(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004830
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】三次元距離測定システムで使用するドットパターンプロジェクタ
(51)【国際特許分類】
G01S 7/484 20060101AFI20230110BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20230110BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20230110BHJP
G01B 11/02 20060101ALI20230110BHJP
G01S 17/894 20200101ALI20230110BHJP
【FI】
G01S7/484
G02B3/00 A
G01C3/06 120Q
G01B11/02 H
G01S17/894
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206636
(22)【出願日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】17/358,011
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502429109
【氏名又は名称】奇景光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】蕭 名淑
【テーマコード(参考)】
2F065
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065FF04
2F065GG06
2F065GG15
2F065HH03
2F065HH06
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL10
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2F065QQ31
2F112AD01
2F112BA03
2F112BA07
2F112CA12
2F112DA02
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2F112DA11
2F112DA25
2F112DA28
2F112EA05
2F112GA01
5J084AA04
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA07
5J084BA12
5J084BA13
5J084BA36
5J084BA40
5J084BB10
5J084BB40
5J084CA03
5J084EA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】照明パターンを高出力にし、投影の距離を長くするようにしたドットパターンプロジェクタ及び光学距離測定システムを提供する。
【解決手段】ドットパターンプロジェクタは、光源アレイ120と、レンズ140と、回折ユニット160とを含む。光源アレイは、光ビームを発生する複数の光源120_1-120_Nを含む。レンズは、光ビームをコリメートするように構成されている。回折ユニットは、コリメートされた光ビームを回折し、これによって照明パターンを投影するように構成されている。照明パターンは、異なる光源により投影される複数のドットパターンA,Bを重ね合わせるか、又は異なる光源により投影される複数のドットパターンをインターレースすることによって形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを発生する複数の光源を含む光源アレイと、
前記光ビームをコリメートするように構成されているレンズと、
コリメートされた前記光ビームを回折し、これによって照明パターンを投影するように構成されている回折ユニットとを備え、
前記照明パターンは、異なる光源により投影される複数のドットパターンを重ね合わせるか、又は前記光源により投影される複数のドットパターンをインターレースすることによって形成される、ドットパターンプロジェクタ。
【請求項2】
前記光源のそれぞれは、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)である、請求項1記載のドットパターンプロジェクタ。
【請求項3】
2つの隣接する光源の間の光源ピッチは、規則的である、請求項1記載のドットパターンプロジェクタ。
【請求項4】
前記光源は前記光源アレイ内で、規則的に分布し、又は六角形状配置で分布している、請求項1記載のドットパターンプロジェクタ。
【請求項5】
