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  • 特開-化粧材及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048538
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】化粧材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20230331BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20230331BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230331BHJP
   B05D 5/06 20060101ALI20230331BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20230331BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20230331BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B27/18 Z
B05D7/24 303E
B05D7/24 301R
B05D7/24 303B
B05D7/24 303A
B05D5/06 G
C09D201/00
C09D7/62
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157913
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】313014077
【氏名又は名称】トクラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002033
【氏名又は名称】弁理士法人東名国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏
(72)【発明者】
【氏名】佐野 剛志
(72)【発明者】
【氏名】紺野 良文
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4J038
【Fターム(参考)】
4D075AA01
4D075BB16X
4D075CA02
4D075CA34
4D075CA47
4D075CA48
4D075CB01
4D075CB21
4D075DA06
4D075DB01
4D075DB21
4D075DB31
4D075DC02
4D075DC31
4D075DC38
4D075EB22
4D075EB38
4D075EB56
4D075EB57
4D075EC01
4D075EC07
4D075EC11
4D075EC54
4F100AA01B
4F100AA01H
4F100AA19B
4F100AA19H
4F100AK01B
4F100AK01H
4F100AK25B
4F100AK25H
4F100AK51B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100CC00B
4F100DE01B
4F100DE01H
4F100EH462
4F100EH46B
4F100GB08
4F100GB81
4F100JB13B
4F100JB13H
4F100JL10B
4F100YY00B
4J038CD101
4J038CG002
4J038DA002
4J038DB001
4J038DB002
4J038DD001
4J038DD182
4J038DD231
4J038DG001
4J038DG002
4J038DG191
4J038DL031
4J038HA186
4J038HA216
4J038HA286
4J038HA376
4J038HA446
4J038HA486
4J038HA556
4J038KA08
4J038KA21
4J038NA03
4J038NA11
4J038PA06
4J038PB02
4J038PB05
4J038PB07
4J038PC04
(57)【要約】
【課題】高硬度の無機粒子を含む熱硬化性樹脂の成形体を破砕して複合粒子とし、これを着色層の主成分となる樹脂組成物に加えて塗膜を形成することで、耐汚染性、耐久性を向上させることができる化粧材及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】人造大理石やMDF等の基材の表面に塗装による着色層を設けて化粧材が形成されている。着色層は樹脂組成物に高硬度の材質からなる複合粒子を含有した塗料により形成されている。複合粒子は、熱硬化性樹脂に無機粒子を略均質に分散して成形した樹脂成形体を粒状に破砕したものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の表面に設けられた着色層と、を備え、
前記着色層は、樹脂組成物を主成分とし、当該樹脂組成物よりも高硬度の材質からなる複合粒子を含有したものであり、
前記複合粒子は、熱硬化性樹脂に無機粒子を略均質に分散、成形した樹脂成形体を、粒状に破砕したものであることを特徴とする化粧材。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂に対する無機粒子は60~400重量部であって、前記複合粒子の表面及び切断面には、熱硬化性樹脂に無機粒子が略均質に分散されていることを特徴とする請求項1記載の化粧材。
