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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048294
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 5/357 20150101AFI20230331BHJP
   H01Q 5/28 20150101ALI20230331BHJP
   H01Q 21/30 20060101ALI20230331BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
H01Q5/357
H01Q5/28
H01Q21/30
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157514
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】行本 真介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勇二
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
【Fターム(参考)】
5J021AA02
5J021AA09
5J021AB06
5J021CA03
5J021JA03
5J046AA02
5J046AB13
5J046PA07
(57)【要約】
【課題】 複共振化に伴い、所望の周波数帯以外のアンテナ特性に対する影響を抑制しつつ所望の周波数帯の性能を調整することができるアンテナ装置を提供すること。
【解決手段】 基板本体2と、グランドパターンG0と、第1エレメント3及び第2エレメント4とを備え、グランドパターンが、グランド主面部G1と、グランド接続部G2とを有し、第1エレメントが、給電点に接続された第1延在部E1と、第2延在部E2と、第3延在部E3とを有し、第2エレメントが、第4延在部E4と、第5延在部E5と、第6延在部E6とを有し、グランド接続部が、第1延在部に対向して配され第1延在部に向けて凸状に突出した凸型GND部G3と、第6延在部に対向して配されグランド主面部から凸型GND部まで延在する中間接続部G4とを有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状で絶縁性の基板本体と、前記基板本体に金属箔でパターン形成されグランドに接続されるグランドパターンと、前記基板本体に金属箔でパターン形成され給電点と接続された第1エレメント及び第2エレメントとを備え、
前記グランドパターンが、前記給電点から離間して前記基板本体の一端側に形成されたグランド主面部と、前記グランド主面部から前記基板本体の他端側に向けて延在し前記給電点の近傍まで配されたグランド接続部とを有し、
前記給電点が、前記基板本体の一端から他端に延在する両側辺のうち一方の側辺との間に前記グランド接続部を配して前記一方の側辺側に配され、
前記第1エレメントが、前記グランド接続部の先端側に対向して配され前記給電点に接続され前記グランド接続部に沿って延在する第1延在部と、前記第1延在部の前記基板本体の他端側の端部から前記基板本体の他方の側辺に向けて延在する第2延在部と、前記第2延在部の先端から前記基板本体の他端側に向けて延在する第3延在部とを有し、
前記第2エレメントが、前記第1延在部の前記基板本体の一端側の端部から前記基板本体の他方の側辺に向けて延在する第4延在部と、
前記第4延在部の先端から前記基板本体の一端側に向けて延在する第5延在部と、
前記第1延在部の前記基板本体の一端側の端部に受動素子を介して接続され前記基板本体の一端側に向けて延在する第6延在部とを有し、
前記グランド接続部が、前記第1延在部に対向して配され前記第1延在部に向けて凸状に突出した凸型GND部と、
前記第6延在部に対向して配され前記グランド主面部から前記凸型GND部まで延在する中間接続部とを有していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記第6延在部が、前記第1延在部に一対の前記受動素子を介して接続され、
一対の前記受動素子が、前記第6延在部の幅方向に間隔を空けて並列に並んで接続されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアンテナ装置において、
前記グランド主面部が、前記第5延在部の先端に対向した位置から前記第5延在部の先端に向けて延在する第7延在部と、
前記第7延在部の基端又は途中に接続された受動素子とを有していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記中間接続部が、前記第6延在部に対向して配され前記第6延在部に向けて凸状に突出した中間凸部を有していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記グランド接続部が、前記凸型GND部よりも先端側に前記第1延在部に対向して配され前記凸型GND部よりも前記第1延在部から離間した先端側凹部を有していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記第2延在部及び前記第4延在部が、それぞれ受動素子を介して前記第1延在部に接続されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記第1エレメントが、前記第3延在部の先端部から前記基板本体の一方の側辺側に折り返して前記第3延在部に沿って前記第1延在部に向けて延在する第8延在部を有していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記第6延在部が、前記第1延在部に接続された第6基端部と、
