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▶ ザ エスワイ−クロン カンパニー エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004845
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】エアフィルタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/00 20220101AFI20230110BHJP
【FI】
B01D46/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022025908
(22)【出願日】2022-02-22
(62)【分割の表示】P 2021124281の分割
【原出願日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】17/356,973
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518232696
【氏名又は名称】ザ エスワイ-クロン カンパニー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック エル エーレンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ジー モアドック
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA02
4D058JB14
4D058KA11
4D058KB11
4D058KC33
4D058KC64
4D058LA05
4D058QA01
4D058QA21
4D058RA01
4D058RA11
4D058UA25
4D058UA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エアフィルタアセンブリを提供する。
【解決手段】フィルタ材35と、前記フィルタ材の第1の端部に固定された端部閉じキャップ29と、前記フィルタ材における反対側の第2の端部に固定されたシール部材22と、前記フィルタ材の前記第1の端部と前記第2の端部との間の中央部に対応する位置で固定されたスクリーンアセンブリと、周囲の環境に粉塵を排出するための粉塵排出スロット72を有する粉塵捕捉トレイ27と、を備えるエアフィルタアセンブリである。前記エアフィルタアセンブリは、前記シール部材に埋め込まれたフィルタ特定装置を更に備え、前記フィルタ特定装置は、環状のアンテナを含み、かつ前記エアフィルタアセンブリに関するデータを格納しかつ送信するように構成されている。
【選択図】図38
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気濾過装置であって、前記空気濾過装置が、
モータ駆動のファンアセンブリと羽根アセンブリとを含む空気流パワーヘッドアセンブリであって、前記ファンアセンブリを用いて前記空気濾過装置内へと粉塵を含む空気を引き入れる汚染空気流入口を画定する空気流パワーヘッドアセンブリと、
フィルタ材を含むフィルタアセンブリであって、粉塵を含む前記空気から粉塵を除去するように構成されているフィルタアセンブリと、
内部に前記フィルタアセンブリが配置されている分離チャンバハウジングであって、前記空気流パワーヘッドアセンブリが、前記空気濾過装置の長手方向軸に対する分離チャンバハウジングの第1の軸方向側に配置されている、分離チャンバハウジングと
を備え、
前記分離チャンバハウジングが、前記第1の軸方向側にチャンバ流入口を有するとともに、前記第1の軸方向側とは反対側の前記分離チャンバハウジングの第2の軸方向側に清浄空気排出口を有し、
前記フィルタアセンブリが、前記チャンバ流入口に隣接する第1の軸方向側端部と、前記清浄空気排出口に隣接する第2の軸方向側端部とを有し、
前記分離チャンバハウジングが、前記分離チャンバハウジングの内部空間から周囲の環境に前記粉塵を排出するように構成された少なくとも1つの粉塵排出スロット延在部を含み、
前記フィルタアセンブリが、前記第2の軸方向側端部に配置された粉塵捕捉トレイを含み、前記粉塵捕捉トレイが、前記分離チャンバハウジングの前記内部空間から前記周囲の環境に前記粉塵を排出するための前記少なくとも1つの粉塵排出スロット延在部と並んで連通する粉塵排出スロットを有している、空気濾過装置。
【請求項2】
前記空気流パワーヘッドアセンブリが、前記ファンアセンブリの第1の軸方向側に取り付けられるように構成された取り外し可能なレインキャップをさらに含み、
前記羽根アセンブリが前記ファンアセンブリの第2の軸方向側に取り付けられている、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項3】
前記第1の軸方向側から前記第2の軸方向側へと向かうにつれて前記分離チャンバハウジングの径が減少するように、前記分離チャンバハウジングがテーパ状とされている、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項4】
前記空気流パワーヘッドアセンブリを前記分離チャンバハウジングに固定するように構成されたロッキングピンアセンブリをさらに備える、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項5】
前記ロッキングピンアセンブリが、第1のロッキングピンボスと、第2のロッキングピンボスと、ロッキングピンとを含み、
前記第1のロッキングピンボスが、前記羽根アセンブリの外周面上に設けられ、
前記第2のロッキングピンボスが、前記分離チャンバハウジングの前記第1の軸方向側の外周面上に設けられ、
前記ロッキングピンが、前記第1のロッキングピンボスと前記第2のロッキングピンボスの両方を通って延びて前記分離チャンバハウジングに前記空気流パワーヘッドアセンブリを固定する、請求項4に記載の空気濾過装置。
【請求項6】
前記空気流パワーヘッドアセンブリを固定するように構成された複数の締結部をさらに備え、
前記ファンアセンブリが、複数の第1の受容ボスを有し、
前記羽根アセンブリが、複数の第2の受容ボスを有し、
前記締結部が各々、前記第1の受容ボスのうちのそれぞれ1つおよび前記第2の受容ボスのうちのそれぞれ1つを通って延びる、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項7】
前記空気流パワーヘッドアセンブリを固定するように構成された複数の締結部をさらに備え、
前記ファンアセンブリが、複数の第1の受容ボスを有し、
前記羽根アセンブリが、複数の第2の受容ボスを有し、
前記レインキャップが、複数の第3の受容ボスを有し、
前記締結部が各々、前記第3受容ボスのうちのそれぞれ1つ、前記第1の受容ボスのうちのそれぞれ1つ、および前記第2の受容ボスのうちのそれぞれ1つを通って延びる、請求項2に記載の空気濾過装置。
【請求項8】
前記空気流パワーヘッドアセンブリを前記フィルタアセンブリと並ばせるように構成された位置合わせピンをさらに備え、
前記位置合わせピンが前記羽根アセンブリから延び、
前記フィルタアセンブリが、第1の位置合わせ孔を含み、
前記位置合わせピンが、前記第1の位置合わせ孔の中に受容されている、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項9】
前記フィルタアセンブリが、前記第1の軸方向側端部に配置された端部閉じキャップをさらに含み、
前記端部閉じキャップが、前記端部閉じキャップの表面から第1の軸方向に前記空気流パワーヘッドアセンブリに向かって突出しているハンドルを含み、
前記第1の位置合わせ孔が前記ハンドルに形成されている、請求項8に記載の空気濾過装置。
【請求項10】
前記分離チャンバハウジングが、前記分離チャンバの第1の軸方向側の前記分離チャンバの径方向外側の面の周りに周方向に配置された複数の取り付けタブを含み、
前記羽根アセンブリが、前記羽根アセンブリの第2の軸方向側の羽根アセンブリの径方向外側の面の周りに周方向に配置された複数のロッキングスロットを含み、
前記ロッキングスロットが各々、前記空気流パワーヘッドアセンブリを前記分離チャンバハウジングに固定するための前記取付けタブのそれぞれ1つを受容するように配置されている、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項11】
前記フィルタアセンブリが、前記フィルタアセンブリの第2の軸方向側端部に配置されたシール部材を含み、前記粉塵捕捉トレイが前記シール部材と一体形成されている、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項12】
前記フィルタアセンブリが、前記シール部材に埋め込まれたフィルタ特定装置をさらに含み、前記フィルタ特定装置が、前記フィルタアセンブリに関するデータを格納するように構成されている、請求項11に記載の空気濾過装置。
【請求項13】
前記分離チャンバハウジングの前記第2の軸方向側に取り外し可能に取り付けられたフィルタ特定読取装置をさらに備え、
前記フィルタ特定読取装置が、前記フィルタ特定装置に電力を供給するように構成されかつ前記フィルタ特定装置と通信するように構成された回路を含んでいる、請求項12に記載の空気濾過装置。
【請求項14】
前記フィルタ特定読取装置が、前記分離チャンバハウジングの前記第2の軸方向側に取り付けられた環状部材と、前記環状部材から軸方向に延びる複数の縦方向取り付け支持部と、隣接する対の前記縦方向取り付け支持部の間に配置された複数の空隙と、を含み、
前記分離チャンバハウジングが、複数の粉塵排出スロット延在部を含み、
前記粉塵排出スロット延在部が各々、前記複数の空隙のうちのそれぞれ1つの中に配置されている、請求項13に記載の空気濾過装置。
【請求項15】
前記フィルタ特定読取装置が、前記縦方向取り付け支持部の各々に形成された位置合わせスロットをさらに含み、
前記分離チャンバハウジングが、前記粉塵排出スロット延在部の各々に配置された取り付けボスを含み、
前記位置合わせスロットが各々、前記フィルタ特定読取装置を前記分離チャンバハウジングに固定するための前記取付けボスのそれぞれ1つを受容するように構成されている、請求項14に記載の空気濾過装置。
【請求項16】
前記粉塵捕捉トレイが、前記粉塵捕捉トレイの周りに周方向に間隔を空けて設けられた複数の支持タブを含み、前記支持タブが、前記フィルタ材と前記フィルタ特定装置とを支持するように配置されている、請求項12に記載の空気濾過装置。
【請求項17】
前記粉塵捕捉トレイが、前記粉塵捕捉トレイの外周面上に設けられた複数のフィルタ位置合わせ隆起部を含み、
前記分離チャンバハウジングが、前記分離チャンバハウジングの内面上に形成された複数のフィルタ位置合わせ溝を含み、
前記フィルタ位置合わせ隆起部は、前記粉塵排出スロットが少なくとも1つの粉塵排出スロット延在部と並ぶように前記フィルタ位置合わせ溝と係合するように構成されている、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項18】
前記レインキャップと前記ファンアセンブリとの間に設けられた取り外し可能な粉塵スクリーンをさらに備え、
前記粉塵スクリーンが、前記粉塵スクリーンの周りに周方向に延びかつ前記レインキャップと前ファンアセンブリとの間で軸方向に延びる穿孔周面を含んでいる、請求項2に記載の空気濾過装置。
【請求項19】
前記粉塵スクリーンが、前記粉塵スクリーンの周囲に間隔を空けて設けられた複数の空隙を含んでいる、請求項18に記載の空気濾過装置。
【請求項20】
前記ファンアセンブリの電線を電源に接続するように構成された電気コネクタをさらに備え、
前記電気コネクタが、前記羽根アセンブリの外周面に形成された取り付け溝に配置され、
