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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048716
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】繰り出し装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/34 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
A47K10/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158184
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児島 陵馬
(72)【発明者】
【氏名】原田 貴之
(57)【要約】
【課題】ペーパーホルダーに繰り出し装置を後付けする。
【解決手段】繰り出し装置1は、ペーパーロールからトイレットペーパーを繰り出す。ペーパーロールは、トイレットペーパーが複数回巻かれて形成されており、ペーパーホルダーに保持されている。繰り出し装置1は、回転機構12と、取付機構17と、を備える。回転機構12は、ペーパーホルダーに保持されているペーパーロールを回転させる。取付機構17は、ペーパーホルダー及びペーパーホルダーが取り付けられる取付面の少なくとも一方に繰り出し装置1を取り付ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレットペーパーが複数回巻かれて形成されておりペーパーホルダーに保持されているペーパーロールから前記トイレットペーパーを繰り出す繰り出し装置であって、
前記ペーパーホルダーに保持されている前記ペーパーロールを回転させる回転機構と、
前記ペーパーホルダー及び前記ペーパーホルダーが取り付けられる取付面の少なくとも一方に前記繰り出し装置を取り付けるための取付機構と、を備える、
繰り出し装置。
【請求項2】
前記ペーパーロールの形状の変化に伴って変形する変形機構を更に備える、
請求項1に記載の繰り出し装置。
【請求項3】
前記トイレットペーパーのうち前記ペーパーロールの先端部分を前記ペーパーロールの残り部分から剥離する剥離機構を更に備える、
請求項2に記載の繰り出し装置。
【請求項4】
前記剥離機構は、前記先端部分と前記残り部分との間に風を送り込む送風機構を含む、
請求項3に記載の繰り出し装置。
【請求項5】
前記回転機構は、
前記ペーパーロールに接触して前記ペーパーロールを回転させるローラと、
前記ローラを駆動するモータと、を含む、
請求項3又は4に記載の繰り出し装置。
【請求項6】
前記ローラ及び前記剥離機構を前記ペーパーロールに押し当てる押し当て機構を更に備える、
請求項5に記載の繰り出し装置。
【請求項7】
前記押し当て機構は、ばね構造を有する、
請求項6に記載の繰り出し装置。
【請求項8】
前記変形機構は、前記ペーパーロールの回転方向に沿って配置されている複数の可動片を含み、
前記ばね構造は、前記複数の可動片のうち隣接する2つの可動片の間に配置されている少なくとも1つのばね体を有する、
請求項7に記載の繰り出し装置。
【請求項9】
前記ペーパーロールから前記トイレットペーパーが繰り出されたことを検出する検出部を更に備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の繰り出し装置。
【請求項10】
前記検出部は、超音波センサを含む、
請求項9に記載の繰り出し装置。
【請求項11】
前記検出部は、光電センサを含む、
請求項9又は10に記載の繰り出し装置。
【請求項12】
前記検出部は、前記検出部から前記トイレットペーパーまでの距離を検出し、
前記検出部の検出結果に基づいて前記トイレットペーパーの残量を予測する予測部と、
前記予測部の予測結果に基づいて前記ペーパーロールの交換時期が近づいている旨の通知を行う通知部と、を更に備える、
請求項10又は11に記載の繰り出し装置。
【請求項13】
前記通知部は、通信端末に前記通知を行う、
請求項12に記載の繰り出し装置。
【請求項14】
前記検出部は、前記ペーパーロールの回転を検出するロータリエンコーダを含む、
請求項9~13のいずれか1項に記載の繰り出し装置。
【請求項15】
前記ペーパーロールから前記トイレットペーパーを繰り出す繰り出し機能を有効にするか否かを切り替える切替部を更に備える、
請求項1~14のいずれか1項に記載の繰り出し装置。
【請求項16】
前記切替部は、赤外線センサを含み、前記赤外線センサの検出結果に応じて前記繰り出し機能を有効にするか否かを切り替える、
請求項15に記載の繰り出し装置。
【請求項17】
前記繰り出し機能が有効であるか否かを提示する提示部を更に備える、
請求項15又は16に記載の繰り出し装置。
【請求項18】
前記提示部は、前記繰り出し機能が有効であるか否かを表示する発光部を含む、
請求項17に記載の繰り出し装置。
【請求項19】
前記取付機構は、前記繰り出し装置の位置を、前記ペーパーホルダーが取り付けられている取付面に平行な方向であって、前記ペーパーロールの回転軸に平行な第1方向、及び前記取付面に平行な方向であって、前記第1方向と直交する第2方向に調整可能である、
請求項1~18のいずれか1項に記載の繰り出し装置。
【請求項20】
前記取付機構は、前記ペーパーホルダーが取り付けられている取付面に対して、前記ペーパーホルダーから離した状態で前記繰り出し装置を取付可能である、
請求項1~18のいずれか1項に記載の繰り出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に繰り出し装置に関し、より詳細には、トイレットペーパーを繰り出す繰り出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トイレットペーパーの手がかり部分を自動的に繰り出すトイレットペーパー繰り出し機が記載されている。特許文献1に記載のトイレットペーパー繰り出し機は、トイレットペーパーロールを回転させるトイレットペーパーロール回転タイヤと、トイレットペーパーロール回転タイヤを駆動するモータと、を備える。特許文献1に記載のトイレットペーパー繰り出し機は、トイレットペーパー保持具の中に収められている。
【0003】
特許文献1に記載のトイレットペーパー繰り出し機では、トイレットペーパーロール回転タイヤを回転させることで、トイレットペーパーの手がかり部分を自動的に繰り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-178878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の繰り出し装置(トイレットペーパー繰り出し機)は、上述したように、ペーパーホルダー(トイレットペーパー保持具)の中に収められている。このため、特許文献1に記載の繰り出し装置を用いる場合、既存のペーパーホルダーと置き換えることになり、既存のペーパーホルダーを利用して繰り出し装置を後付けすることができなかった。
【0006】
本開示の目的は、ペーパーホルダーに後付けすることが可能な繰り出し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る繰り出し装置は、ペーパーロールからトイレットペーパーを繰り出す繰り出し装置である。前記ペーパーロールは、前記トイレットペーパーが複数回巻かれて形成されており、ペーパーホルダーに保持されている。前記繰り出し装置は、回転機構と、取付機構と、を備える。前記回転機構は、前記ペーパーホルダーに保持されている前記ペーパーロールを回転させる。前記取付機構は、前記ペーパーホルダー及び前記ペーパーホルダーが取り付けられる取付面の少なくとも一方に前記繰り出し装置を取り付けるための機構である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る繰り出し装置によれば、ペーパーホルダーに繰り出し装置を後付けすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る繰り出し装置の斜視図である。
図2図2は、同上の繰り出し装置の施工例を示す斜視図である。
図3図3は、同上の繰り出し装置の底面図である。
図4図4は、同上の繰り出し装置のブロック図である。
図5図5は、同上の繰り出し装置に関し、トイレットペーパーの残量が多い場合の側面図である。
図6図6は、同上の繰り出し装置に関し、トイレットペーパーの残量が少ない場合の側面図である。
図7図7は、同上の繰り出し装置の全体動作を示すフローチャートである。
図8図8は、同上の繰り出し装置の全体動作を示すタイムチャートである。