前記第6基端部に受動素子を介して接続され前記第6基端部よりも幅が狭い第6先端部とを有していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記第1エレメントの途中に誘電体アンテナのアンテナ素子が接続されていることを特徴とするアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数共振化が可能なアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信機器において、複共振化した各共振周波数のフレキシブルな調整が可能で、用途や機器毎に応じたアンテナ性能を安価かつ容易に確保できるアンテナ装置が開発されている。
従来、例えば特許文献1に記載のアンテナ装置は、基板本体の表面にそれぞれ金属箔でパターン形成されたグランドパターン及び複数のエレメントを備えている。
【0003】
このようなアンテナ装置では、各エレメント間やグランドパターンとの間の各浮遊容量(線間容量)を効果的に利用することで、複共振化させるものである。
特に、特許文献1に記載のアンテナ装置は、広いグランドパターンがアンテナエレメントに沿って対向配置されていなくても共振周波数の調整や小型化が可能であると共に、回路のメイン基板とは別に設けても良好なアンテナ性能を実現することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-22144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術においても、以下の課題が残されている。
すなわち、上記従来のアンテナ装置では、複共振化(マルチバンド化)と共に、アンテナ性能(入力特性,放射効率,放射パターン,最大利得など)が高性能化されているが、一部の周波数帯において最大利得が+3dBiを超えてしまう場合がある。例えば、上記従来のアンテナ装置において、600~800MHz程度の低周波から4~6GHz程度の高周波までを、同一基板内で設計しようとした場合、高周波側の周波数帯で最大利得が+4~5dBiとなってしまい、+3dBiを超えてしまうことが多く見受けられる。
現在、日本の電波法において、セルラー帯と呼ばれるスマートフォンに代表される周波数帯の通信網を使用するためのアンテナ性能について、最大利得が+3dBi以下という規格がある。このため、最大利得を下げる調整を行うため、上記従来のアンテナ装置において周波数全体の利得を落とす調整を行うと、低周波も劣化してしまう不都合があった。また、所望の周波数帯の最大利得のみ劣化するように調整しようとしても、所望の周波数帯以外が逆に上がってしまう問題があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、複共振化に伴い、所望の周波数帯以外のアンテナ特性に対する影響を抑制しつつ所望の周波数帯の性能を調整することができるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るアンテナ装置は、長方形状で絶縁性の基板本体と、前記基板本体に金属箔でパターン形成されグランドに接続されるグランドパターンと、前記基板本体に金属箔でパターン形成され給電点と接続された第1エレメント及び第2エレメントとを備え、前記グランドパターンが、前記給電点から離間して前記基板本体の一端側に形成されたグランド主面部と、前記グランド主面部から前記基板本体の他端側に向けて延在し前記給電点の近傍まで配されたグランド接続部とを有し、前記給電点が、前記基板本体の一端から他端に延在する両側辺のうち一方の側辺との間に前記グランド接続部を配して前記一方の側辺側に配され、前記第1エレメントが、前記グランド接続部の先端側に対向して配され前記給電点に接続され前記グランド接続部に沿って延在する第1延在部と、前記第1延在部の前記基板本体の他端側の端部から前記基板本体の他方の側辺に向けて延在する第2延在部と、前記第2延在部の先端から前記基板本体の他端側に向けて延在する第3延在部とを有し、前記第2エレメントが、前記第1延在部の前記基板本体の一端側の端部から前記基板本体の他方の側辺に向けて延在する第4延在部と、前記第4延在部の先端から前記基板本体の一端側に向けて延在する第5延在部と、前記第1延在部の前記基板本体の一端側の端部に受動素子を介して接続され前記基板本体の一端側に向けて延在する第6延在部とを有し、前記グランド接続部が、前記第1延在部に対向して配され前記第1延在部に向けて凸状に突出した凸型GND部と、前記第6延在部に対向して配され前記グランド主面部から前記凸型GND部まで延在する中間接続部とを有していることを特徴とする。
【0008】