【請求項3】
前記着色層に対する前記複合粒子は20~60重量部であるとともに、最大粒径は100~400μmであり、
前記着色層の膜は10~90μmであることを特徴とする請求項2記載の化粧材。
【請求項4】
熱硬化性樹脂に無機粒子を略均質に分散、成形した樹脂成形体を粒状に破砕して複合粒子を製造する工程と、
樹脂組成物に前記複合粒子を加えて着色塗料を製造する工程と、
所定の基材の表面に前記着色塗料で塗装を施すことで着色層を設ける工程と、
を含む、化粧材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧材及びその製造方法に係り、例えば、キッチン、洗面化粧台、家具等の天板、シンク又はボウル等の凹状体、壁面材若しくは扉面材を構成する部材として利用することに適した化粧材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンや洗面化粧台に用いられる天板、凹状体、各種面材等の化粧材としては、その基材若しくは素材の表面に塗装を施して表面保護層を形成したものが一般的に知られている。
このような塗装の施工に関しては、例えば、特許文献1に記載されているように、所定量の無機粒子を含有する樹脂塗料を船体等に塗布することが提案されている。より具体的には、表面に多数の気孔を有する疎水性の無機粒子に撥水性の有機高分子樹脂を付着させて複合粒子を形成し、当該複合粒子若しくはその粉末を樹脂塗料に加えたものを塗布、乾燥させる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-302561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の技術は、複合粒子入りの塗料を用いた塗装によって船体等の耐水性、耐久性の向上を図るというものであるが、複合粒子を形成する無機粒子が多数の気孔を備えたものであるため、各気孔に汚れが入り込み耐汚染性が低下するという不都合がある。しかも、多数の気孔が空いている構成であるから、十分な強度が得られず、耐久性についての信頼性は高くないという不都合もある。
【0005】
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、無機粒子を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂成形体を破砕して複合粒子を得ることで、表面に気孔を有しない粒子形状とすることができ、耐汚染性、耐久性を向上させることができる化粧材及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、表面保護層として機能する着色層に複合粒子が存在することで、傷付き難くするとともに、仮に傷付くことがあっても、それが断続的なものとなって目立つことがない化粧材及びその製造方法を提供することにある。
更に、本発明の目的は、複合粒子を形成する熱硬化性樹脂や、着色層を調色することで任意の色調を得ることができ、延いては多様な意匠性に富む化粧材及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、特許請求の範囲記載の構成を採用したものである。具体的には、本発明に係る化粧材は、
基材と、
前記基材の表面に設けられた着色層と、を備え、
前記着色層は、樹脂組成物を主成分とし、当該樹脂組成物よりも高硬度の材質からなる複合粒子を含有したものであり、
前記複合粒子は、熱硬化性樹脂に無機粒子を略均質に分散、成形した樹脂成形体を、粒状に破砕したもの、という構成を採っている。
【0007】
本発明において、前記熱硬化性樹脂に対する無機粒子は60~400重量部であって、前記複合粒子の表面及び切断面には、熱硬化性樹脂に無機粒子が略均質に分散されているという構成を採ることが好ましい。
無機粒子が60重量部未満では硬度が不足し、400重量部を超えると複合粒子を得るための樹脂成形体の成形ができなくなる。
【0008】
また、前記着色層に対する前記複合粒子は20~60重量部であるとともに、最大粒径は100~400μmであり、
前記着色層の膜厚は10~90μmである、という構成を採ることができる。
複合粒子が20重量部未満では着色層の硬度が不足する一方、60重量部を超えると着色層の表面を触ったときの肌触りが悪くなり、耐汚染性も低下する。
複合粒子の最大粒径が100μm未満では凝集(ダマ)が発生し易くなって塗装が難しくなる。また、粒径が小さい場合には複合粒子が多く配合される結果、耐汚染性も低下する。この一方、最大粒径が400μmを超えると、スプレーガンにおける塗料の詰まりが起こり、塗装自体が不可能となる。
更に、着色層が10μm未満では、基材の隠蔽性が低下し、耐汚染性も低下する。一方、90μmを超えると硬度が低下し、耐久性が低くなる。
【0009】
更に、本発明に係る化粧材の製造方法は、
熱硬化性樹脂に無機粒子を略均質に分散、成形した樹脂成形体を粒状に破砕して複合粒子を製造する工程と、
樹脂組成物に前記複合粒子を加えて着色塗料を製造する工程と、
所定の基材の表面に前記着色塗料で塗装を施すことで着色層を設ける工程と、を含む、という手法が採用されている。
