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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048333
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 13/071 20060101AFI20230331BHJP
   B65G 13/02 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B65G13/071 A
B65G13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157596
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】伊東 一夫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 展明
(72)【発明者】
【氏名】田中 政樹
【テーマコード(参考)】
3F033
【Fターム(参考)】
3F033BB02
3F033BB14
3F033BB16
3F033BC02
(57)【要約】
【課題】より長期間に亘って運用可能な搬送装置を提供する。
【解決手段】複数のローラ部材41とベルト部材95を有し、搬送物を所定の方向に搬送する搬送装置において、ベルト部材95は、ローラ部材41に回転力を付与する部材であり、ベルト部材95の一部がローラ部材41と接触した状態でベルト部材95が移動することで、ローラ部材41が回転するものであり、ローラ部材41は、下方に移動可能な状態で取り付けられており、搬送物の荷重がローラ部材41にかかることでローラ部材41が下方に移動し、ローラ部材41がベルト部材95に押し当てられるものとする。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラ部材とベルト部材を有し、搬送物を所定の方向に搬送する搬送装置であって、
前記ベルト部材は、前記ローラ部材に回転力を付与する部材であり、前記ベルト部材の一部が前記ローラ部材と接触した状態で前記ベルト部材が移動することで、前記ローラ部材が回転するものであり、
前記ローラ部材は、下方に移動可能な状態で取り付けられており、
搬送物の荷重が前記ローラ部材にかかることで前記ローラ部材が下方に移動し、前記ローラ部材が前記ベルト部材に押し当てられることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記ベルト部材は、弾性変形可能であり、
前記ローラ部材が下方に移動して前記ベルト部材に押し当てられることで、前記ベルト部材が弾性変形するものであり、
搬送物の荷重が前記ローラ部材にかかる状態から、当該荷重が前記ローラ部材にかからない状態に移行することで、前記ベルト部材の弾性復元力によって前記ローラ部材が上方に移動することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記ローラ部材は、少なくとも下方に移動した際に前記ベルト部材と接触する部分となるベルト接触部を有し、
ベルト受部材をさらに有し、
前記ベルト受部材は、前記ベルト接触部の下方に位置する回転体であり、
前記ローラ部材が下方に移動した際、前記ベルト部材の一部が前記ベルト接触部と前記ベルト受部材に挟まれた状態となり、この状態で前記ベルト部材が移動することで前記ベルト受部材が回転することを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
駆動源からの動力によって回転する駆動側回転体と、補助回転体部材を有し、
前記ベルト部材と前記駆動側回転体が係合しており、前記駆動側回転体の回転に伴って前記ベルト部材が移動するものであり、
前記ベルト部材の一部が前記駆動側回転体と前記補助回転体部材によって挟まれており、前記ベルト部材の移動に伴って前記補助回転体部材が回転することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
第一領域と、前記第一領域よりも搬送物の搬送方向で下流側に位置する第二領域を有しており、
それぞれ異なる駆動源である第一駆動源と第二駆動源を備え、
前記ベルト部材は、上流側ベルト部材と下流側ベルト部材を含み、
前記上流側ベルト部材は、前記第一領域に配された前記ローラ部材に回転力を付与する部材であり、前記第一駆動源から動力が伝達されており、
前記下流側ベルト部材は、前記第二領域に配された前記ローラ部材に回転力を付与する部材であり、前記第二駆動源から動力が伝達されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記ベルト部材は、丸ベルトであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項7】
前記ローラ部材は、ローラ本体部とベルト係合部を有しており、
前記ベルト係合部は、少なくなくとも下方に移動した際に前記ベルト部材と接触する部分となるベルト接触部を含んで形成される部分であり、
平面視で搬送方向と直交する方向を幅方向としたとき、幅方向で前記ローラ本体部の内側又は外側となる位置に前記ベルト係合部が位置することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送物を所定方向に搬送する搬送装置が広く知られている。このような搬送装置として、例えば、特許文献1に開示されたローラコンベヤ設備が知られている。このローラコンベヤ設備は、搬送方向に並べられる複数のローラと、その下側に配される無端平ベルトを有している。そして、無端平ベルトが複数のローラに下方から接触している。
【0003】
すなわち、特許文献1のローラコンベヤ設備では、無端平ベルトが走行することで、無端平ベルトと接触するローラに動力が伝達されてローラが回転する。このことから、ローラ上に載置された搬送物の搬送が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-120377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来のローラコンベヤ設備を実際に運用すると、無端平ベルトが常にしっかりローラに接触した状態で走行を続け、ローラが回転し続けることとなる。このことから、ローラコンベヤ設備は、経年使用によって無端平ベルトが摩耗してしまうという問題が生じてしまう。
すなわち、従来のローラコンベヤ設備は、経年使用による劣化を抑制し、より長期間に亘って運用可能なものを提供するという点において改良の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、より長期間に亘って運用可能な搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、複数のローラ部材とベルト部材を有し、搬送物を所定の方向に搬送する搬送装置であって、前記ベルト部材は、前記ローラ部材に回転力を付与する部材であり、前記ベルト部材の一部が前記ローラ部材と接触した状態で前記ベルト部材が移動することで、前記ローラ部材が回転するものであり、前記ローラ部材は、下方に移動可能な状態で取り付けられており、搬送物の荷重が前記ローラ部材にかかることで前記ローラ部材が下方に移動し、前記ローラ部材が前記ベルト部材に押し当てられることを特徴とする搬送装置である。
【0008】
本様相の搬送装置では、搬送物がローラ部材の上方に位置し、搬送物の荷重がローラ部材にかかることでローラ部材が下方に移動する。そして、ローラ部材がベルト部材に押し当てられた状態となる。すなわち、搬送物がローラ部材の上方にあり、搬送物に搬送力を付与する必要があるときに、ローラ部材がベルト部材としっかりと接触する。その一方で、搬送物がローラ部材の上方になく、ローラ部材に搬送物の荷重がかからないときには、ローラ部材とベルト部材が接触しない、又は、荷重がかかるときに比べて軽く接触した状態となる。