このアンテナ装置では、グランド接続部が、第1延在部に対向して配され第1延在部に向けて凸状に突出した凸型GND部と、第6延在部に対向して配されグランド主面部から凸型GND部まで延在する中間接続部とを有しているので、凹凸があるグランド接続部により、凸型GND部と第1延在部との間に生じる浮遊容量と、中間接続部と第6延在部との間に生じる浮遊容量とが発生する。また、グランド接続部の対向側にあると共に給電された側のパターンである第1延在部及び第6延在部が、それぞれ上記浮遊容量を発生させて最大利得調整部となる。さらに、受動素子の選択により、第1延在部と第6延在部との間の高周波電流の流れをコントロールでき、共振周波数,インピーダンス及び最大利得の調整を行うことができる。
なお、最大利得調整部である第1延在部は、全ての共振周波数に対して共通となるため、どれかの周波数の高性能化(高利得、広帯域化)のために設計してしまうと、それ以外の周波数帯での性能が良くなり過ぎてしまう場合がある。例えば、限られた基板サイズ及びグランドサイズに対して、各共振周波数の波長を考えると、低周波側の性能に合わせた設計を行うと、高周波側の性能も良くなってしまう可能性が高い。また、単純に第1延在部のサイズを小さくする又は形状を変更するだけでは、低周波側の性能は改善せず、全体的な性能劣化に繋がって所望の周波数帯だけの改善、劣化等の調整を行うことができない。しかしながら、本発明では、第1延在部と第6延在部とを分断することで、凸型GND部の調整が効果的になると共に、受動素子の設定に応じて、所望の周波数帯において性能を調整することが可能になる。
したがって、これらの浮遊容量及び受動素子を、所定の周波数に合わせて調整,選定することで、各周波数に合わせたインピーダンス調整が可能になり、所望の周波数帯以外のアンテナ特性に対する影響を抑制しつつ所望の周波数帯の性能を調整することができる。
【0009】
第2の発明に係るアンテナ装置は、第1の発明において、前記第6延在部が、前記第1延在部に一対の前記受動素子を介して接続され、一対の前記受動素子が、前記第6延在部の幅方向に間隔を空けて並列に並んで接続されていることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、一対の受動素子が、第6延在部の幅方向に間隔を空けて並列に並んで接続されているので、一対の受動素子の選択により、第1延在部と第6延在部との間の高周波電流の流れをよりコントロールでき、共振周波数,インピーダンス及び最大利得の調整を行うことができる。
【0010】
第3の発明に係るアンテナ装置は、第1又は2の発明において、前記グランド主面部が、前記第5延在部の先端に対向した位置から前記第5延在部の先端に向けて延在する第7延在部と、前記第7延在部の基端又は途中に接続された受動素子とを有していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、グランド主面部が、第5延在部の先端に対向した位置から第5延在部の先端に向けて延在する第7延在部と、第7延在部の基端又は途中に接続された受動素子とを有しているので、少なくとも第7延在部と第5延在部との間の浮遊容量と、第5延在部と第6延在部との間の浮遊容量に影響を与えると共に、受動素子の定数選定に応じて第7延在部に対するインピーダンス調整及び周波数調整を行うことができる。また、第7延在部による共振周波数の発生及び設計が可能であり、低周波数への設計時はインダクタを、また高周波数への設計時はコンデンサを受動素子とすることで、フレキシブルな調整が可能になる。
【0011】
第4の発明に係るアンテナ装置は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記中間接続部が、前記第6延在部に対向して配され前記第6延在部に向けて凸状に突出した中間凸部を有していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、中間接続部が、第6延在部に対向して配され第6延在部に向けて凸状に突出した中間凸部を有しているので、中間凸部と第6延在部との間に浮遊容量が発生し、複合的な周波数設計及びインピーダンス調整が可能になる。
【0012】
第5の発明に係るアンテナ装置は、第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記グランド接続部が、前記凸型GND部よりも先端側に前記第1延在部に対向して配され前記凸型GND部よりも前記第1延在部から離間した先端側凹部を有していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、グランド接続部が、凸型GND部よりも先端側に第1延在部に対向して配され凸型GND部よりも第1延在部から離間した先端側凹部を有しているので、先端側凹部と第1延在部との間に浮遊容量が発生して容量結合すると共に、反対側である第6延在部側の受動素子等によるインピーダンス変化がないため、主に凸型GND部と第1延在部とで生じる共振周波数に対する周波数設計及びインピーダンス調整に対して自由度のある設計が可能になる。
【0013】
第6の発明に係るアンテナ装置は、第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記第2延在部及び前記第4延在部が、それぞれ受動素子を介して前記第1延在部に接続されていることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、第2延在部及び第4延在部が、それぞれ受動素子を介して第1延在部に接続されているので、第2延在部と第4延在部との間の浮遊容量が、最大利得調整部である第1延在部内での調整ではなく、第1エレメントと第2エレメントとの間の浮遊容量となって変化させることができる。
