(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048420
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】提案支援システム、提案支援方法及び提案支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0282 20230101AFI20230331BHJP
G06Q 30/015 20230101ALI20230331BHJP
【FI】
G06Q30/02 480
G06Q30/02 470
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157720
(22)【出願日】2021-09-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】592131906
【氏名又は名称】みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】相澤 祐一
(72)【発明者】
【氏名】笠間 俊夫
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB01
(57)【要約】
【課題】ユーザに適したコンテンツを提案するための提案支援システム、提案支援方法及び提案支援プログラムを提供する。
【解決手段】支援サーバ20は、ユーザのユーザ端末10に接続された制御部21を備える。そして、コンテンツについての案内及びコンテンツに対するコメントをユーザ端末10に配信し、ユーザ端末10から、コメントに対するリアクションを取得し、ユーザにおけるコンテンツに関するイベントへの訪問履歴を取得し、訪問履歴があるコンテンツの特徴量、ユーザの価値観情報、リアクションを取得したコメントの分散表現からなる教師情報を用いて、イベントへの訪問可能性が高いコンテンツを予測するコンテンツ推薦モデルを生成する。そして、コンテンツ推薦モデルを用いて、ターゲットユーザの価値観情報から特定したコンテンツに関する情報を、コンテンツに対するコメントとともに、ターゲットユーザのユーザ端末10に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのユーザ端末に接続された制御部を備えた提案支援システムであって、
前記制御部が、
コンテンツについての案内及び前記コンテンツに対するコメントを前記ユーザ端末に配信し、
前記ユーザ端末から、前記コメントに対するリアクションを取得し、
前記ユーザにおける前記コンテンツに関するイベントへの訪問履歴を取得し、
前記訪問履歴があるコンテンツの特徴量、前記ユーザの価値観情報、前記リアクションを取得したコメントの分散表現からなる教師情報を用いて、イベントへの訪問可能性が高いコンテンツを予測するコンテンツ推薦モデルを生成し、
前記コンテンツ推薦モデルを用いて、ターゲットユーザの価値観情報から特定したコンテンツに関する情報を、前記コンテンツに対するコメントとともに、前記ターゲットユーザのユーザ端末に送信することを特徴とする提案支援システム。
【請求項2】
前記制御部が、
前記コンテンツの特徴量が共通する類似コンテンツを特定し、
前記類似コンテンツの特徴量、前記ユーザの価値観情報、前記リアクションを取得したコメントの分散表現を、前記教師情報として追加して、前記コンテンツ推薦モデルを生成することを特徴とする請求項1に記載の提案支援システム。
【請求項3】
前記制御部が、
前記ユーザの価値観情報が共通する他ユーザを特定し、
前記コンテンツの特徴量、前記他ユーザの価値観情報、前記リアクションを取得したコメントの分散表現を、前記教師情報として追加して、前記コンテンツ推薦モデルを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の提案支援システム。
【請求項4】
前記制御部が、
前記案内の配信時期を記録し、
前記ユーザ端末における前記案内に基づく、ユーザアクションの有無を特定し、
前記配信時期、前記ユーザの価値観情報、前記ユーザアクションの有無からなる教師情報を用いて、前記ユーザアクションの可能性を予測する可能性予測モデルを生成し、
新たな案内を配信する場合、前記可能性予測モデルを用いて、ユーザアクションの可能性が高い配信時期に前記案内を配信することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の提案支援システム。
【請求項5】
ユーザのユーザ端末に接続された制御部を備えた提案支援システムを用いて、提案を支援する方法であって、
前記制御部が、
コンテンツについての案内及び前記コンテンツに対するコメントを前記ユーザ端末に配信し、
前記ユーザ端末から、前記コメントに対するリアクションを取得し、
前記ユーザにおける前記コンテンツに関するイベントへの訪問履歴を取得し、
前記訪問履歴があるコンテンツの特徴量、前記ユーザの価値観情報、前記リアクションを取得したコメントの分散表現からなる教師情報を用いて、イベントへの訪問可能性が高いコンテンツを予測するコンテンツ推薦モデルを生成し、
前記コンテンツ推薦モデルを用いて、ターゲットユーザの価値観情報から特定したコンテンツに関する情報を、前記コンテンツに対するコメントとともに、前記ターゲットユーザのユーザ端末に送信することを特徴とする提案支援方法。
【請求項6】
ユーザのユーザ端末に接続された制御部を備えた提案支援システムを用いて、提案を支援する提案支援プログラムであって、
前記制御部を、
コンテンツについての案内及び前記コンテンツに対するコメントを前記ユーザ端末に配信し、
前記ユーザ端末から、前記コメントに対するリアクションを取得し、
前記ユーザにおける前記コンテンツに関するイベントへの訪問履歴を取得し、
前記訪問履歴があるコンテンツの特徴量、前記ユーザの価値観情報、前記リアクションを取得したコメントの分散表現からなる教師情報を用いて、イベントへの訪問可能性が高いコンテンツを予測するコンテンツ推薦モデルを生成し、
