(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048417
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】検出装置及び履物
(51)【国際特許分類】
A43B 3/44 20220101AFI20230331BHJP
A43B 3/40 20220101ALI20230331BHJP
A43B 3/48 20220101ALN20230331BHJP
【FI】
A43B3/44
A43B3/40
A43B3/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157717
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松田 大輔
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050DA29
4F050EA01
4F050GA30
(57)【要約】
【課題】履物の外部から加わる衝撃に対して充電コネクタを保護する。
【解決手段】検出装置10は、足裏に配置されるシート状の基部20と、基部20に取り付けられる第1センサ31及び第2センサ32と、第1センサ31及び第2センサ32に電力を供給する充電可能な電源部としての電子モジュール33と、充電装置の充電端子が着脱可能に接続される充電コネクタ36とを備える。充電コネクタ36は、基部20における踵側の特定範囲Rに配置される。特定範囲Rは、基部20の前後方向において、後端から10%までの範囲である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物の一部として適用される又は前記履物に取り付けて使用され、足裏から得られる身体情報を検出する検出装置であって、
足裏に配置されるシート状の基部と、
前記基部に取り付けられる検出素子と、
前記検出素子に電力を供給する充電可能な電源部と、
充電装置の充電端子が着脱可能に接続される充電コネクタとを備え、
前記充電コネクタは、前記基部における踵側の特定範囲に配置され、
前記特定範囲は、前記基部の前後方向において、後端から10%までの範囲であることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
履物の一部として適用される又は前記履物に取り付けて使用され、足裏から得られる身体情報を検出する検出装置であって、
足裏に配置されるシート状の基部と、
前記基部に取り付けられる検出素子と、
前記検出素子に電力を供給する充電可能な電源部と、
充電装置の充電端子が着脱可能に接続される充電コネクタとを備え、
前記検出素子は、足裏の踵に加わる部分的な荷重を検出する踵用の検出素子を含み、前記充電コネクタは、前記踵用の検出素子よりも後方に配置されていることを特徴とする検出装置。
【請求項3】
前記充電コネクタは、前記充電端子を差し込む差込口が前記充電コネクタの側面に位置する形状であり、
前記充電コネクタは、収容位置と充電位置との間で変位可能であり、
前記収容位置は、前記差込口が前記基部の上面に沿った方向を向くように前記基部の内部に前記充電コネクタが配置された位置であり、
前記充電位置は、前記差込口が前記基部の上面に露出するように前記充電コネクタの向きを変更した位置である請求項1又は請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記収容位置は、前記差込口が前記基部の上面に沿った方向かつ後方側を向くように前記基部の内部に前記充電コネクタが配置された位置であり、
前記充電位置は、前記差込口を上方に持ち上げるように前記充電コネクタを回動させた位置である請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記充電コネクタは、前記充電コネクタを前記収容位置から前記充電位置に操作するための引出しタブを備えている請求項3又は請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記基部は、前記充電コネクタと前記電源部とを接続する配線を収容する配線収容部を備え、
前記配線収容部における前記充電コネクタ側の端部には、部分的に断面積が大きく形成された拡張部が設けられている請求項3~5のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記基部は、前記基部の上面を構成する表皮を備え、
