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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048302
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】ターゲット支持具
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/06 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
G01C15/06 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157528
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213702
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 芳則
(72)【発明者】
【氏名】西田 信幸
(72)【発明者】
【氏名】桐生 徳康
(57)【要約】
【課題】利便性の高いターゲット支持具を提供する。
【解決手段】ターゲット支持具1は、第一腕部21Aと第二腕部21Bとが直接的又は間接的に連結されて再帰反射部を配置可能な屈曲部22を形成可能なベース部材2と、第一腕部21A及び第二腕部21Bに設けられた磁着支持部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一腕部と第二腕部とが直接的又は間接的に連結されて再帰反射部を配置可能な屈曲部を形成可能なベース部材と、
前記第一腕部及び前記第二腕部に設けられた磁着支持部と、
を備えたターゲット支持具。
【請求項2】
前記屈曲部において前記第一腕部と前記第二腕部とは直角をなすことが可能に連結されている請求項1に記載のターゲット支持具。
【請求項3】
前記磁着支持部は、前記第一腕部及び前記第二腕部の少なくとも屈曲内角側の表面に設けられている請求項1又は2に記載のターゲット支持具。
【請求項4】
少なくとも前記第一腕部において、
一方面に前記磁着支持部が設けられたマグネット支持部と、
前記マグネット支持部の形状に倣って形成された孔部と、
前記マグネット支持部の前記一方面が前記孔部から露出するように前記マグネット支持部を回動可能に支持する回動支持部と、
を有する請求項1から3のいずれか一項に記載のターゲット支持具。
【請求項5】
前記マグネット支持部は、前記回動支持部の回動軸の径方向側の縁部に、前記孔部への係脱をガイドするテーパ部を有する請求項4に記載のターゲット支持具。
【請求項6】
さらに、少なくとも前記第一腕部に、前記磁着支持部を前記孔部から離間する方向に移動させる解除部を備える請求項4又は請求項5に記載のターゲット支持具。
【請求項7】
前記解除部は、前記マグネット支持部に対して回動可能に支持される支点部と、支点部に対して一方側に形成された力点部と、支点部に対して他の一方側に形成されて前記孔部の開口縁を押圧可能な作用点部とを有する請求項6に記載のターゲット支持具。
【請求項8】
前記第一腕部の前記マグネット支持部と、前記第二腕部の前記マグネット支持部とを接続する紐状リンク部材を有し、
前記第一腕部又は前記第二腕部における一方の前記マグネット支持部を閉方向又は開方向に動作させると、前記紐状リンク部材により他の一方の前記マグネット支持部を閉方向又は開方向に動作させて、前記第一腕部に設けられた前記磁着支持部と、前記第二腕部に設けられた前記磁着支持部との着脱動作が連動するように構成されている請求項4から7のいずれか一項に記載のターゲット支持具。
【請求項9】
前記第一腕部側及び前記第二腕部側に対してそれぞれ回動可能に接続されるリンク部材と、
各前記リンク部材の一端側を押圧操作又は引張操作可能な操作部と、
を有し、
前記操作部により前記リンク部材を押圧操作又は引張操作すると、前記リンク部材の他の一端側が前記マグネット支持部を開方向又は閉方向に移動させて、前記第一腕部に設けられた前記磁着支持部と、前記第二腕部に設けられた前記磁着支持部との着脱動作が連動するように構成されている請求項4から7のいずれか一項に記載のターゲット支持具。
【請求項10】
前記ベース部材は、前記再帰反射部を有する第一ベース体を装着可能な、前記磁着支持部を有する第二ベース体からなる請求項1から9のいずれか一項に記載のターゲット支持具。
【請求項11】
前記ベース部材は、前記ベース部材の被着体との着脱に応じて状態変化して、視覚及び触覚の一方又は両方により前記ベース部材の着脱状態を確認可能な確認機構を有する請求項1から10のいずれか一項に記載のターゲット支持具。
【請求項12】
前記ベース部材は、前記第一腕部である第一腕部材と、前記第二腕部である第二腕部材とを含み、
前記第一腕部材及び前記第二腕部材は、第一平坦面と、前記第一平坦面とは反対側に設けられた第二平坦面と、有する板状に形成される、
請求項1から3のいずれか一項に記載のターゲット支持具。
【請求項13】
前記磁着支持部は、電磁石であり、
前記第一腕部に設けられた前記磁着支持部と、前記第二腕部に設けられた前記磁着支持部とは、一方の着脱動作と他の一方の着脱動作とが連動するように電気的に制御可能に構成されている請求項1から12のいずれか一項に記載のターゲット支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ターゲット支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の建設現場では、鉄骨柱等の柱部材を概ね組み上げた後(建込み後)、当該柱部材が水平面に対し垂直となるように調整する建入れ直し作業を行っている。柱部材の位置を測定する技術として、例えば、特許文献1に、測量装置によって柱に装着された再帰反射部材を実測するシステムが開示されている。柱の傾斜量は、測量装置が測定した再帰反射部材の位置に基づいて求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-39247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
再帰反射部材の装着対象である柱等の被着体は様々な形状等が想定される。しかし、被着体の形状や設置場所に応じて再帰反射部材の装着に異なる支持具を用いると、管理や設置作業が煩雑となる場合がある。
【0005】
本開示は、以上の点に鑑み、利便性の高いターゲット支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本開示に係るターゲット支持具は、第一腕部と第二腕部とが直接的又は間接的に連結されて再帰反射部を配置可能な屈曲部を形成可能なベース部材と、前記第一腕部及び前記第二腕部に設けられた磁着支持部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、利便性の高いターゲット支持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態1に係るターゲット支持具の使用例を示す図である。
図2】実施形態1に係るターゲット支持具の前方下側から見た斜視図である。
図3】実施形態1に係るターゲット支持具の後方上側から見た斜視図である。
図4】実施形態1に係るターゲット支持具の上方から見た平面図である。
図5】実施形態1に係るマグネット支持部及び解除部の斜視図である。
図6図1の被着体に取り付けたターゲット支持具をQ方向から見た拡大模式図である。
図7】実施形態1に係る着脱部の動作例を示す側面図である。
図8】実施形態1に係る着脱部の動作例を示す側面図である。
図9】実施形態1に係るターゲット支持具を被着体に複数取り付けた例を示す図である。
図10】本開示の実施形態2に係るターゲット支持具の前方下側から見た斜視図である。
図11】実施形態2のターゲット支持具の後方上側から見た斜視図である。
図12】実施形態2の着脱部の動作例を示すXII-XII断面図である。
図13】変形例1に係る確認機構の模式図である。
図14】変形例2に係るターゲット支持具の他の使用例を示す図である。
図15】変形例2に係るターゲット支持具の他の使用例を示す図である。
図16】変形例2に係るターゲット支持具の他の使用例を示す図である。
図17】変形例3に係るターゲット支持具の他の使用例を示す図である。
