(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048550
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】農作物収穫用鋏
(51)【国際特許分類】
A01G 3/02 20060101AFI20230331BHJP
A01D 46/30 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
A01G3/02 501F
A01D46/30
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157935
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】390011578
【氏名又は名称】アルスコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【弁理士】
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】織田 敏充
【テーマコード(参考)】
2B075
【Fターム(参考)】
2B075JF01
2B075JF02
2B075JF05
2B075JF06
(57)【要約】
【課題】農作物の茎または果柄に対して適切な挟持力を有する挟持部を備えた農作物収穫用鋏を提供することができる。
【解決手段】
農作物収穫用鋏10は、第1刃部21aと第2刃部22aとが閉じることによって農作物の茎または果柄を切断可能な切断鋏部と、第1刃部21aに沿って設けられ、第1刃部21aと連動して回転する第1挟持体21d、および第2刃部22aに沿って設けられ、第2刃部22aと連動して回転する第2挟持体22dを有し、第1刃部21aと第2刃部22aとが閉じたとき、農作物と切断鋏部との間に位置し、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が狭まることによって前記茎または前記柄を挟持可能な挟持部とを備える。第1挟持体21dの先端側の一部は、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が広がる方向に変位する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方端側に第1刃部、他方端側に第1柄部を有する第1鋏体および前記一方端側に第2刃部、前記他方端側に第2柄部を有する第2鋏体が軸部材によって回転可能に取り付けられ、前記第1刃部と前記第2刃部とが閉じることによって農作物の茎または果柄を切断可能な切断鋏部と、
前記第1刃部に沿って設けられ、前記第1刃部と連動して回転する第1挟持体、および前記第2刃部に沿って設けられ、前記第2刃部と連動して回転する第2挟持体を有し、前記第1刃部と前記第2刃部とが閉じたとき、前記農作物と前記切断鋏部との間に位置し、前記第1挟持体および前記第2挟持体の間隔が狭まることによって前記茎または前記柄を挟持可能な挟持部と、
前記第1挟持体の先端側の一部を前記第1挟持体および前記第2挟持体の間隔が広がる方向に変位させるための第1弾性変形部を備える
農作物収穫用鋏。
【請求項2】
前記第1鋏体に固定される第1鋏体側固定部と、前記第1挟持体に固定される第1挟持体側固定部とを有する支持板をさらに備え、
前記第1弾性変形部は、前記支持板のうち、前記第1鋏体側固定部および前記第1挟持体側固定部の間に位置し、弾性変形する弾性変形許容部により構成され、
前記弾性変形許容部は、前記第1挟持体の前記第1刃部の刃線方向の長さよりも短く、かつ、前記第1刃部の峰側における前記軸部材に近い側に位置する
請求項1記載の農作物収穫用鋏。
【請求項3】
前記第1鋏体側固定部と前記第1挟持体側固定部とは、前記第1刃部と前記第1挟持体とが前記第2刃部の厚み以上に離間するように、前記第1刃部と前記第1挟持体とを固定する
請求項2記載の農作物収穫用鋏。
【請求項4】
前記第1挟持体側固定部は、前記支持板における前記第1挟持体と当接する部位であって貫通孔が形成されており、
前記支持板は、前記第1挟持体側固定部の前記貫通孔を貫通する締結部材によって前記第1鋏体に固定され、
前記貫通孔は、前記第1刃部の開閉方向に延びる長孔である
請求項3記載の農作物収穫用鋏。
【請求項5】
前記第2挟持体の先端側の一部を前記第1挟持体および前記第2挟持体の間隔が広がる方向に変位させるための第2弾性変形部をさらに備える
請求項1から4までのいずれか1つに記載の農作物収穫用鋏。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、果菜類や葉菜類等の農作物の収穫に用いられる農作物収穫用鋏に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、果菜類や葉菜類等の農作物の自動収穫装置に用いられる収穫用鋏としても機能するエンドエフェクタとして、動力を受けて開閉し、果柄等を切断する採果ハサミと、採果ハサミの下側に取り付けられ、採果ハサミの動作に伴い開閉し果柄を挟持する果柄挟持用下刃とを有するエンドエフェクタが提案されている。このエンドエフェクタでは、果柄の切断と同時に果柄を挟持するため、果実に接触することなく把持し運搬することができる。
【0003】
しかしながら、従来技術のエンドエフェクタでは、果柄挟持用下刃によって挟持された果柄に圧痕が残るという問題がある。一方で、果柄に圧痕が残らないように挟持力を弱めると、果実が落下してしまうという問題がある。このため、農作物の収穫用鋏における農作物の茎または果柄を挟持する部分の構成については改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上述の問題に鑑みて、上記の問題点を改善し、農作物の茎または果柄に対して適切な挟持力を有する挟持部を備えた農作物収穫用鋏を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、一方端側に第1刃部、他方端側に第1柄部を有する第1鋏体および前記一方端側に第2刃部、前記他方端側に第2柄部を有する第2鋏体が軸部材によって回転可能に取り付けられ、前記第1刃部と前記第2刃部とが閉じることによって農作物の茎または果柄を切断可能な切断鋏部と、前記第1刃部に沿って設けられ、前記第1刃部と連動して回転する第1挟持体、および前記第2刃部に沿って設けられ、前記第2刃部と連動して回転する第2挟持体を有し、前記第1刃部と前記第2刃部とが閉じたとき、前記農作物と前記切断鋏部との間に位置し、前記第1挟持体および前記第2挟持体の間隔が狭まることによって前記茎または前記柄を挟持可能な挟持部と、前記第1挟持体の先端側の一部を前記第1挟持体および前記第2挟持体の間隔が広がる方向に変位させるための第1弾性変形部を備える農作物収穫用鋏であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明により、農作物の茎または果柄に対して適切な挟持力を有する挟持部を備えた農作物収穫用鋏を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】農作物収穫用鋏を備えた自動収穫装置の構成の一例を示す説明図。
【
図2】鋏部が閉じた状態の農作物収穫用鋏の底面図。
