(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048586
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】凝集造粒装置
(51)【国際特許分類】
B01D 21/26 20060101AFI20230331BHJP
B01D 21/01 20060101ALI20230331BHJP
B04C 5/28 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B01D21/26
B01D21/01 B
B01D21/01 C
B04C5/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157999
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】出 健志
(72)【発明者】
【氏名】早見 美意
(72)【発明者】
【氏名】仕入 英武
(72)【発明者】
【氏名】早見 徳介
(72)【発明者】
【氏名】毛受 卓
(72)【発明者】
【氏名】田中 夕佳
【テーマコード(参考)】
4D053
【Fターム(参考)】
4D053AA03
4D053AB04
4D053BA04
4D053BB02
4D053BC01
4D053BD04
4D053CA01
4D053DA10
(57)【要約】
【課題】 シンプルな構成で、かつ、原水の流量に変動があった場合であっても、安定した凝集造粒機能を実現できる凝集造粒装置を提供すること。
【解決手段】 実施形態によれば、凝集造粒装置は、原水が導入される導入口と、導入された原水が排出される排出口とを有する流路と、導入口から前記排出口に向かって流路を流れる原水に、凝集剤を注入するための凝集剤注入部と、流路内に配置され、凝集剤を注入された原水の旋回流を発生させる旋回流発生器とを備えることによって、原水に含まれる濁質を、凝集剤によって凝集し、凝集フロックを造粒する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水が導入される導入口から、前記原水が排出される排出口までに至る流路内を流れる前記原水に、凝集剤を注入するための凝集剤注入部と、
前記流路内に配置され、前記原水の旋回流を発生させる旋回流発生器とを備えることによって、
前記原水に含まれる濁質を、前記凝集剤によって凝集し、凝集フロックを造粒する、凝集造粒装置。
【請求項2】
前記流路内に、複数の前記旋回流発生器を、流れ方向に平行に配置し、
前記複数の旋回流発生器のうち、隣接して配置された2つの旋回流発生器によって発生される各旋回流は、旋回方向が異なる、請求項1に記載の凝集造粒装置。
【請求項3】
前記隣接して配置された2つの旋回流発生器によって発生される各旋回流の旋回方向は、一方が時計回り方向であり、他方が反時計回り方向である、請求項2に記載の凝集造粒装置。
【請求項4】
前記流路は、それぞれが前記流路の一部を形成する複数のモジュールを、流れ方向に直列に配置して形成され、
前記複数のモジュールは、
前記旋回流発生器が配置された1つまたは複数の撹拌モジュールと
前記旋回流発生器が配置され、前記凝集剤注入部が設けられた1つまたは複数の凝集剤注入モジュールとを含む、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の凝集造粒装置。
【請求項5】
前記凝集剤注入部は、前記凝集剤注入モジュール内の、前記流路の前記導入口側において、前記凝集剤を注入する、請求項4に記載の凝集造粒装置。
【請求項6】
前記流れ方向において、前記凝集剤注入モジュールの下流側に、前記撹拌モジュールが配置される、請求項4または5に記載の凝集造粒装置。
【請求項7】
前記複数のモジュールは、配管内に配置される、請求項4乃至6のうち何れか1項に記載の凝集造粒装置。
【請求項8】
前記複数のモジュールが前記流れ方向に直列に配置されたときに前記流路が形成されるように、前記複数のモジュールの位置合わせを行う位置合わせ機構をさらに備えた、請求項4乃至7のうちいずれか1項に記載の凝集造粒装置。
【請求項9】
前記位置合わせ機構は、前記複数のモジュールのおのおのに、前記流れ方向に開けられた位置合わせ用貫通孔を含む、請求項8に記載の凝集造粒装置。
【請求項10】
前記位置合わせ機構は、前記位置合わせ用貫通孔に挿入される位置合わせ用棒をさらに含む、請求項9に記載の凝集造粒装置。
【請求項11】
前記複数のモジュールのおのおのは、前記流れ方向に同じ長さを有し、
前記位置合わせ用棒は、前記モジュールの前記流れ方向の長さと同じ長さの部分長位置合わせ用棒を複数連結して構成される、請求項10に記載の凝集造粒装置。
【請求項12】
前記凝集剤注入モジュールは、少なくとも第1の前記凝集剤注入モジュールと第2の前記凝集剤注入モジュールとを含む複数あり、
前記第1の凝集剤注入モジュールに、第1の前記凝集剤注入部が設けられ、
前記第2の凝集剤注入モジュールに、第2の前記凝集剤注入部が設けられ、
前記第1の凝集剤注入モジュールは、前記流れ方向に直交する端面に、
前記第1の凝集剤注入部によって前記原水に注入される凝集剤を、前記第1の凝集剤注入部に供給するための第1の供給管が接続される第1の接続口と、
前記第2の凝集剤注入部によって前記原水に注入される凝集剤を、前記第2の凝集剤注入モジュールに供給するための第2の供給管が接続される第2の接続口とを、
180°回転対称となる位置に配置する、請求項4乃至11のうち何れか1項に記載の凝集造粒装置。
【請求項13】
前記流路を複数備え、
前記原水の流速が所定範囲内になるように、前記複数の流路のうち、前記原水を導入する流路を調整する調整部を備える、請求項1乃至12のうち何れか1項に記載の凝集造粒装置。
【請求項14】
前記複数の流路は、前記導入口を共有し、
前記調整部は、前記導入口を可変的に開閉可能なゲート弁を含む、請求項13に記載の凝集造粒装置。
【請求項15】
前記調整部は、前記複数の流路それぞれに設けられ、個別に開閉度を変えることが可能な複数のバタフライ弁を含む、請求項13に記載の凝集造粒装置。
【請求項16】
前記旋回流発生器は、前記流路内に配置されるために、前記流路内に差込可能な構成を有する、請求項1乃至15のうち何れか1項に記載の凝集造粒装置。
【請求項17】
前記流路内に、複数の前記旋回流発生器を、流れ方向に平行に配置し、
前記複数の前記旋回流発生器のうち、隣接して配置された2つの旋回流発生器の間を仕切る仕切部を配置した、請求項1、4乃至16のうち何れか1項に記載の凝集造粒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、浄水場や産業排水を始めとするプラント、発電所等において、原水に含まれる濁質を、凝集および造粒する凝集造粒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浄水場や産業排水を始めとするプラント、発電所等では、固液分離装置によって、原水から、金属イオンや有機物、無機塩等の懸濁物質(以下、「濁質」とも称する)の分離および除去がなされている。
【0003】
この種の固液分離装置に適用されている代表的な技術に、凝集沈殿処理技術や遠心分離技術がある。
【0004】
凝集沈殿処理技術が適用された固液分離装置では、処理対象の原水に凝集剤が加えられ、2種類の撹拌混合がなされる。すなわち、凝集剤を添加した直後は、急速撹拌と呼ばれる強い撹拌(第1の撹拌)が短時間行われ、凝集剤が原水全体に行きわたるように混合される。次に、緩速撹拌と呼ばれる弱い撹拌(第2の撹拌)が長時間行われ、濁質が凝集してなる凝集物同士が接触合一されることで粗大化され、その後、沈殿槽において沈降分離した凝集物が除去されている。
【0005】
一方、遠心分離技術が適用された固液分離装置では、固形物がフロック化された後、遠心分離機によって、フロックを含む原水が旋回され、遠心力の作用により、所定の粒径以上のフロックが、原水から分離される。遠心分離機では、重力よりも加速度の大きな遠心力が利用されるため、重力を利用する場合よりも短時間で固形物を分離できるので、沈殿槽の容量を小型化することができる(特許文献1,2参照)。
【0006】
しかしながら、遠心分離機において、結合力が弱いフロックを高速で旋回させると、一度形成されたフロックが分裂し微細化することがある。したがって、遠心分離技術を適用する際には、分裂や微細化しにくいフロックを形成するために、フロック形成槽を設ける必要がある。さらに、高密度かつ高強度のフロックを形成するために、フロックの壁面との衝突を促進するように、フロック形成槽内に、棚板で流路を形成する必要がある。
