(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048284
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】分離装置、及び分離システム
(51)【国際特許分類】
B04C 11/00 20060101AFI20230331BHJP
B04C 9/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B04C11/00
B04C9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157497
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000226002
【氏名又は名称】株式会社ニクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】大崎 荘一郎
(72)【発明者】
【氏名】武石 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】入澤 勇人
【テーマコード(参考)】
4D053
【Fターム(参考)】
4D053AA03
4D053AB04
4D053BA01
4D053BB02
4D053BC01
4D053CA01
4D053CG00
4D053DA10
(57)【要約】
【課題】設置スペースを低減することができる分離装置、及び分離システムを提供する。
【解決手段】分離装置1は、分離部3を支持し、磁石40を有する取付部7を備えている。これにより、分離装置1は、磁石40の磁力によって、取付対象物Wに対して取付可能である。磁力を用いる場合、取付対象物Wに対する分離装置1の着脱が容易である。また、大掛かりな架台などを構築しなくとも、分離装置1に対して磁石40を有する取付部7を追加するだけで、分離装置1の設置が可能となる。そのため、分離装置1の設置のための構造をコンパクトにすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を旋回させながら、液体中から固形分を遠心分離する分離部と、
前記分離部を支持し、磁石を有する取付部と、を備え、
前記磁石の磁力によって、取付対象物に対して取付可能である、分離装置。
【請求項2】
前記取付部は、
裏面に前記磁石が設けられた磁石保持板と、
前記磁石保持板の表面に設けられ、前記磁石保持板から離間した位置にて前記分離部を支持する支持部と、を備える、請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
前記取付部は、上下方向の複数箇所に前記磁石を有する、請求項1又は2に記載の分離装置。
【請求項4】
処理液を旋回させながら、液体中から固形分を遠心分離する分離部を備える分離装置と、
前記分離装置の下方に設けられ、前記分離装置で分離された前記固形分の脱水を行う脱水装置と、を備え、
前記分離装置は、磁石の磁力によって、取付対象物に対して取付可能である、分離システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離装置、及び分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、処理液を液体と固形分とに分離する分離部を備えた分離装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の分離装置は、分離部に供給された処理液を遠心力によって液体と固形分とで分離し、分離された固形分を多く含む濃縮液を外部へ排出し、固形分が除去された液体を清澄液として外部へ排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、分離装置を設置場所に設置するときは、床や水槽上面に架台を取り付けたり、予め機械、構造体に取杖座を用意し、分離装置の姿勢維持を図っている。しかしながら、設置場所にこれらの架台や取杖座を設けるための空きスペースが存在しない場合がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、設置スペースを低減することができる分離装置、及び分離システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る分離装置は、処理液を旋回させながら、液体中から固形分を遠心分離する分離部と、分離部を支持し、磁石を有する取付部と、を備え、磁石の磁力によって、取付対象物に対して取付可能である。
