(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048709
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】薬液生成装置
(51)【国際特許分類】
B01F 35/83 20220101AFI20230331BHJP
B01F 21/00 20220101ALI20230331BHJP
B01J 4/02 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B01F15/04 A
B01F1/00 Z
B01J4/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158173
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】504109539
【氏名又は名称】株式会社テクノメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】芦田 春幸
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
4G068
【Fターム(参考)】
4G035AA16
4G035AE02
4G035AE10
4G035AE13
4G037BA01
4G037BB22
4G037BC02
4G037BD02
4G037BE03
4G068AA02
4G068AB15
4G068AC16
4G068AD01
4G068AE02
4G068AF01
4G068AF25
4G068AF31
(57)【要約】
【課題】構造の簡素化、コストの低減化、組立の容易化が図れる薬液生成装置を提供する。
【解決手段】希釈タンク13と、原薬液供給配管17と、希釈液供給配管19と、計量用配管18と、開閉バルブV15と、開閉バルブV15が閉じられることによって原薬液供給配管17から供給された原薬液が計量用配管18内を上昇するその液面を検出して計量用配管18内に溜まる原薬液の液量を基準原薬液量として測定する検出センサLS5と、計量用配管18内を上昇する原薬液Q1の液面が検出センサLS5によって検出されると原薬液Q1の供給を停止すると共に開閉バルブV15を開き、これによって基準原薬液量の原薬液Q1を希釈タンク13に収容し、且つ希釈タンク13に希釈液供給配管19から希釈液を供給することで原薬液Q1を希釈した薬液を生成する制御手段50とを具備する。原薬液供給配管17と計量用配管18は可撓性を有する樹脂チューブで構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
希釈タンクと、
前記希釈タンクに向けて原薬液を供給する原薬液供給配管と、
前記希釈タンクに希釈液を供給する希釈液供給配管と、
前記原薬液供給配管の下流端に取り付けられ、一端側が立ち上げられてその上端が排気ダクトに接続され、他端側が開閉バルブを介してその下端が前記希釈タンクに挿入される計量用配管と、
前記開閉バルブが閉じられることによって前記原薬液供給配管から供給された原薬液が前記計量用配管内を上昇するその液面を検出して当該計量用配管内に溜まる原薬液の液量を基準原薬液量として測定する検出センサと、
前記計量用配管内を上昇する原薬液の液面が前記検出センサによって検出されると、原薬液の供給を停止すると共に前記開閉バルブを開き、これによって前記基準原薬液量の原薬液を前記希釈タンクに収容し、且つ当該希釈タンクに前記希釈液供給配管から希釈液を供給することで前記原薬液を希釈した薬液を生成する制御手段と、
を具備することを特徴とする薬液生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薬液生成装置であって、
前記原薬液供給配管と前記計量用配管は、何れも可撓性を有する樹脂チューブであり、当該樹脂チューブからなる計量用配管の外周に前記検出センサを取り付けたことを特徴とする薬液生成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の薬液生成装置であって、
前記原薬液供給配管と前記計量用配管を構成する樹脂チューブは透明であって、前記検出センサは前記計量用配管を構成する樹脂チューブの外周を把持することで上下方向に位置調整可能に固定される光電センサであることを特徴とする薬液生成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の薬液生成装置であって、
