(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048292
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】光照射システム
(51)【国際特許分類】
A61B 18/24 20060101AFI20230331BHJP
A61N 5/06 20060101ALI20230331BHJP
A61N 5/067 20060101ALI20230331BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20230331BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20230331BHJP
A61M 25/092 20060101ALI20230331BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20230331BHJP
A61B 18/18 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
A61B18/24
A61N5/06 Z
A61N5/067
A61M25/00 532
A61M25/00 534
A61M25/14 512
A61M25/092 510
A61M25/06 556
A61B18/18 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157507
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】塚本 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】水上 光太郎
【テーマコード(参考)】
4C026
4C082
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C026AA04
4C026FF16
4C026FF37
4C026FF39
4C082PA02
4C082PC10
4C082PE10
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4C160MM32
4C267AA05
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB07
4C267BB08
4C267BB09
4C267BB31
4C267BB40
4C267BB47
4C267BB48
4C267BB51
4C267CC08
(57)【要約】
【課題】生体内において光を照射する光照射システムにおいて、血流を遮断することなく対象組織に対する光照射を容易にすると共に、デバイスの細径化を図る。
【解決手段】医療用の光照射システムは、長手方向に延びる第1ルーメンと、第1ルーメンと並んで配置された第2ルーメンと、を有する長尺状のシャフトを備えるカテーテルと、光を照射する光照射部を先端部に備える長尺状の光照射デバイスと、を備える。カテーテルにおいて、シャフトの先端部には、第1ルーメンに連通する第1開口が形成され、シャフトの側面には、第1開口よりも基端側に位置し、かつ、第2ルーメンに連通する第2開口が形成されており、カテーテルの第2ルーメンに光照射デバイスを挿入し、光照射部を第2開口の位置までデリバリした状態において、光照射部から照射された光が、第2開口を介してカテーテルの外部へと照射される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用の光照射システムであって、
長手方向に延びる第1ルーメンと、前記第1ルーメンと並んで配置された第2ルーメンと、を有する長尺状のシャフトを備えるカテーテルと、
光を照射する光照射部を先端部に備える長尺状の光照射デバイスと、
を備え、
前記カテーテルにおいて、
前記シャフトの先端部には、前記第1ルーメンに連通する第1開口が形成され、
前記シャフトの側面には、前記第1開口よりも基端側に位置し、かつ、前記第2ルーメンに連通する第2開口が形成されており、
前記カテーテルの前記第2ルーメンに前記光照射デバイスを挿入し、前記光照射部を前記第2開口の位置までデリバリした状態において、前記光照射部から照射された光が、前記第2開口を介して前記カテーテルの外部へと照射される、光照射システム。
【請求項2】
請求項1に記載の光照射システムであって、
前記カテーテルの前記シャフトは、さらに、前記第2開口の少なくとも一部分を塞ぐことにより、前記第2ルーメン内の前記光照射デバイスが、前記第2開口から外部へと突出することを抑制するストッパ部材を備える、光照射システム。
【請求項3】
請求項2に記載の光照射システムであって、
前記ストッパ部材は、光を拡散させる光拡散性を有している、光照射システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の光照射システムであって、
前記ストッパ部材は、少なくとも外表面において湾曲した凸形状を有している、光照射システム。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の光照射システムであって、
前記ストッパ部材は、弾性体により形成されると共に、前記第2開口の全体を塞いでおり、前記ストッパ部材には、血流よりも大きな流速の流体が通過可能なスリットが設けられている、光照射システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光照射システムであって、
前記カテーテルにおいて、
前記シャフトは、さらに、前記第1ルーメン及び前記第2ルーメンとそれぞれ並んで配置された第3ルーメンを有しており、
前記シャフトの側面には、前記第1開口よりも基端側に位置し、かつ、前記第3ルーメンに連通する第3開口が形成されており、
前記シャフトの横断面において、前記第1ルーメンは前記シャフトの中央に配置されており、前記第2ルーメンと前記第3ルーメンとは、それぞれ、前記第1ルーメンを挟んで反対側に配置されている、光照射システム。
【請求項7】
請求項6に記載の光照射システムであって、
前記カテーテルの長手方向において、前記第3開口は、前記第2開口の近傍に配置されており、
前記シャフトの中心と前記第2開口の中心点とを結ぶ第1線分と、前記シャフトの中心と前記第3開口の中心点とを結ぶ第2線分と、を前記長手方向から見たときに、前記第1線分と前記第2線分とが成す角度は、180度である、光照射システム。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の光照射システムであって、
前記カテーテルにおいて、
前記シャフトは、さらに、前記第1ルーメン、前記第2ルーメン、及び前記第3ルーメンとそれぞれ並んで配置された第4ルーメンを有しており、
前記シャフトの側面には、前記第1開口よりも基端側に位置し、かつ、前記第4ルーメンに連通する第4開口が形成されており、
前記シャフトの横断面において、前記第4ルーメンは、前記第3ルーメンと同じ側に配置されている、光照射システム。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の光照射システムであって、
前記カテーテルの前記シャフトは、さらに、
アウターシャフトと、
前記第1ルーメンを内側に有する第1インナーシャフトと、
前記第2ルーメンを内側に有する第2インナーシャフトと、
前記第3ルーメンを内側に有する第3インナーシャフトと、
を備え、
前記第1インナーシャフト、前記第2インナーシャフト、及び前記第3インナーシャフトは、それぞれ、前記アウターシャフトの内側に挿入された状態で前記アウターシャフトの基端よりも基端側に延びると共に、少なくとも基端部が前記アウターシャフトに固定されており、
前記アウターシャフトの基端部には、さらに、回転操作が可能な操作部が固定されている、光照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
がん治療においては、外科的、放射線的、薬物的(化学的)手法が単独で、あるいは併用されて用いられ、それぞれの技術が近年発展を遂げている。しかしながら、未だ満足のいく治療技術が見出されていないがんも多く存在し、さらなる治療技術の発展が期待されている。がん治療技術の1つとして、PDT(Photodynamic Therapy:光線力学的療法)と呼ばれる手法が知られている。PDTでは、光感受性物質を静脈投与後、光照射をすることで、がん細胞で活性酸素を発生させ、がん細胞を死滅させる(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、PDTは、光感受性物質のがん細胞への集積選択性が低く、正常細胞に取り込まれることによる副作用の大きさが課題となり、治療技術として広く普及していない。
【0003】
そこで近年注目されている治療技術として、NIR-PIT(Near-infrared photoimmunotherapy:近赤外光線免疫療法)がある。NIR-PITでは、がん細胞の特異的な抗原に対する抗体と、光感受性物質(例えば、IRDye700DX)との2化合物を結合させた複合体を用いる。この複合体は、静脈投与されると、体内のがん細胞に選択的に集積する。その後、複合体中の光感受性物質の励起波長(例えば、690nm)の光を照射することで、複合体が活性化し、抗がん作用を示す(例えば、特許文献1参照)。NIR-PITでは、抗体によるがんへの集積選択性と、局部光照射によって、PDTと比較して副作用を減らすことができる。また、NIR-PITでは、例えば690nmという近赤外線領域での光照射(NIR照射)を行うため、NIR照射による免疫系への作用も期待できる(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
上記において例示した690nmを含む所定の波長領域は、生体の分光学的窓とも呼ばれ、他の波長領域と比べて生体成分による光の吸収が少ない波長領域であるものの、体表からの光照射では光の浸透性が不足するため、体内深部のがんに適用できないという課題があった。そこで近年、体表からの光照射ではなく、よりがん細胞に近い位置で光照射を行うNIR-PITの研究がされている(例えば、非特許文献3参照)。例えば、特許文献2~4には、このようなPDTやNIR-PITにおいて使用可能なデバイスが開示されている。特許文献2~4に記載のデバイスは、いずれも、血管内に挿入して使用され、体内深部において光を照射することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2014-523907号公報
【特許文献2】特開2018-867号公報
【特許文献3】特表2007-528752号公報
【特許文献4】特表2008-523954号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Makoto Mitsunaga, Mikako Ogawa, Nobuyuki Kosaka Lauren T. Rosenblum, Peter L. Choyke, and Hisataka Kobayashi、Cancer Cell-Selective In Vivo Near Infrared Photoimmunotherapy Targeting Specific Membrane Molecules、Nature Medicine 2012 17(12): 、p.1685-1691
【非特許文献2】Kazuhide Sato, Noriko Sato, Biying Xu, Yuko Nakamura, Tadanobu Nagaya, Peter L. Choyke, Yoshinori Hasegawa, and Hisataka Kobayashi、Spatially selective depletion of tumor-associated regulatory T cells with near-infrared photoimmunotherapy、Science Translational Medicine 2016 Vol.8 Issue352、ra110
【非特許文献3】Shuhei Okuyama, Tadanobu Nagaya, Kazuhide Sato, Fusa Ogata, Yasuhiro Maruoka, Peter L. Choyke, and Hisataka Kobayashi、Interstitial near-infrared photoimmunotherapy: effective treatment areas and light doses needed for use with fiber optic diffusers、Oncotarget 2018 Feb 16; 9(13): 、p.11159-11169
