(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048543
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】交通流制御装置、交通流制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20230331BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230331BHJP
B60W 30/16 20200101ALI20230331BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20230331BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20230331BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/00 C
G08G1/09 F
B60W30/16
B60W60/00
B60W50/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157920
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】松平 正樹
(72)【発明者】
【氏名】岡野 謙悟
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA02
3D241BA60
3D241BC01
3D241BC02
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD12
3D241CE02
3D241CE08
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DC02Z
3D241DC21Z
3D241DC58Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181DD03
5H181EE03
5H181FF33
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181MC12
5H181MC25
(57)【要約】
【課題】道路上の交通流をより効率よく制御することを可能とする技術が提供されることが望まれる。
【解決手段】少なくとも道路上の各区間における車両速度の統計量に基づいて、前記各区間における交通密度を算出する交通密度算出部と、前記各区間における交通密度と複数の速度制御パターンとに基づいて、前記複数の速度制御パターンごとに前記各区間における交通密度の変化のシミュレーションを実行し、前記シミュレーションの実行結果に基づく少なくとも車両加速度の統計量が最も小さい速度制御パターンを決定パターンとして決定する決定部と、前記決定パターンに応じた速度制御情報の送信を制御する送信制御部と、を備える、交通流制御装置が提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも道路上の各区間における車両速度の統計量に基づいて、前記各区間における交通密度を算出する交通密度算出部と、
前記各区間における交通密度と複数の速度制御パターンとに基づいて、前記複数の速度制御パターンごとに前記各区間における交通密度の変化のシミュレーションを実行し、前記シミュレーションの実行結果に基づく少なくとも車両加速度の統計量が最も小さい速度制御パターンを決定パターンとして決定する決定部と、
前記決定パターンに応じた速度制御情報の送信を制御する送信制御部と、
を備える、交通流制御装置。
【請求項2】
前記複数の速度制御パターンそれぞれは、前記シミュレーションにおいて車両速度が所定の制御速度に制御される前記道路上の制御範囲と前記制御速度との組み合わせによって構成される、
請求項1に記載の交通流制御装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記車両速度の統計量が閾値以下である渋滞流区間、あるいは、前記交通密度が閾値以上である混雑流区間の位置を基準として前記制御範囲を決定する、
請求項2に記載の交通流制御装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記渋滞流区間、あるいは、前記混雑流区間の長さが所定の長さ以上である場合に、前記シミュレーションを実行する、
請求項3に記載の交通流制御装置。
【請求項5】
前記交通密度算出部は、前記道路上の第1の区間における車両速度の統計量と、交通密度と車両速度との関係を示す関係式とに基づいて、前記第1の区間における交通密度を算出する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の交通流制御装置。
【請求項6】
前記第1の区間は、車両速度の統計量が閾値以下である区間である、
請求項5に記載の交通流制御装置。
【請求項7】
前記交通流制御装置は、機械学習により前記関係式のパラメータを作成するパラメータ作成部を備える、
請求項5または6に記載の交通流制御装置。
【請求項8】
前記交通流制御装置は、
前記道路上の所定の計測地点を走行する車両の検出結果に基づいて、前記所定の計測地点における交通量を算出する交通量算出部を備え、
前記交通密度算出部は、前記所定の計測地点における交通量と、前記所定の計測地点から前記道路上の第2の区間までの区間ごとの車両速度の統計量とに基づいて、前記第2の区間における交通量を算出し、前記第2の区間における交通量と前記第2の区間における車両速度の統計量とに基づいて、前記第2の区間における交通密度を算出する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の交通流制御装置。
【請求項9】
前記第2の区間は、車両速度の統計量が閾値を上回る区間である、
請求項8に記載の交通流制御装置。
【請求項10】
前記決定部は、前記シミュレーションの実行結果に基づく車両加速度および車両減速度の統計量が最も小さい速度制御パターンを前記決定パターンとして決定する、
請求項1~9のいずれか一項に記載の交通流制御装置。
【請求項11】
前記送信制御部は、第1の車載器への前記速度制御情報の送信を制御する、
請求項1~10のいずれか一項に記載の交通流制御装置。
【請求項12】
前記第1の車載器は、
前記速度制御情報を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記速度制御情報に応じた速度によって車両が走行するようにACCモジュールまたは自動運転モジュールを制御する速度制御部と、
を備える、請求項11に記載の交通流制御装置。
【請求項13】
前記第1の車載器は、
前記速度制御情報を受信する受信部と、
前記受信部による前記速度制御情報の受信に基づく提示情報を車両の運転者に提示する運転者提示部と、
を備える、請求項11に記載の交通流制御装置。
【請求項14】
前記第1の車載器は、
前記速度制御情報を受信する受信部と、
前記受信部による前記速度制御情報の受信に基づく提示情報を後続車の運転者に提示する後続車提示部と、
を備える、請求項11に記載の交通流制御装置。
【請求項15】
前記送信制御部は、前記速度制御情報の第1の送信部による前記第1の車載器への送信を制御するとともに、前記速度制御情報を前記第1の送信部とは異なる第2の送信部に出力し、
前記第2の送信部は、前記第1の車載器が使用する第1の通信プロトコルと異なる第2の通信プロトコルに応じて前記速度制御情報のプロトコルを変換し、前記プロトコルの変換後の速度制御情報を前記第2の通信プロトコルを使用する第2の車載器に送信する、
請求項11に記載の交通流制御装置。
【請求項16】
前記送信制御部は、前記道路上に設置された電光掲示板への前記速度制御情報の送信を制御する、
請求項1~10のいずれか一項に記載の交通流制御装置。