【
図3】鋏部が閉じた状態の農作物収穫用鋏の右側面図。
【
図4】鋏部が閉じた状態の農作物収穫用鋏の左側面図。
【
図5】軸支部の構成を示す農作物収穫用鋏の一部拡大図。
【
図6】鋏部が開いた状態の農作物収穫用鋏の底面図。
【
図7】第1刃部と第2刃部の構成を示す農作物収穫用鋏の右側面図。
【
図8】第1刃部の構成を示す農作物収穫用鋏の左側面図。
【
図9】第1刃部の構成を示す農作物収穫用鋏の底面図。
【
図10】切断対象物の一部を挟み込んだ状態を示す説明図。
【
図11】鋏部が閉じられるときの農作物収穫用鋏の状態を示す説明図。
【
図12】鋏部が閉じた状態の第1刃部と第2刃部の構成を示す断面図。
【
図13】変形例における農作物収穫用鋏の構成を示す説明図。
【
図14A】変形例における農作物収穫用鋏の構成を示す説明図。
【
図14B】変形例における第1刃部と第2刃部の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、果菜類や葉菜類等の農作物を収穫するための農作物収穫用鋏10を備えた自動収穫装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
農作物収穫用鋏10は、自動収穫装置1のエンドエフェクタとして機能する。なお、自動収穫装置1によって収穫される農作物としては、水稲、陸稲、麦、トウモロコシ、イモ、豆等の人が食用に用いる普通作物、野菜、果樹、花等の園芸作物、綿等の製品の原料となる工芸作物等が挙げられる。
【0011】
図1に示すように、自動収穫装置1は、制御部2、走行部3、測定部4、マニピュレータ部5、鋏駆動部6および農作物収穫用鋏10等を備える。走行部3、測定部4、マニピュレータ部5および鋏駆動部6のそれぞれは、通信線(バス)を介して制御部2に接続される。なお、自動収穫装置1は、外部コンピュータ(他の自動収穫装置を含む)と通信するための通信部等を備えていてもよい。
【0012】
制御部2は、演算部および記憶部等を含み、自動収穫装置1における各種演算および制御動作を実行する。演算部は、CPUまたはMPUなどを含む演算処理部である。記憶部は、RAM(DRAM)およびROMなどを含む。RAMは、演算部のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。ROMは、自動収穫装置1の起動プログラムや各種情報についてのデフォルト値等を記憶する。なお、記憶部は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの他の不揮発性メモリ(補助記憶部)を備えていてもよい。この場合、補助記憶部には、自動収穫装置1の動作を制御するためのプログラムおよび各種データなどが記憶される。
【0013】
走行部(走行車両)3は、車輪および走行用モータ等を有し、バッテリ等から供給される電力を受けて制御部2からの信号により走行用モータを駆動させ、車輪により農作物を収穫する施設内を移動する。走行部3は、制御部2からの信号に従って任意の位置に移動可能である。また、制御部2、測定部4、マニピュレータ部5、鋏駆動部6および農作物収穫用鋏10等のコンポーネントは、走行部3に載せられており、走行部3と一体となって移動する。さらに、図示は省略するが、走行部3には、収穫した農作物を入れる収穫籠が設けられる。
【0014】
測定部4は、収穫目標物となる農作物の位置を測定するために設けられており、収穫目標物となる農作物の位置を検出するための検出センサを有する。検出センサは、たとえばカメラ(CCDカラーカメラ)または距離センサである。カメラは、たとえばCCDカラーカメラ等であって、収穫目標物となる農作物の画像を撮影し、制御部2に出力する。距離センサは、赤外線センサ、超音波センサおよびレーザ距離センサ等であって、収穫目標物となる農作物等の物体との距離データを制御部2に出力する。制御部2は、測定部4から入力される画像のデータまたは距離データを解析し、自動収穫装置1と収穫目標物となる農作物との相対位置を算出する。
【0015】
マニピュレータ部5は、2つ以上の腕部と、腕部の間に設けられる関節部とを有するマニピュレータと、マニピュレータを動作させるコントローラとを有する。マニピュレータの一方の端部(基端部)は、走行部3に取り付けられており、マニピュレータの他方の端部(先端部)は、関節部の動作によって移動可能である。また、マニピュレータの先端部には、鋏駆動部6および農作物収穫用鋏10が設けられている。コントローラは、制御部2に電気的に接続されており、制御部2の指示の下、マニピュレータを動作させる。たとえば、コントローラは、収穫目標物となる農作物にマニピュレータの先端部(農作物収穫用鋏10)を近づけるように動作させることができる。すなわち、制御部2は、マニピュレータ部5を制御することによって、農作物収穫用鋏10を移動させることができる。
【0016】
鋏駆動部6は、回転駆動源としての鋏駆動用モータ等を有し、バッテリ等から供給される電力を受けて制御部2からの信号により鋏駆動用モータが駆動され、農作物収穫用鋏10に駆動力を付与する。鋏駆動用モータとしては、ステッピングモータ等の汎用のモータを用いることができる。農作物収穫用鋏10は、鋏駆動部6から付与される駆動力を受けて作動する。以下、農作物収穫用鋏10の具体的な構成について説明する。
【0017】
図2は鋏部20が閉じた状態の農作物収穫用鋏10の平面図である。
図3は鋏部20が閉じた状態の農作物収穫用鋏10の右側面図である。
図4は鋏部20が閉じた状態の農作物収穫用鋏10の左側面図である。
図5は、軸支部の構成を示す農作物収穫用鋏10の一部拡大図である。
図6は鋏部20が開いた状態の農作物収穫用鋏10の平面図である。
【0018】
図2~
図4に示すように、農作物収穫用鋏10は、フレーム11、農作物を収穫するための鋏部20、および鋏駆動部6から付与される駆動力を受けて鋏部20を作動させるためのアクチュエータ部30を有する。
【0019】
フレーム11は、上側フレーム12と下側フレーム13とを有する。上側フレーム12および下側フレーム13のそれぞれは、所定の距離を隔てて設けられる。上側フレーム12と下側フレーム13との間には、上側フレーム12および下側フレーム13の間に鋏部20およびアクチュエータ部30のコンポーネントの一部が収容される。
【0020】
上側フレーム12と下側フレーム13とは、ねじ等の締結部材によって締結される、あるいは溶接される等の適宜の方法により互いに固定される。なお、上側フレーム12と下側フレーム13とは、直接的に固定されてもよく、上側フレーム12および下側フレーム13の間に介在する連結部材(連結板)を介して間接的に固定されてもよい。
【0021】
また、上側フレーム12および下側フレーム13の互いの対向面、すなわち、上側フレーム12の下面12aおよび下側フレーム13の上面13aのそれぞれは、平行面であり、かつ、平滑面(平坦面)である。本実施形態では、上側フレーム12および下側フレーム13のそれぞれは、平板状の部材であり、上側フレーム12の下面12aおよび下側フレーム13の上面13aのそれぞれは、略水平面である。
【0022】
さらに、上側フレーム12および下側フレーム13の少なくとも一方は、高耐摩耗性および高硬度(高強度)を有する強化部材であり、たとえば焼入れ処理が施された鋼材(焼入れ鋼板)である。本実施形態では、上側フレーム12が強化部材である。
