IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 上海天馬微電子有限公司の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004861
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】触覚提示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20230110BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/041 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048664
(22)【出願日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2021104904
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518078142
【氏名又は名称】上海天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100183955
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悟郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100174067
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 成美
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 晴江
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 浩史
(72)【発明者】
【氏名】シュ ミンジ
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA80
5E555BA02
5E555BA04
5E555BB02
5E555BB04
5E555BC30
5E555CA12
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】タッチ操作に対する強度が強く、強い振動をユーザーに与えることができる、触覚提示装置を提供する。
【解決手段】触覚提示装置100は、可動部120とベース110とガイド部140と少なくとも1つのアクチュエータ150とを備える。可動部120は、第1主面120aを有し、第1主面120aに平行な所定の一軸方向に変位することによりユーザーに触覚を提示する。ベース110は、可動部120を変位可能に支持する。ガイド部140は、ベース110と可動部120とを接続し、一軸方向に摺動することにより可動部120の変位方向を一軸方向に規制する。アクチュエータ150は可動部120を可動部120の一軸方向の一端側から一軸方向に変位させる。アクチュエータ150が1つである場合、アクチュエータ150は可動部120の一軸方向に平行な対称軸の上に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を有し、前記第1主面に平行な所定の一軸方向に変位することにより、ユーザーに触覚を提示する可動部と、
前記可動部を変位可能に支持するベースと、
前記ベースと前記可動部とを接続し、前記一軸方向に摺動することにより前記可動部の変位方向を前記一軸方向に規制するガイド部と、
前記可動部を前記可動部の前記一軸方向の一端側から前記一軸方向に変位させる、少なくとも1つのアクチュエータと、を備え、
前記アクチュエータが1つである場合、前記アクチュエータは前記可動部の前記一軸方向に平行な対称軸の上に位置し、
前記アクチュエータが2つであり、2つの前記アクチュエータの出力が異なる場合、2つの前記アクチュエータは、前記対称軸を挟んで、一方の前記アクチュエータと前記対称軸との垂直距離と、他方の前記アクチュエータと前記対称軸との垂直距離との比が、一方の前記アクチュエータの出力と他方の前記アクチュエータの出力との比の逆比となる位置に位置し、
前記アクチュエータが複数であり、複数の前記アクチュエータの出力が等しい場合、複数の前記アクチュエータは前記対称軸に対して対称に位置する、
触覚提示装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記ベースと前記可動部のうちの一方に設けられ前記一軸方向に延びるシャフトと、前記ベースと前記可動部のうちの他方に設けられ前記シャフトを挿入される軸受けとを有する、
請求項1に記載の触覚提示装置。
【請求項3】
第1主面を有し、前記第1主面に平行な所定の一軸方向に変位することにより、ユーザーに触覚を提示する可動部と、
前記可動部を変位可能に支持するベースと、
前記可動部又は前記ベースに設けられたゴムブッシュと、前記ゴムブッシュを挿通し前記可動部と前記ベースとを接続する軸部とを有するブッシュ部と、
前記可動部を前記可動部の前記一軸方向の一端側から前記一軸方向に変位させる、複数のアクチュエータと、を備え、
前記アクチュエータが2つであり、2つの前記アクチュエータの出力が異なる場合、2つの前記アクチュエータは、前記可動部の前記一軸方向に平行な対称軸を挟んで、一方の前記アクチュエータと前記対称軸との垂直距離と、他方の前記アクチュエータと前記対称軸との垂直距離との比が、一方の前記アクチュエータの出力と他方の前記アクチュエータの出力との比の逆比となる位置に位置し、
前記複数のアクチュエータの出力が等しい場合、前記複数のアクチュエータは前記対称軸に対して対称に位置する、
触覚提示装置。
【請求項4】
前記対称軸は前記可動部の重心を通過する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の触覚提示装置。
【請求項5】
前記対称軸は、前記可動部の前記第1主面を平面視した場合に、前記可動部の前記第1主面を2等分する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の触覚提示装置。
【請求項6】
前記可動部の前記第1主面に平行な平面における前記可動部の重心に関する回転モーメントの和が零である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の触覚提示装置。
【請求項7】
前記可動部は、前記ベースに接続するキャリアと、前記キャリアの上に配置され文字又は画像を表示する表示部と、前記表示部の上に配置されユーザーの指示を受け付けるタッチパネルとを有する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の触覚提示装置。
【請求項8】
前記可動部は、前記ベースに接続し文字又は画像を表示する表示部と、前記表示部の上に配置されユーザーの指示を受け付けるタッチパネルとを有する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の触覚提示装置。
【請求項9】
前記可動部が文字又は画像を表示する表示部である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の触覚提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、触覚提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文字、画像等を表示する表示パネルの上に設けられて、ユーザーの指示を受け付けるインターフェースとして、タッチパネルが知られている。さらに、タッチパネルにおけるユーザーの操作性を向上させるために、ユーザーのタッチ操作に対して触感をフィードバックする技術が知られている。例えば、特許文献1は、タッチ操作によって入力が行われる操作面を有したタッチ操作部と、タッチ操作を検出する操作検出手段と、タッチ操作部を変位させる操作部変位手段と、操作部変位手段を駆動制御することでタッチ操作部の変位を制御する変位制御手段とを備える、操作入力装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-221387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の操作入力装置では、アクチュエータが、タッチ検出器と一体化したフロントパネルの左右の端部のそれぞれに接続されている。左右のアクチュエータのそれぞれは、ハウジングの左右のスペースのそれぞれに設けられている。すなわち、タッチ検出器と一体化したフロントパネルは、左右の端部でアクチュエータとハウジングとにより支持されている。
【0005】
特許文献1の操作入力装置では、フロントパネルが左右の端部でアクチュエータとハウジングとにより支持されているので、タッチ操作に対する強度が弱く、破損する虞がある。
【0006】