前記回折ユニットは、マイクロレンズアレイ(MLA)又は回折光学素子(DOE)である、請求項1記載のドットパターンプロジェクタ。
【請求項6】
前記光源アレイと前記レンズの光学中心との間の距離は、前記レンズの有効焦点距離と同一である、請求項1記載のドットパターンプロジェクタ。
【請求項7】
前記光源によって発生された前記光ビームの波長がλであり、光源により投影された前記ドットパターンの、ゼロ次回折のドットとm次回折のドットとの間のファンアウト角がθmであり、前記回折ユニットのセルピッチ又はレンズピッチがD_Mである場合に、前述のパラメータは以下の関係:
D_M×sinθm=mλ
を満たす、請求項1記載のドットパターンプロジェクタ。
【請求項8】
2つの隣接する光源の間の光源ピッチがD_Lであり、前記レンズの有効焦点距離がD_EFLであり、前記レンズの光軸と、前記光軸に配置されていない光源のコリメートされた光ビームとの間の偏差角がαである場合に、前述のパラメータは以下の関係:
【数5】
を満たす、請求項1記載のドットパターンプロジェクタ。
【請求項9】
前記照明パターンが、異なる光源により投影される前記ドットパターンを重ね合わせることによって形成される場合であり、前記レンズの光軸と、前記光軸に位置決めされていない光源のコリメートされた光ビームとの間の偏差角が、αであり、光源により投影された前記ドットパターンでのゼロ次回折のドットと1次回折のドットとの間のファンアウト角が、θ1である場合に、前述のパラメータは以下の関係:
sinα=sinθ1
を満たす、請求項1記載のドットパターンプロジェクタ。
【請求項10】
前記照明パターンが、異なる光源により投影される前記ドットパターンをインターレースすることによって形成される場合であり、前記レンズの光軸と、前記光軸に位置決めされていない光源のコリメートされた光ビームとの間の偏差角が、αであり、光源により投影された前記ドットパターンでのゼロ次回折のドットと1次回折のドットとの間のファンアウト角が、θ1である場合に、前述のパラメータは以下の関係:
N×sinα=sinθ1
を満たす、請求項1記載のドットパターンプロジェクタ。
【請求項11】
少なくとも1つの光源とディフューザとを含み、第1照明パターンを投影するように構成されている投光照明器と、
第2照明パターンを投影するように構成されているドットパターンプロジェクタであり、以下のもの、即ち、
光ビームを発生する複数の光源を含む光源アレイと、
前記光ビームをコリメートするように構成されているレンズと、
コリメートされた前記光ビームを回折し、これによって照明パターンを投影するように構成されている回折ユニットであり、前記照明パターンは、異なる光源により投影される複数のドットパターンを重ね合わせるか、又は異なる光源により投影される複数のドットパターンをインターレースすることによって、形成される、回折ユニットとを含むドットパターンプロジェクタと、
物体から反射された照明パターンの画像を撮影するように構成されている画像撮影デバイスとを備えている、光学距離測定システム。
【請求項12】
前記ディフューザと前記回折ユニットとの両方が、マイクロレンズアレイを備えている、請求項11記載の光学距離測定システム。
【請求項13】
前記ディフューザと前記回折ユニットとの両方が、回折光学素子を備えている、請求項11記載の光学距離測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元光学距離測定に関し、より詳しくは、三次元光学距離測定システムに使用されるドットパターンプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、飛行時間(ToF)技術に基づく三次元光学距離測定は、物体又は形状の距離測定を提供するために、撮像センサと組み合わせる投光照明器に依存する。しかしながら、投光照明器の投光距離は、その弱い光エネルギーのためにかなり短い。
【0003】
これを考慮すると、高出力の照明パターンと、投影のためのかなりの距離とを提供することができるパターンプロジェクタを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
このことを念頭に置くと、本発明の1つの目的は、三次元光学距離測定システムに使用される規則的なドットパターンプロジェクタを提供することである。本発明の実施形態は、規則的に分布したドットを有する照明パターンを生成するために、レンズ及び回折ユニットとともに光源アレイに依存してよい。本発明の実施形態は、光源アレイの異なる光源によって生成されたドットパターンを重ね合わせ又はインターレースして、これにより照明パターンを形成することを可能にする。さまざまな実施形態によれば、回折ユニットは、マイクロレンズアレイ(MLA)又は回折光学素子(DOE)を使用して実施されてよい。本発明の実施形態の異なるタイプのインターフェースにより提供される柔軟性のために、ドットパターンプロジェクタのコンポーネントのパラメータは、調節のための広い範囲を有することとなる。これは、ドットパターンプロジェクタの構築と製作との柔軟性を著しく向上させる。