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、PDTやNIR-PITにおいては、上述の通り、複合体を集積させたがん細胞に対して、複合体中の光感受性物質の励起波長の光を照射させることで、がん細胞を死滅させる。一方で、がん細胞以外の正常な細胞に対しては、細胞損傷の虞を低減するために、光照射は避けることが好ましい。また、がん細胞は体内の様々な箇所に生じる可能性があるため、PDTやNIR-PITにおいて使用されるデバイスは、可能な限り細径化することが好ましく、かつ、血流を遮断しないことが好ましい。
【0008】
この点、特許文献2に記載のデバイスは、カテーテルチューブ内に、光拡散体用ルーメンと、形状記憶ワイヤ用ルーメンと、テンションワイヤ用ルーメンと、2本の電極ワイヤ用ルーメンとを有しているため、デバイスが太径化するという課題があった。また、特許文献3に記載のデバイスは、拡張させたバルーンにより血管内を閉塞することで、血管内におけるデバイスの固定を行うため、血流を遮断してしまうという課題があった。また、特許文献4に記載のデバイスは、画像化コアルーメンとガイドワイヤルーメンとを含む画像化シースが、さらに螺旋状に巻回された構成を有しているため、デバイスが太径化するという課題があった。
【0009】
なお、このような課題は、PDTやNIR-PITに限らず、がん、脳動脈瘤、不整脈、アルツハイマー病等に対する検査または治療のために、生体内において光を照射するプロセスを含む検査または治療において使用されるデバイス全般に共通する。また、このような課題は、血管に挿入されるデバイスに限らず、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入されるデバイス全般に共通する。
【0010】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、生体内において光を照射する光照射システムにおいて、血流を遮断することなく対象組織に対する光照射を容易にすると共に、デバイスの細径化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0012】
(1)本発明の一形態によれば、医療用の光照射システムが提供される。この光照射システムは、長手方向に延びる第1ルーメンと、前記第1ルーメンと並んで配置された第2ルーメンと、を有する長尺状のシャフトを備えるカテーテルと、光を照射する光照射部を先端部に備える長尺状の光照射デバイスと、を備え、前記カテーテルにおいて、前記シャフトの先端部には、前記第1ルーメンに連通する第1開口が形成され、前記シャフトの側面には、前記第1開口よりも基端側に位置し、かつ、前記第2ルーメンに連通する第2開口が形成されており、前記カテーテルの前記第2ルーメンに前記光照射デバイスを挿入し、前記光照射部を前記第2開口の位置までデリバリした状態において、前記光照射部から照射された光が、前記第2開口を介して前記カテーテルの外部へと照射される。
【0013】
この構成によれば、カテーテルのシャフトの先端部には、第1ルーメンに連通する第1開口が形成され、シャフトの側面であって第1開口よりも基端側には、光照射デバイスが挿入される第2ルーメンに連通する第2開口が形成されている。このため、第1ルーメンにガイドワイヤを挿入し、ガイドワイヤの先端側を第1開口から突出させた状態で、カテーテルを血管内に留置することで、ガイドワイヤによってカテーテルにバックアップ力を付与することができる。この結果、第2ルーメンに挿入した光照射デバイスの先端部(光照射部)を、第2開口近傍までデリバリする際に、カテーテルが血管内で移動することを抑制できる、すなわち、カテーテルの第2開口の位置が予め位置合わせされた対象組織の位置からずれることを抑制できるため、対象組織に対する光照射を容易にできる。また、カテーテルのシャフトは、第1ルーメンと第2ルーメンとを有する長尺状であるため、5つものルーメンを有する構成や、シャフトが螺旋状に巻回された構成と比較して、デバイスを細径化できる。さらに、カテーテルに対するバックアップ力の付与は、第1ルーメン内のガイドワイヤによって行われるため、バルーンを用いる場合と比較して、血流を遮断することがない。これらの結果、本構成の光照射システムによれば、生体内において光を照射する光照射システムにおいて、血流を遮断することなく対象組織に対する光照射を容易にすると共に、デバイスの細径化を図ることができる。
【0014】
(2)上記形態の光照射システムにおいて、前記カテーテルの前記シャフトは、さらに、前記第2開口の少なくとも一部分を塞ぐことにより、前記第2ルーメン内の前記光照射デバイスが、前記第2開口から外部へと突出することを抑制するストッパ部材を備えていてもよい。
この構成によれば、カテーテルのシャフトは、第2開口の少なくとも一部分を塞ぐストッパ部材を備えるため、第2ルーメン内の光照射デバイスが、第2開口から外部へと突出することを抑制できる。この結果、光照射デバイスが生体組織に接触することを抑制できるため、光照射システムの安全性を向上できる。また、光照射デバイスが外部に突出した場合に生じることが懸念される光照射方向のずれ(光照射部の向きが変わることにより、意図した方向に光が照射されれないこと)を抑制できるため、対象組織に対する光照射をより一層容易にできる。
【0015】
(3)上記形態の光照射システムにおいて、前記ストッパ部材は、光を拡散させる光拡散性を有していてもよい。
この構成によれば、ストッパ部材は、光を拡散させる光拡散性を有しているため、対象組織への光照射の精度を向上させることができる。
【0016】
(4)上記形態の光照射システムにおいて、前記ストッパ部材は、少なくとも外表面において湾曲した凸形状を有していてもよい。
この構成によれば、ストッパ部材は、少なくとも外表面において湾曲した凸形状を有しているため、より一層光を拡散させやすくできる。
【0017】
(5)上記形態の光照射システムにおいて、前記ストッパ部材は、弾性体により形成されると共に、前記第2開口の全体を塞いでおり、前記ストッパ部材には、血流よりも大きな流速の流体が通過可能なスリットが設けられていてもよい。
この構成によれば、ストッパ部材は、弾性体により形成されると共に、第2開口の全体を塞いでおり、ストッパ部材には、血流よりも大きな流速の流体が通過可能なスリットが設けられている。このため、カテーテルが血管内に挿入された場合であっても、このストッパ部材によって第2ルーメン内への血液の浸入を抑制できる。また、ストッパ部材には、血流よりも大きな流速の流体が通過可能なスリットが設けられているため、第2ルーメン内を生理食塩水で満たすフラッシュ操作が行われた際、供給された生理食塩水を、ストッパ部材のスリットから外部に排出できる。
【0018】
(6)上記形態の光照射システムの前記カテーテルにおいて、前記シャフトは、さらに、前記第1ルーメン及び前記第2ルーメンとそれぞれ並んで配置された第3ルーメンを有しており、前記シャフトの側面には、前記第1開口よりも基端側に位置し、かつ、前記第3ルーメンに連通する第3開口が形成されており、前記シャフトの横断面において、前記第1ルーメンは前記シャフトの中央に配置されており、前記第2ルーメンと前記第3ルーメンとは、それぞれ、前記第1ルーメンを挟んで反対側に配置されていてもよい。
この構成によれば、カテーテルのシャフトは、第1ルーメン及び第2ルーメンとそれぞれ並んで配置された第3ルーメンを有しており、シャフトの側面であって第1開口よりも基端側には、第3ルーメンに連通する第3開口が形成されている。このため、第3ルーメンを、カテーテルに対して更なるバックアップ力を付与するためのバックアップデバイス(例えば、ガイドワイヤやカテーテル等)を挿通させるバックアップルーメンとして用いることができる。具体的には、第1ルーメンにガイドワイヤを挿入して第1開口からガイドワイヤの先端側を突出させ、かつ、第3ルーメンにバックアップデバイスを挿入して第3開口からバックアップデバイスの先端側を突出させて、バックアップデバイスの側面を血管壁に接触させた状態で、カテーテルを血管内に留置することで、ガイドワイヤとバックアップデバイスの両方によりカテーテルにバックアップ力を付与することができる。この結果、第2ルーメンに挿入した光照射デバイスの先端部(光照射部)を、第2開口近傍までデリバリする際に、カテーテルが血管内で移動することをより一層抑制できるため、対象組織に対する光照射をより一層容易にできる。また、光照射デバイスが挿入される第2ルーメンと、バックアップデバイスが挿入される第3ルーメンとは、それぞれ、第1ルーメンを挟んで反対側に配置されている。このため、血管壁に接触させたバックアップデバイスによって、カテーテルは、光照射デバイスが挿入される第2ルーメンが位置する側に持ち上げられる。この結果、対象組織のより近くから、光照射デバイスによる光照射を行うことができ、治療効率を向上できると共に、対象組織以外の正常な組織(血液を含む)に対して光照射がされることを抑制できる。さらに、ガイドワイヤルーメンとして機能する第1ルーメンは、シャフトの横断面においてシャフトの中央に配置されているため、カテーテルを対象組織までデリバリする際の操作性を向上できる。
【0019】
(7)上記形態の光照射システムでは、前記カテーテルの長手方向において、前記第3開口は、前記第2開口の近傍に配置されており、前記シャフトの中心と前記第2開口の中心点とを結ぶ第1線分と、前記シャフトの中心と前記第3開口の中心点とを結ぶ第2線分と、を前記長手方向から見たときに、前記第1線分と前記第2線分とが成す角度は、180度であってもよい。
この構成によれば、カテーテルのシャフトの周方向において、光が照射される第2開口と、バックアップデバイスが突出する第3開口とが180度離れた位置に配置される。このため、血管壁に接触させたバックアップデバイスによって、カテーテルは、光が照射される第2開口の側に持ち上げられ、第2開口を、バックアップデバイスが接触している側とは逆側の血管壁に向かってより一層近づけることができる。この結果、対象組織のより近くから、光照射デバイスによる光照射を行うことができ、治療効率を向上できると共に、対象組織以外の正常な組織に対して光照射がされることを抑制できる。
【0020】
(8)上記形態の光照射システムの前記カテーテルにおいて、前記シャフトは、さらに、前記第1ルーメン、前記第2ルーメン、及び前記第3ルーメンとそれぞれ並んで配置された第4ルーメンを有しており、前記シャフトの側面には、前記第1開口よりも基端側に位置し、かつ、前記第4ルーメンに連通する第4開口が形成されており、前記シャフトの横断面において、前記第4ルーメンは、前記第3ルーメンと同じ側に配置されていてもよい。
この構成によれば、カテーテルのシャフトはさらに、側面の第4開口まで延びる第4ルーメンを有するため、第3ルーメンに挿通されたバックアップデバイスとは別の、第2の
バックアップデバイスを併用することができる。この結果、ガイドワイヤと、2本のバックアップデバイスとによって、カテーテルにより強いバックアップ力を付与することができる。
【0021】
(9)上記形態の光照射システムにおいて、前記カテーテルの前記シャフトは、さらに、アウターシャフトと、前記第1ルーメンを内側に有する第1インナーシャフトと、前記第2ルーメンを内側に有する第2インナーシャフトと、前記第3ルーメンを内側に有する第3インナーシャフトと、を備え、前記第1インナーシャフト、前記第2インナーシャフト、及び前記第3インナーシャフトは、それぞれ、前記アウターシャフトの内側に挿入された状態で前記アウターシャフトの基端よりも基端側に延びると共に、少なくとも基端部が前記アウターシャフトに固定されており、前記アウターシャフトの基端部には、さらに、回転操作が可能な操作部が固定されていてもよい。
この構成によれば、カテーテルは、アウターシャフトの基端部に固定された操作部に対して回転操作を行うことにより、操作部に加えられた回転によってアウターシャフトを回転させることができると共に、アウターシャフトに固定された第1、第2、及び第3インナーシャフトを回転させることができる。このため、血管内におけるカテーテルの周方向の位置を調整するためのカテーテルの回転操作を容易に行うことができ、ユーザビリティを向上できる。
【0022】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、カテーテル、カテーテルと光照射デバイスとが別体又は一体とされた光照射システム、カテーテル及び光照射システムの製造方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】光照射システムの構成を例示した説明図である。