【0023】
鋏部20は、第1鋏体21と、第2鋏体22とを有する。第1鋏体21および第2鋏体22のそれぞれは、金属製であり、前後方向に延びる板状に形成される。また、第1鋏体21と第2鋏体22とは、長手方向(前後方向)の略中央において、上下方向(第1鋏体21および第2鋏体22の厚み方向)に互いの裏面(刃面と反対側の面、すなわち合わせ面)が重なるように配置されている。
【0024】
本実施形態では、上下方向(
図2の紙面に対して直交方向あるいは
図3の紙面の左右方向)において、第1鋏体21が上側に、第2鋏体22が下側になるように配置されている。すなわち、第1鋏体21と第2鋏体22とは、第1鋏体21の下面と、第2鋏体22の上面とが合わさるように配置されており、第1鋏体21の下面および第2鋏体22の上面が合わせ面となる。したがって、本実施形態では、第1鋏体21から見た合わせ面側とは、下面側(下方)のことであり、第2鋏体22から見た合わせ面側とは、上面側(上方)のことである。
【0025】
第1鋏体21は、長手方向の一方端側(前端側)に第1刃部21a、他方端側(後端側)に第1柄部21bを有する。また、第2鋏体22は、長手方向の一方端側(前端側)に第2刃部22a、他方端側(後端側)に第2柄部22bを有する。
【0026】
また、図示は省略するが、第1鋏体21における第1刃部21aおよび第1柄部21bの間(前後方向の中心)には、貫通孔(軸支孔)が形成されており、第2鋏体22における第2刃部22aおよび第2柄部22bの間(前後方向の中心)にも、貫通孔(軸支孔)が形成されている。
【0027】
第1鋏体21の軸支孔および第2鋏体22の軸支孔には、フレーム11に取り付けられた円筒状または円柱状の軸部材23が挿通されている。軸部材23の軸線方向(軸心方向)は、上下方向(第1鋏体21および第2鋏体22の厚み方向)である。
【0028】
第1鋏体21および第2鋏体22は、軸部材23の軸線を中心に回転可能に連結される。すなわち、第1鋏体21および第2鋏体22は、上下に延びる軸線を中心に回転可能に設けられる。
【0029】
さらに、
図3~
図5に示すように、第1鋏体21および第2鋏体22が軸部材23に軸支される部分(軸支部)には、第1鋏体21および第2鋏体22のそれぞれを合わせ面側に押圧する(第1鋏体21および第2鋏体22が互いに押し合う)方向に付勢する付勢部材23aが設けられる。付勢部材23aは、下側フレーム13の上面に取り付けられ、軸部材23が挿通される環状部材13bと、第2鋏体22との間に設けられる。本実施例では、軸部材23はボルトであり、軸部材23の先端に取り付けられる第1ナット23bおよび第2ナット23cによって、付勢部材23aが、第1鋏体21および第2鋏体22と、下側フレーム13とに挟み込まれるように固定される。
【0030】
図5に示すように、付勢部材23aは、周方向に設けられる複数の山部および各山部間の谷部を有する閉環状の弾性体(環状弾性体)を有する。環状弾性体は、たとえば螺旋状に巻かれた線材からなる複数段の巻部に軸線方向に沿う振幅で複数の谷部と複数の山部とを交互に設けたウェーブスプリングである。ウェーブスプリングを構成する線材は、金属材料により径方向に長幅な矩形状の断面形状を有する。
【0031】
このような構成の付勢部材23aを用いることによって、第1鋏体21および第2鋏体22の互いの押圧力を一定に保つことができる。また、鋏部20の組み立て時の第1鋏体21および第2鋏体22の互いの押圧力の調整作業(調子出し)が不要になり、鋏部20の組み立て作業が簡単になるという利点がある。さらに、第1鋏体21、第2鋏体22および軸部材23等の部材が摩耗したとしても、第1鋏体21および第2鋏体22の互いの押圧力を一定に保つことができ、また、部材の摩耗によるがたつきも防止できる。
【0032】
図2~4、
図6に示すように、第1鋏体21および第2鋏体22のそれぞれは、長手の略板状であり、軸支部(軸部材23)を中心に幅方向へ折れ曲がるように屈曲(湾曲)した形状、言い換えるとブーメランのような形状となっている。具体的には、第1鋏体21においては、第1切断部21c側が屈曲内側となるように第1刃部21aと第1柄部21bとが鈍角に折れ曲がるようなV字状となっており、第2鋏体22においては、第2切断部22c側が屈曲内側となるように第2刃部22aと第2柄部22bとが鈍角に折れ曲がるようなV字状となっている。なお、第1鋏体21および第2鋏体22のそれぞれの屈曲の向きは左右逆であり、第1刃部21aおよび第1柄部21bのなす角と、第2刃部22aおよび第2柄部22bのなす角とはほぼ同じ角度である。
【0033】
また、
図6に示すように、軸部材23は、第1鋏体21の刃線の延長線よりも距離L1だけ第1鋏体21側に位置し、かつ、第2鋏体22の刃線の延長線よりも距離L1だけ第2鋏体22側に位置している。そして、第1柄部21bの軸部材34aは、第1刃部21aから見て第1刃部21aの刃線21eの延長線よりも距離L2だけ向こう側に位置しており、第2柄部22bの軸部材35aは、第2刃部22aから見て第2刃部22aの刃線22eの延長線よりも距離L2だけ向こう側に位置している。これにより、軸部材34aを介する捻り作用が第1刃部21aの刃線21eを刃の厚み方向へより直接的に作用し、軸部材35aを介する捻り作用が第2刃部22aの刃線22eを刃の厚み方向へより直接的に作用する。なお、距離L2は、距離L1より長く構成されており、距離L1より2倍以上長く構成されることが好ましい。これにより捻り作用をより大きく発揮させることができる。
【0034】
ただし、鋏部20が閉じている状態(第1刃部21aと第2刃部22aとが重なっている状態)において、第1柄部21bは、軸支部から第2刃部22a側に向かって延び、第2柄部22bは、軸支部から第1刃部21a側に向かって延びる。すなわち、第1鋏体21および第2鋏体22は、軸支部において左右に交差する(入れ替わる)ように連結されている。したがって、軸部材23は、第1鋏体21および第2鋏体22を交差連結しているとも言える。
【0035】
第1刃部21aにおける第2刃部22a(第2鋏体22)と対向する方向(対向方向)、すなわち、第1刃部21aおよび第2刃部22aの閉方向(鋏部20の閉方向)の辺(先端縁)には、第1切断部21cが形成され、第2刃部22aにおける閉方向の辺(先端縁)には、第2切断部22cが形成される。
【0036】
第1切断部21cおよび第2切断部22cのそれぞれは、開閉方向の中央部から閉方向の端部に向かって、厚みが薄くなるように先鋭に形成される。具体的には、第1切断部21cおよび第2切断部22cでは、互いの合わせ面(裏面)は平滑面(軸部材23の軸線方向に対し略垂直面または略水平面)もしくは幅方向内側が若干凹となっている裏スキ面であるが、合わせ面の反対側の面(刃面)、すなわち、第1切断部21cの上面と第2切断部22cの下面とは、開閉方向の中央部から閉方向の端部に向かって、合わせ面側に傾斜する傾斜面となっている。
【0037】
鋏部20が開かれた状態から、鋏部20が閉じられるときに、第1切断部21c(第1刃部21a)と第2切断部22c(第2刃部22a)とで農作物の茎または果柄を挟み込むことによって切断できる。すなわち、第1切断部21c(第1刃部21a)および第2切断部22c(第2刃部22a)は、鋏部20の開閉に伴って相互に作用して、農作物の茎または果柄等の切断対象物を切断可能な切断鋏部として機能する。
