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特開2023-4873表示用針とデジタル表示画面を組み合わせた計時器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004873
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】表示用針とデジタル表示画面を組み合わせた計時器
(51)【国際特許分類】
   G04C 3/00 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
G04C3/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022068623
(22)【出願日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】21181673.1
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル・フルーリー
【テーマコード(参考)】
2F101
【Fターム(参考)】
2F101AA02
2F101AB05
2F101AB06
2F101AC01
2F101AC03
2F101AD10
2F101AF08
(57)【要約】
【課題】 針に基づくアナログ表示とデジタル表示を組み合わせている携行型時計の表示を改善する。
【解決手段】 本発明の一態様は、ケース(2)と、回転可能に取り付けられる表示用針(61、62、63)と、軌跡面(41)を定める前記表示用針を回転駆動するムーブメントと、表示画面(42)と、及び第1の動作モードと第2の動作モードを順に切り替えるように構成している制御回路とを備える計時器(1)に関し、前記軌跡面の第1の部分(411)が、前記表示画面(42)に重なり合い、前記軌跡面の第2の部分(412)が、前記表示画面に重なり合わず、前記第1の動作モードにおいては、前記軌跡面の前記第1の部分と前記第2の部分において前記表示用針(61、62、63)を駆動し、前記第2の動作モードにおいては、前記軌跡面の前記第2の部分にのみ前記表示用針(61、62、63)を駆動し、かつ、前記表示画面によって情報を表示する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング空間(4)が形成されるケース(2)と、
前記ハウジング空間(4)内にて回転可能に取り付けられる表示用針(61、62、63)と、
1回の完全な回転が軌跡面(41)を定める前記表示用針を回転駆動するように構成しているムーブメントと、
前記表示用針の高さレベルよりも下のハウジング空間(4)内に配置される表示画面(42)と、及び
第1の動作モードと第2の動作モードを順に切り替えるように構成している制御回路と
を備える計時器(1)であって、
前記軌跡面の第1の部分(411)が、前記表示画面(42)に重なり合い、
前記軌跡面の第2の部分(412)が、前記表示画面に重なり合わず、
前記第1の動作モードにおいては、クロノメーター的情報を表示するために、前記制御回路が前記軌跡面の前記第1の部分と前記第2の部分において前記表示用針(61、62、63)が駆動するように制御し、
前記第2の動作モードにおいては、クロノメーター的情報を表示するように、前記制御回路が前記軌跡面の前記第2の部分にのみ前記表示用針(61、62、63)が駆動するように制御し、かつ、前記制御回路が、前記表示画面による情報の表示を制御する
ことを特徴とする計時器(1)。
【請求項2】
さらに、前記ケース(2)の外側から用いることができ第1の動作モードと第2の動作モードの間の切り替えをトリガーするように前記制御回路に関連づけられているスイッチ(5)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器(1)。
【請求項3】
前記制御回路は、すぐに第1の表示モードから第2の表示モードへと自動的に切り替わるように前記表示画面(42)上の表示を制御するように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器(1)。
【請求項4】
前記軌跡面の前記第1の部分(411)と前記第2の部分(412)は、半円盤である
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器(1)。
【請求項5】
前記制御回路は、前記表示用針どうしを重ね合わせて、それらの表示用針を回転駆動して、前記第2の動作モードにおいてクロノメーター的情報を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器(1)。
【請求項6】
表示されるクロノメーター的情報は、時間、カウントダウン、又はクロノグラフのタイプの情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器(1)。