【請求項17】
少なくとも道路上の各区間における車両速度の統計量に基づいて、前記各区間における交通密度を算出することと、
前記各区間における交通密度と複数の速度制御パターンとに基づいて、前記複数の速度制御パターンごとに前記各区間における交通密度の変化のシミュレーションを実行し、前記シミュレーションの実行結果に基づく少なくとも車両加速度の統計量が最も小さい速度制御パターンを決定パターンとして決定することと、
前記決定パターンに応じた速度制御情報の送信を制御することと、
を含む、交通流制御方法。
【請求項18】
コンピュータを、
少なくとも道路上の各区間における車両速度の統計量に基づいて、前記各区間における交通密度を算出する交通密度算出部と、
前記各区間における交通密度と複数の速度制御パターンとに基づいて、前記複数の速度制御パターンごとに前記各区間における交通密度の変化のシミュレーションを実行し、前記シミュレーションの実行結果に基づく少なくとも車両加速度の統計量が最も小さい速度制御パターンを決定パターンとして決定する決定部と、
前記決定パターンに応じた速度制御情報の送信を制御する送信制御部と、
を備える交通流制御装置として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通流制御装置、交通流制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路上の交通流を制御する技術として様々な技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、路側機が移動物体の存在確率を表す予測情報を車両に搭載された自動運転装置へ送信することが開示されている(同文献の段落0026参照)。また、特許文献1には、車両が移動物体と衝突する確率を低減するように、各時刻における目標加速度を設定することが開示されている(同文献の段落0071参照)。さらに、特許文献1には、コスト計算のひとつとして、走行パターンの設定期間中の各時刻における車両の目標加速度の絶対値の総和を算出することが開示されている(同文献の段落0077参照)。
【0004】
特許文献2には、走行路には予め目標速度が設定されており、車両の走行速度がその目標速度に追従するように自動制御されることが開示されている(例えば、同文献の段落0015参照)。また、特許文献2には、走行路上のある区間において工事や事故などの突発的な事象が発生したことによって走行路に設定された目標速度が変更される場合があることが開示されている(同文献の段落0025参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6257482号公報
【特許文献2】特許第4760523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、道路上の交通流をより効率よく制御することを可能とする技術が提供されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明のある観点によれば、少なくとも道路上の各区間における車両速度の統計量に基づいて、前記各区間における交通密度を算出する交通密度算出部と、前記各区間における交通密度と複数の速度制御パターンとに基づいて、前記複数の速度制御パターンごとに前記各区間における交通密度の変化のシミュレーションを実行し、前記シミュレーションの実行結果に基づく少なくとも車両加速度の統計量が最も小さい速度制御パターンを決定パターンとして決定する決定部と、前記決定パターンに応じた速度制御情報の送信を制御する送信制御部と、を備える、交通流制御装置が提供される。
【0008】
前記複数の速度制御パターンそれぞれは、前記シミュレーションにおいて車両速度が所定の制御速度に制御される前記道路上の制御範囲と前記制御速度との組み合わせによって構成されてよい。
【0009】
前記決定部は、前記車両速度の統計量が閾値以下である渋滞流区間、あるいは、前記交通密度が閾値以上である混雑流区間の位置を基準として前記制御範囲を決定してもよい。
【0010】
前記決定部は、前記渋滞流区間、あるいは、前記混雑流区間の長さが所定の長さ以上である場合に、前記シミュレーションを実行してもよい。
【0011】
前記交通密度算出部は、前記道路上の第1の区間における車両速度の統計量と、交通密度と車両速度との関係を示す関係式とに基づいて、前記第1の区間における交通密度を算出してもよい。
【0012】
前記第1の区間は、車両速度の統計量が閾値以下である区間であってもよい。
【0013】
前記交通流制御装置は、機械学習により前記関係式のパラメータを作成するパラメータ作成部を備えてもよい。
【0014】
前記交通流制御装置は、前記道路上の所定の計測地点を走行する車両の検出結果に基づいて、前記所定の計測地点における交通量を算出する交通量算出部を備え、前記交通密度算出部は、前記所定の計測地点における交通量と、前記所定の計測地点から前記道路上の第2の区間までの区間ごとの車両速度の統計量とに基づいて、前記第2の区間における交通量を算出し、前記第2の区間における交通量と前記第2の区間における車両速度の統計量とに基づいて、前記第2の区間における交通密度を算出してもよい。
【0015】
前記第2の区間は、車両速度の統計量が閾値を上回る区間であってもよい。
【0016】
前記決定部は、前記シミュレーションの実行結果に基づく車両加速度および車両減速度の統計量が最も小さい速度制御パターンを前記決定パターンとして決定してもよい。
【0017】
前記送信制御部は、第1の車載器への前記速度制御情報の送信を制御してもよい。
【0018】
前記第1の車載器は、前記速度制御情報を受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記速度制御情報に応じた速度によって車両が走行するようにACCモジュールまたは自動運転モジュールを制御する速度制御部と、を備えてもよい。
【0019】
前記第1の車載器は、前記速度制御情報を受信する受信部と、前記受信部による前記速度制御情報の受信に基づく提示情報を車両の運転者に提示する運転者提示部と、を備えてもよい。
【0020】
前記第1の車載器は、前記速度制御情報を受信する受信部と、前記受信部による前記速度制御情報の受信に基づく提示情報を後続車の運転者に提示する後続車提示部と、を備えてもよい。
【0021】
前記送信制御部は、前記速度制御情報の第1の送信部による前記第1の車載器への送信を制御するとともに、前記速度制御情報を前記第1の送信部とは異なる第2の送信部に出力し、前記第2の送信部は、前記第1の車載器が使用する第1の通信プロトコルと異なる第2の通信プロトコルに応じて前記速度制御情報のプロトコルを変換し、前記プロトコルの変換後の速度制御情報を前記第2の通信プロトコルを使用する第2の車載器に送信してもよい。
【0022】
前記送信制御部は、前記道路上に設置された電光掲示板への前記速度制御情報の送信を制御してもよい。
【0023】
また、本発明の別の観点によれば、少なくとも道路上の各区間における車両速度の統計量に基づいて、前記各区間における交通密度を算出することと、前記各区間における交通密度と複数の速度制御パターンとに基づいて、前記複数の速度制御パターンごとに前記各区間における交通密度の変化のシミュレーションを実行し、前記シミュレーションの実行結果に基づく少なくとも車両加速度の統計量が最も小さい速度制御パターンを決定パターンとして決定することと、前記決定パターンに応じた速度制御情報の送信を制御することと、を含む、交通流制御方法が提供される。
【0024】
