(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048459
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 301
B41J2/01 109
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157783
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】521469760
【氏名又は名称】アルテミラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 真一
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056FB09
2C056HA44
(57)【要約】
【課題】画像形成手段によって形成される画像毎に、画像に対して照射される光の照射量を異ならせることができるようにする。
【解決手段】マゼンタのインクジェットヘッド11M、黒のインクジェットヘッド11Kに対応して設けられた光源13による紫外光の照射量の方が、シアンのインクジェットヘッド11C、イエローのインクジェットヘッド11Yに対応して設けられた光源13による紫外光の照射量よりも多い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶体への画像の形成を行う複数の画像形成手段と、
前記複数の画像形成手段の各々に対応するように設けられ、当該画像形成手段による画像の形成が行われた缶体に光を照射して当該画像を硬化させる硬化手段と、
を備え、
複数の前記硬化手段に含まれる一の硬化手段が缶体に照射する光の照射量と、複数の当該硬化手段に含まれる他の硬化手段が缶体に照射する光の照射量とが異なる、
画像形成装置。
【請求項2】
前記一の硬化手段が缶体に光を照射する照射時間と、前記他の硬化手段が缶体に光を照射する照射時間とが異なっていることで、当該一の硬化手段が缶体に照射する光の照射量と、当該他の硬化手段が缶体に照射する光の照射量とが異なっている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記一の硬化手段が缶体に光を照射する際の出力と、前記他の硬化手段が缶体に光を照射する際の出力とが異なっていることで、当該一の硬化手段が缶体に照射する光の照射量と、当該他の硬化手段が缶体に照射する光の照射量とが異なっている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の画像形成手段には、文字画像を含む画像を前記缶体に形成する画像形成手段と、文字画像を含まない画像を当該缶体に形成する画像形成手段とが含まれ、
前記文字画像を含む画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による光の照射量の方が、前記文字画像を含まない画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による光の照射量よりも多い請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記文字画像を含む画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による缶体への光の照射の方が、前記文字画像を含まない画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による缶体への光の照射よりも先に行われる請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成手段および当該画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段は、複数組設けられ、各組による処理が順に行われ、
順に行われる缶体への光の照射のうち、前記文字画像を含む画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による光の照射が、最初に行われる請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
缶体に黒色の画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段が缶体に照射する光の照射量の方が、黒以外の色の画像を当該缶体に形成する画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段が缶体に照射する光の照射量よりも多い請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記黒色の画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による缶体への光の照射の方が、前記黒以外の色の画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による缶体への光の照射よりも先に行われる請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成手段および当該画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段は、複数組設けられ、各組による処理が順に行われ、
順に行われる缶体への光の照射のうち、前記黒色の画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による光の照射が、最初に行われる請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記硬化手段の対向位置に缶体が位置していない場合に当該対向位置に位置し、当該硬化手段からの光を遮る遮り部をさらに備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記遮り部は、移動する前記缶体に連動して移動するように設けられ、前記対向位置に当該缶体が位置していない場合に、当該対向位置に位置し、当該対向位置に当該缶体が位置している場合には、当該対向位置から外れた箇所に位置する請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記硬化手段は、前記画像形成手段の対向位置に配置された前記缶体を挟んで当該画像形成手段の設置側と反対側に配置されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記画像形成手段の対向位置に前記缶体が位置していない場合に、当該画像形成手段と前記硬化手段との間に位置し、当該硬化手段から当該画像形成手段へ向かう光を遮る遮り部をさらに備える請求項12に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、白色用インクジェットヘッドによって、缶体の表面に、白色層が形成され、次いで、照射ランプによる紫外線の照射が行われる処理が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