【0038】
また、
図2に示すように、鋏部20が完全に閉じている状態では、第1切断部21cの先端縁(刃)と、第2切断部22cの先端縁(刃)とが互いにオーバーラップした状態となる。すなわち、第1切断部21cおよび第2切断部22cは、鋏部20が閉じている場合に、上下(厚み方向)に重なる状態となる。
【0039】
図7は、第1刃部21aと第2刃部22aの構成を示す農作物収穫用鋏10の右側面図である。
図8は、第1刃部21aの構成を示す農作物収穫用鋏10の左側面図である。
図9は、第1刃部21aの構成を示す農作物収穫用鋏10の平面図である。
図10は、切断対象物の一部を鋏部20が挟み込んだ状態を示す説明図である。
図11は、鋏部20が閉じられるときの農作物収穫用鋏10の状態を示す説明図である。
図12は、
図2のA-A矢視端面図である。
図2~4、
図6~
図8等に示すように、第1鋏体21には、第1挟持体21dが設けられ、第2鋏体22には、第2挟持体22dが設けられる。
【0040】
第1挟持体21dは、第1刃部21aに沿って前後方向に延びるように形成され、第1刃部21aと連動して回転する。本実施形態では、第1挟持体21dは、ねじ等の締結部材によって第1刃部21a(第1鋏体21)に取り付けられ、第1刃部21aと一体的に回転する。
【0041】
第2挟持体22dは、第2刃部22aに沿って前後方向に延びるように形成され、第2刃部22aと連動して回転する。本実施形態では、第2挟持体22dは、ねじ等の締結部材によって第2刃部22a(第2鋏体22)に取り付けられ、第2刃部22aと一体的に回転する。第1挟持体21dと第2挟持体22dは、
図2に示すように鋏部20が完全に閉じている状態では、第1挟持体21dと第2挟持体22dの互いの対向面が凹と凸がそれぞれ対応して全体が当接もしくは近接する。
【0042】
第1挟持体21dは、第1鋏体21の下方に配置され、第2挟持体22dは、第2鋏体22の下方に配置される。通常、農作物の茎または果柄よりも下方に収穫対象となる実の部分(収穫対象物)が位置するので、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dは、第1刃部21aと第2刃部22aとが閉じたとき、収穫対象物と第1刃部21aおよび第2刃部22a(切断鋏部)との間に位置する。
【0043】
ただし、
図6および
図10に示すように、第1挟持体21dの先端縁は、第1刃部21aの先端縁よりも、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が広がる方向(鋏部20の開方向)に位置する。また、第2挟持体22dの先端縁は、第2刃部22aの先端縁よりも第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が広がる方向に位置する。
【0044】
このため、切断対象物である農作物の茎または果柄を切断する際には、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dよりも先に、第1刃部21aおよび第2刃部22aが切断対象物に当たる(先当たりする)ことになる。したがって、切断対象物に第1挟持体21dおよび第2挟持体22dが先に当たることによって第1刃部21aおよび第2刃部22aが完全に閉じずに切断できなくなることを防止できる。
【0045】
また、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの互いの対向面には、凹凸が設けられている。このため、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dで農作物の茎または果柄を挟持する際に、農作物の茎または果柄が先端側に逃げることを防止することができる。
【0046】
具体的には、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの互いの対向面には、上下方向(第1鋏体21および第2鋏体22の厚み方向)に延びる溝G1,G2(凹)と突起P1,P2(凸)が前後方向(第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの長手方向、すなわち刃線方向)に交互に並ぶように形成されている。突起P1,P2は、左右方向(第1鋏体21および第2鋏体22の幅方向)に突出するように形成され、溝G1,G2は左右方向(第1鋏体21および第2鋏体22の幅方向)に凹むように形成される。また、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dに形成された溝および突起のそれぞれは、相手側の溝突起および溝にかみ合うように配置されている。このため、第1挟持体21dと第2挟持体22dとは、鋏部20が閉じている場合に、互いの対向面が隙間なく密着した状態となる。
【0047】
したがって、鋏部20が閉じられるときに、第1挟持体21dと第2挟持体22dの間隔が狭まることによって、農作物の茎または果柄を第1挟持体21dおよび第2挟持体22dによって挟持することが可能である。したがって、農作物の茎または果柄が切断された後でも、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dによって農作物の茎または果柄が挟持される。すなわち、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dは、農作物の茎または果柄を挟持可能な挟持部として機能する。
【0048】
また、
図8に示すように、第1挟持体21dと第1刃部21aとは、上下方向(第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの厚み方向)に離間して配置される。第1挟持体21dと第1刃部21aとの距離は、少なくとも第2刃部22aの厚みよりも大きく(第2刃部22aの厚み以上に)設定されている。したがって、鋏部20が完全に閉じられた状態では、
図12に示すように第1挟持体21dと第1刃部21aとの間の隙間に第2刃部22aが入り込む状態となる。
【0049】
さらに、第1挟持体21dの先端側の一部を第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が広がる方向に変位させるための第1弾性変形部が設けられている。第1弾性変形部は、たとえば、弾性変形する素材で形成された第1挟持体21d自体とする、あるいは、第1挟持体21dを第1刃部21aに取り付ける弾性変形する部材とすることができる。
【0050】
本実施形態では、第1弾性変形部は、
図6~
図10に示すように、高炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼等のばね材(ばね鋼)によって形成され、弾性変形する支持板24により構成されている。支持板24は、第1挟持体21dを第1刃部21aに取り付けるものである。
【0051】
