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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048455
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】粒径計測装置及び粒径計測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/02 20060101AFI20230331BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230331BHJP
   G06T 7/62 20170101ALI20230331BHJP
   G01N 33/24 20060101ALI20230331BHJP
   G01B 11/08 20060101ALI20230331BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
G01N15/02 B
G06T7/00 350C
G06T7/62
G01N33/24 C
G01B11/08 H
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157775
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000150110
【氏名又は名称】株式会社竹中土木
(71)【出願人】
【識別番号】506359532
【氏名又は名称】地球観測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】椎葉 偉久
(72)【発明者】
【氏名】白井 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 行茂
(72)【発明者】
【氏名】福田 芳雄
【テーマコード(参考)】
2F065
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA26
2F065BB07
2F065DD03
2F065FF04
2F065HH07
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065QQ17
2F065QQ31
5L096AA09
5L096BA08
5L096BA18
5L096CA02
5L096CA17
5L096DA01
5L096FA02
5L096FA64
5L096FA66
5L096GA34
5L096HA11
5L096JA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】粒状材料の粒径を精度よく計測することを目的とする。
【解決手段】深さ画像取得部26が、前記粒状材料の集積物の表面を表す画像であって、各画素が、奥行き値である深さ画像を取得する。そして、検出部30が、前記深さ画像の各部分画像を入力とし、前記部分画像が粒状材料を表すか否かを判定する予め学習されたニューラルネットワークモデルを用いて、前記深さ画像から前記粒状材料を検出する。計測部34が、前記粒状材料の検出結果から、前記粒状材料の粒径を計測する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状材料の集積物から当該粒状材料の粒径を計測する粒径計測装置であって、
前記粒状材料の集積物の表面を表す画像であって、各画素が、奥行き値である深さ画像を取得する取得部と、
前記深さ画像の各部分画像を入力とし、前記部分画像が粒状材料を表すか否かを判定する予め学習されたニューラルネットワークモデルを用いて、前記深さ画像から前記粒状材料を検出する検出部と、
前記粒状材料の検出結果から、前記粒状材料の粒径を計測する計測部と、
を含む粒径計測装置。
【請求項2】
前記粒状材料の集積物の表面を表す3次元点群を取得する点群取得部と、
前記取得した前記3次元点群を、前記3次元点群が表す表面を近似する平面と、3次元点群の計測面とが対応するように補正する前処理部と、を更に含み、
前記取得部は、前記補正された前記3次元点群から、前記深さ画像を取得する請求項1記載の粒径計測装置。
【請求項3】
前記粒状材料は、礫である請求項1又は2記載の粒径計測装置。
【請求項4】
前記粒状材料の検出結果から、前記粒状材料の形状を推定する形状推定部を更に含み、
前記計測部は、前記推定された前記粒状材料の形状から、前記粒状材料の粒径を計測する請求項1~請求項3の何れか1項記載の粒径計測装置。
【請求項5】
前記計測部は、前記推定された前記粒状材料の形状から求められる面積、短径、又は長径に基づいて、前記粒状材料の粒径を計測する請求項4記載の粒径計測装置。