また、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、少なくとも道路上の各区間における車両速度の統計量に基づいて、前記各区間における交通密度を算出する交通密度算出部と、前記各区間における交通密度と複数の速度制御パターンとに基づいて、前記複数の速度制御パターンごとに前記各区間における交通密度の変化のシミュレーションを実行し、前記シミュレーションの実行結果に基づく少なくとも車両加速度の統計量が最も小さい速度制御パターンを決定パターンとして決定する決定部と、前記決定パターンに応じた速度制御情報の送信を制御する送信制御部と、を備える交通流制御装置として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によれば、道路上の交通流をより効率よく制御することを可能とする技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】アコーディオン現象を説明するための図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る交通流制御装置の機能構成例を示す図である。
【
図3】共通パラメータ記憶部によって記憶される各種の共通パラメータの例を示す図である。
【
図4】フリーフローデータ記憶部によって記憶されるフリーフローデータの例を示す図である。
【
図5】プローブデータ記憶部によって記憶されるプローブデータの例を示す図である。
【
図6】交通密度(K)と速度(V)との組とKV関係式とを示す図である。
【
図7】KVパラメータ作成部によって実行されるKVパラメータ作成処理の例を示すフローチャートである。
【
図8】推定地点に到達した車両の計測地点における通過時刻の算出例を説明するための図である。
【
図9】計測地点における交通量から推定地点における交通量を算出する例を説明するための図である。
【
図10】交通密度算出部によって実行される交通密度算出処理の例を示すフローチャートである。
【
図11】速度制御パターンの生成例について説明するための図である。
【
図12】シミュレーションの実行に用いられる交通密度の例を示す図である。
【
図13】最適な速度制御パターンの例について説明するための図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る交通流制御装置の例としての情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合がある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、異なる実施形態の類似する構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0029】
(0.概要)
まず、本発明の実施形態の概要について説明する。
【0030】
近年、道路上の交通流を制御する手法として様々な手法が知られている。例えば、上記したように、特許文献1に開示された技術、および、特許文献2に開示された技術などが挙げられる。
【0031】
特許文献1に開示された技術によれば、単独の車両の効率的な制御が可能となり、例えば、無駄な加減速を軽減させることが可能となるといった効果を奏することが期待され得る。しかし、道路上に複数の車両が存在する場合には、前方車両の影響が後方車両に及ぶため、特許文献1に開示された技術では、各車両を統合的に制御することができない可能性が高い。
【0032】
例えば、特許文献1に開示された技術では、渋滞流でのいわゆるアコーディオン現象という、加速および減速を繰り返す現象を回避することができない。
【0033】
図1は、アコーディオン現象を説明するための図である。例えば、交通流シミュレーション(参考文献:今枝勇太,渡邊晃,旭健作.シミュレーションによるCACCの渋滞改善効果の調査.第78回全国大会講演論文集.2016 Mar 10;2016(1):373-4.)では、
図1に示すように、1台目の車両が90km/hから75km/hに減速すると、2台目以降の車両の速度の低下が大きくなり、10台目の車両が減速および加速を繰り返す現象が示されている。実際の観測値でも、このような減速および加速を繰り返す現象が見られる(
図13の「観測値」)。
【0034】
また、特許文献2に開示された技術は、設定された目標速度に対して車両を制御する技術であり、効率的な交通流のためにどのように目標速度を設定すればいいかを決める技術ではない。
【0035】
本明細書においては、道路上の交通流全体をより効率よく制御することを可能とする技術について主に説明する。より詳細に、本明細書においては、無駄な加減速を軽減することを可能とし、渋滞末尾における追突事故を軽減することを可能とする技術について説明する。
【0036】
以上、本発明の実施形態の概要について説明した。
【0037】
(1.実施形態の詳細)
まず、本発明の実施形態の詳細について説明する。
【0038】
(1-1.交通流制御装置の構成)
まず、本発明の実施形態に係る交通流制御装置1の構成例について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る交通流制御装置1の機能構成例を示す図である。
【0039】
図2を参照すると、道路上を走行する車両の例として、車両M1~M3が示されている。さらに、
図2を参照すると、奥側のレーンを、車両M1と車両M2とが走行しており(車両M2に続いて車両M1が走行しており)、手前側のレーンを、奥側のレーンの車両M1および車両M2とは逆向きに車両M3が走行している。このように、本発明の実施形態では、道路が複数レーンによって構成される場合を主に想定するが、道路は1つのレーンによって構成されていてもよい。車両M1~M3それぞれは、車載器160を搭載している。
【0040】
本発明の実施形態に係る交通流制御装置1は、走行履歴データ記憶部121と、プローブデータ記憶部122と、フリーフローデータ記憶部123と、交通量データ記憶部124と、KVパラメータ記憶部126と、共通パラメータ記憶部127とを備える。また、本発明の実施形態に係る交通流制御装置1は、統計処理部131と、交通量算出部133と、交通流最適化部140と、KVパラメータ作成部150とを備える。
【0041】
走行履歴データ記憶部121には、プローブアンテナ112が接続されており、フリーフローデータ記憶部123には、フリーフローアンテナ114が接続されている。また、交通流最適化部140には、情報配信アンテナ116が接続されている。
【0042】
統計処理部131と、交通量算出部133と、交通流最適化部140と、KVパラメータ作成部150とは、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置を含み、ROM(Read Only Memory)により記憶されているプログラムが演算装置によりRAMに展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。
【0043】
あるいは、統計処理部131と、交通量算出部133と、交通流最適化部140と、KVパラメータ作成部150とは、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。演算装置による演算に必要なデータは、図示しない記憶部によって適宜記憶される。
【0044】
走行履歴データ記憶部121と、プローブデータ記憶部122と、フリーフローデータ記憶部123と、交通量データ記憶部124と、KVパラメータ記憶部126と、共通パラメータ記憶部127とは、図示しない記憶部によって記憶される。かかる記憶部は、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブまたはフラッシュメモリなどのメモリによって構成されてよい。
【0045】
(共通パラメータ記憶部127)
共通パラメータ記憶部127は、各種の共通パラメータをあらかじめ記憶している。ここで、
図3を参照しながら、共通パラメータの例について説明する。
【0046】
図3は、共通パラメータ記憶部127によって記憶される各種の共通パラメータの例を示す図である。
【0047】