前記表皮には、前記収容位置から前記充電位置への前記充電コネクタの変位を許容するための可動部が設けられている請求項3~6のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項8】
インソールとして適用される請求項1~7のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の検出装置を備える履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置及び履物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、履物の底部又はインソールに配置した検出装置を用いて、足裏に加わる荷重を検出する技術が提案されている。検出装置により検出された荷重は、例えば、ユーザの歩行状態、健康状態、運動時のパフォーマンスなどの解析に利用される。例えば、特許文献1には、インソールボディと、インソールボディの内部に配置された検出素子としての圧力センサとを備える履物が開示されている。
【0003】
また、特許文献1の履物は、検出素子などに電力を供給するバッテリ、バッテリを充電する際に充電ケーブルに接続される充電コネクタ、及びバッテリと充電コネクタとを接続する延長ラインを備えている。バッテリは、履物におけるインソールボディと、インソールボディの下に位置するミッドソールとの間に収容されている。充電コネクタは、延長ラインの先端部分に取り付けられることにより、バッテリに電気的に接続されている。延長ラインの先端部分は、履物の外皮の外側へ引き出されて、履物のバックカウンタの外面に取り外し可能に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の履物は、履物の外側の部分に充電コネクタが配置されている。この場合、履物の使用時に、足と充電コネクタとが接触することによる違和感がユーザに生じ難くなるという利点がある。その一方で、履物の外側に配置されている充電コネクタには、履物の外部からの衝撃が加わりやすい。また、履物の外側に引き出されている延長ラインに引っ掛かりが生じることにより、延長ラインが断線するおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する検出装置は、履物の一部として適用される又は前記履物に取り付けて使用され、足裏から得られる身体情報を検出する検出装置であって、足裏に配置されるシート状の基部と、前記基部に取り付けられる検出素子と、前記検出素子に電力を供給する充電可能な電源部と、充電装置の充電端子が着脱可能に接続される充電コネクタとを備え、前記充電コネクタは、前記基部における踵側の特定範囲に配置され、前記特定範囲は、前記基部の前後方向において、後端から10%までの範囲である。
【0007】
上記課題を解決する検出装置は、履物の一部として適用される又は前記履物に取り付けて使用され、足裏から得られる身体情報を検出する検出装置であって、足裏に配置されるシート状の基部と、前記基部に取り付けられる検出素子と、前記検出素子に電力を供給する充電可能な電源部と、充電装置の充電端子が着脱可能に接続される充電コネクタとを備え、前記検出素子は、足裏の踵に加わる部分的な荷重を検出する踵用の検出素子を含み、前記充電コネクタは、前記踵用の検出素子よりも後方に配置されている。
【0008】
上記構成によれば、充電コネクタが基部の内部に収容されるため、履物の外部からの衝撃が充電コネクタに直接、加わることが抑制される。また、充電コネクタは、基部における上記特定範囲又は踵用の検出素子よりも後方に配置されている。これにより、検出装置を備える履物を装着した際に、ユーザの踵の骨よりも後方側に充電コネクタが位置しやすくなる。足裏における踵の骨よりも後方側の部位は、比較的、硬い触感を感じる感度が鈍い。そのため、基部内に収容された充電コネクタに起因する異物感などの違和感がユーザに生じ難くなる。したがって、上記構成によれば、充電コネクタに起因する装着時の違和感を抑制しつつ、履物の外部から加わる衝撃から充電コネクタを保護できる。
【0009】