図18】実施形態3に係るターゲット支持具の使用例及び構成を模式的に示した図である。
図19】実施形態4に係るターゲット支持具の構成を模式的に示した図である。
図20】実施形態5に係るターゲット支持具の構成を模式的に示した図である。
図21】実施形態6に係るターゲット支持具の使用例を示す図である。
図22】実施形態6に係るターゲット支持具の腕部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
以下、本開示の実施形態1を図面に基づき説明する。図1に示すターゲット支持具1は、構造物を含む空間形状の測定(又は測量)に利用可能な被測定物(ターゲット)である再帰反射部31を支持可能な支持具である。ターゲット支持具1は、例えば、建入れの柱状体(例えば、鉄骨)や屋内空間における内壁の角部(例えば出隅部や入隅部)等の被着体101に装着させて、トータルステーション等の測量装置102により測定することで、構造物の位置(空間座標)の取得に用いることができる。
【0010】
図2及び図3に示すターゲット支持具1は、第一腕部21A(21)と第二腕部21B(21)とが連結されて屈曲部22を形成するベース部材2と、ベース部材2の屈曲部22の凸側に設けられた再帰反射部材3と、を備える。第一腕部21Aと第二腕部21Bとは、屈曲部22において直角をなすことが可能に連結されており、ベース部材2は平面視(図4参照)において全体として略L字状に形成される。なお、実施形態1のターゲット支持具1及び後述する他の例におけるターゲット支持具1a~1cでは、第一腕部21A及び第二腕部21B(第一腕部41A,51A及び第二腕部41B、51Bも同様)とは直角をなした状態(換言すれば、直角をなすことを可能とした状態)で固定的に連結されている。
【0011】
ベース部材2は、再帰反射部材3を有する第一ベース体4と、マグネットM2(磁着支持部)を有する第二ベース体5を含む。第一ベース体4は、第二ベース体5の屈曲部52(22)の凸側(出隅側)と第一ベース体4の凹側(入隅側)を対向させて、第二ベース体5に対して着脱可能に固定することができる。第一ベース体4は、第一ベース体4の第一腕部41A及び第二腕部41Bの一方面(本実施形態では屈曲部42(22)の入隅側の面である内側面412)側に配置されたマグネットM1(磁着支持部)により、金属等の磁性体で形成された第二ベース体5と着脱可能に磁着することができる。
【0012】
第一ベース体4は、屈曲部42において直角をなすように連結された第一腕部41A(41)及び第二腕部41B(41)を有し、全体として略L字状に形成される。図4に示すように、本実施形態の第一腕部41A及び第二腕部41Bは、屈曲部42を通る対称軸Aに対して対称となる形状及び配置で構成される。第一腕部41A及び第二腕部41Bは、断面視略正方形の四角柱状に形成される。屈曲部42は、凸側の外側面411において、内側傾斜部421と外側傾斜部422とを有する。内側傾斜部421は、平面視において対称軸A上に設けられ(図4参照)、第一腕部41A及び第二腕部41Bの各外側面411に対して45度傾斜した平坦面状に形成される。また、外側傾斜部422は、内側傾斜部421と外側面411との間に設けられ、内側傾斜部421及び外側面411との境界部をC面取した平坦面状に形成される。第一腕部41Aの内側面412と、第二腕部41Bの内側面412も、直角となるように形成される。
【0013】
第一ベース体4は、内側傾斜部421から突出した位置に再帰反射部31を配置して、内側傾斜部421の両側にさらに外側傾斜部422を設けているめ、測量装置102等による再帰反射部31の視準可能な立体角範囲を広角に構成することができる。
【0014】
また、図4に示すように、第一腕部41Aの先端側端面413と第二腕部41Bの先端側端面413は、同一平面Bを形成する。第一腕部41Aの先端側端面413は、第一腕部41Aの外側面411に対して45度傾斜した鋭角状に形成される。また、第二腕部41Bの先端側端面413も、第二腕部41Bが外側面411に対して45度傾斜した鋭角状に形成される。即ち、先端側端面413と、第一腕部41A及び第二腕部41Bの長尺方向(延設方向)とは、45度傾いて形成される。図3に示すように、第一ベース体4は、第一腕部41A及び第二腕部41Bの各上面414に、環状部材431を含む被支持部43を有する。環状部材431は、上面414に対して回動可能に取り付けられている。環状部材431には、カラビナや紐状体等の吊支具(不図示)を挿通させることができる。これにより、第一ベース体4又はターゲット支持具1の落下を防止することができる。
【0015】
第一ベース体4は、屈曲部42における凹側に溝部423を有する。溝部423は、上下方向(即ち、第一腕部41A及び第二腕部41Bの長尺方向に対して直交する方向)に延設されて、図4の平面視に示すように凹円弧状の内面を有する。溝部423は、第一ベース体4の内側面412側に第二ベース体5を配置した際に、第二ベース体5の屈曲部52の凸側と干渉することを防止する逃げ部として機能することができる。
【0016】
また、第一腕部41A及び第二腕部41Bの内側面412側には、マグネットM1が配置されている。本実施形態のマグネットM1は、例えばネオジム磁石等の磁性部材を用いることができ、第一腕部41A及び第二腕部41Bに埋設されている。このように、第一ベース体4は、第二ベース体5に対して磁力により着脱可能に構成される。なお、磁着した第一ベース体4及び第二ベース体5は、例えば、指等を先端側端面413に掛けて第一ベース体4を第二ベース体5から離間させる方向に操作することで、容易に分離することができる。
【0017】
再帰反射部材3は、再帰反射部31と、再帰反射部31に接続される支持部32とを有する。再帰反射部31は、例えば、再帰反射特性を有するプリズムが用いられる。支持部32は、長尺棒状に形成されている。また、再帰反射部31は、屈曲部22(42)の凸側であって、対称軸Aと同軸である第一腕部21Aと第二腕部21Bとがなす内角二等分線上に、ベース部材2からオフセットして設けられている。
【0018】
前述した内側傾斜部421には、支持部32を固定可能に収容する貫通孔である支持用孔44が形成される。再帰反射部材3は、支持部32を支持用孔44に所定の深さ位置に挿入して、第一ベース体4に固定される。
【0019】
第二ベース体5は、屈曲部52において直角をなすように連結された第一腕部51A(51)及び第二腕部51B(51)を有し、全体として略L字板状に形成される。図4に示すように、本実施形態の第一腕部51A及び第二腕部51Bは、対称軸Aに対して対称となる形状及び配置で構成される。第二ベース体5は、略同厚みの板部材により形成され、第一腕部51A及び第二腕部51Bの外側面511同士は直角となるように形成され、第一腕部51A及び第二腕部51Bの内側面512同士も直角となるように形成される。
【0020】
また、第一腕部51Aの先端側端部513と、第二腕部51Bの先端側端部513の縁辺同士は、平行に形成されて同一平面上に設けられる。また、第一腕部51A及び第二腕部51Bは、対称軸Aに対する対称位置に、貫通孔である複数の開口部514を有する。
【0021】
図3等に示すように、第一腕部51A及び第二腕部51Bの端部側には、各々着脱部53が設けられる。着脱部53は、マグネット支持部54と、マグネット支持部54をガイドする孔部55と、マグネット支持部54を回動可能に支持する回動支持部561とを有する。
【0022】
第一腕部51A及び第二腕部51Bの幅方向の対向する両縁部には、それぞれ矩形凹状の切欠部56が形成される。回動支持部561は、この切欠部56の底部に相当する内縁から、外側面511側へ向けてL字状に屈曲するように延設される。各着脱部53における回動支持部561の先端部同士は、略平行となるように設けられる。
【0023】
図5は、マグネット支持部54及び解除部57の斜視図である。マグネット支持部54は、長矩形厚板状に形成される。マグネット支持部54は、軸受部541aが形成される基部541と、基部541よりも厚板の本体部542とを含む。本体部542は、一方面側においてマグネットM2が設けられた長矩形状の磁着面542aを有する。本実施形態のマグネットM2は、磁着面542aと同一面状となるように露出して配置されているが、磁着面542aとは反対側に所定距離オフセットされたマグネット支持部54内に配置されていてもよい。マグネットM2は、孔部55内に磁着面542aが位置するマグネット支持部54の回動状態において(図7も参照)、第一腕部21A及び第二腕部21Bの少なくとも屈曲内角側の表面(内側面512側の表面)に設けられる。