前記検出センサは、前記計量用配管を構成する樹脂チューブの途中の前記基準原薬液量を検出する位置と、当該基準原薬液量の倍数の量を検出する1又は複数位置に、それぞれ取り付けられることを特徴とする薬液生成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の内の何れかに記載の薬液生成装置であって、
前記原薬液供給配管及び計量用配管の組は複数組設置され、前記開閉バルブと検出センサもそれぞれの組毎に設置され、それぞれの原薬液供給配管から原薬液を供給することで、これらの原薬液を混合希釈した薬液とすることを特徴とする薬液生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液の原液(原薬液)を純水等の希釈液で所定濃度に希釈して生成する薬液生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程においては、各種パターンが形成された半導体ウエハ等の基板をCMP装置で研磨し研磨面を平坦化している。そして基板研磨後に薬液生成装置から所定の濃度に希釈した薬液を供給し、基板の面を洗浄したり、付着金属や余分なパターンの剥離や除去等を行ったりしている。このような薬液生成装置においては、例えばNH4OH溶液やH2O2溶液やHF溶液等の原薬液を純水等の希釈液で所定濃度に希釈して薬液を生成し、生成した薬液をポンプにて各CMP装置に供給している。
【0003】
従来の薬液生成装置の中には、例えば特許文献1に示す薬液供給装置のように、原薬液を一旦収納しておくバッファータンク(11)と、バッファータンク(11)から供給される原薬液を計量する計量タンク(12)と、計量タンク(12)で計量した原薬液と純水などの希釈液とを混合して希釈する希釈タンク(13)とを備えて構成されているものがある。
【0004】
また同様のタンク配置構成を有する薬液生成装置として、特許文献2に記載された薬液自動希釈装置などもある。
【0005】
上記のような薬液生成装置において、希釈液量に対して原薬液量がかなり小さい場合、例えば原薬液1に対して希釈液が100~90(比率1:100~1:90)というような場合、薬液生成装置に用いられる計量タンクにおいては、少ない原薬液量を高精度で測定する必要がある。このため引用文献1においては、計量タンク(12)の形状を、上下方向に長尺な筒状体とし、少ない原薬液量を高精度で測定できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-69420号公報
【特許文献2】実公昭45-8768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし上記従来の薬液生成装置においては、少量の原薬液を計測できる小型で特殊な形状の計量タンクを設置しなければならず、部品コストの上昇や、設置作業の煩雑化の虞があった。また複数種類の原薬液をそれぞれ別の計量タンクで計量して1つの希釈タンクに導入する構成の場合は、計量タンクの数が複数必要になるため、よりコストがかかる上、装置内での設置スペースも大きくなり、装置の小型化などにも影響を与える虞があった。
【0008】
また例えば、原薬液1に対して希釈液100の比率で希釈を行う場合に備えて計量タンクの容量を決めていたとし、原薬液n(n:2以上の整数)に対して希釈液100の比率で希釈を行う場合は、計量タンクにおいてn回原薬液量を計量して希釈タンクに導入しなければならない。そうすると計量タンクにおける原薬液量の計量時間がn倍かかってしまい、薬液生成に時間が掛かってしまう虞もあった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、装置構造の簡素化、装置コストの低減、装置組立の容易化を図ることができ、同時に少量の原薬液を精度よく測定できる薬液生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる薬液生成装置は、希釈タンクと、前記希釈タンクに向けて原薬液を供給する原薬液供給配管と、前記希釈タンクに希釈液を供給する希釈液供給配管と、前記原薬液供給配管の下流端に取り付けられ、一端側が立ち上げられてその上端が排気ダクトに接続され、他端側が開閉バルブを介してその下端が前記希釈タンクに挿入される計量用配管と、前記開閉バルブが閉じられることによって前記原薬液供給配管から供給された原薬液が前記計量用配管内を上昇するその液面を検出して当該計量用配管内に溜まる原薬液の液量を基準原薬液量として測定する検出センサと、前記計量用配管内を上昇する原薬液の液面が前記検出センサによって検出されると、原薬液の供給を停止すると共に前記開閉バルブを開き、これによって前記基準原薬液量の原薬液を前記希釈タンクに収容し、且つ当該希釈タンクに前記希釈液供給配管から希釈液を供給することで前記原薬液を希釈した薬液を生成する制御手段と、を具備することを特徴としている。
