(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048628
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】印刷システム、画像形成装置及び処理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20230331BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
G06F3/12 367
G06F3/12 320
G06F3/12 310
B41J29/38 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158053
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】鴻田 峻
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061HJ08
2C061HN05
2C061HN15
2C061HP00
2C061HQ01
(57)【要約】
【課題】画像形成装置の記憶部の空き容量が不足して印刷データを受け付けなくなる状況を回避する。
【解決手段】端末装置と、当該端末装置から送信された印刷データを受信して印刷を行う画像形成装置と、当該画像形成装置と通信するサーバとを有する印刷システムであって、前記端末装置は、前記画像形成装置と通信する通信部と、前記印刷データを前記サーバにログインする為のログイン情報とともに前記通信部により前記画像形成装置に送信する制御部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と、当該端末装置から送信された印刷データを受信して印刷を行う画像形成装置と、当該画像形成装置と通信するサーバとを有する印刷システムであって、
前記端末装置は、
前記画像形成装置と通信する通信部と、
前記印刷データを前記サーバにログインする為のログイン情報とともに前記通信部により前記画像形成装置に送信する制御部と
を備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記画像形成装置は、
前記端末装置から前記印刷データとともに前記ログイン情報を受信する第1の通信部と、
前記サーバと通信する第2の通信部と、
前記第1の通信部により前記端末装置から前記印刷データとともに前記ログイン情報を受信すると、受信した前記ログイン情報を用いて前記第2の通信部により前記サーバにログインし、受信した前記印刷データを前記サーバに送信して記憶させる制御部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記画像形成装置は、
装置記憶部を備え、
前記画像形成装置の制御部は、
前記端末装置から前記印刷データとともに受信した前記ログイン情報を前記装置記憶部に記憶し、前記サーバに記憶させた前記印刷データを印刷する際、前記装置記憶部に記憶している前記ログイン情報を用いて前記第2の通信部により前記サーバにログインし、前記印刷データを前記サーバから受信する
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記画像形成装置は、
前記装置記憶部の使用容量を監視する監視部を備え、
前記画像形成装置の制御部は、
前記監視部により監視される前記装置記憶部の使用容量に基づいて、前記端末装置から受信した前記印刷データを、前記装置記憶部又は前記サーバに記憶させるか決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記ログイン情報は、
前記サーバのユーザアカウントごとに設定された情報であり、
前記サーバは、
前記ユーザアカウントごとに割り当てられたサーバ記憶部を備え、
前記画像形成装置が前記ログイン情報を用いて前記サーバにログインすると、当該ログイン情報に対応するユーザアカウントに割り当てられた前記サーバ記憶部にアクセス可能となる
ことを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項6】
前記端末装置の制御部は、
前記印刷データと、当該印刷データを前記画像形成装置で認証印刷する為の認証情報と、前記ログイン情報とを前記通信部により前記画像形成装置に送信し、
前記画像形成装置は、
前記認証情報に基づいて認証を行う認証部を備え、
前記画像形成装置の制御部は、
前記第1の通信部により前記端末装置から前記印刷データと前記認証情報と前記ログイン情報を受信すると、前記認証情報と前記ログイン情報を前記装置記憶部に記憶し、前記サーバに記憶させた前記印刷データを認証印刷する際、ユーザに入力された認証情報と、前記装置記憶部に記憶している認証情報とを用いて前記認証部により認証を行い、認証できた場合に、前記装置記憶部に記憶している前記ログイン情報を用いて前記第2の通信部により前記サーバにログインし、前記印刷データを前記サーバから受信する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の印刷システム。
【請求項7】
端末装置から印刷データとともに、サーバにログインする為のログイン情報を受信する第1の通信部と、
前記サーバと通信する第2の通信部と、
前記第1の通信部により前記端末装置から前記印刷データとともに前記ログイン情報を受信すると、受信した前記ログイン情報を用いて前記第2の通信部により前記サーバにログインし、受信した前記印刷データを前記サーバに送信して記憶させる制御部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
端末装置と、当該端末装置から送信された印刷データを受信して印刷を行う画像形成装置と、当該画像形成装置と通信するサーバとを有する印刷システムによる処理方法であって、
前記端末装置の制御部が、前記印刷データを前記サーバにログインする為のログイン情報とともに前記端末装置の通信部により前記画像形成装置に送信する
