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特開2023-48299高精度衛星システムと機械可読高精度三次元地図を用いた自動運転方法、および当該自動運転方法を実施するシステム
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  • 特開-高精度衛星システムと機械可読高精度三次元地図を用いた自動運転方法、および当該自動運転方法を実施するシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048299
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】高精度衛星システムと機械可読高精度三次元地図を用いた自動運転方法、および当該自動運転方法を実施するシステム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230331BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20230331BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230331BHJP
   B60W 40/00 20060101ALI20230331BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20230331BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20230331BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
G05D1/02 P
G05D1/10
B60W60/00
B60W40/00
G01C21/26 A
G01C21/34
G09B29/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157522
(22)【出願日】2021-09-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行日: 令和3年1月6日 刊行物: 福島民友 令和3年1月6日付け朝刊、第1面 公開者: 福島民友新聞社
(71)【出願人】
【識別番号】521423588
【氏名又は名称】芥川 一則
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(72)【発明者】
【氏名】芥川 一則
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
3D241
5H301
【Fターム(参考)】
2C032HB22
2F129AA03
2F129BB02
2F129EE52
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF32
3D241CE04
5H301AA03
5H301AA06
5H301AA10
5H301BB01
5H301BB02
5H301BB03
5H301BB05
5H301BB11
5H301CC03
5H301CC04
5H301CC06
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG17
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、高精度の三次元地図上における移動体のためのルートを作成し、当該ルートを移動体が自動で移動可能とするシステムであって、特に外部に追加的なセンサーを設置する必要のないシステムを提供することにある。
【解決手段】この課題は、三次元地図を作成するステップ、当該三次元地図を用いて移動体が移動する最適ルートを作成するステップを含む移動体自動運転システムであって、作成される最適ルートが、各時点において移動体が存在すべき理想位置から求められるベクトルの集合体であるシステムが以下のステップ、つまり、移動中に移動体の実際位置を確認するステップ、実際位置と、理想位置の誤差を求めるステップ、当該誤差を修正するステップを含み、移動体の実際位置の確認が準天頂衛生システムにより行われることによって解決される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元地図を作成するステップ、当該三次元地図を用いて移動体が移動する最適ルートを作成するステップを含む移動体自動運転システムであって、
作成される最適ルートが、各時点において移動体が存在すべき理想位置Pi(x,y,z)から求められるベクトルの集合体であるシステムが以下のステップ、つまり、
移動中に移動体の実際位置Pa(x,y,z)を確認するステップ、