【
図2】カテーテルの先端側の一部分の拡大断面図である。
【
図3】
図2のA-A線における横断面構成を例示した説明図である。
【
図4】
図2のB方向から見たカテーテルの構成を例示した説明図である。
【
図5】光照射システムを使用した手技の一例を示す図である。
【
図6】光照射システムを使用した手技の他の例を示す図である。
【
図7】第2実施形態のカテーテルの先端側の構成を例示した説明図である。
【
図8】
図7のC-C線における横断面構成を例示した説明図である。
【
図9】第2実施形態の光照射システムを使用した手技の一例を示す図である。
【
図10】第3実施形態のカテーテルの先端側の構成を例示した説明図である。
【
図11】第4実施形態のカテーテルの先端側の構成を例示した説明図である。
【
図12】
図11のD-D線における横断面構成を例示した説明図である。
【
図13】第5実施形態のカテーテルの先端側の一部分の拡大断面図である。
【
図14】第6実施形態のカテーテルの先端側の一部分の拡大断面図である。
【
図15】第7実施形態のカテーテルの先端側の一部分の拡大断面図である。
【
図16】第8実施形態のカテーテルの先端側の一部分の拡大断面図である。
【
図17】第9実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。
【
図18】第10実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。
【
図19】第11実施形態のカテーテルの先端側の構成を例示した説明図である。
【
図20】第12実施形態のカテーテルの先端側の構成を例示した説明図である。
【
図21】第13実施形態のカテーテルの横断面構成を例示した説明図である。
【
図22】第14実施形態のカテーテルの基端側の構成を例示した説明図である。
【
図23】第15実施形態のカテーテルの基端側の構成を例示した説明図である。
【
図24】
図23のH1-H1線における横断面構成を例示した説明図である。
【
図25】
図23のH2-H2線における横断面構成を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
図1は、光照射システムの構成を例示した説明図である。光照射システムは、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入して使用され、生体管腔内から生体組織に向けて光を照射するシステムである。光照射システムは、例えば、PDT(Photodynamic Therapy:光線力学的療法)や、NIR-PIT(Near-infrared photoimmunotherapy:近赤外光線免疫療法)において使用可能である。以下の実施形態では、光の例としてレーザ光を例示するが、レーザ光に限らず、例えばLED光、白色光を用いて光照射システムを構成してもよい。光照射システムは、カテーテル1と、カテーテル1に挿入して使用される光照射デバイス2とを備えている。
図1では、カテーテル1と、光照射デバイス2とを個別に図示している。なお、
図1上段の吹き出し内には、光ファイバー210の横断面構成の一例を示す。
【0025】
図1では、カテーテル1の中心を通る軸を軸線O(一点鎖線)で表す。
図1では、説明の便宜上、各構成部材の大きさの相対比を実際とは異なるように記載している部分を含んでいる。また、各構成部材の一部を誇張して記載している部分を含んでいる。また、
図1には、相互に直交するXYZ軸を図示する。X軸はカテーテル1及び光照射デバイス2の長手方向に対応し、Y軸はカテーテル1及び光照射デバイス2の高さ方向に対応し、Z軸はカテーテル1及び光照射デバイス2の幅方向に対応する。
図1の左側(-X軸方向)をカテーテル1、光照射デバイス2、及び各構成部材の「先端側」と呼び、
図1の右側(+X軸方向)をカテーテル1、光照射デバイス2、及び各構成部材の「基端側」と呼ぶ。また、カテーテル1、光照射デバイス2、及び各構成部材の長手方向(X軸方向)における両端のうち、先端側に位置する一端を「先端」と呼び、基端側に位置する他端を「基端」と呼ぶ。また、先端及びその近傍を「先端部」と呼び、基端及びその近傍を「基端部」と呼ぶ。先端側は生体内部へ挿入され、基端側は医師等の術者により操作される。これらの点は、
図1以降においても共通する。
【0026】
カテーテル1は、長尺状のシャフト10と、シャフト10の先端部に設けられた先端チップ71と、シャフト10の基端部に設けられたコネクタ90と、を備えている。
図1では、シャフト10に形成されている第1ルーメン20L、第2ルーメン30L、及び第3ルーメン40Lを破線で表す。
【0027】
図2は、カテーテル1の先端側の一部分の拡大断面図である。
図3は、
図2のA-A線における横断面構成を例示した説明図である。
図4は、
図2のB方向から見たカテーテル1の構成を例示した説明図である。なお、
図4上段の吹き出し内には、カテーテル1の開口についての説明図を示す。
図4下段には、カテーテル1の構成を示すと共に、本来、+Y軸方向からは見えない先端第3開口41を破線で表している。以降、
図1~
図4を用いて、カテーテル1の構成について説明する。
【0028】
図2及び
図3に示すように、カテーテル1のシャフト10は、アウターシャフト11と、封止部材12と、第1インナーシャフト23と、第2インナーシャフト33と、第3インナーシャフト43と、ストッパ部材39と、第1マーカー部72と、第2マーカー部73と、を備えている。
【0029】
アウターシャフト11、第1インナーシャフト23、第2インナーシャフト33、及び第3インナーシャフト43は、いずれも中空の長尺状であり、略円形状の横断面を有している。第1インナーシャフト23、第2インナーシャフト33、及び第3インナーシャフト43は、それぞれ、アウターシャフト11のルーメン内に挿入されており、カテーテル1の長手方向(X軸方向)に沿って、互いに略平行に延びている。
図3に示す横断面において、第1インナーシャフト23は、アウターシャフト11のルーメン内の中央に配置さ
れている。本実施形態において「中央」とは、中心及び中心の近傍を含む意味である。また、
図3に示す横断面において、第2インナーシャフト33と第3インナーシャフト43とは、それぞれ、アウターシャフト11のルーメン内において、第1インナーシャフト23を挟んで反対側に配置されている。
図3の例では、第2インナーシャフト33は、第1インナーシャフト23を基準として+Y軸方向に配置されており、第3インナーシャフト43は、第1インナーシャフト23を基準として-Y軸方向に配置されている。
【0030】
図1に示すように、第1インナーシャフト23は、先端から基端まで直線状に延びている。第1インナーシャフト23の先端は、シャフト10の先端面に形成された先端第1開口21を介して、外部に連通している。第1インナーシャフト23の基端は、コネクタ90の第1枝(+X軸方向に延びる枝)に形成された基端第1開口22を介して、外部に連通している。第2インナーシャフト33は、先端側の一部分と、基端側の一部分とが+Y軸方向に湾曲している。第2インナーシャフト33の先端は、シャフト10の+Y軸方向の側面に形成された先端第2開口31を介して、外部に連通している。第2インナーシャフト33の基端は、コネクタ90の第2枝(+Y軸方向に延びる枝)に形成された基端第2開口32を介して、外部に連通している。第3インナーシャフト43は、先端側の一部分と、基端側の一部分とが-Y軸方向に湾曲している。第3インナーシャフト43の先端は、シャフト10の-Y軸方向の側面に形成された先端第3開口41を介して、外部に連通している。第3インナーシャフト43の基端は、コネクタ90の第3枝(-Y軸方向の枝)に形成された基端第3開口42を介して、外部に連通している。
【0031】
封止部材12は、アウターシャフト11内において、第1インナーシャフト23、第2インナーシャフト33、及び第3インナーシャフト43を封止(固定)している。封止部材12は、アウターシャフト11の内側、かつ、第1インナーシャフト23、第2インナーシャフト33、及び第3インナーシャフト43の外側に配置されている。
【0032】
第1インナーシャフト23の内側に形成された第1ルーメン20Lは、カテーテル1に対して、デリバリ用ガイドワイヤを挿通させる「ガイドワイヤルーメン」として機能する。また、第2インナーシャフト33の内側に形成された第2ルーメン30Lは、カテーテル1に対して、
図1に示す光照射デバイス2を挿通させる「デバイスルーメン」として機能する。第3インナーシャフト43の内側に形成された第3ルーメン40Lは、カテーテル1に対して、バックアップデバイスを挿通させる「バックアップルーメン」として機能する。ここで、バックアップデバイスは、カテーテル1に対してバックアップ力を付与するためのデバイスを意味し、例えばガイドワイヤやカテーテル等を用いることができる。
【0033】
すなわち、本実施形態のカテーテル1では、シャフト10は、それぞれ並んで配置された第1ルーメン20L、第2ルーメン30L、及び第3ルーメン40Lを備えている(
図2)。
図3に示すシャフト10の横断面において、第1ルーメン20Lはシャフト10の中央に配置されている。
図3に示すシャフト10の横断面において、第2ルーメン30Lと第3ルーメン40Lとは、それぞれ、第1ルーメン20Lを挟んで反対側に配置されている。また、シャフト10の先端部には、第1ルーメン20Lに連通する先端第1開口21が形成されている。さらに、シャフト10の側面には、第2ルーメン30Lに連通する先端第2開口31と、第3ルーメン40Lに連通する先端第3開口41と、が形成されている(
図2)。なお、先端第1開口21は「第1開口」に相当し、先端第2開口31は「第2開口」に相当し、先端第3開口41は「第3開口」に相当する。
【0034】
ここで、
図2に示すように、第2インナーシャフト33の先端側の一部分が湾曲して固定されていることにより、第2ルーメン30Lの先端側は、先端第2開口31に向かって+Y軸方向に湾曲している。以降、第2ルーメン30Lが湾曲した部分を「第1湾曲部35」とも呼ぶ。第1湾曲部35を含むシャフト10の縦断面(すなわち、
図2に示す断面
)において、第1湾曲部35よりも基端側における第2ルーメン30Lの中心軸O1と、第1湾曲部35の中心軸O3とが成す鋭角θ1は、30度以上、かつ、70度以下であってもよい。また、第3インナーシャフト43の先端側の一部分が湾曲して固定されていることにより、第3ルーメン40Lの先端側は、先端第3開口41に向かって-Y軸方向に湾曲している。以降、第3ルーメン40Lが湾曲した部分を「第2湾曲部45」とも呼ぶ。
図2では、第2湾曲部45を含むシャフト10の縦断面(
図2に示す断面)において、第2湾曲部45の中心軸O4を図示している。
【0035】
図3に示すように、第1ルーメン20Lの内径Φ20と、第2ルーメン30Lの内径Φ30と、第3ルーメン40Lの内径Φ40との大小関係は、内径Φ20<内径Φ30=内径Φ40である。なお、この大小関係は、カテーテル1において使用可能とする光照射デバイス2の外径によって任意に定めることができ、例えば、内径Φ20<内径Φ40<内径Φ30としてもよい。
【0036】
図4下段に示すように、カテーテル1の長手方向(X軸方向)において、第3ルーメン40Lに繋がる先端第3開口41は、第2ルーメン30Lに繋がる先端第2開口31の近傍に配置されている。図示の例では、先端第3開口41は、先端第2開口31よりも基端側(+X軸方向)に配置されている。ここで、先端第2開口31の中心点O3(換言すれば、
図2に示す第1湾曲部35の中心軸O3と、シャフト10の外表面とが交差する点)と、先端第3開口41の中心点O4(換言すれば、
図2に示す第2湾曲部45の中心軸O4と、シャフト10の外表面とが交差する点)との間の長さL1は、カテーテル1が挿入される血管内径の2~5倍程度としてもよい。例えば、カテーテル1が挿入される血管内径が2~4mmである場合、先端第2開口31の中心点O3と、先端第3開口41の中心点O4との間の長さL1は、10mmとしてもよい。
【0037】
図4上段吹き出し内には、カテーテル1の長手方向(X軸方向)から見た、シャフト10、先端第2開口31、及び先端第3開口41の関係を示す概略図を示している。図示のように、シャフト10の中心Oと、先端第2開口31の中心点O3とを結ぶ第1線分LS1(
図4上段:破線)を規定する。同様に、シャフト10の中心Oと、先端第3開口41の中心点O4とを結ぶ第2線分LS2を規定する(
図4上段:二点鎖線)。このとき、先端第2開口31と先端第3開口41との位置関係は、第1線分LS1と、第2線分LS2とが成す角度が略180度となる位置とされている。換言すれば、シャフト10の周方向において、先端第2開口31と、先端第3開口41とは、180度離れた位置に配置されている。ここで「180度」とは、約180度であれば足り、厳密に180度である場合に限らず、製造誤差等に起因したぶれを許容する意味である。