前記電気コネクタが、前記空気流パワーヘッドアセンブリが前記分離チャンバハウジングから外れるのを防ぐように構成されている、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項21】
空気濾過方法であって、前記空気濾過方法が、
空気濾過装置内に位置しているモータ駆動のファンアセンブリを用いて、粉塵を含む空気を前記空気濾過装置内に引き入れる工程と、
前記ファンアセンブリの下流側に配置された羽根アセンブリを用いて、粉塵を含む前記空気の求心的に回転する流れを前記空気濾過装置の長手方向軸の周りに形成して、前記求心的に回転する流れの最も外側の軌道へと径方向外側に向かって粉塵が移動するように前記流れを層状にする工程であって、前記求心的に回転する流れが、分離チャンバハウジングにおいて形成され、前記分離チャンバハウジング内には、粉塵を含む前記空気から粉塵を除去するように構成されたフィルタアセンブリが配置され、前記分離チャンバハウジングが、前記羽根アセンブリの下流側に配置される、工程と、
空気を前記求心的に回転する流れの最も内側の軌道から前記フィルタアセンブリに通して流し、前記フィルタアセンブリを通った前記空気を清浄な空気とする工程であって、前記清浄な空気を、前記フィルタアセンブリに通して前記前記分離チャンバハウジングの清浄空気排出口へと直線方向に沿って流す、工程と、
粉塵を含む前記空気に、前記フィルタアセンブリの粉塵捕捉トレイに形成された粉塵排出スロットを通過させて、その後、前記分離チャンバハウジングに形成されていてかつ前記粉塵排出スロットと並んで連通する粉塵排出スロット延在部を通過させることによって、粉塵を含む前記空気を、層状にした前記求心的に回転する流れから外部環境に戻す工程と、
を含み、
前記ファンアセンブリと前記分離チャンバハウジングが、粉塵を含む前記空気に圧力と向心力とを連続的に作用させて、前記外部環境に戻す前に、粉塵を含む前記空気が前記分離チャンバハウジングを通って前記粉塵捕捉トレイへと前記直線方向に沿って流れるようにする、空気濾過方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改善された空気濾過装置ならびに空気濾過方法であって、当該空気濾過装置ならびに空気濾過方法とともに使用されている機器に清浄な空気流を提供するために粉塵を含む空気から空気よりも重い粒子状の粉塵を効率的に除去するための、空気濾過装置ならびに空気濾過方法に向けられる。
【背景技術】
【0002】
エアプリクリーナおよび空気濾過方法として、内燃機関、換気システム、および粉塵を含む空気を吸引するそのほかの機器で使用されるフィルタを用いて空気よりも重い粉塵を当該空気から遠心力で分離するものが知られている。そのようなエアプリクリーナには、粉塵を含む空気をその内部に吸引するためのモータ駆動ファンを用いた動力付きのエアプリクリーナおよび空気濾過方法や、粉塵を含む空気をその内部に吸引するために、清浄な空気が供給される内燃機関などの機器により真空状態が単に引き起こされるだけのエアプリクリーナおよび空気濾過方法がある。譲受人の先行技術のプリクリーナおよび濾過方法の例は、以下に特許文献1~9として引用した米国特許公報に記載されており、これら米国特許公報すべてを、それらの内容全体を参照することにより本明細書に組み込む。
【0003】
現行のエンジン空気濾過システムおよびHVAC空気濾過システムは、数多くの設計上の問題点や性能上の問題点を抱えている。たとえば、現行のシステムは、空気の取り込み量に大きな制限を生じさせる設計に基づいており、その結果、エアフィルタの寿命を縮め、エンジンの性能や燃費に悪い影響を与える。また、現行のシステムは真空下で動作するため、空気の取り込み量が最初はより大きく制限されることによりエアフィルタの寿命を早め、より頻繁にフィルタの修理を必要とする。現行の空気濾過システムには、浮遊する粉塵を機器内で捕捉するエアプリクリーナが組み込まれる場合が多いため、捕捉した粉塵を人為的に取り除く必要がある。別の現行の技術では、捕捉した粉塵の重量がエアプリクリーナ/濾過システム内で生じた真空に打ち勝って当該粉塵を空気濾過システムから自然に落下させるダンプバルブが使用されている。しかし、空気の流れが湿気を帯びていたり空気の流れの中に様々な種類の粉塵が含まれていたりすると、このダンプバルブは頻繁に詰まってしまう。現行のシステムでは、空気濾過システムから分離された浮遊している粉塵を収集する真空装置を使用する場合があるが、このような場合には、収集した粉塵を捕捉して除去するための構成要素を更に追加する必要がある。空気の流れが湿気を帯びていたり空気の流れの中に様々な種類の粉塵が含まれていたりすると、そのようなシステムにおいても詰まりが起きやすい。
【0004】
さらに、下流側に位置する機器に対して所定の空気の流れを生成する現行技術の空気濾過システムの物理的な大きさや重量が、設置上の問題や保守性の問題を引き起こす場合がある。公知の空気濾過システムでは、構成および性能上の要件がシステムごとに異なるために、プリクリーナ、空気濾過システム、ならびにその据え付け用の構成要素をオーダーメードで製造することを必要とする場合がある。このオーダーメードによる製造が、公知の空気濾過システムの適用範囲を限定し、製造時間ならびに製造コストに悪影響を与える。オーダーメードによる製造を個々に必要とする適用例の間のそのような相違点の例としては、プリクリーニング装置から遠心力で分離されて大気中に排出すべき粉塵をプリクリーニングして処理するための別の構成要素の必要性、フィルタを通る位置および空気の流れの方向、空気濾過システムとともに使用されるエンジンまたは機器に空気濾過システムから清浄な空気を供給するための清浄な空気用排気口の位置、フィルタの物理的大きさと様式、空気濾過システムとその構成要素を取り付けるための利用可能な支持構造の位置、ならびに下流側に位置するシステムの性能を保証するために必要となる、清浄な空気の流れの特定の速度、などがある。動力付きエアプリクリーナおよび空気濾過システムの場合では、モータがフィルタの清浄な側の空気の流路にあるときには、モータを冷却する空気流の低減によりモータ駆動ファンのモータの寿命が縮められることが理解される。なぜなら、フィルタが粉塵を捕捉するにつれて空気の流れが減少して、モータに残っている熱がモータの寿命を縮めるからである。さらに、分離チャンバ内に蓄積した粉塵が、フィルタの点検修理中に清浄な空気用排出口に入り込みやすく、そのため、エンジンの寿命を縮めたりHVACシステムや換気システムのそれぞれに粉塵が入ってしまったりすることが確認された。
【0005】
したがって、公知のエアプリクリーニング濾過装置の上記したような問題点や限界を克服する、改善されたエアプリクリーニング濾過装置ならびにエアプリクリーニング濾過方法が必要とされている。より詳細には、物理的にコンパクトであって、限られた空間への適用の中でその使用を可能にし、取付けに関する様々な構成や清浄な空気の流れの速度に関する様々な要件が存在する適用範囲において多目的に使用可能であり、それによってオーダーメードで製造されたエアプリクリーナ濾過システムの費用を削減し非効率性をなくす、改善されたエアプリクリーニング濾過装置が必要とされている。また、その設計の一部としてのファンモータを適切に冷却することが可能であり、それによってモータの寿命を延ばす、コンパクトで一体型の動力付きエアプリクリーニング濾過装置における空気濾過方法も必要とされている。これに関連して、動作中に排出スロット/排出口が詰まることがないことを保証しながら、システムが設置されている機器による空気の流れに関する要件にかかわらず十分な効率で動作する、改善されたエアプリクリーニング濾過装置が必要とされている。また、分離した粉塵を清浄側排出口から隔離した状態をフィルタの点検修理中に維持して、分離した粉塵を所望の場所(メインハウジング分離チャンバの排出口端部に位置する排出スロット/排出口)に向けるための障壁を備えた、使い捨てのエアフィルタカートリッジが必要とされている。そのような障壁を本明細書中では粉塵捕捉トレイと呼ぶ。また、データを記憶する能力を有するフィルタ特定技術をフィルタに組み込む必要がある。さらには、装置中の圧力や真空をモニターする必要や、複数種類のファンとモータを設ける必要はもちろん、必要があれば電気モータの可変速制御を行う必要がある。粉塵捕捉トレイを有する使い捨てのエアフィルタカートリッジを備えた、コンパクトで多目的に使用可能な本開示の改善されたエアプリクリーニング濾過装置ならびにエアプリクリーニング濾過方法は、本技術におけるこれら必要性に対処するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,656,050号明細書
【特許文献2】米国特許第5,766,315号明細書
【特許文献3】米国特許第6,319,304号明細書
【特許文献4】米国特許第6,338,745号明細書
【特許文献5】米国特許第6,406,506号明細書
【特許文献6】米国特許第6,425,943号明細書
【特許文献7】米国特許第6,878,189号明細書
【特許文献8】米国特許第7,056,368号明細書
【特許文献9】米国特許第7,452,409号明細書
【発明の概要】
【0007】
本開示は、エンジンへの適用の場合に空気の取り込み量の制限を緩和すること、HVACシステムおよび換気システムに正の空気流圧力をもたらすこと、作動時のすべての空気流速度に対して粉塵を分離する効率を向上させることを含む、様々な利点のある効果をもたらす、コンパクトなセルフクリーニング空気濾過装置およびセルフクリーニング空気濾過方法に向けられている。当該空気濾過装置には、データストレージを用いた随意のフィルタの特定(FID)、ファンとモータの複数の組み合わせ、モータの速度制御、圧力のモニタリングと制御、レインキャップおよび/または粉塵用スクリーン、排出口アダプタ、排出スロットシーリングキャップアダプタの組み入れ、ならびに広範囲にわたるフィルタ材の使用を含む特徴が組み込まれている。フィルタ材の範囲には、非常に小さい粒子の除去に対して高効率であり、優れた耐久性および優れた有用性を有するフィルタ材が含まれている。使用されるフィルタの種類に基づいて、ファンとモータの様々な組み合わせを本装置に用いることができる。本開示の空気濾過装置は、分離チャンバ内部に残っている粉塵がフィルタカートリッジの点検修理中に清浄な空気の排出口に入るのを防いで圧力を受けている分離チャンバからの浮遊している粉塵の排出を向上させるために粉塵捕捉トレイが組み込まれた、点検修理が容易な使い捨てのフィルタカートリッジとともに、所定の空気流の生成を維持しながら設置に必要な物理的空間を有利に減らし、エンジンの空気流の制限を緩和し、電気的にフィルタを特定する能力ならびにエアフィルタ内部でデータを記憶する能力を提供する。本開示の実施形態の分離チャンバは、軸に沿って流入口から(粉塵排出スロット延在部とも呼ばれる)少なくとも1つの排出口、および分離チャンバの端部に位置する清浄空気排出口へ延びる方向に細長くテーパ状とされている。直線方向に空気を通過させることにより、空気濾過装置内での制限が大きく緩和され、正圧が加えられた空気流をより多く清浄空気流排出口から押し出して、コンパクトなセルフクリーニング空気濾過装置が設置されたエンジンまたは機器に流入させることができる。直線方向に流れる当該空気流によって、よりコンパクトな設計が可能となり、それによって限られた空間への適用の際により大量の空気の流れを可能にする。エアプリクリーニング濾過装置は、多目的に使用可能でコンパクトなセルフクリーニング空気濾過装置であって、換気システム、熱交換器、冷暖房システム(HVAC)、および空気流に対して様々な要求がある内燃機関などのその他の機器に清浄な空気を供給するために取付け構成や排出スロット/排出口取付け向きに多数の要件が付く限られた空間へ適用する際に使用するものである。好適な実施形態に従う本開示は、従来のエアプリクリーナ装置やエアプリクリーナ方法に対する改善を提示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、代表的な空気濾過装置の斜視図である。