支持板24は、断面L字状の板部材であって、一方の面(上面部)24cで第1刃部21aの上面を覆い、他方の面(側面部)24dで第1挟持体21dの外側面を覆う。支持板24は、上面部24cにおいて第1刃部21a(第1鋏体21)に取り付けられており、側面部24dにおいて第1挟持体21dに取り付けられる。すなわち、支持板24の上面部24cは、第1鋏体21に固定される第1鋏体側固定部として機能し、支持板24の側面部24dは、第1挟持体21dに固定される第1挟持体側固定部として機能する。また、支持板24は、第1刃部21a(第1鋏体21)に取り付けられ、第1挟持体21dの外側面を支持(規制)する。
【0052】
ただし、
図8に示すように、支持板24は、上面部24cに形成された貫通孔24b(
図9参照)を介してねじ等の締結部材25(
図9参照)によって第1刃部21a(第1鋏体21)に固定されている。貫通孔24bは、第1刃部21aの開閉方向(第1鋏体21の回転方向)に延びる長孔である。したがって、第1鋏体21の回転方向(第1刃部21aの開閉方向)において、支持板24の取り付け位置、すなわち第1挟持体21dを調節することができる。また、第1挟持体21dは、ねじ等の締結部材26(
図9参照)によって支持板24の側面部24d(
図9参照)に取り付けられている。
【0053】
また、
図7および
図8に示すように、支持板24の上面部24cと側面部24dとの間には、スリット24aが形成されている。このスリット24aは、第1挟持体21dの先端側であって、前後方向(第1鋏体21の長手方向)に延びるように形成されている。言い換えれば、支持板24は、第1刃部21aの峰側における軸部材23(軸支部)に近い側に位置する連結部24eを有する。この連結部24eは、上面部24cと側面部24dとの間に位置し、弾性変形する弾性変形許容部(第1弾性変形許容部)としても機能する。連結部24eの前後方向(第1鋏体21の長手方向)の長さの上限は、挟持部(第1挟持体21d)の長手方向の長さに対して、84%以下であり、好ましくは70%以下であり、より好ましくは42%以下である。また、連結部24eの前後方向の長さの下限は、挟持部の長手方向の長さに対して、6%以上であり、好ましくは11%以上であり、より好ましくは13%以上である。
【0054】
さらに、スリット24aは、第1挟持体21dの上端21gよりも上方に形成されるか、上下方向において第1挟持体21dの上端21gを含むように形成される。すなわち、スリット24aの少なくとも一部が、第1挟持体21dと第1刃部21aとの間の隙間に位置する。したがって、前後方向においてスリット24aが形成されている部分(第1挟持体21dの先端側)、すなわち連結部24e以外の部分では、上面部24cと側面部24dとは繋がっておらず、上面部24cおよび側面部24dのそれぞれは平板状となっている。
【0055】
このため、支持板24(側面部24d)は板ばねとしても機能し、
図10に示すように、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dで農作物の茎または果柄を挟持した場合等、第1挟持体21dの先端21f側において、第1挟持体21dに外側面側(図示右側)への力が加わると、支持板24の側面部の先端24f側が第1挟持体21dとともに第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が広がる方向に弾性変形する。すなわち、第1挟持体21dの先端側の一部が、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が広がる方向に弾性変形する。したがって、支持板24は、第1挟持体21dの先端側の一部を第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が広がる方向に変位させるための第1弾性変形部としても機能する。
【0056】
また、支持板24の側面部自体の弾性変形に加え、支持板24においてスリット24aが形成されていない部分(上面部と側面部が繋がっている部分)を中心に、第1挟持体21dの先端が第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が広がる方向に向かうように、第1挟持体21dが回転する。したがって、第1挟持体21dの先端側の一部が、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が広がる方向に変位する。
【0057】
なお、スリット24aの前後方向の長さに応じて、支持板24の弾性変形の程度が変わる。このため、農作物の茎または果柄の太さや固さに合わせて、スリット24aの前後方向の長さを調節する(言い換えれば連結部24eの前後方向の長さを調節する)ことによって、支持板24の弾性変形の程度を調整することができる。なお、スリット24aを省略して、支持板24の上面部24cおよび側面部24dの前後方向の長さを連結部24eと同じ長さとしてもよい。この場合も、連結部24eの前後方向の長さを第1挟持体21dの前後方向の長さよりも短くしておくことで、第1挟持体21dの先端側の一部が、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が広がる方向に変位する作用を得ることができる。
【0058】
図2~
図4および
図6に戻って、アクチュエータ部30は、鋏駆動部6に機械的に接続され、鋏駆動部6から付与される回転駆動力が入力される入力軸31と、入力軸31に機械的に接続されるボールねじ機構32と、ボールねじ機構32に機械的に接続されるトグルリンク機構33とを有する。
【0059】
ボールねじ機構32は、入力軸31に入力される回転駆動力を直線運動に変換する機構であって、アクチュエータ部30の後端部に配置される。ボールねじ機構32は、ねじ軸32aと、ナット32bと、ナットホルダ32cと、前側軸受32dと、後側軸受32eとを有する。
【0060】
ねじ軸32aは、前後方向に長い円柱状で外周にねじ部が形成されており、フレーム11の左右方向の中央に備え付けられている。前側軸受32dおよび後側軸受32eは、ねじ軸32aの軸線上に配置されており、フレーム11に固定されている。ねじ軸32aの両端部にはねじ部が設けられておらず、ねじ軸32aの前端部は、前側軸受32dに回転可能に軸支され、ねじ軸32aの後端部は、後側軸受32eに回転可能に軸支される。
【0061】
また、ねじ軸32aの後端部は、入力軸31に連結(固定)されており、これにより、ねじ軸32aは、鋏駆動部6から付与される回転駆動力によって入力軸31が回転すると、入力軸31とともに回転する。
【0062】
ナット32bは、略円筒形状に形成され、内部が中空であり、内周面にねじ部が形成されている。ナット32bのねじ部は、ねじ軸32aのねじ部と螺合している。ナットホルダ32cは、左右に長い略直方体に形成され、左右方向の中央にナット32bが嵌め込まれている。すなわち、ナットホルダ32cは、ナット32bの外周に設けられ、ナット32bの外周を覆うようにナット32bに固定される。
【0063】
また、ナットホルダ32cの上面または下面の少なくとも一方は、ねじ軸32aの軸線方向と平行な平滑面であって、ねじ軸32aの軸線の左右に亘って形成され、フレーム11に沿ってスライドするナット側の摺動面となる。略直方体のナットホルダ32cの上面または下面であるので、摺動面は、矩形状の面となる。
【0064】
