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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048753
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】トイレ装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/10 20060101AFI20230331BHJP
   E03D 9/08 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
A47K13/10
E03D9/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158243
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000208640
【氏名又は名称】第一化成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521424080
【氏名又は名称】ヨーコー産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】秦 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】丸山 裕二
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 真央
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 寿彦
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AB07
2D037AB10
2D037AB11
2D038JC01
2D038JC11
2D038KA06
2D038ZA00
(57)【要約】
【課題】電動開閉ユニットを小型化できるとともに、電動開閉ユニットの組み立ての作業性を向上できるトイレ装置を提供する。
【解決手段】便座及び便蓋を回動可能に支持するケーシングと、前記ケーシングの内部に設けられ、前記便座及び前記便蓋の少なくとも一方を開閉可能な電動開閉ユニットと、を備え、前記電動開閉ユニットは、ケースと、前記ケースの内部に収容されるモータと、少なくとも一部が前記ケースから突出し、前記便座及び前記便蓋の前記少なくとも一方に前記モータの回転を出力する出力軸と、前記ケースに収容され、前記モータの回転を前記出力軸に伝達する伝達機構と、前記便座及び前記便蓋の前記少なくとも一方の開閉状態を検知する開閉検知機構と、を有し、前記開閉検知機構の少なくとも一部は、前記ケースの外部に設けられることを特徴とするトイレ装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座及び便蓋を回動可能に支持するケーシングと、
前記ケーシングの内部に設けられ、前記便座及び前記便蓋の少なくとも一方を開閉可能な電動開閉ユニットと、
を備え、
前記電動開閉ユニットは、
ケースと、
前記ケースの内部に収容されるモータと、
少なくとも一部が前記ケースから突出し、前記便座及び前記便蓋の前記少なくとも一方に前記モータの回転を出力する出力軸と、
前記ケースに収容され、前記モータの回転を前記出力軸に伝達する伝達機構と、
前記便座及び前記便蓋の前記少なくとも一方の開閉状態を検知する開閉検知機構と、
を有し、
前記開閉検知機構の少なくとも一部は、前記ケースの外部に設けられることを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記開閉検知機構は、
前記モータの回転を検知する回転検知部と、
前記出力軸の回転角度を検知する角度検知部と、
を有し、
前記回転検知部の少なくとも一部及び前記角度検知部の少なくとも一部は、前記ケースの外部に設けられることを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記電動開閉ユニットは、前記回転検知部を覆うカバーをさらに有し、
前記カバーは、前記ケースに取り付けられることを特徴とする請求項2記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記開閉検知機構は、
