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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048448
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】ハイブリッド給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/00 20220101AFI20230331BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20230331BHJP
【FI】
F24H1/18 301Z
F24H4/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157767
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】舘 大介
(72)【発明者】
【氏名】大西 兼造
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 由典
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA04
3L122AA12
3L122AA23
3L122AA54
3L122AA63
3L122AA64
3L122AB22
3L122AB33
3L122AB42
3L122AB52
3L122AB62
3L122BA02
3L122BA03
3L122BA12
3L122BA13
3L122BA14
3L122BA32
3L122BA41
3L122BB02
3L122BB12
3L122BB15
3L122CA05
3L122DA31
3L122EA09
3L122EA55
3L122FA02
3L122FA28
3L122GA10
(57)【要約】
【課題】断水時に貯湯タンク内の湯水を給湯栓に自動的に供給可能なハイブリッド給湯装置を提供すること。
【解決手段】ヒートポンプ熱源機(52)と、燃焼式の補助熱源機(53)と、貯湯タンク(51)と、制御部(76)とを備えたハイブリッド給湯装置(50)において、ハイブリッド給湯装置(51)の操作を行うための操作端末(76)を備え、断水を検知したときは操作端末(76)から報知し、操作端末(76)から制御部(75)に対して非常時水取り出しモードが設定されたときに、貯湯タンク(51)にエアを導入するエアベントを開かれたことを条件として、制御部(75)は、貯湯タンク(51)からヒートポンプ熱源機(52)に湯水を供給する湯水通路に設けられた貯湯ポンプ(54)を動作させて、貯湯タンク(51)内の湯水を給湯栓に自動的に供給する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプ熱源機と、燃焼式の補助熱源機と、貯湯タンクと、制御部とを備えたハイブリッド給湯装置において、
前記ハイブリッド給湯装置の操作を行うための操作端末を備え、断水を検知したときは前記操作端末から報知し、操作端末から制御部に対して非常時水取り出しモードが設定されたときに、貯湯タンクにエアを導入するエアベントが開かれたことを条件として、前記制御部は、貯湯タンクから補助熱源機に湯水を供給する湯水通路に設けられた循環ポンプを動作させて、貯湯タンク内の湯水を給湯栓に供給することを特徴とするハイブリッド給湯装置。
【請求項2】
ヒートポンプ熱源機と、燃焼式の補助熱源機と、貯湯タンクと、制御部とを備えたハイブリッド給湯装置において、
前記ハイブリッド給湯装置の操作を行うための操作端末を備え、断水を検知したときは前記操作端末から報知し、操作端末から制御部に対して非常時水取り出しモードが設定されたときに、貯湯タンクにエアを導入するエアベントが開かれたことを条件として、前記制御部は、前記貯湯タンクからヒートポンプ熱源機に湯水を供給する湯水通路に設けられた貯湯ポンプを動作させて、貯湯タンク内の湯水を給湯栓に供給することを特徴とするハイブリッド給湯装置。