【0014】
第7の発明に係るアンテナ装置は、第1から第6の発明のいずれかにおいて、前記第1エレメントが、前記第3延在部の先端部から前記基板本体の一方の側辺側に折り返して前記第3延在部に沿って前記第1延在部に向けて延在する第8延在部を有していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、第1エレメントが、第3延在部の先端部から基板本体の一方の側辺側に折り返して第3延在部に沿って第1延在部に向けて延在する第8延在部を有しているので、第8延在部と第3延在部との間に浮遊容量と、第8延在部と第1延在部との間に浮遊容量とが発生し、各共振周波数に対する周波数及びインピーダンスを調整することができる。
【0015】
第8の発明に係るアンテナ装置は、第1から第7の発明のいずれかにおいて、前記第6延在部が、前記第1延在部に接続された第6基端部と、前記第6基端部に受動素子を介して接続され前記第6基端部よりも幅が狭い第6先端部とを有していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、第6延在部が、第1延在部に接続された第6基端部と、第6基端部に受動素子を介して接続され第6基端部よりも幅が狭い第6先端部とを有しているので、第6基端部と第5延在部との間と、第6先端部と第5延在部との間と、第6基端部と中間接続部との間と、第6先端部と中間接続部との間とにそれぞれ浮遊容量を発生させることができ、これら浮遊容量の設定に応じて、各共振周波数の周波数及びインピーダンスの調整が可能になる。
【0016】
第9の発明に係るアンテナ装置は、第1から第8の発明のいずれかにおいて、前記第1エレメントの途中に誘電体アンテナのアンテナ素子が接続されていることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、第1エレメントの途中に誘電体アンテナのアンテナ素子が接続されているので、所望の共振周波数に自己共振しないローディング素子のアンテナ素子によってエレメント長の短縮化及び高インピーダンス化と、浮遊容量の増大とが可能になり、複共振化の調整が容易になると共に小型化とアンテナ特性の向上とを図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
本発明のアンテナ装置によれば、グランド接続部が、第1延在部に対向して配され第1延在部に向けて凸状に突出した凸型GND部と、第6延在部に対向して配されグランド主面部から凸型GND部まで延在する中間接続部とを有しているので、凹凸があるグランド接続部及び第6延在部により発生した浮遊容量を、所定の周波数に合わせて調整,選定することで、各周波数に合わせたインピーダンス調整が可能になり、所望の周波数帯以外のアンテナ特性に対する影響を抑制しつつ所望の周波数帯の性能を調整することができる。
したがって、本発明のアンテナ装置は、多様な用途や機器に対応した複共振化が容易に可能になると共に、電波法等の規制に柔軟に対応したアンテナ性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るアンテナ装置の第1実施形態において、各エレメントの位置関係を示す平面図である。
図2】第1実施形態において、各共振周波数に寄与する主な領域を示す配線図である。
図3】第1実施形態において、アンテナ装置で生じる浮遊容量を示す配線図である。
図4】第1実施形態において、アンテナ素子を示す斜視図(a)、平面図(b)、正面図(c)及び底面図(d)である。
図5】第1実施形態において、アンテナ装置の等価回路を示す図である。
図6】第1実施形態において、アンテナ装置のVSWR特性(電圧定在波比)を示すグラフである。
図7】第1実施形態において、アンテナ装置の放射効率を示すグラフである。
図8】第1実施形態において、本発明及び従来のアンテナ装置の最大利得を比較したグラフである。
図9】第1実施形態において、第4及び第5受動素子の組み合わせを変えた場合の放射効率を比較したグラフである。
図10】第1実施形態において、第5受動素子の抵抗値を変えた場合の放射効率を比較したグラフである。
図11】第1実施形態において、第7受動素子を実装した場合と未実装の場合との放射効率を比較したグラフである。
図12】本発明に係るアンテナ装置の第2及び第3実施形態において、要部を示す拡大平面図である。
図13】本発明に係るアンテナ装置の第4及び第5実施形態において、要部を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るアンテナ装置の第1実施形態を、図1から図11を参照しながら説明する。
【0020】
本実施形態におけるアンテナ装置1は、図1及び図2に示すように、長方形状で絶縁性の基板本体2と、基板本体2に銅箔等の金属箔でパターン形成されグランドGNDに接続されるグランドパターンG0と、基板本体2に銅箔等の金属箔でパターン形成され給電点FPと接続された第1エレメント3及び第2エレメント4とを備えている。
上記グランドパターンG0が、給電点FPから離間して基板本体2の一端側に形成されたグランド主面部G1と、グランド主面部G1から基板本体2の他端側に向けて延在し給電点FPの近傍まで配されたグランド接続部G2とを有している。
【0021】