【0007】
このように、遠心分離技術が適用された固液分離装置は、沈殿槽の容量を小型化することはできるものの、フロック形成槽を設ける必要があるので、装置全体の小型化を実現することはできない。また、フロック形成槽の構造も複雑であるので、製造も容易ではない。
【0008】
そこで、装置全体の小型化の実現のため、配管型混合器において、原水に無機系凝集剤、カチオン系高分子凝集剤fおよびアニオン系高分子凝集剤gを添加し、撹拌することで、原水に含まれる濁質を凝集および造粒する凝集造粒機能を備えた固液分離装置が開示されている。
【0009】
配管型混合器は、コンパクト化が可能であるが、撹拌のために、配管中で撹拌翼を回転させる必要があるので、回転軸の固定方法、水密構造など、構造が複雑になってしまう。
【0010】
配管中に螺旋状のエレメントを固定して螺旋流れを発生させて撹拌する技術も開示されている。この場合、例えば流速1~2m/sで撹拌力が最大となるような形状のエレメントが使用されており、凝集および造粒に必要な撹拌力を確保、維持するには、複数の配管型混合器を直列に接続する必要がある。
【0011】
また、処理量を大きくするためには、大径の配管型混合器を使用するか、小径の配管型混合器を複数並列に接続する必要がある。
【0012】
しかしながら、大径の配管型混合器を使用する場合、処理量が少ないと、必要な撹拌力を得られない、あるいは、配管内の流速が低下し、固形物が沈殿してしまうなど、原水の流量変動に対応できず、常に十分な凝集造粒機能を実現できる訳ではない。
【0013】
一方、小径の配管型混合器を複数並列に接続して使用する場合、これら複数の配管型混合器をバルブ切り替えにより調整することで、原水の流量変動や、原水水質変動に伴って必要となる撹拌力の調整ができるものの、複数の流量調整バルブや小径配管混合器を多数並列で設置することになるために、装置全体の大型化および複雑化をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第4875129号公報
【特許文献2】特開2010-214248号公報
【特許文献3】特許第5907273号公報
【特許文献4】特許第6805282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、シンプルな構成で、かつ、原水の流量に変動があった場合であっても、安定した凝集造粒機能を実現できる凝集造粒装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
実施形態の凝集造粒装置は、原水が導入される導入口から、原水が排出される排出口までに至る流路内を流れる原水に、凝集剤を注入するための凝集剤注入部と、流路内に配置され、原水の旋回流を発生させる旋回流発生器とを備えることによって、原水に含まれる濁質を、凝集剤によって凝集し、凝集フロックを造粒する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の凝集造粒装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態の凝集造粒装置の構成例を示す部分切欠斜視図および側断面図である。
【
図3】
図3は、凝集ユニット14、造粒ユニット16、および固液分離ユニット22の内部構成例を示す分解図である。
【
図4】
図4は、凝集剤注入管モジュール12および凝集剤注入モジュール13の構造を示す図である。
【
図5】
図5は、撹拌モジュール15の構造および組立方法を示す図である。
【
図6】
図6は、直列に配列される複数の撹拌モジュール15の位置合わせ方法を説明するための図である。
【
図7】
図7は、直列に配列される複数の撹拌モジュール15の別の位置合わせ方法を説明するための図である。
【
図8】
図8は、凝集剤注入モジュール13の端面における、凝集剤供給管35の接続口と、下流側の凝集剤注入モジュールへの凝集剤供給管36の接続口との位置関係を示す図である。
【
図9】
図9は、固液分離ユニット22の構成例を示す斜断面図である。
【
図10】
図10は、固液分離ユニット22の一部を詳細に示す拡大斜断面図である。
【
図11】
図11は、サイクロン47による固液分離のメカニズムを説明するための模式図である。
【
図12】
図12は、流入シェル51、流出シェル52、および汚泥排出シェル53における圧力分布の解析結果の一例を示す図である。
【
図13A】
図13Aは、第1の実施形態の凝集造粒装置10の動作例を示すフローチャート(1/2)である。
【
図13B】
図13Bは、第1の実施形態の凝集造粒装置10の動作例を示すフローチャート(2/2)である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態の凝集造粒装置を説明するための図である。
【
図15】
図15は、第3の実施形態の凝集造粒装置に適用される旋回流発生器25およびプレート250を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態の凝集造粒装置を、図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態の凝集造粒装置について説明する。
【0020】
図1は、第1の実施形態の凝集造粒装置の構成例を示すブロック図である。
【0021】
図2は、第1の実施形態の凝集造粒装置の構成例を示す部分切欠斜視図および側断面図である。
【0022】
凝集造粒装置10は、円筒状の配管70の内部に構成される配管型であり、導入口17から原水aを導入し、原水aに対して無機系凝集剤e、カチオン系高分子凝集剤f、およびアニオン系高分子凝集剤gを注入することによって、原水aに含まれる濁質を凝集して、凝集フロックを造粒し、凝集フロックを固液分離して、汚泥bを取り出すとともに、排出口43から処理水cを排出する装置である。
【0023】
このために、凝集造粒装置10は、導入口17側から排出口43側に向かって順に、凝集のための凝集ユニット14、造粒のための造粒ユニット16、および固液分離のための固液分離ユニット22を備えている。
【0024】
なお、本実施形態では、凝集造粒装置10において、導入口17側を上流側、排出口43側を下流側とも称し、また、導入口17から排出口43に向かう方向を、流れ方向Lとも称する。
【0025】
原水aは、導入口17から凝集造粒装置10に導入される前に、pH調整剤dが添加される場合もある。
【0026】
凝集造粒装置10はさらに、導入口17よりも下流側に、凝集ユニット14へ導入される原水aの量を調整するためのゲート弁11を備えている。
【0027】
凝集ユニット14は、原水aに無機系凝集剤eを注入し、原水aと無機系凝集剤eとを混和させるエリアである混和エリア18と、無機系凝集剤eと混和された原水aに対してさらにカチオン系高分子凝集剤fおよびアニオン系高分子凝集剤gを注入し、原水aに含まれる濁質の凝集を促進する凝集エリア19とを形成している。
【0028】
造粒ユニット16は、凝集エリア19において形成された凝集物がフロック化された凝集フロックが造粒される造粒エリア20を形成している。
【0029】
なお、
図1は、後述するように、凝集造粒装置10内に第1から第6までの6つの流路がある場合の例を示しており、混和エリア18、凝集エリア19、および造粒エリア20の前に示される第1~第6の序数は、各流路に対応している。
【0030】
固液分離ユニット22は、固液分離がなされる固液分離エリア23を形成している。
【0031】
次に、これら凝集ユニット14、造粒ユニット16、および固液分離ユニット22の具体的な構成について説明する。
【0032】
図3は、凝集ユニット14、造粒ユニット16、および固液分離ユニット22の内部構成例を示す分解図である。
【0033】
凝集ユニット14は、凝集剤注入管モジュール12と、凝集剤注入モジュール13とを2個ずつ備え、ゲート弁11付きの耐圧性の配管70a内に、ゲート弁11よりも下流側に、凝集剤注入管モジュール12(1)、凝集剤注入モジュール13(1)、凝集剤注入管モジュール12(2)、凝集剤注入モジュール13(2)をこの順に直列配列し、装填することによって構成される。
【0034】
図4は、凝集剤注入管モジュール12および凝集剤注入モジュール13の構造を示す図である。
【0035】