前記充電コネクタは、前記充電端子を差し込む差込口が前記充電コネクタの側面に位置する形状であり、前記充電コネクタは、収容位置と充電位置との間で変位可能であり、前記収容位置は、前記差込口が前記基部の上面に沿った方向を向くように前記基部の内部に前記充電コネクタが配置された位置であり、前記充電位置は、前記差込口が前記基部の上面に露出するように前記充電コネクタの向きを変更した位置であることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、履物内に検出装置を取り付けた状態のまま、電源部を充電できる。また、この場合には、差込口が上方を向くようにして基部の内部に充電コネクタを配置した場合と比較して、充電コネクタを収容したことによる基部の厚さの増加を抑制できる。これにより、検出装置を設計する際における厚さ方向の制約が小さくなるため、検出装置をより薄く形成できる。
【0011】
前記収容位置は、前記差込口が前記基部の上面に沿った方向かつ後方側を向くように前記基部の内部に前記充電コネクタが配置された位置であり、前記充電位置は、前記差込口を上方に持ち上げるように前記充電コネクタを回動させた位置であることが好ましい。
【0012】
充電コネクタを基部の踵側に配置した場合、電源部は、充電コネクタよりも前側に位置することになる。上記構成によれば、充電コネクタよりも前側に位置する電源部と充電コネクタとを接続する配線の配策を簡素化できる。
【0013】
前記充電コネクタは、前記充電コネクタを前記収容位置から前記充電位置に操作するための引出しタブを備えていることが好ましい。
上記構成によれば、充電を行う際に、引出しタブを操作することによって、充電コネクタを収容位置から充電位置へ容易に変位させることができる。これにより、充電を手軽に行うことができる。
【0014】
前記基部は、前記充電コネクタと前記電源部とを接続する配線を収容する配線収容部を備え、前記配線収容部における前記充電コネクタ側の端部には、部分的に断面積が大きく形成された拡張部が設けられていることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、充電コネクタと電源部とを接続する配線における充電コネクタに接続される端部側の所定範囲を、拡張部内にて撓んだ状態となるように配策できる。これにより、収容位置から充電位置又は充電位置から収容位置へ変位する際に上記配線に加わる張力を緩和できる。その結果、上記配線の早期の劣化を抑制できる。
【0016】
前記基部は、前記基部の上面を構成する表皮を備え、前記表皮には、前記収容位置から前記充電位置への前記充電コネクタの変位を許容するための可動部が設けられていることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、収容位置と充電位置との間で充電コネクタを容易に変位させることができる。
検出装置は、例えば、インソールとして適用される。
【0018】
上記課題を解決する履物は、上記検出装置を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、充電コネクタに起因する装着時の違和感を抑制しつつ、履物の外部から加わる衝撃から充電コネクタを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】表皮を分解した状態の検出装置の斜視図である。
【
図3】充電コネクタ及び充電ケーブルの斜視図である。
【
図4】充電コネクタが収容位置にある検出装置の部分拡大図である。
【
図5】充電コネクタが充電位置にある検出装置の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、荷重を検出するインソールに具体化した本発明の検出装置10の一実施形態を説明する。
図1に示すように、検出装置10は、履物のインソールとして用いられる基部20と、基部20に取り付けられる検出ユニット30とを備えている。なお、本実施形態において、柔軟性を有するとは、歩行、跳躍、着地などの際の足裏の動きに伴って湾曲させることができる程度に柔らかいことを意味する。
【0022】
<基部>
基部20は、筐体21と、接着層22と、表皮23とを備えている。
筐体21は、平面形状が靴底形状に形成されているシート状の部材である。筐体21には、検出ユニット30の構成要素を収容するセンサ収容部24、モジュール収容部25、及びセンサ配線収容部26が設けられている。センサ収容部24、モジュール収容部25、及びセンサ配線収容部26は、筐体21を厚さ方向に貫通する貫通孔である。筐体21の構成材料としては、例えば、EVA(エチレンビニルアセテート,エチレン酢酸ビニル)やPU(ポリウレタン)が挙げられる。
【0023】
接着層22は、筐体21の下面と検出ユニット30の構成要素とを接着する。接着層22は特に限定されるものではなく、両面テープなどのシート材を用いた接着層であってもよいし、接着剤を用いた接着層であってもよい。
【0024】
