(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048731
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】水栓カバー
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
E03C1/042 Z
E03C1/042 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158207
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】後藤 直人
(72)【発明者】
【氏名】国枝 秀樹
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA01
2D060BB01
2D060BD03
2D060BE20
(57)【要約】
【課題】水栓カバーの開口部を介しての作業の容易性を確保しつつ開口部の上端間の間隔の変化を防ぐ。
【解決手段】水栓本体6をカバーする水栓カバー7であって、この水栓カバー7は水栓本体6のメンテナンス部6aに相対する上方開放の開口部33を有する下カバー20と、下カバー20の上に配置する上カバー21と、下カバー20の開口部33を塞ぐメンテナンスカバー22とを有し、開口部33の上端間の間隔を保持する間隔保持部37、46を設けた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体をカバーする水栓カバーであって、
前記水栓カバーは、前記水栓本体のメンテナンス部に相対する上方開放の開口部を有する下カバーと、同下カバーの上に配置する上カバーと、前記下カバーの前記開口部を塞ぐメンテナンスカバーとを有し、
前記開口部の上端間の間隔を保持する間隔保持部を設けた水栓カバー。
【請求項2】
前記間隔保持部は、前記開口部の上端間の拡開を規制する請求項1に記載の水栓カバー。
【請求項3】
前記開口部は、前記下カバーにおける一対の縦枠と前記一対の縦枠の下端同士を結ぶ下枠とによって形成されたものであり、
前記間隔保持部は、前記一対の縦枠に形成された一対の凹穴と、前記上カバーに形成され前記一対の凹穴に挿入される一対の挿入突部とにより構成される請求項1又は請求項2に記載の水栓カバー。
【請求項4】
前記上カバーは金属板を成形したものであり、前記一対の挿入突部は前記一対の挿入突部を結ぶ方向である幅方向の長さが厚み方向の長さより大きい請求項3に記載の水栓カバー。
【請求項5】
前記メンテナンスカバーは一対の係止突起を有し、前記一対の係止突起は前記下カバーの前記一対の縦枠に係止する請求項3又は4に記載の水栓カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓の水栓カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
水栓の意匠性向上等のため、水栓本体を水栓カバーで覆った水栓が知られている。この水栓カバーは、下カバーと下カバーの上に配置する上カバーとメンテナンスカバーとを備えている。ところで、水栓本体にはメンテナンスのため逆止弁や止水弁が配置されている。メンテナンス時に作業者が水栓カバー全体を水栓本体から取り外すことなく逆止弁や止水弁の操作ができるよう水栓カバーの逆止弁や止水弁に相対する位置にメンテナンス用の開口部を形成している。
【0003】
水栓使用時には開口部にメンテナンスカバーを装着して開口部を塞ぎ、メンテナンス時にはメンテナンスカバーを取り外し、露出した開口部から逆止弁や止水弁を操作することができる(非特許文献1第351頁、KF3008Rの分解図)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】KVK SHOWER&FAUCET 2021-2022総合カタログ p.351
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、水栓カバーの開口部は上下左右が枠に囲まれた矩形状に形成されている。しかし、水栓カバーの開口部に上枠が存在するとメンテナンス作業の容易性を妨げることがある。一方、単に開口部の上方を開放させると開口部の上端間の間隔が変化しやすくなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、水栓カバーの開口部を介しての作業の容易性を確保しつつ開口部の上端間の間隔の変化を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、水栓本体をカバーする水栓カバーであって、前記水栓カバーは、前記水栓本体のメンテナンス部に相対する上方開放の開口部を有する下カバーと、同下カバーの上に配置する上カバーと、前記下カバーの前記開口部を塞ぐメンテナンスカバーとを有し、前記開口部の上端間の間隔を保持する間隔保持部を設けた。