実際位置Pa(x,y,z)と、理想位置Pi(x,y,z)の誤差を求めるステップ、
当該誤差を修正するステップを含み、
移動体の実際位置Pa(x,y,z)の確認が準天頂衛生システムにより行われることを特徴とする移動体自動運転システム。
【請求項2】
最適ルートの作成が、無人飛行体により行われることを特徴とする請求項1に記載の移動体自動運転システム。
【請求項3】
無人飛行体がドローンであり、このドローンがレーザースキャナーを搭載しており、このレーザースキャナーによって地表面がメッシュ状に走査されることにより三次元地図が作成されることを特徴とする請求項1または2に記載の移動体自動運転システム。
【請求項4】
メッシュ状に走査される地表面の各位置情報(x,y,z)に対して属性情報が付与されることを特徴とする請求項3に記載の移動体自動運転システム。
【請求項5】
各位置情報(x,y,z)に対して付与される属性情報に基づいて、最適ルートが作成されることを特徴とする請求項4に記載の移動体自動運転システム。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高精度衛生システム又は準天頂衛生システムと機械可読高精度三次元地図を用いた自動運転方法、および当該自動運転方法を実施するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
2011年の福島第一原子力発電所の復興が遅延している中、福島県の基幹産業である稲作の耕作放置田が増加している。このような問題を解決するため、耕作機械の自動運転の実用化が不可欠である。特に、耕作機械を格納庫から出発させ、耕作作業を行う場所まで移動、耕作作業を実施させ、格納庫へと帰還させる完全自動運転の実用化が求められている。
【0003】
そこで特許文献1のような自立ナビゲーションシステムの活用が考えられる。特許文献1に記載の自律ナビゲーションシステムは、自律ビークルにより支持される1つまたは複数のセンサを有しており、このセンサから取得されたセンサデータに基づいて、ナビゲーション特徴を検出するなどしてローカルナビゲーションマップを生成し、生成されたナビゲーションマップと、自律ビークルの位置及び方向などに基づいて自律ビークルのアクションを決定し、決定させたアクションに従って自律ビークルを移動させることを可能とする。
【0004】
しかし特許文献1に記載の自律ナビゲーションシステムは、基本的に一以上のセンサを有することを原則としており、そのようなセンサによるナビゲーション特徴の検出なしに自律ビークルを移動させることはできない。
【0005】
また特許文献2に記載されるような移動体、自己位置推定装置も存在する。当該特許文献2に記載の移動体は、環境をスキャンしてスキャンデータを出力する外界センサを有しており、センサデータと、環境地図とのマッチングを行って、移動体の位置及び姿勢を推定する構成となっている。
【0006】
これら特許文献1,2に共通するのは、そこに記載の技術はいずれも、提供されるマップデータだけでなく、補助的な外部センサを用いることによって自律運転を達成していることである。
【0007】
他方、特許文献3に記載の情報処理装置及び飛行体は、取得部101,生成部102などを有しており、取得部101は、飛行体2の位置を示す飛行体位置情報を所定のタイミングで取得し、生成部102は、取得部101により取得された飛行体位置情報に基づいて飛行体2の飛行ルート情報を生成するなどする。その際、飛行体2の飛行経路に関する情報は3次元マップであることが可能である旨が特許文献3には記載されている。
【0008】
しかしながら当該特許文献3に記載の技術においても、3次元マップからルートを作成することによって自動運転を達成することにつき詳細な開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開 2020-135874号公報
【特許文献2】国際公開2019/044499号
【特許文献3】特開 2020-192954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明の課題は、高精度の三次元地図上における移動体のためのルートを作成し、当該ルートを移動体が自動で移動可能とするシステムであって、特に外部に追加的なセンサーを設置する必要のないシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、三次元地図を作成するステップ、当該三次元地図を用いて移動体が移動する最適ルートを作成するステップを含む移動体自動運転システムであって、作成される最適ルートが、各時点において移動体が存在すべき理想位置から求められるベクトルの集合体であるシステムが以下のステップ、つまり、移動中に移動体の実際位置を確認するステップ、実際位置と、理想位置の誤差を求めるステップ、当該誤差を修正するステップを含み、移動体の実際位置の確認が準天頂衛生システムにより行われることによって解決される。