凝集剤注入管モジュール12は、2セットのモジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37を備えている。
図4(c)では、2セットのモジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37のうち、第1セットのモジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37のみが図中手前側に図示されているが、第2セットのモジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37は、図中奥側に配置されているため図示されていない。
【0036】
各セットのモジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37は、
図3に示すように、配管70aに設けられた無機系凝集剤e注入管38、カチオン系高分子凝集剤注入管39、およびアニオン系高分子凝集剤注入管40のうちのいずれかと接続可能である。
【0037】
無機系凝集剤eは、無機系凝集剤e注入管38から、モジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37を介して凝集剤注入管モジュール12へ供給される。カチオン系高分子凝集剤fは、カチオン系高分子凝集剤注入管39から、モジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37を介して凝集剤注入管モジュール12へ供給される。アニオン系高分子凝集剤gは、アニオン系高分子凝集剤注入管40から、モジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37を介して凝集剤注入管モジュール12へ供給される。
【0038】
図3に示す例では、無機系凝集剤e注入管38は、2つの凝集剤注入管モジュール12のうち、上流側の凝集剤注入管モジュール12(1)の第1セットのモジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37に接続される。
図3に示す例では、凝集剤注入管モジュール12(1)の第2セットのモジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37には、いずれの注入管も接続されていない。
【0039】
また、
図3に示す例では、カチオン系高分子凝集剤注入管39は、2つの凝集剤注入管モジュール12のうち、下流側の凝集剤注入管モジュール12(2)の第1セットのモジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37に接続される。
【0040】
さらに、
図3に示す例では、アニオン系高分子凝集剤注入管40は、下流側の凝集剤注入管モジュール12(2)の第2セットのモジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37(図示せず)に接続される。
【0041】
これによって、凝集剤注入管モジュール12(1)は、無機系凝集剤eを凝集剤注入モジュール13(1)へ供給できるようになる。また、凝集剤注入管モジュール12(2)は、後述するように、カチオン系高分子凝集剤fを凝集剤注入モジュール13(2)へ、アニオン系高分子凝集剤gを凝集剤注入モジュール13(3)へ供給できるようになる。
【0042】
造粒ユニット16は、耐圧性の配管70b内に、流れ方向Lに向かって直列に配列された4個の撹拌モジュール15(1)~(4)を装填し、最後に、撹拌モジュール15(1)の最上流側に1個の凝集剤注入モジュール13を装填することによって構成される。なお、撹拌モジュール15の数は、ここでは一例として4個としているが、4個に限定されず、4個以外の複数とすることができる。
【0043】
固液分離ユニット22は、汚泥回収管41およびブロー配管42が接続された耐圧性の配管70c内に、固液分離機であるミニサイクロンモジュール21を装填することによって構成される。配管70cの最下流側の開口部は、排出口43となる。なお、ミニサイクロンモジュール21の詳細は、特許文献4にも記載されている。
【0044】
図3に示す配管70a、70b、70cをこの順に直列的に接続したものが、
図2に示す配管70に相当する。
【0045】
配管70は、一例として、耐圧性の200Aのステンレス鋼とすることができる。この場合、凝集剤注入管モジュール12は、配管70の内部に装填可能なように、流れ方向Lに沿った長さである全長が100(mm)であり、直径が200(mm)である円筒形状とする。同様に、凝集剤注入モジュール13および撹拌モジュール15も、配管70の内部に装填可能なように、全長200(mm)、直径200(mm)の円筒形状とすることができる。配管70が耐圧性であることによって、凝集剤注入管モジュール12、凝集剤注入モジュール13、および撹拌モジュール15に耐圧性は要求されないことから、凝集剤注入管モジュール12、凝集剤注入モジュール13、および撹拌モジュール15は、樹脂で製造することができる。
【0046】
次に、撹拌モジュール15の詳細な構成について説明する。
【0047】
図5は、撹拌モジュール15の構造および組立方法を示す図である。特に、
図5(a)は、撹拌モジュール15の外形を示す斜視図、
図5(b)は、
図5(a)に対応する撹拌モジュール15の内部構造を示す斜視図、
図5(c)および
図5(d)は、後述するスリットに配置される旋回流発生器24および旋回流発生器25の外形を示す斜視図である。
【0048】
図5(a)および
図5(b)に例示されるように、撹拌モジュール15の端面には、一例として、8つのスリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)が開けられている。各スリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)の高さHは等しい。
【0049】
スリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)は、流れ方向Lに撹拌モジュール15を貫通している。
【0050】
各スリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)内には、
図5(c)に示すような旋回流発生器24および
図5(d)に示すような旋回流発生器25を、流れ方向Lに平行に交互に隣接して配置している。
【0051】
このために、旋回流発生器24と旋回流発生器25とを、スリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)内に差込可能な寸法および形状で予め製造しておく。そして、各スリットに、旋回流発生器24を流れ方向Lに向けて差し込み、その隣に旋回流発生器25を流れ方向Lに向けて差し込むように、スリットの幅W方向にわたって、旋回流発生器24と旋回流発生器25とを交互に隣接して配置して、スリットの内面に固定する。このようにして、旋回流発生器24と旋回流発生器25とを、流れ方向Lに平行になるように、交互に隣接して配置する。
【0052】
また、旋回流発生器24と旋回流発生器25とを、各スリットに、交互に差し込んでから配置し固定する代わりに、
図5(e)に例示するように、複数の旋回流発生器24と複数の旋回流発生器25とを、交互に隣接配置したアセンブリAを予め形成しておき、このアセンブリAを、各旋回流発生器24、25の長手方向が、流れ方向Lを向くようにスリットに差し込み、スリットの内面に固定することによっても実現できる。
【0053】
アセンブリAは、例えば、幅Wの広いスリット27、28、29、30については、
図5(e)に示すように、6つの旋回流発生器24と6つの旋回流発生器25とで構成し、幅Wの狭いスリット26(1)、26(2)、31(1)、31(2)については、3つの旋回流発生器24と3つの旋回流発生器25とで構成するなど、スリットの幅Wに合わせて、旋回流発生器24および旋回流発生器25の数を調整する。
【0054】
さらには、このようにアセンブリAの配置によってスリット内に旋回流発生器24および旋回流発生器25を固定する代わりに、予めスリット内に旋回流発生器24および旋回流発生器25が交互に隣接配置されている撹拌モジュール15と一体的に製造してもよい。
【0055】