缶体への画像形成にあたり、画像形成手段毎に硬化手段を設け、缶体への画像の形成が行われる度に、この缶体に対して紫外線などの光を照射して、この画像の硬化を行う態様が考えられる。
ここで、硬化手段の各々における光の照射量が同じであると、硬化をさせたくない画像に対する光の照射量が多くなったり、逆に、硬化させたい画像に対する光の照射量が不足したりする事態が生じうる。
本発明の目的は、画像形成手段によって形成される画像毎に、画像に対して照射される光の照射量を異ならせることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される画像形成装置は、缶体への画像の形成を行う複数の画像形成手段と、前記複数の画像形成手段の各々に対応するように設けられ、当該画像形成手段による画像の形成が行われた缶体に光を照射して当該画像を硬化させる硬化手段と、を備え、複数の前記硬化手段に含まれる一の硬化手段が缶体に照射する光の照射量と、複数の当該硬化手段に含まれる他の硬化手段が缶体に照射する光の照射量とが異なる、画像形成装置である。
【0006】
ここで、前記一の硬化手段が缶体に光を照射する照射時間と、前記他の硬化手段が缶体に光を照射する照射時間とが異なっていることで、当該一の硬化手段が缶体に照射する光の照射量と、当該他の硬化手段が缶体に照射する光の照射量とが異なっているようにしてもよい。
また、前記一の硬化手段が缶体に光を照射する際の出力と、前記他の硬化手段が缶体に光を照射する際の出力とが異なっていることで、当該一の硬化手段が缶体に照射する光の照射量と、当該他の硬化手段が缶体に照射する光の照射量とが異なっているようにしてもよい。
また、前記複数の画像形成手段には、文字画像を含む画像を前記缶体に形成する画像形成手段と、文字画像を含まない画像を当該缶体に形成する画像形成手段とが含まれ、前記文字画像を含む画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による光の照射量の方が、前記文字画像を含まない画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による光の照射量よりも多いようにしてもよい。
また、前記文字画像を含む画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による缶体への光の照射の方が、前記文字画像を含まない画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による缶体への光の照射よりも先に行われるようにしてもよい。
また、前記画像形成手段および当該画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段は、複数組設けられ、各組による処理が順に行われ、順に行われる缶体への光の照射のうち、前記文字画像を含む画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による光の照射が、最初に行われるようにしてもよい。
また、缶体に黒色の画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段が缶体に照射する光の照射量の方が、黒以外の色の画像を当該缶体に形成する画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段が缶体に照射する光の照射量よりも多いようにしてもよい。
【0007】
また、前記黒色の画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による缶体への光の照射の方が、前記黒以外の色の画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による缶体への光の照射よりも先に行われるようにしてもよい。
また、前記画像形成手段および当該画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段は、複数組設けられ、各組による処理が順に行われ、順に行われる缶体への光の照射のうち、前記黒色の画像を形成する前記画像形成手段に対応して設けられた前記硬化手段による光の照射が、最初に行われるようにしてもよい。
また、前記硬化手段の対向位置に缶体が位置していない場合に当該対向位置に位置し、当該硬化手段からの光を遮る遮り部をさらに備えるようにしてもよい。
また、前記遮り部は、移動する前記缶体に連動して移動するように設けられ、前記対向位置に当該缶体が位置していない場合に、当該対向位置に位置し、当該対向位置に当該缶体が位置している場合には、当該対向位置から外れた箇所に位置するようにしてもよい。
また、前記硬化手段は、前記画像形成手段の対向位置に配置された前記缶体を挟んで当該画像形成手段の設置側と反対側に配置されているようにしてもよい。
また、前記画像形成手段の対向位置に前記缶体が位置していない場合に、当該画像形成手段と前記硬化手段との間に位置し、当該硬化手段から当該画像形成手段へ向かう光を遮る遮り部をさらに備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成手段によって形成される画像毎に、画像に対して照射される光の照射量を異ならせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1の矢印IIで示す方向から画像形成部を見た場合の図である。
【
図3】
図2に示す状態から缶体が移動し、停止箇所間に缶体が位置する場合の状態を示した図である。
【
図4】画像形成部により形成される画像の一例を示した図である。
【
図7】缶体に形成される画像の他の一例を示した図である。
【
図8】(A)~(D)は、缶体に形成される画像の他の一例を示した図である。
【
図9】缶体に形成される画像の他の一例を示した図である。
【
図10】(A)~(D)は、缶体に形成される画像の他の一例を示した図である。
【
図11】缶体に形成される画像の他の一例を示した図である。
【
図12】(A)~(D)は、缶体に形成される画像の他の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の上面図である。
本実施形態の画像形成装置1には、缶体10が供給される缶体供給部510が設けられている。この缶体供給部510では、缶体10を支持する支持部材20に対する缶体10の取り付け(供給)が行われる。
支持部材20は円筒状に形成され、筒状の缶体10に対してこの支持部材20が入る形となり、支持部材20に対する缶体10の取り付けが行われる。
【0011】
また、画像形成装置1には、画像が形成された後の缶体10の排出が行われる缶体排出部520が設けられている。
缶体排出部520では、支持部材20からの缶体10の取り外しが行われるとともに、画像形成装置1の外部への缶体10の排出が行われる。