【0012】
好ましくは、最適ルートの作成は無人飛行体により行われる。この無人飛行体は、ドローンであり、このドローンがレーザースキャナーを搭載しており、このレーザースキャナーによって地表面がメッシュ状に走査されることにより三次元地図が作成されると更に好適である。
【0013】
メッシュ状に走査される地表面の各位置情報(x,y,z)に対して属性情報が付与されることも可能である。更に有利には、各位置情報(x,y,z)に対して付与される属性情報に基づいて、最適ルートが作成されるが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明にかかる移動体自動運転システムの全体図
図2】移動体自動運転システムにおける三次元地図の作成の図
図3】移動体自動運転システムにおいて用いられる移動体の例
図4】移動体自動運転システムに用いられるルート作成の図
図5】本発明における位置制御・車両制御の例
図6】本発明にかかる移動体自動運転システムにおいて用いられる移動体の別の例
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面に基づき本発明にかかる自動運転システムの一例を詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明にかかる移動体自動運転システムの全体図を示す。図1に見て取れるように、当該システムには、三次元地図を作成するための無人飛行体、当該無人飛行的を遠隔操作するための飛行体制御部、作成された三次元地図に基づいて、移動体を移動させる最適ルートを作成する最適ルート作成部、当該最適ルートに従い自動運転を行う移動体、移動体への司令の発信及び/又は移動体からの情報の受信を行う移動体制御部、そして移動体、無人飛行体へ位置情報を送信する準天頂衛星みちびきが含まれている。
【0017】
無人飛行体はいわゆるドローンである(図2)。この無人飛行体は、通常の様式に従い、飛行のためのプロペラ、プロペラを駆動するためのモーター、プロペラの駆動を制御するための制御部、プロペラを担持するアーム、ドローンの姿勢、機体の傾き、加速度等を検知するためのセンサー類、モーター・制御部・センサー類等に電力を供給するための電源部(バッテリー)、センサー類と併用され補助的に使用される可視カメラ、気圧センサ、ジャイロセンサなど、そしてこれらの機器が搭載されるフレームを有している。
【0018】
フレームには更に、搭載物を搭載するためのブラケットが設けられている。このブラケットを介して、無人飛行体のフレームにはレーザースキャナーが取り付けられている。
【0019】
レーザースキャナーは、赤外線レーザービームを地表に対して照射可能であるように無人飛行体に設置されている。赤外線レーザービームを10mmの測定精度で照射可能であり、例えば330度の視野角で200ライン/秒の高速スキャンが可能に構成されている。
【0020】
レーザスキャナは、IMU/GNSSユニット、Controlユニットと接続可能に構成されている。光ジャイロスコープとGPS/GLONASS受信機の組み合わせによって、広範囲に渡って高精度の走査を可能するよう構成されている。
【0021】
このようなレーザスキャナを搭載した無人飛行体は、飛行体制御部からの指示により飛行を開始、所定の位置に到達した後、そこから移動しながら地表の走査を実施する。操作中には、IMU/GNSSユニットによりレーザースキャナーの姿勢情報・位置・高さ情報などが取得される。
【0022】
レーザースキャナーには、内部メモリー(例えばSSD)が設けられており、走査されたデータ、マウンティング情報は、この内部メモリーの保存されることが可能である。レーザースキャナーには、LAN―TCP/IPインターフェスなどのインターフェースが設けられていることも可能である。この場合、データはLAN―TCP/IPインターフェス経由でリアルタイムラインスキャンデータとして出力されることが可能である。
【0023】
レーザースキャナからの生データは後処理され、レーザースキャナデータとしてスキャナー座標系(x,y,z)に変換される。このスキャナー座標系(x,y,z)は、マウンティング情報、INS/GNSSデータ・GPSベースステーションデータ等から形成されるトラジェクトリーデータとともに更なる処理、つまり統合及び座標系への変換が実施され高精度機械可読三次元地図が形成される。
【0024】
この三次元地図の座標には位置情報に加えて、属性情報が付加されることが可能である。属性情報は例えば色情報であり、また別の例では用途情報である。この用途情報は、各地点がどのような用途・特性(道路、居住地、農地、森林、河川等)を有する位置であるかを示す情報である。
【0025】
続いて図3を参照しつつ、本発明にかかる移動体自動運転システムにおける移動体の最適ルートの作成について説明する。