前記コンテンツ推薦モデルを用いて、ターゲットユーザの価値観情報から特定したコンテンツに関する情報を、前記コンテンツに対するコメントとともに、前記ターゲットユーザのユーザ端末に送信する手段として機能させることを特徴とする提案支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザが興味を持つ可能性が高いコンテンツを提案するための提案支援システム、提案支援方法及び提案支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種媒体を介して、多様なコンテンツが提供されている。このようなコンテンツの管理において、要請者のニーズを反映した文化芸術創作物統合管理サービスを提供する方法が検討されている(例えば、特許文献1)。この特許文献に記載された技術では、特定の創作物を鑑賞した要請者からニーズが反映された基礎情報と設問情報の入力を受ける。次に、基礎情報と設問情報に含まれた要請者のニーズに基づいて、要請者のレベルを分類し、分類結果を基礎情報及び設問情報と、創作物の識別情報とともにデータベースに登録する。そして、要請者から特定の創作物についての詳細情報の要求がある場合には、分類された要請者のレベルに応じてサービスを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
創作物としての絵画等のコンテンツは美術館等で展示される。美術館等では、アンケートによって来館者の展示会に対する感想を分析することがある。しかしながら、アンケートでは、絵画に対する反応や好みの把握が難しい。このため、美術館訪問の動機の把握や、訪問促進が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する提案支援システムは、ユーザのユーザ端末に接続された制御部を備える。そして、前記制御部が、コンテンツについての案内及び前記コンテンツに対するコメントを前記ユーザ端末に配信し、前記ユーザ端末から、前記コメントに対するリアクションを取得し、前記ユーザにおける前記コンテンツに関するイベントへの訪問履歴を取得し、前記訪問履歴があるコンテンツの特徴量、前記ユーザの価値観情報、リアクションを取得したコメントの分散表現からなる教師情報を用いて、イベントへの訪問可能性が高いコンテンツを予測するコンテンツ推薦モデルを生成し、前記コンテンツ推薦モデルを用いて、ターゲットユーザの価値観情報から特定したコンテンツに関する情報を、前記コンテンツに対するコメントとともに、前記ターゲットユーザのユーザ端末に送信する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、ユーザに適したコンテンツを提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】実施形態の情報記憶部の説明図であって、(a)はコンテンツ情報記憶部、(b)はユーザ情報記憶部、(c)はコメント情報記憶部の説明図。
【
図4】実施形態の情報記憶部の説明図であって、(a)は配信履歴記憶部、(b)は訪問履歴記憶部、(c)は学習結果記憶部、(d)はイベント情報記憶部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1~
図12に従って、提案支援システム、提案支援方法及び提案支援プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、コンテンツとして、美術館に展示される絵画について、ユーザの趣味趣向にあったコンテンツ情報をタイムリーに提供するサービスを想定する。
図1に示すように、本実施形態の提案支援システムは、ネットワークを介して接続されたユーザ端末10、支援サーバ20を用いる。
【0009】
(ハードウェア構成例)
図2は、ユーザ端末10、支援サーバ20等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
【0010】
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0011】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
【0012】
入力装置H12は、ユーザ等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
【0013】
記憶装置H14は、ユーザ端末10、支援サーバ20の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0014】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、ユーザ端末10、支援サーバ20における各処理(例えば、後述する制御部21における処理)を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、ユーザ端末10、支援サーバ20のアプリケーションプログラムが起動された場合、後述する各処理を実行するプロセスを動作させる。
【0015】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、以下として構成し得る。
【0016】
(1)コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ
(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは
(3)それらの組み合わせ、を含む回路
プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0017】
(ユーザ端末10及び支援サーバ20の機能)
図1を用いて、ユーザ端末10、支援サーバ20の機能を説明する。
ユーザ端末10は、本サービスを利用するユーザが用いるコンピュータ端末である。このユーザ端末10には、サービスを利用するための鑑賞アプリケーションがインストールされる。この鑑賞アプリケーションを用いることにより、支援サーバ20からのメッセージを取得したり、絵画画像を閲覧したりする。
【0018】
支援サーバ20は、ユーザ端末10に対して、コンテンツに関する情報を配信するためのコンピュータシステムである。この支援サーバ20は、制御部21、コンテンツ情報記憶部22、ユーザ情報記憶部23、コメント情報記憶部24、配信履歴記憶部25、訪問履歴記憶部26、学習結果記憶部27、イベント情報記憶部28を備えている。
【0019】
制御部21は、後述する処理(ユーザ管理段階、配信処理段階、閲覧管理段階、訪問管理段階、学習段階等を含む処理)を行なう。このための提案支援プログラムを実行することにより、制御部21は、ユーザ管理部211、配信処理部212、閲覧管理部213、訪問管理部214、学習部215等として機能する。
【0020】
ユーザ管理部211は、ユーザを管理する処理を実行する。このユーザ管理部211は、ユーザから取得したアンケート結果に基づいて、ユーザの価値観尺度(価値観情報)を評価する。
【0021】
配信処理部212は、ユーザの趣味趣向に応じてコンテンツ情報(絵画情報)を配信する処理を実行する。この場合、配信処理部212は、ユーザがコンテンツを閲覧する可能性が高い時間帯に絵画情報を配信する。