本発明によれば、上端が排気ダクトに接続される計量用配管自体に検出センサを取り付けるという簡単な構造で、別途計量タンクを設置することなく、容易に、少ない原薬液量を高精度に測定することが可能になる。
【0011】
また本発明は、上記特徴に加え、前記原薬液供給配管と前記計量用配管は、何れも可撓性を有する樹脂チューブであり、当該樹脂チューブからなる計量用配管の外周に前記検出センサを取り付けたことを特徴としている。
本発明によれば、原薬液供給配管と計量用配管を、可撓性を有する樹脂チューブで構成したので、これら配管の取付作業が容易になり、また狭い設置スペースにも容易に設置することが可能になる。
【0012】
また本発明は、上記特徴に加え、前記原薬液供給配管と前記計量用配管を構成する樹脂チューブは透明であって、前記検出センサは前記計量用配管を構成する樹脂チューブの外周を把持することで上下方向に位置調整可能に固定される光電センサであることを特徴としている。
透明には半透明も含まれる。
本発明によれば、樹脂チューブを透明にしたので、検出センサ(光電センサ)をその外周に直接取り付けるだけで、容易に原薬液の液面を検出することが可能になる。また検出センサ(光電センサ)を樹脂チューブの外周に直接取り付けるので、樹脂チューブに対する検出センサの取付位置を容易に上下に移動して微調整することができ、これによって少ない基準原薬液量であっても、これを高精度に検出することができるように調節できる。
【0013】
また本発明は、上記特徴に加え、前記検出センサは、前記計量用配管を構成する樹脂チューブの途中の前記基準原薬液量を検出する位置と、当該基準原薬液量の倍数の量を検出する1又は複数位置に、それぞれ取り付けられることを特徴としている。
本発明によれば、樹脂チューブの所望の上下位置に複数の検出センサを設置するだけで、基準原薬液量ばかりでなく、その複数倍の原薬液量も検出することができるようになる。これによって希釈タンクに投入する原薬液量が基準原薬液量の2倍3倍・・であったとしても、1回ずつ計量して1回ずつ希釈タンクに投入する必要が無く、一度に基準原薬液量の2倍3倍・・の原薬液量を計測して1回の操作で希釈タンクに投入できるので、薬液の生成工程が簡素化され、生成時間の短縮を図ることができる。
【0014】
また本発明は、上記特徴に加え、前記原薬液供給配管及び計量用配管の組は複数組設置され、前記開閉バルブと検出センサもそれぞれの組毎に設置され、それぞれの原薬液供給配管から原薬液を供給することで、これらの原薬液を混合希釈した薬液とすることを特徴としている。
本発明によれば、別途複数の計量タンクを設置することなく、容易に複数の少ない原薬液量をそれぞれ高精度に測定でき、容易に複数の原薬液を精度よく混合希釈した薬液を生成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる薬液生成装置によれば、装置構造の簡素化、装置コストの低減、装置組立の容易化を図ることができると共に、少量の原薬液を精度よく測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】薬液生成装置1-1を示す概略構成図である。
【
図2】原薬液計量部30部分の要部概略斜視図である。
【
図3】薬液生成装置1-1の制御部の概略構成図である。
【
図4】薬液生成装置1-1の制御方法の一例を示す動作フロー図である。
【
図5】薬液生成装置1-2を示す概略構成図である。
【
図6】薬液生成装置1-3を示す概略構成図である。
【
図7】薬液生成装置1-4を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態にかかる薬液生成装置1-1を示す概略構成図である。同図に示すように薬液生成装置1-1は、バッファタンク11と希釈タンク13と供給タンク14を備え、これら各タンクを各種配管によって接続して構成されている。なお以下の説明において、「上」とは希釈タンク13からバッファタンク11側を向く方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。
【0018】