【請求項3】
断水が検知されなくなったとき、前記循環ポンプの空回りが検知されたとき、操作端末から非常時水取り出しモード解除操作があったときの何れかの場合に、前記非常時水取り出しモードを終了することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド給湯装置。
【請求項4】
断水が検知されなくなったとき、前記貯湯ポンプの空回りが検知されたとき、操作端末から非常時水取り出しモード解除操作があったときの何れかの場合に、前記非常時水取り出しモードを終了することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド給湯装置において、断水時に制御部に非常時水取出しモードを設定することで、貯湯タンクから給湯栓に自動的に給湯可能に構成したものに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ熱源機と、燃焼式の補助熱源機と、貯湯タンクと、制御部とを備えたハイブリッド給湯装置において、断水になった場合に貯湯タンクへ給水圧が作用しなくなるため、貯湯タンク内の湯水を先栓へ給湯することができない。そこで、通常は貯湯タンクから排水する為の排水栓から容器へ湯水を取り出す。
【0003】
特許文献1に記載の貯湯ユニットにおいては、貯湯タンク内の湯水を排水する為の排水栓において、先端から排水するスクリュー式の栓本体に、排水を受けるペットボトルの口部に係合する弾性材料製の係合部材を設けている。
【0004】
特許文献2に記載の貯湯式電気温水器においては、貯湯タンク底部と出湯管を接続するバイパス管にポンプを設け、断水時に前記ポンプを作動させて給湯栓から湯水を取り出し可能にしてある。
【0005】
特許文献3に記載の貯湯式給湯機においては、貯湯タンクの底部から取り出した湯水を貯湯ポンプでヒートポンプへ送り、そのヒートポンプで加熱してから直接浴槽へ注湯可能に構成してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-101347号公報
【特許文献2】特許第6066452号公報
【特許文献3】特許第6895766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、断水時に貯湯タンク内の湯水を給湯栓に自動的に供給可能なハイブリッド給湯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のハイブリッド給湯装置は、ヒートポンプ熱源機と、燃焼式の補助熱源機と、貯湯タンクと、制御部とを備えたハイブリッド給湯装置において、前記ハイブリッド給湯装置の操作を行うための操作端末を備え、断水を検知したときは前記操作端末から報知し、操作端末から制御部に対して非常時水取り出しモードが設定されたときに、貯湯タンクにエアを導入するエアベントを開かれたことを条件として、前記制御部は、貯湯タンクから補助熱源機に湯水を供給する湯水通路に設けられた循環ポンプを動作させて、貯湯タンク内の湯水を給湯栓に供給することを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、断水を検知したときは操作端末から報知するため、ユーザーが断水の発生を早期に知ることができる。前記操作端末から制御部に対して非常時水取り出しモードが設定されたとき、貯湯タンクにエアを導入するエアベントを開かれたことを条件として、前記制御部は、貯湯タンクから補助熱源機に湯水を供給する湯水通路に設けられた循環ポンプを動作させて、貯湯タンク内の湯水を給湯栓に供給するため、貯湯タンクの湯水を給湯栓から取り出すことができる。このように、貯湯タンク内の湯水を給湯栓から取り出すことができるため、便利である。
【0010】
尚、非常時水取り出しモードが設定されたとき、給湯栓が開かれるものとする。