図3に示されるように、共通パラメータ記憶部127は、時間幅71、走行履歴地点幅72および最適化実行時間間隔73それぞれを共通パラメータの例として記憶している。さらに、共通パラメータ記憶部127は、渋滞判定速度741および渋滞判定距離742それぞれを共通パラメータの例として記憶している。また、共通パラメータ記憶部127は、速度制御上流最大範囲751、速度制御最低速度752、速度制御最高速度753および速度制御幅754それぞれを共通パラメータの例として記憶している。
【0048】
(フリーフローアンテナ114)
フリーフローアンテナ114は、道路上の各位置を走行する車両の検出を行う車両検出部の一例として機能する。すなわち、本発明の実施形態では、車両検出部が、フリーフローアンテナ114を含む場合を主に想定する。これによって、既に構築されているETC(Electronic Toll Collection)システムのETCフリーフローアンテナが車両検出部として用いられ得るため、新たに車両検出部を設ける必要がない。しかし、フリーフローアンテナ114の代わりに、他の車両検出部(例えば、車両感知器、赤外線センサまたは超音波センサなど)が用いられてもよい。
【0049】
より詳細には、フリーフローアンテナ114は、車両に搭載された車載器160との間の通信によって車両から車両の識別情報(車両ID)を受信することによって車両をリアルタイムに検出する。本発明の実施形態では、車載器160の例として、ETC車載器が用いられる場合を主に想定する。なお、フリーフローアンテナ114は、複数のバージョンのETC車載器に対応している場合が想定される一方、後に説明するプローブアンテナ112は、特定のバージョンのETC車載器にしか対応していない場合が想定される。すなわち、フリーフローアンテナ114は、プローブアンテナ112よりも、より多くの車両を検出し得る。
【0050】
なお、車両が検出される道路上の「各位置」は、車両検出部によって検出可能な車両の位置であれば、特に限定されない。以下では、フリーフローアンテナ114によって車両が検出され得る道路上の各位置を、単に「フリーフローアンテナ位置」と言う場合がある。
【0051】
フリーフローアンテナ114は、車両に搭載された車載器との間の通信によって車両IDを受信することによって車両をリアルタイムに検出すると、車両の検出結果(以下、「フリーフローデータ」とも言う。)をフリーフローデータ記憶部123にリアルタイムに出力する。そして、フリーフローアンテナ114からフリーフローデータ記憶部123にリアルタイムに出力された車両の検出結果は、交通量算出部133によって、リアルタイムに利用され得る。
【0052】
ここで、「リアルタイム」は、フリーフローアンテナ位置に車両が到達してから道路上の交通状態が変化してしまう前までの短時間のいずれかのタイミングを意味し得る。このタイミングに車両が検出されれば、道路上の交通状態が変化してしまう前に、車両が検出された時点の交通状態に応じた何らかの措置が講じられ得る。
【0053】
図4は、フリーフローデータ記憶部123によって記憶されるフリーフローデータの例を示す図である。
図4に示されるように、フリーフローデータは、「車両ID」と「通過時刻」とが対応付けられてなる。「車両ID」は、フリーフローアンテナ114と車両に搭載された車載器160との間の通信によって車両から受信された車両の識別情報である。「通過時刻」は、フリーフローアンテナ114によって車両から車両IDが受信された時刻であり、フリーフローアンテナ位置を車両が通過した時刻に相当し得る。
【0054】
(交通量算出部133)
交通量算出部133は、フリーフローアンテナ位置を走行する車両の検出結果(フリーフローデータ)をフリーフローデータ記憶部123(
図4)から取得する。そして、交通量算出部133は、フリーフローデータ(車両IDおよび通過時刻)に基づいて、フリーフローアンテナ位置を、あらかじめ設定された単位時間あたりに通過した車両の数(フリーフローアンテナ114によって単位時間あたりに検出された車両IDの数)を、フリーフローアンテナ位置の交通量として算出する。交通量算出部133による交通量の算出は、単位時間ごとに繰り返し行われればよい。
【0055】
なお、フリーフローアンテナ位置を通過した全部の車両に、フリーフローアンテナ114と通信可能な車載器160が搭載されているとは限らない。すなわち、フリーフローアンテナ114によってフリーフローアンテナ位置を通過した全部の車両が検出されるとは限らない。したがって、フリーフローアンテナ114と通信可能な車載器160が搭載された車両の、(フリーフローアンテナ114と通信可能な車載器160が搭載されていない車両を含んだ)車両全体に対する割合を「車載器搭載割合」としてあらかじめ設定し、フリーフローアンテナ114によって検出された車両の数を「検出車両数」とした場合、交通量算出部133は、下記の式(1)によって、フリーフローアンテナ位置の交通量をより高精度に推定するのが望ましい。
【0056】
(交通量の推定値)=(検出車両数)÷(車載器搭載割合)・・・(1)
【0057】
しかし、フリーフローアンテナ114と通信可能な車載器160が十分に普及している場合などには、かかる推定は省略されてもよい。交通量算出部133によって推定された交通量とその交通量に対応する単位時間とは、交通量データとして交通量が推定される度に交通量データ記憶部124に出力される。
【0058】
(プローブアンテナ112)
プローブアンテナ112は、車両の走行履歴データを取得する走行履歴データ取得部の一例として機能する。すなわち、本発明の実施形態では、走行履歴データ取得部が、プローブアンテナ112を含む場合を主に想定する。これによって、既に構築されているETCシステムのETCプローブアンテナが走行履歴データ取得部として用いられ得るため、新たに走行履歴データ取得部を設ける必要がない。しかし、プローブアンテナ112の代わりに、他の走行履歴データ取得部(例えば、携帯基地局など)が用いられてもよい。
【0059】
より詳細に、プローブアンテナ112は、車両に搭載された車載器との間の通信によって車両から走行履歴データを取得すると、取得した走行履歴データを走行履歴データ記憶部121に出力する。そして、プローブアンテナ112から走行履歴データ記憶部121に出力された走行履歴データは、統計処理部131によって利用され得る。
【0060】
なお、走行履歴データは、走行履歴地点幅72(例えば、100m)ごとの道路上の各区間(キロポスト間)を時間幅71(例えば、1分間)ごとに走行した各車両の速度と、プローブアンテナ112によって速度が収集された時刻である収集時刻とを含む。
【0061】
(統計処理部131)
統計処理部131は、走行履歴データ記憶部121から走行履歴データを取得し、走行履歴データに対して統計処理を施し、統計処理後の走行履歴データをプローブデータとしてプローブデータ記憶部122に出力する。そして、統計処理部131からプローブデータ記憶部122に出力されたプローブデータは、KVパラメータ作成部150によって利用され得る。
【0062】
例えば、統計処理部131は、走行履歴地点幅72ごとの道路上の各区間(キロポスト間)を時間幅71ごとに走行した1または複数の車両の速度に対して所定の統計処理(例えば、平均化処理など)を施す。これによって、道路上の各区間における単位時間ごとの車両速度の統計量が得られる。なお、平均化処理の例としては、調和平均を取る処理などが挙げられる。
【0063】
図5は、プローブデータ記憶部122によって記憶されるプローブデータの例を示す図である。
図5に示されるように、プローブデータは、「通過時刻」と「キロポスト」と「車両速度」と「収集時刻」とが対応付けられてなる。
【0064】
「通過時刻」は、道路の起点からの距離標(キロポスト)を車両が通過した時刻である。「キロポスト」は、道路の起点からの距離標である。
【0065】