ことを特徴とする処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、画像形成装置及び処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置にて印刷中にメモリの空き容量が不足した場合に、メモリ上に存在するデータのうち、所定の条件を満たすデータ(例えば使用頻度が低いデータや使用日時が古いデータ)を、二次記憶装置(例えば画像形成装置のハードディスク)へ転送することで、メモリの空き容量を確保する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方で、画像形成装置の機能として、認証情報(ユーザ名、パスワードなど)の入力に応じて印刷が実行される認証印刷という機能がある。この認証印刷では、例えばユーザの端末から認証印刷用の印刷データ(印刷ジョブのデータ)が画像形成装置に送信され、画像形成装置の記憶部に蓄積される。その後、ユーザが画像形成装置上で認証情報を入力して認証されると、記憶部に蓄積されている認証印刷用の印刷データが画像形成装置で印刷されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術では、認証印刷用の印刷データについては、画像形成装置で認証印刷が実行されるまで画像形成装置の記憶部に保持し続けなければならない。この為、認証印刷が実行されずに記憶部に認証印刷用の印刷データが溜まっていき、記憶部の空き容量が不足する状況が起こり得る。この場合、画像形成装置では、以降、印刷データを受け付けなくなってしまう。
【0006】
本発明は以上の点を考慮したものであり、画像形成装置の記憶部の空き容量が不足して印刷データを受け付けなくなる状況を回避し得る印刷システム、画像形成装置、及び印刷方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の印刷システムは、端末装置と、当該端末装置から送信された印刷データを受信して印刷を行う画像形成装置と、当該画像形成装置と通信するサーバとを有する印刷システムであって、前記端末装置は、前記画像形成装置と通信する通信部と、前記印刷データを前記サーバにログインする為のログイン情報とともに前記通信部により前記画像形成装置に送信する制御部とを備える。
【0008】
また本発明の画像形成装置は、端末装置から印刷データとともに、サーバにログインする為のログイン情報を受信する第1の通信部と、前記サーバと通信する第2の通信部と、前記第1の通信部により前記端末装置から前記印刷データとともに前記ログイン情報を受信すると、受信した前記ログイン情報を用いて前記第2の通信部により前記サーバにログインし、受信した前記印刷データを前記サーバに送信して記憶させる制御部とを備える。
【0009】
さらに本発明の処理方法は、端末装置と、当該端末装置から送信された印刷データを受信して印刷を行う画像形成装置と、当該画像形成装置と通信するサーバとを有する印刷システムによる処理方法であって、前記端末装置の制御部が、前記印刷データを前記サーバにログインする為のログイン情報とともに前記端末装置の通信部により前記画像形成装置に送信する。
【0010】
このように、ログイン情報とともに印刷データを端末装置から画像形成装置に送信するようにしたことにより、画像形成装置では、端末装置から受信したログイン情報を用いてサーバにログインし、端末装置から受信した印刷データを当該サーバに退避させることができる。
【発明の効果】
【0011】
かくして本発明は、画像形成装置の記憶部の空き容量が不足して印刷データを受け付けなくなる状況を回避し得る印刷システム、画像形成装置、及び処理方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施の形態による印刷システムの構成を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態によるユーザ端末から画像形成装置に送信される情報の構成を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態による画像形成装置に記憶される情報の構成を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態による印刷システムの動作を示すフローチャートである。
【
図5】第1の実施の形態による印刷ジョブを画像形成装置とクラウドサーバのどちらに記憶するか判断する際の状態遷移図である。
【
図6】第2の実施の形態による印刷システムの構成を示す図である。
【
図7】第2の実施の形態による印刷システムの動作を示すフローチャートである。
【
図8】他の実施の形態による画像形成装置に記憶される情報の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.印刷システムの構成]
まず
図1を用いて、第1の実施の形態による印刷システム1の構成について説明する。この印刷システム1は、ユーザが利用するユーザ端末100と、画像形成装置200と、クラウドサーバ300とで構成されている。
【0015】
ユーザ端末100は、PC(パーソナルコンピュータ)やスマートフォンなどの情報処理装置であり、LAN10を介して画像形成装置200と通信可能であり、またインターネット20を介してクラウドサーバ300と通信可能となっている。具体的には、ユーザ端末100は、通信部101と、記憶部102と、操作部103と、表示部104と、制御部105とを有している。
【0016】
通信部101は、LAN10を介して画像形成装置200と通信する。また図では省略しているが、通信部101はインターネット20を介してクラウドサーバ300と通信する。記憶部102は、各種プログラムや各種データを記憶する。操作部103は、マウス、キーボード、タッチパネルなどであり、ユーザからの操作入力を受け付ける。表示部104は、ディスプレイなどであり、各種画面を表示する。
【0017】
制御部105は、記憶部102に記憶されているプログラムを読み出して実行することで各部を制御する。記憶部102に記憶されているプログラムとしては、例えばOS(Operating System)、アプリケーション、プリンタドライバなどがある。制御部105は、OS上でアプリケーションを起動させ、アプリケーション上でユーザにより印刷が指示されると、プリンタドライバにより印刷データとしての印刷ジョブを生成し、当該印刷ジョブを通信部101により画像形成装置200に送信する。