以上のことから、ローラとベルトが常時しっかりと接触するような搬送装置に比べ、経年使用によるベルト部材の劣化(摩耗)を抑制できるため、より長期間に亘る運用が可能となる。また、本発明の搬送装置によると、搬送物の荷重によってローラ部材が下降するので、ローラ部材を加工させるために大がかりな昇降装置等を必要とせず、製造コストの低減を図ることができる。
【0009】
上記した様相は、前記ベルト部材は、弾性変形可能であり、前記ローラ部材が下方に移動して前記ベルト部材に押し当てられることで、前記ベルト部材が弾性変形するものであり、搬送物の荷重が前記ローラ部材にかかる状態から、当該荷重が前記ローラ部材にかからない状態に移行することで、前記ベルト部材の弾性復元力によって前記ローラ部材が上方に移動することが好ましい。
【0010】
かかる様相によると、大がかりな昇降装置等を必要とせず、ローラ部材を上昇させることができる。
【0011】
上記した様相は、前記ローラ部材は、少なくとも下方に移動した際に前記ベルト部材と接触する部分となるベルト接触部を有し、ベルト受部材をさらに有し、前記ベルト受部材は、前記ベルト接触部の下方に位置する回転体であり、前記ローラ部材が下方に移動した際、前記ベルト部材の一部が前記ベルト接触部と前記ベルト受部材に挟まれた状態となり、この状態で前記ベルト部材が移動することで前記ベルト受部材が回転することが好ましい。
【0012】
かかる様相によると、搬送物がローラ部材上に位置するとき、ローラ部材とベルト部材をよりしっかりと接触させた状態とすることができる。
【0013】
上記した様相は、駆動源からの動力によって回転する駆動側回転体と、補助回転体部材を有し、前記ベルト部材と前記駆動側回転体が係合しており、前記駆動側回転体の回転に伴って前記ベルト部材が移動するものであり、前記ベルト部材の一部が前記駆動側回転体と前記補助回転体部材によって挟まれており、前記ベルト部材の移動に伴って前記補助回転体部材が回転することが好ましい。
【0014】
かかる様相によると、ベルト部材への駆動力の伝達効率を向上させることができる。
【0015】
上記した様相は、第一領域と、前記第一領域よりも搬送物の搬送方向で下流側に位置する第二領域を有しており、それぞれ異なる駆動源である第一駆動源と第二駆動源を備え、前記ベルト部材は、上流側ベルト部材と下流側ベルト部材を含み、前記上流側ベルト部材は、前記第一領域に配された前記ローラ部材に回転力を付与する部材であり、前記第一駆動源から動力が伝達されており、前記下流側ベルト部材は、前記第二領域に配された前記ローラ部材に回転力を付与する部材であり、前記第二駆動源から動力が伝達されていることが好ましい。
【0016】
かかる様相によると、搬送装置の搬送方向における長さ(搬送距離)を長くした場合においても、ベルト部材の意図しない変形(ベルトのコシが折れてしまうような変形)を防止可能となる。すなわち、搬送装置の搬送方向における長さを長くしても、搬送物を確実に搬送することが可能となる。
【0017】
上記した様相は、前記ベルト部材は、丸ベルトであることが好ましい。
【0018】
かかる様相によると、ローラ部材が前記ベルト部材に押し当てられた状態と、そうでない状態とでローラ部材とベルト部材の接触面積を可変させることができる。
【0019】
上記した様相は、前記ローラ部材は、ローラ本体部とベルト係合部を有しており、前記ベルト係合部は、少なくなくとも下方に移動した際に前記ベルト部材と接触する部分となるベルト接触部を含んで形成される部分であり、平面視で搬送方向と直交する方向を幅方向としたとき、幅方向で前記ローラ本体部の内側又は外側となる位置に前記ベルト係合部が位置することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、より長期間に亘って運用可能な搬送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る搬送装置を示す斜視図である。
図2図1の搬送装置を示す平面図である。
図3】(a)は、図1の上流側駆動源部の一部を示す分解斜視図であり、(b)は、図1の上流側駆動源部の一部を示す平面図である。
図4】(a)は、図1の上流側第一搬送部を示すA-A断面図であり、(b)は、(a)の搬送ローラとその周辺を搬送装置の幅方向内側からみた側面図である。
図5】(a)は、図1の保持フレーム部材を示す斜視図であり、(b)は、(a)のローラ取付孔の周辺を拡大して示す側面図である。
図6図1の搬送ローラを示す図であり、(a)、(b)は、別方向からみた斜視図であり、(c)は、正面図である。
図7図1の第一連結部材の周辺を拡大して示す分解斜視図であり、ベルト部材、連結用フレーム部材を省略して示す。
図8図1の上流側駆動源部の長手方向における片側端部近傍を拡大して示す斜視図である。
図9図1の上流側第一搬送部及びその周辺の要部を示す説明図であり、搬送装置の幅方向内側からみた様子を模式的に示す。
図10図1の搬送装置1で搬送物を搬送している様子を示す平面図である。
図11図1の搬送装置1での搬送物の下流側への移動に伴い、各搬送ローラが上下に移動する様子を模式的に示す説明図であり、(a)は、搬送物が上流側に位置した状態を示し、(b)は、(a)の状態から搬送物が下流側に搬送された様子を示す。
図12】搬送ローラが下方に移動する様子を示す説明図であり、搬送ローラの片側側方からみた様子を示す図であって、(a)は、移動前の様子を示し、(b)は、移動後の様子を示す。
図13】搬送ローラが下方に移動する様子を示す説明図であり、図12とは異なる側方からみた様子を示す図であって、(a)は、移動前の様子を示し、(b)は、移動後の様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る搬送装置1について、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なお、以下の説明では、平面視において、搬送物の搬送方向と直交する方向を搬送装置1の幅方向とも称す。また、「搬送物の搬送方向」は、単に搬送方向とも称する。
【0023】
本実施形態の搬送装置1は、農作物を屋内で栽培する植物栽培装置の一部として使用することが可能である。そして、特に限定されるものではないが、植物栽培装置で使用される栽培トレイ(詳細な図示を省略する)を搬送対象物(搬送物)とし、搬送動作を実行することを想定している。
より詳細には、一の栽培トレイを下流側に搬送した後、間隔を開けて他の栽培トレイを下流側に搬送する、といった具合に、複数の栽培トレイを互いに間隔を開けた状態で搬送する(間欠搬送する)ことを想定している。なお、栽培トレイとは、植物を生育させるために使用される部材であり、培養液を収容して液溜まりを形成し、植物の苗の少なくとも一部を形成した液溜まりに浸けた(接触させた)状態で配置可能なものである。
【0024】
本実施形態の搬送装置1は、図1で示されるように、上流部2(第一領域)と下流部3(第二領域)を有している。
【0025】
上流部2は、搬送物の搬送方向で上流側の領域に配される各部材で構成されており、上流側駆動源部10と、二条の搬送部11(上流側第一搬送部20、上流側第二搬送部21)を有している。二条の搬送部11は、搬送装置1の幅方向で離れた位置にそれぞれ配され、互いに平行となるように延びている。また、それぞれの搬送部11は、搬送方向に沿って直線状に延びる部分である。
【0026】
下流部3は、搬送物の搬送方向で下流側の領域に配される各部材で構成されており、下流側駆動源部15と、二条の搬送部11(下流側第一搬送部22、下流側第二搬送部23)を有している。下流部3の二条の搬送部11もまた、搬送装置1の幅方向で離れた位置にそれぞれ配されており、互いに平行となるように延びている。そして、それぞれの搬送部11は、搬送方向に沿って直線状に延びている。また、下流部3の二条の搬送部11は、搬送装置1の幅方向における離間距離(2つの搬送部11間の間隔の長さ)が、上流部2の二条の搬送部11の離間距離と同一(又は略同一)としている。