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、タッチ操作に対する強度が強く、強い振動をユーザーに与えることができる、触覚提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の第1の観点に係る触覚提示装置は、
第1主面を有し、前記第1主面に平行な所定の一軸方向に変位することにより、ユーザーに触覚を提示する可動部と、
前記可動部を変位可能に支持するベースと、
前記ベースと前記可動部とを接続し、前記一軸方向に摺動することにより前記可動部の変位方向を前記一軸方向に規制するガイド部と、
前記可動部を前記可動部の前記一軸方向の一端側から前記一軸方向に変位させる、少なくとも1つのアクチュエータと、を備え、
前記アクチュエータが1つである場合、前記アクチュエータは前記可動部の前記一軸方向に平行な対称軸の上に位置し、
前記アクチュエータが2つであり、2つの前記アクチュエータの出力が異なる場合、2つの前記アクチュエータは、前記対称軸を挟んで、一方の前記アクチュエータと前記対称軸との垂直距離と、他方の前記アクチュエータと前記対称軸との垂直距離との比が、一方の前記アクチュエータの出力と他方の前記アクチュエータの出力との比の逆比となる位置に位置し、
前記アクチュエータが複数であり、複数の前記アクチュエータの出力が等しい場合、複数の前記アクチュエータは前記対称軸に対して対称に位置する。
【0008】
本開示の第2の観点に係る触覚提示装置は、
第1主面を有し、前記第1主面に平行な所定の一軸方向に変位することにより、ユーザーに触覚を提示する可動部と、
前記可動部を変位可能に支持するベースと、
前記可動部又は前記ベースに設けられたゴムブッシュと、前記ゴムブッシュを挿通し前記可動部と前記ベースとを接続する軸部とを有するブッシュ部と、
前記可動部を前記可動部の前記一軸方向の一端側から前記一軸方向に変位させる、複数のアクチュエータと、を備え、
前記アクチュエータが2つであり、2つの前記アクチュエータの出力が異なる場合、2つの前記アクチュエータは、前記可動部の前記一軸方向に平行な対称軸を挟んで、一方の前記アクチュエータと前記対称軸との垂直距離と、他方の前記アクチュエータと前記対称軸との垂直距離との比が、一方の前記アクチュエータの出力と他方の前記アクチュエータの出力との比の逆比となる位置に位置し、
前記複数のアクチュエータの出力が等しい場合、前記複数のアクチュエータは前記対称軸に対して対称に位置する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、タッチ操作に対する強度を強くでき、強い振動をユーザーに与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る触覚提示装置を示す側面図である。
図2】実施形態1に係る触覚提示装置を示す平面図である。
図3図2に示す触覚提示装置をA-A線で矢視した断面図である。
図4】実施形態1に係る重心に関する回転モーメントを説明するための模式図である。
図5】実施形態2に係る触覚提示装置を示す平面図である。
図6図5に示す触覚提示装置をB-B線で矢視した断面図である。
図7】実施形態3に係る重心に関する回転モーメントを説明するための模式図である。
図8】実施形態3に係る重心に関する回転モーメントを説明するための模式図である。
図9】実施形態4に係る触覚提示装置を示す側面図である。
図10】実施形態4に係る触覚提示装置を示す平面図である。
図11図10に示す触覚提示装置をC-C線で矢視した断面図である。
図12】実施形態4に係るベースを示す平面図である。
図13図12に示すベースをD-D線で矢視した断面図である。
図14】実施形態4に係るキャリアを示す断面図である。
図15】実施形態4に係るキャリアの下板を示す平面図である。
図16】実施形態5に係る触覚提示装置を示す平面図である。
図17図16に示す触覚提示装置をE-E線で矢視した断面図である。
図18】実施形態5に係るベースを示す平面図である。
図19】実施形態5に係るキャリアを示す平面図である。
図20】変形例に係る触覚提示装置を示す断面図である。
図21】変形例に係るキャリアを示す平面図である。
図22】変形例に係るキャリアを示す側面図である。
図23】変形例に係るベースを示す平面図である。
図24】変形例に係るベースとキャリアとガイド部とを示す平面図である。
図25】変形例に係るガイド部を示す断面図である。
図26】変形例に係る触覚提示装置を示す側面図である。
図27】変形例に係る重心に関する回転モーメントを説明するための模式図である。
図28】変形例に係る対称軸を示す平面図である。
図29】変形例1に係る触覚提示装置を示す平面図である。
図30図29に示す触覚提示装置をF-F線で矢視した断面図である。
図31】変形例2に係る触覚提示装置を示す平面図である。
図32図31に示す触覚提示装置をG-G線で矢視した断面図である。
図33】変形例3に係る触覚提示装置を示す平面図である。
図34図33に示す触覚提示装置をH-H線で矢視した断面図である。
図35】変形例4に係る可動部の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る触覚提示装置について、図面を参照して説明する。
【0012】
<実施形態1>
図1図4を参照して、本実施形態に係る触覚提示装置100を説明する。触覚提示装置100は、ユーザーに対して、振動による触感をフィードバックする。触覚提示装置100は、スマートフォン、ラップトップ型コンピュータ、車両等に搭載される。
【0013】
触覚提示装置100は、図1に示すように、ベース110と可動部120とガイド部140とアクチュエータ150と制御部160とを備える。ベース110は、可動部120を変位可能に支持する。可動部120は、第1主面120aに平行な所定の一軸方向に変位することにより、ユーザーに触覚を提示する。ガイド部140は、所定の一軸方向に摺動することにより、可動部120の変位方向を所定の一軸方向に規制する。アクチュエータ150は、可動部120を所定の一軸方向に変位させる。制御部160は、各部を制御する。本明細書では、理解を容易にするため、図1における触覚提示装置100の右方向(紙面の右方向)を+X方向、上方向(紙面の上方向)を+Z方向、+X方向と+Z方向に垂直な方向(紙面の奥方向)を+Y方向として説明する。また、所定の一軸方向をX軸方向とする。
【0014】
次に、触覚提示装置100の具体的な構成について、説明する。
触覚提示装置100のベース110は、ガイド部140を介して、可動部120を後述する可動部120の第2主面120bの側から、変位可能に支持する。ベース110は、図2図3に示すように、+Z方向に開口した箱形形状で、底板112と4つの側板114a~114dとを有する。ベース110は、例えば、ステンレス材から形成される。なお、図2図3では、理解を容易にするため、後述する可動部120の表示部130とタッチパネル131とを省略している。以下の図においても、適宜、表示部130とタッチパネル131とを省略している。
【0015】
底板112は矩形形状を有する平板である。底板112の+Z側の主面112aが、後述する可動部120の第2主面120bと対向する、ベース110の第3主面110aに相当する。-X側に位置する側板114aと+X側に位置する側板114bとの間には、後述するガイド部140のシャフト142a、142bが設けられる。
【0016】
触覚提示装置100の可動部120は、X軸方向(所定の一軸方向)に変位することにより、ユーザーに触覚を提示する。可動部120は、アクチュエータ150を駆動源として、X軸方向に変位する。
【0017】
可動部120は、図1に示すように、キャリア121と表示部130とタッチパネル131とを備える。キャリア121は、ガイド部140を介してベース110に接続し、表示部130とタッチパネル131とを支持する。表示部130は文字、画像等を表示する。タッチパネル131はユーザーがタッチ操作により接触面131aに接触した位置(接触位置)を検出する。
【0018】
キャリア121は、図2図3に示すように、-Z方向に開口した箱形形状を有する。キャリア121の外形はベース110の内形よりも小さく、キャリア121はベース110の内側でベース110の+Z側に位置している。キャリア121は、上板122と側板124a~124dとを有する。キャリア121は、例えば、アルミニウム合金から形成される。
【0019】
上板122は、矩形形状を有する平板で、第1主面122aと、第1主面122aと反対側の第2主面122bとを有する。上板122の第1主面122aは、XY平面(X軸)に平行で+Z側に位置し、可動部120の第1主面120aに相当する。上板122の第2主面122bは、-Z側に位置し、可動部120の第2主面120bに相当する。上板122の第2主面122bは、ベース110の第3主面110aに対向している。なお、上板122の第1主面122aはキャリア121の第1主面にも相当し、上板122の第2主面122bはキャリア121の第2主面にも相当する。
【0020】
-X側に位置する側板124aには、後述するガイド部140の軸受け144a、144bが設けられる。また、+X側に位置する側板124bには、後述するガイド部140の軸受け144c、144dが設けられる。