表皮23は、基部20の上面を形成する部材であり、平面形状が靴底形状に形成されているシート状の部材である。表皮23は、筐体21の上面に貼り付けられている。表皮23の構成材料としては、例えば、布、皮が挙げられる。筐体21に対する表皮23の貼り付け方法は限定されるものではなく、接着層を介在させる方法などの公知の方法を適用できる。
【0025】
<検出ユニット>
図1に示すように、検出ユニット30は、筐体21の下側に配置される1個の大型の第1センサ31と、筐体21のセンサ収容部24に収容される7個の小型の第2センサ32とを備えている。
【0026】
第1センサ31は、足裏に加わる総荷重を検出するための圧力センサであり、基部20における広範囲を検出範囲とする。第1センサ31は、上面視における基部20の全体を検出範囲とする。第1センサ31は、平面形状が筐体21と同形状の靴底形状であるシート状に形成されている。第1センサ31は、筐体21の下面側に積層されるとともに、接着層22により筐体21に接着されている。
【0027】
第2センサ32は、足裏における特定部位に加わる部分的な荷重を検出するための圧力センサであり、第1センサ31の検出範囲よりも狭い範囲を検出範囲とする。上記特定部位は、用途に応じて適宜設定できる。
【0028】
図1及び
図2に示すように、本実施形態では、足裏におけるつま先側の5か所及び踵側の4か所の合計7か所を上記特定部位としている。第2センサ32は、第1センサ31よりも外形の小さい略円形のシート状に形成されている。換言すると、第2センサ32は第1センサ31よりも表面積が小さい略円形のシート状に形成されている。
【0029】
また、第2センサ32は、接着層22の上面に接着されることにより、センサ収容部24内に固定されている。したがって、各第2センサ32は、接着層22を介して第1センサ31の上に積層されている。また、第1センサ31及び第2センサ32は、荷重が加えられる方向である基部20の厚さ方向、即ち、上下方向に重なる位置に配置されている。
【0030】
第1センサ31及び第2センサ32を構成する圧力センサとしては、圧電素子等を用いた公知の感圧センサを用いることができる。特に、足裏に配置されるという使用状況に鑑みると、伸縮性及び耐久性の観点から、誘電エラストマーを利用したエラストマー製の静電容量式圧力センサを用いることが好ましい。
【0031】
上記誘電エラストマーとしては、例えば、架橋されたポリロタキサン、シリコーンエラストマー、アクリルエラストマー、ウレタンエラストマーが挙げられる。エラストマー製の静電容量式圧力センサは、誘電エラストマーからなるシート状の誘電層と、誘電層の厚さ方向の両側に配置された電極層としての正極電極及び負極電極とが複数積層されたシート状の多層構造体である。
【0032】
検出ユニット30は更に、処理部としての電子モジュール33、第1配線34、及び第2配線35を備えている。
電子モジュール33は、第1センサ31及び第2センサ32に電力を供給する電源を含む。電源は、バッテリ等の充電可能な電源である。本実施形態においては、電子モジュール33が、特許請求の範囲に記載する電源部に該当する。電子モジュール33は、電源以外のその他の機能的要素を含むものであってもよい。その他の機能的要素としては、例えば、第1センサ31及び第2センサ32からの信号を処理する信号処理回路、第1センサ31及び第2センサ32からの信号やその信号を処理して得られる情報等の各種情報を記憶する記憶部、外部と通信を行う通信部が挙げられる。電子モジュール33は、モジュール収容部25内に収容されている。電子モジュール33及びモジュール収容部25は、足底弓蓋、所謂、土踏まずの位置に配置されている。
【0033】
第1配線34は、第1センサ31と電子モジュール33とを電気的に接続する。第1配線34は、基部20に追従して変形可能な柔軟性を有している。柔軟性を有する第1配線34としては、例えば、フレキシブルプリント配線板、リード線が挙げられる。
【0034】
図2に示すように、第1配線34は、筐体21の側縁の外から回り込むように配策されている。第1配線34は、第1部分34aと、第2部分34bとを備えている。第1部分34aは、電子モジュール33側から第1センサ31側に向かって、筐体21の上面に沿って筐体21の側縁まで延びる部分である。第2部分34bは、第1部分34aから筐体21の側縁に沿って下方に延びるとともに第1センサ31の縁部に接続される部分である。なお、第1配線34における筐体21の上面に沿っている部分は、筐体21と表皮23との間に挟まれている。
【0035】