【請求項7】
前記表示用針(61、62、63)と前記制御回路の間に表盤(7)があり、
前記表盤(7)には、時間を表示するためのインデックス(71)がある
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器(1)。
【請求項8】
前記表盤(7)には、第1の動作モードと第2の動作モードのクロノメーター的情報に対応する第1のインデックス(71)の群と第2のインデックス(72)の群がある
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器(1)。
【請求項9】
前記表示画面(42)には、前記軌跡面(41)を包囲する周部(423)があり、
前記制御回路は、第1又は第2の動作モードに応じて前記周部(423)に異なるインデックス(427)を表示するように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針を用いるアナログ表示と、デジタル表示とを組み合わせた計時器に関する。
【背景技術】
【0002】
数年前から、針に基づくアナログ表示と、通常は液晶表示に基づくデジタル表示とを組み合わせて搭載している携行型時計(例、腕時計、懐中時計)が存在している。通常、携行型時計の表盤に対する位置によってユーザーに時間を示すように針が用いられる。前記のような構成によって、アナログ表示のわかりやすさ及び伝統的な側面と、液晶表示で表示することができる情報の豊富さの両方を維持することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような組み合わせの主な課題として、携行型時計の着用者による日常的な頻繁な読み取りに適応していないような情報表示構成を提供してしまうことがあり、また、このような着用者において急速に視覚が疲労してしまったり視覚に問題を発生させてしまったりするリスクが発生してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このために、本発明は、ハウジング空間が形成されるケースと、前記ハウジング空間内にて回転可能に取り付けられる表示用針と、1回の完全な回転が軌跡面(スイープ面)を定める前記表示用針を回転駆動するように構成しているムーブメントと、前記表示用針の高さレベルよりも下のハウジング空間内に配置される表示画面と、及び第1の動作モードと第2の動作モードを順に切り替えるように構成している制御回路とを備える計時器に関し、前記軌跡面の第1の部分が、前記表示画面に重なり合い、前記軌跡面の第2の部分が、前記表示画面に重なり合わず、前記第1の動作モードにおいては、クロノメーター的情報を表示するために、前記制御回路が前記軌跡面の前記第1の部分と前記第2の部分において前記表示用針の駆動を制御し、前記第2の動作モードにおいては、クロノメーター的情報を表示するように、前記制御回路が前記軌跡面の前記第2の部分にのみ前記表示用針が駆動するように制御し、前記制御回路は、前記表示画面による情報の表示を制御する。他の実施形態は、以下の特徴を有する。
- 前記計時器は、さらに、前記ケースの外側から用いることができ第1の動作モードと第2の動作モードの間の切り替えをトリガーするように前記制御回路に関連づけられているスイッチを備える。
- 前記制御回路は、すぐに第1の表示モードから第2の表示モードへと自動的に切り替わるように前記表示画面上の表示を制御するように構成している。
- 前記軌跡面の前記第1の部分と前記第2の部分は、半円盤である。
- 前記制御回路は、前記表示用針どうしを重ね合わせて、それらの表示用針を回転駆動して、前記第2の動作モードにおいてクロノメーター的情報を表示する。
- 表示されるクロノメーター的情報は、時間、カウントダウン、又はクロノグラフのタイプの情報である。
- 前記表示用針と前記制御回路の間に表盤があり、前記表盤には、時間を表示するためのインデックスがある。
- 前記表盤には、第1の動作モードと第2の動作モードのクロノメーター的情報に対応する第1のインデックスの群と第2のインデックスの群がある。
- 前記表示画面には、前記軌跡面を包囲する周部があり、前記制御回路は、第1又は第2の動作モードに応じて前記周部に異なるインデックスを表示するように構成している。
【0005】
図面を参照しながら以下の説明を読むことで、本発明の目的、利点及び特徴がより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明が実施される携行型時計の例の上面図である。
図2】第1の表示モードでの図1の携行型時計の上面図である。
図3】第2の表示モードでの図1の携行型時計の上面図である。
図4】第2の表示モードの1つの代替的形態における図1の携行型時計の上面図である。