【0024】
本体部542は、磁着面542aの外周縁にテーパ部543を有する。テーパ部543は、磁着面542a側から見た平面視矩形環状に配置される。またテーパ部543は、本体部542の幅方向(回動軸C方向)に形成される各テーパ部543a、及び、回動支持部561の回動軸Cに垂直な径方向D側の縁部に形成されるテーパ部543b,543cを含む。テーパ部543a及びテーパ部543bは、略同じ傾斜角度のC面状に設けられる。一方、基部541側のテーパ部543cは、凹湾曲面状に傾斜している。
【0025】
マグネット支持部54は、回動軸C方向の両端側に突出部544を有する。また、突出部544は、回動軸Cに対する径方向Dの外側(遠方側)において、側面視凹湾曲状の逃げ部544aと、規制部544bとを有する。逃げ部544aは、解除部57のハンドル部571側(回動軸E側)に設けられる。また、規制部544bは、磁着面542a側の一部が逃げ部544aと隣接して配置され、本体部542の磁着面542aとは反対側位置においてハンドル部571側に突出するように形成される。
【0026】
解除部57は、略U字状に形成され、ハンドル部571と、ハンドル部571の両端部から同方向に延設された支持杆572とを有する。解除部57は、支持杆572と本体部542の側面とが接続されて回動軸E周りに回動可能に構成されている。支持杆572は、回動軸Eに対してハンドル部571とは反対側の端部に、半円弧板状に突出した解除突起572aを有する。解除部57は、解除突起572aと規制部544bとが当接することにより、所定の角度範囲に回動が規制される。
【0027】
孔部55は、第二ベース体5の板厚方向に対して略長矩形状に貫通した開口部である(図3も参照)。孔部55は、マグネット支持部54から一方面側に突出するように設けられた磁着面542aの外周回りの形状に倣うように形成される。孔部55は、マグネット支持部54のテーパ部543と当接又は摺接してマグネット支持部54の係脱をガイドする。前述した回動支持部561は、マグネット支持部54の一方面である磁着面542aが孔部55から露出するようにマグネット支持部54を回動支持する(図7のターゲット支持具1-1も参照)。
【0028】
また、第一腕部51A及び第二腕部51Bは、それぞれ端部側に略L字板状に形成された被支持部515を有する。被支持部515には、板厚方向に貫通する略矩形状の開口部が形成されている。ターゲット支持具1は、被支持部515に対してカラビナや紐状体等の吊支具(不図示)を挿通させて、落下防止を容易とすることができる。
【0029】
ここで、ターゲット支持具1の使用例について説明する。図6は、図1の被着体101に取り付けたターゲット支持具1を上方から下方向(Q方向)に見た拡大模式図である。本実施形態の被着体101は、断面視略正方形状の外形を有する。被着体101は磁性特性を有するため、第一腕部51A(21A)は着脱部53に設けられたマグネットM2(図3参照)により一方の外側面101aに磁力により取り付けられ、第二腕部51B(21B)も着脱部53に設けられたマグネットM2により他の一方の外側面101aに磁力により取り付けられる。
【0030】
図7のターゲット支持具1-1に示すように、被着体101に磁着した状態のターゲット支持具1の磁着面542a及び内側面512は、同一面状に位置して被着体101の外側面101aと面当接している。このように、ターゲット支持具1は、外側面101aに対して少なくとも一部が面当接するため、被着体101に対して安定して取り付けられる。
【0031】
また、孔部55と、マグネット支持部54の被挿入部(磁着面542aが形成された突出部)との間にガタつき(例えば、設計値に対する寸法ずれ)が発生した場合であっても、マグネット支持部54を孔部55に挿入させた場合、テーパ部543は、孔部55の内縁と当接している。従って、孔部55の内縁が、被着体101に磁着固定されたマグネット支持部54と当接して支持されて、ベース部材2(即ち、ターゲット支持具1全体)の脱落や位置ずれが防止される。これにより、ベース部材2に対して固定された再帰反射部31は、位置ずれが防止されて被着体101に対して安定支持される。
【0032】
図6に戻り、被着体101は、断面視略正方形状の外形を有するため、被着体101の中心Oから一方の第一方向(例えば、図6の左右方向)の外側面101aまでの距離X1が、該第一方向とは直交する他の一方の第二方向(例えば、図6の上下方向)の外側面101aまでの距離Y1と同じである(距離X1=距離Y1)。
【0033】
一方、ターゲット支持具1における再帰反射部31と、被着体101の外側面101a(第二腕部51Bの内側面512)との第一方向(図6の左右方向)の距離X2は、設計値として予め与えられて既知である。(例えば、測量装置102の使用者(作業者)が再帰反射部31の取り付け位置を設定することができる)。また、再帰反射部31と、被着体101の外側面101a(第一腕部51Aの内側面512)との第二方向(図6の上下方向)の距離Y2は、設計値として予め与えられて既知である。このため、測量装置102(図1参照)により再帰反射部31の位置311(空間座標)を測定することにより、再帰反射部31が取り付けられた被着体101の中心Oの位置を、第一方向の座標としては位置311から距離X1及び距離X2を加えた距離分オフセットさせ、第二方向の座標としては位置311から距離Y1及び距離Y2を加えた距離分オフセットさせた位置であるものとして求めることができる。なお、中心Oの位置の算出手順はこれに限らない。
【0034】
ターゲット支持具1を被着体101に取り付ける際は、まず、ベース部材2を被着体101の取り付けを意図する任意の角部101bに当接させる。このとき、一方の第一腕部21Aは一方の外側面101aと略面当接し、他の一方の第二腕部21Bは他の一方の外側面101aと略面当接するため、ターゲット支持具1は仮の位置決め状態で安定支持される。
【0035】
次に、図7のターゲット支持具1-1に示すように、着脱部53を回動軸C周りに回動させて、磁着面542aを含むマグネット支持部54の一部の突出部を孔部55内に挿入させる。このとき、マグネット支持部54は、磁着面542aの外周に設けられたテーパ部543が孔部55の内縁によりガイドされる。これにより、着脱部53は、ターゲット支持具1が仮決めされた装着予定位置に対して装着されるように孔部55を介して被着体101に磁着して、ターゲット支持具1を安定支持することができる。従って、ターゲット支持具1は、被着体101(例えば、鉄骨)に突き当てて位置を合わせるタイミングと、被着体101に磁着させるタイミングとをずらすことができるため、再帰反射部31を意図した正確な位置に取り付けることができる。
【0036】
次に、着脱部53の取り外しの動作例について図7及び図8を参照して説明する。図7のターゲット支持具1-1は、被着体101に磁着されている状態を示している。ターゲット支持具1を被着体101から取り外す場合、まず、ターゲット支持具1-2に示すように解除部57におけるハンドル部571を把持する等して被着体101から離間方向に回動軸E周りに回動させる。すると、解除部57の解除突起572aが孔部55の外周縁面である被当接部55a(図2も参照)と当接する。
【0037】
さらに、図8のターゲット支持具1-3に示すようにハンドル部571を被着体101に対する離間方向へ操作すると、解除突起572aと被当接部55aとの当接部を支点、ハンドル部571を力点、回動軸Eを作用点として(所謂第二種てこの原理)、マグネットM2を含むマグネット支持部54を磁力に抗して被着体101から離間する方向に移動させることができる。換言すると、解除部57は、マグネット支持部54に対して回動可能に支持される支点部(回動軸E)と、この支点部に対して一方側に形成された力点部(ハンドル部571)と、支点部に対して他の一方側に形成されて孔部55の開口縁である被当接部55aを押圧可能な作用点部(解除突起572a)とを有し、回動軸Eは解除突起572aが被当接部55aから受ける反力により押し返されることでマグネット支持部54を被着体101から離間方向へ移動することができる。
【0038】
ハンドル部571をさらに被着体101から離間する方向へ引くと、ターゲット支持具1-4に示すように、マグネット支持部54は回動軸C周りに回動して被着体101から離間方向へ移動することができる。このように、使用者は、第一腕部41A,51A(21A)及び第二腕部41B,51B(51B)に対して解除部57を用いて着脱部53の解除操作を行うことで、ターゲット支持具1を被着体101から容易に取り外すことができる。