上記給電点FPは、基板本体2の一端から他端に延在する両側辺のうち一方の側辺2aとの間にグランド接続部G2を配して一方の側辺2a側に配されている。
上記第1エレメント3は、グランド接続部G2の先端側に対向して配され給電点FPに接続されグランド接続部G2に沿って延在する第1延在部E1と、第1延在部E1の基板本体2の他端側の端部から基板本体2の他方の側辺2bに向けて延在する第2延在部E2と、第2延在部E2の先端から基板本体2の他端側に向けて延在する第3延在部E3とを有している。
【0022】
上記第2エレメント4は、第1延在部E1の基板本体2の一端側の端部から基板本体2の他方の側辺2bに向けて延在する第4延在部E4と、第4延在部E4の先端から基板本体2の一端側に向けて延在する第5延在部E5と、第1延在部E1の基板本体2の一端側の端部に第4受動素子P4及び第5受動素子P5を介して接続され基板本体2の一端側に向けて延在する第6延在部E6とを有している。
【0023】
上記グランド接続部G2は、第1延在部E1に対向して配され第1延在部E1に向けて凸状に突出した凸型GND部G3と、第6延在部E6に対向して配されグランド主面部G1から凸型GND部G3まで延在する中間接続部G4とを有している。
上記第6延在部E6は、基端が第1延在部E1に一対の第4受動素子P4及び第5受動素子P5を介して接続されている。
一対の第4受動素子P4及び第5受動素子P5は、第6延在部E6の幅方向に間隔を空けて並列に並んで接続されている。
【0024】
上記グランド主面部G1は、第5延在部E5の先端に対向した位置から第5延在部E5の先端に向けて延在する第7延在部E7と、第7延在部E7の基端又は途中に接続された第7受動素子P7とを有している。
上記第1エレメント3は、第3延在部E3の先端部から基板本体2の一方の側辺2a側に折り返して第3延在部E3に沿って第1延在部E1に向けて延在する第8延在部E8を有している。
上記第6延在部E6は、第1延在部E1に接続された第6基端部E6aと、第6基端部E6aに第6受動素子P6を介して接続され第6基端部E6aよりも幅が狭い第6先端部E6bとを有している。
上記第6基端部E6aは、第1延在部E1と同じ幅で形成されている。なお、第1延在部E1は、第8延在部E8や第5延在部E5よりも幅広に形成されている。
【0025】
上記第1エレメント3の途中には、誘電体アンテナのアンテナ素子ATが接続されている。
本実施形態では、第3延在部E3の先端に基端が接続され基板本体2の他端側の短辺に沿って延在するようにアンテナ素子ATが設置され、アンテナ素子ATの先端に第8延在部E8の基端が接続されている。すなわち、アンテナ素子ATは、第8延在部E8の一部として機能し、第3延在部E3とアンテナ素子ATを含む第8延在部E8とでコ字状のエレメントのパターンが形成されている。
【0026】
第3延在部E3には、途中に第1受動素子P1が接続されている。
また、第5延在部E5には、途中に第3受動素子P3が接続されている。
さらに、第1延在部E1とグランド接続部G2の先端とは、第2受動素子P2で接続されている。
なお、第2受動素子P2は、給電点FPよりも基板本体2の他端側に設置される。
【0027】
基板本体2は、帯状に延在する細板形状の一般的なプリント基板であって、本実施形態では、ガラスエポキシ樹脂等からなるプリント基板を採用している。
また、本実施形態の各受動素子は、例えばインダクタ、コンデンサ、抵抗又はジャンパー線が採用される。
【0028】
上記給電点FPは、同軸ケーブル等の給電手段を介して別のメイン基板等に設けられた高周波回路(図示略)の給電点に接続される。この給電手段としては、同軸ケーブル、レセプタクル等のコネクタ、接点が板バネ形状を有する接続構造、接点がピンプローブ形状またはピン形状を有する接続構造、ハンダ付け用のランドを用いた接続構造等の種々の構造が採用可能である。
例えば、給電手段として同軸ケーブルを採用する場合、凸型GND部G3に同軸ケーブルのグランド線が接続されると共に、同軸ケーブルの芯線が給電点FPに接続される。
【0029】
上記アンテナ素子ATは、所望の共振周波数に自己共振しないローディング素子であって、例えば図4に示すように、セラミックス等の誘電体121の表面にAg等の導体パターン122が形成されたチップアンテナである。
このアンテナ素子ATは、共振周波数等の設定に応じて、その長さ、幅、導体パターン等が異なる素子を選択しても構わない。また、所望の周波数によっては、アンテナ素子ATに使用している誘電体121を、磁性体、若しくは誘電体と磁性体とを混合した複合材料としても構わない。
【0030】
本実施形態のアンテナ装置1では、以下のように浮遊容量が発生する。
すなわち、図3に示すように、第8延在部E8と第3延在部E3との間の浮遊容量Caと、第8延在部E8と第1延在部E1との間の浮遊容量Cbと、第2延在部E2と第4延在部E4との間の浮遊容量Ccと、第1延在部E1と凸型GND部G3との間の浮遊容量Cdと、第5延在部E5と第7延在部E7との間の浮遊容量Ceと、第6基端部E6aと中間接続部G4との間の浮遊容量Cfと、第5延在部E5と第1延在部E1との間の浮遊容量Cgと、第5延在部E5と第6基端部E6aとの間の浮遊容量Chと、第5延在部E5と第6先端部E6bとの間の浮遊容量Ciと、第6先端部E6bと中間接続部G4との間の浮遊容量Cjとが発生可能である。
また、本実施形態のアンテナ装置1は、図5に示すような等価回路となる。