前記回転検知部に接続された第1ハーネスと、
前記角度検知部に接続された第2ハーネスと、
をさらに有し、
前記第1ハーネス及び前記第2ハーネスは、前記ケースの外部に設けられることを特徴とする請求項2または3に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記回転検知部の少なくとも一部は、前記モータに対して、前記出力軸とは反対側に設けられることを特徴とする請求項2~4のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記角度検知部の少なくとも一部は、前記出力軸の径方向の外側に設けられることを特徴とする請求項2~5のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記ケーシングは、前記電動開閉ユニットの上方を覆うことを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、トイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便座及び便蓋の少なくともいずれかを電動で開閉するために、電動開閉ユニットが取り付けられたトイレ装置がある。電動開閉ユニットには、便蓋や便座の開閉状態を検知する開閉検知機構を設けることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-006352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、開閉検知機構は、電動開閉ユニットのケースの内部に設けられていた。そのため、開閉検知機構の取り付けを電動開閉ユニットのケースの内部で実施しなければならず、組み立ての作業性が悪くなっていた。また、開閉検知機構の制御基板や、制御基板に接続されるハーネスが、電動開閉ユニットの内部に設けられるため、ばねや歯車等の可動部品と接触し、故障や断線が発生する可能性があった。そこで、従来は、電動開閉ユニットの組み立てに十分な時間を確保し、制御基板やハーネスと可動部品との間に空間を設けることで、接触を防止してきた。しかし、組み立てに時間がかかることでコストアップするおそれや、電動開閉ユニットが大型化することで低シルエット化・多機能化を目指すトイレ装置のデザイン上の制約となるおそれがあった。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、電動開閉ユニットを小型化できるとともに、電動開閉ユニットの組み立ての作業性を向上できるトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、便座及び便蓋を回動可能に支持するケーシングと、前記ケーシングの内部に設けられ、前記便座及び前記便蓋の少なくとも一方を開閉可能な電動開閉ユニットと、を備え、前記電動開閉ユニットは、ケースと、前記ケースの内部に収容されるモータと、少なくとも一部が前記ケースから突出し、前記便座及び前記便蓋の前記少なくとも一方に前記モータの回転を出力する出力軸と、前記ケースに収容され、前記モータの回転を前記出力軸に伝達する伝達機構と、前記便座及び前記便蓋の前記少なくとも一方の開閉状態を検知する開閉検知機構と、を有し、前記開閉検知機構の少なくとも一部は、前記ケースの外部に設けられることを特徴とするトイレ装置である。
【0007】
このトイレ装置によれば、開閉検知機構の少なくとも一部をケースの外部に設けることで、ケースの内部に広い空間を設けなくても、開閉検知機構が伝達機構などの可動部品に接触することを抑制できる。これにより、ケースを小型化でき、電動開閉ユニットを小型化できる。また、開閉検知機構の少なくとも一部をケースの外部に設けることで、開閉検知機構をケースの内部に設ける場合に比べて、電動開閉ユニットの組み立ての作業性を向上できる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記開閉検知機構は、前記モータの回転を検知する回転検知部と、前記出力軸の回転角度を検知する角度検知部と、を有し、前記回転検知部の少なくとも一部及び前記角度検知部の少なくとも一部は、前記ケースの外部に設けられることを特徴とするトイレ装置である。
【0009】