【0038】
図4下段に示すように、先端第2開口31の開口面積は、シャフト10の横断面(
図3)における第2ルーメン30Lの面積よりも大きくてもよい。同様に、先端第3開口41の開口面積は、シャフト10の横断面(
図3)における第3ルーメン40Lの面積よりも大きくてもよい。具体的には、本実施形態の先端第2開口31は、第2インナーシャフト33を斜めに切断することにより形成された楕円形状を有している。同様に、先端第3開口41は、第3インナーシャフト43を斜めに切断することにより形成された楕円形状を有している。
【0039】
ストッパ部材39は、シャフト10の先端第2開口31の少なくとも一部分を塞ぐことで、第2ルーメン30Lに挿入された光照射デバイス2が、先端第2開口31から外部へと突出することを抑制するための部材である。本実施形態のストッパ部材39は、
図4に示すように、先端第2開口31の周縁に沿った楕円形状であって、
図2に示すように、内側面39iと外側面39oとがそれぞれ、カテーテル1の外側に向かって湾曲した凸形状を有している。ストッパ部材39の縁部は、先端第2開口31の周縁に沿って固定されて
いる。固定には、融接、圧接、ろう接といった冶金的接合や、任意の接着剤を用いた接着剤接合を利用できる。このように、本実施形態のストッパ部材39は、先端第2開口31の全体を塞いでいる。なお、ストッパ部材39には、第2ルーメン30L内のフラッシュ操作を可能とするための流体流路(生理食塩水の排出流路)が設けられていてもよい。ストッパ部材39の流体流路は、例えば、内側面39iと外側面39oとを連通する貫通孔とできる。貫通孔の形状、及び貫通孔が設けられる位置は、任意に決定してよい。
【0040】
ストッパ部材39は、光を透過させる光透過性と、光を拡散させる光拡散性とを有している。このようなストッパ部材39は、例えば、光透過性と光拡散性とを有する樹脂(例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン等)により形成できる。また、ストッパ部材39は、光透過性の樹脂(例えば、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等)によって形成された本体に対して、光拡散性を有するフィルムを被覆することで形成してもよい。
【0041】
先端チップ71は、シャフト10の先端部に接合されて、他の部材よりも先行して血管内を進行する部材である。先端チップ71は、放射線不透過性を有する材料により形成されており、カテーテル1の先端を示す目印として機能する。
図2に示すように、先端チップ71は、基端側から先端側にかけて縮径した外側形状を有している。先端チップ71の略中央部分には、カテーテル1の長手方向(X軸方向)に先端チップ71を貫通する貫通孔が形成されている。先端チップ71の貫通孔の内側には、第1インナーシャフト23が挿通されて固定されている。先端チップ71の外径及び長さは任意に決定できる。
【0042】
第1マーカー部72は、放射線不透過性を有する材料により形成されており、光が照射される先端第2開口31についての、カテーテル1の長手方向(X軸方向)の位置を表す目印として機能する。
図1、
図2、及び
図4に示すように、第1マーカー部72は環状の部材である。第1マーカー部72は、先端第2開口31よりも先端側において、先端第2開口31の近傍(図示の例では、第1マーカー部72に隣接した位置)に配置されている。第1マーカー部72は、アウターシャフト11の外表面に接合されている。接合には、エポキシ系接着剤などの任意の接合剤を利用できる。
【0043】
第2マーカー部73は、放射線不透過性を有する材料により形成されており、光が照射される先端第2開口31についての、シャフト10の周方向(YZ軸方向)の位置を表す目印として機能する。
図4に示すように、第2マーカー部73は中央に穴の開いた円盤状の部材である。第2マーカー部73は、中央の穴と先端第2開口31とを位置合わせした状態で、先端第2開口31の周囲を取り囲むように配置されている。第2マーカー部73は、アウターシャフト11の外表面に接合されている。接合には、エポキシ系接着剤などの任意の接合剤を利用できる。このような構成を有することで、
図1に示すように、第2マーカー部73は、任意の方向から見た際の第2マーカー部73の形状によって、術者が、周方向における先端第2開口31の位置を認識可能とできる。
【0044】
図1に戻り、説明を続ける。コネクタ90は、シャフト10の基端部に配置されており、術者によって把持される部材である。コネクタ90は、三又に分岐した分岐部91と、Y軸に沿って突出した羽根部92を有している。分岐部91の先端部には、シャフト10の基端部が挿入された状態で接合されている。分岐部91は、
図1において+X軸方向に延びる第1枝と、+Y方向に延びる第2枝と、-Y方向に延びる第3枝と、を有している。第1枝の内側には、第1インナーシャフト23が挿入されており、第1ルーメン20Lを構成している。第2枝の内側には、第2インナーシャフト33が挿入されており、第2ルーメン30Lを構成している。第3枝の内側には、第3インナーシャフト43が挿入されており、第3ルーメン40Lを構成している。
【0045】
アウターシャフト11、封止部材12、第1インナーシャフト23、及び第3インナーシャフト43は、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、樹脂材料や金属材料で形成することができる。樹脂材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等を採用できる。金属材料としては、例えば、SUS304等のステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、タングステン鋼等を採用できる。また、その他の周知の材料を用いてもよく、複数の材料を組み合わせた接合構造体としてもよい。なお、アウターシャフト11、第1インナーシャフト23、第2インナーシャフト33、第3インナーシャフト43のそれぞれについて、長手方向の長さ、外径、及び内径は任意に決定してよい。
【0046】
先端チップ71、第1マーカー部72、及び第2マーカー部73は、放射線不透過性を有する樹脂材料や金属材料により形成できる。例えば、樹脂材料を用いる場合、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等に対して、三酸化ビスマス、タングステン、硫酸バリウム等の放射線不透過材料を混ぜて形成できる。例えば、金属材料を用いる場合、放射線不透過材料である金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金(例えば、白金ニッケル合金)等で形成できる。また、その他の周知の材料を用いてもよく、複数の材料を組み合わせた接合構造体としてもよい。コネクタ90は、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエーテルサルフォン等の周知の樹脂材料で形成することができる。なお、先端チップ71、第1マーカー部72、及び第2マーカー部73のそれぞれについて、長手方向の長さ、外径、及び内径は任意に決定してよい。
【0047】
光照射デバイス2(
図1)は、長尺状であり、光ファイバー210と、光拡散部材220と、コネクタ290とを備えている。
【0048】
光ファイバー210は、光源9からの光を伝達する。光ファイバー210は、光照射デバイス2の長手方向(X軸方向)に沿って延びる長尺状の部材である。
図1上段の吹き出し内に示すように、光ファイバー210は、光照射デバイス2の長手方向に延びるコア210cと、コア210cの外周面を被覆するクラッド210clとを備えている。コア210cは、クラッド210clの中央に配置されており、クラッド210clよりも高い光屈折率を有する。クラッド210clは、屈折率が均一である。光ファイバー210は、コア210cとクラッド210clとの屈折率差を利用した光の全反射によって光を伝達する。光ファイバー210は、コア210cとクラッド210clとが共に樹脂製のプラスチック光ファイバである。コア210cは、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA:Polymethylmetacrylate)、ポリスチレン、ポリカーボネート、含重水素化ポ
リマー、フッ素系ポリマー、シリコン系ポリマー、ノルボルネン系ポリマー等により形成できる。クラッド210clは、例えば、フッ素系ポリマーにより形成できる。光ファイバー210には、プラスチック光ファイバに代えて、石英ガラス光ファイバや、多成分ガラス光ファイバを採用してもよい。光ファイバー210の長手方向の長さは任意に決定できる。
【0049】
光ファイバー210の基端部は、図示しないコネクタを介して、光源9に直接的に、あるいは他の光ファイバーを介して間接的に接続されている。光源9としては、例えば、任意の波長のレーザ光を発生するレーザ光発生装置を利用できる。光ファイバー210の先端部では、露出させたコア210cに対して、光拡散部材220が固定されている。なお、光ファイバー210には、X軸に沿って延びる長尺状を維持するための補強部材が取り付けられていてもよい。例えば、光ファイバー210は、補強部材としての中空状のシャフトの内側に収容されていてもよい。例えば、光ファイバー210には、補強部材としてのコアシャフトが固定されていてもよい。
【0050】
光拡散部材220は、光ファイバー210によって伝達された光を、光照射デバイス2の先端側に向かって拡散させて照射する(
図1:光LT)。光拡散部材220は、光を透過させる光透過性と、光を拡散させる光拡散性とを有している。光拡散部材220は、円柱形状を有しており、例えば、光透過性と光拡散性とを有する樹脂(例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン等)により形成されている。なお、光拡散部材220は、石英微粉末を分散させたアクリル系紫外線硬化樹脂を、紫外光で硬化させることにより形成されてもよい。本実施形態において、光拡散部材220は「光照射部」として機能する。
【0051】
コネクタ290は、光ファイバー210の基端部に配置されており、術者によって把持される部材である。コネクタ290は、光ファイバー210を挿通させる中空状の本体部と、Y軸に沿って突出した羽根部とを有している。コネクタ290は、任意の樹脂材料により形成できる。なお、光照射デバイス2は、光拡散部材220の位置を表す目印として機能するマーカーを備えていてもよい。このマーカーは、放射線不透過性を有する樹脂材料や金属材料により形成でき、光拡散部材220の近傍(例えば、光拡散部材220の先端部、光拡散部材220の基端部、光拡散部材220と光ファイバー210との境界部等)に設けられることが好ましい。
【0052】
図5は、光照射システムを使用した手技の一例を示す図である。
図5には、対象血管101と、生体組織102と、対象組織103とを示す。対象組織103は、がん、脳動脈瘤、不整脈等の問題がある組織であって、光照射システムを用いた治療の対象とする組織である。対象血管101は、対象組織103への光照射に適した位置及び太さを有する血管である。生体組織102は、対象血管101及び対象組織103の近傍にある正常な組織である。
【0053】
光照射システムを使用した手技の手順をa1~a6に例示する。
(a1)術者は、デリバリ用のガイドワイヤ3を、対象血管101までデリバリする。
(a2)術者は、ガイドワイヤ3の基端側を、カテーテル1の先端第1開口21から第1ルーメン20Lへと挿入した後、カテーテル1をガイドワイヤ3に沿わせて押し進め、カテーテル1の先端第2開口31(及びストッパ部材39)を対象組織103の近傍までデリバリする。この際、術者は、X線画像上の先端チップ71及び第1マーカー部72を用いて、生体内におけるカテーテル1の長手方向の位置を把握できる。
(a3)術者は、カテーテル1を周方向に回転させることで、先端第2開口31(及びストッパ部材39)を対象組織103の側に向ける。この際、術者は、X線画像上の第2マーカー部73を用いて、生体内におけるカテーテル1の周方向の向きを把握できる。
(a4)術者は、バックアップデバイスとして用いるガイドワイヤ4を、カテーテル1の基端第3開口42から第3ルーメン40Lへと挿入する。なお、バックアップデバイス用のガイドワイヤ4には、デリバリ用のガイドワイヤ3と比較して剛性の高いガイドワイヤが用いられる。