図2図2は、空気濾過装置のレインキャップの上側から見た空気濾過装置の図である。
図3図3は、空気濾過装置の側面図である。
図4図4は、図3とは反対の側を示す、複数の取り付け脚部を有する空気濾過装置の側面図である。
図5図5は、図2とは反対の側を示す、清浄空気排出口から見た空気濾過装置の図である。
図6A図6Aは、空気濾過装置の側面図である。
図6B図6Bは、随意のレインキャップを有する空気流パワーヘッドアセンブリの断面図である。
図6C図6Cは、空気流パワーヘッドアセンブリの斜視図である。
図7図7は、空気濾過装置の分解斜視図である。
図8図8は、空気濾過装置の断面図である。
図9図9は、空気濾過装置の分解側面図である。
図10図10は、空気濾過装置のレインキャップの斜視図である。
図11図11は、レインキャップの上部の平面図である。
図12図12は、レインキャップの側面図である。
図13図13は、レインキャップの下側の平面図である。
図14図14は、粉塵ガード部材を有する空気濾過装置のモータ/ファンアセンブリの斜視図である。
図15図15は、モータ/ファンアセンブリの、汚れた空気の流入口の平面図である。
図16図16は、モータ/ファンアセンブリの側面図である。
図17図17は、モータ/ファンアセンブリの汚れた空気の流出口側の平面図である。
図18図18は、空気濾過装置の羽根アセンブリの汚れた空気の流入口側の斜視図である。
図19図19は、羽根アセンブリの汚れた空気の流入口側の平面図である。
図20図20は、羽根アセンブリの側面図である。
図21図21は、羽根アセンブリの汚れた空気の流出口側の平面図である。
図22図22は、羽根アセンブリの汚れた空気の流入口側の別の斜視図である。
図23図23は、羽根アセンブリの汚れた空気の流出口側の斜視図である。
図24図24は、清浄な空気の流出口を有する、空気濾過装置の分離チャンバハウジングの斜視図である。
図25図25は、複数の取り付け脚部を示す、分離チャンバハウジングの側面図である。
図26図26は、分離チャンバハウジングの側面図である。
図27図27は、汚れた空気の流入口から見た、分離チャンバハウジングの内側の図である。
図28図28は、清浄な空気の流出口側から見た、分離チャンバハウジングの図である。
図29図29は、濾過空気装置の排出口アダプタの第1の端部の平面図である。
図30図30は、排出口アダプタの斜視図である。
図31図31は、排出口アダプタが取り付けられている空気濾過装置の斜視図である。
図32図32は、排出口アダプタの第2の端部の平面図である。
図33図33は、粉塵排出口を示す、排出口アダプタの側面図である。
図34図34は、空気濾過装置の外側フィルタアセンブリの斜視図である。
図35図35は、粉塵排出スロットを示す、外側フィルタアセンブリの清浄空気側の平面図である。
図36図36は、外側フィルタアセンブリの側面図である。
図37図37は、粉塵排出スロットを示す、外側フィルタアセンブリの汚れた空気側の平面図である。
図38図38は、外側フィルタアセンブリの分解図である。
図39図39は、外側フィルタアセンブリの端部閉じキャップの斜視図である。
図40図40は、端部閉じキャップの第1の汚れた空気側の平面図である。
図41図41は、端部閉じキャップの第2の清浄な空気側の平面図である。
図42図42は、端部閉じキャップの側面図である。
図43図43は、空気濾過装置の粉塵捕捉トレイの清浄な空気側から見た斜視図である。
図44図44は、フィルタ材をシールするための面である粉塵捕捉トレイの内面の平面図である。
図45図45は、粉塵捕捉トレイの清浄な空気側の外面の平面図である。
図46図46は、粉塵捕捉トレイの側面図である。
図47図47は、空気の流出口側に取り付けられた随意のフィルタ特定読取部空気出口側アダプタを示す、空気濾過装置の斜視図である。
図48A図48Aは、フィルタ特定読取部空気出口側アダプタの第1の斜視図である。
図48B図48Bは、フィルタ特定読取部回路基板を含む内部の特徴を示す、フィルタ特定読取部空気出口側アダプタの第2の斜視図である。
図49図49は、随意のフィルタ特定リングを含む複数の内部要素を示すために外側フィルタ清浄側シール部の一部が切り取られて示されている、外側フィルタアセンブリの斜視図である。
図50A図50Aは、随意の排出スロットシーリングキャップアダプタを示す斜視図である。
図50B図50Bは、排出スロットシーリングキャップアダプタが取り付けられている空気濾過装置の斜視図である。
図51図51は、ロッキングピンアセンブリを示す、空気濾過装置の側面図である。
図52A図52Aは、図51において円で囲まれて「図52A」と印を付けた部分の拡大図である。
図52B図52Bは、空気濾過装置の電気コネクタの拡大斜視図である。
図53A図53Aは、ロッキングピンアセンブリが取り付けられている空気濾過装置の汚れた空気側の図である。
図53B図53Bは、ロッキングピンアセンブリが取り外されている空気濾過装置の汚れた空気側の図である。
図54図54は、清浄な空気側から見た、図26の線54-54に沿う断面図であって、外側フィルタアセンブリが取り付けられた分離チャンバハウジングの内側を示す図である。
図55図55は、安全フィルタが取り付けられている空気濾過装置での流量の例と安全フィルタが取り付けられていない場合の流量とを比較しているグラフである。
図56図56は、空気濾過装置に取り付けられている随意の要素である粉塵スクリーンを示す、空気濾過装置の斜視図である。
図57図57は、空気濾過装置に取り付けられている粉塵スクリーンを示す、空気濾過装置の側面図である。
図58図58は、空気濾過装置に取り付けられている粉塵スクリーンを示す、空気濾過装置の別の側面図である。
図59図59は、粉塵スクリーンの斜視図である。
図60図60は、粉塵スクリーンの側面図である。
図61図61は、粉塵スクリーンの底部および取り付けフランジの平面図である。
図62図62は、空気濾過装置を通る空気の流れを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
セルフクリーニング空気濾過装置およびセルフクリーニング空気濾過方法の代表的な実施例を以下に詳細に記載する。
【0010】
図1~9に示すように、セルフクリーニング空気濾過装置1は、レインキャップ2を有する取り外し可能な空気流パワーヘッドアセンブリ109と、モータ/ファンアセンブリ9と、羽根(ルーバー)アセンブリ10とを含む。空気濾過装置1は、外側フィルタアセンブリ20、随意の内側フィルタアセンブリ19、およびテーパ状の分離チャンバハウジング11も含む。分離チャンバハウジング11は、使用時の空気濾過装置1での空気流の方向に対して空気流パワーヘッドアセンブリ109の下流側に配置されている。空気濾過装置1のこれらの構成要素は、長手方向軸Xが各構成要素の中心を通って延びるように、一緒に組み立てられている。
【0011】
(1)空気流パワーヘッドアセンブリ
空気流パワーヘッドアセンブリ109は、複数の締結部3によってまとめて保持されるように構成されている。より詳細には、締結部3は、レインキャップ2の複数の受容ボス41、モータ/ファンアセンブリ9の複数の受容ボス47、および羽根アセンブリ10の複数の受容ボス48に挿入される。締結部3は、たとえば金属製のボルトであってもよいし、リベットであってもよいし、あるいはその他のそのような取り付け部材であってもよい。本実施形態では、空気流パワーヘッドアセンブリ109は、4つの締結部材3を有するものとして示されていて、これら4つの締結部材は各々、受容ボス41、47、および48に対応している。しかし、締結部の数と受容ボスの数は4つには限定されず、4つよりも多くてもよいしあるいは4つよりも少なくてもよい。図6Bおよび6Cは、レインキャップ2、モータ/ファンアセンブリ9、および羽根アセンブリ10が共に結合されている組み立てられた状態の空気流パワーヘッドアセンブリ109を示している。
【0012】
図10および12から理解されるように、レインキャップ2は、円形のテーパ状ヘッド部と複数の取り付け脚部(本実施形態では4つ)とで形成されており、当該取り行け脚部は、長手方向軸Xによって画定された空気濾過装置1の軸方向と平行な方向にヘッド部から延びている。テーパ状ヘッド部は、第2の軸方向とは逆の第1の軸方向(即ち、空気濾過装置1の残りの構成要素から離れる方向)へ外側に向かって突出している凸状の板部材である。テーパ状ヘッド部の内側の面は、構造的に支持するための4つの受容ボス41の間で延びている十字状の部材を有している。レインキャップ2は、締結部3を受容するための複数の受容ボス41をさらに備えている。レインキャップ2は、たとえば、ポリマー複合樹脂で構成されてもよい。
【0013】
図14~17から理解されるように、モータ/ファンアセンブリ9は、ファンアセンブリ43を含む。ファンアセンブリ43は、粉塵ガード部材42、複数のファンブレード44、ファンモータ45、電線46、および受容ボス47を含む。粉塵ガード部材42は、たとえば、ポリマー複合樹脂で構成されており、また、放射状に延びる複数の仕切り梁によって仕切られた周方向に延びる複数のガード梁を含む。粉塵ガード部材42は、ファンアセンブリ43を傷つけ得る粉塵がファンアセンブリ43に入るのを防ぐ機能を果たし、また、使用者の手/指がファンアセンブリ43に入るのを防ぐ機能も果たす。
【0014】
ファンモータ45は、ファンアセンブリ43の中心に設けられており、電線46によって電力が供給される。電線46は、下記の電気コネクタ18を経由して、図示されていないバッテリーなどの電源に接続されている。ファンモータ45は、電線46を通じて供給される電力を用いてファンブレード44を駆動させるように構成されている。ファンモータ45は、たとえば、金属および/またはポリマー複合樹脂で構成され得る。示されているようなファンモータ45は電気式のものであり、ブラシ付きモータであってもよいし、ブラシレスモータであってもよい。利点として、空気濾過装置1は、比較的コンパクトなファンモータ45およびファンアセンブリ43を備え、これによって当該装置の物理的大きさを小さくするのを助ける。そして、ファンモータ45が、当該モータを冷却する空気流の汚れた空気側に位置することにより、従来の装置に比べてモータの寿命が延びることを保証する。油圧モータを含む構成などの、モータとファンに関する他の構成も使用することができる。
【0015】
ファンブレード44は、モータ/ファンアセンブリ9の内側(第2の軸方向側)に設けられている。本実施形態では7つのファンブレード44が設けられているが、ファンブレードの数はこの数に限定されず、モータ/ファンアセンブリ9に設けられるファンブレード44の数は、7つよりも多くてもよいし7つよりも少なくてもよい。ファンブレード44は、周方向に互いに間隔をあけて配置されており、ファンモータ45で駆動されると回転するように配置されている。ファンブレード44は、たとえば、ポリマー混合樹脂で構成され得る。
【0016】
図18~23から理解されるように、羽根アセンブリ10は、羽根アセンブリ10の中心に位置するテーパ状空気流ダイバータ50と、空気流ダイバータ50から羽根アセンブリ10の周囲壁24(図7参照)へと径方向外側に延びる複数の羽根51とを含む。空気流ダイバータ50は、第1の軸方向(すなわち、羽根51から離れる方向)へと外側に向かって突出している凸状の板部材である。空気流ダイバータ50は、羽根アセンブリ10の中心および空気流入側に配置されており、空気流を羽根51へ向けるファンブレード44の背部に面している。周囲壁24は、モータ/ファンアセンブリ9が取り付けられる取り付け面49(図18参照)を含む。周囲壁24は径方向外側の表面をさらに有し、当該径方向外側の表面から受容ボス48が径方向外側へ延びている。羽根アセンブリ10の反対方向の第2の軸方向側には、以下に記載されるような分離チャンバハウジング11に羽根アセンブリ10を取り付けるための取り付け面55が設けられている。以下に記載されるように、羽根アセンブリ10は切り込み部(凹み部)53をさらに含み、切り込み部53には、電気コネクタ18を受容するように構成された電気コネクタ取り付け溝56が設けられている。