図9図9は、同上の繰り出し装置の表示処理を示すフローチャートである。
図10図10は、同上の繰り出し装置の繰り出し処理を示すフローチャートである。
図11図11は、同上の繰り出し装置の通知処理を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態の変形例1に係る繰り出し装置の斜視図である。
図13図13は、実施形態の変形例2に係る繰り出し装置の斜視図である。
図14図14は、実施形態の変形例3に係る繰り出し装置の施工例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
以下、実施形態に係る繰り出し装置について、図面を参照して説明する。下記の実施形態において説明する図1図3図5図6及び図12図14の各々は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(1)概要
まず、本実施形態に係る繰り出し装置1の概要について説明する。
【0012】
本実施形態に係る繰り出し装置1は、図2に示すように、ペーパーホルダー2と共に用いられ、ペーパーホルダー2に保持されているペーパーロール3からトイレットペーパー31を自動的に繰り出すための装置である。ペーパーロール3は、トイレットペーパー31が複数回巻かれたロール状に形成されており、回転可能な状態でペーパーホルダー2に保持されている。
【0013】
ところで、特許文献1に記載のトイレットペーパー繰り出し機は、上述したように、トイレットペーパー保持具の中に収められる構造であるため、既設のペーパーホルダーに後付けすることができなかった。本実施形態に係る繰り出し装置1は、既設のペーパーホルダー2に対して後付け可能なように、以下の構成を採用している。
【0014】
すなわち、本実施形態に係る繰り出し装置1は、ペーパーロール3からトイレットペーパー31を繰り出す繰り出し装置である。ペーパーロール3は、トイレットペーパー31が複数回巻かれて形成されており、ペーパーホルダー2に保持されている。繰り出し装置1は、回転機構12(図1参照)と、取付機構17と、を備える。回転機構12は、ペーパーホルダー2に保持されているペーパーロール3を回転させる。取付機構17は、ペーパーホルダー2及びペーパーホルダー2が取り付けられる取付面100の少なくとも一方に繰り出し装置1を取り付けるための機構である。取付面100は、例えば、施設に設けられているトイレの壁面である。施設は、例えば、工場、商業施設、アミューズメント施設、病院、事務所、ビル等の非住宅、又は、戸建て住宅、集合住宅(例えば、マンション)の各住戸等の住宅である。本実施形態では一例として、施設がビル(オフィスビル)であるとして説明する。
【0015】
本実施形態に係る繰り出し装置1は、上述したように、取付機構17を備えている。このため、例えば、ペーパーホルダー2が既設のペーパーホルダーであっても、取付機構17を用いてペーパーホルダー2及び取付面100の少なくとも一方に繰り出し装置1を取り付けることが可能となる。すなわち、本実施形態に係る繰り出し装置1によれば、ペーパーホルダー2に繰り出し装置1を後付けすることが可能となる。
【0016】
(2)詳細
次に、本実施形態に係る繰り出し装置1及びペーパーホルダー2の詳細について、図1図6を参照して説明する。
【0017】
以下の説明では特に断りのない限り、図1図3図5及び図6に示す矢印により、繰り出し装置1及びペーパーホルダー2の各々の上下、左右、前後の各方向を規定する。すなわち、繰り出し装置1及びペーパーホルダー2が取付面100に取り付けられた状態を正面から見て、鉛直方向(上下方向)を上下方向とし、左右方向を左右方向とし、取付面100の法線方向を前後方向(手前が前側)とする。ただし、これらの方向は繰り出し装置1及びペーパーホルダー2の使用方向を規定する趣旨ではない。また、図1図3図5及び図6に示す矢印は、単に説明を補助する目的で記載しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0018】
(2.1)繰り出し装置
本実施形態に係る繰り出し装置1は、上述したように、ペーパーロール3からトイレットペーパー31を繰り出すための装置である。本実施形態に係る繰り出し装置1は、図1図4に示すように、制御部11と、回転機構12と、検出部13と、切替部14と、提示部15と、通信部16と、電源部10と、を備える。また、本実施形態に係る繰り出し装置1は、取付機構17と、変形機構18と、剥離機構19と、押し当て機構20と、を更に備える。ただし、制御部11、検出部13、切替部14、提示部15、通信部16、変形機構18、剥離機構19及び押し当て機構20は、繰り出し装置1に必須の構成ではない。制御部11、検出部13、切替部14、提示部15、通信部16、変形機構18、剥離機構19及び押し当て機構20の全部又は一部は、繰り出し装置1の構成要素に含まれなくてもよい。すなわち、繰り出し装置1は、最小の構成要素として、回転機構12と、取付機構17と、を備えていればよい。
【0019】
(2.1.1)制御部
制御部11は、例えば、後述の電源部10のケース101内に設けられている。制御部11は、繰り出し装置1の各部を制御する。制御部11は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、制御部11(後述の予測部111及び通知部112を含む)として機能する。プログラムは、ここでは制御部11のメモリに予め記録されているが、例えば、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよいし、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0020】
制御部11は、図4に示すように、予測部111と、通知部112と、を含む。
【0021】
予測部111は、検出部13の検出結果に基づいてトイレットペーパー31(図2参照)の残量を予測する。ここで、検出部13は、後述するように、第1センサ131を含む。第1センサ131は、例えば、超音波センサである。したがって、検出部13は、超音波センサからなる第1センサ131によって、検出部13からトイレットペーパー31までの距離L1(図5及び図6参照)を検出することが可能となる。そして、予測部111は、検出部13の検出結果である距離L1に基づいて、トイレットペーパー31の残量を予測する。より詳細には、予測部111は、例えば、距離L1が所定の基準値α1以上の場合にはトイレットペーパー31の残量が多いと予測し、距離L1が基準値α1未満の場合にはトイレットペーパー31の残量が少ないと予測する。
【0022】
通知部112は、予測部111の予測結果に基づいて、ペーパーロール3の交換時期が近づいている旨の通知を行う。より詳細には、通知部112は、トイレットペーパー31の残量が少ないと予測部111が予測した場合には、ペーパーロール3の交換時期が近づいている旨の通知を行う。一方、通知部112は、トイレットペーパー31の残量が多いと予測部111が予測した場合には、ペーパーロール3の交換時期が近づいている旨の通知を行わない。本実施形態では、通知部112は、通信部16を介して、ペーパーロール3の交換時期が近づいている旨の通知を後述の通信端末4に直接又は間接的に行うことが可能である。すなわち、通知部112は、通信端末4に上記通知を行う。
【0023】
(2.1.2)回転機構
回転機構12は、ペーパーホルダー2に保持されているペーパーロール3を回転させるための機構である。回転機構12は、図1及び図4に示すように、複数(図示例では3つ)のローラ121と、複数(図示例では3つ)のモータ122と、を含む。本実施形態では、複数のローラ121と複数のモータ122とは、一対一に対応している。また、複数のローラ121の個数と複数のモータ122の個数とが同じである。
【0024】
複数のローラ121の各々は、図1に示すように、左右方向に長い円柱状に形成されており、回転軸の方向が左右方向となるように配置されている。複数のローラ121は、後述の押し当て機構20によってペーパーロール3に押し当てられ(接触して)、ペーパーロール3を回転させる。言い換えると、ペーパーロール3は、ペーパーロール3に接触している複数のローラ121が回転することによって、複数のローラ121の回転方向とは逆方向に回転する。
【0025】
複数のモータ122の各々は、複数のローラ121のうち対応するローラ121の一端部(図1の右端部)に配置されている。複数のモータ122の各々は、複数のローラ121のうち対応するローラ121を駆動する。複数のモータ122の各々は、制御部11からの制御信号に従って所定方向に回転する。所定方向は、ペーパーロール3からトイレットペーパー31が繰り出される方向にペーパーロール3を回転させる方向である。