第2配線35は、第2センサ32と電子モジュール33とを電気的に接続する。第2配線35は、基部20に追従して変形可能な柔軟性を有している。柔軟性を有する第2配線35としては、例えば、フレキシブルプリント配線板、リード線が挙げられる。第2配線35は、センサ配線収容部26に内に収容されている。また、第2配線35は、接着層22の上面に接着されることにより、センサ配線収容部26内に固定されている。
【0036】
<充電構造>
次に、充電部としての電子モジュール33に備えられる電源を充電するための充電構造について説明する。
【0037】
図1及び
図2に示すように、検出ユニット30は、充電コネクタ36及び第3配線37を備えている。充電コネクタ36は、電子モジュール33に備えられる電源を充電する際に、充電装置から延びる充電ケーブルCの充電端子が着脱可能に接続される部位である。充電装置は、電源を充電する際に別途用意される。
【0038】
図3に示すように、充電コネクタ36は、コネクタケース40と、コネクタ本体41とを備えている。
コネクタケース40は、高さの薄い扁平な箱状の部材であり、上面に開口するコネクタ凹部42を備えている。コネクタケース40は、例えば、四角箱状である。コネクタケース40の第1側面40aには、コネクタ凹部42に連通する差込口43が設けられている。差込口43は、充電コネクタ36に充電ケーブルCを接続した際に充電ケーブルCの端子が挿入される部位である。
【0039】
コネクタ本体41は、差込口43に挿入された充電ケーブルCの充電端子に電気的に接触する部位である。コネクタ本体41の種類は特に限定されるものではなく、マイクロUSB等の充電ケーブルCの充電端子の規格に応じて適宜、選択できる。また、コネクタ本体41には、第3配線37の端部が接続されている。第3配線37の端部は、コネクタケース40における第1側面40aの反対側の第2側面40bに設けられた配線孔を通じてコネクタ凹部42内に挿入されている。
【0040】
コネクタ凹部42内には、封入樹脂(図示略)が充填されている。封入樹脂は、コネクタ本体41及び第3配線37の端部を被覆するとともに、コネクタ凹部42内における特定位置にコネクタ本体41及び第3配線37の端部を固定する。
【0041】
また、充電コネクタ36は、引出しタブ44を備えている。引出しタブ44は、充電コネクタ36を操作する際につまみとして用いられる部位である。引出しタブ44は、例えば、布などにより構成されるシート材、紐などの軟質の材料により形成されている。引出しタブ44の基端部は、コネクタケース40の上面における第1側面40aの近傍に接着されている。引出しタブ44の先端部は、コネクタケース40の第1側面40aよりも外側へ延びている。
【0042】
図2に示すように、充電コネクタ36は、インソールとして用いられる基部20における踵側の特定範囲Rに配置されている。特定範囲Rは、基部20の前後方向において、後端から10%までの範囲であり、好ましくは後端から8%までの範囲であり、より好ましくは後端から5%までの範囲である。
【0043】
図1及び
図2に示すように、筐体21には、充電コネクタ36を収容するコネクタ収容部27、及び第3配線37を収容するコネクタ配線収容部28が設けられている。コネクタ収容部27及びコネクタ配線収容部28は、筐体21を厚さ方向に貫通する貫通孔である。
【0044】
コネクタ収容部27は、筐体21おける特定範囲Rに位置する部分に設けられている。充電コネクタ36は、第1側面40aに設けられた差込口43が、筐体21の上面に沿った方向かつ後方側を向くようにしてコネクタ収容部27内に収容されている。
【0045】
図1及び
図4に示すように、コネクタ配線収容部28は、筐体21において、コネクタ収容部27とモジュール収容部25とを接続する線状に延びる。
図4においては、表皮23を二点鎖線で図示している。
図4に示すように、コネクタ配線収容部28におけるコネクタ収容部27との接続部、即ち、コネクタ配線収容部28の充電コネクタ36側の端部には、部分的に断面積が大きく形成された拡張部28aが設けられている。拡張部28aは、コネクタ配線収容部28における他の部位よりも幅広に形成されることより、断面積が大きく形成されている。
【0046】
コネクタ配線収容部28には、電子モジュール33と充電コネクタ36とを接続する第3配線37が収容されている。第3配線37は、コネクタ配線収容部28よりも長く形成されている。そして、第3配線37は、コネクタ配線収容部28の拡張部28aにおいて撓んだ状態となるように配策されている。なお、第3配線37がフレキシブルプリント配線板である場合、折り曲げた状態、所謂、Z曲げによる折り目を有する状態となるように第3配線37を配策する。