【0031】
次に、本実施形態のアンテナ装置における各共振周波数について、図6を参照して説明する。
【0032】
本実施形態のアンテナ装置1では、図6に示すように、周波数の低い方から、第1の共振周波数f1、第2の共振周波数f2、第3の共振周波数f3、第4の共振周波数f4及び第5の共振周波数f5の順に5つの周波数帯に複共振化される。
なお、この測定においては、各受動素子は以下のものを用いた。
第1受動素子P1:L=10nHのインダクタ
第2受動素子P2:未実装
第3受動素子P3:L=1.2nHのインダクタ
第4受動素子P4:未実装
第5受動素子P5:R=10Ωの抵抗
第6受動素子P6:L=2.4nHのインダクタ
第7受動素子P7:L=1.2nHのインダクタ
【0033】
「第1の共振周波数f1について」
上記第1の共振周波数f1の周波数は、アンテナ素子AT、第3延在部E3、第8延在部E8、第1延在部E1、凸型GND部G3、第7受動素子P7、第7延在部E7により設定および調整することができる。
また、第1の共振周波数f1のインピーダンス調整は、浮遊容量Ca,Cb,Cc,Cd,Ceの各浮遊容量の設定で行うことができる。
さらに、最終的な周波数調整は、第1受動素子P1の選択によりフレキシブルに行うことが可能である。
このように第1の共振周波数f1は、主に図2中の破線A1の部分で調整される。
【0034】
「第2の共振周波数f2について」
上記第2の共振周波数f2の周波数は、第5延在部E5、第1延在部E1、凸型GND部G3、第7受動素子P7、第7延在部E7により設定および調整することができる。
また、第2の共振周波数f2のインピーダンス調整は、浮遊容量Cb,Cc,Cd,Ce,Cf,Cg,Ch,Ciの各浮遊容量の設定で行うことができる。
さらに、最終的な周波数調整は、第3受動素子P3の選択によりフレキシブルに行うことが可能である。
このように第2の共振周波数f2は、主に図2中の点線A2の部分で調整される。
【0035】
「第3の共振周波数f3について」
上記第3の共振周波数f3の周波数は、第6延在部E6、第1延在部E1、凸型GND部G3、第7延在部E7により設定および調整することができる。
また、第3の共振周波数f3のインピーダンス調整は、浮遊容量Cb,Cc,Cd,Ce,Cf,Cg,Ch,Ci,Cjの各浮遊容量及び第4受動素子P4,第5受動素子P5の設定で行うことができる。
さらに、最終的な周波数調整は、第6受動素子P6の選択によりフレキシブルに行うことが可能である。
このように第3の共振周波数f3は、主に図2中の一点鎖線A3の部分で調整される。
【0036】
「第4の共振周波数f4について」
上記第4の共振周波数f4の周波数は、第1延在部E1、第6基端部E6a、凸型GND部G3により設定および調整することができる。
また、第4の共振周波数f4のインピーダンス調整は、浮遊容量Cb,Cc,Cd,Cf,Cg,Chの各浮遊容量及び第4受動素子P4,第5受動素子P5の設定で行うことができる。
さらに、最終的な周波数調整は、第4受動素子P4,第5受動素子P5によりフレキシブルに行うことが可能である。
このように第4の共振周波数f4は、主に図2中の二点鎖線A4の部分で調整される。
【0037】
「第5の共振周波数f5について」
上記第5の共振周波数f5の周波数は、第1延在部E1の給電点FP側、凸型GND部G3により設定および調整することができる。
また、第5の共振周波数f5のインピーダンス調整は、浮遊容量Cb,Cdの各浮遊容量の設定で行うことができる。
このように第5の共振周波数f5は、主に図2中の破線A5の部分で調整される。
【0038】
なお、各共振周波数f1,f2,f3,f4及びf5における最終的なインピーダンス調整は、第2受動素子P2の選択によりグランドパターンG0側に流れる高周波電流の流れをコントロールすることで、フレキシブルに行うことが可能である。
【0039】
上記設定のアンテナ装置1では、VSWR特性(電圧定在波比)を示した図6からわかるように、ヘキサバンドに対しても良好なVSWR特性が得られている。
また、上記設定のアンテナ装置1による放射効率特性を図7に示す。この図からわかるように、ヘキサバンドに対しても良好な放射効率が得られている。
さらに、上記設定のアンテナ装置1による最大利得特性を図8に示す。なお、比較のため、特許文献1に記載の従来のアンテナ装置(図中「本発明:無(実施前)と記載」)による最大利得特性も合わせて図8に示す。この図からわかるように、本実施形態のアンテナ装置1(図中「本発明:有(実施後)と記載」)では、所望の周波数帯のみを調整して、最大利得が±3dBiの範囲内を実現している。
【0040】
次に、第4受動素子P4と第5受動素子P5との組み合わせを変えた場合の放射効率特性を図9に示す。
この図からわかるように、第4受動素子P4を未実装とし、第5受動素子P5を0Ωの抵抗とした場合(図中「受動素子4:未実装/5:0Ω抵抗」と記載)に対し、第5受動素子P5を未実装とし、第4受動素子P4を0Ωの抵抗とした場合(図中「受動素子4:0Ω抵抗/5:未実装」と記載)は、2500MHz近辺の周波数が高い方へ周波数シフトし、放射効率を含めた調整と共に、5900MHz帯の放射効率を低下させる効果が得られている。
また、第4受動素子P4及び第5受動素子P5をどちらも0Ω抵抗とした場合(図中「受動素子4:0Ω抵抗/5:0Ω抵抗」と記載)は、2500MHz近辺の周波数がさらに高い方へ周波数シフトすると共に、5900MHzの放射効率を改善させる効果が得られている。