【0026】
最適ルートの作成は、最適ルート作成部(図1)により行われる。最適ルート作成部は、いわゆるPC上のアプリケーションとして形成されていることが可能である。最適ルートは、機械可読三次元地図上に作成されることが可能である。
【0027】
機械可読三次元地図上における移動体のための最適ルートは、オペーレーターによる入力にしたがい手動で作成されることが可能であるほか、AI等を用いて自動で行われることも可能である。
【0028】
手動による最適ルートの作成は、ディスプレイ上に表示された三次元地図上に移動体を移動させたいルート(最適ルート)をプロットしていく方法によって行われることが考えられる。
【0029】
Aiによる自動化された最適ルート作成方法は、種々の方法で行われることが可能である。例えば、三次元地図作成の際に各地点に対して付与される、上述した属性情報に基づいて最適ルートを作成することが考えられる。なお、Aiによって作成された当該最適ルートに従い実際に移動体を自動運転させた際のデータを教師データとして最適ルート作成部に含まれるAiの学習に利用されることも可能である。
【0030】
最適ルートは、図3に示されるように各通過点に対するベクトル(移動方向、移動量を表すベクトル)の集合として作成されることが可能である。
【0031】
図4は、本発明にかかる移動体自動運転システムにおいて用いられる移動体の一例を示す。ここでは移動体は例えば車両である。車両は、制御手段、推進手段、進行方向変更手段、通信手段、QZSS信号受信手段を有している。
【0032】
推進手段は、ここでは電気モーター・ハイブリッド機関・内燃機関等の動力発生手段、トランスミッション等の動力伝達手段、そして動力を推進力に変換する手段(ここでは車輪等)からなっている。推進手段の特に動力発生手段は、動力源と接続されており電気・熱などのエネルギーを、移動体(車両)を推進させる運動エネルギーへと変換する。この運動エネルギーは、動力伝達手段により伝達され、最終的に車輪等の手段によって推進力へと変換され、移動体を推進させる。
【0033】
進行方向変更手段は、この例では主として車輪の向きを変更するための操舵部、車輪などからなる。
【0034】
制御手段は、さらに推進手段制御部と進行方向変更手段制御部を有しており、それぞれ推進手段、進行方向変更手段の動作を制御するよう構成されている。
【0035】
通信手段は、無線通信手段である。外部から移動体に対する司令を受信し、移動体の各要素又は移動体に追加的に設けられる可能性のある各センサー類からの情報を送信するのに使用される。
【0036】
続いて図5に基づいて本発明における位置制御・車両制御の例を説明する。
【0037】
最初に位置制御について説明する。上述した通り、移動体はQZSS信号受信手段を有しており、準天頂衛星みちびきからのQZSS信号を周期的に受信可能に構成されている。これにより移動体は自身の現在位置を確認することができる。
【0038】
受信したQZSS信号により取得された現在位置は、最適ルート上の理想位置と比較される。比較の結果、現在位置と理想位置との差が所定の範囲内にあるとき、移動体は最適ルート上を移動中であると判断され、移動は続行される。
【0039】
受信したQZSS信号により取得された現在位置と、最適ルート上の理想位置が比較された結果、その差が所定の範囲外にあるとき、誤差が生じていると判断される。この場合、当該誤差を修正するための処理が決定され、当該後処理に基づいて移動が続行される。
【0040】
誤差を修正するための処理は、例えば、現在地と理想位置の差に基づいて、その時点で移動体がどの方向にどれだけの量、移動すべきかという判断に基づいて実施されることが可能である。
【0041】
現在位置の取得、理想位置との比較は所定の周期で周期的に、移動体が目的位置に到達するまで繰り返される。
【0042】
移動体が最適ルートに従い目的位置まで移動を完了する間の移動体の挙動、理想位置と現在位置の誤差は連続的に記録されることが可能であり、当該記録は、次回以後の最適ルートの作成の際に学習データとして参照されることが可能である。
【0043】
なお上述の例で移動体は車両であったが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。図6に示すように本発明は、飛行体や船舶などのあらゆる移動体、つまり推進手段、進行方向変更手段、制御手段、動力源、通信手段、QZSS信号受信手段を有するあらゆる移動体に適用可能である。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-12-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元地図を作成するステップ、当該三次元地図を用いて移動体が移動する最適ルートを作成するステップを含む移動体自動運転システムであって、