図5】第2の表示モードの別の代替的形態における図1の携行型時計の上面図である。
図6】第2の表示モードの1つの代替的形態における図5の携行型時計の代替的形態の上面図である。
図7】特定の表示モードを有する携行型時計の別の代替的形態の上面図である。
図8】特定の表示モードを有する携行型時計の別の代替的形態の上面図である。
図9】特定の表示モードを有する携行型時計の別の代替的形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明において、「上部」、「下部」、「上側」、「下側」、「上」、「下」という用語は、面上にある携行型時計のケースの水平方向の支持面に平行な水平方向の正中面を考慮に入れて解釈される。
【0008】
「外」、「外側」、「内」、「内側」という用語は、正中面に対して垂直な方向の正中軸を考慮に入れながら理解する必要がある。正中面は、概して、携行型時計の表盤によって定められ、正中軸は、概して、携行型時計の表示用針の回転軸によって定められる。
【0009】
図1は、本発明を実装することができる携行型時計1の上面図を示している。携行型時計1は、ケースミドル部があるケース2を備える。ここで、携行型時計1は、ケース2に固定されたリストレット3を備える。このために、携行型時計1は、そのケースミドル部の両側に、2つのホーン21を備え、その各ホーン21は、リストレット3の別個のストランドを固定するように構成している。ここで、携行型時計1は、以下に示しているように、スイッチとして用いることができる制御要素5を備える。このような制御要素5は、「スイッチング要素」と呼ばれることもあり、好ましくは、単一の可動要素を含むことができ、例えば、回転ベゼル、押しボタン、ケースや風防にあるタッチ感知面のような、目的のために適合するいずれのコンポーネントによって形成されていることもできる。また、好ましくは、この制御要素5は、例えば、押し部品を備えるリュウズに対応し、これは、時間を設定するためのリュウズを形成する。
【0010】
携行型時計1のケース2には、表盤7と光透過性の風防(ラベル付けされていない)の間にてケースミドル部(一般的には金属材料によって作られる)によって定められるハウジング空間4がある。したがって、携行型時計1の収容空間4は、風防(例えば、サファイアガラス製)の上部によって閉じられる。風防は、よく知られている方法でケースミドル部によって支持され、適応する方法によって密封されるようにしてケースミドル部に固定することができる。表盤7には、好ましいことに、わかりやすくするために図1に示していない数値又はグラフィック的なインデックス71があることができる。
【0011】
携行型時計1は、さらに、ハウジング空間4内に収容される表示用針61~63を含む。針61~63は、特に、時間を表示するように意図して、図示していない計時器用ムーブメントによって回転駆動される。計時器用ムーブメントと針61~63の間に表盤7がある。ここで、時を示すように意図された針61、分を示すように意図された針62、秒を示すように意図された針63を区別して認識することができる。当然、これとは異なる数の表示用針を設けることができる。ここで、針61~63は、同じ正中軸のまわりを回転するように取り付けられる。この表盤7には、1回転にわたって針61及び63がスイープする面に対応する軌跡面41がある。針63が最も長いので、ここで、軌跡面41は、この針63の長さによって定められる。すなわち、この針63の端が、表盤7上のこの軌跡面41の輪郭/境界を定める。
【0012】
表盤7には、ここではその下側部分に、デジタル表示画面42がある。したがって、表示画面42は、ハウジング空間4内に存在し、針61~63の高さレベルよりも下に配置される。軌跡面41は、表示画面42に重なり合っている第1の部分411と、表示画面42に重なり合っていない第2の部分412とに分けることができる。表示画面42との軌跡面41の重なり合いは、針61~63の回転軸にしたがった射影によって決まる。ここで、第1の部分411と第2の部分412の大きさは同じではない。なお、本発明の代替的形態において、これらの第1の部分411と第2の部分412は、実質的に等しい又は等しい大きさを有することができる。
【0013】
携行型時計1は、制御回路を備える。この制御回路は、好ましいことに、典型的には表盤7の下において、ケース2内に収容される。本発明によると、前記制御回路は、第1及び第2の動作モードを有し、それらを順に切り替えるように構成している。
【0014】