【0007】
分離装置は、分離部を支持し、磁石を有する取付部を備えている。これにより、分離装置は、磁石の磁力によって、取付対象物に対して取付可能である。磁力を用いる場合、取付対象物に対する分離装置の着脱が容易である。また、大掛かりな架台などを構築しなくとも、分離装置に対して磁石を有する取付部を追加するだけで、分離装置の設置が可能となる。そのため、分離装置の設置のための構造をコンパクトにすることができる。以上より、分離装置の設置スペースを低減することができる。
【0008】
取付部は、裏面に磁石が設けられた磁石保持板と、磁石保持板の表面に設けられ、磁石保持板から離間した位置にて分離部を支持する支持部と、を備えてよい。この場合、磁石が設けられた部材と、分離部を支持する部材とを分けることができる。従って、支持部を磁石保持板と着脱可能な構成とすることで、磁石保持板を取付対象物に取り付けたままの状態で、支持部だけを分離部と共に取り外すことができる。これにより、分離部のメンテナンスを行い、メンテナンスが完了した後は、再び取付対象物との位置合わせを行うことなく、磁石保持板に支持部を取り付ければよい。
【0009】
取付部は、上下方向の複数箇所に磁石を有してよい。この場合、取付対象物へ取り付けた分離装置が、当該取付対象物に対して回転方向にずれることを抑制できる。
【0010】
本発明の一態様に係る分離システムは、処理液を旋回させながら、液体中から固形分を遠心分離する分離部を備える分離装置と、分離装置の下方に設けられ、分離装置で分離された固形分の脱水を行う脱水装置と、を備え、分離装置は、磁石の磁力によって、取付対象物に対して取付可能である。
【0011】
この分離システムによれば、上述の分離装置と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、設置スペースを低減することができる分離システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る分離システムの概略図である。
【
図2】
図2(a)は分離装置を正面から見た図であり、
図2(b)は分離部及び取付部を側方から見た拡大図である。
【
図4】
図4(a)(b)は、分離装置を取付対象物へ取り付けたときの状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る分離システム100の概略図である。分離システム100は、分離装置1と、脱水装置2と、を備える。
【0016】
分離装置1は、分離部3と、スラッジポッド4と、開閉弁6と、取付部7と、を有する。分離部3は、処理液を旋回させながら、液体中から固形分を遠心分離する部材である。分離部3は、上側の領域に設けられた円筒部3aと、下側の領域に設けられて下側へ先細りとなる円錐筒部3bと、を有する。分離部3の円筒部3aの側面には、分離対象となる処理液を供給する配管10が設けられる。配管10は、処理液の発生源、又は処理液を貯留する槽などに接続されている。なお、配管10には図示されないポンプなどが接続される。分離部3の円筒部3aの上端には、固形分を分離した後の清澄液を吐出する配管11が設けられる。配管11には、開閉弁12が設けられる。
【0017】
スラッジポッド4は、分離部3で分離させた固形分を含むスラッジを貯めておくことで、当該固形分を沈殿させる部材である。スラッジポッド4は、分離部3の下方に配置されており、上下方向に延びる配管13を介して分離部3と接続される。スラッジポッド4の下端には、下方へ延びる配管14が接続される。配管14には開閉弁6が設けられる。開閉弁6が開となることで、スラッジポッド4内の固形分が配管14を介して下方へ落下する。
【0018】
取付部7は、分離装置1を取付対象物Wに取り付けるための部材である。これにより、分離装置1は、取付対象物Wに取り付けられた状態にて、処理液の分離を行うことができる。取付部7の詳細な説明については、後述する。
【0019】
脱水装置2は、分離装置1の下方に設けられ、分離装置1で分離された固形分の脱水を行う装置である。脱水装置2は、フィルタ部21と、容器部22と、を備える。
【0020】
フィルタ部21は、分離装置1から落下してきた固形分と残存していた液体とを分離するユニットである。フィルタ部21は、容器部22の内部に配置される。フィルタ部21は、例えば、フィルタ部材を筒状に配置することによって構成される。これにより、フィルタ部21に供給された固形分はフィルタ部21内に残存し、含まれていた液体はフィルタ部21の外へ流れ出る。
【0021】