また、上記のように補助熱源機を経由して給湯する際には、必要に応じて補助熱源機により湯水を温めるようにしてもよい。
【0011】
請求項2のハイブリッド給湯装置は、ヒートポンプ熱源機と、燃焼式の補助熱源機と、貯湯タンクと、制御部とを備えたハイブリッド給湯装置において、前記ハイブリッド給湯装置の操作を行うための操作端末を備え、断水を検知したときは前記操作端末から報知し、操作端末から制御部に対して非常時水取り出しモードが設定されたときに、貯湯タンクにエアを導入するエアベントを開かれたことを条件として、前記制御部は、前記貯湯タンクからヒートポンプ熱源機に湯水を供給する湯水通路に設けられた貯湯ポンプを動作させて、貯湯タンク内の湯水を給湯栓に供給することを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、断水を検知したときは操作端末から報知するため、ユーザーが断水の発生を早期に知ることができる。操作端末から制御部に対して非常時水取り出しモードが設定されたときに、貯湯タンクにエアを導入するエアベントを開かれたことを条件として、前記制御部は、前記貯湯タンクからヒートポンプ熱源機に湯水を供給する湯水通路に設けられた貯湯ポンプを動作させて、貯湯タンク内の湯水を給湯栓に供給するため、貯湯タンクの湯水を給湯栓から取り出すことができる。このように、貯湯タンク内の湯水を給湯栓から取り出すことができるため、便利である。
【0013】
尚、非常時水取り出しモードが設定されたとき、給湯栓が開かれるものとする。
また、上記のようにヒートポンプ熱源機を経由して給湯する際には、必要に応じてヒートポンプ熱源機により湯水を温めるようにしてもよい。
【0014】
請求項3のハイブリッド給湯装置は、請求項1の発明において、断水が検知されなくなったとき、前記循環ポンプの空回りが検知されたとき、操作端末から非常時水取り出しモード解除操作があったときの何れかの場合に、前記非常時水取り出しモードを終了することを特徴としている。
上記の構成によれば、断水が検知されなくなったとき、又は前記循環ポンプの空回りが検知されたとき、又は操作端末から非常時水取り出しモード解除操作があったときには、非常時水取り出しモードを継続する必要がないため、その非常時水取り出しモードを終了する。
【0015】
請求項4のハイブリッド給湯装置は、請求項2の発明において、断水が検知されなくなったとき、前記貯湯ポンプの空回りが検知されたとき、操作端末から非常時水取り出しモード解除操作があったときの何れかの場合に、前記非常時水取り出しモードを終了することを特徴としている。
上記の構成によれば、請求項3と同様の作用、効果を奏する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、前記のような種々の作用、効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施1に係るハイブリッド給湯装置の構成図である。
図2】ヒートポンプ熱源機の構成図である。
図3】実施例2に係るハイブリッド給湯装置の構成図である。
図4】実施例3に係るハイブリッド給湯装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づいて説明する。
【実施例0019】
実施例1に係るハイブリッド給湯装置1について、図1に基づいて説明する。
このハイブリッド給湯装置1は、ヒートポンプ熱源機10と、このヒートポンプ熱源機10で加熱した湯水を貯留可能な貯湯給湯ユニット20とを有する。
【0020】
貯湯給湯ユニット20は、湯水を貯湯するための貯湯タンク21と、燃料の燃焼熱を利用して湯水を加熱する燃焼式の補助熱源機22と、高温の湯水と上水を混合する混合弁23と、ハイブリッド給湯装置1を制御する制御部24(制御手段)を備えている。ハイブリッド給湯装置1は、ヒートポンプ熱源機10によって外気の熱を利用して貯湯タンク21の湯水を加熱した高温の湯水を貯湯タンク21に貯湯し、貯湯タンク21の高温の湯水と上水を混合弁23で混合して、給湯設定温度の湯水を例えば給湯栓9に給湯するように構成されている。