また、本実施形態では、缶体10を移動させる缶体移動手段の一例としての缶体移動機構100が設けられている。
【0012】
缶体移動機構100は、予め定められた中心30の周りを缶体10が移動するように、缶体10を移動させる。
また、缶体移動機構100は、複数の停止箇所40の各々にて缶体10を停止させる。より具体的には、複数設けられたインクジェットヘッド11(詳細は後述)の各々の下方にて缶体10を停止させる。
【0013】
本実施形態では、缶体移動機構100として、中心30を回転中心として回転する円盤状の回転部材110が設けられている。
本実施形態では、この回転部材110により、複数の支持部材20(缶体10)が支持されている。
より具体的には、本実施形態では、回転部材110と支持部材20とを接続する接続部材117が設けられ、支持部材20は、この接続部材117を介して回転部材110により支持されている。
接続部材117の各々は、回転部材110の外周面110Aから、回転部材110の径方向における外側方向に向かって突出している。また、接続部材117は、中心30を中心として、放射状に配置されている。
【0014】
本実施形態では、この接続部材117の各々の先端に、支持部材20が取り付けられ、さらに、本実施形態では、この支持部材20により、缶体10が支持される。
複数設けられた支持部材20(缶体10)は、
図1に示すように、回転部材110の周方向に並んだ状態で配置されている。また、複数設けられた支持部材20(缶体10)は、中心30を中心として、放射状に配置されている。
【0015】
缶体移動機構100には、回転部材110を回転させる第1モータM1が設けられている。さらに、本実施形態では、支持部材20の各々に対応して設けられ、支持部材20(缶体10)を周方向に回転させる第2モータ(不図示)が設けられている。
この第2モータは、例えば、接続部材117の内部に収容される。なお、第2モータは、例えば、回転部材110の内部に設けてもよい。第2モータを回転部材110の内部に設ける場合は、回転部材110の内部に設けたこの第2モータから、例えば、ギア等の駆動力伝達部材を介して、支持部材20に対して回転駆動力を伝達する。
【0016】
また、本実施形態では、画像形成装置1の各部の制御を行う制御装置60が設けられている。
この制御装置60により、第1モータM1の回転の制御が行われ、回転部材110が間欠的に回転する。本実施形態では、回転部材110が間欠的に回転することで、缶体10の移動、および、停止箇所40における缶体10の停止が繰り返し行われる。
これにより、本実施形態では、後述するインクジェットヘッド11の各々の下方にて、缶体10が停止する。
【0017】
また、本実施形態では、第2モータの駆動が行われ、缶体10が少なくともインクジェットヘッド11の下方に位置する際、支持部材20の回転が行われる。
これにより、インクジェットヘッド11による画像の形成が行われる際、缶体10が周方向に回転し、缶体10の全周に亘って画像が形成される。
【0018】
本実施形態では、回転部材110が回転することで、予め定められた環状の経路R1(以下、「缶体移動経路R1」と称する)に沿って缶体10(支持部材20)が移動する。言い換えると、本実施形態では、回転部材110が回転することで、中心30の周りを缶体10が移動する。
ここで、本実施形態では、「環状の経路に沿って缶体10が移動する」とは、環状の経路の全周に亘って缶体10が移動するという意味ではなく、環状の経路の少なくとも一部に沿って缶体10が移動することを意味する。
【0019】
缶体10の移動方向において、缶体供給部510の下流側には、画像形成部120が設けられている。画像形成部120では、缶体10への画像形成が行われる。
画像形成部120には、複数のインクジェットヘッド11が設けられている。画像形成手段の一例のこのインクジェットヘッド11は、停止箇所40の各々に対応して設けられ、停止箇所40に位置する缶体10への画像形成を行う。これにより、本実施形態では、缶体10の外周面10Aに画像が形成される。
【0020】
本実施形態では、インクジェットヘッド11から、下方に位置する缶体10へのインクの吐出が行われ、これにより、缶体10への画像形成が行われる。
本実施形態では、いわゆるインクジェット印刷方式を用い、停止箇所40に位置し周方向への回転を行っている缶体10への画像形成を行う。
【0021】
本実施形態では、インクジェットヘッド11として、4色分のインクジェットヘッド11が設けられている。
具体的には、シアンのインクを吐出するインクジェットヘッド11C、マゼンタのインクを吐出するインクジェットヘッド11M、イエローのインクを吐出するインクジェットヘッド11Y、黒のインクを吐出するインクジェットヘッド11Kが設けられている。
【0022】
なお、その他に、白色のインクを吐出するインクジェットヘッド11や、透明なインクを吐出するインクジェットヘッド11など、上記の4色以外の色のインクを吐出するインクジェットヘッド11を設けてもよい。
また、本実施形態では、4つのインクジェットヘッド11が設けられている場合を一例に説明するが、インクジェットヘッド11の設置数も特に限定されず、4つ以外の数のインクジェットヘッド11を設けてもよい。
【0023】
インクジェットヘッド11C~11Kの4つのインクジェットヘッド11は、紫外線硬化型のインクを用いて、缶体10への画像形成を行う。
言い換えると、この4つのインクジェットヘッド11は、紫外線などの光を照射すると硬化する光硬化型のインクを用いて、缶体10への画像形成を行う。
ここで、インクジェット印刷方式による画像形成とは、インクジェットヘッド11からインクを吐出させ、缶体10にこのインクを付着させることにより行う画像形成を指す。
インクジェット印刷方式による画像形成では、公知の方式を用いることができる。具体的には、例えば、ピエゾ方式、サーマル(バブル)方式、コンティニュアス方式などを用いることができる。
【0024】
図2は、
図1の矢印IIで示す方向から画像形成部120を見た場合の図である。言い換えると、
図2は、画像形成装置1の側方から画像形成部120を見た場合の図である。
なお、
図1の矢印IIで示す方向から画像形成部120を見ると、
図1で示すインクジェットヘッド11等の各々は、その側面も見えるようになるが、
図2では、インクジェットヘッド11、缶体10、光源13の各々を、軸方向から見た場合の状態を示している。
【0025】
本実施形態では、
図2に示すように、硬化手段の一例としての複数の光源13が設けられている。この光源13は、複数設けられた停止箇所40の各々に対応して設けられている。言い換えると、光源13は、複数設けられたインクジェットヘッド11の各々に対応して設けられている。
光源13は、例えば、LED(Light Emitting Diode)により構成される。なお、光源13は、LED以外により構成してもよい。
【0026】
光源13は、インクジェットヘッド11による画像の形成が行われた缶体10に対し、光の一例である紫外線(紫外線領域の波長の光)(以下、「紫外光」と称する)を照射して、缶体10に形成された画像を硬化させる。