このトイレ装置によれば、回転検知部及び角度検知部を別々に設けることで、便座や便蓋の開閉状態をより正確に検知することができる。また、回転検知部の少なくとも一部及び角度検知部の少なくとも一部をケースの外部に設けることで、回転検知部及び角度検知部を別々に設けた場合にも、電動開閉ユニットを小型化できるとともに、電動開閉ユニットの組み立ての作業性を向上できる。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、前記電動開閉ユニットは、前記回転検知部を覆うカバーをさらに有し、前記カバーは、前記ケースに取り付けられることを特徴とするトイレ装置である。
【0011】
このトイレ装置によれば、回転検知部を覆うカバーを設けることで、回転検知部をケースの外部に設けた場合にも、回転検知部に水がかかることを抑制できる。
【0012】
第4の発明は、第2または第3の発明において、前記開閉検知機構は、前記回転検知部に接続された第1ハーネスと、前記角度検知部に接続された第2ハーネスと、をさらに有し、前記第1ハーネス及び前記第2ハーネスは、前記ケースの外部に設けられることを特徴とするトイレ装置である。
【0013】
このトイレ装置によれば、第1ハーネス及び第2ハーネスをケースの外部に設けることで、ケースの内部に広い空間を設けなくても、第1ハーネスや第2ハーネスが伝達機構などの可動部品に接触することを抑制できる。これにより、電動開閉ユニットを小型化できるとともに、電動開閉ユニットの組み立ての作業性を向上できる。
【0014】
第5の発明は、第2~第4のいずれか1つの発明において、前記回転検知部の少なくとも一部は、前記モータに対して、前記出力軸とは反対側に設けられることを特徴とするトイレ装置である。
【0015】
このトイレ装置によれば、回転検知部の少なくとも一部をモータに対して出力軸とは反対側に設けることで、回転検知部をモータに対して出力軸と同じ側に設ける場合に比べて、電動開閉ユニットの組み立てが容易になる。これにより、電動開閉ユニットの組み立ての作業性を向上できる。
【0016】
第6の発明は、第2~第5のいずれか1つの発明において、前記角度検知部の少なくとも一部は、前記出力軸の径方向の外側に設けられることを特徴とするトイレ装置である。
【0017】
このトイレ装置によれば、角度検知部の少なくとも一部を出力軸の径方向の外側に設けることで、出力軸と伝達機構との間にトルクリミッタを設けたとしても、出力軸の回転角度を正確に検知することができる。
【0018】
第7の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明において、前記ケーシングは、前記電動開閉ユニットの上方を覆うことを特徴とするトイレ装置である。
【0019】
このトイレ装置によれば、ケーシングが電動開閉ユニットの上方を覆うことで、開閉検知機構の少なくとも一部をケースの外部に設けたとしても、開閉検知機構に水がかかることを抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の態様によれば、電動開閉ユニットを小型化できるとともに、電動開閉ユニットの組み立ての作業性を向上できるトイレ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係るトイレ装置を例示する斜視図である。
図2】実施形態に係るトイレ装置の一部を例示する平面図である。
図3】実施形態に係る電動開閉ユニットを例示する正面図である。
図4】実施形態に係る電動開閉ユニットを例示する断面図である。
図5】実施形態に係るトイレ装置の一部を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るトイレ装置を例示する斜視図である。
図1に表したように、実施形態に係るトイレ装置100(便座装置)は、ケーシング10と、使用者が着座する便座30と、便座30を覆う便蓋50と、を有する。便座30及び便蓋50のそれぞれは、ケーシング10に対して回動可能に支持されている。言い換えれば、便座30及び便蓋50のそれぞれは、開閉自在に軸支されている。図1の状態は、便座30が閉じた状態(下げられた状態)であり、便蓋50が開いた状態(上げられた状態)である。便蓋50は、閉じた状態において、ケーシング10及び便座30の上面を上方から覆う。
【0023】