【0021】
補助熱源機22は、送風ファン22a、バーナ22b、熱交換器22c等を備え、外部から供給される燃料(例えば都市ガス)の燃焼熱を利用して上水を加熱する。
【0022】
制御部24は、学習記憶した給湯使用履歴に基づいて将来の給湯使用の予測を行い、予測した給湯使用量に相当する熱量を予測した給湯使用の前に貯湯タンク21に貯湯するように貯湯運転を制御する。制御部24には、上記の貯湯運転、給湯運転以外にも、各種センサの検知信号等に基づいて湯張り運転、追焚運転等の制御を行う制御プログラムが格納されている。また、制御部24は、ヒートポンプ熱源機10への入水温度と外気温度に基づいて、ヒートポンプ熱源機10を制御する。
【0023】
貯湯タンク21の下部には、ヒートポンプ熱源機10に貯湯タンク21の湯水を供給する循環往き通路25が接続され、貯湯タンク21の上部には、ヒートポンプ熱源機10で加熱した湯水を貯湯タンク21に戻す循環戻り通路26が接続されている。循環往き通路25は、貯湯タンク21の湯水をヒートポンプ式熱源機10に送るための貯湯ポンプ27を備えている。尚、ヒートポンプ熱源機10が貯湯ポンプ27に相当するものを備えていてもよい。
【0024】
循環往き通路25には、ヒートポンプ熱源機10に供給する湯水の温度を検知する循環往き温度センサ25aが配設されている。循環戻り通路26には、ヒートポンプ熱源機10で加熱された湯水の温度を検知する循環戻り温度センサ26aが配設されている。
【0025】
また、貯湯タンク21の下部には、給水導入部42から貯湯タンク21に上水を供給するための給水通路28が接続されている。給水導入部42には、上水の水圧を検知する圧力計43が設けられ、その検知信号は制御部24へ供給されている。
【0026】
給水通路28には上水の温度を検知する給水温度センサ28aが配設され、給水通路28の貯湯タンク21との接続部の近傍には、排水栓29aを備えた排水通路29が接続されている。貯湯タンク21の頂部には、上水の給水圧により貯湯タンク21の湯水を出湯するための出湯通路30が接続されている。
【0027】
貯湯タンク21には、その内部の湯水の温度を検知するために、貯湯タンク21の高さ方向に所定の間隔を空けて並ぶように、複数の貯湯温度センサ21a~21eが配設されている。
貯湯タンク21の頂部には、電磁開閉弁41で開閉されるエアベントが接続されている。
出湯通路30の貯湯タンク21との接続部の近傍には、貯湯タンク21から出湯通路30に出湯される湯水の温度を検知するための貯湯タンク出湯温度センサ21fが配設されている。貯湯タンク21は、貯湯温度センサ21a~21eと貯湯タンク出湯温度センサ21fを含めて不図示の断熱部材に覆われており、貯湯運転により貯湯した湯水の放熱を防いで温度低下を緩やかにしている。
【0028】
混合弁23には、給水通路28から分岐された第1分岐通路31と、出湯通路30と給湯通路32が接続されている。この混合弁23は、出湯通路30から供給される高温の湯水と第1分岐通路31から供給される低温の上水の混合比を調整可能に構成されている。混合弁23で混合された湯水は、給湯通路32に供給されて給湯栓9等から給湯される。
【0029】
混合弁23の高温水入口近傍の出湯通路30には、混合弁23に供給される湯水の温度を検知する混合弁入口温度センサ30aが配設されている。混合弁23から延びる給湯通路32には、給湯流量を検知する給湯流量センサ32aと、給湯温度を検知する給湯温度センサ32bと、給湯流量を調整する給湯流量調整弁32cが配設されている。
【0030】
給水通路28からさらに第2分岐通路33が分岐され、この第2分岐通路33が追焚用循環通路34に接続されている。追焚用循環通路34は、補助熱源機22と追焚用熱交換器35に接続され、補助熱源機22に湯水を供給するために補助熱源機22の湯水の入口側に循環ポンプ36を有する。
【0031】