【0026】
複数のローラ121の各々は、後述の変形機構18に含まれている複数の可動片181~184のうち隣接する2つの可動片の間に配置されている。また同様に、複数のモータ122の各々は、複数の可動片181~184のうち隣接する2つの可動片の間に配置されている。
【0027】
(2.1.3)検出部
検出部13は、図2に示すように、ペーパーロール3からトイレットペーパー31が繰り出されたことを検出する。検出部13は、図4に示すように、第1センサ131と、エンコーダ132と、を含む。
【0028】
第1センサ131は、上述したように、超音波センサである。すなわち、検出部13は、超音波センサを含む。第1センサ131が超音波センサである場合、検出部13は、ペーパーロール3からトイレットペーパー31が繰り出されたことを検出するだけでなく、検出部13からトイレットペーパー31までの距離L1(図5及び図6参照)を検出することも可能である。検出部13は、例えば、第1センサ131から出力された超音波がトイレットペーパー31で反射して第1センサ131に戻ってくるまでの時間に基づいて距離L1を検出(推定)する。ここで、図2図5及び図6における「a1」は、第1センサ131の検出範囲を示している。すなわち、第1センサ131は、トイレットペーパー31が検出範囲a1に含まれている場合に、トイレットペーパー31を検出する。
【0029】
エンコーダ132は、例えば、ロータリエンコーダ(以下、「ロータリエンコーダ132」ともいう)である。エンコーダ132は、ペーパーロール3の回転を検出する。すなわち、検出部13は、ペーパーロール3の回転を検出するロータリエンコーダ132を含む。検出部13は、ロータリエンコーダ132の検出結果を制御部11の予測部111に出力する。トイレットペーパー31が使用されると、ペーパーロール3が回転する。言い換えると、ペーパーロール3の回転数が多くなると、トイレットペーパー31の残量が少なくなる。したがって、予測部111は、ロータリエンコーダ132の検出結果であるペーパーロール3の回転数に基づいて、トイレットペーパー31の残量を予測することが可能となる。
【0030】
(2.1.4)切替部
図4に示す切替部14は、ペーパーロール3(図2参照)からトイレットペーパー31(図2参照)を繰り出す繰り出し機能を有効にするか否かを切り替える。切替部14によって繰り出し機能が有効である場合、図2に示すように、ペーパーロール3からトイレットペーパー31を自動的に繰り出すことが可能である。一方、切替部14によって繰り出し機能が無効である場合、ペーパーロール3からトイレットペーパー31が自動的に繰り出されない。
【0031】
切替部14は、図4に示すように、第2センサ141を含む。第2センサ141は、例えば、赤外線センサである。すなわち、切替部14は、赤外線センサを含む。そして、切替部14は、第2センサ141(赤外線センサ)の検出結果に応じて繰り出し機能を有効にするか否かを切り替える。より詳細には、切替部14は、繰り出し機能が有効である場合に、第2センサ141に対して作業者(例えば、繰り出し装置1の設置者)が手をかざすことで第2センサ141が赤外線を検出すると、繰り出し機能を有効から無効に切り替える。また、切替部14は、繰り出し機能が無効である場合に、第2センサ141に対して作業者が手をかざすことで第2センサ141が赤外線を検出すると、繰り出し機能を無効から有効に切り替える。すなわち、本実施形態に係る繰り出し装置1によれば、第2センサ141(赤外線センサ)に対して手をかざすだけで、繰り出し機能を有効にするか否かを切り替えることが可能となる。ここで、図2における「a2」は、第2センサ141の検出範囲を示している。すなわち、第2センサ141は、検出対象(本実施形態では、作業者の手)が検出範囲a2に含まれている場合に、検出対象を検出する。
【0032】
(2.1.5)提示部
提示部15は、上述の繰り出し機能が有効であるか否かを提示する。提示部15は、図4に示すように、発光部151を含む。発光部151は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を含む。発光部151は、LEDを点灯又は消灯させることによって、上述の繰り出し機能が有効であるか否かを表示する。より詳細には、発光部151は、上述の繰り出し機能が有効である場合にLEDを点灯させ、上述の繰り出し機能が無効である場合にLEDを消灯させる。
【0033】
(2.1.6)通信部
通信部16は、例えば、後述の電源部10のケース101内に設けられている。通信部16は、図4に示すように、サーバ5との間で無線通信を行う通信インターフェースである。通信部16は、アンテナと、通信回路と、を含む。通信部16は、サーバ5との無線通信により、通知部112による上記通知を含む通信信号をサーバ5に送信する。ここで、通信信号には、繰り出し装置1に個別に割り当てられた識別情報(例えば、アドレス)が含まれており、サーバ5は、この識別情報によって上記通知の送信元である繰り出し装置1を識別することが可能となる。
【0034】
サーバ5は、図4に示すように、通信端末4との間で無線通信を行う。通信端末4は、例えば、施設を管理する管理業者が携帯するスマートフォンである。サーバ5は、通信端末4との無線通信により、いずれかの繰り出し装置1から取得した上記通知、及び上記通知の送信元である繰り出し装置1の識別情報を含む通信信号を通信端末4に送信する。通信端末4では、上記通知に基づく情報を表示部(図示せず)に表示させることで、繰り出し装置1が設置されているトイレにおいてペーパーロール3の交換時期が近づいていることを管理業者に知らせることが可能となる。
【0035】
本実施形態に係る繰り出し装置1では、通信部16とサーバ5とが無線通信を行い、かつサーバ5と通信端末4とが無線通信を行うことによって、通知部112は、通信端末4に上記通知を行うことが可能となる。
【0036】
(2.1.7)取付機構
取付機構17は、図2に示すように、ペーパーホルダー2及びペーパーホルダー2が取り付けられる取付面100の少なくとも一方に繰り出し装置1を取り付けるための機構である。本実施形態では、取付機構17は、ペーパーホルダー2及び取付面100の両方に繰り出し装置1を取り付ける。
【0037】
取付機構17は、図1図3に示すように、一対の腕片171と、一対の支持片172と、基台173と、一対の取付片174と、を含む。一対の腕片171、一対の支持片172、基台173及び一対の取付片174の各々は、例えば、金属により形成されている。
【0038】
一対の腕片171の各々は、図1に示すように、主片1711と、引掛片1712と、を有する。主片1711は、左右方向からの平面視において上下方向に長い矩形の板状に形成されている。引掛片1712は、主片1711の先端部(上端部)において一体に形成されており、主片1711の厚さ方向(右方向又は左方向)に折り曲げられている。したがって、一対の腕片171の各々は、前後方向からの平面視においてL字状に形成されている。
【0039】
主片1711は、第1調整孔1713を有する。第1調整孔1713は、主片1711の厚さ方向において主片1711を貫通している。第1調整孔1713は、上下方向に長い長孔である。第1調整孔1713は、主片1711の長手方向(上下方向)の一端部(下端部)に形成されている。
【0040】
一対の腕片171の各々は、第1調整孔1713に通された第1取付ねじB1を、一対の支持片172のうち対応する支持片172の第1片1721に設けられたねじ孔(図示せず)に挿入することによって、対応する支持片172にねじ止めされる。また、一対の腕片171の各々は、一対の腕片171の各々に取り付けられた両面テープC1(図2参照)によって、ペーパーホルダー2の一対のアーム21のうち対応するアーム21に取り付けられる。ここで、第1調整孔1713は、上述したように、上下方向に長い長孔であるため、基台173に対する一対の腕片171の各々の位置を上下方向に調整することが可能となる。すなわち、本実施形態に係る繰り出し装置1では、取付機構17は、繰り出し装置1の位置を、ペーパーホルダー2が取り付けられている取付面100に平行な方向であって、ペーパーロール3の回転軸P1(図2参照)に平行な第1方向と直交する第2方向に調整可能である。本実施形態では、第1方向は左右方向であり、第2方向は上下方向である。本開示でいう「直交」は、二者間の角度が厳密に90度である状態だけでなく、二者間の角度が、実質的に効果が得られる公差(例えば、±5度)の範囲内である状態も含む意味である。
【0041】