バッファタンク11は、薬液生成装置1-1内において原薬液を一定量貯留しておくタンクである。バッファタンク11には、その下部に、原薬液供給部(図示せず)から原薬液Q1(この例ではNH4OH溶液)を供給する配管16が接続されている。配管16には、原薬液Q1供給用の開閉バルブV11と、純水(DIW)等の洗浄液供給用の開閉バルブV12と、パージ圧力空気等のパージ圧力気体供給用の開閉バルブV13が並列に接続されている。
【0019】
またバッファタンク11には、タンク内に収容された原薬液の液面レベルを検出する4つの液面レベルセンサLS1,LS2,LS3,LS4が設置されている。各液面レベルセンサLS1,LS2,LS3,LS4はバッファタンク11内の異なる液面レベルを検出するように、バッファタンク11の側壁に沿って上下方向の所定位置に設置されている。バッファタンク11の上部には排気管HEX1が接続され、その上端はバッファタンク11の上部に設置された排気ダクトHEX5に接続されている。排気ダクトHEX5は蒸発した薬液のミストやガスを図示しない薬液ミスト処理設備に送る。
【0020】
バッファタンク11の下面には、当該バッファタンク11内の原薬液を希釈タンク13に向けて供給するための原薬液供給配管17が接続されている。原薬液供給配管17の途中のバッファタンク11の下部付近には開閉バルブV14が接続され、また原薬液供給配管17の下流端は計量用配管18(その途中の側面)に取り付けられている。開閉バルブV14は原薬液供給配管17を開閉する。
【0021】
計量用配管18は、その一端側が上方向に立ち上げられその上部が排気管HEX2となってその上端が前記排気ダクトHEX5に接続される。また計量用配管18の他端側には開閉バルブV15が接続され、その下端は希釈タンク13内に挿入されている。開閉バルブV15は計量用配管18を開閉する。計量用配管18と排気管HEX2は、下記する1本の樹脂チューブによって構成されている。計量用配管18は下記する原薬液計量部30の一部を構成する。計量用配管18は垂直方向に立ち上げられており、その途中には、計量用配管18内を上昇する原薬液の液面を検出する液面レベルセンサからなる検出センサLS5が設置され、また検出センサLS5の上部には計量用配管18内を上昇する原薬液の液面を検出する液面レベルセンサからなる検出センサLS6が設置されている。また計量用配管18の原薬液供給配管17を接続した原薬液供給配管接続部分171の位置よりも下流側(開閉バルブV15側)にも液面レベルセンサからなる検出センサLS7が設置されている。上記計量用配管18と検出センサLS5,LS6,LS7と、開閉バルブV15とによって、希釈タンク13に投入する基準原薬液量を計量する原薬液計量部30が構成されている。
【0022】
図2は、原薬液計量部30部分の要部概略斜視図である。同図において、計量用配管18と原薬液供給配管17は、何れも可撓性を有する透明な樹脂チューブであり、この例ではフッ素樹脂製の透明な樹脂チューブを用いている。原薬液供給配管17は、その下流端が原薬液供給配管接続部分171において計量用配管18に接続されている。
【0023】
原薬液供給配管17は原薬液供給配管接続部分171において計量用配管18の側面に接続されているが、当該接続は、原薬液供給配管17と計量用配管18の両者が同じ材質(フッ素樹脂製)なので、熱溶着によって容易且つ確実に行える。計量用配管18の原薬液供給配管接続部分171よりも上部に取り付けられる2つの検出センサLS5,LS6と、原薬液供給配管接続部分171よりも下部に取り付けられる1つの検出センサLS7は、何れも上述のように液面レベルセンサであり、光の反射または透過を利用して液面を検出する同一構成の光電センサである。これら検出センサLS5,LS6,LS7は、光を発光・受光するセンサ本体部LS51,LS61,LS71と、計量用配管18を構成する樹脂チューブの外周に直接巻き回されて取り付けられる取付部LS53,LS63,LS73とを具備して構成されている。
【0024】
検出センサLS5の設置位置は、開閉バルブV15から検出センサLS5までの計量用配管18内の容積が、予め定めた基準原薬液量の容積と同一になる位置に設定されている。
【0025】
検出センサLS6は液面レベルが検出センサLS5の位置を超えていることを検出して警報信号を発するための液面超過検出センサである。
【0026】
検出センサLS7は、開閉バルブV15が開かれて計量用配管18内の原薬液が空になったことを検出する液面レベルセンサである。
【0027】
開閉バルブV15は、圧縮エアによって開閉が駆動されるバルブであり、樹脂チューブ製のエア供給配管V151(
図2参照)が接続されている。
【0028】