【0008】
また、前記間隔保持部は、前記開口部の上端間の拡開を規制する。
前記開口部は、前記下カバーにおける一対の縦枠と前記一対の縦枠の下端同士を結ぶ下枠とによって形成されたものであり、前記間隔保持部は、前記一対の縦枠に形成された一対の凹穴と、前記上カバーに形成され前記一対の凹穴に挿入される一対の挿入突部とにより構成される。
【0009】
前記上カバーは金属板を成形したものであり、前記一対の挿入突部は前記一対の挿入突部を結ぶ方向である幅方向の長さが厚み方向の長さより大きい。
前記メンテナンスカバーは一対の係止突起を有し、前記一対の係止突起は前記下カバーの前記一対の縦枠に係止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水栓カバーの開口部を介しての作業の容易性を確保しつつ開口部の上端間の間隔の変化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】
図4(a)は下カバーの部分拡大正面図、
図4(b)は下カバーの部分拡大平面図。
【
図7】
図7(a)は前面カバーの係止突起の平面図、
図7(b)は前面カバーの係止突起と下カバーの縦枠に形成された係止片との係止状態を示す平面図。
【
図8】
図8は凹穴と挿入突部との嵌合状態を示す断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的に説明する。
図1に本実施形態の水栓1の斜視図を示す。同図に示す水栓1は浴槽の縁上面や浴室のカウンター等に設置されるデッキ形の湯水混合水栓であり、図示しない給湯配管からの湯及び給水配管からの水を混合した湯水として吐出することができる。なお、以下、湯水とは水栓1から吐出される湯又は水の総称であり、湯と水を混合したものに限らず水のみあるいは湯のみも含む。また、水栓1及び水栓1を構成する部材について使用する方向等は
図1に示すとおりである。
【0013】
図1に示すように、水栓1は上部に吐出口ユニット2が配置され、また水栓1の背面にはシャワーユニット3が配置されており、湯水の吐出先をいずれかに切り替えることができる。
図1に示す状態で、水栓1は幅方向両側にハンドルがそれぞれ回動可能に配置されている。このうち図中左側は湯水の温度を調整する温調ハンドル4であり、図中右側は吐出先の切替及び吐出量の調整を行う切替ハンドル5である。
【0014】
図2に水栓1の分解斜視図を示す。水栓1は水栓本体6と水栓カバー7とを有する。水栓本体6は、ボディユニット8、吐出口ユニット2、シャワーユニット3、温調ハンドル4、切替ハンドル5を含んで構成される。ボディユニット8は金属製のボディ9を主構成とする。ボディユニット8には下部に給湯配管に接続する給湯ネジ部10と給水配管に接続する給水ネジ部11がそれぞれ接続されている。ボディユニット8の上部には雄ネジを有する吐出口取付部12が形成されており、ここに吐出口ユニット2が取り付けられている。また、ボディユニット8の背面にはシャワー取付部(図示せず)が形成されており、ここにシャワーユニット3のエルボ13が取り付けられ、エルボ13にシャワーホース14が取り付けられている。ボディユニット8は内部に給湯流路と給水流路が形成されており、さらに湯水混合部、湯水の流量及び吐出方向の切替を行う切替部を有する(いずれも図示しない)。ボディユニット8の幅方向両側には湯水混合部の回動軸15及び切替部の回動軸16がそれぞれ突出している。湯水混合部の回動軸15には温調ハンドル4が取り付けられており、切替部の回動軸16には切替ハンドル5が取り付けられている。
【0015】
ボディユニット8の前面には、4つの雌ネジ孔17が幅方向に一列に形成されている。これらの雌ネジ孔17のうち左2つはボディユニット8内部に形成された給湯流路に連通しており、右2つは給水流路に連通している。そして、4つの雌ネジ孔17のうち、内側の2つの雌ネジ孔17には逆止弁ユニット18が配置されている。各逆止弁ユニット18は給湯流路と給水流路の湯水の逆流を防止することができる。また、外側の2つの雌ネジ孔17には止水弁ユニット19が配置されており、各止水弁ユニット19の給湯流路と給水流路の閉鎖及び開放を可能としている。ボディユニット8に逆止弁ユニット18と止水弁ユニット19とが取り付けられている前面部分が水栓本体6のメンテナンス部6aとなる。