【0027】
上流側駆動源部10は、図1図2で示されるように、モータ内蔵ローラ10a(駆動源、第一駆動源)と、2つの駆動ローラ10b(駆動側回転体)によって構成される。
【0028】
モータ内蔵ローラ10aは、公知のものと同様に、略円筒状のローラ内にモータと減速機が内蔵されたものである。
2つの駆動ローラ10bは、具体的には、搬送装置1の幅方向の片側に配される第一上流側駆動ローラ30と、他方側に配される第二上流側駆動ローラ31である。この2つの駆動ローラ10bは、モータ内蔵ローラ10aの長手方向の両端にそれぞれ取り付けられている。
【0029】
駆動ローラ10bは、図3で示されるように、概形が略円筒状となる部材であり、挿通孔部35を有する。この挿通孔部35は、駆動ローラ10bを長手方向(図3(b)における左右方向)に貫通する貫通孔である。
また、駆動ローラ10bの外周面部分には、2条の係合溝部36が設けられている。詳細には、外周面部分うち、駆動ローラ10bの長手方向の一端部よりの部分に一方の係合溝部36が形成され、同長手方向の他端部よりの部分に他方の係合溝部36が形成されている。
【0030】
係合溝部36は、駆動ローラ10bの径方向内側に向かって窪み、外周面部分に沿って円環状に連続している。そして、横断面形状が略円弧状となる。すなわち、2つの溝壁部分とその間に位置する溝底部分が円弧状に連続する湾曲面を形成し、溝底部分が丸みを帯びた形状となっている。
【0031】
この駆動ローラ10bは、図3で示されるように、挿通孔部35にモータ内蔵ローラ10aの軸部を挿通した状態で、モータ内蔵ローラ10aに取り付けられている。
このとき、駆動ローラ10bは、モータ内蔵ローラ10aのローラ部分と接触し、ローラ部分と一体に取り付けられた状態となっている。つまり、モータ内蔵ローラ10aが稼働してローラ部分が回転すると、駆動ローラ10bのローラ部分と共に回転する。すなわち、モータ内蔵ローラ10aの軸部を回転中心として、この軸部の周方向に回転する。
【0032】
なお、図示を省略するが駆動ローラ10bの内部には、軸受部材(ベアリング部材)が配されている。そして、駆動ローラ10bがモータ内蔵ローラ10aに取り付けられたとき、駆動ローラ10b内では、モータ内蔵ローラ10aの軸部が軸受部材の中心孔に挿通されている。つまり、駆動ローラ10bの本体部分(筒状の部分)は、軸受部材を介してモータ内蔵ローラ10aの軸部に取り付けられている。
【0033】
4つの搬送部11(上流側第一搬送部20、上流側第二搬送部21、下流側第一搬送部22、下流側第二搬送部23)は、略同一の構造であるので、以下の説明では、上流側第一搬送部20を詳細に説明し、他の重複する詳細な説明を省略する。
【0034】
上流側第一搬送部20は、図1図2で示されるように、保持フレーム部材40と、複数の搬送ローラ41(ローラ部材)を有しており、保持フレーム部材40に対して複数の搬送ローラ41を取り付けて形成されている。また、図4で示されるように、保持フレーム部材40には、それぞれの搬送ローラ41の近傍となる位置に、回転体部材42(ベルト受部材)が取り付けられている。すなわち、上流側第一搬送部20は、搬送ローラ41と同数となる複数の回転体部材42を有している。
なお、作図の都合上、一部の搬送ローラ41にのみ符号を付し、他の搬送ローラ41への符号を省略する。また、他の部材も同様に、必要に応じて一部のみに符号を付し、他への符号を省略する。
【0035】
保持フレーム部材40は、図5(a)で示されるように、底板部50と、第一側壁部51と、第二側壁部52を有しており、搬送方向(図1参照)に延びる長尺の部材である。
底板部50は、上下方向に厚さを有する平板状の部分であり、適宜の部分に、ねじ、ボルト等の締結要素を挿通可能な貫通孔が形成されている。
なお、ここでいう締結要素とは、ネジ、釘、ボルトといった、複数部材を貫通して(又は少なくとも一部材を貫通すると共に他の一部材内に挿通して)、複数部材を一体に固定する棒状の固定手段とする。
【0036】
第一側壁部51、第二側壁部52は、底板部50の幅方向の両端それぞれから上方に突出する立板状の部分である。第一側壁部51、第二側壁部52は、底板部50(保持フレーム部材40)の幅方向で離間対向しており、それぞれ厚さ方向が底板部50の幅方向と同方向となっている。また、この第一側壁部51、第二側壁部52は、長手方向の両端部それぞれの上方側に欠落部が形成されている。この欠落部は、角部分の周辺を欠落して形成される。
【0037】
第一側壁部51、第二側壁部52のそれぞれには、複数のローラ取付孔55が設けられている。また、第一側壁部51、第二側壁部52には、それぞれのローラ取付孔55から下側に離れた位置に回転体取付孔56が設けられている。すなわち、ローラ取付孔55と同数となる複数の回転体取付孔56が設けられている。この回転体取付孔56は、開口形状が円形であり、側壁部(第一側壁部51、第二側壁部52)を厚さ方向に貫通する貫通孔となっている。
【0038】
第一側壁部51に形成されたそれぞれのローラ取付孔55は、第二側壁部52に形成されたそれぞれのローラ取付孔55と、底板部50の幅方向で離間対向している。なお、特に限定されるものではないが、第一側壁部51のそれぞれのローラ取付孔55と、第二側壁部52のそれぞれのローラ取付孔55また、同方向で離間対向している。
【0039】
ローラ取付孔55は、図5(b)で示されるように、上方が開口し、下方に向かって延びる長孔である。すなわち、幅方向(図5(b)の左右方向)で離れた位置にそれぞれ位置して上下方向に延びる2つの側部57,58と、この2つの側部57,58の下側同士を繋ぐ底部59を有する。
【0040】
具体的には、ローラ取付孔55は、大別して、上側からテーパ部55aと、狭窄部55bと、下側部55cに区画される。
【0041】
テーパ部55aでは、下方に向かうにつれて幅(図5(b)の左右方向の長さ)が狭くなる。すなわち、下方に向かうにつれて2つの側部57,58の距離が短くなる。
狭窄部55bでは、下側に隣接する部分、つまり、下側部55cの上側部分よりも幅が狭くなっている。ここで、片側の側部57では、狭窄部55bと下側部55cの境界となる位置に段差が形成されている。その一方で、他方側の側部58では、狭窄部55bから下側部55cの上側部分までの間の側方で直線状に延びている。
下側部55cは、狭窄部55bの下側に位置する部分であり、一方の側部57の下側部分と、底部59と、他方の側部58の下側部分によって囲まれた部分である。
【0042】
底部59は、ローラ取付孔55の下端側に位置して湾曲面を形成する部分である。ここで、一方の側部57と底部59の境界となる部分は、他方の側部58と底部59の境界となる部分よりも高位置となる。すなわち、2つの側部57、58は、いずれも狭窄部55bの下側で直線状に延びているが、一方の側部57のこの直線状に延びる部分の下端が、他方の側部58の直線状に延びる部分の下端よりも高位置となる。したがって、底部59は、片側の側部57よりの部分が、他方の側部58よりも部分よりも高位置となっている。
【0043】
搬送ローラ41は、図6で示されるように、ローラ本体部63と、ベルト係合部64と、丸棒状の軸部材65(図6では図示しない、図4参照)を有する。
【0044】
ローラ本体部63は、略円筒状の部分であり、幅方向(厚さ方向であり、図6(c)の左右方向)に位置する2つの側面部63a,63bと、その間で円環状に連続する外周面部63cを有している。
一方の側面部63aは、ベルト係合部64と連続する部分である。
また、搬送ローラ41は、ローラ本体部63の他方の側面部63bから外側に向かって突出する小筒部70を有する。この小筒部70は、細く短い円筒状の部分であり、その突出方向は、ローラ本体部63の幅方向と同方向である。