【0017】
羽根51は各々、長手方向軸Xに対して傾けた第1の対向面および第2の対向面を有している。複数の羽根51は、周方向に間隔をあけて配置されている。たとえば、使用者の指が羽根アセンブリ10に入らないようにする安全手段として、複数のガード部材52が、互いに隣接する対の羽根51の間に設けられている。本実施形態では、3つのガード部材52が、互いに隣接する対の羽根51の間に延びている。しかし、ガード部材52の数は、3つよりも多くてもよいし少なくてもよい。ガード部材52は羽根51の間で周方向に延びている。羽根アセンブリ10の構成要素をすべて、たとえば、金属および/またはポリマー複合樹脂で構成してもよい。
【0018】
羽根アセンブリ10は複数のロッキングスロット17をさらに備えており、ロッキングスロット17は、取り付け面55に沿って設けられ、以下に記載するように分離チャンバハウジング11の複数の取り付けタブ16を受容するように配置されている。ロッキングスロット17は、周方向に互いに間隔をあけて配置されている。ロッキングスロット17は各々、径方向の長さよりも周方向の長さの方が長い。図18および22から理解されるように、ロッキングスロット17は各々、それぞれの取り付けタブ16を受容するために第1の軸方向および第2の軸方向に開放されている。取り付けタブ16をロッキングスロット17に挿入した後、羽根アセンブリ10(あるいは空気流パワーヘッドアセンブリ109全体)を分離チャンバハウジング11に対して回転させて、空気濾過装置1を確実に組み立てる。
【0019】
空気流ダイバータ50の内面には、位置合わせピン38がさらに設けられている。位置合わせピン38は、たとえば、ポリマー複合樹脂で構成されており、下記に記載されているように、空気流パワーヘッドアセンブリ109を外側フィルタアセンブリ20と並ばせるために設けられている。
【0020】
図1~3および51~54から理解されるように、空気流パワーヘッドアセンブリ109(レインキャップ2、モータ/ファンアセンブリ9、および羽根(ルーバー)アセンブリ10)は、ロッキングピンアセンブリ97を介して分離チャンバハウジング11に取り付けられるように構成されている。ロッキングピンアセンブリ97は、たとえば、金属および/またはポリマー複合樹脂で構成されており、第1および第2のロッキングピンボス4と、ロッキングピン5と、ロッキングピン保持部96とを有している。図1、22および23から理解されるように、第1のロッキングピンボス4は、羽根アセンブリ10の外周縁上に設けられている。図1および24から理解されるように、第2のロッキングピンボス4は、分離チャンバハウジング11の第1の軸方向側端部の外周縁上に設けられている。組立ての際には、第1のロッキングピンボス4と第2のロッキングピンボス4とは、ロッキングピン5が第1のロッキングピンボス4と第2のロッキングピン4の両方を通るように並べられる。図1、51および52Aから理解されるように、ロッキングピン保持部96は、組立て状態ではロッキングピン5を保持するように配置されている可撓性を有する部材である。たとえば、ロッキングピン保持部96は、ロッキングピン5の剛性よりも低い剛性を有し得る。ロッキングピン保持部96の第1の端部をロッキングピン5の頭部の開口に通すことによって、ロッキングピン96の第1の端部はロッキングピン5の頭部に固定される。ロッキングピン96の反対側の第2の端部は、ロッキングピン5の反対側の端部を受容するように構成された開口を有し、それによってロッキングピン5が第1のロッキングピンボス4と第2のロッキングピンボス4から意図せずに外れるのを防ぐ。
【0021】
図1、51、52Aおよび52Bから理解されるように、空気濾過装置1は、羽根アセンブリ10の取り付け溝56内に配置されている電気コネクタ18を備えている。電気コネクタ18は、電線46を電源に接続するように構成されたアダプタである。空気濾過装置1は、電気コネクタ18を最初に取り外す前に空気流パワーヘッドアセンブリ109が分離チャンバハウジング11から外れるのを防止する安全機能を含んでいる。具体的には、電気コネクタ18は、空気流パワーヘッドアセンブリ109が分離チャンバハウジング11に対して回転するのを防ぎ、したがって(下記)取り付けタブ16が(下記)ロッキングスロット17から外れるのを防ぐ。したがって、空気流パワーヘッドアセンブリ109を分離チャンバハウジング11から取り外すためには、電気コネクタ18の雄部分と雌部分とは互いに切り離されなければならない。
【0022】
(2)分離チャンバハウジング
図24~28から理解されるように、分離チャンバハウジング11は、第2の軸方向に(すなわち、清浄空気排出口8に向かって)先細るように成形される。換言すれば、分離チャンバハウジング11の直径は、(空気流入口57での)第1の軸方向側端部から(清浄空気排出口8での)第2の軸方向側端部に向かって徐々に減少していく。分離チャンバハウジング11は、上記取り付けタブ16を備えている。複数の取り付けタブ16は、周方向に互いに間隔をあけて配置されている。取り付けタブ16は各々、径方向の長さよりも周方向の長さの方が長い。上記したように、取り付けタブ16は各々、羽根アセンブリ10のそれぞれのロッキングスロット17によって受容され、その後、ロッキングピン5の挿入のために第1および第2のロッキングピンボス4が並ぶまで回転させられて、空気流パワーヘッドアセンブリ109を分離チャンバハウジング11に固定する。ロッキングピンアセンブリ97とともに、取り付けタブ16とロッキングスロット17との連結により、空気流パワーヘッドアセンブリ109を分離チャンバハウジング11に確実に組み付けることを確かなものとする。また、上記したように、電力を供給するために一旦電気コネクタ18(雄部分および雌部分)を接続すると、先に電気コネクタ18を切り離さないかぎりは、空気流パワーヘッドアセンブリ109を分離チャンバハウジング11から取り外すことはできない(すなわち、取り付けタグ16をロッキングスロット17から取り外すことはできない)。
【0023】
図24および25から理解されるように、分離チャンバハウジング11は、第1の軸方向側に空気流入口57を有し、反対側の第2の軸方向側に清浄空気排出口8を有している。図8に示しているように、分離チャンバハウジング11は粉塵分離チャンバ34を有し、粉塵分離チャンバ34は、空気流入口57と清浄空気排出口8との間に軸方向に配置されている。空気流入口57の直径は、清浄空気排出口8の直径よりも大きい。分離チャンバハウジング11は、たとえば、金属および/またはポリマー複合樹脂で構成してもよい。使用時には、モータ/ファンアセンブリ9を駆動させることにより、羽根アセンブリ10を通じて粉塵を含む空気を押圧し、これによって求心的に(centripetally)回転する空気流が生成され、当該求心的に回転する空気流は、空気流入口57および分離チャンバハウジング11の中へと押圧される。分離チャンバハウジング11の中では、粉塵が、空気流の圧力を受けて径方向外側に向かって押圧されて分離チャンバハウジング11の内壁に沿って回転する。分離チャンバハウジング11のテーパ状構造は分離チャンバハウジング11の内側のスペースを減少させるので、粉塵を含む空気流は、当該テーパ状構造が要因で回転しながらその速度とエネルギーを維持し、それによって、粉塵が(下記の)複数の粉塵排出スロット延在部12を通過して空気濾過装置1を出るまでに上記内側のスペースが減少して粉塵を含む空気を圧縮し、一方で残りの空気が向心力(centripetal force)を受けながら外側フィルタアセンブリ20を通り、濾過されて、清浄な空気として清浄空気排出口8から出ていく。
【0024】
分離チャンバハウジング11は複数の取り付けボス6を有し、複数の取り付けボス6は、分離ハウジングチャンバ11の外側周面から径方向外側に向かって延びている。本実施形態では、4つの取り付けボス6が設けられている。しかし、取り付けボス6の数は、4つに限られず4つよりも多くてもよいし4つより少なくてもよい。取り付けボス6は、エンジン、または空気濾過装置1が設けられる他の装置などの支持構造に空気濾過措置1を複数の向きに取り付けるために構成されている。複数の向きに取り付け可能であることで、様々な適用における空気濾過装置1の使用に対する有利な適応性がもたらされる。取り付けボス6は、たとえば、金属および/またはポリマー複合樹脂で構成された細長の部材である。取り付けボス6は各々、空気濾過装置1を支持構造に取り付けるための開口を、その自由端に有している。複数の取り付けボス6の間には、空気濾過装置1に関するラベルあるいは他の表示札を設けるためのラベリング面61が設けられている。
【0025】
第1の軸方向側では、分離チャンバハウジング11は、空気流入口57を囲む取り付け面58を有している。取り付け面58は、羽根アセンブリ10の取り付け面55と係合するように配置される。取り付けタブ16は、取り付け面58上に形成される。
【0026】
第2の軸方向側では、分離チャンバハウジング11は、清浄空気排出口8を囲む排出口シーリング面60を有している。清浄空気排出口8の縁での排出口シーリング面60には、空気排出口シーリングビード59が設けられている。図24に示されているように、真空/圧力ポート13が清浄空気排出口8の内周面上に設けられ、真空/圧力ポート13は、清浄空気排出口8で空気流の圧力を検知するための随意の機械式圧力/真空センサあるいは電気式圧力/真空センサ(図示せず)を受容するように構成されている。
【0027】
図24~28から理解されるように、分離チャンバハウジング11は複数の粉塵排出スロット延在部12を有しており、粉塵排出スロット延在部12は、以下に詳細に記載している粉塵捕捉トレイ27の粉塵排出スロット72と並ぶように構成されている。本実施形態では、4つの粉塵排出スロット延在部12が、分離チャンバハウジング11の外周上に間隔を空けて設けられている。しかし、粉塵排出スロット延在部12の数は、4つに限定されず、1つだけでもよいし4つより多くてもよい。図27~28から理解されるように、分離チャンバハウジング11からの粉塵の排出を促進するために、粉塵排出スロット延在部12は各々、第1の凹み面と、当該第1の凹み面から外側周面へと外側に向かって径方向に延びる第2の面と、を有している。
【0028】
分離チャンバハウジング11は取り付け面63をさらに含んでいる。取り付け面63は、随意の排出ポートアダプタ64と、随意のフィルタ特定(filter identification:FID)読取部空気出口側アダプタ83と、随意の排出スロットシーリングキャップアダプタ93とを収容するように構成されている。
【0029】
(3)排出ポートアダプタ
排出ポートアダプタ64は、図29~33に示されており、複数の位置合わせスロット65と、粉塵排出ポート66と、横方向シーリング面67と、縦方向シーリング面68と、排出ポート出口開口69と、複数の締結孔70と、を含んでいる。位置合わせスロット65は各々、粉塵排出スロット延在部12の各々で分離チャンバハウジング11上に位置する(図24に示されている)取り付けボス15を受容するように構成されている。(図47に示されている)締結部85は、取り付けボス15の締結孔の各々と、排出ポートアダプタ64の締結孔70の各々とに通されることによって、分離チャンバハウジング11に排出ポートアダプタ64を固定するために設けられている。締結部85は、たとえば、金属製のあるいはポリマー複合樹脂製のねじ、ボルト、リベット、あるいは他のそのような取り付け部材である。粉塵は、排出ポート出口開口69および粉塵排出ポート66を通って排出ポートアダプタ64から排出される。横方向シーリング面67は、取り付け面63と係合する。縦方向シーリング面68は、粉塵排出スロット延在部12の第1の軸方向側に配置された分離チャンバハウジング11の軸方向に面する(第2の軸方向に面する)面と係合する。排出ポートアダプタ64は、たとえば、ポリマー複合樹脂で構成してもよい。図31は、分離チャンバハウジング11上に設置された排出ポートアダプタ64を示している。随意の排出ポートアダプタ64は、利点として、粉塵を含む空気の排出に構成可能である単一のポート(粉塵排出ポート66)を通る粉塵の排出を、たとえば、必要に応じて、エンジンの区画やその他の装置の区画の特定の場所または外側に向けることを可能にする。