本実施形態では、光源13から缶体10に向かう紫外光の光路が直線状となっている。これにより、本実施形態では、紫外光が拡散する場合に比べ、消費エネルギーを削減でき、また、缶体10以外へ紫外光が向かうことを抑制できる。
【0027】
光源13は、缶体10が移動する経路である缶体移動経路R1を挟みインクジェットヘッド11の設置側とは反対側に設けられている。
言い換えると、光源13は、インクジェットヘッド11の対向位置に配置された状態の缶体10を挟んでインクジェットヘッド11の設置側とは反対側に配置されている。
光源13は、停止箇所40にて停止し且つ周方向への回転を行っている缶体10に対して、下方から、光の一例として紫外光を照射する。これにより、缶体10の外周面10Aに形成された画像が硬化する。
【0028】
また、本実施形態では、
図2に示すように、光源13からの紫外光を遮る遮り部14が設けられている。
この遮り部14は、
図1にも示すように、互いに隣接する缶体10間に配置されている。言い換えると、遮り部14は、互いに隣接する支持部材20間に配置されている。
遮り部14は、接続部材118(
図1参照)によって回転部材110に対して固定されている。このため、本実施形態では、回転部材110の回転によって缶体10が移動する際、この遮り部14も移動する。言い換えると、本実施形態では、遮り部14は、缶体10に連動して移動する。
【0029】
図3は、
図2に示す状態から缶体10が移動し、停止箇所40間に缶体10が位置する場合の状態を示した図である。
本実施形態の遮り部14は、
図3に示すように、光源13の対向位置に缶体10が位置しない場合に、この対向位置に位置する。これにより、遮り部14によって、光源13からの光が遮られる。
より具体的には、遮り部14は、インクジェットヘッド11の対向位置に缶体10が位置していない場合に、インクジェットヘッド11と光源13との間に位置し、光源13からインクジェットヘッド11へ向かう光を遮る。
【0030】
本実施形態では、停止箇所40に缶体10が位置していない場合に、光源13から、この光源13の対向箇所に位置するインクジェットヘッド11に向かおうとする紫外光が通る経路R2上に、遮り部14が位置する。
これにより、光源13からの紫外光が、インクジェットヘッド11へ達しないようになり、インクジェットヘッド11にてインクが硬化するなどの不具合が生じにくくなる。
【0031】
本実施形態では、遮り部14は、水平方向に沿って配置された板状の部材により構成されている。
また、遮り部14は、上記の通り、移動する缶体10に連動して移動する。具体的には、遮り部14は、上記の通り、缶体10が固定される回転部材110(
図1参照)に対して固定されており、これにより、遮り部14は、缶体10に連動し缶体10とともに移動する。
【0032】
遮り部14は、上記の通り、インクジェットヘッド11の対向位置に缶体10が位置しない場合に、この対向位置に位置し、光源13からインクジェットヘッド11へ向かう紫外光を遮る。
一方、遮り部14は、
図2に示すように、インクジェットヘッド11の対向位置に缶体10が位置する場合には、この対向位置から外れた箇所に位置する。これにより、光源13から缶体10への紫外光の照射が行われる。
なお、本実施形態では、
図3に示すように、遮り部14は、複数設けられ、複数設けられたインクジェットヘッド11の各々に対応する形で設けられている。
【0033】
図2を参照して、光源13についてさらに説明する。
本実施形態では、複数の光源13が設けられている。
本実施形態では、光源13の各々から缶体10へ照射される紫外光の照射量は同一ではなく、複数の光源13に含まれる一の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量と、複数の光源13に含まれる他の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量とが異なっている。
【0034】
ここで、文字画像や、バーコードなどのコード画像など、滲みを生じさせたくない画像が、缶体10に形成されることがある。
また、画像を用いて缶体10の素地面を広く覆うために、背景画像などについては、敢えて滲みを生じさせたうえで缶体10上に形成されることがある。
【0035】
この場合、滲みを生じさせたくない画像を缶体10に形成するインクジェットヘッド11に対応して設けられた光源13による紫外光の照射量(以下、「第1照射量」と称する)を、滲みを生じさせたい画像を缶体10に形成するインクジェットヘッド11に対応して設けられた光源13による紫外光の照射量(以下、「第2照射量」と称する)よりも多くすることが好ましくなる。
【0036】
上記のように、一の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量と、他の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量とを異ならせる場合、第1照射量の方を、第2照射量よりも多くできる。
第1照射量の方を第2照射量よりも多くすると、文字画像やコード画像などの滲みを生じさせたくない画像については、滲みの発生を抑制でき、また、背景画像などの敢えて滲みを生じさせ拡がりを生じさせたい画像については、この画像を構成するドット像の拡がりを確保できる。
【0037】
図2に示す例では、マゼンタのインクジェットヘッド11M、黒のインクジェットヘッド11Kに対応して設けられた光源13による紫外光の照射量の方が、シアンのインクジェットヘッド11C、イエローのインクジェットヘッド11Yに対応して設けられた光源13による紫外光の照射量よりも多くなっている。
この場合、マゼンタのインクジェットヘッド11M、黒のインクジェットヘッド11Kにより形成される画像の滲みの発生を抑制できる。
また、シアンのインクジェットヘッド11C、イエローのインクジェットヘッド11Yにより形成される画像を構成する各ドット像が滲み拡がる。
【0038】
本実施形態のように、一の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量と、他の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量とを異ならせるには、例えば、同一の出力の光源13を複数用意するとともに、一の光源13が缶体10に紫外光を照射する照射時間と、他の光源13が缶体10に紫外光を照射する照射時間とを異ならせる。
具体的には、例えば、光源13のオン、オフ制御を行い、一の光源13の点灯時間と、他の光源13の点灯時間とを異ならせることで、一の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量と、他の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量とを異ならせる。
このように、光源13のオン、オフ制御を行う場合、光源13を常時点灯させておく場合に比べ、消費エネルギーが削減される。
【0039】