さらに、フレーム11のうち、ナットホルダ32cに対向する対向面、すなわち、上側フレーム12の下面および下側フレーム13の上面のうち、少なくともナットホルダ32cの摺動面に対向する面は、ねじ軸32aの軸線方向と平行な平滑面(ガイド面)となる。すなわち、上側フレーム12または下側フレーム13のいずれかがガイド面を有するガイド板となる。本実施形態では、ナットホルダ32cの上面が摺動面となり、強化部材である上側フレーム12の下面(ガイド面)に沿ってスライドする。なお、下側フレーム13が強化部材である場合には、下側フレーム13の上面をガイド面としてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、ナットホルダ32cとガイド面(上側フレーム12の下面)との間に樹脂等の低摩擦係数材料で構成された低摩擦シート32fが設けられている。低摩擦シート32fは、ナットホルダ32cの上面に取り付けられている。すなわち、ナットホルダ32cは、低摩擦シート32fを介して、ガイド面に当接する。したがって、厳密には低摩擦シート32fの表面が摺動面となる。さらに、低摩擦シート32fの摺動面とガイド面(上側フレーム12の下面)の間には、潤滑油等の潤滑剤が設けられている。
【0066】
ナットホルダ32c側の摺動面とフレーム11側のガイド面とが当接することで、ナットホルダ32cは、フレーム11に対してねじ軸32aの周方向に回転しないようになる。したがって、ねじ軸32aのねじ部とナット32bのねじ部との螺合により、ナットホルダ32cは、ねじ軸32aが正逆回転することでねじ軸32aの長手方向(軸線方向)に前後移動する。なお、ナットホルダ32cの前面側には前側クッション部材32gが設けられ、ナットホルダ32cの後面側には後側クッション部材32hが設けられる。前側クッション部材32gおよび後側クッション部材32hは、ゴムまたは樹脂等の素材で構成されており、ナットホルダ32cが過剰に移動した場合に前側軸受32dおよび後側軸受32eに過剰な力が加わらないための衝撃吸収部材として機能する。また、前側軸受32dの前側であって、第1鋏体21の第1柄部21bと第2鋏体22の第2柄部22bの間には、上側フレーム12および下側フレーム13に固定される支柱11aが設けられており、支柱11aは、第1鋏体21および第2鋏体22が閉じる方向に過剰に移動した場合に第1柄部21bおよび第2柄部22bに当接してストッパとしても機能する。
【0067】
以上のように、本実施形態では、摺動面とガイド面との面接触によってナットホルダ32cの回転止めおよびガイドを行うので、ナットホルダ32cをガイドするためのガイドレールを省略することができ、部品点数を削減し、簡単な構成とすることができる。
【0068】
トグルリンク機構33は、ナットホルダ32cの直線運動を第1鋏体21および第2鋏体22のそれぞれに伝達するためのリンク機構であって、ボールねじ機構32の前方であって、鋏部20の後方に配置される。すなわち、トグルリンク機構33は、前後方向においてボールねじ機構32と鋏部20の間に配置される。トグルリンク機構33は、第1リンク部材(第1連結部材)33aおよび第2リンク部材(第2連結部材)33bを有する。
【0069】
第1リンク部材33aおよび第2リンク部材33bのそれぞれは、棒状または板状の部材である。第1リンク部材33aは、第1鋏体21の第1柄部21bとナットホルダ32cとを連結する。第2リンク部材33bは、第2鋏体22の第2柄部22bとナットホルダ32cとを連結する。
【0070】
具体的には、第1リンク部材33aは、一方の端部が第1柄部21bに設けられる軸部材34aに回転可能に軸支されており、他方の端部がナットホルダ32cに設けられる軸部材34bに回転可能に軸支されている。
【0071】
また、第2リンク部材33bは、一方の端部が第2柄部22bに設けられる軸部材35aに回転可能に軸支されており、他方の端部がナットホルダ32cに設けられる軸部材35bに回転可能に軸支されている。
【0072】
ただし、第1リンク部材33aと第1柄部21bとは、軸部材34aによる軸支部分で屈曲した形態となり、第2リンク部材33bと第2柄部22bとは、軸部材35aによる軸支部分で屈曲した形態となる。
【0073】
また、第1リンク部材33aおよび第1柄部21bにより構成される第1のリンクと、第2リンク部材33bおよび第2柄部22bにより構成される第2のリンクとは、平面視において略左右対称に配置されている。
【0074】
ナットホルダ32cが前方に移動(前進)すると、ナットホルダ32cと鋏部20との前後方向の間隔が狭まり、第1リンク部材33aおよび第1柄部21bのなす角と、第2リンク部材33bおよび第2柄部22bのなす角とが小さくなる。このとき、第1柄部21bの後端部には、第1リンク部材33aおよび第2柄部22bの後端部には前方に向かう力(第1リンク部材33aおよび第2リンク部材33bの押圧力)が作用し、第1鋏体21および第2鋏体22が開く(第1刃部21aおよび第2刃部22aが開く)方向に回転する。
【0075】
一方、ナットホルダ32cが後方に移動(後進)すると、ナットホルダ32cと鋏部20との前後方向の間隔が広がり、第1リンク部材33aおよび第1柄部21bのなす角度と、第2リンク部材33bおよび第2柄部22bのなす角度とが大きくなる。このとき、第1柄部21bの後端部および第2柄部22bの後端部には後方に向かう力(第1リンク部材33aおよび第2リンク部材33bの引張力)が作用し、第1鋏体21および第2鋏体22が閉じる(第1刃部21aおよび第2刃部22aが閉じる)方向に回転する。
【0076】
以上のように、鋏駆動部6から付与される回転駆動力によってナットホルダ32cが前後移動し、ナットホルダ32cの前後移動に連動して、第1鋏体21および第2鋏体22が開閉する。したがって、鋏駆動部6の鋏駆動用モータの回転方向および回転数を制御することによって、第1鋏体21および第2鋏体22を開閉させることができる。
【0077】
また、第1リンク部材33aは、第1柄部21bの合わせ面側(第1柄部21bの下面)に連結され、第2リンク部材33bは、第2柄部22bの合わせ面側(第2柄部22bの上面)に連結されている。
【0078】
したがって、
図11に示すように、第1鋏体21および第2鋏体22が閉じる(第1刃部21aおよび第2刃部22aが閉じる)とき、第1柄部21bは、第1リンク部材33aに引っ張られる状態となる。このとき、第1柄部21bには、後方に向かう力Pに加え、合わせ面側に向かう上下方向の力(本実施形態では下方に向かう力)Dが作用する。すなわち、第1リンク部材33aと軸部材34aとは、第1鋏体21および第2鋏体22が閉じられるときに、第1柄部21bを合わせ面側に付勢する付勢部(第1付勢部)としても機能する。これにより、第1鋏体21は、軸部材23に軸支される部分が支点Cとなって捻られる(ねじられる)状態となる。したがって、第1鋏体21における第1柄部21bの反対側、すなわち第1刃部21aは、第1切断部21cが合わせ面側に向かうように傾倒(回転)する力Tが作用する。
【0079】
また、第1鋏体21および第2鋏体22が閉じる(第1刃部21aおよび第2刃部22aが閉じる)とき、第2柄部22bは、第2リンク部材33bに引っ張られる状態となる。このとき、第2柄部22bには、後方に向かう力Pに加え、合わせ面側に向かう上下方向の力(本実施形態では上方に向かう力)Uが作用する。すなわち、第2リンク部材33bと軸部材35aとは、第1鋏体21および第2鋏体22が閉じられるときに、第2柄部22bを合わせ面側に付勢する付勢部(第2付勢部)としても機能する。これにより、第2鋏体22は、第1鋏体21と逆の方向に、軸部材23に軸支される部分が支点Cとなって捻られる(ねじられる)状態となる。したがって、第2鋏体22における第2柄部22bの反対側、すなわち第2刃部22aには、第2切断部22cが合わせ面側に向かうように傾倒(回転)する力Tが作用する。