【0047】
図1に示すように、接着層22におけるコネクタ収容部27の下方に重なる位置及びコネクタ配線収容部28の拡張部28aの下方に重なる位置には、貫通孔22aが設けられている。そのため、コネクタ収容部27内に収容された充電コネクタ36及び第3配線37における拡張部28aに収容された部位は、接着層22に接着されていない。
【0048】
図1及び
図2に示すように、表皮23における充電コネクタ36の上方に重なる位置には、可動部23aが設けられている。可動部23aは、表皮23に対して、前方側が上側となるU字状の切り込みを設けることにより形成された部位である。可動部23aは、上記切り込みのない前側の接続部分23cをヒンジとして開閉動作が可能である。
【0049】
可動部23aの下面は、充電コネクタ36の上面に固定されている。本実施形態では、充電コネクタ36を構成する封入樹脂により充電コネクタ36と可動部23aとが接着されている。詳述すると、
図2に示すように、基部20における表皮23以外の構成を重ね合わせる。このとき、検出装置10の充電コネクタ36には、封入樹脂は充填されていない。その後、
図4に示すように、筐体21の上に表皮23を重ねて貼り付ける。そして、表皮23の可動部23aに設けられている充填孔23bからコネクタ凹部42内に封入樹脂を充填する。充填された封入樹脂が固化することにより、充電コネクタ36と可動部23aとが接着される。なお、表皮23の可動部23aと充電コネクタ36とを接着する方法は限定されるものではなく、接着層を介在させる方法などの公知の方法を適用できる。
【0050】
表皮23における可動部23aの後方には、表皮23の後方側の縁部から切り欠かれた第1切欠部23dが設けられている。充電コネクタ36の引出しタブ44は、表皮23の第1切欠部23dを通じて基部20の後方側へ引き出されている。また、インソールとしての基部20を履物内に配置した状態において、引出しタブ44は、例えば、バックカウンタの内面などの履物の内面に沿うようにして履物内に配置される。また、
図4に示すように、可動部23aの前方部分に位置する接続部分23cの両端には、表皮23を貫通するように切り欠いた第2切欠部23eが設けられている。第2切欠部23eは後述する可動部23aの開閉動作による負荷を軽減、分散するように円状に形成されている。
【0051】
充電コネクタ36は、引出しタブ44を操作して可動部23aを開閉動作させることにより、収容位置と充電位置との間で変位可能である。
図4に示すように、収容位置は、基部20の内部に充電コネクタ36が配置された位置である。このとき、充電コネクタ36は、差込口43が基部20の上面に沿った方向かつ後方側を向く状態で配置される。また、充電コネクタ36が収容位置にあるとき、表皮23は、可動部23aが閉じた状態、即ち、可動部23aを含む表皮23の上面が連続する一面になっている状態である。
【0052】
図5に示すように、充電位置は、差込口43が基部20の上面に露出するように充電コネクタ36の向きを変更した位置である。
図5においては、表皮23を二点鎖線で図示している。充電コネクタ36が収容位置にある状態から引出しタブ44を上方に引き上げると、表皮23の接続部分23cをヒンジとして可動部23a及び充電コネクタ36が上方に回動する。この回動に伴って、充電コネクタ36の差込口43が表皮23の上面よりも上方に持ち上がることにより、差込口43が基部20の上面に露出する。
【0053】
充電位置は、差込口43が基部20の上面に露出する位置であれば特に限定されないが、差込口43が真上に近い方向を向く位置であることが好ましい。例えば、基部20の上面と差込口43の向く方向とのなす角度を角度θとする。充電位置は、角度θが45度以上になる位置であることが好ましく、角度θが90度以上になる位置であることがより好ましい。この場合には、充電位置にある充電コネクタ36の差込口43に充電ケーブルCの充電端子を差し込む操作が行いやすい。
【0054】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態の検出装置10は、足裏における広範囲に加わる荷重を検出する第1センサ31を備えている。更に、検出装置10は、足裏における特定部位に加わる部分的な荷重を検出する複数の第2センサ32を備えている。複数の第2センサ32は、一つの第1センサ31の上におけるそれぞれ異なる位置に積層されている。検出装置10によれば、第1センサ31の検出結果に基づく足裏に加わる総荷重に関する情報と、第2センサ32の検出結果に基づく足裏の荷重分布に関する情報とを取得できる。足裏の荷重分布に関する情報に、足裏に加わる総荷重に関する情報を組み合わせることにより、足裏の荷重分布に関する情報のみでは困難な多様な解析を行うことができる。