【0005】
一実施形態によれば、ドットパターンプロジェクタが提供される。ドットパターンプロジェクタは、光源アレイと、レンズと、回折ユニットとを備えている。光ビームを発生する複数の光源を含む光源アレイと;光ビームをコリメートするように構成されているレンズと;コリメートされた光ビームを回折し、これによって照明パターンを投影するように構成されている回折ユニットとを備え;照明パターンは、異なる光源により投影される複数のドットパターンを重ね合わせるか、又は異なる光源により投影される複数のドットパターンをインターレースすることによって形成される。
【0006】
一実施形態によれば、光学距離測定システムが提供される。光学距離測定システムは、投光照明器と、ドットパターンプロジェクタと、画像撮影デバイスとを備えている。少なくとも1つの光源とディフューザとを含み、第1照明パターンを投影するように構成されている投光照明器と;第2照明パターンを投影するように構成されているドットパターンプロジェクタであり、以下のもの、即ち:光ビームを発生する複数の光源を含む光源アレイと;光ビームをコリメートするように構成されているレンズと;コリメートされた光ビームを回折し、これによって照明パターンを投影するように構成されている回折ユニットであり、照明パターンは、異なる光源により投影される複数のドットパターンを重ね合わせるか、又は異なる光源により投影される複数のドットパターンをインターレースすることによって、形成される、回折ユニットとを含むドットパターンプロジェクタと;物体から反射された照明パターンの画像を撮影するように構成されている画像撮影デバイスとを備えている。
【0007】
本発明のこれら及び他の目的は、種々の図及び図面に示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係り、光学距離測定システムの概略図を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係り、ドットパターンプロジェクタ及び投光照明器の実施を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係り、ドットパターンプロジェクタの詳細な概略図を示す。
【
図4A】本発明の一実施形態に係り、ドットパターンを重ね合わせることによって、照明パターンがどのように形成されるかを示す。
【
図4B】本発明の一実施形態に係り、ドットパターンを重ね合わせることによって、照明パターンがどのように形成されるかを示す。
【
図4C】本発明の一実施形態に係り、ドットパターンを重ね合わせることによって、照明パターンがどのように形成されるかを示す。
【
図4D】本発明の一実施形態に係り、ドットパターンを重ね合わせることによって、照明パターンがどのように形成されるかを示す。
【
図4E】本発明の一実施形態に係り、ドットパターンを重ね合わせることによって、照明パターンがどのように形成されるかを示す。
【
図5A】本発明の一実施形態に係り、ドットパターンをインターレースすることによって、照明パターンがどのように形成されるかを示す。
【
図5B】本発明の一実施形態に係り、ドットパターンをインターレースすることによって、照明パターンがどのように形成されるかを示す。
【
図5C】本発明の一実施形態に係り、ドットパターンをインターレースすることによって、照明パターンがどのように形成されるかを示す。
【
図5D】本発明の一実施形態に係り、ドットパターンをインターレースすることによって、照明パターンがどのように形成されるかを示す。
【
図5E】本発明の一実施形態に係り、ドットパターンをインターレースすることによって、照明パターンがどのように形成されるかを示す。
【
図6A】本発明の異なる実施形態に係り、光源アレイの配置が、照明パターンのドット分布にどのように影響するかを示す図である。
【
図6B】本発明の異なる実施形態に係り、光源アレイの配置が、照明パターンのドット分布にどのように影響するかを示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係り、光源アレイ及びマイクロレンズアレイの配置とインターレース型とが、照明パターンのドット分布にどのように影響するかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、本実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細を述べる。しかしながら、当業者には、本実施形態を実現するために特定の詳細を使用する必要はないことが明らかとなる。他の例では、周知の材料又は方法は、本実施形態を不明瞭にすることを避けるために、詳細には説明されない。