ケーシング10の内部には、便座30に座った使用者の人体局部(「おしり」など)の洗浄を実現する身体洗浄機能部などが内蔵されている。例えば、ケーシング10の内部には、洗浄ノズル70や、洗浄ノズル70の動作を制御する制御回路などが設けられる。洗浄ノズル70は、使用者が便座30に座っているときに、ケーシング10の内部から前方へ進出した状態で、使用者の局部に向けて洗浄水を吐出する。また、ケーシング10には、便座30に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。
【0024】
図1に表したように、ケーシング10は、上面15を有する。上面15の前方には、左右方向において並ぶ一対の段差部(第1段差部19a及び第2段差部19b)が設けられている。
【0025】
便蓋50は、左右方向において並ぶ一対の便蓋ヒンジ部(第1便蓋ヒンジ部61及び第2便蓋ヒンジ部62)を有する。便蓋ヒンジ部は、便蓋50の内側に位置する。第1便蓋ヒンジ部61は、第1段差部19aに配置されている。第2便蓋ヒンジ部62は、第2段差部19bに配置されている。便蓋50は、第1便蓋ヒンジ部61及び第2便蓋ヒンジ部62において、回動可能に軸支される。便蓋50は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0026】
便座30は、左右方向において並ぶ一対の便座ヒンジ部(第1便座ヒンジ部31及び第2便座ヒンジ部32)を有する。第1便座ヒンジ部31は、第1段差部19aに配置されている。第2便座ヒンジ部32は、第2段差部19bに配置されている。便座30は、第1便座ヒンジ部31及び第2便座ヒンジ部32において、回動可能に軸支される。
【0027】
図2は、実施形態に係るトイレ装置の一部を例示する平面図である。
図2は、便座30が閉じた状態で、ケーシング10を上方から見た様子を示す。なお、見易さのため便蓋50の図示を省略している。
図2に表したように、トイレ装置100は、電動開閉ユニット80(電動開閉装置)を有する。電動開閉ユニット80は、便座30及び便蓋50の少なくとも一方を開閉可能である。この例では、電動開閉ユニット80として、便座30を開閉可能な便座開閉ユニット80aと、便蓋50を開閉可能な便蓋開閉ユニット80bと、が設けられている。各電動開閉ユニット80の少なくとも一部は、ケーシング10の内部に設けられている。電動開閉ユニット80は、モータなどの駆動部を有し、駆動部の駆動力によって便座30または便蓋50を開閉する。電動開閉ユニット80は、便座開閉ユニット80a及び便蓋開閉ユニット80bの少なくとも一方を含んでいればよい。つまり、便座開閉ユニット80a及び便蓋開閉ユニット80bの一方は、省略されてもよい。
【0028】
例えば、便座開閉ユニット80aの出力軸85は、第1段差部19aにおいて、ケーシング10の側面から突出しており、直接的または間接的に便座30と接続される。この例では、便座開閉ユニット80aの出力軸85は、第1便座ヒンジ部31と係合している。便座開閉ユニット80aは、モータのトルクによって、出力軸85を回転させることで、第1便座ヒンジ部31を回転させ、便座30を回動させる。なお、便座開閉ユニット80aは、第2便座ヒンジ部32側に設けられてもよい。
【0029】
同様に、便蓋開閉ユニット80bの出力軸85は、第1段差部19aにおいて、ケーシング10の側面から突出しており、直接的または間接的に便蓋50と接続される。この例では、便蓋開閉ユニット80bの出力軸85は、第1便蓋ヒンジ部61と係合している。便蓋開閉ユニット80bは、モータのトルクによって、出力軸85を回転させることで、第1便蓋ヒンジ部61を回転させ、便蓋50を回動させる。なお、便蓋開閉ユニット80bは、第2便蓋ヒンジ部62側に設けられてもよい。
【0030】
図3は、実施形態に係る電動開閉ユニットを例示する正面図である。
図4は、実施形態に係る電動開閉ユニットを例示する断面図である。
図3及び図4に表したように、電動開閉ユニット80は、ケース81と、モータ82と、伝達機構83と、シャフト部84と、出力軸85と、ばね86と、カバー89と、開閉検知機構90と、を有する。
【0031】
この例では、ケース81は、第1ケース部材81aと、第2ケース部材81bと、を有する。第1ケース部材81aと第2ケース部材81bとが組み合わされて、筒状のケース81が形成されている。このようにケース81は、複数の部材が組み合わされたものでもよいし、1つの部材から形成されたものでもよい。ケース81は、ネジやボルトなどの任意の固定手段によって、ケーシング10に固定される。