【0041】
次に、第5受動素子P5の抵抗を変えた場合の放射効率特性を図10に示す。
この図からわかるように、第5受動素子P5を0Ωの抵抗とした場合(図中「受動素子5:0Ω」と記載)に対して、第5受動素子P5を10Ωの抵抗とした場合(図中「受動素子5:10Ω」と記載)は、2000~3300MHz、5000~5500MHz帯といった特定の周波数帯の放射効率を劣化させる効果が得られている。
【0042】
次に、第7受動素子P7を未実装又はインダクタに変えた場合の放射効率特性を図11に示す。
この図からわかるように、第7受動素子P7を未実装とした場合(図中「受動素子7:未実施実装」と記載)に対して、第7受動素子P7を1.2nHのインダクタとした場合(図中「受動素子7:1.2nH実装」と記載)は、2500MHz前後や、3700~4500MHz、5200~5500MHz帯といった特定の周波数帯の放射効率を劣化させる効果が得られている。
【0043】
このように本実施形態のアンテナ装置1では、グランド接続部G2が、第1延在部E1に対向して配され第1延在部E1に向けて凸状に突出した凸型GND部G3と、第6延在部E6に対向して配されグランド主面部G1から凸型GND部G3まで延在する中間接続部G4とを有しているので、凹凸があるグランド接続部G2により、凸型GND部G3と第1延在部E1との間に生じる浮遊容量Cdと、中間接続部G4と第6延在部E6との間に生じる浮遊容量Cf,Cjとが発生する。
【0044】
また、グランド接続部G2の対向側にあると共に給電された側のパターンである第1延在部E1及び第6延在部E6が、それぞれ上記浮遊容量を発生させて最大利得調整部となる。さらに、第4受動素子及び第5受動素子P5の選択により、第1延在部E1と第6延在部E6との間の高周波電流の流れをコントロールでき、共振周波数,インピーダンス及び最大利得の調整を行うことができる。
したがって、これらの浮遊容量及び受動素子を、所定の周波数に合わせて調整,選定することで、各周波数に合わせたインピーダンス調整が可能になり、所望の周波数帯以外のアンテナ特性に対する影響を抑制しつつ所望の周波数帯の性能を調整することができる。
【0045】
また、一対の第4受動素子及び第5受動素子P5が、第6延在部E6の幅方向に間隔を空けて並列に並んで接続されているので、一対の第4受動素子及び第5受動素子P5の選択により、第1延在部E1と第6延在部E6との間の高周波電流の流れをよりコントロールでき、共振周波数,インピーダンス及び最大利得の調整を行うことができる。
また、グランド主面部G1が、第5延在部E5の先端に対向した位置から第5延在部E5の先端に向けて延在する第7延在部E7と、第7延在部E7の基端又は途中に接続された第7受動素子P7とを有しているので、少なくとも第7延在部E7と第5延在部E5との間の浮遊容量Ceと、第5延在部E5と第6延在部E6との間の浮遊容量Ciに影響を与えると共に、第7受動素子P7の定数選定に応じて第7延在部に対するインピーダンス調整及び周波数調整を行うことができる。また、第7延在部E7による共振周波数の発生及び設計が可能であり、低周波数への設計時はインダクタを、また高周波数への設計時はコンデンサを第7受動素子P7とすることで、フレキシブルな調整が可能になる。
【0046】
また、第1エレメント3が、第3延在部E3の先端部から基板本体2の一方の側辺2a側に折り返して第3延在部E3に沿って第1延在部E1に向けて延在する第8延在部E8を有しているので、第8延在部E8と第3延在部E3との間に浮遊容量Caと、第8延在部E8と第1延在部E1との間に浮遊容量Cbとが発生し、各共振周波数に対する周波数及びインピーダンスを調整することができる。
さらに、第1エレメント3の途中に誘電体アンテナのアンテナ素子ATが接続されているので、所望の共振周波数に自己共振しないローディング素子のアンテナ素子ATによってエレメント長の短縮化及び高インピーダンス化と、浮遊容量の増大とが可能になり、複共振化の調整が容易になると共に小型化とアンテナ特性の向上とを図ることができる。
【0047】
次に、本発明に係るアンテナ装置の第2から第5実施形態について、図12及び図13を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0048】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、グランド接続部G2の先端側に凸型GND部G3だけが形成されているのに対し、第2実施形態のアンテナ装置21では、図12の(a)に示すように、グランド接続部G22の中間接続部G4が、第6延在部E6に対向して配され第6延在部E6に向けて凸状に突出した中間凸部G5を有している点である。
【0049】
すなわち、第2実施形態のグランドパターンG0は、凸型GND部G3からグランド主面部G1側に離間した位置で、第6先端部E6bに対向して中間接続部G4から突出した中間凸部G5を有している。
この中間凸部G5により、中間凸部G5と凸型GND部G3との間には凹部が形成され、この凹部と第6基端部E6aとの間、及び中間凸部G5と第6基端部E6aの間にも更なる浮遊容量Ckが発生する。
このように第2実施形態のアンテナ装置21では、中間接続部G4が、第6延在部E6に対向して配され第6延在部E6に向けて凸状に突出した中間凸部G5を有しているので、中間凸部G5と第6延在部E6との間に浮遊容量Ckが発生し、複合的な周波数設計及びインピーダンス調整が可能になる。