【0022】
閲覧管理部213は、配信したコンテンツ情報に基づいて、ユーザ端末10でのコンテンツの閲覧状況を管理する処理を実行する。
訪問管理部214は、美術館等のイベントへの、ユーザの参加状況を管理する処理を実行する。
【0023】
学習部215は、機械学習により、コンテンツ情報をタイムリーに提供するための予測モデル(閲覧可能性予測モデル)や、ユーザの趣味趣向に応じたコンテンツの予測モデル(コンテンツ推薦モデル)を生成する処理を実行する。
【0024】
図3(a)に示すように、コンテンツ情報記憶部22には、コンテンツ管理データ220が記録される。このコンテンツ管理データ220は、ユーザ端末10に提供するコンテンツが登録された場合に記録される。このコンテンツ管理データ220には、コンテンツID、サンプル、作品情報、特徴量に関するデータが含まれる。
【0025】
コンテンツIDデータ領域には、各コンテンツ(絵画)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
サンプルデータ領域には、このコンテンツのサンプルに関するデータが記録される。例えば、絵画の場合には、絵画の画像が記録される。
【0026】
作品情報データ領域には、このコンテンツの作品情報(作者、製作年、解説等)に関するデータが記録される。
特徴量データ領域には、コンテンツの特徴量に関するデータが記録される。この特徴量を用いることにより、類似したコンテンツを特定することができる。絵画の場合には、例えば、作風等が類似する絵画を特定することができる。
【0027】
図3(b)に示すように、ユーザ情報記憶部23には、ユーザ管理データ230が記録される。このユーザ管理データ230は、ユーザ登録が行なわれた場合に記録される。このユーザ管理データ230には、ユーザID、価値観尺度に関するデータが含まれる。
【0028】
ユーザIDデータ領域には、各ユーザを特定するための識別子に関するデータが記録される。
価値観尺度データ領域には、このユーザの価値観を評価した結果に関するデータが記録される。価値観尺度は、「理論」、「経済」、「審美」、「社会」、「権力」、「宗教」といった6つの領域で、個人の持つ価値観を計測する心理学的手法である。例えば、「審美」領域については、「何かに見とれてしまうことがある」、「物事の美しい面をとらえ、どうすればより美しさが際立つか考える。」等の質問に対して、「思う」~「思わない」を5段階で回答した結果を分析する。例えば、「審美」領域の評価が高い被験者は、抽象画を好む傾向があることが知られている。なお、価値観尺度を評価する領域は、「理論」~「宗教」の6つに限定されるものではなく、評価も5段階に限定されるものではない。
【0029】
図3(c)に示すように、コメント情報記憶部24には、コメント管理データ240が記録される。このコメント管理データ240は、コンテンツに対するユーザのコメントを取得した場合に記録される。このコメント管理データ240には、コンテンツID、コメントID、コメント日時、ユーザID、コメント内容に関するデータが含まれる。
【0030】
コンテンツIDデータ領域には、各コンテンツを特定するための識別子に関するデータが記録される。
コメントIDデータ領域には、このコンテンツに対するコメントを特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0031】
コメント日時データ領域には、このコメントを取得した年月日及び時刻に関するデータが記録される。
ユーザIDデータ領域には、このコメントを提供したユーザを特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0032】
コメント内容データ領域には、コンテンツに対するユーザの意見や感想等に関するデータが記録される。
更に、コメント管理データ240の各コメントには、リアクション管理データ241が関連付けられている。リアクション管理データ241には、リアクションID、リアクション日時、ユーザID、リアクション内容に関するデータが含まれる。
【0033】
リアクションIDデータ領域には、このコメントに対する他ユーザのリアクションを特定するための識別子に関するデータが記録される。
リアクション日時データ領域には、このリアクションを取得した年月日及び時刻に関するデータが記録される。
【0034】
ユーザIDデータ領域には、リアクションしたユーザを特定するための識別子に関するデータが記録される。
リアクション内容データ領域には、他ユーザのコメントに対する反応(賛同、反対、コメント等)に関するデータが記録される。
【0035】
図4(a)に示すように、配信履歴記憶部25には、配信管理データ250が記録される。この配信管理データ250は、ユーザに対してコンテンツ情報の配信を行なった場合に記録される。この配信管理データ250には、ユーザID、配信日時、コンテンツID、閲覧日時、停留時間に関するデータが含まれる。
【0036】
ユーザIDデータ領域には、各ユーザを特定するための識別子に関するデータが記録される。
配信日時データ領域には、このユーザに対するコンテンツ情報の配信時期(年月日及び時刻)に関するデータが記録される。
【0037】
コンテンツIDデータ領域には、このユーザに対して配信したコンテンツを特定するための識別子に関するデータが記録される。
閲覧日時データ領域には、このユーザがコンテンツ情報を用いて、コンテンツのサンプルの閲覧(ユーザアクション)を行なった時期(年月日及び時刻)に関するデータが記録される。
停留時間データ領域には、このサンプルの閲覧の継続時間に関するデータが記録される。この継続時間の長さにより、有効なユーザアクションを判定する。
【0038】
図4(b)に示すように、訪問履歴記憶部26には、訪問管理データ260が記録される。この訪問管理データ260は、例えば、美術館への訪問のように、ユーザがイベントに参加した場合に記録される。この訪問管理データ260には、ユーザID、訪問日時、訪問先、コンテンツIDに関するデータが含まれる。
【0039】
ユーザIDデータ領域には、各ユーザを特定するための識別子に関するデータが記録される。
訪問日時データ領域には、展示場を訪問した年月日及び時刻に関するデータが記録される。
【0040】
訪問先データ領域には、訪問した会場を特定するための識別子(会場ID)に関するデータが記録される。
コンテンツIDデータ領域には、訪問先の展示場で、ユーザが鑑賞したコンテンツを特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0041】