【請求項6】
粒状材料の集積物から当該粒状材料の粒径を計測する粒径計測プログラムであって、
コンピュータを、
前記粒状材料の集積物の表面を表す画像であって、各画素が、奥行き値である深さ画像を取得する取得部、
前記深さ画像の各部分画像を入力とし、前記部分画像が粒状材料を表すか否かを判定する予め学習されたニューラルネットワークモデルを用いて、前記深さ画像から前記粒状材料を検出する検出部、及び
前記粒状材料の検出結果から、前記粒状材料の粒径を計測する計測部
として機能させるための粒径計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒径計測装置及び粒径計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、三次元計測により計測される三次元計測結果と、これにより生成される256階調の深さ画像を対象とし、粒径計測を目的として開発された二次元画像処理を応用した粒径検出アルゴリズムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6281014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術の粒径計測アルゴリズムには、重なり合う礫の検出ができない、礫以外の異物の検出ができない、三次元計測の計測点が一定以上でなければ粒径検出処理を行うことができない、などの問題点がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮して、粒状材料の粒径を精度よく計測することができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る粒径計測装置は、粒状材料の集積物から当該粒状材料の粒径を計測する粒径計測装置であって、前記粒状材料の集積物の表面を表す画像であって、各画素が、奥行き値である深さ画像を取得する取得部と、前記深さ画像の各部分画像を入力とし、前記部分画像が粒状材料を表すか否かを判定する予め学習されたニューラルネットワークモデルを用いて、前記深さ画像から前記粒状材料を検出する検出部と、前記粒状材料の検出結果から、前記粒状材料の粒径を計測する計測部と、を含んで構成されている。
【0007】
本発明に係る粒径計測装置によれば、取得部が、前記粒状材料の集積物の表面を表す画像であって、各画素が、奥行き値である深さ画像を取得する。そして、検出部が、前記深さ画像の各部分画像を入力とし、前記部分画像が粒状材料を表すか否かを判定する予め学習されたニューラルネットワークモデルを用いて、前記深さ画像から前記粒状材料を検出する。計測部が、前記粒状材料の検出結果から、前記粒状材料の粒径を計測する。
【0008】
このように、前記粒状材料の集積物の表面を表す深さ画像から、ニューラルネットワークモデルを用いて、粒状材料を検出し、粒状材料の粒径を計測することにより、粒状材料の粒径を精度よく計測することができる。
【0009】
本発明に係る粒径計測装置は、前記粒状材料の集積物の表面を表す3次元点群を取得する点群取得部と、前記取得した前記3次元点群を、前記3次元点群が表す表面を近似する平面と、3次元点群の計測面とが対応するように補正する前処理部と、を更に含み、前記取得部は、前記補正された前記3次元点群から、前記深さ画像を取得する。
【0010】
本発明に係る前記粒状材料は、礫である。
【0011】
本発明に係る粒径計測装置は、前記粒状材料の検出結果から、前記粒状材料の形状を推定する形状推定部を更に含み、前記計測部は、前記推定された前記粒状材料の形状から、前記粒状材料の粒径を計測する。
【0012】
本発明に係る前記計測部は、前記推定された前記粒状材料の形状から求められる面積、短径、又は長径に基づいて、前記粒状材料の粒径を計測する。
【0013】
本発明に係る粒径計測プログラムは、粒状材料の集積物から当該粒状材料の粒径を計測する粒径計測プログラムであって、コンピュータを、前記粒状材料の集積物の表面を表す画像であって、各画素が、奥行き値である深さ画像を取得する取得部、前記深さ画像の各部分画像を入力とし、前記部分画像が粒状材料を表すか否かを判定する予め学習されたニューラルネットワークモデルを用いて、前記深さ画像から前記粒状材料を検出する検出部、及び前記粒状材料の検出結果から、前記粒状材料の粒径を計測する計測部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の粒径計測装置及び粒径計測プログラムによれば、前記粒状材料の集積物の表面を表す深さ画像から、ニューラルネットワークモデルを用いて、粒状材料を検出し、粒状材料の粒径を計測することにより、粒状材料の粒径を精度よく計測することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る粒径計測装置及び学習装置を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る粒径計測装置を示す機能ブロック図である。