図1に戻って、希釈タンク13は、内部に収容された原薬液を純水等の希釈液で希釈するタンクであり、さらに具体的に言えば、基準原薬液量、またはその複数倍の量の原薬液を収容し、さらに外部から純水等の希釈液を導入(供給)して原薬液を所定の希釈率で希釈して実際に使用する濃度の薬液とするタンクである。希釈タンク13にはその内部に希釈後の薬液が残っていないことを確認(検出)する液面レベルセンサLS8と、希釈タンク13内の所定の高さの液面をそれぞれ検出する3つの液面レベルセンサLS9,LS10,LS11とが、希釈タンク13の外周側壁の上下方向に向かって設置されている。
【0029】
また希釈タンク13には、希釈液供給バルブV16を備えた希釈液供給用の配管19の先端が挿入されている。また希釈タンク13の下端には排出バルブV17を備えた薬液排出用の配管20の一端が接続され、配管20の他端は供給タンク14内に挿入されている。
【0030】
供給タンク14は、希釈タンク13で所定濃度(所定希釈率)に希釈された薬液(希釈薬液)を収容し、CMP装置等の薬液使用場所に供給するためのタンクである。供給タンク14には、収容した薬液量を監視するための液面レベルセンサLS12,LS13,LS14,LS15,LS16が上下方向の異なる位置に設置されている。供給タンク14には、収容されている薬液を薬液使用場所に供給する配管21と、薬液使用場所に供給されなかった、即ち使用されなかった薬液を供給タンク14に戻す薬液戻し用の配管22とが設置されている。つまり配管21によって薬液使用場所に供給したが使用されなかった薬液は配管22を通って供給タンク14に戻され、循環される。
【0031】
図3は、上記薬液生成装置1-1の制御部の概略構成図である。同図に示すように、薬液生成装置1-1の制御部は、前記各検出センサ(液面レベルセンサ)LS1~LS16によって検出された入力信号を入力する制御手段50と、制御手段50によってオンオフが制御される電磁バルブSV11~SV17とを具備している。制御手段50はマイクロコンピュータやシーケンス回路などによって構成されている。各電磁バルブSV11~SV17は、それぞれ圧縮空気を送気するパイプの途中に設置される電磁バルブであり、当該パイプを通過する圧縮空気の送気/遮断を行う。各電磁バルブSV11~SV17のオンオフは、制御手段50からの制御信号によって行われる。
【0032】
そして、制御手段50による薬液生成装置1-1の制御は、以下のように行われる。
図1において、当初は各開閉バルブV11~V17が閉じているものとし、まず電磁バルブSV11を開くことで、開閉バルブV11を開き、図示しない原薬液供給部から原薬液Q1が配管16を通って、バッファタンク11内に供給される。バッファタンク11内に流入した原薬液の液面レベルが上昇して、当該液面を液面レベルセンサLS1,LS2が順に検出し、さらに液面レベルセンサLS3が検出すると、開閉バルブV11を閉じて原薬液の供給を止める。また、何らかの原因で液面レベルがさらに上昇して液面レベルセンサLS4が液面を検出したら、液面レベルが所定の満液レベルを超えている旨を警報する警報信号を出力する。また原薬液の使用によって液面が下がり、液面レベルセンサLS2が当該液面を検出すると再び開閉バルブV11を開いて、液面が液面レベルセンサLS3の位置になるまで供給され、開閉バルブV11を閉じる。これによってバッファタンク11内の液面レベルを液面レベルセンサLS2と液面レベルセンサLS3の間に保つ。
【0033】
図4は、バッファタンク11内の原薬液量が所定のレベルに達した後の制御方法の一例を示す動作フロー図である。上述のようにバッファタンク11内の原薬液量が所定の液量になったこと(例えば液面が液面レベルセンサLS3の位置に達したこと)を検出すると、開閉バルブV14を開く(ステップ1)。これによって原薬液供給配管17に原薬液が導入され、さらに計量用配管18にも原薬液が流入して開閉バルブV14と開閉バルブV15の間の原薬液供給配管17内と、計量用配管18内とに原薬液が溜まり、計量用配管18内を液面が上昇していく。そして計量用配管18内を上昇する液面を検出センサLS5が検出すると(ステップ2の「Y」)、開閉バルブV14を閉じ(ステップ3)、これによって計量用配管18内への原薬液の流入を停止する。なお、この動作フローには記載していないが、検出センサLS6が液面を検出した場合は、原薬液が計量用配管18から溢れる虞があるとの警報を発したりする。
【0034】