【0018】
ここで、ユーザにより認証印刷が指示された場合、制御部105は、認証印刷用の印刷ジョブとともに認証に必要な認証情報(例えばユーザ名とパスワード)を通信部101により画像形成装置200に送信する。尚、認証印刷とは、画像形成装置200に送信された印刷ジョブが画像形成装置200に蓄積され、画像形成装置200上で認証情報を入力することで当該印刷ジョブが印刷される機能のことである。
【0019】
またこのとき制御部105は、認証印刷用の印刷ジョブ及び認証情報とともに、クラウドサーバ300にログインする為のログイン情報(例えばユーザ名とパスワード)を通信部101により画像形成装置200に送信するようになっている。
【0020】
尚、認証情報とログイン情報については、例えば、プリンタドライバの設定画面上でユーザに入力させるようになっていて、入力された認証情報とログイン情報は記憶部102に記憶保持されるようになっている。つまり、認証情報とログイン情報については、プリンタドライバの設定画面上で1度入力すると画像形成装置200に記憶され、以降、入力を省略できるようになっている。
【0021】
ここで
図2に、ユーザ端末100から画像形成装置200に送信される情報の一例を示す。
図2に示す情報は、ユーザ端末100から画像形成装置200に送信される認証印刷用の情報であり、認証印刷用の印刷ジョブ400と、認証情報410と、ログイン情報420とで構成されている。このように、ユーザ端末100は、認証印刷用の印刷ジョブ400と認証情報410とログイン情報420とを関連付けた状態で、画像形成装置200に送信する。印刷ジョブ400には、印刷ジョブの名称である印刷ジョブ名401(例えば「印刷ジョブ1」)と印刷ジョブ400のデータ本体であるデータ本体402とが含まれている。認証情報410には、認証に必要なユーザ名411(例えば「User1」)とパスワード412とが含まれている。ログイン情報420には、クラウドサーバ300にログインする為に必要なユーザ名421(例えば「User1」)とパスワード422とが含まれている。
【0022】
尚、
図2では、認証情報410に含まれるユーザ名411とログイン情報420に含まれるユーザ名421とが同じ「User1」となっているが、これは一例であり、ユーザ名411とユーザ名421とが異なる場合もある。
【0023】
図1に戻り、画像形成装置200は、プリンタや複合機などであり、LAN10を介してユーザ端末100と通信可能であり、またインターネット20を介してクラウドサーバ300と通信可能となっている。具体的には、画像形成装置200は、通信部201と、画像形成部202と、記憶部203と、監視部204と、認証部205と、操作部206と、表示部207と、制御部208とを有している。
【0024】
通信部201は、LAN10を介してユーザ端末100と通信する。また通信部201は、インターネット20を介してクラウドサーバ300と通信する。尚、通信部201の代わりに、LAN10を介してユーザ端末100と通信する第1の通信部と、インターネット20を介してクラウドサーバ300と通信する第2の通信部とを設けてもよい。画像形成部202は、ユーザ端末100から受信した印刷ジョブから生成された画像形成データに基づいて印刷用紙などの媒体に画像を形成する(つまり印刷を行う)。記憶部203は、各種プログラムや各種データを記憶する。ユーザ端末100から受信した認証印刷用の印刷ジョブ400や、認証情報410、ログイン情報420もこの記憶部203に記憶される。
【0025】
ここで
図3に、記憶部203に記憶される情報の一例を示す。
図3に示す情報は、認証印刷用の情報であり、1つの行が1つの印刷ジョブに対応する。各行の情報は、印刷ジョブ400と、認証情報410と、ログイン情報420と、データ記憶場所430とが関連付けられた情報となっている。印刷ジョブ400と認証情報410とログイン情報420は、ユーザ端末100から受信した認証印刷用の情報である。データ記憶場所430は、印刷ジョブ400の記憶場所を示すフラグである。
【0026】
尚、詳しくは後述するが、画像形成装置200では、ユーザ端末100から受信した認証印刷用の印刷ジョブ400を記憶部203又はクラウドサーバ300に記憶するようになっている。印刷ジョブ400を記憶部203に記憶した場合にはデータ記憶場所430が「0」となり、クラウドサーバ300に記憶した場合には「1」となる。例えば、
図3に示す1行目の情報(つまり印刷ジョブ名401が「印刷ジョブ1」の情報)は、データ記憶場所430が「0」であり、印刷ジョブ400は記憶部203に記憶されている。これに対して、3行目の情報(つまり印刷ジョブ名401が「印刷ジョブ3」の情報)は、データ記憶場所430が「1」であり、印刷ジョブ400は記憶部203ではなくクラウドサーバ300に記憶されている。尚、印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に記憶した場合でも、
図3に示す3行目の情報のように、当該印刷ジョブ400の印刷ジョブ名401(例えば「印刷ジョブ3」)については、認証情報410とログイン情報420に関連付けられて記憶部203にも記憶されるようになっている。つまり印刷ジョブ名401により、記憶部203に記憶されている情報(認証情報410とログイン情報420)と、クラウドサーバ300に記憶されている情報(印刷ジョブ400)とが関連付けられている。
【0027】
図1に戻り、監視部204は、記憶部203の使用容量を監視し、使用容量が閾値として設定されている一定容量(例えば全容量の80%)を超えているか否かを判定する。尚、監視部204に設定される閾値(例えば80%)については、例えば所定の範囲内(例えば80%~50%など)でユーザが変更できるようになっていてもよい。また監視部204が記憶部203の使用容量ではなく空き容量を監視し、空き容量が閾値として設定されている一定容量(例えば全容量の20%)より少なくなっているか否かを判定するようにしてもよい。
【0028】
認証部205は、認証印刷を行う際の認証を行う。具体的には、認証部205は、記憶部203に記憶されている認証印刷用の印刷ジョブ400(