図3】カメラのセンサー平面と、計測対象面とで角度のずれが生じている例を示す図である。
図4】礫一つ一つの距離分解能が異なる例を示す図である。
図5】(A)カメラセンサー平面と、三次元計測結果として得られる点群に対し近似する三次元平面との角度がずれている例を示す図、及び(B)点群に対し近似する三次元平面と、カメラのセンサー平面とが平行となるように三次元点群を変換した例を示す図である。
図6】変換された三次元点群の例、及び礫一つ一つの距離分解能が最適なものに調節された例を示す図である。
図7】(A)前処理前の3次元点群の計測結果の例を示す図、及び(B)前処理後の3次元点群の計測結果の例を示す図である。
図8】粒状材料の粒径の算出方法を説明するための図である。
図9】粒状材料の粒径の算出方法を説明するための図である。
図10】本発明の実施の形態に係る学習装置を示す機能ブロック図である。
図11】本発明の実施の形態に係る粒径計測装置の粒径計測処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
図12】従来技術の手法を用いた実験結果を示す図である。
図13】本実施の形態の手法を用いた実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
<本発明の実施の形態の原理>
本発明の実施の形態では、ニューラルネットワークによる物体検出処理を利用した粒径計測処理を行う。
【0018】
礫の検出には、ニューラルネットワークによる物体検出技術(例えばYOLO(You Only Look Once)、Fast R-CNN(Regions with Convolutional Neural Networks)、SSD(Single Shot Multibox Detector))を応用し、その深さ画像上における礫を表す矩形領域の検出を行い、更に検出された矩形領域の中から二次元画像処理を適応することにより、より詳細な礫形状の推定を行う。
【0019】
ニューラルネットワークによる物体検出対象とするデータを、三次元計測後の二次元深さ画像とし、これにより礫表面の不規則な模様など、礫形状と関係のない情報を無視することが可能となり、純粋に礫形状のみを考慮したモデルの作成が可能となり、限られた学習用データの利用であっても、高い物体検出精度を実現可能となる。学習用データには、礫の多少は限定せず限られたデータを用いる。
【0020】
<本発明の実施の形態の粒径計測装置の構成>
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る粒径計測装置100は、CPU(Central Processing Unit)12、グラフィックカード13、GPU(Graphics Processing Unit)14、RAM(Random Access Memory)16、HDD(Hard Disk Drive)18、通信インタフェース(I/F)21、及びこれらを相互に接続するためのバス23を備えている。
【0021】
CPU12、GPU14は、各種プログラムを実行する。RAM16は、CPU12による各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられる。記録媒体としてのHDD18には、後述する粒径計測処理ルーチンを実行するためのプログラムを含む各種プログラムや各種データが記憶されている。
【0022】
本実施の形態における粒径計測装置100を、粒径計測処理ルーチンを実行するためのプログラムに沿って、機能ブロックで表すと、図2に示すようになる。粒径計測装置100は、入力部10、演算部20、及び出力部50を備えている。
【0023】
入力部10は、粒状材料の集積物の三次元計測を行うためのデータを入力として受け付ける。
【0024】
具体的には、粒状材料は、礫であり、例えば、掘削ズリ(トンネル掘削ズリ)を対象とする。粒状材料の集積物の集積場所は問わないが、一例として、盛土工区へ運搬するためのダンプカー(運搬車両)の荷台を想定している。
【0025】
また、本実施の形態では、三次元計測を実現する手段として、図3に示したように、プロジェクター(コンパクト・プロジェクター)とCCDカメラを1台ずつ用いて行う空間コード化法を採用する。この空間コード化法は、計測現場の環境光の変化に強く、しかもシステム全体を低コストかつコンパクトに抑えられる利点がある。
【0026】
プロジェクターとCCDカメラは、それぞれケーブルを介して粒径計測装置100に接続される。粒径計測装置100によりプロジェクターとCCDカメラの制御が行われ、撮影対象表面の三次元計測を行うことが可能となる。