また、例えば、進退可能なシャッタ部材を設け、このシャッタ部材を、紫外光の光路上に進退させることで、一の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量と、他の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量とを異ならせもよい。
また、例えば、紫外光を通過させるスリットを設け、このスリットの幅を拡げたり狭めたりして、一の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量と、他の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量とを異ならせてもよい。
また、その他に、例えば、缶体移動経路R1と光源13との距離を、光源13毎に異ならせることで、一の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量と、他の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量とを異ならせてもよい。
【0040】
また、例えば、缶体10の各々が個別に移動する画像形成装置1では、停止箇所40における缶体10の停止時間を異ならせることで、一の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量と、他の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量とを異ならせてもよい。
より具体的には、例えば、画像形成装置1では、各々駆動源を有し個別に移動可能な複数の移動体を設け、この移動体で、個々の缶体10を移動させてもよい。
この場合、停止箇所40におけるこの移動体の停止時間を停止箇所40毎に異ならせることで、一の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量と、他の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量とを異ならせることができる。
【0041】
また、一の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量と、他の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量とが異ならせる場合、例えば、一の光源13が缶体10に紫外光を照射する際の出力と、他の光源13が缶体10に紫外光を照射する際の出力とを異ならせてもよい。
一の光源13が缶体10に紫外光を照射する際の出力と、他の光源13が缶体10に紫外光を照射する際の出力とを異ならせる場合は、例えば、出力が異なる複数種類の光源13を用意する。
そして、缶体10への紫外光の照射量を多くしたい停止箇所40には、出力が大きい光源13を設置し、缶体10への紫外光の照射量を少なくしたい停止箇所40には、出力が小さい光源13を設置する。
【0042】
また、その他に、例えば、光源13に対して供給する電力量を光源13毎に異ならせることで、一の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量と、他の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量とを異ならせてもよい。
また、その他に、一の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量と、他の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量とを異ならせる場合、照射時間と出力の両者を異ならせてもよい。
具体的には、例えば、一の光源13が缶体10に紫外光を照射する際の照射時間、出力と、他の光源13が缶体10に紫外光を照射する際の照射時間、出力とを異ならせてもよい。
【0043】
「照射量」は、照射時間と光源13の出力との積により求めることができ、一の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量と、他の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量とが異なるとは、この積が互いに異なる状態にあるとも言える。
また、「照射量」は、零も含む概念である。一の光源13および他の光源13のうちの一方の光源13の出力や照射時間が零であり、他方の光源13の出力や照射時間が零でない場合も、一の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量と、他の光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量とが異なると言える。
【0044】
また、本実施形態では、
図2に示すように、缶体10の移動方向において、画像形成部120の下流側に、画像形成部120による画像の形成が行われた後の缶体10に対して紫外光を照射する下流側光源19が設けられている。
この下流側光源19は、仕上げのための光源となっており、本実施形態では、光源13の各々による紫外光の照射量よりも、この下流側光源19による紫外光の照射量の方が大きくなっている。
より具体的には、本実施形態では、光源13の各々の出力よりも、下流側光源19の出力の方が大きくなっており、これにより、光源13の各々による紫外光の照射量よりも、下流側光源19による紫外光の照射量の方が大きくなっている。
【0045】
本実施形態では、
図2の符号2Xで示すように、画像形成部120と下流側光源19との間に、光源13が設置されていない停止箇所40が設けられている。
言い換えると、画像形成部120とこの下流側光源19との間には、紫外線の照射が行われない停止箇所40が設けられている。
なお、本実施形態では、光源13が設置されていないこの停止箇所40は、1つとなっているが、2つ以上としてもよい。
【0046】
画像形成部120による画像形成がなされてから、下流側光源19へ缶体10が達するまでの間に、この缶体10上の画像を構成するドット像を敢えて滲ませてドット像を拡げたい場合がある。
この場合に、光源13が設置されていない停止箇所40が無く、画像の形成後、下流側光源19による紫外光の照射がすぐに行われると、ドット像の拡がりの程度が小さくなる。
これに対して、本実施形態のように、光源13が設置されていない停止箇所40が1つ以上あると、ドット像が拡がる時間が確保され、ドット像がより拡がる。
【0047】
下流側光源19による紫外光の照射が終了すると、缶体10は、缶体排出部520(
図1参照)まで移動する。
本実施形態では、この缶体排出部520にて、支持部材20からの缶体10の取り外しが行われ、この缶体10が、画像形成装置1の外部へ排出される。
なお、画像形成装置1の外部に排出された缶体10は、例えば、この缶体10の外周面10Aへの透明塗料の塗布を行う塗布工程と、透明塗料が塗布されたこの缶体10の加熱を行う加熱工程へと順次搬送される。
缶体10の外周面10Aへの透明塗料の塗布が行われると、缶体10の最外層に、保護層が形成される。また、加熱工程にて缶体10の加熱が行われることで、この保護層が硬化する。