【0045】
ベルト係合部64もまた、円筒状の部材であり、円環状に連続する外周面を有している。ベルト係合部64は、ローラ本体部63のよりも径が小さい部材であり、ベルト係合部64の外周面とローラ本体部63の側面部63aは、段差を介して連続している。
【0046】
ベルト係合部64の外周面には、係合溝部71が形成されている。
係合溝部71は、ベルト係合部64の径方向内側に向かって窪み、外周面部分に沿って円環状に連続している。そして、横断面形状が略円弧状となる。すなわち、2つの溝壁部分とその間に位置する溝底部分が円弧状に連続する湾曲面を形成し、溝底部分が丸みを帯びた形状となっている。この溝底部分は、搬送ローラ41上に搬送物が載置されたとき、ベルト部材95(詳しくは後述する、図4参照)が接触するベルト接触部となる。
また、ベルト係合部64のうち、ローラ本体部63の逆側に位置する外側側面部分には、隆起部64aが形成されている。隆起部64aは、ベルト係合部64の外側側面から外側に隆起する部分であり、軸挿通孔72(詳しくは後述する)を囲むように円環状に連続している。
【0047】
すなわち、搬送ローラ41では、ローラ本体部63、ベルト係合部64、小筒部70は一体に形成されており、ローラ本体部63を挟んだ両側にベルト係合部64、小筒部70が位置している。
そして、搬送ローラ41は、ローラ本体部63、ベルト係合部64、小筒部70を貫通して延びる軸挿通孔72を有する。この軸挿通孔72に軸部材65(図4参照)を挿通することで、この軸部材65周りにローラ本体部63、ベルト係合部64が一体に回転する。
【0048】
回転体部材42は、図4で示されるように、回転体本体42aと回転体軸部材42bを有している。
回転体本体42aは、略短円筒状(ローラ状)の部材であり、円環状に連続する外周面部分を有する。本実施形態では、回転体本体42aとして、ベアリング部材(軸受部材)を採用している。
【0049】
具体的には、回転体軸部材42bの一部が回転体取付孔56(図5(a)参照)に挿通された状態で、回転体軸部材42bが保持フレーム部材40に固定されている。つまり、回転体軸部材42bは、保持フレーム部材40の側壁部の内側となる位置に位置している。そして、回転体部材42のうち、保持フレーム部材40の側壁部の内側となる部分(2つの側壁部の間となる部分)に回転体本体42aが取り付けられている。
このとき回転体本体42aは、少なくとも一部が回転体軸部材42bを回転中心として回転可能となっている。本実施形態では、ベアリング部材である回転体本体42aの内輪が回転体軸部材42bに固定され、外輪が回転体軸部材42bの周方向に回転可能となっている。
なお、回転体本体42aは、ベアリング部材に限らず、コロ、プーリ、ローラ等であってもよい。
【0050】
中間ローラ部材4は、図1図2で示されるように、シャフト部材4aと、2つの連結用ローラ4bを有している。2つの連結用ローラ4bは、搬送装置1の幅方向の片側に配される第一連結ローラ75と、他方側に配される第二連結ローラ76である。
【0051】
シャフト部材4aは、金属製の丸棒状の部材である。
連結用ローラ4bは、外観形状が上記した駆動ローラ10bと略同一となっている。すなわち、概形が略円筒状となる部材であり、外周面部分に2条の係合溝部36を有している(図7参照)。
一方、上記した駆動ローラ10bがモータ内蔵ローラ10aの軸部を挿通可能な挿通孔部35(図3参照)を有しているのに対し、連結用ローラ4bには、取付用孔部80が形成されている点が異なる。この取付用孔部80は、図7で示されるように、シャフト部材4aを丁度(又は略丁度)挿通することが可能な貫通孔であり、連結用ローラ4bを幅方向に貫通する。
【0052】
中間ローラ部材4は、シャフト部材4aに2つの連結用ローラ4bが相対回転しない状態で固定されている。具体的には、図7で示されるように、シャフト部材4aの長手方向の端部部分が連結用ローラ4bの取付用孔部80に挿通され、シャフト部材4aの端部部分が連結用ローラ4bを貫通して延びている。そして、シャフト部材4aの取付用孔部80に挿通された部分と連結用ローラ4bとが一体に固定された状態となっている。
このため、2つの連結用ローラ4bは、シャフト部材4aを介して共に回転する。例えば、一方の連結用ローラ4bがシャフト部材4aの周方向に回転すると、シャフト部材4aが同方向に回転し、それに伴って他方の連結用ローラ4bが回転する。
【0053】
下流側駆動源部15は、上流側駆動源部10と同様に、モータ内蔵ローラ15a(駆動源、第二駆動源)と、2つの駆動ローラ15b(駆動側回転体)によって構成されている。2つの駆動ローラ15bは、搬送装置1の幅方向の片側に配される第一下流側駆動ローラ85と、他方側に配される第二下流側駆動ローラ86である。
この下流側駆動源部15は、上記した上流側駆動源部10と同様の構造であるので、重複する詳細な説明を省略する。
【0054】
さらに搬送装置1では、図1に示されるように、上流側第一搬送部20、上流側第二搬送部21のそれぞれの上流側と、下流側第一搬送部22、下流側第二搬送部23のそれぞれの下流側に、駆動側フレーム部材90が配されている。
また、上流側駆動源部10、下流側駆動源部15、中間ローラ部材4の下方側に連結用フレーム部材91が配されている。
つまり、搬送装置1が有するフレーム部材は、4つの保持フレーム部材40と、4つの駆動側フレーム部材90と、3つの連結用フレーム部材91から構成されている。
【0055】
駆動側フレーム部材90は、図8で示されるように、底板部90aと、2つの側壁部90b,90cを有している。
底板部90aは、上下方向に厚さを有する平板状の部分である。2つの側壁部90b,90cは、底板部50の幅方向の両端それぞれから上方に突出する立板状の部分である。
【0056】
2つの側壁部90b,90cのそれぞれには、回転体取付孔93が設けられている(図8では、一方の回転体取付孔93は図示しない)。回転体取付孔93は、側壁部90b,90cを厚さ方向に貫通する貫通孔である。
【0057】
具体的には、側壁部90b,90cのうち、平面視で厚さ方向と直交する方向を長さ方向としたとき、側壁部90b,90cの上側部分は、長手方向の片側に回転体取付孔93が設けられ、他方側に欠落部を有している。欠落部は、側壁部90b,90cの上側部分の一部が欠落して形成される部分である。
【0058】
本実施形態では、駆動側フレーム部材90は、いずれも保持フレーム部材40と隣接する位置に配される(図1参照)。このとき、駆動側フレーム部材90は、側壁部90b,90cの欠落部が保持フレーム部材40側を向くように配されている。
【0059】
回転体取付孔93は、補助回転体94(補助回転体部材、図8参照)を取り付けるための部分である。
補助回転体94は、上記した回転体部材42と同様に、回転体本体部と、軸部とを有する。回転体本体部は、円環状に連続する外周面を備えた略短円筒状(ローラ状)の部材であり、本実施形態では、ベアリング部材を採用している。なお、補助回転体94の本体部は、ベアリング部材に限らず、コロ、プーリ、ローラ等であってもよい。
【0060】
この補助回転体94の軸部は、回転体取付孔93に挿通された状態で駆動側フレーム部材90に固定されている。そして、一方の側壁部90bの内側(2つの側壁部90b、90cの間)に補助回転体94の本体部であるベアリング部材が位置する。
補助回転体94の本体部は、少なくとも一部が軸部の周方向に回転可能となっている。本実施形態では、ベアリング部材である本体部の内輪が軸部に固定され、外輪が軸部の周方向に回転可能となっている。なお、補助回転体94の本体部にコロ等を採用した場合、本体部の全体が軸部回りに回転する。このことは、上記した回転体部材42も同様である。
【0061】
連結用フレーム部材91は、図8で示されるように、平板部91aと、2つの垂下板部91bを有する。
平板部91aは、上下方向に厚さを有する平板状の部分である。