追焚用循環通路34の循環ポンプ36の出口と補助熱源機22の入口の間には、補助熱源機22に供給される湯水の温度を検知する入口温度センサ34aと、その流量を検知する循環流量センサ34bが配設されている。そして、補助熱源機22で加熱された湯水温度を検知する出口温度センサ34cが、補助熱源機22の湯水の出口側の追焚用循環通路34に配設されている。また、追焚用循環通路34は、追焚用熱交換器35の出口側に追焚用循環通路34を開閉するための開閉電磁弁34dを有する。第2分岐通路33は、循環ポンプ36と開閉電磁弁34dの間に接続されている。
【0032】
追焚用熱交換器35には、図示外の浴槽の湯水を流通させるために浴槽ポンプ37を備えた追焚通路38が接続されている。この追焚用熱交換器35は、補助熱源機22が加熱した高温の湯水との熱交換によって、追焚通路38を流通する浴槽の湯水を加熱する。追焚通路38には、給湯流量調整弁32cにおいて給湯通路32から分岐された注湯通路39が接続され、追焚通路38を介して浴槽に注湯(湯張り)可能なように構成されている。
注湯通路39には、注湯水量センサ39aと、注湯電磁弁39bと、逆流防止弁39c が介装されている。
【0033】
出口温度センサ34cと追焚用熱交換器35の間の追焚用循環通路34から、燃焼出湯通路40が分岐されて出湯通路30に接続されている。燃焼出湯通路40は、出湯通路30に供給する湯水量を調整するための流量調整弁40a(タンク水比例弁)を備えている。補助熱源機22で加熱された湯水は、燃焼出湯通路40を介して出湯通路30に供給可能である。
【0034】
制御部24は、貯湯温度センサ21a等の各部に配設された温度センサの検知温度、給湯流量センサ32a等の検知流量等に基づいて、各部に配設された弁、ポンプ等の機器類を作動させて各種運転制御等を行う。また、制御部24は、計時機能、給湯使用履歴を学習記憶する機能を備えている。この制御部24には、操作端末24aが通信可能に接続されている。操作端末24aは、貯湯給湯システム1の運転操作、給湯設定温度等の各種設定操作のための操作部と表示部と、家庭内の通信ネットワーク(ホームネットワーク)に通信接続するための通信部を有する。ホームネットワークは、商用電源2の停電時にも、バッテリ(図示略)から電力供給を受けて通信可能に維持される。
【0035】
ヒートポンプ熱源機10について、図2に基づいて説明する。
ヒートポンプ熱源機10は、圧縮機11、凝縮熱交換器12、膨張弁13、蒸発熱交換器14を冷媒回路15により接続して構成されている。このヒートポンプ熱源機10は、冷媒回路15に封入された冷媒を圧縮機11で圧縮して高温にする。そして、貯湯ポンプ27の駆動により循環往き通路25から供給される貯湯タンク21の湯水を、凝縮熱交換器12において高温の冷媒との熱交換により加熱する。熱交換後の温度が下がった冷媒は、膨張弁13において膨張して外気より低温になり、蒸発熱交換器14で外気から吸熱した後、再び圧縮機11に導入される。蒸発熱交換器14は、送風機16と外気温度を検知する外気温度センサ17を備えている。
【0036】
次に、貯湯運転について説明する。
制御部24は、例えば学習記憶した給湯使用履歴に基づいて将来の給湯使用時刻と給湯使用量を予測し、予測した給湯使用の直前に貯湯が完了するように貯湯運転を制御する。このとき制御部24は、貯湯ポンプ27とヒートポンプ熱源機10を作動させて貯湯運転を開始し、予測した給湯使用量に相当する熱量を貯湯すると貯湯運転を終了する。
【0037】
次に、給湯運転について説明する。
給湯設定温度の給湯を行う給湯運転は、制御部24が、混合弁入口温度センサ30aと給水温度センサ28aと給湯温度センサ32bの夫々の検知温度に基づいて、混合弁23の混合比を調整することによって給湯設定温度に調整した湯水を給湯する。このとき制御部24は、貯湯運転によって貯湯タンク21に貯湯された湯水を使用して給湯運転を行う。また制御部24は、給湯運転において、例えば給湯使用時刻(給湯使用時間)、給湯流量センサ32aが検知した給湯流量、給湯使用時間と給湯流量と混合弁23の混合比から求められる貯湯タンク21の出湯量等を含む給湯使用履歴を学習記憶する。