【0048】
図4は、画像形成部120により形成される画像の一例を示した図である。
本実施形態では、缶体10の外周面10Aの全体に亘って、
図4に示す画像70が形成される。具体的には、
図4にて示す画像70が有する長辺71が缶体10の周方向に沿うように、また、
図4にて示す画像70が有する短辺72が缶体10の軸方向に沿うように、この画像70が形成される。
画像70には、缶体10の素地面を覆う背景画像91と、文字画像92と、バーコード等により構成されるコード画像93とが含まれている。
本実施形態では、文字画像92として、文字が缶体10の軸方向に沿って並ぶ縦文字画像92Aと、文字が缶体10の周方向に沿って並ぶ横文字画像92Bと、数字を表す文字が並ぶ数字文字画像92Cとが設けられている。
【0049】
本実施形態では、
図4の符号4Bで示すように、背景画像91は、シアンのインクとイエローのインクとより構成される。また、背景画像91を形成するインクの配合比は、シアン50%、イエロー50%となっている。
また、文字画像92に含まれる縦文字画像92A、横文字画像92Bは、黒のインクにより構成される。また、縦文字画像92A、横文字画像92Bを形成するインクの配合比は、黒100%となっている。
【0050】
また、本実施形態では、コード画像93についても、黒のインクにより構成される。また、コード画像93を形成するインクの配合比は、黒100%となっている。
さらに、本実施形態では、文字画像92に含まれる数字文字画像92Cは、マゼンタのインク、シアンのインク、黒のインクにより構成される。また、この数字文字画像92Cを形成するインクの配合比は、マゼンタ80%、シアン10%、黒10%となっている。
【0051】
この場合、本実施形態では、シアンのインクジェットヘッド11C、マゼンタのインクジェットヘッド11M、イエローのインクジェットヘッド11Y、黒のインクジェットヘッド11Kの各々が設置された停止箇所40における紫外光の照射量を、符号4Dで示すように、それぞれ75%、100%、25%、100%とする。
ここで、これらの照射量の各々は、照射量が最も大きい黒のインクに対応した光源13からの紫外光の照射量を100%とした場合の照射量となっている。
【0052】
上記の通り、本実施形態では、背景画像91については、紫外光の照射量を少なくして、インクを敢えて滲ませたいという要望がある。
このため、本実施形態では、背景画像91を構成するイエローのインクについては、符号4Dに示すように、紫外光の照射量を25%として、紫外光の照射量を少なくしている。
【0053】
また、背景画像91を構成するシアンについても、紫外光の照射量を100%とせず、照射量を、100%よりも小さい75%としている。
シアンのインクについては、数字文字画像92Cの形成にも用いられるため、滲みをあまり許容できない。このため、シアンのインクについては、イエローについての照射量である25%のような小さな値にはしないが、100%よりも小さい75%としている。
【0054】
さらに、本実施形態では、マゼンタ、黒のインクについては、文字画像92の一例である、縦文字画像92A、横文字画像92B、数字文字画像92Cの形成に用いられているため、紫外光の照射量を多くし、100%としている。
また、マゼンタ、黒については、背景画像91の形成に使用されていないため、紫外光の照射量を多くして、紫外光の照射量を100%としている。
また、本実施形態では、黒については、コード画像93の形成にも用いられている。コード画像93の滲みを抑制するため、黒については、紫外光の照射量を100%としている。
【0055】
本実施形態では、複数設けられたインクジェットヘッド11(
図2参照)に、文字画像92を含む画像を缶体10に形成するインクジェットヘッド11と、文字画像92を含まない画像を缶体10に形成するインクジェットヘッド11とが含まれることになる。
具体的には、文字画像92を含む画像を缶体10に形成するインクジェットヘッド11として、マゼンタ、黒、シアンのインクジェットヘッド11M,11K,11Cが設けられている。
また、文字画像92を含まない画像を缶体10に形成するインクジェットヘッド11として、イエローのインクジェットヘッド11Yが設けられている。
【0056】
本実施形態では、文字画像92を含む画像を形成するマゼンタ、黒、シアンのインクジェットヘッド11M,11K,11Cの各々に対応して設けられた光源13による紫外光の照射量を、文字画像92を含まない画像を形成するイエローのインクジェットヘッド11Yに対応して設けられた光源13による紫外光の照射量よりも多くしている。
具体的には、文字画像92を含む画像を形成するマゼンタ、黒、シアンのインクジェットヘッド11M,11K,11Cの各々に対応して設けられた光源13による紫外光の照射量は、
図4の符号4Dで示すように、それぞれ100%、100%、75%である。
これに対し、文字画像92を含まない画像を形成するイエローのインクジェットヘッド11Yに対応して設けられた光源13による紫外光の照射量は、25%となっている。
【0057】
また、本実施形態では、コード画像93を含む画像を缶体10に形成するインクジェットヘッド11として、黒のインクジェットヘッド11Kが設けられている。
また、この処理例では、コードを含まない画像を缶体10に形成するインクジェットヘッド11として、シアン、マゼンタ、イエローのインクジェットヘッド11C,11M,11Yが設けられている。
【0058】
そして、本実施形態では、コード画像93を含む画像を形成する黒のインクジェットヘッド11Kに対応して設けられた光源13による紫外光の照射量が100%であり、コード画像93を含まない画像を形成するシアン、イエローのインクジェットヘッド11C,11Yに対応して設けられた光源13による紫外光の照射量がそれぞれ75%、25%となっている。
即ち、コード画像93を含む画像を形成する黒のインクジェットヘッド11Kに対応して設けられた光源13による紫外光の照射量の方が、コード画像93を含まない画像を形成するシアン、イエローのインクジェットヘッド11C,11Yに対応して設けられた光源13による紫外光の照射量よりも多くなっている。
【0059】
また、本実施形態では、黒色の画像を形成するインクジェットヘッド11Kに対応して設けられた光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量の方が、黒以外の色であるシアン、イエローの画像を缶体10に形成するインクジェットヘッド11C,11Yに対応して設けられた光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量よりも多い。
具体的には、黒色の画像を形成するインクジェットヘッド11Kに対応して設けられた光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量は、100%である。
これに対し、シアン、イエローの画像を缶体10に形成するインクジェットヘッド11C,11Yに対応して設けられた光源13が缶体10に照射する紫外光の照射量は、それぞれ75%、25%となっている。