図2は、制御回路が第1の動作モードであるような図1の携行型時計1を示している。この第1の動作モードにおいて、制御回路は、クロノメーター的情報を表示するために、表示用針61、62、63を軌跡面41の第1の部分411と第2の部分412において駆動するように計時器用ムーブメントを制御する。したがって、図示している構成において、針61及び62は第1の部分411にあり、したがって、表示画面42上に重なり合っている。針63は第2の部分412内にある。表盤7のインデックス71は、好ましいことに、針61~63によるクロノメーター的表示の識別に貢献する。ここで、このクロノメーター的表示は、よく知られている形態での時間の表示である。また、クロノメーター的表示は、よく知られている形態におけるカウントダウン又はクロノグラフのタイプのものであることもできる。図示している例において、制御回路は、表示画面42上のいずれの情報の表示も制御しない。この第1の動作モードにおいて、針61~63によるクロノメーター的情報の表示は、軌跡面41全体を用いて、ユーザーの視認性を最大化するためにアナログ表示を最適化する。
【0015】
図3は、制御回路の第2の動作モードの例における図1の携行型時計を示している。この第2の動作モードにおいて、制御回路は、表示画面42による情報の表示を制御する。表示画面42が表示する情報は、任意のタイプのものであることができる。例えば、スマートウォッチの場合に、外部からの情報、時系列の情報、そして、ジオロケーション機能を備える携行型時計の場合に、瞬間的な速度、走行距離、位置に関する情報などであることができる。携行型時計1は、その携行型時計1を外部と接続して、外部から得られる利用可能な情報を得て、その情報を表示画面42に表示できるようにするために、無線通信回路を備えることができる。
【0016】
図3に示している例において、表示画面42には、主表示領域421と副表示領域422がある。この例において、表示画面42は、その主表示領域421において速度に関する情報を表示し、副表示領域422において主表示領域に表示された情報のカテゴリーを示す。また、副表示領域422は、針61~63によって表示されるクロノメーター的情報の性質を示すことができる(時間、カウントダウン、クロノグラフなどを示す)。
【0017】
図4に示している例において、主表示領域421はメッセージを表示し、副表示領域422は、主表示領域421に表示された情報のカテゴリーを示す。
【0018】
上記のように、制御要素5は、表示画面42の主表示領域421に様々なカテゴリーの情報を順に表示するためのスイッチとして用いることができる。また、2つの動作モードの間の切り替えは、例えば、携行型時計1がジャイロスコープ/加速度計タイプのセンサーを備える場合にユーザーの手首の運動の検出に基づくこともできる。
【0019】
この第2の動作モードにおいて、計時器用ムーブメントは、クロノメーター的情報を表示するために、軌跡面41の第2の部分412においてのみ、表示用針61、62、63を駆動するように構成している。したがって、針61~63が第1の部分411に配置されていないおかげで、クロノメーター的情報を表示するために、表示画面42の視界を変えずに、依然として針61~63を用いることができる。この例において、前記クロノメーター的情報は、時間、カウントダウン又はクロノグラフを示す情報であることができる。ここで、表盤7の上側部分によって12時間のスケールが定められる。図4のリュウズ5の近くにある最も右側のインデックスは、ゼロ値に対応する。このようなインデックスは、適宜、当該表示用針61~63に応じて、12時間、60分、又は60秒に対応することができる。したがって、ここで、表盤7の上側のインデックスのみが時間の表示を定める。図4に示している例において、針61~63は、2時間30分41秒であることを示している(又はカウントダウンモードの場合にはこの時間が残っていることを示しており、クロノグラフモードの場合にはこの時間が経過したことを示している)。
【0020】
制御要素5は、第1の表示モードと第2の表示モードの間を切り替えるためのスイッチとして用いることができる。また、例えばスマートウォッチの場合に、外部との通信によって第1の表示モードと第2の表示モードの間の切り替えを制御することも可能である。例えばスマートウォッチの場合に新しいメッセージを受信したときに、第2の動作モードへと切り替えることができる。また、表示画面42に情報を表示するとすぐに制御回路を第2の動作モードに切り替えることもできる。また、例えば、ユーザーがボタン5を介して初期の切り替えを命令した後における(例えば、第1の動作モードに正確に時間を表示するように要求することによって)、遅延の後に、第1の動作モードと第2の動作モードの間の切り替えを行うこともできる。
【0021】
図5は、別の例における制御回路の第2の動作モードの図1の携行型時計1を示している。この制御回路は、クロノメーター的情報を表示するために、軌跡面41の第2の部分412においてのみ表示用針61、62、63を駆動するように計時器用ムーブメントを制御する。したがって、針61~63が第1の部分411に配置されていないおかげで、針61~63は、依然として、表示画面42の視界を変えることなくクロノメーター的情報を表示するように用いることができる。ここで、針61~63は、第2の部分412に限定されるクロノメーター的情報の迅速な読み取りに貢献するように重なり合っている。したがって、この表示モードにおいて、制御回路が針61~63を重なり合う状態にて駆動する。図5に示している例において、針61~63が表示するクロノメーター的情報は、6時間36分36秒である。