【0039】
また、本実施形態のターゲット支持具1は、直角に隣接させた外側面101aに対して、直角に形成された内側面512の各面を当接可能に構成した。従って、図9に示すように、再帰反射部31を、別途の測定を要することなく被着体101の所定の角部101bの位置に被着体101の上下方向(軸方向)に容易に揃えて複数取り付けることができる。同じ被着体101に固定された各再帰反射部31は、被着体101の中心Oの軸線と平行であるため、各再帰反射部31の座標を測定することで被着体101の傾きを求めることができる。
【0040】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。図10は実施形態2に係るターゲット支持具1aの前方下側から見た斜視図であり、図11はターゲット支持具1aの後方上側から見た斜視図である。なお、実施形態2のターゲット支持具1aの説明において、ターゲット支持具1と同様の構成については、同一の符号を付す等してその説明を省略又は簡略化する。
【0041】
ターゲット支持具1aのベース部材2aは、実施形態1のターゲット支持具1の第二ベース体5に代えて、第二ベース体5aを備えている。第一ベース体4の構成は実施形態1のターゲット支持具1と同様である。
【0042】
第二ベース体5aは、屈曲部52において直角をなすように連結された第一腕部51Aa(51a)及び第二腕部51Ba(51a)を有し、全体として略L字板状に形成される。また、第一腕部51Aaの先端側端部513と、第二腕部51Baの先端側端部513も、平行となるように形成されるため、同一平面状に設けられる。第一腕部51Aa及び第二腕部51Baは、屈曲部52における対称軸(図4に示した対称軸Aに相当)に対する対称位置に、第二ベース体5aと並設された貫通孔である長矩形状の開口部516を有する。
【0043】
第一腕部51Aa及び第二腕部51Baの両端部には、実施形態1で示した着脱部53に代えて、着脱部53aが設けられる。着脱部53aは、マグネット支持部58と、マグネット支持部58をガイドするガイド部517とを有する。マグネット支持部58は、長矩形厚板状に形成されており、マグネット支持部58の長尺方向が第一腕部51Aa及び第二腕部51Baの幅方向に向くように配置されている。
【0044】
マグネット支持部58は、一方面側において複数のマグネットM3(磁着支持部)が設けられた長矩形状の磁着面58aを有する。本実施形態のマグネットM3は、磁着面58aと同一面状となるように露出して配置されているが、磁着面58aとは反対側に所定距離オフセットされたマグネット支持部58内に配置されていてもよい。マグネットM3は、第一腕部21Aa(21a)及び第二腕部21Ba(21a)の少なくとも屈曲内角側の表面(内側面512側の表面)に設けられる。
【0045】
また、マグネット支持部58は、腕部51aの一部を屈曲させて形成されたガイド部517内に収容される。ガイド部517は、マグネット支持部58に対して、屈曲部52側に位置する第一側壁517aと、磁着面58aとは反対側に位置する第二側壁517bと、腕部51aの幅方向の一方側に位置する第三側壁517cとを有する。第一側壁517a、第二側壁517b及び第三側壁517cは、平坦面を有し、互いに略垂直となるように配置される。
【0046】
また、着脱部53aには、解除部59が設けられている。解除部59は、外周回りにローレット部を有する短円柱状のノブ591と、ノブ591とマグネット支持部58とを接続する接続部592とを有する。接続部592は、第二側壁517bの貫通孔に摺動可能に挿通されている。従って、マグネット支持部58は、第二側壁517bに対する遠近方向(換言すれば、ターゲット支持具1aを被着体101に取り付けた際の被着体101に対する遠近方向)に所定の距離移動可能に構成される(図12も参照)。また、第一側壁517a及び第三側壁517cは、マグネット支持部58の側面に対して近接又は摺接しており、マグネット支持部58の不用意な回動を防止するガイド壁として機能することができる。
【0047】
さらに、第一側壁517aの一方側には、矩形板状の被支持部518が突出している。被支持部518には、板厚方向に貫通する略矩形状の開口部が形成されている。ターゲット支持具1aは、被支持部518に対してカラビナや紐状体等の吊支具(不図示)を挿通させて、落下を防止することができる。
【0048】
また、第三側壁517cは、被支持部518とは反対の他の一方側に、矩形板状の鍔部519を有する。鍔部519は、第二ベース体5aの内側面512と略同一面状の平坦面を有し、ターゲット支持具1aを被着体101に当接させた際に安定支持させることができる。
【0049】
ここで、ターゲット支持具1aの使用例について図12を参照して説明する。図12は、被着体101に当接(又は装着)させたターゲット支持具1a-1を、図11のXII-XII断面位置にて切断して示したXII-XII断面図である。
【0050】
被着体101は磁性特性を有するため、第一腕部21Aaは、着脱部53aに設けられたマグネットM3により被着体101の角部101bにおける一方の外側面101aに磁力により取り付けられ、図示しない第二腕部21Baも着脱部53aに設けられたマグネットM3により他の一方の外側面101aに磁力により取り付けられる。被着体101に磁着したターゲット支持具1aの磁着面58aと、内側面512と、鍔部519とは、同一平面状に被着体101の外側面101aと面当接することができる。このように、ターゲット支持具1aも、外側面101aに対して少なくとも一部が面当接するため、被着体101に対して安定して取り付けられる。また、被着体101に磁着したマグネット支持部58は、低頭の四角柱状に形成されており、四つの平坦な外周側面を有する。一方の外周側面は、第一側壁517aと当接して被着体101に対するベース部材2aの移動(図12の左方向への移動)を規制し、他の一方の外周側面は、第三側壁517cと当接して被着体101に対するベース部材2aの移動(図12の手前方向への移動)を規制する。これにより、ベース部材2aに対して固定された再帰反射部31は、位置ずれが防止されて被着体101に対して安定支持される。
【0051】
ターゲット支持具1aを被着体101に取り付ける際は、まず、ベース部材2aを被着体101を取り付けたい任意の角部101bに当接させる。このとき、一方の第一腕部21Aaは一方の外側面101aと略面当接し、他の一方の第二腕部21Baは他の一方の外側面101aと略面当接するため、ターゲット支持具1は仮の位置決め状態で安定支持される。次に、図12のターゲット支持具1a-1に示すように、着脱部53aを被着体101に近づけるように操作して、磁着面58aを含むマグネット支持部58を外側面101aに当接させる。これにより、着脱部53aは、ターゲット支持具1aが仮決めされた装着予定位置に対して装着されるように被着体101に磁着して、ターゲット支持具1aを安定支持することができる。従って、ターゲット支持具1aは、被着体101(例えば、鉄骨)に突き当てて位置を合わせるタイミングと、被着体101に磁着させるタイミングとをずらすことができるため、再帰反射部31を意図した正確な位置に取り付けることができる。
【0052】
着脱部53aを取り外す場合、使用者は、第一腕部41Aa,51Aa(21Aa)及び第二腕部41Ba,51Ba(21Ba)に対して解除部59を用いて着脱部53aの解除操作を行うことができる。使用者は、図12のマグネット支持部58が被着体101に当接したターゲット支持具1a-1において、解除部59のノブ591を把持する等して磁力に抗してマグネット支持部58を被着体101側から離間方向へ引き離すように移動させる。これにより、ターゲット支持具1a-2に示すように、マグネット支持部58が被着体101から容易に取り外される。なお、マグネット支持部58の移動は、接続部592の軸方向両側(図12では上側及び下側)に位置する拡径部が第二側壁517bに設けられた貫通孔の開口縁と当接することにより規制される。マグネット支持部58が外側面101aから離間されると、ターゲット支持具1aを被着体101から容易に取り外すことができる。
【0053】
このように、実施形態2では、マグネットM3により被着体101に対して容易に着脱可能な着脱部53aを簡易に構成することができる。