次に、開閉バルブV15を開くと(ステップ4)、計量用配管18内の原薬液はその自重により希釈タンク13内に流下する。このとき、原薬液供給配管17内の原薬液は、開閉バルブV14が閉じられているため、自重よりも大気圧と表面張力の方が大きく、当該原薬液供給配管17内に留まり流下しない。そして計量用配管18内の液面が下降して検出センサLS7がその液面を検出した後(ステップ5の「Y」)、開閉バルブV15を閉じる(ステップ6)。これによって、計量用配管18内の開閉バルブV15よりも上方に溜まっていた基準原薬液量の原薬液が、希釈タンク13内に流下する。
【0035】
次に、希釈タンク13に基準原薬液量を1回だけ投入して希釈する場合はステップ7における「n回」は「1回」なので、ステップ8に移行するが、「n回」が「複数回」の場合は、上記ステップ1~ステップ6を当該複数回繰り返すことで、基準原薬液量の複数倍の原薬液を希釈タンク13に投入する。
【0036】
上記原薬液の希釈タンク13への投入工程が完了すると、次に、開閉バルブV16を開いて(ステップ8)、純水等の希釈液を配管19によって希釈タンク13に供給する。そして希釈タンク13内の液面を液面レベルセンサLS10が検出すると(ステップ9の「Y」)、開閉バルブV16を閉じる(ステップ10)。これによって、原薬液を希釈液で希釈した薬液が出来上がる。なお、この動作フローには記載していないが、液面レベルセンサLS11が液面を検出した場合は、希釈した薬液が希釈タンク13から溢れる虞があるとの警報を発したりする。
【0037】
次に、開閉バルブV17を開き(ステップ11)、希釈タンク13内の薬液をその自重により供給タンク14内に流下する。この流下は液面レベルセンサLS8が希釈タンク13内に薬液が残っていないことを確認(検出)するまで続け(ステップの「Y」)、その後開閉バルブV17を閉じる(ステップ13)。以上によって、少量の原薬液を正確に希釈した薬液が得られる。
【0038】
なお上記動作例では、希釈タンク13内に基準原薬液量を1回又は複数回投入した後に希釈液を投入した例を示したが、原薬液と希釈液は並行して同時に希釈タンク13内に投入しても良いし、希釈液を先に希釈タンク13内に投入した後に原薬液を投入しても良い。
【0039】
上記薬液生成装置1-1において、バッファタンク11、計量用配管18、希釈タンク13、供給タンク14は、それぞれ排気管HEX1,HEX2,HEX3,HEX4を介して排気ダクトHEX5に接続されているので、薬液から生じる有害なガスやミストは排気ダクトHEX5に集められて図示しない薬液ミスト処理設備に送られ、無害になるように処理される。
【0040】
供給タンク14に収容された薬液は、CMP装置等の薬液使用場所に、配管21によって供給され、また薬液使用場所で使用されなかった薬液は配管22によって供給タンク14に戻される。
【0041】
また上記
図1に示す構成の薬液生成装置1-1においては、開閉バルブ13を開くことで、各タンクや配管内にパージ圧力気体が供給でき、また開閉バルブV12を開くことで、各タンクや配管内に純水等の洗浄液が供給できる。洗浄液を供給することで、原薬液の希釈運転の終了又は原薬液の希釈運転開始に際して、バッファタンク11、希釈タンク13、供給タンク14、配管16,17,18,20等の原薬液や希釈薬液が接触する接液部を洗浄すると共に、洗浄後にパージ圧力気体を供給することで、洗浄部分に残る液滴をパージする。
【0042】
以上説明したように、本実施形態にかかる薬液生成装置1-1は、希釈タンク13と、希釈タンク13に向けて原薬液を供給する原薬液供給配管17と、希釈タンク13に希釈液を供給する希釈液供給配管19と、原薬液供給配管17の下流端に取り付けられ、一端側が立ち上げられてその上端が排気ダクトHEX5に接続され、他端側が開閉バルブV15を介してその下端が希釈タンク13に挿入される計量用配管18と、開閉バルブV15が閉じられることによって原薬液供給配管17から供給された原薬液が計量用配管18内を上昇するその液面を検出して計量用配管18内に溜まる原薬液の液量を基準原薬液量として測定する検出センサLS5と、計量用配管18内を上昇する原薬液の液面が検出センサLS5によって検出されると、原薬液の供給を停止すると共に開閉バルブV15を開き、これによって前記基準原薬液量の原薬液を希釈タンク13に収容し、且つ当該希釈タンク13に希釈液供給配管19から希釈液を供給することで前記原薬液を希釈した薬液を生成する制御手段50とを具備している。
【0043】
本薬液生成装置1-1によれば、上端が排気ダクトHEX5に接続される計量用配管18自体に検出センサLS5を取り付けるという簡単な構造で、別途計量タンクを設置することなく、容易に、少ない原薬液量を高精度に測定することができる。
【0044】