【0021】
表示部130は、上板122の第1主面122aの上に設けられる。表示部130は、例えば、液晶表示パネルである。
【0022】
タッチパネル131は、表示部130の上に配置される。タッチパネル131は、ユーザーが接触した位置を検出し表示部130の表示に対するユーザーのタッチ操作による指示を受け付ける、インターフェースとして機能する。触覚提示装置100は、タッチパネル131により検出されたユーザーの接触位置に応じて、可動部120を所定の一軸方向(X軸方向)に変位させることにより、タッチパネル131の接触面131aを触覚提示面として、振動による触覚をユーザーにフィードバックする。
【0023】
触覚提示装置100のガイド部140は、図3に示すように、可動部120の第2主面120b(キャリア121の上板122の第2主面122b)とベース110の第3主面110aとの間に配置されて、ベース110と可動部120(キャリア121)とを接続する。さらに、ガイド部140は、X軸方向に摺動することにより可動部120の変位方向をX軸方向に規制する。ガイド部140は、図2に示すように、シャフト142a、142bと軸受け144a~144dとを有する。
【0024】
シャフト142a、142bは、X軸方向に延びる棒状の部材であり、例えば、ステンレス材から形成される。シャフト142a、142bのそれぞれの一端はベース110の側板114aに固定され、シャフト142a、142bのそれぞれの他端はベース110の側板114bに固定される。これにより、シャフト142a、142bは、側板114aと側板114bとの間に設けられる。シャフト142aとシャフト142bは、+Z方向から平面視した場合に、後述する可動部120の対称軸Mを挟んで、+Y側と-Y側とに対称に配置されている。
【0025】
軸受け144a~144dは、例えば、すべり軸受けである。軸受け144a、144bはキャリア121の側板124aに設けられ、軸受け144c、144dはキャリア121の側板124bに設けられる。軸受け144aと軸受け144cは、対向して配置され、シャフト142aに挿通される。また、軸受け144bと軸受け144dは、対向して配置され、シャフト142bに挿通される。
【0026】
本実施形態では、ベース110の側板114aと側板114bとの間に設けられX軸方向に延びるシャフト142aが、キャリア121の側板124aに設けられた軸受け144aとキャリア121の側板124bに設けられた軸受け144cを挿通している。また、ベース110の側板114aと側板114bとの間に設けられX軸方向に延びるシャフト142bが、キャリア121の側板124aに設けられた軸受け144bとキャリア121の側板124bに設けられた軸受け144dを挿通している。したがって、ガイド部140のシャフト142a、142bと軸受け144a~144dは、ベース110と可動部120(キャリア121)を接続し、軸受け144a~144bがシャフト142a、142bをX軸方向に摺動することにより、可動部120の変位方向をX軸方向に規制できる。ガイド部140が可動部120の変位方向をX軸方向に規制するので、可動部120のX軸方向以外の方向への変位が抑えられて、アクチュエータ150により発生する力が可動部120のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換される。したがって、触覚提示装置100は、可動部120を強く振動させることができる。
【0027】
また、本実施形態では、ベース110の側板114aと側板114bとの間に設けられX軸方向に延びるシャフト142a、142bを含むガイド部140が、可動部120の第2主面120b(キャリア121の上板122の第2主面122b)とベース110の第3主面110aとの間に配置され、可動部120とベース110とを接続している。これにより、タッチパネル131の接触面131aが、ユーザーにより強く押下されても、ガイド部140が可動部120を可動部120の第2主面120b側から支えるので、ユーザーのタッチ操作に対する強度を強くできる。
【0028】
触覚提示装置100のアクチュエータ150は、可動部120をX軸方向に変位させる駆動源である。アクチュエータ150は、可動部120のキャリア121のX軸方向の一端側に配置され、X軸方向の一端側から可動部120をX軸方向に変位させる。本実施形態では、アクチュエータ150は、図1に示すように、キャリア121の-X側の端部とベース110の側板114aとの間に配置されて、-X側から可動部120を+X方向と-X方向に変位させている。
【0029】
アクチュエータ150は、ピエゾアクチュエータ、ソレノイド、リニア共振アクチュエータ等である。アクチュエータ150がピエゾアクチュエータ又はソレノイドである場合、固定子と可動子のうちの一方がキャリア121の-X側の端部に結合し、固定子と可動子のうちの他方がベース110の側板114aに結合している。また、アクチュエータ150がリニア共振アクチュエータである場合、アクチュエータ150はキャリア121の-X側の端部に設けられる。
【0030】
さらに、+Z方向から平面視すると、アクチュエータ150は、可動部120のX軸方向に平行な対称軸Mの上に位置している。本実施形態における可動部120の対称軸Mは、図4に示すように、X軸方向に平行で、可動部120の重心Pを通過する。この場合、アクチュエータ150が、X軸方向の力を可動部120に加えると、図4と下記の式(1)~式(3)に示すように、XY平面に平行な平面における重心Pに関する回転モーメントの和ΣNmは零となる。ここで、iはX軸方向の単位ベクトルを、jはY軸方向の単位ベクトルを、F1は可動部120に加わる力のベクトルを、r1は重心Pから力の作用点Qへのベクトルを表す。
【0031】
【数1】
【数2】
【数3】
【0032】
したがって、アクチュエータ150は、発生する力を可動部120のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換でき、可動部120を強く振動させることができる。これにより、触覚提示装置100は、強い振動をユーザーに与えることができる。
【0033】
触覚提示装置100の制御部160は、表示部130の表示を制御すると共に、タッチパネル131におけるユーザーの接触位置を求める。また、制御部160は、求められたユーザーの接触位置に応じて、アクチュエータ150を制御し、可動部120をX軸方向に変位させる。制御部160は、各種の処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、プログラムとデータとを記憶しているROM(Read Only Memory)、データを記憶するRAM(Random Access Memory)等を備える。制御部160の機能は、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行することによって、実現される。
【0034】
以上のように、触覚提示装置100では、シャフト142a、142bを含むガイド部140が可動部120とベース110とを接続し、ガイド部140が可動部120を可動部120の第2主面120b側から支えるので、ユーザーのタッチ操作に対する強度を強くできる。また、触覚提示装置100を搭載した装置、車両等の振動に対する耐久性を高めることもできる。さらに、ガイド部140が可動部120の変位方向をX軸方向に規制するので、触覚提示装置100は、可動部120のX軸方向以外の方向への変位を抑えて、アクチュエータ150により発生する力を可動部120のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換できる。したがって、触覚提示装置100は、可動部120を強く振動させることができる。
【0035】
アクチュエータ150は、+Z方向から平面視した場合に、可動部120のX軸方向に平行な対称軸Mの上に位置しているので、発生する力を可動部120のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換できる。したがって、触覚提示装置100は、可動部120を強く振動させ、強い振動をユーザーに与えることができる。さらに、可動部120のX軸方向以外の方向への変位を抑えられるので、ノイズ、不要な振動等を抑制できる。
【0036】
<実施形態2>
実施形態1の触覚提示装置100では、ガイド部140のシャフト142a、142bがベース110の側板114a、114bに固定され、ガイド部140の軸受け144a~144dがキャリア121の側板124a、124bに設けられている。ガイド部140のシャフト142a、142bがキャリア121の側板124a、124bに固定され、ガイド部140の軸受け144a~144dがベース110の側板114a、114bに設けられてもよい。
【0037】
本実施形態の触覚提示装置100は、実施形態1の触覚提示装置100と同様に、ベース110と可動部120とガイド部140とアクチュエータ150と制御部160とを備える。
【0038】