【0054】
(変形例1)
次に、本開示の変形例1について説明する。変形例1では、前述したターゲット支持具1(ターゲット支持具1aも含む)に形成可能な確認機構6を設けた構成について説明する。図13は確認機構6の模式図である。確認機構6は、例えば、第二ベース体5の腕部51(第一腕部51A及び第二腕部51Bの一方又は両方)に設けられ、ターゲット支持具1の被着体101に対する取り付け確認を使用者に容易に行わせることができる機構である。確認機構6は、ターゲット支持具1の着脱に伴って被着体101に近接又は離間する部位に設けられる。
【0055】
確認機構6は、第二ベース体5の板厚方向に貫通する開口孔である収容部61と、収容部61内において第二ベース体5の板厚方向に移動可能に収容される移動部材62とを有する。収容部61は、外側面511側に配置された小径部611と、内側面512側における小径部611の一端側の開口縁周りに形成された座繰部612とを含む。また、移動部材62は、小径部611内に収容される柱状の本体部621と、本体部621の一方側に形成されたフランジ部622とを含む。移動部材62の外側面511側への移動は、フランジ部622が座繰部612の底部に当接して規制される。一方、移動部材62の外側面511とは反対側への移動は、例えば、移動部材62に設けられた被規制部(不図示)が収容部61側に設けられた規制部(不図示)と当接することにより規制される。例えば、被規制部は突起とし、規制部は該突起の移動範囲をガイドする溝部とすることができる。
【0056】
また、移動部材62は、図示しないバネ等の弾性部材により内側面512側へ付勢されており、ターゲット支持具1を被着体101へ取り付けていない状態では、内側面512から予め設定された突出量で突出する(移動部材62-1参照)。
【0057】
一方、ターゲット支持具1を被着体101に取り付けた場合(即ち、内側面512と被着体101とが当接した場合)、移動部材62は、内側面512側から収容部61側へ押圧されて、弾性部材の弾発力に抗して移動する。収容部61側へ移動した移動部材62のフランジ部622は座繰部612内に収容されて内側面512からは突出しない状態となる。移動部材62が収容部61側へ移動すると、移動部材62は第二ベース体5の外側面511に移動して本体部621の先端部が外側面511と略面一となるように位置する。このため、使用者は、被着体101に対してターゲット支持具1の取り付けが完了しているか否かを、移動部材62を外側面511側から視認することで、又は、外側面511側から収容部61を触診することで容易に判別することができる。
【0058】
このように、確認機構6は、ベース部材2の被着体101との着脱に応じて状態変化して、視覚及び触覚の一方又は両方によりベース部材2の着脱状態を確認可能に構成される。このため、使用者は、ターゲット支持具1の取り付け状態を容易に確認することができる。なお、確認機構6はターゲット支持具1aに設けてもよいし、第一ベース体4の任意の腕部41に設けてもよい。また、確認機構6は一つ又は複数設けることができる。
【0059】
(変形例2)
次に、本開示の変形例2について説明する。上記の実施形態1,2で説明したターゲット支持具1,1aは、第一ベース体4を単体で使用して被着体101の位置の測定を行うこともできる。図14は、ベース部材2に第二ベース体5,5aを含めずに、第一ベース体4により構成したターゲット支持具1bについて示している。ターゲット支持具1bは、第一腕部21A及び第二腕部21Bの長さが、第二ベース体5,5aを含むターゲット支持具1に比べて短く構成される。例えば、被着体101の角部101bの曲率半径が比較的小さい場合、内側面412と外側面101aとの接触面積を広く確保することができるため、ターゲット支持具1bは第二ベース体5,5aを有しない場合であっても被着体101に安定して磁着させることができる。
【0060】
また、ターゲット支持具1bにおける再帰反射部31と、被着体101の外側面101a(第二腕部41Bの内側面412)との第一方向(図14の左右方向)の距離X3は、設計値として予め与えられて既知である。また、再帰反射部31と、被着体101の外側面101a(第一腕部41Aの内側面412)との第二方向(図14の上下方向)の距離Y3は、設計値として予め与えられて既知である。このため、測量装置102により再帰反射部31の位置311(空間座標)を測定することにより、再帰反射部31が取り付けられた被着体101の中心Oの位置を、第一方向の座標としては位置311から距離X1及び距離X3を加えた距離分オフセットさせ、第二方向の座標としては位置311から距離Y1及び距離Y3を加えた距離分オフセットさせた位置であるものとして求めることができる(中心O、距離X1及び距離Y1の位置関係は、図6を参照)。
【0061】
図14のターゲット支持具1bでは、第一腕部41A及び第二腕部41Bの各先端側端面413に指を掛ける等して被着体101から容易に離間させることができる。従って、先端側端面413は、解除部としても機能する。
【0062】
また、ターゲット支持具1bは、図15に示すように、第一腕部41A及び第二腕部41Bの各先端側端面413を被着体101の外側面101aに当接させて取り付けることで被着体101の位置の測定を行うこともできる。ターゲット支持具1bは、先端側端面413(一方面)側を、マグネットM1を配置した磁着面として、マグネットM1による磁力により被着体101に磁着させることができる。
【0063】
ターゲット支持具1bにおける再帰反射部31と、先端側端面413が位置する同一平面Bとの間の距離R1は、設計値として予め与えられている。また、被着体101の中心Oの位置(図15では不図示)から外側面101aとの間の距離(例えば、図6の距離X1又は距離Y1)も設計情報により予め与えられている。再帰反射部31から被着体101の中心Oへの方向Fも設計情報から予め設定することができる。このため、測量装置102(図1参照)により再帰反射部31の位置311(空間座標)を測定することにより、再帰反射部31が取り付けられた被着体101の中心Oの位置を求めることができる。
【0064】
図16は、ターゲット支持具1bの他の使用例を示す図である。本図では、被着体101を外側面101aの法線方向から見た側面視を示している。外側面101aには、二本の線状のガイド指標Gが交わる(接する)ように描かれている。本図のガイド指標Gは、各々直線状に形成され、直角に交わるL字状に描かれている。
【0065】
ターゲット支持具1bは、例えば、内側面412の仮想交点である基準位置412aと、ガイド指標Gの交わる基準点g1とが重なるように配置される。図16の例では、ガイド指標Gが直角な直線状に形成されているため、各ガイド指標Gと、第一ベース体4(ベース部材2b)の内側面412とが重なるように調整することで、基準位置412aと基準点g1との位置を一致させることができる。
【0066】
ターゲット支持具1bは、溝部423により基準位置412a付近が広く開口しているため、ガイド指標Gの位置や、ターゲット支持具1bとガイド指標Gとの相対的な位置関係を容易に視認することができる。従って、被着体101のガイド指標Gが描かれた交点(角部101b)を視認する目的で逃げ部として機能させることができ、被着体101に対するターゲット支持具1bの位置決めを容易に行うことができる。ガイド指標Gを利用することにより、ターゲット支持具1を被着体101に対して着脱を繰り返した場合であっても、以前のターゲット支持具1の取り付け位置と同じ位置にターゲット支持具1b(即ち、再帰反射部31の被着体101に対する相対位置)を容易に再現して取り付けることができる。
【0067】
また、図16のターゲット支持具1c-1は、再帰反射部31を屈曲部42(22)の内側であって且つ上面414側から見た平面視において中心の位置311を基準位置412a(内側面412の仮想交点)と一致するように配置させた構成の例である。ターゲット支持具1c-1の再帰反射部31は、例えば、正八面体の半分のピラミッド型(換言すれば、正四角錐型)に形成されており、少なくとも上面414側の一方に露出するように設けられている。
【0068】