【0016】
次に水栓カバー7について説明する。
図1に示すように水栓カバー7は水栓本体6をカバーする。なお、水栓本体6をカバーするとは水栓本体6の少なくとも一部を覆っていれば足りる。
図2に示すように水栓カバー7は、下カバー20、下カバー20の上に配置される上カバー21、下カバー20の前面に配置されるメンテナンスカバーとしての前面カバー22、上カバー21の幅方向両側に配置されるサイドカラー23にて構成される。
【0017】
図3に示す下カバー20は樹脂製であり上方及び前面が開口した有底矩形筒状をなし、表面は全体に金属メッキがされている。下カバー20は底部24と背面部25と両側面部26と前面部27とを有し、これらが一体成形されている。底部24は幅方向に長い略矩形状を有しており、幅方向両側に2つの挿通孔28が貫通形成されている。これら一対の挿通孔28は水栓本体6を下カバー20内に配置した際に給湯ネジ部10と給水ネジ部11を挿通させるものである。背面部25は底部24の背縁から上方に立ち上がる一定高さの背壁29と、背壁29の前方に背壁29と一体に形成された2つの支持リブ30とからなる。各支持リブ30の上端には背壁29の延設方向と平行に延びるスリット31が形成された背面側支持部32が形成されている。側面部26は底部24の両側縁から上方に立ち上がる壁状をなし、背面部25と繋がっている。各側面部26は平面視で幅方向外側に凸となる円弧状に形成されている。
【0018】
前面部27は底部24の前縁から上方に立ち上がって形成されており、正面視で中央に上方が開口した開口部33を有する上向きコ字状をなす。前面部27のうち開口部33の幅方向両側は両側面部26に繋がり、側面部26と同じ高さを有する縦枠34となっている。また、開口部33の下側は一対の縦枠34の下端同士を結ぶ下枠35となっている。すなわち、前面部27における一対の縦枠34と下枠35により上方開口の開口部33が形成されている。開口部33は水栓本体6を下カバー20に配置した際に逆止弁ユニット18と止水弁ユニット19が相対し、下カバー20と干渉しない高さ及び幅となっている。また、前面部27の一対の縦枠34と下枠35の前面は開口部33に沿って内縁が一体幅で薄肉となっており、この部分は下カバー20における前面カバー装着面36となる。
【0019】
図3、
図4(a)、
図4(b)に示すように、前面部27のうち各縦枠34の上部は背面側に肉厚となっている。各縦枠34の上部には上下方向に延び縦枠34の上面に開口する有底の凹穴37が形成されている。この凹穴37は平面視矩形状の穴であり、一定の幅、厚みに形成されている。一対の凹穴37のうち、幅方向内側の内壁となる内側壁37aは凹穴37の他の内壁よりも低く形成されている。一対の凹穴37は間隔保持部を構成する。また、各縦枠34の上部には幅方向内方に突出する係止片38が形成されている。各係止片38は凹穴37よりも後方に形成されており、幅方向内側に向かうほど前後方向の厚みが少なくなる形をなす。各縦枠34の前面のうち凹穴37よりも下側には凹みが形成され前面カバー取り外し用治具(ドライバー等)の差し込み口39となっている。
【0020】
図3に示すように、底部24の幅方向中央には上方に延びる前方突起40が形成されており、その基端は下枠35に繋がっている。前方突起40の上端にはスリット41を有する上カバー前面支持部42が形成されている。スリット41は一対の縦枠34に形成された凹穴37同士を結ぶ線上に位置している。
【0021】
図2、
図5に示す上カバー21は、一枚の金属板材を打ち抜き、折り曲げにより形成された側面視で逆U字状をなす。上カバー21の幅方向両側は開放されており、また幅方向両側の下部は幅狭となっている。上カバー21のうち上方、すなわちボディユニット8の吐出口取付部12に対応する位置には円孔43が貫通形成されている。また、上カバー21の後方、すなわちボディユニット8のシャワー取付部に対応する位置には下向き半長円形の切り欠き(図示せず)が形成されている。上カバー21の前方の下端部はクランク状に折り曲げられている。
【0022】
図5に示すように、上カバー21の前方下端の幅方向中央には前面差し込み部44が形成されている。また、前面差し込み部44の幅方向両側方には切り欠き45を挟んで挿入突部46がそれぞれ形成されている。この挿入突部46は幅方向の長さが厚み方向の長さ(上カバー21の厚み)よりも長くなっている。挿入突部46は正面視で略矩形状をなし(