【0027】
プロジェクターによるパターン投影と、CCDカメラによる画像キャプチャー動作は、粒径計測装置100により同期コントロールされ、撮影時間は短時間(数秒~5秒程度)に抑えることができる。
【0028】
演算部20は、点群取得部22、前処理部24、深さ画像取得部26、学習済みモデル記憶部28、検出部30、形状推定部32、及び計測部34を備えている。
【0029】
点群取得部22は、入力部10に入力されたデータから、粒状材料の集積物の表面を表す3次元点群を取得する。
【0030】
具体的には、プロジェクターとCCDカメラのデータを基に空間コード化法により、それぞれのピクセルのカメラ座標系における三次元計測(三次元座標値の算出)を行い、3次元点群を取得する。
【0031】
より具体的に説明すると、空間コード化法は、プロジェクターにより計測対象に複数のスリットを投影し、同時にCCDカメラで対象の撮影を行い、これらの撮影画像を利用して撮影空間上にコードを割り振り、これを利用して三次元計測を行う手法である。この手法は、一般的に確立された三次元計測手法であるため、その原理等の説明は割愛するが、撮影時にプロジェクターから投影されるパターンの各サンプルを組み合わせ、空間コードの割り振りを行い、プロジェクター座標系、カメラ座標系と、測定対象間の三角測量により、撮影された画像上のそれぞれのピクセルにおける三次元位置を計測するのである。
【0032】
前処理部24は、取得した3次元点群を、3次元点群が表す表面を近似する平面と、3次元点群の計測面とが対応するように補正する。
【0033】
ここで、前処理部24の原理について説明する。粒径計測処理における三次元計測過程において、粒径計測装置100のハードウェア設置上のずれや、計測対象面の状況により、粒状材料の集積物の計測対象平面とCCDカメラのセンサー平面に角度のずれが生じる。例えば、図3に示すように、CCDカメラのセンサー平面と、計測対象面とで角度のずれが生じる。なお、この角度のずれは、本来は三次元的な角度のずれとなるが、図3中では二次元で表示している。この、三次元計測結果として生じる角度差は、後に続く、粒径計測処理過程において行われる深さ画像作成時に、測定距離の最大値と最小値の間で256階調に正規化が行われる際に、計測される礫一つ一つの距離分解能が低下する原因となる(図4)。図4では、上部の破線上に存在する礫一つ一つの距離分解能が異なる例を示している。
【0034】
この問題により、二次元画像処理として行われる粒径計測アルゴリズム適応時に、その検出率と検出粒径の両面における精度の低下が引き起こされる。
【0035】
以上の問題点を解決するために、本実施の形態では、自動傾き補正処理機能を有する前処理を行う。この前処理では、まず三次元計測結果として得られる点群に対し近似する三次元平面の生成を行う(図5(A)参照)。図5(A)では、カメラセンサー平面と、三次元計測結果として得られる点群に対し近似する三次元平面との角度がずれている例を示している。なお、この角度のずれは、本来は三次元的な角度のずれとなるが、図5中では二次元で表示している。
【0036】
次にこの推定された三次元平面と、CCDカメラのセンサー平面とが平行となるような座標変換行列を算出し、この座標変換行列を全ての測定点に対して適応する(図5(B)参照)。図5(B)では、点群に対し近似する三次元平面と、CCDカメラのセンサー平面とが平行となるように三次元点群を変換した例を示している。
【0037】
これにより、測定対象面と、CCDカメラのセンサー面の角度が最適なものに調節され、256階調の深さ画像生成時に最適な距離の解像度を保った状態で深さ画像への変換を行うことが可能となる(図6参照)。図6の上部には、変換された三次元点群の例を示し、図6の下部には、上部の破線上に存在する礫一つ一つの距離分解能が最適なものに調節された例を示している。
【0038】
図7(A)に、前処理を行わずに得られる深さ画像の例を示し、図7(B)に、前処理を行った後に得られる深さ画像の例を示す。このように、前処理を行うことにより、深さ画像において適正に深さが表示されることが確認できる。
【0039】
深さ画像取得部26は、前処理部24によって補正された3次元点群から、深さ画像を取得する。具体的には、前処理部24によって補正された3次元点群を、粒状材料の集積物の表面を表す画像であって、各画素が、奥行き値である深さ画像に変換する。
【0040】
学習済みモデル記憶部28は、深さ画像の各部分画像を入力とし、部分画像が粒状材料を表すか否かを判定する予め学習されたニューラルネットワークモデルである学習済みモデルを記憶している。この学習済みモデルは、後述する学習装置150により予め学習されたものである。
【0041】