図3参照)のなかからユーザにより任意の印刷ジョブ400が選択されて認証情報が入力されると、入力された認証情報と、選択された印刷ジョブ400に関連付けられている認証情報410(つまり記憶部203に記憶されている認証情報410)とが一致する場合に認証OK(つまり認証できた)とし、一致しない場合に認証NG(つまり認証できなかった)とする。
【0029】
操作部206は、マウス、キーボード、タッチパネルなどであり、ユーザからの操作入力を受け付ける。表示部207は、ディスプレイなどであり、各種画面を表示する。
【0030】
制御部208は、各部を制御して印刷動作を行う。具体的には、制御部208は、通常印刷時には、通信部201により通常印刷用の印刷ジョブを受信すると、当該印刷ジョブから画像形成データを生成し、当該画像形成データに基づいて画像形成部202により媒体に画像を形成する。
【0031】
また制御部208は、認証印刷時には、通信部201により認証印刷用の印刷ジョブ400と認証情報410とログイン情報420とを受信すると、これらを記憶部203に記憶する。このとき、制御部208は、監視部204により記憶部203の使用容量が所定容量(例えば総容量の80%)を超えていると判定された場合(つまり記憶部203の空き容量が少ない場合)には、受信した印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に記憶する。すなわち、制御部208は、印刷ジョブ400とともに受信したログイン情報420を用いて通信部201によりクラウドサーバ300にログインし、印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に送信してクラウドサーバ300に記憶する。
【0032】
その後、ユーザにより操作部206を介して認証印刷が選択されると、制御部208は、表示部207に、記憶部203に記憶されている印刷ジョブ名401のリストを表示させる。そして、ユーザにより操作部206を介して当該リストの中から任意の印刷ジョブ名401が選択されて認証情報が入力されると、制御部208は、入力された認証情報と、選択された印刷ジョブ名401に対応する印刷ジョブ400に関連付けられている認証情報410とを用いて、認証部205により認証を行う。そして、認証OKであれば、選択された印刷ジョブ名401の印刷ジョブ400を印刷する。
【0033】
このとき制御部208は、印刷ジョブ400が記憶部203に記憶されているのであれば(つまりデータ記憶場所430が「0」であれば)、記憶部203からデータ本体402を読み出し、当該データ本体402から画像形成データを生成し、当該画像形成データに基づいて画像形成部202により媒体に画像を形成する。
【0034】
これに対して、制御部208は、印刷ジョブ400がクラウドサーバ300に記憶されているのであれば(つまりデータ記憶場所430が「1」であれば)、当該印刷ジョブ400に関連付けられているログイン情報420を用いて通信部201によりクラウドサーバ300にログインし、当該印刷ジョブ400をクラウドサーバ300から受信し、当該印刷ジョブ400のデータ本体402から画像形成データを生成し、当該画像形成データに基づいて画像形成部202により媒体に画像を形成する。
【0035】
クラウドサーバ300は、ユーザにクラウドストレージサービスを提供するサーバであり、インターネット20を介してユーザ端末100及び画像形成装置200と通信可能となっている。具体的には、クラウドサーバ300は、通信部301と、記憶部302(302A、302B)と、制御部303とを有している。
【0036】
通信部301は、インターネット20を介してユーザ端末100や画像形成装置200と通信する。記憶部302(302A、302B)は、クラウドストレージサービスに登録しているユーザアカウントごとに設けられている。ここでは一例として、クラウドサーバ300に、ユーザ名が「User1」のユーザアカウントに割り当てられた記憶部302Aと、ユーザ名が「User2」のユーザアカウントに割り当てられた記憶部302Bとが設けられている。つまり、記憶部302Aは、「User1」のログイン情報を用いてログインすることで利用可能なクラウドストレージであり、記憶部302Bは、「User2」のログイン情報を用いてログインすることで利用可能なクラウドストレージである。
【0037】
尚、記憶部302Aと記憶部302Bは、例えば、別の記憶デバイスとして設けられていてもよいし、1つの記憶デバイスのなかの別の領域として設けられていてもよい。またクラウドサーバ300には、ユーザアカウントごとのログイン情報が例えば記憶部302A、302Bとは別の記憶部に登録されている。
【0038】
制御部303は、各部を制御してクラウドストレージサービスを提供する。具体的には、制御部303は、例えば通信部301により画像形成装置200からログイン情報を受信すると、当該ログイン情報と一致するログイン情報を持つユーザアカウントへのログインを許可する。例えば「User1」のログイン情報を受信した場合、「User1」のユーザアカウントへのログインを許可する。これにより、画像形成装置200から「User1」のユーザアカウントに割り当てられた記憶部302Aへのアクセスが可能となる。その後、制御部303は、当該画像形成装置200から記憶部302Aへのアクセスに応じて、情報(具体的には印刷ジョブ400)の書き込み、読み出し、削除などを行う。印刷システム1の構成は、以上のようになっている。
【0039】
[1-2.印刷システムの動作]
次に、印刷システム1の動作について説明する。ここでは、印刷システム1の動作として、認証印刷を行う際の動作について、
図4に示すフローチャートを用いて説明する。尚、このフローチャートは、ユーザ端末100の動作と画像形成装置200の動作をまとめて示すものである。
【0040】
ユーザ端末100の制御部105は、ユーザにより認証印刷が指示されると、ステップSP1において、認証印刷用の印刷ジョブ400と認証情報410とログイン情報420を画像形成装置200に送信する。
【0041】