ターゲット支持具1c-1を取り付ける方法の例としては、まず、被着体101の外側面101aにターゲット支持具1c-1の下面415(図2も参照)を当接させて被着体101に対して取り付ける。このとき、ガイド指標Gの直線部に内側面412が重なるようにそれぞれ2本合わせるように調整すると、自動的に再帰反射部31の中心の位置311を基準点g1に一致させることができる。従って、使用者は、再帰反射部31の中心の位置311と、ガイド指標Gが重なるように(換言すれば、基準点g1の外側面101aの法線方向であって、図16の手前側の位置に重なるように)確認しながらターゲット支持具1c-1に設けられた再帰反射部31の位置決めを容易に行うことができる。
【0069】
なお、ガイド指標Gは、基準点g1の位置が決まればよく、鈍角又は鋭角に形成したり、傾いた線や点により示された基準点g1が形成されていてもよい。またガイド指標Gは交差させて十字状に形成してもよい。再帰反射部31は、外側面101aに形成された基準点g1を視認可能な程度に透光性を有するため、ターゲット支持具1cが外側面101aに対して傾斜して取り付けられた場合であっても、再帰反射部31を被着体101の取り付け予定位置に対して容易に高精度に取り付けることができる。
【0070】
(変形例3)
次に、本開示の変形例3について説明する。図17は、変形例2に係るターゲット支持具1cの使用例を示す図である。ターゲット支持具1cは、L字状に形成されたベース部材2(第一ベース体4)の屈曲部42の屈曲内角側(凹側又は入隅側)に、再帰反射部31を設けている。再帰反射部材3は、支持部32を第一ベース体4の支持用孔44(図4参照)に内側から係合させて第一ベース体4に取り付けられる。ターゲット支持具1cは、屋内空間における内壁の入隅部や、建築現場等における建材の入隅部を被着体101として取り付けることができる。
【0071】
ターゲット支持具1cにおける再帰反射部31と、被着体101の外側面101a(第二腕部41Bの外側面411)との第一方向(図17の左右方向)との距離X4は、設計値として予め与えられて既知である。また、再帰反射部31と、被着体101の外側面101a(第一腕部41Aの外側面411)との第二方向(図17の上下方向)との距離Y4は、設計値として予め与えられて既知である。このため、測量装置102(図1参照)により再帰反射部31の位置311(空間座標)を測定することにより、再帰反射部31が取り付けられた被着体101の角部101eの位置を求めることができる。
【0072】
なお、図17のターゲット支持具1cのベース部材2は、第一ベース体4により構成される例について説明したが、実施形態1や実施形態2と同様に、第一ベース体4と第二ベース体5,5aとを含む構成としてもよい。この場合、第一ベース体4は、第二ベース体5,5aの外側面511側に配置してもよいし、内側面512側に配置してもよい。
【0073】
第一ベース体4を、第二ベース体5,5aの外側面511側に配置する場合、例えば、第二ベース体5,5aの屈曲部52には、第一ベース体4の支持用孔44(図4参照)と同軸であって、再帰反射部材3の支持部32を内側から挿抜可能な開口部を設けることで、第一ベース体4と第二ベース体5,5aを含むベース部材2の屈曲内角側に再帰反射部31を配置することができる。第二ベース体5は、被着体101に対して第一ベース体4に設けたマグネットM1により磁着される構成としてもよいし、着脱部53,53aの構成を外側面511側と内側面512側とで反転させて、第二ベース体5,5aに設けたマグネットM2,M3により被着体101に磁着される構成としてもよい。
【0074】
また、第一ベース体4を第二ベース体5,5aの内側面512側に配置する場合、着脱部53,53aの構成を外側面511側と内側面512側とで反転させて、第二ベース体5,5aに設けたマグネットM2,M3により、第二ベース体5,5aを被着体101に磁着可能な構成としてもよい。
【0075】
(実施形態3)
次に、本開示の実施形態3について説明する。図18は、実施形態3に係るターゲット支持具1dの模式図である。実施形態3のターゲット支持具1dは、実施形態1等で説明したベース部材2の第一腕部21A及び第二腕部21Bが、屈曲部22の代わりに設けられた回動可能な屈曲部であるヒンジ部23により、直角をなすことが可能に連結されている。第一腕部21Aと第二腕部21Bとは、ヒンジ部23により、例えば+90度から-90度の180度の角度範囲で回動することができる。従って、ターゲット支持具1dは、例えば、図18の屋内空間103において、様々な角度で形成された壁面の角部である入隅部101a1又は出隅部101a2を被着体101として各角部の位置の測定に用いることができる。
【0076】
また、ターゲット支持具1dにおける再帰反射部31は、ヒンジ部23の回動軸中心位置に設けられる。ターゲット支持具1dを用いた被着体101の測定例としては、まず、3点以上の複数の角部(図18の例では、S部における出隅部101a2と、出隅部101a2に隣接する両側の入隅部101a1)に装着した再帰反射部31の位置を測定する。測定した3点を結ぶ仮想直線Lは、被着体101の外側面101aと平行であるため、内側の測点(S部拡大図における位置311)の両側の仮想直線L同士の角度を出隅部101a2の角度として求めることができる。また、出隅部101a2の角度と、第一腕部21A及び第二腕部21Bの角度とが一致し、再帰反射部31を通る第一腕部21A及び第二腕部21Bの仮想直線Lから内側面412までの距離R2が既知であることから、出隅部101a2の位置は再帰反射部31からオフセットさせた位置として算出することができる。
【0077】
なお、再帰反射部31は、測量装置102による確認が容易となるように、ヒンジ部23の回動軸方向(図18の奥又は手前方向)に所定の距離だけオフセットさせて配置してもよい。また、ターゲット支持具1dは、第一ベース体4を含む構成について説明したが、第一ベース体4及び第二ベース体5,5aを含んでヒンジ部23により回動可能に構成してもよい。
【0078】
(実施形態4)
次に、本開示の実施形態4について説明する。図19は、実施形態4に係るターゲット支持具1eの構成を模式的に示した図である。なお、以下ターゲット支持具1eの説明において、前述のターゲット支持具1と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略し又は簡略化する。また、図19では、第二ベース体5eの構成を示しており、第一ベース体4の図示は省略している。
【0079】
前述のターゲット支持具1では、マグネット支持部54を支持する回動支持部561が屈曲部52側に設けられていたが、本実施形態のターゲット支持具1eでは、マグネット支持部54を支持する回動支持部561が一方側(図19の左側)に配置されている。即ち、第一腕部51Aに対応する一方のマグネット支持部54の回動支持部561は屈曲部52とは反対側に設けられ、第二腕部51Bに対応する他の一方のマグネット支持部54の回動支持部561は屈曲部52側に設けられる。
【0080】
また、ターゲット支持具1eは、第一腕部51Aのマグネット支持部54と、第二腕部51Bのマグネット支持部54とを接続する紐状リンク部材7を有する。紐状リンク部材7は、例えば、ワイヤーなどの可撓性を有する長尺な紐状体により形成される。紐状リンク部材7は、各マグネット支持部54の回動端部側に設けられた接続部545と接続されている。また、紐状リンク部材7は、屈曲部52の凸側(突出側)を介して配置されている。
【0081】
ターゲット支持具1eの構成とすることで、例えば、第二腕部51Bにおける一方のマグネット支持部54を閉方向に動作させると、紐状リンク部材7により第一腕部51Aにおける他の一方のマグネット支持部54を閉方向に動作させることができる(ターゲット支持具1e-1の状態)。また、同様に、第一腕部51Aにおける一方のマグネット支持部54を開方向に動作させると、紐状リンク部材7により第二腕部51Bにおける他の一方のマグネット支持部54を開方向に動作させることができる(ターゲット支持具1e-2の状態)。従って、ターゲット支持具1eは、第一腕部51Aに設けられたマグネットM2(磁着支持部)と、第二腕部52Bに設けられたマグネットM2(磁着支持部)との着脱動作が連動するように構成されている。
【0082】
なお、各マグネット支持部54に対して回動支持部561を反対側に設けた場合は、開方向又は閉方向の連動する動作を上記とは逆に制御することもできる。また、マグネット支持部54には、マグネット支持部54をマグネットM2の磁力に抗して開方向に回動させる解除部(例えば、解除部57)が設けられる(詳細は不図示)。
【0083】