またこの薬液生成装置1-1は、原薬液供給配管17と計量用配管18を、何れも可撓性を有する樹脂チューブで構成したので、これら原薬液供給配管17と計量用配管18の装置内への取付作業が容易になり、また装置内の狭い設置スペースにも容易に設置することが可能になる。なおこの実施形態では、他の配管16,19,20,21,22も、上記原薬液供給配管17や計量用配管18と同じ材質の可撓性を有する樹脂チューブで構成している。言い換えれば、安価で配回しが容易な可撓性を有する樹脂チューブ製の配管自体を原薬液供給配管17及び計量用配管18としたので、部品コストの低減化、組立作業の容易化、設置スペースの省スペース化などを図ることができる。本実施形態では、原薬液などに接液する配管全てにフッ素樹脂からなる樹脂チューブを用いているので、各種薬液に対応可能である。
【0045】
また本実施形態では、計量用配管18を、可撓性を有する樹脂チューブで構成したので、基準原薬液量の液量が少量でも、容易且つ精度よく計量することができる。即ち、樹脂チューブの内径は、樹脂チューブの規格品の中から選択することで、基準原薬液量に応じた最適な内径の樹脂チューブを容易に入手することができ、例えば基準原薬液量が数ミリリットルであってもこれを精度よく計量することができる。
【0046】
また薬液生成装置1-1は、原薬液供給配管17と計量用配管18を構成する樹脂チューブを透明とし、前記検出センサLS5は計量用配管18を構成する樹脂チューブの外周を把持することで上下方向に位置調整可能に固定される光電センサで構成したので、検出センサ(光電センサ)を樹脂チューブの外周に直接取り付けるだけで、容易に原薬液の液面を検出することが可能になる。また検出センサ(光電センサ)を樹脂チューブの外周に直接取り付けるので、樹脂チューブに対する検出センサの取付位置を容易に上下に移動して微調整することができ、これによって少ない基準原薬液量であっても、これを高精度に検出できるように調節することができる。
【0047】
〔第2実施形態〕
図5は本発明の第2実施形態にかかる薬液生成装置1-2を示す概略構成図である。同図に示す薬液生成装置1-2において、前記
図1に示す薬液生成装置1-1と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記
図1~
図4に示す実施形態と同じである。
【0048】
同図に示す薬液生成装置1-2において、
図1に示す薬液生成装置1-1と相違する点は、原薬液計量部30の構成のみである。即ちこの実施形態にかかる原薬液計量部30は、計量用配管18の前記検出センサLS5の上方に、計量用配管18内を上昇する原薬液の液面を検出する液面レベルセンサからなる別の検出センサLS5の2を設置し、当該検出センサLS5の2のさらに上方に前記検出センサLS6を設置している。検出センサLS5の2の設置位置は、検出センサLS5の位置から検出センサLS5の2の位置までの計量用配管18内の容積が、基準原薬液量の容積と一致する設置位置としている。
【0049】
この薬液生成装置1-2によれば、検出センサLS5を用いることで、上記第1実施形態と同様に基準原薬液量の原薬液を希釈タンク13に供給することができる上、さらに検出センサLS5の2を用いることで、一度に基準原薬液量の2倍の原薬液を希釈タンク13に供給することができる。従って第1実施形態の場合、希釈タンク13に供給する原薬液を基準原薬液量の2倍とする場合は1回ずつ基準原薬液量の原薬液を測定して希釈タンク13に投入する必要があるが、この第2実施形態の場合は、基準原薬液量の2倍の原薬液を一度の工程で希釈タンク13に投入することができ、希釈時間を効果的に短縮することができる。
【0050】
なお、原薬液量の3倍以上の複数倍の原薬液を一度に測定する場合は、計量用配管18の前記検出センサLS5の2の上方に、さらに図示しない検出センサを基準原薬液量に相当する容積となる距離だけ離間しながら必要な倍数分設置し、基準原薬液量の複数倍の液量を一度に測定できる構成とすればよい。計量用配管18は樹脂チューブなので、容易にその高さ(長さ)を伸ばすことができ、必要に応じた数の検出センサを容易に取り付けることができる。
【0051】
以上説明したように、この実施形態においては、計量用配管18を構成する樹脂チューブの途中の基準原薬液量を検出する位置と、当該基準原薬液量の倍数の量を検出する1又は複数位置に、それぞれ検出センサLS5,LS5の2,・・・を取り付ける構成としたので、樹脂チューブの所望の上下位置に複数の検出センサLS5,LS5の2,・・・を設置するだけで、基準原薬液量ばかりでなく、その複数倍の原薬液量も検出することができる。これによって希釈タンク13に投入する原薬液量が基準原薬液量の2倍3倍・・であったとしても、1回ずつ計量して1回ずつ希釈タンクに投入する必要が無く、一度に基準原薬液量の2倍3倍・・の原薬液量を計測して1回の操作で希釈タンクに投入できるので、薬液の生成工程が簡素化され、生成時間の短縮を図ることができる。