画像形成装置200の制御部208は、ユーザ端末100から認証印刷用の印刷ジョブ400と認証情報410とログイン情報420を受信すると、ステップSP2において、これらを記憶する。このとき、制御部208は、記憶部203の使用容量に基づいて、受信した印刷ジョブ400を記憶部203又はクラウドサーバ300に記憶するか決定する。
【0042】
具体的には、
図5の状態遷移図に示すように、制御部208は、監視部204により記憶部203の使用容量を監視する(状態S0)。ここで、ユーザ端末100から認証印刷用の印刷ジョブ400と認証情報410とログイン情報420を受信すると、制御部208は、監視部204により記憶部203の使用容量が所定容量を超えていないと判定されていれば(条件e0)、受信した印刷ジョブ400と認証情報410とログイン情報420をそのまま記憶部203に記憶する。一方で、監視部204により記憶部203の使用容量が所定容量を超えていると判定されていれば(条件e1)、印刷ジョブ400とともに受信したログイン情報420を用いてクラウドサーバ300にログインし、受信した印刷ジョブ400をクラウドサーバ300の記憶部302(つまりログイン情報420を用いてアクセス可能な記憶部302)に記憶する(状態S1)。このとき、印刷ジョブ400を、一時的に画像形成装置200の記憶部203に記憶し、クラウドサーバ300の記憶部302に記憶させた後、記憶部203から削除するようにしてもよい。また印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に記憶させた後、制御部208は、クラウドサーバ300からログオフする。
【0043】
このようにして、画像形成装置200の制御部208は、受信した印刷ジョブ400を記憶部203に記憶するかクラウドサーバ300に記憶するかの判断を行う。尚、上述したように、印刷ジョブ400に含まれる印刷ジョブ名401については、認証情報410及びログイン情報420とともに画像形成装置200の記憶部203にも記憶される。
【0044】
図4に戻り、その後、画像形成装置200の制御部208は、ユーザにより認証印刷が選択されると、ステップSP3において、認証印刷を開始する。ここで、制御部208は、表示部207に表示させた印刷ジョブ名401のリストのなかから任意の印刷ジョブ名401が選択されて認証情報が入力されると、選択された印刷ジョブ名401に関連付けられている認証情報410と入力された認証情報とを用いて認証部205により認証を行う。尚、このとき例えばユーザにユーザ名を入力させ、制御部208が、入力されたユーザ名と同じユーザ名411を有する認証情報410に関連付けられた印刷ジョブ名401のリストを表示部207に表示させ、当該リストのなかから任意の印刷ジョブ名401が選択されてユーザによりパスワードが入力されると、選択された印刷ジョブ名401に関連付けられている認証情報410のパスワード412と入力されたパスワードとを用いて認証部205により認証を行うようにしてもよい。
【0045】
認証OKであれば、つづくステップSP4において、制御部208は、選択された印刷ジョブ名401の印刷ジョブ400が画像形成装置200の記憶部203に記憶されているか否かを判定する(つまりデータ記憶場所430が「0」であるか否かを判定する)。ここで、当該印刷ジョブ400(つまりユーザに選択された印刷ジョブ400)が記憶部203に記憶されている場合、制御部208は、ステップSP4で肯定結果を得て、ステップSP5に移る。ステップSP5において、制御部208は、記憶部203から印刷ジョブ400を読み出し、当該印刷ジョブ400に基づいて画像形成部202により媒体に画像を形成する(つまり印刷を行う)。印刷終了後、制御部208は、ステップSP6に移り、印刷した印刷ジョブ400と、当該印刷ジョブ400に関連付けられている認証情報410及びログイン情報420とを記憶部203から削除する。
【0046】
これに対して、当該印刷ジョブ400(つまりユーザに選択された印刷ジョブ400)が記憶部203に記憶されていない場合、制御部208は、ステップSP4で否定結果を得てステップSP7に移る。ステップSP7において、制御部208は、当該印刷ジョブ400に関連付けられているログイン情報420(つまりユーザに選択された印刷ジョブ401名に関連付けられているログイン情報420)を用いてクラウドサーバ300にログインする。
【0047】
つづくステップSP8において、制御部208は、クラウドサーバ300の記憶部302から、当該印刷ジョブ400(つまりユーザに選択された印刷ジョブ400)を読み出し、当該印刷ジョブ400を画像形成装置200の記憶部203にコピーする。尚、画像形成装置200では、記憶部302に、少なくとも印刷ジョブ1つ分を記憶できる程度の空き容量(例えば全容量の20%程度)を常に確保するようになっている。つづくステップSP9において、制御部208は、当該印刷ジョブ400を、クラウドサーバ300の記憶部302から削除する。ここで、制御部208は、クラウドサーバ300からログオフする。
【0048】
つづくステップSP5において、制御部208は、記憶部203から印刷ジョブ400(つまりユーザに選択された印刷ジョブ400)を読み出し、当該印刷ジョブ400に基づいて画像形成部202により媒体に画像を形成する(つまり印刷を行う)。印刷終了後、制御部208は、ステップSP6に移り、印刷した印刷ジョブ400と、当該印刷ジョブ400に関連付けられている認証情報410及びログイン情報420とを記憶部203から削除する。印刷システム1による、認証印刷を行う際の動作は、以上のようになっている。
【0049】
[1-3.まとめと効果]
ここまで説明したように、第1の実施の形態では、端末装置としてのユーザ端末100と、当該ユーザ端末100から送信された印刷データとしての印刷ジョブ400を受信して印刷を行う画像形成装置200と、当該画像形成装置200と通信するサーバとしてのクラウドサーバ300を有する印刷システム1において、ユーザ端末100に、画像形成装置200と通信する通信部101と、印刷ジョブ400をクラウドサーバ300にログインする為のログイン情報420とともに通信部101により画像形成装置200に送信する制御部105とを設けた。
【0050】