【0010】
本明細書を通して「一実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、実施形態又は例に関連して記載された特定の特徴、構造又は特性が、本実施形態の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。本明細書を通してさまざまな箇所での「一実施形態で」又は「ある実施形態で」という語句の出現は、必ずしも同一実施形態を参照するものではない。さらに、特定の特徴、構造又は特徴は、1つ以上の実施形態では、任意の適切な組み合わせ及び/又はサブ組み合わせで組み合わせてよい。
【0011】
本発明の一実施形態による光学距離測定システム10の概略図を示す
図1を参照するものとする。図示のように、光学距離測定システム10は、ドットパターンプロジェクタ100と、投光照明器(flood illuminator)200と、画像撮影デバイス300とを備えている。ドットパターンプロジェクタ100と投光照明器200との両方は、画像撮影デバイス300の視野内の物体に高出力照明パターンを投影するように構成されている。本発明のさまざまな実施形態によれば、ドットパターンプロジェクタ100と投光照明器200とは、異なる型の照明パターンを連続的に又は同時に投影してよい。
図2は、ドットパターンプロジェクタ100と投光照明器200との可能な配置を示す。図示のように、ドットパターンプロジェクタ100(光源120と、コリメートされたレンズ(コリメータレンズ)140と、回折ユニット160とを含み、ドット照明パターンを投影する)と、投光照明器200(光源220と、回折ユニット260とを含み、投光照明パターンを投影する(その光で照明する))とは、同じ基板を共有する。ドットパターンプロジェクタ100と投光照明器200とは、別個の回折ユニット160及び260を使用してよく、それらの両方は、共有基板10(光学距離測定システム10中の共有基板)上に配置されている。ドットパターンプロジェクタ100の回折ユニット160は、マイクロレンズアレイ又は光回折ユニット(DOE)であってよく、投光照明器200の回折ユニット260(マイクロレンズアレイ又は光回折ユニット(DOE)であってよい)が配置された共有基板10上に配置されている。同じ基板を共有し、互いに隣接して2つの回折ユニットを配置することの利点は、製造プロセスの複雑さを低減することである。この点に関して、ドットパターンプロジェクタ100と投光照明器200とのエッチング又はモールド反転を一緒に行うことができ、これによりコストが低くなり、また、組み立て時間も短縮される。
【0012】
画像撮影デバイス300は、(限定はされないが)フォーカシングレンズと、フィルタと、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサ又は電荷結合素子(CCD)センサ(図示せず)などのイメージセンサとを含んでよい。画像撮影デバイス300は、物体から反射された照明パターンの画像を撮影する(capture,捕捉する)ように構成されている。イメージセンサ300によって撮影された画像によれば、物体に関する深度情報が測定できる。
【0013】
図3は、本発明の一実施形態によるドットパターンプロジェクタ100の概略図を示す。図示のように、ドットパターンプロジェクタ100は、光源アレイ120と、レンズ140と、回折ユニット160とを含む。光源アレイ120は、光ビームを発生するように配置され、アレイ形態に配置された複数の光源120_1ないし120_Nを含む。さまざまな実施形態によれば、光源120_1ないし120_Nは、
図5Aに示すように、規則的な分布(regularly distributed,通常の方式の分布)又は六角形状配置の分布であってよい。なお、図面中の光源120_1ないし120_Nの数は、例示のみを目的とすることに留意するものとする。好ましくは、光源120_1ないし120_Nは、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)であってよく、ピッチD_Lによって等しく分離されている。
【0014】
レンズ140は、光源アレイ120によって発生される光ビームをコリメートするように配置されている。好ましくは、光源アレイ120とレンズ140の光学中心との間の距離は、レンズ140の有効焦点距離D_EFLと同一である。従って、レンズ140では、光ビームは、一層集光され、それによって、ドットパターンプロジェクタ100により投影された照明パターンのドットが、一層小さなサイズ及び一層高いコントラストを有することを可能にする。回折ユニット160は、光ビームを回折するように構成され、それによって、