【0038】
例えば給湯運転中に貯湯された湯水を使い切ってしまい、貯湯タンク21に給湯に使用できる温度の湯水がない場合には、制御部24は、循環ポンプ36を駆動し、給水通路28と追焚用循環通路34から供給される上水を補助熱源機22で加熱した高温の湯水を使用して給湯運転を行う。また、例えば給湯設定温度の変更により、貯湯された湯水よりも高温の給湯を行う場合にも、制御部24は、給水通路28と追焚用循環通路34から供給される上水を補助熱源機22で加熱した高温の湯水を使用して給湯運転を行う。
【0039】
次に、断水が発生したとき操作端末24aからの指令に応じて、制御部24の制御により、貯湯タンク21内の湯水を給湯栓9に自動的に供給する断水時給湯制御について説明する。
尚、この断水時給湯制御の制御プログラムは、制御部24に予め格納されている。
【0040】
断水が発生して給水圧が零近くまで低下すると、制御部24は圧力センサ43の検知信号に基づいて断水の発生を検知し、操作端末24aに伝達する。この断水を検知したときは操作端末24aからユーザーに報知する。すると、ユーザーは操作端末24aから制御部24に対して非常時水取出しモードを設定すると共に給湯栓を開く。
【0041】
非常時水取り出しモードが設定されたときに、貯湯タンク21にエアを導入するエアベントの電磁開閉弁41を開いて貯湯タンク21にエア導入可能になったことを条件として、制御部24は、流量調整弁40a(タンク水比例弁)を開き、電磁開閉弁34dを閉じ、循環ポンプ36を動作させる。
【0042】
すると、図1に太線で示すように、貯湯タンク21と追い焚き用循環通路34内の湯水が循環ポンプ36で送給され、補助熱源機22と流量調整弁40a(タンク水比例弁)を通って出湯通路30へ流れ、出湯通路30から給湯通路32へ流れて給湯栓から取り出される。
尚、貯湯タンク21内の湯水の温度が低い場合には、補助熱源機22を作動させて補助熱源機22で湯水を適宜加熱するようにしてもよい。
【0043】
そして、断水が検知されなくなったとき、循環ポンプ36の空回りが検知されたとき、操作端末24aから非常時水取り出しモードが解除されたときの何れかの場合に、非常時水取り出しモードが終了し、この断水時給湯制御が終了する。尚、この終了時には、制御部24は貯湯タンク21のエアベントの電磁開閉弁41を閉じる。
【0044】
上記の断水時給湯制御によれば、断水時に、貯湯タンク21内に湯水が貯留されている限り、その湯水を給湯栓から自動的に取り出すことができる。貯湯タンク21内の湯水を排水栓から取り出す場合に比べると格段に便利である。しかも、補助熱源機22を有効利用し、補助熱源機22で加熱しながら給湯することも可能である。
【実施例0045】
実施例2に係るハイブリッド給湯装置50について、図3に基づいて説明する。
このハイブリッド給湯装置50は、貯湯タンク51と、ヒートポンプ熱源機52と、燃焼式の補助熱源機53と、貯湯ポンプ54と、循環ポンプ55と、給水通路56と、循環往き通路57と、循環戻り通路58と、追焚用循環通路59,60と、水補給通路61と、バイパス分岐通路62と、出湯通路63と、給湯通路64と、混合弁65と、制御部75と、操作端末76と、その他のセンサ類やバルブ類等を有する。制御部75は、センサ類やバルブ類やポンプ類に接続されており、それらの機器を制御する。
【0046】
貯湯タンク51には、温度センサ51a~51eが付設され、貯湯タンク51の頂部には電磁開閉弁66を有するエアベントが付設されている。循環往き通路57は、貯湯タンク51の底部をヒートポンプ熱源機52に接続し、この循環往き通路57に貯湯ポンプ54が介装されている。循環戻り通路58は、三方弁67を介してヒートポンプ熱源機52を貯湯タンク51 の頂部に接続している。循環往き通路57と循環戻り通路58は三方弁68とバイパス通路69を介して接続されている。
【0047】