図8参照)、下端の両角は面取りされている。切り欠き45も略矩形状をなし、角は面取りされている。一対の挿入突部46は間隔保持部を構成し、縦枠34に形成された一対の凹穴37にそれぞれ挿入可能となっている。一対の挿入突部46の幅方向内側の辺である内側辺46a間の距離は、一対の凹穴37の内側壁37a間の距離よりもわずかに大きい。一対の挿入突部46を一対の凹穴37に挿入した状態では、
図8に示すように挿入突部46は凹穴37に対して幅方向両側に隙間が形成される。
図8では一対の挿入突部46と一対の凹穴37のうち片方(
図2中の左側)のみ図示するが、挿入突部46と凹穴37はそれぞれ対称形状をなした対であり、もう一方も同様である。上カバー21の後方の下端部もクランク状に折り曲げられてその下端は背面差し込み部47となっている。
【0023】
図2に示すようにサイドカラー23はそれぞれ略円筒形をなす樹脂製であり、上カバー21の両側面に内嵌する嵌合部を有し、また下端は直線状に形成されて下カバー20の側面部26の上面に当接可能となっている。
【0024】
図6に示すように前面カバー22は矩形板状に形成された樹脂製であり表面は金属メッキがされている。前面カバー22は下カバー20の前面カバー装着面36に前方から装着されて開口部33を塞ぎ、下カバー20と略面一となる。前面カバー22の背面(
図6に示されている側の面)の幅方向両側には後方に伸びる一対の係止突起48が形成されている。また、前面カバー22の背面には前面カバー22を下カバー20に装着する際に開口部33の縁に当接する装着リブ49が形成されている。
【0025】
図7(a)に示すように、係止突起48は先端寄りに幅方向外側に開口するV字状の係止溝50が形成されている。係止溝50は前面カバー22を下カバー20に装着した際に縦枠34の係止片38に係止するものである。係止突起48のうち係止溝50よりも先端側は円弧状に形成されて、係止突起48が係止片38に当接した場合に、弾性変形しやすくなっている。
【0026】
次に、水栓1の組み付けについて説明する。なお、組み付け順は一例でありこの順に限定されない。
まず、下カバー20を設置し、下カバー20内にボディユニット8を配置する。次に下カバー20の上から上カバー21を嵌める。そうすると、上カバー21の後方では背面差し込み部47が支持リブ30に形成されたスリット31に挿入され、上カバー21の背面は背面側支持部32に支持される。また、上カバー21の前方では前面差し込み部44が前方突起40のスリット41に挿入され、上カバー21の前面は上カバー前面支持部42に支持される。同時に上カバー21に形成された一対の挿入突部46が、下カバー20の縦枠34に形成された一対の凹穴37にそれぞれ挿入される。続けて、上カバー21の円孔43を通してボディユニット8の吐出口取付部12に吐出口ユニット2をネジ止めすると、上カバー21は吐出口ユニット2により上から押さえつけられて下カバー20との組付けが強固となる。そして、上カバー21の左右からそれぞれサイドカラー23を嵌め込み、サイドカラー23の外側から温調ハンドル4及び切替ハンドル5を取り付ける。
【0027】
さらに、下カバー20の前面カバー装着面36に前面カバー22を装着する。前面カバー22を下カバー20に対して押し込んで行くと、
図7(b)に示すように係止突起48の係止溝50と係止片38とが係合する。また、前面カバー22の装着リブ49が下カバー20の開口部33の内縁に当接し、これにより前面カバー22が下カバー20に装着された状態となる。続けて、ボディユニット8のシャワー取付部にシャワーユニット3のエルボ13を取り付け、ボディユニット8に下カバー20の挿通孔28を通して給湯ネジ部10と給水ネジ部11を取り付ける。以上により、
図1に示す形状の水栓1を組み付けることができる。
【0028】
図8に示すように、水栓1を組み付けた状態では下カバー20の縦枠34に形成された一対の凹穴37内に上カバー21に形成された一対の挿入突部46がそれぞれ挿入される。同図に示すように各凹穴37は各挿入突部46よりもわずかに幅が広く形成されており、挿入突部46は幅方向に遊嵌状態で凹穴37に挿入されて挿入突部46の下端が凹穴37の底面に当接する。
【0029】
ここで、開口部33は上方開口のため上端間の間隔は外力等により変形しやすい。そして、開口部33の上端間が拡開、すなわち一対の縦枠34の上端同士が互いに離間する方向(