検出部30は、予め学習されたニューラルネットワークモデルを用いて、深さ画像取得部26によって取得された深さ画像から粒状材料の各々を検出する。例えば、深さ画像上に、バウンディングボックスである矩形領域を走査しながら、当該矩形領域の部分画像をニューラルネットワークモデルに入力し、ニューラルネットワークの出力を取得し、ニューラルネットワークの出力が、粒状材料であることを示す矩形領域の各々を、粒状材料を表す矩形領域として検出する。
【0042】
次に、粒状材料の粒径を計測する原理について説明する。
【0043】
従来技術では、粒状材料を円で近似して粒径を計測しているが、本実施の形態では、曲線を用いて、検出された矩形領域内での粒状材料の形状をより正確に計測する。
【0044】
ここで、粒径の考え方について説明する。
【0045】
標準フルイを用いた粒度試験から得られた粒径分布がほぼ同じであっても、(1)土粒子形状の違いにより、締固め時の最大乾燥密度が異なる。また、(2)粒子形状の違いにより粒状材料の粒径計測方法による土粒子径の推定値も異なる。
【0046】
上記(2)に関しては、例えば、表面がギザギザのラグビーボールのような土粒子の形状を3次元的に正しく測定できれば、どの部分の直径を、工学的な(即ち、粒度試験で測定される)粒子径と判断するか、定めることが可能となる。そのことにより、従来のふるい分け試験と同様な考えができより正確な粒径判定が可能となる。
【0047】
そこで、本実施の形態では、形状推定部32は、粒状材料の検出結果から、粒状材料の各々の形状を推定する。具体的には、形状推定部32は、曲線を用いて、検出された矩形領域内での粒状材料の形状を推定する。
【0048】
計測部34は、粒状材料の各々について、推定された粒状材料の形状から、粒状材料の粒径を計測し、出力部50により出力する。
【0049】
具体的には、図8に示すように、曲線を用いて推定された粒状材料の形状から、同面積の円に近似させ、以下の式から、粒状材料の粒径を算出する。
d=2×√(T/π)
ただし、dは、直径(粒径)であり、Tは面積である。
【0050】
あるいは、図9に示すように、曲線を用いて推定された粒状材料の形状から、粒状材料の粒径として、短径aと長径bを算出し、短径aと長径bの少なくとも一方を、粒状材料の粒径とする。
【0051】
<本発明の実施の形態の学習装置の構成>
上記図1に示すように、本発明の実施の形態に係る学習装置150は、粒径計測装置100と同様に、CPU12、グラフィックカード13、GPU14、RAM16、HDD18、通信インタフェース21、及びこれらを相互に接続するためのバス23を備えている。
【0052】
本実施の形態における学習装置150は、図10に示すように、入力部110及び演算部120を備えている。
【0053】
入力部110は、粒径計測装置100と同じ手法で得られた深さ画像の部分画像と、当該部分画像が粒状材料であるか否かを示すラベルとを含む複数の学習用データを入力として受け付ける。
【0054】
演算部120は、学習用データ記憶部122と、学習部124と、モデル記憶部126とを備えている。
【0055】
学習用データ記憶部122は、入力された複数の学習用データを記憶している。
【0056】
学習部124は、複数の学習用データに基づいて、深さ画像の部分画像を入力とし、当該部分画像が粒状材料を表すか否かを判定するニューラルネットワークモデルを学習し、学習済みモデルとする。
【0057】
具体的には、ニューラルネットワークモデルに、学習用データの深さ画像の部分画像を入力としたとき、ニューラルネットワークモデルの出力が、ラベルと同一となるように、ニューラルネットワークモデルのパラメータを学習する。
【0058】
モデル記憶部126は、学習部124によって学習されたニューラルネットワークモデルである学習済みモデルを記憶する。
【0059】
<学習装置の動作>
次に、本発明の実施の形態に係る学習装置150の動作について説明する。
【0060】
まず、粒状材料の集積物の三次元計測を行うためのプロジェクターとCCDカメラのデータから、粒状材料の集積物の表面を表す3次元点群を取得し、取得した3次元点群を、3次元点群が表す表面を近似する平面と、3次元点群の計測面とが対応するように補正した上で、深さ画像に変換しておく。そして、深さ画像の各部分画像に対し、予め、当該部分画像が粒状材料を表すか否かを示すラベルを付与し、複数の学習用データを生成する。
【0061】
そして、学習装置150の入力部110が、複数の学習用データを入力として受け付けると、学習用データ記憶部122に、入力された複数の学習用データが記憶される。そして、学習部124は、複数の学習用データに基づいて、ニューラルネットワークモデルのパラメータを学習し、モデル記憶部126に、学習されたニューラルネットワークモデルである学習済みモデルを記憶する。
【0062】
<粒径計測装置の動作>