【0030】
(4)フィルタ読取特性
図47、48Aおよび48Bは、清浄空気排出口8に設置された随意のFID読取部空気出口側アダプタ83を有する空気濾過装置1の変更された構成配置82を示している。FID読取部空気出口側アダプタ83は、取り付け面63に嵌合する環状の部材である。FID読取部空気出口側アダプタ83は、電線84と、締結部85と、複数の位置合わせスロット65と、電気ワイヤーシール86と、複数の縦方向取り付け支持部87と、横方向シーリング面88と、空隙89と、縦方向円形状スリップフィット取り付け支持部90と、FID読取部回路基板106と、電気コネクタ107と、締結部108と、を含んでいる。電線84は、FID読取部空気出口側アダプタ83に電力を供給するための、バッテリーなどの図示されていない電源に接続されている。位置合わせスロット65は各々、それぞれの取り付けボス15を受容するように構成されている。締結部85は、各取り付けボス15における締結孔と、FID読取部空気出口側アダプタ83における複数の締結孔70の各々とに通されることによって、FID読取部空気出口側アダプタ83を分離チャンバハウジング11に固定するために設けられている。さらに追加の複数の締結部85が、電気ワイヤーシール86に隣接する取り外し可能なパネルに設けられ、当該パネルを通じて中への収納を容易にする。当該パネルの内側で、FID読取部回路基板106は、電気コネクタ107を介して、電線84に接続されている(図48B参照)。パネルの内側に配置された締結部108は、FID読取部空気出口側アダプタ83の表面にFID読取部回路基板106を固定するために設けられている。電気コネクタ107は、たとえば、金属および/またはポリマー複合樹脂で構成されており、FID読取部回路基板106の回路を電線84に電気的に接続する。締結部108は、たとえば、金属製のボルト、リベット、あるいは他のそのような取付け部材である。電気ワイヤーシール86は、たとえば、ナットまたはその他の締結部材、ならびに水分がFID読取空気排出口側アダプタ83に入るのを防ぐOリングシールで構成されている。横方向シーリング面88は取り付け面63と係合する。縦方向取り付け支持部87の軸方向の縁部が粉塵排出スロット延在部12の第1の軸方向側に配置された分離チャンバハウジング11の軸方向に面する(第2の軸方向に面する)面と係合するように配置された状態で、縦方向取り付け支持部87は、複数の粉塵排出スロット延在部12間で延びる分離チャンバハウジング11の外周面と係合するように配置されている。粉塵排出スロット延在部12を通って粉塵が排出されるのを妨げないように、図48Aで見られるように、隣接する縦方向取り付け支持部87間には空隙89が設けられている。縦方向円形状スリップフィット取り付け支持部90は、取り付け面63の第2の軸方向側に配置された分離チャンバハウジング11の外周面と係合する。FID読取部空気出口側アダプタ83は、たとえば、金属および/またはポリマー複合樹脂で構成してもよい。下記のように、FID読取部空気出口側アダプタ83は、利点として、空気濾過装置1の清浄空気側のフィルタ識別リング(filter identification ring:FIR)92の読み取りが可能である。
【0031】
上記したように、FID(filter identification)読取部空気出口側アダプタ83とフィルタ識別リング(FIR)92とは、随意の構成要素である。FID読取部回路基板106は、電力をFIR92に供給する回路と、FIR2との通信を行うアンテナと、を含んでいる。FID読取部回路基板106は、FIR92からフィルタに関するデータを受信するように構成されている。(「制御モジュール」または「RCM」とも呼ばれる)FIR92およびFID読取部回路基板106の特徴は、米国特許出願公開第16/022,941号明細書(出願日:2018年6月29日)(2020年12月1日に米国特許第10,850,222号明細書が発行)に詳細に記載されており、その内容全体を本明細書に組み込む。FIR92およびFID読取部回路基板106のさらに別の特徴は、米国特許出願公開第17/138,052号明細書に詳細に記載されており、その内容全体を本明細書に組み込む。さらに、FIR92は環状のものとして本出願に記載されているが、フィルタ特定装置は様々な構成を有し得る。たとえば、FIR92は、外側フィルタ清浄側シール22に埋め込まれたフィルタ特定チップであり得る。図49に示されているように、空気流の「清浄」側(すなわち、外側フィルタ材35によって粉塵が除去された後の空気流が通る位置)に設けられている。
【0032】
(5)排出スロットシーリングキャップアダプタ
随意の排出スロットシーリングキャップアダプタ93は、図50Aと50Bに示されており、複数の位置合わせスロット65と、複数の締結孔70と、を含んでいる。排出ポートアダプタ64と同様に、位置合わせスロット65は各々、それぞれの取り付けボス15を受容するように構成されており、締結部85は、取り付けボス15の各々における締結孔と、排出スロットシーリングキャップアダプタ93の締結孔70の各々とに通されることによって、排出スロットシーリングキャップアダプタ93を分離チャンバハウジング11に固定するように設けられている。図50Bは、分離チャンバハウジング11上に設置された排出スロットシーリングキャップアダプタ93を示している。排出スロットシーリングキャップアダプタ93を、たとえば、ポリマー複合樹脂で構成してもよい。分離チャンバハウジング11がセルフクリーニング機能を持たずに使用される場合では、排出スロットシーリングキャップアダプタ93は、利点として、粉塵排出スロット延在部12をシールすることができる。
【0033】
(6)フィルタアセンブリ
図34~46および49は、外側フィルタアセンブリ20の特徴を示している。外側フィルタアセンブリ20は、外側フィルタ清浄側シール22と、粉塵捕捉トレイ27と、2分割構成外側スクリーン28と、端部閉じキャップ29と、外側フィルタ材35と、随意の内側スクリーン36と、を含んでいる。
【0034】
(6-1)外側フィルタ材
外側フィルタ材35は、空気濾過装置1を通る空気から粉塵を除去する。本開示のフィルタ構造は、幅広い種類のフィルタ材を使用することを可能にし、理想的には、高機能で高効率のフィルタ材に適している。たとえば、外側フィルタ材35は、限定されないが、天然繊維フィルタ材や合成繊維フィルタ材を含む、様々なフィルタ材を含んでいてもよいし、カーボンラップ、カーボンペレット、フェルトラップ、または発泡材(foam)を含んでいてもよいし、あるいは高効率特性を有する任意のフィルタ材であってもよい。外側フィルタ材35は、限定されないが、上記した種類のフィルタ材を含む、単一のフィルタ材で形成することもできるし、複数のフィルタ材で形成することもできる。
【0035】
(6-2)スクリーンアセンブリ
外側フィルタ材35は、外側スクリーン28によって取り囲まれて保護されている。さらに、随意の内側スクリーン36を、構造をさらに支持するために外側フィルタ材35の内側に配置してもよい。内側スクリーン36と外側スクリーン28の両方を、たとえば、ポリマー複合樹脂で構成してもよい。内側スクリーン36の取り付けは随意であり、外側フィルタ材35に使用されるフィルタ材の種類に応じて、内側スクリーン36を必要とすることなく外側スクリーン28を設けてもよい。内側スクリーン36、外側フィルタ材35、および外側スクリーン28は、端部閉じキャップ29によって第1の軸方向側の所定の場所に保持されている。たとえば、外側フィルタ材35に損傷を与えずに内側スクリーン36、外側フィルタ材35、および外側スクリーン28を端部閉じキャップ29に確実に固定する接着剤、ウレタン、独立気泡フォーム、エポキシ、ラバー、またはその他の結合剤を用いて、内側スクリーン36、外側フィルタ材36、および外側スクリーン28は端部閉じキャップ29に固定されてもよい。
【0036】
以下に詳細に記載するように、第2の軸方向側では、内側スクリーン36、外側フィルタ材35、および外側スクリーン28は、外側フィルタ清浄側シール22によって所定の場所に保持されている。外側スクリーン28の中心では、外側スクリーン28の2つのスクリーン半体がラッチ機構によって所定の場所に保持されており、ラッチ機構により、2つのスクリーン半体の位置合わせが行われ、製造工程中および製造工程後にこれらのスクリーン半体があわせて保持される。その内容全体が本明細書に組み込まれる、2020年12月30日に出願された米国特許出願公開第17/138,052号明細書に詳細に記載されているように、ラッチ機構は、複数の突起を外側スクリーン28の一端に有し、当該突起が挿入される複数の受容スロットを外側スクリーン28の他端に有していてもよい。
【0037】
(6-3)外側フィルタ清浄側シール
外側フィルタ清浄側シール22は、たとえば、ウレタンで形成されている。より詳細には、本明細書でその内容全体が組み込まれる米国特許出願公開第17/138,052号明細書に詳細に記載されているように、外側フィルタ清浄側シール22は、冷間注入ウレタンで形成されている。例示目的のみで、図38は、外側フィルタ清浄側シール22を別々の要素として示している。しかし実際には、外側フィルタ清浄側シール22は、随意の内側スクリーン36、外側フィルタ材35、外側スクリーン28、および粉塵捕捉トレイ27と一体的に形成されている。米国特許出願公開第17/138,052号明細書に記載のプロセスと同様に、製造工程中に、ウレタンを冷間注入して外側フィルタ清浄側シール22を形成するための型が設けられる。粉塵捕捉トレイ27、随意の内側スクリーン36、外側フィルタ材35、および外側スクリーン28を型の中に設置する場合、ウレタンを開放領域に流れ込むように注ぎ、それによって、図49に示すように、組み立てられた、内側スクリーン36、外側フィルタ材35、外側スクリーン28、粉塵捕捉トレイ27、および、もし含まれていれば、下記の随意のフィルタ特定リング(FIR)92を、互いにしっかりと固定する。換言すれば、上述のウレタンシール22は、硬化した後に、外側フィルタ清浄側シール22のウレタン内に埋め込まれたこれら構成要素の部品すべてをまとめて、利点のある確実な方法で保持する。随意のFIR92、粉塵捕捉トレイ27、外側スクリーン28、および外側フィルタ材35が外側フィルタ清浄側シール22内にどのようにして埋め込まれているかを図示するために、例示目的で外側フィルタ清浄側シール22の一部が切り取られている外側フィルタアセンブリ91を、図49に示している。図8から理解されるように、分離チャンバハウジング11は、軸方向に延びるシーリング面40を有し、シーリング面40は清浄空気排出口8の径方向外側の縁をシールするために外側フィルタ清浄側シール22の内周面に当接している。さらに、分離チャンバハウジング11は、径方向に延びるシーリング面62を有し、シーリング面62は清浄空気排出口8をシールするために外側フィルタ清浄側シール22の軸方向に面する(第2の軸方向に面する)面に当接している。外側フィルタ清浄側シール22の内周面は、清浄空気排出口8と連通するエアフィルタ清浄側排出口71(図35を参照)を形成する。
【0038】
(6-4)粉塵捕捉トレイ