【0022】
図6は、図5に対応する制御回路の第2の動作モードの例における、図1の携行型時計1の代替的形態を示している。また、制御回路は、クロノメーター的情報を表示するために、軌跡面41の第2の部分412においてのみ表示用針61、62、63を駆動するように計時器用ムーブメントを制御する。したがって、針61~63が第1の部分411内に配置されていないおかげで、針61~63は、表示画面42の視界を変えることなく、依然として、クロノメーター的情報を表示するために用いることができる。ここで、針61~63は、第2の部分412に限定されるクロノメーター的情報を迅速に読み取ることに貢献するように重なり合っている。また、この表示モードにおいて、制御回路は、重なり合った状態にて針61~63を駆動する。この第2の動作モードにおける時間の読み取りを容易にするために、表盤7には、第1の動作モードにおいてクロノメーター的情報を読み取るための第1のインデックス71の群と、第2の動作モードにおいてクロノメーター的情報を読み取るための第2のインデックス72の群がある。
【0023】
第2の動作モードにおいて第2の表示部分412の端に達した後に(例えば、針が図6において「3」と示しているインデックス71に達したときに)、針61~63をその初期の位置に戻すことができるようにするために、携行型時計1は、逆行性(レトログレイド)表示を行う。この逆行性表示は、第2の動作モード中に針61~63が第1の表示部分411に重なり合うことを避けることを可能にする。すなわち、制御回路は、針61~63が第1の部分411に重なり合うことを避けることを意図して、第2の表示部分412の開始箇所まで(例えば、図6の「9」で識別されるインデックス71まで)、逆行方向における針61~63の速い回転を行うように制御することができる。このような逆行性表示を、1つ又は複数の双方向モーターを備えるムーブメントを介して実装することができる。別の代替的形態によると、第2の動作モードにおいて針61~63が第2の表示部分412の端に到達したときに、制御回路は、第2の表示部分412の開始箇所まで(例えば、図6の「9」で識別されるインデックス71まで)、時計回りにおける針61~63の速い回転を行うように制御することができる。したがって、針61~63は、この第2の動作モードにおいて、第1の部分411に対して目立たないようにしか重なり合わない。
【0024】
図7は、本発明に係る携行型時計1の代替的形態を示している。この例において、表示画面42には周部423があり、この周部423は、第2の部分412と主表示領域421を包囲する。また、この周部423は、第1の部分411に属することもでき、針61~63は、第1の部分411上に重なり合うことができる。周部423は、第1又は第2の動作モードに応じて異なるような動的なインデックスの表示を可能にするように制御回路によって制御することができる。表示画面42は、マトリックス表示の形態で実装することができる。
【0025】
図8の例において、携行型時計1は第1の動作モードとなっている。したがって、周部423は、針61~63の軌跡面41を包囲するようにインデックス427を表示する。ここで表示されるインデックス427は、第2の動作モードのインデックスと並置されるのではなくこれを置き換えて表示されるおかげで、この第1の動作モードにおける時間の読み取りに貢献する。
【0026】
図9の例において、携行型時計1は第2の動作モードになっている。したがって、周部423に表示されるインデックス427は、第2の部分412しか包囲しない。ここで表示されるインデックス427は、第1の動作モードのインデックスと並置されるのではなくこれを置き換えて表示されるおかげで、この第2の動作モードにおける時間の読み取りに貢献する。また、インデックス427は、第2の動作モードのクロノメーター的情報の読み取りに正確に対応する。
【0027】
また、第1の部分411と第2の部分412が半円盤を形成して、第2の動作モードにおける表示が半月表示であると考えることができるようにすることもできる。当然、図示しているような携行型計時器のタイプだけではなく他のタイプの計時器にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 計時器
2 ケース
4 ハウジング空間
5 スイッチ
7 表盤
41 軌跡面
42 表示画面
71、72、427 インデックス
411 第1の部分
412 第2の部分
423 周部
427 インデックス
61、62、63 表示用針
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】