図4(c)に示すように、学習結果記憶部27には、機械学習により生成された予測モデルが記録される。この予測モデルは、機械学習を行なった場合に記録される。学習結果記憶部27には、閲覧可能性予測モデル271、コンテンツ推薦モデル272が記録される。
【0042】
閲覧可能性予測モデル271は、ユーザアクションの可能性を予測するための可能性予測モデルである。この閲覧可能性予測モデル271は、ユーザの価値観尺度、配信時刻を説明変数として、閲覧(有効なユーザアクション)の有無を目的変数とした二値分類により生成される。そして、この閲覧可能性予測モデルに、ユーザの価値観尺度を入力して、閲覧する可能性が高い配信時刻を予測する。
コンテンツ推薦モデル272は、ユーザにおけるコンテンツに関するイベントへの訪問可能性(訪問確率)を予測するモデルである。
【0043】
図4(d)に示すように、イベント情報記憶部28には、コンテンツがユーザに提供されているイベントに関するイベント管理データ280が記録される。このイベント管理データ280は、コンテンツの提供(展示)が決まった場合に記録される。イベント管理データ280には、イベントID、会場ID、イベント期間、コンテンツIDに関するデータが含まれる。
【0044】
イベントIDデータ領域には、各イベントを特定するための識別子に関するデータが記録される。
会場IDデータ領域には、このイベントが開催される会場(例えば、美術館)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0045】
イベント期間データ領域には、このイベントの開催期間(始期、終期)に関するデータが記録される。なお、美術展等の常設展示(常時イベント)の場合には、開催期間の限定はない。
コンテンツIDデータ領域には、このイベントで提供されるすべてのコンテンツを特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0046】
(ユーザ登録処理)
次に、
図5を用いて、ユーザ登録処理を説明する。
【0047】
まず、支援サーバ20の制御部21は、利用希望の取得処理を実行する(ステップS101)。具体的には、本サービスの利用を希望するユーザは、ユーザ端末10を用いて、支援サーバ20にアクセスする。この場合、制御部21のユーザ管理部211は、サービスの利用希望を取得する。
【0048】
次に、支援サーバ20の制御部21は、アンケートの出力処理を実行する(ステップS102)。具体的には、制御部21のユーザ管理部211は、ユーザ端末10にアンケート画面を出力する。このアンケート画面には、ユーザの価値観を評価するための質問(12問について5段階レベルの選択欄)が含まれる。そして、ユーザ管理部211は、ユーザ端末10から、アンケート画面に入力された質問に対する回答を取得する。
【0049】
次に、支援サーバ20の制御部21は、ユーザの価値観尺度の分析処理を実行する(ステップS103)。具体的には、制御部21のユーザ管理部211は、ユーザ端末10から取得した回答に基づいて、ユーザの価値観尺度を分析する。具体的には、設問数を12問に絞ったケースでは、各問についての5段階の選択に基づいて、12次元の5レベルのベクトルデータを生成する。そして、ユーザ管理部211は、ユーザIDを付与したユーザ管理データ230を生成し、ユーザ情報記憶部23に記録する。ユーザ管理データ230には、分析した価値観尺度に関する情報を含める。
【0050】
次に、支援サーバ20の制御部21は、鑑賞アプリケーションの提供処理を実行する(ステップS104)。具体的には、制御部21のユーザ管理部211は、ユーザIDを設定した鑑賞アプリケーションをユーザ端末10に送信する。そして、ユーザは、ダウンロードした鑑賞アプリケーションをユーザ端末10にインストールする。
【0051】
(コンテンツ情報の配信処理)
次に、
図6を用いて、コンテンツ情報の配信処理を説明する。この処理は、ユーザ情報記憶部23に記録されている各ユーザを処理対象ユーザ(ターゲットユーザ)として特定して、ユーザ毎に行なわれる。
【0052】
まず、支援サーバ20の制御部21は、ユーザの価値観尺度情報の特定処理を実行する(ステップS201)。具体的には、制御部21の配信処理部212は、ユーザ情報記憶部23から、処理対象ユーザの価値観尺度を取得する。
【0053】
次に、支援サーバ20の制御部21は、当日配信時刻の特定処理を実行する(ステップS202)。具体的には、制御部21の配信処理部212は、学習結果記憶部27に閲覧可能性予測モデル271が記録されているかどうかを確認する。学習結果記憶部27に閲覧可能性予測モデル271が記録されている場合には、配信処理部212は、配信時刻予測モデルに、処理対象ユーザの価値観尺度を入力して当日配信時刻を決定する。一方、学習結果記憶部27に閲覧可能性予測モデル271が記録されておらず、閲覧可能性予測モデル271を未学習の場合には、配信処理部212は、ランダムな時刻を当日配信時刻として特定する。
【0054】
次に、支援サーバ20の制御部21は、コンテンツの特定処理を実行する(ステップS203)。具体的には、制御部21の配信処理部212は、学習結果記憶部27にコンテンツ推薦モデル272が記録されているかどうかを確認する。学習結果記憶部27にコンテンツ推薦モデル272が記録されている場合には、配信処理部212は、コンテンツ情報記憶部22から、任意のコンテンツ候補を配信対象として特定する。この場合、配信履歴記憶部25において、処理対象ユーザに対する配信履歴が記録されていないコンテンツ候補を抽出する。そして、配信処理部212は、このコンテンツ候補の特徴量を、コンテンツ情報記憶部22から取得する。更に、配信処理部212は、このコンテンツ候補に対する他ユーザの各コメントをコメント候補として、コメント情報記憶部24から取得する。
次に、配信処理部212は、各コメント候補の分散表現を算出する。具体的には、コメント文の形態素解析により得られる単語に対して、それぞれ、単語の共起確率から算出した事前学習済モデル(Word2Vec等)を使って単語ベクトルを得る。そして、単語ベクトルを総和してコメント候補に対するベクトルを得る。
次に、配信処理部212は、処理対象ユーザの価値観尺度、各コメント候補の分散表現、配信対象のコンテンツ候補の特徴量を、コンテンツ推薦モデル272に入力して、訪問可能性を算出する。そして、配信処理部212は、コンテンツ候補及び他ユーザのコメント候補の組み合わせにおいて、処理対象ユーザに対して、訪問可能性が最も高いコンテンツ及び他ユーザのコメントの組み合わせを抽出する。