(a5)術者は、ガイドワイヤ4を先端側へ押し進め、先端第3開口41から外部へと突出させ、対象血管101の内部において、ガイドワイヤ4を対象血管101の内壁に接触させた状態で位置させる。この結果、
図5に示すように、カテーテル1の先端側が、先端第3開口41とは逆の方向(換言すれば、先端第2開口31がある方向、
図5において白抜き矢印で示す方向)に持ち上がる。
(a6)術者は、光照射デバイス2を、カテーテル1の基端第2開口32から第2ルーメン30Lへと挿入し、光照射デバイス2の光拡散部材220が、先端第2開口31(及びストッパ部材39)の近傍に位置するように光照射デバイス2をデリバリする。これにより、光ファイバー210を介して伝達され、光拡散部材220から射出されたレーザ光LTは、カテーテル1のストッパ部材39により拡散されて、外部の対象組織103へと照射される(
図5)。換言すれば、光拡散部材220から照射されたレーザ光LTは、カテーテル1の先端第2開口31を介して、カテーテル1の外部へと照射される。
【0054】
図6は、光照射システムを使用した手技の他の例を示す図である。術者は、
図5で説明した手順a4~a6に代えて、以下の手順b4~b7を採用してもよい。この例によれば、剛性の高いガイドワイヤ6を、柔軟なマイクロカテーテル5で覆った状態で対象血管101に配置するため、
図5で説明した方法と比較して、より安全性を向上できる。
(b4)術者は、
図5で説明したガイドワイヤ4よりも柔軟なガイドワイヤ(図示省略)を、カテーテル1の基端第3開口42から第3ルーメン40Lへと挿入し、ガイドワイヤを先端側へ押し進め、先端第3開口41から外部へと突出させる。
(b5)術者は、ガイドワイヤの基端側を、マイクロカテーテル5のルーメンへと挿入した後、マイクロカテーテル5をガイドワイヤに沿わせて先端側へ押し進め、先端第3開口41から外部へと突出させ、対象血管101の内部に位置させる。なお、マイクロカテーテル5は柔軟な材料で構成されている。
(b6)術者は、マイクロカテーテル5からガイドワイヤを抜去し、手順b4,b5で用いたガイドワイヤよりも剛性の高いガイドワイヤ6をマイクロカテーテル5に挿入し、ガイドワイヤ6をマイクロカテーテル5に沿わせて先端側へ押し進め、マイクロカテーテル5から突出しない範囲で、先端第2開口31よりも外側に位置させる。すると、剛性の高いガイドワイヤ6を含んだマイクロカテーテル5は、対象血管101の内壁に接触した状態で対象血管101の内部に配置される。この結果、
図6に示すように、カテーテル1の先端側が、先端第3開口41とは逆の方向(換言すれば、先端第2開口31がある方向、
図6において白抜き矢印で示す方向)に持ち上がる。
(b7)術者は、光照射デバイス2を、カテーテル1の基端第2開口32から第2ルーメン30Lへと挿入し、光照射デバイス2の光拡散部材220が、先端第2開口31(及びストッパ部材39)の近傍に位置するように光照射デバイス2をデリバリする。これにより、光ファイバー210を介して伝達され、光拡散部材220から射出されたレーザ光LTは、カテーテル1のストッパ部材39により拡散されて、外部の対象組織103へと照射される(
図6)。
【0055】
以上のように、第1実施形態の光照射システム1,2によれば、カテーテル1のシャフト10の先端部には、第1ルーメン20Lに連通する先端第1開口21(第1開口)が形成され、シャフト10の側面であって先端第1開口21よりも基端側には、光照射デバイス2が挿入される第2ルーメン30Lに連通する先端第2開口31(第2開口)が形成されている。このため、第1ルーメン20Lにガイドワイヤ3を挿入し、ガイドワイヤ3の先端側を先端第1開口21から突出させた状態で、カテーテル1を対象血管101内に留置することで、ガイドワイヤ3によってカテーテル1にバックアップ力を付与することができる(
図5、
図6)。この結果、第2ルーメン30Lに挿入した光照射デバイス2の先端部(光照射部として機能する光拡散部材220)を、先端第2開口31近傍までデリバリする手順a6の際に、カテーテル1が対象血管101内で移動することを抑制できる、すなわち、カテーテル1の先端第2開口31の位置が、予め位置合わせされた対象組織103の位置からずれることを抑制できるため、対象組織103に対する光照射を容易にできる。また、カテーテル1のシャフト10は、第1ルーメン20Lと第2ルーメン30Lとを有する長尺状であるため、5つものルーメンを有する構成や、シャフトが螺旋状に巻回された構成と比較して、デバイス(カテーテル1)を細径化できる。さらに、カテーテル1に対するバックアップ力の付与は、第1ルーメン20L内のガイドワイヤ3によって行われるため、バルーンを用いる場合と比較して、血流を遮断することがない。これらの結果、第1実施形態の光照射システムによれば、生体内において光を照射する光照射システムにおいて、血流を遮断することなく対象組織103に対する光照射を容易にすると共に、デバイス(カテーテル1)の細径化を図ることができる。
【0056】
また、第1実施形態の光照射システム1,2によれば、カテーテル1のシャフト10は、先端第2開口31(第2開口)の少なくとも一部分を塞ぐストッパ部材39を備えるた
め、第2ルーメン30L内の光照射デバイス2が、先端第2開口31から外部へと突出することを抑制できる(
図5、
図6)。この結果、光照射デバイス2が血管壁等の生体組織に接触することを抑制できるため、光照射システムの安全性を向上できる。また、光照射デバイス2が外部に突出した場合に生じることが懸念される光照射方向のずれ(光拡散部材220の向きが変わることにより、意図した方向に光LTが照射されれないこと)を抑制できるため、対象組織103に対する光照射をより一層容易にできる。また、ストッパ部材39は、光を拡散させる光拡散性を有しているため、対象組織103への光照射の精度を向上させることができる。さらに、ストッパ部材39は、少なくとも外側面39oにおいて湾曲した凸形状を有しているため、より一層光を拡散させやすくできる。
【0057】
さらに、第1実施形態の光照射システム1,2によれば、カテーテル1のシャフト10は、第1ルーメン20L及び第2ルーメン30Lとそれぞれ並んで配置された第3ルーメン40Lを有しており、シャフト10の側面であって先端第1開口21(第1開口)よりも基端側には、第3ルーメン40Lに連通する先端第3開口41(第3開口)が形成されている。このため、第3ルーメン40Lを、カテーテル1に対して更なるバックアップ力を付与するためのバックアップデバイス4,5,6(例えば、ガイドワイヤ4,6やカテーテル5等)を挿通させるバックアップルーメンとして用いることができる。具体的には、第1ルーメン20Lにガイドワイヤ3を挿入して先端第1開口21からガイドワイヤ3の先端側を突出させ、かつ、第3ルーメン40Lにバックアップデバイス4,5,6を挿入して先端第3開口41からバックアップデバイス4,5,6の先端側を突出させて、バックアップデバイス4,5,6の側面を血管壁に接触させた状態で、カテーテル1を対象血管101内に留置することで、ガイドワイヤ3とバックアップデバイス4,5,6の両方によりカテーテル1にバックアップ力を付与することができる(
図5、
図6)。この結果、第2ルーメン30Lに挿入した光照射デバイス2の先端部(光照射部として機能する光拡散部材220)を、先端第2開口31近傍までデリバリする手順a6の際に、カテーテル1が対象血管101内で移動することをより一層抑制できるため、対象組織103に対する光照射をより一層容易にできる。また、光照射デバイス2が挿入される第2ルーメン30Lと、バックアップデバイス4,5,6が挿入される第3ルーメン40Lとは、それぞれ、第1ルーメン20Lを挟んで反対側に配置されている(
図3)。このため、血管壁に接触させたバックアップデバイス4,5,6によって、カテーテル1は、光照射デバイス2が挿入される第2ルーメン30Lが位置する側に持ち上げられる(
図5,6:白抜き矢印)。この結果、対象組織103のより近くから、光照射デバイス2による光照射を行うことができ、治療効率を向上できると共に、対象組織103以外の正常な組織(血液を含む)に対して光照射がされることを抑制できる。さらに、ガイドワイヤルーメンとして機能する第1ルーメン20Lは、シャフト10の横断面においてシャフト10の中央に配置されているため、カテーテル1を対象組織までデリバリする際の操作性を向上できる(
図3)。
【0058】
さらに、第1実施形態の光照射システム1,2によれば、カテーテル1のシャフト10の周方向において、光照射デバイス2からの光が照射される先端第2開口31(第2開口)と、バックアップデバイス4,5,6が突出する先端第3開口41(第3開口)とが180度離れた位置に配置される(
図4)。このため、血管壁に接触させたバックアップデバイス4,5,6によって、カテーテル1は、光が照射される先端第2開口31の側に持ち上げられ(
図5,6:白抜き矢印)、先端第2開口31を、バックアップデバイス4,5,6が接触している側とは逆側の血管壁に向かってより一層近づけることができる。この結果、対象組織103のより近くから、光照射デバイス2による光照射を行うことができ、治療効率を向上できると共に、対象組織103以外の正常な組織に対して光照射がされることを抑制できる。
【0059】
さらに、第1実施形態の光照射システム1,2によれば、
図4に示すように、カテーテ
ル1のシャフト10はさらに、先端第2開口31(第2開口)の近傍に設けられた放射線不透過性を有する環状の第1マーカー部72を備える。このため術者は、
図5及び
図6で説明した手順a2において、第1マーカー部72が対象組織の近傍に位置するようにカテーテル1の前後位置を調整することによって、先端第2開口31から照射される光LTを、対象組織103に向かって精度よく照射できる。
【0060】
さらに、第1実施形態の光照射システム1,2によれば、
図4に示すように、カテーテル1のシャフト10はさらに、先端第2開口31(第2開口)の近傍に設けられた放射線不透過性を有する第2マーカー部73であって、任意の方向から見た際の第2マーカー部73の形状によって、周方向における先端第2開口31の位置を認識可能な第2マーカー部73を備える。このため術者は、
図5及び
図6で説明した手順a3において、第2マーカー部73が対象組織103に面した血管壁の側に位置するように、カテーテル1の周方向の位置を調整する(カテーテル1を回転させる)ことによって、先端第2開口31から照射される光LTを、対象組織103に向かって精度よく照射できる。
【0061】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態のカテーテル1Aの先端側の構成を例示した説明図である。
図7では、+Y軸方向から見たカテーテル1Aの構成を示すと共に、本来、+Y軸方向からは見えない先端第3開口41及び先端第4開口51を破線で示す。
図8は、
図7のC-C線における横断面構成を例示した説明図である。第2実施形態の光照射システムは、
図1で説明したカテーテル1に代えて、
図7及び
図8に示すカテーテル1Aを備える。第2実施形態では、カテーテル1Aが、2つのバックアップルーメンを有する構成を説明する。第2実施形態のカテーテル1Aは、第1実施形態で説明した構成において、シャフト10に代えてシャフト10Aを備える。
【0062】
図8に示すように、シャフト10Aはさらに、第4インナーシャフト53を備えている。第4インナーシャフト53は、中空の長尺状であり、略円形状の横断面を有している。第4インナーシャフト53は、他のインナーシャフトと同様にアウターシャフト11のルーメン内に挿入されており、アウターシャフト11の長手方向(X軸方向)に沿って互いに略平行に延びている。
図8に示す横断面において、第3インナーシャフト43及び第4インナーシャフト53は、アウターシャフト11のルーメン内において、第1インナーシャフト23を挟んで、第2インナーシャフト33とは反対側に配置されている。第4インナーシャフト53は、第3インナーシャフト43よりも長手方向の長さが短く、先端側の一部分と、基端側の一部分とが-Y軸方向に湾曲している。
図7に示すように、第4インナーシャフト53の先端は、シャフト10Aの-Y軸方向の側面に形成された先端第4開口51を介して、外部に連通している。第4インナーシャフト53の基端は、コネクタ90の第4枝(図示省略)に形成された基端第4開口を介して、外部に連通している。第4インナーシャフト53は、例えば、第3インナーシャフト43と同様の材料により形成できる。第4インナーシャフト53の材料と第3インナーシャフト43の材料とは、同じでもよく、異なっていてもよい。
【0063】
第4インナーシャフト53の内側に形成された第4ルーメン50Lは、カテーテル1Aに対して、バックアップデバイスを挿通させる「第2バックアップルーメン」として機能する。すなわち、第2実施形態のカテーテル1Aでは、シャフト10Aは、第1~第3ルーメン20L,30L,40Lと並んで配置された第4ルーメン50Lを備えている。