【0032】
モータ82は、ケース81に収容されている。より具体的には、モータ82の少なくとも一部は、第1ケース部材81aに収容されており、モータ82の回転軸82aは、第2ケース部材81b側へ突出している。
【0033】
伝達機構83は、ケース81の第2ケース部材81bに収容されている。伝達機構83は、モータ82の回転軸82aと接続されており、モータ82の回転を、直接的または間接的に出力軸85に伝達する。この例では、モータ82の回転は、シャフト部84を介して出力軸85に伝達される。
【0034】
伝達機構83は、例えば減速機構であり、この例では遊星歯車機構である。より具体的には、この例において、伝達機構83は、太陽歯車83aと、遊星歯車83bと、遊星キャリア83c(太陽歯車)と、遊星歯車83dと、遊星キャリア83e(太陽歯車)と、遊星歯車83fと、遊星キャリア83gと、内歯車83hと、を有する。
【0035】
内歯車83hは、筒状であり、その内周面には、遊星歯車83b、83d、83fと係合する歯が設けられている。この例では、内歯車83hは、ケース81に対して相対的に固定されており、モータ82の回転軸82aによって出力軸85が回転しても、回転しない部材である。
【0036】
太陽歯車83aは、モータ82の回転軸82aに接続されており、回転軸82aを中心に自転する。
遊星歯車83bは、太陽歯車83aと係合しており、太陽歯車83aの回転に伴って、太陽歯車83aの周囲を公転及び自転する。
遊星キャリア83cは、遊星歯車83bと係合しており、遊星歯車83bの回転に伴って自転する。
遊星キャリア83cは、遊星歯車83dと係合する太陽歯車となっている。遊星歯車83dは、遊星キャリア83cの回転に伴って、遊星キャリア83cの周囲を公転及び自転する。
遊星キャリア83eは、遊星歯車83dと係合しており、遊星歯車83dの回転に伴って自転する。
遊星キャリア83eは、遊星歯車83fと係合する太陽歯車となっている。遊星歯車83fは、遊星キャリア83eの回転に伴って、遊星キャリア83eの周囲を公転及び自転する。
遊星キャリア83gは、遊星歯車83fと係合しており、遊星歯車83fの回転に伴って自転する。
【0037】
シャフト部84は、ケース81の第2ケース部材81bに収容されており、遊星キャリア83gと直接的または間接的に接続されている。遊星キャリア83gの回転に伴って、シャフト部84は回転する。シャフト部84には、例えばトルクリミッタが設けられてもよい。
【0038】
出力軸85は、少なくとも一部がケース81から突出している。この例では、出力軸85の一端は、第2ケース部材81bから突出しており、出力軸85の他端は、第2ケース部材81bに収容されて、シャフト部84と接続されている。出力軸85は、モータ82の回転軸82aの回転に伴って、ケース81に対して回転可能である。これにより、出力軸85は、伝達機構83を介して伝達されたモータ82の回転力を便座30または便蓋50に出力する。すなわち、電動開閉ユニット80は、出力軸85に伝達されたモータ82の回転によって、便座30または便蓋50を開閉する。
【0039】
ばね86は、ケース81の第2ケース部材81bに収容されている。ばね86は、例えば、ねじりコイルばねである。ばね86の一端部は、伝達機構83に接続され、ばね86の他端部は、出力軸85に接続されている。ばね86は、出力軸85の回転方向に、出力軸85を付勢する。つまり、ばね86の弾性力は、出力軸85を介して、便座30または便蓋50に伝達される。例えば、ばね86は、便座30または便蓋50を開方向に付勢する。ばね86を設けることにより、便座30や便蓋50の開閉をアシストすることができる。
【0040】
ばね86の内側に、シャフト部84が配置されている。例えば、モータ82の回転軸82a、伝達機構83の各遊星キャリア(各太陽歯車)、シャフト部84、出力軸85、ばね86の各中心軸(回転軸)は、互いに一致するように配置されている。なお、中心軸(回転軸)が一致することは、中心軸が厳密に直線上に位置する場合のみならず、例えば製造ばらつきや設計上の遊びなどの範囲で、僅かにずれている場合を含んでもよい。ばね86は、例えば、ばね86の外側の部材(ケース81)や、ばね86の内側の部材(シャフト部84)と接しないように配置されている。
【0041】
開閉検知機構90は、便座30及び便蓋50の少なくとも一方の開閉状態を検知する。開閉検知機構90は、例えば、モータ82の回転を検知する。開閉検知機構90は、例えば、出力軸85の回転角度を検知する。開閉検知機構90は、例えば、電動開閉ユニット80の動作を制御する制御回路(後述の制御部20)と電気的に接続される。開閉検知機構90は、検知結果(例えば、モータ82の回転や出力軸85の回転角度)を制御回路(制御部20)に出力する。制御回路(制御部20)は、検知結果に基づいて、電動開閉ユニット80の動作を制御する。
【0042】
開閉検知機構90は、回転検知部91と、角度検知部92と、第1ハーネス93と、第2ハーネス94と、を有する。回転検知部91は、モータ82の回転を検知する。回転検知部91は、例えば、モータ82の回転の有無を検知する。回転検知部91は、例えば、モータ82の回転速度を検知する。角度検知部92は、出力軸85の回転角度を検知する。第1ハーネス93は、回転検知部91に接続される。第2ハーネス94は、角度検知部92に接続される。
【0043】
回転検知部91及び角度検知部92を別々に設けることで、便座30や便蓋50の開閉状態をより正確に検知することができる。なお、実施形態において、開閉検知機構90は、1つのセンサで便座30や便蓋50の開閉状態を検知してもよい。この場合、開閉検知機構90は、例えば、ポテンショメータを含んでもよい。
【0044】
回転検知部91は、例えば、第1センサ部91aと、第1基板91bと、を有する。第1センサ部91aは、モータ82の回転を検知する。第1センサ部91aは、例えば、ロータリエンコーダである。第1センサ部91aは、例えば、ホールICなどの磁気方式のロータリエンコーダである。第1センサ部91aは、例えば、フォトインタラプタなどの光電方式のロータリエンコーダであってもよい。第1基板91bは、第1センサ部91aに接続される。第1ハーネス93は、第1基板91bに接続される。回転検知部91は、第1センサ部91aにおいて検知されたモータ82の回転についての検知結果を、第1ハーネス93を介して、制御回路(制御部20)に出力する。
【0045】
角度検知部92は、第2センサ部92aと、第2基板92bと、を有する。第2センサ部92aは、出力軸85の回転角度を検知する。第2センサ部92aは、例えば、ロータリエンコーダである。第2センサ部92aは、例えば、ホールICなどの磁気方式のロータリエンコーダである。第2センサ部92aは、例えば、フォトインタラプタなどの光電方式のロータリエンコーダであってもよい。第2基板92bは、第2センサ部92aに接続される。第2ハーネス94は、第2基板92bに接続される。角度検知部92は、第2センサ部92aにおいて検知された出力軸85の回転角度についての検知結果を、第2ハーネス94を介して、制御回路(制御部20)に出力する。
【0046】
開閉検知機構90の少なくとも一部は、ケース81の外部に設けられる。回転検知部91の少なくとも一部は、例えば、ケース81の外部に設けられる。この例では、第1センサ部91a及び第1基板91bは、ケース81の外部に設けられている。より具体的には、この例では、ケース81は、第1ケース部材81aの外側に設けられた外設部81pを有する。第1基板91bの一部は、外設部81pに設けられている。また、第1ハーネス93は、ケース81の外部に設けられている。
【0047】
角度検知部92の少なくとも一部は、例えば、ケース81の外部に設けられる。この例では、第2基板92bは、ケース81の外部に設けられている。第2センサ部92aは、第2ケース部材81bに設けられた窓部81wに設けられている。窓部81wは、第2ケース部材81bを貫通する孔である。また、第2ハーネス94は、ケース81の外部に設けられている。
【0048】
このように、開閉検知機構90の少なくとも一部をケース81の外部に設けることで、ケース81の内部に広い空間を設けなくても、開閉検知機構90が伝達機構83などの可動部品に接触することを抑制できる。これにより、ケース81を小型化でき、電動開閉ユニット80を小型化できる。また、開閉検知機構90の少なくとも一部をケース81の外部に設けることで、開閉検知機構90をケース81の内部に設ける場合に比べて、電動開閉ユニット80の組み立ての作業性を向上できる。
【0049】
また、回転検知部91の少なくとも一部及び角度検知部92の少なくとも一部をケース81の外部に設けることで、回転検知部91及び角度検知部92を別々に設けた場合にも、電動開閉ユニット80を小型化できるとともに、電動開閉ユニット80の組み立ての作業性を向上できる。特に、開閉検知機構90の制御基板(例えば、第1基板91bや第2基板92b)をケース81の外部に設けることで、電動開閉ユニット80をより小型化できるとともに、電動開閉ユニット80の組み立ての作業性をより向上できる。
【0050】
また、第1ハーネス93及び第2ハーネス94をケース81の外部に設けることで、ケース81の内部に広い空間を設けなくても、第1ハーネス93や第2ハーネス94が伝達機構83などの可動部品に接触することを抑制できる。これにより、電動開閉ユニット80を小型化できるとともに、電動開閉ユニット80の組み立ての作業性を向上できる。
【0051】
回転検知部91の少なくとも一部は、モータ82に対して、出力軸85とは反対側に設けられる。より具体的には、第1センサ部91aは、例えば、モータ82に対して、出力軸85とは反対側に設けられる。言い換えれば、モータ82は、例えば、軸方向において、第1センサ部91aと出力軸85との間に設けられる。
【0052】
また、第1基板91bの一部は、例えば、モータ82に対して、出力軸85とは反対側に設けられる。この例では、第1基板91bの一部は、軸方向において、第1センサ部91aとモータ82との間に設けられている。また、この例では、第1基板91bの他の一部は、モータ82の径方向の外側に設けられている。ここで「径方向」とは、モータ82の回転軸を中心とする円における径方向である。つまり、第1基板91bの他の一部とモータ82とを結ぶ方向(径方向)は、モータ82の回転軸に沿う方向(軸方向)と直交する。
【0053】
回転検知部91の少なくとも一部をモータ82に対して出力軸85とは反対側に設けることで、回転検知部91をモータ82に対して出力軸85と同じ側に設ける場合に比べて、電動開閉ユニット80の組み立てが容易になる。これにより、電動開閉ユニット80の組み立ての作業性を向上できる。また、このような位置に回転検知部91を設けることで、モータ82の回転を直接的に検知できる。
【0054】
角度検知部92の少なくとも一部は、出力軸85の径方向の外側に設けられる。より具体的には、第2センサ部92aは、例えば、出力軸85の径方向の外側に設けられる。ここで「径方向」とは、出力軸85の回転軸を中心とする円における径方向である。つまり、第2センサ部92aと出力軸85とを結ぶ方向(径方向)は、出力軸85の回転軸に沿う方向(軸方向)と直交する。また、第2基板92bは、例えば、出力軸85の径方向の外側に設けられる。つまり、第2基板92bと出力軸85とを結ぶ方向(径方向)は、出力軸85の回転軸に沿う方向(軸方向)と直交する。
【0055】
角度検知部92の少なくとも一部を出力軸85の径方向の外側に設けることで、出力軸85と伝達機構83との間にトルクリミッタを設けたとしても、出力軸85の回転角度を正確に検知することができる。
【0056】
第2基板92bは、固定部95a、固定部95b、及び固定部95cにより、第2ケース部材81bに固定されている。固定部95a、固定部95b、及び固定部95cは、ネジなどであってもよいし、熱カシメによる固定部などであってもよい。
【0057】
カバー89は、開閉検知機構90の少なくとも一部を覆う。カバー89は、例えば、回転検知部91の少なくとも一部を覆う。カバー89は、回転検知部91のうち、ケース81の外部に位置する部分の全体を覆うことが好ましい。つまり、カバー89は、外観上、回転検知部91が露出しないように、回転検知部91を覆うことが好ましい。
【0058】
カバー89は、ケース81に取り付けられる。カバー89は、例えば、ケース81に対して着脱自在に取り付けられる。より具体的には、カバー89は、第1ケース部材81a及び外設部81pに対して着脱自在に取り付けられる。
【0059】
回転検知部91を覆うカバー89を設けることで、回転検知部91をケース81の外部に設けた場合にも、回転検知部91に水がかかることを抑制できる。
【0060】
図2に表したように、ケーシング10は、電動開閉ユニット80の上方を覆う。ケーシング10は、例えば、便座開閉ユニット80aの上方及び便蓋開閉ユニット80bの上方を覆う。ケーシング10は、例えば、便座開閉ユニット80aの回転検知部91の上方、便座開閉ユニット80aの角度検知部92の上方、便蓋開閉ユニット80bの回転検知部91の上方、及び便蓋開閉ユニット80bの角度検知部92の上方を覆う。