給水通路56は貯湯タンク51の底部に接続され、この給水通路56から延びる追焚用循環通路59は補助熱源機53まで延びている。追焚用循環通路59は、三方弁59aを介して水補給通路61に接続されている。
【0048】
補助熱源機53から延びる追焚用循環通路60は風呂熱交換器へ延びており、この追焚用循環通路60には電磁開閉弁70が介装されている。貯湯タンク51の頂部から延びる出湯通路63には、混合弁65を介して給湯通路64が接続され、混合弁65には給水通路56から分岐したバイパス分岐通路62が接続されている。
【0049】
給湯通路64には電磁開閉弁71が介装され、追焚用循環通路60と出湯通路63 はタンク水比例弁72を有する接続通路73で接続されている。循環戻り通路58から三方弁67を介して接続通路74が延び、この接続通路74は出湯通路63に接続されている。
【0050】
次に、断水が発生したとき操作端末76からの指令に応じて、制御部75の制御により、貯湯タンク51内の湯水を給湯栓に自動的に供給する断水時給湯制御について説明する。
尚、この時の湯水の流れは、図3に太線で図示されている。この断水時給湯制御の制御プログラムは、制御部75に予め格納されている。
【0051】
断水が発生して給水圧が零近くまで低下すると、制御部75は圧力センサ56aの検知信号に基づいて断水の発生を検知し、操作端末76へ伝達する。この断水を検知したときは操作端末76からユーザーに報知する。すると、ユーザーは操作端末76から制御部75に対して非常時水取出しモードを設定すると共に給湯栓を開く。
【0052】
非常時水取り出しモードが設定されたときに、貯湯タンク51のエアベントの電磁開閉弁66を開いて貯湯タンク51にエア導入可能になったことを条件として、制御部75は、次のようにバルブ類を制御してから、貯湯ポンプ54を動作させる。
【0053】
上記のバルブ類の制御においては、三方弁68が太線で示す湯水の流れ方向に導通するように切換えられ、三方弁67も同様に太線で示す湯水の流れ方向に導通するように切換えられ、タンク水比例弁72は閉じられ、電磁開閉弁70が閉じられ、電磁開閉弁71が開かれる。
【0054】
すると、貯湯タンク51と循環往き通路57と循環戻り通路58内の湯水が貯湯ポンプ54で送給され、接続通路74と出湯通路30を介して給湯通路32へ流れて給湯栓から取り出される。
尚、貯湯タンク51内の湯水の温度が低い場合には、ヒートポンプ熱源機52を作動させて湯水を適宜加熱するようにしてもよい。
【0055】
そして、断水が検知されなくなったとき、貯湯ポンプ54の空回りが検知されたとき、操作端末76から非常時水取り出しモードが解除されたときの何れかの場合に、非常時水取り出しモードが終了し、この断水時給湯制御が終了する。尚、この終了時には、制御部75は貯湯タンク51のエアベントの電磁開閉弁66を閉じる。
【0056】
上記の断水時給湯制御によれば、断水時に、貯湯タンク51内に湯水が貯留されている限り、その湯水を給湯栓から自動的に取り出すことができる。貯湯タンク51内の湯水を排水栓から取り出す場合に比べると格段に便利である。しかも、ヒートポンプ熱源機52を有効利用し、ヒートポンプ熱源機52で加熱しながら給湯することも可能である。
【実施例0057】
実施例3に係るハイブリッド給湯装置80について、図4に基づいて説明する。
このハイブリッド給湯装置80は、貯湯タンク81と、ヒートポンプ熱源機82と、燃焼式の補助熱源機83と、貯湯ポンプ84と、循環ポンプ85と、給水通路86と、循環往き通路87と、循環戻り通路88と、バイパス通路89と、三方弁90と、循環ポンプ85が介装された補助給水通路91と、バイパス分岐通路92と、出湯通路93と、開閉弁94aを有する給湯通路94と、混合弁95と、循環戻り通路88に介装された三方弁96と、この三方弁96から延びる湯水取出通路97であって給湯通路94が接続された湯水取出通路97と、制御部98と、操作端末99と、その他のセンサ類やバルブ類等を有する。制御部98は、センサ類やバルブ類やポンプ類に接続されており、それらの機器を制御する。