【0080】
以上のように、第1切断部21cおよび第2切断部22cのそれぞれが合わせ面側に向かうようにねじられる(傾倒する)ので、第1切断部21cおよび第2切断部22cの刃先同士に角度がついて交差する状態となり、第1切断部21cおよび第2切断部22cの刃先同士が点接触するようになる。したがって、第1切断部21cおよび第2切断部22cの間に薄皮などが入り込むことを防止し、第1切断部21cと第2切断部22cとを点接触させて農作物の茎または果柄を確実に切断することができる。また、第1鋏体21および第2鋏体22(第1刃部21aおよび第2刃部22a)を湾曲させる(反りをつける)必要がなくなるので、第1鋏体21および第2鋏体22(第1刃部21aおよび第2刃部22a)を平坦板状にすることができ、第1鋏体21および第2鋏体22を精度よく製造することができる。本実施形態では、少なくとも第1刃部21aおよび第2刃部22aには、反りがついておらず(湾曲されておらず)、互いの合わせ面が平面になるように平板状に形成されている。
【0081】
また、第1挟持体21dの先端側の一部が、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が広がる方向に変位するので、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dは農作物の茎または果柄に対して適切な力(挟持力)で挟持し、農作物の茎または果柄に残る圧痕をできるだけ抑制し、農作物の茎または果柄がつぶれてしまうことを防止することができる。また、農作物を確実に挟持し、農作物が落下することを抑制ないし防止することができる。
【0082】
さらに、第1鋏体21に固定され、第1挟持体21dの外側面を支持し、弾性変形する支持板24をさらに備え、支持板24のうち、第1挟持体21dの外側面を支持する部分であって、第1挟持体21dの先端側に、第1鋏体21の長手方向に延びるスリット24aが形成されているので、第1挟持体21dの先端側の一部を変位させることができ、農作物の茎または果柄の太さや固さに合わせて、スリット24aの前後方向の長さによって第1挟持体21dの変位の程度を調整することができる。
【0083】
さらにまた、第1挟持体21dと第1刃部21aとが第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの厚み方向に離間して配置され、鋏部20が閉じられた状態では、第1挟持体21dと第1刃部21aとの間の隙間に第2刃部22aが入り込む状態となるので、第1切断部21cの先端縁(刃先)と、第2切断部22cの先端縁(刃先)とがオーバーラップする距離を大きくすることができ、農作物の茎または果柄を切断しやすくすることができる。また、第1刃部21aおよび第2刃部22aの開閉方向の大きさ(幅)をコンパクトにすることができる。つまり、第1刃部21aおよび第2刃部22aの幅が細くても、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dを設けることができる。
【0084】
この発明と実施形態について、この発明の切断鋏部は実施形態の第1切断部21c(第1刃部21a)および第2切断部22c(第2刃部22a)に対応し、以下同様に、挟持部は第1挟持体21dおよび第2挟持体22dに対応するが、この発明は本実施形態に限られず他の様々な実施形態とすることができる。また、上述の実施形態で挙げた具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【0085】
たとえば、上記実施形態では、アクチュエータ部30においてボールねじ機構32を用いてトグルリンク機構33を作動させるようにしたが、圧縮空気によってトグルリンク機構33を作動させるようにしてもよい。他にも直線状に移動可能な機構であれば、第1鋏体21および第2鋏体22を開閉させるための動作機構部として利用可能である。このようにしても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
また、上記実施形態の構成に加えて、支持板24の側面部24dにも弾性変形許容部(第2弾性変形許容部)が追加的に設けられていてもよい。
図13は、変形例における農作物収穫用鋏10の構成を示す説明図である。具体的には、側面部24dに、弾性変形許容部として機能する湾曲部24gが設けられる。たとえば、湾曲部24gは、平面視U字状の形状をなす単一の湾曲形状を有する。なお、湾曲部24gとしては、単一の湾曲形状の他に、複数の湾曲形状を含む波打ち形状等であってもよい。このようにすれば、側面部24dの先端側が大きく弾性変形するようになり、これに起因して第1挟持体21dの先端側の一部が大きく変位するようになる。このため、ばね性が効果的に発揮され、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dは農作物の茎または果柄に対して適切な挟持力を発揮し、農作物の茎または果柄に残る圧痕をできるだけ抑制し、農作物の茎または果柄がつぶれてしまうことを防止することができる。なお、このような効果を効率的に得るためには、湾曲部24gは、先端24f側よりも連結部24e側に位置することが好ましい。湾曲部24gが連結部24e側に位置する方が、第1挟持体21dの先端側と弾性変形の起点となる湾曲部24gとの距離が長くなり、側面部24dの先端側および第1挟持体21dの先端側が大きく変位するようになり、ばね性がより効果的に発揮されるようになるからである。
【0087】
さらに、上記実施形態では、第1挟持体21dの先端側の一部が、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が広がる方向に変位するようにしたが、これに代えて、またはこれに加えて、第2挟持体22dの先端側の一部が、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が広がる方向に変位するようにしてもよい。すなわち、第2挟持体22dの先端側の一部を第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの間隔が広がる方向への弾性変形を許容する第2弾性変形許容部が設けられていてもよい。たとえば、
図14Aおよび