一方、学習結果記憶部27にコンテンツ推薦モデルが記録されておらず、コンテンツ推薦モデルを未学習の場合には、配信処理部212は、コンテンツ情報記憶部22において、ランダムにコンテンツを抽出する。更に、配信処理部212は、抽出したコンテンツについて、ランダムに他ユーザのコメントをコメント情報記憶部24から抽出する。
【0055】
当日配信時刻が到来した場合、支援サーバ20の制御部21は、コンテンツ情報の送信処理を実行する(ステップS204)。具体的には、制御部21の配信処理部212は、ユーザIDが設定された鑑賞アプリケーションがインストールされたユーザ端末10に、コンテンツに関するメッセージ(コンテンツ情報)を送信する。このメッセージには、特定したコンテンツの作品情報や、サンプル画像を閲覧するためのリンク情報を含める。この場合、ユーザ端末10は、コンテンツ情報に関するメッセージを出力する。そして、配信処理部212は、ユーザID、配信日時、コンテンツIDに関するデータを含めた配信管理データ250を生成し、配信履歴記憶部25に記録する。
【0056】
(画像閲覧処理)
次に、
図7を用いて、画像閲覧処理を説明する。この処理は、ユーザが、ユーザ端末10にインストールされた鑑賞アプリケーションを用いて、サンプルを出力する場合に実行される。
【0057】
まず、支援サーバ20の制御部21は、閲覧要求の取得処理を実行する(ステップS301)。具体的には、コンテンツに関するメッセージを確認する場合、ユーザ端末10の鑑賞アプリケーションを起動する。この場合、鑑賞アプリケーションは、作品情報を出力する。ユーザが、コンテンツに興味を持った場合には、ユーザアクションとしてリンク情報を選択する。この場合、ユーザ端末10の鑑賞アプリケーションは、支援サーバ20に閲覧要求を送信する。閲覧要求には、コンテンツID、ユーザIDに関する情報を含める。この場合、制御部21の閲覧管理部213は、ユーザ端末10から閲覧要求を取得する。
【0058】
次に、支援サーバ20の制御部21は、閲覧情報の記録処理を実行する(ステップS302)。具体的には、制御部21の閲覧管理部213は、コンテンツID、ユーザIDが記録された配信管理データ250を、配信履歴記憶部25から取得する。そして、閲覧管理部213は、配信管理データ250の閲覧日時データ領域に現在日時を記録する。
【0059】
次に、支援サーバ20の制御部21は、サンプルの提供処理を実行する(ステップS303)。具体的には、制御部21の閲覧管理部213は、コンテンツ情報記憶部22に記録されたコンテンツIDに関連付けられたサンプルデータをユーザ端末10に送信する。この場合、ユーザ端末10の鑑賞アプリケーションは、サンプルデータ(絵画画像)を出力する。
【0060】
次に、支援サーバ20の制御部21は、他ユーザのコメントの表示処理を実行する(ステップS304)。具体的には、制御部21の閲覧管理部213は、コンテンツの特定時に、高い訪問可能性を算出した他ユーザのコメントを、ユーザ端末10に送信する。この場合、ユーザ端末10の鑑賞アプリケーションは、他ユーザのコメントを出力する。
【0061】
次に、支援サーバ20の制御部21は、コメント・リアクションの取得処理を実行する(ステップS305)。具体的には、ユーザが感想を残す場合には、鑑賞アプリケーションにコメントやリアクションを入力する。このリアクションには、他ユーザのコメントに対する賛成や反対についてのリアクションがある。ユーザ自身のコメントを残す場合には、例えば、鑑賞アプリケーションにテキスト入力を行なう。また、他ユーザのコメントに対するリアクションについては、例えば、賛同「like」や反対「dislike」アイコンの設定による賛否情報を設定する。この場合、制御部21の閲覧管理部213は、ユーザ端末10から、ユーザのコメントやリアクションを取得する。ユーザ自身のコメントを取得した場合、閲覧管理部213は、コンテンツIDに対して、コメントIDを付与したコメント管理データ240を生成して、コメント情報記憶部24に記録する。更に、このコメント管理データ240には、ユーザID、現在日時(コメント日時)、コメント内容に関する情報を含める。また、他ユーザのコメントに対するリアクションを取得した場合には、閲覧管理部213は、リアクションを取得したコメントのコメント管理データ240に関連付けて、リアクション管理データ241を記録する。このリアクション管理データ241には、リアクションID、リアクション日時、ユーザID、リアクション内容に関するデータを含める。
【0062】
次に、支援サーバ20の制御部21は、停留時間の取得処理を実行する(ステップS306)。具体的には、制御部21の閲覧管理部213は、ユーザ端末10において、サンプルデータの出力終了を待機する。そして、鑑賞アプリケーションにおいて、サンプルデータの出力停止が入力された場合、サンプルデータの出力開始からの経過時間を、停留時間として算出する。そして、閲覧管理部213は、停留時間を配信管理データ250に記録する。
【0063】
(訪問管理処理)
次に、
図8を用いて、訪問管理処理を説明する。この処理は、ユーザが、美術館(展示場)等のイベントに参加した場合に実行される。この場合、イベントで展示されたコンテンツ(絵画)には、イベントID、コンテンツIDを記録したコード画像が貼付されている。好みの絵画を鑑賞したユーザは、ユーザ端末10の鑑賞アプリケーションを起動する。
【0064】
この場合、支援サーバ20の制御部21は、訪問情報の取得処理を実行する(ステップS401)。具体的には、ユーザは、ユーザ端末10を用いて、コード画像を撮影する。この場合、鑑賞アプリケーションは、コード画像をデコードして、イベントID、コンテンツIDを取得する。そして、ユーザ端末10は、訪問情報を支援サーバ20に送信する。この訪問情報には、ユーザID、イベントID、コンテンツIDに関するデータを含める。この場合、制御部21の訪問管理部214は、ユーザ端末10から訪問情報を取得する。
【0065】
次に、支援サーバ20の制御部21は、訪問情報の記録処理を実行する(ステップS402)。具体的には、制御部21の訪問管理部214は、イベント情報記憶部28から、イベントIDに関連付けられた会場IDを取得する。次に、訪問管理部214は、訪問管理データ260を生成し、訪問履歴記憶部26に記録する。この訪問管理データ260には、ユーザID、訪問日時(現在日時)、訪問先(会場ID)、コンテンツIDに関する情報を含める。
【0066】
(配信時刻の学習処理)
次に、
図9を用いて、配信時刻の学習処理を説明する。
まず、支援サーバ20の制御部21は、ユーザ情報記憶部23に記録されている各ユーザを処理対象ユーザとして特定する。
【0067】