【0050】
次に、第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、グランド接続部G2の先端に凸型GND部G3が形成されているのに対し、第3実施形態のアンテナ装置31では、図12の(b)に示すように、グランド接続部G32が、凸型GND部G3よりも先端側に第1延在部E1に対向して配され凸型GND部G3よりも第1延在部E1から離間した先端側凹部G6を有している点である。
【0051】
すなわち、第3実施形態では、先端側凹部G6によりグランド接続部G32の先端部に段差が形成され、給電点FP反対側に凹凸を設けた形になっている。
したがって、浮遊容量Cb側にも浮遊容量Cdとは別に浮遊容量Clを発生させている。
このように第3実施形態のアンテナ装置31では、グランド接続部G32が、凸型GND部G3よりも先端側に第1延在部E1に対向して配され凸型GND部G3よりも第1延在部E1から離間した先端側凹部G6を有しているので、先端側凹部G6と第1延在部E1との間に浮遊容量Clが発生して容量結合すると共に、反対側である第6延在部E6側の第4受動素子P4及び第5受動素子P5によるインピーダンス変化がないため、主に凸型GND部G3と第1延在部E1とで生じる共振周波数に対する周波数設計及びインピーダンス調整に対して自由度のある設計が可能になる。
【0052】
次に、第4実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、第1受動素子P1及び第3受動素子P3をそれぞれ1つ接続しているが、第4実施形態のアンテナ装置41では、図13の(a)に示すように、微調整を踏まえ、第1受動素子P1及び第3受動素子P3をそれぞれ2個直列に接続している点である。
第4実施形態では、第1受動素子P1を2個直列に接続することで、第1エレメント43の第3延在部E3が2つに分割されている。また、第3受動素子P3を2個直列に接続することで、第2エレメント44の第5延在部E5が2つに分割されている。
なお、第1受動素子P1及び第3受動素子P3をそれぞれ2個並列に接続しても構わない。
【0053】
次に、第5実施形態と第4実施形態との異なる点は、第4実施形態では、同じ延在部上に受動素子を2個直列に接続しているが、第5実施形態のアンテナ装置51では、図13の(b)に示すように、第2延在部E2及び第4延在部E4の給電点FP側に受動素子をそれぞれ接続して追加している点である。
すなわち、第2延在部E2が、第8受動素子P8を介して第1延在部E1に接続されていると共に、第4延在部E4が、第9受動素子P9を介して第1延在部E1に接続されている。
【0054】
第4実施形態のように同じ延在部上に受動素子を2個直列に配置した場合、浮遊容量Ccの変化が少ないのに対し、第5実施形態では、第1エレメント3と第2エレメント4との各共振周波数のパターン間における浮遊容量となって浮遊容量Ccが変化する。
このように第5実施形態のアンテナ装置51では、第2延在部E2及び第4延在部E4が、それぞれ受動素子P8,P9を介して第1延在部E1に接続されているので、第2延在部E2と第4延在部E4との間の浮遊容量Ccが、最大利得調整部である第1延在部E1内での調整ではなく、第1エレメント3と第2エレメント4との間の浮遊容量となって変化させることができる。
【0055】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、上記各実施形態では、第1エレメントにアンテナ素子を設けているが、第5延在部や第6先端部にアンテナ素子を設けてエレメントの短縮化を行い、装置全体の小型化を図っても構わない。
【0056】
また、上述したようにアンテナ素子を接続して第1又は第2エレメントの一部とすることが好ましいが、アンテナ素子を接続せずに、銅箔等の金属箔のみで延在したものでも構わない。この際、高インピーダンス化するために、エレメントの少なくとも一部を他の部分よりも幅狭の細いパターンにしたり、ジグザグに折り返しながら全体として一定方向に延在するミアンダパターンとしたりすることが好ましい。
さらに、基板サイズに余裕がある場合には、上記エレメントの一部を線状若しくは板状の金属を折り返した形状のパターンに置き換えても構わない。また、同一の基板本体の表裏面に対してスルーホールを用いて、螺旋状などの形状に旋回させたパターンにしても構わない。
【符号の説明】
【0057】
1,21,31,4,51…アンテナ装置、2…基板本体、2a…基板本体の一方の側辺、2b…基板本体の他方の側辺、3,43…第1エレメント、4,44…第2エレメント、E6a…第6基端部、E6b…第6先端部、AT…アンテナ素子、E1…第1延在部、E2…第2延在部、E3…第3延在部、E4…第4延在部、E5…第5延在部、E7…第7延在部、E8…第8延在部、GND…グランド、G0…グランドパターン、G1…グランド主面部、G2…グランド接続部、G3…凸型GND部、G4…中間接続部、G5…中間凸部、G6…先端側凹部、P1…第1受動素子、P2…第2受動素子、P3…第3受動素子、P4…第4受動素子、P5…第5受動素子、P6…第6受動素子、P7…第7受動素子、FP…給電点
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