図8では左方向)に移動しようとすると一対の凹穴37の内側壁37aが一対の挿入突部46の内側辺46aにそれぞれ当接する。このため、一対の縦枠34はそれ以上互いに離間する方向への移動が規制され、開口部33の上端間の拡径が規制される。なお、開口部33の上端間の閉塞、すなわち一対の縦枠34の上端同士が互いに近接する方向(
図8では右方向)に移動についても同様に規制される。
【0030】
水栓1のメンテナンスをする場合は、ドライバー等を縦枠34に形成された差し込み口39に挿入するとテコ作用により前面カバー22が下カバー20から外れる。そして、露出した開口部33からメンテナンス部6aに位置する逆止弁ユニット18及び止水弁ユニット19を操作することができる。
【0031】
上記実施形態の水栓1及び水栓カバー7によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)水栓カバー7は、水栓本体6のメンテナンス部6aに相対する上方開放の開口部33を有する下カバー20と、下カバー20の上に配置する上カバー21と、下カバー20の開口部33を塞ぐメンテナンスカバーとしての前面カバー22とを有する。そして、開口部33の上端間の間隔を保持する間隔保持部(凹穴37、挿入突部46)を設けている。このため、下カバー20の開口部33を拡径ないし閉塞させる力が作用しても開口部33の上端間の間隔を保持することができる。そして、開口部33は上方開放のため上枠がある場合に比べて上方向に広くなる。このため、下カバー20全体の寸法を変えることなく開口部33が広くなり、開口部33を介してのメンテナンス作業が容易となる。
【0032】
(2)間隔保持部は、開口部33の上端間の拡開、すなわち一対の縦枠34の上端同士が互いに離間する方向(
図8では左方向)への移動を規制する。このため、下カバー20の開口部33に内嵌めにより装着した前面カバー22が外れにくくなる。
【0033】
(3)開口部33は下カバー20における一対の縦枠34とこれら縦枠34の下端同士を結ぶ下枠35とによって形成されたものである。また、間隔保持部は一対の縦枠34に形成された一対の凹穴37と、上カバー21に形成されて一対の凹穴37に挿入される一対の挿入突部46とにより構成される。このため、下カバー20に上カバー21を被せる際に、下カバー20の一対の凹穴37に、上カバー21の一対の挿入突部46が挿入されて下カバー20の開口部33の上端間の間隔を保持することができる。また、上カバー21を下カバー20に被せるだけでよいため作業も容易となる。
【0034】
(4)上カバー21は金属板を成形したものであり、一対の挿入突部46は幅方向の長さが厚み方向の長さより大きい。このため、挿入突部46は幅方向への変形に強く、開口部33の上端間の間隔を保持しやすくなる。
【0035】
(5)前面カバー22は一対の係止突起48を有しており、一対の係止突起48は下カバー20の一対の縦枠34に係止する。前面カバー22の装着対象でもある一対の縦枠34が間隔保持部を構成するため、間隔保持の機能を発揮しやすい。
【0036】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・開口部33は下カバー20の前面に形成したが側面や背面でもよい。水栓本体6のメンテナンス部6aに相対する位置であればよい。
【0037】
・一対の凹穴37は上方向に開口するものに限られない。例えば、一対の縦枠34に対して凹穴37を前後方向に貫通する形状として、係止突起48をこの凹穴37に係止する構成でもよい。また、一対の縦枠34の幅方向内側に開口する凹穴37を形成して、係止突起48を幅方向外側に突出する形状として、凹穴37に係止する構成でもよい。
【0038】
・間隔保持部は、上記実施形態に限られない。例えば、一対の縦枠34に一対の突起を形成し、上カバー21にこの一対の突起が挿入可能な一対の孔を形成してもよい。
・上カバー21に形成した一対の挿入突部46は幅方向の長さが厚み方向の長さより大きいものでなくてもよい。
【0039】
・各カバーの材質を変更してもよい。
・前面カバー22を縦枠34以外の部分に係止させてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…水栓、6…水栓本体、6a…メンテナンス部、7…水栓カバー、8…ボディユニット、20…下カバー、21…上カバー、22…前面カバー(メンテナンスカバー)、33…開口部、34…縦枠、35…下枠、37…凹穴(間隔保持部)、46…挿入突部(間隔保持部)、48…係止突起。