容器部22は、フィルタ部21を内部に取り込むと共に、フィルタ部21から流れ出た液体を貯留する。これにより、液体は、容器部22の底部付近に貯まる。容器部22の下端部には、貯留された液体を吐出する吐出口24が設けられる。容器部22において、吐出口24よりも高い位置には、オーバーフロー吐出口27,28が設けられる。これにより、液面がオーバーフロー吐出口27,28まで達したら、オーバーフロー吐出口27,28は、図示されない配管を介して外部へ液体を吐出する。
【0022】
次に、
図2及び
図3を参照して、取付部7の構成について詳細に説明する。
図2(a)は分離装置1を正面から見た図である。
図2(b)は分離部3及び取付部7を側方から見た拡大図である。ただし、
図2(b)では、手前側の側壁部43が省略されている。
図3は、取付部7を裏面側から見た図である。なお、以降の説明においては、分離装置1を取付対象物Wへ取り付けたときの姿勢(
図1に示す姿勢)を基準として説明を行うものとする。
【0023】
取付部7は、分離部3を支持し、磁石40を有する部材である。取付部7は、磁石40の磁力によって、分離装置1を取付対象物W(
図1)に対して取付可能とする部材である。取付部7は、磁石保持板41と、支持部42と、側壁部43と、を備える。
【0024】
磁石保持板41は、磁石40を保持する板状部材である。磁石保持板41の裏面41aには、磁石40が設けられている。磁石保持板41は、取付対象物Wの取付面Wa(
図1参照)と平行となるように広がる。磁石保持板41の形状は特に限定されないが、本実施形態では、磁石保持板41は、四角形状をなしている。
【0025】
支持部42は、磁石保持板41の表面41bに設けられ、磁石保持板41から離間した位置にて分離部3を支持する部材である。支持部42は、表面41bの高さ方向における中央位置から、正面側へ向かって延びている。支持部42は、水平方向に広がる矩形状の上面42a及び下面42bを有する。支持部42は、分離部3を上下方向に貫通させた状態で、当該分離部3を支持している。具体的に、分離部3の円錐筒部3bの外周面には、水平方向に広がるフランジ部44が設けられている。分離部3は、支持部42の貫通孔(不図示)に上方から差し込まれ、フランジ部44の下面が支持部42の上面42aと接触する。フランジ部44を支持部42にネジ止めすることによって、分離部3の円錐筒部3bが支持部42に固定される。なお、分離装置1は、分離部3においてのみ取付部7に支持されており、他の部分は取付部7と接触していないことが好ましい。支持部42は、磁石保持板41に対して着脱可能であってよい。すなわち、磁石保持板41を取付対象物Wに取り付けたままの状態で、分離部3、スラッジポッド4、及び開閉弁6の構造体ごと、支持部42を取り外すことができる構成が採用されてよい。
【0026】
側壁部43は、磁石保持板41の左右方向の両端部において表面41bから離間するように手前側に延びる。側壁部43は、磁石保持板41の補強及び形状保持のために設けられた部材である。なお、側壁部43は、電気部品を取り付けるための座として用いることもできる。支持部42を磁石保持板41から取り外すときは、側壁部43は磁石保持板41と共に取付対象物Wに取り付けられたままの状態が維持される。従って、支持部42は、側壁部43から取り外し可能である。これにより、側壁部43は、支持部42を左右方向の両側から支持する。なお、側壁部43は、横方向から見て台形状の形状を有しているが、特に形状は限定されない(
図2(b)参照)。
【0027】
取付部7は、上下方向の複数箇所に磁石40を有する。例えば、本実施形態では、磁石保持板41の裏面41aには、高さ方向において、支持部42と対応する位置に磁石40が設けられ、支持部42より高い位置に磁石40が設けられ、支持部42より低い位置に磁石40が設けられる。
図3に示すように、支持部42に対応する高さ位置には、左右方向に三つの磁石40が設けられる。支持部42より高い位置、及び低い位置には、それぞれ一つの磁石40が設けられる。これにより、支持部42に対応する高さ位置において、最も強い磁力を発生することができる。支持部42より高い位置、及び低い位置で磁力を発生することで、取付部7が取付対象物Wに取り付けられた状態で、回転方向Rにずれることを抑制できる。
【0028】
なお、磁石40は、取付対象物Wと接触する面において、磁石材料が露出しているものであってよい。または、磁石40は、取付対象物Wと接触する面において、磁石材料が直接取付対象物Wと接触しないように、ゴムなどの保護膜を有してもよい。
【0029】
取付対象物Wは、分離装置1を取り付ける取り付け先の対象物である。取付対象物Wとして、例えば、工作機械、他の濾過設備、冷却機等の壁面が挙げられる。例えば、