なお、前記着色層を形成した後に、サンドペーパー等を用いて表面を研削する工程、着色層にクリア層等を上塗りする工程、クリア層の表面を研削する工程を付加することも可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複合粒子は、熱硬化性樹脂に無機粒子を略均質に分散して成形した樹脂成形体を粒状に破砕して得られるものであることから、複合粒子の表面と断面を同じ構成として複合粒子の硬度、強度を十分なものとすることができる。従って、これを含んで形成される着色層の塗膜硬度に寄与することができ、化粧材の表面に十分な硬度を付与し、耐傷性、耐摩耗性を高めることができる。
また、複合粒子が熱硬化性樹脂を含む構成であるため、着色層を形成する樹脂塗料との密着性を高めることができ、複合粒子と樹脂塗料との界面の耐汚染性を得ることができる。しかも、樹脂塗料中の複合粒子の分散性を良好なものとすることで強度分布のバラツキもない安定した強度を得ることができる。
また、着色層の表面に複合粒子による凹凸が表れても、複合粒子が気孔を有しない構造であるため、粒子中に汚れが入り込むような不都合は生じない。しかも、凸部に傷が付いても断続的となり、連続性を遮断することができる。
更に、着色層の凹凸が大きすぎても、表面を研削することにより、滑らかな表面を得ることができる。この際、表出している複合粒子の断面が露出しても、熱硬化性樹脂中に無機粒子が略均質に分散しているため、塗膜を形成する着色層の硬度や耐汚染性には影響しないものとなる。しかも、質感のよいマット調となり肌触りがよくなる。
また、複合粒子が、熱硬化性樹脂を含むものであるから、着色層の主成分である樹脂塗料に用いられる樹脂組成物との熱膨張係数が近似することになり、樹脂塗料と複合粒子との密着性を良好に保つことができる。
なお、本発明における複合粒子を得るために用いられる樹脂成形体は、既設のキッチン、洗面化粧台、家具等を廃棄処分した際の人造大理石等からなるカウンターや天板等を破砕して利用できるものであり、従って、近時要請される資源のリサイクルに対応するという副次的効果を生ずるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(A)は実施形態に係る化粧材の概略断面図、(B)は、その一部を拡大した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図1に示す化粧材の層厚若しくは高さ、凸部の大きさ、形状等は、明細書の理解を容易にすることを目的として例示的に示したものに過ぎない。
【0013】
図1に示されるように、化粧材10は、板状の基材11と、当該基材11の表面に塗装を施して形成された表面保護層として機能する着色層12とにより構成されている。
基材11は、本実施形態では、板状の人造大理石が用いられているが、特にこれに限定されるものではなく、その他の樹脂成形板、低圧メラミン、MDF、金属板等を採用することができる。基材11に用いられる人造大理石の組成としては、種々のものを採用することができるが、例えば、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を染料や顔料によって着色するとともに、プラスチック材等を破砕して様々な色、形状、大きさとされた粒体の他、人造大理石、天然石等を破砕して得られる粒体、各種添加剤を配合して形成されたものが例示できる。基材11の板厚としては、1mm~50mmのもの、さらに好ましくは3mm~20mmが例示できる。
【0014】
前記着色層12は、スプレーガンを用いた吹き付け等の手段で形成されている。この着色層12は、その主成分である樹脂組成物14と、当該樹脂組成物14よりも高硬度の複合粒子15とからなる。
樹脂組成物14としてはアクリルウレタン樹脂の他、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用できる。着色顔料は樹脂成分を着色できるものであればよく、各種の着色用顔料を用いることができる。
【0015】
前記複合粒子15は、図1(B)に示されるように熱硬化性樹脂15Aと、当該熱硬化性樹脂15A内に略均質に分散して成形された無機粒子15Bとを含む。この複合粒子15は、熱硬化性樹脂15Aと無機粒子15Bとを用いて、例えば板状の樹脂成形体を形成した後、これを粒状に破砕することによって形成されている。
複合粒子15を構成する熱硬化性樹脂組成物には、不飽和ポリエステル樹脂組成物、ビニルエステル樹脂組成物、アクリル樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、フェノール樹脂組成物、ウレア樹脂組成物、等の一種以上を用いることができる。
【0016】
前記無機粒子15Bは炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスパウダー、シリカ、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、等の一種以上を用いることができ、バルーンと呼ばれる中空の軽量化材(例えば発泡体)を用いてもよい。無機バルーンには、シリカバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、等の一種以上を用いることができる。
【0017】
次に、本発明に係る化粧板の性能を確認するための試験を行った結果を表1~表4に示し、各試験で得られた理想値で上塗りの有無、研削の有無を変えて化粧材を得た結果を表5に示す。なお、試験条件は、(1)熱硬化性樹脂に対する無機粒子重量部、(2)複合粒子の最大粒径、(3)着色層に対する複合粒子の重量部、(4)着色層の厚さに基づいて行われ、表中最上段の括弧付数字は試験条件(1)~(4)における量的多寡、上下限、理想値等を記載したものである。ここで「理想値」とは、厳密な「値」ではなく、その前後付近の数値であっても、同一の結果「OK」が得られるであろうと見做せる範囲で選択された中央値である。