以上、実施形態4のターゲット支持具1eにおいても、第二ベース体5eを被着体101の装着予定位置に当接させてからマグネット支持部54を回動させてターゲット支持具1eを磁着させることができる。従って、ターゲット支持具1eは、被着体101に突き当てて位置を合わせるタイミングと、被着体101に磁着させるタイミングとをずらすことができるため、再帰反射部31を意図した正確な位置に取り付けることができる。
【0084】
(実施形態5)
次に、本開示の実施形態5について説明する。図20は、実施形態5に係るターゲット支持具1fの構成を模式的に示した図である。なお、以下ターゲット支持具1fの説明において、前述のターゲット支持具1と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略し又は簡略化する。また、図20では、第二ベース体5fの構成を示しており、第一ベース体4の図示は省略している。
【0085】
ターゲット支持具1fは、第一腕部51A側及び第二腕部51B側に対してそれぞれ回動可能に接続される長尺棒状のリンク部材81と、各リンク部材81の一端側を押圧操作可能な操作部82とを有する。リンク部材81は、それぞれ第二ベース体5fの第一腕部51A及び第二腕部51Bに形成された支持部83により回動可能に連結支持されている。操作部82は、屈曲部52付近に配置されており、図示しないガイド部により第二ベース体5fに対して遠近方向に移動可能に構成されている。なお、本実施形態の操作部82は、図示しない付勢部材(例えば、コイルバネ)により第二ベース体5fに対して離間方向に付勢されている。操作部82は、第二ベース体5f側の部位においてリンク部材81の一端側(屈曲部52側)と接続(図20の例では当接)している。
【0086】
また、リンク部材81の他の一端側(屈曲部52とは反対側)は、マグネット支持部54に設けられた係合部546(例えば、溝部又は凹部)と係合する。マグネット支持部54は、係合部546に係合するリンク部材81の位置に応じて、開方向又は閉方向に移動させる。なお、係合部546の詳細な構成は図示を省略する。
【0087】
ターゲット支持具1fの構成とすることで、例えば、操作部82を第二ベース体5f側に押圧操作すると、リンク部材81の一端側が屈曲部52側に移動してリンク部材81が回動する。すると、リンク部材81の他の一端側がマグネット支持部54を開方向に動作させることができる(ターゲット支持具1f-1の状態)。また、操作部82に対する押圧操作を解除すると、操作部82を付勢する付勢部材により操作部82が第二ベース体5fから離間方向へ移動する。すると、リンク部材81の押圧が解除され、各マグネット支持部54は閉方向に回動可能となる。第二ベース体5fを被着体101に当接させている場合、マグネット支持部54は、被着体101側に働くマグネットM2の磁力により閉方向に回動する(ターゲット支持具1f-2の状態)。
【0088】
なお、上記操作部82は、引張操作により各リンク部材81の一端側を操作可能に構成してもよい。また、操作部82と各リンク部材81とは、操作部82の移動とともにリンク部材81の一端側を第二ベース体5fに対して離間方向に移動させる構成としてもよい。また、ターゲット支持具1fは、リンク部材81と操作部82、及び、リンク部材81とマグネット支持部54を長孔等による軸受と軸芯とによるヒンジ接続により連結する構成としてもよい。
【0089】
さらに、上記説明した構成に限らず、操作部82は、図示しない付勢部材により第二ベース体5f側へ付勢される構成としてもよい。この場合、マグネット支持部54は外力が加えられない状態ではリンク部材81によって開方向に移動しており(ターゲット支持具1f-1の状態)、操作部82を第二ベース体5fに対して離間方向に操作(押圧操作又は引張操作)することでマグネット支持部54を被着体101側の閉方向へ動作させる(ターゲット支持具1f-1の状態)構成とすることができる。
【0090】
従って、操作部82によりリンク部材81を移動させると、リンク部材81の他の一端側がマグネット支持部54を開方向又は閉方向に動作して、第一腕部51Aに設けられたマグネットM2(磁着支持部)と、第二腕部51Bに設けられたマグネットM2(磁着支持部)との着脱動作が連動するように構成することができる。
【0091】
以上、実施形態5のターゲット支持具1fにおいても、第二ベース体5fを被着体101の装着予定位置に当接させてからマグネット支持部54を回動させてターゲット支持具1fを磁着させることができる。従って、ターゲット支持具1fは、被着体101に突き当てて位置を合わせるタイミングと、被着体101に磁着させるタイミングとをずらすことができるため、再帰反射部31を意図した正確な位置に取り付けることができる。
【0092】
(実施形態6)
次に、本開示の実施形態6について説明する。図21は、腕部材9を用いて被着体101に取り付けられたターゲット支持具1gの使用例を示す図である。図22は、実施形態6に係るターゲット支持具1gの腕部材9を示す図である。なお、以下ターゲット支持具1gの説明において、前述のターゲット支持具1と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略し又は簡略化する。
【0093】
ターゲット支持具1gは、実施形態1の第二ベース体5の代わりに、第一ベース体4を被着体101に対して中継して固定させる延長部材(第三ベース体)である腕部材9(第一腕部材9A及び第二腕部材9B)を有する。従って、ベース部材2gは、第一ベース体4と腕部材9(第三ベース体)により形成される。
【0094】
図22の平面図及び正面図に示すように、腕部材9は、略矩形平板状に形成されており、第一平坦面9aと、第一平坦面9aとは反対側に設けられた第二平坦面9bと有する。腕部材9は、磁性材料により形成される。第一平坦面9aと第二平坦面9bとは平行に形成されており、第一平坦面9aと第二平坦面9bとの間の距離R3(板厚)は予め与えられており既知である。腕部材9は、一方の第二平坦面9b側に、複数のマグネットM4(磁着支持部)を有する。また、腕部材9の両長辺測縁には、略U字状の操作部91が設けられる。
【0095】
図21に戻り、腕部材9を用いてターゲット支持具1gの使用例について説明する。まず、腕部材9を被着体101の隣接する異なる外側面101aに対して、外側面101aと第二平坦面9bを対向させた状態で、マグネットM4の磁力により装着する。各腕部材9は略直角となるように配置される。これにより、角部101bにおいて被着体101の外側面101aと平行な面が第一平坦面9aにより延長される。
【0096】
その後、第一ベース体4を、腕部材9の第一平坦面9aに対して、第一平坦面9aと内側面412を対向させた状態で、マグネットM1の磁力により装着させる。従って、第一ベース体4の第一腕部41A側に位置する腕部材9は第一腕部である第一腕部材9Aとして機能し、第一ベース体4の第二腕部41B側に位置する腕部材9は第二腕部である第二腕部材9Bとして機能する。ベース部材2gは、第一腕部21Aと第二腕部21Bとが第一ベース体4を介して間接的に連結されて(即ち、第二ベース体5により一体で直接的に連結されるベース部材2等とは異なる)再帰反射部31を配置可能な屈曲部21を形成する。
【0097】
本実施形態で説明した第一腕部21A側と第二腕部21B側とで別体の腕部材9を用いる構成では、被着体101の外側面101aに腕部材9が傾いて取り付けられた場合であっても、その傾きによって影響を受けることなく、角部101bにおいて第一平坦面9aによる直交面を形成することができる。また、被着体101の角部101bの曲率半径の大きさによっては第一ベース体4の第一腕部41A及び第二腕部41Bを外側面101aに十分な面積を当接できない場合があるが、腕部材9を延長部材として用いることで、大きな曲率半径を有する角部101bにおいてもターゲット支持具1g(即ち、再帰反射部材311)を意図した位置に固定することができる。
【0098】
また、本実施形態では、ターゲット支持具1gのベース部材2gを、第一ベース体4及び複数の腕部材9により構成することができるため、装置全体をコンパクトにすることができる。
【0099】