【0055】
また、検出装置10の基部20の内部には、電子モジュール33に備えられる電源を充電するための充電コネクタ36が内蔵されている。充電コネクタ36は、基部20の内部に充電コネクタ36が配置された収容位置と、差込口43が基部20の上面に露出するように充電コネクタ36の向きが変更された充電位置との間で変位可能である。
【0056】
充電時以外の通常時、例えば、履物の使用時や保管時においては、充電コネクタ36を収容位置に位置させる。この場合、充電コネクタ36は、基部20の内部に収容されるため、履物の外部からの衝撃が充電コネクタ36に直接、加わることが抑制される。収容位置にある充電コネクタ36は、基部20における踵側の特定範囲Rに配置されている。これにより、検出装置10を備える履物を装着した際に、ユーザの踵の骨よりも後方側に充電コネクタ36が位置しやすくなる。足裏における踵の骨よりも後方側の部位は、比較的、硬い触感を感じる感度が鈍い。そのため、基部20内に収容された充電コネクタ36に起因する異物感などの違和感がユーザに生じ難くなる。
【0057】
そして、充電時においては、充電コネクタ36を充電位置に位置させる。そして、基部20の上面に露出した充電コネクタ36の差込口43に対して、充電ケーブルCの端子を差し込んだ状態として充電を行う。
【0058】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)検出装置10は、足裏に配置されるシート状の基部20と、基部20に取り付けられる第1センサ31及び第2センサ32と、第1センサ31及び第2センサ32に電力を供給する充電可能な電源部としての電子モジュール33と、充電装置の充電端子が着脱可能に接続される充電コネクタ36とを備える。充電コネクタ36は、基部20における踵側の特定範囲Rに配置される。特定範囲Rは、基部20の前後方向において、後端から10%までの範囲である。
【0059】
上記構成によれば、充電時以外の通常時において、充電コネクタ36は、基部20の特定範囲Rの内部に収容される。これにより、充電コネクタ36に起因する装着時の違和感を抑制しつつ、履物の外部から加わる衝撃から充電コネクタ36を保護できる。
【0060】
(2)充電コネクタ36は、充電ケーブルCの充電端子を差し込む差込口43が充電コネクタ36の側面に位置する形状である。充電コネクタ36は、収容位置と充電位置との間で変位可能である。収容位置は、差込口43が基部20の上面に沿った方向を向くように基部20の内部に充電コネクタ36が配置された位置である。充電位置は、差込口43が基部20の上面に露出するように充電コネクタ36の向きを変更した位置である。
【0061】
上記構成によれば、履物内に検出装置10を取り付けた状態のまま、電源部を充電できる。また、この場合には、差込口43が上方を向くようにして基部20の内部に充電コネクタ36を配置した場合と比較して、充電コネクタ36を収容したことによる基部20の厚さの増加を抑制できる。これにより、検出装置10を設計する際における厚さ方向の制約が小さくなるため、検出装置10をより薄く形成できる。また、インソールのみにより、充電構造を含む検出装置10を成立させることができる。
【0062】
(3)収容位置は、差込口43が基部20の上面に沿った方向かつ後方側を向くように基部20の内部に充電コネクタ36が配置された位置である。充電位置は、差込口43を上方に持ち上げるように充電コネクタ36を回動させた位置である。
【0063】
充電コネクタ36を基部20における踵側の特定範囲Rに配置した場合、電源部としての電子モジュール33は、充電コネクタ36よりも前側に位置することになる。上記構成によれば、充電コネクタ36よりも前側に位置する電子モジュール33と充電コネクタ36とを接続する第3配線37の配策を簡素化できる。つまり、充電コネクタ36を回り込むように第3配線37を配策する必要が無くなる。
【0064】
(4)充電コネクタ36は、充電コネクタ36を収容位置から充電位置に操作するための引出しタブ44を備える。
上記構成によれば、充電を行う際に、引出しタブ44を操作することによって、充電コネクタ36を収容位置から充電位置へ容易に変位させることができる。これにより、充電を手軽に行うことができる。また、履物から検出装置10を取り出す際に、引出しタブ44を利用してもよい。これにより、検出装置10を取り出す操作を手軽に行うことができる。