【0052】
〔第3実施形態〕
図6は本発明の第3実施形態にかかる薬液生成装置1-3を示す概略構成図である。同図に示す薬液生成装置1-3において、前記
図1に示す薬液生成装置1-1と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記
図1~
図4に示す実施形態と同じである。
【0053】
同図に示す薬液生成装置1-3において、
図1に示す薬液生成装置1-1と相違する点は、希釈タンク13に2種類の原薬液Q1,Q2を投入・混合して希釈するため、前記第1実施形態に係る原薬液Q1を基準原薬液量だけ供給する手段であるバッファタンク11、配管16、原薬液供給配管17、計量用配管18、各種開閉バルブV11~V15、検出センサ(液面レベルセンサ)LS1~LS7と同等の、原薬液Q2を基準原薬液量だけ供給する手段であるバッファタンク11´、配管16´、原薬液供給配管17´、計量用配管18´、各種開閉バルブV11´~V15´、検出センサ(液面レベルセンサ)LS1´~LS7´を設置した点である。この例の場合、原薬液Q1として例えばNH
4OH溶液を使用し、原薬液Q2として例えばH
2O
2溶液やHF溶液を使用する。また各原薬液Q1,Q2の希釈率等を勘案し、原薬液供給配管17及び計量用配管18と、原薬液供給配管17´及び計量用配管18´の内径を異ならせても良い。
【0054】
本実施形態のように、原薬液供給配管17,17´及び計量用配管18,18´の組を複数組設置し、開閉バルブV11~V15,V11´~V15´と検出センサLS1~LS7,LS1´~LS7´もそれぞれの組毎に設置し、それぞれの原薬液供給配管17,17´から異なる種類の原薬液Q1,Q2を供給すれば、容易に複数種類の原薬液Q1,Q2の液量をそれぞれ高精度に測定でき、容易に複数種類の原薬液Q1,Q2を精度よく混合希釈した薬液を生成することができる。
【0055】
なお、3種類以上の原薬液を使用する場合は、さらに上記基準原薬液量の原薬液を供給する手段を3組以上設置する。また場合によっては、同一種類の原薬液を両バッファタンク11、11´から供給する構成としても良い。
【0056】
また原薬液を基準原薬液量の複数倍供給したい場合は、前記第2実施形態で用いた構成をこの第3実施形態に適宜適用してもよい。
【0057】
〔第4実施形態〕
図7は本発明の第4実施形態にかかる薬液生成装置1-4を示す概略構成図である。同図に示す薬液生成装置1-4において、前記
図1に示す薬液生成装置1-1と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記
図1~
図4に示す実施形態と同じである。
【0058】
同図に示す薬液生成装置1-4において、
図1に示す薬液生成装置1-1と相違する点は、バッファタンク11に接続した原薬液供給配管17から別の原薬液供給配管17-2を分岐し、当該原薬液供給配管17-2に、
図1で説明した開閉バルブV14、計量用配管18、検出センサLS5、LS6、LS7、開閉バルブV15などと同等の、開閉バルブV14-2、計量用配管18-2、検出センサLS5-2、LS6-2、LS7-2、開閉バルブV15-2などを設置した点である。このように構成することで、基準原薬液量の2倍3倍・・の同一種類の原薬液を一度に計測して1回の操作で希釈タンク13に投入することができる。この実施形態の場合も、上記第2,第3実施形態と組み合わせて構成することができる。
【0059】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では、検出センサLS5~LS7として光電センサを用いたが、静電センサなどの他の各種液面レベルセンサを用いても良い。他の液面レベルセンサLS1~LS4,LS8~LS16についても、静電センサやその他の各種種類の液面レベルセンサを用いてもよい。また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1 薬液生成装置
13 希釈タンク
17 原薬液供給配管
18 計量用配管
19 希釈液供給配管
50 制御手段
V15 開閉バルブ
HEX5 排気ダクト
LS5~LS7 検出センサ(液面レベルセンサ)
Q0 希釈液
Q1 原薬液