なお、上記では、1つのスリットに配置される旋回流発生器24と旋回流発生器25との数が同じである場合について説明したが、1つのスリットに配置される旋回流発生器24と旋回流発生器25との数は、同じであることには限定されず、旋回流発生器24と旋回流発生器25とが交互に隣接配置されるのであれば、いずれかが1つ多い場合であってもよい。
【0056】
このように旋回流発生器24および旋回流発生器25が配置されているスリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)内を、流れ方向Lへ原水aが流れると、各旋回流発生器24、25によって、原水aは、旋回しながら流れ方向Lへ進む。
【0057】
例えば、
図5(e)のように、6つの旋回流発生器24と、6つの旋回流発生器25とが配置されているスリット27、28、29、30内では、合計12の旋回流が発生し、これら12の旋回流がそれぞれ独立して流れ方向Lへ進む。これら旋回流の半径は、スリットの高さHよりも小さい。
【0058】
ただし、旋回流発生器24が、時計回りの旋回流を発生させ、旋回流発生器25が、反時計周りの旋回流を発生させるように、旋回流発生器24と旋回流発生器25とは、逆方向の旋回流を発生させる。
【0059】
したがって、スリット内では、複数の旋回流が発生するものの、スリットの幅W方向に、同じ旋回方向の旋回流は隣接することなく、必ず、時計回りの旋回流と、反時計回りの旋回流とが交互するように発生し、それぞれが流れ方向Lへ進む。
【0060】
このように、スリット内では、同じ旋回方向の旋回流が隣接しないので、隣接する旋回流からの影響や干渉が減少する。このため、各旋回流は、それぞれ安定して流れ方向Lへ進むために、旋回による高い撹拌効果を実現することができる。また、1つのスリットの中を、多数の旋回流が進んで行くので、例えば、旋回流発生器毎に設けられたような狭いスリット内を旋回流が進んで行くよりも、スリット内で目詰まりが発生する可能性が低減するので、目詰まり等に起因する流速ムラや、低流速時の流路の撹拌力低下も抑制できる。
【0061】
図3に戻って示すように、撹拌モジュール15(1)~(4)は、流れ方向L沿って複数直列に配列されている。また、前述したように、各スリットは流路となる。したがって、撹拌モジュール15(1)~(4)にわたって連続的な流路を形成するためには、隣接して配置される撹拌モジュール15同士が接触する端面において、隣接する撹拌モジュール15の各スリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)同士が連続するように、位置合わせする必要がある。
【0062】
この位置合わせのために、
図5(a)に示すように、各撹拌モジュール15の端面の上下(12時および6時の位置)に、モジュール固定棒挿入孔32a、32bを開けている。
【0063】
モジュール固定棒挿入孔32a、32bを用いた位置合わせ方法について以下に説明する。
【0064】
図6は、直列に配列される複数の撹拌モジュール15の位置合わせ方法を説明するための図である。
【0065】
図6では、
図3のように4個の撹拌モジュール15(1)~(4)が直列に配列される例を示しているが、この位置合わせ方法は、4個以外の複数の撹拌モジュール15を直列に配列する場合にも適用できる。
【0066】
図6(a)に示すように、4つの撹拌モジュール15(1)~(4)を直列に配列する場合、2本のモジュール固定棒100a、100bを、撹拌モジュール15(1)のモジュール固定棒挿入孔32a、32b、撹拌モジュール15(2)のモジュール固定棒挿入孔32a、32b、撹拌モジュール15(3)のモジュール固定棒挿入孔32a、32b、撹拌モジュール15(4)のモジュール固定棒挿入孔32a、32bに順に挿入することによって、撹拌モジュール15(1)~(4)をこの順に直列に配列して行く。
【0067】
さらに、矢印Y1に示すように、撹拌モジュール15(2)の前方(図中左側)端面が、撹拌モジュール15(1)の後方(図中右側)端面と接触するまで、撹拌モジュール15(2)を、撹拌モジュール15(1)側へ移動させる。同様に、矢印Y2に示すように、撹拌モジュール15(3)の前方端面が、撹拌モジュール15(2)の後方端面と接触するまで、撹拌モジュール15(3)を、撹拌モジュール15(2)側へ移動させる。さらにまた同様に、矢印Y3に示すように、撹拌モジュール15(4)の前方端面が、撹拌モジュール15(3)の後方端面と接触するまで、撹拌モジュール15(4)を、撹拌モジュール15(3)側へ移動させる。これによって、
図6(b)に示すように、4つの撹拌モジュール15(1)~(4)を隙間なく連結する。
【0068】
4つの撹拌モジュール15(1)~(4)は、2本のモジュール固定棒100a、100bによって位置合わせされているので、各撹拌モジュール15(1)~(4)の対応するスリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)同士もそれぞれ連続し、連続的な8つの流路を形成する。なお、スリット26(1)、26(2)、31(1)、31(2)は、他のスリット27、28、29、30に比べて幅Wが狭くなっているので、便宜的に、幅Wの狭い2つのスリットを1つの流路として取り扱うようにしても良い。したがって、本実施形態では、スリット27、28、29、30がそれぞれ1つずつ流路を形成し、スリット26(1)、26(2)が合わせて1つの流路を形成し、スリット31(1)、31(2)が合わせて1つの流路を形成し、合計6つの流路を形成するとして説明する。
【0069】
図1は、このように6つの流路が形成された場合における構成に対応しており、混和エリア18、凝集エリア19、および造粒エリア20の前に示される第1~第6の序数は、6つの流路に対応している。
【0070】
モジュール固定棒100aおよびモジュール固定棒100bは、必ずしも1本の長尺棒である必要はなく、複数の部分長を有する棒を連結したものとすることもできる。1本の長尺棒であるよりも、複数の棒を連結してモジュール固定棒100a、100bとする方が、輸送の際にも、また組立の際に便利である。また、部分長の長さとしては、撹拌モジュール15の全長(例えば、200mm)程度とすれば、輸送の観点からも好ましい。
【0071】
図7は、直列に配列される複数の撹拌モジュール15の別の位置合わせ方法を説明するための図である。
【0072】
図7でも、例として4つの撹拌モジュール15(1)~(4)が直列に配列される状態を示している。
【0073】
位置合わせは、
図6に示すように、モジュール固定棒挿入孔32a、32bおよび2本のモジュール固定棒100a、100bを使って実施されることに限定されず、例えば、撹拌モジュール15にモジュール固定棒挿入孔32a、32bを設ける代わりに、
図7(a)に示すように、モジュール15の上流側の孔32a、32bの位置に突起102a、102bを設け、下流側の孔32a、32bの位置に、突起102a、102bと嵌合する形状の窪み103a、103bを設け、上流側の撹拌モジュール15の窪み103a、103bに、下流側に隣接する撹拌モジュール15の突起102a、102bを嵌め合わせることによって行うこともできる。
【0074】
図7(b)は、このようにして4つの撹拌モジュール15(1)~(4)が直列的に配列された状態を示す図であり、例えば、撹拌モジュール15(1)の窪み103a(1)、103b(1)に、撹拌モジュール15(2)の突起102a(2)、102b(2)を嵌め合わせるという具合に、上流側の撹拌モジュール15の窪み103a、103bに、下流側に隣接する撹拌モジュール15の突起102a、102bを嵌め合わせることによって、各撹拌モジュール15(1)~(4)の対応するスリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)同士もそれぞれ連続し、前述したように、6つの流路を形成することができる。
【0075】
次に、
図4に戻って、凝集剤注入管モジュール12および凝集剤注入モジュール13の詳細な構成について説明する。
【0076】
図4(c)は、
図3に示す凝集ユニット14における凝集剤注入管モジュール12(1)、(2)および凝集剤注入モジュール13(1)、(2)の内部構造を示す斜視図である。
【0077】