本実施形態のベース110は、実施形態1のベース110と同様に、+Z方向に開口した箱形形状で、底板112と4つの側板114a~114dとを有する。本実施形態では、図5図6に示すように、ベース110の外形は可動部120のキャリア121の内形よりも小さく、ベース110はキャリア121の内側に位置している。また、ガイド部140の軸受け144a、144bが-X側に位置する側板114aに設けられ、ガイド部140の軸受け144c、144dが+X側に位置する側板114bに設けられている。本実施形態のベース110のその他の構成は、実施形態1のベース110と同様である。
【0039】
本実施形態の可動部120は、実施形態1の可動部120と同様に、キャリア121と表示部130とタッチパネル131とを有する。本実施形態の表示部130とタッチパネル131の構成は、実施形態1と同様であるので、ここでは、本実施形態のキャリア121を説明する。
【0040】
本実施形態のキャリア121は、実施形態1のキャリア121と同様に、-Z方向に開口した箱形形状であり、上板122と側板124a~124dとを有する。本実施形態では、キャリア121の内形はベース110の外形よりも大きく、キャリア121の側板124a~124dはベース110を囲んでいる。また、ガイド部140のシャフト142a、142bが、-X側に位置する側板124aと+X側に位置する側板124bとの間に設けられている。本実施形態のキャリア121のその他の構成は、実施形態1の可動部120と同様である。
【0041】
本実施形態のガイド部140は、実施形態1のガイド部140と同様に、シャフト142a、142bと軸受け144a~144dとを有する。本実施形態のシャフト142a、142bは、キャリア121の側板124aと側板124bとの間に設けられる。また、本実施形態では、軸受け144a、144bはベース110の側板114aに設けられ、軸受け144c、144dはベース110の側板114bに設けられる。軸受け144aと軸受け144cは、対向して配置され、シャフト142aに挿通される。軸受け144bと軸受け144dは、対向して配置され、シャフト142bに挿通される。本実施形態のシャフト142a、142bと軸受け144a~144dのその他の構成は、実施形態1と同様である。
【0042】
本実施形態では、キャリア121の側板124aと側板124bとの間に設けられX軸方向に延びるシャフト142aが、ベース110の側板114aに設けられた軸受け144aとベース110の側板114bに設けられた軸受け144cを挿通している。また、キャリア121の側板124aと側板124bとの間に設けられX軸方向に延びるシャフト142bが、ベース110の側板114aに設けられた軸受け144bとベース110の側板114bに設けられた軸受け144dを挿通している。
【0043】
したがって、本実施形態のガイド部140は、実施形態1のガイド部140と同様に、ベース110と可動部120(キャリア121)を接続し、可動部120の変位方向をX軸方向に規制できる。また、ガイド部140が可動部120の変位方向をX軸方向に規制するので、触覚提示装置100は、可動部120のX軸方向以外の方向への変位を抑えてが抑えられて、アクチュエータ150により発生する力が可動部120のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換される。したがって、触覚提示装置100は、可動部120を強く振動させることができる。さらに、シャフト142a、142bを含むガイド部140が可動部120とベース110とを接続しているので、ユーザーのタッチ操作に対する強度を強くできる。ガイド部140が可動部120を可動部120の第2主面120b側から支えるので、ユーザーのタッチ操作に対する強度をさらに強くできる。
【0044】
本実施形態のアクチュエータ150は、実施形態1のアクチュエータ150と同様に、可動部120の-X側の端部とベース110の側板114aとの間に配置されて、-X側から可動部120を+X方向と-X方向に変位させる。本実施形態のアクチュエータ150のその他の構成も、実施形態1と同様である。
【0045】
本実施形態の制御部160は、実施形態1の制御部160と同様に、表示部130の表示を制御すると共に、タッチパネル131におけるユーザーの接触位置を求める。また、本実施形態の制御部160は、求められたユーザーの接触位置に応じて、アクチュエータ150を制御し、可動部120をX軸方向に変位させる。
【0046】
以上のように、本実施形態においても、シャフト142a、142bを含むガイド部140が可動部120とベース110とを接続しているので、ユーザーのタッチ操作に対する強度を強くできる。ガイド部140が可動部120を可動部120の第2主面120b側から支えるので、ユーザーのタッチ操作に対する強度をさらに強くできる。また、ガイド部140が可動部120の変位方向をX軸方向に規制するので、本実施形態の触覚提示装置100は、可動部120のX軸方向以外の方向への変位を抑えて、アクチュエータ150により発生する力を可動部120のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換できる。したがって、触覚提示装置100は、可動部120を強く振動させることができる。さらに、実施形態1の触覚提示装置100と同様に、アクチュエータ150は、+Z方向から平面視した場合に、可動部120のX軸方向に平行な対称軸Mの上に位置しているので、発生する力を可動部120のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換できる。したがって、本実施形態の触覚提示装置100は、可動部120を強く振動させ、強い振動をユーザーに与えることができる。
【0047】
<実施形態3>
実施形態1と実施形態2の触覚提示装置100では、1つのアクチュエータ150が可動部120をX軸方向に変位させている。触覚提示装置100は、複数の出力が等しいアクチュエータ150を備えてもよい。+Z方向から平面視すると、複数の出力が等しいアクチュエータ150は、可動部120の対称軸Mに対して対称に配置される。ここでは、アクチュエータ150の数が2つの場合とアクチュエータ150の数が3つの場合について、説明する。なお、本実施形態の触覚提示装置100の構成は、アクチュエータ150の数と可動部120のX軸方向の一端側におけるアクチュエータ150の位置とを除き、実施形態1の触覚提示装置100と同様である。
【0048】
出力が等しいアクチュエータ150の数が2つの場合、図7に示すように、2つのアクチュエータ150は、+Z方向から平面視した場合に、対称軸Mを挟んで対称に配置される。すなわち、対称軸Mの+Y側に位置するアクチュエータ150と対称軸Mとの垂直距離L1と対称軸Mの-Y側に位置するアクチュエータ150と対称軸Mとの垂直距離L2は、等しい(L1=L2=a)。以下では、対称軸Mの+Y側に位置するアクチュエータ150を+Y側アクチュエータ150と、対称軸Mの-Y側に位置するアクチュエータ150を-Y側アクチュエータ150と記載する。
【0049】
2つの力が等しいアクチュエータ150が、対称軸Mを挟んで対称に配置されると、図7と下記の式(4)~式(7)に示すように、XY平面に平行な平面における重心Pに関する回転モーメントの和ΣNmは零となる。ここで、iはX軸方向の単位ベクトルを、jはY軸方向の単位ベクトルを表す。また、F1は+Y側アクチュエータ150によって可動部120に加わる力のベクトルを、r1は重心Pから+Y側アクチュエータ150によって加わる力の作用点Qへのベクトルを表す。F2は-Y側アクチュエータ150によって可動部120に加わる力のベクトルを、r2は重心Pから-Y側アクチュエータ150によって加わる力の作用点Qへのベクトルを表す。
【0050】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【0051】
したがって、2つの力が等しいアクチュエータ150は、+Z方向から平面視した場合に、対称軸Mを挟んで対称に配置されることにより、発生する力を可動部120のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換でき、可動部120を強く振動させることができる。
【0052】
出力が等しいアクチュエータ150の数が3つの場合、図8に示すように、3つのアクチュエータ150は、+Z方向から平面視した場合に、対称軸Mを挟んで対称に配置される。すなわち、3つのアクチュエータ150のうちの1つは対称軸Mの上に配置され、残りの2つのアクチュエータ150のそれぞれは、対称軸Mを挟んで、対称軸Mからの垂直距離L3、L5が等しい位置に配置される(L3=L5=b)。
【0053】