次に、本発明の実施の形態に係る粒径計測装置100の動作について説明する。
【0063】
まず、学習装置150によって学習された学習済みモデルが、粒径計測装置100の学習済みモデル記憶部28に記憶される。
【0064】
そして、入力部10によって、粒状材料の集積物の三次元計測を行うためのプロジェクターとCCDカメラのデータを、入力として受け付けると、粒径計測装置100によって、図11に示す粒径計測処理ルーチンが実行される。
【0065】
まず、ステップS100において、点群取得部22は、入力部10に入力されたデータから、粒状材料の集積物の表面を表す3次元点群を取得する。
【0066】
そして、ステップS102において、前処理部24は、取得した3次元点群を、3次元点群が表す表面を近似する平面と、3次元点群の計測面とが対応するように補正する前処理を行う。
【0067】
ステップS104において、深さ画像取得部26は、前処理部24によって補正された3次元点群を、深さ画像に変換する。
【0068】
ステップS106において、検出部30は、予め学習されたニューラルネットワークモデルを用いて、深さ画像取得部26によって取得された深さ画像から粒状材料の各々を検出する。
【0069】
ステップS108において、形状推定部32は、粒状材料の検出結果から、粒状材料の各々の形状を推定する。
【0070】
ステップS110において、計測部34は、粒状材料の各々について、推定された粒状材料の形状から、粒状材料の粒径を計測する。
【0071】
ステップS112において、粒状材料の粒径の計測結果を、出力部50により出力し、粒径計測処理ルーチンを終了する。例えば、粒状材料の集積物における粒径分布を、出力部50により出力する。
【0072】
<実施例>
現場にて計測された粒径計測結果(二次元深さ画像)を用い、ニューラルネットワークモデルの学習を行い、礫の検出精度実験を行った。従来技術として、上記特許文献1に記載の手法により、礫の検出を行った結果を図12に示す。また、上記実施の形態の手法により、礫の検出を行った結果を図13に示す。図12では、検出数が115であり、そのうち、誤差が大きいものが10個あり、誤検出のものが20個ある例を示している。一方、図13では、精度よく礫が検出されている。
【0073】
学習用データとして利用した二次元深さ画像の数が限られたものであり、同様に学習時間も限定されたものであったが、上記実施の形態の手法により、十分に礫の検出が可能であることが確認された。
【0074】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る粒径計測装置によれば、粒状材料の集積物の表面を表す深さ画像から、ニューラルネットワークモデルを用いて、粒状材料を検出し、粒状材料の粒径を計測することにより、粒状材料の粒径を精度よく計測することができる。
【0075】
また、誤検出されていた、重なり合う粒状材料(例えば、礫)の検出や隣り合う粒状材料の検出、丸みを帯びた不明瞭な境界を持つ粒状材料の検出が改善され、粒径の計測精度が向上することが期待できる。すなわち、従来方法よりも粒状材料の粒径を正確に計測することが可能となる。
【0076】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0077】
例えば、粒状材料として礫の粒径を計測する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。礫以外の粒状材料の粒径を計測するようにしてもよい。例えば、粒径が75mm~300mm以上の石分の粒径を計測するようにしてもよい。
【0078】
また、上記の実施の形態では、粒状材料の形状を推定してから、粒状材料の粒径を計測する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。粒状材料の検出結果から、粒状材料の形状を推定せずに、粒状材料の粒径を計測するようにしてもよい。例えば、上記特許文献1と同様に、検出された粒状材料を円で近似することにより、粒状材料の粒径を計測するようにしてもよい。
【0079】
また、3次元点群に対して前処理せずに深さ画像に変換するようにしてもよい。
【0080】
また、本発明のプログラムは、記憶媒体に格納して提供するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10、110 入力部
20、120 演算部
22 点群取得部
24 前処理部
26 画像取得部
28 学習済みモデル記憶部
30 検出部
32 形状推定部
34 計測部
50 出力部
100 粒径計測装置
122 学習用データ記憶部
124 学習部
126 モデル記憶部
150 学習装置
図1
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