【0018】
表1は、複合粒子を形成するための熱硬化性樹脂としてアクリル系樹脂、無機粒子として水酸化アルミニウムが用いられ、アクリル系樹脂に以下記載の重量部の水酸化アルミニウムを加えて板状の樹脂成形体を得た後、当該樹脂成形体を板状のままの状態で評価した結果を示す。
この際、板の表面は#1000番のサンドペーパーで研削して無機粒子を露出させた。
アクリル系樹脂の硬度は、鉛筆硬度2~3H、水酸化アルミニウムの硬度は、鉛筆硬度7~8Hであり、アクリル系樹脂の硬度よりも高硬度である。
【0019】
【表1】
【0020】
上記条件で成形した板状の樹脂成形体は、評価試験の「生産性」に示されるように、無機粒子の重量部が多いと成形を行うことができないが、それ以外は、生産を容易に行うことができた。
なお、「耐汚染性」は、ブルーインク、鉄さび、黒色クレヨンを板の表面に塗布し、乾燥を防ぐためにガラス板を載せた状態で24時間放置した後、中性洗剤を染み込ませたスポンジで軽く水洗いし、目視にて評価したものである。表中「○」は、ブルーインク、鉄さび、黒色クレヨンの残存が実使用上問題のないレベルであることを示す。
【0021】
表1から明らかなように、熱硬化性樹脂に対する無機粒子の重量部が60~400の範囲において生産が容易であり、十分な硬度(鉛筆硬度4H~6H)を得ることができるとともに、耐汚染性に優れた樹脂成形体を得ることができることが解る。
なお、熱硬化性樹脂に無機粒子が均質に分散されているかどうかは、樹脂成形体のどの部分においても略同一の硬度であれば推認できるものであり、表中の硬度は、そのようにして硬度を調べた結果、いずれの箇所においても硬度が同様であったことに基づく。
【0022】
表2は、試験条件(1)の「理想値」による樹脂成形体を破砕して得られた複合粒子を用い、当該複合粒子の最大粒径を変えて、着色層を形成するアクリルウレタン樹脂を主成分とする樹脂塗料に配合し、着色層の厚さが一定(50μm)となるように、基材に対してスプレーガンによる吹付塗装を行って化粧材を得た結果を示すものである。
ここで、複合粒子の最大粒径とは、80μm、100μm、250μm、400μm、500μmの網目を有する五つの篩を用い、これら篩を通った粒子についてのものである。従って、粒子の形状によっては、上記最大粒径を越えるものも含まれ得る。
なお、複合粒子の粒径分布が、最大粒径近傍に多く分布するように、破砕する刃物のクリアランスを適宜調整した。
着色層は、薄灰色とした。
吹付塗装に用いたスプレーガンは、アネスト岩田製口径2.5mmのスプレーガンW-77である。
【0023】
【表2】
【0024】
表2に示されるように、複合粒子の最大粒径100~400μmの範囲において、生産性が良好であるとともに鉛筆硬度も4H~5Hと高硬度を維持し、耐汚染性、着色層の肌触りが良好となった。
複合粒子の最大粒径が100μm未満、例えば、80μmでは硬度は満足できるが、凝集が多くなって生産性が悪く、耐汚染性も満足することはできなかった。
また、最大粒径が400μmを超えた場合、例えば、500μmでは、スプレーガンが目詰まりを起こし塗装が困難となった。
なお、表2「(2)上限」の化粧材の表面をマイクロスコープで観察したところ、400μmを越える複合粒子が数個存在していることが確認されている。このことは、本発明における最大粒径は、前述した篩の網目を偶々通過した400μmを超える粒子の混入を完全に排除するものではなく、最大粒径400μmを超えるものが少量混入したとしても同様の効果(結果)が推定できる限りにおいて、数個の範囲も含むということになる。
【0025】
表3は、試験条件(1)、(2)におけるそれぞれの理想値で複合粒子の配合量を変え、着色層の厚みが一定となるように塗装して化粧材を得た結果を示す。
【0026】
【表3】
【0027】
表3に示されるように、複合粒子が20重量部未満、具体的には10重量部では硬度が低く傷つきやすい傾向をもたらす一方、60重量部を超えた場合、例えば、80重量部では表面の肌触りが悪くなるとともに耐汚染性も低いものとなる。
【0028】
表4は、前記各試験条件(1)~(3)におけるそれぞれの理想値で着色層の厚みのみを変えて化粧材を得た結果を示す。
【0029】
【表4】
【0030】
表4から明らかなように、着色層の厚みが10μm未満、例えば、5μmでは基材の隠蔽性が低くなるとともに、肌触り、耐汚染性が悪くなる。この一方、90μmを超えた場合、例えば、100μmでは、硬度が低くなって傷付き易いものとなる。
【0031】
表5は、前記試験条件(1)~(4)の各理想値で最終的に化粧材を形成した結果を示す。上塗りは、スプレーによる噴霧により行った。
研削は、#1000番のサンドペーパーで行った。
【0032】
【表5】
【0033】
表5から明らかなように、研削を行った場合に肌触りがより滑らかなものとなり、また、上塗りを行った場合には、耐汚染性が一層向上することが解る。
【0034】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態に対し、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
また、上記に開示した化粧材の塗装条件、例えば基材を構成する部材等は、本発明の目的を達成することができる限り変更することができる。
【符号の説明】
【0035】
10…化粧材、11…基材、12…着色層、15…複合粒子、15A…熱硬化性樹脂、15B…無機粒子
図1