一対の支持片172の各々は、図1に示すように、第1片1721と、第2片1722と、を有する。第1片1721は、左右方向からの平面視において矩形状に形成されている。第2片1722は、図3に示すように、上下方向からの平面視において矩形状に形成されている。第2片1722は、第1片1721の上下方向の一端部(下端部)において第1片1721と一体に形成されており、第1片1721の厚さ方向(左方向又は右方向)に折り曲げられている。したがって、一対の支持片172の各々は、前後方向からの平面視においてL字状に形成されている。
【0042】
第1片1721は、上述の第1取付ねじB1がねじ込まれるねじ孔(図示せず)を有する。第2片1722は、1つの第2調整孔1723を有する。第2調整孔1723は、第2片1722の厚さ方向において第2片1722を貫通している。第2調整孔1723は、左右方向に長い長孔である。
【0043】
一対の支持片172の各々は、第2調整孔1723に通された第2取付ねじB2を、基台173に設けられたねじ孔(図示せず)に挿入することによって、基台173にねじ止めされる。ここで、第2調整孔1723は、上述したように、左右方向に長い長孔であるため、基台173に対する一対の支持片172の各々の位置を左右方向に調整することが可能となる。すなわち、本実施形態に係る繰り出し装置1では、取付機構17は、繰り出し装置1の位置を、ペーパーホルダー2が取り付けられている取付面100に平行な方向であって、第1方向に調整可能である。
【0044】
基台173は、図1及び図3に示すように、上下方向からの平面視において左右方向に長い矩形の平板状に形成されている。基台173は、一対の支持片172の各々の第2片1722上に載せ置かれた状態で、基台173に設けられた2つのねじ孔に2つの第2取付ねじB2を挿入することによって、一対の支持片172にねじ止めされる。
【0045】
基台173の前端面(先端面)には、上述の第1センサ131が取り付けられている(図2及び図3参照)。また、基台173の後端部には、一対の取付片174が一体に形成されている。一対の取付片174の各々における取付面100との対向面(後面)には、両面テープC1が取り付けられており、この両面テープC1によって取付機構17を取付面100に取り付けることが可能となる。
【0046】
上述したように、本実施形態に係る繰り出し装置1は、両面テープC1が取り付けられた一対の腕片171によってペーパーホルダー2に取り付けられ、両面テープC1が取り付けられた一対の取付片174によって取付面100に取り付けられる。すなわち、本実施形態に係る繰り出し装置1は、取付機構17によって、ペーパーホルダー2及びペーパーホルダー2が取り付けられる取付面100の両方に取り付けられる。
【0047】
(2.1.8)変形機構
変形機構(キャタピラ構造)18は、ペーパーロール3の形状の変化に伴って変形する。すなわち、本実施形態に係る繰り出し装置1は、ペーパーロール3の形状の変化に伴って変形する変形機構18を更に備える。変形機構18は、図1及び図2に示すように、複数(図示例では4つ)の可動片181~184を含む。複数の可動片181~184は、ペーパーロール3の回転方向A1(図2参照)に沿って配置されている。より詳細には、複数の可動片181~184は、変形機構18の基端側(後述の回転軸185による支持側)から先端側に向かって、可動片181、可動片182、可動片183、可動片184の順に並んでいる。
【0048】
複数の可動片181~184の各々は、所定の曲率中心を中心とする所定半径の曲面状に形成されている。可動片181は、例えば、上下方向からの平面視において、前後方向に長い矩形状である。可動片182~184の各々は、上下方向からの平面視において、左右方向に長い矩形状である。
【0049】
可動片181は、図1に示すように、回転軸185を有する。可動片181は、可動軸185によって取付機構17の一対の取付片174に取り付けられている。可動片181は、回転軸185を回転中心として、一対の取付片174に対して回転可能である。すなわち、可動片181は、回転可能な状態で一対の取付片174に保持されている。
【0050】
可動片182は、回転軸(図示せず)により可動片181に連結されている。可動片182は、回転軸を回転中心として、可動片181に対して回転可能である。すなわち、可動片182は、回転可能な状態で可動片181に保持されている。
【0051】
可動片183は、回転軸(図示せず)により可動片182に連結されている。可動片183は、回転軸を回転中心として、可動片182に対して回転可能である。すなわち、可動片183は、回転可能な状態で可動片182に保持されている。
【0052】
可動片184は、回転軸(図示せず)により可動片183に連結されている。可動片184は、回転軸を回転中心として、可動片183に対して回転可能である。すなわち、可動片184は、回転可能な状態で可動片183に保持されている。さらに、可動片184では、図5及び図6に示すように、ペーパーロール3の表面に接触する先端部分1841がテーパ状に形成されている。先端部分1841は、先端に近づくほど可動片184の厚みが薄くなるように傾斜している。先端部分1841は、後述の剥離機構19として機能する。
【0053】
(2.1.9)剥離機構
剥離機構19は、トイレットペーパー31のうちペーパーロール3の先端部分311(図2参照)をペーパーロール3の残り部分312(図2参照)から剥離する。本実施形態では、上述の変形機構18に含まれている複数の可動片181~184のうち先端に位置している可動片184により剥離機構19が構成されている。
【0054】
上述したように、可動片184の先端部分1841はテーパ状に形成されており、先端部分1841がペーパーロール3の先端部分311とペーパーロール3の残り部分312との間に差し込まれることにより、ペーパーロール3の先端部分311をペーパーロール3の残り部分312から剥離することが可能となる。
【0055】
(2.1.10)押し付け機構
押し当て機構20は、上述のローラ121及び剥離機構19をペーパーロール3に押し当てるための機構である。
【0056】
押し当て機構20は、図1に示すように、複数(図示例では2つ)の第1ばね体201と、複数(図示例では6つ)の第2ばね体202と、を有する。複数の第1ばね体201及び複数の第2ばね体202の各々は、例えば、ねじりばねである。すなわち、押し当て機構20は、複数の第1ばね体201及び第2ばね体202を含むばね構造(以下、「ばね構造20」ともいう)を有する。
【0057】
複数の第1ばね体201は、可動片181の回転軸185に取り付けられている。複数の第1ばね体201は、ペーパーホルダー2に保持されているペーパーロール3に近づくように可動片181を回転させる向きのばね力(弾性力)を可動片181に与える。すなわち、可動片181は、複数の第1ばね体201からのばね力によって、ペーパーロール3に近づく向きの回転力が与えられる。
【0058】
複数の第2ばね体202は、左右方向において横並びに配置されている各ローラ121及び各モータ122の両側に配置されている。すなわち、複数の第2ばね体202は、複数の可動片181~184のうち隣接する2つの可動片の間に配置されている。本実施形態では、1つのローラ121及び1つのモータ122に対して、2つの第2ばね体202が設けられている。例えば、可動片181と可動片182との間に配置されている2つの第2ばね体202は、ペーパーホルダー2に保持されているペーパーロール3に近づくように可動片182を回転させる向きのばね力を可動片182に与える。すなわち、可動片182は、2つの第2ばね体202からのばね力によって、ペーパーロール3に近づく向きの回転力が与えられる。また、可動片182と可動片183との間に配置されている2つの第2ばね体202は、ペーパーロール3に近づくように可動片183を回転させる向きのばね力を可動片183に与える。すなわち、可動片183は、2つの第2ばね体202からのばね力によって、ペーパーロール3に近づく向きの回転力が与えられる。また、可動片183と可動片184との間に配置されている2つの第2ばね体202は、ペーパーロール3に近づくように可動片184を回転させる向きのばね力を可動片184に与える。すなわち、可動片184は、2つの第2ばね体202からのばね力によって、ペーパーロール3に近づく向きの回転力が与えられる。
【0059】
(2.1.11)電源部
電源部10は、例えば、1乃至複数の電池(図示せず)と、1乃至複数の電池を収納するケース101と、を有する。1乃至複数の電池は、一次電池であってもよいし、二次電池であってもよい。また、電源部10は、電源スイッチ(図示せず)を更に有する。
【0060】
電源部10は、図2及び図3に示すように、上述の取付機構17の基台173の一面(下面)における中央部に取り付けられている。電源部10は、電源スイッチがONになると、上述の制御部11、回転機構12、検出部13、切替部14、提示部15及び通信部16に電力を供給する。
【0061】
(2.2)ペーパーホルダー