【0060】
文字画像92やコード画像93の形成にあたっては、少なくとも黒色のインクが用いられることが多い。
このため、缶体10に黒色の画像を形成するインクジェットヘッド11Kに対応して設けられた光源13による紫外光の照射量を、黒以外の色の画像を缶体10に形成するインクジェットヘッド11に対応して設けられた光源13による紫外光の照射量よりも多くすると、文字画像92やコード画像93の滲みを抑えられる。
【0061】
図5は、画像形成部120の他の構成例を示した図である。
この構成例では、缶体10の移動方向いおいて、黒色のインクジェットヘッド11Kが下流側から2番目に配置され、イエローのインクジェットヘッド11Yが最も下流側に配置されている。
この構成例では、文字画像92やコード画像93を含む画像を形成する黒色のインクジェットヘッド11Kに対応して設けられた光源13による缶体10への紫外光の照射の方が、文字画像92やコード画像93を含まない画像を形成するイエローのインクジェットヘッド11Yに対応して設けられた光源13による缶体10への紫外光の照射よりも先に行われる。
【0062】
上記の例では、イエローについては、背景画像91の形成に用いられるため、このイエローのインクにより形成される画像への紫外光の照射量を小さくすることが好ましい。
この場合に、
図2に示したように、イエローのインクジェットヘッド11Yが、黒のインクジェットヘッド11Kよりも上流側に配置されていると、形成されたイエローの画像が、黒のインクジェットヘッド11Kに達した際に、このイエローの画像への紫外光の照射量が増え、イエローの画像の硬化が促進されてしまう。
【0063】
より具体的には、イエローの画像を構成するドット像の拡がりをより長い時間に亘って行いたい場合において、
図2に示すように、イエローのインクジェットヘッド11Yのすぐ下流側に、黒のインクジェットヘッド11Kに対応し照射量が多い光源13が設けられていると、この光源13によって、イエローの画像を構成するドット像の硬化が促進されてしまう。
これに対して、
図5に示したように、黒のインクジェットヘッド11Kがイエローのインクジェットヘッド11Yよりも上流側にあると、黒のインクジェットヘッド11Kに対応して設けられた光源13の影響を、イエローの画像が受けないようになる。
【0064】
言い換えると、
図5に示す構成例では、黒色の画像を形成するインクジェットヘッド11Kに対応して設けられた光源13による缶体10への紫外光の照射の方が、黒以外の色の一例であるイエローの画像を形成するインクジェットヘッド11Yに対応して設けられた光源13による缶体10への紫外光の照射よりも先に行われる。
これにより、イエローの画像に対する紫外光の照射が抑制され、イエローの画像を構成するドット像の拡がりが確保されやすくなる。
【0065】
図6は、画像形成部120の他の構成例を示した図である。
この構成例では、黒のインクジェットヘッド11Kが最も上流側に配置されている。
本実施形態では、インクジェットヘッド11およびこのインクジェットヘッド11に対応して設けられた光源13は、複数組設けられ、各組による処理が順に行われる。
図6に示すこの構成例では、順に行われる缶体10への紫外光の照射のうち、黒色の画像を形成するインクジェットヘッド11Kに対応して設けられた光源13による紫外光の照射が、最初に行われる。
【0066】
言い換えると、
図6に示すこの構成例では、順に行われる缶体10への紫外光の照射のうち、文字画像92を含む画像を形成する、黒のインクジェットヘッド11Kに対応して設けられた光源13による紫外光の照射が、最初に行われる。
図4にて説明した実施形態では、黒のインクジェットヘッド11Kに対応して設けられた光源13による紫外光の照射量が最も大きくなっている。
【0067】
図6に示す構成例では、照射量が最も大きいこの光源13を、缶体10の移動方向における最も上流側に配置し、この光源13による紫外光の照射が最初に行われるようにしている。
これにより、イエローの画像やシアンの画像など、黒の画像よりも紫外光の照射量を少なくする必要がある画像が、この黒のインクジェットヘッド11Kに対応して設けられた光源13による影響を受けないようになる。
【0068】
また、
図6に示す構成例では、光源13による紫外光の照射量が大きいものから順に、インクジェットヘッド11、光源13を並べている。
図4にて示した実施形態では、符号4Dに示したように、紫外光の照射量は、黒、マゼンタ、シアン、イエロー、あるいは、マゼンタ、黒、シアン、イエローの順となっている。
【0069】
この場合、例えば、
図6に示すように、インクジェットヘッド11と、このインクジェットヘッド11に対応して設けられる光源13は、例えば、缶体10の移動方向における上流側から下流側に向かって、黒、マゼンタ、シアン、イエローの順で設けることが好ましい。
あるいは、図示は省略するが、インクジェットヘッド11と、このインクジェットヘッド11に対応して設けられる光源13は、マゼンタ、黒、シアン、イエローの順で設けることが好ましい。
この場合、缶体10の移動方向において互いに隣り合う2つの光源13を比べた場合に、先に照射を行う光源13による照射量の方が、後に照射を行う光源13による照射量よりも多くなる。あるいは、先に照射を行う光源13による照射量と、後に照射を行う光源13による照射量とが等しくなる。
【0070】
図7、
図8(A)~(D)は、缶体10に形成される画像の他の一例を示した図である。
図7は、画像形成部120による缶体10への画像形成が終了した後の画像70の状態を示している。言い換えると、
図7は、4色の色のインクが缶体10に載った後の画像70の状態を示している。
図7に示す画像70は、画像を構成する各構成要素の輪郭がはっきりとした画像となっている。
【0071】
図8(A)~(D)は、それぞれ、シアンのインクジェットヘッド11Cにより形成される画像、黒のインクジェットヘッド11Kにより形成される画像、マゼンタのインクジェットヘッド11Mにより形成される画像、イエローのインクジェットヘッド11Yにより形成される画像を示している。
言い換えると、
図8(A)~(D)の各々にて示す画像は、
図7にて示す画像の元となる画像データの分色処理により得られた各色の画像データに基づき形成される画像を示している。
【0072】
図7、
図8(A)~(D)の各々の図では、陰影が濃い部分が、画像の濃度が大きくインクが多く載る部分となっている。
また、この処理例では、
図8の符号8Xで示すように、シアン、黒、マゼンタ、イエローのそれぞれについて、光源13による紫外線の照射量を、75%、100%、75%、50%としている。
【0073】
この処理例では、
図7の符号7Aで示す部分に位置する文字画像92は、
図8(B)に示すように、主に黒のインクにより形成される。さらに、
図7の符号7Aで示す部分に位置するこの文字画像92は、小さく且つ細かい。
このため、この処理例では、
図8の符号8Xで示すように、黒に対応した光源13による紫外光の照射量を100%としている。