図4(a)に示すように、チップバケット60の内部側面に分離装置1を取り付け可能である。この場合、チップバケット60に分離装置1のスラッジを落とすことができる。また、
図4(b)に示すように、他の濾過製品70のコンベア71の側面に分離装置1を取り付け可能である。この場合、分離装置1の下方にスラッジを受ける受部73を設ければよい。また、分離装置1は、工作機械72の上方側面に取り付けられる。
【0030】
次に、本実施形態に係る分離装置1、及び分離システム100の作用・効果について説明する。
【0031】
まず、従来の分離装置は、取り付けのために、床や水槽上面に架台を取り付けるか、あるいは、予め機械、構造体に取杖座を用意し、分離装置の姿勢維持を図る場合がある。工作機械設備には既に濾過製品が接続されているが、生産量の向上により加工負荷が上るため、追加での濾過の性能向上が求められた際に、分離装置を追加して設置する必要が生じる場合もある。このように、新たに分離装置を設置する場合に、工作機械設備の横やタンク上面部に設置することが求められるが、タンク横に架台設置が出来ない場合や、タンク上面部に様々な機器が既に設置され、空きスペースが存在していないことがある。
【0032】
これに対し、本実施形態に係る分離装置1は、分離部3を支持し、磁石40を有する取付部7を備えている。これにより、分離装置1は、磁石40の磁力によって、取付対象物Wに対して取付可能である。磁力を用いる場合、取付対象物Wに対する分離装置1の着脱が容易である。また、大掛かりな架台などを構築しなくとも、分離装置1に対して磁石40を有する取付部7を追加するだけで、分離装置1の設置が可能となる。そのため、分離装置1の設置のための構造をコンパクトにすることができる。以上より、分離装置1の設置スペースを低減することができる。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る分離装置1を採用することで、機械設備において、開放された使用されていない空間、部分的に存在しているデッドスペースに分離装置1を設置可能となるため、使用先の使い勝手の向上を図ることができる。また、磁力を用いるため、機械自体の壁に、金具などを設けなくともよい。そのため、フットプリントを低減した状態にて、取付対象物Wに金具を取り付けたり孔をあけたりすることで傷付けることを抑制した状態で、分離装置1を取り付けることができる。
【0034】
取付部7は、裏面41aに磁石40が設けられた磁石保持板41と、磁石保持板41の表面41bに設けられ、磁石保持板41から離間した位置にて分離部3を支持する支持部42と、を備えてよい。この場合、磁石40が設けられた部材と、分離部3を支持する部材とを分けることができる。従って、支持部42を磁石保持板41と着脱可能な構成とすることで、磁石保持板41を取付対象物Wに取り付けたままの状態で、支持部42だけを分離部3と共に取り外すことができる。これにより、分離部3のメンテナンスを行い、メンテナンスが完了した後は、再び取付対象物Wとの位置合わせを行うことなく、磁石保持板41に支持部42を取り付ければよい。
【0035】
取付部7は、上下方向の複数箇所に磁石を有してよい。この場合、取付対象物Wへ取り付けた分離装置1が、当該取付対象物Wに対して回転方向R(
図3参照)にずれることを抑制できる。
【0036】
本実施形態の一態様に係る分離システム100は、処理液を旋回させながら、液体中から固形分を遠心分離する分離部3を備える分離装置1と、分離装置1の下方に設けられ、分離装置1で分離された固形分の脱水を行う脱水装置2と、を備え、分離装置1は、磁石40の磁力によって、取付対象物Wに対して取付可能である。
【0037】
この分離システム100によれば、上述の分離装置1と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【0038】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、分離装置1の取付部7の構成は、上述の実施形態に限定されず、分離装置1を磁力で取付可能である限り、どのような構成が採用されてもよい。また、分離装置1の取付部7以外の構成も、上述の実施形態に限定されず、少なくとも分離部3を有していればよく、他の部分の構成を適宜変更してもよい。また、脱水装置2の構成も上述の実施形態に限定されず、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0039】
1…分離装置、2…脱水装置、3…分離部、7…取付部、40…磁石、41…磁石保持板、42…支持部、100…分離システム。