前記最適ルートの作成が、無人飛行体により行われ、
当該無人飛行体がドローンであり、このドローンがレーザースキャナーを搭載しており、このレーザースキャナーによって地表面がメッシュ状に走査されることにより三次元地図が作成され、
作成される最適ルートが、各時点において移動体が存在すべき理想位置Pi(x,y,z)から求められるベクトルの集合体であるシステムが、移動体制御部により行われる以下のステップ、つまり、
移動中に移動体の実際位置Pa(x,y,z)を取得するステップ、
実際位置Pa(x,y,z)と、理想位置Pi(x,y,z)の誤差を求めるステップ、
当該誤差を修正するステップを含み、
移動体の実際位置Pa(x,y,z)の取得が準天頂衛星システムにより行われること
メッシュ状に走査される地表面の各位置情報(x,y,z)に対して属性情報が付与されることを特徴とする移動体自動運転システム。
【請求項2】
各位置情報(x,y,z)に対して付与される属性情報に基づいて、最適ルートが作成されることを特徴とする請求項に記載の移動体自動運転システム。

【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高精度衛星システム又は準天頂衛星システムと機械可読高精度三次元地図を用いた自動運転方法、および当該自動運転方法を実施するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
2011年の福島第一原子力発電所の復興が遅延している中、福島県の基幹産業である稲作の耕作放置田が増加している。このような問題を解決するため、耕作機械の自動運転の実用化が不可欠である。特に、耕作機械を格納庫から出発させ、耕作作業を行う場所まで移動、耕作作業を実施させ、格納庫へと帰還させる完全自動運転の実用化が求められている。
【0003】
そこで特許文献1のような自立ナビゲーションシステムの活用が考えられる。特許文献1に記載の自律ナビゲーションシステムは、自律ビークルにより支持される1つまたは複数のセンサを有しており、このセンサから取得されたセンサデータに基づいて、ナビゲーション特徴を検出するなどしてローカルナビゲーションマップを生成し、生成されたナビゲーションマップと、自律ビークルの位置及び方向などに基づいて自律ビークルのアクションを決定し、決定させたアクションに従って自律ビークルを移動させることを可能とする。
【0004】
しかし特許文献1に記載の自律ナビゲーションシステムは、基本的に一以上のセンサを有することを原則としており、そのようなセンサによるナビゲーション特徴の検出なしに自律ビークルを移動させることはできない。
【0005】
また特許文献2に記載されるような移動体、自己位置推定装置も存在する。当該特許文献2に記載の移動体は、環境をスキャンしてスキャンデータを出力する外界センサを有しており、センサデータと、環境地図とのマッチングを行って、移動体の位置及び姿勢を推定する構成となっている。
【0006】
これら特許文献1,2に共通するのは、そこに記載の技術はいずれも、提供されるマップデータだけでなく、補助的な外部センサを用いることによって自律運転を達成していることである。
【0007】
他方、特許文献3に記載の情報処理装置及び飛行体は、取得部101,生成部102などを有しており、取得部101は、飛行体2の位置を示す飛行体位置情報を所定のタイミングで取得し、生成部102は、取得部101により取得された飛行体位置情報に基づいて飛行体2の飛行ルート情報を生成するなどする。その際、飛行体2の飛行経路に関する情報は3次元マップであることが可能である旨が特許文献3には記載されている。
【0008】
しかしながら当該特許文献3に記載の技術においても、3次元マップからルートを作成することによって自動運転を達成することにつき詳細な開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開 2020-135874号公報
【特許文献2】国際公開2019/044499号
【特許文献3】特開 2020-192954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明の課題は、高精度の三次元地図上における移動体のためのルートを作成し、当該ルートを移動体が自動で移動可能とするシステムであって、特に外部に追加的なセンサーを設置する必要のないシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、三次元地図を作成するステップ、当該三次元地図を用いて移動体が移動する最適ルートを作成するステップを含む移動体自動運転システムであって、作成される最適ルートが、各時点において移動体が存在すべき理想位置から求められるベクトルの集合体であるシステムが以下のステップ、つまり、移動中に移動体の実際位置を取得するステップ、実際位置と、理想位置の誤差を求めるステップ、当該誤差を修正するステップを含み、移動体の実際位置の取得が準天頂衛星システムにより行われることによって解決される。