図14Bに示すように、農作物収穫用鋏10は、第2挟持体22dの先端側の一部を弾性変形させるために、第2挟持体22dを第2刃部22aに取り付けるための支持板27を有していてもよい。支持板27は、支持板27と同様に弾性変形する素材で構成される。また、支持板27は、断面L字状の板部材であって、一方の面(上面部)27cで第2刃部22aの下面を覆い、他方の面(側面部)27dで第2挟持体22dの外側面を覆う。支持板27は、上面部27cにおいて第2刃部22a(第2鋏体22)に取り付けられており(第2鋏体側固定部)、側面部27dにおいて第2挟持体22dに取り付けられる(第2挟持体側固定部)。すなわち、支持板27は、第2刃部22a(第2鋏体22)に取り付けられ、第2挟持体22dの外側面を支持(規制)する。支持板27の上面部27cと側面部27dとの間には、スリット27aが形成されている。このスリット27aは、第2挟持体22dの先端側であって、前後方向(第2鋏体22の長手方向)に延びるように形成されている。スリット27aの前後方向の長さは、支持板27の前後方向の長さの20~50%である。また、支持板27は、第2刃部22aの峰側における軸部材23(軸支部)に近い側に位置する連結部27eを有する。さらに、スリット27aは、第2挟持体22dの上端よりも上方に形成されるか、上下方向において第2挟持体22dの上端を含むように形成される。すなわち、スリット27aの少なくとも一部が、第2挟持体22dよりも上方に位置する。したがって、前後方向においてスリット27aが形成されている部分(第2挟持体22dの先端側)、すなわち連結部27e以外の部分では、上面部27cと側面部27dとは繋がっていない。この連結部27eまたは支持板27の全体は、上面部27cと側面部27dとの間に位置し、第2弾性変形許容部として機能する。
【0088】
また、上記実施形態の構成に加えて、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの少なくとも一方が、ゴムまたはエラストマー樹脂などの弾性変形する素材(弾性体材料)で構成されるようにしてもよい。このようにすれば、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dに挟持された農作物の茎または果柄に残る圧痕をできるだけ抑制し、農作物の茎または果柄がつぶれてしまうことを防止することができる。また、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dと、農作物の茎または果柄とが滑りにくくなり、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dで農作物の茎または果柄を確実に挟持することができる。特に、第1挟持体21dおよび第2挟持体22dの両方が弾性体材料で構成されるようにすれば、農作物の茎または果柄に残る圧痕をさらに抑制することができるし、農作物の茎または果柄をより確実に挟持することができる。
【0089】
さらにまた、上記実施形態では、鋏部20において、第1鋏体21および第2鋏体22の両方が可動するいわゆる両開き構造としたが、鋏部20は片開き構造であってもよい。この場合、第1鋏体21および第2鋏体22の一方がフレーム11に固定される固定刃となり、他方が可動する可動刃となる。また、この場合、鋏部20が閉じられるときに合わせ面側に付勢されるのは可動刃だけでよい。このような構成であっても、少なくとも可動刃は合わせ面側に向かうように傾倒するので、第1切断部21cおよび第2切断部22cの刃先同士が交差する状態となり、点接触するようになる。したがって、上記実施形態と同様に、第1切断部21cと第2切断部22cとを点接触させて農作物の茎または果柄を確実に切断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
この発明は、果菜類や葉菜類等の農作物の収穫に用いられる農作物収穫用鋏の産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1…自動収穫装置
10…農作物収穫用鋏
11…フレーム
20…鋏部
21…第1鋏体
21a…第1刃部
21b…第1柄部
22…第2鋏体
22a…第2刃部
22b…第2柄部
30…アクチュエータ部
31…入力軸
32…ボールねじ機構
33…トグルリンク機構
33a…第1リンク部材
33b…第2リンク部材
【手続補正書】
【提出日】2022-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方端側に第1刃部、他方端側に第1柄部を有する第1鋏体および前記一方端側に第2刃部、前記他方端側に第2柄部を有する第2鋏体が軸部材によって回転可能に取り付けられ、前記第1刃部と前記第2刃部とが閉じることによって農作物の茎または果柄を切断可能な切断鋏部と、
前記第1刃部に沿って設けられ、前記第1刃部と連動して回転する第1挟持体、および前記第2刃部に沿って設けられ、前記第2刃部と連動して回転する第2挟持体を有し、前記第1刃部と前記第2刃部とが閉じたとき、前記農作物と前記切断鋏部との間に位置し、前記第1挟持体および前記第2挟持体の間隔が狭まることによって前記茎または前記柄を挟持可能な挟持部と、
前記第1挟持体および前記第2挟持体の間隔が広がる方向に前記第1挟持体の先端側の一部を変位させるための第1弾性変形部とを備える
農作物収穫用鋏。
【請求項2】
前記第1鋏体に固定される第1鋏体側固定部と、前記第1挟持体に固定される第1挟持体側固定部とを有する支持板をさらに備え、
前記第1弾性変形部は、前記支持板のうち、前記第1鋏体側固定部および前記第1挟持体側固定部の間に位置し、弾性変形する弾性変形許容部により構成され、
前記弾性変形許容部は、前記第1挟持体の前記第1刃部の刃線方向の長さよりも短く、かつ、前記第1刃部の峰側における前記軸部材に近い側に位置する
請求項1記載の農作物収穫用鋏。
【請求項3】
前記第1鋏体側固定部と前記第1挟持体側固定部とは、前記第1刃部と前記第1挟持体とが前記第2刃部の厚み以上に離間するように、前記第1刃部と前記第1挟持体とを固定する
請求項2記載の農作物収穫用鋏。
【請求項4】
前記第1挟持体側固定部は、前記支持板における前記第1挟持体と当接する部位であって貫通孔が形成されており、
前記支持板は、前記第1挟持体側固定部の前記貫通孔を貫通する締結部材によって前記第1鋏体に固定され、
前記貫通孔は、前記第1刃部の開閉方向に延びる長孔である
請求項3記載の農作物収穫用鋏。
【請求項5】
前記第1挟持体および前記第2挟持体の間隔が広がる方向に前記第2挟持体の先端側の一部を変位させるための第2弾性変形部をさらに備え、
前記第1弾性変形部は、弾性変形する素材で形成された前記第1挟持体自体、または、前記第1挟持体を前記第1刃部に取り付ける弾性変形する部材であり、
前記第2弾性変形部は、弾性変形する素材で形成された前記第2挟持体自体、または、前記第2挟持体を前記第2刃部に取り付ける弾性変形する部材である
請求項1から4までのいずれか1つに記載の農作物収穫用鋏。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
この発明は、一方端側に第1刃部、他方端側に第1柄部を有する第1鋏体および前記一方端側に第2刃部、前記他方端側に第2柄部を有する第2鋏体が軸部材によって回転可能に取り付けられ、前記第1刃部と前記第2刃部とが閉じることによって農作物の茎または果柄を切断可能な切断鋏部と、前記第1刃部に沿って設けられ、前記第1刃部と連動して回転する第1挟持体、および前記第2刃部に沿って設けられ、前記第2刃部と連動して回転する第2挟持体を有し、前記第1刃部と前記第2刃部とが閉じたとき、前記農作物と前記切断鋏部との間に位置し、前記第1挟持体および前記第2挟持体の間隔が狭まることによって前記茎または前記柄を挟持可能な挟持部、前記第1挟持体および前記第2挟持体の間隔が広がる方向に前記第1挟持体の先端側の一部を変位させるための第1弾性変形部とを備える農作物収穫用鋏であることを特徴とする。