【0074】
また、この処理例では、
図7に示すように、「KOBE BAYSIDE」という文字画像92が形成される。この処理例では、
図8(A)、(C)に示すように、この文字画像92は、主に、シアンのインクとマゼンタのインクとにより形成される。
また、
図8(A)、(C)に示すように、シアンのインク、マゼンタのインクは、背景画像91(
図7参照)の形成にも用いられる。
【0075】
このため、この処理例では、シアン、マゼンタに対応した光源13による紫外光の照射量を、
図8の符号8Xで示すように、75%としている。
一方、イエローのインクについては、
図8(D)に示すように、文字画像92の形成にはあまり用いられない。このため、イエローに対応した光源13による紫外光の照射量は、
図8の符号8Xで示すように、50%としている。
【0076】
図9、
図10(A)~(D)は、缶体10に形成される画像の他の一例を示した図である。
図9では、上記と同様、画像形成部120による画像の形成が行われた後の画像70の状態を示している。言い換えると、
図9は、4色のインクが缶体10に載った後の画像70の状態を示している。
図9に示すこの画像70では、上側に背景画像91が存在し、下側に、建物の画像等のメリハリのある画像が存在し、左側に、文字画像92が存在している。
【0077】
図10(A)~(D)は、上記と同様、それぞれ、シアンのインクジェットヘッド11Cにより形成される画像、黒のインクジェットヘッド11Kにより形成される画像、マゼンタのインクジェットヘッド11Mにより形成される画像、イエローのインクジェットヘッド11Yにより形成される画像を示している。
言い換えると、
図10(A)~(D)は、上記と同様、分色により得られた画像データに基づき形成される画像を示している。
【0078】
この処理例では、
図10の符号10Xで示すように、シアン、黒、マゼンタ、イエローのそれぞれについて、光源13による紫外線の照射量を、25%、100%、75%、50%としている。
この処理例では、
図9の符号9Aで示す部分に位置する文字画像92の形成に、
図10(B)に示すように、黒色のインクが用いられる。また、
図10(B)の符号10Bで示す部分の陰影は薄く、この黒色のインクは、背景画像91(
図9参照)の形成にはあまり用いられない。
このため、この例では、
図10の符号10Xで示すように、黒色に対応した光源13による紫外光の照射量を、100%としている。
【0079】
また、この処理例では、
図10(A)、(C)の符号10Eで示すように、文字画像92(
図9の符号9A参照)の形成に、シアン、マゼンタのインクも用いられる。また、このシアン、マゼンタのインクについては、背景画像91(
図9参照)の形成にも用いられる。
このため、この処理例では、
図10の符号10Xで示すように、シアンに対応した光源13による紫外光の照射量を、25%とし、マゼンタに対応した光源13による紫外光の照射量を、75%としている。
【0080】
マゼンタに対応した光源13による紫外光の照射量を25%ではなく、75%としたのは、マゼンタの画像の硬化を促進するためである。
この処理例では、
図10(C)に示すように、形成される画像の下側の部分にてマゼンタのインクが多く使用される。そこで、このインクの硬化を促進するため、マゼンタに対応した光源13による紫外光の照射量を75%としている。
【0081】
一方、
図10(D)に示すように、イエローについては、黒のインクに比べ、文字画像92(
図9の符号9A参照)の形成に使用するインクの量が少なくなっている。このため、上記と同様、イエローについては、紫外光の照射量を少なくする。
なお、この処理例では、
図10(D)に示す画像の下側の部分にてイエローのインクが多く使用される。このため、この処理例では、この下側の部分の硬化を促進するために、イエローに対応した光源13による紫外光の照射量を50%としている。
【0082】
図11、
図12(A)~(D)は、缶体10に形成される画像の他の一例を示した図である。
図11は、上記と同様、画像形成部120による画像の形成が行われた後の画像70の状態を示している。言い換えると、
図11は、4色のインクが缶体10に載った後の画像70の状態を示している。
この
図11に示す画像70は、ハーフトーンの画像となっており、また、
図11に示す画像70では、文字画像92の色が黒色となっている。
【0083】
図12(A)~(D)は、上記と同様、それぞれ、シアンのインクジェットヘッド11Cにより形成される画像、黒のインクジェットヘッド11Kにより形成される画像、マゼンタのインクジェットヘッド11Mにより形成される画像、イエローのインクジェットヘッド11Yにより形成される画像を示している。言い換えると、
図12(A)~(D)は、分色により得られた画像データに基づき形成される画像の各々を示している。
この処理例では、
図12の符号12Xで示すように、シアン、黒、マゼンタ、イエローのそれぞれについて、光源13による紫外光の照射量が、25%、100%、25%、25%となっている。
【0084】
この処理例では、
図12(B)に示すように、
図11にて示されている「Cocktail」等の文字画像92の形成に、黒色のインクが多く用いられる。また、イエローのインクなどに比べ、黒色のインクは、背景画像91の形成にあまり用いられない。
このため、この処理例では、
図12の符号12Xで示すように、黒色に対応した光源13による紫外光の照射量を100%としている。
【0085】
また、この処理例では、最終的に形成される画像70(
図11にて示す画像70)がハーフトーンの画像であり全体的に淡い画像である。この場合、各色のインクにより形成される画像の濃度は小さくなる。
この場合、画像70の形成に使用する各色のインクの使用量が少なくなり、これに伴い、この処理例では、
図12の符号12Xで示すように、黒以外の色のインクについて、紫外光の照射量を、それぞれ25%としている。
【0086】
(その他)
上記では、硬化手段の一例として、紫外線領域の波長の光を出射する光源13を設けた場合を一例に説明したが、硬化手段としては、紫外線領域以外の波長の光を出射する光源13を設けてもよい。
インクジェットヘッド11が画像形成の際に用いるインクが、紫外線領域以外の波長の光で硬化するインクである場合には、硬化手段として、紫外線領域以外の波長の光を出射する光源13を設けることになる。
【0087】
また、上記では、缶体10が、曲率を有する缶体移動経路R1に沿って移動する場合を説明したが、缶体10が移動する缶体移動経路R1を直線状とし、缶体10が直線状の缶体移動経路R1に沿って移動するようにしてもよい。
また、上記では、光源13が、缶体移動経路R1を挟み、インクジェットヘッド11とは反対側に設けられた場合を一例に説明したが、光源13の設置箇所は特に限定されず、光源13は、インクジェットヘッド11が設けられている側に配置してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…画像形成装置、10…缶体、11…インクジェットヘッド、13…光源、14…遮り部、92…文字画像