【0065】
(5)基部20は、充電コネクタ36と電源部としての電子モジュール33とを接続する第3配線37を収容するコネクタ配線収容部28を備える。コネクタ配線収容部28における充電コネクタ36側の端部には、部分的に断面積が大きく形成された拡張部28aが設けられている。
【0066】
充電コネクタ36が収容位置から充電位置又は充電位置から収容位置へ変位する際に第3配線37が引っ張られることにより、第3配線37に大きな張力が加わる場合がる。第3配線37に対して上記張力が繰り返し加わることは、第3配線37の早期の劣化を招く。上記構成によれば、第3配線37における充電コネクタ36に接続される端部側の所定範囲を、拡張部28a内にて撓んだ状態となるように配策できる。これにより、収容位置から充電位置又は充電位置から収容位置へ変位する際に第3配線37に加わる上記張力を緩和できる。その結果、第3配線37の早期の劣化を抑制できる。
【0067】
(6)基部20は、基部20の上面を構成する表皮23を備える。表皮23には、収容位置から充電位置への充電コネクタ36の変位を許容するための可動部23aが設けられている。
【0068】
上記構成によれば、収容位置と充電位置との間で充電コネクタ36を容易に変位させることができる。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0069】
・充電コネクタ36を基部20における特定範囲Rに設ける構成に代えて、基部20における第2センサ32の配置に基づいて、充電コネクタ36を配置する位置を設定してもよい。詳述すると、検出素子として、足裏の踵に加わる部分的な荷重を検出する踵用の第2センサ32を設ける。そして、踵用の第2センサ32よりも後方に充電コネクタ36を配置する。この場合にも、上記(1)と同様の効果が得られる。
【0070】
・充電コネクタ36の形状は、上記実施形態の形状に限定されるものではなく、公知の形状の充電コネクタを適用できる。
・充電コネクタ36の向きを変更してもよい。例えば、差込口43が側方を向くように充電コネクタ36を配置してもよい。また、充電コネクタ36の回動させるための軸の位置及び軸の向きを変更してもよい。
【0071】
・収容位置と充電位置との間において充電コネクタ36を変位させる方法は、充電コネクタ36の回動させる方法に限定されない。
・充電コネクタ36における引出しタブ44の位置及び引出しタブ44が延びる方向を変更してもよい。また、引出しタブ44を省略してもよい。
【0072】
・コネクタ配線収容部28の拡張部28aを省略してもよい。
・収容位置と充電位置との間で変位しない構成の充電コネクタ36としてもよい。この場合、例えば、履物から検出装置10を取り外したときに、差込口43が外部に露出するように基部20の内部に充電コネクタ36を配置する。また、差込口43が上方を向くように基部20の内部に充電コネクタ36を配置するとともに、表皮23における差込口43を覆う部分に開閉可能な蓋部を設ける。
【0073】
・第1配線34、第2配線35、及び第3配線37の配置を変更してもよい。
・検出装置10に設けられる電子モジュール33の数及び配置は、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、電子モジュール33を複数の部材に分割して設けてもよい。
【0074】
・検出装置10に設けられる第1センサ31及び第2センサ32の設置数及び配置は、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、第1センサ31及び第2センサ32のいずれか一方を省略してもよい。
【0075】
・検出装置10に設けられる第1センサ31及び第2センサ32のいずれか一方又は両方を、足裏から得られる身体情報を検出する他の検出素子に変更してもよい。他の検出素子としては、例えば、温度センサ、臭いセンサ、慣性センサが挙げられる。
【0076】
・検出装置10を履物に適用してもよい。この場合、履物の一部である底部を基部20として用いる。
【符号の説明】
【0077】
10…検出装置
20…基部
23…表皮
23a…可動部
28…コネクタ配線収容部
28a…拡張部
30…検出ユニット
31…第1センサ
32…第2センサ
33…電子モジュール
34…第1配線
35…第2配線
36…充電コネクタ
37…第3配線
43…差込口
44…引出しタブ