図43~46には、上記したような外側フィルタ清浄側シール22に含まれる(かつ埋め込まれている)粉塵捕捉トレイ27の特徴を示している。粉塵捕捉トレイ27は、複数のフィルタ位置合わせ隆起部26と、粉塵排出スロット72と、複数の支持タブ73と、軸方向に面する内側壁78と、内周壁79と、外周壁80と、軸方向に面する外側壁81と、を含んでいる。軸方向に面する内側壁78は、第1の軸方向に面しており、支持タブ73を囲んでいる。内周壁79は径方向に面しており、軸方向に面する内側壁78と共に、粉塵捕捉トレイ27の内側に空間を形成し、その中で粉塵は粉塵排出スロット72を通って排出される前に回転する。軸方向に面する外側壁81は、第2の軸方向に(清浄空気排出口8の方に)面しており、支持タブ73を囲んでいる。外周壁80は、設置されると、径方向外側に面し、分離チャンバハウジング11の内周面に面する。
【0039】
図27に示すように、フィルタ位置合わせ隆起部26は各々、分離チャンバハウジング11の内面上に形成された複数のフィルタ位置合わせ溝25のそれぞれ1つに係合するように配置されている。さらには、手短に上記したように、粉塵排出スロット72は、粉塵排出スロット延在部12の1つと(軸方向と周方向とで)並ぶように構成されている。外側フィルタアセンブリ20の回転位置に応じて、粉塵排出スロット72を、複数の粉塵排出スロット延在部12のいずれとも並ばせることができる。たとえば、図54図26の線54-54に沿った断面図であり、粉塵排出スロット延在部12の1つと並んだ粉塵排出スロット72を示している。フィルタ位置合わせ隆起部26とフィルタ位置合わせ溝25とを係合させて配置することにより、利点として、外側フィルタアセンブリ20の回転位置にかかわらず、粉塵排出スロット72が粉塵排出スロット延在部12の1つと確実に並べられることを確かなものとする安全機能が得られる。換言すれば、フィルタ位置合わせ隆起部26とフィルタ位置合わせ溝25とを係合させて配置することにより、粉塵排出スロット72が粉塵排出スロット延在部の1つと並んでいない状態で外側フィルタアセンブリ20が分離チャンバハウジング11に設置されるのを防止する。本実施形態では、4つの粉塵排出スロット延在部12が設けられ、したがって、4つのフィルタ位置合わせ隆起部26と4つの位置合わせ溝25が周方向に配置されている。その結果、外側フィルタアセンブリ20が設置可能である4つの回転位置が存在する。しかし、その個数は4つに限られず、フィルタ位置合わせ隆起部26およびフィルタ位置合わせ溝25の数が粉塵排出スロット延在部20の数と一致する限りは、粉塵排出スロット延在部12を設ける数、フィルタ位置合わせ隆起部26を設ける数、およびフィルタ位置合わせ溝25を設ける数を、4つよりも多くしてもよいし、少なくしてもよい。
【0040】
図43に示すように、支持タブ73は周方向に間隔をあけて設けられている。図49に示すように、支持タブ73は、外側フィルタ材35および随意のFIR92を支持するように配置されている。粉塵捕捉トレイ27の構成要素はすべて、たとえば、ポリマー複合樹脂で形成される。
【0041】
(6-5)外側フィルタ端部閉じキャップ
図39~42に、外側フィルタ端部閉じキャップ29の特徴を示す。上記したように、外側フィルタ端部閉じキャップ29は、随意の内側スクリーン36、外側フィルタ材35、および外側スクリーン28を、たとえば接着剤を用いて第1の軸方向側の所定の場所に保持する。より詳細には、図41から理解されるように、外側フィルタ端部閉じキャップ29の第2の軸方向側には、立設した縦方向内壁76によって囲まれた貼付け面75が含まれ、縦方向内壁76と共に貼付け面75はトレイを形成し、そこで、たとえば熱溶融性接着剤などが製造工程中に保持され得る。次に、縦方向内壁76は、立設した縦方向外側壁77によって囲まれる。内側スクリーン36、外側フィルタ材35、および外側スクリーン28を第1の軸方向側に固定するために、貼付け面75は、たとえば、製造工程中に熱溶融性接着剤を受容するように構成されている。
【0042】
外側フィルタ端部閉じキャップ29は、第1の軸方向側にハンドル30を備えており、外側フィルタアセンブリ20を分離チャンバハウジング11へ設置するのを容易にしている。ハンドル30の中心には、位置合わせピン38を受容する(かつ並べる)ように構成された位置合わせ孔31が設けられている。位置合わせピン38は、ハンドル30を通って(上記のような)空気流ダイバータ50から延びるため、位置合わせピン38は、利点として、空気流パワーヘッドアセンブリ109(レインキャップ2、モータ/ファンアセンブリ9、および羽根アセンブリ10)と外側フィルタアセンブリ20との間の適切な位置合わせを確かなものとする。位置合わせピン38は、外側フィルタアセンブリ20を分離チャンバハウジング11の中心に配置することを確かなものとする。
【0043】
(6-6)内側フィルタアセンブリ
内側フィルタアセンブリ19は、外側(第1)フィルタアセンブリの内側、具体的には、もし含まれるのであれば内側スクリーン36の内側に配置され得る随意の第2のフィルタ(「安全フィルタ」とも呼ばれる)として設けられている(図7および9を参照)。内側フィルタアセンブリ19は、内側フィルタ清浄側シール21と、内側フィルタ材32と、内側フィルタ端部閉じキャップ33と、を含んでいる。外側フィルタ材35のように、内側フィルタ材32は、限定されないが、天然繊維や合成繊維を含む、様々なフィルタ材を有していてもよいし、カーボンラップ、粒状カーボン、フェルトラップ、または発泡材を含んでいてもよい。外側フィルタフィルタ材35に欠陥が生じたり、あるいは外側フィルタ材35が適切に粉塵を濾過する能力を失い始めて、粉塵が外側フィルタ材35を通ってしまったりする場合には、粉塵は内側フィルタ材32の外面に集積して、内側フィルタ材32の粉塵受容能力が低減しているために空気濾過装置1から出ていく空気流が減少する。その結果、外側フィルタ材35に生じた問題を使用者に容易に知らせることができる。
【0044】
内側フィルタ清浄側シール21は、たとえば、ウレタンで構成されてもよい。内側フィルタ端部閉じキャップ33は、たとえば、ポリマー複合樹脂で構成されてもよい。図55に示すように、内側フィルタアセンブリ19が設けられていると、内側フィルタアセンブリ19が設けられていない場合に比べて、流量が多ければ多いほど、空気濾過装置1では空気流がより制限されてしまう傾向にある。しかし、内側フィルタアセンブリ19が設けられている場合の空気流の制限の程度は、システム性能に対してまだ容認することができるレベルである。流量および図55に記載された複数のパラメータは、一例にすぎず本開示の範囲を限定するものではない。
【0045】
図1に示すように空気流パワーヘッドアセンブリ109を分離チャンバハウジング11に組み付けた後、空気濾過装置1は完全に組み立てられて動作可能な状態になる。図51~54には、随意の取り外し可能なレインキャップ2が取り外されている空気濾過装置1の組立て状態を、変更された構成配置94として示している。図51に示しているように、アセンブリ95は、モータ/ファンアセンブリ9、羽根アセンブリ10のみを含んでおり、レインキャップ2を含んでいない。図53Aは、第1および第2のロッキングピンボス4にロッキングピン5が挿入されている組立て状態を示している。他方、図53Bは、ロッキングピンアセンブリ97が取り外されている組立て状態を示している。
【0046】
(7)粉塵スクリーン
図56~59は、随意の粉塵スクリーン100の特徴を示している。図56は、完全に組み立てられた空気濾過装置1が粉塵スクリーン100をさらに含んでいる構成99を示している。粉塵スクリーン100は、レインキャップ2とモータ/ファンアセンブリ9との間の空間を埋めて、レインキャップ2とモータ/ファンアセンブリ9との間で軸方向に延びるように設けられている。粉塵スクリーン100は、利点として、空気濾過装置1を通るにはあまりにも大きすぎる空気中に浮遊している粉塵が上記空間に入り込むのを防ぐ。これは、埋め立て作業、農業、木材の切り出し、および空気中に浮遊する大きな粉塵が高い濃度で存在する環境を呈するその他の分野で特に有用である。粉塵スクリーン100は、たとえば、金属で構成されており、頂部101と、穿孔円周側面102と、複数の取り付け孔103と、取り付けフランジ104と、複数の空隙105とを含んでいる。頂部101は、レインキャップ2の内面の隣に設けられているが、レインキャップ2の内面とは接触していない。取り付けフランジ104は、モータ/ファンアセンブリ9の第1の軸方向側に隣接して接触するように設けられている。穿孔円周側面102は、空気が空気濾過装置1に入るのを可能にする複数の孔を有する面である。複数の取り付け孔103は、取り付けフランジ104上に周方向に間隔を空けて設けられており、レインキャップ2の受容ボス41、モータ/ファンアセンブリ9の受容ボス47、および羽根アセンブリ10の受容ボス48に挿入されている同一の締結部3を受容するように構成されている。空隙105は各々、レインキャップ2の複数の取り付け脚部のうちの対応する1つの脚部はもちろん、モータ/ファンアセンブリ9の複数の受容ボス47のうちの対応する1つボスも受容するように寸法を合わされ、構成されている。
【0047】
(8)空気濾過方法
本開示の空気濾過方法は、図62を参照すれば理解することができる。図62は、レインキャップ2が取り外されている空気濾過装置1を通る空気流のイメージである。本開示の方法は、モータ/ファンアセンブリ9によって生成された真空効果を用いて、粉塵を含む空気を空気流入口57内へ引き入れることを有している。図62では、粉塵を含む層状の空気を空気流Aとして示している。空気流は、モータ/ファンアセンブリ9を出た後、モータ/ファンアセンブリ9とテーパ状分離チャンバハウジング11とによって生成された正圧効果を用いて下流へと押圧される。より具体的には、向心力により圧力下で軸X周りに粉塵を含む空気の流れを回転させた状態で、粉塵を含む空気は、圧力(モータ/ファンアセンブリ9によって生成された正圧)を受けて直線状の流路に沿って流され、それによって、圧力を受けている回転している空気流の径方向で最も外側の軌道に空気よりも重い粉塵が存在する状態で、粉塵を含んだ回転している層状の空気流Aを形成する。分離チャンバハウジング11の先細った形状は、モータ/ファンアセンブリ9により生成された空気圧と共に、分離チャンバハウジング11の径が徐々に減っていくことにより空気流を粉塵捕捉トレイ27に向かって圧縮させた状態で、高いエネルギーを有する空気の流れを維持する。粉塵を含む求心的な回転をしている空気流は、テーパ状分離チャンバハウジング11の中へ押圧されると、分離チャンバハウジング11の複数の壁の下方へと第2の軸方向側端部に向かって直線方向に進む。テーパ状分離チャンバハウジング11の縮小領域(すなわち、徐々に減っていく径)と、モータ/ファンアセンブリ9とによって生成される加圧空気流とによって、求心的な回転をしている空気流の速度が維持される。求心的な回転をしている空気流のパターンの中に閉じ込められた粉塵粒子は、分離チャンバハウジング11の内壁に沿って移動して、空気流の直線路の下方へと清浄空気排出口側端部に向かって押圧される。分離チャンバハウジング11を通る空気流よって粉塵が第2の軸方向側端部に向かって下流へと押圧され続けると、向心力によって、粉塵は分離チャンバハウジング11の内壁に向かって径方向外側に移動させられる。分離チャンバハウジング11の後ろ側に位置する外側フィルタ清浄側シール22に組み込まれた粉塵捕捉トレイ27によって、粉塵は捕捉される。粉塵は、その後、圧力を受けて、分離チャンバハウジング11の端部に成形された粉塵排出スロット延在部12と並んだ粉塵排出トレイ27上の粉塵排出スロット72の外へと向けられて、図62に示しているように強制的に排出されて外部環境に戻される。
【0048】