「速度」は、道路上の各区間(キロポスト間)を時間幅71(通過時刻間)ごとに走行した1または複数の車両速度の統計量(例えば、平均速度)である。例えば、「速度:80km/h」は、「キロポスト:100」から「キロポスト:100.1」までを、「通過時刻:2019年01月01日10時23分」から「2019年01月01日10時24分」までに走行した1または複数の車両の速度の統計量である。
【0066】
「収集時刻」は、プローブアンテナ112によって車両速度が収集された時刻である。
【0067】
(KVパラメータ作成部150)
KVパラメータ作成部150は、プローブデータ記憶部122からフリーフローアンテナ位置ごとの所定期間分の速度および単位時間を取得する。さらに、KVパラメータ作成部150は、交通量データ記憶部124からフリーフローアンテナ位置ごとの所定期間分の交通量データ(交通量および単位時間)を取得する。
【0068】
KVパラメータ作成部150は、所定期間分の交通量および単位時間と、当該所定期間分の速度および単位時間とに基づいて、機械学習により交通密度(K)と速度(V)との対応関係(以下の例では、近似式)を示すパラメータをフリーフローアンテナ位置ごとに作成する。
【0069】
より詳細には、KVパラメータ作成部150は、同一の単位時間および同一のフリーフローアンテナ位置に対応する交通量(Q)と速度(V)とを対応付ける。そして、KVパラメータ作成部150は、下記の式(2)によって、対応付けられた交通量(Q)および速度(V)ごとに、交通密度(K)を算出する。
【0070】
K=Q×1/(V×60)・・・(2)
【0071】
ただし、Kは、交通密度(台/km)を示し、Qは、交通量(台/分)を示し、Vは、速度(km/時間)を示す。KVパラメータ作成部150は、対応する交通密度(K)と速度(V)との組を所定の関係で近似し、近似によって得られた近似式(KV関係式)のパラメータをKVパラメータとして作成する。
【0072】
ここでは、KVパラメータ作成部150は、渋滞流に対応する近似式のパラメータを作成する場合を想定する。より詳細に、KVパラメータ作成部150は、渋滞判定速度741(例えば、高速道では40km/hなど)以下の速度(V)とその速度(V)に対応する交通密度(K)との組を所定の関係で近似することによって、渋滞流に対応するKV関係式のパラメータを作成する場合を想定する。例えば、KV関係式は、下記の式(3)によって表現される指数関数であってよい。
【0073】
V=a×exp(-b×K)・・・(3)
【0074】
ただし、Kは、交通密度(台/km)を示し、Vは、速度(km/時間)を示し、aおよびbは、KVパラメータである。
【0075】
図6は、交通密度(K)と速度(V)との組とKV関係式とを示す図である。
図6に示された例において、横軸は、交通密度(K)を示しており、縦軸は、速度(V)を示している。かかるKV図において、交通密度(K)と速度(V)とが対応付けられた各組が、各点としてプロットされている。また、
図6を参照すると、これらの組を近似して得られるKV関係式を示す指数関数が示されている。
【0076】
KVパラメータ作成部150は、作成したKVパラメータを、KVパラメータ記憶部126に保存する。なお、典型的には、所定期間は、1カ月であってよい。しかし、所定期間は、1カ月に限定されない。例えば、所定期間は、1日であってもよい。
【0077】
図7は、KVパラメータ作成部150によって実行されるKVパラメータ作成処理の例を示すフローチャートである。まず、KVパラメータ作成部150は、プローブデータ記憶部122からフリーフローアンテナ位置ごとの所定期間分の速度および単位時間を取得する(S11)。また、KVパラメータ作成部150は、交通量データ記憶部124からフリーフローアンテナ位置ごとの所定期間分の交通量データ(交通量および単位時間)を取得する(S12)。
【0078】
KVパラメータ作成部150は、KVパラメータ作成部150は、同一の単位時間および同一のフリーフローアンテナ位置に対応する交通量(Q)と速度(V)とを対応付ける。そして、KVパラメータ作成部150は、対応付けられた交通量(Q)および速度(V)ごとに、交通密度(K)を算出する(S13)。
【0079】
KVパラメータ作成部150は、交通密度(K)と速度(V)との関係を示すKV関係式のパラメータを機械学習により作成する(S14)。より詳細に、KVパラメータ作成部150は、対応する交通密度(K)と速度(V)との組を所定の関係(例えば、指数関数など)で近似し、近似によって得られたKV関係式のパラメータをKVパラメータとして作成する。ここでは、KVパラメータ作成部150は、渋滞流に対応する近似式のパラメータを作成する場合を想定する。
【0080】
KVパラメータ作成部150は、作成したKVパラメータを、KVパラメータ記憶部126に保存する(S15)。
【0081】
(交通密度算出部141)
交通密度算出部141は、あらかじめ設定された最適化実行時間間隔73(例えば、5分間隔など)に、現在時刻から所定の設定時間前(例えば、1時間前など)までにおける、区間ごとの速度および単位時間をプローブデータ記憶部122から取得する。また、交通密度算出部141は、最適化実行時間間隔73に、現在時刻から所定の設定時間前までにおける、フリーフローアンテナ位置ごとの交通量データ(交通量および単位時間)を交通量データ記憶部124から取得する。
【0082】
交通密度算出部141は、少なくとも各区間における速度に基づいて、各区間における交通密度を算出する。ここで、各区間における交通密度の算出は、具体的にどのようにして算出されてもよい。
【0083】
例えば、交通密度算出部141は、KVパラメータ記憶部126からKVパラメータを取得し、道路上のある対象区間(第1の区間)における交通密度を、その対象区間における速度と、KVパラメータによって規定されるKV関係式とに基づいて算出してもよい。
【0084】
より詳細に、交通密度算出部141は、渋滞流である区間、すなわち、速度が渋滞判定速度741(閾値)以下である対象区間における交通密度を、その対象区間における速度とKV関係式とに基づいて算出してもよい。
【0085】
また、交通密度算出部141は、道路上のある対象区間(第2の区間)を基準としたフリーフローアンテナ位置を計測位置とし、その対象区間に応じた地点を推定地点とし、対象区間における交通密度を、推定地点における交通量および対象区間における速度に基づいて算出してもよい。例えば、計測地点は、対象区間から上流のフリーフローアンテナ位置(例えば、対象区間から最も近い上流のフリーフローアンテナ位置など)であってよい。また、推定地点は、対象区間の起点などであってよい。
【0086】
より詳細に、交通密度算出部141は、速度が渋滞判定速度741(閾値)を上回る対象区間における交通密度を、推定地点における交通量および対象区間における速度に基づいて算出してもよい。例えば、交通密度算出部141は、推定地点における交通量を、交通量算出部133によって算出された計測地点における交通量と、計測地点からその対象区間までの区間ごとの速度とに基づいて算出し得る。
【0087】
図8および
図9を参照しながら、推定地点における交通量および対象区間における速度に基づいて対象区間における交通密度を算出する手法の例について説明する。
【0088】
図8は、推定地点に到達した車両の計測地点における通過時刻の算出例を説明するための図である。
図8に示された例において、横軸は、道路上における距離(右方向が道路の下流方向)を示し、横軸は、時刻(下方向が時間の経過方向)を示す。走行履歴データにおける区間(キロポスト間)および単位時間(通過時刻間)に対応する速度が、その区間および単位時間に対応する矩形(時空間範囲)内の色の濃さによって示されている。この例では、矩形内の色が濃いほど速度が低くなっている。
【0089】
交通密度算出部141は、それぞれの区間および時間に対応する速度に基づいて、推定地点および推定地点における時刻から、上流および過去に向かって計測地点までの軌跡を算出する。より詳細に、交通密度算出部141は、推定地点および推定地点における時刻から、それぞれの区間および時間に対応する速度に応じた傾きの直線によって矩形内を移動し、矩形の境界においては隣接し合う矩形間を移動するように軌跡を算出する。