図2に示すように、規則的に分布したドットを有する照明パターンを投影する。さまざまな実施形態によれば、回折ユニット160は、回折光学素子(DOE)又はマイクロレンズアレイ(MLA)であってよい。
【0015】
投光照明器200はさらに、光源とディフューザとを備えてよく、DOE又はMLAをディフューザとして使用してよい。一実施形態では、DOEがドットパターンプロジェクタ100内の回折ユニット160として使用される場合に、1つのDOEがさらに、投光照明器200内のディフューザとして使用される。他方、MLAがドットパターンプロジェクタ100で回折ユニット160として使用される場合に、1つのMLAがさらに、投光照明器200でディフューザとして使用される。MLAが回折ユニット160として使用される場合に、平凸形状を有し、MLA160の2つの隣接するユニットレンズ間のレンズピッチがD_Mである複数のマイクロレンズを、MLA160は備えている。DOEが回折ユニット160として使用される場合に、DOE160の隣接するユニットセル間のセルピッチはD_Eである。好ましい実施形態では、MLA160のレンズピッチD_M、又はDOE160のセルピッチD_Eは、10μmよりも大きくてよく、製造は比較的容易である。
【0016】
光源120_1ないし120_Nにより投影されるドットの分布は、種々のパラメータに従って決定されてよい。一実施形態では、単一の光源により投影されたドットパターンの、ゼロ次回折のドットとm次回折のドットとの間のファンアウト角がθ
mであり、光源によって発生された光ビームの波長がλであるとした場合に、MLA160のレンズピッチはD_Mであり、これらのパラメータ間には以下の関係が存在する。
D_M×sinθ
m=mλ
ここでmは回折次数である。これを考慮すると、ゼロ次回折のドットとドットパターンの1次回折のドットとの間のファンアウト角θ
1は、以下のようになる。
【数1】
【0017】
また、
図3に示すように、レンズ140の光軸に配置されていない光源120_2により投影されたドットパターン(パターンB)は、レンズ140の光軸に配置された光源120_1により投影されたドットパターン(パターンA)と比較して、垂直方向にシフトする。さまざまな実施形態によれば、ドットパターンプロジェクタ100により投影される照明パターンは、異なる光源により投影される重なり合ったドットパターン又はインターレースしたドットパターンによって形成される。
【0018】
本発明の一実施形態に係り、異なる光源の異なるドットパターンを重ね合わせることによって、照明パターンがどのように形成されるかを理解するために、
図4Aないし4Eを参照するものとする。このような実施形態では、光源アレイ120は、光源120_1ないし120_4を含む2×2アレイである。
図4B及び
図4Cは、レンズ140の光軸に配置された光源120_1ないし120_2によって生成されたドットパターンを示し、一方、
図4D及び
図4Eは、レンズ140の光軸に配置されていない光源120_3ないし120_4によって生成されたドットパターンを示す。光源120_3ないし120_4のコリメートされた光ビームは、偏差角αだけレンズの光軸から偏差し、ここで、偏差角αは、以下によって決定できる。
【数2】
(D_Lは隣接する光源の間のピッチであり、D_EFLはレンズ140の有効焦点距離である。)従って、光源120_3ないし120_4により投影されたドットパターンは、光源120_1ないし120_2により投影されたドットパターンと比較して垂直方向にシフトされる。
【0019】
ドットパターンを正確に重ね合わせるためには、次のことが必要である。
sinα=sinθ1
【0020】
即ち、光源のコリメートされた光ビームが光軸から偏差する偏差角αは、ゼロ次回折のドットと1次回折のドットとの間のファンアウト角θ1と同一である必要がある。光源ピッチD_L、有効焦点距離D_EFL、及びレンズピッチD_M(回折ユニット160がMLAの場合)又はセルピッチD_E(回折ユニット160がDOEの場合)がsinα=sinθを満たすように良好に制御されている場合に、ドットパターンは、垂直方向又は水平方向に正確に1ドットピッチD_P(即ち、ドットパターン中で隣接するドット間の距離)だけシフトされ、重ね合わせ型の照明パターンを形成する。
【0021】
本発明の一実施形態に係り、異なる光源の異なるドットパターンをインターレースすることによって、照明パターンがどのように形成されるかを理解するために、
図5Aないし5Eを参照するものとする。このような実施形態では、光源アレイ120は、光源120_1ないし120_4を含む2×2アレイである。
図5B及び
図5Cは、レンズ140の光軸に配置された光源120_1ないし120_2によって生成されたドットパターンを示し、一方、
図5D及び
図5Eは、レンズ140の光軸に配置されていない光源120_3ないし120_4によって生成されたドットパターンを示す。光源120_3ないし120_4のコリメートされた光ビームは、偏差角αだけレンズの光軸から偏差し、ここで、さらに偏差角αは以下によって決定される。