【0012】
好ましくは、最適ルートの作成は無人飛行体により行われる。この無人飛行体は、ドローンであり、このドローンがレーザースキャナーを搭載しており、このレーザースキャナーによって地表面がメッシュ状に走査されることにより三次元地図が作成されると更に好適である。
【0013】
メッシュ状に走査される地表面の各位置情報(x,y,z)に対して属性情報が付与されることも可能である。更に有利には、各位置情報(x,y,z)に対して付与される属性情報に基づいて、最適ルートが作成されるが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明にかかる移動体自動運転システムの全体図
図2】移動体自動運転システムにおける三次元地図の作成の図
図3】移動体自動運転システムにおいて用いられる移動体の例
図4】移動体自動運転システムに用いられるルート作成の図
図5】本発明における位置制御・車両制御の例
図6】本発明にかかる移動体自動運転システムにおいて用いられる移動体の別の例
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面に基づき本発明にかかる自動運転システムの一例を詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明にかかる移動体自動運転システムの全体図を示す。図1に見て取れるように、当該システムには、三次元地図を作成するための無人飛行体、当該無人飛行的を遠隔操作するための飛行体制御部、作成された三次元地図に基づいて、移動体を移動させる最適ルートを作成する最適ルート作成部、当該最適ルートに従い自動運転を行う移動体、移動体への司令の発信及び/又は移動体からの情報の受信を行う移動体制御部、そして移動体、無人飛行体へ位置情報を送信する準天頂衛星みちびき(登録商標)が含まれている。
【0017】
無人飛行体はいわゆるドローンである(図2)。この無人飛行体は、通常の様式に従い、飛行のためのプロペラ、プロペラを駆動するためのモーター、プロペラの駆動を制御するための制御部、プロペラを担持するアーム、ドローンの姿勢、機体の傾き、加速度等を検知するためのセンサー類、モーター・制御部・センサー類等に電力を供給するための電源部(バッテリー)、センサー類と併用され補助的に使用される可視カメラ、気圧センサ、ジャイロセンサなど、そしてこれらの機器が搭載されるフレームを有している。
【0018】
フレームには更に、搭載物を搭載するためのブラケットが設けられている。このブラケットを介して、無人飛行体のフレームにはレーザースキャナーが取り付けられている。
【0019】
レーザースキャナーは、赤外線レーザービームを地表に対して照射可能であるように無人飛行体に設置されている。赤外線レーザービームを10mmの測定精度で照射可能であり、例えば330度の視野角で200ライン/秒の高速スキャンが可能に構成されている。
【0020】
レーザスキャナは、IMU/GNSSユニット、Controlユニットと接続可能に構成されている。光ジャイロスコープとGPS/GLONASS受信機の組み合わせによって、広範囲に渡って高精度の走査を可能するよう構成されている。
【0021】
このようなレーザスキャナを搭載した無人飛行体は、飛行体制御部からの指示により飛行を開始、所定の位置に到達した後、そこから移動しながら地表の走査を実施する。操作中には、IMU/GNSSユニットによりレーザースキャナーの姿勢情報・位置・高さ情報などが取得される。
【0022】
レーザースキャナーには、内部メモリー(例えばSSD)が設けられており、走査されたデータ、マウンティング情報は、この内部メモリーの保存されることが可能である。レーザースキャナーには、LAN―TCP/IPインターフェスなどのインターフェースが設けられていることも可能である。この場合、データはLAN―TCP/IPインターフェス経由でリアルタイムラインスキャンデータとして出力されることが可能である。
【0023】
レーザースキャナからの生データは後処理され、レーザースキャナデータとしてスキャナー座標系(x,y,z)に変換される。このスキャナー座標系(x,y,z)は、マウンティング情報、INS/GNSSデータ・GPSベースステーションデータ等から形成されるトラジェクトリーデータとともに更なる処理、つまり統合及び座標系への変換が実施され高精度機械可読三次元地図が形成される。
【0024】
この三次元地図の座標には位置情報に加えて、属性情報が付加されることが可能である。属性情報は例えば色情報であり、また別の例では用途情報である。この用途情報は、各地点がどのような用途・特性(道路、居住地、農地、森林、河川等)を有する位置であるかを示す情報である。