2つの垂下板部91bは、平板部91aの幅方向の両端それぞれから下方に垂下される立板状の部分である。
【0062】
ここで、連結用フレーム部材91は、図1で示されるように、長尺状の部材であり、長さ方向が搬送装置1の幅方向と同方向となるように配されている。
最も上流側の連結用フレーム部材91は、搬送装置1の幅方向の両側で、それぞれ駆動側フレーム部材90と保持フレーム部材40を連結している。
上流側から二番目となる中途位置に配された連結用フレーム部材91は、搬送装置1の幅方向の両側で、搬送方向で並んだ状態の2つの保持フレーム部材40を連結している。
最も下流側の連結用フレーム部材91は、搬送装置1の幅方向の両側で、それぞれ駆動側フレーム部材90と保持フレーム部材40を連結している。
いずれも場合も、連結対象となる2つのフレーム部材の底板部分を連結用フレーム部材91の平板部91aに一時締結要素を介して固定することで、2つのフレーム部材を連結している(図8等参照)。
なお、一時締結要素は、締結要素の一種であり、原則的に非破壊で締結及びその解除が可能な締結要素である。
【0063】
また、搬送装置1は、図1に示されるように、四つのベルト部材95を有する。この四つのベルト部材95は、上流側第一ベルト部材96(上流側ベルト部材)、上流側第二ベルト部材97(上流側ベルト部材)、下流側第一ベルト部材98(下流側ベルト部材)、下流側第二ベルト部材99(下流側ベルト部材)から構成されている。
【0064】
ベルト部材95は、無端ベルトであり、環状に連続する樹脂製(ゴム製)の部材となっている。本実施形態では、ベルト部材95として丸ベルトを採用している。つまり、ベルト部材95は、断面形状が円形又は略円形で延びる部材であり、弾性変形が可能な環状部材である。
【0065】
続いて、搬送装置1の組み立て構造について説明する。
【0066】
本実施形態の上流側駆動源部10は、図1図8で示されるように、搬送装置1の幅方向の片側に位置するフレーム部材(保持フレーム部材40、駆動側フレーム部材90)と、他方側に位置するフレーム部材にそれぞれ固定されている。
以下の説明では、上流側駆動源部10の長手方向の片側部分の取り付け構造を詳細に説明し、他方側については、重複する説明を省略する。
【0067】
具体的には、図8で示されるように、モータ内蔵ローラ10aの軸部分のうちで駆動ローラ10bの外側に位置する部分が、駆動側フレーム部材90と保持フレーム部材40の双方に固定用部材105を介して固定される。
固定用部材105は、モータ内蔵ローラ10aの軸部分の一部を挿通可能な挿通孔を有しており、モータ内蔵ローラ10aの軸部分がこの挿通孔に挿通されている。このことから、軸部分は、固定用部材105を貫通して延びている。モータ内蔵ローラ10aの軸部分は、固定用部材105の挿通孔に挿通される部分の横断面形状が略多角形(本実施形態では略六角形状)となっており、挿通孔に略丁度挿通された状態となっている。このため、モータ内蔵ローラ10aの軸部分は、固定用部材105に固定され、周方向に回転しない構造となっている。
【0068】
本実施形態の中間ローラ部材4は、図1図7で示されるように、搬送装置1の幅方向の片側に位置するフレーム部材(2つの保持フレーム部材40)と、他方側に位置するフレーム部材(2つの保持フレーム部材40)に回転可能に軸支されている。
以下の説明では、中間ローラ部材4の長手方向の片側部分の取り付け構造を詳細に説明し、他方側の重複する詳細な説明を省略する。
【0069】
上記したように、中間ローラ部材4では、シャフト部材4aが連結用ローラ4bを貫通した状態となっている。そして、図7で示されるように、シャフト部材4aのうち、連結用ローラ4bの両側に位置する部分が、2つの保持フレーム部材40のそれぞれの欠落部が隣接配置されて形成される空間部分に配されている。また、シャフト部材4aのうち、連結用ローラ4bの外側に位置する部分が、2つの保持フレーム部材40に固定される中間固定部材110と係合している。
【0070】
具体的には、中間固定部材110は、軸部収容部110aと、フランジ部110bを有する。軸部収容部110aは、略有底円筒形の部分であり、内側(取り付け時における保持フレーム部材40側)に開口を有し、外側に向かって窪んだ形状となっている。この軸部収容部110aの内部には、軸受部材(ベアリング部材)が収容されている。
この中間固定部材110は、フランジ部110bの各部を2つの保持フレーム部材40のそれぞれと重ねた状態とし、これらを一時締結要素等で固定することで、2つの保持フレーム部材40に取り付けられる。
【0071】
そして、シャフト部材4aのうち、連結用ローラ4bの外側に位置する部分を、軸部収容部110a内の軸受部材の中心孔(図示しない)に挿通された状態とし、中間固定部材110を2つの保持フレーム部材40に固定する。このことにより、中間ローラ部材4の長手方向の片側部分が取り付けられる。
以上のことから、中間ローラ部材4は、全体がシャフト部材4aの周方向に回転可能な状態で、4つの保持フレーム部材40に軸支される。
【0072】
下流側駆動源部15の取り付け構造は、上記した上流側駆動源部10の取り付け構造と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0073】
図1で示されるように、搬送部11(上流側第一搬送部20)では、上記したように、保持フレーム部材40に対して複数の搬送ローラ41を取り付けている。
具体的には、搬送ローラ41の軸挿通孔72(図6参照)に軸部材65(図4(a)参照)を挿通し、軸部材65の長手方向の両端部分をそれぞれ離間対向する2つのローラ取付孔55(図5(a)参照)内に配した状態としている。すなわち、軸部材65の長手方向における片側端部側の一部が一方のローラ取付孔55内に配され、他方端部側の一部が他方のローラ取付孔55内に配される。
【0074】
このとき、図4(a)で示されるように、隆起部64a、小筒部70がスペーサとして機能するので、搬送ローラ41が搬送装置1の幅方向にずれない状態で取り付けられる。このとき、ローラ本体部63の側面部63bは、保持フレーム部材40の一方の側壁部の内側面から内側に離れた位置に配される。同様に、ベルト係合部64の側面部分もまた、保持フレーム部材40の他方の側壁部の内側面から内側に離れた位置に配される。
【0075】
回転体部材42は、図4で示されるように、ベルト係合部64の下方に取り付けられている。詳細には、回転体部材42の回転体本体42aは、径方向の長さがローラ本体部63と、ベルト係合部64よりも短くなっている。そして、図4(b)で示されるように、回転体本体42aの回転中心となる部分と、搬送ローラ41の回転中心となる部分は、側面視において(回転軸の長手方向を視線方向とした平面視において)、上下方向で並んだ状態となっている。つまり、ベルト係合部64の真下となる位置に回転体本体42aが配されている。このとき、ベルト係合部64の係合溝部71の下側に、回転体本体42aの外周面が位置した状態となる。
【0076】
ここで、図1で示されるように、それぞれの搬送部11に属する複数の搬送ローラ41は、駆動ローラ10b,15bと連結用ローラ4bの間に位置している。詳細には、上流部2側では、上流側の駆動ローラ10bと、下流側の連結用ローラ4bの間に複数の搬送ローラ41が位置する。対して、下流部3側では、上流側の連結用ローラ4bと、下流側の駆動ローラ15bの間に複数の搬送ローラ41が位置している。
【0077】
そして、4つのベルト部材95のそれぞれは、図1図2で示されるように、搬送方向で離れた一つの駆動ローラ10b(駆動ローラ15b)と一つの連結用ローラ4bの間に巻装されている。
【0078】
具体的には、上流側第一ベルト部材96は、搬送方向で上流側の第一上流側駆動ローラ30と下流側の第一連結ローラ75の間に一定の張力が付与された状態で巻装され、これらの間に位置する複数の搬送ローラ41に回転力を付与する。すなわち、上流側第一搬送部20に属する搬送ローラ41に回転力を付与する部材となっている。