図8に示すように、第4ルーメン50Lは、シャフト10Aの横断面において、第3ルーメン40Lと同じ側に配置されている。第4ルーメン50Lの内径Φ50は、第3ルーメン40Lの内径Φ40と同じでもよく、相違してもよい。また、
図7に示すように、シャフト10Aの側面であって、先端第3開口41よりも基端側には、第4ルーメン50Lに連通する先端第4開口51が形成されている。シャフト10Aの長手方向(X軸方向)にお
いて、先端第4開口51は、先端第3開口41とは異なる位置に配置されている。先端第3開口41の中心O4と、先端第4開口51の中心O5との間の長手方向における長さL2は、任意に決定してよい。また、シャフト10Aの周方向(YZ軸方向)において、先端第4開口51は、先端第3開口41と同じ位置に配置されている。ここで「同じ位置」とは、ほぼ同じ位置を意味しており、製造誤差等に起因する相違を許容する。なお、本実施形態において、先端第4開口51は「第4開口」に相当する。
【0064】
図9は、第2実施形態の光照射システムを使用した手技の一例を示す図である。第2実施形態の光照射システムを使用した手技の手順は、第1実施形態で説明した手順a4~a6に代えて、以下の手順c4~c7を採用する。
(c4)術者は、バックアップデバイスとして用いるガイドワイヤ4aを、カテーテル1Aの基端第3開口42から第3ルーメン40Lへと挿入する。
(c5)術者は、第2のバックアップデバイスとして用いるガイドワイヤ4bを、カテーテル1Aの基端第4開口から第4ルーメン50Lへと挿入する。なお、ガイドワイヤ4a及び4bには、ガイドワイヤ3と比較して剛性の高いガイドワイヤが用いられる。
(c6)術者は、ガイドワイヤ4a及び4bをそれぞれ先端側へ押し進め、先端第3開口41と先端第4開口51とから外部へと突出させ、対象血管101の内部において、ガイドワイヤ4a及び4bを、それぞれ対象血管101の内壁に接触させた状態で位置させる。この結果、
図9に示すように、カテーテル1Aの先端側が、先端第3開口41及び先端第4開口51とは逆の方向(換言すれば、先端第2開口31がある方向)に持ち上がる。(c7)術者は、光照射デバイス2を、カテーテル1の基端第2開口32から第2ルーメン30Lへと挿入し、光照射デバイス2の光拡散部材220が、先端第2開口31(及びストッパ部材39)の近傍に位置するように光照射デバイス2をデリバリする。これにより、光ファイバー210を介して伝達され、光拡散部材220から射出されたレーザ光LTは、カテーテル1のストッパ部材39により拡散されて、外部の対象組織103へと照射される(
図9)。
【0065】
このように、カテーテル1Aの構成は種々の変更が可能であり、複数のバックアップデバイスを併用可能な構成としてもよい。以上のようなカテーテル1Aを備える第2実施形態の光照射システムによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態のカテーテル1Aによれば、シャフト10Aはさらに、側面の先端第4開口51(第4開口)まで延びる第4ルーメン50Lを有するため、第3ルーメン40Lに挿通されたバックアップデバイス4aとは別の、第2のバックアップデバイス4bを併用することができる。この結果、ガイドワイヤ3と、2本のバックアップデバイス4a及び4bとによって、カテーテル1Aにより強いバックアップ力を付与することができる。また、先端第4開口51は、シャフト10Aの長手方向において先端第3開口41(第3開口)とは異なる位置に配置されており、シャフト10Aの周方向において第3開口と同じ位置に配置されているため、
図9に示すように、バックアップデバイス4aと第2のバックアップデバイス4bとは、長手方向の異なる位置からカテーテル1Aを支持できる。
【0066】
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態のカテーテル1Bの先端側の構成を例示した説明図である。
図10では、+Y軸方向から見たカテーテル1Bの構成を示すと共に、本来、+Y軸方向からは見えない先端第3開口41B及び先端第4開口51Bを破線で示す。第3実施形態の光照射システムは、
図1で説明したカテーテル1に代えて、
図10に示すカテーテル1Bを備える。第3実施形態では、第2実施形態と同様にカテーテル1Bが2つのバックアップルーメンを有する一方、先端第3開口41B及び先端第4開口51Bの位置が第2実施形態とは異なる構成を説明する。第3実施形態のカテーテル1Bは、第2実施形態で説明した構成において、シャフト10Aに代えてシャフト10Bを備える。
【0067】
シャフト10BのC-C線(
図10)における横断面構成は、
図8で説明した第2実施形態と同様である。一方、
図10に示すように、シャフト10Bの側面には、先端第3開口41Bと並んで、第4ルーメン50Lに連通する先端第4開口51Bが形成されている。シャフト10Bの長手方向(X軸方向)において、先端第4開口51Bは、先端第3開口41Bと同じ位置に配置されている。ここで「同じ位置」とは、ほぼ同じ位置を意味しており、製造誤差等に起因する相違を許容する。また、シャフト10Bの周方向(YZ軸方向)において、先端第4開口51Bは、先端第3開口41Bとは異なる位置に配置されている。なお、本実施形態において、先端第4開口51Bは「第4開口」に相当する。第3実施形態の光照射システムを使用した手技の手順は、第2実施形態と同様である。
【0068】
このように、カテーテル1Bの構成は種々の変更が可能であり、複数のバックアップデバイスを併用可能な構成としてもよい。以上のようなカテーテル1Bを備える第3実施形態の光照射システムによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第3実施形態のカテーテル1Bによれば、シャフト10Bはさらに、側面の先端第4開口51B(第4開口)まで延びる第4ルーメン50Lを有するため、第3ルーメン40Lに挿通されたバックアップデバイス4aとは別の、第2のバックアップデバイス4bを併用することができる。この結果、ガイドワイヤ3と、2本のバックアップデバイス4a及び4bとによって、カテーテル1Bにより強いバックアップ力を付与することができる。また、先端第4開口51Bは、シャフト10Bの長手方向において先端第3開口41B(第3開口)と同じ位置に配置されており、シャフト10Bの周方向において先端第3開口41Bとは異なる位置に配置されているため、バックアップデバイス4aと、第2のバックアップデバイス4bは、周方向の異なる位置からカテーテル1Bを支持できる。
【0069】
<第4実施形態>
図11は、第4実施形態のカテーテル1Cの先端側の構成を例示した説明図である。
図11では、+Y軸方向から見たカテーテル1Cの構成を示すと共に、本来、+Y軸方向からは見えない先端第3開口41C、先端第4開口51C、及び先端第5開口61を破線で示す。
図12は、
図11のD-D線における横断面構成を例示した説明図である。第4実施形態の光照射システムは、
図1で説明したカテーテル1に代えて、
図11及び
図12に示すカテーテル1Cを備える。第4実施形態では、カテーテル1Cが、3つのバックアップルーメンを有する構成を説明する。第3実施形態のカテーテル1Cは、第1実施形態で説明した構成において、シャフト10に代えてシャフト10Cを備える。
【0070】
図12に示すように、シャフト10Cはさらに、第4インナーシャフト53Cと、第5インナーシャフト63と、を備えている。第4インナーシャフト53C及び第5インナーシャフト63は、それぞれ中空の長尺状であり、略円形状の横断面を有している。第4インナーシャフト53C及び第5インナーシャフト63は、他のインナーシャフトと同様にアウターシャフト11のルーメン内に挿入されており、アウターシャフト11の長手方向(X軸方向)に沿って互いに略平行に延びている。
図12に示す横断面において、第3インナーシャフト43C、第4インナーシャフト53C、及び第5インナーシャフト63は、アウターシャフト11のルーメン内において、第1インナーシャフト23を挟んで、第2インナーシャフト33とは反対側に配置されている。第4インナーシャフト53Cは、第3インナーシャフト43C及び第5インナーシャフト63よりも長手方向の長さが短い。第4インナーシャフト53C及び第5インナーシャフト63は、それぞれ、先端側の一部分と、基端側の一部分とが-Y軸方向に湾曲している。第4インナーシャフト53Cの先端は、シャフト10Cの側面に形成された先端第4開口51Cを介して、外部に連通している。第4インナーシャフト53Cの基端は、コネクタ90の第4枝(図示省略)に形成された基端第4開口を介して、外部に連通している。第5インナーシャフト63の先端は、シャフト10Cの側面に形成された先端第5開口61を介して、外部に連通している。第5インナーシャフト63の基端は、コネクタ90の第5枝(図示省略)に形成された
基端第5開口を介して、外部に連通している。
【0071】
第4インナーシャフト53Cの内側に形成された第4ルーメン50Lは、カテーテル1Cに対して、バックアップデバイスを挿通させる「第2バックアップルーメン」として機能する。第5インナーシャフト63の内側に形成された第5ルーメン60Lは、カテーテル1Cに対して、バックアップデバイスを挿通させる「第3バックアップルーメン」として機能する。すなわち、第4実施形態のカテーテル1Cでは、シャフト10Cは、第1~第3ルーメン20L,30L,40Lと並んで配置された第4ルーメン50L及び第5ルーメン60Lを備えている。
図12に示すように、第4ルーメン50L及び第5ルーメン60Lは、いずれも、シャフト10Cの横断面において、第3ルーメン40Lと同じ側に配置されている。
図11に示すように、シャフト10Cの側面には、第4ルーメン50Lに連通する先端第4開口51Cと、第5ルーメン60Lに連通する先端第5開口61と、が形成されている。シャフト10Cの長手方向(X軸方向)において、先端第3開口41Cと先端第5開口61とは同じ位置に配置されている一方、先端第4開口51Cは異なる位置に配置されている。ここで「同じ位置」とは、ほぼ同じ位置を意味しており、製造誤差等に起因する相違を許容する。また、シャフト10Cの周方向(YZ軸方向)において、先端第3開口41C、先端第4開口51C、及び先端第5開口61は、いずれも異なる位置に配置されている。図示の例では、先端第4開口51Cは、先端第3開口41C及び先端第5開口61よりも基端側(+X軸方向)に配置されている。
【0072】
このように、カテーテル1Cの構成は種々の変更が可能であり、複数のバックアップデバイスを併用可能な構成としてもよい。
図11の例では、3つのバックアップデバイスを併用可能な構成を例示したが、第6ルーメンや第7ルーメンを設けて、4つ以上のバックアップデバイスを併用可能な構成としてもよい。以上のようなカテーテル1Cを備える第4実施形態の光照射システムによっても、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0073】
<第5実施形態>
図13は、第5実施形態のカテーテル1Dの先端側の一部分の拡大断面図である。第5実施形態の光照射システムは、
図1で説明したカテーテル1に代えて、
図13に示すカテーテル1Dを備える。第5実施形態のカテーテル1Dは、第1実施形態で説明した構成において、シャフト10に代えてシャフト10Dを備える。シャフト10Dは、ストッパ部材39に代えてストッパ部材39Dを有している。ストッパ部材39Dは、外側面39oがカテーテル1Dの外側に向かって湾曲した凸形状を有している一方で、内側面39iは湾曲していない平面状である。
【0074】
このように、ストッパ部材39Dの構成は種々の変更が可能であり、少なくとも内側面39iは、湾曲していない平面状であってもよい。また、内側面39iと外側面39oとの両方が平面状であってもよい。以上のようなカテーテル1Dを備える第5実施形態の光照射システムによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0075】
<第6実施形態>
図14は、第6実施形態のカテーテル1Eの先端側の一部分の拡大断面図である。
図14上段の吹き出し内には、
図14のE方向から見たカテーテル1Eの構成を示す。
図14下段には、カテーテル1Eの先端側の一部分の拡大断面図を示す。第6実施形態の光照射システムは、
図1で説明したカテーテル1に代えて、
図14に示すカテーテル1Eを備える。第6実施形態のカテーテル1Eは、第1実施形態で説明した構成において、シャフト10に代えてシャフト10Eを備える。シャフト10Eは、ストッパ部材39に代えてストッパ部材39Eを有している。
【0076】