ペーパーホルダー2は、ペーパーロール3を保持するための装置である。ペーパーホルダー2は、ペーパーロール3が回転可能な状態でペーパーロール3を保持する。ペーパーホルダー2は、図2図5及び図6に示すように、適宜の取付手段によって取付面100に取り付けられる。取付手段は、例えば、取付ねじ、両面テープ、マグネット及びマジックテープ(登録商標)のうちの少なくとも1つである。
【0062】
ペーパーホルダー2は、一対のアーム21(図2図5及び図6では1つのみ図示)と、カバー22と、を備える。一対のアーム21及びカバー22は、例えば、合成樹脂により形成されている。
【0063】
(2.2.1)アーム
一対のアーム21の各々は、アーム本体211と、保持体212と、を有する。アーム本体211と保持体212とは一体に形成されている。
【0064】
アーム本体211は、上下方向に長い板状の第1片2111と、前後方向に長い板状の第2片2112及び第3片2113とで、左右方向からの平面視においてU字状に形成されている。第2片2112は、第1片2111の一端(上端)から前方に突出している。第3片2113は、第1片2111の他端(下端)から前方に突出している。本実施形態では、上述の取付機構17の一対の腕片171にそれぞれ取り付けられた一対の両面テープC1(図2参照)の各々が、一対のアーム21のうち対応するアーム21の第3片2113に取り付けられることによって、繰り出し装置1がペーパーホルダー2に取り付けられる。
【0065】
保持体212は、上述のアーム本体211の第3片2113の先端においてアーム本体211と一体に形成されている。保持体212は、円板状に形成されている。保持体212は、軸部2121(図14参照)を有する。軸部2121は、保持体212における左右方向の内面(ペーパーロール3側の表面)からペーパーロール3側に突出している。本実施形態では一例として、軸部2121は、角柱状に形成されているが、円柱状に形成されていてもよい。
【0066】
このペーパーホルダー2では、ペーパーロール3の中心部の空洞(図示せず)に、一対の保持体212が有する一対の軸部2121を挿入することによって、ペーパーロール3がペーパーホルダー2に保持される。
【0067】
(2.2.2)カバー
カバー22は、平板部221(図14参照)と、曲面部222と、を有する。平板部221と曲面部222とは一体に形成されている。
【0068】
カバー22は、第1位置と第2位置との間で移動可能(回転可能)な状態で、一対のアーム21に取り付けられている。第1位置は、図2に示すように、カバー22がペーパーロール3の上部を覆う位置である。第2位置は、カバー22がペーパーロール3の上部を覆わない位置であって、平板部221が取付面100と略平行になるようにカバー22を回転させた位置である。
【0069】
(3)動作
(3.1)変形機構の動作
まず、変形機構18の動作について、図5及び図6を参照して説明する。
【0070】
ペーパーホルダー2に保持されているトイレットペーパー31の残量が多い場合、図5に示すように、押し当て機構20(図1参照)によって、変形機構18を構成する複数の可動片181~184のすべてがペーパーロール3の表面(残り部分312)に接触するように変形している。
【0071】
図5の状態からトイレットペーパー31の残量が少なくなるにつれて、変形機構18は、トイレットペーパー31の残量に応じて変形する。このとき、複数の可動片181~184は、押し当て機構20によって、ペーパーロール3の表面(残り部分312)に接触している。
【0072】
ペーパーホルダー2に保持されているトイレットペーパー31の残量が少ない場合、図6に示すように、押し当て機構20によって、複数の可動片181~184のうち可動片182~184がペーパーロール3の表面(残り部分312)に接触するように変形している。
【0073】
このように、変形機構18は、ペーパーホルダー2に保持されているペーパーロール3の形状の変化に伴って変形する。これにより、ペーパーロール3の形状の変化に変形機構18を追従させることが可能となる。
【0074】
(3.2)全体動作
次に、繰り出し装置1の全体動作について、図7を参照して説明する。
【0075】
電源スイッチ(図示せず)によって電源がONになって繰り出し装置1の各部(制御部11、回転機構12、検出部13、切替部14、提示部15及び通信部16)に電力が供給されると(S1)、繰り出し装置1は、切替部14の第2センサ141によって赤外線を検出する検出処理S2を実行する。検出処理S2が終了すると、繰り出し装置1は、提示部15の発光部151によって上述の繰り出し機能が有効であるか否かを表示する表示処理S3を実行する。
【0076】
表示処理S3が終了すると、繰り出し装置1は、ペーパーロール3からトイレットペーパー31を繰り出す繰り出し機能が有効であるか否かを判定する(S4)。繰り出し機能が有効である場合(S4;Yes)、繰り出し装置1は、ペーパーロール3からトイレットペーパー31を繰り出す繰り出し処理S5を実行する。繰り出し処理S5が終了すると、繰り出し装置1は、ペーパーロール3の交換時期が近づいている旨の通知を行う通知処理S6を実行する。通知処理S6が終了すると、繰り出し装置1は、検出処理S2へと戻る。
【0077】
一方、繰り出し機能が無効である場合(S4;No)、繰り出し装置1は、繰り出し処理S5及び通知処理S6を実行しないで、検出処理S2へと戻る。
【0078】
以下、表示処理S3、繰り出し処理S5及び通知処理S6の各処理について説明する。
【0079】
(3.3)表示処理
まず、表示処理S3について、図8及び図9を参照して説明する。
【0080】
時刻t1以前では、切替部14の第2センサ141が赤外線(検出対象)を検出していないため、繰り出し機能は無効になっている。これに伴って、提示部15は、LED(発光部151)を消灯させている。
【0081】
時刻t1のときに、第2センサ141が赤外線(検出対象)を検出すると(S31;Yes)、切替部14は、繰り出し機能を無効から有効に切り替える。これに伴って、提示部15は、LED(発光部151)を点灯させる(S32)。一方、第2センサ141が赤外線を検出していない場合には(S31;No)、繰り出し機能が無効のままであるため、提示部15は、LED(発光部151)を消灯させる(S33)。
【0082】
(3.4)繰り出し処理
次に、繰り出し処理S5について、図8及び図10を参照して説明する。
【0083】
繰り出し装置1は、検出部13のエンコーダ132の検出結果に基づいてペーパーロール3が回転しているか否かを判定する(S51)。例えば、時刻t2~時刻t3の期間では、トイレの利用者が手動にてペーパーロール3を回転させているため、繰り出し装置1は、エンコーダ132の検出結果からペーパーロール3の回転を検出する。時刻t2~時刻t3の期間では、ペーパーロール3が回転し続けているため(S52;No)、繰り出し装置1は、検出部13の第1センサ131をOFFにする状態を維持すると共に(S53)、回転機構12のモータ122を停止させる状態を維持する(S54)。すなわち、時刻t2~時刻t3の期間では、繰り出し装置1は、トイレットペーパー31を繰り出さない。
【0084】
時刻t3~時刻t4の期間では、トイレの利用者がペーパーロール3を回転させることをやめたため、ペーパーロール3の回転は停止しているが(S52;Yes)、一定時間が経過していないため(S55;No)、繰り出し装置1は、第1センサ131をOFFにする状態を維持すると共に(S53)、モータ122を停止させる状態を維持する(S54)。
【0085】
時刻t4のときに、一定時間が経過するため(S55;Yes)、繰り出し装置1は、第1センサ131をONにする(S56)。つまり、第1センサ131によるトイレットペーパー31の検出機能がONになる。その後、繰り出し装置1は、第1センサ131によってトイレットペーパー31が検出されているか否かを判定する(S57)。このとき、利用者によってトイレットペーパー31の先端部分が引きちぎられており、第1センサ131によってトイレットペーパー31が検出されていないため(S57;No)、繰り出し装置1は、モータ122を駆動する(S58)。
【0086】
時刻t4~時刻t5の期間では、モータ122が回転することによってトイレットペーパー31は繰り出されているが、第1センサ131によってトイレットペーパー31が検出されていないため(S57;No)、モータ122は回転し続ける(S58)。
【0087】
時刻t5のときに、第1センサ131によってトイレットペーパー31が検出されると(S57;Yes)、繰り出し装置1は、モータ122を停止させる(S54)。このとき、第1センサ131によるトイレットペーパー31の検出機能もOFFになる。これにより、繰り出し処理S5が終了する。