【0079】
上流側第一ベルト部材96の長手方向の一端側部分は、第一上流側駆動ローラ30の2つの係合溝部36(図3参照)のうち、搬送装置1の幅方向で内側となる係合溝部36と係合している。また、長手方向の他端側部分は、第一連結ローラ75の2つの係合溝部36(図7参照)のうち、搬送装置1の幅方向で内側となる係合溝部36と係合している。
つまり、上流側第一ベルト部材96は、駆動ローラ10b、連結用ローラ4bそれぞれの幅方向の内側に位置する溝部分と係合している。
【0080】
すなわち、図8図9で示されるように、上流側第一ベルト部材96は、第一上流側駆動ローラ30に巻架されており、上流側第一ベルト部材96の一部が係合溝部36の内部に入り込んだ状態となっている。詳細には、上流側第一ベルト部材96は、第一上流側駆動ローラ30の上側から側方を経て下側まで回り込んで延びている。そして、回り込んで延びる部分のうち、第一上流側駆動ローラ30側の一部のみが係合溝部36内に入り込み、他部が係合溝部36の外側(第一上流側駆動ローラ30の径方向で外側)に位置している。言い換えると、上流側第一ベルト部材96は、一部が係合溝部36からはみ出た状態で、第一上流側駆動ローラ30と係合している。
【0081】
このとき、上記したように、第一上流側駆動ローラ30の近傍には、補助回転体94が設けられている。そして、上流側第一ベルト部材96のうち、係合溝部36からはみ出た部分に補助回転体94が接触している。言い換えると、上流側第一ベルト部材96のうち、第一上流側駆動ローラ30に巻架される部分の一部は、第一上流側駆動ローラ30(係合溝部36の溝底部分)と補助回転体94によって挟まれた状態となっている。
【0082】
また、上流側第一ベルト部材96は、図9で示されるように、第一連結ローラ75に巻架されている。ここで、上流側第一ベルト部材96と、第一連結ローラ75の係合溝部36との係合は、上記した第一上流側駆動ローラ30の係合溝部36との係合と略同じであるので、重複する詳細な説明を省略する。
ここで、連結用ローラ4b(第一連結ローラ75)の近傍には、図9で示されるように、連結側補助回転体112が配されている。この連結側補助回転体112は、上記した補助回転体94と同様の部材であるので、重複する詳細な説明を省略する。この連結側補助回転体112は、保持フレーム部材40の側壁部に取り付けられる部材である。
【0083】
すなわち、第一連結ローラ75側においても、上流側第一ベルト部材96の一部であり、第一連結ローラ75に巻架される部分が、第一連結ローラ75(係合溝部36の溝底部分)と連結側補助回転体112によって挟まれた状態となっている。
ここで、連結用ローラ4bの近傍には、複数(2つ)の連結側補助回転体112が配されている。連結側補助回転体112の数は、連結用ローラ4bの係合溝部36の数と同数であり、それぞれの連結側補助回転体112は、それぞれ別の係合溝部36の近傍に取り付けられている。なお、本実施形態では、それぞれの連結側補助回転体112は、それぞれ別の保持フレーム部材40に取り付けられている。
【0084】
したがって、連結用ローラ4b(第一連結ローラ75)に巻架されるそれぞれのベルト部材95(上流側第一ベルト部材96、下流側第一ベルト部材98)は、いずれも連結用ローラ4bと連結側補助回転体112によって挟まれた状態となっている。
【0085】
また、上流側第一ベルト部材96の長手方向の中途部分は、図9で示されるように、複数のベルト係合部64の上側に位置する上側部と、複数のベルト係合部64の下側に位置する下側部を有している。なお、上流側第一ベルト部材96の上側部と下側部は、上流側第一ベルト部材96の走行時に逆向きに移動する。詳細には、上側部は、搬送方向の下流側に向かって移動し、下側部は、搬送方向の上流側に向かって移動する。
【0086】
上流側第一ベルト部材96の上側部、下側部のそれぞれは、複数の搬送ローラ41のそれぞれの係合溝部71に一部が入り込んだ状態となっている(図4(a)参照)。言い換えると、これら上側部、下側部の間にベルト係合部64の大部分が位置している。
上流側第一ベルト部材96の上側部は、ローラ本体部63の側方であり、係合溝部71の溝底部分の上方となる位置に配される。
上流側第一ベルト部材96の下側部は、図4(a)、図9で示されるように、ローラ本体部63の側方であり、係合溝部71の溝底部分と回転体部材42(回転体本体42a)の間となる位置に配される。そして、係合溝部71の溝底部分と、回転体部材42(回転体本体42a)の外周面によって挟まれた状態となっている。
【0087】
次に、上流側第二ベルト部材97は、図1図2等で示されるように、搬送方向で上流側の第二上流側駆動ローラ31と、下流側の第二連結ローラ76の間に一定の張力が付与された状態で巻装されている。そして、上流側第二ベルト部材97は、これら第二上流側駆動ローラ31、第二連結ローラ76の間に位置する複数の搬送ローラ41(上流側第二搬送部21に属する複数の搬送ローラ41)に回転力を付与する部材となっている。
【0088】
なお、上流側第二ベルト部材97の駆動ローラ10b及び連結用ローラ4bとの係合構造は、上記した上流側第一ベルト部材96と略同様であるので、重複する詳細な説明を省略する。また、上流側第二ベルト部材97と、回転力を付与する複数の搬送ローラ41の位置関係についても、上記した上流側第一ベルト部材96と略同様であるので、重複する詳細な説明を省略する。このことは、以下の下流側第一ベルト部材98、下流側第二ベルト部材99についても同様である。
【0089】
下流側第一ベルト部材98は、図1図2等で示されるように、搬送方向で上流側の第一連結ローラ75と、下流側の第一下流側駆動ローラ85の間に一定の張力が付与された状態で巻装されている。そして、下流側第一ベルト部材98は、これら第一連結ローラ75と、第一下流側駆動ローラ85の間に位置する複数の搬送ローラ41(下流側第一搬送部22に属する複数の搬送ローラ41)に回転力を付与する部材となっている。
【0090】
下流側第二ベルト部材99は、図1図2等で示されるように、搬送方向で上流側の第二連結ローラ76と、下流側の第二下流側駆動ローラ86の間に一定の張力が付与された状態で巻装されている。そして、下流側第二ベルト部材99は、これら第二連結ローラ76と、第二下流側駆動ローラ86の間に位置する複数の搬送ローラ41(下流側第二搬送部23に属する複数の搬送ローラ41)に回転力を付与する部材となっている。
【0091】
なお、上記した上流側のベルト部材95(上流側第一ベルト部材96、上流側第二ベルト部材97)は、駆動ローラ10b、連結用ローラ4bの2つの係合溝部36のうち、搬送装置1の幅方向で内側に位置する係合溝部36と係合していた。これに対し、下流側のベルト部材95(下流側第一ベルト部材98、下流側第二ベルト部材99)は、同幅方向で外側に位置する係合溝部36と係合している点が異なる。
同様に、上流部2では、ローラ本体部63よりも搬送装置1の幅方向で内側となる位置にベルト係合部64が配されるように、搬送ローラ41を取り付けている。これに対し、下流部3では、ローラ本体部63よりも搬送装置1の幅方向で外側となる位置にベルト係合部64が配されるように、搬送ローラ41を取り付けている点が異なる。当然のことながら、下流部3では、回転体部材42(図4参照)もまた、搬送装置1の幅方向で外側となる位置に取り付けている。
【0092】
本実施形態の搬送装置1は、上流側駆動源部10が稼働すると、駆動ローラ10bが回転し、上流側第一ベルト部材96、上流側第二ベルト部材97が走行(移動、周運動)する。このとき、上流側第一ベルト部材96、上流側第二ベルト部材97の走行に伴って連結用ローラ4bが回転する。また、下流側駆動源部15が稼働すると、駆動ローラ15bが回転し、下流側第一ベルト部材98、下流側第二ベルト部材99が走行(移動)する。このとき、下流側第一ベルト部材98、下流側第二ベルト部材99の走行に伴って連結用ローラ4bが回転する。