そして、支援サーバ20の制御部21は、ユーザ情報の取得処理を実行する(ステップS501)。具体的には、制御部21の学習部215は、ユーザ情報記憶部23から、処理対象ユーザの価値観尺度を取得する。
【0068】
次に、支援サーバ20の制御部21は、閲覧履歴の取得処理を実行する(ステップS502)。具体的には、制御部21の学習部215は、配信履歴記憶部25から、このユーザについて、直近所定期間の配信日時が記録された配信管理データ250を取得する。
【0069】
次に、支援サーバ20の制御部21は、教師情報の生成処理を実行する(ステップS503)。具体的には、制御部21の学習部215は、停留時間が基準時間以上の配信管理データ250については、配信時刻に対して「閲覧有」を設定する。一方、停留時間が基準時間未満の配信管理データ250については、配信時刻に対して「閲覧無」とする。次に、学習部215は、処理対象ユーザの価値観尺度、配信時刻、閲覧の有無を関連付けた教師情報を生成する。
【0070】
以上の処理を、すべてのユーザについて繰り返す。
すべてのユーザについて処理を完了した場合、支援サーバ20の制御部21は、配信時刻予測モデルの生成処理を実行する(ステップS504)。具体的には、制御部21の学習部215は、機械学習により、ユーザの価値観尺度、配信時刻を説明変数として、閲覧の有無を目的変数とした二値分類した配信時刻予測モデルを生成する。
【0071】
(訪問可能性分布の算出処理)
次に、
図10を用いて、訪問可能性分布の算出処理を説明する。この処理では、後述するように、ユーザ、コンテンツ、ユーザのリアクションを取得したコメントの分散表現の3軸からなるスコアマトリックスを用いる。なお、コメントの分散表現は、他人のコメントは単語の分散表現から成る高次元のデータ、或いは分散表現を主成分分析で次元削減したデータを用いる。
【0072】
まず、支援サーバ20の制御部21は、訪問実績の取得処理を実行する(ステップS601)。具体的には、制御部21の学習部215は、訪問履歴記憶部26から、訪問管理データ260を取得し、訪問実績があるユーザID、コンテンツIDを特定する。
【0073】
次に、支援サーバ20の制御部21は、コメント情報があるコンテンツの特定処理を実行する(ステップS602)。具体的には、制御部21の学習部215は、特定したユーザID、コンテンツIDについて、ユーザのリアクションが記録されたリアクション管理データ241をコメント情報記憶部24において検索する。リアクション管理データ241が記録されているコンテンツを、応答コンテンツとして特定する。
【0074】
次に、支援サーバ20の制御部21は、コンテンツの訪問可能性スコア加点処理を実行する(ステップS603)。具体的には、制御部21の学習部215は、スコアマトリックスに、スコアを示すフラグを記録する。特定コンテンツの展示された美術館に、特定ユーザが訪問した際に、このユーザが、このコンテンツ(応答コンテンツ)についてリアクションしたコメントがある場合を想定する。この場合、スコアマトリックスにおいて、応答コンテンツ、特定ユーザ、このユーザがリアクションしたコメント(分散表現)から定義される座標において、訪問の実績があったことを示すスコア(フラグ)が記録される。
【0075】
ここでは、
図11に示すように、ユーザ、コンテンツ、コメントの分散表現の3軸からなるスコアマトリックスM1を生成する。なお、コメントについては、ユーザがリアクションしたコメントに含まれる単語の分散表現(ベクトル)を用いる。そして、訪問したユーザ「U1」、閲覧したコンテンツ「P1」、ユーザ「U1」がリアクションしたコンテンツ「P1」の他ユーザのコメントの分散表現に、訪問可能性スコアとしてフラグ「S1」を付与する。なお、
図11において、便宜上、他ユーザのコメントの分散表現の軸を省略し、ユーザ及びコンテンツの2次元マトリックスにフラグ「S1」を付与している。
【0076】
次に、支援サーバ20の制御部21は、応答コンテンツと同じクラスタに属する類似コンテンツの特定処理を実行する(ステップS604)。具体的には、制御部21の学習部215は、コンテンツ情報記憶部22に記録されたコンテンツの特徴量のクラスタ分析を行なう。そして、学習部215は、応答コンテンツの特徴量とクラスタが共通する特徴量を有する類似コンテンツを特定する。
【0077】
次に、支援サーバ20の制御部21は、類似コンテンツの訪問可能性スコア加点処理を実行する(ステップS605)。具体的には、制御部21の学習部215は、「ユーザID、類似コンテンツのコンテンツID、コメント」に対して、応答コンテンツの訪問可能性スコアと同じスコアを付与する。ここでは、
図11に示すように、スコアマトリックスM1において、ユーザID「U1」、同じクラスタに属するコンテンツID「P3,P6」について、訪問可能性スコアとして、フラグ「S2(=S1)」を追加付与する。
【0078】
次に、支援サーバ20の制御部21は、類似ユーザの特定処理を実行する(ステップS606)。具体的には、制御部21の学習部215は、ユーザ情報記憶部23に記録された価値観尺度のクラスタ分析を行なう。そして、学習部215は、処理対象ユーザの価値観尺度とクラスタが共通する価値観尺度を有する類似ユーザを特定する。
【0079】
次に、支援サーバ20の制御部21は、類似ユーザの訪問可能性スコア加点処理を実行する(ステップS607)。具体的には、制御部21の学習部215は、類似ユーザについて、「類似ユーザのユーザID、応答コンテンツ及び類似コンテンツのコンテンツID、コメント」にスコアを加点する。ここでは、
図11に示すように、スコアマトリックスM1において、同じクラスタに属するユーザID「U3,U5」、同じクラスタに属するコンテンツID「P3,P6」について、訪問可能性スコアとして、フラグ「S3(=S1)」を追加付与する。
【0080】
(コンテンツ推薦モデルの学習処理)
次に、
図12を用いて、コンテンツ推薦モデルの学習処理を説明する。
まず、支援サーバ20の制御部21は、訪問可能性スコアの取得処理を実行する(ステップS701)。具体的には、制御部21の学習部215は、訪問可能性分布の算出処理において作成したスコアマトリックスM1を取得する。
【0081】
次に、支援サーバ20の制御部21は、コンテンツ推薦モデルの生成処理を実行する(ステップS702)。具体的には、制御部21の学習部215は、下記式で表現される訪問可能性(VisitProbability)を用いる。
【0082】
f(Value、Picture、Others’words)=Appreciation.
g(Appreciation)=VisitProbability.
g(f(Value、Picture、Others’words))=VisitProbability.