凝集剤注入管モジュール12(1)、(2)は、凝集剤注入モジュール13(1)、(2)と同じ直径を有する円筒形状である。凝集剤注入管モジュール12(1)、(2)にも、凝集剤注入モジュール13(1)、(2)のスリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)に対応するスリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)が開けられており、凝集剤注入モジュール13(1)、(2)のスリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)と連続するように、前述したような位置決め方法によって位置決めされて、凝集剤注入モジュール13(1)、(2)と固定されている。
【0078】
ただし、凝集剤注入管モジュール12(1)、(2)のスリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)の中には、旋回流発生器24、25は配置されていない。このため、凝集剤注入管モジュール12(1)、(2)の全長は、凝集剤注入モジュール13(1)、(2)の全長よりも短い。
【0079】
次に、凝集剤注入モジュール13について説明する。凝集剤注入モジュール13は、撹拌モジュール15に凝集剤注入機能を付加したものであり、それ以外の構成は、撹拌モジュール15と同じであり、外形および寸法も、撹拌モジュール15と同一である。したがって、凝集剤注入モジュール13の説明は、撹拌モジュール15と異なる点についてのみ行い、重複説明を避ける。
【0080】
図4(a)は、凝集剤注入モジュール13の外形を示す斜視図である。
【0081】
図4(a)に示す凝集剤注入モジュール13に設けられた各スリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)は、撹拌モジュール15において説明した各スリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)と同様であり、内部に、旋回流発生器24および旋回流発生器25を、流れ方向Lに平行に交互に隣接配置している。
【0082】
しかしながら、凝集剤注入モジュール13は、撹拌モジュール15とは異なり、各スリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)の上流側、すなわち、図中手前側の底面に、スリット幅W方向にわたって、多数の凝集剤注入孔33が開けられている。
【0083】
図4(b)は、
図4(a)に対応する凝集剤注入モジュール13の内部構造を示す斜視図である。
【0084】
各スリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)の上流端側には、スリット幅W方向にわたって凝集剤注入管34が配設されている。凝集剤注入管34には、一定ピッチで孔(例えば、孔34a、34b、34c、34dなど)が開けられている。これら孔(例えば、孔34a、34b、34c、34dなど)の開口側に凝集剤注入孔33が位置している。
【0085】
凝集剤注入管34の端部は、凝集剤注入管モジュール12から供給される凝集剤を移送するモジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37が接続される凝集剤注入管35となっている。凝集剤注入管35は、
図4(b)において、凝集剤注入モジュール13の奥側に配置されている。
【0086】
このような構成によって、凝集剤注入管モジュール12から供給される凝集剤は、モジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37から、凝集剤注入管35を経由して凝集剤注入管34へ送られ、孔(例えば、孔34a、34b、34c、34dなど)から排出され、凝集剤注入孔33を通過して各スリット内の原水aに注入される。凝集剤注入孔33は、前述したように、各スリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)の上流端側に設けられているので、凝集剤は、原水aの旋回が開始される旋回流発生地点において、原水aに注入されることになる。
【0087】
一方、
図4(b)に示すように、凝集剤注入モジュール13の図中手前側の側面には、流れ方向Lに沿って、下流側の凝集剤注入モジュールへの凝集剤供給管36が配置されている。
【0088】
下流側の凝集剤注入モジュールへの凝集剤供給管36の上流側端部には、
図4(c)に示すように、凝集剤注入管モジュール12から凝集剤を移送するモジュール凝集剤注入管-凝集ユニット接続管37が接続される。
【0089】
したがって、下流側の凝集剤注入モジュールへの凝集剤供給管36は、
図3に示すように、凝集剤注入管モジュール12(2)が、凝集剤注入モジュール13(2)の下流側に配置された2つ目の凝集剤注入モジュール13(3)に凝集剤を供給するための配管として使用される。
【0090】
図8は、凝集剤注入モジュール13(2)の端面における、凝集剤供給管35の接続口と、下流側の凝集剤注入モジュール13(3)への凝集剤供給管36の接続口との位置関係を示す図である。
【0091】
凝集剤注入モジュール13は、
図4(a)に例示するように円柱形状を有している。そして、
図8(a)および
図8(b)に示すように、凝集剤注入モジュール13(2)の、流れ方向Lに対して直交する端面では、凝集剤供給管35の接続口と、下流側の凝集剤注入モジュール13(3)への凝集剤供給管36の接続口とが、180°回転対称となる位置に配置されている。つまり、
図3に示すように、1つの凝集剤注入管モジュール12(2)が、2つの凝集剤注入モジュール13(2)、(3)へ凝集剤を供給する場合、上流側の凝集剤注入モジュール13(2)に対して、下流側の凝集剤注入モジュール13(3)は、端面において180°回転されて配置されている。
【0092】
したがって、凝集剤注入モジュール13(3)では、凝集剤供給管35の接続口は、凝集剤注入モジュール13(2)の凝集剤供給管35の接続口とは逆に、
図3中手前側に配置されることになる。つまり、凝集剤注入モジュール13(2)の下流側端面と、凝集剤注入モジュール13(3)の上流側端面との凝集剤供給管35の接続口および凝集剤供給管36の接続口の位置関係は、
図8(a)および
図8(b)のようになり、凝集剤注入モジュール13(2)の凝集剤供給管36の接続口と、凝集剤注入モジュール13(3)の凝集剤供給管35の接続口とが対向する。
【0093】
これによって、凝集剤注入モジュール13(2)と、凝集剤注入モジュール13(3)とを直列に配置した場合、凝集剤注入モジュール13(2)の凝集剤供給管36と、凝集剤注入モジュール13(3)の凝集剤供給管35とを接続することが容易となる。凝集剤注入モジュール13(2)の凝集剤供給管36を、対向する凝集剤注入モジュール13(3)の凝集剤供給管35に接続することで、凝集剤注入管モジュール12(2)からの凝集剤は、モジュール凝集剤注入管-凝集ユニット凝集剤供給管37から、凝集剤注入モジュール13(2)の凝集剤供給管36、および凝集剤注入モジュール13(3)の凝集剤供給管35を経由して、凝集剤注入モジュール13(3)の凝集剤注入管34へ送られ、凝集剤注入モジュール13(2)と同様に、原水aの旋回が開始される旋回流発生地点において、原水aに注入される。
【0094】
このようにして、1つの凝集剤注入管モジュール12(2)で、2つの凝集剤注入モジュール13(2)、(3)に凝集剤を注入することができる。
【0095】
なお、
図3および
図4(c)に示す凝集剤注入管モジュール12(1)のように、1つの凝集剤注入モジュール13(1)にしか凝集剤を供給しない場合には、凝集剤注入管モジュール12(1)のモジュール凝集剤注入管-凝集ユニット凝集剤供給管37を、凝集剤注入モジュール13(1)の凝集剤供給管36に接続しなければよい。
【0096】
凝集剤注入モジュール13の各スリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)内には、撹拌モジュール15と同様に、旋回流発生器24と旋回流発生器25とが、流れ方向Lに平行に交互に隣接配置されているので、凝集剤を注入された原水aが、旋回流発生器24、25によって旋回されることで、原水aと凝集剤との撹拌効果が高められる。
【0097】
凝集剤注入管モジュール12、凝集剤注入モジュール13も、端面に、撹拌モジュール15と同様の位置に、モジュール固定棒挿入孔32a、32bを開けている。これによって、