【0090】
これによって、交通密度算出部141は、軌跡が到達した計測地点における時刻を、計測地点における通過時刻として得ることができる。
図8を参照すると、2台の車両の軌跡が描かれている。ここで、2台の車両の推定地点への到達時刻間における交通量と、その2台の車両の計測地点における通過時刻間における交通量とは一致すると見なされ得る。
【0091】
図9は、計測地点における交通量から推定地点における交通量を算出する例を説明するための図である。
図9を参照すると、推定地点への到達時刻間における交通量Qと、計測地点における通過時刻間における交通量Qとが示されている。ここで、計測地点における通過時刻間における交通量は、交通量データ記憶部124に保存されている。したがって、交通密度算出部141は、交通量データ記憶部124から計測地点における通過時刻間における交通量Qを取得し得る。
【0092】
交通密度算出部141は、計測地点における通過時刻間における交通量Qから、推定地点への到達時刻差と計測地点における通過時刻差との比によって、推定地点における交通量を算出し得る。例えば、計測地点における通過時刻差をt1とし、推定地点への到達時刻差をt2とすると、交通密度算出部141は、計測地点における通過時刻間における交通量Qに対して、t1/t2を乗じることによって、推定地点における交通量を算出し得る。
【0093】
図10は、交通密度算出部141によって実行される交通密度算出処理の例を示すフローチャートである。まず、交通密度算出部141は、あらかじめ設定された最適化実行時間間隔73に、現在時刻から所定の設定時間前までにおける、区間ごとの速度および単位時間をプローブデータ記憶部122から取得する(S21)。
【0094】
また、交通密度算出部141は、最適化実行時間間隔73に、現在時刻から所定の設定時間前までにおける、フリーフローアンテナ位置ごとの交通量データ(交通量および単位時間)を交通量データ記憶部124から取得する(S22)。交通密度算出部141は、対象区間の速度が渋滞流の速度、すなわち、渋滞判定速度741(閾値)以下の速度であるかを判定する(S23)。
【0095】
交通密度算出部141は、対象区間の速度が渋滞流の速度である場合(S23において「YES」)、その対象区間における速度とKV関係式とに基づいてその対象区間における交通密度を算出する(S24)。一方、交通密度算出部141は、対象区間の速度が自由流の速度である場合(S23において「NO」)、車両追跡により計測地点における交通量を算出し、算出した計測地点における交通量と、計測地点からその対象区間までの区間ごとの速度とに基づいて、その対象区間における交通密度を算出する(S25)。
【0096】
(交通流シミュレーション部142)
交通流シミュレーション部142は、決定部の例として機能する。
【0097】
(速度制御パターンの生成)
交通流シミュレーション部142は、複数の速度制御パターンを生成する。ここで、複数の速度制御パターンそれぞれは、シミュレーションにおいて車両速度が所定の制御速度に制御される道路上の制御範囲と制御速度との組み合わせによって構成される。例えば、交通流シミュレーション部142は、速度が渋滞判定速度741以下である渋滞流地点、あるいは、交通密度が混雑判定交通密度(例えば、高速道では20台/km・車線)以上である混雑流地点の位置を基準として制御範囲を決定する。これによって、渋滞流が低減されること、あるいは、渋滞の発生を抑制することが期待され得る。なお、混雑判定交通密度は、閾値の例に該当し得る。
【0098】
図11を参照しながら、速度制御パターンの生成例について説明する。
図11は、速度制御パターンの生成例について説明するための図である。
図11を参照すると、速度の計測起点と計測終点とが示されている。時刻tにおける計測起点から計測終点までの各区間における速度(観測値)に基づく交通密度が算出済みである。このとき、時刻t+1における速度制御パターンを生成することを考える。
【0099】
図11には、「渋滞流地点」が示されている。交通流シミュレーション部142は、時刻tにおいて速度が渋滞判定速度741以下である区間の位置を渋滞流地点の位置であるとして検出する。なお、交通流シミュレーション部142は、時刻tにおいて交通密度が混雑判定交通密度以上である区間の位置を混雑流地点の位置であるとして検出してもよい。以下では、交通流シミュレーション部142によって渋滞流地点が検出される場合について説明するが、以下の説明において、渋滞流地点は混雑流地点に置き換えられてもよい。
【0100】
このとき、交通流シミュレーション部142は、渋滞流地点の位置が検出された場合に、常にシミュレーションを実行してもよいし、渋滞流地点の長さが渋滞判定距離742(所定の長さ)以上である場合に、シミュレーションを実行してもよい。計測対象の道路が一般道である場合などには、渋滞判定距離742は100mなどであってもよい。あるいは、計測対象の道路が高速道である場合などには、渋滞判定距離742は500mなどであってもよい。
【0101】
交通流シミュレーション部142は、この時刻tにおける渋滞流地点の位置を基準として制御範囲を決定する。より詳細に、交通流シミュレーション部142は、渋滞流地点の位置の起点を、上流側に速度制御幅754(例えば、1km)ずつ、速度制御上流最大範囲751(例えば、5km)まで移動させた各位置を、制御範囲の起点P1~P5として算出する。さらに、交通流シミュレーション部142は、制御範囲の起点P1~P5を下流側に速度制御幅754(例えば、1km)だけ移動させた各位置を制御範囲の終点R1~R5として算出する。
【0102】
また、交通流シミュレーション部142は、速度制御最低速度752から速度制御幅754ずつ速度制御最高速度753まで増加させた各速度を、制御速度V1~V6(20km/h~70km/h)として算出する。
【0103】
交通流シミュレーション部142は、このようにして算出した、(起点、終点、速度)の組み合わせを速度制御パターンとし、複数の速度制御パターンを生成する。
図11に示した例では、15通り(起点と終点の組み合わせ数)×6通り(速度のパターン数)=90通りの速度制御パターンが生成される。しかし、
図11に示された速度制御パターンの生成例は、一例に過ぎない。したがって、速度制御パターンの生成は、
図11に示された例に限定されない。
【0104】
(シミュレーションの実行)
交通流シミュレーション部142は、このようにして生成した複数の速度制御パターンと、交通密度算出部141によって算出された各区間における交通密度とに基づいて、速度制御パターンごとに各区間における交通密度の変化のシミュレーションを実行する。
図12および
図13を参照しながら、シミュレーションの実行について説明する。
【0105】
図12は、シミュレーションの実行に用いられる交通密度の例を示す図である。上記したように、複数の速度制御パターン(
図11に示された例では、90通りの速度制御パターン)それぞれに対するシミュレーションが実行される。
図12に示された例では、90通りの速度制御パターンのうち、1つの速度制御パターン(起点、終点、速度)=(P5,R5,V4)に対するシミュレーションが実行される場合を想定する。
【0106】
図12を参照すると、交通密度算出部141によって算出された、時刻tにおける各区間m(1≦m≦n)における交通密度K
m(t)が示されている。これらは交通密度の観測値である。さらに、交通流シミュレーション部142は、KV関係式に基づいて、速度制御パターンに含まれる速度V4(=50km/h)を交通密度K
V4(t+1)に変換する。
図12に示すように、交通密度K
V4(t+1)は、速度制御パターンに含まれる起点P5から終点R5までの時刻t+1における交通密度K
V4(t+1)として用いられる。
【0107】