また画像形成装置200に、ユーザ端末100から印刷ジョブ400とともにログイン情報420を受信する第1の通信部、及びクラウドサーバ300と通信する第2の通信部としての通信部201と、通信部201によりユーザ端末100から印刷ジョブ400とともにログイン情報420を受信すると、受信したログイン情報420を用いて通信部201によりクラウドサーバ300にログインし、受信した印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に送信して記憶させる制御部208とを設けた。
【0051】
このように、ログイン情報420とともに印刷ジョブ400をユーザ端末100から画像形成装置200に送信するようにしたことにより、画像形成装置200では、ユーザ端末100から受信したログイン情報420を用いてクラウドサーバ300にログインし、ユーザ端末100から受信した印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に退避させることができる。
【0052】
かくして印刷システム1では、画像形成装置200の記憶部203の空き容量が不足して画像形成装置200が印刷ジョブ400を受け付けなくなる状況を回避することができる。
【0053】
また印刷システム1では、画像形成装置200に、装置記憶部としての記憶部203の使用容量を監視する監視部204を設け、制御部208が、監視部204により監視されている記憶部203の使用容量が一定容量(例えば全容量の80%)を超えていない場合には、受信した印刷ジョブ400を記憶部203に記憶させ、一定容量を超えている場合には、受信した印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に送信して記憶させるようにした。
【0054】
このように、印刷システム1では、必要な場合(つまり記憶部203の空き容量が少ない場合)にのみ、印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に退避する為、印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に退避させることによって生じる遅延を必要最小限に抑えることができる。
【0055】
さらに画像形成装置200の制御部208は、印刷ジョブ400とともに受信したログイン情報420を記憶部203に記憶し、クラウドサーバ300に退避させた印刷ジョブ400を印刷する際には、記憶部203に記憶してあるログイン情報420を用いて通信部201によりクラウドサーバ300にログインし、クラウドサーバ300から印刷ジョブを取得(受信)するようにした。
【0056】
このように印刷システム1では、クラウドサーバ300に退避させた印刷ジョブ400を印刷する際、印刷ジョブ400とともに受信したログイン情報420を用いて自動的にクラウドサーバ300にログインして印刷ジョブ400を取得する為、画像形成装置200上でログイン情報420を入力したりユーザアカウントを切り替えたりする操作をユーザに行わせる必要がなく、印刷ジョブ400を画像形成装置200の記憶部203に記憶させている場合と同様の操作で印刷を行うことができる。
【0057】
また印刷システム1では、クラウドサーバ300のユーザアカウントごとに設定されたログイン情報420を用いて、クラウドサーバ300上のユーザアカウントごとに割り当てられたサーバ記憶部としての記憶部302に印刷ジョブ400を退避させることにより、クラウドサーバ300に退避させた印刷ジョブ400が、他のユーザに勝手に利用されてしまうことを防ぐことができる。換言すると、印刷システム1では、クラウドサーバ300に退避させた印刷ジョブ400のセキュリティを確保しつつ、クラウドサーバ300上の大容量な記憶部302を画像形成装置200の外部記憶装置のように有効利用することができる。
【0058】
[2.第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、画像形成装置200がユーザ端末100から受信した全ての認証印刷用の印刷ジョブをクラウドサーバ300に退避させる点が、第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。尚、以下の説明では、第1の実施の形態と区別する為、第2の実施の形態の印刷システム1を印刷システム1x、画像形成装置200を画像形成装置200xとする。
【0059】
[2-1.印刷システムの構成]
図6を用いて、第2の実施の形態による印刷システム1xの構成について説明する。この印刷システム1xは、ユーザが利用するユーザ端末100と、画像形成装置200xと、クラウドサーバ300とで構成されている。ユーザ端末100とクラウドサーバ300については第1の実施の形態と同様の構成である為、説明を省略する。
【0060】
画像形成装置200xは、
図1に示す第1の実施の形態の画像形成装置200から監視部204を省略した構成であり、第1の実施の形態の画像形成装置200と共通する部分については説明を省略する。
【0061】
この画像形成装置200xでは、制御部208が、認証印刷時に、通信部201により認証印刷用の印刷ジョブ400と認証情報410とログイン情報420とを受信すると、これらを記憶部203に記憶する。このとき、制御部208は、記憶部203の使用容量に係らず、受信した印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に記憶する。すなわち、制御部208は、印刷ジョブ400とともに受信したログイン情報420を用いて通信部201によりクラウドサーバ300にログインし、印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に送信してクラウドサーバ300の記憶部302に記憶する。尚、第1の実施の形態と同様、印刷ジョブ400の印刷ジョブ名401については、認証情報410とログイン情報420に関連付けられた状態で画像形成装置200xの記憶部203にも記憶されるようになっている。
【0062】
このように、画像形成装置200xは、ユーザ端末100から受信した全ての認証印刷用の印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に退避させるようになっている。印刷システム1xの構成は、以上のようになっている。