ここで、「Value」は、ユーザの価値観尺度のベクトルである。
【0083】
「Picture」は、コンテンツから抽出した特徴量ベクトルである。
「Others’words」は、ユーザがリアクションを示した他ユーザコメントの分散表現(ベクトル)である。
「Appreciation」は、ユーザの鑑賞データであり、停留時間、ユーザがリアクションしたコメントの分散表現(ベクトル)である。
【0084】
そして、学習部215は、スコアマトリックスM1においてスコアが記録されているコンテンツの特徴量を、コンテンツ情報記憶部22から取得する。更に、学習部215は、スコアマトリックスM1においてスコアが記録されているユーザの価値観尺度をユーザ情報記憶部23から取得する。
【0085】
次に、学習部215は、スコアマトリックスM1においてスコア、コンテンツの特徴量、ユーザの価値観尺度、他ユーザのコメントの分散表現をデータセットとして教師情報とする。ここでは、コンテンツの特徴量、ユーザの価値観尺度、他ユーザのコメントの分散表現を説明変数とし、スコア(訪問確率)を目的変数とする機械学習を行なう。これにより、ユーザの価値観尺度、ユーザがリアクションした他ユーザのコメントの分散表現、コンテンツの特徴量から、訪問可能性を予測するコンテンツ推薦モデル272を生成し、学習結果記憶部27に記録する。本実施形態では、このコンテンツ推薦モデル272を深層学習により生成する。
【0086】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、ユーザの価値観尺度の分析処理を実行する(ステップS103)。これにより、ユーザの価値観尺度に応じて、コンテンツ情報を提供することができる。ここでは、価値観尺度を用いるため、ユーザの個人情報がない場合にも、サービスを提供することができる。
【0087】
(2)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、当日配信時刻の特定処理を実行する(ステップS202)。これにより、ユーザの価値観尺度に基づいて、ユーザの閲覧の可能性が高い時間帯に、コンテンツ情報を提供することができる。
【0088】
(3)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、コンテンツの特定処理を実行する(ステップS203)。これにより、ユーザの価値観尺度に基づいて、ユーザの趣味趣向に応じたコンテンツ情報を提供することができる。
【0089】
(4)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、他ユーザのコメントの表示処理(ステップS304)、コメント・リアクションの取得処理(ステップS305)を実行する。これにより、他ユーザコメントを提供して、ユーザのリアクションを取得することができる。このリアクションに応じて、ユーザの趣味趣向を分析することができる。
【0090】
(5)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、停留時間の取得処理を実行する(ステップS306)。これにより、コンテンツに対するユーザの趣味趣向を把握することができる。
【0091】
(6)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、訪問情報の取得処理を実行する(ステップS401)。これにより、ユーザの訪問状況を管理することができる。
【0092】
(7)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、配信時刻の学習処理を実行する。これにより、ユーザの価値観尺度に基づいて、配信タイミングとして、ユーザの閲覧可能性が高い時間帯を予測することができる。
【0093】
(8)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、訪問可能性分布の算出処理を実行する。これにより、実際の訪問実績が少ない場合にも、ユーザの価値観尺度やコンテンツの特徴量に基づいて、コンテンツ推薦モデル272を作成するための教師情報を増やすことができる。
【0094】
(9)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、コンテンツ推薦モデルの学習処理を実行する。これにより、イベントへの訪問を促進するコンテンツ情報を提供することができる。
【0095】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、ユーザの価値観尺度、コンテンツの特徴量、他ユーザのコメントを説明変数として用いて、目的変数である訪問可能性を予測するコンテンツ推薦モデルを生成する。説明変数は、これらに限定されるものではない。例えば、ユーザの価値観尺度、ユーザのリアクションを取得したコメントの分散表現、訪問可能性分布から、コンテンツの特徴量を予測するコンテンツ推薦モデルを生成してもよい。この場合には、ユーザの価値観尺度、ユーザのリアクションを取得したコメントの分散表現、訪問可能性分布を説明変数として用い、コンテンツの特徴量を目的変数として用いる。
【0096】
この場合には、配信処理部212は、処理対象ユーザのリアクションがあった他ユーザの各コメントを、コメント候補として、コメント情報記憶部24から取得する。次に、配信処理部212は、コメント候補の分散表現を算出する。そして、配信処理部212は、ユーザの価値観尺度、ユーザのリアクションを取得したコメントの分散表現を用いて、訪問可能性分布が高くなるコンテンツの特徴量を算出する。
次に、配信処理部212は、算出した特徴量に近いコンテンツを、コンテンツ情報記憶部22を用いて特定する。
【0097】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、当日配信時刻の特定処理を実行する(ステップS202)。ここでは、閲覧可能性予測モデル271を未学習の場合には、配信処理部212は、ランダムな時刻を当日配信時刻として特定する。ここで、ランダムな時刻は、所定範囲内で設定してもよい。例えば、予め定められた生活時間帯内でランダムな時刻を特定してもよい。また、ユーザ情報記憶部23に、処理対象ユーザのユーザ属性(例えば、性別や年齢、職業等)を記録しておき、このユーザ属性に応じた時間帯内でランダムな時刻を特定してもよい。また、ユーザ端末10の利用履歴から利用時間帯を取得して、この利用時間帯内でランダムな時刻を特定してもよい。
【0098】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、コンテンツの特定処理を実行する(ステップS203)。ここでは、配信処理部212は、訪問可能性が最も高いコンテンツを特定する。これに加えて、イベント情報記憶部28に記録されるイベント状況を用いて、コンテンツを特定してもよい。この場合には、現在日が、イベント期間中、或いは将来のイベント期間が近いイベントで展示されるコンテンツを、コンテンツ候補として特定する。そして、コンテンツ情報の配信時に、イベントの販促情報(割引券や参加特典等)を付加してもよい。
【0099】
また、ユーザの居所や住所に応じて、コンテンツ候補を特定してもよい。この場合には、ユーザ情報記憶部23に、ユーザの住所や活動エリアに関するアクセス可能エリアを記録しておく。また、訪問履歴記憶部26を用いて、ユーザの訪問履歴がある訪問先のエリアをアクセス可能エリアとして特定してもよい。そして、イベント情報記憶部28において、アクセス可能エリアに含まれる会場でのコンテンツを特定する。