一例として、交通流シミュレーション部142は、時刻tにおける各区間m(1≦m≦n)における交通密度Km(t)と、時刻t+1における交通密度KV4(t+1)とをシミュレーションに対する入力としてシミュレーションを実行させる。そして、これらの入力に基づいて、時刻t+1における起点P5から終点R5までの区間以外の区間における交通密度、および、時刻t+2における各区間における交通密度がシミュレーションの実行結果として出力される。
【0108】
なお、シミュレーションとしては、例えば、東京大学が開発しているADVENTURE_Mates(参考文献:飯田義之,藤井秀樹,and 吉村忍.“交通流シミュレーションの遠隔実行環境の開発と評価.”計算力学講演会講演論文集 2016.29.一般社団法人 日本機械学会,2016.)あるいは、主にドイツ航空宇宙局にある交通システム研究所が開発しているSUMO(Simulation of Urban Mobility;URL:https://kudzuyu.github.io/SUMO-wiki-ja/)などが利用され得る。
【0109】
(制御パターンの決定)
交通流シミュレーション部142は、シミュレーションの実行結果に基づく少なくとも車両加速度の統計量(例えば、中央値、平均値またはトリム平均値など)が最も小さい速度制御パターンを決定パターン(最適な速度制御パターン)として決定する。例えば、車両加速度の統計量の最も小さい速度制御パターンは、車両からの二酸化炭素の排出量の低減に寄与し得る。
【0110】
より詳細に、交通流シミュレーション部142は、複数の速度制御パターンそれぞれについて、KV関係式に基づいて、時刻t+2における各区間における交通密度を速度に変換する。そして、交通流シミュレーション部142は、時刻t+2における計測起点から計測終点までの各区間における速度に基づいて、少なくとも車両加速度の統計量が最も小さい速度制御パターンを決定パターンとして決定する。
【0111】
交通流シミュレーション部142は、車両加速度に追加して車両減速度を加味して決定パターンを決定してもよい。すなわち、交通流シミュレーション部142は、シミュレーションの実行結果に基づく車両加速度および車両減速度の統計量(例えば、中央値、平均値またはトリム平均値など)が最も小さい速度制御パターンを決定パターンとして決定してもよい。例えば、車両減速度の統計量の最も小さい速度制御パターンは、車両の運転手に掛かる運転負担の軽減に寄与し得る。
【0112】
より詳細に、交通流シミュレーション部142は、複数の速度制御パターンそれぞれについて、KV関係式に基づいて、時刻t+2における各区間における交通密度を速度に変換する。そして、交通流シミュレーション部142は、時刻t+2における計測起点から計測終点までの各区間における速度に基づいて、車両加速度および車両減速度の統計量が最も小さい速度制御パターンを決定パターンとして決定してもよい。
【0113】
図13は、最適な速度制御パターンの例について説明するための図である。
図13のグラフの横軸は、計測起点から計測終点までの計測範囲それぞれの位置を示し、グラフの縦軸は、車両速度を示している。
【0114】
ここで、「観測値」は、実際に計測された区間ごとの速度であり、速度が40km/h以下に低下した渋滞流地点が発生している。一方、「シミュレーション最適値」は、渋滞流地点よりも5km上流から4km上流まで50km/hに速度を制御する速度制御パターンが決定された場合における、シミュレーションの実行結果に基づく車両速度を示しており、車両速度が40km/hより高い状態が維持されている。
【0115】
(情報配信アンテナ116)
情報配信アンテナ116は、車両に搭載された車載器160との間で通信を行う。一例として、情報配信アンテナ116は、送信制御部143による制御に従って、決定パターンに応じた速度制御情報を車載器160に送信する。なお、情報配信アンテナ116は、プローブアンテナ112と一体化されていてもよいし、プローブアンテナ112とは別に存在してもよい。例えば、情報配信アンテナ116は、携帯基地局であってもよい。
【0116】
(送信制御部143)
送信制御部143は、交通流シミュレーション部142によって複数の速度制御パターンから決定された決定パターンに応じた速度制御情報の情報配信アンテナ116による送信を制御する。例えば、送信制御部143は、車両に搭載された車載器160(第1の車載器)への速度制御情報の情報配信アンテナ116による送信を制御する。
【0117】
なお、送信制御部143は、速度制御情報に、決定パターンに含まれる速度を含めてよい。さらに、送信制御部143は、速度制御情報に、決定パターンに含まれる起点および終点を含めてよい。ただし、送信制御部143は、決定パターンに含まれる起点または終点に応じた位置の情報配信アンテナ116(例えば、起点または終点から最も近い情報配信アンテナ116)に対して送信制御情報を出力する場合には、速度制御情報に、決定パターンに含まれる起点および終点を含めなくてもよい。
【0118】
(車載器160)
車載器160は、情報配信アンテナ116によって送信された速度制御情報を受信する受信部を備える。さらに、車載器160は、受信部によって受信された速度制御情報に応じた速度によって車両が走行するようにACC(Adaptive Cruise Control)モジュールまたは自動運転モジュールを制御する速度制御部を備える。
【0119】
例えば、速度制御部は、速度制御情報に含まれる速度によって車両が走行するようにACCモジュールまたは自動運転モジュールを制御する。このとき、ACCモジュールまたは自動運転モジュールは、速度制御部による制御に従って、車両の速度を制御する。ただし、ACCモジュールまたは自動運転モジュールは、車載カメラまたはセンサなどによって取得された情報に基づく事故回避のための車両速度の制御をより優先する。
【0120】
例えば、速度制御部は、速度制御情報に起点が含まれる場合には、車両の現在位置が速度制御情報に含まれる起点よりも所定の距離だけ手前の地点に達したことが検出された場合に、速度制御情報に含まれる速度によって車両が走行するようにACCモジュールまたは自動運転モジュールを制御してもよい。
【0121】
以上、本発明の実施形態に係る交通流制御装置1の構成例について説明した。
【0122】
(1-2.効果)
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る交通流制御装置1は、道路上の各区間における交通密度と複数の速度制御パターンとに基づいて、速度制御パターンごとに各区間における交通密度の変化のシミュレーションを実行し、シミュレーションの実行結果に基づく少なくとも車両加速度の統計量が最も小さい速度制御パターンを決定パターンとして決定する交通流シミュレーション部142を備える。また、交通流制御装置1は、決定パターンに応じた速度制御情報の送信を制御する送信制御部を備える。
【0123】
かかる構成によれば、道路上の交通流をより効率よく制御することが可能となる。さらに、かかる構成によれば、車両の加速が低減されるため、車両からの二酸化酸素の排出量も削減され得る。また、より緩やかに減速する速度制御パターンが決定されれば、渋滞末尾への追突事故が防止されるという効果も奏され得る。
【0124】
以上、本発明の実施形態に係る交通流制御装置1が奏する効果について説明した。
【0125】
(2.各種の変形例)
続いて、各種の変形例について説明する。上記したように、車載器160は、情報配信アンテナ116によって送信された速度制御情報を受信する受信部を備える。さらに、車載器160は、情報配信アンテナ116によって送信された速度制御情報の受信に基づく提示情報を車両の運転者に提示する運転者提示部を備えてもよい。
【0126】
これによって、ACCモジュールまたは自動運転モジュールと接続されていない車載器160においても、速度制御情報の受信に基づく提示情報を運転者に知らせることができる。そのため、提示情報に従って運転者が車両の運転をすることによって、上記した実施形態と同様に、車両からの二酸化酸素の排出量が削減され得る他、渋滞末尾への追突事故が防止されるという効果が奏され得る。