【0088】
図8の例では、時刻t6のときに、第2センサ141が赤外線を検出し、切替部14は、繰り出し機能を有効から無効に切り替える。そして、提示部15は、繰り出し機能が有効から無効に切り替えられたことに伴って、LED(発光部151)を消灯させる。
【0089】
(3.5)通知処理
次に、通知処理S6について、図11を参照して説明する。
【0090】
上述の繰り出し処理S5が実行されて、ペーパーロール3からトイレットペーパー31が繰り出された状態において、検出部13は、検出部13からトイレットペーパー31までの距離L1(図5及び図6参照)を検出(推定)する(S61)。
【0091】
繰り出し装置1は、距離L1と所定の基準値α1とを比較し、距離L1が基準値α1未満である場合(S62;Yes)、ペーパーロール3の交換時期が近づいている旨の通知を行う(S63)。一方、繰り出し装置1は、距離L1が基準値α1以上である場合(S62;No)、上記通知を行わない。
【0092】
(4)効果
実施形態に係る繰り出し装置1は、ペーパーホルダー2に繰り出し装置1を取り付けるための取付機構17を備えている。このため、例えば、ペーパーホルダー2が既設のペーパーホルダーである場合でも、取付機構17を用いてペーパーホルダー2に繰り出し装置1を取り付けることが可能となる。すなわち、実施形態に係る繰り出し装置1によれば、ペーパーホルダー2に繰り出し装置1を後付けすることが可能となる。
【0093】
また、実施形態に係る繰り出し装置1では、取付機構17は、上述したように、第1方向(左右方向)及び第2方向(上下方向)に調整可能である。これにより、ペーパーホルダー2に対する繰り出し装置1の位置を第1方向及び第2方向に調整可能となる。
【0094】
また、実施形態に係る繰り出し装置1は、ローラ121を含む回転機構12を備えている。ローラ121は、ペーパーロール3に接触してペーパーロール3を回転させる。これにより、ペーパーロール3を回転させてトイレットペーパー31を自動的に繰り出すことが可能となる。
【0095】
また、実施形態に係る繰り出し装置1は、押し当て機構20を更に備えている。これにより、ローラ121の空回りを抑制することが可能となる。
【0096】
また、実施形態に係る繰り出し装置1は、剥離機構19を更に備えている。これにより、ペーパーロール3の先端部分311をペーパーロール3の残り部分312から剥離することが可能となる。また、上述のように、押し当て機構20を備えているため、ペーパーロール3の残り部分312に剥離機構19を密着させることが可能となり、その結果、ペーパーロール3の先端部分311を精度よく剥離することが可能となる。
【0097】
また、実施形態に係る繰り出し装置1は、検出部13を更に備えている。このため、ペーパーロール3からトイレットペーパー31が繰り出されたことを検出することが可能となる。さらに、実施形態に係る繰り出し装置1では、検出部13は、超音波センサからなる第1センサ131を含む。このため、検出部13は、トイレットペーパー31までの距離L1を検出することが可能となる。
【0098】
また、実施形態に係る繰り出し装置1は、予測部111を更に備えている。このため、検出部13(第1センサ131)からトイレットペーパー31までの距離L1に基づいて、トイレットペーパー31の残量を予測することが可能となる。
【0099】
また、実施形態に係る繰り出し装置1は、通知部112を更に備えている。これにより、ペーパーロール3の交換時期が近づいている旨の通知を通信端末4に行うことが可能となる。
【0100】
また、実施形態に係る繰り出し装置1は、切替部14を更に備えている。このため、繰り出し機能を有効にするか否かを切り替えることが可能となる。さらに、実施形態に係る繰り出し装置1では、切替部14は、赤外線センサからなる第2センサ141を含む。このため、例えば、赤外線センサに対して手をかざすだけで、繰り出し機能を有効にするか否かを切り替えることが可能となる。
【0101】
また、実施形態に係る繰り出し装置1は、提示部15を更に備えている。このため、繰り出し機能が有効であるか否かを提示することが可能となる。さらに、実施形態に係る繰り出し装置1では、提示部15は、LEDからなる発光部151を含む。このため、繰り出し機能が有効であるか否かを視覚的に提示することが可能となる。
【0102】
また、実施形態に係る繰り出し装置1は、図2に示すように、ペーパーホルダー2に保持されているペーパーロール3の下方に設置されている。このため、利用者の視界に入りにくく、意匠性が低下しにくいという利点がある。
【0103】
上述の実施形態では、変形機構18を構成する可動片181~184の個数が4つであるが、可動片の個数は4つに限らず、1つ、2つ、3つ又は5つ以上であってもよい。
【0104】
(5)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0105】
(5.1)変形例1
変形例1に係る繰り出し装置1について、図12を参照して説明する。変形例1に係る繰り出し装置1では、剥離機構19が送風機構191を含んでいる点で、上述の実施形態に係る繰り出し装置1(図1参照)と相違する。なお、変形例1に係る繰り出し装置1に関し、上述の実施形態に係る繰り出し装置1と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0106】
変形例1に係る繰り出し装置1では、図12に示すように、剥離機構19は、送風機構191を含む。送風機構191は、送風機(ブロワ)1911と、エアチューブ1912と、を有する。送風機1911は、図12に示すように、取付機構17の基台173に取り付けられている。エアチューブ1912は、変形機構18を構成する複数の可動片181~184に沿って配置されている。エアチューブ1912は、送風機1911の送風口(図示せず)と、可動片184の側面に設けられた第1孔(図示せず)とを接続する。第1孔は、可動片184の先端部に設けられた複数(図示例では3つ)の第2孔1842につながっている。
【0107】
この送風機構191では、送風機1911から送り込まれた風(空気)がエアチューブ1912を通って第1孔から可動片184内に取り込まれて、複数の第2孔1842から外部に放出される。この送風機構191によれば、上述の繰り出し処理S5(図10参照)において、ペーパーロール3の先端部分311とペーパーロール3の残り部分312との間に風(空気)を送り込むことが可能となる。すなわち、剥離機構19は、ペーパーロール3の先端部分311とペーパーロール3の残り部分312との間に空気を送り込む送風機構191を含む。
【0108】
変形例1に係る繰り出し装置1では、上述したように、剥離機構19が送風機構191を含んでいる。このため、送風機構191からの風(空気)によって、ペーパーロール3の先端部分311をペーパーロール3の残り部分312から剥離することが可能となる。
【0109】
なお、変形例1に係る繰り出し装置1では、第2孔1842の個数は3つであるが、第2孔1842の個数は3つに限らず、1つ、2つ、又は4つ以上であってもよい。
【0110】
(5.2)変形例2
変形例2に係る繰り出し装置1について、図13を参照して説明する。変形例2に係る繰り出し装置1では、取付機構17の一対の腕片171にそれぞれ取り付けられた一対の吸盤175によって、ペーパーホルダー2に繰り出し装置1が取り付けられる点で、上述の実施形態に係る繰り出し装置1(図1参照)と相違する。なお、変形例2に係る繰り出し装置1に関し、上述の実施形態に係る繰り出し装置1と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0111】
変形例2に係る繰り出し装置1では、取付機構17は、一対の吸盤175を更に有する。一対の吸盤175は、図13に示すように、一対の腕片171にそれぞれ取り付けられている。
【0112】
変形例2に係る繰り出し装置1では、一対の腕片171にそれぞれ取り付けられた一対の吸盤175を、ペーパーホルダー2の一対のアーム21(図2参照)にそれぞれ吸着させることで、ペーパーホルダー2に繰り出し装置1を取り付けることが可能となる。すなわち、変形例2に係る繰り出し装置1においても、ペーパーホルダー2に繰り出し装置1を後付けすることが可能となる。
【0113】
変形例2に係る繰り出し装置1では、吸盤175によりペーパーホルダー2に取付可能であるが、例えば、両面テープ、マジックテープ又はマグネットによりペーパーホルダー2に取付可能であってもよい。
【0114】
(5.3)変形例3