3つの力が等しいアクチュエータ150が、対称軸Mを挟んで対称に配置されると、図8と下記の式(8)~式(12)に示すように、XY平面に平行な平面における重心Pに関する回転モーメントの和ΣNmは零となる。ここで、F3は+Y側アクチュエータ150によって可動部120に加わる力のベクトルを、r3は重心Pから+Y側アクチュエータ150によって加わる力の作用点Qへのベクトルを表す。F4は対称軸Mの上に配置されたアクチュエータ150によって可動部120に加わる力のベクトルを、r4は重心Pから対称軸Mの上に配置されたアクチュエータ150によって加わる力の作用点Qへのベクトルを表す。F5は-Y側アクチュエータ150によって可動部120に加わる力のベクトルを、r5は重心Pから-Y側アクチュエータ150によって加わる力の作用点Qへのベクトルを表す。
【0054】
【数8】
【数9】
【数10】
【数11】
【数12】
【0055】
したがって、3つの力が等しいアクチュエータ150は、対称軸Mを挟んで対称に配置されることにより、出力が等しいアクチュエータ150の数が2つの場合と同様に、発生する力を可動部120のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換でき、可動部120を強く振動させることができる。
【0056】
以上のように、複数の出力が等しいアクチュエータ150を、+Z方向から平面視した場合に、可動部120の対称軸Mに対して対称に配置することにより、発生する力を可動部120のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換でき、アクチュエータ150は可動部120を強く振動させることができる。したがって、本実施形態の触覚提示装置100は、強い振動をユーザーに与えることができる。
【0057】
<実施形態4>
実施形態1~実施形態3では、シャフト142a、142bと軸受け144a~144dとを有するガイド部140により、ベース110と可動部120とを接続している。ベース110と可動部120は、ゴムブッシュ172を用いて接続されてもよい。
【0058】
本実施形態の触覚提示装置100は、図9図11に示すように、ベース110と可動部120とブッシュ部170と2つのアクチュエータ150と制御部160とを備える。本実施形態の制御部160の構成は、実施形態1と同様であるので、ベース110と可動部120とブッシュ部170と2つのアクチュエータ150について説明する。なお、図10図11では、可動部120の表示部130とタッチパネル131を省略している。
【0059】
本実施形態のベース110は、ブッシュ部170を介して、可動部120を変位可能に支持する。本実施形態のベース110は、図12図13に示すように、+Z方向に開口した箱形形状で、底板112と4つの側板114a~114dとを有する。
【0060】
底板112は、矩形形状の平板で、可動部120に対向する主面112aに4つの凸部116が設けられている。4つの凸部116のそれぞれは、後述する下板126の貫通孔127a~127dのそれぞれに対応する位置に設けられている。凸部116は、後述するブッシュ部170の接続ピン174の軸部174bが嵌め込まれる、雌穴116aを有している。
【0061】
本実施形態の可動部120は、X軸方向に変位することにより、ユーザーに触覚を提示する。本実施形態の可動部120は、実施形態1の可動部120と同様に、キャリア121と表示部130とタッチパネル131とを備える。表示部130とタッチパネル131の構成は、実施形態1と同様であるので、ここでは、本実施形態のキャリア121を説明する。
【0062】
本実施形態のキャリア121は、図14に示すように、上板122と下板126と接続部128a、128bとを有する。キャリア121の外形はベース110の内形よりも小さく、キャリア121はベース110の内側に位置している。
【0063】
本実施形態の上板122は、矩形形状を有する平板で、第1主面122aと、第1主面122aと反対側の第2主面122bとを有する。本実施形態の上板122の第1主面122aは、XY平面(X軸)に平行で+Z側に位置し、可動部120の第1主面120aに相当する。また、本実施形態では、上板122の第2主面122bを可動部120の第2主面120bとする。
【0064】
下板126は、上板122と同形の平板である。下板126は、上板122のベース110側(-Z側)に位置し、接続部128a、128bによって上板122に接続されている。下板126には、図15に示すように、4つの貫通孔127a~127dが設けられている。+Z方向から平面視すると、貫通孔127aと貫通孔127bは、可動部120の重心Pを通過する対称軸Mの+Y側で対称軸Mと平行な直線上に位置し、貫通孔127cと貫通孔127dは、対称軸Mの-Y側で対称軸Mと平行な直線上に位置している。また、貫通孔127aと貫通孔127cは対称軸Mを挟んで対称に位置し、貫通孔127bと貫通孔127dは対称軸Mを挟んで対称に位置している。貫通孔127a~貫通孔127dには、ブッシュ部170のゴムブッシュ172が嵌め込まれる。
【0065】
接続部128a、128bのそれぞれは、上板122と下板126の-X側の端部と+X側の端部のそれぞれで、上板122と下板126とを接続している。
【0066】
触覚提示装置100のブッシュ部170は、図11に示すように、ゴムブッシュ172と接続ピン174とを有する。ゴムブッシュ172は、円環状の弾性体で、可動部120の下板126の貫通孔127a~127dのそれぞれに嵌め込まれる。ゴムブッシュ172は、可動部120の変位に伴って弾性変形する。
【0067】
接続ピン174は、頭部174aと軸部174bとを有する。接続ピン174の軸部174bは、貫通孔127a~127dに嵌め込まれたゴムブッシュ172を下板126側から挿通し、底板112の凸部116の雌穴116aに固定される。これにより、可動部120(キャリア121)とベース110(ベース110の底板112)が接続される。なお、接続ピン174の軸部174bは、ブッシュ部170の軸部の一例である。
【0068】
本実施形態では、可動部120が変位する場合に、軸部174bに挿通されたゴムブッシュ172が弾性変形するので、ブッシュ部170を介して可動部120を支持するベース110は、可動部120を変位可能に支持できる。
【0069】
また、ベース110がブッシュ部170を介して可動部120を支持しているので、ユーザーのタッチ操作に対する強度を強くできる。さらに、ベース110は可動部120を可動部120の第2主面120b側から支持している。したがって、タッチパネル131の接触面131aがユーザーにより強く押下されても、ベース110が可動部120を可動部120の第2主面120b側から支えるので、ユーザーのタッチ操作に対する強度をさらに強くできる。
【0070】
本実施形態の2つのアクチュエータ150の出力は等しい。図10に示すように、本実施形態の2つのアクチュエータ150は、可動部120の-X側の端部とベース110の側板114aとの間に配置される。+Z方向から平面視すると、本実施形態の2つのアクチュエータ150のそれぞれは、実施形態3の2つのアクチュエータ150と同様に、可動部120の対称軸Mを挟んで対称に配置される。したがって、本実施形態の2つのアクチュエータ150は、実施形態3の2つのアクチュエータ150と同様に、発生する力を可動部120のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換でき、可動部120を強く振動させることができる。
【0071】
以上のように、本実施形態では、ベース110がブッシュ部170を介して可動部120を変位可能に支持するので、ユーザーのタッチ操作に対する強度を強くできる。また、ベース110が可動部120を可動部120の第2主面120b側から支持するので、ユーザーのタッチ操作に対する強度をさらに強くできる。さらに、2つの出力が等しい2つのアクチュエータ150が、可動部120の対称軸Mに対して対称に配置されているので、発生する力を可動部120のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換でき、可動部120を強く振動させることができる。これにより、本実施形態の触覚提示装置100は、強い振動をユーザーに与えることができる。
【0072】
<実施形態5>
実施形態4の触覚提示装置100では、ブッシュ部170のゴムブッシュ172が、可動部120に設けられている。ブッシュ部170のゴムブッシュ172は、ベース110に設けられてもよい。
【0073】
本実施形態の触覚提示装置100は、実施形態4の触覚提示装置100と同様に、ベース110と可動部120とブッシュ部170と2つのアクチュエータ150とを備える。2つのアクチュエータ150の構成は実施形態4と同様であるので、ベース110と可動部120とブッシュ部170とを説明する。
【0074】
本実施形態のベース110は、実施形態4のベース110と同様に、ブッシュ部170を介して可動部120を変位可能に支持する。本実施形態のベース110は、図16図17に示すように、+Z方向に開口した箱形形状で、底板112と4つの側板114a~114dとを有する。本実施形態の底板112には、図18に示すように、4つの貫通孔118が設けられている。4つの貫通孔118のそれぞれは、後述するキャリア121の凸部132a~132dのそれぞれに対応する位置に設けられている。貫通孔118には、ブッシュ部170のゴムブッシュ172が嵌め込まれる。