図3に示すように、4つの撹拌モジュール15(1)、(2)、(3)、(4)に加えて、凝集剤注入管モジュール12(1)、凝集剤注入モジュール13(1)、凝集剤注入管モジュール12(2)、凝集剤注入モジュール13(2)、凝集剤注入モジュール13(3)をも位置合わせしながら配置することによって、これらモジュール12、13、15における対応するスリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)同士をそれぞれの端面において連続させ、凝集ユニット14の最上流端から、造粒ユニット16の最下流端まで連続する8つの流路を形成する。これら8つの流路もまた、前述したように、幅Wの狭いスリット26(1)、26(2)を合わせて1つの流路とし、スリット31(1)、31(2)も同様に合わせて1つの流路とすることにより、6つの流路として取り扱うことができる。
【0098】
また、前述したように、凝集造粒装置10は、導入口17よりも下流側かつ凝集剤注入管モジュール12(1)よりも上流側に、凝集造粒装置10へ導入される原水aの量を調整するためのゲート弁11を備えている。ゲート弁11は、流れ方向Lに対して垂直方向に下降および上昇が可能である。これによって、ゲート弁11が全開のときには、凝集剤注入管モジュール12(1)のすべてのスリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)に原水aが導入されるが、ゲート弁11が下降するのにしたがって、導入口17の上側が閉じられて行くので、上側のスリットから、すなわち、スリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)の順に、原水aが導入されなくなる。導入口17からの原水aの量が一定の場合、原水aが導入されるスリット数、すなわち流路数が減少すると、流路内を流れる原水aの流速は高まる。
【0099】
このように、ゲート弁11による導入口17の開閉に応じて、原水aが導入される流路数や、原水aの流速を調整できる。したがって、ゲート弁11は、凝集造粒装置10において、流路内を流れる原水aの流速が、所定範囲内になるように調整する調整部として機能する。
【0100】
凝集造粒装置10は、原水aの水質や水量に応じて、撹拌モジュール15による最適な撹拌力を維持できるように、ゲート弁11によって導入口17の開閉量を調整し、原水aが導入される流路数を調整することによって、原水aの流速が所定範囲内になるように調整する。
【0101】
例えば、原水aの処理量が少ないときは、ゲート弁11の開度を小さくし、原水aが導入される流路数を減らすことで、原水aの流速が、例えば、0.5~2(m/秒)のように、最も高い撹拌効果が得られる範囲になるように調整する。
【0102】
なお、いずれの流路も配管70内に設置されているので、上記のように原水aの処理量が少ない場合には、原水aを流さない流路に水を満たす。これによって、各流路間に圧力差が均一にかかるようになる。これによって、各モジュール12、13、15は、耐圧性や、必要な強度を大幅に低くすることができるので、複雑な構造の旋回流発生器24,25による製造コストの増分を吸収することができる。
【0103】
次に、固液分離ユニット22の具体的な構成について説明する。
【0104】
図9は、固液分離ユニット22の構成例を示す斜断面図である。
【0105】
図10は、固液分離ユニット22の一部を詳細に示す拡大斜断面図である。
【0106】
固液分離ユニット22は、第1~第6の造粒エリア20において造粒された凝集フロックを含む原水aから、遠心力により、凝集フロックを分離し、凝集フロックを分離された原水aを回収することによって固液分離する複数の固液分離機44を並列接続している。
【0107】
固液分離機44はそれぞれ、円筒部45と中空円錐部46とを結合して形成されるコーン形状をしたサイクロン47を備えている。
【0108】
図11は、サイクロン47による固液分離のメカニズムを説明するための模式図である。
【0109】
固液分離機44は、また、円筒部45に接続され、造粒エリア20から送液された凝集フロックjを含む原水aを、円筒部45の接線方向から、サイクロン47内に流入させるための入口管48を備えている。さらには、円筒部45を閉塞する閉塞面中心に接続され、サイクロン47による固液分離作用によって、凝集フロックjを分離された原水aである処理水cを、接線方向と直交する方向へ、サイクロン47から排出するための出口管49を備えている。さらにまた、中空円錐部46の先端に設けられ、サイクロン47による固液分離作用によって、原水aから分離された凝集フロックjを含む汚泥bを、サイクロン47から排出するための汚泥排出管50を備えている。
【0110】
なお、
図9および
図10では、5つのサイクロン47が並列配置された構成が例示されている一方、
図11では、3つのサイクロン47が並列配置された構成が例示されている。これらは何れも一例であり、並列配置されるサイクロン47の数に限定はない。
【0111】
なお、円筒部45の内径サイズは、以下の理由により、20(mm)以上、特に30(mm)であることが好ましい。
【0112】
すなわち、サイクロン47では、円筒部45の内径、すなわち、中空円錐部46の最大内径が小さくなるほど旋回力が大きくなり固液分離性能が向上する。一方、入口管48および汚泥排出管50の内径は、造粒エリア20から送液される原水aに含まれる凝集フロックjのサイズより大きくする必要ある。造粒エリア20から送液される原水aに含まれる凝集フロックjのサイズは、数十(μm)~数(mm)であることから、入口管48および汚泥排出管50の内径をそれ以上のサイズにする必要がある。そのため、円筒部45の内径サイズは、最低でも20(mm)必要となり、特に30(mm)が好ましい。
【0113】
また、固液分離エリア23は、複数の固液分離機44すべての入口管48と共通して空間連通している流入シェル51と、複数の固液分離機44のすべての出口管49と共通して空間連通している流出シェル52と、複数の固液分離機44のすべての汚泥排出管50と共通して空間連通している汚泥排出シェル53とを備えている。
【0114】
流入シェル51、流出シェル52、および汚泥排出シェル53は、複数のサイクロン47によって隔てられている。これによって、流入シェル51、流出シェル52、および汚泥排出シェル53のおのおの内における圧力が均一になる。
【0115】
図12は、流入シェル51、流出シェル52、および汚泥排出シェル53における圧力分布の解析結果の一例を示す図である。
【0116】
図12より、流入シェル51、流出シェル52、および汚泥排出シェル53において、各シェル内の圧力が均一になり、その結果、各サイクロン47の入口管48、出口管49、および汚泥排出管50の圧力差が均一化され、並列配置された各サイクロン47における原水均等分配(すなわち、各サイクロン47への原水の流入量の均一化、分離性能の均一化)を実現する。
【0117】
流入シェル51は、流入シェル開口部54において、固液分離エリア23の上流側と空間連通し、すなわち、造粒エリア20と空間連通している。流出シェル52は、流出シェル開口部55において、固液分離エリア23の下流側と空間連通している。
【0118】
汚泥排出シェル53は胴形状をしており、胴の周囲を360°周回するように、複数のサイクロン47が、何れも汚泥排出管50を汚泥排出シェル53側に向けて配置されている。
【0119】
汚泥排出シェル53の下流端近傍には、サイクロン47によって周回されていない領域53aが存在する。この領域53aには、重力方向に延伸するように、汚泥排出管50から排出された凝集フロックjのスラッジである汚泥bを回収するための汚泥回収管41が、サイクロンモジュール21の汚泥回収管接続部56を介して接続されている。
【0120】
さらにサイクロンモジュール21の汚泥排出シェル53には、ブロー配管接続部57を介してブロー配管42が接続されている。ブロー配管42は、汚泥排出管50から、凝集フロックjと同伴して排出された原水aの上澄み液を、ブロー水として、導入口17側へ戻すための配管である。
【0121】
なお、原水aに含まれる大きな凝集フロックjは、結合力が強く高密度であるので、遠心分離をかけても、遠心力で破壊することはない。したがって、凝集槽および沈殿槽が不要となる。これによって、凝集槽および沈殿槽の設置に要していた面積を削減できる。
【0122】
次に、以上のように構成した第1の実施形態の凝集造粒装置の動作例について説明する。
【0123】
図13Aおよび
図13Bは、第1の実施形態の凝集造粒装置10の動作例を示すフローチャートである。