【0127】
例えば、運転者提示部は、ディスプレイまたはスピーカなどの提示装置によって構成されてよい。
【0128】
図14は、提示情報の提示例を示す図である。
図14に示したように、提示情報は、ディスプレイ161によって表示される表示情報G10、および、スピーカによって出力される音声情報D10を含み得る。なお、速度制御情報が速度の制御指示を含む場合には、
図14に示すように、提示情報は、単に速度を制限することを示す情報「この先渋滞、追突注意」などであってもよい。
【0129】
あるいは、速度制御情報に速度が含まれる場合には、提示情報は、その速度を示す情報を含んでもよい。例えば、音声情報D10は、速度を示す情報「時速50km/hまで速度を下げてください」などを含んでもよい。あるいは、表示情報G10は、速度を示す情報「50」の点滅表示などを含んでもよい。
【0130】
あるいは、速度制御情報に起点が含まれる場合には、提示情報は、その起点を示す情報「1km先に渋滞があります」などを含んでもよい。あるいは、運転提示部は、速度制御情報に起点が含まれる場合には、車両の現在位置が速度制御情報に含まれる起点よりも所定の距離だけ手前の地点に達したことが検出されたタイミングに、提示情報を提示してもよい。
【0131】
他の変形例として、送信制御部143は、道路上に設置された電光掲示板への速度制御情報の送信を制御してもよい。
【0132】
これによって、ACCモジュールまたは自動運転モジュールと接続されていない車載器160を搭載する車両の運転者に対しても、速度制御情報の受信に基づく提示情報を知らせることができる。そのため、提示情報に従って運転者が車両の運転をすることによって、上記した実施形態と同様に、車両からの二酸化酸素の排出量が削減され得る他、渋滞末尾への追突事故が防止されるという効果が奏され得る。
【0133】
また、他の変形例として、車載器160は、情報配信アンテナ116によって送信された速度制御情報の受信に基づく提示情報を後続車の運転者に提示する後続車提示部を備えてもよい。後続車提示部による提示情報の提示場所は、リアウィンドウの表示画面などであってよい。
【0134】
これによって、ACCモジュールまたは自動運転モジュールと接続されていない車載器160を搭載する後続車の運転者に対しても、速度制御情報の受信に基づく提示情報を知らせることができる。そのため、提示情報に従って後続車の運転者が車両の運転をすることによって、上記した実施形態と同様に、後続車からの二酸化酸素の排出量が削減され得る他、渋滞末尾への追突事故が防止されるという効果が奏され得る。
【0135】
さらに、他の変形例として、送信制御部143は、速度制御情報の第1の送信部(例えば、情報配信アンテナ116など)による第1の車載器への送信を制御するとともに、速度制御情報を第1の送信部とは異なる第2の送信部(例えば、情報配信アンテナ116とは異なる情報配信アンテナなど)に出力してもよい。このとき、第2の送信部は、第1の車載器が使用する第1の通信プロトコルと異なる第2の通信プロトコルに応じて速度制御情報のプロトコルを変換し、プロトコルの変換後の速度制御情報を第2の通信プロトコルを使用する第2の車載器に送信してもよい。
【0136】
これによって、第1の車載器が使用する第1の通信プロトコルとは異なる第2の通信プロトコルを使用する第2の車載器に対しても速度制御情報を送信することが可能となる。そのため、第2の車載器を搭載する車両の運転者または当該車両の後続車に、速度制御情報に基づく提示情報が提示され得る。
【0137】
(3.ハードウェア構成例)
続いて、本発明の実施形態に係る交通流制御装置1のハードウェア構成例について説明する。
【0138】
以下では、本発明の実施形態に係る交通流制御装置1のハードウェア構成例として、情報処理装置900のハードウェア構成例について説明する。なお、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成例は、交通流制御装置1のハードウェア構成の一例に過ぎない。したがって、交通流制御装置1のハードウェア構成は、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成から不要な構成が削除されてもよいし、新たな構成が追加されてもよい。
【0139】
図15は、本発明の実施形態に係る交通流制御装置1の例としての情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904と、ブリッジ905と、外部バス906と、インタフェース907と、入力装置908と、出力装置909と、ストレージ装置910と、通信装置911と、を備える。
【0140】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバス等から構成されるホストバス904により相互に接続されている。
【0141】
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バス等の外部バス906に接続されている。なお、必ずしもホストバス904、ブリッジ905および外部バス906を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0142】
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバー等ユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路等から構成されている。情報処理装置900を操作するユーザは、この入力装置908を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0143】
出力装置909は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、ランプ等の表示装置およびスピーカ等の音声出力装置を含む。
【0144】
ストレージ装置910は、データ格納用の装置である。ストレージ装置910は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置等を含んでもよい。ストレージ装置910は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置910は、ハードディスクを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0145】
通信装置911は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置911は、無線通信または有線通信のどちらに対応してもよい。
【0146】
以上、本発明の実施形態に係る交通流制御装置1のハードウェア構成例について説明した。
【0147】
(4.まとめ)
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0148】
上記では、「地点」という文言が使用されているが、この「地点」という文言は、一点のみを表現し得るだけではなく、一定の範囲を有する場所をも表現し得る。したがって、この「地点」という文言は、「区間」という文言にも換言され得る。
【符号の説明】
【0149】
1 交通流制御装置
112 プローブアンテナ
114 フリーフローアンテナ
116 情報配信アンテナ
121 走行履歴データ記憶部
122 プローブデータ記憶部
123 フリーフローデータ記憶部
124 交通量データ記憶部
126 KVパラメータ記憶部
127 共通パラメータ記憶部
131 統計処理部
133 交通量算出部
140 交通流最適化部
141 交通密度算出部
142 交通流シミュレーション部
143 送信制御部
150 KVパラメータ作成部
160 車載器
161 ディスプレイ