【0100】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、コンテンツの特定処理を実行する(ステップS203)。ここでは、配信処理部212は、処理対象ユーザに対して、訪問可能性が最も高いコンテンツ及び他ユーザのコメントを特定する。これに代えて、配信対象となるコンテンツを先に決定した後で、訪問可能性が最も高い他ユーザのコメントをユーザ毎に決定するようにしてもよい。
【0101】
この場合、美術館等の会場の雰囲気を考慮してもよい。例えば、会場の雰囲気を表した特徴量(ベクトル)を用いる。この会場の特徴量は、例えば、訪問したユーザ(客層)に関する情報、訪問ユーザ数規模、会場の運営主体、会場の常設展示のコンテンツの特徴量などを用いることができる。この場合、配信処理部212は、会場の特徴量が、訪問履歴記憶部26に訪問実績が記録された訪問先に近い会場のイベントをイベント情報記憶部28において特定する。そして、配信処理部212は、このイベントにおけるコンテンツをコンテンツ候補として特定する。
【0102】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、コメント情報があるコンテンツの特定処理を実行する(ステップS602)。ここでは、ユーザのリアクションが記録されたコメント管理データ240を用いて、応答コンテンツとして特定する。ここで、ユーザ自身のコメントを応答コンテンツに含めて特定してもよい。この場合、学習部215は、訪問したユーザID、コンテンツIDについて、ユーザのコメントやリアクションが記録されたコメント管理データ240、リアクション管理データ241をコメント情報記憶部24において検索する。コメント管理データ240、リアクション管理データ241が記録されているコンテンツを、応答コンテンツとして特定する。そして、ユーザ自身のコメントの分散表現を用いて、訪問可能性スコアを算出する。
【0103】
・上記実施形態では、訪問可能性分布の算出処理、コンテンツ推薦モデルの学習処理において、ユーザがリアクションした他ユーザのコメントを用いる。ここで、ユーザのコメントやリアクションについて感情分析を行なってもよい。具体的には、ユーザ端末10からコメントやリアクションを取得した場合、制御部21の閲覧管理部213は、コメントやリアクションの感情分析を行なう。例えば、ユーザのコメントに含まれるテキストを用いて感情分析を行なう。他ユーザのコメントに対する賛否情報を取得した場合には、閲覧管理部213は、賛同又は反対が記録された他ユーザのコメントに応じて、同じ感情や反対の感情を特定する。そして、閲覧管理部213は、感情分析結果を、コメント管理データ240又はリアクション管理データ241に記録する。次に、コンテンツに対して、好感情のコンテンツを特定する。例えば、「コメントが正の感情で、リアクションが正の感情」の場合や、「コメントが負の感情で、リアクションが負の感情」の場合には、「正」のスコアが算出される。一方、「コメントが正の感情で、リアクションが負の感情」の場合や、「コメントが負の感情で、リアクションが正の感情」の場合には、「負」のスコアが算出される。そして、学習部215は、ユーザID、コンテンツID、コメントの感情分析結果に応じてスコアを、スコアマトリックスに加点する。これにより、感情分析結果に応じて、訪問可能性を予測することができる。
【0104】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、訪問可能性分布の算出処理を実行する。ここでは、ユーザ、コンテンツ、ユーザのリアクションを取得したコメントの分散表現の3軸からなるスコアマトリックスを用いる。このスコアマトリクスの軸数は3軸に限定されるものではない。例えば、リアクションを伴うコメントについては、リアクション情報の感情分析の結果、好感度、嫌悪感を検出する。そして、嫌悪感は訪問可能性を下げる可能性があるものとして負のスコアを、好感度があるものは訪問可能性を上げる可能性があるものとして感情の情報を、リアクションを伴うコメントごとにスコアとして算出し、4軸目として与える。
【0105】
また、リアクションを伴うコメントの内、嫌悪感が高いと判定されるリアクションについては、当該ユーザが当該コメントに反応していないことと同等としてもよい。リアクションしていないものとして取り扱うことで、リアクションを伴うコメントからスクリーニングしてもよい。
【0106】
また、ユーザから、コンテンツ利用の目的を取得して、この目的をスコアマトリックスの他の軸(説明変数)として用いてもよい。
また、スコアマトリックスのユーザの軸として、ユーザ情報記憶部23に、ユーザ属性(性別、年齢、職業等)を記録しておき、このユーザ属性をスコアマトリックスの他の軸(説明変数)として用いてもよい。
【0107】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、他ユーザのコメントの表示処理を実行する(ステップS304)。ここでは、コンテンツの特定処理(ステップS203)において、コンテンツの特定時のコメント候補を用いる。ここで、他ユーザのコメントの特定時期は、これに限定されるものではない。他ユーザのコメントの表示処理(ステップS304)の実行時に、訪問可能性が最も高い他ユーザのコメントを特定するようにしてもよい。この場合には、コメント情報記憶部24において、コメント候補を特定し、処理対象ユーザの価値観尺度、コメント候補の分散表現、配信対象のコンテンツ候補の特徴量を、コンテンツ推薦モデル272に入力して、訪問可能性を算出する。
【0108】
・上記実施形態では、機械学習により、閲覧可能性予測モデル271やコンテンツ推薦モデル272を生成する。これらのモデルを作成する機械学習の方法は、二値分類や深層学習に限定されるものではない。
【0109】
・上記実施形態では、コンテンツとして、美術館に展示される絵画を用いて説明した。コンテンツは絵画に限定されるものではない。例えば、コンテンツとして音楽等の音響コンテンツ等を用いることができる。この場合には、コンテンツ情報記憶部22にサンプル音源を記録する。また、コンテンツとして、小説等の文章を用いてもよい。この場合には、コンテンツ情報記憶部22に、サンプルとして目次や抜粋、あらすじ等を記録する。
【0110】
・上記実施形態では、訪問管理処理において、美術館等のイベントへの参加状況を管理するが、イベントへの参加は、美術館等の訪問に限定されるものではない。例えば、オークション会場への参加でもよい。また、コンテンツとして音楽等の音響コンテンツの場合には、イベントとして、コンサート等への参加状況を管理する。また、小説等の文章の場合には、書店での書籍購入の状況を管理する。また、コンテンツにアクセスできるイベントであれば、現実空間で行なわれるイベントに限定されるものではなく、ネットワーク上の仮想空間上のイベントに適用してもよい。
【符号の説明】
【0111】
10…ユーザ端末、20…支援サーバ、21…制御部、211…ユーザ管理部、212…配信処理部、213…閲覧管理部、214…訪問管理部、215…学習部、22…コンテンツ情報記憶部、23…ユーザ情報記憶部、24…コメント情報記憶部、25…配信履歴記憶部、26…訪問履歴記憶部、27…学習結果記憶部、28…イベント情報記憶部。