【0124】
浄水場や産業排水を始めとするプラント、発電所等から排出された原水aは、導入口17から凝集造粒装置10に導入される(S1)。
【0125】
凝集造粒装置10では、導入された原水aの水質や、水量に応じて、ゲート弁11の開閉度が調整され、原水aの流速が、例えば、0.5~2(m/秒)のように、最も高い撹拌効果が得られる範囲内になるように、原水aが導入される流路数が調整され(S2)。
【0126】
これによって、
図3に示す凝集剤注入管モジュール12(1)に設けられたスリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)のうち、ゲート弁11によって閉じられていないスリットに、原水aが導入される。
【0127】
図3に示すように、凝集剤注入管モジュール12(1)、凝集剤注入モジュール13(1)、凝集剤注入管モジュール12(2)、凝集剤注入モジュール13(2)、凝集剤注入モジュール13(3)、および4つの撹拌モジュール15(1)、(2)、(3)、(4)は、それぞれ隣接するモジュールと、端面において位置合わせされているので、各モジュール12、13、15における対応するスリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)同士がそれぞれ連続することで、凝集ユニット14の最上流端から、造粒ユニット16の最下流端まで連続する8つの流路が形成されている。なお、これら8つの流路は、前述したように、幅Wの狭いスリット26(1)、26(2)を合わせて1つの流路とし、スリット31(1)、31(2)も同様に合わせて1つの流路とすることにより、6つの流路として取り扱うことができる。
【0128】
したがって、凝集剤注入管モジュール12(1)の流路に導入された原水aは、この流路に沿って、その後、凝集剤注入モジュール13(1)、凝集剤注入管モジュール12(2)、凝集剤注入モジュール13(2)、凝集剤注入モジュール13(3)、および4つの撹拌モジュール15(1)、(2)、(3)、(4)の内部を順に通過して、サイクロンモジュール21に達する。
【0129】
凝集剤注入モジュール13(1)では、凝集剤注入管モジュール12(1)によって供給された無機系凝集剤eが、凝集剤注入孔33から排出され、流路内を流れている原水aに注入される(S3)。
【0130】
凝集剤注入モジュール13(1)の各流路内には、
図5(e)に例示するように、旋回流発生器24と旋回流発生器25とが、流れ方向Lに平行に交互に隣接して配置されているので、流路内の旋回流発生地点において無機系凝集剤eを注入された原水aは、旋回流発生器24、25によって旋回され、無機系凝集剤eを良好に撹拌しながら、流れ方向Lに進み、凝集剤注入管モジュール12(2)の内部を通過して、凝集剤注入モジュール13(2)に到達する(S4)。
【0131】
このとき、原水aは、旋回流発生器24によって時計回りの旋回流とされ、旋回流発生器25によって反時計周りの旋回流とされるように、同一流路内では、同じ旋回方向の旋回流が隣接することなく、必ず、時計回りの旋回流と、反時計回りの旋回流とが交互するように発生し、それぞれが独立した旋回流として、流れ方向Lへ進んで行く。
【0132】
このように、流路内では、同じ旋回方向の旋回流が隣接しないので、隣接する旋回流からの影響や干渉が低減され、各旋回流による撹拌力が向上する。また、流路は、旋回流が複数並進できる幅広な形状となっているので、目詰まり等による流速ムラや、低流速時の流路の撹拌力低下も抑制される。
【0133】
凝集剤注入モジュール13(2)では、凝集剤注入管モジュール12(2)によって供給されたカチオン系高分子凝集剤fが、凝集剤注入孔33から排出され、流路内を流れている原水aに注入される(S5)。
【0134】
凝集剤注入モジュール13(2)の流路内も、凝集剤注入モジュール13(1)と同様に、旋回流発生器24と旋回流発生器25とが、流れ方向Lに平行に交互に隣接して配置されているので、流路内の旋回流発生地点においてさらにカチオン系高分子凝集剤gを注入された原水aは、旋回流発生器24、25によって旋回が維持され、さらにカチオン系高分子凝集剤gを良好に撹拌しながら、流れ方向Lに進み、凝集剤注入モジュール13(3)に到達する(S6)。
【0135】
凝集剤注入モジュール13(3)では、凝集剤注入管モジュール12(2)によって供給されたアニオン系高分子凝集剤gが、凝集剤注入孔33から排出され、流路内を流れている原水aに注入される(S7)。
【0136】
凝集剤注入モジュール13(3)の流路内も、凝集剤注入モジュール13(1)、(2)と同様に、旋回流発生器24と旋回流発生器25とが、流れ方向Lに平行に交互に隣接して配置されているので、流路内の旋回流発生地点においてさらにアニオン系高分子凝集剤fを注入された原水aは、旋回流発生器24、25によって旋回が維持され、さらにアニオン系高分子凝集剤fを良好に撹拌しながら、流れ方向Lに進み、造粒ユニット16の最初の撹拌モジュール15(1)に到達する(S8)。
【0137】
造粒ユニット16の各撹拌モジュール15(1)、(2)、(3)、(4)の流路内も、凝集剤注入モジュール13(1)、(2)、(3)と同様に、旋回流発生器24と旋回流発生器25とが、流れ方向Lに平行に交互に隣接して配置されているので、旋回流発生器24、25によって旋回が維持され、無機系凝集剤e、カチオン系高分子凝集剤f、およびアニオン系高分子凝集剤gをさらに撹拌しながら、流れ方向Lに進む(S8)。
【0138】
このようにして4つの撹拌モジュール15(1)、(2)、(3)、(4)によって、無機系凝集剤e、カチオン系高分子凝集剤f、およびアニオン系高分子凝集剤gの撹拌が十分に行われることで、原水a内に凝集フロックjが造粒される(S9)。そして、凝集フロックjを含む原水aは、固液分離ユニット22のミニサイクロンモジュール21に到達する。
【0139】
ミニサイクロンモジュール21に到達した凝集フロックjを含む原水aは、ミニサイクロンモジュール21内に並列接続された複数の固液分離機44へ送られる。これら固液分離機44では、コーン形状のサイクロン47による固液分離作用によって、原水aから凝集フロックjが分離される(S10)。
【0140】
凝集フロックjが分離された原水aは、処理水cとして、サイクロン47から排出口43から排出される(S11)。
【0141】
一方、原水aから分離された凝集フロックjを含む汚泥bは、サイクロン47から汚泥回収管41を介して外部へ排出される(S12)。
【0142】
このように、第1の実施形態の凝集造粒装置10によれば、配管70に複数のモジュール(凝集剤注入管モジュール12、凝集剤注入モジュール13、撹拌モジュール15、およびサイクロンモジュール21)を装填して実現されるシンプルな構成によって、原水aの流速を、凝集剤e、f、gの撹拌のために好適な速度に調整することができる。さらに、原水aは、同一流路内において、複数の旋回流となって流れ方向Lへ流れるが、時計回りの旋回流と、反時計回りの旋回流とが交互するように、同じ旋回方向の旋回流が隣接しないので、隣接する旋回流からの影響や干渉が低減され、各旋回流によって安定した撹拌効果が得られ、凝集剤e、f、gを良好に撹拌することができるので、原水aの流量に変動があった場合であっても、安定した凝集フロックjを造粒できる。これによって、原水aからの凝集フロックjの分離も容易となり、高品質な水処理を実現することができる。
【0143】
さらに、凝集造粒装置10は、配管70内に、複数のモジュール(凝集剤注入管モジュール12、凝集剤注入モジュール13、撹拌モジュール15、およびサイクロンモジュール21)を装填することによって構成されるので、製造コストおよび輸送コストを低減できる。
【0144】
製造コストを低減できる具体的な理由は、以下の通りである。
【0145】
一般に、造形サイズが大きくなるほど、造形機(例えば、3Dプリンタ)の初期コスト、造形コストが高くなるが、凝集造粒装置10では、複数のモジュール12、13、15の組合せによって構成されるため、凝集造粒装置10全体を一体的に造形する必要は無く、造形は、モジュール毎でよい。つまり、造形サイズを小型化でき、小型の3Dプリンタで製造することが可能となるので、製造コストを低減することができる。
【0146】
また、配管70を耐圧構造としているので、配管70内が原水aで満たされている限り、圧力は、流れ方向Lにわたって均一になる。すなわち、配管70に装填されている各モジュール12、13、15にかかる圧力は均一となるので、各モジュール12、13、15に、配管70ほどの耐圧性は不要となり、強度が求められない。したがって、各モジュール12、13、15のために高価な材料を使用する必要がないことも、製造コストの低減に寄与する。