ストッパ部材39Eは、第1実施形態で説明した機能(すなわち、光照射デバイス2が先端第2開口31から外部へと突出することを抑制する機能)に加えて、対象血管101を流れる血液が第2ルーメン30Lへと浸入すること抑制しつつ、かつ、第2ルーメン30L内のフラッシュ操作を可能とするための逆止弁として機能する部材である。ストッパ部材39Eは、
図14上段に示すように、先端第2開口31の周縁に沿った楕円形状である。ストッパ部材39Eは、
図14下段に示すように、内側面39i及び外側面39oがそれぞれ平面状である。ストッパ部材39Eは、所定の厚さを有する弾性体(ゴム、エラストマー等)である。ストッパ部材39Eの縁部は、先端第2開口31の周縁に沿って固定されている。固定には、融接、圧接、ろう接といった冶金的接合や、任意の接着剤を用いた接着剤接合を利用できる。このように、本実施形態のストッパ部材39Eは、先端第2開口31の全体を塞いでいる。また、ストッパ部材39Eには、
図4上段に示すように、内側面39iと外側面39oとを連通するスリット391が設けられている。図示の例では、スリット391は十字状である。スリット391の大きさ及び形状と、ストッパ部材39Eの厚さ(具体的には、
図14下段の縦断面における内側面39iから外側面39oまでの長さ)とは、血流よりも大きな流速の流体が通過可能なように調整されている。
【0077】
このように、ストッパ部材39Eの構成は種々の変更が可能であり、第2ルーメン30L内のフラッシュ操作を可能とするための逆止弁としての機能をも有していてよい。
図14の例では、スリット391は十字状であるとしたが、スリット391の形状は任意に変更してよい。
【0078】
以上のようなカテーテル1Eを備える第6実施形態の光照射システムによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第6実施形態のカテーテル1Eによれば、ストッパ部材39Eは、弾性体により形成されると共に、先端第2開口31(第2開口)の全体を塞いでおり、ストッパ部材39Eには、血流よりも大きな流速の流体が通過可能なスリット391が設けられている。このため、カテーテル1Eが対象血管101内に挿入された場合であっても、このストッパ部材39Eによって第2ルーメン30L内への血液の浸入を抑制できる。また、ストッパ部材39Eには、血流よりも大きな流速の流体が通過可能なスリット391が設けられているため、第2ルーメン30L内を生理食塩水で満たすフラッシュ操作が行われた際、供給された生理食塩水を、ストッパ部材39Eのスリット391から外部に排出できる。
【0079】
<第7実施形態>
図15は、第7実施形態のカテーテル1Fの先端側の一部分の拡大断面図である。
図15上段の吹き出し内には、
図15のF方向から見たカテーテル1Fの構成を示す。
図15下段には、カテーテル1Fの先端側の一部分の拡大断面図を示す。第7実施形態の光照射システムは、
図1で説明したカテーテル1に代えて、
図15に示すカテーテル1Fを備える。第7実施形態のカテーテル1Fは、第1実施形態で説明した構成において、シャフト10に代えてシャフト10Fを備える。シャフト10Fは、ストッパ部材39に代えてストッパ部材39Fを有している。
図15上段に示すように、ストッパ部材39Fは、シャフト10Fの先端第2開口31の一部分(図示の例では、先端第2開口31の周縁のうち、基端側の一部分)を塞いでいる点を除いて、第1実施形態と同様の構成を有している。
【0080】
このように、ストッパ部材39Fの構成は種々の変更が可能であり、ストッパ部材39Fは、シャフト10Fの先端第2開口31の一部分を塞いでいれば足りる。図示の例では、ストッパ部材39Fは、先端第2開口31の周縁のうちの基端側に配置されるとしたが、ストッパ部材39Fは、先端第2開口31の周縁のうちの先端側等の異なる場所に配置されてもよい。以上のようなカテーテル1Fを備える第7実施形態の光照射システムによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0081】
<第8実施形態>
図16は、第8実施形態のカテーテル1Gの先端側の一部分の拡大断面図である。第8実施形態の光照射システムは、
図1で説明したカテーテル1に代えて、
図16に示すカテーテル1Gを備える。第8実施形態のカテーテル1Gは、第1実施形態で説明した構成において、シャフト10に代えてシャフト10Gを備える。シャフト10Gは、第1実施形態で説明したストッパ部材39を有していない。
【0082】
このように、シャフト10Gの構成は種々の変更が可能であり、シャフト10Gは、第1実施形態で説明したストッパ部材39を有していなくてもよい。この場合も、上述した手順a6または手順b7において、光照射デバイス2の光拡散部材220から照射されたレーザ光は、カテーテル1Gの先端第2開口31を介して、カテーテル1Gの外部へと照射される。以上のようなカテーテル1Gを備える第8実施形態の光照射システムによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0083】
<第9実施形態>
図17は、第9実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。第9実施形態の光照射システムは、
図1で説明したカテーテル1に代えて、
図17に示すカテーテル1Hを備える。第9実施形態のカテーテル1Hは、第1実施形態で説明した構成において、シャフト10に代えてシャフト10Hを備え、分岐部91に代えて分岐部91Hを備える。シャフト10Hは、第1実施形態で説明した第3インナーシャフト43を有していない。このため、シャフト10Hは、第1実施形態で説明した第3ルーメン40L、先端第3開口41、及び基端第3開口42を有していない。分岐部91Hは、二股に分岐している点を除いて、第1実施形態と同様の構成を有している。
【0084】
このように、カテーテル1Hの構成は種々の変更が可能であり、バックアップデバイスを挿通させるバックアップルーメン(すなわち第3ルーメン40L)を有さなくてもよい。カテーテル1Hにおいても、
図5及び
図6で説明した通り、第1ルーメン20Lにガイドワイヤ3を挿入し、ガイドワイヤ3の先端側を先端第1開口21から突出させた状態で、カテーテル1を対象血管101内に留置することで、ガイドワイヤ3によってカテーテル1にバックアップ力を付与することができる。このため、以上のようなカテーテル1Hを備える第9実施形態の光照射システムによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0085】
<第10実施形態>
図18は、第10実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。
図18上段の吹き出し内には、
図18のG方向から見た光ファイバー210の構成を示す。第10実施形態の光照射システムは、
図1で説明した光照射デバイス2に代えて、
図18に示す光照射デバイス2Iを備える。第10実施形態の光照射デバイス2Iは、第1実施形態で説明した構成において、光拡散部材220を有していない。
図18上段に示すように、光ファイバー210は、先端部においてコア210cがクラッド210clから露出しており、コア210cから光LTが照射される。なお、コア210cには、周知の加工(例えば、先端面を斜めにカットする加工、刻み目を形成する加工、サンドブラスト加工、化学的処理等)が施されていてもよい。そうすれば、コア210cからの光LTの照射方向や、拡散性等を調整できる。本実施形態では、先端部において露出したコア210cが「光照射部」に相当する。
【0086】
以上のような光照射デバイス2Iを備える第10実施形態の光照射システムによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第10実施形態の光照射デバイス2Iによれば、光拡散部材220を要さないため、光照射デバイス2Iを細径化できると共に、光照射デバイス2Iを構成する部材の数を削減して、光照射デバイス2Iを
製造する際の手間とコストを削減できる。
【0087】
<第11実施形態>
図19は、第11実施形態のカテーテル1Jの先端側の構成を例示した説明図である。
図19では、+Y軸方向から見たカテーテル1Jの構成を示すと共に、本来、+Y軸方向からは見えない先端第3開口41を破線で示す。第11実施形態の光照射システムは、
図1で説明したカテーテル1に代えて、
図19に示すカテーテル1Jを備える。第11実施形態では、第2マーカー部73Jの形状が異なる構成を説明する。第11実施形態のカテーテル1Jは、第1実施形態で説明した構成において、シャフト10に代えてシャフト10Jを備える。
【0088】
シャフト10Jは、第2マーカー部73に代えて第2マーカー部73Jを有している。第2マーカー部73Jは、放射線不透過性を有しており、光が照射される先端第2開口31についての、シャフト10Jの周方向(YZ軸方向)の位置を表す目印として機能する。
図19に示すように、第2マーカー部73Jは、放射線不透過性を有する素線を、シャフト10Jの外周面に沿って螺旋状に巻回することで形成されている。このような構成を有することで、第2マーカー部73Jは、任意の方向から見た際の第2マーカー部73Jの形状によって、術者が、周方向における先端第2開口31の位置を認識可能とできる。
【0089】
このように、カテーテル1Jの構成は種々の変更が可能であり、第2マーカー部73Jの形状は円盤状に限られず、種々の形状を採用できる。以上のようなカテーテル1Jを備える第11実施形態の光照射システムによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0090】
<第12実施形態>
図20は、第12実施形態のカテーテル1Kの先端側の構成を例示した説明図である。
図20では、+Y軸方向から見たカテーテル1Kの構成を示すと共に、本来、+Y軸方向からは見えない先端第3開口41を破線で示す。第12実施形態の光照射システムは、
図1で説明したカテーテル1に代えて、
図20に示すカテーテル1Kを備える。第12実施形態では、放射線不透過性のマーカー部を有さない構成を説明する。第12実施形態のカテーテル1Kは、第1実施形態で説明した構成において、シャフト10に代えてシャフト10Kを備え、先端チップ71に代えて先端チップ71Kを備える。シャフト10Kは、第1実施形態で説明した第1マーカー部72及び第2マーカー部73を有していない。また、先端チップ71Kは、第1実施形態で説明した先端チップ71と同様の形状を有する一方で、放射線不透過性を有さない材料により形成されている。
【0091】
このように、カテーテル1Kの構成は種々の変更が可能であり、放射線不透過性のマーカー部を有していなくてもよい。
図20の例では、放射線不透過性を有する先端チップ71(第1実施形態で説明した先端チップ71)、第1マーカー部72、及び第2マーカー部73を全て備えない構成を説明したが、カテーテル1Kは、これらの1つ以上を有さない構成とされてもよい。以上のようなカテーテル1Kを備える第12実施形態の光照射システムによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0092】
<第13実施形態>
図21は、第13実施形態のカテーテル1Lの横断面構成を例示した説明図である。
図21には、
図2のA-A線における横断面構成を示す。第13実施形態の光照射システムは、
図1で説明したカテーテル1に代えて、
図21に示すカテーテル1Lを備える。第13実施形態では、シャフト10Lが一体的に構成されている例を説明する。第13実施形態のカテーテル1Lは、第1実施形態で説明した構成において、シャフト10に代えてシャフト10Lを備える。
【0093】
シャフト10Lは、第1実施形態で説明したアウターシャフト11、第1インナーシャフト23、第2インナーシャフト33、第3インナーシャフト43、及び封止部材12を有しておらず、単一の本体部19により構成されている。本体部19は、第1実施形態で説明したアウターシャフト11等と同様に、任意の樹脂材料や金属材料により形成できる。本体部19は、第1実施形態と同様に、第1ルーメン20L、第2ルーメン30L、及び第3ルーメン40Lを有している。
【0094】
このように、カテーテル1Lの構成は種々の変更が可能であり、単一の本体部19によりシャフト10Lが構成されていてもよい。また、第1実施形態で説明したアウターシャフト11、第1インナーシャフト23、第2インナーシャフト33、第3インナーシャフト43のいずれか2つ以上が、一体的に構成されていてもよい。以上のようなカテーテル1Lを備える第13実施形態の光照射システムによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0095】