【0075】
本実施形態の可動部120は、実施形態4の可動部120と同様に、X軸方向に変位することにより、ユーザーに触覚を提示する。本実施形態の可動部120は、実施形態1の可動部120と同様に、キャリア121と表示部130とタッチパネル131とを備える。表示部130とタッチパネル131の構成は、実施形態1と同様であるので、ここでは、本実施形態のキャリア121を説明する。本実施形態のキャリア121は、図19に示すように、上板122と凸部132a~132dとを有する。
【0076】
本実施形態の上板122は、矩形形状の平板で、第1主面122aと、第1主面122aと反対側の第2主面122bとを有する。本実施形態の上板122の第1主面122aは、XY平面(X軸)に平行で+Z側に位置し、可動部120の第1主面120aに相当する。本実施形態の上板122の第2主面122bは、-Z側に位置し、可動部120の第2主面120bに相当する。
【0077】
本実施形態の凸部132a~132dは、上板122の第2主面122bに設けられる。+Z方向から平面視すると、凸部132aと凸部132bは、可動部120の重心Pを通過する対称軸Mの+Y側で対称軸Mと平行な直線上に位置し、凸部132cと凸部132dは、対称軸Mの-Y側で対称軸Mと平行な直線上に位置している。また、凸部132aと凸部132cは対称軸Mを挟んで対称に位置し、凸部132bと凸部132dは対称軸Mを挟んで対称に位置している。凸部132a~132dのそれぞれは、ブッシュ部170の接続ピン174の軸部174bが嵌め込まれる、雌穴133を有している。
【0078】
本実施形態のブッシュ部170は、実施形態4のブッシュ部170と同様に、ゴムブッシュ172と接続ピン174とを有する。本実施形態のゴムブッシュ172は、円環状の弾性体で、図17に示すように、底板112の貫通孔118のそれぞれに嵌め込まれる。本実施形態のゴムブッシュ172は、可動部120の変位に伴って弾性変形する。
【0079】
本実施形態の接続ピン174は、実施形態4の接続ピン174と同様に、頭部174aと軸部174bとを有する。接続ピン174の軸部174bは、底板112の貫通孔118に嵌め込まれたゴムブッシュ172を、底板112側から挿通し、可動部120の凸部132a~132dの雌穴133に固定される。これにより、可動部120(キャリア121)とベース110が接続される。
【0080】
本実施形態では、可動部120が変位すると共に、接続ピン174の軸部174b(接続ピン174)が変位し、軸部174bに挿通されたゴムブッシュが弾性変形する。したがって、ブッシュ部170を介して可動部120を支持するベース110は、可動部120を変位可能に支持できる。
【0081】
また、ベース110がブッシュ部170を介して可動部120を支持しているので、実施形態4と同様に、ユーザーのタッチ操作に対する強度を強くできる。さらに、ベース110は可動部120を可動部120の第2主面120b側から支持している。したがって、タッチパネル131の接触面131aがユーザーにより強く押下されても、ベース110が可動部120を可動部120の第2主面120b側から支えるので、ユーザーのタッチ操作に対する強度をさらに強くできる。
【0082】
以上のように、実施形態4と同様に、ベース110がブッシュ部170を介して可動部120を変位可能に支持するので、ユーザーのタッチ操作に対する強度を強くできる。また、ベース110が可動部120を可動部120の第2主面120b側から支持するので、ユーザーのタッチ操作に対する強度をさらに強くできる。さらに、実施形態4と同様に、2つの出力が等しい2つのアクチュエータ150が、+Z方向から平面視した場合に、可動部120の対称軸Mに対して対称に配置されているので、発生する力を可動部120のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換でき、可動部120を強く振動させることができる。
【0083】
<変形例>
以上、実施形態を説明したが、本開示は、要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0084】
実施形態1と実施形態2では、キャリア121は箱形形状であるが、キャリア121の形状は箱形形状に限られない。例えば、図20に示すように、実施形態1のキャリア121は、平板状の上板122に脚部202を有してもよい。この場合、軸受け144a~144dが脚部202に設けられる。上板122の外形は、図20に示すように、ベース110の外形よりも大きくともよい。
【0085】
さらに、図21図22に示すように、実施形態1のキャリア121は平板状であってもよい。この場合、ガイド部140の軸受け144a~144dの代わりに、例えば、ガイド部140のU字状の軸受け204がキャリア121の第1主面に設けられる。
【0086】
実施形態1と実施形態2では、シャフト142aとシャフト142bは、+Z方向から平面視した場合に、可動部120の対称軸Mを挟んで、+Y側と-Y側とに対称に配置されている。シャフト142aとシャフト142bは、+Z方向から平面視した場合に、可動部120の対称軸Mを挟んで、+Y側と-Y側とに対称に配置されていなくともよい。すなわち、ガイド部140は、+Z方向から平面視した場合に、可動部120の対称軸Mを挟んで、+Y側と-Y側とに対称に配置されていなくともよい。
【0087】
実施形態4と実施形態5では、キャリア121の上板122と下板126は同形であるが、上板122と下板126は同形に限られない。また、キャリア121は、上板122と下板126と接続部128a、128bから形成されるとは、限られない。例えば、実施形態4と実施形態5のキャリア121は、上板122のみから形成されてもよい。
【0088】
実施形態4と実施形態5では、ブッシュ部170(貫通孔127a~127d又は凸部132a~132d)は対称に配置されている。ブッシュ部170は、対称に配置されていなくともよい。
【0089】
実施形態1~実施形態5では、ベース110は箱形形状であるが、ベース110の形状は箱形形状に限られない。例えば、実施形態1のベース110は、図23に示すように、平板状の底板112と、シャフト142a、142bを設けられる側板114a、114bとを有してもよい。
【0090】
さらに、実施形態1では、シャフト142a、142bを設けられる側板114a、114bが、他の部材(触覚提示装置100を搭載する装置の筐体又は回路基板、触覚提示装置100を搭載する装置に設けられた支持部材等)と共にベース110を構成してもよい。実施形態2では、軸受け144a~144dを設けられる側板114a、114bが、他の部材と共にベース110を構成してもよい。
【0091】
実施形態1と実施形態2のガイド部140は、可動部120の第2主面120bとベース110の第3主面110aとの間に配置されているが、ガイド部140の配置はこれに限られない。例えば、図24に示すように、ガイド部140のシャフト142aがキャリア121の上板122の側面122cに平行に位置し、ガイド部140のシャフト142bがキャリア121の上板122の側面122cに平行に位置してもよい。この場合、凸部206a、206cが上板122の+Y側の側面122cに設けられ、ガイド部140の軸受け144a、144cのそれぞれが凸部206a、206cのそれぞれに設けられる。シャフト142aは軸受け144a、144cを挿通する。また、凸部206b、206dが上板122の-Y側の側面122dに設けられ、ガイド部140の軸受け144b、144dのそれぞれが凸部206b、206dのそれぞれに設けられる。シャフト142bは軸受け144b、144dを挿通する。
【0092】
触覚提示装置100のガイド部140は、シャフト142a、142bと軸受け144a~144dの組み合わせに限られない。例えば、ガイド部140は、図25に示すように、ベース110の底板112に設けられX軸方向に延びるレール146と、キャリア121の上板122の第2主面122bに取り付けられレール146上を移動するブロック148と、を有するリニアガイドであってもよい。
【0093】
可動部120の表示部130は、液晶表示パネルに限られない。表示部130は、有機EL(Electro Luminescence)表示パネル、印刷物等であってもよい。
【0094】
実施形態1~実施形態5では、可動部120はキャリア121と表示部130とタッチパネル131から構成されているが、可動部120の構成はこれに限られない。例えば、可動部120は、表示部130とタッチパネル131から構成されてもよい。この場合、表示部130とベース110が、ガイド部140又はブッシュ部170により、接続される。また、可動部120はキャリア121と表示部130とから構成されてもよく、可動部120はキャリア121とタッチパネル131とから構成されてもよい。さらに、可動部120は、キャリア121と表示部130とタッチパネル131のいずれか1つのみから構成されてもよい。例えば、可動部120が表示部130のみから構成される場合、表示部130とベース110が、ガイド部140又はブッシュ部170により、接続される。