【0058】
貯湯タンク81には、温度センサ81a~81eが付設され、貯湯タンク81の頂部には手動で開閉操作する開閉弁を有するエアベント100が付設されている。循環往き通路87は、貯湯タンク81の底部をヒートポンプ熱源機82に接続し、この循環往き通路87に貯湯ポンプ84が介装されている。循環戻り通路88は、三方弁90,96を介してヒートポンプ熱源機82を貯湯タンク81の頂部に接続している。循環往き通路87と循環戻り通路88は三方弁90とバイパス通路89を介して接続されている。
【0059】
給水通路86は貯湯タンク81の底部に接続され、この給水通路86から延びる補助給水通路91は補助熱源機83まで延びている。湯水取出通路97は、三方弁96を介して循環戻り通路88に接続されている。
【0060】
貯湯タンク81の頂部から延びる出湯通路93には、混合弁95を介して給湯通路94が接続され、混合弁95には給水通路86から分岐したバイパス分岐通路92が接続されている。
【0061】
次に、断水が発生したとき操作端末99からの指令に応じて、制御部98の制御により、貯湯タンク81内の湯水を給湯栓に自動的に供給する断水時給湯制御について説明する。
尚、この時の湯水の流れは、図4に太線で図示されている。この断水時給湯制御の制御プログラムは、制御部98に予め格納されている。
【0062】
断水が発生して給水圧が零近くまで低下すると、制御部98は圧力センサ86aの検知信号に基づいて断水の発生を検知し、操作端末99へ伝達する。この断水を検知したときは操作端末99からユーザーに報知する。すると、ユーザーは操作端末99から制御部98に対して非常時水取出しモードを設定すると共に給湯栓を開く。
【0063】
非常時水取り出しモードが設定されたときに、貯湯タンク81のエアベント100が開かれたことを条件として、制御部98は、三方弁90を太線で示す湯水の流れ方向に導通するように切換えると共に、三方弁96を太線で示す湯水の流れ方向に導通するように切換えてから、貯湯ポンプ84を動作させる。
【0064】
すると、貯湯タンク81と循環往き通路87と循環戻り通路88内の湯水が貯湯ポンプ84で送給され、湯水取出通路97を介して給湯栓から取り出される。
尚、貯湯タンク81内の湯水の温度が低い場合には、ヒートポンプ熱源機82を作動させて湯水を適宜加熱するようにしてもよい。
【0065】
そして、断水が検知されなくなったとき、貯湯ポンプ84の空回りが検知されたとき、操作端末99から非常時水取り出しモードが解除されたときの何れかの場合に、非常時水取り出しモードが終了し、この断水時給湯制御が終了する。尚、この終了時には、ユーザーは、エアベント100を閉じる。
【0066】
上記の断水時給湯制御によれば、断水時に、貯湯タンク81内に湯水が貯留されている限り、その湯水を給湯栓から自動的に取り出すことができる。貯湯タンク81内の湯水を排水栓から取り出す場合に比べると格段に便利である。しかも、ヒートポンプ熱源機82を有効利用し、ヒートポンプ熱源機82で加熱しながら給湯することも可能である。
【0067】
尚、前記実施例1,2,3は例示であって、当業者ならば本発明の趣旨を逸脱しない範囲でそれらの各部に種々の変更を付加した形態でも実施可能であり、本発明はそのような変更例をも包含するものである。
例えば、実施例1,2のエアベントを手動で開閉する方式のエアベントとしてもよく、実施例3のエアベントを電磁開閉弁で開閉する方式のものにしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1、50、80:ハイブリッド給湯装置
9:給湯栓
10、52、82:ヒートポンプ熱源機
21、51、81:貯湯タンク
22、53、83:補助熱源機
24、75、98:制御部
24a、76、99:操作端末
25、57、87:循環往き通路
26、58、88:循環戻り通路
27、54、84:貯湯ポンプ
36、55、85:循環ポンプ
41、66:電磁開閉弁(エアベント)
100:エアベント
図1
図2
図3
図4