変形例3に係る繰り出し装置1について、図14を参照して説明する。変形例3に係る繰り出し装置1では、ペーパーホルダー2が取り付けられている取付面100に対して、ペーパーホルダー2とは独立して繰り出し装置1を取付可能である点で、上述の実施形態に係る繰り出し装置1(図2参照)と相違する。なお、変形例3に係る繰り出し装置1に関し、上述の実施形態に係る繰り出し装置1と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0115】
変形例3に係る繰り出し装置1では、取付機構17は、図14に示すように、上述の実施形態で説明した一対の腕片171(図1参照)が省略されている。変形例3に係る繰り出し装置1では、一対の取付片174(図14では1つのみ図示)の各々における取付面100との対向面(後面)に取り付けられた両面テープC1(図1参照)によって、取付面100に繰り出し装置1を取り付けることが可能となる。すなわち、変形例3に係る繰り出し装置1によれば、取付面100に対して、取付面100に取り付けられたペーパーホルダー2とは独立して繰り出し装置1を取り付けることが可能となる。したがって、変形例3に係る繰り出し装置1では、図14に示すように、ペーパーホルダー2が取り付けられている取付面100に対して、ペーパーホルダー2から離した状態で繰り出し装置1を取付可能である。
【0116】
(5.4)その他の変形例
以下、その他の変形例を列挙する。
【0117】
本開示における繰り出し装置1は、例えば、制御部11に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における繰り出し装置1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1乃至複数の電子回路で構成される。
【0118】
上述の実施形態では、第1センサ131は超音波センサであるが、第1センサ131は、超音波センサであることに限らず、例えば、光電センサであってもよい。すなわち、検出部13は、光電センサを含んでいてもよい。この場合において、光電センサは、反射型であってもよいし、透過型であってもよい。光電センサが反射型である場合、検出部13は、光電センサから出力された光がトイレットペーパー31で反射して光電センサに入力されることをもって、トイレットペーパー31を検出する。また、光電センサが透過型である場合、検出部13は、光電センサを構成する投光部から出力された光がトイレットペーパー31に遮られて、光電センサを構成する受光部に入力されないことをもって、トイレットペーパー31を検出する。このように、検出部13からトイレットペーパー31までの距離L1を検出する必要がなければ、光電センサであっても、ペーパーロール3からトイレットペーパー31が繰り出されたことを検出することが可能となる。
【0119】
上述の実施形態では、回転機構12に含まれているローラ121の個数が3つであるが、ローラ121の個数は3つに限らず、1つ、2つ、又は4つ以上であってもよい。さらに、上述の実施形態では、回転機構12に含まれているモータ122の個数が3つであるが、モータ122の個数は3つに限らず、1つ、2つ、又は4つ以上であってもよい。また、上述の実施形態では、ローラ121の個数とモータ122の個数とが同じであるが、ローラ121の個数とモータ122の個数とが異なっていてもよい。この場合において、ローラ121の個数は、モータ122の個数よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
【0120】
上述の実施形態では、繰り出し機能が有効である場合に、繰り出し装置1は、人の有無にかかわらず繰り出し処理を実行しているが、繰り出し装置1は、例えば、人感センサによって人を検出した場合に繰り出し処理を実行してもよい。また、繰り出し装置1は、例えば、便座が開けられたことをもって繰り出し処理を実行してもよい。
【0121】
上述の実施形態では、取付機構17が金属で形成されているが、取付機構17は、例えば、合成樹脂で形成されていてもよい。また、上述の実施形態では、ペーパーホルダー2が合成樹脂で形成されているが、ペーパーホルダー2は、例えば、金属で形成されていてもよい。
【0122】
上述の実施形態では、第1ばね体201及び第2ばね体202の各々がねじりばねであるが、第1ばね体201及び第2ばね体202の少なくとも一方は、例えば、円弧状のゴムであってもよい。
【0123】
また、変形機構18自体が、トイレットペーパー31の残量に応じて変形するように構成されていてもよい。一例として、変形機構18が形状記憶合金で形成されていてもよい。これにより、押し当て機構20を省略することが可能となる。
【0124】
上述の実施形態では、検出部13は、第1センサ131の検出結果に基づいてトイレットペーパー31が繰り出されたことを検出しているが、検出部13は、例えば、ペーパーロール3の回転時間又は回転数に基づいてトイレットペーパー31が繰り出されたことを検出してもよい。これにより、第1センサ131を省略することが可能となる。
【0125】
上述の実施形態では、繰り出し装置1の通信部16とサーバ5との間の通信が無線通信であるが、繰り出し装置1の通信部16とサーバ5との間の通信は無線通信に限らず、有線通信であってもよい。ただし、上述の実施形態に係る繰り出し装置1のように、ペーパーホルダー2に対して後付けするような構造では、通信線が不要である無線通信が好ましい。
【0126】
上述の実施形態では、電源部10が、1乃至複数の電池から繰り出し装置1の各部(モータ122等)に電力を供給しているが、電源部10は、例えば、電源コンセントから電力を供給してもよい。また、電源部10は、手洗い用の吐水口や給水ホースを通過する水による水流発電で得られる電力、又は手動にてペーパーロール3を回転させる際の回転力による発電で得られる電力を、上述の1乃至複数の電池(蓄電池)に充電するように構成されていてもよい。
【0127】
上述の実施形態では、繰り出し装置1は、ペーパーロール3からトイレットペーパー31を繰り出す繰り出し動作を行っているが、繰り出し装置1は、例えば、手動にてトイレットペーパー31を出しすぎた場合にトイレットペーパー31を巻き戻す巻き戻し動作を行ってもよい。
【0128】
上述の実施形態では、提示部15の発光部151は、切替部14が繰り出し機能を有効にした場合にLEDを点灯させ、切替部14が繰り出し機能を無効にした場合にLEDを消灯させているが、発光部151は、切替部14が繰り出し機能を有効にした場合にLEDを消灯させ、切替部14が繰り出し機能を無効にした場合にLEDを点灯させてもよい。
【0129】
また、発光部151は、互いに異なる色の光を発する複数のLEDを含んでいてもよい。この場合、発光部151は、上述の繰り出し機能が有効である場合に第1色(例えば赤色)の光を発し、上述の繰り出し機能が無効である場合に第2色(例えば緑色)の光を発するようにしてもよい。
【0130】
上述の実施形態では、通信端末4がスマートフォンであるが、通信端末4はスマートフォンであることに限らず、例えば、パーソナルコンピュータであってもよいし、タブレット端末であってもよい。
【0131】
また、通信端末4は、管理業者が携帯する端末であることに限定されず、例えば、トイレを清掃する清掃員が携帯する端末であってもよい。
【0132】
上述の実施形態では、一対の腕片171にそれぞれ取り付けられた一対の両面テープC1によって繰り出し装置1がペーパーホルダー2に取り付けられるようになっている。これに対して、ねじを用いて繰り出し装置1がペーパーホルダー2に取り付けられるようになっていてもよい。この場合、一対の腕片171の主片1711の長手方向における一端部(上端部)に、主片1711の厚さ方向に主片1711を貫通する貫通孔を設ける。また、一対のアーム21の第3片2113に、第3片2113の厚さ方向に第3片2113を貫通するねじ孔を設ける。そして、貫通孔に挿通させたねじをねじ孔に挿入することによって、繰り出し装置1がペーパーホルダー2にねじ止めされる。
【0133】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0134】
第1の態様に係る繰り出し装置(1)は、ペーパーロール(3)からトイレットペーパー(31)を繰り出す繰り出し装置(1)である。ペーパーロール(3)は、トイレットペーパー(31)が複数回巻かれて形成されており、ペーパーホルダー(2)に保持されている。繰り出し装置(1)は、回転機構(12)と、取付機構(17)と、を備える。回転機構(12)は、ペーパーホルダー(2)に保持されているペーパーロール(3)を回転させる。取付機構(17)は、ペーパーホルダー(2)及びペーパーホルダー(2)が取り付けられる取付面(100)の少なくとも一方に繰り出し装置(1)を取り付けるための機構である。
【0135】
この態様によれば、ペーパーホルダー(2)に繰り出し装置(1)を後付けすることが可能となる。
【0136】