【0095】
触覚提示装置100は、4隅にフォースセンサ240を備えてもよい。例えば、触覚提示装置100は、図26に示すように、ベース110の底板112と、可動部120を支持するベース110の側板114a~114dとの間に設けられる。フォースセンサ240は、ユーザーがタッチパネル131の接触面131aを押下する力(-Z方向の力)を検出する。この場合、制御部160は、フォースセンサ240によって検出された力に応じて、可動部120の振動強度を制御する。制御部160は、例えば、フォースセンサ240が所定の設定値以上の荷重を検出すると、ユーザーにクリック感を提示するように可動部120の振動強度を制御する。
【0096】
実施形態4と実施形態5の触覚提示装置100は、実施形態1と実施形態2の触覚提示装置100と同様に、複数(3つ以上)の出力が等しいアクチュエータ150を備えてもよい。この場合、+Z方向から平面視すると、複数の出力が等しいアクチュエータ150が、可動部120の対称軸Mに対して対称に配置される。
【0097】
実施形態1~実施形態5の触覚提示装置100は、出力が互いに異なる複数のアクチュエータ150を備えてもよい。例えば、触覚提示装置100が2つの出力が異なるアクチュエータ150を備える場合、+Z方向から平面視すると、2つのアクチュエータ150は、可動部120のX軸方向に平行な対称軸Mを挟んで、一方のアクチュエータ150と対称軸Mとの垂直距離L6=cと、他方のアクチュエータ150と対称軸Mとの垂直距離L7=dとの比が、一方のアクチュエータ150の出力S1と他方のアクチュエータ150の出力S2(S1>S2)との比の逆比となる位置に配置される。
この場合、図27と下記の式(13)~式(18)に示すように、XY平面に平行な平面における重心Pに関する回転モーメントの和ΣNmは零となる。したがって、発生する力を可動部120のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換でき、可動部120を強く振動させることができる。ここで、F6は一方(出力S1)のアクチュエータ150によって可動部120に加わる力のベクトルを、r6は重心Pから一方のアクチュエータ150によって加わる力の作用点Qへのベクトルを表す。F7は他方(出力S2)のアクチュエータ150によって可動部120に加わる力のベクトルを、r7は重心Pから他方のアクチュエータ150によって加わる力の作用点Qへのベクトルを表す。
【0098】
【数13】
【数14】
【数15】
【数16】
【数17】
【数18】
【0099】
本開示の特徴を、他の側面から説明する。m個(mは1以上の整数)のアクチュエータ150を備え、可動部120がX軸方向(所定の一軸方向)に変位する触覚提示装置100では、m個のアクチュエータ150のそれぞれは、下記の式(19)と式(20)とを満たし、X軸方向(所定の一軸方向)の力が主となるように配置される。ここでFmはm番目のアクチュエータ150によって可動部120に加わる力のベクトルを、kはZ軸方向の単位ベクトルを表す。
【0100】
【数19】
【数20】
【0101】
さらに、m個のアクチュエータ150のそれぞれは、下記の式(21)と式(22)とを満たすように配置される。ここでrmは可動部120の重心Pに関する力Fmの作用点Qmの位置ベクトルを表す。
【0102】
【数21】
【数22】
【0103】
ここで、可動部120の重心Pに関する回転モーメントの和ΣNmを求める。
m番目のアクチュエータ150によって可動部120に加わる力Fmと、可動部120の重心Pに関する力Fmの作用点Qmの位置ベクトルrmは、下記の式(23)と式(24)のように表すことができる。
【0104】
【数23】
【数24】
【0105】
m番目のアクチュエータ150によって可動部120に加わる力Fmについて、可動部120の重心Pに関する回転モーメントNmは、下記の式(25)によって表される。
【0106】
【数25】
【0107】
ここで、上述のように、m個のアクチュエータ150のそれぞれは、式(19)と式(20)とを満たし、X軸方向(所定の一軸方向)の力が主となるように配置されることから、下記の式(26)と式(27)のように近似できる。
【0108】
【数26】
【数27】
【0109】
式(26)と式(27)の近似を式(25)に適用すると、m番目のアクチュエータ150によって可動部120に加わる力Fmについて、可動部120の重心Pに関する回転モーメントNmは、下記の式(28)によって表すことができる。
【0110】
【数28】
【0111】
また、上述のように、m個のアクチュエータ150のそれぞれは式(22)を満たすように配置されることから、下記の式(29)のように近似できる。
【0112】
【数29】
【0113】
式(29)の近似を式(28)に適用すると、m番目のアクチュエータ150によって可動部120に加わる力Fmについて、可動部120の重心Pに関する回転モーメントNmは、下記の式(30)によって表すことができる。
【0114】
【数30】
【0115】
以上より、m個のアクチュエータ150を備える触覚提示装置100では、可動部120の重心Pに関する回転モーメントの和ΣNmは、下記の式(31)により表される。本開示において、m個のアクチュエータ150のそれぞれは、可動部120の重心Pに関する回転モーメントの和ΣNmが零となるように、可動部120に対して配置される。
【0116】
【数31】
【0117】
実施形態1~実施形態5の対称軸Mは可動部120の重心Pを通過する軸である。対称軸Mは、図28に示すように、X軸方向(所定の一軸方向)に平行で、可動部120の第1主面120aを平面視した場合に可動部120の第1主面120aを2等分する軸であってもよい(L8=L9=e)。
【0118】
(変形例1)
実施形態1~実施形態5では、アクチュエータ150は、キャリア121の-X側の端部とベース110の側板114aとの間に配置されている。アクチュエータ150は他の位置に配置されてもよい。本変形例の触覚提示装置100の構成は、アクチュエータ150の配置を除き、実施形態1と同様である。
【0119】
図29図30に示すように、+Z方向から平面視した場合、アクチュエータ150は、キャリア121の-X側の端部と+X側の端部と-Y側の端部と+Y側の端部で囲まれる領域302の内(可動部120とベース110の底板112との間)に配置される。アクチュエータ150は、例えば、ピエゾアクチュエータである。本変形例では、アクチュエータ150の固定子と可動子のうちの一方が、キャリア121の第2主面122b(可動部120の第2主面120b)に接続している。また、アクチュエータ150の固定子と可動子のうちの他方が、ベース110の第3主面110aに接続している。
【0120】
アクチュエータ150は、例えば、金属製のアダプタ312を介して、キャリア121の第2主面122bに接続される。また、アクチュエータ150は、例えば、金属製のアダプタ314を介して、ベース110の第3主面110aに接続される。
【0121】
触覚提示装置100が1つのアクチュエータ150を備える場合、+Z方向から平面視すると、アクチュエータ150は、図29に示すように、可動部120のX軸方向に平行な対称軸Mの上に位置する。また、触覚提示装置100が2つのアクチュエータ150を備え、2つのアクチュエータ150の出力が異なる場合、+Z方向から平面視すると、2つのアクチュエータ150は、一方のアクチュエータ150と対称軸Mとの垂直距離L6と、他方のアクチュエータ150と対称軸Mとの垂直距離L7との比が、一方のアクチュエータ150の出力S1と他方のアクチュエータ150の出力S2との比の逆比となる位置に配置される。さらに、触覚提示装置100が複数のアクチュエータ150を備え、複数のアクチュエータ150の出力が等しい場合、+Z方向から平面視すると、複数のアクチュエータ150は対称軸Mに対して対称に位置する。これらのアクチュエータ150の配置において、可動部120の第1主面120aに平行な平面における可動部120の重心Pに関する回転モーメントの和は、零である。
【0122】
(変形例2)
変形例1では、アクチュエータ150はピエゾアクチュエータである。アクチュエータ150は、ソレノイドであってもよい。本変形例の触覚提示装置100の構成と変形例1の触覚提示装置100の構成では、アクチュエータ150の接続と弾性部材316、318を有することが、異なる。本変形例の触覚提示装置100のその他の構成は、変形例1と同様である。
【0123】
図31図32に示すように、+Z方向から平面視した場合、アクチュエータ(ソレノイド)150は、キャリア121の-X側の端部と+X側の端部と-Y側の端部と+Y側の端部で囲まれる領域302の内に配置される。アクチュエータ150は、例えば、ソレノイドである。アクチュエータ150の固定子と可動子のうちの一方が、キャリア121の側板124aに接続している。また、アクチュエータ150の固定子と可動子のうちの他方が、ベース110の第3主面110aに接続している。
【0124】
