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  • 特開-電気機器 図1
  • 特開-電気機器 図2
  • 特開-電気機器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048330
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/467 20060101AFI20230331BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20230331BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
H01L23/46 C
H01L23/46 Z
H05K7/20 P
H05K7/20 H
H05K7/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157589
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000144393
【氏名又は名称】株式会社三社電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090310
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正俊
(72)【発明者】
【氏名】戸田 一旗
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA11
5E322BA03
5E322BB03
5E322EA03
5F136BA03
5F136CA06
5F136CB06
5F136DA27
(57)【要約】
【課題】 発熱部品に結露が付着することを防止する。
【解決手段】 前端と後端とに空気流入孔10と空気流出口12を有する仕切り壁4が、ケース2内を上側部屋6と下側部屋8とに仕切っている。上側部屋6の空気流出口12側にモジュール22が配置されている。下側部屋8の空気流入口10及び空気流出口12に亘って水冷式ヒートシンク14が配置されている。上側部屋6の空気流入口10側にファン24が配置され、モジュール22に向けて空気を吹き付けて、上側部屋6及び下側部屋8間で空気を循環させている。水冷式ヒートシンク14は、モジュール22で温度上昇された空気を急冷し、結露を発生させることにより空気を乾燥する結露発生部28を有している。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前端と後端にそれぞれ第1及び第2の空気流通孔を有し、前記ケース内を第1及び第2の部屋に仕切る仕切り手段と、
前記第1の部屋の前記第2の空気流通孔側に配置された発熱部品と、
前記第2の部屋の前記第1及び第2の空気流通孔に亘って配置された冷却手段と、
前記第1の部屋の前記第1の空気流通孔側に配置され、前記発熱部品に向けて空気を吹き付けて前記第1及び第2の部屋間で空気を循環させるファンとを、有し
前記冷却手段は、前記発熱部品で温度上昇された前記空気を急冷し、結露を発生させることにより前記空気を乾燥する結露発生部を有する、
電気機器。
【請求項2】
請求項1記載の電気機器において、前記冷却手段は、複数のフィンを有し、これらフィン間を、前記第1の部屋から、前記フィンによって送り込まれた空気が通過する電気機器。
【請求項3】
請求項2記載の電気機器において、前記冷却手段は、水冷手段である電気機器。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか記載の電気機器において、前記仕切り手段は、前記ケースを上下に仕切っており、前記第1の部屋が上側であり、前記下側の部屋が第2の部屋であり、前記冷却手段の前記フィンは、前記結露が落下するように下方に開口されている電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体素子のような発熱部品を冷却する際に、冷却空気の循環経路内で結露が発生しても、乾燥した空気で発熱部品を冷却する電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱部品の冷却装置として、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。この冷却装置は、ケーシングとベースプレートとによって内部が空間であるヒートシンクを形成し、このヒートシンク内に複数のフィンを配置し、ヒートシンク内を冷却水を循環させて、水冷式ヒートシンクを構成し、そのヒートシンクに半導体素子を取り付け、半導体素子を冷却するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4634599号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、水冷式ヒートシンクによって強力に半導体素子を冷却することができるが、冷却の際に半導体素子に結露が発生することがある。この結露が半導体素子に付着し、半導体素子に故障が発生することがある。
【0005】
本発明は、発熱部品に結露が付着することを防止する電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の電気機器は、ケースを有している。前記ケース内を第1及び第2の部屋に仕切り手段が仕切っている。仕切り手段の前端と後端に第1及び第2の空気流通孔が形成されている。前記第1の部屋における前記第2の空気流通孔側に発熱部品が配置されている。発熱部品としては、例えば半導体素子や変圧器を使用することができる。前記第2の部屋において前記第1及び第2の空気流通孔に亘って冷却手段が配置されている。冷却手段としては、例えば水冷式のものを使用することができる。前記第1の部屋における前記第1の空気流通孔側にファンが配置され、ファンは前記発熱部品に向けて空気を吹き付けて前記第1及び第2の部屋間で空気を循環させる。冷却手段は前記発熱部品で温度上昇された前記空気を急冷し、結露を発生させることにより前記空気を乾燥する結露発生部を有している。
【0007】