第2の態様に係る繰り出し装置(1)は、第1の態様において、変形機構(18)を更に備える。変形機構(18)は、ペーパーロール(3)の形状の変化に伴って変形する。
【0137】
この態様によれば、ペーパーロール(3)の形状の変化に変形機構(18)を追従させることが可能となる。
【0138】
第3の態様に係る繰り出し装置(1)は、第2の態様において、剥離機構(19)を更に備える。剥離機構(19)は、トイレットペーパー(31)のうちペーパーロール(3)の先端部分(311)をペーパーロール(3)の残り部分(312)から剥離する。
【0139】
この態様によれば、トイレットペーパー(31)の先端部分(311)をペーパーロール(3)の残り部分(312)から剥離することが可能となる。
【0140】
第4の態様に係る繰り出し装置(1)では、第3の態様において、剥離機構(19)は、送風機構(191)を含む。送風機構(191)は、先端部分(311)と残り部分(312)との間に風を送り込む。
【0141】
この態様によれば、送風機構(191)から送り込まれる風によって、トイレットペーパー(31)の先端部分(311)をペーパーロール(3)の残り部分(312)から剥離することが可能となる。
【0142】
第5の態様に係る繰り出し装置(1)では、第3又は第4の態様において、回転機構(12)は、ローラ(121)と、モータ(122)と、を含む。ローラ(121)は、ペーパーロール(3)に接触してペーパーロール(3)を回転させる。モータ(122)は、ローラ(121)を駆動する。
【0143】
この態様によれば、ペーパーロール(3)を回転させることが可能となる。
【0144】
第6の態様に係る繰り出し装置(1)は、第5の態様において、押し当て機構(20)を更に備える。押し当て機構(20)は、ローラ(121)及び剥離機構(19)をペーパーロール(3)に押し当てる。
【0145】
この態様によれば、ローラ(121)及び剥離機構(19)をペーパーロール(3)に押し当てることが可能となる。
【0146】
第7の態様に係る繰り出し装置(1)では、第6の態様において、押し当て機構(20)は、ばね構造(20)を有する。
【0147】
この態様によれば、ばね構造(20)によって、ローラ(121)及び剥離機構(19)をペーパーロール(3)に押し当てることが可能となる。
【0148】
第8の態様に係る繰り出し装置(1)では、第7の態様において、変形機構(18)は、複数の可動片(181~184)を含む。複数の可動片(181~184)は、ペーパーロール(3)の回転方向(A1)に沿って配置されている。ばね構造(20)は、少なくとも1つのばね体(202)を有する。少なくとも1つのばね体(202)は、複数の可動片(181~184)のうち隣接する2つの可動片の間に配置されている。
【0149】
この態様によれば、少なくとも1つのばね体(202)によって、ローラ(121)及び剥離機構(19)をペーパーロール(3)に押し当てることが可能となる。
【0150】
第9の態様に係る繰り出し装置(1)は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、検出部(13)を更に備える。検出部(13)は、ぺーパーロール(3)からトイレットペーパー(31)が繰り出されたことを検出する。
【0151】
この態様によれば、ペーパーロール(3)からトイレットペーパー(31)が繰り出されたことを検出することが可能となる。
【0152】
第10の態様に係る繰り出し装置(1)では、第9の態様において、検出部(13)は、超音波センサ(131)を含む。
【0153】
この態様によれば、検出部(13)からトイレットペーパー(31)までの距離(L1)を計測することが可能となる。
【0154】
第11の態様に係る繰り出し装置(1)では、第9又は第10の態様において、検出部(13)は、光電センサ(131)を含む。
【0155】
この態様によれば、ペーパーロール(3)からトイレットペーパー(31)が繰り出されたことを検出することが可能となる。
【0156】
第12の態様に係る繰り出し装置(1)では、第10又は第11の態様において、検出部(13)は、検出部(13)からトイレットペーパー(31)までの距離(L1)を検出する。繰り出し装置(1)は、予測部(111)と、通知部(112)と、を更に備える。予測部(111)は、検出部(13)の検出結果に基づいてトイレットペーパー(31)の残量を予測する。通知部(112)は、予測部(111)の予測結果に基づいてペーパーロール(3)の交換時期が近づいている旨の通知を行う。
【0157】
この態様によれば、ペーパーロール(3)の交換時期が近づいていることを通知することが可能となる。
【0158】
第13の態様に係る繰り出し装置(1)では、第12の態様において、通知部(112)は、通信端末(4)に通知を行う。
【0159】
この態様によれば、ペーパーロール(3)の交換時期が近づいていることを通信端末(4)に通知することが可能となる。
【0160】
第14の態様に係る繰り出し装置(1)では、第9~第13の態様のいずれか1つにおいて、検出部(13)は、ロータリエンコーダ(132)を含む。ロータリエンコーダ(132)は、ペーパーロール(3)の回転を検出する。
【0161】
この態様によれば、ペーパーロール(3)の回転を検出することが可能となる。
【0162】
第15の態様に係る繰り出し装置(1)は、第1~第14の態様のいずれか1つにおいて、切替部(14)を更に備える。切替部(14)は、ペーパーロール(3)からトイレットペーパー(31)を繰り出す繰り出し機能を有効にするか否かを切り替える。
【0163】
この態様によれば、繰り出し機能を有効にするか否かを切り替えることが可能となる。
【0164】
第16の態様に係る繰り出し装置(1)では、第15の態様において、切替部(14)は、赤外線センサ(141)を含む。切替部(14)は、赤外線センサ(141)の検出結果に応じて繰り出し機能を有効にするか否かを切り替える。
【0165】
この態様によれば、赤外線センサ(141)に対して手をかざすだけで、繰り出し機能を有効にするか否かを切り替えることが可能となる。
【0166】
第17の態様に係る繰り出し装置(1)は、第15又は第16の態様において、提示部(15)を更に備える。提示部(15)は、繰り出し機能が有効であるか否かを提示する。
【0167】
この態様によれば、繰り出し機能が有効であるか否かを提示することが可能となる。
【0168】
第18の態様に係る繰り出し装置(1)では、第17の態様において、提示部(15)は、発光部(151)を含む。発光部(151)は、繰り出し機能が有効か否かを表示する。
【0169】
この態様によれば、繰り出し機能が有効であるか否かを視覚的に提示することが可能となる。
【0170】
第19の態様に係る繰り出し装置(1)では、第1~第18の態様のいずれか1つにおいて、取付機構(17)は、繰り出し装置(1)の位置を、第1方向及び第2方向に調整可能である。第1方向は、ペーパーホルダー(2)が取り付けられている取付面(100)に平行な方向であって、ペーパーロール(3)の回転軸(P1)に平行な方向である。第2方向は、取付面(100)に平行な方向であって、第1方向と直交する方向である。
【0171】
この態様によれば、繰り出し装置(1)の位置を第1方向及び第2方向に調整することが可能となる。
【0172】
第20の態様に係る繰り出し装置(1)では、第1~第18の態様のいずれか1つにおいて、取付機構(17)は、ペーパーホルダー(2)が取り付けられている取付面(100)に対して、ペーパーホルダー(2)から離した状態で繰り出し装置(1)を取付可能である。
【0173】
この態様によれば、取付面(100)に対して、ペーパーホルダー(2)から離した状態で繰り出し装置(1)を取り付けることが可能となる。
【0174】
第2~第20の態様に係る構成については、繰り出し装置(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0175】
1 繰り出し装置
111 予測部
112 通知部
12 回転機構
121 ローラ
122 モータ
13 検出部
131 第1センサ(超音波センサ、光電センサ)
132 エンコーダ(ロータリエンコーダ)
14 切替部
141 第2センサ(赤外線センサ)
15 提示部
151 発光部
17 取付機構
18 変形機構
181~184 可動片
19 剥離機構
191 送風機構
20 押し当て機構(ばね構造)
201 第1ばね体(ばね体)
202 第2ばね体(ばね体)
2 ペーパーホルダー
3 ペーパーロール
31 トイレットペーパー
311 先端部分
312 残り部分
4 通信端末
100 壁面(取付面)
A1 回転方向
L1 距離
P1 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14