【0147】
なお、各モジュール12、13、15は、3Dプリンタ以外の方法でも製造可能であるが、3Dプリンタ以外の方法で製造する場合も、小型のモジュール12、13、15毎に製造でき、特に、凝集剤注入モジュール13および撹拌モジュール15は、複数あることに加え、構造が類似しており、量産効果が得られることも、製造コストの低減に寄与する。
【0148】
これら製造コストの削減効果により、複雑な構造の旋回流発生器24、25の製造コストの増分を吸収することができる。
【0149】
次に、輸送コストを低減できる具体的な理由は、以下の通りである。
【0150】
すなわち、凝集造粒装置10を設置する際には、一体的に製造された凝集造粒装置10ではなく、小型の各モジュール12、13、15、21の輸送により実施できるので、特に大型の輸送車両を必要としないので、輸送コストを低減することができる。
【0151】
また、凝集造粒装置10は、部品がモジュール化されているので、狭い場所での施工も容易となるなど、施工性にも優れている。さらには、一旦設置した後でも、モジュール毎に取り出しができるので、交換、修理、洗浄、メンテナンス性にも優れている。
【0152】
また、変形例として、図示してないが、撹拌モジュール15にも凝集剤供給管36を設け、撹拌モジュール15を、凝集剤注入モジュール13の間に設置するようにしてもよい。これによって、凝集剤を注入する間隔や、撹拌時間を調整することも可能となる。
【0153】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態の凝集造粒装置について説明する。
【0154】
第2の実施形態の凝集造粒装置は、第1の実施形態の凝集造粒装置の変形例であり、ゲート弁11の代わりにバタフライ弁を適用した点のみが異なる。
【0155】
したがって、以下の説明では、第1の実施形態と同様な構成については、同一符号を用いて示すことで重複説明を避け、異なる構成について説明する。
【0156】
図14は、第2の実施形態の凝集造粒装置を説明するための図である。
【0157】
図14(a)は、第2の実施形態の凝集造粒装置の凝集ユニット14’の内部構造を示す斜視図であり、
図14(b)は、バタフライ弁部分の拡大図である。
【0158】
図14(a)に示すように、第2の実施形態の凝集造粒装置の凝集ユニット14’では、ゲート弁11を排除し、代わりに、各スリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)の入口にそれぞれ、バタフライ弁201(1)、201(2)、202、203、204、205、206(1)、206(2)を備えている。バタフライ弁201(1)、201(2)、202、203、204、205、206(1)、206(2)は、その平行中心軸に回転されることによって、開閉度が調整される。このような各バタフライ弁201(1)、201(2)、202、203、204、205、206(1)、206(2)の開閉度を個別に変化させることによって、各スリット26(1)、26(2)、27、28、29、30、31(1)、31(2)に導入される原水aの量を個別に調整することができる。このようにバタフライ弁201~206もまた、原水aを流す流路数や、各流路を流れる水量を調整する調整部として機能する。
【0159】
このように、ゲート弁11の代わりに、バタフライ弁201~206を適用することによれば、スリット毎に水量を調整できるので、第1の実施形態よりも、原水aを流す流路数や、各流路1~6を流れる水量を、よりきめ細かく調整することができる。
【0160】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態の凝集造粒装置について説明する。
【0161】
第3の実施形態の凝集造粒装置は、第1および第2の実施形態の凝集造粒装置の変形例である。
【0162】
したがって、以下の説明では、第1および第2の実施形態と同様な構成については、同一符号を用いて示すことで重複説明を避け、異なる構成について説明する。
【0163】
図15は、第3の実施形態の凝集造粒装置に適用される旋回流発生器25およびプレート250を説明するための図である。
【0164】
特に、
図15(a)は、板状のプレート250の構成を、旋回流発生器25と比較しながら示す斜視図である。プレート250と旋回流発生器25とは、流れ方向Lに同じ長さを有している。
【0165】
また、
図15(b)は、本実施形態において、
図5(e)に対応するアセンブリAの代わりに適用されるアセンブリA’の外形を示す斜視図である。
【0166】
アセンブリA’は、
図15(b)に例示するように、プレート250と、旋回流発生器25とを、流れ方向Lに平行に交互に隣接して配置することによって実現される。プレート250は、各旋回流発生器25を仕切る仕切部として機能する。
【0167】
これによって、各旋回流発生器25は、プレート250によって仕切られ、各旋回流発生器25によって発生される旋回流は、物理的に隔離されるので、隣接する旋回流からの干渉を受けることなく、独立して流れ方向Lに進むので、安定した撹拌効果を奏することができる。
【0168】
本実施形態によれば、第1の実施形態のように、隣接する旋回流発生器によって発生される旋回流の方向を逆方向にする必要はなくなるので、2種類の旋回流発生器を設ける必要はなくなり、旋回流発生器25または旋回流発生器24のように、1種類の旋回流発生器で実現することができる。これによって、製造コストを低減することが可能となる。
【0169】
なお、プレート250は単なる例であり、各旋回流を物理的に隔離するように機能するのであれば、プレート250以外のものを適用することもできる。
【0170】
また、本実施形態では、
図15に示すように、1種類の旋回流発生器の例として、旋回流発生器25を適用した例を示しているが、同様に、旋回流発生器24とすることもできる。あるいは、旋回流を発生させることができるのであれば、旋回流発生器の構成は、旋回流発生器24,25のような構成には限定されない。
【0171】
以上各実施形態で説明したように、シンプルな構成で、かつ、原水の流量に変動があった場合であっても、安定した凝集造粒機能を実現できる凝集造粒装置を提供することができる。
【0172】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0173】
例えば、旋回流発生器は、旋回流発生器24,25のような構成に限定されず、旋回流を発生させることができるのであれば、その構成に限定されない。
【符号の説明】
【0174】
1~6・・流路、10・・凝集造粒装置、11・・ゲート弁、12・・凝集剤注入管モジュール、13・・凝集剤注入モジュール、14、14’・・凝集ユニット、15・・撹拌モジュール、16・・造粒ユニット、17・・導入口、18・・混和エリア、19・・凝集エリア、20・・造粒エリア、21・・ミニサイクロンモジュール、22・・固液分離ユニット、23・・固液分離エリア、24・・旋回流発生器、25・・旋回流発生器、26、27、28、29、30、31・・スリット、32a、32b・・モジュール固定棒挿入孔、33・・凝集剤注入孔、34・・凝集剤注入管、34a、34b、34c、34d・・孔、35、36・・凝集剤供給管、凝集剤供給管37・・モジュール凝集剤注入管-凝集ユニット凝集剤供給管、38、39、40・・注入管、41・・汚泥回収管、42・・ブロー配管、43・・排出口、44・・固液分離機、45・・円筒部、46・・中空円錐部、47・・サイクロン、48・・入口管、49・・出口管、50・・汚泥排出管、51・・流入シェル、52・・流出シェル、53・・汚泥排出シェル、53a・・領域、54・・流入シェル開口部、55・・流出シェル開口部、56・・汚泥回収管接続部、57・・ブロー配管接続部、70、70a、70b、70c・・配管、100a、102b・・モジュール固定棒、102a、102b・・突起、103a、103b・・窪み、201、202、203、204、205、206・・バタフライ弁、250・・プレート、a・・原水、A、A’・・アセンブリ、b・・汚泥、c・・処理水、d・・pH調整剤、e・・無機系凝集剤、f・・カチオン系高分子凝集剤、g・・アニオン系高分子凝集剤、H・・高さ、j・・凝集フロック、L・・流れ方向、W・・幅