【数3】
【0022】
ドットパターンをインターレースするためには、次のことが必要である。
N×sinα=sinθ
【0023】
ドットパターンがどのようにインターレースされるかは、インターレースファクタNによって決まる。Nが1の場合に、光軸に位置しない光源から投影されるドットパターンは、垂直方向又は水平方向に1ドットピッチD_Pだけ相互にずれ、
図4Aに示すような重ね合わせ型の照明パターンを形成する。Nが2の場合に、光軸に位置しない光源から投影されるドットパターンは、垂直方向又は水平方向に1/2ドットピッチD_Pだけ相互にずれ、
図5Aに示すようなインターレース型の照明パターンを形成する。Nが3の場合に、光軸に位置しない光源から投影されるドットパターンは、垂直方向又は水平方向に1/3ドットピッチD_Pだけ相互にずれ、やはりインターレース型の照明パターンを形成する。
【0024】
上記の観点から、回折ユニット160のレンズピッチD_M(回折ユニット160がMLAである場合)又は回折ユニット160のセルピッチD_E(回折ユニット160がDOEである場合)は、ファンアウト角度θを決定することができ、これは、単一の光源により投影されるドットパターンのドット分布(例えば、ドット密度)に影響を及ぼす。さらに、光源ピッチD_Lとレンズ140の有効焦点距離D_EFLとが、ファンアウト角度θを決定することができ、これは、ドットパターンが互いにどのようにシフトされるかに影響する。
【0025】
有効焦点距離D_EFLが2mmであり、光源ピッチが30μmであるとした場合に、回折ユニット160のレンズピッチD_M(回折ユニット160がMLAの場合)又は回折ユニット160のセルピッチD_Eは、以下によって決定できる。
【数4】
【0026】
従って、回折ユニット160のレンズピッチD_M又はセルピッチD_Eは、N=1(即ち、重ね合わせ型)の場合は約62.7μmであり、又はN=2(即ち、インターレース型)の場合は約31.3μmである。さらに、関心領域(FOI):60°(H)×40°(V)をカバーする照明パターンを実施するために、照明パターンの寸法は、以下によって決定できる。
D_M×sin(θmH)=mH×λ かつ
D_M×sin(θmV)=mV×λ
ここで、θmH=(60/2)であり、θmV=(40/2)である。従って、重複型(N=1)では、水平方向の回折次数mHは±33、垂直方向の回折次数mVは±22である。インターレース型(N=2)では、水平方向の回折次数mHは±16、垂直方向の回折次数mVは±11である。従って、照明パターン内のドットの合計数は、以下によって決定できる。
N2×(2|mH|+1)×(2|mV|+1)
【0027】
N=1、mH=±33、mV=±22の場合に、ドットの合計数は約3015となる。一方、N=2、mH=±16、mV=±11の場合に、ドットの合計数は約3036となる。これを考慮すると、所与のFOI内のドット数を同数にするために、インターレースファクタ「N」と併せてレンズピッチD_M(又はセルピッチD_M)を変更することが可能である。これにより、回折ユニット160の構築と製作との柔軟性が大幅に向上される。
【0028】
図6A及び
図6Bは、異なる光源アレイ120と、それらの対応する照明パターンとの配置を示す。図示のように、照明パターンでのドットの分布は、光源アレイ120内の光源の分布を継承する。
図7は、異なる光源配置と、MLAのユニットレンズ配置と、異なるインターレース型との組み合わせに関する照明パターンを示す。
【0029】
結論として、本発明の実施形態は、三次元光学距離測定システムに使用するドットパターンプロジェクタを提供する。本発明のドットパターンプロジェクタは、光学距離測定システムでの投光照明器とともに使用でき、それによって、高出力の照明パターンと、かなり長い投光距離とを提供することができる。投光照明器のディフューザとドットパターンプロジェクタの回折ユニットとの両方は、同じタイプの光学素子(例えば、両方ともMLA又はDOEである)で実施でき、それによって、光学距離測定システムの作製を単純化する。さらに、本発明の実施形態は、光源アレイの異なる光源によって生成されたドットパターンを重ね合わせ又はインターレースすることを可能にし、その結果、ドットパターンプロジェクタのコンポーネントのパラメータは、調節のための広い範囲を有することができる。これは、ドットパターンプロジェクタの構築と製作との柔軟性を著しく向上させる。
【0030】
当業者は、本発明の教示を保持しつつ、デバイス及び方法の多くの修正及び変更を行ってよいことを容易に理解することである。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈されるものとする。