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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048745
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】洗車装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
B60S3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158228
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小池 雅彦
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026AA03
3D026AA13
3D026AA17
3D026AA19
3D026AA25
3D026AA34
3D026AA40
3D026AA52
3D026AA58
3D026AA71
(57)【要約】
【課題】洗車装置の正規停止位置に向かって進行する車両の、左右方向(車両装置本体方向)における偏りを検出する。
【解決手段】本発明の一解決手段に係る洗車装置は、洗浄対象となる車両を跨ぐように門型状に形成されたフレームを有し、車両に対して相対的に前後移動可能な本体部と、前記本体部と対向するよう設けられる投光部と、前記投光部が投射する光を受光可能な受光部と、前記受光部を搭載し、前記本体部に設けられ、前記フレームの開口部内で変位する駆動部と、を備える。受光部を搭載した駆動部は、例えば洗浄処理装置としての乾燥用ノズルなどからなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象となる車両を跨ぐように門型状に形成されたフレームを有し、車両に対して相対的に前後移動可能な本体部と、前記本体部と対向するよう設けられる投光部と、
前記投光部が投射する光を受光可能な受光部と、
前記受光部を搭載し、前記本体部に設けられ、前記フレームの開口部内で変位する駆動部と、
を備える洗車装置。
【請求項2】
前記投光部は、該本体部の洗浄可能範囲外に光を投射する
ことを特徴とする請求項1記載の洗車装置。
【請求項3】
前記投光部は、該本体部の洗浄可能範囲の範囲内と範囲外の境界線上に光を投射する
ことを特徴とする請求項1記載の洗車装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記フレームの開口部内を昇降動作する洗浄処理装置である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の洗車装置。
【請求項5】
前記駆動部は、前記フレームの開口部内を前記本体部の幅方向に進退動作する洗浄処理装置である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の洗車装置。
【請求項6】
前記本体部は、さらに制御部と、発報部と、を備え、
前記制御部は、前記受光部が前記投光部からの光を受光しない場合に、発報部から発報する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の洗車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002-362331(特許文献1)には、洗車装置における前輪検出装置が記載されている。該前輪検出装置は、洗車開始前に車両の前輪が正規停止位置とその前後2位置のいずれにあるかを検出するための装置である。該前輪検出装置は踏み込み方式のスイッチからなり、洗車作業場の床面の2位置に前側スイッチ、後ろ側スイッチとして敷設される。洗車作業場に進入した車両のタイヤがどのスイッチを踏んでいるかを検出することで、車両が正規停止位置にあるかどうかを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-362331
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置は、車両の左右方向(洗車装置本体幅方向)の偏りを検出することはできなかった。そのため、洗車装置の正規停止位置に向かって進行する車両の、左右方向における偏りを検出可能な装置が求められていた。本発明の一目的は、そのような検出装置を備えた洗車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一解決手段に係る洗車装置は、洗浄対象となる車両を跨ぐように門型状に形成されたフレームを有し、車両に対して相対的に前後移動可能な本体部と、前記本体部と対向するよう設けられる投光部と、前記投光部が投射する光を受光可能な受光部と、前記受光部を搭載し、前記本体部に設けられ、前記フレームの開口部内で変位する駆動部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
一解決手段によれば、洗車装置の正規停止位置に向かって進行する車両の、左右方向における偏りを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る洗車装置の模式的な側面図である。
図2図1に示す洗車装置の模式的な上面図である。
図3図1に示す洗車装置の模式的な正面図である。
図4図1に示す洗車装置におけるトップノズルの昇降装置を表す図である。
図5図1に示す洗車装置の制御系のブロック図である。
図6図1に示す洗車装置における車両Cの走行検出フロー図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る洗車装置の模式的な正面図である。
図8図7に示す洗車装置におけるサイドノズルの進退装置を表す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらは互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0009】
(実施形態1)
図面をもとに本発明の実施形態1について説明する。図1は本実施形態に係る洗車装置10の側面図、図2は同上面図、図3は同正面図である。
【0010】
洗車装置10は地面G(敷設面)に起立して設けられた本体部11を備えている。本体部11は、処理対象となる車両Cを跨ぐように門型状に筐体(フレーム)が構成されている。このため、本体部11は、地面Gから起立する脚部12a、12bを有している。さらに本体部11は、脚部12aおよび12bにかかる梁部13を有している。
【0011】
また、洗車装置10は、レール14と車輪15、16を備えている。一対のレール14は、互いが平行となるように延在して地面Gに設けられている。車輪15は脚部12a、12bそれぞれの底部の前方側に設けられている。車輪16は脚部12a、12bそれぞれの底部の後方側に設けられている。本体部11は、一対のレール14上を車輪15、16を介して前後移動(往復移動)する。本実施形態において、車輪15は駆動輪、車輪16は従動輪となる。
【0012】
また、洗車装置10は、走行用モータ17と走行エンコーダ18を備えている。走行用モータ17は、地面Gに対して車輪15より高い位置から車輪15と接続されるよう、本体部11の脚部12a、12bそれぞれに設けられる。走行用モータ17は正逆転可能に構成されており、車輪15(駆動輪)を介して本体部11を前後に移動(往復移動)させる。走行エンコーダ18は、本体部11の脚部12a、12bの一方に設けられ、その一方側の走行用モータ17の出力軸に連結されている。走行エンコーダ18は、レール14上における本体部11の走行位置を検出する。すなわち、走行エンコーダ18は、走行用モータ17の回転方向すなわち車輪15の回転方向を検出しながら単位角度回転ごとにパルス信号を出力する。
【0013】
また、洗車装置10は前後スイッチ19およびドック20a、ドック20bを備えている。前後スイッチ19は、脚部12aもしくは12bのどちらか一方の底部に設けられている。ドック20aは一方のレール14の一端側(本体部11の前後方向前側)に設けられ、ドック20bは同じレールの他端側(前後方向後側)に設けられている。前後スイッチ19は、本体部11の移動によりドック20a、20bでスイッチングし、ドック20a、20bとの間で本体部11の移動限界を検出する。このため、洗車装置10の本体部11は、停車した車両Cを跨いで車長方向に通過するように、移動限界の範囲内で移動することができる。なお、洗車装置10が入車待ちの状態(待機状態)は、前後スイッチ19がドック20bとスイッチングして本体部11が停止した状態である。
【0014】
後述する洗浄処理工程において、本体部11は、移動限界の範囲内で車両Cを跨ぎつつ往復移動しながら洗浄する。そのため、洗浄される車両Cは、洗浄処理開始前にレール14間を進み本体部11に近づき、洗浄処理中に本体部11と接触しない位置で停止する必要がある。本実施形態では、本体部11と車両Cが接触しない範囲を図3に示す範囲21とした。範囲21内に停止していない車両は洗浄不可能であり、実質的に範囲21は洗浄可能範囲と見なすことができる。
【0015】
洗浄可能範囲は、車両を破損せず洗浄工程を完遂できる範囲として洗車装置ごとにその構造や仕様から求められるものである。洗車装置が車両の停止位置に基づいた洗浄工程非常停止機能などを有している場合には、洗浄可能範囲は非常停止せずに洗浄工程を完遂できる範囲である。例えば本実施形態では、範囲21を成す境界線23a、23b、23cは次の位置である。
23a:車両検出部44が備える投受光素子のうち、本体部11の高さ方向で最も高い位置に設けられた素子を結んだ線の位置
23b:脚部12bから本体部11の開口部側に20cm離れた位置に仮想される、脚部12bに対して平行な線の位置
23c:脚部12aから本体部11の開口部側に20cm離れた位置に仮想される、脚部12aに対して平行な線の位置
【0016】
洗車装置10が備える発光部22は、範囲21の境界線23b、23cに投光可能な位置かつ本体部11の正面側の地面Gに埋設される。発光部22は透過型の光電センサからなり、図示しない投光素子が本体部11側を向き、少なくとも後述する受光部37が変位可能な範囲を含んだ範囲に投光可能なように設けられる。受光部37は発光部22の投光を受光可能で、かつ範囲21の境界線23b、23c上で変位可能なため、例えば車両Cがレール14間を進行する際に発光部22の投光がいずれかの受光部37で検出されない場合、車両Cが範囲21を外れ、本体部11の左右方向のどちらかに寄って進行していることがわかる。
【0017】
洗車装置10は、洗浄処理装置として、本体部11に設けられるトップブラシ24および一対のサイドブラシ25を備えている。トップブラシ24(回転ブラシ)は、待機時に門型状の本体部11の開口上部側(梁部13側)に収容されている。このトップブラシ24は、可動部として本体部11の移動に伴って回転しながら上下に昇降し、主に車両Cの上面をブラッシングすることができる。また、一対のサイドブラシ25(回転ブラシ)は、待機時に門型状の本体部11の開口側部側(脚部12a、12b側それぞれ)に収容されている。一対のサイドブラシ25は、可動部として本体部11の移動に伴って回転しながら開閉動作(互いに近づいたり離れたりする動作)し、主に車両Cの前面、側面、後面をブラッシングすることができる。トップブラシ24およびサイドブラシ25の車両Cに対する開閉動作は、後述する制御部45により車両Cの形状に沿って制御される。
【0018】
また、洗車装置10は、洗浄処理装置として、本体部11に設けられるトップスプレー26および一対のサイドスプレー27を備えている。トップスプレー26は、門型状の本体部11の開口上部側(梁部13側)に収容されている。トップスプレー26は、本体部11の移動に伴ってパイプに設けられた複数の噴射ノズル(不図示)から水などの洗浄液を噴射し、主に車両Cの上面を洗浄することができる。また、一対のサイドスプレー27は、門型状の本体部11の開口側部側(脚部12a、12b側それぞれ)に収容されている。一対のサイドスプレー27は、本体部11の移動に伴ってパイプに設けられた複数の噴射ノズル(不図示)から水などの洗浄液を噴射し、主に車両Cの側面を洗浄することができる。
【0019】
また、洗車装置10は、洗浄処理装置として、本体部11に設けられるトップノズル28(ブロワノズル)を備えている。トップノズル28は略筒状のノズル体71と、ノズル体71を支持する支持体72からなる。洗浄処理工程において、トップノズル28は本体部11の移動に伴って送風しながら昇降し、主に車両Cの上面を乾燥することができる。トップノズル28の昇降に係る昇降装置について、図4をもとに説明する。トップノズル28はキャリア29によってその両端を支持され、本体部11の脚部12a、12bそれぞれに形成されるガイドレール30の範囲を移動限界として上下に昇降自在に設けられている。キャリア29は、上端と下端を無端状に接続するチェーン31と、チェーン31が巻き懸けられるスプロケット32a、32bと、各側のスプロケット32a同士を連結する回転軸33とを備え、昇降用モータ34の正逆転によって昇降される。脚部12a側のスプロケット32aには昇降エンコーダ35が連結されており、ガイドレール30上におけるトップノズル28の昇降位置を検出できる。また、脚部12a側のガイドレール30の上端部と下端部にはリミットスイッチ36が設けられており、トップノズル28が移動限界位置にあることを検出できる。トップノズル28は、待機状態ではガイドレール30の上端に保持され、門型状の本体部11の開口上部側(梁部13側)に収容されている。
【0020】
トップノズル28は、さらに受光部37を備えている。受光部37は、本体部11の洗浄可能範囲である範囲21の境界線23b、23cの延長線上に設けられている。受光部37は車両C進入時に発光部22の投光を受光できるよう、図示しない受光素子が発光部22と対向するように設けられる。そのため、車両Cがレール14間を進行する際に受光部37が発光部22の投光を検出しない場合、車両Cが範囲21を外れ、本体部11の左右方向のどちらかに寄って進行していることがわかる。
【0021】
また、洗浄処理装置として、洗車装置10は、本体部11の脚部12a、12bそれぞれに固定的に設けられる一対のサイドノズル38(ブロワノズル)を備えている。一対のサイドノズル38は、洗浄処理工程において、本体部11の移動に伴って送風し、主に車両Cの側面を乾燥することができる。
【0022】
また、洗車装置10は、本体部11に設けられる発報部39(不図示)を備えている。発報部39はスピーカを備え、後述する制御部45からの信号に基づき音声を出力する。より具体的には、車両Cを運転するユーザや洗車装置10の周囲にいる人々に対し、車両進入の案内や本体部11の走行に伴う注意喚起などを行う。
【0023】
また、洗車装置10は、本体部11の脚部12a、12bの下部かつ前側に停車検出部41を備えている。停車検出部41は対を成す発光素子42および受光素子43を有する透過型の光電センサから構成される。発光素子42は対応する受光素子43と同じ高さに対向配置され、その間に水平な光軸を形成する。光軸は車両Cが洗浄装置10から洗浄処理を受けるに当たって停止すべき場所(正規停止位置)に形成される。すなわち、その通光/遮光状態を知ることで、レール14間を進行する車両Cが正規停止位置に到達したかどうかを検知することができる。
【0024】
また、洗車装置10は、本体部11に設けられ、本体部11の移動に伴い経時的に車両Cを検出する車両検出部44を備えている。車両検出部44は、本体部11の前側で本体部11の起立方向(車両Cの車高方向)に延在して設けられている。車両検出部44としては、対を成す発光素子および受光素子からなる透過型の光電センサを複数備え、各センサの通光/遮光状態を知ることで車両Cを検出する公知の構成が採用される。
【0025】
また、洗車装置10は、図5に示すように、制御部45(例えば、半導体素子や、これを搭載した電子基板)を備えている。制御部45は、本体部11に設けられ、走行エンコーダ18、前後スイッチ19、停車検出部41、車両検出部44、発光部22、受光部37、発報部39、操作パネル46、および駆動装置47と電気的に接続され、操作パネル46で受け付けた処理コースに従い、予めプログラムされたシーケンス(手段)を実行する。なお、操作パネル46は、洗車装置10の洗車開始/停止、洗車処理コース選択などの基本操作を可能としたパネルである。操作パネル46は本体部11とは別に地面Gから起立させて設けられてもよいし、本体部11の脚部12aおよび12bのいずれかの側に設けられてもよい。
【0026】
また、制御部45は、発報手段60と、走行検出手段48と、車両検出手段49と、データ記憶手段50と、データ記憶手段51と、処理手段52を有している。発報手段60は、受光部37の通光/遮光状態に基づき発報部39に音声信号を出力することができる。走行検出手段48は、走行エンコーダ18のパルス信号から本体部11の走行位置(移動位置)を検出することができる。車両検出手段49は、走行エンコーダ18のパルス信号をトリガに単位距離移動する毎に車両検出部44を動作させ、車両Cの形状を検出することができる。データ記憶手段50は、走行検出手段48と車両検出手段49の検出結果から車形データを作成することができる。データ記憶手段51は、車形データを記憶することができる。処理手段52は、車形データをもとに駆動装置47でブラシなどを駆動する装置を制御することができる。
【0027】
このように構成される洗車装置10は、種々の手段(機能)を備えており、制御部45によって各手段が実行される。なお、各手段は、制御部45が有するものとして説明したが、制御部45とは別個の部材(装置)として設けられてもよい。
【0028】
次に、洗車装置10の動作について図6のフロー図を用いて説明する。洗車装置10は、ユーザによって操作パネル46で受付がなされると[1]、正規停止位置まで車両Cを進行させるよう、発報部39からの音声によりユーザに案内を出す[2]。さらに、音声案内と同時に発光部22の投光を開始し[3]、受光部37を備えたトップノズル28の昇降動作を開始する[4]。
【0029】
ユーザは案内に従い車両Cを正規停止位置へゆっくりと前進させる。この際、前記した通り、発光部22は本体部11の範囲21の境界線23b、23c上に投光しており、かつ受光部37はトップノズル28の昇降動作に伴い境界線23b、23cに沿って上下に移動している。そのため、車両C前進時に受光部37が発光部22の投光を検知できない場合、車両Cが洗浄不可能な位置にあり発光部22の投光を遮っていること、すなわち車両Cが正規停止位置に向かって適切に進入していないことがわかる。そこで、車両Cの進入時、受光部37が発光部22の投光を検知しない場合[5]、ユーザに車両の位置を正すよう発報部39からの音声で案内する[6]。
【0030】
この案内により、ユーザは洗浄処理工程が開始される前の段階で車両を正規停止位置上に止めることができる。不適切な停車により洗浄処理工程が中断されてしまう虞がなくなり、さらにユーザも正しい位置に車両を止めたことを自覚でき、安心できる。
【0031】
なお、受光部37をトップノズル28に搭載し境界線23b、23c上を上下させるのは、例えばドアミラーなど、車両C側面の装備品が部分的に洗浄可能範囲外に突出していても検出可能とするためである。これにより、ドアミラーなどの装備品がブラシなどの洗浄体に巻き込まれ破損する事故を防ぐことができる。
【0032】
発光部22および受光部37による車両検出は、車両Cが正規停止位置に到達するまで経時的に行われる。本体部11は正規停止位置上に光軸が形成されるよう停車検出部41を備えており、この光軸が遮光されたことをもって車両Cが正規停止位置へ到達したと判断する[7]。
【0033】
その後、各洗浄処理装置による洗浄処理工程が開始される[8]。例えば本体部11が一往復して洗浄を行う工程(一往復洗車コース)が選択されている場合、往工程として、本体部11を前方に移動(往行走行)させながら車両検出部44で車両Cを検出しつつ、トップスプレー26およびサイドスプレー27から車両Cに洗浄水を散布する。車両検出部44で求められた車両Cの形状に合わせ、トップブラシ24やサイドブラシ25を用いて車両Cの車体面をブラッシング洗浄する。次いで、復工程として、本体部11を後方に移動(復行走行)させながらトップノズル28などを用いて車両Cに送風し、水滴を除去して乾燥を図る。その後、洗車装置10は発報部39からの音声によりユーザに退車するよう案内し、洗車コース終了とする。
【0034】
このように本実施形態では、地面G上に設けた発光部22と、トップノズル28に設けた受光部37間の通光/遮光状態を知り、さらにその状態に応じて発報部39により発報することで、洗車装置10の正規停止位置に向かって進行する車両の左右方向における偏りを検出することが可能となる。
【0035】
なお、発光部22の投光位置は、必ずしも境界線23上でなくてもよい。範囲21外に投光し、それを受光部37で受光する構成であっても、その通光が遮られることにより、車両Cが洗浄可能範囲を外れ、本体部11の左右方向のどちらかに寄って走行していることを検出できる。
【0036】
発光部22の投光位置(設置位置)に応じて受光部37の設置位置を適宜変えてもよい。例えば発光部22をトップノズル28のノズル体71の全幅より広い幅をもって地面G上に設置するなら、受光部37を支持体72上に設けてもよい。
【0037】
また、本実施形態では発光部22を地面Gに埋設するとしたが、発光部22は地面Gに起立する筐体などに収容して設けてもよい。
【0038】
また、トップノズル28は幅方向左右に一つずつ受光部37を備えていることから、片側の受光部37のみが遮光されていることを制御部45において検出可能としてもよい。例えば右側の受光部37のみが遮光されている場合に、「車両を左手側に寄せてください」といった案内をしてもよい。
【0039】
片側の受光部37のみが遮光され続ける場合、本体部11の走行範囲内に車両Cではない障害物があることも想定される。そうした場合に備え、例えば一定時間以上片側の受光部37が遮光された場合、「スタッフを呼んでください」といった案内をしてもよい。
【0040】
また、受光部37が遮光され続ける場合、車両Cの車幅方向の大きさが範囲21を超えていることが想定される。例えば一定時間以上受光部37が遮光された場合には、「車両が洗浄可能な大きさか確認してください」といった案内をしてもよい。洗車場のスタッフに向けて発報し、車両の大きさを確認させてもよい。
【0041】
車両Cが正規停止位置に到達した後、即座に洗浄工程を開始せず、トップノズル28を下限から上限まで昇降動作させ、受光部37の通光状態を再確認してもよい。このような制御を行うことにより、洗浄動作開始時の車両Cの位置においてもドアミラーなどの装備品が洗浄可能範囲外に突出していないかどうかを検出することができる。
【0042】
(実施形態2)
前記実施形態では、受光部37をトップノズル28に搭載させた場合について説明したが、受光部37は、門型状の本体部11の開口部内で変位可能な駆動部であればどのようなものに搭載しても良い。例えばトップノズル28と同様に本体部11の開口部内で昇降動作するトップブラシ24の軸部(不図示)などに搭載してもよく、開口部内を脚部12a、12b方向から進退動作するサイドブラシ25の軸部(不図示)やサイドノズル38Aなどに搭載してもよい。本実施形態では、サイドノズル38Aに受光部37を搭載させた場合について、図面を参照して説明する。図7は本実施形態に係る洗車装置の模式的な正面図であり、図8は同洗車装置の模式的な側面図である。
【0043】
洗車装置10Aは、洗浄処理装置として、本体部11の脚部12a、12bそれぞれに一対のサイドノズル38A(ブロワノズル)を備えている。一対のサイドノズル38Aは、本体部11の開口部内へ向かって進退自在に設けられている。サイドノズル38Aは、洗浄処理工程において、本体部11の移動に伴い、車両検出部44が検出した車両Cの形状に沿って進退動作しながら送風し、主に車両Cの側面を乾燥することができる。
【0044】
サイドノズル38Aの進退動作に係る進退装置について、図8を基に説明する。サイドノズル38Aはエアシリンダ53によって支持され、ガイドフレーム54に沿って移動する。待機状態においてエアシリンダ53はロッド55を縮めた状態であり、サイドノズル38Aは脚部12a、12bそれぞれに収容されている。洗浄処理工程などにおいてエアシリンダ53にエアが供給されると、サイドノズル38Aはガイドフレーム54の範囲を移動限界として車両C側に移動する。なお、サイドノズル38Aの進退手段は、エアシリンダに限らずモータなどを採用してもよい。
【0045】
サイドノズル38Aは受光部37Aを備えている。受光部37Aは、サイドノズル38A上において、本体部11の起立方向(車両Cの車高方向)に延在して設けられる複数の受光素子37A-1~37A-nを有する。受光素子37A-1~37A-nは発光部22の投光を受光できるよう、発光部22と対向するように設けられる。受光部37Aはサイドノズル38Aの進退動作に伴い本体部11の洗浄可能範囲である範囲21の外で変位する。受光部37Aは、サイドノズル38Aが車両C側にもっとも突出した際に発光部22の投光を受光可能となる。
【0046】
次に、洗車装置10Aの動作について説明する。洗車装置10Aは、ユーザによって操作パネル46で受付がなされると、正規停止位置まで車両Cを進行させるよう、発報部39からの音声によりユーザに案内を出す。さらに、音声案内と同時に発光部22の投光を開始し、受光部37を備えたサイドノズル38Aを脚部12a、12bから突出させる。
【0047】
ユーザは案内に従い車両Cを正規停止位置へゆっくりと前進させる。前記した通り、発光部22は本体部11の洗浄可能範囲である範囲21外に投光しており、かつ受光部37Aは発光部22の投光を受光できるよう変位している。そのため、車両C前進時に受光部37Aが発光部22の投光を検知できない場合、車両Cが洗浄不可能な位置にあり発光部22の投光を遮っていること、すなわち車両Cが正規停止位置に向かって適切に進入していないことがわかる。そこで、車両Cの進入時、受光部37Aが発光部22の投光を検知しない場合、ユーザに車両の位置を正すよう発報部39からの音声で案内する。
【0048】
本実施形態では、このように地面G上に設けた発光部22とサイドノズル38Aに設けた受光部37A間の通光/遮光状態を知り、さらにその状態に応じて発報部39により発報することで、洗車装置10Aの正規停止位置に向かって進行する車両の、左右方向における偏りを検出することが可能となる。
【0049】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0050】
例えば、受光部37は洗車装置10の洗浄可能範囲内の任意の位置を変位可能に設けられてもよい。すなわち、受光部37は、範囲21内を変位するよう、トップノズル28などに搭載されてもよい。このような構成とすることにより、洗車装置10が実質的に洗浄可能な車両Cの寸法は、洗車装置10の構造などにより規定される車両最大許容寸法よりも小さくなるが、車両Cが車両幅方向に備えるドアミラーなどの装備品を様々な要因により受光部37で検出できなかった際に、洗浄工程中に洗車装置10が非常停止したり、その装備品を破損したりするのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0051】
10 洗車装置
11 本体部
12a 脚部
12b 脚部
13 梁部
21 範囲
22 発光部
23 境界線
28 トップノズル
37 受光部
38 サイドノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8