【0061】
ケーシング10が電動開閉ユニット80の上方を覆うことで、開閉検知機構90の少なくとも一部をケース81の外部に設けたとしても、開閉検知機構90に水がかかることを抑制できる。
【0062】
図5は、実施形態に係るトイレ装置の一部を例示する説明図である。
図5に表したように、トイレ装置100は、電動開閉ユニット80の動作を制御する制御部20を有する。制御部20は、例えば、マイクロコンピュータ及び駆動回路の少なくともいずれかを含む。
【0063】
電動開閉ユニット80(開閉検知機構90)の第1ハーネス93及び第2ハーネス94は、制御部20に接続されている。より具体的には、便座開閉ユニット80aの第1ハーネス93a及び第2ハーネス94aは、制御部20に接続されている。便蓋開閉ユニット80bの第1ハーネス93b及び第2ハーネス94bは、制御部20に接続されている。
【0064】
開閉検知機構90は、第1ハーネス93及び第2ハーネス94を介して、検知結果を制御部20に出力する。より具体的には、便座開閉ユニット80aの回転検知部91は、第1ハーネス93aを介して、検知結果を制御部20に出力する。便座開閉ユニット80aの角度検知部92は、第2ハーネス94aを介して、検知結果を制御部20に出力する。便蓋開閉ユニット80bの回転検知部91は、第1ハーネス93bを介して、検知結果を制御部20に出力する。便蓋開閉ユニット80bの角度検知部92は、第2ハーネス94bを介して、検知結果を制御部20に出力する。
【0065】
制御部20は、例えば、電動開閉ユニット80に電力を供給する。制御部20は、例えば、第1ハーネス93及び第2ハーネス94を介して、開閉検知機構90に電力を供給する。制御部20は、例えば、図示しない他のハーネスを介して、モータ82に電力を供給する。制御部20は、例えば、開閉検知機構90を介して、モータ82に電力を供給してもよい。
【0066】
制御部20は、例えば、電動開閉ユニット80に対して、モータ82の動作指令を出力する。制御部20は、例えば、図示しない他のハーネスを介して、モータ82に動作指令を出力する。制御部20は、例えば、開閉検知機構90を介して、モータ82に動作指令を出力してもよい。
【0067】
制御部20は、例えば、トイレ装置100に含まれる他の機能部(例えば、洗浄ノズル70など)を制御するメインコントローラと別で設けられていてもよいし、メインコントローラと一体的に設けられていてもよい。
【0068】
制御部20がメインコントローラと別で設けられる場合、制御部20は、例えば、メインコントローラを介して電力の供給を受ける。制御部20は、例えば、メインコントローラの動作指令に応じて、電動開閉ユニット80の動作を制御する。制御部20は、例えば、メインコントローラに対して、開閉検知機構90における検知結果を出力する。
【0069】
以上、説明したように、実施形態によれば、電動開閉ユニットを小型化できるとともに、電動開閉ユニットの組み立ての作業性を向上できるトイレ装置が提供される。
【0070】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ装置が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0071】
10 ケーシング
15 上面
19a 第1段差部
19b 第2段差部
20 制御部
30 便座
31 第1便座ヒンジ部
32 第2便座ヒンジ部
50 便蓋
61 第1便蓋ヒンジ部
62 第2便蓋ヒンジ部
70 洗浄ノズル
80 電動開閉ユニット
80a 便座開閉ユニット
80b 便蓋開閉ユニット
81 ケース
81a 第1ケース部材
81b 第2ケース部材
81p 外設部
81w 窓部
82 モータ
82a 回転軸
83 伝達機構
83a 太陽歯車
83b 遊星歯車
83c 遊星キャリア
83d 遊星歯車
83e 遊星キャリア
83f 遊星歯車
83g 遊星キャリア
83h 内歯車
84 シャフト部
85 出力軸
86 ばね
89 カバー
90 開閉検知機構
91 回転検知部
91a 第1センサ部
91b 第1基板
92 角度検知部
92a 第2センサ部
92b 第2基板
93、93a、93b 第1ハーネス
94、94a、94b 第2ハーネス
95a、95b、95c 固定部
100 トイレ装置
図1
図2
図3
図4
図5