加圧された求心的に回転する空気は、第2の軸方向側端部に向かって分離チャンバハウジング11の下方へと直線的に(軸方向に)押圧されるため、図62に示している径方向内側の空気流Bは、ほとんどの粉塵が取り除かれた、外側フィルタアセンブリ20を取り囲んでいる微粒子の粉塵を含む空気である。この空気流Bは、外側フィルタアセンブリ20を通って入り、外側フィルタアセンブリ20によって濾過(清浄化)されて、清浄な空気流Cとして、長手方向の軸Xに沿って流れ続ける。図62に示すように、濾過された(清浄な)空気流Cは、フィルタアセンブリ20の内側の直線状の流路に沿って、分離チャンバハウジング11の端部の清浄空気排出口8に向かって運ばれる。モータ/ファンアセンブリ9によって生み出されたエネルギーをより効率的に使用して大量の空気を流すことを可能にし、かつ空気濾過装置1を介する向心力を用いた著しい分離効率と圧力とを生じさせる、空気流に対する最小の制限が、この直線方向に向けられた空気流によってもたらされ、限られた空間での適用に際して、さらにより多くの空気の流れを可能にする。そのうえ、分離チャンバハウジング11内の直線状の空気流のパターンが、当該空気流内の乱流を防ぎ、それによって制限を減らし分離効率を向上させる。空気は、外側フィルタアセンブリ20の長さに沿って外側フィルタアセンブリ20内に引き込まれ、空気中に浮遊した回転している粉塵が粉塵捕捉トレイ27へと流れる方向と同じ方向に清浄空気排出口8へと流れる。加圧した空気と、求心性の回転する空気流と、テーパ状分離チャンバハウジング11と、外側エアフィルタアセンブリ20と、粉塵排出スロット72から粉塵を強制的に押し出す粉塵捕捉トレイ27と、を組み合わせることによって、外側エアフィルタアセンブリ20上で蓄積する粉塵を、分離チャンバハウジング11内の加圧した求心性の回転する空気によって取り除くことができる。上記特徴によって、空気濾過措置1は、エンジンの、または空気濾過装置1を設置したその他の機器の、空気流に対する多様な要求を満たすことができる。
【0049】
より詳細には、利点として、使用中に正の空気圧が空気濾過装置1内で維持される。正圧は、粉塵を径方向外側へと押し出すことにより外側フィルタアセンブリ20での粉塵の蓄積を最小にすることを確かなものとするように向心力を空気流に作用させながら、モータ/ファンアセンブリ9から清浄空気排出口8へと空気流を積極的に押圧する圧力として理解され得る。正圧は、空気濾過装置第1内の空気分子を圧縮するモータ/ファンアセンブリ9によって生成される。分離チャンバハウジング11内の空気分子を圧縮するモータ/ファンアセンブリ9によって生成された正圧によって、空気がフィルタを通って下流へと流れて粉塵排出スロット延在部12から出るようにさせる。この正圧により、粉塵排出スロット延在部12が空気流入口となるのを防ぐ。つまり、モータ/ファンアセンブリ9を駆動して、粉塵排出スロット延在部12を通って外側の空気や粉塵が流入することなく、清浄空気排出口8を通る空気流の最大定格量で、粉塵排出スロット延在部12で空気の排出が達成されるのに十分強力な空気流を生成する。
【0050】
テーパ状分離チャンバハウジング11は、空気流路の周長を減らすことにより、求心性の回転する空気流を分離チャンバハウジング11内で清浄空気排出口8に向かって加速させる。空気流が、ファンブレード44によって生成された圧力下で、また羽根51によって生成された向心加速度を受けて分離チャンバハウジング11に流入すると、空気中の粉塵は、向心力によって径方向外側に向かって押圧される。空気濾過装置1を通る空気流は直線的な流れのため、回転する空気流は、粉塵分離チャンバ34の中心部(図8参照)内の外側フィルタ材35に流入して清浄空気排出口8に向かって流れ、その結果、空気流は、外側フィルタ材35を通り過ぎると、直線的な流れにされる。分離チャンバハウジング11は清浄空気排出口8に向かって内側に先細り、それによって、分離チャンバハウジング11の内壁の周りを回転する分離した粉塵が、加速して分離チャンバハウジング11の第2の軸方向側端部へ流れ続けることを可能にする。分離した粉塵は、回転して粉塵捕捉トレイ27の中へと入り、ファンブレード44によって生成される正圧の空気流圧よって、分離チャンバハウジング11の空気出口端部に組み入れられた粉塵排出スロット延在部12の少なくとも1つと並んでいて外側フィルタ清浄側シール22に統合された粉塵排出スロット72から押し出される。外側フィルタ材35に流入する空気流は、外側フィルタ材35を通って内向きに流れると濾過されて、分離チャンバハウジング11の中心へと直線方向に移動して、設置されている機器(または機器にも設置されていなければ、外部環境)へと清浄空気として清浄空気排出口8を通って流出する。
【0051】
したがって、動作中は、電線46を介してファンモータ45に電力が供給されて、粉塵を含む空気がファンブレード44によって空気濾過装置1の中に引き込まれる。粉塵を含む空気は、モータ/ファンアセンブリ9を通って回転して羽根アセンブリ10へと流れる。羽根アセンブリ10の中心に接触する空気はすべて、空気流ダイバータ50によって羽根51へと誘導される。上記空気は、接触して羽根51の間を通ると、加速されて渦を形成する。分離チャンバハウジング11の外壁は、分離チャンバハウジング11の背面に向かって(第2の軸方向側端部に向かって)内側に先細りしている。これにより、分離チャンバハウジング11の外壁は、羽根51の径方向の配置から加速されて分離チャンバハウジング11内を通過する空気の遠心分離速度を維持するために、分離チャンバハウジング11の背面のスペースを減少させ、粉塵を含んだ空気を回転させて遠心分離し、粒子状の粉塵を分離チャンバハウジング11の外壁に押し付ける。残りの空気を、外側フィルタアセンブリ20に通過させて外側フィルタ材35により清浄化する。それと同時に、粉塵分離チャンバ34の中で空気から除去された粉塵は、粉塵捕捉トレイ27へと流れて、粉塵排出スロット72を介して圧力下で強制的に排出されるまでは粉塵捕捉トレイ27内で回転する。粉塵排出スロット72は、粉塵排出スロット延在部12のうちの1つと並んでいるため、粉塵はそれぞれの粉塵排出スロット延在部12を介して排出されて外部環境へと戻される。一方で、清浄な空気のみが外側フィルタアセンブリ20の中心を通って、さらに外側フィルタ清浄側シール22を通り、最終的に清浄空気出口8から流出する。
【0052】
(9)有益な効果
上記したように、本開示の空気濾過装置1および空気濾過方法の特徴は、様々な利点を有している。空気濾過装置1内の長手方向X軸に沿う空気流の直線方向により、空気流に関する制限を著しく減らし、正圧で加圧された空気をより多く清浄空気排出口8から押し出すことを可能にすると同時に、空気から取り除かれた粉塵を粉塵排出スロット72およびそれと並んだ粉塵排出スロット延在部12を介して強制的に排除して外部環境へと戻す。この直線方向の空気流により空気流に対する最小の制限がもたらされ、向心力を利用した著しい分離効率と圧力とをコンパクトサイズの空気濾過装置1を介してもたらしながら、モータ/ファンアセンブリ9により生成されたエネルギーを、当該空気濾過装置が取り付けられた機器に大量の空気を流すようにより効率的に使用することが可能になり、それによって、限られたスペースでの用途の際にはるかにより多くの空気を流すことができる。さらに、テーパ状分離チャンバハウジング11内の空気の真っ直ぐな流れのパターンにより、空気流内の乱流を防ぎ、それによって、空気流に対する制限を減らし分離効率を向上させる。空気は、外側フィルタアセンブリ20の長さに沿って外側フィルタアセンブリ20内へと引き入れられ、空気中の回転する粉塵が粉塵捕捉トレイ27へと流れるのと同じ方向に清浄空気排出口8へと流れる。
【0053】
さらに、分離チャンバハウジング11のテーパ状構造により、空気が第2の軸方向側端部に向かって動くので空気流路を減らし、向心力を利用した回転する加圧された空気を分離チャンバハウジング11内で清浄空気出口8に向かって加速させる。同時に、上記のテーパ状構造により、加圧された空気の遠心分離速度が維持されて、粉塵を含む空気を回転させて粒子状の粉塵を遠心分離して、分離チャンバハウジング11の内壁および粉塵捕捉トレイ27へと粒子状の粉塵を押圧して、粉塵排出スロット72およびそれと並んだ粉塵排出スロット延在部12を介して外部環境に排出する。
【0054】
本開示の空気濾過装置1の別の利点は、位置合わせピン38を設けていることである。位置合わせピン38はハンドル30を通って空気流ダイバータ50から延びているため、利点として、空気流パワーヘッドアセンブリ109と外側フィルタアセンブリ20とを適切に並ばせることを、位置合わせピン38によって確かなものとする。外側フィルタアセンブリ20を分離チャンバハウジング11の中心に位置させることを、位置合わせピン38によって確かなものとする。
【0055】
本開示の空気濾過装置1のさらに別の利点は、粉塵捕捉トレイ27を設けていることである。粉塵捕捉トレイ27は、外側フィルタ清浄側シール22に含まれて(埋め込まれて)おり、(軸方向に面する壁78と内周壁79とによって形成される)空間を設けることによって粉塵の除去を促進し、当該空間では、粉塵が粉塵排出スロット72を通って排出される前に回転する。外側フィルタアセンブリ20の回転位置に応じて、粉塵排出スロット72を粉塵排出スロット延在部12のいずれかと並ばせることができる。フィルタ位置合わせ隆起部26とフィルタ位置合わせ溝25とを係合させて配置することにより、利点として、外側フィルタアセンブリ20の回転位置にかかわらず、粉塵排出スロット72を粉塵排出スロット延在部12の1つと確実に並ばせることを確かなものとする安全特性が得られる。換言すれば、粉塵排出スロット72が粉塵排出スロット延在部12の1つと並んでいない状態で外側フィルタアセンブリ20が分離チャンバハウジング11に設置されるのを、フィルタ位置合わせ隆起部26とフィルタ位置合わせ溝25との上記係合配置によって防ぐ。
【0056】
さらに、粉塵排出スロット72および粉塵排出スロット延在部12を設けているために、空気濾過装置1は、空気に浮遊していた分離した粉塵を除去するためにエアフィルタ交換から次のエアフィルタ交換までの間にメンテナンスを必要としないセルフクリーニング装置である。代わりに、詳細に上記したように、空気濾過装置1内で生成された加圧された求心的に回転する空気が、粉塵排出スロット延在部12を介した粉塵の除去を確かなものとする。また、粉塵は、粉塵捕捉トレイ27の中に捕捉されるため、フィルタのメンテナンス中に空気濾過装置1から外部へ出ることはない。粉塵捕捉トレイ27によっても、外側フィルタアセンブリ20を取り外すときに粉塵が清浄空気排出口8に入ることが防止される。
【0057】
さらに、随意のFID(フィルタ特定)読取部空気出口側アダプタ83とフィルタ特定リング(FIR)92を設けることにより、フィルタ情報および性能データを自動的にやりとりすることができる。これによって、機械のオペレーターは、たとえば、フィルタ部品数、性能特性、および作動中のフィルタ作動時間を知ることができる。FIR92は、フィルタの寿命までに集められたデータを格納することができる。清浄空気側の分離チャンバハウジング11の取り付け面63にFID読取部空気出口側アダプタ83を取り付けることによって、清浄空気側の外側フィルタ清浄側シール22に埋め込まれたFIR92の効率的な読取が可能となる。
【0058】
さらに、清浄空気排出口8の内周面に設けられた真空/圧力ポート13は、利点として、清浄空気排出口8での空気流の圧力を検知して読み取るための随意の機械式または電気式圧力/真空センサを受容するように構成されている。これによって、圧力をモニターして空気濾過装置1を通る空気の流れを必要に応じて変えることを容易にし、また、外側フィルタアセンブリ20によって引き起こされる空気流への制限を長期にわたってモニターすることも同様に容易にする。
【0059】
空気濾過装置1は、利点として、随意の様々な適応可能な付加的要素の取り付けも可能である。分離チャンバハウジング11の取り付け面63は、排出ポートアダプタ64、FID(フィルタ特定)読取部空気出口側アダプタ83、および排出スロットシーリングキャップアダプタ93のうちの1つを収容するように構成されている。これらのアダプタは各々、様々な利点をもたらし、上記したように、これらのアダプタはすべて、容易に分離チャンバハウジング11に取り付けられ、容易に分離チャンバハウジング11から取り外される。排出ポートアダプタ64は、利点として、テーパ状分離チャンバハウジング11の空気排出口側に嵌合され、それによって、粉塵排出スロット延在部12を、車両でのボンネットの下の設置のための丸みを帯びた管状の排出ポートに交換することができる。分離チャンバハウジング11がセルフクリーニング機能を持たずに使用される場合には、排出スロットシーリングキャップアダプタ93は、利点として、粉塵排出スロット延在部12をシールする。