被着体101の中心Oの位置は以下のように求めることができる。図21で、ターゲット支持具1gにおける再帰反射部31と、第二腕部41Bの内側面412(第一平坦面9a)との第一方向(図21の左右方向)の距離X3は、設計値として予め与えられて既知である。また、再帰反射部31と、第一腕部41Aの外側面411(第一平坦面9a)との第二方向(図21の上下方向)の距離Y3は、設計値として予め与えられて既知である。さらに、腕部材9の板厚である第一平坦面9aと第二平坦面9bとの距離R3も既知である。このため、測量装置102(図1参照)により再帰反射部31の位置311(空間座標)を測定することにより、被着体101の中心Oの位置は、第一方向の座標としては位置311から距離X1、距離R3及び距離X3を加えた距離分オフセットさせ、第二方向の座標としては位置311から距離Y1、距離R3及び距離Y2を加えた距離分オフセットさせた位置であるものとして求めることができる。
【0100】
(実施形態7)
次に、実施形態7のターゲット支持具について説明する。実施形態7のターゲット支持具は、実施形態1~6又は変形例1~3において、被着体101と磁着可能な磁着支持部として、マグネットM1~M4の代わりに、電磁石を用いる。電磁石は電源を投入すると(電流ON)磁力が消磁され、電源が切られると磁力が発生する構成とすることができる。マグネットM1~M4の代わりに電磁石を用いた場合は、各部材内に、電池等の電源と、電磁石への電力供給を制御するドライバと、ドライバに対する制御指示を受信する受信部とを設ける構成とすることができる。
【0101】
これにより、第一腕部21A(41A,51A,51Aa)に設けられた電磁石(磁着支持部)と、第二腕部21B(41B,51B,51Ba)に設けられた電磁石(磁着支持部)とは、一方の着脱動作と他の一方の着脱動作とが連動するように電気的に制御可能に構成することができる。
【0102】
また、磁着支持部として電磁石を用いた場合には、マグネット支持部45の回動機構を省略することもでき、ターゲット支持具の構成を簡易にすることができる。
【0103】
このように、本開示に係るターゲット支持具1,1a~1gは、第一腕部21Aと第二腕部21Bとが連結されて屈曲部22を形成するベース部材2と、少なくとも第一腕部21Aに設けられた磁着支持部(マグネットM1~M4又は電磁石)と、ベース部材2の屈曲部22(ヒンジ部23)に設けられた再帰反射部31と、を備える構成とした。また、第一腕部21Aと第二腕部21Bとが直接的又は間接的に連結されて再帰反射部31を配置可能な屈曲部21を形成可能なベース部材2,2a,2gと、第一腕部21A及び第二腕部21Bに設けられた磁着支持部(マグネットM1~M4又は電磁石)と、を備えたターゲット支持具1,1a~1gの構成についても説明した。これにより、再帰反射部31は磁着支持部により任意の被着体101に対して安定して着脱可能に構成される。従って、利便性の高いターゲット支持具1,1a~1dを構成することができる。
【0104】
以上で本開示の実施形態の説明を終えるが、本開示の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0105】
例えば、本実施形態の説明において、第二ベース体5の第一腕部51A及び第二腕部51Bの各先端側端部513は、屈曲させて内側面512を傾斜させたり、被着体101の平坦面に安定して面当接させることが可能な程度の面積を有する先端側端面を形成する等により、同一平面上に平坦状に形成してもよい。
【0106】
また、実施形態1及び実施形態2のターゲット支持具1,1aは、第一ベース体4及び第二ベース体5,5aが着脱可能な構成として説明したが、第一ベース体4及び第二ベース体5,5aは一体的に構成されていてもよい。
【0107】
また、変形例1の確認機構6は、ターゲット支持具1を被着体101に装着させると移動部材62の本体部621が外側面511から突出し、ターゲット支持具1を被着体101から取り外すと移動部材62が外側面511と略面一となるように位置する、又は、収容部61内に没入する構成としてもよい。
【0108】
また、確認機構6は、ターゲット支持具1,1a~1dの被着体101への装着を検出して電気的な出力(例えば、発光)が可能な出力部を備えてもよい。その場合、ターゲット支持具1,1a~1dは、電源部(例えば、電池やソーラパネル)を備えてもよい。
【0109】
また、各実施形態では、マグネットM1~M3を第一腕部21A及び第二腕部21Bにそれぞれに設けた構成について説明したが、マグネットM1~M3は第一腕部21A及び第二腕部21Bの少なくとも一方(マグネットM1~M3を設けた一方を第一腕部と定義してもよい。)に設けてもよい。
【0110】
また、第一腕部21A及び第二腕部21Bは便宜上異なる名称を用いて説明したが、ターゲット支持具1,1a~1dは、第一腕部21Aと第二腕部21Bとの間で構成又は名称を入れ替えたものとしてもよい。
【0111】
また、第一腕部21A及び第二腕部21Bは、各々略直線棒状に形成した構成例について説明したが、部分的に又は全体的に湾曲部を含むように構成してもよい。即ち、第一腕部21A及び第二腕部21Bは、被着体101の外側面101aに倣って装着可能な他の形状としてもよい。例えば、被着体101の外側面101aが円柱体の湾曲側面である場合、第一腕部21A及び第二腕部21Bの内側面は、円弧状の領域を含むように構成することができる。
【0112】
また、ターゲット支持具1,1a,1b,1c,1e,1f,1gにおいて、再帰反射部31は、図17のターゲット支持具1dに示すように、第一腕部21Aと第二腕部21Bとの各中心線(仮想直線L)の交点位置に、測点とする位置311を設けてもよい。
【0113】
また、第一ベース体4及び第二ベース体5,5aがマグネットM1により着脱可能な構成について説明したが、ねじ締結、凹凸嵌合、係合爪を用いた係脱機構等のその他の着脱構造により着脱可能に構成してもよい。
【0114】
また、本実施形態1~7及び変形例1~3に示した構成は、いずれも一部の構成を他の実施形態又は変形例における一部の構成で置換又は付加して適用してもよい。
【符号の説明】
【0115】
1(1-1,1-2,1-3,1-4) ターゲット支持具
1a(1a-1,1a-2) ターゲット支持具
1b ターゲット支持具
1c(1c-1) ターゲット支持具
1d ターゲット支持具
1e(1e-1,1e-2) ターゲット支持具
1f(1f-1,1f-2) ターゲット支持具
1g ターゲット支持具
2,2a,2g ベース部材
3 再帰反射部材
4 第一ベース体
5,5a,5e,5f 第二ベース体
6 確認機構
7 紐状リンク部材
9 腕部材
9A 第一腕部材
9B 第二腕部材
9a 第一平坦面
9b 第二平坦面
21A,21Aa 第一腕部
21B,21Ba 第二腕部
22 屈曲部
23 ヒンジ部
31 再帰反射部
32 支持部
41 腕部
41A,41Aa 第一腕部
41B,41Ba 第二腕部
42 屈曲部
43 被支持部
44 支持用孔
51,51a 腕部
51A,51Aa 第一腕部
51B,51Ba 第二腕部
52 屈曲部
53,53a 着脱部
54 マグネット支持部
55 孔部
55a 被当接部
56 切欠部
57 解除部
58 マグネット支持部
58a 磁着面
59 解除部
61 収容部
62(62-1,62-2) 移動部材
81 リンク部材
82 操作部
83 支持部
91 操作部
101 被着体
101a 外側面
101a1 入隅部
101a2 出隅部
101b 角部
101c 角部
101d 角部
102 測量装置
103 屋内空間
311 位置
411 外側面
411a 基準位置
412 内側面
412a 基準位置
413 先端側端面
414 上面
415 下面
421 内側傾斜部
422 外側傾斜部
423 溝部
431 環状部材
511 外側面
512 内側面
512a 基準位置
513 先端側端部
514 開口部
515 被支持部
516 開口部
517 ガイド部
517a 第一側壁
517b 第二側壁
517c 第三側壁
518 被支持部
519 鍔部
541 基部
541a 軸受部
542 本体部
542a 磁着面
542a 磁着面
543,543a,543b,543c テーパ部
544 突出部
544a 逃げ部
544b 規制部
545 接続部
546 係合部
561 回動支持部
571 ハンドル部
572 支持杆
572a 解除突起
591 ノブ
592 接続部
611 小径部
612 座繰部
621 本体部
622 フランジ部
A 対称軸
B 平面
C 回動軸
D 径方向
E 回動軸
F 方向
L 仮想直線
M1~M4 マグネット
G ガイド線
g1 基準点
O 中心
R1~R3 距離
X1~X4 距離
Y1~Y4 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22