【0093】
すなわち、搬送装置1は、上流部2の上流側駆動源部10、搬送部11、2つのベルト部材95と、中間ローラ部材4を含んで構成される一つの小搬送装置(小搬送部)を有している。また、下流部3の下流側駆動源部15、搬送部11、2つのベルト部材95と、中間ローラ部材4を含んで構成される一つの小搬送装置(小搬送部)を有する。
つまり、上流側の小搬送装置(小搬送部)と下流側の小搬送装置を含んで形成されたものであり、これら2つの小搬送装置が連結されたものである。中間ローラ部材4は、上流側の小搬送装置の一部(下流側部分)でもあり、下流側の小搬送装置の一部(上流側部分)でもある。すなわち、2つの小搬送装置を連結する連結手段として機能する。
【0094】
本実施形態の搬送装置1は、このように複数の小搬送装置を連結していくことで、搬送経路を長く(全長を長く)していくことができる。すなわち、本実施形態では、2つの小搬送装置を連結した例を示したが、搬送装置1が含む小搬送装置の数は3以上であってもよい。例えば、小搬送装置の数は3つとする場合は、下流側駆動源部15からさらに下流側に離れた位置に2つ目の中間ローラ部材4を配し、この2つ目の中間ローラ部材4と下流側駆動源部15の間に別の2つの搬送部11を配した状態とする。また、4つとする場合は、2つ目の中間ローラ部材4のからさらに下流側に離れた位置に3つ目の駆動源部を配し、これらの間にさらに別の2つの搬送部11を配した状態とする。以下同様に、5以上であってもよい。
【0095】
このように、搬送経路を長くしていくとき、複数の小搬送装置を連結していくことが可能な構造とすると、搬送経路を長くしても(搬送装置1を長くしても)、ベルト部材を必要以上に長くする必要がない。このことから、搬送ローラ41が移動する(詳しくは後述する)際のベルト部材の意図しない変形、すなわち、ベルト部材が非常に長いことに起因して発生するコシが折れたような変形を防止できる。
【0096】
すなわち、本実施形態の搬送装置1では、下流部3の一方の搬送部11(下流側第一搬送部22)が、上流部2の一方の搬送部11(上流側第一搬送部20)の下流側に位置している。そして、上流部2の一方の搬送部11と下流部3の一方の搬送部11は、直線状に延びる一連の搬送部材(搬送物載置部であり、第一搬送部材)を形成している。
また、下流部3の他方の搬送部11(下流側第二搬送部23)が、上流部2の他方の搬送部11(上流側第二搬送部21)の下流側に位置している。そして、上流部2の他方の搬送部11と下流部3の他方の搬送部11もまた、直線状に延びる一連の搬送部材(搬送物載置部であり、第二搬送部材)を形成している。
【0097】
つまり、本実施形態の搬送装置1は、装置全体として、直線状に延びる2つの搬送部材(第一搬送部材、第二搬送部材)を有している。これら2つの搬送部材は、搬送装置1の幅方向で離れた位置にそれぞれ配され、互いに平行となるように搬送方向に沿って直線状に延びている。
【0098】
続いて、本実施形態の搬送装置1での搬送物の搬送動作について説明する。
【0099】
本実施形態の搬送装置1は、上流側駆動源部10、下流側駆動源部15を稼働させた状態で互いに平行に延びる2つの搬送部11の上に搬送物を載置し、搬送物の搬送を行う。
したがって、本実施形態の搬送装置1では、2つの搬送部11にそれぞれ属する複数の搬送ローラ41(ローラ本体部63)の上部によって搬送面が形成される。なお、「搬送面」とは、搬送装置1で搬送物を搬送するとき、搬送物が載置される部分である。
なお、本実施形態の搬送装置1は、上記したように、搬送物を間欠搬送することを想定している。すなわち、複数の搬送物を搬送するとき、先行して搬送する一の搬送物と、この一の搬送物に続いて搬送する他の搬送物とが搬送方向で離れた位置に配され、これらの間に所定の間隔が形成された状態となることを想定している。
【0100】
ここで、本実施形態の搬送装置1では、図11で示されるように、搬送物が搬送ローラ41の上に載置され、搬送物の荷重が搬送ローラ41にかかることで、搬送ローラ41が下方に移動する。
【0101】
つまり、搬送物が下流側に搬送されていくとき、それぞれの搬送ローラ41の上側を搬送物が通過することになる。その際、搬送ローラ41は、搬送物を載置していない状態から、搬送物を載置した状態に移行した後、搬送物を載置していない状態に移行することとなる。このとき、搬送ローラ41は、搬送物を載置した状態に移行することで下方へ移動し、搬送物を載置していない状態に移行することで上方へ移動する。
すなわち、搬送ローラ41は、搬送物の荷重がかからない状態での位置である通常位置と、搬送物の荷重がかかった状態での位置である搬送時位置の間で移動する。
【0102】
より具体的には、搬送ローラ41の軸部材65は、上記したように、上下に延びる長孔であるローラ取付孔55の内側に挿通されている。ここで、図12(a)で示されるように、搬送ローラ41が上方に(通常位置に)位置する状態では、軸部材65の下端側部分とローラ取付孔55の下端側部分とが上下に離れた位置にある。つまり、ローラ取付孔55の底部分から上方に離れた位置に、軸部材65の下端が位置する。
対して、搬送ローラ41が下方に移動していくと、図12(b)で示されるように、軸部材65の下端側部分がローラ取付孔55の下端側部分に当接し、搬送ローラ41の下方への移動が止まる。このとき、軸部材65の下側部分は、ローラ取付孔55の下側部分に略丁度嵌まり込む形状となっている。このため、軸部材65の下端側部分がローラ取付孔55の底部分に当接すると、軸部材65の下端側部分とローラ取付孔55の底部分が隙間なく密着する。
このように、軸部材65が、狭窄部55bよりも下側となる下側部55cの内側で上下に移動する。なお、軸部材65のうち、ローラ取付孔55の内側に位置する部分の幅方向(図12(b)の左右方向)の最大長さは、下側部55cの同幅方向の最大長さと略同一となっている。
【0103】
さらに、図13で示されるように、搬送ローラ41が下方に移動すると、ベルト部材95が押し潰れた状態となる。すなわち、ベルト係合部64が下方に移動することで、ベルト部材95の下側部(ベルト係合部64の溝底と回転体部材42によって挟まれた部分)が、ベルト係合部64によって押圧されて弾性変形する。このように、ベルト部材95が弾性変形することで、ベルト部材95が係合溝部71の溝底部分や溝壁部分と密着する。そして、ベルト係合部64(係合溝部71)がベルト部材95に強く押し当てられた状態となる。この状態でベルト部材95が走行することで、搬送ローラ41にしっかりと回転力を付与することが可能となる。
【0104】
また、ベルト係合部64の上側に位置するベルト部材95の上側部は、搬送ローラ41が下方に移動することで、係合溝部71の溝底部分から上方に離れた位置に配された状態となる。すなわち、ベルト部材95の上側部は、ベルト係合部64と接触する部分が少なくなる(又はベルト係合部64と接触しない状態となる)。
【0105】
そして、搬送物を載置していない状態となり、搬送ローラ41に搬送物の荷重がかからない状態となると、ベルト係合部64がベルト部材95に強く押し当てられた状態が解除される。そして、ベルト部材95がベルト係合部64によって押圧される前の形状に戻っていく(元の形状に近づくように変形していく)。このことから、搬送ローラ41が上方に移動する。すなわち、ベルト部材95の弾性復元力によって搬送ローラ41が上方に移動する。
【0106】
したがって、図11で示されるように、搬送物の荷重がかからない状態の搬送ローラ41の最大高さをH1としたとき、本実施形態の搬送装置1の実質的な搬送面の高さH2は、H1よりも低位置となる。
【0107】
以上のように、搬送物が載置された際にベルト係合部64とベルト部材95が密着し、そうでないときには密着しない状態となる構造によると、常時ベルトが密着するような構造に比べ、経年使用によるベルト部材95の摩耗を抑制できる。このことから、本実施形態の搬送装置1は、より長期間に渡る使用(運用)が可能となる。また、このような構造によると、ベルト部材95への負荷を少なくできるので、稼働時に必要な消費電力を少なくできる。さらに、本実施形態の搬送装置1は、稼働させるために必要なベルト部材95の本数を少なくできるので、メンテナンスが容易である。