【0063】
[2-2.印刷システムの動作]
次に、印刷システム1xの動作について説明する。ここでは、印刷システム1xの動作として、認証印刷を行う際の動作について、
図7に示すフローチャートを用いて説明する。尚、このフローチャートは、ユーザ端末100の動作と画像形成装置200xの動作をまとめて示すものである。
【0064】
ユーザ端末100の制御部105は、ユーザにより認証印刷が指示されると、ステップSP101において、認証印刷用の印刷ジョブ400と認証情報410とログイン情報420を画像形成装置200xに送信する。
【0065】
画像形成装置200xの制御部208は、ユーザ端末100から認証印刷用の印刷ジョブ400と認証情報410とログイン情報420を受信すると、ステップSP102において、これらを記憶する。具体的には、印刷ジョブ400に含まれる印刷ジョブ名401と認証情報410とログイン情報420を画像形成装置200xの記憶部203に記憶する。
【0066】
つづくステップSP103において、制御部208は、印刷ジョブ400とともに受信したログイン情報420を用いてクラウドサーバ300にログインし、つづくステップSP104において、印刷ジョブ400をクラウドサーバ300の記憶部302(つまりログイン情報420を用いてアクセス可能な記憶部302)に記憶する。このとき、印刷ジョブ400を、一時的に画像形成装置200の記憶部203に記憶し、クラウドサーバ300の記憶部302に記憶させた後、記憶部203から削除するようにしてもよい。また印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に記憶させた後、制御部208は、クラウドサーバ300からログオフする。
【0067】
その後、画像形成装置200xの制御部208は、ユーザにより認証印刷が選択されると、ステップSP105において、認証印刷を開始する。ここで、制御部208は、表示部207に表示させた印刷ジョブ名401のリストのなかから任意の印刷ジョブ名401が選択されて認証情報が入力されると、選択された印刷ジョブ名401に関連付けられている認証情報410と入力された認証情報とを用いて認証部205により認証を行う。
【0068】
認証OKであれば、つづくステップSP106において、制御部208は、選択された印刷ジョブ名401に関連付けられているログイン情報420を用いてクラウドサーバ300にログインする。つづくステップSP107において、制御部208は、クラウドサーバ300の記憶部302から、ユーザに選択された印刷ジョブ名401に対応する印刷ジョブ400を読み出し、当該印刷ジョブ400を画像形成装置200xの記憶部203にコピーする。ここで、制御部208は、クラウドサーバ300からログオフする。
【0069】
つづくステップSP108において、制御部208は、記憶部203から、当該印刷ジョブ400(つまりユーザに選択された印刷ジョブ400)を読み出し、当該印刷ジョブ400に基づいて画像形成部202により媒体に画像を形成する(つまり印刷を行う)。印刷終了後、制御部208は、ステップSP109に移り、印刷した印刷ジョブ400と、当該印刷ジョブ400に関連付けられている認証情報410及びログイン情報420とを記憶部203から削除する。このとき、当該印刷ジョブ400のデータ本体402のみを記憶部203から削除するようにして、当該印刷ジョブ400の印刷ジョブ名401と認証情報410とログイン情報420については記憶部203に残すようにしてもよい。印刷システム1xによる、認証印刷を行う際の動作は、以上のようになっている。
【0070】
[2-3.まとめと効果]
ここまで説明したように、第2の実施の形態では、画像形成装置200xの制御部208が、記憶部203の使用容量に係らず、ユーザ端末100から受信した全ての認証印刷用の印刷ジョブ400を、通信部201によりクラウドサーバ300に送信して記憶させるようにした。
【0071】
こうすることで、第2の実施の形態の印刷システム1xでは、第1の実施の形態と同様、画像形成装置200xの記憶部203の空き容量が不足して画像形成装置200xが印刷ジョブ400を受け付けなくなる状況を回避することができる。
【0072】
またこの印刷システム1xでは、ユーザ端末100から受信した全ての認証印刷用の印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に退避させる為、例えば画像形成装置200xが記憶部203の容量が少なく単体では認証印刷を実現できない装置であったとしても、クラウドサーバ300と連携して認証印刷を実現することができる。
【0073】
さらに印刷システム1xでは、印刷ジョブ400の印刷後も、クラウドサーバ300に当該印刷ジョブ400を保持し続けるようにしたことにより、クラウドサーバ300に保持されている印刷ジョブ400を用いて再印刷を行うこともできる。この場合、例えば、印刷ジョブ400の印刷後も、当該印刷ジョブ400の印刷ジョブ名401と認証情報410とログイン情報420を画像形成装置200xの記憶部203に残すようにする。そして、画像形成装置200xの制御部208が、記憶部203に保持している印刷ジョブ名401のリストを表示部207に表示させ、当該リストから選択された印刷ジョブ名401に対応する印刷ジョブ400をクラウドサーバ300から再度取得して再印刷するようにすればよい。
【0074】
さらに印刷システム1xでは、クラウドサーバ300に退避させた印刷ジョブ400を印刷する際、印刷ジョブ400とともに受信したログイン情報420を用いて自動的にクラウドサーバ300にログインして印刷ジョブ400を取得する為、第1の実施の形態と同様、画像形成装置200x上でログイン情報420を入力したりユーザアカウントを切り替えたりする操作をユーザに行わせる必要がなく、印刷ジョブ400を画像形成装置200xの記憶部203に記憶させている場合と同様の操作で印刷を行うことができる。
【0075】
また印刷システム1xでは、クラウドサーバ300のユーザアカウントごとに設定されたログイン情報420を用いて、印刷ジョブ400をユーザアカウントごとに退避させることにより、第1の実施の形態と同様、クラウドサーバ300に退避させた印刷ジョブ400が、他のユーザに勝手に利用されてしまうことを防ぐことができる。