【0060】
本開示の空気濾過装置1のさらに別の利点は、随意の粉塵スクリーン100を設けていることである。粉塵スクリーン100は、利点として、空気濾過装置1内に通すにはあまりにも大きすぎる空気中の粉塵が入るのを防ぐ。これは、埋め立て作業、農業、木材の切り出し、および空気中に浮遊する大きな粉塵が高い濃度で存在する環境を呈するその他の分野で特に有用である。
【0061】
さらに、レインキャップ2と、モータ/ファンアセンブリ9と、羽根(ルーバー)アセンブリ10とを含む取り外し可能な空気流パワーヘッドアセンブリ109によって、様々な機械や設備への適用が可能である。たとえば、レインキャップ2は、随意の要素であり、同じ締結部3を用いてモータ/ファンアセンブリ9と羽根アセンブリ10とに容易に取り付けられる。
【0062】
また、本開示のコンパクトな空気濾過装置1は、同等の空気流が流れる比較対象の空気濾過プリクリーニング装置よりも、その物理的な大きさは著しく小さく、重量も著しく軽い。複数の取り付けボス6と複数の粉塵排出スロット延在部12とを設けているために、点検修理やメンテナンスが可能な方向にも空気濾過装置1を取り付けることもできる。したがって、空気濾過装置1は、アフターサービス業の設置者はもちろん、当該濾過装置を何らかの機器に統合する相手先ブランド名製造企業(original eqipment manufactuer:OEM)の設計者に、取り付けに関して最大の柔軟性を与えるものである。
【0063】
さらに、分離チャンバハウジング11の複数の取り付けタブ16を受容するように配置された羽根アセンブリ10の複数のロッキングスロット17を設けることにより、利点として、分離チャンバハウジング11と空気流パワーヘッドアセンブリ109との間のロック-ツイスト係合の簡単な構造がもたらされる。同様に、これによって、エアフィルタカートリッジを素早く効率的に交換することが可能である。
【0064】
さらに、粉塵捕捉トレイ27は、分離チャンバハウジング11の端部に位置する複数の粉塵排出スロット延在部12のうちのいずれを粉塵排出スロット72と並ばせるかを選択するために、分離チャンバハウジング11の内側で4つのフィルタ位置合わせ溝25と係合する4つの位置合わせ隆起部26を使用する粉塵排出スロット72を有している。これによって、外側フィルタアセンブリ20が設けられる位置にかかわらず、空気中の粉塵を分離チャンバハウジング11から排出することが確かなものとなる。
【0065】
さらに、分離チャンバハウジング11は、長手方向軸Xの方向に沿って空気流入口57から清浄空気排出口8へと延びて先細っている。この構造によって、空気が直線方向に分離チャンバハウジング11を通って外側フィルタアセンブリ20の中へ流れることを可能にする。この空気流のパターンが乱流を減らし、コンパクトな空気濾過装置1を通る空気の流量を最大にする。この空気流のパターンが、空気濾過装置1内での空気流に対する制限も減らし、清浄空気排出口8から、空気濾過措置1が設置されているエンジンあるいは機器の中へと、より多くの空気を押し出すことが可能となる。
【0066】
本発明の実施形態を上記したが、上記実施形態は本発明の単なる例にすぎず、本発明は、詳細に記載した上記実施形態には限定されないことが留意されるべきである。本明細書に記載した実施形態に対する種々の変更や改変は、当業者にとって明白であることが理解されるべきである。本開示の要旨と範囲から逸脱することなく、またその意図した利点を損なうことなくそのような変更や改変を行うことができる。したがって、本開示の範囲はそのような変更や改変に及ぶことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図19
図20
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図28
図29
図30
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図38
図39
図40
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図46
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図48A
図48B
図49
図50A
図50B
図51
図52A
図52B
図53A
図53B
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
図62
【手続補正書】
【提出日】2022-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアフィルタアセンブリであって、
フィルタ材と、
前記フィルタ材の第1の端部に固定された端部閉じキャップと、
前記フィルタ材における反対側の第2の端部に固定されたシール部材と、
前記フィルタ材の前記第1の端部と前記第2の端部との間の中央部に対応する位置で固定されたスクリーンアセンブリと、
周囲の環境に粉塵を排出するための粉塵排出スロットを有する粉塵捕捉トレイと、
を備えるエアフィルタアセンブリ。
【請求項2】
前記粉塵捕捉トレイは、前記フィルタ材の前記第2の端部に配置されている、
請求項1に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項3】
前記粉塵捕捉トレイは、前記粉塵捕捉トレイ上に周方向に間隔をあけて設けられた複数の支持タブを含み、
前記支持タブは、前記エアフィルタアセンブリの中心を通る中心軸に対して半径方向に前記フィルタ材と前記スクリーンアセンブリとを越えて放射状に内側に向かって突出した状態で、前記フィルタ材と前記スクリーンアセンブリとを支持するように配置されている、
請求項1に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項4】
前記エアフィルタアセンブリは、前記シール部材に埋め込まれたフィルタ特定装置を更に備え、
前記フィルタ特定装置は、環状のアンテナを含み、かつ前記エアフィルタアセンブリに関するデータを格納しかつ送信するように構成されている、
請求項1に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項5】
前記粉塵捕捉トレイは、前記粉塵捕捉トレイ上に周方向に間隔をあけて設けられた複数の支持タブを含み、
前記支持タブは、前記エアフィルタアセンブリの中心を通る中心軸に対して半径方向に前記フィルタ材と、前記スクリーンアセンブリと、前記フィルタ特定装置とを越えて放射状に内側に向かって突出した状態で、前記フィルタ材と、前記スクリーンアセンブリと、前記フィルタ特定装置とを支持するように配置されている、
請求項4に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項6】
前記粉塵捕捉トレイは、前記粉塵捕捉トレイの外周面上に設けられた複数のフィルタ位置合わせ隆起部を含む、
請求項1に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項7】
前記粉塵排出スロットは、前記複数のフィルタ位置合わせ隆起部のうちの1つに隣接して配置されている、
請求項6に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項8】
前記フィルタ位置合わせ隆起部は、前記粉塵捕捉トレイの前記外周面の周りに90°の間隔で配置されている、
請求項6に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項9】
前記複数のフィルタ位置合わせ隆起部は、4つのフィルタ位置合わせ隆起部からなる、
請求項6に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項10】
前記粉塵捕捉トレイは、前記シール部材と一体的に形成されている、
請求項1に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項11】
前記粉塵捕捉トレイは、前記支持タブが前記シール部材に埋め込まれるように、前記シール部材と一体的に形成されている、
請求項3に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項12】
前記粉塵捕捉トレイは、前記支持タブが前記シール部材に埋め込まれるように、前記シール部材と一体的に形成されている、
請求項5に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項13】
前記スクリーンアセンブリは、外側スクリーンを含み、
前記外側スクリーンは、前記フィルタ材の外面の周りに配置されている、
請求項1に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項14】
前記スクリーンアセンブリは、内側スクリーンと外側スクリーンとを含み、
前記内側スクリーンは、前記フィルタ材の内部に配置され、前記外側スクリーンは、前記フィルタ材の外面の周りに配置されている、
請求項1に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項15】
前記外側スクリーンは、第1の外側スクリーン半体と第2の外側スクリーン半体とを有し、
前記第1および第2の外側スクリーン半体は、ラッチ機構によってあわせて固定されている、
請求項13に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項16】
前記ラッチ機構は、複数の突起と、前記第1の外側半体と前記第2の外側半体とをあわせて固定するために前記突起を受容するように構成された複数の受容スロットと、を含む、
請求項15に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項17】
前記端部閉じキャップは、前記フィルタ材から離れる方を向く前記端部閉じキャップの面から突出するハンドルを含み、
第1の位置合わせ孔が、前記ハンドルに形成されている、
請求項1に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項18】
前記シール部材は、ウレタンで構成され、
前記粉塵捕捉トレイは、前記シール部材に埋め込まれている、
請求項1に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項19】
前記フィルタ材の前記第2の端部は、前記シール部材に埋め込まれている、
請求項1に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項20】
前記端部閉じキャップは、接着剤で前記フィルタ材の前記第1の端部に固定されている、
請求項1に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項21】
前記スクリーンアセンブリは、プラスチックで構成されている、
請求項1に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項22】
前記粉塵排出スロットは、(i)前記スクリーンアセンブリに面する前記粉塵捕捉トレイの内周面と、(ii)前記粉塵排出トレイの外周面と、の間で延在する、
請求項1に記載のエアフィルタアセンブリ。
【請求項23】
前記内側スクリーンの内部に配置された別のフィルタ材をさらに備える、
請求項14に記載のエアフィルタアセンブリ。
【外国語明細書】