アクチュエータ150は、例えば、金属製のアダプタ312を介して、キャリア121の側板124aに接続される。また、アクチュエータ150は、例えば、金属製のアダプタ314を介して、ベース110の第3主面110aに接続される。
【0125】
図31図32に示すように、弾性部材316は、例えば、ベース110の側板114aとキャリア121の側板124aとの間と、ベース110の側板114bとキャリア121の側板124bとの間と、ベース110の側板114cとキャリア121の側板124cとの間と、ベース110の側板114dとキャリア121の側板124dとの間と、に配置される。また、弾性部材318は、例えば、ベース110の第3主面110aとキャリア121の側板124aとの間と、ベース110の第3主面110aとキャリア121の側板124bとの間と、ベース110の第3主面110aとキャリア121の側板124cとの間と、ベース110の第3主面110aとキャリア121の側板124dとの間と、に配置される。弾性部材316、318は、アクチュエータ150によって変位された可動部120を、弾性力により、変位前の位置に戻す。弾性部材316、318は、合成ゴム、バネ等である。
【0126】
触覚提示装置100が1つのアクチュエータ150を備える場合、+Z方向から平面視すると、アクチュエータ150は、図31に示すように、可動部120のX軸方向に平行な対称軸Mの上に位置する。また、触覚提示装置100が2つのアクチュエータ150を備え、2つのアクチュエータ150の出力が異なる場合、+Z方向から平面視すると、2つのアクチュエータ150は、一方のアクチュエータ150と対称軸Mとの垂直距離L6と、他方のアクチュエータ150と対称軸Mとの垂直距離L7との比が、一方のアクチュエータ150の出力S1と他方のアクチュエータ150の出力S2との比の逆比となる位置に配置される。さらに、触覚提示装置100が複数のアクチュエータ150を備え、複数のアクチュエータ150の出力が等しい場合、+Z方向から平面視すると、複数のアクチュエータ150は対称軸Mに対して対称に位置する。これらのアクチュエータ150の配置において、可動部120の第1主面120aに平行な平面における可動部120の重心Pに関する回転モーメントの和は、零である。
【0127】
(変形例3)
変形例2では、アクチュエータ150はソレノイドである。アクチュエータ150は、リニア共振アクチュエータであってもよい。本変形例の触覚提示装置100の構成と変形例2の触覚提示装置100の構成では、アクチュエータ150の位置が異なる。本変形例の触覚提示装置100のその他の構成は、変形例2と同様である。
【0128】
図33図34に示すように、+Z方向から平面視した場合、アクチュエータ(リニア共振アクチュエータ)150は、キャリア121の-X側の端部と+X側の端部と-Y側の端部と+Y側の端部で囲まれる領域302の内で、例えば、キャリア121の第2主面122b(可動部120の第2主面120b)に設けられる。
【0129】
触覚提示装置100が1つのアクチュエータ150を備える場合、+Z方向から平面視すると、アクチュエータ150は、図33に示すように、可動部120のX軸方向に平行な対称軸Mの上に位置する。また、触覚提示装置100が2つのアクチュエータ150を備え、2つのアクチュエータ150の出力が異なる場合、+Z方向から平面視すると、2つのアクチュエータ150は、一方のアクチュエータ150と対称軸Mとの垂直距離L6と、他方のアクチュエータ150と対称軸Mとの垂直距離L7との比が、一方のアクチュエータ150の出力S1と他方のアクチュエータ150の出力S2との比の逆比となる位置に配置される。さらに、触覚提示装置100が複数のアクチュエータ150を備え、複数のアクチュエータ150の出力が等しい場合、+Z方向から平面視すると、複数のアクチュエータ150は対称軸Mに対して対称に位置する。これらのアクチュエータ150の配置において、可動部120の第1主面120aに平行な平面における可動部120の重心Pに関する回転モーメントの和は、零である。
【0130】
(変形例4)
実施形態1では、可動部120は、キャリア121と表示部130とタッチパネル131とから構成されている。可動部120は、表示部130から構成されてもよい。例えば、U字状の軸受け204が表示部130のケース322に設けられて、表示部130のケース322がキャリア121の機能を備えてもよい。本変形例の触覚提示装置100の構成と実施形態1、変形例1等の触覚提示装置100の構成では、可動部120の構成が異なる。本変形例の触覚提示装置100のその他の構成は、実施形態1、変形例1等と同様である。
【0131】
本変形例では、可動部120は、図35に示すように、透過型液晶表示パネル324と、バックライト326と、ケース322と、保護カバー328とを有する表示部130である。透過型液晶表示パネル324は、バックライト326からの光を変調して、文字、画像等を表示する。バックライト326は、透過型液晶表示パネル324に光を照射する。バックライト326は、例えば、白色LED(Light emitting diode)、反射シート等を有する、直下型バックライトである。バックライト326は、ケース322の底板322aに固定され、バックライト326と透過型液晶表示パネル324はガスケット329により固定されている。ケース322は、透過型液晶表示パネル324とバックライト326とを収容する。保護カバー328は、ケース322の側板322bに設けられて、透過型液晶表示パネル324を保護する。保護カバー328は、例えば、ガラスから形成される。
【0132】
ケース322は、+Z側が開口した箱形形状を有する。ケース322は、例えば、アルミダイカストから形成される。ケース322は、ベース110の第3主面110aに対向する、底板322aの主面322cに、4つのU字状の軸受け204を有する。U字状の軸受け204のそれぞれは、ベース110に設けられているシャフト142a、142bのそれぞれに挿通される。U字状の軸受け204とシャフト142a、142bは、ベース110と表示部130(可動部120)とを接続し、X軸方向に摺動することにより表示部130(可動部120)の変位方向をX軸方向に規制する、ガイド部140を形成する。なお、ケース322の底板322aの主面322cは、可動部120の第2主面120bに相当する。
【0133】
本変形例では、シャフト142a、142bを含むガイド部140が表示部130(可動部120)とベース110とを接続しているので、ユーザーの接触に対する強度を強くできる。ガイド部140が表示部130をケース322の主面322c(可動部120の第2主面120b)側から支えるので、ユーザーの接触に対する強度をさらに強くできる。また、ガイド部140が表示部130の変位方向をX軸方向に規制するので、本変形例の触覚提示装置100は、表示部130のX軸方向以外の方向への変位を抑えて、アクチュエータ150により発生する力を表示部130のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換できる。したがって、本変形例の触覚提示装置100は、表示部130を強く振動させることができる。さらに、実施形態1の触覚提示装置100と同様に、アクチュエータ150は、表示部130(可動部120)のX軸方向に平行な対称軸Mの上に位置しているので、発生する力を表示部130のX軸方向の変位(振動)に高効率で変換できる。したがって、本変形例の触覚提示装置100は、表示部130を強く振動させ、強い振動をユーザーに与えることができる。
【0134】
以上、好ましい実施形態について説明したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。
【符号の説明】
【0135】
100 触覚提示装置、110 ベース、110a 第3主面、112 底板、112a 主面、114a~114d 側板、116 凸部、116a 雌穴、118 貫通孔、120 可動部、120a 第1主面、120b 第2主面、121 キャリア、122 上板、122a 第1主面、122b 第2主面、122c,122d 側面、124a~124d 側板、126 下板、127a~127d 貫通孔、128a,128b 接続部、130 表示部、131 タッチパネル、131a 接触面、132a~132d 凸部、133 雌穴、140 ガイド部、142a,142b シャフト、144a~144d 軸受け、146 レール、148 ブロック、150 アクチュエータ、160 制御部、170 ブッシュ部、172 ゴムブッシュ、174 接続ピン、174a 頭部、174b 軸部、202 脚部、204 軸受け、206a~206d 凸部、240 フォースセンサ、302 領域、312,314 アダプタ、316,318 弾性部材、322 ケース、322a 底板、322b 側板、322c 主面、324 透過型液晶表示パネル、326 バックライト、328 保護カバー、329 ガスケット、i,j 単位ベクトル、F1~F7,r1~r7 ベクトル、L1~L3,L5~L7 垂直距離、L8,L9 距離、M 対称軸、P 重心、Q 作用点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35