このように構成された電気機器では、冷却手段によって発熱部品が冷却され、冷却手段の結露発生部が結露を発生させて、空気を乾燥させる。この乾燥された空気をファンが発熱部品に吹き付ける。従って、発熱部品には、結露による水分を含む空気が吹き付けられることがなく、発熱部品の故障を防止することができる。
【0008】
上記の態様において、前記冷却手段は、複数のフィンを有するものとすることができる。これらフィン間を、前記第1の部屋から、前記フィンによって送り込まれた空気が通過する。
【0009】
このように構成すると、冷却手段によって冷却された空気が冷却手段の複数のフィン間を通過することによって、さらに冷却され、冷却手段の結露発生部で即座に結露を発生する。
【0010】
さらに、前記冷却手段を水冷手段とすることができる。水冷手段とすることによって良好に冷却することができる。
【0011】
上記の各態様のいずれかにおいて、前記仕切り手段は、前記ケースを上下に仕切るものとすることができる。この場合、前記第1の部屋が上側であり、前記下側の部屋が第2の部屋であり、前記冷却手段の前記フィンは、前記結露が落下するように下方に開口されている。
【0012】
このように構成すると、フィンの下方開口から除湿成分を良好に下方に落下させることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、乾燥させた空気を発熱部品に吹き付けることができ、発熱部品の故障を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の1実施形態の電気機器の要部の縦断正面図である。
図2図1の電気機器の要部の横断平面図である。
図3図1の電気機器の要部の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の1実施形態の電気機器は、この電気機器で使用する発熱部品、例えば半導体素子、例えばサイリスタやIGBTを冷却するために電気機器内に配置するものである。この電気機器は、図1に示すように、ケース2を有している。ケース2は、例えば直方体状のもので、内部が空洞に形成されている。このケース2の内部には、仕切り手段、例えば仕切り壁4が、例えば水平に配置され、ケース2の内部を第1および第2の部屋、例えば上側部屋6と下側部屋8とに仕切っている。仕切り壁4の一端側に第1の空気流通口、例えば空気流入口10が上側部屋6と下側部屋8とをつなぐように2つ形成されている。2つの空気流通口10は、図2に示すように、水冷式ヒートシンク14の幅方向に並べて位置している。仕切り壁5の他端側に第2の空気流通口、例えば空気流出口12が、空気導入口と同様に2つ形成されている。
【0016】
仕切り壁4の中央には、開口が形成され、この開口に冷却手段、例えば水冷ヒートシンク14がはめ込まれ、その上面が仕切り壁4の上面と一致するように、かつヒートシンク14の残りの部分が下側部屋8に位置するように、水冷ヒートシンク14が配置されている。水冷ヒートシンク14は、図2における幅方向の中央で2つの部屋に長さ方向に沿って区切られており、空気流出口12側に設けた給水通路16を介して一方の部屋に水が供給され、この部屋の水は、空気流入口10側に設けた連絡通路18を介して他方の部屋に供給され、他方の部屋の水は、空気流出口12側に設けた排水通路20を介して排出される。
【0017】
水冷ヒートシンク14の上面に、発熱部品、例えばサイリスタまたはIGBTのモジュール22が取り付けられている。
【0018】
水冷ヒートシンク14の空気流入口10側の端には、ファン24が、モジュール22に空気を吹きかけるように、2つ並べて配置されている。
【0019】
水冷式ヒートシンク14の下面には、伝熱製の複数のフィン26が図3に示すように、水冷ヒートシンク14の幅方向に間隔をあけて、複数配置されている。フィン26は、水冷ヒートシンク14の一方の端から他方の端まで設けられており、フィン26の間に形成された開口が、下方に開口している。ば給水通路16及び排水通路20が設けられている側から或る距離の範囲のフィン26の部分が結露発生部28として機能する。
【0020】
このように構成された電気機器では、ファン24、24による送風によってモジュール22が冷却されると共に水冷式ヒートシンク14によっても冷却される。モジュール22を冷却した空気は、モジュール22の熱で暖められているが、空気流出口12、12を介して下側部屋8に入り、フィン26の間を通る。このとき、フィン26は水冷ヒートシンク14に取り付けられているので冷却されており、暖められた空気は、結露発生部28によって冷却され、図3に細線の破線で示すように、結露が発生し、空気は除湿される。除湿された空気は、フィン26間の開口に向かって下方に滴下される。除湿された空気は、フィン26の連絡通路18側の端まで到達し、空気流通口10、10を通過して上側部屋6に入り、ファン24、24によってモジュール22に吹きかけられる。以下、同様な動作が繰り返され、モジュール22を冷却したことにより暖められた空気は結露発生部28によって除湿され、除湿された空気が再びモジュール22を冷却する。
【0021】
従って、モジュール22を冷却する空気は、除湿された空気であり、湿気によってモジュールが故障することはない。
【0022】
上記の実施形態では、モジュール22は、仕切り壁4の開口に取り付けた水冷式ヒートシンク14上に取り付けたが、仕切り壁4に開口を設けずに、水冷式ヒートシンク14を仕切り壁14の下面に取り付けて、水冷式ヒートシンク14はモジュール22を冷却せずに、モジュール22を冷却することによって暖められた空気を冷却し、結露を発生させるように構成することもできる。上記の実施形態では、空気流入孔10、空気流出孔12及びファン24をそれぞれ2つ設けたが、いずれも1つだけ設けることもできる。上記の実施形態では、発熱部品としてモジュール22を使用したが、これに限ったものでなく、例えば変圧器を発熱部品として使用することもできる。
【符号の説明】
【0023】
2 ケース
4 仕切り壁
6 上側部屋(第1の部屋)
8 下側部屋(第2の部屋)
10 空気流入孔(第1の空気流通口)
12 空気流出孔(第2の空気流通口)
14 水冷式ヒートシンク(冷却手段)
22 モジュール(発熱部品)
24 ファン
26 フィン
図1
図2
図3