【0025】
続いて図3を参照しつつ、本発明にかかる移動体自動運転システムにおける移動体の最適ルートの作成について説明する。
【0026】
最適ルートの作成は、最適ルート作成部(図1)により行われる。最適ルート作成部は、いわゆるPC上のアプリケーションとして形成されていることが可能である。最適ルートは、機械可読三次元地図上に作成されることが可能である。
【0027】
機械可読三次元地図上における移動体のための最適ルートは、オペーレーターによる入力にしたがい手動で作成されることが可能であるほか、AI等を用いて自動で行われることも可能である。
【0028】
手動による最適ルートの作成は、ディスプレイ上に表示された三次元地図上に移動体を移動させたいルート(最適ルート)をプロットしていく方法によって行われることが考えられる。
【0029】
Aiによる自動化された最適ルート作成方法は、種々の方法で行われることが可能である。例えば、三次元地図作成の際に各地点に対して付与される、上述した属性情報に基づいて最適ルートを作成することが考えられる。なお、Aiによって作成された当該最適ルートに従い実際に移動体を自動運転させた際のデータを教師データとして最適ルート作成部に含まれるAiの学習に利用されることも可能である。
【0030】
最適ルートは、図3に示されるように各通過点に対するベクトル(移動方向、移動量を表すベクトル)の集合として作成されることが可能である。
【0031】
図4は、本発明にかかる移動体自動運転システムにおいて用いられる移動体の一例を示す。ここでは移動体は例えば車両である。車両は、制御手段、推進手段、進行方向変更手段、通信手段、QZSS(登録商標)信号受信手段を有している。
【0032】
推進手段は、ここでは電気モーター・ハイブリッド機関・内燃機関等の動力発生手段、トランスミッション等の動力伝達手段、そして動力を推進力に変換する手段(ここでは車輪等)からなっている。推進手段の特に動力発生手段は、動力源と接続されており電気・熱などのエネルギーを、移動体(車両)を推進させる運動エネルギーへと変換する。この運動エネルギーは、動力伝達手段により伝達され、最終的に車輪等の手段によって推進力へと変換され、移動体を推進させる。
【0033】
進行方向変更手段は、この例では主として車輪の向きを変更するための操舵部、車輪などからなる。
【0034】
制御手段は、さらに推進手段制御部と進行方向変更手段制御部を有しており、それぞれ推進手段、進行方向変更手段の動作を制御するよう構成されている。
【0035】
通信手段は、無線通信手段である。外部から移動体に対する司令を受信し、移動体の各要素又は移動体に追加的に設けられる可能性のある各センサー類からの情報を送信するのに使用される。
【0036】
続いて図5に基づいて本発明における位置制御・車両制御の例を説明する。
【0037】
最初に位置制御について説明する。上述した通り、移動体はQZSS(登録商標)信号受信手段を有しており、準天頂衛星みちびき(登録商標)からのQZSS(登録商標)信号を周期的に受信可能に構成されている。これにより移動体は自身の現在位置を取得することができる。
【0038】
受信したQZSS(登録商標)信号により取得された現在位置は、最適ルート上の理想位置と比較される。比較の結果、現在位置と理想位置との差が所定の範囲内にあるとき、移動体は最適ルート上を移動中であると判断され、移動は続行される。
【0039】
受信したQZSS(登録商標)信号により取得された現在位置と、最適ルート上の理想位置が比較された結果、その差が所定の範囲外にあるとき、誤差が生じていると判断される。この場合、当該誤差を修正するための処理が決定され、当該後処理に基づいて移動が続行される。
【0040】
誤差を修正するための処理は、例えば、現在地と理想位置の差に基づいて、その時点で移動体がどの方向にどれだけの量、移動すべきかという判断に基づいて実施されることが可能である。
【0041】
現在位置の取得、理想位置との比較は所定の周期で周期的に、移動体が目的位置に到達するまで繰り返される。
【0042】
移動体が最適ルートに従い目的位置まで移動を完了する間の移動体の挙動、理想位置と現在位置の誤差は連続的に記録されることが可能であり、当該記録は、次回以後の最適ルートの作成の際に学習データとして参照されることが可能である。
【0043】
なお上述の例で移動体は車両であったが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。図6に示すように本発明は、飛行体や船舶などのあらゆる移動体、つまり推進手段、進行方向変更手段、制御手段、動力源、通信手段、QZSS(登録商標)信号受信手段を有するあらゆる移動体に適用可能である。

【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4