【0108】
上記した実施形態では、搬送面を形成する搬送ローラ41が下方に移動し、ベルト部材95に押し当てられる例について説明したが、本発明はこれに限るものでない。ベルト部材95に押し当てられるローラ部材は、例えば、搬送ローラを回転させるためのコロであってもよい。すなわち、搬送物の荷重によって下方に移動するローラ部材であればよく、必ずしも搬送ローラに限るものではない。コロやプーリとして使用されるローラ部材であってもよい。
【0109】
上記した実施形態では、搬送ローラ41に搬送物の荷重がかかっていない状態において、ベルト部材95の上側部と、下側部が搬送ローラ41に接触している(軽く触れている)例について説明した。すなわち、荷重がかかっていない状態で、ベルト部材95が少なくとも係合溝部71の溝底部分に接触している例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
例えば、搬送物の荷重がかかっていない状態において、ローラ部材とベルト部材が接触しない構造としてもよい。この場合、ローラ部材に搬送物の荷重がかかることで、ローラ部材とベルト部材が接触する。
また、ローラ部材は、搬送物の荷重がかかっていない状態でベルト部材を走行させたとき、ベルト部材からの動力伝達によって軸部材周りに回転するものとしてもよく、ベルト部材を走行させても軸部材周りに回転しないものとしてもよい。
【0110】
上記した実施形態では、ベルト受部材として回転体部材42を採用した例について説明したが、本発明はこれに限るものではない。
ベルト受部材は、必ずしも軸回りに回転可能な回転体でなくてもよい。しかしながら、回転体とすることが、動力伝達の効率化を図る上で好ましい。また、ベルト受部材は、上側に凸となる湾曲面を有する構造とすることが好ましい。上記した回転体部材42では、回転体本体42aのうち上側に位置している部分の外周面が、上側に凸となる湾曲面となる。
【0111】
上記した実施形態では、上流部2と下流部3のそれぞれにモータ内蔵ローラ10a,15a(駆動源)を設けた例について説明した。すなわち、複数(2つ)の駆動源を有し、これらが同期回転する構造とした例について説明した。
このように2つの駆動源を有する構造とすると、ベルト部材95を引っ張る力を強くすることができるので、ベルト部材95の意図しない変形(ベルトのコシが折れてしまうこと)を防止することができる。
詳細に説明すると、搬送物の荷重によってベルト部材95が押圧される構造とする場合、この影響により、ベルト部材95が意図しない変形をしてしまうことが考えられる(ベルトのコシが折れてしまう可能性がある)。しかしながら、上記した構造によると、それぞれの駆動源の回転力が小さい(ベルト部材95を引っ張る力が弱い)場合であっても、ベルト部材95を引っ張る力が強くなり、ベルト部材95の意図しない変形を防止できる。
【0112】
しかしながら、本発明の搬送装置は、上記した複数(2つ)の駆動源を設ける構造に限るものではない。例えば、上流側駆動源部10、下流側駆動源部15のいずれか一方に替えて、中間ローラ部材4を設ける構造としてもよい。つまり、搬送装置は、1つの駆動源を設ける構造としてもよい。言い換えると、複数の小搬送装置を連結して搬送装置を構築する際、駆動源を有する小搬送装置は1つあればよい。つまり、複数のベルト部材95のいずれかが駆動ローラと空転ローラ(上記した連結用ローラ4bであり、従動ローラ)に巻装される一方で、他のベルト部材95が、2つの空転ローラに巻装されていてもよい。この場合、駆動源(駆動ローラ)の回転力は、上記したベルト部材95の意図しない変形をより確実に防止するという観点から、十分に大きくすることが好ましい。
【0113】
ここで、上記した補助回転体94(図8等参照)は、取り付け位置の変更が可能となっている。
具体的には、図8で示されるように、回転体取付孔93は上下に延びる長孔となっている。このため、補助回転体94の軸部を回転体取付孔93に挿通し、ナットを締める等によって補助回転体94を駆動側フレーム部材90に固定するとき、軸部の挿通位置を変更することで、補助回転体94の取付位置(回転体本体部の配置位置)が変更される。
そして、補助回転体94(図8等参照)の取り付け位置が変更されると、補助回転体94の回転体本体部の外周面から、最も近接する位置にある係合溝部36の溝底部分までの距離が変更される。このことにより、上記のように補助回転体94と駆動ローラ10b,15b(係合溝部36の溝底部分)でベルト部材95を挟んだ構造とするとき、ベルト部材95の圧力調整(ベルト部材95に付加される押圧力の調整)が可能となる。
つまり、補助回転体94を駆動ローラ10b,15bにより近い位置に配することで、ベルト部材95が強く押圧された状態となり、駆動ローラ10b,15bからより遠い位置に配することで、ベルト部材95が比較的弱く押圧された状態となる。
【0114】
以上のように、上記した搬送装置1は、補助回転体94、駆動ローラ10b,15bの相対位置を変更可能な構造となっており、これらの相対位置を変更することでベルト部材95の圧力調整が可能となる。なお、連結側補助回転体112(図9等参照)もまた、補助回転体94と同様に、取り付け位置を変更可能な構造としてもよい。
【0115】
さらに、上記した搬送装置1は、上流側駆動源部10、下流側駆動源部15の取り付け位置(モータ内蔵ローラ10a,15aの軸部の配置位置)を変更可能としている。
具体的には、上流側駆動源部10、下流側駆動源部15(モータ内蔵ローラ10a,15aの軸部)の搬送方向における位置を変更可能であり、これらの位置を変更することで、ベルト部材95のテンション調整(ベルトの張りの調整であり、張力の調整)が可能となっている。
例えば、上流側駆動源部10を中間ローラ部材4からより上流側に離れた位置に配することで、上流側駆動源部10から中間ローラ部材4までの距離が長くなり、これらに巻装されたベルト部材95がより張った状態(張力が強くなった状態)となる。反対に、上流側駆動源部10をより下流側に配し、中間ローラ部材4により近い位置に配することで、これらに巻装されたベルト部材95がより緩んだ状態(張力が弱くなった状態)となる。
【0116】
すなわち、ベルト部材95が巻装される上流側駆動源部10、中間ローラ部材4の相対位置を変更可能な構造とすることで、ベルト部材95のテンション調整が可能となっている。下流側駆動源部15もまた同様に、中間ローラ部材4との相対位置を変更可能であり、相対位置を変更することで、下流側駆動源部15、中間ローラ部材4に巻装されるベルト部材95のテンション調整が可能である。
なお、上流側駆動源部10、下流側駆動源部15の取り付け位置を変更する際には、駆動側フレーム部材90、保持フレーム部材40に対する固定用部材105の取り付け位置を変更することで、これらの取り付け位置の変更が可能となる。
【符号の説明】
【0117】
1 搬送装置
2 上流部(第一領域)
3 下流部(第二領域)
10a モータ内蔵ローラ(駆動源、第一駆動源)
10b 駆動ローラ(駆動側回転体)
15a モータ内蔵ローラ(駆動源、第二駆動源)
15b 駆動ローラ(駆動側回転体)
41 搬送ローラ(ローラ部材)
42 回転体部材(ベルト受部材)
63 ローラ本体部
64 ベルト係合部
71 係合溝部(ベルト接触部)
94 補助回転体(補助回転体部材)
95 ベルト部材
96 上流側第一ベルト部材(上流側ベルト部材)
97 上流側第二ベルト部材(上流側ベルト部材)
98 下流側第一ベルト部材(下流側ベルト部材)
99 下流側第二ベルト部材(下流側ベルト部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13