<第14実施形態>
図22は、第14実施形態のカテーテル1Mの基端側の構成を例示した説明図である。
図22では、
図1と同様に、第1ルーメン20L、第2ルーメン30L、及び第3ルーメン40Lを破線で表す。第14実施形態の光照射システムは、
図1で説明したカテーテル1に代えて、
図22に示すカテーテル1Mを備える。第14実施形態では、基端側の構成が第1実施形態とは異なる例について説明する。第14実施形態のカテーテル1Mは、第1実施形態で説明した構成において、第1~第3インナーシャフト23,33,43に代えて第1~第3インナーシャフト23M,33M,43Mを備えると共に、コネクタ90に代えてコネクタ80を備える。
【0096】
コネクタ80は、操作部81と、第1端部部材82と、第2端部部材83と、第3端部部材84とを有している。操作部81は、略円筒形状を有する部材であり、外周面に複数の突出部85が設けられている。図示の例では、突出部85は、X軸方向に延びる直線状であるが、突出部85は任意の形状とできる。第1端部部材82、第2端部部材83、及び第3端部部材84は、それぞれ、突出した一対の羽根部を有する略円筒形状の部材である。
【0097】
第1インナーシャフト23M、第2インナーシャフト33M、及び第3インナーシャフト43Mは、次の点を除いて、第1実施形態と同様の構成を有している。具体的には、第1インナーシャフト23M、第2インナーシャフト33M、及び第3インナーシャフト43Mは、それぞれ、アウターシャフト11の基端11pよりも基端側(+X軸側)に延びている。第1インナーシャフト23Mの基端部は、第1端部部材82の内側に挿入された状態で、第1端部部材82に固定されている。第1端部部材82の基端側の開口は、ガイドワイヤを挿通させるための基端第1開口22Mに相当する。第2インナーシャフト33Mの基端部は、第2端部部材83の内側に挿入された状態で、第2端部部材83に固定されている。第2端部部材83の基端側の開口は、光照射デバイス2を挿通させるための基端第2開口32Mに相当する。第3インナーシャフト43Mの基端部は、第3端部部材84の内側に挿入された状態で、第3端部部材84に固定されている。第3端部部材84の基端側の開口は、バックアップデバイスを挿通させるための基端第3開口42Mに相当する。
【0098】
図3で説明したように、第1インナーシャフト23M、第2インナーシャフト33M、及び第3インナーシャフト43Mは、それぞれ、封止部材12によってアウターシャフト11に固定されている。また、
図22に示すように、アウターシャフト11の基端部は、操作部81の内側に挿入された状態で、操作部81に固定されている。操作部81とアウ
ターシャフト11とを固定する接合部86には、任意の接合剤、例えば、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn-Ag合金、Au-Sn合金等の金属はんだや、エポキシ系接着剤などの接着剤を使用できる。
【0099】
図5及び
図6で説明した手順a3において、先端第2開口31(及びストッパ部材39)を対象組織103の側に向けるように、カテーテル1Mの周方向の位置を調整する(カテーテル1Mを回転させる)際、本実施形態のカテーテル1Mでは、術者は、操作部81を回転させればよい。例えば、術者が、操作部81をD1方向に回転させた際(
図22:太字黒矢印)を想定する。この場合、操作部81の回転操作に伴って、操作部81に固定されたアウターシャフト11もD1方向に回転する。また、アウターシャフト11に固定された第1インナーシャフト23M、第2インナーシャフト33M、及び第3インナーシャフト43Mについても同様に、D1方向に回転する。
【0100】
このように、カテーテル1Mの構成は種々の変更が可能であり、コネクタ90に代えて、操作部81を有するコネクタ80を備える構成としてもよい。以上のようなカテーテル1Mを備える第14実施形態の光照射システムによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第14実施形態のカテーテル1Mによれば、アウターシャフト11の基端部に固定された操作部81に対して回転操作を行うことにより、操作部81に加えられた回転によってアウターシャフト11を回転させることができると共に、アウターシャフト11に固定された第1、第2、及び第3インナーシャフト23M,33M,43Mを回転させることができる。このため、血管内におけるカテーテル1Mの周方向の位置を調整するためのカテーテル1Mの回転操作を容易に行うことができ、ユーザビリティを向上できる。
【0101】
<第15実施形態>
図23は、第15実施形態のカテーテル1Nの基端側の構成を例示した説明図である。
図23では、
図1と同様に、第1ルーメン20L、第2ルーメン30L、及び第3ルーメン40Lを破線で表す。
図24は、
図23のH1-H1線における横断面構成を例示した説明図である。
図25は、
図23のH2-H2線における横断面構成を例示した説明図である。第15実施形態の光照射システムは、
図1で説明したカテーテル1に代えて、
図23に示すカテーテル1Nを備える。第15実施形態では、カテーテル1Nのコネクタ80Nの構成が、第14実施形態とは異なる例について説明する。第15実施形態のカテーテル1Nは、第14実施形態で説明した構成において、シャフト10に代えてシャフト10Nを備え、コネクタ80に代えてコネクタ80Nを備える。
【0102】
コネクタ80Nは、第14実施形態で説明した各構成に加えてさらに、支持部87と、接続部88とを有している。支持部87は、略円筒形状を有する部材であり、操作部81よりも基端側に設けられている。接続部88は、略円筒形状の部材であり、支持部87と内腔を連通させた状態で、支持部87の外周面に接合されている。支持部87及び接続部88は、操作部81を回転操作した場合であっても、回転しない。
【0103】
シャフト10Nは、次の点を除いて、第14実施形態と同様の構成を有している。具体的には、
図24に示すように、シャフト10Nは、アウターシャフト11の内側に配置された封止部材12を有していない。
図24に示すように、アウターシャフト11の内側には、流体が流通可能なアウタールーメン11Lが形成されている。また、
図25に示すように、シャフト10Nの基端部には、固定部材89が設けられている。固定部材89は、アウターシャフト11の基端部の内側において、第1インナーシャフト23M、第2インナーシャフト33M、及び第3インナーシャフト43Mを固定している。
図25に示す横断面において、固定部材89は、アウターシャフト11の内周面の一部分、かつ、第1、第2、及び第3インナーシャフト23M,33M,43Mの外周面の全体に配置されてい
る。このような構成を有することにより、固定部材89が設けられた部分においても、シャフト10Nは、流体が流通可能なアウタールーメン11Lを有する。なお、第2インナーシャフト33Mの先端側の第1湾曲部35近傍、及び、第3インナーシャフト43Mの先端側の第2湾曲部45近傍(
図2)についても同様に、図示しない固定部材によって、アウターシャフト11の内側に固定されている。
【0104】
このように、カテーテル1Mの構成は種々の変更が可能であり、支持部87及び接続部88を有するコネクタ80Nを備える構成としてもよい。また、アウタールーメン11Lを有するシャフト10Nを備える構成としてもよい。以上のようなカテーテル1Nを備える第15実施形態の光照射システムによっても、第1実施形態及び第14実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第15実施形態のカテーテル1Nによれば、コネクタ80Nは、操作部81の回転操作に伴い回転しない支持部87及び接続部88を有するため、術者は、支持部87を支持した状態で、操作部81を回転させることができ、ユーザビリティをより一層向上できる。また、第15実施形態のカテーテル1Nによれば、シャフト10Nがアウタールーメン11Lを有するため、術者は、接続部88にシリンジを接続し、支持部87及び接続部88の内腔を介して、アウタールーメン11Lへと生理食塩水を供給できる。
【0105】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0106】
[変形例1]
上記第1~15実施形態では、光照射システムが備えるカテーテル1,1A~1H,1J~1Nの構成を例示した。しかし、カテーテル1の構成は種々の変更が可能である。例えば、シャフト10,10A~10H,10J~10Nの側面であって、先端第2開口31及び先端第3開口41よりも基端側の側面には、第1ルーメン20L(ガイドワイヤルーメン)と外部とを接続するポート(開口)が設けられていてもよい。このポートから、デリバリ用のガイドワイヤの基端側を引き出すことによって、カテーテルをRxタイプのカテーテルとして使用してもよい。例えば、シャフト10の外周面及び内周面の少なくとも一方は、親水性又は疎水性の樹脂によりコーティングされていてもよい。
【0107】
例えば、シャフト10,10A~10H,10J~10Nのうち、先端側の一部分は、第1実施形態(
図3)で説明した構成とされ、基端側の一部分は、第13実施形態(
図21)で説明した構成とされてもよい。そうすれば、先端第2開口31、基端第3開口42、第1湾曲部35、及び第2湾曲部45の加工を要する先端側については、加工しやすいアウターシャフトとインナーシャフトを用いた構成(
図3)とでき、これらの加工を要しない基端側については細径化が可能な一体的な本体部を用いた構成(
図21)とできる。
【0108】
例えば、シャフト10,10A~10H,10J~10Nのストッパ部材39,39D~39Fは、光照射デバイス2からの光を透過可能な限りにおいて、任意の構成を採用できる。例えば、ストッパ部材39は、光透過性のみを有し、光拡散性を有さない材料により形成されてもよい。例えば、ストッパ部材39は、光透過性を有さない素線を網目織りにしたメッシュ形状であってもよい。この場合、素線と素線の隙間から、光照射デバイス2により照射された光を透過できる。例えば、ストッパ部材39は、光透過性を有さない材料により形成されており、かつ、内側面39iと外側面39oとを連通する1つ以上の貫通孔を有する部材であってもよい。この場合、貫通孔から光照射デバイス2により照射された光を透過できる。
【0109】
[変形例2]
上記第1~15実施形態のカテーテル1,1A~1H,1J~1Nの構成、及び上記変形例1の各構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第2~第4実施形態で説明した複数のバックアップルーメンを有するいずれかの構成と、第5~第8実施形態で説明したストッパ部材を有するいずれかの構成と、第11,第12実施形態で説明したマーカー部を有するいずれかの構成と、第14,第15実施形態で説明したコネクタを有するいずれかの構成と、と適宜に組み合わせてカテーテル1を構成してもよい。例えば、第2~第9実施形態、または、第11~第15実施形態で説明したカテーテル1,1A~1H,1J~1Nのいずれかと、第10実施形態で説明した光照射デバイス2Iとを組み合わせて光照射システムを構成してもよい。
【0110】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0111】
1,1A~1H,1J~1N…カテーテル
2,2I…光照射デバイス
3…ガイドワイヤ
4,4a,4b,5,6…バックアップデバイス
9…光源
10,10A~10H,10J~10N…シャフト
11…アウターシャフト
12…封止部材
19…本体部
20L…第1ルーメン
21…先端第1開口
22,22M…基端第1開口
23,23M…第1インナーシャフト
30L…第2ルーメン
31…先端第2開口
32,32M…基端第2開口
33,33M…第2インナーシャフト
35…第1湾曲部
39,39D~39F…ストッパ部材
40L…第3ルーメン
41,41B,41C…先端第3開口
42,42M…基端第3開口
43,43C,43M…第3インナーシャフト
45…第2湾曲部
50L…第4ルーメン
51,51B,51C…先端第4開口
53,53C…第4インナーシャフト
60L…第5ルーメン
61…先端第5開口
63…第5インナーシャフト
71,71K…先端チップ
72…第1マーカー部
73,73J…第2マーカー部
80,80N…コネクタ
81…操作部
82…第1端部部材
83…第2端部部材
84…第3端部部材
85…突出部
86…接合部
87…支持部
88…接続部
89…固定部材
90…コネクタ
91,91H…分岐部
92…羽根部
210…光ファイバー
210c…コア
210cl…クラッド
220…光拡散部材
290…コネクタ
391…スリット