【0076】
[3.他の実施の形態]
[3-1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1の実施の形態では、
図3に示したように、記憶部203に、印刷ジョブ400と認証情報410とログイン情報420とデータ記憶場所430で構成される印刷ジョブごとの情報を記憶するようにした。ここで、ログイン情報420については、クラウドサーバ300に登録されたユーザアカウントごとの情報であることから、印刷ジョブ400とは分けて記憶するようにしてもよい。例えば、
図3に示す印刷ジョブごとの情報を、
図8(A)に示す、印刷ジョブ400と認証情報410とログイン情報420のユーザ名421とデータ記憶場所430とで構成された印刷ジョブごとの情報と、
図8(B)に示す、ログイン情報420(ユーザ名421とパスワード422)のみで構成されたユーザアカウントごとの情報とに分けて記憶するようにしてもよい。
【0077】
この場合、
図8(A)に示す印刷ジョブごとの情報と、
図8(B)に示すユーザアカウントごとの情報を、それぞれが有するログイン情報420のユーザ名421で関連付けるようにすればよい。またこの場合、印刷終了後、
図8(A)に示す印刷ジョブごとの情報のなかから、印刷した印刷ジョブの情報を削除するようにすればよい。第2の実施の形態についても同様である。
【0078】
[3-2.他の実施の形態2]
また上述した第1の実施の形態では、認証印刷時にのみ、ユーザ端末100から画像形成装置200に送信された印刷ジョブ400を、必要に応じて、クラウドサーバ300に退避させるようにした。これに限らず、画像形成装置200に送信された印刷ジョブ400を蓄積し、後で印刷する方式の印刷であれば、認証印刷以外の印刷時にも、必要に応じて、印刷ジョブをクラウドサーバ300に退避させるようにしてもよい。第2の実施の形態についても同様に、認証印刷以外の印刷時にも、印刷ジョブをクラウドサーバ300に退避させるようにしてもよい。
【0079】
[3-3.他の実施の形態3]
さらに上述した第2の実施の形態では、画像形成装置200xの制御部208が、ユーザ端末100から受信した全ての認証印刷用の印刷ジョブ400を、通信部201によりクラウドサーバ300に送信して記憶させるようにした。これに限らず、例えば、印刷ジョブ400とともに受信したログイン情報420を用いてクラウドサーバ300にログインを試みたがログインできなかった場合に、印刷ジョブ400を画像形成装置200xの記憶部203に記憶させるようにしてもよい。
【0080】
またこれに限らず、例えば、クラウドサーバ300にログインはできたが、クラウドサーバ300の記憶部302の空き容量が不足していて印刷ジョブ400を記憶させることができなかった場合に、印刷ジョブ400を画像形成装置200xの記憶部203に記憶させるようにしてもよい。このように何らかの理由で、印刷ジョブ400をクラウドサーバ300に退避させることができなかった場合に、当該印刷ジョブ400を画像形成装置200xの記憶部203に記憶させるようにしてもよい。
【0081】
[3-4.他の実施の形態4]
さらに上述した第2の実施の形態では、クラウドサーバ300に印刷ジョブ400を保持し続けるようにしたが、これに限らず、例えば、第1の実施の形態と同様、クラウドサーバ300に記憶している印刷ジョブ400を画像形成装置200xの記憶部203に複製し終えた時点で、当該印刷ジョブ400をクラウドサーバ300から削除するようにしてもよい。
【0082】
またこれに限らず、例えば、認証印刷する際に、画像形成装置200x上で印刷ジョブ400を印刷後に削除するか印刷後も残すかユーザに選択させるようにして、印刷後に削除すると選択された場合には、制御部208が、クラウドサーバ300に記憶している印刷ジョブ400を画像形成装置200xの記憶部203に複製し終えた時点でクラウドサーバ300から削除し、画像形成装置200xの記憶部203に複製した印刷ジョブ400を印刷し終えた時点で記憶部203から当該印刷ジョブ400を認証情報410及びログイン情報420とともに削除するようにしてもよい。
【0083】
[3-5.他の実施の形態5]
さらに上述した第1及び第2の実施の形態では、画像形成装置200(200x)が、印刷ジョブ400をインターネット20上のクラウドサーバ300に退避するようにしたが、これに限らず、他のサーバに退避するようにしてもよい。例えば、LAN10上のネットワークサーバに退避するようにしてもよい。このネットワークサーバについても、クラウドサーバ300と同様、ユーザアカウントごとに印刷ジョブ400を記憶管理できる機能を有していることが望ましい。
【0084】
[3-6.他の実施の形態6]
さらに上述した実施の形態では、本発明を、ユーザ端末100と、画像形成装置200(200x)と、クラウドサーバ300とで構成される印刷システム1(1x)に適用したが、これに限らず、同等に機能するものであれば、印刷システム1(1x)とは部分的に異なる印刷システムにも適用することができる。さらに上述した実施の形態では、本発明を、画像形成装置200(200x)に適用したが、これに限らず、同等に機能するものであれば、プリンタや複合機といった様々な画像形成装置に適用することができる。
【0085】
[3-7.他の実施の形態7]
さらに、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、認証印刷を実行可能な印刷システムなどで広く利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1、1x……印刷システム、10……LAN、20……インターネット、100……ユーザ端末、101……通信部、105……制御部、200、200x……画像形成装置、201……通信部、202……画像形成部、203……記憶部、204……監視部、205……認証部、206……操作部、207……表示部、208……制御部、300……クラウドサーバ、301……通信部、302……記憶部、303……制御部、400……印刷ジョブ、410……認証情報、420……ログイン情報、430……データ記憶場所。