点火が完了し、バーナ2が通常の燃焼モードになると、予混合装置Aは、
図4(b)に示した状態に切り替えられる。このことにより、気体流通路30を流れる空気には、第1のガス流出口31から流出する燃料ガス、および第2のガス流出口32から流出する排ガスを混合させることができる。したがって、排ガス再循環(EGR)の手法により、バーナ2における燃焼温度を低下させ、低NOx化を適切に図ることが可能である。このように、本実施形態によれば、低NOx化および点火性能の向上の両立が適切に
図られる。
【0043】
本実施形態においては、前記排ガスとして、2次熱交換器11bを通過した後の排ガスが利用されているが、この排ガスは、顕熱および潜熱の双方が回収された排ガスであるため、温度は低めであり、かつ水蒸気の含有量も少なめである。したがって、前記排ガスを予混合装置Aに送り込んだ際に、予混合装置Aが異常な高温となったり、あるいは結露を生じることもない。
【0044】
バーナ2の駆動燃焼を終えた後には、ケース10や排気ダクト12の内側に残留する排ガスを外部に排出するための排ガスパージ動作が実行される。この排ガスパージ動作は、ファン1を継続して運転させることにより実行されるが、その際、予混合装置Aは、
図4(b)に示した状態とされる。このことにより、予混合装置Aの内部に残留していた排ガスについても、外部にパージすることができる。
【0045】
前記した排ガスパージ動作の終了後には、予混合装置Aは、
図4(a)に示した状態とされる。このことにより、ケース10や排気ダクト12の内側に、たとえば水蒸気が存在していたとしても、この水蒸気が排ガス供給口45から予混合装置A内に進入しないようにすることができる。
【0046】
本実施形態の予混合装置Aは、簡略化して模式的に示すと、
図2に示したような構成であることは既述したとおりである。ただし、予混合装置A自体には、バルブV1,V2を連結する配管部などは設けられておらず、装置本体部A0に設けられた第1ないし第4のチャンバC1~C4が、ガス供給経路R1および追加のガス供給経路R2を構成している。このため、予混合装置Aの全体の構成は、合理的であって、簡易かつコンパクトなものとなっている。その結果、予混合装置Aの製造コストの低減化や、取り扱いに際しての利便性の向上なども適切に図ることが可能である。
【0047】
図6は、本発明の他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0048】
図6に示す予混合装置Aaは、第1のガス流出口31として、一対の第1のガス流出口31(31a,31b)が設けられている。これら一対の第1のガス流出口31a,31bは、気体流通路30の中心を挟んで互いに対向した配置である。また、予混合装置Aaには、仕切り壁部7、およびフラッパ71,72が設けられている。仕切り壁部7は、第1のガス流出口31a,31bの相互間に位置し、気体流通路30を第1のガス流出口31a寄りの領域Saと、第1のガス流出口31b寄りの領域Sbとに区分している。フラッパ71,72は、気体流通路30の空気流量に応じて、気体流通路30の前記した領域Sbを開閉するように軸部71a,72aを中心に回転する。前記空気流量が少ない場合には、フラッパ71,72の開度は小さくなり、領域Sbが狭められる。したがって、空気の流速低下を抑制し、第1のガス流出口31bからは燃料ガスを適当量流出させることが可能である。
このようなことから、本実施形態の予混合装置Aaにおいては、ターンダウン比を高くする上で好ましい。
【0049】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る予混合装置、燃焼装置、および温水装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0050】
上述の実施形態においては、装置本体部A0に第1ないし第4のチャンバC1~C4を設け、これらによって所定のガス供給経路R1、および追加のガス供給経路R2を構成し
ているが、本発明はこれに限定されない。ガス供給経路R1や追加のガス供給経路R2は、チャンバ以外の手段を用いて構成することも可能である(たとえば、配管部材を用いたり、あるいは配管部材の役割を果たす孔部を装置本体部に設けるなどの構成)。
本発明のガス供給経路切り替え手段は、2つの電磁バルブに限定されない。たとえば、
図2において、2つのバルブV1,V2を、1つの三方弁に置換することも可能である。
【0051】
燃料ガスは、たとえばナチュラルガスあるいはLPガスであるが、その具体的な種類は問わない。排ガスは、2次熱交換器を通過した後の排ガスとすることが好ましいが、これに限定されない。
本発明に係る燃焼装置は、温水装置用に限定されず、たとえば暖房用や焼却用などの他の用途の燃焼装置とすることもできる。また、燃焼ガスを下向きに進行させるタイプに限らず、燃焼ガスをたとえば上向きに進行させるタイプとすることもできる。
本発明に係る温水装置は、一般給湯用に限らず、たとえば温水暖房用のものなどとすることもできる。
【符号の説明】
【0052】
A,Aa 予混合装置
A0 装置本体部
B 燃焼装置
C1~C4 第1ないし第4のチャンバ
R1 ガス供給経路
R2 追加のガス供給経路
V1,V2 バルブ(ガス供給経路切り替え手段)
WH 温水装置
1 ファン
2 バーナ
11a 1次熱交換器
11b 2次熱交換器
3 気体流通路形成部
30 気体流通路
31,32 第1および第2のガス流出口
4 ハウジング部
44 燃料ガス供給口
45 排ガス供給口